説明

密閉型電池及びその製造方法

【課題】外部端子への外力に対する耐性を向上した密閉型電池を提供する。
【解決手段】ケース内部から外部に延出されるリベットを有する内部端子と、前記内部端子のリベットをかしめることにより、前記内部端子と接続されるとともに、外部電極と接続可能な外部端子と、前記ケースと前記内部端子及び前記外部端子の間をシールするシール部材と、を具備し、前記内部端子のリベットをかしめることにより形成されるかしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側の部位で前記シール部材の圧縮率が他の部位よりも大きくなるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池のケース内から外側へ延出される内部端子と、ケース外に設けられる外部端子とをリベットかしめによって接続した密閉型電池の構成が開示されている。この構成において、電池ケースと内部端子との間に環状のシール部材を配置し、内部端子へのかしめ時にシール部材に掛かる荷重を均等にすることによって、シール性能を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−282848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池を使用する際、外部端子は、他の電池や外部機器(以降、「外部機器等」と記載する)と接続される。外部機器等との接続時、又は使用時の振動等により外部端子に外力が加えられる。本発明は、このような外部端子への外力に対する耐性を向上した密閉型電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の密閉型電池は、ケース内部から外部に延出されるリベットを有する内部端子と、前記内部端子のリベットをかしめることにより、前記内部端子と接続されるとともに、外部電極と接続可能な外部端子と、前記ケースと前記内部端子及び前記外部端子の間をシールするシール部材と、を具備し、前記内部端子のリベットをかしめることにより形成されるかしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側の部位で前記シール部材の圧縮率が他の部位よりも大きくなるように形成される。
【0006】
前記かしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側に延出され、その部位のリベット径が他の部位よりも大きくなるように形成されることが好ましい。
【0007】
本発明の密閉型電池の他の実施形態は、ケース内部から外部に延出されるリベットを有する内部端子と、前記内部端子のリベットをかしめることにより、前記内部端子と接続されるとともに、外部電極と接続可能な外部端子と、前記ケースと前記内部端子及び前記外部端子の間をシールするシール部材と、を具備し、前記内部端子のリベットをかしめることにより形成されるかしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側に延出され、その部位のリベット径が他の部位よりも大きくなるように形成される。
【0008】
本発明の密閉型電池の好ましい一実施形態は、前記外部端子は、前記内部端子のリベットと接続される金属端子と、前記外部電極と接続される外部接続端子とを有し、前記金属端子は、前記内部端子のリベットが固定される固定片と、前記固定片から屈曲されて連続し、前記固定片が連続する部位が前記ケースから離れる方向に延びる接続片と、前記接続片から屈曲されて連続し、前記外部接続端子が貫通する端子片とを含む。
【0009】
本発明の密閉型電池の製造方法は、ケース内部から外部に延出されるリベットを有する内部端子と、前記内部端子のリベットをかしめることにより、前記内部端子と接続されるとともに、外部電極と接続可能な外部端子と、前記ケースと前記内部端子及び前記外部端子の間をシールするシール部材と、を具備する密閉型電池を製造する方法であって、前記内部端子のリベットをかしめてかしめ部を形成する工程において、前記かしめ部における前記外部端子に前記外部電極が接続される側の部位のかしめ荷重を他の部位よりも大きくすることによって、前記かしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側で前記シール部材の圧縮率が他の部位よりも大きくなるように形成される。
【0010】
前記かしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側に延出され、その部位のリベット径が他の部位よりも大きくなるように形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部端子への外部からの外力に対する耐性を向上でき、電池使用時におけるリベットかしめ部のシール性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】密閉型電池を示す図である。
【図2】集電端子と外部端子との接続部分を示す拡大図である。
【図3】集電端子のリベットと外部端子とのリベットかしめを示す図である。
【図4】リベットかしめにより形成されるかしめ部を示す図である。
【図5】集電端子のリベットと外部端子とのリベットかしめの別実施形態を示す図である。
【図6】集電端子のリベットと外部端子とのリベットかしめの別実施形態を示す平面図である。
【図7】集電端子のリベットと外部端子とのリベットかしめの他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2を参照して密閉型電池1について説明する。
密閉型電池1では、ケース2内に電極体3及び電解液4が収納され、電極体3の正極・負極と接続された内部端子である各集電端子10と、正極・負極の各外部端子20とがリベットかしめによって接続されている。
【0014】
ケース2は、電極体3及び電解液4を収容する箱状の本体2aと、本体2aの開口部分を塞ぐ板状の蓋2bとを含む。蓋2bは、各集電端子10のリベット11が貫通可能な貫通孔2cを有し、その貫通孔2cを介してリベット11がケース2外に延出される。
ケース2の内側において、蓋2bと各集電端子10の間には、ガスケット30が配置される。また、ケース2の外側において、蓋2bと各外部端子20の間には、絶縁部材40が配置される。
【0015】
ガスケット30は、蓋2bと集電端子10との間をシールし、シール性及び絶縁性を確保するための部材である。集電端子10のリベット11は、ガスケット30を貫通して蓋2bの貫通孔2cに至る。
絶縁部材40は、蓋2bと外部端子20との間の絶縁性を確保するための部材である。また、絶縁部材40は、蓋2bの貫通孔2cと集電端子10のリベット11との間の絶縁性を確保する。絶縁部材40の上面側、つまりケース2の外側において、集電端子10と外部端子20とがリベットかしめによって固定される。集電端子10のリベット11は、絶縁部材40及び外部端子20を貫通して、ケース2の外側に露出されている。
【0016】
図2に示すように、集電端子10のリベット11は、ガスケット30、貫通孔2c、絶縁部材40、外部端子20を貫通して、ケース2の外に延出された状態でかしめられる。これにより、リベット11の先端にかしめ部12が形成されて、集電端子10と外部端子20とが電気的に接続されるとともに、集電端子10と外部端子20とが蓋2bに固定される。
【0017】
図2に示すように、外部端子20は、リベット11と接続される金属端子21と、金属端子21から突出するボルト22とを含む。金属端子21は、クランク状に曲げられた板状の部材であり、側面視略Z字型に構成される。
【0018】
金属端子21の一側は、リベット11のかしめ部12によって絶縁部材40を介して蓋2bに固定される。金属端子21は、その一側から他側にかけてケース2の外側に向けて(蓋2bから離れる方向に)曲げられ、さらにリベット11から離れる方向に延出されている。そして、金属端子21の他側にボルト22が貫通した状態で固定される。このように、ボルト22は、金属端子21を介して、リベット11に対してオフセットした状態で固定されている。
より詳しくは、金属端子21は、かしめ部12によって絶縁部材40を介して蓋2bに固定される固定片21aと、固定片21aに屈曲方向に連続し、固定片21aに連続する部分がケース2から離れる方向に延びる接続片21bと、接続片21bに屈曲方向に連続して、蓋2bの板面に沿って固定片21aから離れる方向へ延出し、ボルト22が貫通する端子片21cとを含む。
【0019】
ボルト22は、おねじ部22aがケース2の外側に向けて突出するように固定されており、その頭部22bは、絶縁部材40の内部に配置される。密閉型電池1を使用する際には、ボルト22のおねじ部22aにバスバー等の外部機器等と接続するための外部電極を挿通し、それをナット等で締結することによって、密閉型電池1の内部と外部とを電気的に接続する。
【0020】
図3及び図4を参照して、集電端子10のリベット11へのかしめ工程について説明する。
図3(a)に示すように、かしめ前の状態において、リベット11は軸方向に直線状に延びる形状を有する。リベット11がガスケット30、蓋2bの貫通孔2c、絶縁部材40、外部端子20の金属端子21を貫通し、ケース2(蓋2b)の外側に突出した状態で治具等によって固定される。
図3(b)に示すように、リベット11の先端をかしめ工具50によってかしめて、リベット11のうち金属端子21の表面よりも突出する部分を変形させてかしめ部12を形成する。本実施形態では、かしめ工具50としてロータリーかしめ工具を用いた例を示している。
【0021】
このとき、図4に示すように、かしめ部12のボルト22が配置される側、すなわち外部端子20が外部と接続される側(図示右側の領域A)におけるガスケット30の圧縮率が、その反対側(図示左側の領域B)の圧縮率よりも大きくなるようにかしめられる。つまり、領域Aにおけるかしめ部12の下面と集電端子10の上面との寸法が、領域Bにおけるそれよりも小さくなるようにかしめられる。
【0022】
言い換えれば、リベット11のうち、ボルト22が配置される側に対して、その反対側よりも、かしめ工具50によるかしめ荷重が大きくなるように、又はかしめ量が多くなるようにかしめ工程が実施される。
例えば、かしめ工具50としてロータリーかしめ工具を用いた場合は、領域Aに相当する部位でかしめ荷重を増加させる、又は、領域Aに相当する部位でローテーションを終了する等して、係る部位のかしめ量を多くする方法を採用できる。また、かしめ工具50としてプレスかしめ工具を用いた場合は、リベット11の全体をプレスしてかしめた後、別のプレス工具を用いて領域Aに相当する部位のみを部分的にプレスすることによって、係る部位のかしめ量を多くする方法を採用できる。
【0023】
このように本実施形態では、リベット11の全周に亘って均等なかしめを行うのではなく、外部電極(バスバー等)と接続されるボルト22が配置される側でかしめ締結力が大きくなるように非対称にかしめて、外部接続側のガスケット30の圧縮率が他の部位よりも大きくなるようにかしめ工程を行っている。
これにより、ボルト22に外部電極を接続する際に大きな締結力(軸力)が生じた場合、密閉型電池1の使用時に振動に起因する外力がボルト22に生じた場合にも、ボルト22が配置される側のかしめ部12のかしめ締結力が大きいため、かしめ部12の持ち上がりを防止できる。また、ボルト22に想定以上の外力が加わり、かしめ部12の一部が持ち上がった場合でも、ボルト22側のガスケット30の圧縮率を予め大きくしておくことで、一定以上の圧縮率を維持できる。
従って、外部端子20に加えられる外力に対する耐性を向上し、リベットかしめに関するシール性の低下を抑制できる。
【0024】
以上の実施形態では、かしめ部12のかしめ量に分布を持たせることによって、ガスケット30の圧縮率に分布を持たせて外部接続側のかしめ締結力を増加させる構成について説明したが、図5及び図6に示すように、かしめ工程によって形成されるかしめ部12の形状を工夫することによって、外部接続側のかしめ締結力を増加させても良い。
【0025】
図5及び図6に示すように、外部接続用のボルト22が配置される側へのかしめ部12の延出量がその他の部位よりも大きくなるようにかしめ工程を実施する。
つまり、図6に示すように上面視円形状のリベット11に対するかしめ工程において、かしめ部12の形状が、円形状からそのボルト22配置側がボルト22に向けて延出されるように(略卵型に)かしめられ、ボルト22側のリベット径が他の部位よりも大きくなるようにかしめられる。
【0026】
このように本実施形態では、かしめ部12のボルト22配置側の面積を大きくすることによって、かしめ部12による金属端子21の押さえ量がボルト22配置側において部分的に大きくなるようにリベット11をかしめている。
言い換えれば、リベット11の全周に亘って均等なかしめを行うのではなく、外部電極と接続されるボルト22が配置される側でかしめ締結力が大きくなるように非対称にかしめて、外部接続側のかしめ部12による金属端子21の保持力が他の部位よりも大きくなるようにかしめ工程を行っている。
【0027】
これにより、ボルト22に外部機器等の外部電極を接続する際に大きな締結力(軸力)が生じた場合、密閉型電池1の使用時に振動に起因する外力がボルト22に生じた場合にも、ボルト22が配置される側のかしめ部12のかしめ締結力(かしめ部12によって外部端子20を保持する荷重)が大きいため、かしめ部12の持ち上がりを防止できる。また、ボルト22に想定以上の外力が加わり、かしめ部12の一部が持ち上がった場合でも、ボルト22側の保持面積を予め大きくしておくことで、一定以上のガスケット30の圧縮率を維持できる。
従って、外部端子20に加えられる外力に対する耐性を向上し、リベットかしめに関するシール性の低下を抑制できる。
【0028】
また、図7に示すように、かしめ部12の形状について、外部接続側(ボルト22側)の長さを増加させてリベット径を大きくするとともに、ボルト22側のガスケット30の圧縮率を増加させても良い。つまり、上記二つの実施形態を組み合わせて実施しても良い。
この場合、外部端子20に加えられる外力に対する耐性をさらに向上できる。
【符号の説明】
【0029】
1:密閉型電池、2:ケース、2b:蓋、10:集電端子、11:リベット、12:かしめ部、20:外部端子、21:金属端子、22:ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内部から外部に延出されるリベットを有する内部端子と、
前記内部端子のリベットをかしめることにより、前記内部端子と接続されるとともに、外部電極と接続可能な外部端子と、
前記ケースと前記内部端子及び前記外部端子の間をシールするシール部材と、を具備し、
前記内部端子のリベットをかしめることにより形成されるかしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側の部位で前記シール部材の圧縮率が他の部位よりも大きくなるように形成されることを特徴とする密閉型電池。
【請求項2】
前記かしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側に延出され、その部位のリベット径が他の部位よりも大きくなるように形成される請求項1に記載の密閉型電池。
【請求項3】
ケース内部から外部に延出されるリベットを有する内部端子と、
前記内部端子のリベットをかしめることにより、前記内部端子と接続されるとともに、外部電極と接続可能な外部端子と、
前記ケースと前記内部端子及び前記外部端子の間をシールするシール部材と、を具備し、
前記内部端子のリベットをかしめることにより形成されるかしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側に延出され、その部位のリベット径が他の部位よりも大きくなるように形成されることを特徴とする密閉型電池。
【請求項4】
前記外部端子は、前記内部端子のリベットと接続される金属端子と、前記外部電極と接続される外部接続端子とを有し、
前記金属端子は、前記内部端子のリベットが固定される固定片と、前記固定片から屈曲されて連続し、前記固定片が連続する部位が前記ケースから離れる方向に延びる接続片と、前記接続片から屈曲されて連続し、前記外部接続端子が貫通する端子片とを含む請求項1から3の何れか一項に記載の密閉型電池。
【請求項5】
ケース内部から外部に延出されるリベットを有する内部端子と、前記内部端子のリベットをかしめることにより、前記内部端子と接続されるとともに、外部電極と接続可能な外部端子と、前記ケースと前記内部端子及び前記外部端子の間をシールするシール部材と、を具備する密閉型電池を製造する方法であって、
前記内部端子のリベットをかしめてかしめ部を形成する工程において、
前記かしめ部における前記外部端子に前記外部電極が接続される側の部位のかしめ荷重を他の部位よりも大きくすることによって、前記かしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側で前記シール部材の圧縮率が他の部位よりも大きくなるように形成されることを特徴とする密閉型電池の製造方法。
【請求項6】
前記かしめ部は、前記外部端子の外部電極との接続側に延出され、その部位のリベット径が他の部位よりも大きくなるように形成される請求項5に記載の密閉型電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105538(P2013−105538A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246746(P2011−246746)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】