説明

寄棟状折畳式テント

【課題】多連であっても中間列の連結部において3本の梁材と2本の屋根リンク部材を支持し得る寄棟状折畳式テントを提供する。
【解決手段】寄棟状折畳式テント1は、2本1組で並列する柱材2,2が少なくとも3列以上立設するものであり、各柱材2から隣接する柱材2に対して梁材3が横架し、対角線上で対向する柱材2方向には屋根リンク部材4が配設されている。梁材3及び屋根リンク部材4は、柱材2に装着する連結部材5に一端部を回動可能に支持している。中間列の柱材2は3本の梁材3と2本の屋根リンク部材4を支持する連結部材5を装着する。連結部材5は柱材2を挿通する枠部より直線上2方向に同一高さで外面梁支持板を、同一高さで屋根リンク部材支持板を突設し、一段低い高さで中間梁支持板を突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、柱材に対して連結部材を介しシザース状に動作する梁材を備える折畳式テントに関し、特に内部空間を広く確保できる寄棟状の折畳式テントに関する。
【背景技術】
【0002】
梁材をシザース状に折り畳むテントは、例えば図5に示すように4本の柱材12と、この柱材12同士を連結する4面の梁材13を有する。地表に立設する柱材12の頂部には端部ジョイント14を冠着し、その下方に上下方向に移動可能なスライドジョイント15を環装しているが、これら連結部材を構成する端部ジョイント14及びスライドジョイント15は梁材13の斜材16の一端部を回動可能に支持している。
【0003】
又梁材13の中央には左右の斜材16をピン結合で連結するヒンジジョイント部17が設けられ、このヒンジジョイント部17からテント中央に向って屋根リンク部材18が取付けられ、それらが集合する中心部には図示しない天幕の中央部分を支承する中央支柱19を配設する。天幕はこの骨組構造体に対して上部より取り付けられる。
【0004】
このような梁材13及び屋根リンク部材18は連結する部分が全てピン結合となっており、同期してシザース状に動作しながら折り畳み可能な構成をとっているため、使用時には柱材12を相互に離隔すれば骨組全体が拡開する。又、収納時には柱材12を近接させれば骨組全体の収縮が可能となる。
【0005】
しかし、梁材13の中央に連結する屋根リンク部材18は、梁材13と同一高さに配置されるため、テントの内部空間の利用が制限される欠点があった。そこで、テントの内部空間を広く確保し得る折畳式テントとしては例えば下記に示すような従来技術があった。
【特許文献1】登録実用新案第3058526号公報
【0006】
この折畳式テントは、図6に示すように四隅に立設する柱材22同士を連結し、シザース状に動作する4面の梁材23と、対角線上で対向する柱材22方向に配置され、テント中央に向かって集結する屋根リンク部材24を備え、各梁材23及び屋根リンク部材24は柱材22に装着する連結部材25と夫々回動可能に接続していた。
【0007】
柱材22より屋根リンク部材24を跳ね出す寄棟状折畳式テント21の場合、集結する棟材24aの下面には、隅部に方杖24bが補強されているだけで、水平部材が存在しないためテントの内部空間を広く利用できる利点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、寄棟状折畳式テント21の場合、柱材22に装着する連結部材25、即ち柱材22の頂部に冠着する端部ジョイントと、その下方で環装する上下方向に移動可能なスライドジョイントには、夫々2箇所の梁材取付用板体と1箇所の棟材若しくは方杖取付用の板体を突設しなければならず、これら3箇所の板体は隅部90°の範囲に収めねばならない。
【0009】
これら板体は、具体的には夫々一対のプレートを対向し、その間隙に梁材23、棟材24a又は方杖24bの各端部を挿入して、プレートを挿通するピン等で回動可能に支持する構成であった。
【0010】
図6のように寄棟状の折畳式テント21が単独のもの、即ち4本の柱材で形成されるものであれば、これら連結部材も隅部90°の狭い範囲内であっても、6枚に相当する板材をなんとか配置することは可能であったが、2連以上、即ち2本1組となる柱材を3列以上配置する多連の折畳式テントとなると、中間列の連結部材が複雑となるため、実際上多連の寄棟状折畳テントは実現されていなかった。
【0011】
これは、隅部と異なり中間列では180°の範囲に3本の梁材と2本の屋根リンク部材を支持し得る合計10枚に相当する板体を配置しなければならないからで、コンパクトにしかもピン等を挿通できるような形状を実現することはなかなか困難であったからである。
【0012】
この発明は、従来の寄棟状折畳式テントが有する上記の問題点を解消すべくなされたものであり、多連であっても中間列の連結部において3本の梁材と2本の屋根リンク部材を支持し得る寄棟状折畳式テントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明の寄棟状折畳式テントは、2本1組で並列する柱材と、各柱材から隣接する柱材に対し連結部材を介してシザース状に動作する梁材と、対角線上で対向する柱材方向に配置され前記連結部材と回動可能に接続しテント中央に向かって集結する屋根リンク部材を備える寄棟状折畳式テントにおいて、前記柱材は、少なくとも3列以上立設するものであり、その中間列の柱材に装着する連結部材は、柱材を挿通する枠部より、直線上2方向に同一高さで外面梁支持板を、この外面梁支持板より低い高さで外面梁支持板と直交する方向に中間梁支持板を、各梁支持板の中間方向に外面梁支持板と同一高さで屋根リンク部材支持板を、夫々突設することを特徴とするものである。
【0014】
連結部材は、柱材の頂部に冠着する端部ジョイントと、その下方で環装し上下方向に移動可能なスライドジョイントからなり、梁材及び屋根リンク部材を回動可能に支持し、このスライドジョイントを上下動させることで、梁材及び屋根リンク部材の取付角度を変化させる。屋根リンク部材は、端部ジョイントに連結する棟材と、スライドジョイントに連結する方杖からなる。
【0015】
中間列の柱材は、複数の中央寄棟に挟まれる中間梁材を支持する柱で、隅部の柱材と異なり、3本の梁材と2本の屋根リンク部材を支持する連結部材を装着する。
【発明の効果】
【0016】
この発明の寄棟状折畳式テントは、中間列の柱材に装着する連結部材の中間梁支持板を外面梁及び屋根リンク部材の各支持板より低い高さで突設するため、3本の梁材と2本の屋根リンク部材を同時に支持することができ、多連の寄棟状の折畳式テントを実現可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次にこの発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は寄棟状折畳式テントの骨組を示す斜視図である。寄棟状折畳式テント1は、2本1組で並列する柱材2,2が少なくとも3列以上立設するものであり、各柱材2から隣接する柱材2に対して梁材3が横架し、対角線上で対向する柱材2方向には屋根リンク部材4が配設されている。
【0018】
これら梁材3及び屋根リンク部材4は、柱材2に装着する連結部材5に一端部を回動可能に支持している。連結部材5は、柱頂部に冠着する端部ジョイント6と、その下方に上下方向に移動可能な状態で環装するスライドジョイント7を有する。
【0019】
梁材3は、端部ジョイント6とスライドジョイント7で夫々枢支する斜材3a,3aをピン3bにて結合し、スライドジョイント7を上下動することでシザース状に折り畳み、又引き伸ばすものである。
【0020】
屋根リンク部材4は、端部ジョイント6に枢支し、テント中央に向かって集結する棟材4aと、スライドジョイント7に枢支する方杖4bからなる。この方杖4bと棟材4aは連結具4cを介して枢動可能に接続する。
【0021】
テント中央には中央支柱4dを配設し、図示しない天幕の中央部分を支承するする。天幕はこの屋根リンク部材4に対して上部より取り付けられる。4本の棟材4aは中央支柱4dと枢動可能に止着する。又、棟材4aは中央部にて分割され、連結具4eにて折畳可能に接続している。
【0022】
このためスライドジョイント7を降下させると、方杖4bに引張られて棟材4aも下向きに回動するが、この連結具4eより中央部は曲折することで上方に折り畳まれる。
【0023】
このように梁材3及び屋根リンク部材4は連結する部分が全てピン結合となっており、同期してシザース状に動作しながら折り畳み可能な構成をとっているため、使用時には柱材2を相互に離隔すれば骨組全体が拡開し、又収納時には柱材2を近接させれば骨組全体の収縮が可能となる。
【0024】
次に中間列の柱材に装着する連結部材の詳細を図2乃至図4に基づき説明する。図2は中間列柱材の頭部骨組を示す斜視図、図3は端部ジョイントの斜視図、図4はスライドジョイントの斜視図である。中間列の柱材2は、複数の中央寄棟に挟まれる中間梁材3を支持する柱で、隅部の柱材2と異なり、3本の梁材3,3,3と2本の屋根リンク部材4,4を支持する連結部材5を装着する。
【0025】
連結部材5は、図3及び図4に示すように端部ジョイント6とスライドジョイント7に分かれており、夫々柱材2を収納若しくは挿通する枠部6a,7aより直線上2方向に同一高さで外面梁支持板6b,7bを突設する。この外面梁支持板6b,7bは夫々一対のプレートを対向し、その間隙に梁材3を構成する斜材3aの端部を挿入し、開設するピン孔8より図示しないピン等を挿通して回動可能に支持する。
【0026】
この外面梁支持板6b,7bと隣接し、かつ同一高さで屋根リンク部材4用の棟材支持板6cと方杖支持板7cを夫々突設する。棟材支持板6c及び方杖支持板7cも夫々一対のプレートを対向し、その間隙に棟材4a又は方杖4bの端部を挿入し、ピン孔8を貫通するピン等で回動可能に支持する。
【0027】
90°間隔で配置される2箇所の棟材支持板6c、同様に90°間隔で配置される2箇所の方杖支持板7cの間には、一段低い高さで中間梁支持板6d,7dを突設し、対向するプレート間に中間梁材3の斜材3a端部を挿入し、ピン孔8を貫通するピン等で回動可能に支持する。
【0028】
端部ジョイント6における外面梁支持板6bと棟材支持板6c及び中間梁支持板6dは夫々45°の角度をもって配置され、各プレート間に挿入される斜材3a、棟材4aをピン等で係止するため、各ピン孔8の位置は、隣接する支持板に対し少なくとも外部よりピンが挿入できる位置、即ち挿入するピンと隣接する支持板先端が重合しない位置に開設される。
【0029】
外部よりピンを挿入する構造から中間梁支持板6dのピン孔8は、外面梁支持板6b及び棟材支持板6cのピン孔8と同一高さでは開設し難く、一段低い高さに中間梁支持板6dを突設することで無理の無い形状で3本の梁材と2本の屋根リンク部材を同時に支持することができる。
【0030】
外面梁支持板6bと棟材支持板6c及び中間梁支持板6dにおいて、各挿入するピン等の先端を受ける側の支持板は隣接する支持板と兼用されるものでもよい。これら、ピン孔と隣接する支持板との位置関係、支持板兼用はスライドジョイント7においても同様な構成となる。なお、スライドジョイント7には位置決め用のピン9が引出可能に取り付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明の寄棟状折畳式テントは、2連のタイプに限らず3連以上の中央寄棟を有する折畳式テントにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】寄棟状折畳式テントの骨組を示す斜視図である。
【図2】中間列柱材の頭部骨組を示す斜視図である。
【図3】端部ジョイントの斜視図である。
【図4】スライドジョイントの斜視図である。
【図5】従来のシザース状に折り畳むテントの骨組を示す斜視図である。
【図6】従来の寄棟状折畳式テントの骨組を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 寄棟状折畳式テント
2 柱材
3 梁材
4 屋根リンク部材
5 連結部材
6 端部ジョイント
7 スライドジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本1組で並列する柱材と、各柱材から隣接する柱材に対し連結部材を介してシザース状に動作する梁材と、対角線上で対向する柱材方向に配置され前記連結部材と回動可能に接続しテント中央に向かって集結する屋根リンク部材を備える寄棟状折畳式テントにおいて、前記柱材は、少なくとも3列以上立設するものであり、その中間列の柱材に装着する連結部材は、柱材を挿通する枠部より、直線上2方向に同一高さで外面梁支持板を、この外面梁支持板より低い高さで外面梁支持板と直交する方向に中間梁支持板を、各梁支持板の中間方向に外面梁支持板と同一高さで屋根リンク部材支持板を、夫々突設することを特徴とする寄棟状折畳式テント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−132026(P2007−132026A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324265(P2005−324265)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(500066193)
【Fターム(参考)】