説明

密閉用の回転ジョイント

【課題】移送オイルポンプ内の突発的な過圧を経済的な装置により保護する。
【解決手段】 回転ジョイント(10)であって、過圧保護用バルブを構成するものである。過圧は、エンジンブロック(1)のオイル用のエンクロージャ(7)とポンプのオイル部分(3)との間におこるものであり、回転ジョイント(10)を貫通するシャフト(4)によって駆動され、回転ジョイント(10)が、ポンプのオイル部分(3)の中に過圧が発生するときに、回転ジョイントの収納部(11)から、エンクロージャ(7)の中へと排出するのであり、これにより、ポンプのオイル部分(3)の過圧状態のオイルが、エンジンのエンクロージャ(7)へと集められるようになり、結果として、ポンプ内の過圧を一切なくすことになる。回転ジョイントの、内側部分(10a)の硬度と厚さが、外側部分(10b)の硬度と厚さよりも大きいことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉用の回転ジョイントに係るものであり、この密閉用の回転ジョイントは、静的にも動的にも良好な密閉性を確保しつつも、しかも、ある一つの過大圧力(以下、過圧という)が印加されるときには、その収納部から排出させることができるものでなければならないものである。
【0002】
本発明と本発明がもたらす一つの解決手段に係る問題点とは、概略を示す添付の図を参照して以下の詳細な説明を読むことにより、さらに良く理解することができるものである。
【0003】
この図1では、符号1は、エンジンブロックの一部分を示し、符号2は、ポンプケースの一部分を示す。
【0004】
好ましくは、ポンプは、移送ポンプのタイプであって、オイル部分とガソリン部分とからなり、高圧でガソリンを供給することができるものである。
【0005】
この図1は、単純な概略に過ぎないが、この図1において、符号3は、ポンプのオイル部分の一部分を示す。
【0006】
このオイル部分3は、ポンプのシャフトである、シャフト4によって貫通される。
【0007】
このシャフト4は、連結機構6によってエンジンシャフト5に結合される。
【0008】
エンジンブロック1の一部分にあるエンクロージャ7は、エンジンのオイルミストを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決すべき問題点は、以下のとおりである。
【0010】
移送ポンプの構成要素のうちの一つの劣化や故障は、オイルポンプ3のオイルの圧力の突発的な上昇増加をひき起こしかねない。
【0011】
もし、保安用の手立てがなんら用意されていないとするならば、その場合には、オイル部分の構成部品の破損へとつながりかねないし、ひいては、外部漏洩にもつながりかねないということが分る。そのような外部漏洩は、決して見過ごすことができない。一方、これに反し、エンクロージャ7の方向へのオイル部分3の漏洩は、容認できる。
【0012】
エンクロージャ3の中に過圧用のバルブを配設することも、しようとすれば可能ではあるものの、しかしながら、そうすると、移送ポンプの製造コストの増加が無視できない程の増加をもたらすことにもなり、一方、その移送ポンプは、自動車のエンジンに装備することになっており、また、したがって、できる限り原価を低く抑えなければならないということがあるからである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明における解決手段としては、回転ジョイント10を採用してなり、この回転ジョイントにより、エンクロージャ3(ポンプのオイル部分)と、エンクロージャ7(エンジンのオイル部分)との間を分離するものであり、この回転ジョイントのその態様は、あたかも、対破損用、対破断用の安全用バルブとして作用するものである。
【0014】
この課題を解決するために、当該回転ジョイント10は、同心円状の二つの部分10aと10bとから構成され、これらの材質は互いに異なる硬度を有するようにする。
【0015】
その内側部分10aは、硬い材質によって構成されており、例えば、ショア硬度80のゴム材料によって構成され、これに対し、その外側部分、すなわち、クラウン10bは、それよりも低い、ある値の硬度に選ばれる。
この外側クラウン10bの厚さは、その内側部分10aの厚さと比較して、それよりも小さくしてある。
【0016】
二種類材料の回転ジョイント10は、通常は、オリフィス11に圧入するように嵌め込まれ、このオリフィスは、エンクロージャ3と7とを分離する。シャフト4は、回転ジョイント10の内側部分10aのその内側を回るのであり、回転ジョイント10は、その収納部に固定状態を維持される。
【0017】
エンクロージャ3の中が突発的な過圧となった場合には、二種類材の回転ジョイント10は、矢印Fに沿って、回転ジョイントの収納部11から排出されることになり、このことが、二重の効果をもたらすことになり、この二重の効果とは、一方では過圧状態から脱出させるのであり、他方ではオイルの漏洩を回復させるのであり、これにより、エンジンのオイルの経路の中へと誘引するようになるのである。
したがって、オイルの外部漏洩が発生するようなことはなくなるものであり、また、燃料の漏洩も、さらには、燃料とオイルの混合物の漏洩についても、同様である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る密閉用の回転ジョイントの一実施形態の概略的な断面図
【符号の説明】
【0019】
1 エンジンブロック
2 ポンプケース
3 オイル部分
4 シャフト
5 エンジンシャフト
6 連結機構
7 エンクロージャ
10 回転ジョイント
10a 回転ジョイントの内側部
10b 回転ジョイントの外側部
11 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ジョイント(10)であって、過圧保護用バルブを構成するものであり、
該過圧は、エンジンブロック(1)のオイル用のエンクロージャ(7)と高圧ポンプのオイル部分(3)との間におこるものであり、
前記回転ジョイント(10)を貫通するシャフト(4)によって駆動され、
該回転ジョイント(10)が、ポンプのオイル部分(3)の中に過圧が発生するときに、該回転ジョイントの収納部(11)から、前記エンクロージャ(7)の中へと排出されるようになるのであり、
これにより、ポンプのオイル部分(3)の過圧状態のオイルが、エンジンのエンクロージャ(7)へと集められるようになり、
結果として、ポンプ内の過圧を一切なくすことになることを特徴とする、回転ジョイント。
【請求項2】
請求項1に記載の回転ジョイントであって、密封用の前記回転ジョイントが、同心円状の二つの部分(10a、10b)から構成されており、内側の部分10aの硬度と厚さとが、外側部分10bの硬度と厚さよりも大きいことを特徴とする、回転ジョイント。

【図1】
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【公表番号】特表2008−537770(P2008−537770A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503547(P2008−503547)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000603
【国際公開番号】WO2006/103330
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(507230212)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS AUTOMOTIVE HYDRAULICS SA
【Fターム(参考)】