説明

寸法安定性のある固形リンス助剤

本発明は、固形リンス助剤組成物並びにその製造及び使用方法である。固形リンス助剤組成物は、固形化剤としての硫酸ナトリウム及び尿素、並びに有効量のアルコールエトキシレート化合物のシーティング剤成分及び有効量の消泡剤成分を一般に含む。固形リンス助剤組成物はまた、重硫酸ナトリウムを含む防腐系を含むことができる。固形リンス助剤組成物は、リン酸塩を含まず、アミノカルボン酸塩を含まず、そして所望であればGRASであることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
機械式食器洗浄機は、長年、施設及び家庭環境において一般的であった。このような自動食器洗浄機は、最初に洗浄サイクルと、それに続くすすぎサイクルを含むことができ、浸漬、予洗、擦り洗い(scrape)、消毒、乾燥、及び追加洗浄サイクルもまた利用できる2サイクル以上を使って食器をきれいにする。リンス剤は、乾燥を促進し、そして、汚点の形成を予防するために食器洗浄用途において通常使用される。
【0002】
汚点の形成を低減するために、通常、リンス剤を水に加えて、清浄が終了した後に食器上にスプレーされる水性リンス液を作る。リンス剤が作用する正確な作用機序は証明されていない。一説によると、リンス剤中の界面活性剤がその曇点か又はそれより高い温度にて表面上に吸収され、その結果、固体−液体界面エネルギーを低減し、そして、接触角を小さくするというわけである。これは、表面から均一に排水し、そして、汚点の形成を最小限にする連続的なシートの形成につながる。通常、高発泡性界面活性剤は、すすぎ水の温度より高い曇点を有するので、この理論によると、シート形成を促進することなく、その結果、汚点を生じるだろう。そのうえ、高発泡性物質が、食器洗浄機の運転を妨げることが知られている。
【0003】
場合によっては、消泡剤はリンス助剤中の高発泡性界面活性剤の使用を促進する試みにおいて使用された。理論上、消泡剤は、すすぎ水の温度又はそれ以下の温度に曇点を有する界面活性剤しか含むことができず、その結果、析出するので、気体/液体界面を変更し、そして、すすぎ水中の高発泡性界面活性剤によって作り出され得る泡の存在を不安定化するだろう。しかしながら、多くの場合、望み通りの成果を得るための高発泡性界面活性剤と消泡剤の好適な組み合わせ物を提供することは難しい。例えば、特定の高発泡性界面活性剤のために、多くの場合、化学的にかなり複雑な消泡剤を提供することが必要である。例えば、国際公開第89/11525号は、アルキル残基によってキャップされたエトキシレート消泡剤を開示している。
【0004】
多くのリンス助剤が、現在、知られていて、それぞれ、特定の利点と不利点を有する。代替のリンス助剤組成物、特に環境に優しく(例えば、生分解性の)、かつ外食産業における使用に好適な成分、例えば、(21C.F.R.§§184にて部分的な一覧表が入手可能なUSFDA(米国食品医薬品局)によって一般に安全と認められる)GRAS成分を基本的に含んでいる代替のリンス助剤組成物を継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の固形リンス剤組成物は、硫酸ナトリウムと尿素を含む固形化系、及び1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含むシーティング剤(sheeting agent)を含む。固形リンス助剤組成物は、有利には、リン酸塩を含まずかつアミノカルボン酸塩を含まないように、そして食用として一般に安全と認められる(GRAS)成分のみを含むように処方することができる。
【0006】
少なくともいくつかの態様において、固形リンス助剤は、一般に12個以下の炭素原子を含むアルキル基を有し、かつ室温で固体である1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含んで成るシーティング剤成分を含むことができる。例えば、いくつかの態様において、リンス助剤は、以下の一般式:
R−O−(CH2CH2O)n−H
(式中、Rが(C1−C12)アルキル基であり、nが1〜100の範囲の整数である。)を有する1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含むシーティング剤成分を含むことができる。前記リンス助剤はまた、水溶液中のアルコールエトキシレートによって作り出され得る泡の安定性を低減するように設定された有効量の消泡剤成分も含むことができる。
【0007】
本発明の固形リンス助剤組成物のいくつかの態様はまた、重硫酸ナトリウム及び有機酸を含む、固形リンス助剤の酸性化のためのGRAS防腐系を含む。少なくともいくつかの態様において、固形リンス助剤の使用溶液は、pH4未満、しばしばpH2未満のpHを有する。
【0008】
加熱及び激しい混合を含む方法のいくつかの例が、リンス助剤組成物を処理するために記載され、それらは、シーティング成分、消泡剤、硫酸ナトリウム、尿素、及び、所望であれば、リンス助剤を作るための他の任意の好適な添加物を組み合わせる工程を一般に含む。これらの工程に続いて鋳造、押出成形等が行われ、固形製品が形成される。
【0009】
リンス助剤は、濃縮物として又は使用溶液として提供することができる。リンス助剤の濃縮物は、典型的には固体で提供される。一般的に、濃縮物は水で希釈されて使用溶液を提供し、次いでこの使用溶液が基材表面に供給されると考えられる。使用溶液は、好ましくは、すすぎ水における軽減された水の固体被覆を提供するために有効量の活性物質を含む。用語「活性物質」は、汚点及び水の固体被膜を軽減するために機能する使用溶液の非水性部分を指すことが理解されるべきである。
【0010】
リンス助剤の使用方法のいくつかの例は、リンス助剤を用意する工程、該リンス助剤を水性の使用溶液中に混合する工程、及び該水性の使用溶液を基材表面に適用する工程を一般に含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に規定される用語に関し、異なる規定が特許請求の範囲又は本明細書の別項に与えられない限り、これらの規定が使用されるものとする。
【0012】
本明細書中、すべての数値は、明確に示されているか否かに関係なく、「約」という用語によって修飾されると考えられる。用語「約」は、通常、当業者が列挙された値と同等である(すなわち、同じ機能又は結果を有する)と見なすであろう数字の範囲を指す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められた数字を含むことができる。
【0013】
質量パーセント(weight percent、percent by weight、% by weight)、wt%、wt−%等は、その物質の質量を組成物の質量で割り、そして100を掛けた、物質の濃度を指す同義語である。
【0014】
終点による数値域の列挙は、その範囲内のすべての数字を含む(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合には、内容に明らかな別段の指示がない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数の指示対照を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合には、内容に明らかな別段の指示がない限り、用語「又は」は、一般に、「及び/又は」を含む意味において用いられる。
【0016】
リン酸塩を含まないとは、リン酸塩含有化合物が加えられていない組成物、混合物、又は成分を指す。例えば、リン酸塩を含まない組成物、混合物、又は成分の汚染を通じて、リン酸塩含有化合物が存在するのであれば、リン酸塩のレベルは、0.5wt%未満であるものとし、0.1wt%未満、そして、多くの場合、0.01wt%未満であってもよい。
【0017】
アミノカルボン酸塩を含まないとは、アミノカルボン酸塩含有化合物が加えられていない組成物、混合物、又は成分を指す。アミノカルボン酸塩を含まない組成物、混合物、又は成分の汚染を通じてアミノカルボン酸塩含有化合物が存在するのであれば、アミノカルボン酸塩のレベルは0.5wt%未満であるものとし、0.1wt%未満、そして、多くの場合、0.0lwt%未満であってもよい。
【0018】
本明細書において使用される場合には、用語「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の一価の炭化水素基を指す。アルキル基には、一般に、1〜20個の原子を有するものが含まれる。アルキル基は、置換されていないか、又は組成物の指定された機能を妨げないそれらの置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換されたアミノ、又はハロが含まれる。本明細書中で使用される「アルキル」の例には、これだけに制限されることなく、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、及びイソプロピル等が含まれる。加えて、「アルキル」に、「アルキレン」、「アルケニレン」、又は「アルキリン(alkylynes)」を含んでもよい。
【0019】
本明細書において使用される場合には、用語「アルキレン」は、任意選択でS、O、Si又はNから独立に選択される1つ又は複数のヘテロ原子置換を含む、直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を指す。アルキレン基は、一般に1〜20個の原子を有するものを含む。アルキレン基は、置換されていないか、又は組成物の指定された機能を妨げないそれらの置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換されたアミノ、又はハロが含まれる。本明細書中に使用される「アルキレン」の例には、これだけに制限されることなく、メチレン、エチレン、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル等が含まれる。
【0020】
本明細書において使用される場合には、用語「アルケニレン」は、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合を持ち、かつS、O、Si又はNから独立に選択される1つ又は複数のヘテロ原子置換を任意選択で含む、直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を指す。アルケニレン基には、一般に1〜20個の原子を有するものが含まれる。アルケニレン基は、置換されていないか、又は組成物の指定された機能を妨げないそれらの置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換されたアミノ、又はハロが含まれる。本明細書中で使用される「アルケニレン」の例には、これだけに制限されることなく、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイル等が含まれる。
【0021】
本明細書において使用される場合には、用語「アルキリン」は、1つ又は複数の炭素−炭素三重結合を持ち、かつS、O、Si、又はNから独立に選択される1つ又は複数のヘテロ原子置換を任意選択で含む、直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を指す。アルキリン基には、一般に1〜20個の原子を有するものが含まれる。アルキリン基は、置換されていないか、又は組成物の指定された機能を妨げないそれらの置換基で置換されていてもよい。置換基には、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換されたアミノ、又はハロが含まれる。
【0022】
本明細書において使用される場合には、用語「アルコキシ」は、式中、アルキルが先に規定されたとおりであるところの−O−アルキル基を指す。
【0023】
本明細書において使用される場合には、用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、ヨウ素、臭素、塩素、及びフッ素を含むものとする。
【0024】
本明細書において使用される場合には、用語「メルカプト」及び「スルフヒドリル基」は、置換基−SHを指す。
【0025】
本明細書において使用される場合には、用語「ヒドロキシ」は、置換基−OHを指す。
【0026】
本明細書において使用される場合には、用語「アミノ」は、置換基−NH2を指す。
【0027】
本発明の固形リンス剤組成物には、硫酸ナトリウムと尿素を含む固形化系、及び1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含むシーティング剤を含む。固形リンス助剤組成物は、リン酸塩を含まない、かつアミノカルボン酸塩を含まないように、並びに食用として一般に安全と認められる(GRAS)成分のみを含むように有利に処方できる。
【0028】
本発明は、硫酸ナトリウムと尿素を含む有効量の固形化系を含む固形リンス助剤組成物を提供する。硫酸ナトリウムと尿素の組み合わせ物は、少なくとも固形化剤として機能することによって、固形リンス助剤の性能を高めることがわかった。硫酸ナトリウムと尿素の組み合わせ物はまた、ビルダーとしても機能し得る。固形リンス助剤組成物は、典型的に、華氏110度(約43℃)より高い融点を持ち、そして、寸法安定性がある。
【0029】
固形リンス助剤は、一般に12個未満の炭素原子を含むアルキル基を有する1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含む、有効量のシーティング剤を含む。好ましくは、1つ又は複数のアルコールエトキシレートは、室温にて固形である。例えば、いくつかの態様において、リンス助剤のシーティング剤は、以下の一般式:
R−O−(CH2CH2O)n−H
(式中、Rが(C1−C12)アルキル基であり、nが1〜100の範囲の整数である。)を有する1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含む。
【0030】
リンス助剤はまた、一般に、水溶液中のアルコールエトキシレートによって作り出され得る泡の安定性を低減するように設定された有効量の消泡剤成分も含む。
【0031】
本発明の固形リンス助剤組成物のいくつかの態様にはまた、重硫酸ナトリウム及び有機酸を含む、固形リンス助剤の酸性化のための新規GRAS防腐系を含む。少なくともいくつかの態様において、固形リンス助剤は2.0以下のpHを有し、固形リンス助剤の使用溶液は少なくともpH4.0のpHを有する。
【0032】
典型的に、固形リンス助剤は、外食産業における使用に好適な成分、例えば、部分的な一覧表が21 CFR 184にて入手可能であるGRAS成分、を含むように処方される。いくつかの態様において、固形リンス助剤は、GRAS成分だけを含むように処方される。他の態様において、固形リンス助剤は、GRAS及び生分解性成分を含むように処方される。加えて、固形リンス助剤は、リン酸塩及びアミノカルボン酸塩を除くことによって環境に優しくなるように処方されてもよい。
【0033】
固形リンス助剤組成物はまた、硫酸ナトリウムと尿素によって形成される固体マトリックスにより製造されるリンス助剤組成物のタイプに従って異なる他の機能的な作用物質と有効成分を含むことができる。本発明は、アルコールエトキシレートのシーティング剤と組み合わせて、有効量の硫酸ナトリウム及び尿素を含む固形リンス助剤組成物の製造方法をさらに提供する。
【0034】
リンス助剤組成物は、固体として提供される。典型的に、固形リンス助剤は、固形ブロック又はペレットとして提供される。ブロックは、少なくとも約5グラムのサイズを持つと思われ、そして、約50グラムより大きなサイズも含んでもよい。当該出願の目的のために、用語「固形のブロック」には、50グラム〜250グラムの重さを持つ押出成形ペレット物質、約100グラム以上の重さを持つ押出成形固形物、又は約1〜10キログラムの質量を持つ固形ブロックリンス助剤が含まれる。
【0035】
[固形化剤]
リンス助剤組成物には、固形化のために、有効量の硫酸ナトリウムと尿素の組み合わせ物が含まれる。一般的に、硫酸ナトリウムと尿素の有効量は、その他の物質の有無にかかわらず、リンス助剤組成物を固めるように作用する量であると考えられる。典型的に、固形リンス助剤組成物中の硫酸ナトリウムと尿素の総量は、固形リンス助剤組成物の18〜70wt%の範囲にあり、硫酸ナトリウムが3〜24wt%、そして尿素が15〜50wt%である。他の態様において、硫酸ナトリウムと尿素の総量は、10〜50wt%の範囲にあり、硫酸ナトリウムが5〜18wt%、そして尿素が5〜45wt%である。いくつかの事例において、硫酸ナトリウムと尿素を合わせた量は、リンス助剤組成物の20〜37wt%の範囲にあり、硫酸ナトリウムが10〜16wt%、そして尿素が16〜27wt%である。硫酸ナトリウムと尿素は商業的に入手可能である。
【0036】
リンス助剤組成物は、硫酸ナトリウムと尿素を伴う成分の化学反応により固体へと硬化する。固形化過程は、例えば、鋳造(cast)又は押出成形される組成物のサイズ、組成物の成分、組成物の温度、及びその他の同様の要因によって数分〜約4時間まで持続できる。典型的に、本開示のリンス助剤組成物は、幅のある混合時間に対する適応性を示す。多くの場合、鋳造又は押出成形される組成物は、1分〜約3時間以内に「セットアップする(sets up)」又は固体への硬化を開始する。例えば、鋳造又は押出成形される組成物は、1分〜2時間の範囲内で「セットアップする」又は固体への硬化を開始する。場合によっては、鋳造又は押出成形される組成物は、1分〜約20分の範囲で「セットアップする」又は固体への硬化を開始する。
【0037】
[水]
固形リンス助剤(すなわち、固形濃縮物)は水を含む。食器洗浄組成物は水を含んでいてもよい。水は、独立にリンス助剤組成物に加えられ得るか、又はそのリンス助剤組成物に加えられる水性物質中に水が存在するために、水がリンス助剤組成物中に提供され得る。例えば、リンス助剤組成物に加えられる物質は、水を含むか、又は(1つ又は複数の)固形化剤成分との反応に利用可能な水性プレミックスに調製されてもよい。リンス助剤組成物の形成中にリンス助剤組成物中に取り入れられた水は、取り除かれるか、又は水和水になり得る。典型的に、水は、固形化の前に所望の粘性を洗浄剤組成物に提供するために、及び/又は所望の固形化速度を提供するために、及び/又は加工助剤としてリンス助剤組成物中に取り入れられる。
【0038】
固形リンス助剤組成物において、水の量は、1〜15wt%の範囲、多くの場合、3〜14wt%の範囲内になければならないが、3〜6wt%の水、又は6〜11wt%の水、さらには、11〜14wt%の水であってもよい。水は脱イオン水として、又は軟水として提供され得ることが、さらに理解されるべきである。
【0039】
[シーティング剤]
固形リンス助剤組成物はシーティング剤を含む。固形リンス助剤組成物のシーティング剤は、1つ又は複数のアルコールエトキシレート化合物の有効量を含む。典型的に、固形リンス助剤組成物のシーティング剤は、12個以下の炭素原子しか持たないアルキル基を含むところの、有効量の、1つ又は複数のアルコールエトキシレート化合物を含む。典型的に、シーティング剤における1つ又は複数のアルコールエトキシレート化合物の混ぜ合わせ物は、例えば、華氏100度(約38℃)以上、多くの場合、華氏110度(約43℃)より高い、そして、しばしば華氏110度〜華氏120度(約43℃〜約49℃)の範囲の融点を有することによって、室温にて固体である。少なくともいくつかの態様において、アルコールエトキシレート化合物は、以下の式(I):
R−O−(CH2CH2O)n−H (I)
(式中、Rが(C1−C12)アルキル基であり、nが1〜100の範囲の整数である。)によって表される構造をそれぞれ独立に持っていてもよい。いくつかの態様において、Rは、(C8−C12)アルキル基であっても、又は(C8−C10)アルキル基であってもよい。同様に、いくつかの態様において、nは、10〜50の範囲、15〜30の範囲、又は20〜25の範囲の整数である。いくつかの態様において、1つ又は複数のアルコールエトキシレート化合物は直鎖の疎水性物質である。
【0040】
少なくともいくつかの態様において、シーティング剤は、それぞれ式(I)によって表される構造を持つ少なくとも2つの異なるアルコールエトキシレート化合物を含む。言い換えれば、式(I)のR及び/又はnの変数又はその両方は、シーティング剤中に存在する2つ以上の別個のアルコールエトキシレート化合物において異なっていてもよい。例えば、いくつかの態様におけるシーティング剤は、第1のアルコールエトキシレート化合物(式中、Rが(C8−C10)アルキル基である。)、及び第2のアルコールエトキシレート化合物(式中、Rが(C10−C12)アルキル基である。)を含むことができる。少なくともいくつかの態様において、シーティング剤は、12個より多くの炭素原子を持つアルキル基を含むどんなアルコールエトキシレート化合物も含まない。いくつかの態様において、シーティング剤は、12個以下の炭素原子しか持たないアルキル基を含むアルコールエトキシレート化合物だけを含む。
【0041】
例えば、シーティング剤が少なくとも2種類の異なるアルコールエトキシレート化合物を含むところのいくつかの態様において、その異なるアルコールエトキシレート化合物の比は、最終的な組成物の所望の特徴を得るために変更されてもよい。例えば、第1のアルコールエトキシレート化合物と第2のアルコールエトキシレート化合物を含むいくつかの態様において、第1のアルコールエトキシレート化合物の質量パーセント対第2の化合物の質量パーセントの比は、約1:1〜約10:1以上の範囲内にあり得る。例えば、いくつかの態様において、シーティング剤は、約50%の質量パーセント以上の範囲で第1の化合物を含み、かつ約50質量パーセント以下の範囲で第2の化合物を含む、及び/又は約75質量パーセント以上の範囲で第1の化合物を含み、かつ約25質量パーセント以下の範囲で第2の化合物を含む、及び/又は約85質量パーセント以上の範囲で第1の化合物を含み、かつ約15質量パーセント以下の範囲で第2の化合物を含む。同様に、第1の化合物対第2の化合物のモル比の範囲は、約1:1〜約10:1であり得、そして、いくつかの態様において、約3:1〜約9:1の範囲内であり得る。
【0042】
いくつかの態様において、シーティング剤に使用されるアルコールエトキシレートは、それらが特定の特徴、例えば、それらが、環境に優しい、外食産業における使用に好適である、及び/又は同様のもの、を持つように選ばれ得る。例えば、シーティング剤に使用される特定アルコールエトキシレートは、環境的又は食品サービスの規制上の要件、例えば、生物分解能の要件、を満たすことができる。
【0043】
使用できる好適なシーティング剤のいくつかの具体例には、第1のアルコールエトキシレート(式中、RがC10アルキル基であり、そして、nが21(すなわち、21モルのエチレンオキシド)である。)と第2のアルコールエトキシレート(式中、RがC12アルキル基であり、そして、この場合もやはり、nが21(すなわち、21モルのエチレンオキシド)である。)を含むアルコールエトキシレート組み合わせ物が含まれる。そのような組み合わせ物は、アルコールエトキシレートC10-12、21モルEOと呼ばれ得る。いくつかの特定の態様において、シーティング剤は、約85wt%以上の範囲のC10アルコールエトキシレートと、15wt%以下のC12アルコールエトキシレートを含むことができる。例えば、シーティング剤は、約90wt%の範囲のC10アルコールエトキシレートと、約10wt%のC12アルコールエトキシレートを含むことができる。そのようなアルコールエトキシレート混合物の1つの例は、商品名NOVEL II 1012−21でSasolから市販されている。アルコールエトキシレート界面活性剤はまた、Ecolabに譲渡された米国特許出願第10/703,042号にも記載されており、それを本明細書中に援用する。
【0044】
シーティング剤は、所望の特性によって、組成物全体のうちの、非常に幅広い範囲の質量パーセントを占めることができる。例えば、濃縮されている態様について、シーティング剤は、全組成物の1〜約10wt−%の範囲、いくつかの態様において、全組成物の約5〜約25wt−%の範囲、いくつかの態様において、全組成物の約20〜約50wt−%の範囲、そして、いくつかの態様において、全組成物の約40〜約90wt−%の範囲を占めることができる。一部の希釈した溶液又は使用溶液、例えば、水性使用溶液について、シーティング剤は、全使用溶液の5〜約60ppmの範囲、いくつかの態様において、全使用溶液の約50〜約150ppmの範囲、いくつかの態様において、全使用溶液の約100〜約250ppmの範囲、いくつかの態様において、全使用溶液の約200〜約500ppmの範囲を占めることができる。
【0045】
[消泡剤成分]
リンス助剤組成物はまた、水溶液中のアルコールエトキシレートのシーティング剤によって作り出され得る泡の安定性を低減するために設定された有効量の消泡剤成分も含む。幅広い種類の好適な消泡剤、例えば、幅広い種類の非イオン性エチレンオキシド(EO)のいずれかを含む界面活性剤、のいずれかを使用できる。多くの非イオン性エチレンオキシド誘導体界面活性剤が、水溶性であり、そして、リンス助剤組成物の使用温度より低い曇点を持つため、有用な消泡剤になり得る。加えて、固形リンス助剤組成物が生分解性であることが好ましい場合には、消泡剤はまた、生分解性になるようにも選択される。
【0046】
理論に縛られることを望まないが、好適な非イオン性EOを含む界面活性剤は、親水性であり、かつ比較的低い温度、例えば、リンス助剤が使用される温度より低い温度にて水溶性であると考えられる。EO成分が、水分子と水素結合を形成し、その結果、界面活性剤を可溶化することが理論化されている。しかしながら、温度が上げられるに従って、これらの水素結合は弱められ、そして、EOを含む界面活性剤は、水中に溶けにくくなるか、又は溶けなくなる。ある時点で、温度が高くなるに従って、界面活性剤が、溶液から析出し、そして、消泡剤として機能する点であるところの曇点に達する。そのため、界面活性剤は、この曇点以上の温度にて使用されると、シーティング剤成分から泡を取り除くように作用する。
【0047】
この類の非イオン性界面活性剤の曇点は、1wt−%の水溶液における温度として規定される。そのため、消泡剤成分における使用のために選択される単独の、及び/又は複数の界面活性剤には、意図されるリンス助剤の使用温度より低い適切な曇点を持つものが含まれる。リンス助剤の使用温度を知る、当業者と当該技術分野の者は、消泡剤としての使用のために適切な曇点を有する界面活性剤を理解しているだろう。
【0048】
例えば、市販用の食器洗浄機にはすすぎサイクルの2つの一般的なタイプがある。すすぎサイクルの第1のタイプは、通常、高温のすすぎ水(華氏約180度(約82℃))の使用のため、温水殺菌すすぎサイクルと呼ぶことができる。すすぎサイクルの第2のタイプは、化学的殺菌すすぎサイクルと呼ぶことができ、そして、それは通常、低温のすすぎ水(華氏約120度(約49℃))を使用する。これらの2つの条件における消泡剤として有用な界面活性剤は、すすぎ水温よりも低い曇点を持つものである。従って、この例において、消泡剤について、1wt−%水溶液を使用して計測される、最も有用な曇点は、華氏約180度(約82℃)以下である。しかしながら、曇点は、使用場所の水温によってより低く又はより高くできることが理解されるべきである。例えば、使用場所の水温により、曇点は約0〜約100℃の範囲であり得る。一般的な好適な曇点のいくつかの例は、約50℃〜約80℃の範囲、又は約60℃〜約70℃の範囲であり得る。
【0049】
消泡剤として使用できるエチレンオキシド誘導体界面活性剤のいくつかの例には、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルコールアルコキシラート、低分子量EO含有界面活性剤、若しくは同様のもの、又はその誘導体が含まれる。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーのいくつかの例には、以下の式:
【化1】

(式中、EOがエチレンオキシド基を表し、POがプロピレンオキシド基を表し、そしてx及びyがブロックコポリマー組成物全体のそれぞれのアルキレンオキシドモノマーの平均分子比を反映する。)を持つものが含まれる。いくつかの態様において、xは約10〜約130の範囲にあり、そして、yは約15〜約70の範囲にあり、かつxとyを足し算すると約25〜約200の範囲にある。分子内のxとyのそれぞれが異なり得ることは理解されるべきである。いくつかの態様において、ブロックコポリマー内の総ポリオキシエチレン成分は、ブロックコポリマーの少なくとも約20mol−%の範囲内にあり、そして、いくつかの態様において、ブロックコポリマーの少なくとも約30mol−%の範囲内にあり得る。いくつかの態様において、物質は、約400超、そして、いくつかの態様において、約500超の分子量を持ち得る。例えば、いくつかの態様において、物質は、約500〜約7000以上の範囲、又は約950〜約4000以上の範囲、又は約1000〜約3100以上の範囲、又は約2100〜約6700以上の範囲の分子量を持ち得る。
【0050】
先に提供された代表的なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの構造は、約3〜8個のブロックを持つが、非イオン性ブロックコポリマーの界面活性剤が、3又は8個よりも多くの又はそれより少ないブロックを含み得ることが理解されるべきである。加えて、非イオン性ブロックコポリマーの界面活性剤は、例えば、ブチレンオキシド反復単位などの追加的な反復単位を含み得る。さらに、本発明に従って使用され得る非イオン性ブロックコポリマーの界面活性剤は、ヘテロ−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを特徴とし得る。好適なブロックコポリマーの界面活性剤のいくつかの例には、例えば、BASFから市販されているPLURONIC(登録商標)やTETRONIC(登録商標)界面活性剤などの市販品が含まれる。例えば、PLURONIC(登録商標)25−R4は、BASFから市販されている有用なブロックコポリマーの界面活性剤の1つの例であって、それは、生分解性であって、かつGRAS(一般に安全と認められる)である。
【0051】
容認できないほど高い曇点温度又は容認できないほど高い分子量を有する非イオン性界面活性剤が、リンス助剤組成物において、容認できない発泡レベルを生じるか又は適当な消泡容量を提供できないことを当業者は理解しているだろうと考えられる。
【0052】
消泡剤成分は、所望の特性によって、組成物全体のうちの非常に幅広い質量パーセントを占めることができる。例えば、濃縮されている態様において、消泡剤成分は、全組成物の1〜約10wt−%の範囲、いくつかの態様において、全組成物の約5〜約25wt−%の範囲、いくつかの態様において、全組成物の約20〜約50wt−%の範囲、そして、いくつかの態様において、全組成物の約40〜約90wt−%の範囲を占めることができる。一部の希釈した溶液又は使用溶液について、消泡剤成分は、全使用溶液の5〜約60ppmの範囲、いくつかの態様において、全使用溶液の約50〜約150ppmの範囲、いくつかの態様において、全使用溶液の約100〜約250ppmの範囲、そして、いくつかの態様において、使用溶液の約200〜約500ppmの範囲を占めることができる。
【0053】
組成物中に存在する消泡剤成分の量はまた、その組成物中に存在しているシーティング剤の量に依存し得る。例えば、組成物中に存在するより少ないシーティング剤は、より少ない消泡剤成分の使用をもたらすことができる。いくつかの実例態様において、シーティング剤成分の質量パーセント対消泡剤成分の質量パーセントの比は、約1:5〜約5:1の範囲、又は約1:3〜約3:1の範囲にあり得る。シーティング剤成分対消泡剤成分の比が、使用される実際の成分のいずれか、及び/又はその両方の特性に依存し得るので、これらの比が所望の消泡効果を達成するために与えられた実施例の範囲と異なることがあり得ることを当業者は認識しているだろう。消泡剤成分は、Ecolabに譲渡された米国特許出願第10/703,042号にも記載されており、それを本明細書中に援用する。
【0054】
[水]
固形リンス助剤組成物は水を含む。硫酸ナトリウムと重硫酸ナトリウムを用いた固形リンス助剤組成物の固形化は、PEG又は尿素に頼る従来のリンス助剤固形化に比べて、より高い水分レベルに適応する。水は、独立に固形リンス助剤組成物に加えられても、又はその固形リンス助剤組成物に加えられる水性物質中に水が存在するために、水が固形リンス助剤組成物中に提供されてもよい。典型的に、重硫酸ナトリウムは、その他の物質の添加完了前に、水又は他の水性物質と組み合わせられる。例えば、固形リンス助剤組成物に加えられる物質は、水を含むか、又は(1つ又は複数の)固形化剤成分との反応に利用可能な水性プレミックスに調製されてもよい。典型的に、水は、固形化の前に所望の粘性を洗浄剤組成物に提供するために、及び所望の固形化速度を提供するために固形リンス助剤組成物中に取り入れられる。
【0055】
一般的に、水は、加工助剤として存在することができ、そして、取り除かれるか又は水和水になることができると予想される。水は、固形組成物中に存在し得ると予想される。固形組成物において、水は、2wt%〜15wt%の範囲で固形リンス助剤組成物中に存在すると予想される。例えば、水は、固形リンス助剤組成物の態様において、2wt%〜約12wt%の範囲、又はさらなる態様において、3wt%〜約10wt%の範囲、又はより一層さらなる態様において、3wt%〜4wt%の範囲で存在する。水が脱イオン水として又は軟水として提供されうることは、加えて理解されるべきである。
【0056】
固形組成物を形成するのに使用される成分は、結合剤の水和物若しくは水和形態、いずれかの他の成分の水和物若しくは水和形態、及び/又は加工における助剤としての追加の水性溶媒として水を含む。水性溶媒が、加工に望ましい粘性を有する成分を提供するのを助けると予想される。加えて、固体として濃縮物を形成することが所望されるときに、水性溶媒が固形化過程において助けとなり得ると予想される。
【0057】
[追加の機能性物質]
先に示したとおり、硫酸ナトリウム水和物及び重硫酸ナトリウム水和物が、シーティング剤成分と消泡剤成分に加えて、所望の特性及び機能性を固形組成物に提供する他の機能性物質を含み得る固形リンス助剤組成物を形成するために使用できる。機能性物質には、使用溶液中に分散させた又は溶解させたときに、特定の使用において有利な特性を提供する物質が含まれる。そのような機能性物質の例には、組成物の所望の特性、及び/又は機能性に依存して、キレート剤/金属イオン封鎖剤;漂白剤又は活性化剤;殺菌剤/抗微生物薬;活性化剤;ビルダー又は充填剤;再付着防止剤;蛍光増白剤;染料;着臭剤又は香料;保存料;安定化剤;加工助剤;腐食抑制剤;充填剤;固形化剤;硬化剤;溶解性調整剤;pH調整剤;湿潤剤;ハイドロトロープ;又は、幅広い種類の他の機能性物質が含まれる。本明細書中に開示したいくつかの態様との関連において、機能性物質又は成分は、それらの機能的性状のために固形化マトリックス内に任意選択で含まれる。機能性物質の一部のより特定の例は、以下でさらに詳細に議論されるが、議論した特定の物質が一例としてのみ与えられ、かつ幅広い種類の他の機能性物質が使用できることは、当業者らによって理解されるべきである。
【0058】
[保存料]
固形リンス助剤組成物はまた、有効量の保存料も含むことができる。多くの場合、固形リンス助剤組成物及び使用溶液における全体の酸性、及び/又は酸は、保存料及び安定化機能の役目を果たす。
【0059】
本発明の固形リンス助剤組成物のいくつかの態様はまた、重硫酸ナトリウム及び有機酸を含む固形リンス助剤の酸性化のためのGRAS防腐系を含む。少なくともいくつかの態様において、固形リンス助剤は2.0以下のpHを有し、固形リンス助剤の使用溶液は少なくともpH4.0のpHを有する。典型的に、重硫酸ナトリウムが、酸性源として固形リンス助剤組成物中に含まれる。特定の態様において、有効量の重硫酸ナトリウム及び1つ又は複数の他の酸が、防腐系として固形リンス助剤組成物に含まれる。好適な酸には、例えばHClなどの無機酸、及び有機酸を含む。特定のさらなる態様において、有効量の重硫酸ナトリウムと1つ又は複数の有機酸が、防腐系として固形リンス助剤組成物に含まれる。好適な有機酸には、ソルビン酸、安息香酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、クエン酸などが含まれる。一般に、追加の酸の有無にかかわらず、固形リンス助剤組成物の使用溶液が、pH4.0より低いものとする、多くの場合、pH3.0より低いものとする、そして、pH2.0より低いことさえあり得るpHを持つように、重硫酸ナトリウムの有効量が含まれる。
【0060】
他の態様において、固形リンス助剤組成物は、先に記載の防腐系に加えて、又はその代わりに、殺菌剤/抗微生物薬を含む。好適な殺菌剤/抗微生物薬を以下に記載する。
【0061】
[キレート剤/金属イオン封鎖剤]
固形リンス助剤組成物はまた、ビルダーとも呼ばれるキレート剤/金属イオン封鎖剤として機能するように、有効量の硫酸ナトリウム及び重硫酸ナトリウムを含んでもよい。加えて、リンス助剤は、機能性成分として1つ又は複数の追加のビルダーを任意選択で含んでもよい。一般的に、キレート剤は、金属イオンがリンス助剤又は他の清浄組成物の中のその他の成分の作用を妨げるのを防ぐように、水の供給源で一般的に見つかる金属イオンを調整(すなわち、結合)できる分子である。キレート剤/金属イオン封鎖剤はまた、有効量で含まれている場合に、閾値作用物質(a threshold agent)としても機能できる。いくつかの態様において、固形リンス助剤は、最大約70wt%の範囲内、又は約1〜60wt%の範囲でキレート剤/金属イオン封鎖剤を含む。
【0062】
多くの場合、固形リンス助剤組成物はまた、リン酸塩を含まない、及び/又はアミノカルボン酸塩を含まない。リン酸塩を含まない固形リンス助剤組成物の態様において、ビルダーを含めた追加の機能性物質は、例えば、縮合リン酸塩やホスホン酸塩などのリン含有化合物を除く。
【0063】
好適な追加のビルダーには、ポリカルボン酸塩が含まれる。金属イオン封鎖剤としての使用に好適な高分子ポリカルボン酸塩のいくつかの例には、ペンダントカルボン酸(−CO2)基を持つものが含まれ、例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド−メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル−メタクリロニトリルコポリマー等が含まれる。
【0064】
アミノカルボン酸塩不含ではない固形リンス助剤組成物の態様は、アミノカルボン酸塩であるところの追加のキレート剤/金属イオン封鎖剤を含んでもよい。アミノカルボン酸のいくつかの例には、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチル−エチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)(結合剤に使用されるHEDTAに加えて)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等が含まれる。
【0065】
リン酸塩不含ではない固形リンス助剤組成物の態様において、追加のキレート剤/金属イオン封鎖剤は、例えば縮合リン酸塩、ホスホン酸塩等を含んでもよい。縮合リン酸塩のいくつかの例には、オルトリン酸ナトリウム及びカリウム、ピロリン酸ナトリウム及びカリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が含まれる。縮合リン酸塩はまた、限られた範囲内で、水和水として組成物中に存在する遊離水を固定することによって組成物の固形化にも貢献し得る。
【0066】
リン酸塩不含ではない固形リンス助剤組成物の態様において、組成物は、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸CH3C(OH)[PO(OH)22;アミノトリ(メチレンホスホン酸)N[CH2PO(OH)23;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ナトリウム塩
【化2】

2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)HOCH2CH2N[CH2PO(OH)22;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(HO)2POCH2N[CH2CH2N[CH2PO(OH)222;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ナトリウム塩C9(28-X)3NaX155(x=7);ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホン酸)、カリウム塩C10(28-X)2X124(x=6);ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸)(HO2)POCH2N[(CH26N[CH2PO(OH)222;及び亜リン酸H3PO3などのホスホン酸塩を含んでもよい。いくつかの態様において、例えば、ATMPやDTPMPなどのホスホン酸塩組み合わせ物が使用できる。ホスホン酸塩が加えられるときに、中和反応によって発生する熱又はガスがわずかであるか又は存在しないような、中和した若しくはアルカリ性のホスホン酸塩、又は混合物中に加えられる前にアルカリ源を有するホスホン酸塩の組み合わせ物が使用されてもよい。
【0067】
キレート剤/金属イオン封鎖剤のさらなる議論について、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,第5巻,第339−366頁及び第23巻,第319−320頁を参照のこと、その開示を本明細書中に援用する。
【0068】
[漂白剤]
リンス助剤は、漂白剤を任意選択で含むことができる。漂白剤は、基材を明るくするか又は白くするのに使用されることができ、そして、洗浄過程中に典型的に遭遇する条件下、例えば、Cl2、Br2、−OCl-、及び/又は−OBr-又は同様のものなどの活性なハロゲン種を放出できる漂白化合物を含んでもよい。使用のための好適な漂白剤には、例えば、塩素、次亜塩素酸、クロラミン、又は同様のものなどの塩素含有化合物が含まれてもよい。ハロゲン放出化合物のいくつかの例には、アルカリ金属ジクロロイソシアヌル酸塩、塩素化リン酸三ナトリウム、アルカリ金属次亜塩素酸塩、モノクロルアミン、及びジクロロアミン等が含まれる。カプセル化塩素源もまた、組成物中の塩素源の安定性を高めるのに使用できる(例えば、米国特許第4,618,914号及び同第4,830,773号を参照のこと、その開示を本明細書中に援用する)。漂白剤はまた、活性酸素の供給源を含むか、又はその役割を果たす作用物質を含んでもよい。活性酸素化合物は、活性酸素の供給源を提供するように作用し、例えば、水性溶液中に活性酸素を放出できる。活性酸素化合物は、無機であっても、有機的であっても、又はその混合物であってもよい。活性酸素化合物のいくつかの例には、過酸素(peroxygen)化合物又は過酸素化合物付加物が含まれる。活性酸素化合物又は供給源のいくつかの例には、テトラアセチルエチレンジアミン等の活性化剤のあるなしにかかわらず過酸化水素、過ホウ酸塩、炭酸ナトリウムの過酸化水和物(peroxyhydrate)、リン酸塩の過酸化水和物、過硫酸カリウム(potassium permonosulfate)、並びに過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物などが含まれる。リンス助剤組成物は、わずかではあるが、有効量の漂白剤を、例えば、いくつかの態様において、最大約10wt%の範囲内で、そして、いくつかの態様において、約0.1〜約6wt%の範囲で含み得る。
【0069】
[殺菌剤/抗微生物薬]
リンス助剤は、殺菌剤を任意選択で含んでもよい。抗微生物薬としても知られる殺菌剤は、材料系、表面などの微生物汚染、及び劣化を予防するために固形機能性物質において使用される化学的組成物である。一般に、これらの材料は、フェノール類、ハロゲン化合物、四級アンモニウム化合物、金属誘導体、アミン、アルカノールアミン、ニトロ誘導体、アナリド(analides)、有機硫黄、及び硫黄−窒素化合物、並びに種々雑多な化合物を含めた特定のクラスに入る。
【0070】
漂白剤の項で先に議論したものなどの活性酸素化合物がまた、抗微生物薬としても役割を果たすことができ、そして、殺菌活性を提供することさえできることは、理解されるべきである。実際に、いくつかの態様において、抗微生物薬としての役割を果たす活性酸素化合物の能力は、組成物中の追加の抗微生物薬の必要性を低減する。例えば、過炭酸塩組成物が優れた抗微生物作用を提供することが実証された。それにもかかわらず、いくつかの態様は、追加の抗微生物薬を組み入れる。
【0071】
化学的組成及び濃度に依存する所定の抗微生物薬は、微生物の数のさらなる増殖を単純に制限できるか、又は微生物集団のすべて若しくは一部を破壊できる。用語「微生物(「microbes」及び「microorganisms」)は、典型的に、主として細菌、ウイルス、酵母、胞子、及び真菌微生物を指す。使用において、抗微生物薬は、典型的には、任意選択で、例えば、水溶液流を使用して希釈及び分散させた場合に、微生物集団の増殖の予防又は一部の殺滅をもたらすさまざまな表面と接触させ得るところの水性消毒薬又は殺菌剤組成物を形成する固形機能性物質に形成される。微生物集団の3の対数の減少率が、殺菌剤組成物をもたらす。抗菌剤は、例えば、安定性を改善するために、カプセル化されてもよい。
【0072】
一般的な抗微生物薬のいくつかの例には、例えば、ペンタクロロフェノール、オルトフェニルフェノール、クロロ−p−ベンジルフェノール、p−クロロ−m−キシレノールなどのフェノール類抗微生物薬が含まれる。ハロゲン含有抗菌剤には、トリクロロイソシアヌール酸ナトリウム、二塩化イソシアン酸ナトリウム(無水物若しくは二水和物)、ヨウ素−ポリ(ビニルピロリジノン)複合体、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどの臭素化合物、並びに、例えば、塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチル塩化アンモニウム、塩化ジヨードコリン、テトラメチルホスホニウム三臭化物などの四級抗微生物薬が含まれる。ヘキサヒドロ−1,3,5−tris(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチオカルバミン酸塩などのその他の抗微生物組成物、及びさまざまな他の物質が、それらの抗微生物特性について当該技術分野で知られている。微生物薬の例には、商品名KATHONとしてRohm and Haasから入手可能なメチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの混合物が含まれる。
【0073】
リン酸塩を含まない、及び/又はアミノカルボン酸塩を含まない、また抗微生物薬を含む固形リンス助剤組成物の態様において、抗微生物薬は、それらの必要条件を満たすように選択される。GRAS成分だけを含む固形リンス助剤組成物の態様は、この項に記載の抗微生物薬を排除するか又は除外することができる。
【0074】
いくつかの態様において、リンス助剤組成物は、例えば、メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの混合物などの抗微生物成分を、組成物の最大約10wt%の範囲内で、いくつかの態様において、最大約5wt%の範囲内で、又はいくつかの態様において、約0.01〜約3wt%の範囲で、若しくは組成物の0.05〜1wt%の範囲で含んで成る。
【0075】
[活性化剤]
いくつかの態様において、リンス助剤の抗微生物薬活性又は漂白活性は、その組成物が使用中である場合に、活性酸素と反応して、活性成分を形成する物質の添加によって促進され得る。例えば、いくつかの態様において、過酸又は過酸塩が形成される。例えば、いくつかの態様において、テトラアセチルエチレンジアミンは、活性酸素と反応して、抗微生物薬として作用する過酸又は過酸塩を形成するように組成物中に含まれてもよい。活性酸素活性化剤の他の例には、遷移金属とそれらの化合物、カルボキシル部分、亜硝酸部分、若しくはエステル部分を含む化合物、又は当該技術分野で知られている他のこのような化合物が含まれる。ある態様において、活性化剤には、テトラアセチルエチレンジアミン;遷移性金属;カルボキシル部分、ニトリル部分、アミン部分、若しくはエステル部分を含む化合物;又はその混合物が含まれる。
【0076】
いくつかの態様において、活性化剤成分は、組成物の最大約75wt%の範囲内で、いくつかの態様において、約0.01〜約20wt%の範囲で、いくつかの態様において、組成物の約0.05〜10wt%の範囲で含み得る。いくつかの態様において、活性酸素化合物に対する活性化剤は、活性酸素と組み合わされて、抗微生物薬を形成する。
【0077】
いくつかの態様において、リンス助剤組成物は、固形フレーク、ペレット、又はブロックなどの固体を含み、そして、活性酸素に対する活性化剤物質はその固体と組み合わせられる。一方の固形清浄組成物を他方のものと組み合わせるためのさまざまな方法のいずれかによって、活性化剤は固体と組み合わせられてもよい。例えば、活性化剤は、リンス助剤組成物の固体に結合されるか、取り付けられるか、接着されるか、又は別の方法で貼り付けられる固形形態であり得る。あるいは、固形の活性化剤は、固形リンス助剤組成物を囲むように、そして、包み込むように形成されてもよい。さらなる例として、固形の活性化剤は、組成物様のコンテナ又は包装によって、例えば、プラスチック、収縮包装、又はフィルムなどによって、固形リンス助剤組成物と組み合わせられてもよい。
【0078】
[充填剤]
リンス助剤は、必ずしもリンス剤及び/又は洗浄剤自体として機能するわけではないが、リンス剤と協調して組成物の総合能力を高めることができるところの、わずかではあるが有効量の1つ又は複数の充填剤を任意選択で含んでもよい。好適な充填剤のいくつかの例には、塩化ナトリウム、デンプン、糖、例えば、プロピレングリコールなどのC1−C10アルキレングリコール等が含まれ得る。いくつかの態様において、充填剤は、最大約20wt%の範囲内、そして、いくつかの態様において、約1〜15wt%の範囲の量で含まれ得る。硫酸ナトリウムは、不活性充填剤として従来法で使用される。しかしながら、驚いたことに、硫酸ナトリウムが、尿素と組み合わせて固形化において機能することがわかった。
【0079】
[再付着防止剤]
リンス助剤組成物は、すすぎ溶液中の汚れの持続的な懸濁を促進し、そして取り除かれた汚れがすすいだ基材上に再付着するのを防止できる再汚染防止剤を任意選択で含んでもよい。好適な再汚染防止剤のいくつかの例には、脂肪酸アミド、フルオロカーボン界面活性剤、複合リン酸エステル、スチレンマレイン酸無水物コポリマー、及び、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系誘導体等が含まれ得る。リンス助剤組成物は、最大約10wt%、そして、いくつかの態様において、約1〜約5wt%の範囲の再汚染防止剤を含んでもよい。
【0080】
[色素/着臭剤]
さまざまな色素、香水を含めた着臭剤、及び他の美学的価値(aesthetic)を高める物質もまた、リンス助剤に含まれてもよい。色素は、例えば、FD&Cブルー1(Sigma Chemical)、FD&Cイエロー5(Sigma Chemical)、ダイレクト・ブルー86(Miles)、Fastusolブルー(Mobay Chemical Corp.)、アシッド・オレンジ7(American Cyanamid)、ベーシック・バイオレット10(Sandoz)、アシッド・イエロー23(GAP)、アシッド・イエロー17(Sigma Chemical)、Sapグリーン(Keyston Analine and Chemical)、メタニル・イエロー(Keyston Analine and Chemical)、アシッド・ブルー9(Hilton Davis)、Sandolanブルー/アシッド・ブルー182(Sandoz)、Hisolファスト・レッド(Capitol Color and Chemical)、フルオレセイン(Capitol Color and Chemical)、アシッド・グリーン25(Ciba−Geigy)等のように組成物の外観を変更するために含まれてもよい。
【0081】
組成物中に含まれ得る香料又は香水は、例えば、シトロネロールなどのテルペノイド、アミルシンナムアルデヒドなどのアルデヒド、CIS−ジャスミン又はジャスマール(jasmal)などのジャスミン、バニリン等を含み得る。
【0082】
[追加の硬化/固形化剤/溶解性調整剤]
典型的に、硫酸ナトリウムと尿素が、固形リンス助剤組成物の固形化に使用される。しかしながら、いくつかの態様において、所望であれば、硫酸ナトリウムと尿素に加えて、1つ又は複数の追加の硬化剤が、固形リンス助剤組成物中に含まれてもよい。硬化剤の例には、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミドなどのアミド、又はアルキルアミド等;固形のポリエチレングリコール、又は固形のEO/POブロックコポリマー等;酸又はアルカリ処理の過程を経て水溶性にしたデンプン;冷却時に加熱された組成物に固形化特性を与えるさまざまな無機物等が含まれる。このような化合物はまた、リンス助剤、及び/又は他の有効成分を固形組成物から長期間にわたって分配することができるように、使用中に水性溶媒中への組成物の溶解性を変えることもできる。組成物は、最大約30wt%の範囲内の量で二次硬化剤を含み得る。いくつかの態様において、二次硬化剤は、5〜25wt%の範囲、多くの場合、10〜25wt%の範囲、そして、時々、約5〜約15wt−%の範囲の量で存在し得る。
【0083】
[追加のシーティング助剤]
組成物は、先に議論したアルコールエトキシレート成分に加えて、1つ又は複数の追加のリンス助剤成分、例えば、追加の湿潤剤又はシーティング剤成分を任意選択で含み得る。例えば、すすぎ水の表面張力を低減して、シーティング作用を推進すること、及び/又はすすぎが完了した後にビーズ状になった水によって引き起こされる汚点若しくは筋を軽減又は予防するのを助けることの助けとなり得る水可溶性又は分散性の低発泡性有機物もまた、含まれてもよい。このようなシーティング剤は、典型的に、特徴的な曇点を有する有機界面活性剤様物質である。これらの用途に有用な界面活性剤は、利用可能な熱い上水よりも高い曇点を有する水可溶性界面活性剤であり、そして、その曇点は、使用場所のお湯の温度と、すすぎサイクルの温度及びタイプにより変化し得る。
【0084】
追加のシーティング剤のいくつかの例は、典型的に、ホモポリマー又はブロック若しくはヘテロコポリマー構造における、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの混合物から調製されたポリエーテル化合物を含んで成ることができる。このようなポリエーテル化合物は、ポリアルキレンオキシドポリマー、ポリオキシアルキレンポリマー、又はポリアルキレングリコールポリマーとして知られている。このようなシーティング剤は、界面活性剤特性を分子に提供するために、相対的に親水性の領域と、相対的に疎水性の領域を必要とする。このようなシーティング剤は、約500〜15,000の範囲の分子量を持っている。特定のタイプの(PO)(EO)ポリマーリンス助剤が、そのポリマー分子内に少なくとも1ブロックのポリ(PO)と少なくとも1ブロックのポリ(EO)を含むことが有用であることがわかった。ポリ(EO)、ポリ(PO)、又はランダムな重合領域の追加のブロックが、その分子内に形成され得る。特に有用なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックコポリマーは、ポリオキシプロピレンユニットの中心ブロックと、その中心ブロックの両側にポリオキシエチレンユニットのブロックを含んで成るものである。このようなポリマーは、以下に示す式:
(EO)n−(PO)m−(EO)n
(式中、mが20〜60の整数であり、そして、両端が独立に10〜130の整数である。)を持つ。別の有効なブロックコポリマーは、ポリオキシエチレンユニットの中心ブロックと、中心ブロックの両側にポリオキシプロピレンのブロックを持つブロックコポリマーである。このようなコポリマーは、以下の式:
(PO)n−(EO)m−(PO)n
(式中、mが15〜175の整数があって、そして、両端が独立に約10〜30の整数である。)を持つ。固形組成物に関しては、ハイドロトロープが、シーティング剤又は湿潤剤の溶解性を維持する際の助けに使用できる。ハイドロトロープは、有機物の高い溶解性を生み出す水溶液を修飾するのに使用されてもよい。いくつかの態様において、ハイドロトロープは、キシレンスルホン酸塩及びジアルキルジフェニルオキシドスルホン酸塩物質などの低分子量芳香族スルホン酸塩物質である。
【0085】
[機能性ポリジメチルシロキソン(siloxones)]
組成物はまた、1つ又は複数の機能性ポリジメチルシロキソンを任意選択で含み得る。例えば、いくつかの態様において、ポリアルキレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサン非イオン性界面活性剤、又はポリベタイン修飾ポリシロキサン両性界面活性剤が、添加物として利用されてもよい。いくつかの態様において、両方が、ポリエーテル又はポリベタインがヒドロシリル化反応を通じてグラフトされる直鎖ポリシロキサンコポリマーである。具体的なシロキサン界面活性剤のいくつかの例には、Union Carbideから入手可能なSILWET(登録商標)界面活性剤、又はGoldschmidt Chemical Corp.から入手可能なABIL(登録商標)ポリエーテル又はポリベタインポリシロキサンコポリマーとして知られていて、そして、米国特許第4,654,161号に記載されている、上記特許を本明細書中に援用する。いくつかの態様において、使用される特定のシロキサンは、例えば、低い表面張力、高い湿潤能力、及び優れた潤滑性を有すると説明されている。例えば、これらの界面活性剤は、ポリテトラフルオロエチレン表面を濡らすことができる数少ないものであると言われている。添加物として利用されるシロキサン界面活性剤は、単独で、又はフッ素系界面活性剤と組み合わせて使用されてもよい。いくつかの態様において、任意選択でシランと組み合わせて添加物として利用されるフッ素系界面活性剤は、例えば、非イオン性フッ化炭化水素、例えば、フッ素化アルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルアルコキシレート、フッ素化アルキルエステルであってもよい。
【0086】
このような機能性ポリジメチルシロキソン、及び/又はフッ素系界面活性剤に関するさらなる説明は、米国特許第5,880,088号;同第5,880,089号;及び同第5,603,776号に記載されている、上記特許のすべてを本明細書中に援用する。我々は、例えば、炭化水素界面活性剤との混合物における特定のポリシロキサンコポリマーの使用がプラスチック食器において優れたリンス助剤を提供することを発見した。我々はまた、従来の炭化水素界面活性剤と、特定のシリコーンポリシロキサンコポリマー及びフルオロカーボン界面活性剤の組み合わせ物もプラスチック食器において優れたリンス助剤を提供することも発見した。この組み合わせ物は、有効性がほとんど同等であるところの特定のポリアルキレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサンとポリベタインポリシロキサンコポリマー以外の個々の成分に比べて、より良好であることがわかった。そのため、いくつかの態様は、ポリシロキサンコポリマーの単体、及びフルオロカーボン界面活性剤との組み合わせ物が、ポリエーテルポリシロキサン、非イオン性シロキサン界面活性剤に影響を及ぼし得ることを網羅する。両性シロキサン界面活性剤であるポリベタインポリシロキサンコポリマーは、同じ結果をもたらすためにリンス助剤中に添加物として単独で利用されてもよい。
【0087】
いくつかの態様において、組成物は、最大約10wt−%の範囲内の量で機能性ポリジメチルシロキソンを含み得る。例えば、いくつかの態様は、任意選択で、約0.1〜10wt−%のフッ素化炭化水素非イオン性界面活性剤と組み合わせて、ポリアルキレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサン又はポリベタイン修飾ポリシロキサンを約0.1〜10wt−%の範囲で含み得る。
【0088】
[湿潤剤]
組成物はまた、1つ又は複数の湿潤剤を任意選択で含んでもよい。湿潤剤は、水に親和性のある物質である。湿潤剤は、基材表面上のフィルムの可視性を低減するのを助けるのに十分な量で提供され得る。基材表面上のフィルムの可視性は、すすぎ水が200ppmより高い全溶解性固形物を含む時、特に問題である。従って、いくつかの態様において、湿潤剤を含まないリンス剤組成物と比較して、すすぎ水が200ppmより高い全溶解性固形物を含む時、基材表面上のフィルムの可視性を低減するのに十分な量で湿潤剤が提供される。用語「水固体膜形成(water solid filming)」又は「膜形成」は、基材表面がきれいでないという外観を与える基材表面上の可視性の、物質の連続層の存在を指す。
【0089】
いくつかの例において、使用され得る湿潤剤は、50%の相対湿度、かつ室温にて平衡化した(乾燥湿潤剤ベースで)5wt%水より高い物質を含むものを含んでもよい。使用され得る代表的な湿潤剤には、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、アルキルポリグリコシド、ポリベタインポリシロキサン、及びその混合物が含まれる。いくつかの態様において、リンス剤組成物は、全組成物に基づいて最大約75%の範囲内、そして、いくつかの態様において、組成物の質量に基づいて約5wt%〜約75wt%の範囲の量で湿潤剤を含み得る。いくつかの態様において、湿潤剤が存在する場合に、湿潤剤対シーティング剤の質量比は、約1:3以上の範囲、又はいくつかの態様において、約5:1〜約1:3の範囲であり得る。
【0090】
[他の成分]
所望の特性又は機能性を含むように処方される特定の組成物を提供するのに有用な他のさまざまな成分もまた、含んでもよい。例えば、リンス助剤は、pH調整剤、緩衝剤、清浄酵素、担体、加工助剤、又はその他のもの等の他の有効成分を含んでもよい。
【0091】
加えて、リンス助剤は、水中運転における、例えば、水中洗浄運転における使用中に、すすぎ水が所望のpHを持つように処方されるだろう。例えば、すすぎでの使用のために設計された組成物は、水中すすぎ運転における使用中に、すすぎ水が約3〜約5の範囲、又は約5〜約9の範囲のpHを持つように処方されてもよい。いくつかの態様における液体製品の処方は、約2〜約4の範囲のpH(10%希釈)を持つ。推奨される使用レベルにおいてpHを調節する技術には、バッファー、アルカリ、酸などの使用が含まれ、そして、当業者にとって周知である。
【0092】
[組成物の加工、及び/又は製造]
本発明はまた、固形リンス助剤組成物の加工方法、及び/又は製造方法にも関する。固形リンス助剤組成物は、一般に、固形の濃縮物、例えば、ブロックとして提供される。一般的に、固形リンス助剤組成物は、水で希釈されて、その後、例えば、すすぎサイクル中に、基材表面に供給される使用溶液を提供すると予想される。使用溶液は、好ましくは、高度の固体含有水中における水固体膜形成の軽減をもたらすのに有効な量の活性物質を含む。
【0093】
固形リンス助剤組成物は、従来の設備及び技術を使用して加工及び処方されてもよい。シーティング剤成分及び消泡剤成分の所望の量は、硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、及び、例えば、1つ又は複数の追加の固形化剤などのその他の任意選択の成分と共に提供される。前記成分は、激しく混合され、そして、典型的に、華氏100〜140度(約38℃〜約60℃)の範囲にて加熱される。激しい混合と加熱は、TEKMARミキサー、押出機システム、又は他の同様の設備により実施されてもよい。完全な混合物は、それに続いて、所望の形態に押出成形されるか、又は鋳型に流し込まれ、冷やされるか又は冷硬される。成形品は、鋳型から取り出されても、コンテナ(すなわち、鋳型)内に残されてもよい。
【0094】
本発明を具体化する組成物及び方法が、例えば、鋳造、押出成形、型で作られた又は成形された固体ペレット、ブロック、錠剤等のさまざまな固形組成物を調製するのに好適であることは、理解されるべきである。いくつかの態様において、他にある間、固形組成物は、50グラム以下の重さを持つように形成されることができ、一方で、他の態様において、固形組成物は、50グラム以上、500グラム以上、又は1キログラム以上の重さを持つように形成されることができる。当該出願の目的のために、用語「固形ブロック」には、50グラム以上の重さがある型で作られた、成形された、又は押出成形された物質が含まれる。固形組成物は、機能性物質の安定した供給源を提供する。いくつかの態様において、固形組成物は、例えば、水性媒質又は他の媒質中に溶解して、濃縮溶液、及び/又は使用溶液を生じ得る。前記溶液は、後の使用、及び/又は希釈のための貯蔵容器に移されても、使用場所に直接適用されてもよい。
【0095】
リンス助剤組成物に含まれるさまざまな液体物質は、1つ又は複数の有機及び無機凝固材を任意選択で伴って、組成物の硫酸ナトリウム及び尿素に盛り込むことによって固体に適合する。キャスティング剤(casting agents)のその他の例には、ポリエチレングリコール、及び非イオン性ポリエチレン又はポリプロピレンオキシドポリマーが含まれる。いくつかの態様において、ポリエチレングリコール(PEG)は、PEGの融点より高い温度にてPEGと、シーティング剤及び他の成分を均一に混合し、そして、均一の混合物を冷ますことによって加工される溶融タイプの固形化に使用される。
【0096】
いくつかの態様では、固形組成物の形成において、成分がその塊全体に分配される実質的に均質の固体又は半固体混合物を形成するのに十分に高いせん断にて成分の連続的な混合を提供するための混合システムが使用されてもよい。いくつかの態様において、混合システムは、約1,000〜1,000,000cPの範囲、又は約50,000〜200,000cPの範囲の加工中の粘性を持つ流動性硬度にて混合物を維持するのに有効なせん断を提供する成分の混合手段を含む。いくつかの実例態様において、混合システムは連続フローミキサであり得、又はいくつかの態様において、例えば、単軸スクリュー押出機又は双軸スクリュー押出機などの押出機であり得る。好適な熱量は、外部線源から混合物の加工を促進するために適用されてもよい。
【0097】
混合物は、典型的に、成分の物理的及び化学的な安定性を維持するような温度にて加工される。いくつかの態様において、混合物は、華氏約100〜140度(約38℃〜約60℃)の範囲の温度にて加工される。他の特定の態様において、混合物は、華氏110〜125度(約43℃〜約52℃)の範囲の温度にて加工される。限定された外部熱が混合物に加えられ得るが、混合物によって獲得された温度は、摩擦、周囲状況の変化、及び/又は成分間の発熱反応によって加工中に高くなり得る。任意選択で、混合物の温度は、例えば、混合システムの注入口又は排出口にて、上げられてもよい。
【0098】
成分は、液体、又は、例えば、乾燥微粒子などの固形形態であってもよく、そして、別々に混合物に加えられるか、又は、例えば、シーティング剤、消泡剤、水性溶媒、及び、例えば、硬化剤などの追加成分等のような別の成分とのプレミックスの一部として混合物に加えられてもよい。1つ又は複数のプレミックスが、混合物に加えられてもよい。
【0099】
成分は、成分が塊中に実質的に均等に分配されているところの実質的に均質の濃度を形成するように混合される。混合物は、混合システムからダイ(die)又は他の成形手段によって排出されてもよい。そして、輪郭を描かれた押出物は、調製された質量を持つ有用なサイズに分割される。ミキサー内の所望の温度分布を得るように熱を加えるか又は取り除くために、任意選択で、加熱及び冷却デバイスが混合装置の近くに取り付けられてもよい。例えば、加工中に混合物の流動性を高めるために、外部熱源が、例えば、成分注入口部分、最終的な排出口部分等のような1ヶ所以上のミキサーのバルブ部分に付けられてもよい。いくつかの態様において、放出口の温度も含めて、加工中の混合物の温度は、華氏約100〜140度(約38℃〜約60℃)の範囲で維持される。
【0100】
組成物は、固体を形成する必要成分の化学反応又は物理反応により硬化する。固形化過程は、例えば、鋳造又は押出成形される組成物のサイズ、組成物の成分、組成物の温度、及びその他の同様の要因に依存して、数分〜約6時間、又はそれ以上続く。いくつかの態様において、鋳造又は押出成形される組成物は、約1分〜約3時間以内に、又は約1分〜約2時間の範囲、又はいくつかの態様において、約1分〜約20分以内に「セットアップする」又は固形形態への硬化を開始する。
【0101】
いくつかの態様において、押出成形される固体は、例えば、コンテナ内又はフィルム内に包装されてもよい。混合システムから排出されると、混合物をまず冷やすことなく、混合物が包装システム内に直接、鋳造又は押出成形できるくらい混合物の温度は低くなってもよい。押出排出と包装の間の時間は、さらなる加工及び包装中のより良好な取り扱いのために組成物の硬化を加減するように調整されてもよい。いくつかの態様において、排出地点において混合物は、華氏約100〜140度(約38℃〜約60℃)の範囲にある。他の特定の態様において、混合物は、華氏110〜125度(約43℃〜約52℃)の範囲の温度で加工される。その後、組成物は、低密度のもの、スポンジ状のもの、可鍛性のもの、充填可能な(caulky)硬度を有するものから、高密度のもの、融解した固体、コンクリートのような固体までの範囲に及び得る固形形態への硬化が可能になる。
【0102】
実例の本発明の鋳造固形リンス助剤は、以下のとおり調製できる:水性溶液へと重硫酸ナトリウムを溶媒和し、(1つ又は複数の)シーティング剤、(1つ又は複数の)消泡剤を加え、そして、例えば、華氏100〜140度(約38℃〜約60℃)にて、液体を維持するように混合しながら加熱する。尿素及びTEKMARを、前記混合物に加える(例えば、激しく混合)。硫酸ナトリウムを加え、混合し続け、そして、型に流し込む。例えば、酸、保存料、及び色素などの追加成分は、硫酸ナトリウムとの最終的な混合前のどの段階でも加えることができる。型を冷やし、そして、固形リンス助剤組成物を抜き取る。
【0103】
代替の実施例において、液体プレミックスは、水、重硫酸ナトリウム、(1つ又は複数の)シーティング剤、及び(1つ又は複数の)界面活性剤の加熱混合と、酸、硫酸ナトリウム、及び尿素の粉末プレミックスの別々の調製によって調製される。粉末プレミックスは、例えば、押出機を使用して、加熱された液体プレミックス中に混合される。最終生成物は、押出成形され、そして、冷まされる。
【0104】
[包装システム]
固形リンス助剤組成物は、包装システム又は容器内に組み入れられてもよいが、必ずというわけではない。包装容器又はコンテナは、剛性でも、柔軟性でもよく、例えば、ガラス、金属、プラスチックフィルム若しくはシート、段ボール、段ボール合成物、紙、又は同様のもののように、作り出された組成物を含むのに好適なあらゆる物質が含まれる。リンス助剤組成物は、包装内で固まることを可能にしてもよく、又は固体の形成後に一般的に入手可能な包装の中に包装され、そして、消費者への出荷前に配送センタに送られてもよい。
【0105】
固体に関して、有利なことには、少なくともいくつかの態様において、リンスがほぼ外気温で加工されるので、物質を構造的に損傷することなく混合物をコンテナ又は他の包装システム内に直接鋳造又は押出成形できるほど十分に、加工された混合物の温度が低い。その結果、融解条件下で加工及び分配された組成物に使用されるものに比べて、より幅広い材料を、コンテナを製造するのに使用できる。いくつかの態様において、リンス助剤を入れるのに使用される包装は、柔軟な、簡単に開くフィルム材料から製造される。
【0106】
[リンス助剤の分配/使用]
リンス助剤は、濃縮物として、又は使用溶液として分配され得る。加えて、リンス助剤濃縮物は、固体又は液体で提供され得る。一般的に、濃縮物は、水で薄められ、その後、基材表面に供給される使用溶液を提供すると予想される。いくつかの態様において、水性使用溶液は、約2,000ppm(100万分の1)以下の活性物質、又は約1,000ppm以下の活性物質、又は約10ppm〜約500ppmの範囲、又は約10〜約300ppmの範囲、又は約10〜200ppmの範囲の活性物質を含んでもよい。
【0107】
使用溶液は、例えば、食器洗浄機、洗車適用、又は同様のものにおける、例えば、すすぎサイクル中の、すすぎ適用中に基材に加えられ得る。いくつかの態様において、使用溶液の形成は、洗浄機に、例えば、食器のラック上に、導入されたリンス剤から起こり得る。リンス剤は、希釈され、そして、機器上若しくは機器内に取り付けられたディスペンサーから、又は別個に取り付けられているが、しかし、食器洗浄機と協調する別個のディスペンサーから分配され得る。
【0108】
例えば、いくつかの態様において、液体リンス剤は、最終使用濃度まで液体を水で希釈するのに適応したディスペンサー内に、液体物質を含む適合包装を組み込むことによって分配され得る。本発明の液体リンス剤のためのディスペンサーのいくつかの例は、Ecolab Inc.,St.Paul,Minnにより販売されたDRYMASTER−Pである。
【0109】
他の実例態様において、鋳造又は押出成形された固形組成物などの固体生成物は、コンテナ内に固形物質を挿入することによって、又はEcolab Inc.,St.Paul,Minnによって製造されたECOTEMP Rinse Injection Cylinderシステムに制御された体積SOL−ETなどの、容器(enclosure)を入れないスプレータイプのディスペンサーを用いて都合よく分配できる。そのようなディスペンサーは、すすぎサイクルにある食器洗浄機と協調する。機器によって要求されると、ディスペンサーは、リンス剤の鋳造固形ブロックに、そのブロックの一部を効果的に溶解する水のスプレーを向け、その結果、すすぎ水中に直接送り込まれる濃縮水性リンス溶液を作り、水性リンス液を形成する。その後、水性リンス液は、食器と接触して、完全なすすぎに作用する。このディスペンサー及び他の同様のディスペンサーは、分配された物質の体積、すすぎ水中の物質の有効濃度(電極を用いて計測された電解質)を計測することによって、又は鋳造ブロックへのスプレーの時間を計測することによって水性リンス液中の有効成分の実効濃度を制御できる。一般的に、水性リンス液中の有効成分の濃度は、好ましくは、液体リンス剤について先に特定されたものと同じである。スプレータイプディスペンサーのその他の態様は、米国特許第4,826,661号、同第4,690,305号、同第4,687,121号、同第4,426,362号、及び米国特許第32,763号、同第32,818号に開示されている、その開示を本明細書中に援用する。特定の生成物の形状の例は、米国特許第6,258,765号の図9に示されている、上記文献を本明細書中に援用する。
【0110】
いくつかの態様において、リンス助剤は、特殊な用途のために処方されてもよい。例えば、いくつかの態様において、リンス助剤は、食器洗浄機における使用のために特別に処方されてもよい。先に議論したとおり、市販の食器洗浄機には2つの一般型のすすぎサイクルがある。すすぎサイクルの1つ目のタイプは、通常熱いすすぎ水(華氏約180度(約82℃))を使用するため、熱湯殺菌すすぎサイクルと呼んでもよい。すすぎサイクルの第2のタイプは、化学的殺菌すすぎサイクルと呼んでもよく、それはより低い温度のすすぎ水(華氏約120度(約49℃))を通常使用する。
【0111】
いくつかの態様において、本発明のリンス助剤組成物は、水中にもたらされた溶解性物質のレベルによって引き起こされる目に見えるフィルムの出現を低減するために、高度に固形分を含有した水環境において使用され得ると考えられる。一般的に、高度に固形分を含有した水は、200ppmを超える全溶解性固形物(TDS)含有量を持つ水であると考えられる。特定の地方では、上水が、400ppmを超え、そして、800ppmさえ超える全溶解性固形物含有量を含んでいる。基材を洗浄した後に目に見えるフィルムの存在が特有の問題となる用途には、レストラン又は食器洗浄産業、洗車産業、及び硬質表面の掃除全般が含まれる。本発明によるリンス助剤で処理される食器洗浄産業における代表的な物品には、食卓用器具、カップ、グラス、食卓食器、及び調理道具が含まれる。本願発明の目的のために、用語「皿」及び「食器」は、施設若しくは家庭の台所又はダイニングルームで一般的に利用可能なポット、フライパン、トレー、ピッチャー、ボール、プレート、ソーサー、カップ、グラス、フォーク、ナイフ、スプーン、へら、及びその他のガラス、金属、セラミック、プラスチック複合材料の物品を含めた、フードスタッフの調理、給仕、消費、及び処分に使用されるさまざまなタイプの物品を指すように最も広い意味で使用される。一般的に、これらのタイプの物品は、食物、及び/又は飲料と接触するように用意されている表面を持つので食物及び飲料に接触している物品と呼ぶこともできる。これらの食器洗浄用途に使用される場合、リンス助剤は、有効なシーティング作用と低い発泡性を提供するはずである。先に記載した望ましい特性を持つことに加えて、生分解性であり、環境に優しく、そして、通常、無毒性であることも、リンス助剤にとって有用であるかもしれない。このタイプのリンス助剤は、「食品グレード」であると記載されてもよい。
【0112】
先の記載は、本発明の広い適合性(meets)及び範囲(biunds)を理解する基礎を提供する。以下の実施例及び試験データは、本発明の特定の実施態様の理解をもたらす。本発明は、以下の詳細な実施例を参照することによってさらに説明されるだろう。これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の概念の範囲内での変更は、当業者にとって明白である。
【実施例】
【0113】
[実施例1:固形リンス助剤組成物]
本発明によるA〜Fのそれぞれの製剤は、消泡剤(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックコポリマー)とシーティング剤(固形アルコールエトキシレート)、並びに有効な保存料として機能する十分な酸(ソルビン酸、安息香酸、及び重硫酸ナトリウム)と共に、固体生成のための組み合わせ物である硫酸ナトリウムと尿素を含む。実施例の製剤D及びFはまた、GRASでもあり、かつ生分解性でもある。対照的に、従来の固形リンス助剤は、固形化のために低い含有水量にてプロピレングリコールと尿素を使用する。
【0114】
【表1】

【0115】
先の式で使用したアルコールエトキシレートは、Sasolから商品名NOVEL II 1012GB−21として入手可能な固形(C10−C16)直鎖アルコールエトキシレートである。LDO−97とDO−97は、Huntsman Chemicalから入手可能なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックコポリマーの商品名である。PLURONIC 25R2は、BASF Wyandotteの商品名であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーから成る。先の式で使用したポリジメチルシロキソンは、商品名Abil B 9950としてDegussaから入手可能なジメチコーンプロピルPG−ベタイン、30%である。
【0116】
比較例の保存料は、商品名KATHONとしてRohm and Haasから入手可能なメチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの混合物である。
【0117】
水、固形アルコールエトキシレート(NOVEL II 1012GB−21)、PO/EOブロックコポリマー(LDO−97、DO−97、PLURAFAC)、及びポリジメチルシロキソン(ABIL)を合わせ、華氏115〜120度(約46℃〜約49℃)に加熱して、固形アルコールエトキシレートを溶かし、そして、20分間混合する。混合物の高い温度を混合過程中、維持する。さらに15分間続けて混合しながら、色素をその混合物に加える。ソルビン酸、安息香酸、尿素、及び重硫酸塩を、前記混合物に加え、そして、それを、華氏115〜120度(約46℃〜約49℃)、かつ混合状態でさらに10分間維持する。生成物の早すぎる固形化を避けるために温度を華氏約120度(約49℃)にしながら、硫酸を、Tekmar Co.,Cincinnati,OHから入手可能なTEKMARミキサー/ホモジナイザを使用して加える。生成物を、TEKMARミキサー/ホモジナイザで30分間激しく混合する。加工した生成物を、例えば、適切なサイズのコンテナ内に入れ、そして、冷ますことによって、固形ブロックに成形する。
【0118】
比較のために提示された従来の固形リンス助剤は、Shell Chemicalから商品名NEODOL 25−12として入手可能な直鎖アルコールC12−15、12モルのエトキシレートを含む。保存料は、商品名KATHON CG−ICPとして入手可能なクロロメチルイソチアゾリン混合物である。
【0119】
[実施例2:安定型形成評価]
この実施例では、一連の試験を、いくつもの原料(すなわち、シーティング剤と消泡剤)の泡特性を比較するために、それら自体、互いの特定の組み合わせ物で、及び本発明の選択された固形リンス助剤との組み合わせ物、並びに従来の固形リンス助剤によって実施した。処方は実施例1で提供されている。泡のレベルと泡の安定性を、1分の撹拌後と、再度の5分の撹拌後に読出した。このテストを、Ecolab Inc.施設にて、50ppmの活性物質が加えた状態で、Glewwe Foam Testing Machineにより6気圧の圧力下、華氏140度(約60℃)にて行った。安定した泡を、撹拌が止まった後に数分間残っている泡と規定した。ある程度安定した泡を、1分以内にゆっくり壊れる泡と規定した。不安定な泡を、すぐに壊れる(すなわち、15秒未満で壊れる)泡と規定した。試験の結果を、表2に示す。
【0120】
【表2】

【0121】
[実施例3:シーティング能力]
この実施例では、本発明の固形リンス助剤と従来のリンス助剤の食器洗浄中のシーティング能力を試験する。本発明の製剤Cと従来のリンス助剤の成分は、実施例1で提供されている。シーティング評価のために、多くの食器洗浄物質が、華氏150度〜華氏160度(約66℃〜約71℃)の水を使用した一連の30秒のサイクル中にリンス助剤製剤に晒された。評価に使用される食器洗浄物質は、陶磁器のディナープレート、ガラスのパネル若しくはスライド、10oz.(約283g)のガラスコップ、メラミンのディナープレート、ステンレスのバターナイフ、及びステンレスのパネル若しくはスライドであった。これらの食器洗浄物質を、試験前に丁寧に掃除し、その後、粉ミルクとマーガリンの混合物である0.2%の高温点汚れ(hotpoint soil)含む溶液で汚した。洗浄サイクル中に使用されたそれぞれのリンス助剤製剤の量を、100万分の1界面活性剤として表2及び3で定量化した。
【0122】
食器洗浄物質をリンス助剤製剤に晒した直後、個々の食器洗浄物質(シーティング)の水がきれる様子を、調べ、そして、評価した。表5〜13は、これらの結果を示している。表2〜3において、シーティングの評価を、シーティングなしを意味する点線(−−)、ピンポイントのシーティングを意味する数字の「一」(1)、又は完全なシーティングを意味するプラス記号(+)のいずれかによって示す。食器洗浄物質のすべてが完全に覆われたときに、試験を完了した。
【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
この実施例では、表1に挙げた質量パーセントで成分を含む固形リンス助剤組成物を、TEKMAR混合の代わりに押出技術を使用して形成した。
【0126】
上記明細書、実施例及びデータは、本発明の組成物の製造及び使用の説明を提供する。本発明の多くの固形リンス助剤組成物は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく作ることができ、本発明の趣旨及び範囲は特許請求の範囲にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸ナトリウムと、
尿素と、
水と、
1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含むシーティング剤と、
1つ又は複数のエチレンオキシド基を有するポリマー化合物を含む消泡剤成分と
を含む固形リンス助剤組成物であって、硫酸ナトリウムと尿素の総量が前記リンス助剤組成物を固形化するのに十分なものである、固形リンス助剤組成物。
【請求項2】
硫酸ナトリウムと尿素の前記総量が18〜70wt%の範囲にある、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項3】
3〜24wt%の硫酸ナトリウムと、
15〜50wt%の尿素と、
水と、
1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含むシーティング剤と、
1つ又は複数のエチレンオキシド基を有するポリマー化合物を含む消泡剤成分と
を含む、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項4】
5〜18wt%の硫酸ナトリウムと、
5〜45wt%の尿素と、
1〜15wt%の水と、
1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含むシーティング剤と、
1つ又は複数のエチレンオキシド基を有するポリマー化合物を含む消泡剤成分と
を含む、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項5】
10〜16wt%の硫酸ナトリウムと、
16〜27wt%の尿素と、
3〜14wt%の水と、
1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含むシーティング剤と、
1つ又は複数のエチレンオキシド基を有するポリマー化合物を含む消泡剤成分と
を含む、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項6】
重硫酸ナトリウムと、
任意選択で1つ又は複数の無機又は有機酸と
をさらに含み、前記固形リンス助剤組成物が水性希釈液の10〜500ppmで希釈された場合に、重硫酸ナトリウムと任意選択の1つ又は複数の無機又は有機酸の合計量が、4.0未満のpHを有する使用溶液を提供するのに十分なものである、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項7】
1〜10wt%の重硫酸ナトリウムと、
1つ又は複数の無機又は有機酸と
をさらに含み、前記固形リンス助剤組成物が水性希釈液の10〜500ppmで希釈された場合に、重硫酸ナトリウムと1つ又は複数の無機又は有機酸の合計量が、4.0未満のpHを有する使用溶液を提供するのに十分なものである、請求項6に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項8】
重硫酸ナトリウムと、
1つ又は複数の有機酸と
をさらに含み、前記固形リンス助剤組成物が水性希釈液の10〜500ppmで希釈された場合に、重硫酸ナトリウムと有機酸の合計量が、2.0未満のpHを有する使用溶液を提供するのに十分なものである、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項9】
1〜10wt%の重硫酸ナトリウムと、
1つ又は複数の有機酸と
をさらに含み、前記固形リンス助剤組成物が水性希釈液の10〜500ppmで希釈された場合に、重硫酸ナトリウムと有機酸の合計量が、2.0未満のpHを有する使用溶液を提供するのに十分なものである、請求項8に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項10】
リン酸塩を含まずかつアミノカルボン酸塩を含まない、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項11】
すべての成分がU.S.F.D.A.によってGRASである、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項12】
前記シーティング剤が、1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含み、該アルコールエトキシレートがそれぞれ独立して以下の式I、すなわち、
R−O−(CH2CH2O)n−H (I)
によって表される構造を有し、式中、Rが(C1−C12)アルキル基であり、nが1〜100の範囲の整数である、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項13】
前記1つ又は複数のアルコールエトキシレートが華氏110度〜華氏120度(43℃〜49℃)の範囲の融点を有する、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項14】
前記消泡剤成分が、ホモポリマー、ブロックコポリマー又はヘテロコポリマー構造における、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの混合物から調製されたポリエーテル化合物を含む、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項15】
前記固形リンス助剤組成物中のシーティング剤と消泡剤成分の比が、質量比で約1:5〜約5:1の範囲にある、請求項1に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の固形リンス助剤組成物を用意する工程、
請求項1に記載の該固形リンス助剤組成物を水性の使用溶液中に混合する工程、及び
該水性の使用溶液を基材表面に適用する工程
を含む、基材表面をリンスする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の固形リンス助剤組成物を水性希釈液の10〜500ppm含む、水性リンス液。
【請求項18】
3〜24wt%の硫酸ナトリウムと、
15〜30wt%の尿素と、
2〜15wt%の水と、
1〜10wt%の重硫酸ナトリウムと、
1つ又は複数のアルコールエトキシレートを含むシーティング剤と、
ホモポリマー、ブロックコポリマー又はヘテロコポリマー構造における、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの混合物から調製された1つ又は複数のポリエーテル化合物を含む消泡剤成分と、
1つ又は複数の有機酸と、
任意選択で1つ又は複数の染料及び/又は着臭剤と
から本質的になる、水性リンス液を形成するための希釈に適した固形リンス助剤組成物。
【請求項19】
前記1つ又は複数の有機酸がソルビン酸及び安息香酸から選択され、前記固形リンス助剤組成物が水性希釈液の10〜500ppmで希釈された場合に、重硫酸ナトリウムと有機酸の量が2.0未満のpHを有する使用溶液を提供する、請求項18に記載の固形リンス助剤組成物。
【請求項20】
1つ又は複数のアルコールエトキシレートの混合物を含むシーティング剤を用意する工程、
エチレンオキシド基を含有する化合物を含む消泡剤成分を用意する工程、
華氏100度〜華氏140度(38℃〜60℃)の温度範囲において加熱しながら、前記シーティング剤と前記消泡剤成分を混合する工程、
混合物に尿素を添加する工程、
混合物を高せん断で激しく混合する工程、
混合物に硫酸ナトリウムを添加してさらに混合する工程、及び
混合物を冷却して固形リンス助剤組成物にする工程
を含む、固形リンス助剤組成物の製造方法。

【公表番号】特表2010−528148(P2010−528148A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508936(P2010−508936)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050829
【国際公開番号】WO2008/146177
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】