説明

封入化抗菌材料

【課題】抗菌材料の安定性または活性にとって好都合ではない肉製品における環境などの環境からナイシンなどの抗菌材料を保護する問題を軽減する。
【解決手段】本発明は、(i)抗菌材料を含んでなるコアおよび(ii)材料を封入しているシェルであって、該抗菌材料に不浸透性のシェル、を含んでなる、封入形態の抗菌材料を提供する。本発明は、さらに、(i)抗菌材料のコアおよび材料を封入しているシェルを含んでなる、封入形態の抗菌材料を提供すること、および(ii)食品内に、または食品上に、封入抗菌材料を導入すること、を含んでなる、食品内に抗菌材料を導入する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品内に抗菌材料を導入する方法に関する。本発明は、さらに、抗菌材料に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
抗菌材料は、当業界に周知である。周知の抗菌材料の一つは、ナタマイシンである。ナタマイシンは、細菌、Streptomyces natalensisの発酵により産生されるポリエンマクロライド天然抗真菌剤である。ナタマイシン(以前はピマリシンとして知られていた)は、非常に広範な範囲の一般的な食品腐敗酵母およびカビに対して、極めて効果的かつ選択的な作用機序を有し、多くの株は、1ppm〜15ppmの濃度のナタマイシンによって阻害される。
【0003】
ナタマイシンは、食品の保存剤として承認され、世界中で広く使用されており、特に、チーズや乾燥発酵ソーセージの表面処理に使用されている。それは、活性スペクトルの広範さ、低濃度での有効性、耐性が無いこと、および広いpH域にわたる活性など、食品の保存剤としていくつかの利点を有している。光、酸化剤および重金属の存在下、ナタマイシンの中性水性懸濁液は非常に安定であるが、酸性またはアルカリ性の条件下でのナタマイシンは、安定性が不良である。例えば、ナタマイシンは、Byssochlamysなどの耐熱性カビによる損傷を防ぐために、低温殺菌果汁に使用することができる。しかし、果汁の酸性pHによって、果汁が冷蔵されずに貯蔵されている時だけでなく、低温殺菌時でもナタマイシンの分解が促進される。また、ナタマイシンは、パン製品のオーブン内での調理時に生じるような高温加熱処理によっても分解される。
【0004】
pHが4未満や10超などの極端なpH条件において、ナタマイシンは、種々の分解産物の形成とともに、急速に不活化される。ナタマイシンの酸性加水分解により、不活性なアミノ糖、ミコサミンが遊離する。さらなる分解反応により、テトラエン基よりむしろトリエン基による二量体の形成が生じる。低pHにおける加熱はまた、アグリコンの脱カルボキシル化をもたらし得る。アルカリ性加水分解により、ラクトンのけん化が生じる。酸性分解産物(アポナタマイシン、アグリコン二量体、およびミコサミン)およびアルカリ性またはUV分解産物は双方とも、毒性学試験において、ナタマイシンよりさらに安全であることが証明されているが、生物学的に不活性である。
【0005】
ナタマイシンは、一般に粉末として、または水性ナタマイシン懸濁液として、食品中に、または食品上に処方される。この種の処方形態でのナタマイシンは、処理条件および使用条件下で、非保護である。ナタマイシン粉末は、乳糖などの賦形剤と混合されているが、扱う上で粘着性でもあり、食品処理工場内で粉塵問題が生じ得る。また、ナタマイシンは、抗真菌性化合物としての効果が非常に高いため、保存しようとする製品が、所望の真菌活性に依存している場合は、その製品の処理に悪影響を及ぼし得る。したがって、ナタマイシンの保護処方形態が求められている。
【0006】
ナタマイシンの一般的な説明およびその現在の使用法は、B.Caballero、L.TrugoおよびP.Finglas編集、Encyclopedia of Food Science and Nutrition、4109−4115頁、Elsevier Science社におけるThomas,L.V.およびDelves−Broughton,J.2003.Natamycinに見ることができる。
【0007】
バクテリオシンは、密接に関連した細菌を死滅させるか、またはその増殖を阻害することができる抗菌性の蛋白質またはペプチドである。乳酸菌により産生されるバクテリオシンには、食品の保存および食品伝染性病原体の制御の可能性が大きく見込まれているため、特に重要である(Wesselsら、1998年)。
【0008】
最もよく知られているバクテリオシンは、現在、食品添加物として認可されている唯一のバクテリオシンであるナイシンである。ナイシンは、酪製品のスターターカルチャー、Lactococcus lactis subsp. lactisの発酵によって産生され、商品の抽出物、Nisaplin(登録商標)、Natural Antimicrobial(Danisco)として販売されている。ナイシンは、バクテリオシンとしては異例に広い抗菌スペクトルを有し、たいていのグラム陽性菌(例えば、桿菌、クロストリジウム、リステリア乳酸菌)に対して活性である。通常、グラム陰性菌、酵母またはカビ類に対しては、有効でない。ナイシンは、食品の保存剤として、世界中で広く承認されているが、その使用濃度および承認されている食品適用は、厳しく規制されており、国によって変わっている。
【0009】
その後、食品保存剤としての可能性を有する他のバクテリオシン、例えば、ペジオシン、ラクチシン、サカシン、ラクトコシン、エンテロコシン、プランタリシン、ロイコシンが、発見されている。これらもまた、通常はスペクトルが狭くなっているものの、グラム陽性菌に対して活性である。それらの食品使用は、現在のところ、インサイチュのバクテリオシン産生、すなわち、食品内の産生生物の増殖による産生に限られている。
【0010】
食品の安全と食品腐敗の防止は、特に、インスタント食品、スープ、ソースまたはスナックなどの即席食品に対する傾向が増加しているなか、現在、ますます世界の関心事項となっている。食品の腐敗は、食品製造業にとって、主要な経済的問題である。食品製造業は、食する上で安全な製品を供給することにより、公衆の健康と安全を守る必要がある。このような食品は、涼気貯蔵または周囲温度貯蔵のいずれにおいても、保証された保存期限を有しなければならない。消費者は、高品質の味の良い食品を好むが、これは、化学保存剤、加熱措置および他の処理手段によっては達成が難しい。食品の安全と保護は、より緩和な処理と天然保存剤とを組み合わせた方法を用いる、複数の保存システムによって最も良好に達成される。食品伝染性微生物はまた、種々の保存手段によって保存された食品において、順応および増殖の能力が低い。
【0011】
食品の安全性およびリステリア菌(Listeria monocytogenes)などの食品病原体の増殖について、多くの懸念がある。この特定の病原体は、追加の保存手段として用いられることの多い低温下で増殖できる。食品伝染性病原体は、時には種々の保存剤および貯蔵条件に順応することができ、したがって、保存剤手段の組み合わせが、個々の手段よりもより好首尾となり得る。
【0012】
調理済みの肉関節は、現在、消費者に供給されている新世代の即席製品である。これらの肉関節の調製には、通常、肉の柔らかさ、湿潤性を増加させるために、リン酸塩ブラインの注入またはその中での生肉のタンブリングが含まれる。次いでその肉を調理した後、小売店舗へ販売され、その後、消費者により購買され、消費される。
【0013】
これらの肉に関する大多数の処理には、現在、プラスチックの袋または薄膜内で肉を調理する「クックイン」システムが含まれる。関節全体から骨を取り除き、ポリリン酸塩ブラインをポンプ注入し、短時間、タンブリングするか、または揉みこむことができる。このことによって、ブラインを均一に分散させ、また、浸出液の層を表面に到達させ、それにより、プラスチックのパッケージングの肉表面への密着を助ける。大型の関節は、通常、プラスチックの袋の中へ、気体パッケージまたは真空パッケージされる。これらの調理済み肉製品は、低脂肪で、最少塩分であるため、品質が良く、健康的であると考えられることが多い。それらは、購買者によって消費前に必ずしも再加熱されなくてもよい。
【0014】
これらの最少処理製品は、90日間を目安とすることができる貯蔵期限の間、調理済み肉の安定性と安全性を保証するため、冷蔵に頼ることになる(VarnamおよびSutherland、1995年)。処理後の汚染が要因でない場合、調理済み肉の腐敗は、特に、その肉が7℃超の温度に晒される場合は、グラム陽性耐熱性菌の桿菌とクロストリジウムによると考えられる。これらの生物による腐敗は、肉が、15℃以上の温度に晒される場合、急速に起こり得る。肉が十分に調理されていなかった場合、腸球菌または耐熱性の乳酸桿菌種は生き残ることができ、それらの多くが冷蔵温度において増殖できる。該製品が、調理後に取り扱われてから再パッケージまたは真空パックされる場合、腐敗は、乳酸桿菌(Lactobacillus)、ロイコノストック(Leuconostoc)またはカルノバクテリウム(Carnobacterium)、ブロコトリックス−テルモスファクタ(Brochothrix thermosphacta)に関連していることが多く、他のグラム陽性菌もまた問題となり得る。グラム陰性菌は、パッケージされていない調理済み肉、または空気透過性のフィルム内にパックされているものにおいてのみ問題になり得る。空気に晒され、その表面が乾燥した調理済み肉関節上には、カビ類が発生し得る。処理後の汚染および冷蔵温度で増殖し得る食品伝染性病原体であるリステリア菌の増殖についての懸念もある。もし、有効な保存剤が調理済み肉の表面層に、何らかの方法で適用できれば、安全性の観点から、公衆、また、経済性と信望の観点から、製造業者双方にとって、利益となるであろう。
【0015】
筋肉全体の生肉もまた、消費者による調理用に、下準備され、テンダライズした即席チルド肉製品として、益々販売されている。該肉は、通常、マリネードを塗り、次いで、透明なポーチ内に真空パックする。マリネードを塗って、肉の表面に浸透するように、ただ置いておくか、またはマリネードの柔軟効果と浸透を増加させるために、マリネードの中で肉をタンブリングすることができる。この真空パックされたマリネード付け新鮮肉は、消費者によって購入されるまでと購入後から家庭で調理されるまでの間、冷蔵温度で、28日まで保存できる。これらの肉製品は、付加価値をつけた新鮮肉と考えられ、広範囲の生肉(豚肉、鶏肉、牛肉、牛挽肉、焼肉、さいころ肉、関節など)を含む。マリネードの酸性と真空パックポーチ内の酸素欠如の組み合わせにより、これらの製品の腐敗には、グラム陽性乳酸菌が関連しているということになる(Susiluotoら、2003年)。
【0016】
ナイシンは、ほぼ50年間、食品に安全に使用されてきた天然保存剤である。これは、乳酸菌であるブロコトリックス−テルモスファクタ、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、桿菌(Bacillus)およびクロストリジウム(Clostridium)などのグラム陽性菌に対して有効である。上記の肉製品双方に関連する腐敗が、通常、グラム陽性菌によって引き起こされるため、ナイシンは、貯蔵期限を保証または延長させるための保存剤システムの一部として考えることができよう。しかし、双方の肉製品の環境は、ナイシンの安定性または活性にとって好ましくない。生肉に注入するために用いられるブラインとポリリン酸塩溶液は、通常、アルカリ性のpHである。ナイシンの安定性には、pH3が最適である(Daviesら、1998年)。調理過程、特に、高pH、または中性pHにおける調理過程は、著しいナイシン分解をもたらすと考えられる。さらに、とくに懸念されることは、酵素媒介反応におけるグルタチオンとの付加体の形成による生肉中のナイシンの不活化である(Roseら、1999年、2000年、2003年)。
【0017】
多数の先行技術の教示により、食品におけるナイシンの使用可能性が検討されてきた。例としては:
・ Caserioら(1979)は、調理済み塩漬肉製品におけるナイシンの使用についての研究を記載している。モルタデラ、ソーセージ、プロシウット。標的生物:ブドウ球菌、硫酸還元クロストリジウム属。プロシウットは、希釈乳酸中に溶解後、ブラインと共に注入したナイシンを有する。
・ Gola(1962)は、大型ハム類の缶詰化用に、ナイシンをゼラチン内に組み込んだ。第一の実験において、ナイシンの溶解性を助けるために、注入用のブラインを酸性にした。
・ TaylorおよびSomers(1985)は、ベーコン中のナイシンの抗ボツリヌス有効性を評価した。ナイシンは、豚腹肉中に注入されたブライン製剤中に含めておいた。
・ Usborneら(1986)は、ナイシン処理ベーコンの官能評価を検討した。ナイシンは、ベーコン内への注入前に、ブラインポンプ溶液に添加された。
・ 米国特許出願公開第2003/0108648号は、細菌の芽胞および栄養細胞に対する静細菌活性および殺細菌活性を有する組成物ならびにそれらによる食品処理に関する。
・ 米国特許第6207210号は、広域抗菌組成物および食品表面への適用方法に関する。
・ 欧州特許出願公開第0770336号は、スターターカルチャーがバクテリオシンを産生した肉整形/ブライン溶液の注入を記載している。
・ Meat Resarch Unit、MARCにおける研究について、http://www.nal.nsda.gov/fsrio/ppd/ars010f.htmで見られる論文は、「注入用牛肉マリネードの抗菌性」についての発表を記載している。・ 国際公開第2003/11058号は、天然源由来の化合物(1つまたは複数)を含んでなる食品保存製剤に関する。天然化合物を製剤化し、食品に適用し、<3kGyにおいて照射すると、照射しない対照に比較して、微生物相の減少が生じる。ナイシンが好ましい化合物である。
・ 米国特許出願公開第2003/0108648号は、マリネード用の配合の一部として、ナイシンを教示している。
【0018】
上記の広範な先行技術は、抗菌材料の安定性または活性にとって好都合ではない肉製品における環境などの環境からナイシンなどの抗菌材料を保護する問題に対処するものでも、解決するものでもない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、先行技術の問題を軽減する。
【0020】
一態様において、本発明は、抗菌材料のコアおよび材料を封入しているシェルを含んでなる、封入形態の抗菌材料を提供し、材料を封入しているシェルは、抗菌材料に不浸透性であり、任意に、生理学的に許容できる。
【0021】
用語の「封入された」は、当業界に周知である。封入は、ある基質(固体、液体、気体)を他の材料内に詰める手法として定義できる。封入物において、包まれた材料は、コア材料または内相と呼ばれ、一方、封入している材料は、コーティング、シェル材料または担体と呼ばれる。このような封入材料は、一般に、コア/シェル材料とも呼ばれる。
【0022】
一態様において、本発明は、抗菌材料を封入化材料により共処理し、前記材料によって、前記抗菌材料をシェル内に封入させること、および該抗菌材料を回収することを含んでなる、封入形態の抗菌材料を製造する方法を提供し、該封入化材料のシェルは、該抗菌材料に不浸透性であり、任意に、生理学的に許容できる。
【0023】
一態様において、本発明は、(i)抗菌材料のコアおよび材料を封入しているシェルを含んでなる、封入形態の抗菌材料を提供すること、(ii)好ましくは、(a)封入抗菌材料を食品内に注入することまたは(b)封入抗菌材料を食品にタンブリングすることにより、封入抗菌材料を、食品内に、または食品上に導入することを含んでなる、抗菌材料を食品内に導入する方法を提供する。
【0024】
一態様において、本発明は、(i)抗菌材料のコアおよび材料を封入しているシェルを含んでなる、封入形態の抗菌材料を提供すること、(ii)好ましくは、(a)封入抗菌材料を食品内に注入することまたは(b)封入抗菌材料を食品にタンブリングすることにより、封入抗菌材料を、食品内に、または食品上に導入することを含んでなる、抗菌材料を食品内に導入する方法によって調製された食品を提供する。
【0025】
一態様において、本発明は、(i)抗菌材料のコアおよび材料を封入しているシェルを含んでなる、封入形態の抗菌材料を提供すること、(ii)好ましくは、(a)封入抗菌材料を食品内に注入することまたは(b)封入抗菌材料を食品にタンブリングすることにより、封入抗菌材料を、食品内に、または食品上に導入することを含んでなる、抗菌材料を食品内に導入する方法によって得ることができる食品を提供する。
【0026】
本発明の態様は、添付の請求項に規定されている。
【0027】
封入形態の当該抗菌材料を提供することにより、該抗菌材料の安定性または活性にとって好都合ではない肉製品における環境などの環境から該材料を保護できることを、我々は見出した。さらに、封入抗菌材料を食品内に注入することにより、または、封入抗菌材料を食品にタンブリングすることにより、封入抗菌材料を食品内に、または食品上に、効果的に導入できる。注入は特に有利であり、驚くべきものであることを、我々は見出した。先行技術の方法では、封入されていないナイシンなどの抗菌材料を、食品内に直接注入している。注入時に封入抗菌材料に及ぼされる厳しい物理的諸力に耐えることのできる「シェル」を抗菌材料に備え得ることを、我々は見出した。特に注入は、注入される材料に高圧を加え、ストレスを与える。また、該抗菌材料を、有害な条件から保護することができ、および/または持続した/制御された放出を可能にする「シェル」を抗菌材料に備え得ることを、我々は見出した。
【0028】
本発明は、望ましくない分解に対して耐性であり、また、放出されて長時間の抗菌効果を提供する抗菌材料を送達する方法、および抗菌材料それ自体を提供する。
【0029】
参照を容易にするため、以下に、本発明の上記態様、およびさらなる態様を、適切な節の見出しの下で検討する。しかし、各節の下での教示は、必ずしも特定の各節に限定されない。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
(i)抗菌材料を含むコア、
(ii)封入材料のシェルが抗菌材料に対し不浸透性である封入材料のシェル、
を含む封入形態の抗菌材料。
(項目2)
前記抗菌材料が、抗細菌材料である、項目1に記載の抗菌材料。
(項目3)
前記抗菌材料が、バクテリオシンである、項目1または2に記載の抗菌材料。
(項目4)
前記抗菌材料が、抗真菌材料である、項目1に記載の抗菌材料。
(項目5)
前記抗菌材料が、少なくともナタマイシンである、項目1に記載の抗菌材料。
(項目6)
前記バクテリオシンが、バクテリオシン類を含有するランチオニン(lanthionine)、ラクトコッカス属(Lactococcus)由来のバクテリオシン類、連鎖球菌属(Streptococcus)由来のバクテリオシン類、ペジオコックス属(Pediococcus)由来のバクテリオシン類、乳酸桿菌属(Lactobacillus)由来のバクテリオシン類、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)由来のバクテリオシン類、ロイコノストック属(Leuconostoc)由来のバクテリオシン類、腸球菌(Enterococcus)由来のバクテリオシン類およびそれらの混合物から選択される、項目3に記載の抗菌性材料。
(項目7)
前記抗菌材料が、少なくともナイシンである、項目1に記載の抗菌材料。
(項目8)
前記抗菌材料が、殺微生物効果または静微生物効果を提供する量で存在する、項目1から7のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目9)
前記殺微生物効果または静微生物効果が、殺細菌効果または静細菌効果である、項目8に記載の抗菌材料。
(項目10)
前記殺細菌効果または静細菌効果が、グラム陽性菌に関するものである、項目9に記載の抗菌材料。
(項目11)
前記殺細菌効果または静細菌効果が、桿菌(Bacillus)種、クロストリジウム菌(Clostridium)種、リステリア菌(Listeria)種、乳酸菌(lactic acid bacteria)種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム属種、腸球菌種;ブロコトリックス−テルモスファクタ(Brochothrix thermosphacta)種および乳酸桿菌種から選択される生物に関するものである、項目9に記載の抗菌材料。
(項目12)
前記殺細菌効果または静細菌効果が、リステリア菌に関する、項目9に記載の抗菌材料。
(項目13)
前記シェルが、前記封入化抗菌材料から前記抗菌材料の持続放出を提供するために選択される、項目1から12のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目14)
前記シェルが、前記抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減、または阻止するために選択される、項目1から13のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目15)
前記シェルが、予め決定された条件下で前記封入化抗菌材料から前記抗菌材料を放出するために選択される、項目1から14のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目16)
前記シェルが、食品と接触して前記封入化抗菌材料から前記抗菌材料を放出するために選択される、項目1から15のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目17)
前記食品が、マリネードである、項目16に記載の抗菌材料。
(項目18)
前記封入化抗菌材料の前記シェルが、注入に耐えることができる、項目1から17のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目19)
前記封入化抗菌材料の前記シェルが、1.5bar超の圧力に耐えることができる、項目1から18のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目20)
前記封入化抗菌材料が、粒子形態である、項目1から19のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目21)
前記封入化抗菌材料が、150μm未満の平均粒径を有する、項目1から20のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目22)
前記シェルが、前記封入化抗菌材料からの前記抗菌材料の持続放出を提供するために選択される、項目1から21のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目23)
前記シェルが、前記抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減、または阻止するために選択される、項目1から22のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目24)
変性が、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子によるものである、項目18に記載の抗菌材料。
(項目25)
前記シェルが、脂肪類、乳化剤類、ワックス類(動物、植物、無機物または合成)、リポソーム形成脂質類、親水コロイド類、天然または合成ポリマー類およびそれらの混合物から選択される物質であるか、またはそれを含む、項目1から24のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目26)
前記脂質が、グリセロリン脂質またはおよびステロールである、項目25に記載の抗菌材料。
(項目27)
前記脂肪が、トリグリセリドである、項目25または26に記載の抗菌材料。
(項目28)
前記トリグリセリドが、植物トリグリセリドである、項目27に記載の抗菌材料。
(項目29)
前記乳化剤が、ポリソルベート類、モノグリセリド類、ジグリセリド類、モノ−ジグリセリド類の酢酸エステル類、モノ−ジグリセリド類の酒石酸エステル類およびモノ−ジグリセリド類のクエン酸エステル類から選択される、項目25から28のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目30)
前記親水コロイドが、架橋結合されている、項目25から29のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目31)
前記親水コロイドが、カラゲナンである、項目30に記載の抗菌材料。
(項目32)
前記封入化抗菌材料が、噴霧冷却、および流動床コーティングから選択される方法により調製されるか、または該方法から得ることができる、項目1から31のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目33)
前記封入化抗菌材料が、キレート化剤をさらに含む、項目1から32のいずれか一項に記載の抗菌材料。
(項目34)
前記キレート化剤が、EDTA、クエン酸、モノホスフェート類、ジホスフェート類、トリホスフェート類およびポリホスフェート類から選択される、項目33に記載の抗菌材料。
(項目35)
前記キレート化剤が、前記抗菌材料の抗菌活性および/または抗菌スペクトルを増強する、項目33または34に記載の抗菌材料。
(項目36)
前記キレート化剤が、グラム陰性菌に関して前記抗菌材料の抗菌活性および/または抗菌スペクトルを増強する、項目33、34または35に記載の抗菌材料。
(項目37)
(i)項目1から36のいずれか一項に記載の抗菌材料、および
(ii)担体、
を含む、組成物。
(項目38)
前記担体が、ブラインであるか、またはブラインを含む、項目37に記載の組成物。
(項目39)
前記担体および前記封入抗菌材料が、実質的に同一密度を有する、項目37または38に記載の組成物。
(項目40)
前記封入抗菌材料が、前記担体と実質的に同一密度を有するように修飾する、項目37に記載の組成物。
(項目41)
前記封入抗菌材料が、前記封入抗菌材料と油とを接触させることにより修飾される、項目40に記載の組成物。
(項目42)
前記油が、臭素化油である、項目41に記載の組成物。
(項目43)
前記担体が、前記封入抗菌材料と実質的に同一密度を有するように修飾される、項目41または42に記載の組成物。
(項目44)
前記担体が、キサンタムガムを含む、項目43に記載の組成物。
(項目45)
前記担体が、乳化剤を含む、項目37から43のいずれか一項に記載の組成物。
(項目46)
(i)食品、および
(ii)項目1から36のいずれか一項に記載の抗菌材料かまたは項目37から45のいずれか一項に記載の組成物、
を含む、保護食品。
(項目47)
前記食品が、生肉、調理済み肉、生鳥肉製品、調理済み鳥肉製品、生魚介類製品、および調理済み魚介類製品から選択される、項目46に記載の保護食品。
(項目48)
前記食品が、生肉である、項目47に記載の保護食品。
(項目49)
前記食品が、生鳥肉製品または調理済み鳥肉製品である、項目47に記載の保護食品。
(項目50)
前記食品が、食用筋肉全体を含む、項目46または47に記載の保護食品。
(項目51)
(i)抗菌材料のコアおよび封入化材料のシェルを含む封入形態の抗菌材料を提供する工程、
(ii)食品内または前記食品上に封入抗菌材料を導入する工程、
を包含する、前記食品に前記抗菌材料を導入する方法。
(項目52)
(a)前記封入抗菌材料を前記食品内に注入することによりまたは(b)前記封入抗菌材料を前記食品とタンブリングすることにより、前記封入抗菌材料が前記食品内または前記食品上に導入される、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記封入抗菌材料を前記食品内に注入することにより前記封入抗菌材料が、前記食品に導入される、項目51または52に記載の方法。
(項目54)
前記封入抗菌材料を前記食品と共にタンブリングすることにより、前記封入抗菌材料が前記食品内または前記食品上に導入される、項目51または52に記載の方法。
(項目55)
(i)前記抗菌材料が、少なくともナイシンであり、
(ii)前記抗菌材料が、リステリア菌に関して殺微生物効果または静微生物効果を提供する量で存在し、
(iii)前記シェルが、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による前記抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻害するために選択され;
(iv)前記食品が、生肉製品、調理肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品、および調理済み鳥肉製品から選択される、項目46に記載の方法。
(項目56)
項目46から55のいずれか一項に定義されている方法により調製された食品。
(項目57)
項目46から55のいずれか一項に定義されている方法により得ることのできる食品。
(項目58)
実施例のいずれか1つと関連して本明細書中に実質的に記載されている抗菌材料。
(項目59)
実施例のいずれか1つと関連して本明細書中に実質的に記載されている組成物。
(項目60)
実施例のいずれか1つと関連して本明細書中に実質的に記載されている方法。
(項目61)
実施例のいずれか1つと関連して本明細書中に実質的に記載されている食品。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、加工後のホットドッグにおけるナイシン濃度を示す。等価濃度のナイシンが添加された:封入された場合、加熱処理でより多く残存した。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(好ましい態様)
(抗菌材料)
好ましい一態様において、抗菌材料は抗細菌材料である。
好ましい一態様において、抗菌材料はバクテリオシンである。
【0032】
バクテリオシンなどの抗菌材料は、食品において保存剤として使用できる材料(バクテリオシン類)から、典型的に選択できる。
【0033】
抗菌材料は、バクテリオシン類を含有するランチオニン、ラクトコッカス属由来のバクテリオシン類、連鎖球菌属(Streptococcus)由来のバクテリオシン類、ペジオコックス属由来のバクテリオシン類、乳酸桿菌属由来のバクテリオシン類、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)由来のバクテリオシン類、ロイコノストック属由来のバクテリオシン類、腸球菌(Enterococcus)由来のバクテリオシン類およびそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0034】
抗菌材料は、少なくともナイシンであることが好ましい。
【0035】
抗菌材料は、ナイシンからなることが好ましい。
【0036】
ナイシンは、Lactococcus lactis subsp.lactis(正式には、Streptococcus−lactisとして知られている)(米国特許第5573801号)由来の、ランチオニン含有バクテリオシン(米国特許第5691301号)である。本発明の好ましい一態様において、本発明に使用されるバクテリオシンは、少なくともナイシンである。
【0037】
米国特許第5573801号において検討されているように、ナイシンは、乳酸菌、Lactococcus lactis subsp.lactis(正式には、Streptococcus lactis グループNとして知られている)によって産生されるポリペプチドバクテリオシンである。
【0038】
ナイシンは、報告によると、ナイシン化合物A、B、C、DおよびEと称されてきたいくつかの近縁物質を代表する集合名である。(De Vuyst,L.およびVandamme,E.J.1994年、Nicin,alantibiotic produced by Lactococcus lactis subsp.lactis:properties,biosynthesis,fermentation and application.編集者:De VuystおよびVandamme、Blackie Academic and Professional、ロンドン)。ナイシンの構造および性質は、E.Lipinskaによる論文、表題「Nicin and Its Application」、ノッティンガム大学、Agriculture Science、Easter Schoolの会報25、1976年、103−130頁(1977)にも検討されており、前記論文は、参照として、本明細書に組み込んである。1969年、食品添加物についてのFAO/WHO連合専門家委員会は、ナイシンの純度および同一性に関する規格を設定した(食品添加物についてのFAO/WHO連合専門家委員会、1969年、いくつかの抗生物質の同一性および純度に関する規格、報告書12、WHO Technical Report Series No.430)。この委員会は、広範な毒性学的試験に基づき、ナイシンを、安全で合法的な防腐剤として認めた。ナイシンは、食品添加物番号、E234を有し、GRAS(一般に安全と認められている)に分類されている(Food and Drug Administration、1988年、Nicin preparation:Affirmation of GRAS status as a direct ingredient、Federal Regulations 53:11247)。国際活性単位(以下IU)は、0.001mgの国際ナイシン参照製剤と規定された。Nisaplin(登録商標)天然抗菌剤は、1g当たり、100万IUを含有するナイシン濃縮物のブランド名であり、Daniscoから商品として入手できる。
【0039】
ナイシンは、安全で効果的に食品に使用された長い歴史を有する、承認され受容されている食品保存剤である。ナイシンについてのいくつかのレビュー、例えば、Hurst、1981年;1983年;Delves−Broughton、1990年;De VuystおよびVandamme、1994年;Thomasら、2000年;ThomasおよびDelves−Broughton、2001年)がある。ナイシンは50年以上前に発見され、1953年に製造された最初の市販製剤は、Nisaplin(登録商標)であった。ナイシンは、食品保存剤として特に好適にするいくつかの特徴を有している。ナイシンは、広範な毒性学的試験を受けてきており、その安全性が証明されている。それは、熱に安定であり、酸に安定であり、グラム陽性菌の広範なスペクトルに対して有効である。ナイシンは、通常、グラム陰性菌、酵母類またはカビ類に対しては有効でないが、キレート化剤の存在下で、グラム陰性菌または酵母類に対する活性が報告されている(国際公開/米国特許出願公開第8902625号、国際公開第89/12399号)。ナイシンは、低温殺菌食品および加熱処理食品(例えば、プロセスチーズ、チーズ、低温殺菌牛乳、酪製品デザート、クリーム、マスカルポーネ(mascarpone)および他の酪製品、セモリーナ、タピオカなどのプリン、低温殺菌液状卵、低温殺菌ジャガイモ製品、大豆製品、クランペット、ピケレット(pikelets)、フラップジャック(flapjacks),加工肉製品、飲料、スープ、ソース、インスタント食、缶詰食品、野菜飲料)ならびにサラダドレッシング、ソース、マヨネーズ、ビール、ワインおよび他の飲料などの低酸性食品において有効な保存剤である。
【0040】
加工食品と共に使用された場合、いくらか活性は失われると考えられるが、これは、適用されるナイシンの量を増加することによって改善できる。食品を保存するためのナイシンの有効量は、報告によると、25〜500IU/gの範囲またはそれ以上である。他の有効濃度は、当業者によって認識されるであろう。例えば、50〜400IU/gの濃度を使用できる。
【0041】
最初のバクテリオシン、ナイシンの発見以来、現在、他の多くのバクテリオシンが見出されている(Hoover、1993年;RayおよびDaeschel、1994年;Axelsen、1998年;Naidu、2000年;Rayら、2001年;RayおよびMiller、2003年)。Pediococcus pentosaceus、P.acidilactici、またはLactobacillus plantarumにより産生されるバクテリオシンであるペジオシンを、本発明に使用できる。ナイシンと同様、ペジオシンの種々の構造が記載されている。現在、ペジオシンおよび他のバクテリオシンは、食品添加物として認められていないが、食品中の産生生物増殖の結果、バクテリオシンのインサイチュ産生によって、それらの抗菌活性が達成できる。これは、HOLDBAC(商標)Listeria(Danisco)などの市販の保護培養液の目的である。ペジオシンは、ナイシンに比べて、抗菌スペクトルはより狭いが、食品病原体のリステリア菌を殺し、その増殖を防ぎ、抑制する食品安全能力に多くの関心が持たれている(RayおよびMiller、2000年)。ジベルシン(divercin)、ロイコシン(leucocin)、メセンテリシン(mesentericin)、サカシン、クルバシン(curvacin)、バヴァリシン(bavaricin)、アシドシン、ビフィドシン(bifidocin)、カルノバクテリオシン、ピシコシン、ピスシコリン、ムンジチシン、エンテロシン、サーモフィリン(thermophilin)、ラクチシン、プランタリシン、ラクトコッシン、ジベルシン、ジプロコッシン、メセンテロシン、ロイコノシン、カルノシン、アシドフィリン、ラクタシン、ブレヴィシン、ラクトシン、ヘレブチシン(helevticin)、ロイテリシン(reutericin)、プロピオニシンとして一般に呼ばれているものなどの他のバクテリオシンを本発明に使用できる。
【0042】
抗菌材料は少なくともナタマイシンであることが好ましい。
【0043】
抗菌材料はナタマイシンからなることが好ましい。
【0044】
(微生物)
本明細書において検討されるように、本発明は、材料内の微生物の増殖を防ぐ、および/または阻害することができる。これは、当該組成物との接触で、細菌などの微生物を不活発化または抑制し得るか、存在する微生物を殺すことによってなし得る。
【0045】
一態様において、殺微生物効果または静微生物効果を提供する量において、抗菌材料が存在する。
【0046】
一態様において、殺微生物効果または静微生物効果を提供する量において、バクテリオシンおよび抽出物が存在する。
【0047】
極めて好ましい一態様において、殺微生物効果または静微生物効果は、殺真菌効果または静真菌効果であり、任意に、酵母に対する効果を含む。
【0048】
好ましい一態様において、殺真菌効果または静真菌効果は、食品腐敗または食品伝染疾病に関連する真菌または酵母から選択される生物に関するものである。
【0049】
好ましい一態様において、殺真菌効果または静真菌効果は、
酵母類:カンジダ属(Candida)の種(例えば、C.krusei、C.parapsilosis、C.utilis、C.valida)、Dekkera属の種(例えば、D.bruxellensis)、Debaryomyces属の種(例えば、D.hansenii)、Hanseniaspora属の種(例えば、H.uvarum)、Kluyveromyces属の種(例えば、K.loctis)、Pichia属の種(P.membranaefaciens)、Rhodosporidium、Rhodotorula属の種(Rh.mucilaginosa)、サッカロミセス属(Saccharomyces)の種(例えば、S.bayanus、S.boulardi,S.carlsbergensis、S.cerevisiae、S.exiguus、S.florentinus、S.unisporus)、Zygosaccharonmyces属の種(例えば、Z.rouxii、Z.bailii)
カビ類:アスペルギルス属(Aspergillus)の種(例えば、A.niger、A.restrictus、A.vercicolor)、Byssochlamys(例えばB.fulva、B.nivea)、Eupenicillium、Eurotium、フサリウム属(Fusarium)、ゲオトリクム属(Geotrichum)、ケカビ属(Mucor)、Neosartorya属の種(例えば、N.fischeri var.fischeri)、ペニシリウム属(Penicillium)の種(例えば、P.aurantiogriseum、P.brevicompactum、P.camembertii、P.candidum、P.chrysogenum、P.commune、P.corylophilum、P.cyclopium、P.discolor、P.nalgiovense、P.roquefortii)、Talaryomyces属の種(例えば、T.macrosporus)から選択される生物に関するものである。
【0050】
極めて好ましい一態様において、殺微生物効果または静微生物効果は、殺細菌または静細菌効果である。
【0051】
殺細菌または静細菌効果は、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌に関するものであることが有利である。
【0052】
好ましい一態様において、該殺細菌または静細菌効果は、バシラス属の種、枯草菌(Bacillus subtilis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、リステリア種、リステリア菌、乳酸細菌、乳酸腐敗細菌、乳酸菌種、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、クロストリジウム種、C.sporogenes、C.tyrobutyricumおよびC.botulinum(C.botulinumに対して、該抗菌材料が有効であるか、またはシステムの一部が有効であると認められる場合)などの食品腐敗または食品伝染性疾病に関連するグラム陽性細菌から選択される生物に関するものである。
【0053】
好ましい一態様において、キレート化剤と組み合わせた本発明の殺細菌または静細菌効果は、酵母、カビ、および大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ菌(Salmonella)種、ならびにシュードモナス(Pseudomonas)種などのグラム陰性菌など、食品腐敗または食品伝染疾病に関連する他の微生物から選択される生物に関するものである。
【0054】
好ましい一態様において、殺細菌または静細菌効果は、乳酸桿菌、ロイコノストック菌、カルノバクテリウム、および腸球菌などの乳酸細菌;リステリア菌、バシラスおよびクロストリジウムなどの芽胞形成耐熱性細菌;およびブロコトリックス−テルモスファクタに関するものである。
【0055】
好ましい一態様において、該殺細菌または静細菌効果は、乳酸菌、ロイコノストック菌、カルノバクテリウム、腸球菌、リステリア菌、桿菌、クロストリジウム;およびブロコトリックス−テルモスファクタ菌に関するものである。
【0056】
好ましい一態様において、該静細菌効果は、Bacillus cereusに関するものである。
【0057】
好ましい一態様において、該殺細菌または静細菌効果は、リステリア菌に関するものである。
【0058】
(封入化抗菌材料)
封入法は、通常、香りまたは活性をマスクするために、多くの食品成分に適用されてきた。本発明は、抗菌材料の封入化から、予想外の利益を導くことができるという認識に基づいている。
【0059】
KoontzおよびMarcey、2003年、J Agric Food Chemistry 51:7106−7110頁は、ナタマイシン/シクロデキストリン封入製品を記載している。シクロデキストリンは、主に光に対して、しかし、低pH、熱および酸化に対しても保護するためのホスト分子として作用する。しかし、このナタマイシン/シクロデキストリン複合体は真の封入化ではない。ナタマイシンの分子は、ガンマシクロデキストリンの空隙に「フィット」しないため、これは、単に部分的な封入化と考えられる。酸性条件により、この種の複合体は不安定化する傾向があり、シクロデキストリン分子の内容が放出するので、ナタマイシン分子は、シクロデキストリン分子によって、完全には封入、保護されていない。Koontzら、2003年、J Agric Food Chemistry 51:7111−7114頁は、また、水性溶液におけるナタマイシンおよびそのシクロデキストリン封入複合体の安定性を記載している。
【0060】
欧州特許第115618号は、抗粘結剤が封入されてからナタマイシンと共に処理されて抗真菌活性を提供する抗粘結抗真菌食品成分を記載している。
【0061】
米国特許第5,445,949号は、ナタマイシンなどの疎水性発酵製品の分離によりナタマイシンを回収する方法を記載している。この方法は、蛋白質の封入化を含む工程を含んでいるが、ナタマイシンの封入化についての記載はない。
【0062】
欧州特許出願公開第1382261号は、スナックまたは食物の作製に関し、焼パン製品用の、貯蔵安定性キットを含む、ナタマイシンなどの抗菌阻害剤の使用を記載している。この抗菌阻害剤は、封入化によって保護されていない。
【0063】
2004年1月28日出願の米国特許出願第10/765,210号は、ナタマイシン懸濁液によって、良質パン製品の表面をスプレーし、したがって、該製品の保存期限を延長させることによる、良質パン製品の保護に関する。
【0064】
国際公開第89/033208号は、リポソーム製剤用ポリエンマクロライド粉末を記載している。全身性疾患における抗真菌剤の薬物動態を改変するために、ポリエンマクロライドは、リポソーム内に封入される。該リポソームは、製薬的使用のみが意図されている。
【0065】
米国特許第5,821,233号は、水性媒体におけるナタマイシンの遅延放出を提供するために、ナタマイシンが多孔性シリカに組み込まれている抗真菌組成物に関する。
【0066】
封入化法の一般的記載は、Shahidi,F.およびX.Q.Han.、1993年、Encapsulation of food ingredient、Critical Reviews in Food Science and Nutrition 33(6):501−547頁に見ることができる。カビ阻止剤の封入化は、Ranum、P.、1999年、Encapsulated mold inhibitors−the greatest thing since sliced bread in Cereal Foods World、44巻、第5号、370−371頁に記載されている。
【0067】
米国特許第5,204,029号は、複数の液体コアを含有する食用マイクロカプセルの調製法を開示している。該方法において、活性成分を内部水相に溶解させた油中水乳剤を冷却噴霧することにより、脂肪相の固形化およびマイクロカプセル内に分散させた微小滴としての水相捕捉が生じる。しかし、この方法では、水相がマイクロカプセルの内側部分から外側部分に移動することにより、極めて不安定なマイクロカプセルとなる。さらに、これは、容器の壁に水が凝結する結果をもたらす。
【0068】
Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、15巻、473−474頁は、同心ノズルを含有する回転押出しヘッドを用いて、液体が封入される方法を開示している。この方法は、液体またはスラリーに対してのみ好適であり、該方法の製品は、脂肪またはワックスなどの溶融性コーティングを有する大型ビーズである。しかし、コアとして、単一の液体小滴を含有するマイクロカプセルは、極めて割れやすい。
【0069】
Process Biochemistry 35(2000)885−888、Mofidi,N.らの彼らの論文には、滅菌アルギン酸塩溶液を調製してから、その溶液を、非水性相を含有する反応器に攪拌しながら注入する、ミクロスフェアの大量調製法が記載されている。アルギン酸塩の微小滴乳濁液が形成され、適切な量の架橋剤が添加される。ミクロスフェアのアルギン酸塩−ゲル粒子は底に沈み、それらを濾過により回収する。
【0070】
同様に、J.Microincapsulation、2002年、19巻、第4号、511−522頁で、Wong,T.W.らは、ペクチンミクロスフェアからの放出特性およびこれらのミクロスフェアの調製法を記載している。この方法では、ペクチンミクロスフェアを、油中水乳液法により調製し、活性成分を含有し、液体疎水性連続相に分散したペクチンの微小滴を硬化し、濾過により回収する。
【0071】
コアセルベーション相分離法によるマイクロカプセル化は、Agis F.KydonieusによるControlled Release Technologies、1980年におけるJoseph A.Bakanによる論文から知られている。この方法は、連続的攪拌下、一連の3つのステップ:(1)不混和性の化学的3相の形成;(2)コーティングの沈積;および(3)コーティングの硬化からなる。
【0072】
Sanghvi,S.P.およびNairn J.G.は、セルロースアセテートトリメリテートミクロスフェアの粒径に及ぼす粘性および界面張力の効果を調べた。その結果は、J.Microencapsulation、1992年、9巻、第2号、215−227頁における彼らの論文に提示されている。
【0073】
Lebensm.−Wiss.u.−Technol.、33、80−88頁(2000)Lee,S.J.および Rosenberg,M.における彼らの論文には、乳漿蛋白質ベースマイクロカプセル調製のための二重乳化および熱ゲル化法が記載されている。記載された方法により調製されたマイクロカプセルは、無極性コア材料を含有する乳漿蛋白質ベースマイクロカプセルである。
【0074】
Science、298巻、2002年11月1日、Dismoreらにおける彼らの論文には、コロイド粒子からなる選択浸透性カプセルが記載されている。該カプセルは、乳液小滴の界面にコロイド粒子が自己集合することにより製造される。該粒子が共に固着して弾性のシェルを形成後、乳液小滴は、該小滴の内部にあるものと同じ新鮮な連続相液に移行する。
【0075】
好ましい態様において、封入抗菌材料は、粒子形態である。
【0076】
粒径は、本発明の注入態様、タンブリング態様のいずれにおいても重要であり得る。例えば、粒径を、特定の最大平均粒径に選択することにより、封入化抗菌材料の食品内、または食品上への導入を補助できる。注入態様においては、粒径が特に重要であることを、我々は見出した。粒径、特に、最大平均粒径は、封入抗菌材料のシェルが注入法に耐えられる可能性を決定し得る。
【0077】
好ましい一態様において、封入抗菌材料は、500μm未満、好ましくは300μm未満、好ましくは250μm未満、好ましくは150μm未満、好ましくは50μmから150μmの平均粒径を有する。いくつかの態様において、封入抗菌材料は、100μm未満、または50μm未満、または25μm未満の平均粒径を有する。
【0078】
上記で検討したように、本発明の目的は、分解または不活化から保護された形態における抗菌材料の、食品内、または食品上への導入を提供することである。しかし、抗菌材料は、勿論、その目的である抗菌作用を提供するように求められた時に放出される必要がある。したがって、好ましい一態様において、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するためにシェルが選択される。
【0079】
本発明の一態様において、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために、または予め決められた条件下での放出を提供するために、シェルが選択される。予め決められた好適な温度条件は:50℃超、好ましくは、60℃超、好ましくは、70℃超、好ましくは、72℃超、好ましくは、75℃超、好ましくは、72℃から78℃である。
【0080】
本発明の一態様において、抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために、シェルが選択される。防止すべき変性は、熱変性、pH誘導変性(酸性pHまたはアルカリ性pHによる)、酸化変性、光変性、プロテアーゼ変性およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子によるものであることが好ましい。
【0081】
したがって、さらなる一態様において、本発明は、抗菌材料の変性または不活化の防止、軽減または阻止のための封入抗菌材料の使用を提供する。防止すべき変性は、熱変性、pH誘導変性、プロテアーゼ変性およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子によるものであることが好ましい。
【0082】
該シェルは、任意の好適な材料であるか、またはそれを含んでなるか、またはそれから形成され得る。
【0083】
本発明に有用なシェル材料は、好ましくは、食品用の脂肪類、油類、ワックス類、樹脂類、乳化剤またはそれらの混合物よりなる群から選択できる。該シェル材料は、動物油類および動物脂肪類、完全水素化植物油類または動物油類、部分的水素化植物油類または動物油類、不飽和、水素化、または完全水素化脂肪酸類、不飽和、部分的水素化、または完全水素化脂肪酸モノグリセリド類およびジグリセリド類、モノグリセリド類またはジグリセリド類の不飽和、部分的水素化、または完全水素化エステル化脂肪酸類、不飽和、部分的水素化、または完全水素化遊離脂肪酸類、他の乳化剤、動物ワックス類、植物ワックス類、鉱物ワックス類、合成ワックス類、天然および合成樹脂類およびそれらの混合物よりなる群から選択されることが好ましい。
【0084】
動物油類および動物脂肪類は、限定はしないが、牛脂、羊脂、ラム脂、ラードまたは豚脂、マッコウ鯨油などである。水素化または部分的水素化植物油類は、限定はしないが、アブラナ油、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、大豆油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ココナツ油、パーム油、アマニ油、キリ油およびヒマシ油などである。遊離脂肪酸類は、限定はしないが、ステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸などである。他の乳化剤は、限定はしないが、脂肪酸類のポリグリセロールエステル類、ソルビタンエステル類などである。動物ワックス類は、限定はしないが、蜜蝋、ラノリン、シェルワックスまたは中国昆虫ワックスなどである。植物ワックス類は、限定はしないが、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、ベーベリ蝋またはサトウキビ蝋などである。鉱物ワックス類は、限定はしないが、パラフィン、微結晶石油、オゾセライト、セレシンまたはモンタンワックスなどである。合成ワックス類は、限定はしないが、低分子量ポリオレフィン、ポリオールエーテル−エステル類およびフィッシャー−トロプシュ法合成ワックス類などである。天然樹脂類は、松ヤニ、バルサム、シェラックおよびゼインである。
【0085】
本発明の親水コロイドシェル材料は、例えば、本発明の方法により封入化を提供しやすい任意の食品用親水コロイドであり得る。
【0086】
該材料は、親水コロイド類、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ゲランゴム、澱粉、修飾澱粉、ガーゴム、アガーゴム、ペクチン、アミド化ペクチン、カラゲナン、キサンタン、ゼラチン、キトサン、メスキートゴム、ヒアルロン酸、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体、Eudragit(登録商標)などのメチルアクリルコポリマー類、プシリウム、タマリンド、キサンタン、ローカストビーンゴム、乳漿蛋白質、大豆蛋白質、カゼイン酸ナトリウム、任意の食品用蛋白質、セラック、ゼイン、任意の合成または天然水溶性ポリマー類、およびそれらの混合物よりなる群から選択できる。
【0087】
好ましいさらなるシェル材料は、脂肪類、乳化剤、ワックス類(動物、植物、鉱物または合成)、リポソーム形成脂質類(グリセロリン脂質類およびステロール類など)、親水コロイド類、天然または合成ポリマー類およびそれらの混合物から選択される。好ましい材料は、ブライン不溶性であるか、または架橋、焼結または他の手段により、ブライン不溶性にできる材料である。
【0088】
グリセロリン脂質類は、ホスファチジルコリン類、ホスファチエタノールアミン類およびホスファチジルグリセロール類から選択されることが好ましい。
【0089】
ステロール類は、コレステロール、エルゴステロール、ラノステロール、およびスチグマステロールから選択されることが好ましい。
【0090】
脂肪は、トリグリセリドであることが好ましく、植物トリグリセリドであることがより好ましい。
【0091】
乳化剤は、ポリソルベート類、モノグリセリド類、ジグリセリド類、モノ−ジグリセリド類の酢酸エステル類、モノ−ジグリセリド類の酒石酸エステル類、モノ−ジグリセリド類のクエン酸エステル類から選択されることが好ましい。
【0092】
親水コロイドは、架橋されているか、またはゲル化されていることが好ましい。
【0093】
親水コロイド類の架橋は、架橋剤を用いるか、または種々の機構によって実施できる。親水コロイドが、蛋白質、またはアミノ基を有する多糖類である場合、それは、グルタルアルデヒドなどのジアルデヒド類を用いて架橋できる。親水コロイドが、アルギン酸ナトリウム、ゲランゴムまたはペクチンなどの多糖類である場合、カルシウムまたはマグネシウムなどの多価イオンにより架橋できる。架橋はまた、加熱、pH調整、加圧などの他の機構により、または酵素的架橋によって実施できる。例えば蛋白質は、高圧、好ましくは、5barから200barに蛋白質を供し、および/または該蛋白質の変性温度超の温度に該蛋白質を供することにより架橋できる。蛋白質の酵素的架橋は、例えば、トランスグルタミナーゼによって実施できる。使用される親水コロイドに基づいて、当業者は、ゲル化または架橋のどちらの方法を用いるかを決定できる。
【0094】
親水コロイドは、カラゲナンから選択されることが好ましい。
【0095】
一態様において、親水コロイドは、アルギン酸塩、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ガーゴム、ローカストビーンゴム(LBG)、キサンタンゴム、微結晶セルロース(MCC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロースエーテル類、ペクチン、トウモロコシ、ジャガイモ、葛、小麦、および米からの澱粉を含む天然澱粉および修飾澱粉、前ゼラチン化澱粉および非前ゼラチン化澱粉、ゼラチン、寒天、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0096】
一態様において、親水コロイドは、特に、使用温度において、ブラインに不溶性であるか、または架橋またはゲル化により、不溶性にした親水コロイドである。
【0097】
天然または合成ポリマーは、セラック、酢酸ポリビニル、ポリメチル−メタクリレートおよびそれらの誘導体、任意のブライン不溶性ポリマー類から選択される。
【0098】
好ましいさらなる一態様において、該シェルは、好ましくは食用である脂肪類、ワックス類、樹脂類、乳化剤またはそれらの混合物であるか、またはそれらを含んでなるか、またはそれらから形成できる。疎水性シェル基質は、動物油類および動物脂肪類、完全水素化植物油類または動物油類、部分的水素化植物油類または動物油類、不飽和、水素化、または完全水素化脂肪酸類、不飽和、部分的水素化、または完全水素化脂肪酸モノグリセリド類およびジグリセリド類、モノグリセリド類またはジグリセリド類の不飽和、部分的水素化、または完全水素化エステル化脂肪酸類、不飽和、部分的水素化、または完全水素化遊離脂肪酸類、他の乳化剤、動物ワックス類、植物ワックス類、鉱物ワックス類、合成ワックス類、天然および合成樹脂類およびそれらの混合物よりなる群から選択されることが好ましい。
【0099】
動物油類および動物脂肪類は、限定はしないが、牛脂、羊脂、ラム脂、ラードまたは豚脂、マッコウ鯨油などである。水素化または部分的水素化植物油類は、限定はしないが、アブラナ油、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、大豆油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ココナツ油、パーム油、アマニ油、キリ油およびヒマシ油などである。遊離脂肪酸類は、限定はしないが、ステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸などである。他の乳化剤は、限定はしないが、脂肪酸類のポリグリセロールエステル類、ソルビタンエステル類などである。動物ワックス類は、限定はしないが、蜜蝋、ラノリン、シェルワックスまたは中国昆虫ワックスなどである。植物ワックス類は、限定はしないが、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、ベーベリ蝋またはサトウキビ蝋などである。鉱物ワックス類は、限定はしないが、パラフィン、微結晶石油、オゾセライト、セレシンまたはモンタンワックスなどである。合成ワックス類は、限定はしないが、低分子量ポリオレフィン、ポリオールエーテル−エステル類およびフィッシャー−トロプシュ法合成ワックス類などである。天然樹脂類は、松ヤニ、バルサム、シェラックおよびゼインなどである。
【0100】
好ましいさらなる一態様において、該シェルは、親水コロイド類、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ゲランゴム、澱粉、修飾澱粉、ガーゴム、アガーゴム、ペクチン、アミド化ペクチン、カラゲナン、キサンタン、ゼラチン、キトサン、メスキートゴム、ヒアルロン酸、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体、Eudragit(登録商標)などのメチルアクリルコポリマー類、プシリウム、タマリンド、キサンタン、ローカストビーンゴム、乳漿蛋白質、大豆蛋白質、カゼイン酸ナトリウム、任意の食品用蛋白質、セラック、ゼイン、任意の合成または天然水溶性ポリマー類、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどの任意の水不溶性微粒子、合成または天然食品用ポリマービーズおよびそれらの混合物よりなる群からのものであるか、またはそれらを含んでなるか、またはそれらから形成できる。
【0101】
封入抗菌材料は、任意の好適な方法により調製できる。好ましい一実施形態において、封入抗菌材料は、噴霧冷却、および流動床コーティングから選択された方法により調製されるか、または得ることができる。
好ましいさらなる態様としては、
(a) 脂肪類、ワックス類または乳化剤における噴霧冷却
(b) 酸安定性セラックコーティング、脂肪類、ワックス類、乳化剤または他の任意の疎水性および/または酸安定性コーティングによる流動床コーティング
(c) 架橋親水コロイド類における複合または単一のコアセルベーション
が挙げられる。
【0102】
封入法は、流動床法、リポソーム封入、噴霧乾燥、噴霧冷却、押出し、遠心分離同時押出し、コアセルベーションおよびそれらの混合から選択されることが好ましい。本発明の材料を提供するためには、流動床封入化およびコアセルベーションが最も好ましい方法である。
【0103】
好ましい一流動床において、抗菌材料の周囲にシェルを提供するため、抗菌材料は、水性溶液または懸濁液の中で、または溶融状態で、封入化材料と共処理される。
【0104】
流動床封入化において、適切なシェル材料は、水性溶液または懸濁液から典型的に適用され、HPMC,メチルセルロース、微結晶セルロース、ステアリン酸を有する、または有さない他のセルロース誘導体、他の脂肪酸、または他の疎水性添加物が挙げられる。溶融状態から適用される適切なシェル材料としては、脂質類、モノ、ジ、またはトログリセリド類、脂肪酸類、脂肪アルコール類、ワックス類、またはそれらの混合物または他の任意の溶融性疎水性材料が挙げられる。
【0105】
好ましい一コアセルベーション法において、シェルを提供するために、親水コロイドまたは親水コロイド類の混合物を含んでなる封入化材料が用いられる。
【0106】
抗菌材料の封入化は、抗菌材料と組み合わせて、新規な方法によって実施でき、これは、例えば、食品産業に、予想外の利益を提供する。封入化法および封入化材料またはシェル材料は、食品適用における連続相の性質に依って、選択される。低速および/または遅延放出ならびに保護/隔離を提供するために、食品適用の連続相が水ベースである場合、該シェル材料は、水不溶性でなければならず、逆もまた成り立つ。
【0107】
好適な封入化法は、流動床法、リポソーム封入化法、噴霧乾燥法、噴霧冷却法、押出し法、同時押出し法(遠心分離同時押出しなど)、コアセルベーション法およびそれらの組み合わせを含んでなる。
【0108】
特定の二重封入化法において、本発明は、凝固化疎水性シェルマトリックス、凝固化疎水性シェルマトリックス内に封入された封入水性ビーズ(1つまたは複数)および活性成分として、封入水性ビーズ(1つまたは複数)内に組み込まれた抗菌材料を含んでなるマイクロカプセルを提供する。
【0109】
この抗菌材料剤形は、マイクロカプセルを調製するための二重封入化法によって提供され、該方法は、a)水相および該水相に組み込まれた抗菌材料を提供するステップ、b)溶融形態における疎水相を提供するステップ、c)該水相に、または該疎水相に、封入化材料または封入化材料の混合物を組み込むか、または溶解するステップ、d)該水相と該疎水相を組み合わせ、組み合わせた相を均一化、または混合して、油中水乳液を形成するステップ、e)該水相を該乳液中で封入化し、したがって、該液体水相を封入水性ビーズ内へ転換し、これによって、水性ビーズを含んでなる分散を形成し、抗菌材料を水性ビーズ内に組み込むステップ、およびf)ステップe)で得られた分散液を処理して、封入水性ビーズがさらに封入化されている、または凝固化疎水性シェルマトリックスによるマイクロカプセルを形成するステップを含んでなる。
【0110】
本発明の封入化法はまた、ゲル化、架橋化、コアセルベーション、焼結または他の任意の好適な手段を含み得る。上記の二重封入化法において、これにより、活性抗菌材料成分を含んでなる封入水性ビーズが疎水相に分散されている分散液が生じる。この分散液を、任意の好適な方法により、該疎水相の融点または滴点以下に冷却すると、マイクロカプセルが形成される。該冷却法は、例えば、噴霧冷却または流動床冷却によって実施できる。該マイクロカプセルは、多数の封入水性ビーズを含んでなるが、これらはさらに抗菌材料を含有しており、これらの封入水性ビーズは、凝固疎水性シェルマトリックスにさらに封入されている。
【0111】
本発明の利点は、抗菌材料がシェルによって保護されていること、および、カプセルからの抗菌材料の放出が制御できることである。放出速度は、例えば、シェル材料の選択および量によって制御できる。したがって、放出速度は、疎水性シェルの溶解またはカプセル内への水の拡散および引き続くカプセル外への抗菌材料の移動によって、制御できる。カプセルからの抗菌材料の放出速度は、意図された使用法に従い、好適な封入化材料を選択することによって選択できる。本発明のカプセルからの抗菌材料の放出は制御でき、その放出は、種々の方法において、例えば、熱処理、例えば、マイクロ波オーブンまたはベーキングオーブンなどにおける加熱により、または凍結により、ストレス処理により、または他の任意の好適な方法により開始できる。また、本発明のカプセルからの活性成分の放出は持続させることができるか、または極めてゆっくり生じ得る。
【0112】
コアセルベーションは、シェルが架橋されており、水にも脂肪にも溶解性でないため、水ベース適用と脂肪ベース適用の双方に機能する方法である。
【0113】
コアセルベーション法は、典型的に、1)ハイドロロイドの水性溶液中に抗菌材料の懸濁液を調製すること、2)親水コロイドの溶解性を低下させ、添加剤の使用により、または温度の調整により、相分離および親水コロイドに富んだ第3の相形成を生じさせること、3)新たに形成されたコアセルベート相を懸濁化抗菌材料粒子上に沈着させるように三相系を処理すること、および最後に、4)温度の調整、化学薬品または酵素架橋剤の添加またはその他により、抗菌材料周囲の親水コロイドシェルを硬化し、続いて、凍結乾燥、噴霧乾燥、濾過または他の任意の手段によりマイクロカプセルを単離すること、を含む。
【0114】
流動床コーティングは、連続相が水である(食品)適用に特に好適であり、コーティング材料として可能なものとしては、溶融形態から適用された脂質(モノ−、ジ−、トリグリセリド類、脂肪酸類、ワックス類および混合物)エタノール性溶液から適用された水不溶性ポリマー(ゼインおよびセラックなど)が挙げられる。連続相が脂肪である適用では、該コーティング材料としては、水溶液または懸濁液から適用された、添加剤を有する、または有さない天然、修飾または合成親水コロイド(カラゲナン、アルギン酸塩、ペクチン、ローカストビーンゴム(LBG)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース)が挙げられる。該抗菌材料の粒径は、好ましくは100μm超、好ましくは、150μm超である。
【0115】
本発明による二重封入化は、脂肪ベースの食品適用に好適である。該内相は、溶解した抗菌材料/β−シクロデキストリン複合体を含有する水および任意のゲル化/架橋化親水コロイドから構成され得るか、または溶解した抗菌材料を含有するグリコール類(エチレングリコールなど)およびゲル化/架橋化ゼインから構成され得る。
【0116】
リポソーム封入化において、抗菌材料は、リポソーム相の脂質二重層に組み込むことができる。
【0117】
噴霧冷却は、特に水ベースの(食品)適用に好適な方法である。抗菌材料は、典型的には、溶融脂質(モノ−、ジ−、トリグリセリド類、脂肪酸類、ワックス類および混合物)中に懸濁化され、冷却空気中で噴霧化されて、封入抗菌材料を含有する固体粒子を形成する。
【0118】
噴霧乾燥は、特に、脂肪ベースの(食品)適用に好適である。抗菌材料を、典型的には、添加剤(乳化剤など)を有する、または有さない親水コロイド(アラビアゴム、修飾澱粉、マルトデキストリン、乳漿蛋白質、カゼイン塩など)の水性溶液に組み込んで懸濁化し、該混合物を高温空気中で噴霧化して水を蒸発させ、封入抗菌材料を含有する固体粒子を形成する。
【0119】
押出しは、典型的には、脂肪ベースの(食品)適用に好適な方法であり、遠心分離同時押出しは、典型的には、水ベースの(食品)適用に好適である。
【0120】
架橋親水コロイドビーズにおける封入化は、水ベース、および脂肪ベース双方の食品適用に好適である。抗菌材料(単独で、または好適な溶媒と組み合わせて)の懸濁液を、典型的には、水性アルギン酸塩、低エステルペクチンまたは他の任意の「架橋可能な」親水コロイド中で調製し、水性カルシウムイオン槽中に滴下して加えるか、または噴霧する。封入抗菌材料を含有する架橋ビーズまたは粒子を濾過により回収し、そのまま(湿ったまま)用いるか、流動床または他の任意の好適な手段により乾燥させる。
【0121】
本開示に基づき、当業者は、本発明による抗菌材料を保護し、また放出するために必要とされる条件に基づき、任意のある特定の(食品)適用に使用される好適な封入化法ならびにシェル材料の正しいタイプと量を選択することができる。
【0122】
本発明の封入化法を、下記にいくらか詳細に記載する:
(1.流動床封入化)
該抗菌材料は、乾燥粉末形態において用いることが好ましい。未加工の抗菌材料の粒径が小さすぎる場合、粒径が100μ〜500μの間の稠密粉末を得るために、結合剤溶液(アルギン酸塩またはマルトデキストリンなどの粘着性親水コロイド溶液)を用いて、該粉末を好適な装置内で凝集させることができる。次いで、適切な粉末を流動床マイクロ封入化単位のコーティングチャンバー内に導入し、下部プレートにおける20〜135cm/秒の入口空気流速で流動化し、該粒子の流動化には、5℃から7℃の温度を用いる。次いで、二重流体ノズルおよび高圧噴霧化空気を用いて、抗菌の流動床にコーティング材料を噴霧する。
【0123】
一実施例において、トリグリセリドと添加物の溶融混合物を抗菌粉末に噴霧すると、溶融脂肪が該粒子上に拡散し凝固する際に、個々の粒子の周囲に脂肪の連続が形成される。適用される脂肪量は、60重量%までであり得るが、通常ではないが、15重量%以上であり得る。
【0124】
他の実施例において、水および/またはエタノール中コーティング材料の分散液または溶液を、流動化粒子に噴霧し、流動化空気を用いて該溶媒または該水を蒸発させると、抗菌粒子上に、コーティング材料の連続フィルムが残る。
【0125】
この場合のコーティング材料の例としては、任意の親水コロイド(多糖類、蛋白質、セラック、ゼインまたは他の任意の溶解性または分散性コーティング材料)が挙げられる。
【0126】
(2.リポソーム封入化)
典型的に、リポソームは、下記のものなどの有機溶媒を含む脱水−水和法を用いて調製される。しかしながら、食品成分により好適な溶媒無しの方法も、マイクロ流動化または均一化装置を用いて、または反復凍結−解凍サイクルにより利用できる。
【0127】
リポソーム封入抗菌材料を調製するための典型的な手法は、容器の底に薄い乾燥フィルムを形成するために、好適な有機溶媒中、1gの二層形成脂質および100mgのコレステロールまたはアルファ−トコフェロールの溶液調製および該溶媒の蒸発を含む。該脂質フィルムの完全乾燥後、飽和濃度における、またはそれ以上の濃度における抗菌材料を含有する1Lの水(所望ならば、抗菌材料の溶解度は、アルカリ塩の形成により増加させることができる)を該容器に加え、この混合物を完全に混合するか、または均一化する。
【0128】
生じた多重膜ベシクル(MLV)の懸濁液を、マイクロ流動化または音波処理によりさらに処理して、より小型でより均一の小型単層ベシクル(SUV)を形成することができる。リポソーム封入抗菌材料の懸濁液を直接適用物へ加えるか、または凍結乾燥または他の任意の乾燥法により乾燥することができる。
【0129】
(3.噴霧乾燥)
抗菌材料は、噴霧乾燥の手段によって親水コロイドのマトリックス内に封入することができる。典型的な手法において、水性親水コロイドまたは親水コロイド混合物が溶解している抗菌材料懸濁液(オリゴ糖、可塑剤、乳化剤または他の添加物などのフィルム形成剤と共に、またはそれなしで水溶性多糖類、蛋白質、修飾多糖類)を、中性pH付近で調製する(抗菌材料の分解を防ぐため)。次いで該混合物を加熱空気と共に、逆流または向流で噴霧器(回転噴霧器、加圧ノズル、二重流体ノズルまたは他の任意の噴霧装置)を通して乾燥チャンバ内へポンプ注入する。
【0130】
加熱空気の温度は、典型的には160℃と200℃との間で、300℃の高さでもあり得るが、100℃〜160℃の範囲が好ましい。水を蒸発させると、乾燥親水コロイド(1種または複数種)中に分散抗菌材料を含有するマイクロカプセルの自由流動粉末が得られる。
【0131】
(4.噴霧冷却)
抗菌材料の噴霧冷却/深冷/凝結においては、粉末化抗菌材料を、海面活性剤の補助で、または補助なしで溶融した脂質または脂質混合物(モノ−、ジ−、トリ−グリセリド類、エステル化グリセリド類、動物、植物または鉱物ワックス類、45℃と125℃との間の温度で溶融性の他の任意の材料)中に分散させる。次いで該分散液を、冷却空気と共に逆流または向流で、噴霧器(回転噴霧器、加圧ノズル、二重流体ノズル、回転ディスクまたは他の任意の噴霧装置)を通して、冷却チャンバ内へポンプ注入する。
【0132】
冷却空気の温度は、典型的には−10℃と30℃との間であるが、−40℃の低さであり得る。該脂質の凝固により、結晶化マトリックス内に分散抗菌材料を含有するマイクロカプセルの自由流動粉末が得られる。
【0133】
(5.押出し)
押出しによる抗菌材料の封入化は、加圧下、二軸、または単軸スクリューの押出し器において、溶融または可塑化ポリマーシェル材料と共に、該粉末化抗菌材料(好ましくは、小粒径の)を処理することによって達成できる。ポリマーの塊は、塊を流動性にする少量の水の存在下で、比較的高温で押出し器内において溶融する。該抗菌材料が取り込まれている塊を押出して冷却すると、その塊は、酸素および他のヒドロボービックな外部薬剤に対し、極めて不浸透性であるガラス状態へと変換する。抗菌材料の押出しに好適なシェル材料としては、可塑化、乳化または安定化添加物を有する、または有さないオリゴ糖類、多糖類、修飾多糖類、蛋白質またはそれらの混合物が挙げられる。
【0134】
(6.遠心分離同時押出し)
遠心分離同時押出しによる抗菌材料の封入化は、噴霧冷却法の変法である。抗菌材料の遠心分離同時押出しにおいては、粉末化抗菌材料を、海面活性剤の補助で、または補助なしで溶融した脂質または脂質混合物(モノ−、ジ−、トリ−グリセリド類、エステル化グリセリド類、動物、植物または鉱物ワックス類、45℃と125℃との間の温度で溶融性の他の任意の材料)中に先ず分散させる。次いで、該分散液を、二重流体ノズルの内側部分を通してポンプで押出し、一方、溶融脂質または脂質混合物(上記と同じ)を、二重流体ノズルの外側部分を通してポンプで押出す。冷却空気によって凝結する分離小球体状の溶融脂肪流をばらばらにするために、該ノズルはその軸の周囲を回転する。
【0135】
(7.コアセルベーション)
本発明の抗菌材料剤形は、コアセルベーションによって形成できる。親水コロイドなどのシェル材料のコアセルベーションは、任意の好適なコアセルベーション法を用いて実施される。コアセルベーションは、例えば、親水コロイド(1種または複数種)の相分離を引き起こす塩(1種または複数種)、糖(1種または複数種)または他の添加物の添加により実施できる。コアセルベーションはまた、該乳液を、親水コロイド(1種または複数種)の相分離を引き起こす加熱、冷却、酸または塩基添加によるpH変化に供することにより実施できる。水相周囲のコアセルベート化相の沈着は自然に生じ、表面張力によって駆動される。コアセルベート層は、その後、コアセルベーション技術者に公知である任意の好適な手段により架橋または硬化に供することができる。
【0136】
コアセルベーションに好適なシェル材料は、1種または多種イオン性親水コロイドの任意の混合物および多糖類および蛋白質、ゼラチン/アラビアゴム、ゼラチン/CMCの任意の混合物などの1種または多種の両性親水コロイド、任意の蛋白質/イオン性親水コロイド、親水コロイドの任意の組合せならびに塩類、糖類、酸類、塩基類などの溶解度低下剤を含んでなる群から選択される。
【0137】
(8.二重封入化)
本発明の特定の態様により、抗菌材料懸濁液は、マイクロカプセル内に二重封入化される。その場合、親水コロイドまたは他の任意の好適な封入化材料またはその混合物などの封入化材料を含有する水相に抗菌材料が先ず取り込まれ(懸濁化され)、該水相を、例えば、ゲル化、架橋、コアセルベーション、焼結により、または他の任意の好適な手段により封入化し、生じた封入水性ビーズ(1個または複数個)を、凝結疎水性シェル材料中でさらに封入化する。
【0138】
好ましい一実施形態において、封入抗菌材料は、1つのそして唯一のシェルによって封入される。この態様において、本発明は、(i)抗菌材料を含んでなるコア、および(ii)封入化材料のシェルを含んでなる封入形態における抗菌材料を提供し、ここで封入化材料のシェルは、抗菌材料に不浸透性であり、抗菌材料は、(ii)のみによって封入化されている。
【0139】
疎水性シェル材料は、カプセルの所望の性質に基づいて、例えば、カプセルの使用意図、貯蔵温度などに基づいて選択される。疎水性シェル材料は、室温で貯蔵できるように、45℃以上の融点を有する必要があり、カプセルが疎水性材料の溶融温度以下で貯蔵されるならば、一般に任意の疎水性材料を用いることができる。
【0140】
この適用において、疎水相が、ASTM D566またはD265試験法により測定される際に、溶融体は、疎水相が滴下するのに十分に流動性である最低温度にあることを意味する。
【0141】
好ましい一態様において、封入抗菌材料のシェルは、食品中または食品上への注入に耐えることができる。
【0142】
好ましい一態様において、封入抗菌材料のシェルは、1.5bar超、例えば、2.0bar超、例えば、3.0bar超の圧力に耐えることができる。
【0143】
好ましい一態様において、封入抗菌材料のシェルは、注入時に典型的に遭遇するせん断力超のせん断力に耐えることができる。
【0144】
本明細書において検討したように、封入抗菌材料からの抗菌材料の持続的放出を提供するために、または予め決められた条件下での放出を提供するために封入抗菌材料のシェルを選択することができる。さらに抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減、または阻止するために、封入抗菌材料のシェルを選択することができる。阻止すべき変性は、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子によるものであることが好ましい。
【0145】
封入抗菌材料からの抗菌材料の持続的放出を提供するために、または予め決められた条件下での放出を提供するために、シェルが選択される封入抗菌材料の提供は、封入抗菌材料が食品と接触する様式に係らず有利であることを我々は見出した。例えば、注入またはタンブリング以外の手段で、封入抗菌材料を食品(または他の材料)と接触させてもよい。言い換えると、抗菌材料が持続的様式で放出される、または封入抗菌材料が予め決められた条件下におかれている場合の封入抗菌材料を我々は提供した。
【0146】
したがって、さらなる態様(「封入材料」態様)において、本発明は、抗菌材料のコアおよび材料を封入するシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料を提供し、材料を封入する前記シェルは、前記抗菌材料に不浸透性である。
【0147】
この保存システムは、食品に添加し得る抗菌材料(ナイシンなど)の潜在能力を最大化する利点を有し、味に影響を与えず、安価さ、使用の容易さ、製造の容易さ、および安定性を提供する。本発明のいくつかの態様において、それはまた、食品の標識目的にとって「自然」であると記載できる。
【0148】
本発明のこの態様および他の態様において、用語の「封入」は、活性成分の固体粒子または液体小滴(または活性成分を含有する固体粒子または液体小滴)を、保護的または機能的シェル材料によって十分に包囲するために、固体粒子または液体小滴を、第二の材料内に詰めることを意味する。これは、封入の用語が単純なコーティングを言う緩い使用法とは対照的である。例えば、Cahillらは、アルギン酸塩の多孔性基質によるナイシンのコーティングを教示している。外側材料は、アルギン酸塩基質に自由に拡散でき、コーティングされたナイシンは、該基質の大型の細孔を通って、容易に外へ拡散できる。これは、ここでの意味における「封入」ではない。
【0149】
本明細書に記載された好ましい態様の各々が、本発明の封入材料態様に適用できる。特に好ましい態様としては、以下が挙げられる。
・ 該抗菌材料は、抗細菌材料である。
・ 該抗菌材料は、バクテリオシンである。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンである。
・ 該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択される。
・ 該シェルは、該抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による該抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該シェルは、食品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択され、該食品は、マリネードであることが好ましい。
・ 該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供する。
・ 該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。・ 該封入材料は、生鳥肉製品の微生物腐敗の防止に利用される。
【0150】
特に好ましい態様としては、さらに以下が挙げられる。
・ 該抗菌材料は、抗真菌材料である。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンである。
・ 該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択される。
・ 該シェルは、抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該シェルは、食品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択され、該食品は、好ましくはパン製品である。
【0151】
本発明の全態様のうち、極めて好ましい態様であって、特に、封入材料態様としては、以下が挙げられる。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンである。
・ 該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による該抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供する。
・ 該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚貝類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。・ 該封入材料は、生鳥肉製品の微生物腐敗の防止に利用される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンであり;該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンであり;該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供する。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンであり;該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。
・ 該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され;該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供する。
・ 該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され;該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。
・ 該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供し;該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンであり;該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され;該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供する。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンであり;該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され;該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンであり;該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供し;該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。
・ 該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され;該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供し;該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナイシンであり;該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され;該抗菌材料は、リステリア菌に関して殺細菌または静細菌効果を提供し;該封入材料は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される食品の微生物腐敗の防止に利用される。
【0152】
本発明の態様のうち、極めて好ましいさらなる態様であって、特に、封入材料態様としては、以下が挙げられる。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンである。
・ 該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択される。
・ 該シェルは、抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該シェルは、食品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択され、該食品は、好ましくはパン製品である。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、食品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択され、該食品は、好ましくはパン製品である。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択され、該シェルは、抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択され、該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され、該シェルは、食品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択され、該食品は、好ましくはパン製品である。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され、該シェルは、食品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択され、該食品は、好ましくはパン製品である。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、pH誘導分解による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、pH誘導分解による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され、該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択される。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、pH誘導分解による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され、該シェルは、食品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択され、該食品は、好ましくはパン製品である。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、pH誘導分解による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され、該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択され、該シェルは、食品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択され、該食品は、好ましくはパン製品である。
・ 該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであり、該シェルは、pH誘導分解による抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻止するために選択され、該シェルは、封入抗菌材料から抗菌材料の持続放出を提供するために選択され、該シェルは、パン製品と接触した際に、封入抗菌材料から抗菌材料を放出するために選択される。
【0153】
(食品)
一態様において、本発明は、食品産業における抗菌材料の使用を改善するためのものであり、その結果、本発明のシェルは、食料製品への添加にとって好適な生理学的に許容できる材料から作製される必要がある。該シェルは、抗菌材料に対する保護を提供するもので、それは、食料製品の加工時に、前記抗菌材料を前記シェル内に実質的に保持する上で効果的である必要がある。該シェルは、食料製品に導入された際に、食料製品内への封入抗菌材料の緩徐な、または遅延された放出を提供する上で効果的である必要がある。
【0154】
本発明の抗菌材料は、封入抗菌材料が添加される製品の製造において広く用いられている条件による「分解」から封入抗菌材料を保護する上でおよび/または好ましくない時に抗菌材料による望ましくない攻撃から食品成分を保護する上で、ならびに前記仕上げ製品における抗菌材料の放出を提供する上で有効なシェルを有することが最も好ましい。
【0155】
本明細書および請求項において用いられる用語の「食品」とは、食品および飼料産業の食用製品および飲料を一般に言う。問題の食用製品は、製造時と最後の使用時との間のそれらの貯蔵のための保存を必要とする主に栄養となる、および/または楽しめる製品である。
【0156】
多くの食品が、本発明により保護できる。典型的な食品は、生肉、調理済み肉、生鳥肉製品、調理済み鳥肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、〔生、および調理済みの肉製品、鳥肉製品および魚介類製品〕、インスタント食、パスタソース、低温殺菌スープ、マヨネーズ、サラダドレッシング、マリネード、水中油乳濁液、マーガリン、低脂肪スプレッド、油中水乳濁液、酪製品、チーズスプレッド、プロセスチーズ、酪製品デザート、風味付け牛乳、クリーム、発酵乳製品、チーズ、バター、濃縮乳製品、アイスクリーム混合物、大豆製品、低温殺菌液状卵、パン製品(クランペットなど)、菓子製品、果物製品、および脂肪ベースの、または水含有充填剤を有する食品である。
【0157】
特に、抗菌材料がナタマイシンである場合、さらなる好ましい食品は、サラダドレッシング、酸性酪製品(ナチュラルチーズ、コテージチーズ、酸性化チーズ、クリームチーズ、ヨーグルト、サワークリーム、プロセスチーズなど)、果汁、酸性飲料、アルコール飲料(ワインおよびビールなど)、冷却ドウおよび調理済みまたは未調理パン製品、焼き製品用乳製品充填剤およびトッピング、パン製品および他の熱処理製品用表面光沢剤およびコーティング、調味料、ディップ、ピュレー、ピクルス、マリネード、マリネード化肉または鳥肉、パン粉付き肉または鳥肉、ピザのトッピングおよびベース、即席食料製品、スナックまたは食事食作成用キット、パン製品作成用キット、ペットフード、ブロイラー飼料および他の任意の酸性、熱処理および/または真菌発酵食料製品である。
【0158】
特に好ましい保存食料製品は、ナタマイシンなどの封入材料が、調理前にドウに組み込まれ、焼いた後のパン製品の保存を提供する、スライスにした、またはカットしたパン製品、特にスライスブレッドである。
【0159】
封入抗菌材料が、酵母発酵パン製品の調理前にドウに含まれる、本発明の好ましい実施形態では、発酵中、酵母は封入化シェルによって、抗菌材料による直接的接触から保護されるため、該実施形態により特別の利益が提供される。
【0160】
さらに、封入抗菌材料は、シェルにより、ベーキングの熱に対して好ましく保護される。抗菌材料は、熱への曝露によって分解される。典型的には、180℃から300℃の範囲の温度で実施されるベーキング時に、抗菌材料の分解によって、仕上がり焼き製品内の活性抗菌材料の濃度が著しく低下すると考えられる。十分な熱安定性を有する封入材料の選択により、抗菌材料の熱分解は、相当に減少させることができる。ベーキング時および/またはベーキング後、該シェルは、抗菌材料を放出し、その結果、仕上がり製品は、真菌の攻撃に対して、効果的に保護される。
【0161】
本発明の好ましい使用は、販売用にスライスされるパンのドウにおける抗菌材料形態の使用を含んでなる。仕上がり製品内のカプセルシェル内から放出される該抗菌材料は、個々のカットされたパンのスライスを、真菌の攻撃から守る。
【0162】
スライスパンは、消費者にとって、非常に便利な食料製品である。しかし、スライシングにより、製造における追加の処理工程であり、製品が真菌の攻撃を極めて受け易い、ベーキング後のパンが冷却してから典型的に行われる工程が生じる。スライシングが行われると、汚染が生じることが考えられ、その結果、スライスされた製品は、貯蔵時、スライス間に、真菌の増殖を示すことになる。パンのスライシングは、パンのはるかに大きな表面積を汚染、特に、カビによる汚染に晒す。
【0163】
本明細書に、参照として含まれている、2004年1月28日出願の米国同時係属出願第10/765,210号は、高級パン製品の表面に抗菌材料を噴霧し、したがって、該製品の保存期間を延長させることによる、高級パン製品の保護を開示している。しかし、スライスパンのスライス間に抗菌材料を適用することは不可能である。本発明は、抗菌材料によるスライスパン保護の問題に解決を提供する。
【0164】
他の好ましい保存食料製品は、ナタマイシンなどの本発明の材料が組み込まれた酸性食料製品を含んでなる。
【0165】
好ましい一態様において、該食品はパン製品である。
【0166】
溶液中のナタマイシンなどの多くの抗菌材料は、中性pHにおいては、かなり安定であるが、特に、pH10以上に上昇すると、室温において、容易に分解し、また、pH4.5以下、特に、pH4以下では、沈下する。したがって、例えば、酸性材料に含まれる抗菌材料は、徐々に分解して、その結果、貯蔵および使用時の該製品を非保護状態にする。抗菌材料の分解速度は、温度が上昇するにつれて高くなる。
【0167】
サラダドレッシングおよび調味料などの多くの酸性製品は、周囲温度で貯蔵され、包装を開けた後でも、長期の間、使用される。果汁などの酸性飲料は、周囲温度で貯蔵される可能性があり、真菌の攻撃に晒され得る。マリネードおよびマリネードにした肉および鳥肉は、典型的には、周囲温度で、長期間貯蔵される。多くの酸性乳製品は、周囲温度または冷却温度で貯蔵され、真菌の増殖により、腐敗し得る。封入抗菌材料がこのような製品に添加されると、封入化によって、包囲された抗菌材料が保護され、該製品の中に徐々に拡散されて、分解された抗菌材料に取って代り、したがって、該製品中の活性抗菌材料の量を、好適な抗真菌濃度に保つ。
【0168】
本発明の封入抗菌材料は、他の酸性製品、特に、周囲温度で貯蔵されるものにおいて、同様の利益を提供する。
【0169】
本発明の新規な抗菌材料剤形によって保存される上で特に好適な食料製品としては、サラダドレッシングおよび酸性酪製品などの脂肪含有酸性製品が上げられる。これらの製品の多くは、非封入形態における抗菌材料によって保存でき、それらは冷却保存されれば、一般に良好に保たれる。しかし、それらが周囲温度で貯蔵される場合は、抗菌材料の分解は問題である。この問題は、本発明の封入抗菌材料によって解決する。
【0170】
米国では、サラダドレッシングは通常、低温処理され、この場合、汚染酵母およびカビ類が、可能性のある腐敗汚染物質である。周囲温度貯蔵および低pHの組み合わせにより、急速な抗菌材料の分解が生じる。ドレッシングが最初、作製される時に添加される非封入抗菌材料が、全ての汚染酵母を速やかに死滅させることができず、また、カビの芽胞が存在する場合は(これらは、通常、抗菌材料によっては死滅しない)、抗菌材料の濃度が低下した際に、真菌増殖/腐敗の可能性がある。
【0171】
本発明の封入抗菌材料の使用により、酸性食料製品は、周囲温度で、12ヶ月まで貯蔵できる。酸性食料製品に対する好ましい封入化法は、コアセルベーションおよび流動床封入化を含んでなる。
【0172】
封入化シェルはまた、酸性食料製品の、典型的には、60℃から120℃、多くの場合、60℃から95℃の温度における低温殺菌などの処理時の熱に対して、該抗菌材料を保護するためにデザインできる。
【0173】
本発明から大きな利益が得られる他のタイプの食料製品は、果汁および酸性飲料である。加工果物、ケチャップやピュレーなどの低pHソース、チリソース、調味料、ディップ、ピクルスなど、ワインやビールなどのアルコール飲料にとっても利益が得られる。これらの液体製品は脂肪(酸化果物乳飲料など)を含有し得る。それらは低温殺菌できる。低pH,より重要には、酸性pHにおける低温殺菌と周囲温度貯蔵の組み合わせにより、非保護抗菌材料の分解が生じる。酵母またはカビ類による加工後の汚染が生じた場合、または、耐熱性のカビ芽胞(例えば、Byssochlamys、Talaryomyces)または酵母子嚢胞子が、加工を生き延びた場合、抗菌材料濃度が低下した際、真菌の増殖が生じる。イヌ用やネコ用の食品などの動物飼料製品またはブロイラー飼料は、その製造時に熱処理されてから、周囲温度で貯蔵されることが多い。本発明の封入熱安定抗菌材料は、このような飼料製品を保護するために都合良く使用できる。
【0174】
ジュースやワインなどの液体製品においては、該シェル材料は、好ましくは、該液体の明澄性を妨げない材料から作製される必要がある。
【0175】
抗菌材料が本発明の新規カプセルの形態で添加されると、該シェルは、少量の抗菌材料を徐々に放出し、液体製品での、周囲温度における長い貯蔵期間(3ヶ月〜9ヶ月)、真菌などの微生物の増殖が無い状態に保つ。該シェルは、熱および酸の攻撃の双方から、抗菌材料を保護するため、封入化は、加熱処理された酸性液体に特別な利益を提供する。
【0176】
抗菌材料は、パン製品に役立てるためにも使用できる保存剤である。たいていのパン製品は、ベーキング後、カビの芽胞による空中汚染によりカビ腐敗を受け易い。通常、プロピオン酸塩が、抗カビ剤として、パンおよび他の酵母発酵ドウに組み込まれる。これらドウ類におけるプロピオン酸塩の抗酵母活性は、その抗カビ活性に比べてはるかに弱い。プロピオン酸塩は、パン酵母に対し、わずかな阻害作用を有するが、これは許容できる。
【0177】
抗菌材料は、酵母とカビ類の双方に対して強活性であるため、この方法で使用できない。抗菌材料の封入化により、パン酵母に対する抗菌材料の活性は、発酵の完了後まで防止される。それはまた、ベーキング工程時に、抗菌材料を保護する。これは、空中汚染に晒される広い表面積を有するスライスされたパンなどの製品にとって特に有用である。
【0178】
好ましい一態様において、該食品は、生肉、調理済み肉、生鳥肉製品、調理済み鳥肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、〔生、および調理済みの肉製品、鳥肉製品および魚介類製品〕および表面細菌増殖の傾向がある生または調理済み食品から選択される。
【0179】
好ましい一態様において、該食品は生肉である。
【0180】
好ましい一態様において、該食品は、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される。
【0181】
好ましい一態様において、該食品は、生鳥肉製品および調理済み鳥肉製品から選択される。
【0182】
好ましい一態様において、該食品は、生鳥肉製品である。
【0183】
好ましい一態様において、該食品は、食用筋肉全体を含んでなる。
【0184】
用語の「調理済み」製品とは、ある程度の調理(部分的にまたは完全に)を受けた食料製品を意味することが、当業者により認識されるであろう。本発明の調理済み製品は、本発明の封入材料と接触後、さらなる調理に供され得ることが当業者により認識されるであろう。好ましい一態様において、本発明の調理済み製品は、本発明の封入材料と接触後、さらなる調理に供される。引き続く調理により、該封入製品から抗菌材料が放出され、その結果、抗菌材料保護効果が活性化される。
【0185】
(追加成分)
封入抗菌材料は、抗菌材料のコアおよび封入化材料のシェルに加えて1種以上の成分を含有してもよい。これら1種以上の追加成分は、抗菌材料と一緒にシェル内に、またはシェルによって封入されていてもよいし、または封入されていなくてもよい。言い換えれば、追加成分は、抗菌材料と一緒にシェル内に、またはシェルによって封入されていてもよいし、シェルの「外側」にあってもよい。1種以上の追加成分が提供される場合、上記の組合せが想定される(1種の成分がシェル内にあり、他の成分がシェル外にあってもよい)。
【0186】
封入抗菌材料は、典型的には単独では食品中または食品上に導入されない。したがって一態様において、封入抗菌材料は、担体中で食品中または食品上に導入される。該担体は、ブラインであるかまたはブラインを含んでなることが好ましい。
【0187】
封入抗菌材料の密度は、注入またはタンブリング時に封入抗菌材料の分離および沈降を避け、さらに封入抗菌材料の分散を防止するために封入抗菌材料担体(ブラインなど)の密度に合せるべきである。したがって、好ましい態様において、該担体と封入抗菌材料は、実質的に同じ密度を有する。
【0188】
担体および封入抗菌材料の密度合せは、担体および封入抗菌材料の慎重な選択により達成できる。あるいは、実質的に担体と同一の密度を有するように封入抗菌材料を修飾することによるか、または実質的に封入抗菌材料と同一の密度を有するように担体を修飾するにより達成できる。封入抗菌材料は、封入抗菌材料を臭素化油などの油と接触させることにより修飾できる。担体は、キサンタムガムなどの追加成分の包含により修飾できる。
【0189】
担体は、1種以上の追加成分を含有してもよい。しかしながら、幾つかの態様において、担体は、追加成分を含有しないか、または組成物の性質に著しく影響を及ぼす追加の成分を含有しない。
【0190】
好ましい一実施形態において、担体は、乳化剤をさらに含んでなる。好ましくは、該乳化剤は、他にポリソルベート類(例えば、ツウィーン80、ツウィーン20)として公知のポリオキシ−エチレンソルビタンエステル類(E432−E436)、モノグリセリド類、ジグリセリド類、モノ−ジグリセリド類の酢酸エステル類、モノ−ジグリセリド類の酒石酸エステル類およびモノ−ジグリセリド類のクエン酸エステル類から選択される。
【0191】
封入抗菌材料は、1種以上の追加成分を含有してもよい。しかしながら、幾つかの態様において、封入抗菌材料は、追加成分を含有しないか、または組成物の性質に著しく影響を及ぼす追加の成分を含有しない。
【0192】
好ましい一態様において、封入抗菌材料は、唇形科の植物から得られたエキスまたはそれから得ることができるエキスをさらに含んでなる。任意にこの態様において、特に封入抗菌材料がナイシンから成る場合、この組成物は、組成物を基準にして0.075重量%未満の量のカルバクロールおよび組成物を基準にして15重量%未満の量のカルボンを含んでなる。抗菌材料および唇形科の植物から得られたエキスまたはそれから得ることができるエキスを含んでなる組成物は、我々の英国特許出願公開第032335.0号に検討されている。英国特許出願公開第032335.0号の各々の教示は、本システムに適用可能である。
【0193】
この態様において唇形科の植物から得られたエキスまたはそれから得ることができるエキスは、シェル内にまたはシェルにより抗菌材料と共に封入されないことが好ましい。
【0194】
好ましい一態様において、該エキスは、組成物を基準にして0.075重量%未満の量で、好ましくは組成物を基準にして0.04重量%未満の量で、より好ましくは組成物を基準にして0.02重量%未満の量でカルバクロールを含有する。
【0195】
好ましい一態様において、該エキスは、組成物を基準にして0.075重量%未満の量で、好ましくは組成物を基準にして0.04重量%未満の量で、より好ましくは組成物を基準にして0.02重量%未満の量でカルボンを含有する。
【0196】
好ましい一態様において、該エキスは、組成物を基準にして0.1重量%未満の量で、好ましくは組成物を基準にして0.075重量%未満の量で、より好ましくは組成物を基準にして0.0重量%未満の量でチモールを含有する。
【0197】
一態様において、使用される該エキスは、唇形科の植物から得られる。
【0198】
用語の「エキス」または「抽出液」とは、植物全体から単離され得る植物の任意の構成成分を意味することが、当業者により認識されよう。
【0199】
一態様において、本発明に用いられるエキスは、唇形科の植物から得ることができる。植物から得ることのできるエキスは、植物から得ることができるか、または該植物から単離し、同定されてから、例えば、化学合成または酵素生産により代替源から得ることができることが当業者により認識されよう。例えば、該エキスは、遺伝子操作法により真核生物発酵または原核生物発酵により生産可能である。本出願者は、唇形科の植物に存在する産物は、抗菌材料、好ましくはバクテリオシンの活性を相乗的に増大させ得ることを認識した。これらの産物は、任意の供給源から得ることができ、本発明の範囲内に入る。
【0200】
本発明は、食品系においてグラム陽性菌の制御増強を共に提供する、抗菌材料、例えば、バクテリオシン、特にナイシン、およびローズマリー(Rosmarinus officinalis)またはセージ(Salvia officinalis)などの唇形科の組合せの使用を含んでなる。本発明における相乗作用を生じるエキスは、好ましくは、それらのフェノール性ジテルペン含量(カルノゾール(carmosol)およびカルノシ酸(carnosic acid)など)、フェノール性トリテルペン含量(ウルソル酸、ベツリン酸(betulinic acidおよびオレアノール酸など)またはローズマリン酸(rosmarinic acid)含量を増加させるために選択的に抽出された(「脱臭抽出液」)唇形科植物の抽出液に帰する。これらの脱臭抽出液は、フェノール性ジテルペン含量の高さ(例えば、3.5重量%超)および植物揮発性油ならびにフレーバーまたは香気として用いられるオレオ樹脂からのフレーバー誘導化合物濃度の低さ(1重量%未満)により区別できる。揮発性油は、典型的に植物材料の簡便なスチーム蒸留により抽出される。
【0201】
好ましい一態様において、該エキスは、脱臭エキスである。該(脱臭)エキスは、1.0重量%から70重量%のフェノール性ジテルペン類、好ましくは3.5重量%から70重量%のフェノール性ジテルペンおよび1重量%未満の揮発性油を含有する。
【0202】
好ましい一態様において、該抽出液は、フェノール性ジテルペン類、フェノール性トリテルペン類およびローズマリン酸から選択される。
【0203】
好ましい一態様において、該エキスは、フェノール性ジテルペンであるか、またはそれを含んでなる。該フェノール性ジテルペンは、カルノシ酸、カルノゾールおよびメチルカルノシ酸およびそれらの混合物から選択されることが好ましい。フェノール性ジテルペンは、カルノシ酸およびカルノゾールから選択されることが好ましい。
【0204】
好ましい一態様において、該エキスは、組成物を基準にして1.0重量%超の量で、好ましくは、組成物を基準にして2.0重量%超の量で、より好ましくは、組成物を基準にして3.0重量%超の量で、より好ましくは、組成物を基準にして3.5重量%超の量で、フェノール性ジテルペンを含有する。
【0205】
極めて好ましい一態様において、該エキスは、1種以上のフェノール性トリテルペンを含有する。該フェノール性トリテルペンは、ベツリン酸、オレアノール酸、およびウルソル酸から選択されることが好ましい。
【0206】
好ましい一態様において、フェノール性トリテルペンであるか、またはそれを含んでなる。該フェノール性トリテルペンは、ベツリン酸、オレアノール酸、およびウルソル酸から選択されることが好ましい。
【0207】
好ましい一態様において、該エキスは、ローズマリン酸であるか、またはそれを含んでなる。
【0208】
好ましい一態様において、該唇形科植物は、ローズマリー、セージ、オレガノ、マヨラナ、ミント、バルム、およびセイバリーから選択される。これらの名称は、これらの名称により公知の植物の全ての種および変種を包含していることが解されよう。
【0209】
好ましい一態様において、該唇形科植物は、ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)、セージ(Salvia officinalis L.)、オレガノ(Origanum vulgare L.)、マヨラナ(Origanum marjorana L.)、ミント(Mentha種)、バルム(Melissa officinalis L.)、セイバリー(Satureia hortensis)、およびタイム(Thymus vulgaris L.)から選択される。
【0210】
好ましい一態様において、該唇形科植物は、ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)、セージ(Salvia officinalis L.)、オレガノ(Origanum vulgare L.)、マヨラナ(Origanum marjorana L.)、ミント(Mentha種)、バルム(Melissa officinalis L.)、およびセイバリー(Satureia hortensis)から選択される。
【0211】
好ましい一態様において、該唇形科植物は、ローズマリーである。
【0212】
好ましい一態様において、該エキスは、エキスを基準にして1重量%未満の量でフレーバー誘導化合物および/または精油を含有する。好ましい一態様において、該エキスは、組成物を基準にして1重量%未満の量でフレーバー誘導化合物および/または精油を含有する。
【0213】
典型的にフレーバー誘導化合物および/または精油は、カンファー、ベルベノン、ボルネオールおよびアルファ−テルピネオールである。
【0214】
好ましい一態様において、該エキス中に存在するカンファーの配合量は、エキスを基準にして、1重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.15重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満)である。
【0215】
好ましい一態様において、該エキス中に存在するベルベノンの配合量は、エキスを基準にして、1重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.15重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満)である。
【0216】
好ましい一態様において、該エキス中に存在するボルネオールの配合量は、エキスを基準にして、1重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.15重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満)である。
【0217】
好ましい一態様において、該エキス中に存在するアルファ−テルピネオールの配合量は、エキスを基準にして、1重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.15重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満)である。
【0218】
好ましい一態様において、該エキス中に存在するカンファー、ベルベノン、ボルネオールおよびアルファ−テルピネオールの配合量は、エキスを基準にして、1重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.15重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満)である。
【0219】
好ましい一態様において、該封入抗菌材料は、さらにキレート化剤を含んでなる。該キレート化剤は、EDTA、クエン酸、モノホスフェート類、ジホスフェート類、トリホスフェート類およびポリホスフェート類から選択されることが好ましい。
【0220】
さらに好適なキレート化剤としては、米国特許第5573801号に教示されており、カルボン酸類、ポリカルボン酸類、アミノ酸類およびホスフェート類が挙げられる。特に以下の化合物およびそれらの塩類が有用であり得る:
酢酸、アデニン、アジピン酸、ADP、アラニン、B−アラニン、アルブミン、アルギニン、アスコルビン酸、アスパラギン、ATP、安息香酸、n−酪酸、カゼイン、シトラコン酸、クエン酸、システイン、デヒドロ酢酸、デスフェリ−フェリクリシン、デスフェリ−フェリクローム、デスフェリ−フェリオキサミンE、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ジメチルグリオキシム、O,O−ジメチルプルプロガリン、EDTA、ギ酸、フマル酸、グロブリン、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリシン、グリコール酸、グリシルグリシン、グリシルサルコシン、グアノシン、ヒスタミン、ヒスチジン、3−ヒドロキシフラボン、イノシン、イノシントリホスフェート、鉄フリーフェリクローム、イソ吉草酸、イタコン酸、コウジ酸、乳酸、ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、メチオニン、サリチル酸メチル、ニトリロトリ酢酸(NTA)、オルニチン、オルトホスフェート、蓚酸、オキシステアリン、B−フェニルアラニン、リン酸、フィテート(Phytate)、ピメリン酸、ピバリン酸、ポリホスフェート、プロリン、プロピオン酸、プリン、ピロホスフェート、ピルビン酸、リボフラビン、サリチルアルデヒド、サリチル酸、サルコシン、ソルビトール、コハク酸、酒石酸、テトラメタホスフェート、チオサルフェート、トレオニン、トリメタホスフェート、トリホスフェート、トリプトファン、ウリジンジホスフェート、ウリジントリホスフェート、n−吉草酸、バリン、およびキサントシン。
【0221】
上記の金属イオン封鎖剤の多くは、通常、ナトリウム、カリウムまたはカルシウムなどのアルカリ金属塩類またはアルカリ土類塩類または四級アンモニウム塩類である塩形態での食品加工に有用である。多価を有する金属イオン封鎖化合物は、例えば、食品系コーティングにおいてpH調整、または金属イオン類の選択的導入あるいは除くために有利に利用できる。さらなる情報のキレート化剤は、T.E.Furia(編集者)、CRC Handbook of Food Additives、第2版、271−294頁(1972年、Chemical Rubber社)、およびM.S.PetersonおよびA.M.Johnson(編集者)、Encyclopaedia of Food Science、694−699頁(1078年、AVI Publishing Company社)に開示されており、これらの論文は、参照として双方とも本明細書に組み込まれている。
【0222】
用語の「キレート化剤」とは、金属類と配位錯体を形成できる有機または無機化合物として定義される。また、本明細書に用いられる用語の「キレート化剤」は、シクロデキストリンなどの分子封入化化合物を含む。該キレート化剤は、無機でも有機でもよいが、有機であることが好ましい。
【0223】
好ましいキレート化剤としては、哺乳動物に対して非毒性であり、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)またはその塩類(特にそのジ−およびトリ−ナトリウム塩)などのアミノポリカルボン酸類およびそれらの塩類、およびクエン酸などのヒドロカルボン酸類ならびにそれらの塩類が挙げられる。しかしながら、酢酸、ギ酸、乳酸、酒石酸およびそれらの塩類などの非クエン酸および非クエン酸塩のヒドロカルボン酸キレート化剤もまた本発明に有用であると思われる。
【0224】
上記のとおり、用語の「キレート化剤」は金属イオン封鎖剤の同意語として定義され、本明細書に用いられており、シクロデキストリンなどの分子封入化合物を含むものとしても定義されている。シクロデキストリン類は、ドーナツ形状環に配列される、それぞれアルファ、ベータまたはガンマと表示される6個、7個、または8個のグルコースモノマーを有する環式炭水化物分子である。本明細書に用いられるシクロデキストリンは、非修飾および修飾双方のシクロデキストリンモノマー類およびポリマー類を言う。シクロデキストリン分子封入化剤は、American Maize−Products of Hammond,Ind.から商品として入手できる。シクロデキストリンはさらに、J.Szejtliにより、III巻(Academic Press、1984年)、Inclusion Compounds、11章、標題「Industrial Applications of Cyclodextrin」、331−390頁に記載されており、その章は、参照として本明細書に組み込まれている。抗菌材料がナタマイシンである場合、シクロデキストリン類が特に好ましい。シクロデキストリン類は、ナタマイシンの溶解度を改善する。
【0225】
該キレート化剤は、バクテリオシンの抗菌活性および/または抗菌スペクトルを増強することが好ましい。該キレート化剤は、グラム陽性菌および他の微生物に関してバクテリオシンの抗菌活性および/または抗菌スペクトルを増強することがより好ましい。
【0226】
我々は、キレート化剤の提供が、提供されるバクテリオシンの抗菌活性および/または抗菌スペクトルの増強を考慮すると特に有効であることを見出した。この増強は、増強された抗菌材料が送達される様式または封入抗菌材料のシェルの性質に無関係であり得る。
【0227】
したがってさらなる態様において、本発明は、(a)(i)抗菌材料のコアおよび(ii)キレート化剤;(b)封入化材料のシェルを含んでなる、封入形態の抗菌材料を提供する。
【0228】
好ましい一態様において、封入抗菌材料は、有機酸、その塩またはその混合物をさらに含んでなる。特に好ましい有機酸は、乳酸および酢酸である。該有機酸は、対応する酸のナトリウム塩またはカリウム塩などの塩形体で提供されることが好ましい。極めて好ましい有機酸塩類は、乳酸ナトリウム(L−乳酸ナトリウム)、乳酸カリウム(L−乳酸カリウム)、ジ酢酸ナトリウムおよびそれらの混合物である。特に好ましい混合物は、乳酸ナトリウム(L−乳酸ナトリウム)およびジ酢酸ナトリウムの混合物;および乳酸ナトリウムおよび乳酸カリウムの混合物である。有機酸類の好適な塩類(およびそれらの混合物)は、PURASAL(登録商標)の商品名でPurac、オランダ国から入手できる。
【0229】
本明細書に記載された好ましい態様の各々は、本発明のこの態様に適用できる。特に好ましい態様としては、以下が挙げられる:
・ 封入材料のシェルは、抗菌材料に不浸透性である。
・ シェルは、封入抗菌材料から該抗菌材料の持続的放出を提供するために 選択される。
・ シェルは、封入抗菌材料の変性または不活化を、防止、軽減または阻止ために選択される。
・ キレート化剤は、バクテリオシンの抗菌活性および/または抗菌スペクトルを増強する。
・ キレート化剤は、グラム陽性菌および他の微生物に関してバクテリオシンの抗菌活性および/または抗菌スペクトルを増強する。
・ キレート化剤は、EDTA、クエン酸、モノホスフェート類、ジホスフェート類、トリホスフェート類およびポリホスフェート類から選択される。
・ 抗菌材料は、抗細菌材料である。
・ 抗菌材料は、バクテリオシンである。
・ 抗菌材料は、少なくともナイシンである。
・ 抗菌材料は、抗真菌材料である。
・ 抗菌材料は、少なくともナタマイシンである。
【0230】
(方法)
封入抗菌材料は、任意の好適な方法により食品中または食品上に導入できる。例えば、噴霧、浸漬注入、タンブリング、または混合(食品のマトリックス中に)によって食品中または食品上に導入できる。
【0231】
封入抗菌材料は、(a)封入抗菌材料を食品に注入すること、または(b)封入抗菌材料と食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に導入できる。
【0232】
一態様において、封入抗菌材料は、封入抗菌材料を食品に注入することにより食品に導入される。
【0233】
一態様において、封入抗菌材料は、封入抗菌材料と食品とをタンブリングすることにより食品中または食品上に導入できる。
【0234】
本明細書に記載されている封入抗菌材料は、注入またはタンブリング以外の手段により食品中または食品上に導入できる。例えば、封入抗菌材料をマリネードに取り込むことができる。マリネード化肉は、以下の2つの方法で調製できる:1)表面処理(例えば、限定はしないが、生肉にマリネードを添加し、次いでガスパッキングまたは真空パッキングなど)または2)物理的手段(例えば、限定はしないが、タンブリングまたは注入など)によるマリネード/ブラインへの強力な取り込み。
【0235】
食品への注入または食品のタンブリングの実施に対する教示は、国際公開第00/62632号に見ることができる。
【0236】
(さらなる態様)
本発明のさらなる態様を、以下の番号の節に記載する:
1.抗菌材料(好ましくはナタマイシン)が、生理学的に許容できるシェル内に封入され、保護食品保存剤、抗菌材料(好ましくはナタマイシン)製品を提供するマイクロカプセルを含んでなる抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
2.前記シェルが、前記食品製品の加工中、前記シェル内に前記抗菌材料(好ましくはナタマイシン)を実質的に保持するのに有効である、1節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
3.前記シェルが、前記封入抗菌材料(好ましくはナタマイシン)の緩徐なまたは遅延放出を提供するのに有効である、1節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
4.前記封入抗菌材料(好ましくはナタマイシン)が添加されている製品の製造において広く用いられている条件による分解から、前記封入抗菌材料材料を保護すること、および前記仕上げ製品における封入抗菌材料(好ましくはナタマイシン)の放出を提供すること、において該シェルが有効である、1節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
5.前記封入化が、流動床法、リポソーム封入、噴霧乾燥、噴霧冷却、押出し加工、同時押出し加工、コアセルベーションおよびそれらの組合せから選択される方法により選択される、1節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
6.前記シェルが、疎水性材料、親水コロイド材料およびそれらの混合物または組合せからなる群から選択される材料から作製される、節1に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
7.前記疎水性材料が、脂肪酸類、脂肪類、乳化剤類、脂肪族アルコール類、ワックス類およびそれらの混合物または組合せなどの脂質類および樹脂類から選択される6節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
8.前記疎水性材料が、食品用動物油脂類、完全水素化植物油類または動物油類、部分的水素化植物油類または動物油類、不飽和、水素化または完全水素化脂肪酸類、不飽和、部分的水素化または完全水素化脂肪酸モノグリセリド類およびジグリセリド類、モノグリセリド類またはジグリセリド類の不飽和、部分的水素化または完全水素化エステル化脂肪酸類、不飽和、部分的水素化または完全水素化遊離脂肪酸類、他の乳化剤、動物ワックス類、植物ワックス類、動物ワックス類無機ワックス類、天然および合成樹脂類およびそれらの混合物からなる群から選択される、7節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
9.前記ヒドロコロイドが、食品用ガム類、多糖類、蛋白質類、セラックおよびそれらの混合物または組合せから選択される溶解性または分散性コーティング材料を含んでなる6節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
10.前記親水コロイドが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースおよび微結晶セルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ゲランゴム、ガーゴム、ペクチン、アミド化ペクチン、カラゲナン、ゼラチン、キトサン、メスキートゴム、ヒアルロン酸、Eudragit(登録商標)などのメチルアクリルコポリマー類、オオバコ、タマリンド、キサンタン、ローカストビーン(locust bean)ゴム、ウェラン(wellan)ゴム、ゼイン、セラック、乳漿蛋白質、大豆蛋白質、カゼイン酸ナトリウム、合成または天然水溶性多糖類、蛋白質類および脂肪酸類を有するか、または有さない他の親水コロイド、脂肪族アルコール、グリセロール、ポリエチレングリコールおよび他の低分子量親水性アルコール類などの可塑剤、または前記親水ロコロイド類の任意の組合せから選択される9節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
11.前記シェルが、水溶性または脂溶性溶液または懸濁液または溶融状態で、抗菌材料(好ましくはナタマイシン)を封入材料と共加工することにより提供される、1節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
12.前記抗菌材料(好ましくはナタマイシン)が、水性懸濁液または乾燥粉末を含んでなる、11節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
13.凝固疎水性シェルマトリックス、該凝固疎水性シェルマトリックスにさらに封入されている封入水性ビーズ、および該封入水性ビーズに組み込まれている抗菌材料(好ましくはナタマイシン)を有するマイクロカプセルを含んでなる、1節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
14.前記保護抗菌材料(好ましくはナタマイシン)製品中の活性抗菌材料(好ましくはナタマイシン)のパーセンテージが、1重量%から80重量%である、1節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
15.前記パーセンテージが、15重量%と50重量%との間である、14節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
16.前記パーセンテージが、30重量%と40重量%との間である、15節に記載の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形。
17.(i)前記材料がシェル内に抗菌材料(好ましくはナタマイシン)を封入させるために、抗菌材料(好ましくはナタマイシン)を、生理学的に許容できる封入材料と共に共加工すること、および(ii)保護食品保存剤の抗菌材料(好ましくはナタマイシン)製品を回収すること、を含んでなる抗菌材料(好ましくはナタマイシン)剤形を調製する方法。
18.前記封入法が、流動床法、リポソーム封入、噴霧乾燥、噴霧冷却、押出し加工、同時押出し加工、コアセルベーションおよびそれらの組合せから選択される方法により選択される、17節に記載の方法。
19.前記封入材料が、疎水性材料、ヒドロコロイド材料およびそれらの混合物および組合せからなる群から選択される材料を含んでなる17節に記載の方法。
20.前記封入法が、水溶液または懸濁液中または溶融状態で、抗菌材料(好ましくはナタマイシン)と封入材料との流動床封入を含んでなる、17節に記載の方法。
21.前記封入法が、抗菌材料(好ましくはナタマイシン)と封入材料とのコアセルベーションを含んでなる、17節に記載の方法。
22.前記封入材料が、親水コロイドまたは親水コロイド類の混合物を含んでなる、19節に記載の方法。
23.a)水相と該水相に組み込まれた抗菌材料(好ましくはナタマイシン)を提供し、
b)溶融形態で疎水相を提供するステップ、
c)水相または疎水相中、封入材料または封入材料の混合物を組み込むか、または溶解するステップ、
d)前記水相と疎水相とを組み合わせ、油中水乳剤を形成するために組合せ相を均一化または混合するステップ、
e)該乳液中で水相を封入化し、それによって封入水性ビーズを含んでなる分散液を形成し、該抗菌材料(好ましくはナタマイシン)を該水性ビーズ中に封入するステップ、
f)ステップe)で得られた分散液を処理して、該封入水性ビーズが、凝固疎水性シェル材料にさらに封入されるマイクロカプセルを形成するステップを含む17節に記載の方法。
24.生理学的に許容できるシェル内に封入されている抗菌材料(好ましくはナタマイシン)の有効な食品保存量を前記食料製品に加えることを含んでなる食料製品の保存方法。
25.前記封入抗菌材料(好ましくはナタマイシン)が、前記食料製品製造前に、または製造に関連して前記食料製品に加えられ、前記シェルが前記食料製品の製造または保存に用いられる条件による分解から前記封入抗菌材料(好ましくはナタマイシン)を保護するのに有効であり、前記シェルが前記食料製品において抗菌材料(好ましくはナタマイシン)の放出を提供する24節に記載の方法。
27.前記食料製品が、サラダドレッシング、調味料、ケチャップ、ピューレー、チリソース、ピクルス、ディップ、ナチュラルチーズ、コテージチーズ、酸性化チーズ、クリームチーズ、ヨーグルト、サワークリームおよびプロセスチーズなどの酸性酪製品、フルーツジュース、酸性飲料、ワインおよびビールなどのアルコール飲料、チルドドウ、調理済みまたは未調理パン製品、酪製品充填物またはトッピング、表面光沢剤またはマリネードコーティング剤、マリネード化またはパン粉付の肉または鳥肉、ピザトッピングまたはベース、ファストフード製品、スナックまたは食事製品作製用キット、パン製品作製用キット、それらの組合せ、ペット食品およびブロイラー飼料から選択される24節に記載の方法。
28.前記封入抗菌材料(好ましくはナタマイシン)が、酵母発酵または非酵母発酵パン製品のドウに含まれる24節に記載の方法。
29.前記ドウが、パンに焼かれ、引き続きスライスされる28節に記載の方法。
30.保存剤として、生理学的に許容できるシェル内に封入されている抗菌材料(好ましくはナタマイシン)の有効な食品保存量を含んでなる保存食料製品。
31.前記食料製品が、サラダドレッシング、調味料、ケチャップ、ピューレー、チリソース、ピクルス、ディップ、ナチュラルチーズ、コテージチーズ、酸性化チーズ、クリームチーズ、ヨーグルト、サワークリームおよびプロセスチーズなどの酸性酪製品、フルーツジュース、酸性飲料、ワインおよびビールなどのアルコール飲料、チルドドウ、調理済みまたは未調理パン製品、酪製品充填物またはトッピング、表面光沢剤またはマリネードコーティング剤、マリネード化またはパン粉付の肉または鳥肉、ピザトッピングまたはベース、ファストフード製品、スナックまたは食事製品作製用キット、パン製品作製用キット、それらの組合せ、ペット食品およびブロイラー飼料から選択される30節に記載の食料製品。
32.前記パン製品が、スライスしたパンまたはカットしたパンである31節に記載の食料製品。
【0237】
(極めて好ましい態様)
本発明の極めて好ましい態様は、以下に示される
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノ(Carno)バクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種(Brochothrix themosphacta)から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在する方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有する方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該食品が生肉である方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入される方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有する方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングする、ことにより食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングする、ことにより食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該食品が生肉である方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カモバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入される方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有し、該食品が生肉である方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有し、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入される方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、または含んでなり、該食品が生肉である方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなり、該封入ナイシンがブライン担体の食品中または食品上に導入される方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該食品が生肉であり、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入される方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有する方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入される方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入され、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有する方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入され、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる方法。
・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入され、該食品が、生肉である方法。・ (i)ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態でナイシンを提供すること、および(ii)(a)食品に封入ナイシンを注入することまたは(b)封入ナイシンと食品とをタンブリングすること、により食品中または食品上に封入ナイシンを導入すること、を含んでなる抗菌材料を食品に導入する方法であって、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有し、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなり、該食品が、生肉であり、該封入ナイシンがブライン担体において食品中または食品上に導入される方法。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性である抗菌材料。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性であり、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在する抗菌材料。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性であり、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有する抗菌材料。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性であり、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる抗菌材料。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性であり、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カモバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有する抗菌材料。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性であり、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カモバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる抗菌材料。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性であり、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有し、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる抗菌材料。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性であり、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カモバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該封入ナイシンが、150μm未満の平均粒径を有する抗菌材料。
・ ナイシンのコアおよび封入化材料のシェルを含んでなる封入形態の抗菌材料であって、該封入化材料のシェルが、ナイシンに不浸透性であり、該ナイシンが、乳酸桿菌種、ロイコノストック菌種、カモバクテリウム菌種、腸菌種;リステリア菌種、桿菌種、クロストリジウム菌種;およびブロコトリックス−テモスファクタ種から選択される微生物に関して殺細菌効果または静細菌効果を提供する量で存在し、該食品が、生肉であり、該シェルが、トリグリセリドおよびカラゲナンから選択される材料であるか、またはそれを含んでなる抗菌材料。
【0238】
次に、本発明を以下の実施例においてさらに詳細に記載する。
【実施例】
【0239】
(ナイシン)
(実施例1)
最初に、1000mLのpH3.5リン酸緩衝液に溶かした15gのk−カラゲナン溶液を、85℃で調製する。これに、300gのNisaplin(登録商標)(Danisco市販のナイシンエキス:1×10IU/gナイシン効力に等しい)を加える。生じた混合物を完全に混合する。同時に、1333gの植物トリグリセリド(Danisco:GRINSTED(登録商標)PS 101、m.p.58℃)と73gのアセチル化乳化剤(Danisco:Acetem 5000)を、水浴中85℃で溶融する。水性混合物が、ゆっくりと取り込まれる間、溶融脂肪混合物を均質に保つ(Silversonミキサー、8kRPM)。均質化は、全水性混合物の添加後5分間維持し、次いで3gポリソルベート80の40mL水溶液を、一定混合下で加える。次いで、生じた低粘度の油中水乳濁液を、以下のパラメータ:吸気温度:10℃、空気出口温度28℃、回転式噴霧ホイール速度:10kPRM、を用いてNiro噴霧タワー内で直ちに噴霧冷却する。
【0240】
この封入ナイシンは、その後直ちに調理される生肉の注入またはタンブリングに使用できる。脂肪シェルからのナイシンの放出が、注入および/または調理の際に生じるであろう。脂肪ベースの封入シェル材料は、注入ブラインの表面に粒子を浮かせると思われることから、a)ブライン中の粒子を安定化させるために、またはb)注入材料として使用する前にブラインを混合するためにキサンタンなどの粘稠化剤を使用できる。封入ナイシンが、肉のタンブリングに使用されるブライン中に用いられる場合は、粒子の混合が自然に生じるであろう。
【0241】
真空包装の冷生肉に対して用いられるマリネード内の封入ナイシンの冷温度での持続放出のために同じ封入材料が使用できる。
【0242】
(実施例2)
先ず、1000mLリン酸緩衝液に溶かした15gアルギン酸ナトリウムのpH3.5の溶液を、85℃で調製する。これに、300gのNisaplin(登録商標)(Danisco市販のナイシンエキス:1×10IU/gのナイシン効力に等しい)を加える。生じた混合物を完全に混合する。同時に、1333gの植物トリグリセリド(Danisco:GRINSTED(登録商標)PS 101、融点58℃)と73gのアセチル化乳化剤(Danisco:Acetem 50 00)を、水浴中85℃で溶融する。水性混合物が、ゆっくりと取り込まれる間、溶融された脂肪混合物を均質に保つ(Silversonミキサー、8 kRPM)。水性混合物の取り込み後、7g塩化カルシウムの70mL水溶液を滴下により加える。均質化を、さらに5分間維持してから、3gのポリソルベート80の40mL水溶液を、一定混合下で加える。次いで、生じた低密度の油中水乳濁液を、以下のパラメータ:吸気温度:10℃、空気出口温度28℃、回転式噴霧ホイール速度:10kPRMを用いてNiro噴霧タワー中で直ちに噴霧冷却する。自由流動粉末が得られる。
【0243】
この封入ナイシンの使用は、実施例1に記載されているとおりである。
【0244】
(実施例3)
好適な有機溶媒中、1gの二層形成脂質および100mgのコレステロール溶液を、容器の底に薄い乾燥脂質フィルムを形成するように蒸発させる。脂質フィルムの完全な乾燥後、ナイシン(Nisaplin(登録商標)として)を飽和濃度で含有する1Lの水を容器に加え、混合物を完全に混合するか、または均質化する。生じた多層状ベシクル(MLV)の懸濁液は、より小さくより均質な小型単層ベシクル(SUV)を形成するために、ミクロ流動化によりさらに加工できる。リポソーム封入ナイシンの懸濁液を、注入/タンブリングにより直接肉に添加できる。
【0245】
これらの粒子は、リポソームシェルを崩壊せずに注入針を通過する上で十分小さい。リポソームは、二層形成リン脂質/両親媒性化合物の転移温度のため45〜50℃で分解することから、リポソーム封入ナイシンは、調理時に放出されるであろう。リポソーム封入ナイシンは、経時的にゆっくりと放出し、したがって、生肉マリネードにおける持続放出にとって好適にすると考えられる。
【0246】
リポソーム封入ナイシンは、ミクロ流動化、押出し、「フレンチプレス」、逆相蒸発、凍結−解凍サイクルなど幾つかの方法により成し得る。ミクロ流動化は、連続的で高能力であり、溶媒無しの方法であることから好ましい態様である。
【0247】
(実施例4)
疎水性シェルをナイシン上に適用するための流動床の使用。ナイシン粒径が、微細過ぎる場合、粉末は、100から150マイクロメータの間の粒径の高密度粉末を得るために、結合剤溶液(アルギン酸塩またはマルトデキストリンなどの粘着性親水コロイド溶液)を用いて好適な装置において凝集できる。次いで、適切な粉末を、流動床マイクロ封入化ユニットのコーティングチャンバに導入し、粒子を流動化させるために5〜30cm/秒の吸気流速および50℃までの温度で流動化する。次にコーティング材料を、二重流体ノズルおよび高圧噴霧空気を用いて抗菌の流動床上に噴霧する。
【0248】
一例において、トリグリセリドおよび添加物の溶融混合物をナイシン上に噴霧し、溶融脂肪が拡散して該粒子上に凝固し、個々の各粒子周囲に脂肪の連続層を形成する。適用される脂肪量は50重量%までであり得るが、通常は20重量%以上ではない。
【0249】
他の例において、コーティング材料の水分散液またはコーティング材料のエタノール溶液を、流動化粒子上に噴霧し、流動空気を用いて溶媒または水を蒸発させると抗菌粒子上にコーティング材料の連続フィルムが残る。この場合におけるコーティング材料の例としては、セラック、ゼインまたは他の任意の疎水性コーティング材料が挙げられる。
【0250】
本法により調製された封入ナイシンを生肉注入用に使用するために、粒径は175マイクロメータ未満でなければならない。さらに、粒径は、流動化法が機能するために100マイクロメータ超でなければならない。
【0251】
(実施例5−ホットドッグ中の封入ナイシンによる抗リステリアル効果の増強)
封入ナイシンは、以下の方法に従って噴霧結晶化により調製される。完全水素化トリグリセリド(GRINSTED PS101、100部)を、水浴中85℃で溶融する。ナイシン(64部)を50℃に予熱し、激しく混合しながら溶融トリグリセリドに加え、85℃に維持する。この混合物が滑らかになり、塊がなくなるまで混合を維持する。次にこの懸濁液を、75〜85℃で維持されたトレースパイプ中の噴霧タワーの噴霧装置に汲み上げる。該噴霧装置は、噴霧タワーの上部に設置された9000RPMでの「回転ホイール」である。タワー壁に到達する前に脂肪/ナイシンの噴霧液滴を結晶化させるために、冷却(3〜5℃)空気を噴霧タワー内に吹き付ける。凝固粉末は、タワーの底に回収される。この粉末を、必要ならばアルファ体からベータ体への、脂肪相の再結晶を可能にするため、40℃で2〜3日間維持し得る。粉末のさらなる塊形成を防ぐために、ステアリン酸カルシウムまたは二酸化シリコンなどの固化防止剤を0.1〜1%濃度に添加してもよい。
【0252】
リステリア菌による接種試験を、ホットドッグで実施した;これにより、封入ナイシンの熱保護の利点が立証された。
【0253】
ホットドッグの調合物は、以下のとおりであった(未加工バッチ重量基準):74.1%の肉整形(赤身牛肉および豚肉脂肪)、1.66%NaCl、1.48%トウモロコシシロップ固形物、0.74%HMP、0.37%加水分解牛肉煮出し汁、0.33%トリポリリン酸、0.37%香辛料/調味料混合物、0.037%エリトルベート、0.185亜硝酸ナトリウム熟成ブレンド、13.3%添加水、7.4%添加水(10%、調理収縮)。ナイシンを、未封入ナイシン製品(Nisaplin(登録商標)、Danisco)として、または封入ナイシン製品として250IU/gと500IU/gとで添加した。次に28%の脂肪を含有するソーセージが下記に示す加熱/燻煙措置を受けた:
【0254】
【化1】

該ソーセージを、160°Fの終点内部温度に保持し、95°Fにシャワー冷却してから40℃以下に冷却した。該ソーセージを1袋に6本真空包装し、リステリア菌およびListeria innocua(環境単離体を含む)のカクテル5株で表面接種した。
【0255】
生物指標としてMicrococcus luteusを用い、バイオアッセイ法である水平寒天拡散アッセイ法により、38〜40°Fで貯蔵の翌日および12週間の間、ホットドッグ中のナイシン濃度を測定した(Fowlerら、1975年。Society for Applied Bacteriology Technical Series8:91−105頁)。これは、封入された場合でもサンプル内の全ての残存ナイシンを検出する酸/熱抽出ステップを使用する。該ホットドッグはまた、リステリア菌および天然の汚染乳酸菌のカウントのため1週間ごとの間隔で分析された。
【0256】
長時間の加熱加工は、かなりのナイシン損失をもたらした。加工後のホットドッグで検出された初発ナイシン濃度は、未封入ナイシン(Nisaplin(登録商標)、Danisco)によるサンプルと比較して、封入ナイシンが加えられたサンプルにおいてはるかに高かった(図1を参照)。
【0257】
本試験の微生物学的データを、多変量統計解析に供した。封入によりリステリア菌数のより大きな最初の低下が達成されたことがこれによって結論付けられた。84日の保存期限を達成するための最適処理は、封入ナイシン(500IU/gで)により提供され、2番目に最適な処理はNisaplin(登録商標)(500IU/gで)であった。これにより、封入ナイシンの優れた有効性がさらに立証された。
【0258】
(実施例6.パン品目における封入ナイシンによるナイシン濃度の改善)
クランペットは、Bacillus cereusによる食中毒発生に関係があるとされている高水分小麦粉ベースのパン製品である。この製品は、周囲温度で5日の保存期限中、保存すると、特に温暖な気候の国において、Bacillus cereus(小麦粉に存在する)の生き残っている耐熱芽胞が発芽し、増殖し得る。ナイシンは、この病原菌の増殖を防ぎ、消費者の安全性を確保するためにクランペットに保存剤として用いられてきた。しかしながら、クランペットの調理法により、かなりのナイシン損失が生じる。これは、3〜5分間のホットプレート上加熱に関連している。
【0259】
下記の試験は、封入化の熱保護効果を立証し、ベーキング工程後、残存する添加ナイシンのより大きなパーセンテージを確保した。クランペットは、ホットプレート上での調理前にナイシン(Nisaplin(登録商標)として)または封入ナイシン(実施例5の手法に従って噴霧結晶化により調製)をバッターへ添加する通常の製造法により調製された。次いでクランペット(pH5.6〜6.0、水活性0.8〜0.9)を、周囲温度(21℃)で5日間温置した。クランペット中のナイシン濃度を、バイオアッセイ法(上記参照)により翌日測定した。
【0260】
試験サンプル
1. Nisaplin(登録商標)(Danisco)
2. 封入ナイシンサンプルNAP 03228(Danisco)。ナイシン効力5.36×10
【0261】
【化2−1】

【0262】
【化2−2】

未封入ナイシンに関する22%の平均残存ナイシン濃度と比較して、封入から生じる平均残存ナイシン濃度は61%であった。
【0263】
(実施例7.プロセスチーズにおけるナイシン濃度の改善)
封入ナイシン(実施例5の手法に従って噴霧結晶化により調製)および未封入ナイシン(Nisaplin(登録商標)、Danisco)を、市販のプロセスチーズ調製物に加え、その後プロセスチーズのサンプルを、60℃、80℃および100℃のコア温度で10分間の加熱ステップに供した。加熱後、熱/酸抽出法および水平寒天拡散法を用いてプロセスチーズにおける残存ナイシン濃度を測定した。
【0264】
【化3】

この結果は、熱処理後、未封入ナイシンサンプルと比較して、封入ナイシンサンプルに関してより高いナイシン濃度を示している。
【0265】
(実施例8.パスタミートソースにおける封入保護によるナイシン濃度および有効性の改善)
封入ナイシン(実施例5の手法に従って噴霧結晶化により調製)および未封入ナイシン(Nisaplin(登録商標)、Danisco)を、pH5.69のBologneseソースに加えた。これを、以下のレシピに調製した:赤身ミンチ牛肉(50.0g)、トマトジュース中の缶詰トマト(48.9g)、澱粉(0.5g)、塩0.4g、ショ糖(0.2g)。ミンチ牛肉を褐色になるまで5分間油で炒めた。乾燥成分を、肉に混ぜてからトマトを加えた。ソースを10分間煮え立たせてから冷却した。サンプリングを容易にするために、ブレンダーを用いて滑らかなソースを作製し、試験を容易にするために該ソースを希釈し、pHを調整した。ナイシンの等しい有効性に基づいて該ソースに対して250IU/gの濃度でナイシン調製物の添加を、行ってから、80℃のコア温度で30分間低温殺菌した。
【0266】
次にサンプルは、10CFU/gでリステリア菌株(株272、CRA3930、358、NCTC12426)カクテルで接種された。水平寒天拡散法を用いて、ナイシン濃度を直ちにアッセイした。サンプルを8℃で貯蔵し、定期的な間隔で微生物学的に分析した。
【0267】
【化4】

この結果は、封入された場合の熱加工で残存したナイシンのより高いパーセンテージを示し、食品中のリステリア菌のより良好な制御結果を示した。
【0268】
(実施例9.生肉マトリックスにおけるナイシン濃度の改善)
生肉におけるナイシン分解または不活化からの封入保護効果を試験するために、封入および未封入ナイシンのサンプル(実施例8のとおり)を、さいころ生肉に加えた。ナイシン調製物の保存溶液を、0.02M HCl中で調製し、該肉に加えた。ナイシン添加物は全て、200IU/gを基準にして等しかった。4℃および20℃で一晩温置後、ナイシン濃度を、水平寒天拡散アッセイ法(上記のとおり)により分析した。
【0269】
【化5】

この結果は、封入が、生肉において不活化または分解からナイシンを保護するのに役立ったことを示している。20℃で一晩温置後、未封入ナイシン濃度は、封入された場合の124〜136IU/gと比較して60IU/gに低下した。
ナタマイシン
(実施例10−コアセルベーション法による封入ナタマイシンの製造)
第1に、ゼラチン(219g、等電点=8)溶液を、6リットルの水中、50℃で調製した。第2に、219gのアラビアゴムの溶液を、50℃で6Lの水に溶解した。2つの溶液を一緒に混合し、激しく撹拌しながら45℃に維持した。終始撹拌を維持しながら、700gのNATAMAX(商標)SF(Danisco)をこの水溶液に加え、1M HClを用いてpHを速やかに4.0に低下させ、その後、温度を、凡そ1℃/分の速度で5℃に低下させた。36mlのグルタルアルデヒドの1:1水溶液を加え、1M NaOH水を用いてpHを8.5に再調整してから、温度を、凡そ2℃/分の速度で、上昇させてもとの45℃に戻した。最後に、混合物全体を、噴水構造に取付けられた二流体ノズル、180℃の吸気温度および約100℃の空気出口温度を維持する噴霧速度を用い、噴霧タワー内で噴霧乾燥した。
【0270】
代替法において、アラビアゴムとマルトデキストリン(DE12)のそれぞれ1kgを、噴霧乾燥直前に水性混合物に溶解する。
【0271】
(実施例11 ナタマイシンの流動床封入)
(前加工)
ナタマイシンの粒径が、微細すぎる(平均100マイクロメータ以下)場合、流動床による、より簡便な加工のためにこの粉末をより大きな平均粒径に凝集させる。より大きな平均粒径は、加工をより容易にするのみならず、より多くのシェル材料と同じ保護を達成しながら、より少ないコーティング材料の使用を可能にする。150μm超、好ましくは200μmと350μmとの間の高密度粉末および0.4g/cm超、好ましくは0.7g/cm超のバルク密度を得るために、ナタマイシンを、結合剤溶液(アルギン酸塩またはマルトデキストリンなどの粘着性親水コロイド溶液)を用いて高せん断ミキサー(Lodigeミキサー)などの好適な装置内で凝集させる。
【0272】
(熱溶融流動床封入)
3kgの凝集ナタマイシンを、Aeromatic−Fielder MP1流動床ミクロ封入ユニットのコーティングチャンバに導入し、80cm/秒の吸気流速および43℃の温度を用いて流動させる。次いで、85℃に維持した溶融水素化トリグリセリドを、蠕動ポンプおよび2barおよび2mのエア/時間に設定された二流体ノズルを用いて抗菌流動床上に噴霧する。溶融脂肪が粒子上に拡散し、凝固して個々の各粒子周囲に脂肪の連続層を形成するような方法で、約1kg/時間で適用する。30%脂肪および70%ナタマイシンを含有する最終製造物に達する上で十分な脂肪を適用する。
【0273】
(実施例12−ナタマイシンの押出し封入)
60部のトウモロコシ澱粉、25部のナタマイシンと10部のポリエチレングリコールならびに5部の水の混合物を一緒に混合し、クレックストラル(clextral)二軸スクリュー押出機に導入し、第1のバレルを40℃に加熱する。この塊を、バレル2および3において、2,3秒間だけ100℃に処理してから、該押出しダイまでのバレル中で45℃に冷却する。あるいは、水を取り除くために真空ポンプを最後のバレルに取付ける。出口のロープは、250μmと500μmとの間の断片に切断する。
【0274】
(実施例13−オレンジジュースにおける封入ナタマイシンの使用)
シェル材料(NAP03015)としてゼラチンとアラビアゴム、またはアラビアゴムとマルトデキストリン(NAP03023)を用いて、ナタマイシンを、実施例10に記載されたコアセルベーション法により封入する。
【0275】
Natamax(商標)(Danisco)としてのナタマイシンと一緒に、サンプルをオレンジジュース(pH3.85)に添加し、100℃で10分間加熱した。処理前後の該ジュース中の残存ナタマイシン濃度を、HPLCにより試験した。このアッセイのため、サンプルをメタノールで希釈した。
【0276】
この結果を表1に示す。
【0277】
この実験では、マイクロカプセルがナタマイシンの放出を防止したため、存在する推定ナタマイシンが、加熱ステップ前に必ずしも全て検出できなかったことを示している。加熱後、封入ナタマイシンは、未保護ナタマイシンよりも高い回収濃度を示した。
【0278】
【表1】

(実施例14 ビネグレットにおける封入ナタマイシンの使用)
ビネグレットドレッシングは、水(494.6ml)、10%ビネガー(220ml)、砂糖(90g)および塩(10g)を含有し、pH2.6で調製された。封入および未封入ナタマイシンの添加は、表2に示されるとおり成された。サンプルNAP03015は、実施例10に記載されたコアセルベーションにより封入された。サンプルNAP03007は、トリグリセリドのシェル材料で噴霧冷却により封入された。
【0279】
【表2】

ビネグレットを25℃で温置し、サンプルを定期的間隔で残存ナタマイシン含量についてアッセイした。ビネグレットを、各サンプリング前に振とうし、サンプルを14PLC分析用に採取し、メタノールで1:1に希釈した。混合ビネグレットで、および水層のみで見られたナタマイシン濃度を表3および表4に示している。これらの結果は、封入が、ビネグレットにおいてナタマイシンを酸分解から防ぎ、保存剤の経時的放出を緩徐にさせることを示している。サンプルNAP03007は、実験開始時に少量の未封入ナタマイシンのみを含んだ。
【0280】
【表3】

【0281】
【表4】

(実施例15 パンにおける封入ナタマイシンの使用)
パンは、小麦粉、水、酵母、塩およびドウコンディショナを含有するドウを調製することにより作製される。ドウ混合物には、ナタマイシンまたは封入ナタマイシンが含めるか、または双方とも含めない。両ナタマイシン調製物とも、小麦粉重量に対して12ppm(0.0012%)の有効用量で添加され、これらは、他の乾燥成分と共に添加される。全ての成分を、3分から10分の間で完全に混合する。
【0282】
次に該ドウに、混合後短時間の静止期を与えた(凡そ5分から10分)後、必要な重量を計量する。次に、所望のドウ形状で第2の成形後に、第2の静止期を適用する。次いで該ドウを、ブリキ缶またはトレーに入れる。続いて40℃、85%の相対湿度で約50分間の発酵時間をおく。
【0283】
次に、完全に膨らんだドウを190℃から230℃の間で凡そ15分から30分間焼く。
【0284】
未封入ナタマイシンを含有するパンは、発酵が不良であり、一方、封入ナタマイシンの発酵は、ナタマイシンを含有しない対照パンと同じように進行する。このことにより、ナタマイシンが酵母発酵反応を阻害するのを防ぐ封入化の利点が証明される。
【0285】
パンが冷却したら、パン中のナタマイシン含量をアッセイする。封入ナタマイシンを含有するパンのナタマイシン含量は、未封入ナタマイシンを含有するパンのナタマイシン含量よりも高く、封入ナタマイシンの熱保護利点を示している。次にパンをスライスし、通常の保存期限の間、カビの増殖に関して観察した。カビ腐敗の遅延は、ナタマイシン含有パンに見られる。この保存期限延長は、封入ナタマイシンを含有するパンに関してより大きく、ベーキング工程で残存するナタマイシン濃度がより高いことを反映している。
【0286】
(実施例16 二重シェルにおけるナタマイシンの封入)
先ず、1000mlのpH7.0リン酸緩衝に溶かした15gカッパ−カラゲナンの溶液を、85度で調製する。これに、300gの市販ナタマイシン(Natamax(商標)SF、Danisco)を加える。生じた混合物を完全に混合する。同時に、1333gの植物トリグリセリド(GRINSTED(登録商標)PS 101、m.p.58℃)および73gのアセチル化乳化剤(Acetem 5000)を、水浴中85℃で溶融する。水性混合物が、徐々に取り込まれる間、溶融した脂肪混合物を均一下(Silversonミキサー、8000rpm)で維持する。全水性混合物の添加後5分間、均一化を維持し、次いで40mLの水に溶かした3gポリソルベート80の溶液を、一定混合下で加える。次いで生じた低粘度の油中水乳濁液を直ちに、以下のパラメータ:吸気温度:10℃、空気出口温度28℃、回転式噴霧ホイール速度:10000rpm、を用いてNiro噴霧タワー内で噴霧冷却する。自由流動粉末が得られる。オレンジジュース中の封入ナタマイシンの取り込みにより、未封入ナタマイシンが該液体に用いられる場合と比較して、はるかに安定なナタマイシン調合物がもたらされるので、飲料中でのナタマイシンの残存率が劇的に改善される。本実施例に示された封入ナタマイシンは、3日後、7%の率で放出されるにすぎない。
【0287】
【表5−1】

【0288】
【表5−2】

【0289】
【表5−3】

【0290】
【表5−4】

上記明細書中に記載された全ての刊行物は、参照として本明細書に組み込まれている。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明の記載された方法およびシステムの種々の修飾および変更は、当業者にとって明らかとなろう。本発明は、具体的な好ましい実施形態に関連して記載されたが、請求された本発明が、このような具体的な実施形態に過度に限定されるべきではないことを解すべきである。実際、化学、生物学、食品科学または関連分野の当業者にとって明白である本発明を実施するための記載様式の種々の修飾は、以下の請求項の範囲内に入ることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも60℃の温度にて食品を加熱する間に使用するための抗菌組成物であって、該組成物は、(i)抗菌材料を含むコア、および(ii)封入材料のシェル、を含み、ここで、該封入材料のシェルは抗菌材料に対し不浸透性であり、かつ、45℃以上の融点を有する疎水性シェル材料であり、該抗菌材料は、少なくともナタマイシンであるか、または、少なくともナイシンであ、抗菌組成物。
【請求項2】
前記抗菌材料が、殺微生物効果または静微生物効果を提供する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記殺微生物効果または静微生物効果が、殺細菌効果または静細菌効果である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記殺細菌効果または静細菌効果が、グラム陽性菌に関するものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記殺細菌効果または静細菌効果が、桿菌(Bacillus)種、クロストリジウム菌(Clostridium)種、リステリア菌(Listeria monocytogenes)種、乳酸菌(lactic acid bacteria)種、ロイコノストック菌種、カルノバクテリウム属種、腸球菌種;ブロコトリックス−テルモスファクタ(Brochothrix thermosphacta)種および乳酸桿菌種から選択される生物に関するものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記殺細菌効果または静細菌効果が、リステリア菌に関する、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記シェルが、前記封入化抗菌材料から前記抗菌材料の持続放出を提供するために選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記シェルが、前記抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減、または阻止するために選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記シェルが、予め決定された条件下で前記封入化抗菌材料から前記抗菌材料を放出するために選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記シェルが、食品と接触して前記封入化抗菌材料から前記抗菌材料を放出するために選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記食品が、マリネードである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記封入化抗菌材料の前記シェルが、注入に耐えることができる、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記封入化抗菌材料の前記シェルが、1.5bar超の圧力に耐えることができる、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記封入化抗菌材料が、粒子形態である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記封入化抗菌材料が、150μm未満の平均粒径を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
変性が、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子によるものである、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
前記シェルが、脂肪類、乳化剤類、ワックス類(動物、植物、無機物または合成)、リポソーム形成脂質類、親水コロイド類、天然または合成ポリマー類およびそれらの混合物から選択される物質であるか、またはそれを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記脂質が、グリセロリン脂質またはおよびステロールである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記乳化剤が、ポリソルベート類、モノグリセリド類、ジグリセリド類、モノ−ジグリセリド類の酢酸エステル類、モノ−ジグリセリド類の酒石酸エステル類およびモノ−ジグリセリド類のクエン酸エステル類から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記親水コロイドが、架橋結合されている、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項21】
前記親水コロイドが、カラゲナンである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記封入化抗菌材料が、噴霧冷却、および流動床コーティングから選択される方法により調製されるか、または該方法から得ることができる、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記封入化抗菌材料が、EDTA、クエン酸、モノホスフェート類、ジホスフェート類、トリホスフェート類およびポリホスフェート類からなる群より選択されるキレート化剤をさらに含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記キレート化剤が、前記抗菌材料の抗菌活性および/または抗菌スペクトルを増強する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記キレート化剤が、グラム陰性菌に関して前記抗菌材料の抗菌活性および/または抗菌スペクトルを増強する、請求項23または24に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物であって、担体をさらにを含む、組成物。
【請求項27】
前記担体が、ブラインであるか、またはブラインを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記担体および前記封入化抗菌材料が、実質的に同一密度を有する、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項29】
前記封入化抗菌材料が、前記担体と実質的に同一密度を有するように修飾される、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記封入化抗菌材料が、該封入化抗菌材料と油とを接触させることにより修飾される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記油が、臭素化油である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記担体が、前記封入化抗菌材料と実質的に同一密度を有するように修飾される、請求項30または31に記載の組成物。
【請求項33】
前記担体が、キサンタムガムを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記担体が、乳化剤を含む、請求項26から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
(i)食品、および
(ii)請求項1から34のいずれか一項に記載の組成物、
を含む、保護食品。
【請求項36】
前記食品が、生肉、調理済み肉、生鳥肉製品、調理済み鳥肉製品、生魚介類製品、および調理済み魚介類製品から選択される、請求項35に記載の保護食品。
【請求項37】
前記食品が、生肉である、請求項36に記載の保護食品。
【請求項38】
前記食品が、生鳥肉製品または調理済み鳥肉製品である、請求項36に記載の保護食品。
【請求項39】
前記食品が、食用筋肉全体を含む、請求項35または36に記載の保護食品。
【請求項40】
食品に抗菌材料を導入する方法であって、
(i)請求項1から34のいずれか一項に記載の組成物を提供する工程、
(ii)該食品内または該食品上に該組成物を導入する工程、
を包含する、方法。
【請求項41】
(a)前記組成物を前記食品内に注入することによりまたは(b)前記組成物を前記食品とタンブリングすることにより、該組成物が該食品内または該食品上に導入される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物を前記食品内に注入することにより、該組成物が該食品内に導入される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物を前記食品と共にタンブリングすることにより、該組成物が該食品内または該食品上に導入される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
(i)前記抗菌材料が、少なくともナイシンであり、
(ii)前記抗菌材料が、リステリア菌に関して殺微生物効果または静微生物効果を提供する量で存在し、
(iii)前記シェルが、熱分解、pH誘導分解、プロテアーゼ分解およびグルタチオン付加体形成から選択される1つ以上の因子による前記抗菌材料の変性または不活化を防止、軽減または阻害するために選択され;
(iv)前記食品が、生肉製品、調理済み肉製品、生魚介類製品、調理済み魚介類製品、生鳥肉製品、および調理済み鳥肉製品から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
請求項40から44のいずれか一項に定義されている方法により調製された食品。
【請求項46】
請求項40から44のいずれか一項に定義されている方法により得ることのできる食品。
【請求項47】
(i)抗菌材料を含むコア、および
(ii)抗菌材料に対し不浸透性である封入材料のシェル、
を含む、封入形態の抗菌材料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−252028(P2011−252028A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−203538(P2011−203538)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【分割の表示】特願2006−525553(P2006−525553)の分割
【原出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(397060588)ダニスコ エイ/エス (67)
【Fターム(参考)】