説明

密封装置

【課題】外部からの泥水等に曝されやすい部分の軸周を密封する密封装置1において、ダストカバー3に摺動可能に密接されるサイドシール部25の径方向追随性を向上させ、これによって、機外Bからの泥水等に対する密封性を向上させる。
【解決手段】ハウジング200の内周面に取り付けられるオイルシール2と、回転体300にオイルシール2の軸方向外側に位置して取り付けられるダストカバー3とを備え、オイルシール2は、ダストカバー3に摺動可能に密接されるサイドシール部25を備え、ダストカバー3は小径筒部31と大径筒部32が同心的に形成されたものであり、サイドシール部25は、径方向への可撓性を有する弾性筒部251と、この弾性筒部251の先端から分岐した内周リップ252及び外周リップ253を備え、内周リップ252がダストカバー3の小径筒部31の外周面に摺動可能に密接され、外周リップ253がダストカバー3の大径筒部32の内周面に摺動可能に密接されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や一般機械、産業機械等における回転体の外周を、シールリップによって密封する密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のデファレンシャル装置やトランスファー装置などのシール手段として用いられる密封装置は、従来、例えば図6に示すようなものが知られている。
【0003】
すなわち図6において、参照符号200は機器のハウジング、参照符号300はハウジング200に挿通され軸心Oの周りに回転される回転軸である。密封装置100は、機内Aの潤滑油等が機外Bへ漏洩するのを防止すると共に機外Bから飛来する泥水等が機内A側へ浸入するのを防止するものであって、ハウジング200の内周に取り付けられた非回転のオイルシール110と、このオイルシール110の軸方向外側に位置して回転軸300の外周面に取り付けられ、回転軸300と一体に回転されるダストカバー120とを備える。
【0004】
詳しくは、オイルシール110は、機内Aを向いて延びる対油シールリップ111と、この対油シールリップ111の外側に設けられて、機外Bを向いて延びるダストリップ112,113と、さらにこのダストリップ112,113の外側に設けられたサイドシール部114とを有する。対油シールリップ111は回転軸300の外周面に摺動可能に密接されることによって、機内Aの油脂類に対する密封機能を奏するものであり、先端外周にガータスプリング111aが装着されることによって回転軸300の外周面に対する緊迫力及び径方向追随性が補償されている。サイドシール部114は、ダストカバー120における外筒部121の内周面に摺動可能に密接されることによって、機外Bの泥水等に対する密封機能を奏するものであり、ダストリップ112,113は、機外Bからサイドシール部114の内側へ通過した泥水等に対する密封機能を奏するものである(例えば下記の特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−225064号公報
【特許文献1】実開平5−54871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら図6のように構成された従来の密封装置100によれば、サイドシール部114は、形状的に、対油シールリップ111のようにガータスプリング111aを装着することができないため、ハウジング200と回転軸300の相対的な偏心量が大きい場合、サイドシール部114が偏心に追随できず、円周方向一部でダストカバー120における外筒部121の内周面との間に隙間を生じて機外Bの泥水等に対する密封性が損なわれるおそれがあった。
【0007】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、外部からの泥水等に曝されやすい部分の軸周を密封する密封装置において、ダストカバーに摺動可能に密接されるサイドシール部の径方向追随性を向上させ、これによって、機外からの泥水等に対する密封性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る密封装置は、ハウジングの内周面に取り付けられるオイルシールと、前記ハウジングに挿通された回転体に前記オイルシールの軸方向外側に位置して取り付けられるダストカバーとを備え、前記オイルシールは、前記ダストカバーに摺動可能に密接されるサイドシール部を備え、前記ダストカバーは小径筒部と大径筒部が同心的に形成されたものであり、前記サイドシール部は、径方向への可撓性を有する弾性筒部と、この弾性筒部の先端から分岐した内周リップ及び外周リップを備え、前記内周リップが前記ダストカバーの小径筒部の外周面に摺動可能に密接され、前記外周リップが前記ダストカバーの大径筒部の内周面に摺動可能に密接されたものである。
【0009】
上記構成によれば、ハウジングと回転体に相対的な偏心がある場合、偏心によってハウジングと回転体が接近する側では、ダストカバーの大径筒部の内周面に対するサイドシール部の外周リップの締め代は減少するが、その内径側では逆にダストカバーの小径筒部の外周面に対するサイドシール部の内周リップの締め代が増大し、偏心によってハウジングと回転体が離間する側では、ダストカバーの小径筒部の外周面に対するサイドシール部の内周リップの締め代は減少するが、その内径側では逆にサイドシール部の外周リップの締め代が増大する。このため、外周リップと内周リップの締め代の差によってサイドシール部の弾性筒部が径方向へ変形し、これによって、偏心によってハウジングと回転体が接近する側での外周リップの締め代の減少及びハウジングと回転体が離間する側での内周リップの締め代の減少が補償される。
【0010】
また、請求項2の発明に係る密封装置は、請求項1に記載の構成において、サイドシール部の内周リップは、ダストカバーの小径筒部の外周面に摺動可能に密接された先端が、前記サイドシール部の外周リップ及び内周リップとダストカバーの間に画成された最も外側の密閉空間側を向き、サイドシール部の外周リップは、ダストカバーの大径筒部の内周面に摺動可能に密接された先端が、前記密閉空間と反対側を向いているものである。
【0011】
上記構成によれば、請求項1の構成による効果のほか、サイドシール部の外周リップ及び内周リップの先端が、双方とも機外からの泥水等の浸入方向と反対側を向いているので、クサビ効果によって泥水等の浸入を有効に防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る密封装置によれば、ハウジングと回転体に相対的な偏心があっても、サイドシール部の弾性筒部が径方向へ変形することによって、ハウジングと回転体が接近する側での外周リップの締め代の減少及びハウジングと回転体が離間する側での内周リップの締め代の減少が補償されるので、機外からの泥水等の浸入防止効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る密封装置の好ましい第一の実施の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の断面図である。
【図2】第一の実施の形態において、ハウジングと回転体に相対的な偏心がある場合を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の断面図である。
【図3】本発明に係る密封装置の好ましい第二の実施の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。
【図4】本発明に係る密封装置の好ましい第三の実施の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。
【図5】第三の実施の形態におけるサイドシール部の内周リップ及び外周リップによるクサビ効果の説明図である。
【図6】従来技術に係る密封装置の一例を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る密封装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明に係る密封装置の好ましい第一の実施の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の断面図である。
【0015】
図1に示す第一の実施の形態において、参照符号200は非回転のハウジング、参照符号300は前記ハウジング200に挿通され軸心Oの周りに回転される回転軸、参照符号1は本発明に係る密封装置である。なお、回転軸300は、請求項1に記載された回転体に相当する。
【0016】
密封装置1は、ハウジング200の内周に取り付けられた非回転のオイルシール2と、このオイルシール2の軸方向外側に位置して回転軸300の外周面に取り付けられ、回転軸300と一体に回転されるダストカバー3とを備える。
【0017】
オイルシール2は、補強環21にゴム状弾性を有する弾性材料で一体に成形したものであって、機内A側を向いて延びる対油シールリップ22と、この対油シールリップ22の機外B側に設けられて、機外B側を向いて延びるダストリップ23,24と、さらにこのダストリップ23,24の根元の外周側から対油シールリップ22と反対側へ延びるサイドシール部25と、これら対油シールリップ22、ダストリップ23,24及びサイドシール部25の共通の基部26から連続して形成された外周シール部27を有する。
【0018】
また、ダストカバー3は金属板を打ち抜きプレス成形することにより製作されたものであって、小径筒部31と大径筒部32が中間板部33を介して同心的に形成され、すなわち軸心Oを通る平面で切断した断面形状が略コ字形をなし、小径筒部31において回転軸300の外周面に圧入嵌着されている。
【0019】
オイルシール2における補強環21は金属板を打ち抜きプレス成形することにより製作されたものであって、ハウジング200の内周面に適当な面圧で圧入・固定される圧入筒部21aと、その機外B側に圧入筒部21aより適宜小径に形成された肩部21bと、さらにこの肩部21bから内径側へ延びる内向きフランジ部21cとからなる。
【0020】
オイルシール2における対油シールリップ22は、機内A側を向いた先端近傍の内径エッジが回転軸300の外周面に摺動可能に密接されるものであり、先端外周にガータスプリング28が装着されることによって、回転軸300の外周面に対する緊迫力及び径方向追随性が補償されている。
【0021】
オイルシール2におけるダストリップ23,24は、それぞれ機外B側を向いた先端が小径となるような円錐筒状をなし、先端部が回転軸300の外周面に摺動可能に密接されるものである。
【0022】
オイルシール2におけるサイドシール部25は、対油シールリップ22、ダストリップ23,24及びサイドシール部25の共通の基部26から対油シールリップ22と反対側へ延びて、径方向への可撓性を有する弾性筒部251と、この弾性筒部251の先端から分岐した内周リップ252及び外周リップ253を備える。そして内周リップ252は、対油シールリップ22と反対側を向いた先端が小径となるような円錐筒状をなして、ダストカバー3の小径筒部31の外周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されるものであり、外周リップ253は、対油シールリップ22と反対側を向いた先端が大径となるような円錐筒状をなして、先端部がダストカバー3の大径筒部32の内周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されるものである。
【0023】
また、サイドシール部25の外周リップ253と内周リップ252の間の密閉空間C、内周リップ252とダストリップ24の間の密閉空間D、ダストリップ23,24間の密閉空間E及びダストリップ23と対油シールリップ22の間の密閉空間Fには、潤滑剤及び密封剤としての不図示のグリースが充填される。
【0024】
なお、サイドシール部25の弾性筒部251の径方向肉厚をt、軸方向長さをLとすると、弾性筒部251に径方向への良好な可撓性を与えるために、
t/L≦1
とすることが好ましい。
【0025】
外周シール部27は、補強環21における肩部21bの外周に設けられ、オイルシール2の装着状態において、径方向に適当に圧縮された状態でハウジング200の内周面に密接されるものである。
【0026】
以上のように構成された第一の実施の形態の密封装置1において、オイルシール2は、その補強環21の外径部である圧入筒部21aがハウジング200の内周面に圧入されると共に外周シール部27がハウジング200の内周面に適当に圧縮された状態で密接され、対油シールリップ22が回転軸300の外周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されることによって、機内Aの密封対象の油脂類が機外B側へ流出しないようにこれを密封するものであり、サイドシール部25における内周リップ252及び外周リップ253が、ダストカバー3の小径筒部31の外周面及び大径筒部32の内周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されると共に、ダストリップ23,24が回転軸300の外周面に摺動可能に密接されることによって、車両走行中に路面などから飛来する泥水等が機外Bから浸入するのを阻止するものである。
【0027】
そして、泥水等が、もしサイドシール部25の外周リップ253とダストカバー3の大径筒部32との密接摺動部を通過して外周リップ253と内周リップ252の間の環状の密閉空間Cへ浸入したとしても、その内周側にはサイドシール部25の内周リップ252とダストカバー3の小径筒部31との密接摺動部が存在するので、内周リップ252とダストリップ24の間の密閉空間Dへは容易に浸入することができず、さらにその機内A側にはダストリップ23,24と回転軸300の外周面との密接摺動部が存在するので、前記泥水等は、対油シールリップ22側へは容易に浸入することができない。したがって対油シールリップ22による優れた対油密封性が、長期間にわたって維持される。
【0028】
また、サイドシール部25が内周リップ252及び外周リップ253を有することによってグリースに対する保持力が向上するので、グリースによる潤滑機能及び密封機能が長期間にわたり維持される。
【0029】
ここで、図2に示すようにハウジング200の軸心Oと回転軸300の軸心Oが相対的に偏心している場合は、回転軸300に取り付けられたダストカバー3も回転軸300と共にハウジング200に対して偏心した状態にある。
【0030】
そして対油シールリップ22は自らの弾性とガータスプリング28の弾性によって回転軸300の外周面にしっかり抱き付いているので、このような偏心に良好に追随し、機内Aの油脂類に対する良好な密封性が確保される。
【0031】
そして、偏心によってハウジング200と回転軸300が接近する側(図2の例における上半分)では、ダストカバー3の大径筒部32の内周面に対するサイドシール部25の外周リップ253の締め代は減少するが、その内径側では矢印Vで示すように、逆にダストカバー3の小径筒部31の外周面によってサイドシール部25の内周リップ252が押圧されてその締め代が増大し、一方、偏心によってハウジング200と回転軸300が離間する側(図2の例における下半分)では、ダストカバー3の小径筒部31の外周面に対する内周リップ252の締め代は減少するが、その外径側では矢印Vで示すように、逆にダストカバー3の大径筒部32の内周面によって外周リップ253が押圧されてその締め代が増大する。このためサイドシール部25の弾性筒部251が、矢印Vで示すように、外周リップ253と内周リップ252の締め代の差を解消する方向(径方向)へ変形し、偏心によってハウジング200と回転軸300が接近する側での外周リップ253の締め代の減少及びハウジング200と回転軸300が離間する側での内周リップ252の締め代の減少が補償される。
【0032】
したがって、ハウジング200と回転軸300の偏心に対するサイドシール部25の径方向追随性が優れたものとなり、すなわちサイドシール部25が偏心に良好に追随するので、ダストカバー3の小径筒部31に対する内周リップ252の締め代及びダストカバー3の大径筒部32に対する外周リップ253の締め代が、円周方向一部で減少するのを抑制して、機外Bの泥水等に対する良好な密封性が確保することができる。
【0033】
また、サイドシール部25の外周リップ253と内周リップ252の間の密閉空間C、内周リップ252とダストリップ24の間の密閉空間D、ダストリップ23,24間の密閉空間E及びダストリップ23と対油シールリップ22の間の密閉空間Fには不図示のグリースが充填されるが、サイドシール部25の内周リップ252と外周リップ253によってグリースの保持効果が向上し、対油シールリップ22やダストリップ23,24の良好な潤滑状態が維持されると共に、グリースによる対泥水シール機能を高めることができる。
【0034】
次に図3は、本発明に係る密封装置の好ましい第二の実施の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。この第二の実施の形態において上述した第一の実施の形態と異なるところは、サイドシール部25の内周リップ252及び外周リップ253が、弾性筒部251の先端から折り返された形状に形成された点にある。それ以外の部分は第一の実施の形態と同様に構成されている。
【0035】
すなわちサイドシール部25の内周リップ252は、サイドシール部25とダストカバー3の間に画成された環状の密閉空間Cと反対側(ダストリップ24側)を向いた先端が小径となるような円錐筒状をなして、ダストカバー3の小径筒部31の外周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接され、サイドシール部25の外周リップ253は、前記密閉空間Cと反対側(機外B側)を向いた先端が大径となるような円錐筒状をなして、ダストカバー3の大径筒部32の内周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されている。
【0036】
この構成によれば、第一の実施の形態と同様の効果が実現されるほか、組み付けにおいてサイドシール部25をダストカバー3の小径筒部31と大径筒部32の間へ挿入する際に、ダストカバー3と外周リップ253及び内周リップ252の間の環状の密閉空間Cに閉じ込められた空気が圧縮されると、その圧力によって外周リップ253を押し開いて空気が機外Bへ逃げることができるので、ダストカバー3へのサイドシール部25の挿入を容易に行えるといった利点がある。
【0037】
次に図4は、本発明に係る密封装置の好ましい第三の実施の形態を、軸心Oを通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。この第三の実施の形態において上述した第一の実施の形態と異なるところは、サイドシール部25の外周リップ253が第二の実施の形態と同様、弾性筒部251の先端から折り返され、すなわちダストカバー3の大径筒部32の内周面に摺動可能に密接された先端が、サイドシール部25とダストカバー3の間に画成された環状の密閉空間Cと反対側(機外B側)を向いている点にある。それ以外の部分は第一の実施の形態と同様に構成されており、したがってサイドシール部25の内周リップ252は、第一の実施の形態と同様、ダストカバー3の小径筒部31の外周面に摺動可能に密接された先端が前記密閉空間C側を向いている。
【0038】
この構成によれば、特に、ダストカバー3の大径筒部32の内周面に摺動可能に密接されたサイドシール部25の外周リップ253の先端が、密閉空間Cと反対側(機外B側)を向いているため、図5に示すように、機外B側を向いた面がダストカバー3の大径筒部32の内周面となす角度αは、密閉空間C側を向いた面が大径筒部32の内周面となす角度αより大きいため、クサビ効果によって、機外Bから飛来する泥水等は密閉空間Cへ容易に浸入することができない。また、密閉空間Cに充填されたグリースも、密閉空間Cへの泥水等の浸入を有効に阻止する。
【0039】
また、もし機外Bの泥水等がサイドシール部25の外周リップ253の摺動部から密閉空間Cへ入り込んだとしても、その内周側でダストカバー3の小径筒部31の外周面に摺動可能に密接されたサイドシール部25の内周リップ252の先端が、密閉空間C側を向いているため、密閉空間C側を向いた面がダストカバー3の小径筒部31の外周面となす角度βは、密閉空間D側を向いた面がダストカバー3の小径筒部31の外周面となす角度βより大きいため、クサビ効果によって、密閉空間C内の泥水等は密閉空間Dへ容易に浸入することができない。しかも密閉空間Dに充填されたグリースも、密閉空間Dへの泥水等の浸入を有効に阻止する。
【0040】
したがって、これらサイドシール部25の外周リップ253及び内周リップ252の作用によって、泥水等に対する優れた密封性が確保される。
【0041】
また、組み付けにおいてサイドシール部25をダストカバー3の小径筒部31と大径筒部32の間へ挿入する際に、第二の実施の形態と同様、密閉空間Cに閉じ込められた空気が機外Bへ逃げることができるので、ダストカバー3へのサイドシール部25の挿入を容易に行うことができる。
【0042】
また、第二の実施の形態と同様、組み付けにおいてサイドシール部25をダストカバー3の小径筒部31と大径筒部32の間へ挿入する際に、ダストカバー3と外周リップ253及び内周リップ252の間の環状の密閉空間Cに閉じ込められた空気は、その圧力によって外周リップ253を押し開いて機外Bへ逃げることができるので、ダストカバー3へのサイドシール部25の挿入を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 密封装置
2 オイルシール
21 補強環
22 対油シールリップ
23,24 ダストリップ
25 サイドシール部
251 弾性筒部
252 内周リップ
253 外周リップ
26 基部
27 外周シール部
3 ダストカバー
31 小径筒部
32 大径筒部
200 ハウジング
300 回転軸(回転体)
A 機内
B 機外
C〜F 密閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内周面に取り付けられるオイルシールと、前記ハウジングに挿通された回転体に前記オイルシールの軸方向外側に位置して取り付けられるダストカバーとを備え、前記オイルシールは、前記ダストカバーに摺動可能に密接されるサイドシール部を備え、前記ダストカバーは小径筒部と大径筒部が同心的に形成されたものであり、前記サイドシール部は、径方向への可撓性を有する弾性筒部と、この弾性筒部の先端から分岐した内周リップ及び外周リップを備え、前記内周リップが前記ダストカバーの小径筒部の外周面に摺動可能に密接され、前記外周リップが前記ダストカバーの大径筒部の内周面に摺動可能に密接されたことを特徴とする密封装置。
【請求項2】
サイドシール部の内周リップは、ダストカバーの小径筒部の外周面に摺動可能に密接された先端が、前記サイドシール部の外周リップ及び内周リップとダストカバーの間に画成された最も外側の密閉空間側を向き、サイドシール部の外周リップは、ダストカバーの大径筒部の内周面に摺動可能に密接された先端が、前記密閉空間と反対側を向いていることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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