説明

封止可能なサンプル保存リザーバを備える流体サンプル分析装置

ケーシング110、流体採取ウエル120、上部240、基部245、ポート150、検査素子280、窓160、上部室130、圧搾プレート320、下部室330、およびサンプル出口270を備える、装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象とする検体について流体を採取して高速に分析するための装置に向けられている。
【背景技術】
【0002】
以下に示す本発明の背景は、読者にとって本発明の理解を容易にしようとするものであり、これらを従来技術であると自認するものではない。
【0003】
禁止薬物の使用は、我々の社会においてすでに認識されている問題であり、かつますます大きな問題となってきている。2003年に、米国保健福祉省(Department of Health and Human Services)は、1950万人のアメリカ人すなわち12歳以上の人口の8.2パーセントが、現用の禁止薬物使用者であると推定した。禁止薬物の現用とは、米国保健福祉省の調査インタビューに先立つ1ヵ月の間に、禁止薬物を使用していることを意味する。マリファナが、もっとも広く使用されている禁止薬物であることが明らかにされ、その割合は6.2パーセント(1460万人)であった。230万人(1.0パーセント)が、現用のコカイン使用者であると推定され、そのうちの604,000人が、クラックを使用しているとされた。100万人が、幻覚剤を使用しているとされ、ヘロインの現用使用者が119,000人存在すると推定されている。
【0004】
この問題と闘い、かつこの問題を監視するために、雇用、学校、スポーツ、および法的処置などのさまざまな状況において、薬物検査が標準的な手続きとなってきている。この取り組みを容易にするため、薬物検査産業が勃興してきている。この産業は、さまざまな薬物検査用製品を提供している。典型的な製品は、分析検査を取り入れてなる尿採取カップである。これらの装置は、複雑であって使用が困難または面倒である可能性があり、あるいは最近の薬物の乱用を隠そうと試みる被験者が、サンプルに混ぜ物をするという特有の問題を引き起こす可能性がある。さらに、尿サンプルは、道端や公衆の面前などといった特定の状況では、採取することが不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、サンプルの採取および検査を実行するためのより優れた方法および装置への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体サンプルを採取すると同時に、対象とする検体の存在または物理特性についてサンプルを検査するための装置に向けられている。一実施形態において、この装置は、口内液または唾液などの体液中において対象とする検体を検出するためのものである。この装置は、サンプル採取ウエルを配置させるためのポートを含むケーシングを有している。サンプル採取ウエルは、上部室、圧搾プレート、下部室、および検査区画との流体連絡をもたらすサンプル出口を有している。さらにこの装置には、少なくとも1つの検査素子を収容する検査区画が設けられている。一実施形態において、プランジャの下端にシールが位置している。プランジャが上方位置から下方位置へと動かされたとき、サンプル採取ウエルの下部室と流体連絡して置かれているリザーバが封止され、流体サンプルが確認検査のために保存される。プランジャが下方位置に位置した後、リザーバは、もはやリザーバと流体連絡しない。この装置は、さらにキャップを含んでおり、キャップの一部がプランジャと相互作用して、プランジャを上方位置から下方位置へと押す。ねじ込み式のキャップが使用される実施形態において、一部分がプランジャまたはプランジャへと接続された部品と相互作用するキャップをねじ込むことで、プランジャが下降して、下方位置へと押し込まれる。さらにこの装置は、上方位置と下方位置とを有するプランジャ、およびシールを含む。このような装置を含んでなるキット、およびこのような装置を使用する方法も、提供される。
【0007】
第1の態様において、本発明は、流体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための検査装置を提供する。この検査装置は、サンプル採取ウエルのためのポートを有するケーシングを有している。さらにこの装置は、少なくとも1つの検査素子を収容する検査区画を含む。さらにこの装置は、サンプル採取ウエルを有し、このサンプル採取ウエルは、ポート内に位置するとともに、上部室と、圧搾プレートと、下部室と、サンプル出口とを有する。確認検査のために流体サンプルを保存するため、サンプルリザーバが、下部室内または下部室下方に存在している。プランジャがサンプル採取ウエル内に存在し、上方位置と下方位置とを有している。この装置は、プランジャが下方位置に位置するときに、サンプルリザーバに封止可能に適合するシール部材を含む。一実施形態において、シールが、プランジャの下端に位置している。さらにこの装置は、サンプル採取ウエルのためのキャップを有しており、キャップがサンプル採取ウエルに装着されたとき、キャップの一部分が、プランジャと相互作用してプランジャを上方位置から下方位置へと移動させる。
【0008】
用語「サンプルリザーバ」とは、流体サンプルが乾燥せず、あるいは不慮にも汚染されないように、保存および保護される、装置の封止可能領域を指す。流体サンプルを、後の確認検査のために保存することができる。一実施形態において、サンプルリザーバがくぼみであり、このくぼみは、サンプル採取ウエルの下部室(例えば、サンプル採取ウエルの底部)に位置することができる。用語「流体連絡」とは、液体が流れることができ、流体を2つの領域間で受け渡すことができることを指す。したがって、流体が、採取ウエルからサンプル出口を通って検査区画へと流れることができるとき、採取ウエルと検査区画とが流体連絡状態にある。「ポート」とは、ケーシングにおいてサンプル採取ウエルがケーシングと連動する部位を指し、検査区画との流体連絡状態におくことができる。サンプル採取ウエルを、別個の部品としてポートに挿入することができ、あるいはサンプル採取ウエルとケーシングとを、単一の部品として製造してもよい。サンプル採取ウエルそのものを、一部品から製作することができ、あるいは子部品から組み立ててもよい。「封止可能に適合する」とは、シーリング部材が、シールが形成された後に、流体がサンプルリザーバへと進入することがなく、あるいはサンプルリザーバから逃げ出すことがなく、あるいはサンプルリザーバから蒸発することがないようにすることを意味する。一実施形態において、シーリング部材が、下部区画の床面に接触する。一実施形態において、シールがOリングであって、リザーバの全周を巡って下部室の床面に接触し、リザーバを封止する。一実施形態において、下方位置にあるプランジャが、さらにサンプル出口を閉じ、検査区画内に収容されている流体が、下部室へと再び入ることがないようにする。
【0009】
「サンプル採取ウエル」は、流体サンプルが、分析の準備で集められる場所である。一実施形態において、サンプル採取ウエルの形状がおおむね円筒形であるが、他の実施形態において、その機能に調和する任意の形状をとることができる。サンプル採取ウエルは、上部室および下部室を有することができる。一実施形態において、上部室が、圧搾プレートの上方の領域であり、下部室が、圧搾プレートの下方の領域である。「圧搾プレート」とは、流体サンプルで満たされたサンプルアプリケータを圧迫または圧搾して、アプリケータからサンプルを絞ることができる表面を指す。圧搾プレートは、絞られた流体サンプルをサンプル採取ウエルへと通過させることができるよう、開口または穴を有することができる。圧搾プレートは、サンプル採取ウエル内に配置することができるが、絞り出されたサンプルが採取ウエルへと流れ得る他の場所に配置することも可能である。一実施形態において、圧搾プレートが、サンプル採取ウエル内に位置しており、上部室と下部室とを分割しており、流体サンプルが上部室から下部室へと流れることができる1つ以上の穴または開口を有している。サンプルアプリケータが、圧搾プレートへと押し付けられたとき、サンプルが、圧搾プレートの開口を通過し、下部室へと流れる。用語「プランジャ」は、2つの部品を接触させて装置の動作においてある機能を果たすため、装置の一部分を通過して動く装置の部品を指す。一実施形態において、プランジャがピストンに類似しており、装置の円形または円筒形の部位で移動する。一実施形態において、プランジャが、サンプル採取ウエルを通って移動する。
【0010】
一実施形態において、プランジャが、上方へと延びる1つ以上のプランジャアームを有している。一実施形態において、1つ以上のプランジャアームが、サンプル採取ウエルの内側で、圧搾プレートの近くを上方へと延びている。他の実施形態において、キャップがサンプル採取ウエルに装着されたとき、キャップの底部が、プランジャアームと相互作用して、プランジャを上方位置から下方位置へと移動させる。サンプルリザーバは、サンプル採取ウエルの底部に位置することができる。一実施形態において、キャップおよびサンプル採取ウエルが、相補的な係合するねじ山を有している。さらに、プランジャが上方位置にあるときは、検査区画とサンプル採取ウエルの下部室とが、流体連絡状態にあり、ねじ山が完全に係合したときは、プランジャが下方位置にあって、検査区画と下部室とが流体連絡状態にない。ねじ山を「完全に係合させる」とは、キャップを、サンプル採取ウエルへと回転させ、相補的なねじ山を、手で締められる範囲まで係合させることを指す。サンプル出口が、下部室と検査区画との間の流体連絡を提供する。
【0011】
「検査素子」は、検出可能な結果をもたらす任意の素子であってよい。いくつかの実施形態において、検査素子が試験ストリップである。いくつかの実施形態において、試験ストリップが、試験ストリップ上に固定された特定の結合分子、および免疫学的検定を実行するための試薬を有しているが、他の実施形態において、試験ストリップが化学的検査を有しており、しかしながら、検出可能な結果をもたらす任意の適切な検査を実行するために必要な試薬を有してもよい。一実施形態において、検査素子が、乱用薬物の存在を検出するための試薬を含む。
【0012】
サンプルは、任意の流体サンプルであってよい。流体サンプルの例としては、口内液、唾液、血液、血清、血漿、尿、糞便、髄液、膣塗抹標本、粘液、および組織が挙げられる。「唾液」とは、唾液腺の分泌物を指す。「口内液」は、口腔内に存在する任意の流体である。検出すべき検体が乱用薬物である場合、被験体が最近に薬物を摂取したのであれば、被験体の唾液が、検査のために十分に高濃度の薬物を含むであろう。
【0013】
検体は、検査素子が入手可能であり、あるいは開発可能である任意の検体であってよい。対象とされる検体の例としては、薬物(例えば、乱用薬物)、ホルモン、たんぱく質、ペプチド、核酸分子、病因学的因子、および特定の結合対のメンバーが挙げられる。「乱用薬物」(drug of abuse:DOA)とは、非医学的な理由(通常は、精神状態を変化させる効果)で摂取される薬物である。そのような薬物の乱用は、肉体的および精神的障害につながる可能性があり、(いくつかの物質については)依存性、中毒、および死にさえつながる可能性がある。DOAの例としては、コカイン、アンフェタミン(例えば、ブラックビューティー(black beauties)、ホワイトベニー(white bennies)、デキストロアンフェタミン(dextroamphetamines)、デキセドリン(dexies)、ビーンズ(beans))、メタンフェタミン(クランク(crank)、メタドン(meth)、クリスタル(crystal)、スピード(speed))、バルビツレート(New Jersey州NutleyのRoche Pharmaceuticals社のバリウム(Valium:登録商標))、鎮静剤(sedatives)(すなわち、睡眠補助薬)、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)、抑制剤(depressants)(鎮静剤(downers)、精神安定剤(goofballs)、バルビツール剤(barbs)、ブルーデビル(blue devils)、イエロージャケット(yellow jackets)、ルード(ludes))、三環系抗鬱薬(TCA、例えばイミプラミン(imipramine)、アミトリプチリン(amitriptyline)、およびドクサピン(doxepin))、フェンシクリジン(PCP)、テトラヒドロカナビノール(THC、ポット(pot)、ドープ(dope)、大麻(hash)、マリファナ(weed)、など)、および麻酔剤(例えば、モルヒネ(morphine)、アヘン(opium)、コデイン(codeine)、ヘロイン(heroin)、オキシコドン(oxycodone))が挙げられる。
【0014】
他の態様において、本発明は、本発明の検査装置およびサンプルアプリケータを含むキットを提供する。サンプルアプリケータは、吸収部材およびハンドルを有することができる。吸収部材は、スポンジ、発泡体、または流体の吸収に適した任意の材料であってよい。一実施形態において、吸収部材が、被験体の唾液の分泌を促す溶液によって処理される。さらにキットは、装置の使用についての指示を含むことができる。一実施形態において、指示が、口内液または唾液における検体の存在を検出するために装置を使用するためのものである。
【0015】
他の態様において、本発明は、液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための方法を提供する。この方法は、検体を含むと疑われる液体サンプルをサンプルアプリケータに加えることと、サンプルアプリケータを検査装置へと絞ることによって、液体サンプルを本発明の検査装置へと加えることと、サンプル中に検体が存在するか否かを判断することとを含む。さらに、この方法は、プランジャを下方位置へと動かして、リザーバ内の流体サンプルの取り分を封止するステップを含むことができる。一実施形態において、サンプルが、サンプルアプリケータを被験体の口内に配置することによって、サンプルアプリケータに適用され、それによってサンプルアプリケータが、被験体の唾液で満たされた状態になる。液体サンプルは、液体サンプルがサンプル採取ウエルへと流入するよう、サンプルアプリケータを装置の圧搾プレートへと押し付けて、サンプルアプリケータを圧搾または圧迫することによって検査装置へと加えることができる。
【0016】
さらに、この方法は、キャップおよびサンプル採取ウエルのねじ山を完全に係合させることによって、プランジャを下方位置へと下げて、リザーバ内のサンプルの取り分を封止することを含むことができる。他の実施形態において、この方法が、キャップをサンプル採取ウエルへと配置することによって、プランジャを下方位置へと下げて、リザーバ内のサンプルの取り分を封止するステップを含む。
【0017】
本発明は、本明細書において詳述される他の種々の有用な態様を含む。本発明のそれらの態様は、本明細書に記載の製造物および組成物を使用して実現することができる。本明細書の開示を参照することで、本発明の種々の態様を組み合わせて、本発明の所望の実施形態をなすことが可能であることを、さらに理解できるであろう。さらに、本発明の他の種々の態様および実施形態が、本明細書に記載される。
【0018】
上述した本発明の概要は、本発明を限定するものではなく、本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明ならびに特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照するが、添付の図面には、本発明を実施することができる具体的な実施形態が、例示として示されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態も使用可能であり、構造的な変更を行なうことが可能であることを、理解すべきである。
【0020】
本発明の一態様は、検体の存在に関して流体サンプルを検査するための検査装置である。さらに、この装置によれば、後の確認検査のために、装置のリザーバ内に多量のサンプルを容易に保存しておくことができる。所望であれば、確認検査において別の検査原理を使用することができる。このようにして、確認サンプルが、汚染から安全に保護される。確認サンプルを、任意のさらなる段階を実行する必要なく、通常の検定手順の際に容易に隔離しておくことができる。一実施形態において、ユーザによって装置にキャップが取り付けられたとき、キャップの使用によってシールがリザーバを覆うように下げられるため、確認サンプルが、将来の検査のためにリザーバ内で自動的に隔離される。
【0021】
図1から図9は、本発明の一実施形態、すなわち流体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための検査装置100を示している。図1から図3に示されているように、検査装置は、ケーシング110およびサンプル採取ウエル120(図5を参照)を有している。ケーシングは、上部240および基部245で構成されている。ケーシングは、ポート150を有しており、ポート150内で、サンプル採取ウエルがケーシングおよび検査区画(図6の参照符号630)と連動する。検査区画は、試験ストリップなど、少なくとも1つの検査素子280を収容している。この実施形態において、ケーシングの上部が、窓160を有しており、この窓を通して、試験ストリップ上の検査結果を眺めることができる。サンプル採取ウエルは、ポート内に位置しており、上部室130、圧搾プレート320、下部室330、およびサンプル出口270を有しており、サンプル出口270が、サンプル採取ウエルと検査区画との間の流体連絡をもたらしている。一実施形態において、プランジャが上方位置にあるときに、流体連絡がもたらされ、プランジャが下方位置にあるときは、流体連絡が生じない。
【0022】
圧搾プレートは、流体が流れて通過することができる1つ以上の開口420を有している。さらに圧搾プレートが、ピペット、シリンジ、または他の便利な手段によって、流体を下部室から取り出すことができるような寸法および形状の開口を有してもよい。この実施形態において、圧搾プレートが、サンプル採取ウエル内に位置して、上部室を下部室から分離している。しかしながら、他の実施形態において、圧搾プレートの配置はさまざまであってよい。
【0023】
リザーバ250は、下部室内または下部室の下方に位置しており、確認検査のための流体サンプルを保存することができる。あるいくつかの実施形態において、リザーバがポートに垂直方向に整列している。一実施形態においては、リザーバが、サンプル採取ウエルの下面のくぼみ(図示されている)である。他の実施形態において、リザーバが、サンプル採取ウエルから流体サンプルを受け取る室または他の保存領域であってよい。図示の実施形態において、リザーバが、サンプル採取ウエルの底部に位置しており、他の実施形態において、サンプル採取ウエルの下端に位置することができ、あるいはさらに他の場所に位置してもよい。
【0024】
さらにサンプル採取ウエルは、サンプル採取室内で上方位置および下方位置の両者を有するプランジャ220を有している(図6から図9を参照)。一実施形態において、プランジャが、下端に取り付けられたシール230を有している。プランジャが上方位置にあるとき、下部室と検査区画とが、サンプル出口を通じて互いに流体連絡状態にあり、流体が、サンプル採取ウエルの下部室から検査区画へと、サンプル出口を通って自由に流れることができる(図7および図8を参照)。プランジャが下方位置にあるとき、シールが、リザーバ(または、リザーバへの開口)を覆うように納まって、リザーバとの接触点910を持ち、下部室をリザーバから封止する。さらに、プランジャが下方位置にあるとき、下部室は、サンプル出口が閉じられることによって検査区画からも封止される(図9)。下部室が検査区画から封止されているとき、下部室および検査区画は、もはや互いに流体連絡できる状態にはなく、流体が、下部室から検査区画へと流れることはない。他の実施形態において、シールが、プランジャの運動によって駆動される別個の部品として存在してもよい。例えば、シールが、サンプル採取カップの底部に存在してもよい。一実施形態において、シールが、リザーバへの開口の周囲に位置し、開口内へと下降するプランジャによって閉じられるOリングであってもよい。他の実施形態において、シールが、リザーバの開口の上方に位置する別個の部品であって、プランジャが下方位置へと移動するときにプランジャによって押されて、リザーバの周囲にシールを形成してもよい。
【0025】
他の実施形態において、さらに検査装置が、サンプル採取ウエルのためのキャップ210を有している。一実施形態において、キャップおよびサンプル採取ウエルが、相補的な係合するねじ山を有している。図示の実施形態において、キャップが、キャップがサンプル採取ウエルへと装着されたときに、キャップの一部分310が、プランジャと相互作用してプランジャを上方位置から下方位置へと動かすように構成されている。この相互作用は、部品間の物理的な接触であってよく、キャップとの接触によって、プランジャへと力が伝えられ、下方位置へのプランジャの移動が引き起こされる。一実施形態において、キャップがサンプル採取ウエルへとねじ込まれる際に、キャップの底部がプランジャに相互作用して力を加える。キャップがサンプル採取ウエルへとねじ込まれたとき、ねじ山が完全に係合して、プランジャが下方位置へと動かされ、もはや検査区画と下部室とが流体連絡状態ではなくなる。さらに、サンプル出口が開いているとき、下部室と検査区画との間の流体連絡が、サンプル出口によってもたらされている。いくつかの実施形態において、ねじ式のキャップが使用されるが、他の種類のキャップも使用可能である。例えば、キャップが、サンプル採取ウエルへとスナップ式で嵌まり込み、プランジャを押し下げてもよい。あるいは、キャップが、コルク栓の様式でサンプル採取ウエルへと嵌まり込み、すなわちサンプル採取ウエルへと押し込まれてもよく、すなわちキャップの膨張力によってウエル内に保持される。サンプル採取ウエルの開口を封じつつ、プランジャへと力を加える目的に機能する任意の形式が、適当である。
【0026】
さらなる実施形態において、プランジャが、プランジャの基部の方向から上方へと延びる、1つ以上のプランジャアーム140を有している。さらに、図4に示されているように、プランジャアームは、圧搾プレートの近くを通過し、あるいは圧搾プレートを貫いて、サンプル採取ウエルの内側を上方へと延びてもよい。図示の実施形態において、プランジャアームを収容するため、圧搾プレートにスロット410が設けられている。キャップがサンプル採取ウエルへと装着されたとき、キャップの一部分(例えば、キャップの底部)が、プランジャアームと相互作用して、プランジャを上方位置から下方位置へと移動させる。すでに説明したとおり、キャップが装置へとねじ込まれたとき、リザーバが封止され、下部室と検査区画とがもはや流体連絡しないよう、サンプル出口が閉じられる。
【0027】
サンプルアプリケータ
サンプルアプリケータを、本発明の装置に供給することができる。一般的には、サンプルアプリケータは、吸収部材160およびハンドル180で構成されている。吸収部材は、当技術分野において一般に使用されている、医療用品質のスポンジまたは発泡材料で製作することができる。しかしながら、綿または紙あるいは適切な吸収能力を有する任意の材料など、他の多くの材料が、吸収部材として使用するために入手可能である。ハンドルは、吸収部材の操作を容易にするため、おおむね剛体である。ハンドルは、プラスチック、木材、金属、またはボール紙など、当技術分野において一般的に使用されている任意の材料で製作することができる。一実施形態において、ハンドルがリム170を有しており、このリム170に、吸収部材が取り付けられている。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、サンプル適用ウエルの上部室が、垂直リブ430を有することができる(図4)。アプリケータを圧搾プレートに対して十分に押し付け、次いでリブの下方へと嵌まるようにねじったときに、アプリケータのリムがリブの下方で係止されるように、アプリケータを構成することができる。これにより、アプリケータの吸収部材に含まれているサンプルを可能な限り多く絞るため、アプリケータの吸収部材の十分な圧縮を保証することができる。
【0029】
試験ストリップ
さまざまな検査構成要素を、本発明に取り入れることができ、多種多様な検査構成要素が、当技術分野において知られている。ここでの検討は、いくつかの実施形態についての簡単な概要のみを提示する。検査構成要素の一種類は、試験ストリップである。検体試験ストリップは、乱用薬物または健康状態を示唆する代謝産物など、サンプル内の対象の検体を検出するため、免疫学的検定または化学的検査の形式など、さまざまな形式で提供される検査構成要素である。検査構成要素または試験ストリップは、非競合的検定または競合的検定の形式で提供され得る。いくつかの形式において、試験ストリップが、サンプル適用領域、試薬領域、および検査結果領域を有する吸収性の材料を有している。サンプルが、サンプル適用領域へと加えられ、毛管作用によって試薬領域へと流れる。試薬領域において、サンプルが、検体(サンプル中に存在するならば)の検出に必要な試薬に溶解して、混ざりあう。今や試薬を担持しているサンプルが、さらに検査結果領域へと流れる。検体についての特定の結合分子など、さらなる試薬が、検査結果領域に固定されている。これらの試薬が、検体(存在するならば)あるいは試薬領域からの第1の試薬の1つと反応および結合する。
【0030】
通常は、非競合的な形式では、サンプルが検体を含む場合に信号が生成され、検体が存在しない場合には、信号は生成されない。競合的な形式では、検体が存在しない場合に信号が生成され、検体が存在する場合には、信号が生成されない。当然ながら、結果をいかに解釈すべきかは、検定の設計に応じて決まり、当業者であれば、試験ストリップの設計に精通しているであろう。
【0031】
検査素子が試験ストリップである場合、吸収性および非吸収性の材料で製作することができる。試験ストリップは、2つ以上の材料を含んでもよく、次いでそれらを流体連絡させることができる。例えば、ニトロセルロース上に重ねられたフィルター紙など、試験ストリップの一材料を、試験ストリップの他の材料に重ねてもよい。これに代え、あるいはこれに加えて、試験ストリップが、1つ以上の材料を含む領域を、1つ以上の異なる材料を含む領域を後続させて備えてもよい。この場合、領域が流体連絡状態にあり、部分的に重なり合っていてもよく、部分的に重なり合っていなくてもよい。取り扱い時の強度を高めるため、試験ストリップの1つまたは複数の材料を、支持体、またはプラスチック製支持シートなどの固体表面に結合させてもよい。
【0032】
検体が、検体と特定的に反応する1つ以上の酵素によるなど、信号生成システムによって検出される実施形態において、信号生成システムの1つ以上の構成要素を、上述のように特定の結合メンバーを試験ストリップ材料に結合させる場合と同様のやり方で、試験ストリップ材料の検体検出領域に結合させることができる。これに代え、あるいはこれに加えて、試験ストリップのサンプル適用領域、試薬領域、または検体検出領域に含まれ、あるいは試験ストリップの全体にわたって含まれる信号生成システムの構成要素を、試験ストリップの1つ以上の材料に含浸させてもよい。これは、そのような構成要素の溶液を表面に塗布することによって、あるいは1つ以上の試験ストリップ材料をそのような構成要素の溶液に浸漬させることによって、達成することができる。1つ以上の塗布または1つ以上の浸漬に続いて、試験ストリップ材料を乾燥させる。これに代え、あるいはこれに加えて、試験ストリップのサンプル適用領域、試薬領域、または検体検出領域に含まれ、あるいは試験ストリップの全体にわたって含まれる信号生成システムの構成要素を、ラベル付き試薬について説明したように、試験ストリップの1つ以上の試験ストリップ材料の表面へと塗布してもよい。
【0033】
領域は、例えばサンプル適用領域、1つ以上の試薬領域、1つ以上の検査結果判定領域、1つ以上の管理領域、1つ以上の改竄領域、および流体吸収領域など、多数の形式で構成することができる。検査結果判定領域が、管理領域を含む場合、好ましくは管理領域が、検査結果判定領域の検体検出領域に続いている。これらの領域のすべて、またはそれらの組み合わせを、単一の材料からなるただ1つの試験ストリップに設けることができる。あるいは、領域が、異なる材料で作成され、流体連絡状態で一体に連結される。例えば、種々の領域は、直接流体連絡してもよく、間接的に流体連絡してもよい。この場合、種々の領域を、流体連絡状態であるように端部対端部で接合することができ、流体連絡状態であるように重ね合わせることができ、あるいは、フィルター紙、ガラス繊維、またはニトロセルロースなどの好ましくは吸収性である接続材料など、他の部材によって流体連絡させることができる。接続材料を使用する際には、接続材料が、端部対端部で接続された領域またはそのような領域を含む材料から、流体連絡状態にない端部対端部で接続された領域またはそのような領域を含む材料へと、流体を流体連絡させることができ、あるいは重なり合っている(これに限られるわけではないが、上部から底部へなど)が流体連絡状態にはない領域またはそのような領域を含む材料を、接続することができる。
【0034】
試験ストリップが改竄管理領域を備える場合には、改竄管理領域を、結果判定領域の前または後に配置することができる。そのような試験ストリップの結果判定領域に管理領域が存在する場合には、改竄管理領域は、好ましくは管理領域の前に位置するが、必ずしもそのようでなくてもよい。試験ストリップが、改竄検体および/または管理の判定のための管理試験ストリップである本発明の実施形態において、改竄管理領域を、管理領域の前または後に配置することができるが、好ましくは改竄管理領域が、管理領域の前である。改竄領域は、検定の目的を無にする企てが、被験体によってなされたか否かを判断するため、検査対象の混ぜ物がサンプル中に存在する場合に、信号をもたらす。
【0035】
任意の検体を、本発明および適切な検査素子を利用して検査することができる。特に、本発明を、唾液または口内液中の乱用薬物の検出に使用することができる。検査対象となる検体の他の例としては、これらに限られるわけではないが、クレアチニン、ビリルビン、亜硝酸塩、たんぱく質(非特定)、ホルモン(例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンなど)、血液、白血球、糖、重金属または毒素、バクテリア成分(例えば、大腸菌O157:H7、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、ウエルシュ菌、カンピロバクター、リステリア菌、腸炎ビブリオ、またはセレウス菌など、特定の種類のバクテリアに特有のたんぱく質または糖)、ならびにpHおよび比重などの尿サンプルの物質的特性が挙げられる。側方フロー(lateral flow)の検査形式に適合させることができる他の任意の臨床尿化学検体も、本発明の装置に取り入れることができる。
【0036】
サンプルの種類
生物学的起源の液体(例えば、体液および臨床サンプル)を含む任意の種類のサンプルを、本発明の装置にて検査することができる。液体サンプルは、糞便、生物組織、または食品サンプルを含む、固体または半固体のサンプルから由来することができる。そのような固体または半固体のサンプルを、例えば混合、切断、浸漬、培養、溶解、または適切な液体(例えば、水、リン酸緩衝生理食塩水、または他の緩衝液)中での固体サンプルの酵素による消化など、任意の適切な方法によって液体サンプルへと変換することができる。「生物学的サンプル」としては、例えば人間または動物からの尿、唾液、血液および血液の成分、脳脊髄液、膣塗抹標本、精液、糞便、汗、滲出液、組織、器官、腫瘍、組織および器官の培養、細胞培養、またはこれらからの調整済みの媒体など、生きている動物、植物、および食品から由来するサンプルが挙げられる。好ましい生物学的サンプルは、尿である。食品サンプルとしては、加工済み食品成分または最終製品、肉、チーズ、ワイン、ミルク、および飲料水からのサンプルが挙げられる。植物サンプルとしては、任意の植物、植物組織、植物細胞培養、およびこれらからの調整済みの媒体から由来するものが挙げられる。「環境サンプル」としては、環境から由来するサンプルが挙げられる(例えば、湖沼または他の水域からの水サンプル、廃液サンプル、土壌サンプル、地下水、海水、および湧き水)。下水および関連の排泄物も、環境サンプルに含めることができる。
【0037】
使用方法
本発明の他の態様は、上述のとおり、液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出する方法である。一実施形態が、図6に示されている。上面図および下方の断面図におけるサンプルアプリケータの位置に注意されたい。使用時、アプリケータが、サンプルウエルの上部室に嵌め込まれ、圧搾プレートに当接して置かれる。この時点において、プランジャは、プランジャに取り付けられているシールとともに、上方位置にある。下部室へと進入する流体が、サンプル出口を通って検査区画へと流入できるため、下部室が、検査区画と流体連絡状態にある。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、芯紙(wicking paper)の小ストリップ620が、試験ストリップのサンプル適用領域とサンプル出口との間に配置される。これは、サンプル採取ウエルからサンプル出口を通って試験ストリップへと至る、サンプルの流れを促進する。毛細管流動をサポートする任意の種類の吸収材料を、芯紙として使用することができる。例えば、疎水性にすべく緩衝液および界面活性剤で処理したガラス繊維紙の小ストリップを使用することができ、あるいは、やはりより疎水性にすべく処理したポリエステル繊維を使用することができる。
【0039】
芯紙を、試験ストリップへと取り込まれる前に、サンプルの特性を調節するために使用することができる。例えば(薬物の存在が検査される場合に)、唾液が、反薬物の抗体の1つと交差反応する抗体を含む可能性がある。したがって、唾液の抗体と反応してこれを不活化する抗体(スカベンジャ抗体)を、芯紙に付着させておくことができる。唾液の粘性がきわめて高く、したがって試験ストリップを通ってのサンプルの浸透が遅い場合には、唾液中のたんぱく質を変性および分解して粘性を下げるため、緩衝液、界面活性剤、およびプロテアーゼを、芯紙に含ませることができる。
【0040】
本発明の一実施形態において、サンプルが、サンプルアプリケータを被験体の口内に配置することによって、サンプルアプリケータに加えられ、吸収部材が唾液で満たされた状態になる。アプリケータを、吸収部材が一杯になるまで、あらかじめ採取したサンプルのビーカーまたは管へと配置してもよい。サンプルがあらかじめ集められ、管または蓋付きのカップなど別の容器に保存されている場合には、吸収部材によって吸収される量と同程度の少量のサンプルを、サンプルウエルへとピペットで取り入れてもよい。あるいくつかの実施形態において、約100μlから約250μlのサンプルを、サンプルウエルへとピペットで測り取ることができる。しかしながら、サンプル採取ウエルへと加えられる流体サンプルの量は、例えば約250μlから500μl、または約500μlから750μl、あるいは約1mlなど、任意の適切な量であってよい。「約」とは、プラスマイナス10%を意味する。
【0041】
図7は、液体サンプルがサンプル採取ウエルの底部室へと流入するよう、サンプルアプリケータを装置の圧搾プレートへと押し付け、サンプルアプリケータを絞ることによって、検査装置へと加えられた液体サンプルを示している。この実施形態において、アプリケータが、アプリケータのリムが、フランジ430の下方に係止されるよう、押し下げられてねじられている点に、留意されたい。絞られたサンプル710が、圧搾プレートのオリフィスを通過し、下部室に集められている。プランジャおよびシールは、依然として上部位置にある。芯紙が、絞られてサンプル出口を通過したサンプルに接し、サンプルが、芯紙によって試験ストリップへと逃がされ、検定が開始される。
【0042】
さらなる実施形態において、キャップおよびサンプル採取ウエルが、相補的に係合するねじ山を有している(図8および図9を参照)。これらの実施形態は、キャップおよびサンプル採取ウエルのねじ山を完全に係合させ、これによってプランジャを下方位置へと下げて、リザーバ(この実施形態において、下部室の底に位置するくぼみである)内のサンプルの取り分を封止する段階を含む。他の実施形態において、この方法が、キャップをサンプル採取ウエル上に配置(例えば、スナップ式、または押し込みによって)して、プランジャを下方位置へと下げて、くぼみ内のサンプルの取り分を封止する段階を含む。図8は、検査装置へのキャップの配置の開始を示している。サンプルアプリケータは、取り除かれて捨てられている。プランジャおよびシールは、依然として上方位置にあるが、プランジャ上のアームの上部が、キャップの底面に接触している。さらに、芯紙および試験区画は、依然として下部室と流体連絡状態にある。
【0043】
次いで、キャップが採取ウエルへとねじ込まれ、ねじ山が完全に係合する。図9に示すように、キャップが、プランジャのアームを押し、プランジャおよびプランジャに取り付けられているシールを下方位置へと押している。シールがくぼみと接触している点に留意されたい(点910を参照)。これが生じたとき、下部室に残っているサンプルが、検査区画から封止される。さらに、検査区画が、もはや装置の残りの部分、特に下部室と流体連絡していない。
【0044】
検査キット
本発明の検査キットは、顧客の必要性に応じて、さまざまな形式に梱包することが可能である。例えば、多数の雇用前薬物検査を実施する機関は、1組の指示と真空パックされた20組の装置およびアプリケータの箱詰めを好むかもしれない。他方で、別のユーザは、1つの装置、1つのサンプル採取器、および1組の指示のみを含む箱詰めキットを好むかもしれない。任意の適切な梱包材料を使用することができる。検査キットを、箱に梱包することができ、あるいはセロハンなどの保護材料で包むことができる。さらに、検査キットは、封止された同じまたは別個の小袋にて提供される検査装置(およびアプリケータ)を備えることができ、そのような小袋が、さらに箱または他の梱包にて提供されてもよく、また提供されなくてもよい。
【0045】
例1 雇用前薬物検査
本発明の装置は、例えば雇用前薬物検査においてなど、さまざまな状況において使用可能である。検査対象となる者は、サンプルアプリケータを自身の口内に配置し、約5分間にわたって口内に保つことによって、口内液のサンプルを提供する。雇用前薬物検査のための実施形態において、装置は、この実施形態においてコカイン、メタンフェタミン、フェンシクリジン、THC、モルヒネ、およびアンフェタミンを含む、いくつかの一般的な乱用薬物のための試験ストリップを収容している。これらの試験ストリップは、競合的な免疫学的検定の形式を使用し、検査対象の各薬物についてのラベル付けされた特定の結合分子(この実施形態において、抗体)が、試験ストリップのラベル領域(または、試薬領域)に存在している。検査線が、検査対象の抗原を含む。サンプル中に検体が存在する場合、ラベル領域においてラベル付けされた特定の結合分子が、検体と結合するため、ラベル付けされた抗体が検査線と結合することを妨げる。したがって、検体が存在する場合には、検査線に信号が生じることがない。対照的に、唾液中に抗原が存在しない場合には、ラベル付けされた抗体が検査線に結合し、検査線上に信号をもたらす。
【0046】
満たされ、あるいは十分に湿らされたサンプルアプリケータを受け取った後、検査技師が、これを装置のサンプル採取ウエルへと挿入し、アプリケータを圧搾プレートへと押し下げ、次いでねじって、アプリケータのリムを一対のフランジ(この実施形態において設けらている)の下方に係止する。その結果、サンプルアプリケータの吸収用発泡体から唾液が絞られ、圧搾プレートの穴を通過して、サンプル採取ウエルの下部室へと流入する。プランジャが第1の位置にあるため、サンプルは、さらにサンプル出口を通って検査区画へと流入する。サンプルが、サンプル採取ウエルの下部室へと流入したとき、下部室内へと延びている芯紙に接触し、サンプル出口を出て試験ストリップへと流れ、検定が開始される。サンプルのすべてが取り込まれたとき、アプリケータが破棄され、キャップがサンプル採取ウエルへとねじ込まれる。キャップが装置へとねじ込まれるとき、キャップによって加えられる力によって、プランジャが下方位置へと押される。プランジャが下方位置へと移動すると、シールがリザーバの周囲に下降し、流体サンプルの取り分がリザーバ内に隔離される。プランジャが下降するとき、サンプル出口も閉じられ、検査区画へのさらなる任意のサンプルの流れが停止される。約3分から5分後に、検定が完了したことを示す管理の印がもたらされる。検査対象の各薬物についての検査線に、唾液サンプル中に乱用薬物が存在しないことを示す信号がもたらされる(この検査は、競合的な形式である)。陽性の結果が得られた場合、結果を確認するために、リザーバ内に収容されているサンプルの取り分を検査できるよう、装置を確認研究室へと送ることができる。
【0047】
本明細書において例として説明した本発明は、本明細書において具体的には開示しなかった任意の1つまたは複数の要素、あるいは1つまたは複数の限定事項がなくても、実行可能である。使用した用語および表現は、説明のための用語として使用され、限定のための用語として使用されてはおらず、そのような用語および表現の使用には、図示および説明した特徴の任意の均等物またはその一部を排除しようとする意図はなく、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲において、さまざまな変更が可能であると理解される。したがって、本発明を、種々の実施形態および随意による特徴によって具体的に開示したが、当業者であれば、本明細書に開示した概念について変更および変形を行なうことができ、そのような変更および変形は、特許請求の範囲によって定められる本発明の技術的範囲に包含されると考えられることを、理解されたい。
【0048】
本明細書にて言及または引用した論文、特許および特許出願、ならびに他のあらゆる文献、および電子的に入手可能な情報の内容は、あたかもそのような刊行物のそれぞれが、参照によって組み込まれると具体的かつ個々に示されているような範囲で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願人は、そのような任意の論文、特許、特許出願、または他の文献からの任意かつすべての題材および情報を、本件出願へと物理的に取り入れる権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の装置の分解図である。
【図3】図1の装置の他の分解図である。
【図4】図1の装置の6面全てを示している。
【図5】サンプル適用ウエル120の上面図、側面図、断面図、および斜視図を示している。
【図6】図1の装置の外観図および断面図を示しており、使用前の装置の状態を示している。下向きの矢印が、下部室330へと絞り出される流体の予想経路を示している。
【図7】図1の装置の外観図および断面図を示しており、吸収部材160からのサンプル710の絞り出しの間の装置の状態を示している。
【図8】図1の装置の外観図および断面図を示しており、下部室330を封止する前の装置の状態を示している。
【図9】図1の装置の外観図および断面図を示しており、キャップが取り付けられた後の装置の状態を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための検査装置であって、
サンプル採取ウエルのためのポートを備えるケーシングと、
少なくとも1つの検査素子を収容している検査区画と、
ポート内に位置するとともに、上部室、圧搾プレート、下部室、およびサンプル出口を備える、サンプル採取ウエルと、
確認検査のための流体サンプルを保存するための下部室内または下部室下方のリザーバと、
サンプル採取ウエル内に包含され、上方位置と下方位置とを有しているプランジャと、
プランジャが下方位置に位置するときにリザーバに封止可能に適合するシールと、
サンプル採取ウエルのためのキャップとを有し、
キャップがサンプル採取ウエルに装着されたとき、キャップの一部分が、プランジャと相互作用してプランジャを上方位置から下方位置へと移動させる、装置。
【請求項2】
プランジャが、基部の方向から上方へと延びる1つ以上のプランジャアームをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1つ以上のプランジャアームが、圧搾プレートの近くでサンプル採取ウエルの内側を上方へと延びている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
キャップがサンプル採取ウエルに装着されたとき、キャップの一部分が、プランジャアームと相互作用してプランジャを上方位置から下方位置へと移動させる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
リザーバが、サンプル採取ウエルの基部に位置するくぼみである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
キャップおよびサンプル採取ウエルが、相補的な係合するねじ山を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
プランジャが上方位置にあるとき、検査区画と下部室とが流体連絡状態にあり、ねじ山が完全に係合したとき、プランジャが下方位置にあって、検査区画と下部室とが流体連絡状態にない、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
サンプル出口が、下部室と検査区画との間の流体連絡をもたらしている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
検査素子が試験ストリップである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
試験ストリップが、試験ストリップ上に固定された特定の結合分子を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
試験ストリップが、化学的検査を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
サンプルが、口内液、唾液、血液、血清、血漿、尿、糞便、髄液、膣塗抹標本、粘液、および組織からなるグループから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
流体サンプルが唾液である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
対象とする検体が、薬物、ホルモン、たんぱく質、核酸分子、病因学的因子、および特定の結合対のメンバーからなるグループから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
検体が薬物であって、薬物が乱用薬物である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
流体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出するための検査装置を備えるキットであって、前記検査装置が、
サンプル採取ウエルのためのポートを備えるケーシングと、
少なくとも1つの検査素子を収容している検査区画と、
ポート内に位置するとともに、上部室、圧搾プレート、下部室、およびサンプル出口を備える、サンプル採取ウエルと、
確認検査のための流体サンプルを保存するための下部室内または下部室下方のリザーバと、
サンプル採取ウエル内に包含され、上方位置と下方位置とを有しており、下方位置に位置するときにくぼみに封止可能に適合するシールを下端に有しているプランジャと、
サンプル採取ウエルのためのキャップとを有し、
キャップがサンプル採取ウエルに装着されたとき、キャップの一部分が、プランジャと相互作用してプランジャを上方位置から下方位置へと移動させ、
前記キットがさらに、
サンプルアプリケータを備える、キット。
【請求項17】
サンプルアプリケータが、吸収部材およびハンドルを備える、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
吸収部材が、スポンジまたは発泡体である、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
吸収部材が、被験体の唾液の分泌を促す溶液で処理されている、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
唾液中の検体の存在を判断するために検査装置を使用するための指示をさらに含む、請求項17に記載のキット。
【請求項21】
液体サンプルにおいて存在が疑われる検体を検出する方法であって、
検体を含むと疑われる液体サンプルを、サンプルアプリケータに加えることと、
サンプルアプリケータを検査装置に絞ることによって、液体サンプルを検査装置に加えることとを含み、前記検査装置が、
サンプル採取ウエルのためのポートを備えるケーシングと、
少なくとも1つの検査素子を収容している検査区画と、
ポート内に位置するとともに、上部室、圧搾プレート、下部室、およびサンプル出口を備える、サンプル採取ウエルと、
確認検査のための流体サンプルを保存するための下部室内または下部室下方のリザーバと、
サンプル採取ウエル内に包含され、上方位置と下方位置とを有しており、下方位置に位置するときに、リザーバに封止可能に適合するシールを下端に有しているプランジャと、
サンプル採取ウエルのためのキャップとを有し、キャップがサンプル採取ウエルに装着されたとき、キャップの一部分が、プランジャと相互作用してプランジャを上方位置から下方位置へと移動させ、
前記方法がさらに、
サンプル中に検体が存在するか否かを判断することを含む、方法。
【請求項22】
サンプルが、サンプルアプリケータを被験体の口内に配置することによって、サンプルアプリケータに加えられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
サンプルアプリケータが唾液で満たされる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
液体サンプルが、液体サンプルがサンプル採取ウエルの底部室へと流入するよう、サンプルアプリケータを装置の圧搾プレートへと押し付けてサンプルアプリケータを絞ることによって、検査装置へと加えられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
キャップおよびサンプル採取ウエルが、相補的な係合するねじ山を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
キャップおよびサンプル採取ウエルのねじ山を完全に係合させることによって、プランジャを下方位置へと下げ、リザーバ内のサンプルの取り分を封止することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
キャップをサンプル採取ウエルへと配置し、プランジャを下方位置へと下げて、リザーバ内のサンプルの取り分を封止することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
検査素子が試験ストリップである、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
試験ストリップが、乱用薬物の存在を検出するための試薬を含む、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−511768(P2007−511768A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540010(P2006−540010)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/038426
【国際公開番号】WO2005/050166
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】