説明

密閉型圧縮機の製造方法

【課題】従来のレーザ溶接方法では、板金具とアキュムレータ間のレーザ溶接を行う際、レーザでは照射範囲が狭いことからアキュムレータと板金具の位置決めがずれた際にレーザの照射目標がずれてしまい、溶接が出来ない部分が発生するという課題があった。
【解決手段】本発明は、アキュムレータ2と接する板金具3の縁部形状を溶接進行方向に対して直角方向の凹凸を有する形状とし、該凹凸の山と谷の間の範囲内でレーザビームを照射して溶接するものである。これにより、レーザビームの位置決め精度がある程度低くても、確実に溶接固定を行うことができ、溶接失敗を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機、空調機などに使用される密閉型圧縮機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の密閉型圧縮機はアキュムレータを板金具、取付け金具、ゴムテープ、ネジにより密閉容器に固定している。
【0003】
また、アキュムレータを板金具に溶接することにより密閉容器に固定しているものもあり、アキュムレータと板金具の溶接方法としてレーザによる溶接が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−132600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のレーザ溶接方法では、板金具とアキュムレータ間のレーザ溶接を行う際、レーザでは照射範囲が狭いことからアキュムレータと板金具の位置決めがずれた際にレーザの照射目標がずれてしまい、溶接が出来ない部分が発生するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アキュムレータと接する板金具の縁部形状を溶接進行方向に対して直角方向の凹凸を有する形状とし、該凹凸の山と谷の間の範囲内でレーザビームを照射して溶接するものである。これにより、レーザビームの位置決め精度がある程度低くても、確実に溶接固定を行うことができ、溶接失敗を防ぐことができる。
【0007】
または、板金具縁部に凹凸形状を形成することなく、レーザビームを溶接進行方向に対して直角方向に揺動させながら照射することで、レーザ照射目標ズレによる溶接失敗を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0008】
レーザ溶接のビーム位置決め精度が高くない場合でも、確実に被溶接箇所を捉えることが出来、レーザ照射目標ズレによる溶接失敗を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態における密閉型圧縮機を示す図
【図2】本発明の第2の実施の形態における密閉型圧縮機を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、板金具形状を、凹凸を持たせた形状にすることによりレーザの照射目標範囲を広く設定することが出来、レーザ目標がずれたとしても安定したレーザ溶接を行うことが出来る。
【0011】
第2の発明は、レーザビームを溶接進行方向に対して直角方向に揺動させながら照射することで、レーザの照射範囲を広く設定することが出来、安定したレーザ溶接を行うこと
が出来る。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載する実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における密閉型圧縮機を示すものである。図1において、密閉容器1に板金具3、アキュムレータ2がレーザ溶接部4で接合される。板金具3の先端縁部を、溶接進行方向に対して直角方向の凹凸をもたせた形状にすることにより、レーザを照射した際の照射目標範囲を広く設定することが出来、レーザ目標がずれたとしても安定したレーザ溶接を行うことが出来る。
【0014】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における密閉型圧縮機を示すものである。図2において、板金具31の先端縁部形状はストレートのままであり、レーザビームを溶接進行方向に対して直角方向に揺動させながら照射することによりレーザ溶接部41をジグザグ形状とさせ、レーザの照射範囲を広く設定することが出来、安定したレーザ溶接を行うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上のように、本発明における密閉型圧縮機は、溶接を安定させ信頼性の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 密閉容器
2 アキュムレータ
3 板金具
31 板金具
4 レーザ溶接部
41 レーザ溶接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に固定された板金具に、アキュムレータをレーザ溶接により溶接固定する密閉型圧縮機の製造方法であって、前記レーザ溶接は板金具の縁部においてアキュムレータとの間で行われ、かつ、前記溶接が行われる板金具縁部はレーザ溶接進行方向に対して直角方向に凹凸を有する形状を有しており、前記レーザ溶接はこの凹凸の山と谷の間の範囲内で行われる密閉型圧縮機の製造方法。
【請求項2】
密閉容器に固定された板金具に、アキュムレータをレーザ溶接により溶接固定する密閉型圧縮機の製造方法であって、前記レーザ溶接は板金具の縁部においてアキュムレータとの間で行われ、かつ、レーザビームを溶接進行方向に対して直角方向に揺動させながら照射する密閉型圧縮機の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−92666(P2012−92666A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238208(P2010−238208)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】