説明

射出成形部を備える成形品とその製造方法及び製造装置

【課題】既成形部材の露出面と射出成形部が連続して滑らかに接合された成形品とその製造方法を提供する。また、かかる製造方法に用いる射出成形型と該成形型を備える製造装置を提供する。
【解決手段】本発明により提供される一部に射出成形部を有する製造方法は、(a)射出成形型30の内部に第一成形部材の露出面と射出成形部とが接合される境界面に沿う方向であって成形キャビティ40から離れる方向に突出すると共に該成形キャビティ40と連通する排出キャビティ48が形成されている射出成形型30を用意する工程、(b)温度が高く且つ粘度が低い状態の成形材料で射出成形部を成形する工程、(c)該成形材料を第一成形部材の露出面に圧接させたまま所定の時間維持し、射出成形部を接合する工程、及び(d)該排出キャビティ48に排出された成形材料を分離して除去する工程;を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部に射出成形部を有する成形品とその製造方法に関する。また、本発明は、かかる製造方法に用いる射出成形型と該成形型を備える製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車外装部品として、ルーフモールディング、ウェザーストリップ、ガラスランチャンネル等と呼ばれる種々の横断面形状を備えた長尺状成形品が使用されている。この種の長尺状成形品の一形態として、熱可塑性樹脂材料や熱可塑性エラストマー材料のような熱可塑性のポリマー成形材料を押出成形等の手段によって長尺形状に成形された成形部材と、該成形部材の長手方向の一部に射出成形により成形され且つ接合された射出成形部とを備えるものが挙げられる。このような一部に射出成形部を有する成形品を製造する方法としては、例えば特許文献1に示す方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−12038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、長尺状に成形された成形部材(特許文献1では「押出成形部」)と射出成形部(特許文献1では「型成形部」)との境界面の接合強度が十分でない虞がある。即ち、射出成形型のキャビティ内に射出された溶融状態の射出成形部形成用ポリマー成形材料は、接合対象である別途成形された既成形部材(以下「第一成形部材」ともいう。)の表面(即ち接合面)に達する間に冷却されていく。それに伴い当該ポリマー成形材料の粘度が上昇し、射出圧力も低下していく。その結果、接合対象である既成形部材(第一成形部材)の表面(キャビティ内に露出している面)と上記ポリマー成形材料から成る射出成形部とを接合するのに十分な熱と圧力を保持した成形材料が当該既成形部材の表面に達することができず、結果、射出成形部と既成形部材との接合面が剥離され易くなる。
特に、横断面形状において相対的に厚さが薄く先細になっている部分(例えば突出リップ)を有する第一成形部材に所定の射出成形部を接合しようとする場合、当該第一成形部材の先細形状に対応する空間を含む成形キャビティが内部に形成された射出成形型では、十分な熱と圧力を保持したポリマー成形材料が当該先細空間の端部まで届きにくく、当該先細部分における接合が一層困難となる。また、接合されたとしても、肉眼で観察できないほどの微小な亀裂(即ち微視的な非接合部分)が複数生じていることもあり得る。これらの亀裂が徐々に拡大すると、最終的には境界部(接合面)が剥離する。更に、上記亀裂が目視し得る部分に発生した場合、装飾性(例えば美観)を著しく損なうことにもなる。
【0005】
そこで、本発明は、既成形部材の一部に射出成形部を接合してなる成形品の製造に関する上記従来の問題点を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは、成形キャビティ内において既成形部材の露出面まで十分な熱と圧力を保持する射出成形部形成用ポリマー成形材料を充填し、当該既成形部材の露出面と当該ポリマー成形材料から成る射出成形部とが十分に接合し得る成形品の製造方法と該製造方法によって製造される該成形品を提供することである。また、本発明は、そのような接合を可能にする射出成形型と該成形型を備える製造装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく創出された本発明によって、一部に射出成形部を有する成形品の製造方法が提供される。ここで「一部に射出成形部を有する成形品」とは、押出成形等によって予め成形された部材(既成形部材)と射出成形部とが接合された成形品をいう。
本発明者は、上述の亀裂発生現象を仔細に観察すると共にその発生原因を検討した結果、成形キャビティ内における前記リップ部分のような薄肉となって突出する部分では、射出成形部の成形の際に当該部分に供給される溶融ポリマー成形材料が接合に必要な十分の温度と圧力の少なくともいずれか一つが不足しており、結果、必要な接合強度が得られないことを見出した。そして、かかる観点から鋭意検討を行うことによって本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明によって提供される幾つかの発明のうち、請求項1の発明は、所定形状の成形キャビティが内部に形成される開閉可能な射出成形型を用い、該射出成形型を開いているときに別途成形された第一成形部材(既成形部材)を射出成形型内の所定位置に載置し、該射出成形型を閉じたときに該第一成形部材の一部を該成形キャビティ内に露出させると共に該露出面を該成形キャビティの成形面の一部分とした状態に保持し、次いで加熱して溶融した状態の熱可塑性ポリマー成形材料を射出ゲートから該キャビティ内に射出して充填し、射出成形部を成形すると共に該射出成形部を該第一成形部材の該露出面に一体的に接合する成形品を製造する方法である。そして、本発明の製造方法は、以下に記す各工程を包含する。
(a).前記射出成形型として、該成形型の内部に前記第一成形部材の露出面と前記射出成形部とが接合される境界面に沿う方向であって前記成形キャビティから離れる方向に突出すると共に該成形キャビティと連通する排出キャビティが形成されている射出成形型を用意する工程。
(b).加熱して溶融した液状の前記成形材料を所定の射出圧力で前記射出ゲートから前記成形キャビティに射出して充填し、前記射出成形部を成形する工程、ここで、前記境界面の少なくとも前記排出キャビティに対応する部分の露出面に初期に達した所定量の初期成形材料を、該初期成形材料の射出よりも時間的に後に射出された後期成形材料の射出圧力によって前記排出キャビティ内に流動させて排出し、該排出された初期成形材料の部分では該初期成形材料よりも温度が高く且つ粘度が低い状態の該後期成形材料で置換する。
(c).前記後期成形材料を前記第一成形部材の露出面に圧接させたまま所定の時間維持し、該後期成形材料の圧力及び/又は熱を該露出面に作用させ、該第一成形部材の露出面に該後期成形材料からなる前記射出成形部を接合する工程。および
(d).前記排出キャビティに排出された成形材料を前記接合された成形品から分離して除去する工程。
【0008】
かかる構成の請求項1に記載の製造方法では、上記射出成形型内部に第一成形部材の露出面と射出成形部とが接合される境界面に沿う方向であって成形キャビティから離れる方向に突出すると共に上記成形キャビティと連通する排出キャビティが形成されていることにより、初期成形材料よりも温度が高く且つ粘度が低い状態の後期成形材料(即ち、射出ゲートから初期成形材料に引き続いて射出される後続の成形材料)の射出圧力によって上記初期成形材料を排出キャビティ内に流動し排出させることができる。また、排出された初期成形材料の部分については、後期成形材料で置換することができる。
従って、請求項1の製造方法によると、接合に必要な熱量(温度)と圧力を有する後期成形材料を第一成形部材の露出面に作用させることができ、射出成形部と前記露出面を従来よりも強い強度で確実に接合することができるという効果が得られる。
更に、最初に成形キャビティ内に射出される初期成形材料は、射出成形型内を流動する際に成形キャビティ内に付着する微細なごみ、油、離型剤等の異物を含み得るが、これら異物の存在が接合強度の低下の原因の一つとして挙げられる。本発明の製造方法では、かかる異物が混入した初期成形材料は後期成形材料の射出圧力によって排出キャビティ内に排出され、排出された部分は後期成形材料で置換されるので、接合強度の低下を招き、亀裂の原因となる初期成形材料を排除することができるという効果が得られる。同様に、第一成形部材の露出面に付着するゴミ、油分等も排出キャビティに排出し得る。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の製造方法において、前記排出キャビティは、絞り流路部を介して前記成形キャビティに連通されており、該絞り流路部を通過して排出される前記初期成形材料の剪断に伴う剪断熱を発生させることを特徴とする製造方法である。
かかる剪断熱の発生により、絞り流路部を流動する初期成形材料の温度低下を防ぐと共に伝導熱により絞り流路部の温度を上昇させ、粘度が増大することを防止することができる。従って、請求項2の製造方法によると、請求項1の製造方法の奏する効果に加え、初期成形材料が前記絞り流路部を介して排出キャビティに排出させ易く、ひいては成形キャビティ内の第一成形部材の露出面まで十分な熱と圧力を保持する後期成形材料を充填させることができるという効果が得られる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の製造方法において、前記射出成形部の成形材料として、前記第一成形部材と熱溶着可能なポリマー成形材料を用い、熱溶着により前記第一成形部材の露出面と該射出成形部とを接合することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項3の製造方法によると、請求項1又は2の製造方法の奏する効果に加えて、第一成形部材の露出面と前記ポリマー成形材料により形成される射出成形部とが、熱溶着によって強固に接合された成形品を製造することができるという効果が得られる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の製造方法において、第一成形部材は、ゴム(例えばEPDMを主体とするオレフィン系ゴム材)、オレフィン系合成樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性エラストマーから成る群から選択される少なくとも一種から成形されており、前記射出成形部の成形材料として、オレフィン系合成樹脂またはオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項4の製造方法によると、請求項3の製造方法の奏する効果に加えて、市場で容易に入手可能な成形材料を用いることができ、且つ、溶着によって良好な接合を得ることができるという効果が得られる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかの製造方法において、前記露出面に、予め熱活性型の接着剤層を形成した前記第一成形部材を用いることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項5の製造方法によると、請求項1から4のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、熱活性型の接着剤を付与することにより、第一成形部材の露出面と射出成形部とが更に強固に接合した成形品を製造することができるという効果が得られる。また、射出成形部の成形材料として第一成形部材の成形材料と相溶性が無い又は乏しい材料を用いる場合であっても、安定した接合を得ることができるという効果が得られる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかの製造方法において、前記第一成形部材とは別の第二成形部材(既成形部材)を該第一成形部材から離した状態で前記射出成形型内の所定位置に載置し、前記射出成形型を閉じたときに該第二成形部材の少なくとも一部を該成形キャビティ内に露出させると共に該露出面を該成形キャビティの成形面の一部分とした状態に保持し、前記第一成形部材と第二成形部材の各露出面の間に前記射出成形部を成形すると共に、該射出成形部を両部材と接合することにより、該射出成形部を介して前記第一成形部材と第二成形部材とを連結することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項6の製造方法によると、請求項1から5のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、別途成形された第一成形部材と第二成形部材の各露出面を射出成形部で接合し、該射出成形部を介して連結することにより、多様な形状の成形品を製造することができるという効果が得られる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6の製造方法において、前記第一成形部材及び前記第二成形部材は、互いに異なる形状の露出面を備えることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項7の製造方法によると、請求項6の製造方法の奏する効果に加えて、互いに異なる形状の露出面を有する第一成形部材と第二成形部材とを射出成形部で接合した成形品(例えば車両用のガラスランチャンネル)を製造することができるという効果が得られる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6又は7の製造方法において、前記第一成形部材及び前記第二成形部材はいずれも長尺材であると共に、各々の長手方向端部に前記露出面が形成されていることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項8の製造方法によると、請求項6又は7の製造方法の奏する効果に加えて、2つの長尺材を用いて各々の長手方向端部を射出成形部で接合し、射出成形部を介して連結することにより、成形品を容易に製造することができるという効果が得られる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項6から8のいずれかの製造方法において、前記第一成形部材及び前記第二成形部材は、前記露出面同士を離し且つそれぞれの露出面の面方向が交差するように載置して略L字形の射出成形部を成形すると共に、該射出成形部を介して前記第一成形部材と第二成形部材とを略L字形に連結することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項9の製造方法によると、請求項6から8のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、射出成形部を介して第一成形部材と第二成形部材とを略L字形に連結された成形品(例えば車両用のガラスランチャンネル)を製造することができるという効果が得られる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1から5のいずれかの製造方法において、前記第一成形部材は長尺材であり、該長尺な第一成形部材の一部が長手方向に沿う所定の長さだけ除去されることにより該第一成形部材の一部が二つに分断されると共に長手方向に沿って所定の間隔を保って対向する二つの露出面が形成され、該二つの露出面の間に前記射出成形部を成形すると共に、該射出成形部を介して第一成形部材の前記分断部を連結することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項10の製造方法によると、請求項1から5のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、第一成形部材の一部を除去して二つに分断した部分に所定形状の射出成形部を成形することができる。即ち、長手方向の任意の場所に所定形状の射出成形部を成形した長尺状の成形品(例えば車両用のL字形に曲ったコーナー部を有するドアオープニングトリム)を製造することができるという効果が得られる。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれかの製造方法において、前記第一成形部材として、ポリマー材料製の押出成形材を用いることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項11の製造方法によると、請求項1から10のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、押出成形によって横断面が一定の形状に成形された部材を第一成形部材として用いた成形品を容易に製造することができるという効果が得られる。
【0019】
また、上記目的を実現するべく、ここで開示される一部に射出成形部を有する成形品を製造する方法において好ましく利用し得る射出成形型を提供する。即ち、請求項12の発明は、開閉可能で、閉じたときに所定形状の成形キャビティが内部に形成される射出成形型であって、該射出成形型は、開いているときに別途成形された第一成形部材を所定位置に載置可能であり、閉じたときに前記載置された第一成形部材の一部が該成形キャビティ内に露出し且つ該露出面が該成形キャビティの成形面の一部分となる状態で該第一成形部材を固定可能であり、前記射出成形型は、前記第一成形部材の露出面に沿う方向であって前記成形キャビティから離れる方向に突出すると共に該成形キャビティと連通する排出キャビティと、前記キャビティ内に加熱して溶融した状態の熱可塑性ポリマー成形材料を射出する射出ゲートとを備え、該ゲートから前記ポリマー成形材料が射出された際に前記露出面に初期に達した所定量の初期成形材料のうち少なくとも前記排出キャビティに対応する部分の初期成形材料を該初期成形材料の射出よりも時間的に後に射出された後期成形材料の射出圧力によって前記排出キャビティ内に流動させて排出させ、該排出された初期成形材料の部分を該初期成形材料よりも温度が高く且つ粘度が低い状態の該後期成形材料で置換することができる射出成形型である。
かかる構成の請求項12の射出成形型によると、請求項1で開示される製造方法を好適に実施することができ、前記第一成形部材の露出面に射出成形部を確実に接合させることができるという効果が得られる。
更に、射出成形型内を初期成形材料が流動する際に、成形キャビティ内に付着する微細なごみ、油、離型剤等の異物を取り込んだ場合であっても、初期成形材料は後期成形材料の射出圧力によって排出キャビティ内に排出されるので、接合強度の低下を招く初期成形材料を排除することができるという効果が得られる。
【0020】
請求項13の発明は、請求項12の射出成形型において、前記第一成形部材の露出面に当接するストッパーが設けられていることを特徴とする射出成形型である。
かかる構成の請求項13の射出成形型によると、請求項12の射出成形型の奏する効果に加えて、第一成形部材の露出面をストッパーに当てることで第一成形部材を所定の位置に正確に位置決めすることができ、第一成形部材の露出面と射出成形部とを正しい位置で安定して接合することができるという効果が得られる。
【0021】
請求項14の発明は、請求項12又は13の射出成形型において、前記排出キャビティは、前記成形キャビティで成形される射出成形部のうち他の部分よりも薄肉に成形される部分に対応するキャビティ部分に連通して配置されていることを特徴とする射出成形型である。
かかる構成の請求項14の射出成形型によると、請求項12又は13の射出成形型の奏する効果に加えて、第一成形部材と射出成形部の接合部分のうち、亀裂が入り易い薄肉部分を形成する部分においても確実に温度が高く且つ粘度が低い状態の後期成形材料を置換することができるという効果が得られる。
【0022】
請求項15の発明は、請求項12から14のいずれかの射出成形型において、前記排出キャビティは、内周壁が型の開方向側が幅広となるテーパー状に形成されていることを特徴とする射出成形型である。
かかる構成の請求項15の射出成形型によると、請求項12から14のいずれかの射出成形型の奏する効果に加えて、排出キャビティに押し出されて固化した成形材料がテーパー状(またはスリバチ状)に形成されるため、型から容易に取り出すことができるという効果が得られる。
【0023】
請求項16の発明は、請求項12から15のいずれかの射出成形型において、前記排出キャビティは、前記成形キャビティ及び前記排出キャビティよりも相対的に小さい容積の絞り流路部を介して該成形キャビティに連通されていることを特徴とする射出成形型である。
かかる構成の請求項16の射出成形型によると、請求項12から15のいずれかの射出成形型の奏する効果に加えて、成形キャビティ及び排出キャビティよりも相対的に小さい容積の絞り流路部を成形材料が通過する際、剪断に伴う剪断熱を発生するため、絞り流路部で成形材料の温度が低下せず、粘度の上昇を防ぐことが可能となる。
【0024】
請求項17の発明は、請求項16の射出成形型において、前記絞り流路部における前記成形材料の流動方向と直交する方向の断面積は、前記排出キャビティにおける該流動方向と直交する断面積よりも小さいことを特徴とする射出成形型である。
かかる構成の請求項17の射出成形型によると、請求項16の射出成形型の奏する効果に加えて、絞り流路部における流動方向と直交する断面積を排出キャビティの該断面積よりも小さくすることにより、成形品の射出成形後、射出成形型から成形品を取り出して排出キャビティ内の固化した成形材料を切断等で成形品から分離して除去する際、容易に分離でき且つ成形品に目立った切り痕が残存しないという効果が得られる。
【0025】
請求項18の発明は、請求項16又は17の射出成形型において、前記絞り流路部は、前記射出成形型を閉じているとき前記成形キャビティを形成する型と対向する側の型に設けられていることを特徴とする射出成形型である。
かかる構成の請求項18の射出成形型によると、請求項16又は17のいずれかの射出成形型の奏する効果に加えて、成形品の成形後、絞り流路部に流れ込んで固化した成形材料と射出成形部との連通部分が射出成形部の外表面と重なり合わない部分に形成されるため、該固化した成形材料を射出成形部から切り離しても成形品に視認される切り痕が発生しないという効果が得られる。
【0026】
また、上記目的を実現するべく、一部に射出成形部を有する成形品を製造する方法において好ましく利用し得る製造装置を提供する。
即ち、請求項19の発明は、所定形状の成形キャビティが内部に形成される開閉可能な射出成形型を用い、該射出成形型を開いているときに別途成形された第一成形部材を載置し、該射出成形型を閉じているときに該第一成形部材の一部を該成形キャビティ内に露出させると共に該露出面を該成形キャビティの成形面の一部分とした状態に保持し、次いで加熱して溶融した状態のポリマー成形材料を射出ゲートから該キャビティ内に射出して充填し、射出成形部を成形すると共に該射出成形部を該第一成形部材の該露出面に一体的に接合する成形品を製造する装置であって、請求項12から18のいずれかに記載の射出成形型と、前記キャビティ内に加熱して溶融した状態のポリマー成形材料を射出するために前記射出成形型に設けられた射出ゲートに、該溶融状態のポリマー成形材料を供給する成形材料供給手段とを備えることを特徴とする製造装置である。
かかる構成の請求項19の製造装置によると、ここで開示される本発明の製造方法を好適に実施することができるという効果が得られる。
【0027】
また、本発明は、請求項20に記載のように、ここで開示されるいずれかの製造方法によって製造されたことを特徴とする、別途成形された第一成形部材の一部に射出成形によって得られた射出成形部が一体的に接合された成形品を提供する。
かかる構成の請求項20の成形品は、別途成形された第一成形部材の一部に、射出成形によって得られた射出成形部が良好に接合され亀裂等が無い成形品である。
【0028】
請求項21の発明は、請求項20に記載の成形品において、前記第一成形部材と前記射出成形部との接合部分において、前記第一成形部材の接合面の形状と、前記射出成形部の接合面の形状とが等しい、請求項20に記載の成形品である。
かかる構成の請求項21の成形品によると、請求項20の成形品の奏する効果に加えて、第一成形部材の接合面と射出成形部の接合面とが等しい形状で相互に接合し、接合部分に段差がなく第一成形部材と射出成形部の縁が滑らかに連結した接合部となっているため、外観の良い成形品を提供できるという効果が得られる。
【0029】
請求項22の発明は、請求項20又は21に記載の成形品において、前記第一成形部材と前記射出成形部との境界部分は、該第一成形部材側から該射出成形部側に連続する平滑面を形成していることを特徴とする成形品である。
かかる構成の請求項22の成形品によると、請求項20又は21の成形品の奏する効果に加えて、第一成形部材と射出成形部との境界部分は凹凸がなく連続して接合しているため、美観に優れた成形品を提供できるという効果が得られる。
【0030】
請求項23の発明は、請求項20から22のいずれかの成形品において、前記成形品の前記第一成形部材と前記射出成形部との接合面は全体に亘って接合強度が均質に接合されていることを特徴とする成形品である。
かかる構成の請求項23の成形品によると、請求項20から22のいずれかの成形品の奏する効果に加えて、美観に優れ、より高品質な成形品であるという効果が得られる。
【0031】
請求項24の発明は、請求項20から23のいずれかの成形品において、前記第一成形部材は、横断面形状の少なくとも一部に薄肉となって突出する部分を有することを特徴とする成形品である。
かかる構成の請求項24の成形品では、請求項20から23のいずれかの成形品の奏する効果に加えて、第一成形部材の露出面と射出成形部とが確実に接合された品質に優れる突出部分を備える成形品を提供できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0033】
ここで開示される製造方法によって製造される「射出成形部を備える成形品」とは、予め押出成形等によって成形された成形材と、その端面(露出面)に接合させた射出成形部とから成り、当該成形品が設置される場所や目的によって様々な形状を備えるものが含まれる。この種の成形品として、例えば、ルーフモールディング、ウェザーストリップ、ガラスランチャンネル、ドアオープニングトリムと呼ばれる自動車外装部品、或いは建築物又は工作物等の部品が挙げられる。
【0034】
以下、本発明の好適な一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明するが、かかる説明は本発明を図面に示したものに限定するものではない。
そこで、射出成形部を備える成形品として、一般的な車両(自動車)に取り付けられるルーフモールディング1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるルーフモールディング1の長手方向端末部の斜視図である。また、図2は、図1中のII−II線断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態にかかるルーフモールディング1は、押出成形により長尺に成形されたルーフモールディング本体部10(本実施形態にかかる第一成形部材)と、該ルーフモールディング本体部10の長手方向端部に形成されたエンドキャップ20(本実施形態にかかる射出成形部)とから構成されている。即ち、図2に示すように、ルーフモールディング1は、ルーフモールディング本体部10の露出面11とエンドキャップ20の接合面22とが接合されて成形された成形品である。
【0035】
図3は、ルーフモールディング本体部10の側面図を示し、図4〜6は、図3中のルーフモールディング本体部10のそれぞれ異なる部位での断面図を示している。
図3及び4に示すように、ルーフモールディング本体部10の横断面形状は、大まかにいって頭部12(翼部)と、脚部14と、張出部16とから成る。
頭部12は、ルーフモールディング1を装着するための図示しない車両に設けられた溝の横幅よりも幅広に形成されている。また、図6に示すように、頭部12の幅方向中心Smの部分の厚さが最も肉厚に成形されている。そして、頭部12の幅方向の先端にいくに従って、S3>S2>S1のように徐々に薄肉となり、頭部12幅方向の端部13a,13bが最も薄肉に形成されている。
一方、図4に示すように、脚部14は、頭部12の中央付近から頭部12の幅方向に対してほぼ垂直に突出するように形成され、該脚部14の下端付近から両幅方向にそれぞれ張り出した張出部16が形成されている。張出部16の幅方向の両先端には、弾発リップ18a,18bがそれぞれ一体に成形されている。
なお、ルーフモールディング1を装着する車両の装着部分の形状に応じて、後述するように該ルーフモールディング本体部10の一部を予め長尺方向に亘って切除し、所望する形状に成形することができる。また、切断後のルーフモールディング本体部10の最先端部分の露出面11に、射出成形によりエンドキャップ20を成形し接合することによって、車両の外観を損なわないような端部を備えるルーフモールディング1が成形される。
【0036】
他方、本実施形態にかかる射出成形部であるエンドキャップ20は、モールディング本体部10の長手方向端部に形成される部材である。図2のルーフモールディングの縦断面図が示すように、縦断面が略L字形に成形され、外周のコーナー部は緩やかな曲線を備える部材であり、ルーフモールディング本体部10の頭部12の露出面11と滑らかに接合している。また、ルーフモールディング本体部10の接合面(露出面)11の形状と、エンドキャップ20の接合面22の形状とが等しく、図1が示すように、ルーフモールディング本体部端縁17とエンドキャップ端縁21が滑らかに連続して接合している。そして、当該境界部分は、ルーフモールディング本体部10からエンドキャップ20側に連続する平滑面を形成している。
【0037】
図7は、本発明の一実施形態にかかるルーフモールディング1を成形するための射出成形型の平面図である。また、図8及び図9は、それぞれ図7中のVIII−VIII線,IX−IX線断面図である。以下、図7〜9を参照しつつ、上述のルーフモールディング1を製造する方法を、本発明にかかる好適な製造方法の一例として説明するが、本発明を図面に示す形態に限定することを意図したものではない。
また、本発明により提供される射出成形部を備える成形品の製造方法は、(1)排出キャビティを備える射出成形型を用意し、既成形部材(第一成形部材)を射出成形型の所定位置に載置する工程、(2)型を閉じ、加熱して溶融した液状の成形材料を射出ゲートから成形キャビティに射出し充填する工程、(3)成形材料を第一成形部材の露出面に圧接させたまま所定の時間維持し、第一成形部材の露出面に射出成形部を接合する工程、及び(4)排出キャビティに排出されて固化した成形材料を成形品から分離して除去する工程、を包含する。これらを具備する限りにおいて一般的な射出成形法と同様、他の種々の工程を含み得る。典型的には、射出成形型を加熱する工程及び/又は冷却する工程、型を開いて製品を取り出す工程、射出装置から型への成形材料供給工程、等を包含する。
尚、かかる製造方法を実施するために使用される装置は、射出成形部の成形材料を供給する手段としてのインジェクションノズル59(図8参照)と、後述する射出成形型30を備える一般的な射出成形機を使用することができる。従って、トグル式、油圧式等の型締装置と、スクリュー式、プランジャ式等の射出装置とを備えた一般的な射出成形機を使用することができる。
【0038】
はじめに、本発明にかかる成形品の製造方法を実現するために好適な射出成形型について説明する。
本発明にかかる射出成形型30は、開閉可能な一対の型32,34と、射出成形装置のインジェクションノズル59を挿入するためのロケートリング58が備えられている。一対の型32,34は、固定式の下型32と、型閉じによって内部に所定の成形キャビティ40を形成する可動式の上型34とから構成される。そして、図7〜図9に示すように、該射出成形型30の下型32と上型34の内面(分割面)には、型を閉じたとき、大まかにスプルー56、射出ゲート42、成形キャビティ40、排出キャビティ48、及び絞り流路部46がそれぞれ形成される。そして、該成形キャビティ40に隣接するようにしてルーフモールディング本体部10を載置する載置部44が設けられている。また、ルーフモールディング本体部10を載置する際に正確な位置に載置するためのストッパー52(位置決め突起)が下型32に設けられている。
尚、本明細書において用いる「上型」及び「下型」とは、内部に所望するキャビティを形成し得る射出成形型を構成する一対の型構成部材をいう用語であり、特に形状によって限定するものではない。一般的には、固定側の型板を含むものを下型、可動側の型板を含むものを上型というが、この態様に限定されない。
【0039】
本実施形態にかかる射出成形型30には、加熱して溶融された液状のポリマー成形材料を該成形キャビティ40内に射出するための経路であるスプルー56と射出ゲート42が備えられている。該射出ゲート42は、排出キャビティ48とは離れた位置で成形キャビティ40の下型32側に設けられている(図8参照)。これにより、加熱されたポリマー成形材料が射出されて成形されるエンドキャップ20の射出ゲート跡が目視されない位置となる。
【0040】
また、射出成形型30には、該型30を閉じたとき、所定形状のエンドキャップ20(射出成形部)が形成されるように、上型34に成形キャビティ40が形成される。該成形キャビティ40内に充填されて固化した成形材料によってエンドキャップ20が形成される。
【0041】
而して、該射出成形型30には、ルーフモールディング本体部10の露出面11とエンドキャップ20とが接合される境界面に沿う方向であって、上記成形キャビティ40から離れる方向に突出すると共に、成形キャビティ40に連通するように排出キャビティ48が設けられている。また、該排出キャビティ48は、上記成形キャビティ40で成形されるルーフモールディング本体部10の頭部端部13a,13bの薄肉部分に対応する成形キャビティ40部分に連通して配置されている。
尚、排出キャビティ48は、射出成形型30の開方向側に幅広となるテーパー状になるように設けることが好ましい。排出キャビティ48内に押し出されて固化した成形材料を射出成形型30から容易に取り出すことができるためである。
【0042】
上記排出キャビティ48は、成形キャビティ40に連通した絞り流路部46を介して配置される。該絞り流路部46は好ましくは下型32の分割面にのみ凹溝状に形成され、成形キャビティ40及び排出キャビティ48よりも相対的に小さい容積を備える。そして、射出ゲート42から成形キャビティ40内に射出された成形材料の流動方向と直交する方向の絞り流路部46の横断面積は、排出キャビティ48における流動方向と直交する断面積よりも相対的に小さく形成されている。
これにより、上記構造を備える絞り流路部46に成形材料が流れ込むときに、剪断熱を発生させ成形材料が加熱する。その結果、剪断熱により加熱された成形材料は粘度の上昇が抑制され、スムーズに排出キャビティ48に押し出される。また、排出キャビティ48内で固化した成形材料を断面積の小さい絞り流路部46に相当する部分で成形品から容易に分離することができる。
尚、排出キャビティ48及び絞り流路部46は、成形キャビティ40を形成する型と対向する側の型に形成されていることが好ましい。本実施形態においては、排出キャビティ48及び絞り流路部46は、下型32に形成されている。これにより、排出キャビティ48内で固化した成形材料を成形品から切り離して除去する際、絞り流路部46に流れ込んで固化した成形材料は成形キャビティ40で成形されるエンドキャップ20の外表面と重なりあわない部分(エンドキャップ20の裏面側)に形成されるため、切り離した後も外部から視認される切り痕が発生しない。
【0043】
ここで、射出成形部と接合させる第一成形部材としては、本発明を特徴付けるものではなく、例えばポリマー材料製の既成の押出成形部材を用いることができる。また、かかる押出成形部材は、横断面が同一の長尺状の成形部材であればよく、従来公知の種々の押出成形法によって製造されたものを用いることができる。従って、第一成形部材全体を一つの成形材料で成形されたものの他、部分毎に異なる成形材料を用いて共押出成形されたものでも特に制限はない。
第一成形部材のポリマー材料としては、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、又は、熱可塑性合成樹脂(例えばPVC)等の弾性ポリマーが挙げられる。特に、EPDMを主体とする軟質ゴム(ソリッドゴム)、又はオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、若しくはオレフィン系合成樹脂等の押出成形部材が好ましく用いられる。
尚、図1〜5に示すように、強度保持のためと、特定範囲内での伸びを許容し、前記範囲を超える伸びを阻止するために脚部の幅方向ほぼ中央には、平板状の芯材19(典型的にはスチール又はステンレス製の薄板材)が長手方向に亘って埋設されている。
【0044】
一方、射出成形部の好適な成形材料としては、接合する第一成形部材のポリマー材料と熱溶着可能なポリマーが挙げられる。例えば、上述の第一成形部材と同一の成形材料(弾性ポリマー成形材料)を用いてもよく、或いは熱溶着可能(相溶性を有する)であれば異なるポリマー成形材料を用いることもできる。
熱溶着可能なポリマー成形材料としては、ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、又は、熱可塑性合成樹脂、等を主体とするポリマー成形材料が挙げられる。特に、微小な薄肉部分に密に充填することが容易であるという観点から、分子構造の規則性が高く体積が密になり易い結晶性ポリマー材料が好ましい。
かかる結晶性ポリマーの好適例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)等のエンジニアリング樹脂が挙げられる。特に、溶融状態で樹脂粘度が低く保たれ良好な流動性が得られるPP、POM、PA、PBT、PPS、PEEK等が好ましい。
また、環境に対する配慮からは塩素等のハロゲンを含まない樹脂が好ましく、リサイクル性等の観点からはオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が好適である。ハードセグメントとしてはオレフィン系のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ−1−ペンテン等が挙げられる。また、かかるソフトセグメントとしては、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等を用いることが可能である。ハードセグメントとして二種以上の重合体を含有してもよく、ソフトセグメントについても同様である。
【0045】
次に、本発明である成形品の製造方法を好適に実施する一実施形態を図面を参照しながら説明する。但し本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
始めに、図3〜図6に示すような形状にルーフモールディング本体部10を切断し、エンドキャップ20と接合させる露出面11を形成する。まず、ルーフモールディング本体部10の長手方向の一方の端部であって、図5に示すように弾発リップ18a,18bを含む全ての張出部16を切除する。更に、長手方向の最先端部分は、全ての脚部14から下部を切除し、図6に示すように、頭部12のみを残す。従って、ルーフモールディング本体部10の露出面11は頭部12断面となる。頭部12の断面は上述したように、幅方向中心Smの部分の厚さが最も肉厚に成形され、頭部12の幅方向の先端にいくに従って、S3>S2>S1の順に徐々に薄くなる。これにより、頭部12の幅方向の端部13a,13bが最も薄肉となって突出した形状を備えている。
尚、図示していないが、長手方向の他方の端部においても全ての張出部16を切除し、さらに最先端部分においては脚部14を全て切除する。
そして、射出成形型30を開き、切徐した該ルーフモールディング本体部10の露出面11、即ち頭部12の露出面11がエンドキャップ20の接合面22と一体的に接合されるように、ルーフモールディング本体部10の露出面11を成形キャビティ40の端面側に露出させて載置する。このとき、下型32に設けられた凸部33にルーフモールディング本体部10の切断面を押し当てるようにして載置すると位置ずれを防ぐことができる(図8参照)。
更に、切断したルーフモールディング本体部10をルーフモールディング本体部10の露出面11に当接するように設けられたストッパー52にルーフモールディング本体部10の露出面11を当てることによって、ルーフモールディング本体部10の露出面11を成形型30の成形キャビティ40及び排出キャビティ48に対して所定の位置に正確に位置決めして載置することができ、後工程でルーフモールディング本体部10の露出面11とエンドキャップ20の接合面22とを正しい位置で安定して接合することができる(図7,8参照)。
【0046】
次に、ルーフモールディング本体部10を下型32の載置部44に載置した後、可動側の上型34を閉じて、加熱して溶融した液状の成形材料を射出ゲート42から成形キャビティ40に射出して充填する。
図10は、加熱し溶融した熱可塑性ポリマー材料が射出ゲート42から成形キャビティ40内に射出された直後の成形材料(以後、初期成形材料という。)の流動方向、露出面11での温度(Tm,T3,T2,T1)、及び露出面11に作用する圧力(Pm,P3,P2,P1)を模式的に表したものである。尚、成形キャビティ40内のベクトルは、初期成形材料の流動方向を示し、ルーフモールディング本体部10の露出面11からのベクトルは、成形材料が露出面に及ぼす圧力の大きさを示す。また、網掛け部分は、このときの初期成形材料の滞留場所を示す。
まず、溶融温度以上に加熱された温度Tmの液状の熱可塑性ポリマー成形材料が、スプルー56を介して所定の射出圧力で射出ゲート42から成形キャビティ40内に射出される。成形キャビティ40内に射出された初期成形材料は、射出ゲート42を中心として成形キャビティ40内を略放射状に広がって流動する。略放射状に広がった初期成形材料は、射出開始から数分の一秒乃至数秒(或いはそれ以下)のうちにルーフモールディング本体部10の幅方向中央部分の露出面11に到達する。その後、徐々に露出面11の幅方向端部13a,13b(図6参照)を形成するキャビティ部分に向かって流動する。
初期成形材料は流動途中で射出成形型30に熱を奪われるため、ルーフモールディング本体部10の露出面11に達したときにはポリマー成形材料の温度は射出ゲート42の位置の温度よりも低下している。また、温度低下した成形材料は、粘度が高くなり、流動性も低下している。従って、射出ゲート42から最も離れた頭部端部13a,13bを形成するキャビティ部分における成形材料の温度T1は、他の部分の温度Tm、T3、T2に比べて低くなる。
更に、頭部端部13a,13bを形成するキャビティ部分では、温度低下に伴う粘度上昇による圧力損失によりルーフモールティング本体部10の露出面11に成形材料が到達したときに圧力も低下し、他の部分の各圧力Pm、P3、P2に比べてもP1の圧力が最も小さくなる。
その結果、図5及び図6に示す頭部端部13a,13bに相当するS1部分では他の部分(Sm、S3、S2)よりも薄肉形状であるため、前記薄肉部分では、ポリマー成形材料が接合に必要な熱を有さず、また、圧力も低下しているので薄肉の先端まで行き亘りにくい。
【0047】
図11は、更にポリマー成形材料が射出ゲート42から引き続き成形キャビティ40に射出され、初期成形材料が排出キャビティ48内に押し出されたときの成形材料(以後、後期成形材料という。)の露出面11に作用する圧力(Pm,P13,P12,P11)及び露出面11での温度(Tm,T13,T12,T11)を模式的に矢印で表したものである。尚、ルーフモールディング本体部10の露出面11からの矢印の長さはベクトルを示し、後期成形材料が露出面11に及ぼす圧力と温度を矢印の長さの長短で示す。また、網掛け部分は温度が低下した初期成形材料の滞留場所を示している。
上述した頭部端部13a,13bを形成するキャビティ部分に到達した初期成形材料は固化する前の流動可能なときに、時間的に後に射出された温度が高く且つ粘度が低い後期成形材料の射出圧力によって、排出キャビティ48に押し出される。このとき、成形キャビティ40及び排出キャビティ48よりも小さい容積の絞り流路部46を通過することによって排出される成形材料には剪断熱が生じる。これにより、絞り流路部46を通過する成形材料の温度が上昇し、これに伴い初期成形材料は粘度が低下して排出キャビティ48にスムーズに排出される。
また、ルーフモールディング本体部10の露出面11付近の初期成形材料が排出キャビティ48に押し出されるため、ルーフモールディング本体部10の露出面11及びその近傍では初期成形材料は後期成形材料に置き換えられる。従って、このとき各部分の温度(T11、T12、T13)はそれぞれ置き換えられた高温の後期成形材料によって高くなり、図10の場合(即ち、排出キャビティ48内に初期成形材料が排出される前)と比較して、T11>T1,T12>T2,T13>T3、と成形材料の温度は高くなる。また、Tm,T13,T12,T11の各々の温度の差も縮まっている。さらに、このときの各部分の露出面11にかかる圧力も温度と同様に、P11>P1、P12>P2、P13>P3、といずれも図10の状態より高くなる。
従って、図11に示すように、本発明にかかる製造方法によると、初期成形材料が排出キャビティ48内に押し出されるため、露出面11に接合するのに十分な熱と圧力を保持する後期成形材料がルーフモールディング本体部10の露出面11に到達することが可能となる。これにより、ルーフモールディング本体部10の露出面11とエンドキャップ20の接合面22において良好な接合が実現する。
また、初期成形材料は成形キャビティ内40のごみや油等を付着することがあり、この場合には異物が付着した初期成形材料で射出成形部が形成されると接合面の接合強度が低下する。しかしながら、本発明にかかる製造方法によると、初期成形材料がごみや油を付着していない後期成形材料に置換されるので、高い接合強度が実現される。
尚、ルーフモールディング本体部10の成形材料とエンドキャップ20の成形材料が相溶性を有していないか、又は相溶性に乏しいときには接合する露出面11に予め熱活性型の接着剤層を付与すると良い。これにより、加熱され溶融した液状の成形材料が露出面に到達すると、露出面に形成された接着剤が該成形材料の熱で活性化され強力な粘着力を発揮することができる。
【0048】
このようにして、成形キャビティ40内に成形材料を充填した後、該成形材料をルーフモールディング本体部10の露出面11に圧接させたまま所定の時間維持して(典型的には保圧状態を保ったまま型30を冷却して)、成形キャビティ40内のポリマー成形材料を固化させる。
固化した後に上型34を移動させて型開きし、成形キャビティ40内に形成されたエンドキャップ20と、排出キャビティ48及び絞り流路部46に流れ込んだ成形材料とを共に下型32から取り出す。取り出す際に、下型32の本体を貫通して設けられた突き出しピン54(イジェクター)(図9参照)の先端を成形されたエンドキャップ20の裏面に押し当てることにより、容易に突き出すことができる。尚、突出ピン54は成形キャビティ40及び排出キャビティ48に各々設けることにより、それぞれのキャビティで固化した成形材料を同時に下型32から取出すことができる。
【0049】
取り出した後、絞り流路部46及び排出キャビティ48に対応する部分で固化した成形材料をエンドキャップ20から切断等で分離して除去する。絞り流路部46は成形キャビティ40が成形される型(上型34)と対向する側の型(下型32)に設けられているため、絞り流路部46に対応する部分で固化した成形材料はエンドキャップ20の外表面と連結していない。従って、エンドキャップ20との境界部分で前記絞り流路部46に対応する部分の成形材料を切断すれば切徐跡が外部から目視されず見える位置に残らず美観に優れたルーフモールディング1が製造される。
【0050】
上述の本発明にかかる製造方法により製造されたルーフモールディング1は、ルーフモールディング本体部10の露出面11に十分な熱と圧力を有する後期成形材料が射出され、特に最も薄肉の突出した部分である頭部端部13a,13bまで後期成形材料が行き亘るため、亀裂のない強固な接合が形成される。これにより、高品質なルーフモールディング1が得られる。
また、図1及び図2に示すように、ルーフモールディング本体部10の接合面11の形状と、エンドキャップ20の接合面22の形状とが等しく、当該境界部分は、ルーフモールディング本体部10からエンドキャップ20側に連続する平滑面を形成する。そして、ルーフモールディング本体部端縁17とエンドキャップ端縁21が滑らかに連続して接合した美観に優れたルーフモールディング1が得られる。
【0051】
以上、ルーフモールディング1を例としてその製造方法と装置について説明したが、本発明は本実施形態に限るものではない。例えば、ガラスランチャンネル70又はドアオープニングトリム90など、成形品の一部に射出成形部を備える種々の部材を製造することができる。以下、これらの例として、ガラスランチャンネル70及びドアオープニングトリム90を製造する方法について説明する。
【0052】
本発明にかかる製造方法によって得られる成形品の他の好適な一例として、ガラスランチャンネル70が挙げられる。図12は、本発明の一実施形態により製造されたガラスランチャンネルの部分斜視図である。ガラスランチャンネル70(ガラスラン、ランチャンネル、ランチャン、窓板案内部材等とも呼称される。)は、車体のスライドドア、フロントドア、リアドア等のドアパネル本体の上側に設けられる窓枠に装備される部材である。車体の窓枠の内部のガラスランチャンネル装着溝に装着され、窓板の昇降を案内するのに用いられる。
本実施形態にかかるガラスランチャンネル70は、図12に示すように、略L字形の形状を備える射出成形部76を備え、該射出成形部76の長手方向の両端に、別途成形された既成の長尺状の第一成形部材72と、別途成形された既成の長尺状の第二成形部材74とが接合している成形品である。また、ガラスランチャンネル70は、底部と底部の幅方向両側から突出する両側壁部とを有する横断面形状が略U字に形成され、両側壁部の底部側の外部側に係合リップ77と、両側壁部の突出側の内部側に遮蔽リップ78が形成され、内部側にシールリップ79が形成されている。
かかるガラスランチャンネル70の製造方法は、まず、第一成形部材72と、第二成形部材74の端末同士を所定の寸法だけ離した状態で略L字形に交差させて射出成形型内の所定位置に載置する。射出成形型を閉じたときに、第一成形部材72と第二成形部材74のそれぞれの長手方向の端末の露出面が成形キャビティの成形面の一部分を形成する。また、薄肉の突出部、即ち係合リップ77a〜77d、遮蔽リップ78a〜78dに対応する位置に排出キャビティ80(図12では78aに対応する位置のみに排出キャビティを記載したが、必要なときは他の77a〜77d,78b〜78dに対応する位置にも同様。)を設けることができる。
次いで、第一成形部材72と第二成形部材74の各露出面の間の成形キャビティに成形材料を射出して射出成形部76を成形すると共に射出成形部76によって第一と第二の成形部材72,74を接合する。第一成形部材72と第二成形部材74とを連結し、ガラスランチャンネル70を成形することができる。その他の工程は、上述のルーフモールディング1の製造方法と同様の手段(例えば、射出成形型及び射出成形装置の用意、等)を用いることができる。
尚、上記射出成形部76と連結する第一成形部材72と第二成形部材74は、いずれも長尺材であって、従来用いられる押出成形等により製造した部材を用いることができる。更に、第一成形部材72と第二成形部材74の横断面形状(露出面の形状)は互いに異なる形状であっても、各露出面にそれぞれ対応する成形キャビティ形状を備える射出成形型を用いることにより、ガラスランチャンネル70を製造することができる。
【0053】
また、本発明にかかる製造方法によって得られる成形品の他の好適な一例として、長尺状の第一成形部材92の一部を長手方向で所定寸法だけ切除し、切除によって形成された露出面を射出成形部94によって連結したドアオープニングトリム90が挙げられる。図13は、本発明の一実施形態により製造されたドアオープニングトリムの部分斜視図である。
本実施形態にかかるドアオープニングトリム90は、図13に示すように、直線状に押出成形された素材のシールリップ96を長手方向に所定寸法に切徐した後に前記切除部分を略L字形に曲げた状態で射出成形型に載置し、曲ったコーナー部のシールリップ96が射出成形部94によって連結された長尺状の部材である。その横断面形状は、略U字形のトリム部98と、該トリム部98から外方に向かって薄肉に形成されたシールリップ96と、該トリム部98から内方に突出した4つの保持リップ99とから成る。また、トリム部98の内部には、長手方向に亘って形態保持のため金属性の芯材93が埋設されている。
かかるドアオープニングトリム90の製造方法は、まず、芯材93とともに長尺状に押出成形された直線状の第一成形部材92のコーナー部におけるシールリップ96の一部を長手方向に沿って所定の長さだけ除去し、コーナー部のトリム部98を所定の曲率半径で円弧状に曲げた状態で射出成形型に載置する。射出成形型を閉じたとき、第一成形部材92の除去されたシールリップ96の露出面が成形キャビティの成形面の一部分となる。また、成形部材の露出面のうち薄肉の突出部、即ちシールリップ96の各々の露出面96a,96bに対応する位置に排出キャビティ100(図13では96aに対応する位置のみに排出キャビティを記載したが、必要なときは96bも同様。)を設ける。
次いで、射出成形によってシールリップ96の射出成形部94を成形すると共に前記露出面96a,96bを射出成形部94で接合することにより、滑らかな接合部を有するドアオープニングトリム90を製造することができる。尚、その他の工程は、上述のルーフモールディング1の製造方法と同様の手段を用いることができる。
【0054】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態にかかるルーフモールディングの長手方向端末部の斜視図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるルーフモールディング本体部の側面図である。
【図4】図3中のIV−IV線断面図である。
【図5】図3中のV−V線断面図である。
【図6】図3中のVI−VI線断面図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる射出成形型の平面図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7中のIX−IX線断面図である。
【図10】成形材料が射出ゲートから成形キャビティ内に射出充填された直後で排出キャビティに排出される前の成形材料の流動方向、温度及び露出面に作用する圧力を模式的に表したものである。
【図11】成形材料が射出ゲートから成形キャビティに射出充填された後に排出キャビティ内に成形材料が排出されたときの成形材料の温度及び露出面に作用する圧力を模式的に表したものである。
【図12】本発明の一実施形態にかかるガラスランチャンネルの部分斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態にかかるドアオープニングトリムの部分斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ルーフモールディング
10 ルーフモールディング本体部(第一成形部材)
11 ルーフモールディング本体部の露出面
12 頭部
13a,13b 頭部端部
14 脚部
16 張出部
17 ルーフモールディング本体部の端縁
18a,18b 弾発リップ
19 芯材
20 エンドキャップ(射出成形部)
21 エンドキャップ端縁
22 エンドキャップ接合面
30 射出成形型
32 射出成形型下型
33 射出成形型下型凸部
34 射出成形型上型
40 成形キャビティ
42 射出ゲート
44 第一成形部材載置部
46 絞り流路部
48 排出キャビティ
52 ストッパー
54 突出ピン
56 スプルー
58 ロケートリング
59 インジェクションノズル
70 ガラスランチャンネル
72 ガラスランチャンネル第一成形部材
74 ガラスランチャンネル第二成形部材
76 ガラスランチャンネル射出成形部
77 係合リップ
78 遮蔽リップ
79 シールリップ
80 排出キャビティ(ガラスランチャンネル)
90 ドアオープニングトリム
92 ドアオープニングトリム第一成形部材
93 トリム部芯材
94 ドアオープニングトリム射出成形部
96 シールリップ
98 トリム部
99 保持リップ
100 排出キャビティ(ドアオープニングトリム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状の成形キャビティが内部に形成される開閉可能な射出成形型を用い、該射出成形型を開いているときに別途成形された第一成形部材を前記射出成形型内の所定位置に載置し、該射出成形型を閉じたときに該第一成形部材の一部を該成形キャビティ内に露出させると共に該露出面を該成形キャビティの成形面の一部分とした状態に保持し、次いで加熱して溶融した状態の熱可塑性ポリマー成形材料を射出ゲートから該キャビティ内に射出して充填し、射出成形部を成形すると共に該射出成形部を該第一成形部材の該露出面に一体的に接合する成形品を製造する方法であって、以下の工程:
(a).前記射出成形型として、該成形型の内部に前記第一成形部材の露出面と前記射出成形部とが接合される境界面に沿う方向であって前記成形キャビティから離れる方向に突出すると共に該成形キャビティと連通する排出キャビティが形成されている射出成形型を用意する工程;
(b).加熱して溶融した液状の前記成形材料を所定の射出圧力で前記射出ゲートから前記成形キャビティに射出して充填し、前記射出成形部を成形する工程、ここで、前記境界面の少なくとも前記排出キャビティに対応する部分の露出面に初期に達した所定量の初期成形材料を、該初期成形材料の射出よりも時間的に後に射出された後期成形材料の射出圧力によって前記排出キャビティ内に流動させて排出し、該排出された初期成形材料の部分では該初期成形材料よりも温度が高く且つ粘度が低い状態の該後期成形材料で置換する;
(c).前記後期成形材料を前記第一成形部材の露出面に圧接させたまま所定の時間維持し、該後期成形材料の圧力及び/又は熱を該露出面に作用させ、該第一成形部材の露出面に該後期成形材料からなる前記射出成形部を接合する工程;および
(d).前記排出キャビティに排出された成形材料を前記接合された成形品から分離して除去する工程;
を包含する、一部に射出成形部を有する成形品を製造する方法。
【請求項2】
前記排出キャビティは、絞り流路部を介して前記成形キャビティに連通されており、該絞り流路部を通過して排出される前記初期成形材料の剪断に伴う剪断熱を発生させる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記射出成形部の成形材料として、前記第一成形部材と熱溶着可能なポリマー成形材料を用い、熱溶着により前記第一成形部材の露出面と該射出成形部とを接合する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第一成形部材は、ゴム、オレフィン系合成樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性エラストマーから成る群から選択される少なくとも一種から成形されており、
前記射出成形部の成形材料として、オレフィン系合成樹脂またはオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記露出面に、予め熱活性型の接着剤層を形成した前記第一成形部材を用いる、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記第一成形部材とは別の第二成形部材を該第一成形部材から離した状態で前記射出成形型内の所定位置に載置し、前記射出成形型を閉じたときに該第二成形部材の少なくとも一部を該成形キャビティ内に露出させると共に該露出面を該成形キャビティの成形面の一部分とした状態に保持し、
前記第一成形部材と第二成形部材の各露出面の間に前記射出成形部を成形すると共に、該射出成形部を両部材と接合することにより、該射出成形部を介して前記第一成形部材と第二成形部材とを連結する、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記第一成形部材及び前記第二成形部材は、互いに異なる形状の露出面を備える、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第一成形部材及び前記第二成形部材はいずれも長尺材であると共に、各々の長手方向端部に前記露出面が形成されている、請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第一成形部材及び前記第二成形部材は、前記露出面同士を離し且つそれぞれの露出面の面方向が交差するように載置して略L字形の射出成形部を成形すると共に、該射出成形部を介して前記第一成形部材と第二成形部材とを略L字形に連結する、請求項6から8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記第一成形部材は長尺材であり、該長尺な第一成形部材の一部が長手方向に沿う所定の長さだけ除去されることにより該第一成形部材の一部が二つに分断されると共に長手方向に沿って所定の間隔を保って対向する二つの露出面が形成され、該二つの露出面の間に前記射出成形部を成形すると共に、該射出成形部を介して第一成形部材の前記分断部を連結する、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記第一成形部材として、ポリマー材料製の押出成形材を用いる、請求項1から10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
開閉可能で、閉じたときに所定形状の成形キャビティが内部に形成される射出成形型であって、
該射出成形型は、開いているときに別途成形された第一成形部材を所定位置に載置可能であり、閉じたときに前記載置された第一成形部材の一部が該成形キャビティ内に露出し且つ該露出面が該成形キャビティの成形面の一部分となる状態で該第一成形部材を固定可能であり、
前記射出成形型は、前記第一成形部材の露出面に沿う方向であって前記成形キャビティから離れる方向に突出すると共に該成形キャビティと連通する排出キャビティと、前記キャビティ内に加熱して溶融した状態の熱可塑性ポリマー成形材料を射出する射出ゲートとを備え、該ゲートから前記ポリマー成形材料が射出された際に前記露出面に初期に達した所定量の初期成形材料のうち少なくとも前記排出キャビティに対応する部分の初期成形材料を該初期成形材料の射出よりも時間的に後に射出された後期成形材料の射出圧力によって前記排出キャビティ内に流動させて排出させ、該排出された初期成形材料の部分を該初期成形材料よりも温度が高く且つ粘度が低い状態の該後期成形材料で置換することができる射出成形型。
【請求項13】
前記第一成形部材の露出面に当接するストッパーが設けられている、請求項12に記載の射出成形型。
【請求項14】
前記排出キャビティは、前記成形キャビティで成形される射出成形部のうち他の部分よりも薄肉に成形される部分に対応するキャビティ部分に連通して配置されている、請求項12又は13に記載の射出成形型。
【請求項15】
前記排出キャビティは、内周壁が型の開方向側が幅広となるテーパー状に形成されている、請求項12から14のいずれかに記載の射出成形型。
【請求項16】
前記排出キャビティは、前記成形キャビティ及び前記排出キャビティよりも相対的に小さい容積の絞り流路部を介して該成形キャビティに連通されている、請求項12から15のいずれかに記載の射出成形型。
【請求項17】
前記絞り流路部における前記成形材料の流動方向と直交する方向の断面積は、前記排出キャビティにおける該流動方向と直交する断面積よりも小さい、請求項16に記載の射出成形型。
【請求項18】
前記絞り流路部は、前記射出成形型を閉じているとき前記成形キャビティを形成する型と対向する側の型に形成されている、請求項16又は17に記載の射出成形型。
【請求項19】
所定形状の成形キャビティが内部に形成される開閉可能な射出成形型を用い、該射出成形型を開いているときに別途成形された第一成形部材を載置し、該射出成形型を閉じているときに該第一成形部材の一部を該成形キャビティ内に露出させると共に該露出面を該成形キャビティの成形面の一部分とした状態に保持し、次いで加熱して溶融した状態のポリマー成形材料を射出ゲートから該キャビティ内に射出して充填し、射出成形部を成形すると共に該射出成形部を該第一成形部材の該露出面に一体的に接合する成形品を製造する装置であって、
請求項12から18のいずれかに記載の射出成形型と、
前記キャビティ内に加熱して溶融した状態のポリマー成形材料を射出するために前記射出成形型に設けられた射出ゲートに、該溶融状態のポリマー成形材料を供給する成形材料供給手段と、
を備える、製造装置。
【請求項20】
請求項1から11のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、別途成形された第一成形部材の一部に射出成形によって得られた射出成形部が一体的に接合された成形品。
【請求項21】
前記第一成形部材と前記射出成形部との接合部分において、前記第一成形部材の接合面の形状と、前記射出成形部の接合面の形状とが等しい、請求項20に記載の成形品。
【請求項22】
前記第一成形部材と前記射出成形部との境界部分は、該第一成形部材側から該射出成形部側に連続する平滑面を形成している、請求項20又は21に記載の成形品。
【請求項23】
前記成形品の前記第一成形部材と前記射出成形部との接合面は全体に亘って接合強度が均質に接合されている、請求項20から22のいずれかに記載の成形品。
【請求項24】
前記第一成形部材は、横断面形状の少なくとも一部に薄肉となって突出する部分を有する、請求項20から23のいずれかに記載の成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−248448(P2009−248448A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99250(P2008−99250)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】