説明

密閉包装における漏れ検出方法

本発明は、包装における漏れを検出する方法に関する。この方法は、(i)O−感応性指示薬が、漏れ指示薬層全体にわたって存在する漏れ指示薬層、および(ii)漏れ指示薬層の外側のO−バリヤー層を含む多層フィルムで、O−感応性製品の少なくとも一部を覆うことにより包装を調製することを含む。低O−環境は、包装内に用意される。漏れ指示薬層。低O−環境は、包装内に用意される。漏れ指示薬層は、次いで、O−感応性指示薬が、O−感応性指示薬と共に存在するOの水準に反比例する量において放射線を放出するように、O−感応性指示薬により吸収される波長を含む光で照射される。次いで、多層フィルムは、O−感応性指示薬が放射線を放出する間に走査され、走査は、多層フィルムの少なくとも2つの異なる領域から放出された放射線量を感知および比較することによって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素−感応性製品を含む包装、即ち、内側に低酸素含有量を有する包装における漏れを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素は、多くの製品を損なわせる。食品、飲料、薬品、医療装置、腐食性金属、分析化学品、電子装置、および多くのその他の製品は、酸素存在下において長期保存すると、腐食するなど、保存寿命が減少する可能性がある。この問題に対抗するために、包装材の製造業者は、包装環境、即ち、酸素水準が低減された「上部空間」を用意することによってこれらの製品を保護するための包装材およびシステムを開発してきた。
【0003】
低酸素水準は、真空下での包装、または空気を置換して、食品の周りを変性空気(酸素が少ない)で置き換えることにより得ることができる。多くの場合、これらの包装システムで得ることのできる低酸素水準は、所望の保存期間を用意するにはなお不十分である。
【0004】
真空包装または変性空気包装が漏れを発生し、酸素を包装内に入れてしまうと、最終的に、包装内の酸素含有量は増加し、製品の保存期間に有害な結果をもたらす。包装内の酸素の水準を知らせることのできる指示薬としてポルフィリンを使用することは知られている。ポルフィリンは、放射線を照射することにより励起され、その後の放射線放出(即ち、燐光発光する)程度は、包装内の酸素の水準に反比例する。然しながら、漏洩包装への酸素浸入速度が遅い場合、包装内部の酸素含有量が実質的に増加するにはかなりの時間を必要とする可能性がある。包装が完了した直後に、包装が漏れを起こしているか、素早く判定できることが望ましい。また、包装における漏れの場所を正確に決定することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明方法は、包装を壊すことなしに、真空包装または変性空気包装において、漏れの存在、および漏れの位置をも決定できる手段を提供する。この方法では、流通経路における異なる地点において繰り返し、および最終消費者によっても包装の漏れを検査することができる。この方法は、包装内側の酸素の水準においてどんなに顕著な増加が存在する前でも、包装の漏れの存在を検査することができる。
【0006】
本発明方法は、製品の少なくとも一部を取り囲む多層フィルムの使用を含み、このフィルムは、指示薬材料、例えば、ポルフィリン等を含む第二フィルムの外側に酸素バリヤー層を有する。フィルムにおいて、または、フィルムそれ自体へのシールにおいてまたは包装のその他の構成成分において漏れが存在すると、ポルフィリンを活性化するためのフィルムの照射によって、ポルフィリンは、その位置における酸素含有量に反比例する、ある量の燐光を発する。包装における小さな漏れは、漏れ周辺のポルフィリンを燐光発光させないか、または低水準で燐光発光させる。燐光のこの欠如または低下した燐光は、包装を走査することにより「灰色点」として検出することができる。走査は、手動で、即ち、肉眼で、または、機械映像を介して行うことができる。この方法においては、包装後直ちに、包装は、漏れの存在に対して検査することができ、漏れが見付かれば、直ちに再包装することができる。同様に、流通および/または小売り場所への出荷後に、包装は、取扱いまたは移送中に発生した可能性のある漏れの存在を判定するために再度テストすることができる。同様に、消費者は、包装が、製品の劣化を防ぐための低酸素環境を維持するのに有効であったことを確実にするために、小売店において、漏れに対して製品を再度チェックすることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様として、本発明は、包装における漏れの検出方法に関する。この方法は、(A)(i)O−感応性指示薬が、漏れ指示薬層全体にわたって存在する漏れ指示薬層、および(A)(ii)漏れ指示薬層の外側のO−バリヤー層、を含む多層フィルムで、O−感応性製品の少なくとも一部を覆うことにより包装を用意する工程(A);包装内に低O環境を用意する工程(B);O−感応性指示薬が、O−感応性指示薬と共に存在するOの水準に反比例する量において放射線を放出するように、漏れ指示薬層を、O−感応性指示薬によって吸収される波長を含む光で照射する工程(C);およびO−感応性指示薬が、放射線を放出する間に、多層フィルムを走査し、走査が、多層フィルムの少なくとも2つの異なる領域から放出された放射線量を感知および比較することにより行われる工程(D)を含む。好ましくは、製品の少なくとも25%は、フィルムで覆われ、さらに好ましくは、少なくとも50%、さらに好ましくは、少なくとも75%、さらに好ましくは、100%が覆われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好ましくは、低O−環境は、(i)O−捕集剤と一緒に包装を用意することにより包装内側のOを捕集すること、(ii)包装内から空気を排出すること、および(iii)包装中の大気中Oを置き換えることからなる群から選択される少なくとも1つの行為を実施することにより用意される。
【0009】
少なくとも2つの異なる走査領域から放出された放射線の感知および比較の結果は、包装中への漏れの不存在と相関する。又は、少なくとも2つの異なる走査領域から放出された放射線の感知および比較の結果は、包装中への少なくとも1つの漏れの存在と相関する。漏れが検出されると、好ましくは、少なくとも1つの漏れを有する包装におけるO−感応性製品は、包装から除去され、新しい包装に再包装される。
【0010】
漏れは、多層フィルムにおける少なくとも1つの穴、または、フィルムのそれ自体へのシールもしくは包装のその他の構成成分における少なくとも1つの不連続を含むことがありうる。
【0011】
好ましくは、包装は、ヒートシールであるシールを有する。
【0012】
好ましくは、感知および比較は、包装中への空気Oの少なくとも1つの漏れの存在および位置の両方を決定できる様に行われる。
【0013】
好ましくは、包装は、多層フィルムをそれ自体にシールすることにより作られるバッグの中にO−感応性製品を収納し、次いで、バッグ内から空気を排出し、空気をバッグから排出しながら、バッグの開口先端部を横切ってバッグの内側層をそれ自体にシールすることにより作られる。好ましくは、多層フィルムは、バックの内側層が、バッグの開口先端部を横切って、それ自体にシールされた後に、フィルムを熱収縮させることをさらに含む方法で、機械方向および横方向の両方において、185°Fで少なくとも5%の自由収縮を有する。好ましくは、製品は、肉、さらに好ましくは、赤身の肉、さらに好ましくは、ビーフ、ポーク、ラムおよび/または鶏肉を含む。
【0014】
代替的に、O−感応性製品は、DVD等の非食品製品である。
【0015】
場合により、包装は、底部形成部分および底部形成部分にシールされる蓋ストックを含み、蓋ストックは、多層フィルムを含む。好ましくは、底部形成部分はトレイであり、好ましくはポリスチレントレイ、さらに好ましくは、ポリスチレン発泡トレイである。
【0016】
1つの好ましい実施形態においては、包装は、変性空気を含む。
【0017】
1つの好ましい実施形態においては、O−感応性指示薬は、フィルム上に印刷されている。
【0018】
1つの好ましい実施形態においては、O−感応性製品は、包装内側のOを捕集する。その様な製品としては、ビーフ、ポーク、鶏肉、魚が挙げられる。
【0019】
1つの好ましい実施形態においては、包装は、O−バリヤーライナーを伴うトレイを含み、トレイはフランジを有し、O−感応性製品はトレイ上に存在し、多層フィルムは、製品を覆い、トレイフランジに接着されている。
【0020】
1つの好ましい実施形態においては、O−バリヤー層は、25℃、0%RH、1atm(ASTM D 3985)において、100cc/m/24時間以下の酸素透過率を有し、O−バリヤー層は、ポリエステル、ポリアミド、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリロニトリルホモポリマーおよびコポリマー、液晶ポリマー、SiO、炭素、金属、ならびに金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0021】
1つの好ましい実施形態においては、O−感応性指示薬は、オクタエチルポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、テトラベンゾポルフィリン、またはクロリン、バクテリオクロリン、もしくはこのイソバクテリオクロリンのメタロ誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0022】
1つの好ましい実施形態においては、O−感応性指示薬は、ポルフィリンを含む。
【0023】
1つの好ましい実施形態においては、フィルムは、食品を取り囲んでいる。
【0024】
1つの好ましい実施形態においては、空気は、食品およびフィルムとの間で排出される。
【0025】
1つの好ましい実施形態においては、空気は、食品と多層フィルムとの間に存在し、空気は、5重量%未満の量においてOを含む。
【0026】
1つの好ましい実施形態においては、フィルムは、
i)酸化可能な有機化合物および遷移金属触媒、
ii)エチレン系不飽和炭化水素および遷移金属触媒、
iii)UVスペクトルにおける吸収性を有する還元形態のキノン、光還元性染料、またはカルボニル化合物、
iv)ポリマー骨格、環状オレフィン系ペンダント、および前記オレフィン系ペンダントを前記ポリマー骨格に結合する連結基を有するポリマー、
v)エチレンとひずんだ環状アルキレンとのコポリマー、ならびに
vi)エチレン/ビニルアラルキルコポリマー、
vii)アスコルベート、
viii)イソアスコルベート、
ix)サルファイト、
x)アスコルベートおよび遷移金属触媒(前記触媒は、遷移金属の単独金属もしくは塩、または化合物、錯体もしくはキレートを含む)、
xi)ポリカルボン酸、サリチル酸、またはポリアミンの遷移金属錯体またはキレート、
xii)タンニン、ならびに
xiii)還元金属
からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むO−捕集剤をさらに含む。
【0027】
1つの好ましい実施形態においては、酸素指示薬および酸素捕集剤は、ブレンドの形態で存在する。好ましくは、ブレンドは、フィルムの1つの層に存在する。
【0028】
1つの好ましい実施形態においては、酸素指示薬は、接着剤でカプセル化されている。
【0029】
添付の図は、本発明の幾つかの実施形態を例示する。
【0030】
本明細書において使用される「熱収縮性フィルム」、「熱収縮フィルム」等の用語は、固体状態において配向されたフィルムを意味する(反対に、ブローフィルムは、ポリマーの溶融点、より上、または近辺で配向される)。熱収縮性フィルムにおける張力は、フィルムが収縮で抑制されると、熱の適用によって増加する。必然的結果として、「熱収縮した」という用語は、フィルムまたはその一部が、熱収縮した状態、即ち、サイズにおいて減少した(抑制されていない)または増加した張力下(抑制された)の状態にある様に熱に暴露された、熱収縮性フィルム、または、その一部を意味する。好ましくは、熱収縮性フィルムは、185℃で少なくとも5%、さらに好ましくは、少なくとも7%、なおさらに好ましくは、少なくとも10%、なおさらに好ましくは、少なくとも15%、なおさらに一層好ましくは、少なくとも20%のそれぞれの方向における自由収縮(ASTM D 2732に従って測定される)を伴う、全自由収縮(即ち、機械方向+横方向)を有する。185°Fでの全自由収縮は、10〜150%、さらに好ましくは、20〜120%、さらに好ましくは、40〜100%であることができる。
【0031】
本明細書において使用される「内面層」および「内部層」という用語は、その主表面の両方がフィルムの別の層に直接接着した、多層フィルムの任意の層を意味する。
【0032】
本明細書において使用される「外面層」という用語は、フィルムの別の層に直接接着したその主表面が1つ以下の2未満を有するフィルムの任意のフィルム層を意味する。この用語は、単層および多層フィルムを含む。多層フィルムにおいては、2つの外面層が存在し、このそれぞれは、多層フィルムの1つの別の層だけに接着した主表面を有する。単層フィルムにおいては、勿論、この2つの主表面のどちらも、フィルムの別の層に接着していない外面層である1つの層だけが存在する。
【0033】
本明細書において使用される「内側層」という用語は、多層フィルムのその他の層に関して、製品に最も近い、製品を包装している多層フィルムの外面層を意味する。
【0034】
本明細書において使用される「外側層」という用語は、多層のその他の層に関して、製品から最も遠い、製品を包装している多層フィルムの外面層を意味する。同様に、バッグの「外側表面」は、バッグ内に包装されている製品から離れている表面である。
【0035】
本明細書において使用される「接着された」という用語は、ヒートシールまたはその他の手段を使用して、互いに直接接着されたフィルム、および2つのフィルム間にある接着剤を使用して互いに接着されたフィルムを含むものである。
【0036】
本発明方法において使用されるフィルムは、単層フィルムまたは多層フィルムであることができるが、パッチバッグは、一緒に積層された少なくとも2つのフィルムを含む。好ましくは、パッチバッグは、合計で2〜20層、さらに好ましくは、2〜12層、なおさらに好ましくは、4〜12層を一緒に含むフィルムから成っている。一般に、本発明において使用される多層フィルムは、フィルムが、フィルムが使用される特定の包装作業にとって望ましい性質、例えば、酷使抵抗性(特に、穴開け抵抗性)、モジュラス、シール強度、光学等を用意する限り、所望の任意の合計厚さを有することができる。
【0037】
本発明において使用される「低O−環境」という用語は、空気が排出されているか、別の環境によって置き換えられているか、またはO−捕集剤の活性によりO含有量が低減されている、包装の内側の変性空気環境を意味する。好ましくは、低O−環境は、0〜5容量%、さらに好ましくは、0〜1容量%のO含有量を有する。指示薬が、パラジウム含有ポルフィリンである場合は、好ましくは、低O−環境は、0〜5容量%、さらに好ましくは、0〜1容量%のO含有量を有する。指示薬が、白金含有ポルフィリンである場合は、好ましくは、低O−環境は、0〜0.1容量%、さらに好ましくは、0〜0.05容量%のO含有量を有する。
【0038】
低O−環境を維持するための有効な遮断は、有効なOバリヤー層を伴う包装を用意することの問題である。必要なOバリヤー層を用意することのできる材料は、25℃、0%RH、1atm酸素で(ASTM D 3985)、最大100cc/m/24時間の酸素透過率(OTR)を許容する材料である。好ましくは、バリヤー層の酸素バリヤー性は、25℃、0%RH、1atm酸素で、最大50cc/m/24時間のOTRを許容する。さらに好ましくは、酸素バリヤー層の酸素バリヤー性は、25℃、0%RH、1atm酸素で、最大25cc/m/24時間のOTRを許容する。最も好ましくは、酸素バリヤー層の酸素バリヤー性は、25℃、0%RH、1atm酸素で、最大1cc/m/24時間のOTRを許容する。
【0039】
全てのポリマー材料は、それらの断面厚さが十分である場合に、これらの浸透速度を与えることができる。1ミルの厚さで、25℃、0%RH、1atm酸素で、2000cc/m/24時間の酸素浸透性を持つポリエチレンは、断面厚さが20ミルを超える場合に、上述の、25℃、0%RH、1atm酸素で100cc/m/24時間のバリヤー要件に合致する。非常に薄い断面厚さで酸素バリヤー要件を用意することのできる材料としては、ポリエステル、ポリアミド、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリロニトリルホモポリマーおよびコポリマー、ならびに液晶ポリマーが挙げられるがこれらに限られない。さらに、ポリマー材料の酸素バリヤー性は、炭素、金属、金属酸化物、シリカおよび/または酸化ケイ素、ならびにSiOの薄い被膜を堆積することによって高めることができる。また、ポリマー材料のバリヤー性は、ポリマーと、ガラス、粘土、および/または、相対的に低い酸素透過率(即ち、相対的に高い酸素バリヤー)を有するポリマーとの溶融ブレンドにより高めることもできる。また、ポリマー、金属、金属ハロゲン化物等を酸素捕集材とブレンドすることによって高めることもできる。
【0040】
好ましくは、多層フィルムは、封止材、好ましくは、ヒートシール性材料を含むシール層を有する。封止材の適当な例としては、エチレン/アルファオレフィンコポリマー、均一エチレン/アルファオレフィンコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルリル酸コポリマー、アイオノマー、プロピレンホモポリマーおよびコポリマー、ブチレンポリマーおよびコポリマー、多成分エチレン/アルファ−オレフィン相互侵入網状樹脂、プロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよびエチレン/酢酸ビニルコポリマーのブレンド、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンのブレンド、または、任意のこれらの材料のブレンド等のオレフィン系ポリマー;ポリアミドまたはコポリアミド;あるいはその他の適当なポリマー材料が挙げられる。以下に開示される様々なフィルムにおける封止層は、外部(表面)層として配置される。この層は、一般に、酸素感応性製品の最も近くに位置し、包装作業中に、フィルムそれ自体またはバリヤーライナー等(トレイされた製品)をシールするための手段を用意するのに役立つ。
【0041】
発光化合物は、1つの周波数(励起周波数)において電磁放射線(EMR)を強力に吸収して、同じまたは別の周波数(放射周波数)においてEMRを放射する化合物である。本発明において指示薬として適当な発光化合物は、Oの不存在においてのみ発光する。さらに正確に言えば、指示薬は、O濃度が、閾値水準より下に落ちた時にのみ、それらの励起周波数への暴露によって発光する。指示薬が暴露されるO濃度が、閾値水準を超えている場合、酸素は発光を、妨げまたは「消火」する。
【0042】
ポルフィリンは、本発明方法における使用にとって好ましい指示薬である。ポルフィリンとしては、自然において広く存在する生理活性窒素化合物(例えば、クロロフィル)、および、アンモニア、メタンおよび水蒸気の混合物に電流を通して調製することのできる合成窒素化合物が挙げられる。ポルフィリンの構造は、4個の窒素原子および、様々な金属原子が簡単に置換できる2個の置換可能な水素と一緒に、4つのピロール環を含む。本発明方法における使用にとって好ましいポルフィリンにおいては、白金またはパラジウムが、化合物の中心における置換可能な水素を置き換える。2つの好ましいポルフィリンの構造は、すぐ下で示される。
【0043】
【化1】

【0044】
ポルフィリン化合物は、光の或る波長、特に、長波長紫外線により照射されると、酸素(即ち、O)の不存在において燐光を発する。この燐光は、生成された燐光光線の相対的輝度または寿命を制限するOによって消火される。この光強度または期間の関係は、存在するOの量に反比例する。白金、パラジウムおよびその他の金属ポルフィリンは、同様に、然し、酸素の異なる相対的水準および酸素濃度における変化に対して異なる感応性で機能する。
【0045】
ペンダントの適切な選択により、ポルフィリンは、異なる樹脂および/またはインクにおいて、多少の溶解性または分散性を付与することができる。適当なポルフィリンは、フィルム層に次に導入される樹脂中に溶解または分散することができ、あるいは、O−バリヤーフィルムの表面上にこれは次に印刷されるインク中に溶解または分散することができ、次いで、O−バリヤーフィルムは、包装内側に低O水準を含む包装を作るために使用される。
【0046】
本明細書において使用される「発光性」という用語は、燐光、蛍光、または指示薬機能を役立たせることのできる任意の電磁発光を包含する。発光周波数が、可視スペクトルにある時は、指示薬は、機械または人間の目で読み取ることができる。発光周波数が可視でない時は、発光は、機械で検出されてもよい。
【0047】
本発明における使用に適した発光化合物としては、ここで記載された機能性を有する、任意の知られているまたは後に発見される化合物が挙げられる。さらに、適当な発光化合物およびそれらを含む組成物は、好ましくは、さらに、1つまたは複数の以下の特徴を有する:
a)酸素濃度における変化に対するそれらの応答が、予測可能で、直線的、および完全に可逆的である。直線性は、較正および定量的モニター目的にとって望ましいものである。可逆性は、酸素濃度を、包装および貯蔵過程の任意の段階においてモニターすることを可能にする;
b)それらは、目標範囲内の酸素濃度に対して感応性である。範囲は、0%〜5%酸素、例えば、0%〜1%、または0〜1000ppmを含むことができる。異なる範囲および感応性を有する指示薬の組合せは、望ましい場合にはその様な範囲を拡大するために使用されてもよい;
c)それらは、それらが使用される条件における酸素濃度における変化に迅速に応答する。酸素濃度における変化に対する発光化合物の一般的な応答時間は、0℃〜25℃の温度範囲にわたって環境変化の1分以内である;
d)それらは、簡単にモニターされる周波数の範囲にわたって発光を示す。安価なチェック装置を使用する場合、指示薬は、適当な励起および発光周波数、好ましくは可視周波数を有するべきである;
e)それらは、酸素濃度変化に対して選択的に応答性であり、染料を含む包装材料を浸透する可能性のあるその他のガス、例えば二酸化炭素に対して非感応性である;
f)それらは、使用および貯蔵の条件下で安定である。光安定性は、望ましいが必要ではない。温度安定性、および湿度における変化に対する安定性は、望ましく、好ましい;
g)それらは透明であり、またはそれらが使用される包装と色調が一致する。色調の一致は、例えば、指示薬が、印刷画像の全部または一部を形成することがある場所では重要である。個々のパッチが使用される実施形態においては、透明性または色調の一致は、通常、重要ではない;
h)それらは、良好なコーティングおよび/または印刷性を示し、および/または押出し可能である;および
i)指示薬は、全体の包装材料のコストを最少にするために、相対的に低い濃度において有用である。
【0048】
本発明における使用にとって好ましい発光化合物としては、酸素消火発光を示す蛍光または燐光染料が挙げられる。燐光染料は、励起および発光周波数をはっきりと分離する特徴を持つので、酸素感応に対しては蛍光染料より好ましい。これらの周波数は、一般に、スペクトルの可視領域にあり、長く励起された状態の寿命を有する。また、燐光染料は、モニターを促進するために、低水準の酸素に対して改善された感応性を有する。
【0049】
本発明の関係において指示薬として適当な化合物は、当該技術分野においては知られている。例えば、参照により組み込まれる、米国特許第4810655号明細書および第5043286号明細書(Khalil et al.)は、適当な化合物およびそれらの製造方法を開示している。その様な化合物としては、オクタエチルポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、テトラベンゾポルフィリン、またはクロリン、バクテリオクロリン、もしくはイソバクテリオクロリンおよびそれらの部分的にまたは完全にフッ素化された類似体のメタロ誘導体が挙げられる。その他の適当な化合物としては、パラジウムコプロポルフィリン(PdCPP)、白金およびパラジウムオクタエチルポルフィリン(PtOEP、PdOEP)、白金およびパラジウムテトラフェニルポルフィリン(PtTPP、PdTPP)、ショウノウキノン(CQ)、およびエリスロシンB(EB)等のキサンチンタイプ染料が挙げられる。その他の適当な化合物としては、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン等のリガンドを伴う、ルテニウム、オスミウムおよびイリジウム錯体が挙げられる。これらの適当な例としては、トリス(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)ルテニウム(II)パークロレート、トリス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)パークロレート、およびトリス(1,10−フェナントロリン)ルテニウム(II)パークロレートが挙げられる。パークロレート塩は、特に有用であるが、発光を妨げないその他の対イオンが使用されてもよい。
【0050】
代替的な酸素感応性蛍光材料としては、次のものが挙げられる:
レニウム錯体−Re(I)
ReL(CO)NCR
(ここで、L=α−ジイミン、R=脂肪族基)(参照により本明細書に組み込まれる、Analytical Chemistry 1995、67、1377−1380)、
エリスロシンB(参照により本明細書に組み込まれる、Analyst、Feb 1995、V120、p457)、
その他のポルフィリン金属
Zn
Lu(ルテチウム)

Sn
Pb
Pt
Pd
Hf
(参照により本明細書に組み込まれる、J chem.Soc perkin trans、2 1995、p103)、
ルテニウム錯体
Ru(II)(参照により本明細書に組み込まれる、J phys chem、1995、99、3162−3167)、
ルテニウム錯体
トリス(2,2’−ピピリジル)Ru(II)ジクロライド、またはRuBIPPYとしても知られている(参照により本明細書に組み込まれる、Sensors and Actuators B 29、(1995)251−257)。
【0051】
1つまたは複数の指示薬化合物を含む組成物は、好ましくは、ポリマー担体または溶媒マトリックス(系)に溶解される。これには2つの理由が存在する。1つの理由は、溶液が、最大分散、したがって、最大効率のための指示薬化合物の活用を達成するということである。今1つは、指示薬化合物の凝集は、自己消火および減少した効率をもたらす、2つの指示薬分子間の逆相互作用のために、回避されなければならないということである。ポリマーマトリックスは、指示薬の発光減衰に影響することが良く知られている(J.Phys.Chem.、1995、99、3162−3167を参照)。
【0052】
指示薬組成物は、ポリマーまたは溶媒系における最大溶解度に対して選択することができる。リガンドの置換基を変化させることによって、ポリマーまたは溶媒マトリックスにおけるリガンド指示薬の溶解度を変えることができる。例えば、ポリマーまたは溶媒マトリックスにおいて所望の溶解度を有するポルフィリンを選択するために、非フッ素化ポルフィリンを部分的にまたは完全にフッ素化したポルフィリンに、またはテトラフェニルポルフィリンをオクタエチルポルフィリン等に置換することができる。錯体が対イオンを含む場合、対イオンの選択は、ポリマーマトリックスにおける化合物の溶解度に影響を及ぼすことがありうる。
【0053】
当業者は、極めて少量の指示薬が、良好な検出のための十分な発光を達成するのに必要とされることを理解する。指示薬化合物は、好ましくは、全体の包装材料のコストを最小にするために、相対的に低い濃度において使用される。指示薬化合物の適当な濃度は、数μg/in(面積)から数mg/in(面積)であることができる。
【0054】
本発明の様々な実施形態は、指示薬化合物に対するポリマーまたは溶媒系および必要濃度の選択に一部基づいている。指示薬が十分に熱安定性であれば、ポリマーに有効に溶解して押出すことができる。指示薬濃度およびポリマーの厚さを調整することにより、発光を観察するための適当な面積濃度を達成することができる。さらに、この指示薬およびポリマー系は、適当な固体に導入するために、幾つかの方法において押出すことができる。例えば、指示薬は、単層フィルムにおいて、あるいは、バリヤー層またはコーティングも含む多層フィルムの1つまたは多層において分散することができる。単層または多層フィルムは、アップリケを形成するために切断することができ、適当な裏当て材に結合することができる。
【0055】
指示薬化合物が、特定の溶媒とさらに相溶性である場合は、溶媒および/またはインク系に導入することができ、適当なフィルムまたは基体上に有効に印刷することができる。適当なインク系の一部として、指示薬化合物は、酸素捕集フィルムを含む図形と一緒にトラップ印刷できる。
【0056】
包装における漏れの存在を知らせることにおいて有効であるためには、ポルフィリンは、フィルムにおけるO−バリヤー層の位置に関して包装の内側に配置されるべきである。この様にして、照射によって(即ち、励起によって)、ポルフィリンは、このすぐ近傍におけるOに対して反比例する水準で燐光を発する。低い内部O環境を有する包装は、漏れのすぐ近傍におけるポルフィリンの燐光を消火する(または、薄暗くする)任意の小さな漏れの周りに存在するOでポルフィリンを強力に燐光発光させ、それによって、漏れの周りの燐光の不存在と、漏れからの或る距離における燐光の高い水準とを対比させることにより漏れを知らせる。相対的燐光は、暗室において紫外線照射(例えば、黒色光)の下で容易に識別される。相対的色調/輝度の差でさえも、視覚色調対比をさらに高める、青色吸収レンズの使用で容易に識別することができる。
【0057】
燐光水準におけるこの差を走査することによって、小さな漏れは、漏れが、輝く領域によって取り囲まれた灰色点として現れるので、識別することができる。漏れが大きな漏れであって、包装内のO水準が、包装の全体または実質的な部分にわたってポルフィリンの燐光活性を消火するのに十分高い程度に、非常に多量のOを包装に入れることを可能にする大きな漏れである場合、走査は、この燐光の不存在を明らかにし、それによって、包装における1つまたは複数の実質的な漏れの存在を確認する。
【0058】
本発明方法の使用により、包装における小さな漏れの存在でさえも、漏れが存在すると殆どすぐに検出できる。この方法においては、包装は、包装が作られるとすぐに漏れの存在についてテストすることができ、この間に、O−感応性製品を、漏れを起こしている包装から除去し、これを再包装し、1つまたは複数の漏れの存在に対してこれを再テストする機会がなお存在する。この様にして、パッカーから出荷される、漏れを起こしている包装の数を減少またはなくすことができる。
【0059】
1つまたは複数の漏れの存在に対する包装の走査は、手動で(即ち、肉眼で)、または、コグネックス社(Cognex)またはDVT社から入手可能なもの等の自動画像システム(例えば、機械映像)を使用して行うことができる。いずれかのシステムを使用することによって、漏れのないことを決定された包装は、流通に回すことができ、漏れていると決定された包装は、再包装のために送られる。自動画像システムは、漏れの検出において、人間の目よりもさらに感応性である様に設計することができ、また、包装の縁および表面を識別するために設計することもできる。
【0060】
機械映像は、特に、所定の形状が、評価される対象において存在するかどうかを決定するために、画像発生装置(例えば、カメラ)の幾つかの形態と組み合わせた機械(例えば、コンピュータ)を利用する。1つまたは複数の所定の形状の存在または不存在を感知する画像発生装置によって、機械は、幾つかの動作または非動作が起る様に動作装置と連絡を取る。この様に、動作は、カメラからコンピュータへ送られる画像の内容によって、起ったりまたは起らなかったりする。画像の捕捉および処理は、縁、色調等の空間関係を検出し、考慮に入れることができる。機械映像は、主題にゆだねられた教育コースから明らかである様に、良く知られている。参照によりその全体が組み込まれる、the textbook Image Processing、Analysis and Machine Vision by Sonka、et al.、Brooks/Cole Publishing、Pacific Grove、CA 1999を参照。
【0061】
本発明においては、包装内の酸素消火ポルフィリン含有層は、燐光発光させるためにポルフィリンを励起する光の波長で照射される。照射は、UV−A黒色光の紫外線波長、即ち、360〜400nm近辺を使用して行われる。ポルフィリンの近傍における酸素の存在は、この燐光を消火する。然しながら、酸素の不存在において、燐光は持続し、したがって、目に見える。ポルフィリンからの燐光は、660nm近辺の波長における、カルミンレッド色の可視光線である。
【0062】
走査は、肉眼を使用して手動で行うことができる。然しながら、機械映像走査が望まれる場合は、適当なコンピュータと結合した適当なカメラ装置で行うことができる。カメラによって捉えられた画像は、三原色を有する:黒の背景色、紫色(UV−Aバルブからの)+励起された、低酸素ポルフィリンの赤色を伴う緑色光線(また、UV−Aバルブからの)の少量溢れ出たものの組合せ。これらの色は、各画素情報において捉えられる。選択されたカメラおよび製品からのその距離によって、各画素は、包装表面により、数ミルから1/8インチの寸法を有する。
【0063】
コンピュータ(または肉眼)は、色調および強度に対して画像を容易に処理することができる。カルミンレッド等の色は、簡単に同定される。包装の縁等の目に見える縁は、境目の1つの側面上の画素(例えば、黒の背景)および、包装表面上の今一方の側面にはない画素(例えば、UV−Aバルブの紫および緑ならびに/または酸素不存在の赤色)の比較により容易に決定される。包装の目に見える境目内で、コンピュータは、これらの赤色(酸素不存在の色)またはUV−A黒色光バルブ色による面積を観察し、比較する。コンピュータは、「ノイズ」として、赤色フィールド上の黒色の個々のランダム画素を識別し、無視するようにプログラムを組むことができるが、包装の目に見える境目の赤色内に黒色の任意の拡張された面積が存在する場合は、適当な行動を取ることができる。赤色を伴わない拡張された面積は、酸素の存在、即ち、漏れの存在を示す。コンピュータは、包装をさらに検査に掛けさせるためにおよび/または再包装のために転送させるために、赤色のフィールドにおける1つまたは複数の黒色点の同定に基づく行動を取るためにプログラムを組むことができる。この様にして、包装は、漏れている包装が包装場所から発送されない様に、漏れに対して検査される(および、漏れが検出されれば再包装される)。
【0064】
走査は、包装の一部または全部について行われる。機械映像走査が使用される場合は、全体の包装を走査する1つの手段は、包装の全体の表面を網羅する1つまたは複数の画像を同時に用意する幾つかのカメラを伴う。代替的に、単一カメラを、全体の包装を走査する幾つかの手段と組合せ、カメラで見ながら包装を回転させるか、またはカメラを包装の周りに回転させて、包装の全側面を単独でまたは一緒に網羅した1つまたは複数の映像を得るために使用することができる。
【0065】
本発明への適合に適した市販の機械映像ハードウエアおよびこれを支持するソフトウエアは、One Vision Drive、Natick、MA 01760−2059Natick、MAに在るコグネックス社(Cognex Corporation)(連絡先:www.cognex.comまたは(508)650−3000)を含めて、様々なところから入手可能である。機械映像装置のその他の情報源は、DVT US Headquarters、1855 Satellite Blvd、Suite 100、Duluth、GA 30097−4061(連絡先:www.dvtsensors.comまたは770−814−7920)に在るDVT社(DVT Corporation)である。さらに、入手可能なハードウエアおよびソフトウエアからこの様なシステムを組み立てカスタム化することのできる多数の会社が存在する。Thomas Register 2003には、「機械映像」の総表題の下に、14頁にわたる会社一覧表が収められている。
【0066】
自動走査は、フィルムの何処かに、黒色背景とは別に包装を輝かせる、非O−感応性である第二の紫外線蛍光化合物の適当量を含ませることによって助けられることがある。勿論、この第二の紫外線蛍光化合物は、漏れ指示薬化合物の燐光の周波数と異なる周波数で蛍光を発しなければならない。第二の紫外線蛍光化合物として使用することのできる化合物としては、ベンズオキサゾールとして分類される化合物が挙げられる。好ましいベンズオキサゾールは、2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンズオキサゾール)である。例えば、この化合物は、酸素感応性蛍光化合物を励起するが、緑色−黄色範囲において高い周波数光線を放出する、短波長UV照射を吸収する。機械映像システムは、次いで、2つの波長発光間の差を、「灰色」および「黄色−緑色」の間の境目である包装縁を識別するために、次いで、酸素感応性蛍光化合物の赤色状発光の相対的強度を探すために使用することができる。これは、別に映像システムで見られる「灰色背景」と同じに現れる包装の縁に沿う漏れの位置を確認するのにさらに役立つ。
【0067】
多層フィルムの走査においては、光学またはデジタルフィルターは、励起された発光波長(即ち、指示薬化合物によって発せされる燐光の波長)に対する感度を高めるために使用することができる。励起された発光波長は、次いで、テレビジョンカメラ等のラスターシステムにより走査することができ、または、CCD(電荷結合素子)等の適当な配列検出器上に焦点を合わされた光学画像として捉えることができる。捉えられた画像は、次いで、相対的励起発光強度に対して分析することができる。適切な波長に対して、輝く領域により取り囲まれた灰色領域は、発光が、灰色領域をもたらす、すぐそばの領域において消火された酸素であるから、漏れを表す。
【0068】
完成した包装の完全な被覆を保証するためには、全ての側面を観察することが必要である。一実施形態においては、幾つかの固定された光源および固定されたシステムが、完成した包装の全ての側面を完全に見るために使用される。代替的に、単独光源および検出器は、全ての側面の完全な被覆のために包装の周りを移動させることもできる。代替的に、完成した包装は、単独の固定光源および固定検出器システムの視界内で周りを移動して、全ての側面の完全な視察を達成することができる。
【0069】
一実施形態においては、指示薬は、フィルム層において、約0.001mg/m〜20mg/m、好ましくは、0.01〜2mg/m、さらに好ましくは、0.1〜1mg/m、さらに好ましくは、0.2〜0.5mg/mの量で存在する。漏れに対する走査を肉眼で行う場合は、更なる指示薬は、機械映像装置が、肉眼よりも色調差の検出に対してさらに感応的にさらにすることができるので、機械映像が使用される場合よりも必要とされることもある。
【0070】
指示薬は、フィルム層と一緒にブレンドすることができ、または、フィルムの内側表面上または積層された多層フィルムの2つのフィルム層の間に印刷することもできる。印刷される場合は、指示薬は、インク組成物において存在する。包装全体にわたって存在する指示薬を有することが好ましいが、この様にする必要はない。例えば、シール領域、即ち酷使を受ける領域における等の、漏れの生じることの多い領域においてのみ指示薬を用意することが好ましいこともある。酸素捕集剤は、上で示した通り、フィルムにおいて使用することができるが、幾つかの例においては、フィルムが、酸素捕集剤を含まないことが好ましく、実際に、包装は酸素捕集剤を含まないことが好ましい。
【0071】
肉等の多くの「新鮮な」製品は、空気Oと反応することができる。即ち、この様な製品は、有効なO−捕集剤である。包装の内側からOを捕集するその様な製品は、包装の内側のO濃度を、ポルフィリンが照射されることによって燐光を発することができる水準まで減少することができる。
【0072】
本発明方法において使用されるフィルムは、フィルムのO−バリヤー層の内側の1つまたは複数の層においてO−捕集剤をさらに含むことができる。捕集剤は、包装の内側で低O水準を維持することおよび、指示薬層が、指示薬を消火するための、包装内における十分なOの存在により燐光の発光を妨げられないことを確実することの両方を操作することができる。さらに、O−捕集剤を含むフィルム層の存在は、O捕集速度が、その位置の指示薬を消火するための、漏れ位置におけるOの能力よりも著しく遅いので、本発明方法を行うための能力を損なわないことが分かった。捕集剤は、指示薬を含む層においても存在することができる。
【0073】
指示薬の構造および使用、特に、包装フィルムにおける指示薬の使用との関連、加えて、包装フィルムにおける指示薬からの燐光の検出、特に、包装フィルムにおける酸素捕集剤の存在との関連に関する詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、同時係属中の米国特許出願第09/875515号、名称“Oxygen Detection System for a Solid Article”(2001年6月6日出願、米国特許公開第2003/0082321A1号として、2003年5月1日公開された)に示されている。
【0074】
これらの場合において、包装は、低酸素変性空気包装(MAP)または真空包装(VP)内で、包装において酸素捕集剤を含ませることにより、酸素の存在に対して保証することの利点を見出す。酸素捕集剤を含む包装材料は、最近において、成長し益々高機能化している。例えば、スペアー等(Speer et al.)は、その層内に酸素捕集組成物を導入する、透明な多層包装フィルムを開発した。米国特許第5529833号明細書、第5350622号明細書および第5310497号明細書を参照。
【0075】
図1は、本発明方法における使用のための包装製品を表している断面構造を示す図である。包装製品10は、O−バリヤー層16、指示薬層18、およびシール層20を含む多層フィルム14により周りを囲まれたO−感応性製品12を有する。多層フィルム14は、O−感応性製品12を全体的に取り囲んでいるが、図1は、フィルム14の断面の一部のみを示す。図1においては、指示薬層18が、O−バリヤー層16の「内側」に配置されている点、即ち、指示薬層18は、O−バリヤー層18に関して、包装製品10の外側表面22のさらに内側に位置する点に留意されるべきである。これは、O−バリヤー層18が、大気中Oが指示薬層18の燐光を消火することを妨げるので、重要である。
【0076】
図2は、以下の表I〜VIIIにおいて記載される多層フィルムを製造するための好ましい方法の概略を例示する。図2において示される方法においては、固体ポリマービーズ(図示されない)が、複数の押出機30(単純化のために、1つの押出機だけが図示される)に供給される。押出機30の内部で、ポリマービーズは送られ、溶融され、脱気され、その後に得られる気泡のない溶融体が、ダイヘッド32に送られ、環状ダイを通して押出され、10〜30ミルの厚さ、さらに好ましくは、15〜25ミルの厚さの管状34にされる。
【0077】
冷却リング36からの水の噴霧による冷却または急冷後、管状34は、ピンチロール38でつぶされ、その後、シールディング42で取り囲まれた照射筒形天井40を通って供給され、そこで、管状34は、鉄芯変圧器加速器44からの高エネルギー電子(即ち、イオン化放射線)で照射される。管状34は、照射筒形天井40を通ってロール146に導かれる。好ましくは、管状34は、約4.5MRの水準まで照射される。
【0078】
照射後、照射された管状48は、ニップロール50に導かれ、続いて、管状48は、僅かに膨張させられて、捕捉されたバブル52となる。然しながら、捕捉されたバブル52においては、管状は、ニップロール54の表面速度が、ニップロール50とほぼ同じ速度であるので、縦方向に著しく延伸されない。さらに、照射された管状48は、著しい横の配向なしで、即ち、伸張なしで実質的に円形管を用意するのに十分なだけ膨らまされる。
【0079】
僅かに膨らんだ、照射された管状48は、真空室56に通され、その後、コーティングダイ58に送られる。第二管状フィルム170は、コーティングダイ58から溶融押出しされ、僅かに膨らんだ、照射された管状48の上に被覆され、2層管状フィルム62を形成する。第二管状フィルム60は、好ましくは、イオン化放射線を通していないO−バリヤー層を含む。上述のコーティング工程の更なる詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4278738号明細書(Brax et al.)において示されている。
【0080】
照射およびコーティング後、2層管状フィルム62は、巻き取りロール64に巻かれる。その後、巻き取りロール64は除去され、最終的に望まれる管状フィルムの製造方法における第二工程で巻き戻しロール66として装着される。2層管状フィルム62は、巻き戻しロール66から巻き戻され、ガイドロール68上に通され、その後、2層管状フィルム62は、温水72を含む温水浴タンク70の中に通される。つぶされ、照射され、被覆された管状フィルム62は、少なくとも約5秒の保持時間、即ち、二軸配向にとって望ましい温度までフィルムを持って行く期間、温水72(約210°Fの温度を有する)に沈められる。その後、照射された管状フィルム62は、ニップロール74に導かれ、バブル76は、管状フィルム62を横に伸張するためにブローされる。さらに、ブローしながら、即ち、横に伸張しながら、ニップロール78は、ニップロール78が、ニップロール74の表面速度より早い表面速度を有する様に、管状フィルム62を縦方向において延伸する。横の伸張および縦方向の延伸の結果として、照射され、被覆された二軸配向ブロー管状フィルム80が製造され、このブロー管は、好ましくは、約1:1.5〜1:6の比において伸張され、約1:1.5〜1:6の比において延伸されている。さらに好ましくは、伸張および延伸は、それぞれ、約1:2〜1:4の比で行われる。この結果は、約1:2.25〜1:36、さらに好ましくは、1:4〜1:16の二軸配向である。バブル76が、ピンチロール74および78の間に保持される間に、ブロー管状フィルム80は、ロール82でつぶされ、その後、ニップロール78および横断ガイドロール84で運ばれ、次いで、巻き取りロール86に巻かれる。アイドラーロール88は、良好な巻き取りを確実にする。
【0081】
本発明における使用のための、バッグ、蓋等の製造における使用のための多層フィルムを製造するために使用されるポリマー成分は、また、通常、その様な組成物において含まれるその他の添加剤の適当量を含んでもよい。これらは、ブロッキング防止剤(タルク等)、スリップ剤(脂肪酸アミド等)、充填剤、顔料および染料、照射安定剤(耐酸化剤を含む)、蛍光添加剤(紫外線照射の下で蛍光を発する材料を含む)、帯電防止剤、エラストマー、粘度変性物質(フルオロポリマー加工助剤等)等の、包装フィルムの当業者に知られている添加剤を含む。
【0082】
本発明方法における使用のための多層フィルムは、好ましくは、架橋を引き起すために照射され、加えて、互いに接着されるフィルムの表面を粗くするためにコロナ処理される。図2の方法において見ることができる様に、フィルムは、追加の層がその上に押出し被覆される前に、急冷され、照射された基体を押出すことによって作られる。指示薬(ポルフィリン指示薬を含む)は、70kGyの水準、即ち、基体の照射の一般的な水準で照射に掛けられると、永久に不活性化されることがあるので、ポルフィリンを含む層は、好ましくは、これらの層が照射されない様に、押出しコーティングの層の1つまたは複数においてのみ含まれる。好ましくは、ポルフィリンは、O−バリヤー層の内側の結合層(tie layer)に含まれる。
【0083】
照射方法においては、フィルムは、コロナ放電、プラズマ、炎、紫外線、X−線、ガンマ線、ベータ線等のエネルギー照射処理、および照射された材料の分子間に架橋を引き起す高エネルギー電子処理に掛けられる。ポリマーフィルムの照射は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4064296号明細書(Bornstein et al.)において開示されている。ボルンシュタイン等(Bornstein et al.)は、フィルムにおいて存在するポリマーを架橋するためのイオン化放射線の使用を開示している。
【0084】
線量は、本明細書では、当業者に知られている、「MR」として表される、メガラドとしても知られている、100万RADSと一緒に、放射線単位「RAD」、または、1MRを表す10キロGrayと一緒に、放射線単位キロGray(kGy)に関して参照される。高エネルギー電子の適当な線量は、約16〜166kGy、さらに好ましくは、約40〜90kGy、なおさらに好ましくは、55〜75kGyまでの範囲である。好ましくは、照射は、電子加速器で行われ、線量は、標準線量測定方法により決定される。ファンデルグラフまたは共鳴変圧器等のその他の加速器が使用されてもよい。放射線は、任意のイオン化放射線が使用可能であるので、加速器からの電子に限られない。
【0085】
本明細書において使用される「コロナ処理」および「コロナ放電処理」という用語は、ポリオレフィン等の熱可塑性材料の表面を、コロナ放電に掛けること、即ち、フィルム表面に近い近傍における空気等の気体のイオン化、すぐ近くの電極を通過する高電圧により開始されるイオン化に掛け、フィルム表面に対して酸化および変化、例えば、表面粗化等を引き起すことを意味する。
【0086】
ポリマー材料のコロナ処理は、ポリエチレン表面を酸化するための、コロナ処理によるポリエチレンの表面の改善された粘着特性を開示する、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4120716号明細書(Bonet)(1978年10月17日発行)において開示されている。また、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4879430号明細書(Hoffman)は、タンパク質材料への肉の接着のために、肉の接着を増加させるための、繊維の内側表面のコロナ処理を伴う、包装のまま肉を料理する際の使用のためのプラスチック繊維の処理のためのコロナ放電の使用を開示している。コロナ放電は、本発明のパッチバッグを作るために使用される多層フィルムの好ましい処理であるが、フィルムのプラズマ処理も、使用されてもよい。
【0087】
多層フィルムは、好ましくは、端部シールバッグまたは側面シールバッグである、重ね合わせ平面バックを作るために、管状フィルム(即ち、裏縫い目または縫い目なし)をヒートシールすることにより、本発明方法における使用のためのバッグに転換される。同様に、平面フィルムの2つの部分は、U−シールポーチを作るために互いにシールすることができ、または、平面フィルムは、折り重ねて、側面シールバッグまたはL−シールバッグを作るためにそれ自体にシールすることができる。1つまたは複数のパッチは、バッグ上に用意することができる。端部シール、側面シール、およびL−シールバッグ、ならびにこの上のパッチは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6383537B1号明細書、名称“Patch Bag Having Overhanging、Bonded Patches”に開示されている。
【0088】
図3は、その内側表面に接着した、O−バリヤーライナーフィルム116を有するトレイ118、トレイ118において配置された、O−感応性製品111(挽肉等)、およびトレイフランジ113において、バリヤーフィルム116に接着またはシールされた多層蓋フィルム110を含む包装製品117の一部の断面図を示す。多層蓋フィルム110は、外側O−バリヤー層120および内側シールならびに指示薬層122を有する。上部空間124は、低O変性空気を含む。バリヤーライナーフィルム116は、組成物において単層または多層であることができ、本明細書において開示されるタイプの酸素バリヤー層を含む。本明細書において開示されるタイプのオレフィン系材料を含む、適当なオレフィン系封止材は、バリヤーライナーにおいて別々の層を形成することができる。バリヤーライナー116のための一般的な5層構成は、オレフィンポリマーまたはコポリマー/結合材/EVOH/結合材/オレフィンポリマーまたはコポリマーである。
【0089】
以下の表Iは、それぞれのフィルム層の組成、厚さ、および一般的な機能を含めて、本発明における使用のための好ましい多層フィルム構造を提供する。環状ダイから押出され、その後、押出し被覆されたこのフィルムは、継ぎ目なし管の形態であり、凡そ2.4ミルの全厚さを有し、185°Fで、機械方向において20%および横方向において33%の全自由収縮を示した。
【0090】
【表1】

【0091】
表Iにおいて、LLDPE#1は、DOWLEX(登録商標)2045線状低密度ポリエチレンであり、ダウ社(Dow Chemical Company of Midland、Michigan)から入手した。LLDPE#2は、ESCORENE(登録商標)LL3003.32線状低密度ポリエチレンであり、エクソン社(Exxon Chemical company of Baytown、Texas)から入手した。SSPE#1は、AFFINITY(登録商標)PL1280メタロセン触媒されたエチレン/オクテンコポリマーであり、0.900g/ccの密度および6g/10分のメルトインデックスを有し、ダウ社から入手した。HDPE#1は、Fortiflex(登録商標)T60−500−119高密度ポリエチレンであり、ソルベー社(Solvay Polymers、of Deer Park、Texas)から入手した。EVA#1は、ESCORENE(登録商標)LD318.92エチレン/酢酸ビニルコポリマーであり、2.0のメルトインデックス、0.930g/ccの密度および9%の酢酸ビニルモノマー含有量を有し、エクソン社から入手した。EBA#1は、18%のブチルアクリレートを含む、SP1802エチレン/ブチルアクリレートコポリマーであり、シェブロン社(Chevron Chemical Company、of Houston、Texas)から入手した。
【0092】
以下の表IIは、全厚さが3ミルで、185°Fで、機械方向において28%および横方向において36%の自由収縮を有する、本発明における使用のためのその他の好ましい多層フィルム構造を提供する。
【0093】
【表2】

【0094】
以下の表IIIは、全厚さが約2.2ミルで、185°Fで、機械方向において約31%および横方向において約44%の自由収縮を有する、本発明における使用のためのその他の好ましい多層フィルム構造を提供する。
【0095】
【表3】

【0096】
以下の表IVは、全厚さが2.3ミルで、185°Fで、機械方向において25%および横方向において41%の自由収縮を有する、本発明における使用のためのその他の好ましい多層フィルム構造を提供する。
【0097】
【表4】

【0098】
以下の表Vは、全厚さが2ミルで、185°Fで、機械方向において31%および横方向において46%の自由収縮を有する、本発明における使用のためのその他の好ましい多層フィルム構造を提供する。
【0099】
【表5】

【0100】
以下の表VIは、全厚さが2.2ミルで、185°Fで、機械方向において36%および横方向において51%の自由収縮を有する、本発明における使用のためのその他の好ましい多層フィルム構造を提供する。
【0101】
【表6】

【0102】
表II〜VIにおいて、SSPE1は、0.900g/ccの密度および6g/10分のメルトインデックスを有する、Dow Affinity(登録商標)PL1280エチレン/オクテンコポリマーであった。SSPE2は、0.902g/ccの密度および3g/10分のメルトインデックスを有する、Dow Affinity(登録商標)PL1850であった。SSCPE3は、0.901g/ccの密度および0.9g/10分のメルトインデックスを有する、DPF 1150.01単一部位触媒されたエチレン/オクテンコポリマーであり、ダウ社から入手した。LLDPE1は、0.9175g/ccの密度および3.2g/10分のメルトインデックスを有する、Exxon ESCORENE(登録商標)LL3003.32線状低密度ポリエチレンであった。LLDPE2は、0.905g/ccの密度および0.8g/10分のメルトインデックスを有する、Dow Attane(登録商標)4203であった。LLDPE3は、0.92g/ccの密度および1.1g/10分のメルトインデックスを有する、Dow Dowlex(登録商標)2045.03線状低密度ポリエチレンであった。LLDPE4は、0.918g/ccの密度および4.5g/10分のメルトインデックスを有する、Exceed(登録商標)4518PAエチレン/ヘキセンコポリマーであった。LDPEは、0.911g/ccの密度および5.7〜7.5g/10分のメルトインデックスを有する、Ruxell(登録商標)V3401エチレン/オクテンコポリマーであり、ハンツマン社(Huntsman)から入手した。EVA1は、15%の酢酸ビニル含有量で、0.933g/ccの密度および3.5g/10分のメルトインデックスを有する、LD−713.93エチレン/酢酸ビニルコポリマーであり、エクソン社から入手した。EVA2は、0.95g/ccの密度、5.7g/10分のメルトインデックス、および28%の酢酸ビニル含有量を有する、Escorene(登録商標)LD761.36エチレン/酢酸ビニルコポリマーであり、エクソンモービル社(ExxonMobil)から入手した。EVA3は、0.93g/ccの密度、2g/10分のメルトインデックス、および9%の酢酸ビニル含有量を有する、Escorene(登録商標)LD318.92エチレン/酢酸ビニルコポリマーであり、エクソンモービル社から入手した。EVA4は、0.928g/ccの密度、2g/10分のメルトインデックス、および8.9%の酢酸ビニル含有量を有する、Elvax(登録商標)3128エチレン/酢酸ビニルコポリマーであり、デュポン社(DuPont)から入手した。EMAは、20%のメチルアクリレート含有量、0.944g/ccの密度および2g/10分のメルトインデックスを有する、EMAC SP 1305エチレン/メチルアクリレートコポリマーであり、エクソン社から入手した。EPDは、0.87g/ccの密度および1.5g/10分のメルトインデックスを有する、Vistalon(登録商標)7800エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーであり、エクソン社から入手した。VDC/MAは、SARAN(登録商標)MA−134塩化ビニリデン/メチルアクリレートコポリマーであり、ダウ社から入手した。エポキシ化大豆油は、PLAS−CHEK(登録商標)775エポキシ化大豆油であり、ベドフォード社(Bedford Chemical Division of Ferro Corporation、of Walton Hills、Ohio)から入手した。bu−A/MA/bu−MAターポリマーは、METABLEN(登録商標)L−1000ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレートターポリマーであり、エルフ社(Elf Atochem North America、Inc.、of 2000 Market Street、Philadelphia、Pennsylvania 19103)から入手した。MB1は、0.975g/ccの密度および7.5g/10分のメルトインデックスを有する、スリップ剤およびブロッッキング防止剤を伴う、FSU 93Eポリエチレンマスターバッチであり、シュルマン社(A.Schulman)から入手した。MB2は、1.25g/ccの密度を有する、180637ライトクリームマスターバッチであり、アンパセット社(Ampacet)から入手した。
【0103】
上述の表I〜VIのフィルムにおいては、「指示薬」層として特定された層は、指示薬と、特定の層を作り上げるポリマーとをブレンドするのに好ましい層である。勿論、これは、指示薬層として使用することのできる層だけではない。さらに、指示薬は、印刷が多層フィルムの層間において捕捉される様に、フィルムの内側表面上または、例えば、押出しコーティング前の照射された基体上のいずれかのフィルム上に印刷することができる。
【0104】
本発明方法において有用なその他のフィルムは、多層フィルム、例えば、垂直形成/充填/シール装置において作られるポーチにおける流体またはポンプ輸送できる食品の包装のためのCryovac Inc.製FS(商標)フィルムである。このタイプのフィルムは、一般的な構造:
封止材/結合材/ナイロン/EVOH/ナイロン/結合材/封止材
を有する(ここで、封止材は、本明細書において開示される任意のものを含み、結合材層は、無水物変性されたポリマーのオレフィン系またはアミド系接着剤であり、ナイロン層は、任意のポリアミドまたはコポリアミドを含み、EVOH(エチレン/ビニルアルコールコポリマー)層は、酸素バリヤー層として機能する)。酸素捕集剤は、上記のフィルム構造内の層として適当に含ませることができ、酸素指示薬は、EVOH層の内側の任意の1つまたは複数の層に存在することができ、あるいはバリヤー層の内側またはEVOH層の内側の任意の前述の層間、または、フィルムの封止材層上に印刷することができる。
【0105】
本発明は、好ましい実施形態と関連して記載したが、当業者が容易に理解する様に、変更および変形は、本発明の原理および範囲から逸脱することなく利用されてもよいことが理解されるべきである。したがって、その様な変更は、特許請求の範囲内で実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明方法における使用のためのバッグタイプ包装製品の概略を示す図であり、包装は、多層フィルムで取り囲まれたO−感応性製品を含み、その一部が、断面図において例示される。
【図2】本発明における使用のためのフィルムの製造方法の概略を示す図である。
【図3】本発明における使用のためのトレイタイプ包装製品の断面を示す図であり、包装は、O−感応性製品を含み、その上に、多層フィルム蓋フィルムが存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(i)O−感応性指示薬が、漏れ指示薬層全体にわたって存在する漏れ指示薬
層、および
(ii)前記漏れ指示薬層の外側のO−バリヤー層
を含む多層フィルムで、O−感応性製品の少なくとも一部を覆うことにより包装を用意する工程と、
(B)前記包装内に、低O環境を用意する工程と、
(C)前記漏れ指示薬層を、前記O−感応性指示薬によって吸収される波長を含む光で照射し、これによりO−感応性指示薬が、O−感応性指示薬と共に存在するOの水準に反比例する量において放射線を放出する工程と、
(D)前記O−感応性指示薬が、放射線を放出する間に、前記多層フィルムを走査し、前記走査が、前記多層フィルムの少なくとも2つの異なる領域から放出された放射線量を感知および比較することにより行われる工程と
を含む、包装における漏れの検出方法。
【請求項2】
低O環境が、
(i)O−捕集剤と共に包装を用意することにより、前記包装内側のOを捕集すること、
(ii)包装内から大気を排出すること、および
(iii)包装の大気中Oを置き換えること、
からなる群から選択される少なくとも1つの行為を実施することにより用意される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの異なる走査領域から放出された放射線の感知および比較の結果が、包装中への漏れの不存在と相関する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの異なる走査領域から放出された放射線の感知および比較の結果が、包装中への少なくとも1つの漏れの存在と相関する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの漏れを有する包装内のO−感応性製品が、前記包装から除去され、新しい包装により再包装される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
漏れが、多層フィルムにおける少なくとも1つの穴を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
漏れが、フィルム自体または包装のその他の成分へのシールの少なくとも1つの不連続を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
シールがヒートシールである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
感知および比較が、少なくとも1つの包装中への大気中Oの漏れの存在および位置の両方を判定できる様に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
包装が、多層フィルムをそれ自体にシールすることにより作られるバッグの中にO−感応性製品を収納し、次いで、前記バッグ内から空気を排出し、空気を前記バッグから排出しながら、バッグの開口先端部を横切ってバッグの内側層をそれ自体にシールすることにより作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
多層フィルムが、機械方向および横方向の両方において、185°Fで少なくとも5%の自由収縮を有し、バッグの内側層が、前記バッグの開口部先端を横切って、それ自体にシールされた後に、前記フィルムを熱収縮させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
製品が、肉を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
−感応性製品が、非食品である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
包装が、底部形成部分および前記底部形成部分にシールされた蓋ストックを含み、前記蓋ストックが、多層フィルムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
包装が、変性空気を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
−感応性指示薬が、フィルム上に印刷されている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
−感応性製品が、包装内側のOを捕集する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
−感応性製品が、食品を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
包装が、Oバリヤーライナーを伴うトレイを含み、前記トレイが、フランジを有し、O−感応性製品が、前記トレイ上に存在し、多層フィルムが、前記製品を覆って存在し、前記トレイフランジに接着している、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
バリヤー層が、25℃、0%RH、1atm(ASTM D 3985)において、100cc/m/24時間以下の酸素透過率を有し、前記Oバリヤー層が、ポリエステル、ポリアミド、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリロニトリルホモポリマーおよびコポリマー、液晶ポリマー、SiO、炭素、金属、ならびに金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
−感応性指示薬が、オクタエチルポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、テトラベンゾポルフィリン、またはクロリン、バクテリオクロリン、もしくはこのイソバクテリオクロリンのメタロ誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
−感応性指示薬が、ポルフィリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
フィルムが、食品を取り囲む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
大気が、食品およびフィルム間で排出される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
大気が、食品および多層フィルム間に存在し、前記大気が、5重量%未満の量においてOを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
フィルムが、
i)酸化可能な有機化合物および遷移金属触媒、
ii)エチレン系不飽和炭化水素および遷移金属触媒、
iii)UVスペクトルにおける吸収性を有する還元形態のキノン、光還元性染料、またはカルボニル化合物、
iv)ポリマー骨格、環状オレフィン系ペンダント、および前記オレフィン系ペンダントを前記ポリマー骨格に結合する連結基を有するポリマー、
v)エチレンとひずんだ環状アルキレンとのコポリマー、ならびに
vi)エチレン/ビニルアラルキルコポリマー、
vii)アスコルベート、
viii)イソアスコルベート、
ix)サルファイト、
x)アスコルベートおよび遷移金属触媒(前記触媒は、遷移金属の単独金属もしくは塩、または化合物、錯体もしくはキレートを含む)、
xi)ポリカルボン酸、サリチル酸、またはポリアミンの遷移金属錯体またはキレート、
xii)タンニン、ならびに
xiii)還元金属
からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むO−捕集剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
酸素指示薬および酸素捕集剤が、ブレンドの形態で存在する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ブレンドが、フィルムの1つの層に存在する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
酸素指示薬が、接着剤でカプセル化されている、請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−514168(P2007−514168A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544130(P2006−544130)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/042264
【国際公開番号】WO2005/059500
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(500256772)クライオバック・インコーポレイテツド (25)
【Fターム(参考)】