説明

寝台装置、および寝台装置の体動判断方法

【課題】ベッド上の人を拘束させたり意識させたりすることなく、簡単に、ベッド上の人の体動を判断することができる寝台装置を提供すること。
【解決手段】寝台装置100は、ベッドの連結フレームと、検出部501と、判断部502と、出力部505と、を備える。検出部501は、連結フレームの一部に設けられ、連結フレームの変形量を連続して検出する。判断部502は、検出部501による検出結果に基づいて、ベッド上における人の体動状態を判断する。出力部505は、判断部502によって判断された判断結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病院や介護施設などの施設において、寝台上の人の体動状態を判断する寝台装置、および寝台装置の体動判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院や介護施設においてベッド上の患者の見守りが求められており、看護士の労力の低減や、患者の安全を守るために、ベッド上の人の行動をセンシングし、集中管理することがおこなわれている。行動のセンシングは、画像によるセンシングが最も簡易且つ的確であるが、室内が暗い状況ではセンシングが難しいばかりか、プライバシーの保護の観点からも困難である。そのため、画像以外の手法でベッド上の人の行動を無拘束、無意識で判断することができるセンシングが望まれている。
【0003】
たとえば、寝台上に重量センサおよび圧電フィルムによる体動センサを配置し、重量の増減でベッド上の人の有無を判定し、圧電フィルムによる寝返り体動や、呼吸や心拍を検出して健康異常を報知する装置が示されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第2806214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術は、センサ上に人が乗るということが絶対条件であり、寝返りなどで人やセンサが移動し、双方の位置関係がずれてしまうと、各種検出が不能に陥ってしまうという問題があった。さらに、上述した特許文献1の技術は、体に近接したセンサを用いることから、当該センサを汗や尿から守るために防水処理や電気絶縁処理等が不可欠であるほか、センサ上に長時間、人が乗ることから体圧分散が損なわれ、床ずれの懸念があるといった問題があった。
【0006】
本発明は上述した従来技術による問題点を解決するために、ベッド上の人に不快感を与えることなく、かつ、ベッド上の人を拘束させたり意識させたりすることなく、簡単に、ベッド上の人の体動を判断することができる寝台装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる寝台装置は、寝台のフレームと、前記フレームの一部に設けられ、前記フレームの変形量を連続して検出する変形量検出手段と、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台上における人の体動状態を判断する判断手段と、前記判断手段によって判断された判断結果を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、人体に触れることなく、寝台のフレームの変形量を検出するだけで、簡単に、寝台上の人の体動を判断することができる。
【0009】
また、この発明にかかる寝台装置は、上記発明において、前記判断手段は、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台に対する人の乗り降りを判断することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、寝台のフレームの変形量を検出するだけで、簡単に、寝台に対する人の乗り降りを判断することができる。
【0011】
また、この発明にかかる寝台装置は、上記発明において、前記判断手段は、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台上における人の移動を判断することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、寝台のフレームの変形量を検出するだけで、簡単に、寝台上における人の移動を判断することができる。
【0013】
また、この発明にかかる寝台装置は、上記発明において、前記判断手段は、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台上の人の覚醒または睡眠を判断することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、寝台のフレームの変形量を検出するだけで、簡単に、寝台上の人の覚醒または睡眠を判断することができる。
【0015】
また、この発明にかかる寝台装置は、上記発明において、前記判断手段は、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台上の人の心拍の状態を判断することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、寝台のフレームの変形量を検出するだけで、簡単に、寝台上の人の心拍の状態を判断することができる。
【0017】
また、この発明にかかる寝台装置は、上記発明において、前記フレームは、複数の脚部と、前記脚部を連結する連結部とからなり、前記変形量検出手段は、複数の前記連結部に設けられ、前記連結部の歪みを検出することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、より詳細にフレームの変形量を検出できることによって、より詳細に寝台上の人の体動を判断できるほか、複雑なフレーム構成を有する寝台であっても、寝台のフレームの変形量を的確に検出することができる。
【0019】
また、この発明にかかる寝台装置は、上記発明において、前記変形量検出手段は、前記フレームに加えられた外力に応じて変形する円板形状の圧電素子と、前記圧電素子から出力された電圧値のインピーダンス変換をおこなうインピーダンス変換素子と、を備えることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、小型で簡易な構成を実現できるとともに、精度よく、寝台のフレームの変形量を検出することができる。
【0021】
また、この発明にかかる寝台装置は、上記発明において、前記フレームは、金属製のフレームであることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、金属製のフレームは、応力に対するヒステリシスが少なく、経時変化が少ないので、寝台を長期間使用した場合でも、精度よく、寝台のフレームの変形量を検出することができる。
【0023】
また、この発明にかかる寝台装置の体動判断方法は、寝台のフレームと、前記フレームの一部に設けられた変形量検出手段と、を備えた寝台装置の体動判断方法であって、前記フレームの変形量を連続して検出する変形量検出工程と、前記変形量検出工程にて検出された検出結果に基づいて、寝台上における人の体動状態を判断する判断工程と、前記判断工程にて判断された判断結果を出力する出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、人体に触れることなく、寝台のフレームの変形量を検出するだけで、簡単に、寝台上の人の体動を判断することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる寝台装置によれば、ベッド上の人に不快感を与えることなく、かつ、ベッド上の人を拘束させたり意識させたりすることなく、簡単に、ベッド上の人の体動を判断することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる寝台装置、および寝台装置の体動判断方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
(実施の形態1)
(寝台装置100の構成)
まず、この発明の実施の形態にかかる寝台装置100の構成について説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかる寝台装置100のシステム構成図である。図1において、寝台装置100は、ベッド110と、ユニモルフ圧電素子140とから構成される。
【0028】
ベッド110は、剛体のフレームを有しているものであればよく、たとえば、木製のものなどを用いることも可能であるが、代表的には、応力に対するヒステリシスが少なく、経時変化が少ないという点から、金属製のものが用いられる。ベッド110は、たとえば、病院などで使用されるタイプのものである。
【0029】
このベッド110は、寝台に相当し、脚部120と、連結フレーム130(連結部に相当)とを備えている。脚部120には、それぞれ、患者を搬送するためのキャスタ121が設けられている。連結フレーム130は、4本の脚部120を連結する。継ぎ手131は、長手方向に設けられる一対の連結フレーム130を幅方向に接続する。接続線132は、幅方向に設けられる一対の連結フレーム130を長手方向に接続し、床板を形成する。
【0030】
ユニモルフ圧電素子140は、変形量検出手段に相当し、たとえば、長手方向に伸びるそれぞれの連結フレーム130の中央に設けられ、ベッド110への人の乗り降りや、その他の体動にともなう、連結フレーム130の歪みを検出する。
【0031】
つぎに、図2を用いて、ユニモルフ圧電素子140の詳細について、説明する。図2は、図1に示した寝台装置100のうち、ユニモルフ圧電素子140周辺の拡大図である。
【0032】
図2において、ユニモルフ圧電素子140は、長方形状の基板201に固定されており、この基板201が連結フレーム130上に設置されることにより、連結フレーム130に取り付けられた状態にある。ユニモルフ圧電素子140は、薄板形状の圧電素子と金属板とを貼り合わせた構造を有しており、詳細については図3を用いて後述するが、基板201が変形して金属板が変形すると、金属板の変形量に応じた電圧値を出力する。なお、ユニモルフ圧電素子140に関しては、公知の技術であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0033】
また、変形量検出手段としては、ユニモルフ圧電素子140に代えて、バイモルフ圧電素子を用いることも可能である。バイモルフ圧電素子は、金属板の両面に薄板形状の圧電素子をそれぞれ貼り合わせた構造を有しており、連結フレーム130が変形すると、当該変形量に応じた電圧値を出力する。なお、バイモルフ圧電素子についても、公知の技術であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0034】
また、変形量検出手段としては、ユニモルフ圧電素子140に代えて、ユニモルフ圧電素子140以外の公知の各種圧電素子、半導体、抵抗歪みセンサなど、加えられた応力に応じた電圧を出力する感圧素子を用いることも可能である。これらの各種圧電素子、半導体、抵抗歪みセンサなどの感圧素子についても、公知の技術であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0035】
ユニモルフ圧電素子140の取り付け位置としては、ベッド110の連結フレーム130の歪みを検出できる位置であれば、いかなる任意であってもよいが、最も歪みを検出できる位置として、連結フレーム130の長手方向のほぼ中央であることが好ましい。また、近年、ベッド110の形態としては、人の頭部や脚部を傾けることができるベッドが用いられている。このような形態のベッドは、連結フレーム130等の構造体が複雑化しているため、ユニモルフ圧電素子140を、連結フレーム130の歪みを検出できる適宜の位置に、適宜の数、設ければよい。
【0036】
(ユニモルフ圧電素子の構成)
つぎに、図3−1を用いて、ユニモルフ圧電素子140の詳細な構成について説明する。図3−1は、ユニモルフ圧電素子140の詳細な構成を示す説明図である。
【0037】
図3−1において、ユニモルフ圧電素子140は、円板状の圧電素子301が貼り付けられた円板状の金属板302の全面を、基板201に固定した状態で取り付けられている。これにより、基板201の変形を、ユニモルフ圧電素子140における金属板302に良好に伝達できるようになっている。ユニモルフ圧電素子140の圧電素子301および金属板302を円板形状とすれば、いかなる方向の歪みをも検出できるので、ユニモルフ圧電素子140の取り付け方向が制限されることなく、簡単に、ユニモルフ圧電素子140を取り付けることができる。
【0038】
基板201には、ユニモルフ圧電素子140から出力された電圧値を増幅する増幅器303が設けられている。増幅器303は、たとえば、インピーダンス変換素子などによって実現される。インピーダンス変換素子は、ユニモルフ圧電素子140から出力された電圧のインピーダンス変換をおこなう。インピーダンスは、交流回路における電圧と電流との比である。インピーダンス変換素子としては、たとえば、FET(Field Effect Transistor)などの高入力インピーダンス変換素子を用いることが可能である。
【0039】
本実施の形態において、ユニモルフ圧電素子140の静電容量は、10〜20ナノファラドのものが用いられ、たとえば、16ナノファラドのものが用いられている。そして、増幅器303を入力インピーダンス100MΩとしてインピーダンス変換し、インピーダンス変換後の電圧値を増幅する構成としているため、低周波数帯域の信号を精度よく検出できるようになっている。
【0040】
(ユニモルフ圧電素子が変形した場合の一例)
つぎに、図3−2および図3−3を用いて、ユニモルフ圧電素子140が変形した場合の一例について、説明する。図3−2および図3−3は、ユニモルフ圧電素子140が変形した場合の一例を示す断面図である。
【0041】
図3−2において、ユニモルフ圧電素子140は、凹状態にある。たとえば、これは、人がベッド110に乗った際の連結フレーム130の歪みを示している。このような凹状態を、「撓み」という。また、この撓みは、ベッド110上において人が移動した際にも現れる。なお、図3−2においては、撓みを強調して記載しているが、実際には、わずかな撓みである。
【0042】
図3−3において、ユニモルフ圧電素子140は、凸状態にある。たとえば、これは、人がベッド110から降りたあとに反発によって現れた連結フレーム130の歪みを示している。このような凸状態を、「反り」という。なお、図3−2においては、反りを強調して記載しているが、実際には、わずかな反りである。
【0043】
ユニモルフ圧電素子140は、連結フレーム130のわずかな変形に応じて変形し、変形量に応じた電圧値を出力する。また、基板201には、ユニモルフ圧電素子140とともに、ユニモルフ圧電素子140から出力される電圧値に基づいて、人のベッド110への乗り降りを判断する判断機構部が設けられている。
【0044】
(判断機構部の機能的構成)
つぎに、図4を用いて判断機構部400の機能的構成について説明する。図4は、判断機構部400の機能的構成を示すブロック図である。図4において、判断機構部400は、ユニモルフ圧電素子140と、増幅器303と、ローパスフィルタ401と、比較器402と、報知器403と、を備えている。
【0045】
ユニモルフ圧電素子140は、上述したように、連結フレーム130のわずかな変形に応じて変形し、変形量に応じた電圧値を出力する。連結フレーム130の上部にユニモルフ圧電素子140を設けた状態で、たとえば、ベッド110に人が乗ることにより、ユニモルフ圧電素子140が撓むと、圧電素子301からは正の電圧が発生する。この正の電圧は、増幅器303(インピーダンス変換素子)によって反転される結果、負の電圧となる。したがって、ユニモルフ圧電素子140が撓むと、負の電圧が抽出されることになる。
【0046】
一方、ベッド110から人が降りることにより、ユニモルフ圧電素子140が反ると、圧電素子301からは負の電圧が発生する。この負の電圧は、増幅器303(インピーダンス変換素子)によって反転される結果、正の電圧となる。したがって、ユニモルフ圧電素子140が反ると、正の電圧が抽出されることになる。
【0047】
なお、連結フレーム130の下部にユニモルフ圧電素子140を設けた場合には、抽出される電圧の正負は逆になる。すなわち、ベッド110に人が乗ると、正の電圧が抽出され、一方、ベッド110から人が降りると、負の電圧が抽出されることになる。
【0048】
ローパスフィルタ401は、増幅器303によって増幅された電圧値をフィルタリングして、0.1〜1Hz以外の成分を除外し、比較器402側へ通過させる。これにより、増幅器303によって増幅された電圧値成分の中から、ベッド110に対する人の乗り降りに起因する成分や、ベッド110上の人の移動に起因する成分を抽出することができる。
【0049】
比較器402は、比較用の閾値を記憶する図示しない記憶領域を備え、当該記憶領域に記憶された比較用の閾値と、ローパスフィルタ401のフィルタリングによって得られた電圧信号とを比較する。そして、比較器402は、比較結果に応じた信号を後段の報知器403へ出力する。比較用の閾値は、ベッド110への人の乗り降りやベッド110上での人の移動における、電圧値と時間とによって表される波形パターン(図6および図7を参照)を基に予め設定される値であり、具体的には、電圧信号の振幅と時間幅とによって表される。
【0050】
比較用の閾値は、詳細については図6および図7を用いて後述するが、たとえば、ベッド110に対する乗り降りについては、「最大振幅:±12mV」および「時間幅:2sec」として設定される。また、ベッド110上の人の移動については、「最大振幅:−6mV」および「時間幅:2sec」として設定される。
【0051】
比較器402は、たとえば、ベッド110に対する乗り降りについては、フィルタリングによって得られた電圧信号と、比較用の閾値(たとえば、±12mV)とを比較し、比較した結果、最大振幅の絶対値が12mV以上のピークが存在する場合に、その旨を示す信号を後段の報知器403へ出力する。さらに、比較機402は、フィルタリングによって得られた電圧信号のうち、最大振幅の絶対値が12mV以上の比較用の閾値におけるピークの幅(2sec)を比較し、比較の結果、2sec以内のピークが存在する場合に、その旨を示す信号を後段の報知器403へ出力する。
【0052】
また、比較器402は、ベッド110上の人の移動については、フィルタリングによって得られた電圧信号と、比較用の閾値(たとえば、−6mV)とを比較し、比較した結果、最大振幅−6mV以下のピークが存在する場合に、その旨を示す信号を後段の報知器403へ出力する。さらに、比較器402は、フィルタリングによって得られた電圧信号のうち、最大振幅が−6mV以下の比較用の閾値におけるピークの幅(2sec)を比較し、比較の結果、2sec以内のピークが存在する場合に、その旨を示す信号を後段の報知器403へ出力する。
【0053】
なお、ここでは、便宜上、複数配置されるユニモルフ圧電素子140のうち、上述した電圧値が出力された一方のみの出力値を検出結果とし、つまり、少なくとも一方のユニモルフ圧電素子140から上述した電圧値が出力された場合に、ベッド110に対する人の乗り降りやベッド110上の人の移動を検出したものとしているが、両側の連結フレーム130にユニモルフ圧電素子140を設置した場合はそれぞれの出力値を差分演算して検出結果とすることも可能である。
【0054】
この場合、差分演算した場合における比較用の閾値を予め記憶しておき、記憶した閾値と検出結果に基づく差分演算値とを比較すればよい。このように、差分演算することにより、特に、複雑なフレーム構成を有するベッドにおいて、詳細に人の体動を判断することが可能になる。
【0055】
報知器403は、比較器402からの出力結果に基づいて、報知信号を出力する。報知器403は、たとえば、比較器402から−12mVの電圧信号が出力された旨の信号を取得した場合に、ベッド110に人が乗った旨を示す表示ランプ(図示外)に、報知信号を出力することで、当該表示ランプを点灯させる。なお、表示ランプは、たとえば、病院などで患者を管理する管理室などに設けられる。
【0056】
また、報知器403は、たとえば、比較器402から+12mVの電圧信号が出力された旨の信号を取得した場合に、ベッド110から人が降りた旨を示す表示ランプに、報知信号を出力することで、当該表示ランプを点灯させる。
【0057】
報知器403は、たとえば、比較器402から−6mVの電圧信号が出力された旨の信号を取得した場合に、ベッド110上の人が縁へ移動した旨を示す表示ランプ(図示外)に、報知信号を出力することで、当該表示ランプを点灯させる。
【0058】
判断機構部400における、増幅器303と、ローパスフィルタ401と、比較器402と、報知器403とは、それぞれの機能を実現するプログラムを記憶するROMと、ROMに記憶されたプログラムに基づいて各種の演算処理を実行するCPUと、CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAMなどによって構成されるマイクロコンピュータなどによって実現することができる。
【0059】
なお、増幅器303、ローパスフィルタ401、比較器402、報知器403によって実現される各機能は、単一のマイクロコンピュータによって実現するものに限らず、たとえば、各部の機能を各々別個に実現するマイクロコンピュータ(回路)を組み合わせることによって実現することもできる。
【0060】
(寝台装置の機能的構成)
つぎに、図5を用いて、この発明にかかる寝台装置100の機能的構成について説明する。図5は、この発明にかかる寝台装置100の機能的構成を示すブロック図である。図5において、寝台装置100は、検出部501と、判断部502と、記憶部503と、タイマ504と、出力部505とを備えている。
【0061】
検出部501は、ベッド110の連結フレーム130の変形量を検出する。具体的には、検出部501は、ユニモルフ圧電素子140から出力される電圧信号を増幅器303によって増幅し、ローパスフィルタ401によってフィルタリングすることによって得られる電圧信号を、ベッド110の連結フレーム130の変形量として検出する。検出部501は、図4に示したユニモルフ圧電素子140と、増幅器303と、ローパスフィルタ401とによって、その機能を実現することができる。
【0062】
すなわち、検出部501は、ユニモルフ圧電素子140から出力される電圧信号に基づいて、図4に示した判断機構部400が構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリに記憶されたプログラムのうち、変形量の検出に関するプログラムを、当該マイクロコンピュータが備えるCPUが実行することによって、その機能を実現する。
【0063】
判断部502は、検出部501による検出結果に基づいて、ベッド110の連結フレーム130が比較用の閾値以上変動したか否かを判断する。判断部502は、記憶部503が記憶する比較用の閾値に基づいて、連結フレーム130の変形量が比較用の閾値以上変動したか否かを判断する。記憶部503は、具体的には、たとえば、マイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリによってその機能を実現する。判断部502は、たとえば、比較器402からパルス信号が出力された場合に、連結フレーム130の変形量が比較用の閾値以上に変動したものと判断する。
【0064】
また、判断部502は、タイマ504が計時する時間に基づいて、連結フレーム130の変形量が所定時間内に比較用の閾値以上に変動したか否かを判断する。タイマ504は、具体的には、たとえば、図4に示した判断機構部400を構成するマイクロコンピュータが備えるCPUのタイマ機能によって、その機能を実現する。
【0065】
判断部502は、たとえば、比較器402からパルス信号が出力された場合に、パルス信号の出力のトリガとなったピークの時間幅が所定時間(比較用の時間)以内か否かを判断し、所定時間以内である場合に、連結フレーム130が所定時間以内に、比較用の閾値以上に変動したか否かを判断する。
【0066】
具体的には、判断部502は、たとえば、ベッド110に対する人の乗り降りについては、比較器402による比較の結果、最大振幅の絶対値が12mV以上であって、かつ、時間幅が2sec以内のピークが存在する場合に、連結フレーム130が比較用の閾値以上に変動したものと判断する。
【0067】
また、判断部502は、たとえば、ベッド110上の人の移動については、比較器402による比較の結果、最大振幅が−6mV以下であって、かつ、時間幅が2sec以内のピークが存在する場合に、連結フレーム130が比較用の閾値以上に変動したものと判断する。
【0068】
判断部502は、具体的には、たとえば、図4に示した判断機構部400を構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリに記憶されたプログラムのうち、連結フレーム130の変動の判定に関するプログラムを、当該マイクロコンピュータが備えるCPUが実行することによって、その機能を実現する。
【0069】
出力部505は、判断部502によって判断された判断結果を、たとえば、図示外の表示ランプに出力する。出力部505は、たとえば、比較器402からパルス信号が出力された場合に、判断結果としての報知信号を報知器403に出力させる。すなわち、報知信号は、連結フレーム130が比較用の閾値以上に変動した場合に出力されることとなる。
【0070】
出力部505は、具体的には、たとえば、図4に示した判断機構部400を構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリに記憶されたプログラムのうち、判断結果の出力に関するプログラムを、当該マイクロコンピュータが備えるCPUが実行することによって、その機能を実現する。
【0071】
(ユニモルフ圧電素子140によって出力される電圧信号の波形パターンの一例)
つぎに、図6および図7を用いて、ユニモルフ圧電素子140によって出力される電圧信号の波形パターンの一例について、説明する。図6および図7は、ユニモルフ圧電素子140によって出力される電圧信号の波形パターンを示すグラフである。図6に示すグラフ600は、ベッド110に人が乗る動作に起因する電圧信号の一例を示している。
【0072】
グラフ600は、縦軸に電圧値(mV)、横軸に時間(sec)を示している。符号601に示す部分が、ベッド110に人が乗ったことを示している。これは、上述したように、連結フレーム130とともにユニモルフ圧電素子140が撓むと、圧電素子301からは正の電圧が発生する一方、増幅器303(インピーダンス変換素子)によって反転される結果、負の大信号となって出力されたものである。
【0073】
また、符号602に示す部分は、ベッド110に人が乗ったことによるリバウンドを示している。このような曲線を基に、ベッド110に人が乗る際の閾値が、たとえば、「最大振幅:−12mV」および「時間幅:2sec」として設定される。
【0074】
また、図7に示すグラフ700は、ベッド110から人が降りる動作に起因する電圧信号の一例を示す。符号701に示す部分は、ベッド110の縁に移動したことを示している。つまり、人が連結フレーム130のユニモルフ圧電素子140が配置されている側に移動したことにより、ユニモルフ圧電素子140が撓み、負の中信号が出力されたものである。これは、人が移動し、ユニモルフ圧電素子140が撓んだことにより、圧電素子301からは正の電圧が発生する一方、増幅器303(インピーダンス変換素子)によって反転される結果、負の電圧となって出力されたものである。この曲線を基に、ベッド110上の人の移動にかかる閾値が、たとえば、「最大振幅:−6mV」および「時間幅:2sec」として設定される。
【0075】
また、符号702に示す部分は、ベッド110から人が降りたことを示している。これは、上述したように、人がベッド110から降りたことにより、連結フレーム130とともにユニモルフ圧電素子140が反ると、圧電素子301からは負の電圧が発生する一方、増幅器303(インピーダンス変換素子)によって反転される結果、正の大信号となって出力されたものである。この曲線を基に、ベッド110から人が降りる際の閾値が、たとえば、「最大振幅:+12mV」および「時間幅:2sec」として設定される。
【0076】
(寝台装置がおこなうベッドに人が乗る際の処理の一例)
つぎに、図8−1を用いて、寝台装置100がおこなうベッド110に人が乗る際の処理の一例について、説明する。図8−1は、寝台装置100がおこなうベッド110に人が乗る際の処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
図8−1において、まず、ユニモルフ圧電素子140が電圧信号を取得する(ステップS801)。そして、取得した電圧信号の電圧値が−12mV以下か否か(比較用の閾値以上か否か)を判断する(ステップS802)。ステップS802において、−12mV以下(閾値以上)であると判断した場合(ステップS802:Yes)、取得した電圧信号のうち、閾値以上変動した電圧信号がなすピークの時間幅が比較用の時間内であるか否かを判断する(ステップS803)。
【0078】
ステップS803において、ピークの時間幅が比較用の時間内であると判断した場合(ステップS803:Yes)、ベッド110に人が乗った旨の情報を出力し(ステップS804)、一連の処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS802において、電圧値が−12mV以下ではないと判断した場合(ステップS802:No)、つまり、比較用の閾値以上ではないと判断した場合、ステップS801に移行する。また、ステップS803において、ピークの時間幅が比較用の時間内ではないと判断した場合(ステップS803:No)、ステップS801に移行する。
【0080】
(寝台装置がおこなうベッド上の人の移動を判断する際の処理の一例)
つぎに、図8−2を用いて、寝台装置100がおこなうベッド110上の人の移動を判断する際の処理の一例について、説明する。図8−2は、寝台装置100がおこなうベッド110上の人の移動を判断する際の処理の一例を示すフローチャートである。なお、図8−2に示す処理は、図8−1に示した処理により、ベッド110に人が乗ったことを前提とする。
【0081】
図8−2において、まず、ユニモルフ圧電素子140が電圧信号を取得する(ステップS811)。そして、取得した電圧信号の電圧値が−6mV以下か否か(比較用の閾値以上か否か)を判断する(ステップS812)。ステップS802において、−6mV以下(閾値以上)であると判断した場合(ステップS812:Yes)、取得した電圧信号のうち、閾値以上変動した電圧信号がなすピークの時間幅が比較用の時間内であるか否かを判断する(ステップS813)。
【0082】
ステップS813において、ピークの時間幅が比較用の時間内であると判断した場合(ステップS813:Yes)、ベッド110上の人が縁に移動した旨の情報を出力し(ステップS814)、一連の処理を終了する。
【0083】
一方、ステップS812において、電圧値が−6mV以下ではないと判断した場合(ステップS812:No)、つまり、比較用の閾値以上ではないと判断した場合、ステップS811に移行する。また、ステップS813において、ピークの時間幅が比較用の時間内ではないと判断した場合(ステップS813:No)、ステップS801に移行する。
【0084】
(寝台装置がおこなうベッドから人が降りる際の処理の一例)
つぎに、図8−3を用いて、寝台装置100がおこなうベッド110から人が降りる際の処理の一例について、説明する。図8−3は、寝台装置100がおこなうベッド110から人が降りる際の処理の一例を示すフローチャートである。なお、図8−3に示す処理は、図8−1に示した処理によりベッド110に人が乗り、図8−2に示した処理によりベッド110上で人が縁に移動したことを前提とする。
【0085】
図8−3において、まず、ユニモルフ圧電素子140が電圧信号を取得する(ステップS821)。そして、取得した電圧信号の電圧値が+12mV以上か否か(比較用の閾値以上か否か)を判断する(ステップS822)。ステップS822において、+12mV以上(閾値以上)であると判断した場合(ステップS822:Yes)、取得した電圧信号のうち、閾値以上変動した電圧信号がなすピークの時間幅が比較用の時間内であるか否かを判断する(ステップS823)。
【0086】
ステップS823において、ピークの時間幅が比較用の時間内であると判断した場合(ステップS823:Yes)、ベッド110から人が降りた旨の情報を出力し(ステップS824)、一連の処理を終了する。
【0087】
一方、ステップS822において、電圧値が+12mV以下ではないと判断した場合(ステップS822:No)、つまり、比較用の閾値以上ではないと判断した場合、ステップS821に移行する。また、ステップS823において、ピークの時間幅が比較用の時間内ではないと判断した場合(ステップS823:No)、ステップS821に移行する。
【0088】
以上のように、この発明の実施の形態1にかかる寝台装置100は、ベッド110の連結フレーム130の一部に設けられ、連結フレーム130の変形量を連続して検出するユニモルフ圧電素子140と、ユニモルフ圧電素子140による検出結果に基づいて、ベッド110に対する人の乗り降りや、ベッド110上の人に移動を判断するようにした。
【0089】
つまり、人体に触れることなく、ベッド110の連結フレーム130の変形量を検出するだけで、簡単に、ベッド110に対する人の乗り降りや、ベッド110上の人に移動を判断することができる。したがって、ベッド110上の人に不快感を与えることなく、かつ、ベッド110上の人を拘束させたり意識させたりすることなく、簡単に、ベッド110上の人の体動を判断することができる。
【0090】
また、ユニモルフ圧電素子140が直接人体に触れることがないので、防水処理や電気絶縁処理をおこなう必要がなく、簡単な構成を実現できるばかりか、センサ上に人が乗るといったことがないので体圧分散が損なわれることなく、床ずれなどの懸念もない。
【0091】
また、ベッド110上の人の縁への移動を判断できることにより、ベッド110から降りてはならない患者が縁へ移動した場合には、ベッド110から降りる前段階で、または、ベッド110から降りたあとであっても、その患者に対して、早急に対策を講じることができる。
【0092】
また、この発明の実施の形態1にかかる寝台装置100において、ユニモルフ圧電素子140を、複数の連結フレーム130に設けて連結フレーム130の歪みを検出させるとともに、ユニモルフ圧電素子140によって検出された信号の差分演算値を検出するようにすれば、より詳細に連結フレーム130の変形量を検出でき、より詳細にベッド110上の人の体動を判断できるほか、複雑なフレーム構成を有するベッド110であっても、ベッド110上の人の体動を的確に判断することができる。
【0093】
また、この発明の実施の形態1にかかる寝台装置100は、ユニモルフ圧電素子140を用いたので、小型で簡易な構成を実現できるとともに、精度よく、連結フレーム130の変形量を検出することができる。
【0094】
また、この発明の実施の形態1にかかる寝台装置100によれば、ベッド110は、応力に対するヒステリシスが少なく、経時変化が少ない金属製のフレームを用いたので、ベッド110を長期間使用した場合でも、精度よく、ベッド110のフレームの変形量を検出することができる。
【0095】
なお、上述した説明では、連結フレーム130の上部にユニモルフ圧電素子140を設けた場合について説明したが、連結フレーム130の下部にユニモルフ圧電素子140を設けた場合には、抽出される電圧の正負および比較用の閾値の正負は逆になる。すなわち、上述した波形やフローチャートに示した値の正負は逆になる。なお、この点については、以下に説明する実施の形態2および実施の形態3についても同様である。
【0096】
(実施の形態2)
つぎに、この発明にかかる寝台装置100、および寝台装置100の体動判断方法の実施の形態2を説明する。実施の形態2においては、ベッド110上の人の覚醒または睡眠にかかる体動状態を判断するようにした態様について説明する。なお、実施の形態2は、判断機構部および比較用の閾値が実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0097】
(判断機構部の機能的構成)
図9を用いて判断機構部900の機能的構成について説明する。図9は、判断機構部900の機能的構成を示すブロック図である。図9において、判断機構部900は、ユニモルフ圧電素子140と、増幅器303と、ローパスフィルタ401と、比較器402と、パルス発生部901と、レベル検出部902と、報知器403と、を備えている。
【0098】
ローパスフィルタ401は、増幅器303によって増幅された電圧値をフィルタリングして、0.1〜2Hz以外の成分を除外し、比較器402側へ通過させる。これにより、増幅器303によって増幅された電圧値成分の中から、ベッド110上の人の覚醒または睡眠に起因する成分を抽出することができる。
【0099】
比較器402は、比較用の閾値を記憶する図示しない記憶領域を備え、当該記憶領域に記憶された比較用の閾値と、ローパスフィルタ401のフィルタリングによって得られた電圧信号とを比較する。そして、比較器402は、比較結果に応じた信号を後段のパルス発生部901へ出力する。比較用の閾値は、ベッド110上の人の覚醒または睡眠における、電圧値と時間とによって表される波形パターン(図10を参照)を基に予め設定される値であり、具体的には、電圧信号の振幅と時間幅とによって表される。
【0100】
比較用の閾値は、詳細については図10を用いて後述するが、たとえば、「最大振幅:−6mV」および「時間幅:2sec」として設定される。この比較用の閾値は、手足を動かしたり、姿勢を変えたりした場合に発生する電圧信号である。
【0101】
比較器402は、たとえば、フィルタリングによって得られた電圧信号と、比較用の閾値とを比較し、比較した比較結果をパルス発生部901へ出力する。
【0102】
パルス発生部901は、比較器402から出力された比較結果に基づいて、フィルタリングによって得られた信号が比較用の閾値よりも大きい場合(具体的には、−6mVより小さい場合)に、検出最低周波数の周期以上のパルスを発生させる。パルス発生部901は、フィルタリングによって得られた信号に、発生させたパルスを重畳して、後段のレベル検出部902に出力する。発生させたパルスを重畳することにより、フィルタリングによって得られた信号が比較用の閾値よりも大きい場合には、パルス発生部901から出力される信号のhighレベルを維持することができる。
【0103】
パルス発生部901は、図示外の計時部を備え、計時部による計測に基づいて、たとえば、3分間highレベルの信号を出力しない場合に、lowレベルの信号を出力する。ここで、3分間としているのは、健常者が覚醒しているときに、少なくとも3分に1回は姿勢を変えるなど無意識的な体動があり、3分間姿勢を変えない場合には、睡眠しているものと想定されるためである。なお、この計時部は、図5に示した寝台装置100の機能的構成においては、タイマ504によって実現される。
【0104】
レベル検出部902は、パルス発生部901から出力された信号のレベルを検出して、検出結果に応じた信号を出力する。具体的には、パルス発生部901から出力される信号がhighレベルである場合、レベル検出部902は覚醒している旨の信号を出力する。一方、パルス発生部901から出力される信号がlowレベルである場合、レベル検出部902は睡眠している旨の信号を出力する。
【0105】
報知器403は、レベル検出部902からの出力結果に基づいて、報知信号を出力する。報知器403は、たとえば、レベル検出部902から覚醒している旨の信号が出力された場合に、ベッド110上の人が覚醒している旨を示す表示ランプ(図示外)に、報知信号を出力することで、当該表示ランプを点灯させる。なお、表示ランプは、たとえば、病院などで患者を管理する管理室などに設けられる。また、報知器403は、たとえば、レベル検出部902から睡眠している旨の信号が出力された場合に、ベッド110上の人が睡眠している旨を示す表示ランプに、報知信号を出力することで、当該表示ランプを点灯させる。
【0106】
判断機構部900における、増幅器303と、ローパスフィルタ401と、比較器402と、パルス発生部901と、レベル検出部902と、報知器403とは、それぞれの機能を実現するプログラムを記憶するROMと、ROMに記憶されたプログラムに基づいて各種の演算処理を実行するCPUと、CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAMなどによって構成されるマイクロコンピュータなどによって実現することができる。
【0107】
なお、増幅器303、ローパスフィルタ401、比較器402、パルス発生部901、レベル検出部902、報知器403によって実現される各機能は、単一のマイクロコンピュータによって実現するものに限らず、たとえば、各部の機能を各々別個に実現するマイクロコンピュータ(回路)を組み合わせることによって実現することもできる。
【0108】
(ユニモルフ圧電素子140によって出力される電圧信号の波形パターンの一例)
つぎに、図10を用いて、ユニモルフ圧電素子140によって出力される電圧信号の波形パターンの一例について、説明する。図10は、ユニモルフ圧電素子140によって出力される電圧信号の波形パターンを示すグラフである。図10に示すグラフ1000は、ベッド110上の人の体動に起因する電圧信号の一例を示している。
【0109】
グラフ1000は、縦軸に電圧値(mV)、横軸に時間(sec)を示している。符号1001〜1003に示す部分は、ベッド110上の人が手足を動かしたり、姿勢を変えたりした場合の粗体動を示している。これは、上述したように、連結フレーム130とともにユニモルフ圧電素子140が撓むと、圧電素子301からは正の電圧が発生する一方、増幅器303(インピーダンス変換素子)によって反転される結果、負の信号となって出力されたものである。
【0110】
この曲線を基に、ベッド110上の人の粗体動(覚醒)にかかる閾値が、たとえば、「最大振幅:−6mV」および「時間幅:2sec」として設定される。なお、符号1004に示す部分は、後述する実施の形態3において説明する、ベッド110上の人の心拍に起因する微体動を示している。
【0111】
(寝台装置がおこなうベッド上の人の覚醒または睡眠を判断する処理の一例)
つぎに、図11を用いて、実施の形態2にかかる寝台装置がおこなうベッド110上の人の覚醒または睡眠を判断する処理の一例について、説明する。図11は、実施の形態2にかかる寝台装置がおこなうベッド110上の人の覚醒または睡眠を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【0112】
図11において、寝台装置は、ベッド110に人が乗ったか否かを判断する(ステップS1101)。ステップS1101における判断は、実施の形態1に示した処理にて判断される(図8参照)。ステップS1101において、ベッド110に人が乗ったと判断するまで待機状態にあり(ステップS1101:Noのループ)、ベッド110に人が乗ったと判断した場合(ステップS1101:Yes)、計時を開始する(ステップS1102)。
【0113】
そして、常時取得している電圧信号の電圧値と、比較用の閾値とを比較して、電圧値が比較用の閾値以上か否かを判断する(ステップS1103)。なお、ステップS1103における比較用の閾値以上か否かは、具体的には、−6mV以下か否かということである。ステップS1103において、比較用の閾値以上であると判断した場合(ステップS1103:Yes)、取得した電圧信号のうち、閾値以上変動した電圧信号がなすピークの時間幅が比較用の時間内であるか否かを判断する(ステップS1104)。
【0114】
ステップS1104において、ピークの時間幅が比較用の時間内であると判断した場合(ステップS1104:Yes)、覚醒している旨の情報を出力する(ステップS1105)。このあと、ベッド110から人が降りたか否かを判断する(ステップS1106)。ステップS1106における判断は、実施の形態1に示した処理にて判断される(図8参照)。ステップS1106において、ベッド110から人が降りたと判断した場合(ステップS1106:Yes)、一連の処理を終了する。
【0115】
一方、ステップS1106において、ベッド110から人が降りていないと判断した場合(ステップS1106:No)、ステップS1102に移行する。また、ステップS1103において、比較用の閾値以上ではないと判断した場合(ステップS1103:No)、所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS1107)。この所定の時間は、上述したように、人が覚醒時において少なくとも1回は無意識に姿勢を変えたりする時間としての3分である。
【0116】
ステップS1107において、所定の時間が経過したと判断した場合(ステップS1107:Yes)、睡眠中である旨の情報を出力し(ステップS1108)、ステップS1106に移行する。また、ステップS1107において、所定の時間が経過していないと判断した場合(ステップS1107:No)、ステップS1103に移行する。また、ステップS1104において、比較用の時間内ではないと判断した場合(ステップS1104:No)、ステップS1107に移行する。
【0117】
以上のように、この発明の実施の形態2にかかる寝台装置は、ベッド110の連結フレーム130の一部に設けられ、連結フレーム130の変形量を連続して検出するユニモルフ圧電素子140と、ユニモルフ圧電素子140による検出結果に基づいて、ベッド110上の人の覚醒または睡眠の状態を判断するようにした。
【0118】
つまり、人体に触れることなく、ベッド110の連結フレーム130の変形量を検出するだけで、簡単に、ベッド110上の人の覚醒または睡眠の状態を判断することができる。したがって、ベッド110上の人に不快感を与えることなく、かつ、ベッド110上の人を拘束させたり意識させたりすることなく、簡単に、ベッド110上の人の体動を判断することができる。
【0119】
また、ユニモルフ圧電素子140を、複数の連結フレーム130に設けて連結フレーム130の歪みを検出させるとともに、ユニモルフ圧電素子140によって検出された信号の差分演算値を検出するようにすれば、より詳細に連結フレーム130の変形量を検出でき、より詳細にベッド110上の人の体動を判断できるほか、複雑なフレーム構成を有するベッド110であっても、ベッド110上の人の体動を的確に判断することができる。
【0120】
(実施の形態3)
つぎに、この発明にかかる寝台装置100、および寝台装置100の体動判断方法の実施の形態3を説明する。実施の形態3においては、ベッド110上の人の心拍にかかる体動状態を判断するようにした態様について説明する。なお、実施の形態3は、比較用の閾値が実施の形態2と異なる。以下、実施の形態1および実施の形態2と同様の構成については、同様の符号を付し、適宜、説明を省略する。添付図面の図9、図10、図12を用いて実施の形態3について説明する。
【0121】
(判断機構部の機能的構成)
実施の形態3にかかる判断機構部は、実施の形態2にかかる図9に示した判断機構部900の構成と同様の構成であるが各種設定値が異なる。
【0122】
ローパスフィルタ401は、増幅器303によって増幅された電圧値をフィルタリングして、0.1〜10Hz以外の成分を除外し、比較器402側へ通過させる。これにより、増幅器303によって増幅された電圧値成分の中から、ベッド110上の人の心拍の状態に起因する成分を抽出することができる。
【0123】
比較器402は、比較用の閾値を記憶する図示しない記憶領域を備え、当該記憶領域に記憶された比較用の閾値と、ローパスフィルタ401のフィルタリングによって得られた電圧信号とを比較する。そして、比較器402は、比較結果に応じた信号を後段のパルス発生部901へ出力する。比較用の閾値は、ベッド110上の人の心拍の状態における、電圧値と時間とによって表される微体動の波形パターン(図10中、符号1004を参照)を基に予め設定される値であり、具体的には、電圧信号の振幅と時間幅とによって表される。
【0124】
図10に示した微体動の曲線を基に、ベッド110上の人の心拍にかかる比較用の閾値が、たとえば、「最大振幅:1mV」および「時間幅:0.2sec」として設定される。なお、最大振幅は、絶対値である。
【0125】
比較器402は、たとえば、フィルタリングによって得られた電圧信号と、比較用の閾値とを比較し、比較した比較結果をパルス発生部901へ出力する。
【0126】
パルス発生部901は、比較器402から出力された比較結果に基づいて、フィルタリングによって得られた信号が比較用の閾値よりも大きい場合に、検出最低周波数の周期以上のパルスを発生させる。パルス発生部901は、フィルタリングによって得られた信号に、発生させたパルスを重畳して、後段のレベル検出部902に出力する。発生させたパルスを重畳することにより、フィルタリングによって得られた信号が比較用の閾値よりも大きい場合には、パルス発生部901から出力される信号のhighレベルを維持することができる。
【0127】
パルス発生部901は、図示外の計時部を備え、計時部による計測に基づいて、たとえば、3秒間highレベルの信号を出力しない場合に、lowレベルの信号を出力する。ここで、3秒間としているのは、人間の心拍は1分間に30回以上であるが、たとえば、1分間に20回の心拍数とした場合、少なくとも3秒に1回は心拍があるものと想定でき、言い換えれば、3秒間心拍がない場合には、心停止またはベッド110上に人がいないものと想定されるためである。なお、この計時部は、図5に示した寝台装置100の機能的構成においては、タイマ504によって実現される。
【0128】
レベル検出部902は、パルス発生部901から出力された信号のレベルを検出して、検出結果に応じた信号を出力する。具体的には、パルス発生部901から出力される信号がhighレベルである場合、レベル検出部902はベッド110上に人が存在(生存)している旨の信号を出力する。一方、パルス発生部901から出力される信号がlowレベルである場合、レベル検出部902は心停止である旨(またはベッド110上に人が不在の旨)の信号を出力する。
【0129】
報知器403は、レベル検出部902からの出力結果に基づいて、報知信号を出力する。報知器403は、たとえば、レベル検出部902から存在している旨の信号が出力された場合に、ベッド110上の人が存在している旨を示す表示ランプ(図示外)に、報知信号を出力することで、当該表示ランプを点灯させる。なお、表示ランプは、たとえば、病院などで患者を管理する管理室などに設けられる。
【0130】
また、報知器403は、たとえば、レベル検出部902からベッド110上に人が不在の旨の信号、または心停止である旨の信号が出力された場合に、ベッド110上の人が心停止である旨(またはベッド110上に人が不在の旨)を示す表示ランプに、報知信号を出力することで、当該表示ランプを点灯させる。
【0131】
(寝台装置がおこなうベッド上の人の覚醒または睡眠を判断する処理の一例)
つぎに、図12を用いて、実施の形態3にかかる寝台装置がおこなうベッド110上の人の心拍の状態を判断する処理の一例について、説明する。図12は、実施の形態3にかかる寝台装置がおこなうベッド110上の人の心拍の状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【0132】
図12において、寝台装置は、ベッド110に人が乗ったか否かを判断する(ステップS1201)。ステップS1201における判断は、実施の形態1に示した処理にて判断される(図8参照)。ステップS1201において、ベッド110に人が乗ったと判断するまで待機状態にあり(ステップS1201:Noのループ)、ベッド110に人が乗ったと判断した場合(ステップS1201:Yes)、計時を開始する(ステップS1202)。
【0133】
そして、常時取得している電圧信号の電圧値と、比較用の閾値とを比較して、電圧値が比較用の閾値以上か否かを判断する(ステップS1203)。ステップS1203において、比較用の閾値以上であると判断した場合(ステップS1203:Yes)、取得した電圧信号のうち、閾値以上変動した電圧信号がなすピークの時間幅が比較用の時間内であるか否かを判断する(ステップS1204)。
【0134】
ステップS1204において、ピークの時間幅が比較用の時間内であると判断した場合(ステップS1204:Yes)、ベッド110上に人が存在する旨の情報を出力する(ステップS1205)。このあと、ベッド110から人が降りたか否かを判断する(ステップS1206)。ステップS1206における判断は、実施の形態1に示した処理にて判断される(図8参照)。ステップS1206において、ベッド110から人が降りたと判断した場合(ステップS1206:Yes)、一連の処理を終了する。
【0135】
一方、ステップS1206において、ベッド110から人が降りていないと判断した場合(ステップS1206:No)、ステップS1202に移行する。また、ステップS1203において、比較用の閾値以上ではないと判断した場合(ステップS1203:No)、所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS1207)。この所定の時間は、上述したように、たとえば、3秒である。
【0136】
ステップS1207において、所定の時間が経過したと判断した場合(ステップS1207:Yes)、ベッド110上の人が心停止している旨の情報を出力し(ステップS1208)、一連の処理をする。また、ステップS1207において、所定の時間が経過していないと判断した場合(ステップS1207:No)、ステップS1203に移行する。また、ステップS1204において、比較用の時間内ではないと判断した場合(ステップS1204:No)、ステップS1207に移行する。
【0137】
なお、たとえば、ベッド110上で激しく動いたりしたことにより、ステップS1206において、ベッド110から人が降りたと判断した場合であっても、常時取得している電圧信号を基に、心拍がある(存在する)と判断された場合には、上述した処理を再開すればよい。
【0138】
以上のように、この発明の実施の形態3にかかる寝台装置は、ベッド110の連結フレーム130の一部に設けられ、連結フレーム130の変形量を連続して検出するユニモルフ圧電素子140と、ユニモルフ圧電素子140による検出結果に基づいて、ベッド110上の人の覚醒または睡眠の状態を判断するようにした。
【0139】
つまり、人体に触れることなく、ベッド110の連結フレーム130の変形量を検出するだけで、簡単に、ベッド110上の人の心拍の状態を判断することができる。したがって、ベッド110上の人に不快感を与えることなく、かつ、ベッド110上の人を拘束させたり意識させたりすることなく、簡単に、ベッド110上の人の体動を判断することができる。
【0140】
また、ユニモルフ圧電素子140を、複数の連結フレーム130に設けて連結フレーム130の歪みを検出させるとともに、ユニモルフ圧電素子140によって検出された信号の差分演算値を検出するようにすれば、より詳細に連結フレーム130の変形量を検出でき、より詳細にベッド110上の人の体動を判断できるほか、複雑なフレーム構成を有するベッド110であっても、ベッド110上の人の体動を的確に判断することができる。
【0141】
なお、上述した実施の形態1〜3については、説明の便宜上、それぞれ別々に説明したが、これらを同時に実施することは、勿論可能である。
【0142】
以上説明したように、本発明にかかる寝台装置、および寝台装置の体動判断方法によれば、ベッド上の人に不快感を与えることなく、かつ、ベッド上の人を拘束させたり意識させたりすることなく、簡単に、ベッド上の人の体動を判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明にかかる寝台装置、および寝台装置の体動判断方法は、介護用の寝台装置および体動判断方法に有用であり、特に、ベッド上の人の体動を集中管理する病院や介護施設などの寝台装置および体動判断方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】この発明の実施の形態にかかる寝台装置のシステム構成図である。
【図2】図1に示した寝台装置のうち、ユニモルフ圧電素子周辺の拡大図である。
【図3−1】ユニモルフ圧電素子の詳細な構成を示す説明図である。
【図3−2】ユニモルフ圧電素子が変形した場合の一例を示す断面図である。
【図3−3】ユニモルフ圧電素子が変形した場合の一例を示す断面図である。
【図4】判断機構部の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】この発明にかかる寝台装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】ユニモルフ圧電素子によって出力される電圧信号の波形パターンを示すグラフである。
【図7】ユニモルフ圧電素子によって出力される電圧信号の波形パターンを示すグラフである。
【図8−1】寝台装置がおこなうベッドに人が乗る際の処理の一例を示すフローチャートである。
【図8−2】寝台装置がおこなうベッド上の人の移動を判断する際の処理の一例を示すフローチャートである
【図8−3】寝台装置がおこなうベッドから人が降りる際の処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】判断機構部の機能的構成を示すブロック図である。
【図10】ユニモルフ圧電素子によって出力される電圧信号の波形パターンを示すグラフである。
【図11】実施の形態2にかかる寝台装置がおこなうベッド上の人の覚醒または睡眠を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態3にかかる寝台装置がおこなうベッド上の人の心拍の状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0145】
100 寝台装置
110 ベッド
130 連結フレーム
140 ユニモルフ圧電素子
303 増幅器
400 判断機構部
401 ローパスフィルタ
402 比較器
403 報知器
501 検出部
502 判断部
503 記憶部
504 タイマ
505 出力部
900 判断機構部
901 パルス発生部
902 レベル検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台のフレームと、
前記フレームの一部に設けられ、前記フレームの変形量を連続して検出する変形量検出手段と、
前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台上における人の体動状態を判断する判断手段と、
前記判断手段によって判断された判断結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする寝台装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台に対する人の乗り降りを判断することを特徴とする請求項1に記載の寝台装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台上における人の移動を判断することを特徴とする請求項1または2に記載の寝台装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台上の人の覚醒または睡眠を判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の寝台装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記変形量検出手段による検出結果に基づいて、寝台上の人の心拍の状態を判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の寝台装置。
【請求項6】
前記フレームは、複数の脚部と、前記脚部を連結する連結部とからなり、
前記変形量検出手段は、複数の前記連結部に設けられ、前記連結部の歪みを検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の寝台装置。
【請求項7】
前記変形量検出手段は、前記フレームに加えられた外力に応じて変形する円板形状の圧電素子と、前記圧電素子から出力された電圧値のインピーダンス変換をおこなうインピーダンス変換素子と、を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の寝台装置。
【請求項8】
前記フレームは、金属製のフレームであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の寝台装置。
【請求項9】
寝台のフレームと、前記フレームの一部に設けられた変形量検出手段と、を備えた寝台装置の体動判断方法であって、
前記フレームの変形量を連続して検出する変形量検出工程と、
前記変形量検出工程にて検出された検出結果に基づいて、寝台上における人の体動状態を判断する判断工程と、
前記判断工程にて判断された判断結果を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする寝台装置の体動判断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−118935(P2009−118935A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294008(P2007−294008)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(500114254)株式会社エム・アイ・ラボ (11)
【Fターム(参考)】