説明

密閉式混練機

【課題】混練中の被混練材料温度の制御性能に優れた密閉式混練機を提供する。
【解決手段】断面が連通された2つの円形である筒状密閉な混練室を形成するチャンバーと、前記混練室に収納され回転により被混練材料を混練する2本の混練用ロータ41とを有する密閉式混練機において、混練用ロータ41の中心Pに冷却媒体が循環する空間45を設けるとともに、混練用ロータ41の回転方向側に面した部分であってチップ部44を除く表面に複数の凹部42を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練室の混練用ロータを回転することで被混練材料を混練する密閉式混練機に関する。詳細には、混練中に上昇する混練室内(被混練材料)の温度を制御する構造に関し、更に混練室内の被混練材料の流動性を向上させる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、密閉式混練機の技術は公知となっている。
例えば、下記特許文献1に開示されるものがある。この特許文献1のものは、断面が連通された2つの円形である筒状密閉な混練室を形成するチャンバーと、前記混練室に収納され回転により被混練材料を混練する2本のロータとを有する密閉式混練機において、チャンバーには各混練用ロータを中心にして混練室の外側に放射状に断面長孔形状として現れ、混練室の軸方向の両端間に延びて制御流体を循環させる第1熱伝達通路を形成するとともに、この熱伝達通路の断面長孔形状が、混練用ロータの回転径方向の長さを混練用ロータの回転周方向の幅より大きくなるようにされているものである。これらの構成により、混練中に上昇する混練室内(被混練材料)の温度を制御することとしていた。
【0003】
【特許文献1】特開平9−220718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の密閉式混練機のチャンバー内壁形状は、チャンバー内径が一定であるため半筒状となり、滑らかなものとなっていた。その結果、混練中の被混練材料はチャンバー内壁との接触面で滑りやすくなり、該接触面が更新され難くなる場合があった。つまり、被混練材料が該接触面付近では一様に混ざりにくくなるために、効率よく被混練材料の温度制御ができないという不具合があった。
また、被混練材料とチャンバー内壁との接触面積に限りがあることからも温度制御には限りがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、断面が連通された2つの円形である閉じられた筒状密閉な混練室を形成するチャンバーと、前記混練室に収納され回転により被混練材料を混練する2本の混練用ロータとを有する密閉式混練機において、前記混練用ロータの中心に冷却媒体が循環する空間が設けられると共に、前記混練用ロータの回転方向側に面した部分であって、チップ部を除く表面に複数の凹部を設けたことを特徴とする。
【0006】
また本発明において、前記凹部は、前記混練用ロータの回転方向と交差する方向に延設された溝であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
混練用ロータの中心に冷却媒体が循環する空間を設けるとともに、混練用ロータの表面に凹部を設けて表面積を広げることで、凹部が滑り止めとなって被混練材料を把持することができ、かつ抜熱性能を向上できる。また、凹部による上記把持作用により材料に十分な剪断が与えられて被混練材料の分散性が向上するので、被混練材料温度の制御性能が向上する。
【0008】
また、凹部を混練用ロータの回転方向と交差する方向に延設された溝とすることにより、混練用ロータの軸方向への被混練材料の流れを促進させることができる。その結果、効果的に被混練材料と混練用ロータとの接触面の更新を行うことができ、抜熱性能の向上と被混練材料の分配性の向上が達成できる。また、凹部は溝形状なので加工しやすいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は密閉式混練機の全体構成を示す断面図である。図2は図1のZ−Z断面図である。
【0010】
密閉式混練機Xは、断面が連通された2つの円形である筒状密閉な混練室8を形成するチャンバー1と、前記混練室8に収納され回転により被混練材料を混練する2本のロータ4とを有する。
【0011】
チャンバー1の上方には材料押込み装置Aが設けられ、チャンバー1の下方には排出機構Bが設けられ、チャンバー1の外周には、冷却機構Cが設けられている。
【0012】
材料押込み装置Aは、混練室8の上方に設けられた供給口7と、供給口7に押し込まれるフローティングウエイト6と、このフローティングウエイト6を混練室8の圧力に応じて昇降自在とするフローティング支持機構とを備えて成る。
図示しない縦長シュートから供給口7に投入された被混練材料(ゴム等)は、フローティングウエイト6の昇降で混練室8内に押し込まれ、混練室8内の圧力で昇降するフローティングウエイト6の下方で混練室8を区画する。
【0013】
排出機構Bは、混練室8の下方に設けられた排出口3と、この排出口3を閉じる開閉自在なドロップドア2と、ドロップドア2を閉鎖状態に維持するためのラッチ5とを備えてなる。
このドロップドア2は、被混練材料の混練時に、混練室8の下方で混練用ロータ4,4の軸方向に延びる排出口3をドアトップ2aで閉塞して混練用ロータ4,4による被混練材料の混練を可能にし、また、被混練材料の混練後に、支点2bを中心に下方向に回転し落ちるように開き被混練材料の排出を可能にするものである。なお、ドロップドア2の開閉は図示しない油圧制御装置のドロップドア制御回路により行われる。
ラッチ5は、ドロップドア2に押し付けられてドロップドア2をチャンバー1側に突き上げて被混練材料の混練中の混練室8内の密閉性を保持するようにクランプし、また被混練材料の混練後にはドロップドア2から退避されてドロップドア2の開放(クランプ開放)を可能にするものである。
【0014】
冷却機構Cは、チャンバー1の外周であって、材料押込み装置Aと排出機構Bとが設けられた部分を除く外周部分に設けられた通路21により形成されている。通路21は、チャンバー1の軸方向にジグザグ状に冷却媒体が流れるように配設され、チャンバー1の内周を効率的に冷却する。この通路21には、通常運転時には冷却媒体が強制的に流通している。但し、この冷却機構Cは、加熱媒体を流通させて加熱を行うこともできる。この軸方向にジグザグとなった通路21は、溶接ジャケット構造、ドリル構造または鋳抜穴構造などで形成される。
【0015】
このチャンバー1は、図1に示すように、フローティングウエイト(材料押込み装置A)6の下部、及びドロップドア2のドアトップ2a(排出機構B)とともに断面が横に連通する2つの円を形成し、図2に示すように、側面がエンドプレート21で閉じられた筒状密閉の混練室8を形成している。この混練室8内に回転する2本の混練用ロータ4,4が排置されている。
【0016】
図2に示すようにチャンバー1内のロータ15、16には長翼15a、16aと短翼15b、16bが各々2枚ずつ設けられている。これらの翼15a、16a、15b、16bは、ロータ15、16の両端から中央側にロータ15、16の逆転方向に向かって傾斜しており、一方が送り翼となり他方が戻し翼となる。両翼の間は回転方向に位相がずれており、両翼は互いに独立している。
図示例のロータ15,16は、異方向回転であって、互いにかみ合わない非かみ合い式となっており、異方向回転の回転速度は一定比率(例えば、1対1.2)で異なっている。なお、本実施形態の密閉式混練機のロータ15、16は、上記に限定されるものではない。例えば、ロータ15、16は上述した異方向回転に限らず、同じ速度で回転するかみ合い式のものであってもよい。また、ロータ15、16の翼の数が1枚のものや3枚のものであってもよいし、この翼の配置が異なっていてもよい。
【0017】
図2のチャンバー1内においては、ロータ15、16は異方向に回転しており、塊となった被混練材料はロータ15、16の羽根先端とチャンバー1の内壁とのチップクリアランスで剪断作用を受けながら長翼15a、16aと短翼15b、16bの傾斜方向に流動し、添加剤が被混練材料に均一に混ざりこむ所謂マクロ分散が行われる。
また、一方のロータ15と他方のロータ16とでは互いに異方向に回転するため、左右の混練室相互間でも被混練材料は流動する。これにより、被混練材料は図2の▲1▼に示すようにチャンバー1内において全体として徐々に大きく旋回流動し、添加剤が被混練材料に均一に混ざりこむ所謂マクロ分散が行われる。
【0018】
図1に示すように、チャンバー1の内壁には、混練用ロータ4の回転方向と交差する方向に凹部9が設けられている。
【0019】
図3はチャンバー1の内壁の展開例を示す図である。
図3(a)の凹部9aのようにロータ4の回転方向に対し垂直(ロータ4の軸方向)に溝を設けることで、ロータ4の軸方向への被混練材料の流れを促進させることができる。その結果、効果的に被混練材料とチャンバー内壁1との接触面の更新を行うことができ、被混練材料の分配性が向上する。
【0020】
図3(b)のように所定のねじれ角をもって螺旋状に凹部9bのような溝を設けても同様である。従って、被混練材料温度の制御性能を向上させることができるので、規定排出温度までに被混練材料に投入できる混練エネルギーを大きくすることができ、混練品質を向上することができる。図3(a)、(b)の凹部は溝形状なので加工しやすいものである。
【0021】
図4に示すように、凹部9は、半径R1の円弧溝であり、チャンバー1の内径D1に対して、距離Hだけ大きな内接径D2に接するように、円周上に等分角α毎に配設される。距離Hは、機械サイズで異なるが、例えばラボサイズでは、1.0〜2.0mmと浅い。一方、半径R1は、距離Hの3倍以上と大きい。そのため、凹部9は浅くて広い溝として形成されている。これらにより、凹部9内に被混練材料が滞留しない。なお、等分角度αを狭くし、半径R1を大きくすると、凹部9が、半径D1の残り凸部(堤状突出部など)より広くなるものとすることができる。
【0022】
図5に示すように、凹部9の軸方向両端は、エンドプレート21から所定距離L1,L2だけ離れて設けられている。L1はL2より長く、L1はロータ15、16の短翼側に位置し、L2はロータ15、16の長翼側に位置する。また、凹部9の軸方向両端は、半径R2の球形状で滑らかに混練室8の内周につながるようになっている。
【0023】
上記構造の密閉式混練機は、供給口7に取り付けられた上記縦長シュートから被混練材料が供給され、それをフローティングウエイト6が下降して、ラッチ5によりクランプされてドロップドア2で密閉された混練室8内に押し込む。押し込まれた被混練材料は、凹部9を有するチャンバー1の内壁を掃くようにして回転している各混練用のロータ4,4により混練される。混練終了後は、ラッチ5がドロップドア2から退避してクランプを解除し、ドロップドア2が支点2bと中心に回転し落ちるようにして開き、排出口3から被混練材料が排出される。そして、被混練材料の排出後は、次の混練に備えてドロップドア2が支点2bを中心に上方に回転し、混練室8の排出口3を閉塞する。ドロップドア2が閉じると、ラッチ5でドロップドア2を押し付けて混練室8内の密閉性を保持するようにクランプする。そして、再び、供給口7からフローティングウエイト6により被混練材料が混練室8内に押し込まれ混練が始まる。このような混練サイクルを上記構造の密閉式混練機Xは繰り返す。
【0024】
本実施形態における密閉式混練機のチャンバー1に設けた凹部9により、チャンバー1内壁の面積が広くなるとともに、溝状の凹部9が滑り止めとなって被混練材料を把持することができる。また、溝状の凹部9をチャンバー1の軸方向に設けることで、軸方向の材料流を促進させることができる。これらにより、チャンバー1の内面に接触する材料面の更新が加速され、チャンバー1の冷却機構Cによる抜熱性能が向上する。この抜熱性能を向上させることで、規定排出温度までの被混練材料に投入できる混練エネルギーを大きくすることができ、混練品質が向上する。
【0025】
また、溝状の凹部9による上記把持作用により材料に十分な剪断が与えられて、分散性が向上するとともに、溝状の凹部9による材料流の促進作用により分配性が向上するため、混練品質がさらに向上する。
【0026】
なお、図1では凹部9の断面が円弧となっているが、この円弧の半径を適宜変更したり、円弧の数を増加させたりしても上記と同様の効果がある。また、図示しないが、該断面をV字状のものや任意の曲線(例えば、波型形状)としても、チャンバー内壁面積が広くできるので被混練材料温度の制御性能は向上する。また、凹部9は溝状が好ましいが、くぼみ状の独立した凹部を散在させるものであっても上記と同様の効果が得られる。また、図示していないが、広い凹部の中に凸部が散在するような形状であってもチャンバー内壁の面積が広くできるので被混練材料温度の制御性能は向上する。
また、上記では凹部のみについて説明したが、凹部9を凸部(堤状突出部など)としても上記と同様の効果が得られる。
【0027】
さらに、図6に示すように混練用ロータに凹部を設けることもできる。すなわち、断面が連通された2つの円形である筒状密閉な混練室を形成するチャンバーと、前記混練室に収納され回転により被混練材料を混練する2本のロータとを有する密閉式混練機において、前記混練用ロータの表面に複数の凹部を設けることもできる。この凹部を、前記混練用ロータの回転方向と交差する方向に延設された溝とすることもできる。
【0028】
図6のように、混練用ロータ41の中心Pには、冷却媒体が循環する空間45が設けられている。この混練用ロータ41の表面に凹部42を設けて表面積を広げることで、凹部42が滑り止めとなって被混練材料を把持することができ、抜熱性能を向上できる。凹部42は、ロータ41の先端(チップ部)44を除く面で、ロータ41の回転方向側に面した部分に設けられている。
また、凹部42による上記把持作用により材料に十分な剪断が与えられて、被混練材料の分散性が向上するので、被混練材料温度の制御性能が向上する。
なお、図6では凹部42の断面が円弧となっているが、この円弧の半径を適宜変更したり、円弧の数を増加させたりしても上記と同様の効果がある。また、図示しないが、該断面をV字状のものや任意の曲線(例えば、波型形状)としても、チャンバー内壁の面積が広くできるので被混練材料温度の制御性能は向上する。
【0029】
また、図示しないが、混練用ロータ41の回転方向に対し垂直に溝を設けることで、混練用ロータ41の軸方向への被混練材料の流れを促進させることができる。その結果、効果的に被混練材料と混練用ロータ41との接触面の更新を行うことができ、抜熱性能の向上と被混練材料の分配性の向上が達成できる。
また、所定のねじれ角をもって螺旋状に溝を設けても同様である。従って、被混練材料温度の制御性能を向上させることができるので、規定排出温度までに被混練材料に投入できる混練エネルギーを大きくすることができ、混練品質を向上することができる。凹部は溝形状なので加工しやすいものである。
また、上記では凹部のみについて説明したが、凹部42を凸部(堤状突出部など)としても上記と同様の効果が得られる。
【0030】
(検証例)
次に、図1で示した構成であるチャンバー内壁に溝の設けられている密閉式混練機とチャンバー内壁に溝の設けられていない従来の密閉式混練機との比較検証を行った。
図4において、検証に用いた密閉式混練機のチャンバー内壁には凹部9(円弧状)が溝深さ(H)1mmとして設けられている。本検証では、隣接する凹部9同士は混練用ロータ4の軸心Pを中心として、混練用ロータ4の軸方向と垂直方向に10度(α)ごとに設けられ、円弧の半径(R1)は6mmである。
【0031】
本検証において、従来の密閉式混練機と凹部9が設けられた密閉式混練機には、チャンバー内径が同一のものを使用し、被混練材料の排出温度を一定として行った。
【0032】
チャンバーの統括伝熱係数を計測した結果、従来の密閉式混練機では0.010cal/m・h・℃であるのに対し、凹部9が設けられた密閉式混練機は0.016cal/m・h・℃以上となり、1.6倍以上の伝熱係数の向上が確認できた。
【0033】
図7に、本検証における従来の密閉式混練機と凹部9が設けられた密閉式混練機の、被混練材料の温度と比エネルギー供給量の関係を示す。
【0034】
図7より、同一の比エネルギー供給量であれば、従来の密閉式混練機の被混練材料温度に比べて、凹部9が設けられた密閉式混練機の被混練材料温度は低くなっていることがわかる。従って、凹部9が設けられた密閉式混練機による被混練材料温度の制御性能の向上が確認できた。
【0035】
品質として評価されるムーニ粘度及びカーボン分散度についても測定した。図8に、本検証における従来の密閉式混練機と凹部9が設けられた密閉式混練機の、ムーニ粘度と比エネルギー供給量の関係、図9に、本検証における従来の密閉式混練機と凹部9が設けられた密閉式混練機の、カーボン分散度と比エネルギー供給量の関係を示す。
【0036】
図8より、同一の比エネルギー量であれば、従来の密閉式混練機の被混練材料のムーニ粘度に比べて、凹部9が設けられた密閉式混練機の被混練材料のムーニ粘度は低くなっていることがわかる。ムーニ粘度の低い被混練材料の方が品質は良好であるため、凹部9が設けられた密閉式混練機による被混練材料の品質向上が確認できた。
【0037】
図9より、同一の比エネルギー量であれば、従来の密閉式混練機の被混練材料のカーボン分散度に比べて、凹部9が設けられた密閉式混練機の被混練材料のカーボン分散度は高くなっていることがわかる。カーボン分散度の高い被混練材料の方が品質は良好であるため、凹部9が設けられた密閉式混練機による被混練材料の品質向上が確認できた。
【0038】
以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0039】
即ち、断面が連通された2つの円形である筒状密閉な混練室を形成するチャンバーと、前記混練室に収納され回転により被混練材料を混練する2本のロータとを有する密閉式混練機において、前記チャンバー内壁に複数の凹部または凸部を設けたので、チャンバー内壁の面積が大きくなるとともに、凹部または凸部が滑り止めとなって被混練材料を把持しながらの材料流の更新も行われる。その結果、チャンバーによる抜熱性能が向上し、規定排出温度までに被混練材料に投入できる混練エネルギーを大きくして混練品質を向上させることができる。また、凹部または凸部による上記把持作用により被混練材料に十分な剪断が与えられて分散性が向上するので、混練品質が向上する。
【0040】
また、前記凹部は、前記チャンバー内で回転して被混練材料を混練する混練用ロータの回転方向と交差する方向に延設された溝であるので、混練用ロータ軸方向への被混練材料の流れを促進させ、効果的に被混練材料とチャンバー内壁との接触面の更新を行うことができる。つまり、チャンバー内面に接触する被混練材料面の更新が促進され、抜熱作用が向上できるとともに、凹部による被混練材料の流れの促進作用により分配性が向上する。よって、被混練材料温度の制御性能を向上させることができるので、規定排出温度までに被混練材料に投入できる混練エネルギーを大きくすることができ、混練品質が向上する。
【0041】
さらに、前記凸部は、前記チャンバー内で回転して被混練材料を混練する混練用ロータの回転方向と交差する方向に延設された突起であるので、混練用ロータ軸方向への被混練材料の流れを促進させ、効果的に被混練材料とチャンバー内壁との接触面の更新を行うことができる。つまり、チャンバー内面に接触する被混練材料面の更新が促進され、抜熱作用が向上できるとともに、凹部による被混練材料の流れの促進作用により分配性が向上する。よって、被混練材料温度の制御性能を向上させることができるので、規定排出温度までに被混練材料に投入できる混練エネルギーを大きくすることができ、混練品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】密閉式混練機の全体構成を示す断面図。
【図2】図1のZ−Z断面図。
【図3】密閉式混練機のチャンバー内壁の展開を示す図。
【図4】凹部の周方向の断面を示す図。
【図5】凹部の軸方向の断面を示す図。
【図6】ロータに凹部を設けた例を示す図。
【図7】検証における被混練材料の温度と比エネルギー供給量の関係を示す図。
【図8】検証におけるムーニ粘度と比エネルギー供給量の関係を示す図。
【図9】検証におけるカーボン分散度と比エネルギー供給量の関係を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1 チャンバー
4、41 混練用ロータ
8 混練室
9、9a、9b チャンバー内壁の凹部
42 混練用ロータ表面の凹部
P 混練用ロータの軸心
C 冷却機構
X 密閉式混練機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が連通された2つの円形である閉じられた筒状密閉な混練室を形成するチャンバーと、前記混練室に収納され回転により被混練材料を混練する2本の混練用ロータとを有する密閉式混練機において、
前記混練用ロータの中心に冷却媒体が循環する空間が設けられると共に、前記混練用ロータの回転方向側に面した部分であって、チップ部を除く表面に複数の凹部を設けたことを特徴とする密閉式混練機。
【請求項2】
前記凹部は、前記混練用ロータの回転方向と交差する方向に延設された溝であることを
特徴とする請求項1に記載の密閉式混練機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−238824(P2008−238824A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122224(P2008−122224)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【分割の表示】特願2003−66121(P2003−66121)の分割
【原出願日】平成15年3月12日(2003.3.12)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】