説明

射出成形機のモニタデータ表示装置

【課題】複数の中から任意のモニタデータを選択し、複数の射出成形機に対して、所定期間の時刻を第一軸とし、第二軸を選択されたモニタデータとしてグラフ表示できる射出成形機のモニタデータ表示装置を提供する
【解決手段】複数の射出成形機の前記モニタデータを前記第一軸の時刻を同時刻として同時に表示することを特徴とする射出成形機のモニタデータ表示装置は、全射出成形機の表示または選択した射出成形機の表示の選択、表示期間の設定、表示するモニタデータの選択がなされ、同一時間軸で表示され、1〜3号機の射出成形機の表示が選択されており、表示するモニタデータはサイクルタイムであり、表示する期間の開始日時及び、終了時刻が表示され、表示画面内の左上部に選択した機械番号と、右上部にサイクルタイムを文字表示し、左部に表示する成形機に対応する線種と、下部に開始・終了日時を表示し、中央部に各成形機に対応するグラフを個別に表示する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機のモニタデータ表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機で成形品を生産する場合、射出成形機は成形ショットごとの成形状態を表す種々のデータを計測する。計測して得られたデータには、波形データとモニタデータがある。波形データは計測値の時間変化を追ったデータで、射出工程時の射出圧力やスクリュ位置などがある。モニタデータは射出中の最大圧力やスクリュの最前進位置など1回の成形ショットで1回のみ計測されるデータである。通常、射出成形機は1回の成形で複数種類のモニタデータを計測する。波形データよりモニタデータの方が扱いやすいため、モニタデータの変動の確認は、成形安定性や成形不良の解決を目的としてよく行われる。
【0003】
集中管理装置にネットワークを介して接続された複数の射出成形機のモニタデータをグラフ表示する技術が公知である。例えば、特許文献1には、選択された射出成形機のモニタデータを一方の軸を成形サイクル番号、他方の軸をモニタデータとしてグラフ表示することが開示されている。一方、集中管理装置の表示装置に、複数の射出成形機のモニタデータを同時に表示する場合、特許文献1の技術を応用して手作業で複数の射出成形機のモニタデータのグラフを並べて表示すればよい。しかし、この方法はグラフを並べる作業に手間がかかる上に、さらに表示期間や表示項目を変更しようとすると、射出成形機ごとの設定が必要になるという問題がある。また射出成形機ごとに表示しているためグラフ間に間隔ができてしまい、必ずしも見やすいとは限らない。
【0004】
また、特許文献2には、ダイカストマシンの計測データを同時に表示することが開示されている。しかしながら表示内容の詳細については何ら開示されていない。特許文献3には実行時プロファイルデータを射出成形機間で比較することが開示されている。しかしながら射出成形機間のモニタデータの比較については記載されていない。
【0005】
複数の射出成形機のモニタデータを同時に表示するその他の方法として、市販の表計算ソフトを利用する方法もある。射出成形機ごとのモニタデータを表計算ソフトで読み込み、表計算ソフトのグラフ機能で表示する。この場合も表計算ソフトの読み込みなどに手間がかかる。さらにモニタデータをリアルタイムに表示して確認することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−267119号公報
【特許文献2】特開2001−219262号公報
【特許文献3】特開2010−105369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
モニタデータの中には射出成形機本体の温度変化等によって変動するものと、外的要因、例えば工場の室温や電力事情等によって変動するものとがある。工場内の室温が成形に影響することが分かっている場合、複数の射出成形機でモニタデータの変動が、室温の影響により類似する可能性が高い。これを確認するためには、複数の射出成形機のモニタデータを同時に比較する必要がある。しかしながら従来技術には、複数の射出成形機のモニタデータに対する変動の関連性や傾向を、効率よく把握する手段がない。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、複数のモニタデータの中から任意のモニタデータを選択し、複数の射出成形機に対して、所定期間の時刻を第一軸とし、第二軸を選択されたモニタデータとして複数の射出成形機にわたってグラフを表示する機能を有する射出成形機のモニタデータ表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に係る発明は、複数の射出成形機のモニタデータを取得するモニタデータ取得部と、前記複数の射出成形機のモニタデータを時刻に対応させて記憶する記憶部と、前記記憶されたモニタデータから任意のモニタデータを選択する選択部と、前記選択された任意のモニタデータを第一軸を時刻,第二軸をモニタデータとしてグラフ表示するグラフ表示部と、を有し、前記グラフ表示部は前記複数の射出成形機の前記モニタデータを前記第一軸の時刻を同時刻として同時に表示することを特徴とする射出成形機のモニタデータ表示装置である。
請求項2に係る発明は、前記表示部は、複数の射出成形機をネットワークで接続して集中管理するコンピュータの表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機のモニタデータ表示装置である。
請求項3に係る発明は、前記モニタデータを正規化して前記グラフ表示を行うことを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の射出成形機のモニタデータ表示装置である。
請求項4に係る発明は、外部データを外部データの測定日時とともに取り込んで前記モニタデータと同一時間軸上に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の射出成形機のモニタデータ表示装置である。
【0010】
請求項5に係る発明は、コメント情報およびコメント情報に対応するマーカーを前記複数の射出成形機の前記グラフ表示に併記することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の射出成形機のモニタデータ表示装置である。
請求項6に係る発明は、射出成形機の配置情報を前記複数の射出成形機のグラフ表示に併記することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の射出成形機のモニタデータ表示装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、複数のモニタデータの中から任意のモニタデータを選択し、複数の射出成形機に対して、所定期間の時刻を第一軸とし、第二軸を選択されたモニタデータとして複数の射出成形機にわたってグラフを表示する機能を有する射出成形機のモニタデータ表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】複数台の射出成形機を管理する管理システムの概略構成を説明する図である。
【図2】射出成形機のモニタデータをコンピュータに保存した例を説明する図である。
【図3−1】コンピュータに射出成形機のモニタデータを保存する手順の例を説明するフローチャートである(その1)。
【図3−2】コンピュータに射出成形機のモニタデータを保存する手順の例を説明するフローチャートである(その2)。
【図4】コンピュータ上に射出成形機ごとに保存されたモニタデータを参照してグラフを表示する手順の例を説明するフローチャートである。
【図5】コンピュータ上に射出成形機ごとに保存されたモニタデータを参照してグラフを並べて表示した例を説明する図である。
【図6】全射出成形機あるいは選択された射出成形機のグラフを重ねて表示した例を説明する図である。
【図7】データを正規化して表示した例を説明する図である。
【図8】外部データとして室温を取り込んでモニタデータと合わせて表示した例を説明する図である。
【図9】グラフの第一軸上にコメント情報を書き込んだ例を説明する図である。
【図10】射出成形機の配置関係を付加したグラフの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。ここでは、コンピュータで複数の射出成形機を集中管理する管理システムを構成した本発明の実施形態を説明する。
図1は、複数台の射出成形機を管理する管理システムの概略構成を説明する図である。この管理システムでは、コンピュータ1とM台の射出成形機RS1,RS2,・・・,RSMとをLAN2で接続している。
【0014】
図2は、射出成形機のモニタデータをコンピュータに保存した例を説明する図である。射出成形機RS1,RS2,・・・,RSM別(機械番号別)およびショットごと(リセット不可ショットごと)に成形日時とモニタデータの個々のデータが、コンピュータ1のメモリに保存される。1ショットあたり最大N個のデータまで保存する。最大個数のNは適宜設定することができる。
【0015】
レコード番号Noは、射出成形機別にショットごとに収集され記憶されるデータの順番を表す。機械番号iの射出成形機RSiにおける収集済の最新レコードNoを”Ri”とする。射出成形機RSiにおける収集済の最新のリセット不可ショット数を”Si_Ri”とする。リセット不可ショット数は、射出成形機が成形サイクルを実行するたびに累積的に更新される射出成形機が有する固有の数値である。射出成形機RSiにおけるjショット目の成形日時を”T_i_j”とする。射出成形機RSiにおけるjショット目のk番目のモニタデータを”D_i_j_k”とする。なお、1≦i≦M、1≦j≦Ri、1≦k≦Nである。
【0016】
図3−1,図3−2は、コンピュータに射出成形機のモニタデータを保存する手順の例を説明するフローチャートである。なお通信手順は従来公知のものを使用することができ、本発明に関係しないので詳述しない。コンピュータ1からの要求に応じて、各射出成形機RS1,RS2,・・・,RSMはコンピュータ1に射出成形機のモニタデータD1,D2,・・・,DNを返信する。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA01]機械番号iのデータを1、射出成形機の総数のデータをM、リセット不可ショット数Si_Riのデータを0、レコード番号Riのデータを0、に初期化する。
●[ステップSA02]機械番号iの射出成形機RSiにモニタデータを要求する。
●[ステップSA03]機械番号iの射出成形機より以下のデータを取得する。以下のデータは、取得リセット不可ショット数S、取得成形日時T、取得モニタデータD1,D2,D3,・・・,DNである。取得リセット不可ショット数Sは、射出成形機が成形サイクルを実行するたびに累積的に更新される射出成形機が有する固有の数値である。
●[ステップSA04]ステップSA03の処理で取得した取得リセット不可ショット数Sはリセット不可ショット数Si_Riより大きいか否か判断し、大きい場合にはステップSA05へ移行し、大きくない場合にはステップSA07へ移行する。
●[ステップSA05]レコード番号Riのデータを1増加して更新、リセット不可ショット数Si_RiのデータをステップSA03で取得した取得リセット不可ショット数Sのデータに置き換えて更新、成形日時T_i_RiのデータをステップSA03で取得した取得成形日時Tのデータに置き換えて更新、D_i_Ri_1のデータをD1,D_i_Ri_2のデータをD2,・・・,D_i_Ri_NのデータをDNに置き換えて更新する。
●[ステップSA06]機械番号iの新モニタデータとして以下のデータを保存する。つまり、ステップSA05で更新した、レコード番号Riのデータ、リセット不可ショット数Si_Riのデータ、成形日時T_i_Riのデータ、モニタデータD_i_Ri_1,D_i_Ri_2,・・・,D_i_Ri_Nを新モニタデータとしてコンピュータ1のメモリに保存する。
●[ステップSA07]終了か否か判断し、終了の場合にはこのフローチャートの処理を終了し、終了でない場合にはステップSA08へ移行する。終了か否かの判断は、例えば、コンピュータ1に対するオペレータの指示の有無、あるいは、予め設定されたモニタデータの取得終了時刻を基準として行うことができる。
●[ステップSA08]機械番号iのデータを1増加して更新する。
●[ステップSA09]機械番号iはステップSA01で初期化した射出成形機の総数Mより大きいか否か判断し、大きい場合にはステップSA10へ移行し、大きくない場合にはステップSA02へ戻り、処理を継続する。
●[ステップSA10]機械番号iを1に初期化した後、ステップSA02へ戻り、処理を継続する。
【0017】
図4は、コンピュータ上に射出成形機ごとに保存されたモニタデータを参照してグラフを表示する手順の例を説明するフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSB01]機械番号iのデータを1に初期化し、射出成形機の総数、表示開始日時Tstartのデータ、表示終了日時Tendのデータを設定し、表示するモニタデータを選択(データkとする)し、表示する射出成形機を選択する。データの初期化、モニタデータの選択射出成形機の選択は、コンピュータ1に備わった入力手段によって行うなど適宜の入力インタフェースを用いることができる。なお、kは、図2の表に従えば、1≦k≦Nである。
●[ステップSB02]機械番号iのモニタデータを表示するか否かを判断し、表示する場合(YESの場合)にはステップSB03へ移行し、表示しない場合(NOの場合)にはステップSB09へ移行する。
●[ステップSB03]指標jのデータを1に初期化する。指標jはコンピュータ1のメモリに格納されたモニタデータを読み出す際に、読み出すレコード番号を特定するために用いられる指標である。
●[ステップSB04]成形日時T_i_jのデータは表示開始日時Tstartと表示終了日時の期間にあるか否か判断し、期間内の場合(YESの場合)にはステップSB05へ移行し、期間内ではない場合(NOの場合)にはステップSB07へ移行する。
●[ステップSB05]表示画面上のx座標のデータをT_i_jのデータ、y座標のデータをD_i_j_kのデータとする。
●[ステップSB06]コンピュータ1の表示装置の表示画面に(x,y)を表示する。
●[ステップSB07]指標jのデータを1増加して更新する。
●[ステップSB08]指標jのデータはレコード番号Riより大きいか否か判断し、大きい場合(YESの場合)にはステップSB09へ移行し、大きくない場合(NOの場合)にはステップSB04へ戻り、処理を継続する。
●[ステップSB09]機械番号iのデータを1増加して更新する。
●[ステップSB10]機械番号iのデータは射出成形機の総数Mより大きいか否か判断し、大きい場合(YESの場合)にはこのフローチャートの処理を終了し、大きくない場合(NOの場合)にはステップSB02に戻り処理を継続する。
【0018】
図5は、コンピュータ上に射出成形機ごとに保存されたモニタデータを参照してグラフを並べて表示した例を説明する図である。この表示では以下の設定が必須である。
・全射出成形機の表示または選択した射出成形機の表示の選択
・表示するモニタデータの選択
・表示期間の設定
設定した表示期間に対して、各射出成形機のグラフが同一時間軸で表示される。図5には、1号機、2号機、3号機の射出成形機の表示が選択されており、表示するモニタデータはサイクルタイムであり、表示する期間の開始日時は2011年6月15日11時15分00秒であり終了時刻は2011年6月15日11時45分00秒である場合が表示されている。図5に示される表示形態では、表示画面内において、画面左上部に選択した射出成形機の機械番号と、画面右上部に表示するモニタデータがサイクルタイムであることを文字表示し、画面左部に表示する射出成形機に対応して用いられる線種と、画面下部に開始日時と終了日時とを表示し、画面中央部に各射出成形機に対応するグラフを個別に表示している。
【0019】
図6は、図5に示される全射出成形機あるいは選択された射出成形機のグラフを重ねて表示した例を説明する図である。図6に示される表示形態では、表示画面内において、画面左上部に選択した射出成形機の機械番号と、画面右上部に表示するモニタデータがサイクルタイムであることを文字表示し、画面左部に表示する射出成形機に対応して用いられる線種と、画面下部に開始日時と終了日時とを表示し、画面中央部に各射出成形機に対応するグラフを重ねて表示している。図5に示されるようにグラフを並べて表示するのに比べて、図6に示されるようにグラフを重ねて表示することにより、お互いのグラフの関係を比較し易い。図6では線種を点線、破線、実線を用いて各射出成形機のモニタデータを表示しているがこれに限定されず、多色表示にしてもよい。
【0020】
図7は、データを正規化して表示した例を説明する図である。この例では、図5の射出成形機の1号機および2号機のモニタデータを正規化している。図5のグラフ表示では、射出成形機ごとに異なる金型および成形品に対するモニタデータを表示する。よって各モニタデータの最大値,最小値が様々で、比較しにくい場合も出てくる。この場合、最大値が1となるように各データを正規化して表示すれば見やすくなる。個々のモニタデータを正規化する計算方法の一例を以下に示す。
(正規化したモニタデータ値)=(元のモニタデータ値―最小値)/(最大値―最小値)
なお、他にも最大値に対する割合や、標準偏差に対する割合で正規化することもできる。
【0021】
図8は、外部データとして室温を取り込んでモニタデータと合わせて表示した例を説明する図である。図8によれば、室温の上昇と連動して1号機,2号機,3号機のバレル1の温度が上昇している。このように、射出成形機のモニタデータ以外の外部データを合わせて表示すれば、モニタデータと外部データとの関連性を確認することができる。外部データとして工場内の温度や湿度、電力データ、クリーン度(塵の量)などがある。なお外部データを取り込む方法として、コンピュータがリアルタイムに外部機器と通信して取り込む、コンピュータが外部機器に保存されたファイル形式のデータを読み込む方法などがある。なお、バレル1温度とは、射出シリンダは軸方向に複数の部位に分けて加熱されており、その複数の部位の一つである。
【0022】
図9は、グラフの第一軸上にコメント情報を書き込んだ例を説明する図である。この例では空調装置を動かし始めたこと、また動かし始めた時点をマーカー(ポイント(*))で指し示している。マーカーとして、ポイント(*)以外に縦線(|)や矢印(↑)なども使用できる。コメント情報およびマーカーをグラフと合わせて表示すれば、グラフに明確な意味づけを行うことができる。
図10は、射出成形機の配置関係を付加したグラフの例を説明する図である。この例では、射出成形機ごとの空調機からの距離を併記している。距離に応じて射出成形機上の温度や湿度の変化が捉えられる。
【0023】
本発明の実施形態により、複数のモニタデータの中から任意のモニタデータを選択し、複数の射出成形機に対して、所定期間の時刻を第一軸とし、第二軸を選択されたモニタデータとして複数の射出成形機にわたってグラフを表示する機能を有する射出成形機のモニタデータ表示装置を提供できる。そして、本発明の実施形態により、複数の射出成形機に対して、射出成形機間のモニタデータの比較を容易に行い、射出成形機群としてモニタデータの変動の関連性や傾向が明確に把握できる。従来に比べてグラフ表示の手間がかからず、かつグラフ間の比較を意図して表示しているので見やすくなる。またモニタデータの正規化、外部データの取り込みおよび表示、コメント情報や射出成形機の配置情報の併記、以上のいずれかに必要に応じて対応することで、より把握しやすくなる。
【0024】
上述したように、本発明では複数のモニタデータの中から任意のモニタデータを選択し、複数の射出成形機に対して、所定の期間の時刻を第一軸とし、第二軸を選択されたモニタデータとして複数の射出成形機にわたってグラフを表示する。第一軸が同一時刻であれば、選択されたモニタデータに関わる第二軸は射出成形機毎に個別の軸としても良いし共通の軸としても良い。個別の軸とすれば、複数の射出成形機について選択されたモニタデータの全体的な変化の傾向が判り、共通の軸とすれば、いずれの射出成形機の変化が大きいのかがわかる。
【0025】
これにより、モニタデータが変化している場合にその変化が工場内の射出成形機について共通の変化なのか、機械個別に発生している変化なのかを把握できるようになる。モニタデータの変化によって不良が発生していると判断された場合、不良対策として工場の室温の管理や冷却水の温度管理など、工場全体として対策しなければならない問題が有るのか、あるいは、機械個別の問題として対処しなければならない問題なのかを把握することができる。
【0026】
そこで、以下のようなグラフ表示上の工夫をすれば、より明確にモニタデータの変化の要因を調べることができる。
・モニタデータを正規化して表示する。
・工場内の室温などの外部データを取り込んでモニタデータと同一軸上に表示できるようにする。
・第一軸上に、コメント情報を書き込めるようにする。
・射出成形機の配置関係を考慮できるようにする。
【0027】
以下は本発明の具体的な使用方法である。
例1)複数個の同一金型を複数の射出成形機で成形している場合、本発明を使用して、成形品質に影響する共通のモニタデータの傾向を複数の射出成形機で確認できる。このモニタデータが安定しない、あるいは変動傾向が他と異なる射出成形機が確認された場合、この射出成形機の成形状況を確認する必要があることが分かる。
例2)空調装置の動作と成形状況の関係を調べる場合、本発明を使用できる。例えば、空調装置の設定温度の変更に連動して不安定になるモニタデータを複数の射出成形機について見出すことが出来たとする。これが成形品質に影響する場合、成形中における空調装置の設定温度の変更は行わない方がよいことが分かる。
【符号の説明】
【0028】
1 コンピュータ
2 LAN

RS1,RS2,・・・,RSM 射出成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の射出成形機のモニタデータを取得するモニタデータ取得部と、
前記複数の射出成形機のモニタデータを時刻に対応させて記憶する記憶部と、
前記記憶されたモニタデータから任意のモニタデータを選択する選択部と、
前記選択された任意のモニタデータを第一軸を時刻,第二軸をモニタデータとしてグラフ表示するグラフ表示部と、
を有し、
前記グラフ表示部は前記複数の射出成形機の前記モニタデータを前記第一軸の時刻を同時刻として同時に表示することを特徴とする射出成形機のモニタデータ表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、複数の射出成形機をネットワークで接続して集中管理するコンピュータの表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機のモニタデータ表示装置。
【請求項3】
前記モニタデータを正規化して前記グラフ表示を行うことを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の射出成形機のモニタデータ表示装置。
【請求項4】
外部データを外部データの測定日時とともに取り込んで前記モニタデータと同一時間軸上に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の射出成形機のモニタデータ表示装置。
【請求項5】
コメント情報およびコメント情報に対応するマーカーを前記複数の射出成形機の前記グラフ表示に併記することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の射出成形機のモニタデータ表示装置。
【請求項6】
射出成形機の配置情報を前記複数の射出成形機のグラフ表示に併記することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の射出成形機のモニタデータ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−82181(P2013−82181A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225138(P2011−225138)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】