説明

密封装置

【課題】密封装置は、デファレンシャル装置で潤滑油が充填されているキャリヤケースに固定され、入力軸の周面やスリンガに摺動する弾性体からなるリップを備えている。潤滑油が外部に漏洩することを抑制している主リップは、強く圧接しているため、潤滑油が供給されにくく、摩擦抵抗が大きく、磨耗しやすい課題が生じる。そこで、トルクを大幅に低減できて、寿命も長い密封装置を提供することにある。
【解決手段】主リップ121の液体側傾斜面134に第一リブ141を設けるとともに、主リップ121の空気側傾斜面135に第二リブ142を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置に関し、特に、自動車等のデファレンシャル装置、自動車等のトランスミッション装置、ウォーターポンプまたは車輪用軸受装置に使用されれば好適な密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、密封装置としては、特開平7−286656号公報(特許文献1)に記載されているものがある。
【0003】
この密封装置は、デファレンシャル装置(差動装置)のキャリヤケース(一方部材)に固定され、入力軸(他方部材)の周面や入力軸に固定されたスリンガに摺動する弾性体からなるリップを備えている。上記キャリヤケースは内部に潤滑油(液体)が充填されている。上記リップは、潤滑油の充填された内部から外部空間に向かって、入力軸に固定されたユニバーサルジョイントフランジの周面に強く圧接させて摺動するためのガータースプリングを有する主リップと、上記ユニバーサルジョイントフランジに摺動する副リップと、上記ユニバーサルジョイントフランジに取り付けられた環状のスリンガに摺動するダストリップとが設けられている。
【0004】
この密封装置は、上記潤滑油が上記キャリヤケース内から外部に漏れることを抑制している。特に、上記主リップによって潤滑油が外部に漏洩することを抑制している。このため上記主リップは上記ユニバーサルジョイントフランジに強く圧接している。上記主リップは、上記入力軸が回転したときに、上記ユニバーサルジョイントフランジの周面に対して摺動する。このとき、上記主リップと上記ユニバーサルジョイントフランジの周面とは、上記キャリヤケース内部の上記潤滑油によって潤滑される。
【0005】
しかし、上記主リップは上記ユニバーサルジョイントフランジの周面に対して強く圧接されているため、接触部分に潤滑油が供給されにくい。特に、接触部分の外部空間側は潤滑油が移動しにくく、潤滑油が不足した状態での摺動により、主リップの摩擦抵抗が大きくなるとともに、主リップが摩耗しやすい。
【0006】
また、上記主リップを備えた密封装置は、デファレンシャル装置のケース部材に固定され出力軸部材の周面に摺動する密封装置、トランスミッション装置のケース部材に固定され入力軸部材または出力軸部材の周面に摺動する密封装置、潤滑油により潤滑される車輪用軸受の外輪部材に固定され内輪部材または/および内輪部材の周面に摺動する密封装置、ウオーターポンプの外輪部材に固定され内輪部材または/および内輪部材の周面に摺動する密封装置にも用いられ、上記密封装置と同様に、摩擦抵抗が大きく主リップが摩耗しやすい課題が生じる。
【0007】
このような背景において、デファレンシャル装置において、潤滑油の漏れを抑制する密封装置のトルクの大幅な低減が所望されている。また、上記従来の密封装置において、主リップの寿命が短いという問題がある。
【特許文献1】特開平7−286656号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、トルクを大幅に低減できて、寿命も長い密封装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の密封装置は、
環状に形成され、
第一部材と、上記第一部材に対して相対回転する第二部材との、何れか一方部材に固定されるとともに、
上記第一部材と上記第二部材との何れか他方部材の周面に当接し、上記第一部材と上記第二部材との相対回転により上記他方部材の周面と摺動するリップを有し、
上記第一部材と上記第二部材との形成する空間を、液体の密封される軸方向一方側の液体側空間と軸方向他方側の空気側空間とに画定する密封装置において、
上記リップは、
粘弾性材料から形成され、
上記他方の部材の周面に当接する先端縁と、
上記先端縁の上記軸方向一方側に隣接して形成され上記先端縁から軸方向一方側に離れるにつれて上記他方の部材の周面から径方向に離れる液体側傾斜面と、
上記先端縁の上記軸方向他方側に隣接して形成され上記先端縁から軸方向他方側に離れるにつれて上記他方の部材の周面から径方向に離れる空気側傾斜面と、
上記液体側傾斜面に沿って形成され、上記先端縁から上記軸方向一方側かつ周方向一方側に傾斜して延在するとともに上記先端縁側で上記他方の部材の周面に当接する複数の第一リブと、
上記空気側傾斜面に沿って形成され、上記先端縁から上記軸方向他方側かつ周方向一方側に傾斜して延在するとともに上記先端縁側で上記他方の部材の周面に当接する複数の第二リブと、
を備えることを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、上記第一部材と上記第二部材との相対回転時には、上記液体側傾斜面に、上記先端縁から上記液体側傾斜面に沿って上記軸方向一方側に延在するとともに周方向一方側に傾斜している複数の第一リブを備えているため、上記第一リブのポンプ作用により上記液体側空間から液体を上記他方部材の周面と摺動する上記先端縁に積極的に供給することができ、この液体の潤滑作用によって摩擦抵抗を減少させ、トルクを急激に低減することができるとともに、上記先端縁の摩耗を抑制できる。したがって、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減できる。また、密封装置の寿命を長くすることができる。
【0011】
また、上記第一部材と上記第二部材とが相対回転停止時には、上記先端縁と上記他方部材の周面の当接により、上記液体側空間から上記液体が上記空気側空間に漏れようとすることを抑制するとともに、上記第一部材と上記第二部材との相対回転時には、上記空気側傾斜面に、上記先端縁から上記空気側傾斜面に沿って上記軸方向他方側に延在するとともに周方向一方側に傾斜している複数の第二リブを備えているため、上記第一リブによって上記先端縁に供給された液体が空気側空間に移動しようとしても液体側空間に押し戻す作用をなし、密封性を確保できる。
【0012】
また、一実施形態の密封装置は、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも小さくなるよう設定されている。
【0013】
上記実施形態によれば、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも小さいから、上記第一部材と上記第二部材との相対回転時に、第一リブのポンプ作用によって液体を先端縁に供給しても、第二リブのポンプ作用によって液体が空気側空間に移動することを強く抑え、良好な密封性を得られる。
【0014】
また、一実施形態の密封装置は、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さよりも短い。
【0015】
一般にリブは、上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さが長いほどポンプ作用が強くなる。上記実施形態によれば、上記第一リブのポンプ作用を上記第二リブのポンプ作用よりも小さくすることが容易にできる。
【0016】
また、一実施形態の密封装置は、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第一リブの延在方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第二リブの延在方向長さよりも短い。
【0017】
一般にリブは、上記他方部材の周面へ当接するリブの延在方向長さが長いほどポンプ作用が強くなる。上記実施形態によれば、上記第一リブのポンプ作用を上記第二リブのポンプ作用よりも小さくすることが容易にできる。
【0018】
また、一実施形態の密封装置は、上記液体側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度が上記空気側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度より大きい。
【0019】
上記実施形態によれば、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さを上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さよりも短くすることが容易にできる。
【0020】
また、一実施形態の密封装置は、上記液体側傾斜面における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第一リブの延在方向とがなす鋭角の角度が、上記空気側傾斜面における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第二リブの延在方向とがなす鋭角の角度よりも小さい。
【0021】
上記実施形態によれば、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する延在方向長さを上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する延在方向長さよりも短くすることが容易にできる。
【0022】
また、上記実施形態によれば、第一リブに沿った液体が先端縁へ移動する速さを第二リブに沿った液体が先端縁へ移動する速さよりも遅くすることが容易にできる。
【0023】
また、一実施形態の密封装置は、上記第一リブの数が上記第二リブの数より少ない。
【0024】
上記実施形態によれば、上記第一リブの数が上記第二リブの数より少ないため上記第一リブ全部のポンプ作用を上記第二リブ全部のポンプ作用よりも小さくすることが容易にできる。
【0025】
また、一実施形態の密封装置は、上記第一リブの稜線が先端縁から上記第一リブの延在方向に沿った全ての範囲において上記液体側傾斜面からの突出高さが一定に形成された平行リブである一方、上記第二リブの稜線が先端縁から上記第二リブの延在方向に沿った所定の範囲において上記空気側傾斜面からの突出高さが一定である低隆起部と、この低隆起部から上記第二リブの延在方向に沿って上記空気側傾斜面からの突出高さが大きくなる傾斜隆起部を備える。
【0026】
上記実施形態によれば、上記第一リブが液体側空間にあることで、液体が供給されやすく、この液体による潤滑作用が得られるため、上記第一リブは摺動によって摩耗しにくい一方、上記第二リブが空気側空間にあることで、上記第一リブよりは液体が供給されにくく、上記第一リブよりは摩耗が生じやすい。このため、第二リブが摩耗していないときには低隆起部でポンプ作用の効果が得られるとともに、第二リブの先端縁と低隆起部が摩耗し、先端縁が軸方向に広くなったときに、傾斜隆起部により強いポンプ作用の効果が得られ、先端縁の摩耗時にも、液体が漏れやすくなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の密封装置によれば、寿命を長くすることができる。また、トルクを格段に低減することができて、この発明の密封装置を搭載した自動車等の燃費を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の第一実施形態の密封装置を有するデファレンシャル装置の分解斜視図である。また、図2は、本発明の第一実施形態の密封装置を有するデファレンシャル装置の入力軸の軸中心を含む平面によって切断した断面図である。また、図3は、本発明の第一実施形態の密封装置の軸方向断面図である。
【0030】
この自動車等に用いられるデファレンシャル装置(差動装置)は、一般的に、図1に示すように、キャリアケース20と、キャリアケース20内に配置されデフケースレフト42aに固定して取付けられるリングギヤ44と、上記キャリアケース20に回転自在に支持されて、上記リングギヤ44に噛み合うピニオン46を先端に有する入力軸14を備えている。また、デフケース42は、デフケースレフト42aと、デフケースレフト42aにボルト42cにより結合され差動機構を内装するデフケースライト42bとを備え、上記リングギヤ44は上記デフケース42にボルト44aで保持される。上記デフケースライト42b内には、十字形に延びる軸部に自転可能に嵌合した4つのデフピニオン48を有するスパイダ50と、上記デフピニオン48に噛み合う2つのサイドギヤ52とが設けられ、サイドギヤ52には図示しない左右のアクスルシャフトが、スプライン結合している。
【0031】
上記入力軸14は、図2に示すように、ユニバーサルジョイントフランジ18を介してプロペラシャフト16に接続され、プロペラシャフト16の回転力が伝達されて回転駆動する。このようにして先端に上記ピニオン46を有する上記入力軸14が回転駆動すると、上記ピニオン46と噛み合う上記リングギヤ44が固定して取付けられた上記デフケース42、及びデフケース42内に配置された上記サイドギヤ52が、図示しない上記アクスルシャフトの軸線を中心に一体的に回転して、車両の直進時には上記デフピニオン48が自転することなく図示しない上記アクスルシャフトの軸線を中心に回転することにより上記サイドギヤ52が回転して、サイドギヤ52にスプライン結合された図示しない左右の上記アクスルシャフトが等速で回転する。一方、車両が進行方向を変え左右の車輪に回転数差が生じた時には、上記デフピニオン48が自転することにより、この回転数差を調整して、タイヤが滑るのを防止している。
【0032】
このようなデファレンシャル装置において、上記入力軸14を上記キャリアケース20に回転自在に支持するデフ入力軸支持部12は、図2に示すように、上記キャリアケース20に固定して取付けられたベアリングケージ22と、ベアリングケージ22に支持される円錐ころ軸受(転がり軸受)24とを備え、上記ベアリングケージ22の内面22aに上記円錐ころ軸受24の外輪26を圧入すると共に、上記円錐ころ軸受24の内輪28の内周面28aに上記入力軸14を圧入することにより組み付けられ、上記外輪26と上記内輪28と上記外輪26の軌道面と上記内輪28の軌道面との間を転動可能な円錐ころを備える上記円錐ころ軸受24を介して入力軸14を回転自在に支持している。
【0033】
上記デフ入力軸支持部12の上記キャリアケース20内には、上記入力軸14の回転を円滑にするために、潤滑油が充填される。この潤滑油が外部空間に漏れることを防ぐため、上記入力軸14にスプライン嵌合されたユニバーサルジョイントフランジ18に圧接する主リップ121を有する弾性部材120を備えた密封装置10が設けられている。上記密封装置10が固定されるハウジング部材としての上記ベアリングケージ22(一方部材)の内面は内周円筒面となっている。軸部材としての上記ユニバーサルジョイントフランジ18(他方部材)の外周面は外周円筒面となっている。
【0034】
図3、図4、図6および図7は、上記密封装置10の構造を、詳細に説明する断面図である。詳しくは、図3は、組み付け前での、芯金部材125、弾性部材120の位置関係を示す軸方向の断面図である。図3では、弾性部材120の位置として上記ユニバーサルジョイントフランジ18から力を受けていない場合における、弾性部材の組み付け前での位置を示している。図4は、図3の要部拡大図である。図5は、図4におけるこの密封装置を軸中心線側から見た要部拡大図である。一方、図6は、密封装置10をベアリングケージ22の内面に固定するとともに上記ユニバーサルジョイントフランジ18に嵌め込み、かつ、弾性部材120が摩耗していない非摩耗状態での弾性部材120の位置を示す断面図である。図7は、図6の要部拡大図である。図3、図4、図6および図7の第一リブ141と第二リブ142とは、これら第一リブ141の稜線と第二リブ142の稜線との軸方向成分が軸方向に伸びる様子を、軸方向中心を含む平面に沿って記載している。図5に示すとおり、上記第一リブ141は上記液体側傾斜面134に沿って形成され、先端縁133から上記軸方向一方側かつ周方向一方側に傾斜して延在している。上記第二リブ142は上記空気側傾斜面135に沿って形成され、上記先端縁133から上記軸方向他方側かつ周方向一方側に傾斜している。
【0035】
図3に示すとおり、密封装置10は環状の芯金部材125と、環状の弾性部材120と、ガータースプリング130とを備える。芯金部材125は、環状に形成され、断面L字状の形状を有している。芯金部材は、筒状の軸方向延在部126と、径方向延在部127とからなる。上記径方向延在部126は、軸方向延在部126の内周面における軸方向の他方側(図3の紙面における左側)から径方向の内方に延在している。
【0036】
上記弾性部材120は、環状に形成され、軸方向延在部126の軸方向の一方側の外周と、上記外周につながる上記軸方向延在部126の軸方向一方側の端部と、上記端部につながる軸方向延在部126の内周と、上記内周につながる径方向延在部127の軸方向の一方側とからなる芯金部材125の軸方向の一方側の全面を覆うように芯金部材125に固着されている。上記弾性部材120は基部123と、主リップ121と、副リップ122と、外周部124とを有する。上記弾性部材120は、粘弾性材料から形成され、具体的にはゴム材からなる。ゴム材は、好ましくは、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムが好適に用いられる。
【0037】
上記基部123は軸方向延在部126の内周面および径方向延在部127の軸方向の一方側の端面に沿うように配置されている。上記基部123は、軸方向延在部126の内周面および径方向延在部127の軸方向の一方側の端面に固着されている。
【0038】
上記副リップ122は上記基部123の径方向の内方から径方向の内方かつ軸方向の他方側に延在している。
【0039】
上記主リップ121は上記基部123の径方向の内方から径方向の内方かつ軸方向の一方側に延在している。上記主リップ121は第1部分131と第2部分132とを有する。上記第1部分131は上記基部123の径方向内方から径方向の内方かつ軸方向の一方側に延在している。上記第2部分132は、上記第1部分131の軸方向の一方側の先端につながるとともに軸方向の上記第1部分131の軸方向の一方側の先端より径方向の内方側に延在する。
【0040】
上記第2部分132の径方向の内方には、上記主リップ121のうち最も径方向内方となる先端縁133がある。上記先端縁133の軸方向の一方側には上記先端縁133から軸方向の一方側に離れるに従い径方向の外方側に延在する液体側傾斜面134が隣接する。上記液体側傾斜面134は軸中心線に対して鋭角αで傾く略円錐面に形成されている。上記先端縁133の軸方向の他方側には上記先端縁133から軸方向の他方側に離れるに従い径方向の外方側に延在する空気側傾斜面135が隣接する。上記空気側傾斜面135は軸中心線に対して鋭角βで傾く略円錐面に形成されている。鋭角αは鋭角βよりも大きく形成している。
【0041】
上記第2部分132の径方向の外側には環状の溝が形成され、この環状の溝に環状のガータースプリング130が嵌め込まれている。上記ガータースプリング130は螺旋状のスプリングを有し、スプリングが少し伸びた状態で上記環状の溝に嵌められている。上記環状のガータースプリング130は上記主リップを径方向の内方に付勢する。
【0042】
図4に示すように、上記液体側傾斜面134には、上記液体側傾斜面134に沿って上記先端縁133から上記軸方向一方側かつ周方向一方側に傾斜して延在する第一リブ141が形成されている。上記第一リブ141の稜線は上記先端縁133から上記第一リブ141の延在方向に沿った範囲において、上記先端縁133近傍部分を除いて、上記液体側傾斜面134からの突出高さが一定に形成された平行リブであり、上記第一リブ141の平行リブの延在方向に垂直な断面の形状は、上記第一リブ141の平行リブの稜線を頂点とする略三角形である。
【0043】
上記空気側傾斜面135には、上記空気側傾斜面135に沿って上記先端縁133から上記軸方向他方側かつ周方向一方側に傾斜して延在する第二リブ142が形成されている。上記第二リブ142の稜線は上記先端縁133から上記第二リブ141の延在方向に沿った所定の範囲において、上記先端縁133近傍部分を除いて、上記空気側傾斜面135からの突出高さが一定である低隆起部143と、この低隆起部143から上記第二リブ142の延在方向に沿って上記空気側傾斜面135からの突出高さが大きくなる傾斜隆起部144と、この傾斜隆起部144から上記第二リブ142の延在方向に沿って上記空気側傾斜面135からの突出高さが一定かつ上記低隆起部143の突出高さよりも大きい高隆起部145とを備える。上記低隆起部143の稜線の上記空気側傾斜面135からの垂線方向の高さは、上記第一リブ141の平行リブの稜線の上記液体側傾斜面134からの垂線方向の高さと同じになっている。
【0044】
図5に示すとおり、上記第一リブ141は上記液体側傾斜面134に沿って形成され、上記先端縁133から上記軸方向一方側かつ周方向一方側に傾斜して延在している。上記第二リブ142は上記空気側傾斜面135に沿って形成され、上記先端縁133から上記軸方向他方側かつ周方向一方側に傾斜している。上記第一リブ141の軸中心線に対する周方向への鋭角の傾きと上記第二リブ142の軸中心線に対する周方向への鋭角の傾きとは同一に設定している。これらの鋭角の傾きは5°から85°に設定されている。なお、上記範囲内でも、好ましくは15°から75°、更に好ましくは25から65°の範囲とすることが好ましい。
【0045】
上記第一リブ141の上記先端縁133の近傍部分と上記第二リブ142の上記先端縁133の近傍部分とは、上記先端縁133の近傍で同一の周面の一部を有する。上記第一リブ141の上記先端縁133の近傍部分の周面は、上記第一リブ141の先端縁133から所定の軸方向範囲で仮想円筒面の一部または仮想円錐面の一部であり、上記第二リブ142の上記先端縁133の近傍部分の周面は、上記第一リブ141の仮想円筒面または仮想円錐面と同じ面の一部である。上記第一リブ141と上記第二リブ142とは同じ数だけ形成されている。上記第一リブ141と上記第二リブ142とは上記先端縁133で重ならないよう周方向に互い違いに形成されている。
【0046】
図6に示すように、上記主リップ121、および、上記副リップ122は組み付け状態において、上記ベアリングケージ22(一方部材)と上記ユニバーサルジョイントフランジ18(他方部材)との相対回転により、上記ユニバーサルジョイントフランジ18の外周面に摺動するようになっている。上記軸方向延在部126の外周面と上記外周部124の外周面とが、上記外周部124の変形を伴って、上記ベアリングケージ22の内周面に当接して固定されている。上記主リップ121、および、上記副リップ122は組み付け状態において、上記ユニバーサルジョイントフランジ18の外周面から力を受けていて、図3における、上記ユニバーサルジョイントフランジ18から力を受けていないと仮定した場合よりも、径方向の外方に移動している。組み付け状態において、上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面の軸線方向に対する上記液体側傾斜面134の鋭角の傾斜角度が上記空気側傾斜面135の鋭角の傾斜角度より大きい。このような構成をとるには、上記液体側傾斜面134の、密封装置の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度が上記空気側傾斜面135の、密封装置の軸中心線に対する傾斜角度より大きくしておけば容易である。
【0047】
図6および図7に示すように、主リップ121、および、副リップ122は組み付け状態において、上記先端縁133の全周と、上記第一リブ141の上記先端縁133側と、上記第二リブ143の上記先端縁133側と、上記副リップ122の先端縁とがこれらの部分の弾性部材が変形して上記ユニバーサルジョイントフランジ18に当接(密着)している。上記第一リブ141は、上記先端縁133から上記第一リブ141の上記周面の一部よりも軸方向一方側かつ上記第一リブ141の延在方向範囲内まで上記ユニバーサルジョイントフランジ18に上記第一リブが変形して当接している。上記第二リブ142は、上記先端縁133から上記第二リブ142の上記周面の一部よりも軸方向他方側かつ上記低隆起部143の延在方向範囲内まで上記第二リブが変形して当接している。上記第二リブ142は、上記先端縁133とともに摩耗していくと、上記傾斜隆起部144、上記高隆起部145の順に上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に接触することになる。そして、上記傾斜隆起部144は上記低隆起部143よりポンプ作用の効果が大きいため上記先端縁133と上記低隆起部143とが摩耗しても十分な密封性を維持し、上記高隆起部145は上記傾斜隆起部144よりさらにポンプ作用の効果が大きいため上記先端縁133と上記傾斜隆起部144とが摩耗しても十分な密封性を維持できる。
【0048】
図5に示すように、上記先端縁133は軸方向範囲W1の範囲で上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に接触する。上記先端縁133の接触幅は上記第一リブ141の近傍で部分的にW1よりも短くなる。上記先端縁133の接触幅は上記第二リブ142の近傍で部分的にW1よりも短くなる。上記第一リブ141は上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に上記先端縁133から上記軸方向範囲W1の軸方向一方側端縁までの範囲と、上記軸方向範囲W1の軸方向一方側端縁から軸方向範囲W2の範囲とで接触する。また、上記第一リブ141は上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に上記軸方向範囲W1の軸方向一方側端縁から上記第一リブの延在方向範囲D1の範囲で接触する。上記第二リブ142は上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に上記先端縁133から上記軸方向範囲W1の軸方向他方側端縁までの範囲と、上記軸方向範囲W1の軸方向他方側端縁から軸方向範囲W3の範囲とで接触する。また、上記第二リブ142は上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に上記軸方向範囲W1の軸方向他方側端縁から上記第二リブの延在方向範囲D2の範囲で接触する。ここで、上記液体側傾斜面134は軸中心線に対して鋭角αで傾く略円錐面に形成し、上記空気側傾斜面135は軸中心線に対して鋭角βで傾く略円錐面に形成し、鋭角αは鋭角βよりも大きく形成している。上記主リップ121は組み付け状態においても、上記液体側傾斜面134の軸中心線に対する鋭角α1が実質的に鋭角αとほぼ同じ値であり、上記空気側傾斜面135の軸中心線に対する鋭角β1も実質的に鋭角βとほぼ同じ値となる。より詳細には、組み付け後の上記液体側傾斜面134の軸中心線に対する鋭角α1と、組み付け後の上記空気側傾斜面135の軸中心線に対する鋭角β1との差において、鋭角α1は鋭角β1よりも大きく形成している。このときW2<W3、および、D1<D2の関係が成り立つ。先端縁133の摩耗により、上記第二リブの接触部分が低隆起部143から傾斜隆起部144、高隆起部145まで広がっても、この関係は成り立つよう形成している。
【0049】
上記W2<W3の関係の関係から第一リブ141のポンプ作用の能力は、第二リブ142のポンプ作用の能力よりも小さいものとなっている。
【0050】
また、上記D1<D2の関係から第一リブ141のポンプ作用の能力は、第二リブ142のポンプ作用の能力よりも小さいものとなっている。
【0051】
そして、上記密封装置10を有するデファレンシャル装置を使用する自動車の前進時に、上記ユニバーサルジョイントフランジ18は、上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面が上記先端縁133と上記第一リブ141と上記第二リブ142とに対して周方向他方側に摺動するように、回転するようになっている。
【0052】
液体側傾斜面134側の液体側空間151にある液体(潤滑剤)は第一リブ141のポンプ作用により上記先端縁133、上記第一リブ141および上記第二リブ142の上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面との接触部に供給される。このため、この接触部に十分な厚さを有する潤滑膜を形成することができる。このため、密封装置10のトルクを低くすることができる。
【0053】
また、空気側傾斜面135側に漏れ出た液体を上記第二リブ142のポンプ作用により液体側空間151側に押し戻すことができる。
【0054】
上記実施形態の密封装置によれば、上記ベアリングケージ22と上記ユニバーサルジョイントフランジ18との相対回転時には、上記液体側傾斜面134に、上記先端縁133から上記液体側傾斜面134に沿って上記軸方向一方側に延在するとともに周方向一方側に傾斜している複数の第一リブ141を備えているため、上記第一リブ141のポンプ作用により上記液体側空間151から液体を上記他方部材の周面と摺動する上記先端縁133に積極的に供給することができ、この液体の潤滑作用によって摩擦抵抗を減少させ、トルクを急激に低減することができるとともに、上記先端縁133の摩耗を抑制できる。したがって、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減できる。また、密封装置の寿命を長くすることができる。
【0055】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記ベアリングケージ22と上記ユニバーサルジョイントフランジ18とが相対回転停止時には、上記先端縁133と上記ニバーサルジョイントフランジ18の周面の当接により、上記液体側空間151から上記液体が空気側空間152に漏れようとすることを抑制するとともに、上記ベアリングケージ22と上記ユニバーサルジョイントフランジ18との相対回転時には、上記空気側傾斜面135に、上記先端縁133から上記空気側傾斜面135に沿って上記軸方向他方側に延在するとともに周方向一方側に傾斜している複数の第二リブ142を備えているため、上記第一リブによって上記先端縁133に供給された液体が空気側空間152に移動しようとしても液体側空間151に押し戻す作用をなし、密封性を確保できる。
【0056】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記液体側傾斜面134における複数の第一リブ141によるポンプ作用が上記空気側傾斜面135における複数の第二リブ142によるポンプ作用よりも小さいから、上記ベアリングケージ22と上記ユニバーサルジョイントフランジ18との相対回転時に、第一リブ141のポンプ作用によって液体を先端縁133に供給しても、第二リブ142のポンプ作用によって液体が空気側空間152に移動することを強く抑え、良好な密封性を得られる。
【0057】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記第一リブ141の上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する軸方向長さW2が上記第二リブ142の上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する軸方向長さW3よりも短いから、上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する軸方向長さが長いほどポンプ作用が強くなるため、上記第一リブ141のポンプ作用を上記第二リブ142のポンプ作用よりも小さくすることができ、良好な密封性を得られる。
【0058】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記第一リブ141の上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する上記第一リブ141の延在方向長さD1が上記第二リブ142の上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する上記第二リブ142の延在方向長さD2よりも短いから、上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接するリブの延在方向長さが長いほどポンプ作用が強くなるため、上記第一リブ141のポンプ作用を上記第二リブ142のポンプ作用よりも小さくすることが容易にでき、良好な密封性を得られる。
【0059】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記液体側傾斜面134の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度αが上記空気側傾斜面135の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度βより大きい。上記実施形態によれば、上記第一リブ141のユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する軸方向長さを上記第二リブ142のユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する軸方向長さよりも短くすることが容易にできる。
【0060】
また、上記実施形態の密封装置によれは、上記第一リブ141の稜線が先端縁133から上記第一リブ141の延在方向に沿った全ての範囲において上記液体側傾斜面からの突出高さが一定に形成された平行リブである一方、上記第二リブ142の稜線が先端縁133から上記第二リブ142の延在方向に沿った所定の範囲において上記空気側傾斜面からの突出高さが一定である低隆起部143と、この低隆起部から上記第二リブの延在方向に沿って上記空気側傾斜面からの突出高さが大きくなる傾斜隆起部144を備えるため、上記第一リブ141が液体側空間151にあることで、液体が供給されやすく、この液体による潤滑作用が得られるため、上記第一リブ141は摺動によって摩耗しにくい一方、上記第二リブが空気側空間152にあることで、上記第一リブ141よりは液体が供給されにくく、上記第一リブ141よりは摩耗が生じやすい。このため、第二リブ142が摩耗していないときには低隆起部143でポンプ作用の効果が得られるとともに、上記先端縁133と上記第二リブ142の低隆起部143が摩耗し、先端縁133が軸方向に広くなったときに、傾斜隆起部144により強いポンプ作用の効果が得られ、先端縁133の摩耗時にも、液体が漏れやすくなることを抑制できる。
【0061】
なお、上記実施例の密封装置では、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さよりも短いが、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さよりも長くても、等しくても良い。また、上記実施例の密封装置では、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第一リブの延在方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第二リブの延在方向長さよりも短いが、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第一リブの延在方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第二リブの延在方向長さよりも長くても、等しくても良い。また、上記実施例の密封装置では、上記液体側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度が上記空気側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度より大きいが、上記液体側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度が上記空気側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度より小さくても等しくても良い。また、上記実施例の密封装置では、上記第一リブ141と上記第二リブ142とは同じ数だけ形成されているが異なった数だけ形成されていても良い。好ましくは上記いずれかの手段を用いて、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも小さくなるよう設定することが好ましい。ただし、液体が漏洩することを許容し、外部空間からの異物の侵入を防止する目的で本発明の密封装置を使用する場合においては、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも大きくなるよう設定することも可能である。
【0062】
また、上記実施例の密封装置では、上記第一リブの稜線が先端縁から上記第一リブの延在方向に沿った全ての範囲において上記液体側傾斜面からの突出高さが一定に形成された平行リブである一方、上記第二リブの稜線が先端縁から上記第二リブの延在方向に沿った所定の範囲において上記空気側傾斜面からの突出高さが一定である低隆起部と、この低隆起部から上記第二リブの延在方向に沿って上記空気側傾斜面からの突出高さが大きくなる傾斜隆起部を備えていたが、上記第二リブは平行リブであっても、上記先端縁から上記第二リブの延在方向に沿って上記空気側傾斜面からの突出高さが大きくなる傾斜リブであっても、また稜線が延在方向に曲線である形状をいずれかの部分に採用しても良い。また、上記第一リブは低隆起部と傾斜隆起部とを備えたリブであっても、上記先端縁から上記第二リブの延在方向に沿って上記空気側傾斜面からの突出高さが大きくなる傾斜リブであっても、また稜線が延在方向に曲線である形状をいずれかの部分に採用したリブであっても良い。また、上記実施例の密封装置では、第一リブの上記液体側傾斜面からの突出高さと低隆起部の上記空気側傾斜面からの突出高さが同じであったが異なってもよい。また、上記実施例の密封装置では、上記第一リブと上記第二リブとは周方向に互い違いに形成されていたが、それぞれの上記第一リブの周面の一部と上記第二リブの周面の一部とはつながっていても良い。これらの場合でも、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも小さくなるよう設定することが好ましい。ただし、液体が漏洩することを許容し、外部空間からの異物の侵入を防止する目的で本発明の密封装置を使用する場合においては、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも大きくなるよう設定することも可能である。
【0063】
以下、本発明の第二実施形態を図示の形態により詳細に説明する。第二実施形態は、上記第一実施形態と主リップの第二部分、第一リブ、および、第二リブの形状のみが相違し、相違点を除いて上記第一実施形態と同様である。このため、以下には、主リップの第二部分、第一リブ、および、第二リブについて、詳細に説明する。
【0064】
図8、図9は、上記密封装置10の構造を、詳細に説明する断面図である。詳しくは、図8は、組み付け前での、芯金部材125、弾性部材120の位置関係を示す軸方向の断面図である。図8では、弾性部材120の位置として上記ユニバーサルジョイントフランジ18から力を受けていない場合における、弾性部材の組み付け前での位置を示した要部拡大図である。図9は、図8におけるこの密封装置を軸中心線側から見た要部拡大図である。図8の第一リブ241と第二リブ242とは、これら第一リブ241の稜線と第二リブ242の稜線との軸方向成分が軸方向に伸びる様子を、軸方向中心を含む平面に沿って記載している。図9に示すとおり、上記第一リブ241は上記液体側傾斜面234に沿って形成され、上記先端縁233から上記軸方向一方側かつ周方向一方側に傾斜して延在している。上記第二リブ242は上記空気側傾斜面235に沿って形成され、上記先端縁233から上記軸方向他方側かつ周方向一方側に傾斜している。
【0065】
上記第2部分232の径方向の内方には、上記主リップ221のうち最も径方向内方となる先端縁233がある。上記先端縁233の軸方向の一方側には上記先端縁233から軸方向の一方側に離れるに従い径方向の外方側に延在する液体側傾斜面234が隣接する。上記液体側傾斜面234は軸中心線に対して鋭角γで傾く略円錐面に形成されている。上記先端縁233の軸方向の他方側には上記先端縁233から軸方向の他方側に離れるに従い径方向の外方側に延在する空気側傾斜面235が隣接する。上記空気側傾斜面235は軸中心線に対して鋭角δで傾く略円錐面に形成している。鋭角γは鋭角δと等しい。
【0066】
上記第2部分232の径方向の外側には環状の溝が形成され、この環状の溝に環状のガータースプリング230が嵌め込まれている。上記ガータースプリング230は螺旋状のスプリングを有し、スプリングが少し伸びた状態で上記環状の溝に嵌められている。上記環状のガータースプリング230は上記主リップを径方向の内方に付勢する。
【0067】
図8に示すように、上記液体側傾斜面234には、上記液体側傾斜面234に沿って上記先端縁233から上記軸方向一方側かつ周方向一方側に、傾斜して延在する第一リブ241が形成されている。上記第一リブ241の稜線は上記先端縁233から上記第一リブ241の延在方向に沿った範囲において、上記先端縁233近傍部分を除いて、上記液体側傾斜面234からの突出高さが一定に形成された平行リブであり、上記第一リブ241の平行リブの延在方向に垂直な断面の形状は、上記第一リブ241の平行リブの稜線を頂点とする略三角形である。
【0068】
上記空気側傾斜面235には、上記空気側傾斜面235に沿って上記先端縁233から上記軸方向他方側かつ周方向一方側に、傾斜して延在する第二リブ242が形成されている。上記第二リブ242の稜線は上記先端縁233から上記第二リブ242の延在方向に沿った範囲において、上記先端縁233近傍部分を除いて、上記空気側傾斜面235からの突出高さが一定に形成された平行リブであり、上記第二リブ242の平行リブの延在方向に垂直な断面の形状は、上記第二リブ242の平行リブの稜線を頂点とする略三角形である。上記第一リブ241の平行リブの稜線の上記液体側傾斜面234からの垂線方向の高さは、上記第二リブ242の平行リブの稜線の上記空気側傾斜面235からの垂線方向の高さと同じになっている。上記第一リブ241の平行リブの延在方向に垂直な断面の形状は、上記第二リブ242の平行リブの延在方向に垂直な断面の形状と同一に形成されている。
【0069】
図9に示すとおり、上記第一リブ241は上記液体側傾斜面234に沿って形成され、上記先端縁233から上記軸方向一方側かつ周方向一方側に傾斜して延在している。上記第二リブ242は上記空気側傾斜面235に沿って形成され、上記先端縁233から上記軸方向他方側かつ周方向一方側に傾斜している。上記第一リブ241の軸中心線に対する周方向への鋭角の傾きは上記第二リブ242の軸中心線に対する周方向への鋭角の傾きより小さく設定している。これらの鋭角の傾きは5°から85°に設定されている。なお、上記範囲内でも、好ましくは15°から75°、更に好ましくは25から65°の範囲とすることが好ましい。
【0070】
上記第二リブ242の数は上記第一リブ241の数の2倍ある。上記第一リブ241の上記先端縁133の近傍部分と上記第二リブ242の上記先端縁133の近傍部分とは、上記先端縁233の近傍で同一の周面の一部を有する。上記第一リブ241の周面の一部は、上記第一リブ241の先端縁から所定の軸方向範囲で仮想円筒面の一部または仮想円錐面の一部であり、上記第二リブ242の周面の一部は、上記第一リブ241の仮想円筒面または仮想円錐面と同じ面の一部である。上記第二リブ242は上記第一リブ241の2倍の数だけ形成されており、それぞれの上記第一リブ241の上記先端縁133の近傍部分の周面の一部と一つ飛ばし毎の上記第二リブ242の上記先端縁133の近傍部分の周面の一部とはつながっている。
【0071】
図9に示すように、上記先端縁133は軸方向範囲W11の範囲で上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に接触する。上記先端縁233の接触幅は上記第一リブ241の近傍で部分的にW11よりも短くなる。上記先端縁233の接触幅は上記第二リブ242の近傍で部分的にW11よりも短くなる。上記第一リブ241は上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に上記先端縁233から上記軸方向範囲W11の軸方向一方側端縁までの範囲と、軸方向一方側端縁から軸方向範囲W12の範囲で接触する。また、上記第一リブ241は上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に上記軸方向範囲W11の軸方向一方側端縁から上記第一リブの延在方向範囲D11の範囲で接触する。上記第二リブ242は上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に上記先端縁233から上記軸方向範囲W11の軸方向他方側端縁までの範囲と、上記軸方向範囲W11の軸方向他方側端縁から軸方向範囲W13の範囲で接触する。また、上記第二リブ242は上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面に上記軸方向範囲W11の軸方向一方側端縁から上記第二リブの延在方向範囲D12の範囲で接触する。上記液体側傾斜面234は軸中心線に対して鋭角γで傾く略円錐面に形成され、上記空気側傾斜面235は軸中心線に対して鋭角δで傾く略円錐面に形成され、鋭角γは鋭角δと等しい。上記主リップ221は組み付け状態においても、上記液体側傾斜面234の軸中心線に対する鋭角γ1が実質的に鋭角γとほぼ同じ値であり、上記空気側傾斜面235の軸中心線に対する鋭角δ1も実質的に鋭角δとほぼ同じ値となる。より詳細には、組み付け後の上記液体側傾斜面234の軸中心線に対する鋭角γ1が実質的に、組み付け後の上記空気側傾斜面235の軸中心線に対する鋭角δ1とほぼ同等で、鋭角γ1は鋭角δ1より大きい。このため、上記軸方向範囲W12と上記軸方向範囲W13とは略等しい。より詳細には上記軸方向範囲W12が上記軸方向範囲W13よりも小さい。
【0072】
上記第一リブ241の軸中心線に対する周方向への鋭角の傾きは上記第二リブ242の軸中心線に対する周方向への鋭角の傾きより小さく設定している。より詳しくは、上記液体側傾斜面234における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第一リブ241の延在方向とがなす鋭角の角度が、上記空気側傾斜面235における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第二リブ242の延在方向とがなす鋭角の角度よりも小さい。このため、上記第二リブの延在方向範囲D12は上記第一リブの延在方向範囲D11よりも長い。
【0073】
上記D11<D12の関係から第一リブ241のポンプ作用の能力は、第二リブ242のポンプ作用の能力よりも小さいものとなっている。
【0074】
さらに、上記第一リブ241の数が上記第二リブ242の数より少ないため上記第一リブ241全部のポンプ作用を上記第二リブ242全部のポンプ作用よりも小さくすることが容易にできる。
【0075】
そして、上記密封装置10を有するデファレンシャル装置を使用する自動車の前進時に、上記ユニバーサルジョイントフランジ18は、上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面が上記先端縁233と上記第一リブ241と上記第二リブ242とに対して周方向他方側に摺動するように、回転するようになっている。
【0076】
液体側傾斜面234側の液体側空間251にある液体(潤滑剤)は第一リブ241のポンプ作用により上記先端縁233、上記第一リブ241および上記第二リブ242の上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面との接触部に供給される。このため、この接触部に十分な厚さを有する潤滑膜を形成することができる。このため、密封装置10のトルクを低くすることができる。
【0077】
また、空気側傾斜面235側に漏れ出た液体を上記第二リブ242のポンプ作用により液体側空間251側に押し戻すことができる。
【0078】
上記実施形態の密封装置によれば、上記ベアリングケージ22と上記ユニバーサルジョイントフランジ18との相対回転時には、上記液体側傾斜面234に、上記先端縁233から上記液体側傾斜面234に沿って上記軸方向一方側に延在するとともに周方向一方側に傾斜している複数の第一リブ241を備えているため、上記第一リブ241のポンプ作用により上記液体側空間251から液体を上記他方部材の周面と摺動する上記先端縁233に積極的に供給することができ、この液体の潤滑作用によって摩擦抵抗を減少させ、トルクを急激に低減することができるとともに、上記先端縁233の摩耗を抑制できる。したがって、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減できる。また、密封装置の寿命を長くすることができる。
【0079】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記ベアリングケージ22と上記ユニバーサルジョイントフランジ18とが相対回転停止時には、上記先端縁233と上記ニバーサルジョイントフランジ18の周面の当接により、上記液体側空間251から上記液体が空気側空間252に漏れようとすることを抑制するとともに、上記ベアリングケージ22と上記ユニバーサルジョイントフランジ18との相対回転時には、上記空気側傾斜面235に、上記先端縁233から上記空気側傾斜面235に沿って上記軸方向他方側に延在するとともに周方向一方側に傾斜している複数の第二リブ242を備えているため、上記第一リブによって上記先端縁133に供給された液体が空気側空間252に移動しようとしても液体側空間251に押し戻す作用をなし、密封性を確保できる。
【0080】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記液体側傾斜面234における複数の第一リブ241によるポンプ作用が上記空気側傾斜面235における複数の第二リブ242によるポンプ作用よりも小さいから、上記ベアリングケージ22と上記ユニバーサルジョイントフランジ18との相対回転時に、第一リブ241のポンプ作用によって液体を先端縁233に供給しても、第二リブ242のポンプ作用によって液体が空気側空間252に移動することを強く抑え、良好な密封性を得られる。
【0081】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記液体側傾斜面234における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第一リブ241の延在方向とがなす鋭角の角度が、上記空気側傾斜面235における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第二リブ242の延在方向とがなす鋭角の角度よりも小さいため、上記第一リブ241の上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する延在方向長さD11を上記第二リブ242の上記ユニバーサルジョイントフランジ18の周面へ当接する延在方向長さD12よりも短くすることが容易にできる。第一リブ241に沿った液体が先端縁233へ移動する速さを第二リブ242に沿った液体が先端縁233へ移動する速さよりも遅くすることが容易にでき、良好な密封性を得られる。
【0082】
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記第一リブ241の数が上記第二リブ242の数より少ないため上記第一リブ241全部のポンプ作用を上記第二リブ242全部のポンプ作用よりも小さくすることが容易にでき、良好な密封性を得られる。
【0083】
なお、上記実施例の密封装置では、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第一リブの延在方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第二リブの延在方向長さよりも短いが、上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第一リブの延在方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第二リブの延在方向長さよりも長くても、等しくても良い。また、上記実施例の密封装置では、上記液体側傾斜面における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第一リブの延在方向とがなす鋭角の角度が、上記空気側傾斜面における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第二リブの延在方向とがなす鋭角の角度よりも小さいが、同じであっても大きくても良い。また、上記実施例の密封装置では、上記液体側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度が上記空気側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度と等しいが、上記液体側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度が上記空気側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度より大きくても小さくても良い。また、上記実施例の密封装置では、上記第一リブの数が上記第二リブの数より少ないが、同じでも多くても良い。好ましくは上記いずれかの手段を用いて、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも小さくなるよう設定することが好ましい。ただし、液体が漏洩することを許容し、外部空間からの異物の侵入を防止する目的で本発明の密封装置を使用する場合においては、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも大きくなるよう設定することも可能である。
【0084】
また、上記実施例の密封装置では、上記第一リブの稜線が先端縁から上記第一リブの延在方向に沿った全ての範囲において上記液体側傾斜面からの突出高さが一定に形成された平行リブである一方、上記第二リブの稜線が先端縁から上記第二リブの延在方向に沿った全ての範囲において上記空気側傾斜面からの突出高さが一定に形成された平行リブであるが、上記第二リブは低隆起部と傾斜隆起部とを備えたリブであっても、上記先端縁から上記第二リブの延在方向に沿って上記空気側傾斜面からの突出高さが大きくなる傾斜リブであっても、また稜線が延在方向に曲線である形状をいずれかの部分に採用しても良い。また、上記第一リブは低隆起部と傾斜隆起部とを備えたリブであっても、上記先端縁から上記第一リブの延在方向に沿って上記空気側傾斜面からの突出高さが大きくなる傾斜リブであっても、また稜線が延在方向に曲線である形状をいずれかの部分に採用したリブであっても良い。また、上記実施例の密封装置では、第一リブの上記液体側傾斜面からの突出高さと第二リブの上記空気側傾斜面からの突出高さが同じであったが異なってもよい。また、上記第一リブ241の周面の一部と1つずつ隔てた上記第二リブ242の周面の一部とはつながっていたが、全ての上記第一リブ241の周面と全ての上記第二リブ242の周面とはつながっていなくても良い。これらの場合でも、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも小さくなるよう設定することが好ましい。ただし、液体が漏洩することを許容し、外部空間からの異物の侵入を防止する目的で本発明の密封装置を使用する場合においては、上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも大きくなるよう設定することも可能である。
【0085】
また、上記第一実施形態および上記第二実施形態では、本発明の密封装置をデファレンシャル装置(差動装置)の入力軸部材の密封装置として使用したが、デファレンシャル装置(差動装置)の出力軸部材、トランスミッション装置の入力軸部材、トランスミッション装置の出力軸部材、ウォーターポンプ、潤滑油で潤滑される車輪用軸受装置の外輪部材と内輪部材または/および内輪部材との間の密封装置としてもよく、そのほかの用途に用いても良いことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第一実施形態の密封装置を有するデファレンシャル装置(差動装置)の分解斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態の密封装置を有するデファレンシャル装置の入力軸の軸方向と出力軸の軸方向とを含む平面によって切断した断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態の密封装置全体の拡大断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態の密封装置の要部断面図である。
【図5】本発明の第一実施形態の密封装置の軸中心線側から見た様子を示す要部拡大図である。
【図6】本発明の第一実施形態の密封装置を軸部材に装着した様子を示す密封装置全体の拡大断面図である。
【図7】本発明の第一実施形態の密封装置を軸部材に装着した様子を示す要部断面図である。
【図8】本発明の第二実施形態の密封装置の要部断面図である。
【図9】本発明の第二実施形態の密封装置の軸中心線側から見た様子を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0087】
18 ユニバーサルジョイントフランジ(他方部材、ハウジング部材)
22 ベアリングケージ(一方部材、軸部材)
10 密封装置
121,221 主リップ
122 副リップ
131 第一部分
132,232 第二部分
134,234 液体側傾斜面
135,235 空気側傾斜面
141,241 第一リブ
142,242 第二リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成され、
第一部材と、上記第一部材に対して相対回転する第二部材との、何れか一方部材に固定されるとともに、
上記第一部材と上記第二部材との何れか他方部材の周面に当接し、上記第一部材と上記第二部材との相対回転により上記他方部材の周面と摺動するリップを有し、
上記第一部材と上記第二部材との形成する空間を、液体の密封される軸方向一方側の液体側空間と軸方向他方側の空気側空間とに画定する密封装置において、
上記リップは、
粘弾性材料から形成され、
上記他方の部材の周面に当接する先端縁と、
上記先端縁の上記軸方向一方側に隣接して形成され上記先端縁から軸方向一方側に離れるにつれて上記他方の部材の周面から径方向に離れる液体側傾斜面と、
上記先端縁の上記軸方向他方側に隣接して形成され上記先端縁から軸方向他方側に離れるにつれて上記他方の部材の周面から径方向に離れる空気側傾斜面と、
上記液体側傾斜面に沿って形成され、上記先端縁から上記軸方向一方側かつ周方向一方側に傾斜して延在するとともに上記先端縁側で上記他方の部材の周面に当接する複数の第一リブと、
上記空気側傾斜面に沿って形成され、上記先端縁から上記軸方向他方側かつ上記周方向一方側に傾斜して延在するとともに上記先端縁側で上記他方の部材の周面に当接する複数の第二リブと、
を備えることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
請求項1に記載の密封装置において、
上記液体側傾斜面における複数の第一リブによるポンプ作用が上記空気側傾斜面における複数の第二リブによるポンプ作用よりも小さくなるよう設定されていることを特徴とする密封装置。
【請求項3】
請求項2に記載の密封装置において、
上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する軸方向長さよりも短いことを特徴とする密封装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の密封装置において、
上記第一リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第一リブの延在方向長さが上記第二リブの上記他方部材の周面へ当接する上記第二リブの延在方向長さよりも短いことを特徴とする密封装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の密封装置において、
上記液体側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度が上記空気側傾斜面の軸中心線に対する鋭角の傾斜角度より大きいことを特徴とする密封装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の密封装置において、
上記液体側傾斜面における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第一リブの延在方向とがなす鋭角の角度が、上記空気側傾斜面における軸中心線を含む仮想平面との交線と上記第二リブの延在方向とがなす鋭角の角度よりも小さいことを特徴とする密封装置。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれかに記載の密封装置において、
上記第一リブの数が上記第二リブの数より少ないことを特徴とする密封装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の密封装置において、
上記第一リブの稜線が上記先端縁から上記第一リブの延在方向に沿った全ての範囲において上記液体側傾斜面からの突出高さが一定に形成された平行リブである一方、
上記第二リブの稜線が上記先端縁から上記第二リブの延在方向に沿った所定の範囲において上記空気側傾斜面からの突出高さが一定である低隆起部と、この低隆起部から上記第二リブの延在方向に沿って上記空気側傾斜面からの突出高さが大きくなる傾斜隆起部を備えることを特徴とする密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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