説明

対話型のエナメル加工された視覚伝達パネル

とりわけフェルトペンで書き込むことができるボード、またはチョークで書き込むことができるチョークボードのような対話型の視覚伝達パネル(1)であって、伝達パネル(1)の前部(3)上にガラス質のエナメル層(5)が提供され、その伝達パネル上に、前部(3)上に書き込まれる情報の電子表現を作るための光学的に読み取り可能な位置符号化パターン(6)が提供され、その位置符号化パターン(6)は500℃より高い温度でエナメル層(5)の上に焼かれたセラミック印刷から作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対話型のガラス質(磁器製)のエナメル加工された視覚伝達パネル、すなわち、例えば乾式的に消去可能なフェルトペンで書き込むことができ、かつ消去できるボード、あるいは、チョークなどで書き込むためのチョークボードに関する。
【背景技術】
【0002】
対話型の伝達パネルは、例えばプレゼンテーションの際に伝達パネル上に書き込まれたデータをデジタル方式で蓄積(ストア)することができ、場合によってそれらは、そのデータを同時に投影し、伝達パネル、コンピュータ、およびいくつかの周辺装置間での他の対話を提供することができる。
【0003】
既知の対話型の伝達パネルは、よく知られた「タッチスクリーン」技術を使い、それによって柔軟なスクリーンが圧力感応性のパネルの前に置かれ、柔軟なスクリーンが書き込まれている間に、関係するデータが登録される。
【0004】
圧力感応性のパネルは、通常、該圧力感応性のパネルにおけるある点が圧されている時に接触をなす交差した導体のグリッド(格子)から成る。
【0005】
この場合に起こる問題は、柔軟なスクリーンが容易に消去できないということである。さらに、このようなスクリーンは、引っかきや磨耗の耐性に関する弱い機械的特性を示す。
【0006】
ガラス質(磁器製)のエナメル加工された伝達パネルは、1つまたはいくつかのガラス質のエナメル層で覆われた鋼板の高い硬度に起因して、柔軟なスクリーンとして使うことができない。
【0007】
他の既知のタイプの対話型の伝達パネルは、表面上に書き込まれる情報の電子ディスプレイを作るための、光学的に読み取り可能な位置符号化パターンを持った表面を提供する。
【0008】
第1の主要な利点は、このような対話型の伝達パネルが、極めて簡単な構造を持つことができ、表面上に書き込まれる情報の電子表現を形成できるような何らかの電子部品を有する必要がない、ということである。
【0009】
伝達パネル上に書き込まれる情報の電子表現を形成することができる読み取り機器と組み合わせることで、対話型の伝達パネルが得られる。
【0010】
このような読み取り機器は、光学読み取り手段、および書き込み手段の位置における変化に永久的に追随する手段が提供された、乾式的に消去可能なフェルトペンまたは1本のチョークのような、例えば書き込み手段から成ることができる。光学的に読み取り可能な位置符号化パターンを提供されたこのような対話型の伝達パネルの第2の主要な利点は、圧力感応性の対話型のボードよりも著しく高い精度でボード上に書き込まれるものを登録する、ということにある。
【0011】
このような対話型の伝達パネルおよび付属の読み取り機器については、参照としてその内容が本願明細書に組み入れられている、特許文献1に詳細に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開WO01/16872号パンフレット
【特許文献2】スウェーデン特許出願第9903541−2号明細書
【特許文献3】欧州特許1,016,588号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで起こる問題は、意図した書き込み表面が良好に消去されえず、暫く経った後には、光学的に読み取り可能な位置符号化パターンの読み取り可能性を危うくする、ということである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の関心は、丈夫で経済的な対話型の伝達パネルを得るために、伝達パネルの書き込み側にガラス質のエナメル層を提供した対話型の視覚伝達パネルであって、その書き込み側に書き込まれる情報の電子表現を作るように光学的に読み取り可能な位置符号化パターンが印刷される視覚伝達パネルに向けられる。
【0015】
このような伝達パネルは、特許文献1に記載されたような伝達パネルのすべての利点を提供し、そして、さらに位置符号化パターンの長持ちする読み取り可能性を保証する。
【0016】
実際に、それらの引っかき耐性や磨耗耐性のお陰で、そのようなセラミックボードは、多くの使用サイクルの後でさえも良好な消去特性を維持する。
【0017】
好ましい実施の態様によれば、上述のパターンは、非常に細かいふるい(シーヴ)、例えば140Tか、それよりさらに細かいふるいを利用する、シルクスクリーン印刷技術によって提供される。これは、平方センチメートル当たり少なくとも140のメッシュを持ち、ワイヤ寸法がそして35μm以下、例えば31μmになるようなふるいに帰着する。
【0018】
このようなふるいは、ガラス質のエナメル加工されたパターン、例えば特許文献1に記載されたようなドットパターンや、特許文献2に詳細に記載のような例えば鋼板上のドットパターンを適用することを可能にする。
【0019】
このような鋼板は、例えばガラス質のエナメルの主要な均一層、例えば白または緑のガラス質のエナメルの層で、500℃以上の温度、例えば820℃で焼かれたもの、によって予め提供されたものである。
【0020】
細かいワイヤを備えた上述の140Tのふるいには、狙いとするパターンと関連して引き続いて露出される感光性の物質が提供される。次に、そのふるいは、上部に印刷されるべきエナメルプレートの前に置かれ、そしてエナメル混合物が開口部を通して提供される。そのエナメル混合物は、第1の単一層または複数層が焼かれる温度より幾分低い温度であるが、500℃より常に高い例えば740℃、において後ほど焼かれる。
【0021】
特に好ましい実施の態様によれば、上述のパターンは直接的な写真処理を用いて提供される。
【0022】
パターンがシルクスクリーン印刷技術よりもさらに高い精度で提供できるという点で、この技術は有利である。
【0023】
ここで、感光性の乳濁液(エマルジョン)が、場合によってはふるいを使ってエナメル加工された鋼板上に提供される。それが乾くと、すぐに感光性の乳濁液がその上に印刷される状態でフィルムがプレートに対して置かれ、そしてようやく乳濁液を備えたエナメル加工されたプレートおよびフィルムが狙いとする表現と関連して露出される。
【0024】
次にフィルムが除去され、露出していない、従って接着していない乳濁液が除去される。
【0025】
その乳濁液は、ガラス質のエナメル粒子と顔料が提供されたポリマーから形成される。乳濁液が露出しているところには、ポリマーが接着し、また乳濁液はエナメルプレートに付着する。
【0026】
非接着の乳濁液の除去の後、残っているガラス質のエナメル、すなわちエナメル粒子と顔料は、第1の単一層または複数層が焼かれる温度より低い温度であるが、500℃より常に高い例えば740℃、において焼かれる。
【0027】
直接的な写真処理を適用することによって得られる利点は、位置符号化パターンを読むために必要とされる印刷の高い精度または高い解像度である。
【0028】
本発明の特別な実施の態様によれば、パターンはまた、トナージェット技術と呼ばれるものを用いて提供されうる。
【0029】
これは、既知のコピー技術に類似する印刷技術を使って、その後に得られたパターンが500℃以上で焼かれる、セラミックドットパターンの印刷であると考えられる。ここでのセラミックトナーの粒径はたった数μmの大きさである。
【0030】
本発明の他の実施の態様によれば、パターンはまた、レーザによって開口されたホイルプリントと呼ばれるものを用いて提供できる。
【0031】
エナメル加工された鋼の表面上に箔を適用することによって、セラミックドットパターンが印刷される。この箔はレーザを使って、ドットパターンと関連して予め開口される。次に、セラミックペーストが、レーキ(rake)印刷によってエナメル加工された鋼の上に提供され、その後、箔が除去され、そして得られたパターンが500℃以上で焼かれる。
【0032】
本発明の他の好ましい実施の態様によれば、パターンはまた、転写印刷を用いて提供できる。
【0033】
セラミックドットパターンは、まず箔の上に提供され、その後、箔からガラス質のエナメル加工されたプレート表面へ、例えば加熱によって転送される。次に、得られたパターンは500℃以上で焼かれる。
【0034】
本発明の他の実施の態様は、エナメルの付加を伴う「レーザマーキング」と呼ばれるものを使ってパターンを適用することに関連する。
【0035】
ここでエナメルと顔料の均一な層が、エナメル加工されたプレートの上に提供される。次に、ドットパターンが局所的に融けたエナメルと顔料によってエナメル加工された鋼の上で融かされる。
【0036】
選択肢として、何らのエナメルをも付加することのないレーザマーキングの使用がなされうる。
【0037】
ここでドットパターンは、白いエナメル上塗り部を局所的に融かすことによって、レーザを使ってエナメル加工されたプレートにおいて直接的に焼かれ、その結果透明になり、そのことが、ベースのエナメルが目に見えるようになることに起因して黒い点をもたらす。
【0038】
位置符号化パターンを印刷するために使われるセラミックペーストは、例えば以下のように構成されうる。
【0039】
1)30から70重量部の、印刷のための着色していない有機物のシルクスクリーン印刷媒質。これらの媒質は、ペーストが焼かれる間に完全に蒸発する。
【0040】
2)以下の組成を持った20から60重量部のホウケイ酸(ボロ・シリケート)ガラス。19.9%のナトリウム、0.9%のアルミニウム、32.8%のシリコン、1.51%のイオウ、16.0%のカリウム、5.7%のバリウム、22.2%のチタン;0.9%の銅。
【0041】
3)以下の組成を持った5から20重量部のセラミック着色剤。1.1%のアルミニウム、8.4%のシリコン、0.6%の硫黄、30.9%のクロム、4.3%のマンガン、
28.2%の鉄;26.5%の銅。
【0042】
伝達パネルのために使われる紙または他の伝統的な材料と比較して、エナメル加工されたパネルの高い光沢を仮定すれば、本発明は光沢を減らすことをも狙いとする。
【0043】
そのために、本発明はまた、例えば上部にガラス質のエナメル層が提供された鋼板のようなサポートから主に成っており、それによって、エナメル層の見える側に位置符号化パターンが同様に提供され、ゾルゲル散布が提供され、そのゾルゲル散布が主に光沢のあるまたはセラミック状のカバー層(9−11)を形成するようにその後焼き戻しされる、対話型の伝達パネルにも関係する。
【0044】
ゾルゲル散布を伴ったこのような伝達パネルを製造するための方法は、参照としてその内容が本願明細書に組み入れられている、特許文献3において詳細に記載されている。
【0045】
このカバー層は、ガラス質のエナメルの層の上にゾルゲル散布と呼ばれるものを適用することによって、また200℃から600℃の間の温度範囲、好ましくは510℃程度でその後焼き戻しすることによって、形成される。
【0046】
上述のゾルゲル散布は、ここでは、通常、無機金属塩および/または金属アルコキシドのような有機金属化合物のコロイド溶液として定義される。それによってこの溶液、または、特にこの液体の分散が乾燥プロセスの間に「ゾル」状態と呼ばれるものに変化させられ、焼き戻された後に上述のカバー層を形成する。
【0047】
ゾルゲル散布は、ここで好ましくは、金属アルコキシドの基礎液から準備され、好ましくはそれに水性コロイドケイ酸溶液、および/または金属酸化物粒子などが加えられる。
【0048】
好ましくは、ゾルゲルコーティングによる鏡面光沢の減少は2つの方法で得られうる。1つは、入射光の乱反射を増やすことであり、それにより本質的に鏡面反射を減少させる。これはアンチ・グレア(AG)(=Anti Glare:防幻)ゾルゲルコーティングの原理である。第2の方法は、鏡面反射自体を減少させるゾルゲルコーティングを適用することであり、それはアンチ・レフレクション(Anti Reflection)ゾルゲルコーティングと呼ばれる。アンチ・レフレクション・ゾルゲルコーティングの原理は「以下で詳細に」記述される。
【0049】
ゾルゲル層の厚さは、可視光線またはパターンを読み込むために使われる光の波長の4分の1に対応し、75から180ナノメートルのゾルゲルのための層の厚さに帰着するようなものであり、外気とゾルゲル層との間の遷移を形成する表面によって反射される光が、ゾルゲル層とガラス質のエナメルの基本層との間の遷移を形成する表面によって反映された光によって、少なくとも部分的に無効化にされるようなものである。
【0050】
実際に、ゾルゲル層が、反射を減らすことを狙いとする光の波長の4分の1の厚さを持っているならば、そしてゾルゲル層が基本層、この場合ガラス質のエナメルの層、より小さい屈折率を持っているならば、2つの反射波は180°の位相差を持つことになり、少なくともその波は表面に直角に入射する。異常な入射角で入射する光波は無効化されないが、それらは強く抑えられる。数学的には、これは以下のように表現される。
【0051】
n・d=λ/4
【0052】
ここに、nはゾルゲル層の屈折率、dは層の厚さ、そしてλは光の波長である。nとdの積は層の光学厚さと呼ばれる。
【0053】
一つの層から形成されたこのような耐反射仕上げは、一つの波長にとってのみ最適なものである。通常、層の厚さは可視スペクトルの中心に適合され、約550nmに帰着する。この波長は「設計波長」と呼ばれる。従ってこのような層は、可視スペクトルの中心において最小の反射を持つことになる。
【0054】
この最小の大きさはゾルゲル層の屈折率の大きさに依存する。最適条件は以下のように計算される。
【0055】
n=(n・n1/2
【0056】
ここにnは周囲の媒体の屈折率を表し(通常は空気のn=1)、nは基板の屈折率である。ほとんどの適用では、基板は、1.5に近い屈折率nを持ったエナメルまたはポリマー材料である。
【0057】
この場合、ゾルゲル層の理想的な屈折率は1.22になりうる。
【0058】
特許文献3に記載のような、可視光線の波長の4分の1に等しい層の厚さの層を備えた一つの透明なゾルゲル層は、75から180ナノメートルのゾルゲル層の厚さを備えた耐反射層となる。
【0059】
このような低い屈折率を持った材料の利用可能性は、一つの層から形成された耐反射仕上げの有効性を限定する。最もよく使われる材料は1.38の屈折率を持ったMgFであり、またナノ透過性のSiOもしばしば使われる。
【0060】
基板が白のガラス質のエナメルを施したエナメルであるならば、TiOの析出のおかげで白い色が得られる。エナメルの特性は、ホウケイ酸ガラスのそれに非常に類似しているが、TiO(2.4の反射係数を持つ)の存在により、ガラス質のエナメル基板の反射係数は、エリプソメータ法(偏光法)測定によって確認されるように1.6から1.7と見積もられる。
【0061】
耐反射仕上げは、二層または数層を提供することによって遥かに効果的にされうる。反射性を減らそうとしている光の波長の4分の1に厚さが等しい二つの層を備える耐反射仕上げは、単純な構造を持つ。
【0062】
しかしながら、二つ以上の層を備えた耐反射仕上げの構成は、さらに複雑であり、その設計は複雑な計算を必要とする。この場合、層は、しばしば、例えば反射性を減らそうとしている光の半波長にその厚さが対応するように提供される。
【0063】
本発明はまた、伝達パネル上に書き込まれる情報の電子表現を形成することのできる、読み取り機器に関するいくつかの特定の局面に関係する。
【0064】
これらの特定の局面は、エナメル加工されたパネルの一層高い光沢によって起こされる問題を解決する。
【0065】
伝達パネルに書き込まれる情報の電子表現を形成することができる読み取り機器は、好ましくはペンに接続され、そして好ましくは、ペンの現在位置を決定するように、書き込みパネル上の位置符号化パターンを検出するよう設計された光感応性の検出器が提供される。そしてさらにその読み取り機器は、好ましくは、上述の検出器により少なくとも1つの外部ユニットに対して構築されたような位置符号化パターンに基づいて、ペンの位置に関する情報を伝達するために適合された伝達手段を有する。
【0066】
一方では光検出器と上述の伝達手段を用いて、また他方では書き込みパネル上の位置符号化パターンを用いて、フェルトペン、ペン、または1本のチョークの位置変更が、永久的に追随される。
【0067】
読み取り機器はまた、好ましくは、特に上部に提供されたパターンの読み取り可能性を促進するために、伝達パネルの表面を照らすための光源、例えばLEDを有する。
【0068】
光源は可視光または非可視光、あるいは赤外光を発する。
【0069】
ドットパターンのために使われるセラミックペーストは、本発明の一局面によれば、読み取り機器の光源からの光を吸収するようなものでありうる。それにより、パターンの光学的検出が改善される。
【0070】
さらに具体的には、使われるセラミックペーストは、800〜950nmの赤外光を吸収するようなものででありうる。
【0071】
エナメルパネルの高い光沢によってしばしば起こされる読み取りの問題を解決するために、検出器は、好ましくは上述の光源に対応するように方向付けられ、場合によってそこからある距離の位置に置かれ、それは主に入射光線の反射角の外の光を記録する。
【0072】
ペン、フェルトペン、または1本のチョークなどに接続された読み取り機器、あるいはペン自体は、使用者に操作される時に、書き込みパネルに対してあるな好ましい方向で主に保持される。
【0073】
このような実施の態様は、例えば、特に上述の目的が得られるように1つの特定の方法でのみ主に保持されうるこのような設計を、グリップ領域(掴む領域)に提供することによって得ることができる。
【0074】
本発明の特徴をさらによく説明するために、本発明による対話型のエナメル加工された視覚伝達パネルの以下の好ましい実施の態様を、添付の図面に対する参照と共に、決して限定的でない例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明による視覚伝達パネルを概略的に表す。
【図2】位置符号化パターンを詳細に表す。
【図3】位置符号化パターンを詳細に表す。
【図4】図1のラインIV−IVに沿った断面をさらに大きな縮尺で表す。
【図5】図1による伝達パネルを、本発明による読み取り機器と共に表す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1で表された視覚伝達パネル1は、この場合0.35mmの厚さを持った鋼板2から主に成っており、この場合前部3上に0.10mm厚さのガラス質のエナメル5の白色の層を主に提供されている。
【0077】
伝達パネル1の前部3または書き込み側には、さらに読み取り可能な位置符号化パターン6が提供される。
【0078】
位置符号化パターン6は、この場合主に伝達パネル1の前部3の全体表面上に実際に提供されうる小さな黒色のドット7であって、十分に大きな解像度が得られるように図において表されたよりも小さなものから形成される。
【0079】
位置符号化パターン6は様々な方法で作られうる。位置符号化パターン6は、特許文献1に記載のようなパターンに対応するものとして表される。関連するその記載は、参照として本願発明に組み入れられる。
【0080】
要するに、そして図2に表されるように、ここで点線を用いて表されたが実際は見えない仮想のグリッドが伝達パネル1の書き込み表面3上に提供され、そしてグリッドのすべての仮想ノード8の近くに、仮想のノード8に対して幾分か上に、しかし一方で左、右、または底にずらされたドット7が提供される、ということに帰着する。
【0081】
ノード8の間の距離はここでは0.3mmになり、ドット7の直径は100μmであり、そして仮想のノードに対するずれは50μmになる。
【0082】
伝達パネル1の大きさと要求される位置決めの解像度に応じて、4×4、すなわち16個のドット7、あるいは6×6、すなわち36個のドット7が、例えば位置を識別するためには十分でありうる。
【0083】
図3は、例示による位置符号化パターン6を示し、そこではそれぞれの仮想ノード8に対する4×4のドット7のずれの登録が、それぞれの位置を識別するのに十分である。
【0084】
図4は、より大きな縮尺で伝達パネル1を、断面で表す。鋼板2は、ここでは、前部3、4上のガラス質のエナメル5の白色の層が主に提供されるものと表される。
【0085】
ガラス質のエナメル5とその上に提供されたドット7を持った符号化パターン6の上部には、それぞれ厚さλ/4、λ/2、λ/4を持った3つのゾルゲル層9から11が提供される。
【0086】
図5は、伝達パネル1の上に書き込まれる情報の電子表現を形成することのできる、この場合、統合化された書き込み手段14、特に白色のガラス質のエナメル加工された伝達パネル1上に書き込むよう設計されたフェルトペン、を持った、読み取り機器13を表す。
【0087】
読み取り機器13は、フェルトペンの現在位置を決定するように書き込みパネル1上の位置符号化パターン6を検出するよう設計された光検出器15を有し、そしてさらに、
読み取り機器13は、少なくとも1つの外部ユニット17に対して上述の検出器15により検出されたような位置符号化パターン6に基づいて、フェルトペン14の位置に関する情報を伝達するために適合された伝達手段16を有する。
【0088】
一方では光検出器15と上述の伝達手段16を用いて、また他方では書き込みパネル1上の位置符号化パターン6を用いて、書き込み手段14の位置変更が、永久的に追随される。
【0089】
読み取り機器はまた、好ましくは、特に上部に提供された位置符号化パターン6の読み取り可能性を促進するために、伝達パネル1の表面を照らすための光源18、例えばLEDを有する。
【0090】
エナメルパネルの高い光沢によってしばしば起こされる読み取りの問題を解決するために、検出器15は、上述の光源18に対応するように方向付けられ、またそこからある距離の位置に置かれ、検出器15が主に入射光線の反射角αの外に位置された光を記録する。
【0091】
その統合化された書き込み手段14を備えた読み取り機器13には、特に検出器15が主に入射光線の反射角αの外に位置された光を記録するよう、使用者に好ましい方向に書き込み手段14を保持するように仕向けるような、グリップ領域19が提供される。
【0092】
本発明による視覚伝達パネルを製造するための方法は、鋼板2の少なくとも前部3にガラス質のエナメル5の層を提供し、そして例えば820℃でそれを焼くすることにある。
【0093】
これは例えば連続工程で行なうことができ、それにより、このように得られたガラス質のエナメル加工されたプレートは、後ほど処理するために巻き直されるか、すぐに伝達パネル1のベースを形成するシートに切断される。
【0094】
上述の位置符号化パターン6は直接的な写真処理を用いて提供される。
【0095】
この処理は、ガラス質のエナメルを施した鋼板上に、場合によってはふるいを使って、感光性の乳濁液を提供することにある。それが乾いた後に、フィルムは、上部に印刷される感光性の乳濁液を有するプレートに対して置かれ、そしてようやくエナメル5の層が乳濁液およびフィルムと共に、狙いとする表現と関連して露出される。
【0096】
次に、フィルムが除去され、露出していない、従って接着していない乳濁液が除去される。
【0097】
実際に、その乳濁液は、ガラス質のエナメル粒子と顔料が提供されたポリマーから成る。乳濁液が露出しているところには、ポリマーが接着し、また乳濁液はガラス質のエナメルプレートに付着する。
【0098】
非接着の乳濁液の除去の後、残っているガラス質のエナメル、すなわちエナメル粒子と顔料は、第1の単一層または複数層が焼かれる温度より低い温度、例えば740℃、において焼かれる。
【0099】
位置符号化パターン6が高精度で提供され、従ってシルクスクリーン印刷技術と比較してより高い解像度が提供されるという点で、この技術は有利である。
【0100】
次に、高い光沢によって起こされる何らかの読み取り問題を減らすように、3つのゾルゲル層9から11が続いて提供される。
【0101】
提供されたゾルゲル散布の層は、主に光沢のあるまたはセラミック状のカバー層を形成するようにその後焼き戻しされる。
【0102】
この分散は、200℃から600℃の間の温度、好ましくは510℃程度になる温度において焼き戻することができる。
【0103】
上述のゾルゲル散布層9から11は、この場合、無機金属塩および金属アルコキシドのような有機金属化合物のコロイド溶液からなり、それによってこの溶液、または、特にこの液体の分散が乾燥プロセスの間に「ゾル」状態と呼ばれるものに変化させられ、焼き戻された後に上述のカバー層を形成する。
【0104】
ゾルゲル散布は、この場合、金属アルコキシドの基礎液から準備され、それに水性コロイドケイ酸溶液、および/または金属酸化物粒子などが加えられる。
【0105】
エナメル上に提供される層9は、この場合、CeFから成り、そしてn=1.65の屈折率を持つが、例えばn=1.76の屈折率を有するAlから形成されてもよい。
【0106】
中央の層10は、この場合、ZrOから形成され、そしてn=2.10の屈折率を有する。
【0107】
外側の層11は、この場合、MgFから形成され、そしてn=1.38の屈折率を有する。
【0108】
位置符号化パターン6を適用するため、そしてさらに本発明による1つまたは幾つかのゾルゲル層9〜11を提供するために記載した本発明による様々な方法、そしてさらに本発明による読み取り機器の使用が、互いに独立して適用でき、あるいは用いることができ、しかもこれらの要素の1つの選択が他の要素の存在または適用を必要としない、ということは明らかである。
【0109】
光源18を持った読み取り機器13が1つまたは幾つかのゾルゲル層と共に使われるならば、これらの層の厚さまたは積み重ね厚さは、光源18によって発せられた光の振動数に適応させられうる。
【0110】
一般に先行して述べたものにおける黒いドットとして表された位置符号化パターンが、光吸収性の、または特に反射性のドットから形成することもできる、ということは明らかである。このような実施形態は、チョークなどによって書き込むことのできる黒いチョークボードの場合、および/または、光源18が赤外光を発する時に、特に有用でありうる。
【0111】
伝達パネル1がチョークボードに関係しているならば、書き込み手段14が前記黒板上に書き込むべき1本のチョーク14でありうる、ということは明らかである。
【0112】
本発明は、例として記載され、添付の図面に表された実施形態には、決して限定されない。それとは対照的に、このような対話型の伝達パネルは、本発明の範囲内に依然として存在している限りにおいて作られうる。
【符号の説明】
【0113】
1 視覚伝達パネル
2 鋼板
3 前部
5 エナメル
6 位置符号化パターン
7 ドット
8 仮想ノード
9〜11 ゾルゲル層
10 層
11 層
13 読み取り機器
14 チョーク(フェルトペン)
15 光検出器
16 伝達手段
17 外部ユニット
18 光源
19 グリップ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
とりわけフェルトペンで書くことができるボード、またはチョークで書くことができるチョークボードのような対話型の視覚伝達パネル(1)であって、伝達パネル(1)の前部(3)上にガラス質のエナメル層(5)が提供され、その伝達パネル上に、前部(3)上に書き込まれる情報の電子表現を作るための光学的に読み取り可能な位置符号化パターン(6)が提供され、その位置符号化パターン(6)は500℃より高い温度でガラス質のエナメル層(5)の上に焼かれたセラミック印刷から作られることを特徴とする対話型の視覚伝達パネル(1)。
【請求項2】
前記位置符号化パターン(6)は、非常に細かいふるい、例えば140Tか、それよりさらに細かく、ワイヤ寸法が35μm以下であるふるいを利用する、シルクスクリーン印刷技術を用いて提供されることを特徴とする請求項1に記載の対話型の視覚伝達パネル。
【請求項3】
前記位置符号化パターン(6)は、直接的な写真処理を用いて提供されることを特徴とする請求項1に記載の対話型の視覚伝達パネル。
【請求項4】
前記位置符号化パターン(6)が提供されるエナメルの層(5)の上に、ゾルゲル散布が提供され、主に光沢のあるまたはセラミック状のカバー層(9−11)を形成するようにその後焼き戻しされることを特徴とする請求項1に記載の対話型の視覚伝達パネル。
【請求項5】
ゾルゲル層(9−11)の厚さは可視光線の波長の4分の1に対応し、75から180ナノメートルのゾルゲル層(9−11)のための層の厚さに帰着するようなものであることを特徴とする請求項4に記載の対話型の視覚伝達パネル。
【請求項6】
いくつかのゾルゲル層(9−11)が提供され、それによって異なったゾルゲル層(9−11)の層の厚さと組成が、耐反射性が得られるように選ばれることを特徴とする請求項4に記載の対話型の視覚伝達パネル。
【請求項7】
異なったゾルゲル層(9−11)は異なった組成を持つことを特徴とする請求項6に記載の対話型の視覚伝達パネル。
【請求項8】
前記位置符号化パターン(6)は、非常に細かいふるい、例えば140Tか、それよりさらに細かく、ワイヤ寸法が35μm以下であるふるいを利用する、シルクスクリーン印刷技術を用いて提供されることを特徴とする請求項1に記載の対話型の視覚伝達パネル(1)を製造するための方法。
【請求項9】
前記位置符号化パターン(6)は、直接的な写真処理を用いて提供されることを特徴とする請求項1に記載の対話型の視覚伝達パネル(1)を製造するための方法。
【請求項10】
前記位置符号化パターン(6)が提供されるエナメルの層(5)の上に、ゾルゲル散布が提供され、主に光沢のあるまたはセラミック状のカバー層を形成するようにその後焼き戻しされることを特徴とする請求項1に記載の対話型の視覚伝達パネル(1)を製造するための方法。
【請求項11】
書き込み手段(14)、例えば乾式的に消去可能なフェルトペンで書き込むことができ、かつ消去できるボードと組み合わせて使うよう意図されたフェルトペン、あるいは、例えばチョークで書き込むことができる黒いチョークボードなどと組み合わせて使うよう設計される場合の1本のチョークに接続または統合され、それによって、前記読み取り機器には、前記書き込み手段(14)の現在の位置を決定するために伝達パネル(1)上に位置符号化パターン(6)を検出するよう設計された光検出器(15)が提供され、前記読み取り機器(13)には、さらに、上述の検出器(15)により少なくとも1つの外部ユニット(17)に対して構築されたような前記位置符号化パターン(6)に基づいて、書き込み手段(14)の位置を読み取る情報を伝達するように適合された伝達手段(16)が提供された、伝達パネル上に書き込まれる情報の電子表現を形成することができる読み取り機器(13)であって、前記読み取り機器(13)には、特に上部に提供されるパターン(6)の読み取り可能性を改善するために、前記伝達パネル(1)の前部(3)を照らすための光源(18)、例えばLEDが提供され、それによって、光検出器(15)は上述の光源(18)に対応するように方向付けられ、またある距離の位置に置かれて、それが主に入射光線の反射角(α)の外の光を記録することを特徴とする読み取り機器。
【請求項12】
使用者によって操作される時に、伝達パネル(1)に対して1つまたはいくつかの可能な好ましい方向に応じて、またはそれのあるマージン内で主に保持されることを特徴とする請求項11に記載の読み取り機器。
【請求項13】
前記読み取り機器(13)には、特に上述の好ましい方向をもたらすように、主に1つの方法または限定された数の方法でのみ保持されうるような設計を持つグリップ領域(19)が提供されることを特徴とする請求項12に記載の読み取り機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−531246(P2010−531246A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513585(P2010−513585)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/BE2008/000046
【国際公開番号】WO2009/000053
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(510000781)
【Fターム(参考)】