説明

射出成形金型装置

【課題】可動側型及び固定側型の開動作に連動してサイドゲートをカットする機構において、成形品に生じるバリを小さくしてサイドゲートをカットすることができる射出成形金型装置を提供することを課題とする。
【解決手段】射出成形金型装置1は、第1ランナ部11R、第1ランナ部11Rと連通したサイドゲート部11G、サイドゲート部11Gと連通したキャビティ部C、を有すると共に、サイドゲート部11Gからキャビティ部Cへの方向とは交差する方向に開閉する可動側型20及び固定側型10と、第1ランナ部11Rと連通した第2ランナ部52Rを有すると共に、キャビティ部Cからサイドゲート部11Gへの方向に移動することによりキャビティ部C内の成形品Dから第1ランナ部11R及び第2ランナ部52R内の成形部材R1、R2を分離するゲートカット部50と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、射出成形により成形品を成形する射出成形金型装置が知られている(特許文献1参照)。このような射出成形金型装置は、可動側型及び固定側型を備えている。可動側型及び固定側型には、ランナ部、サイドゲート部、キャビティ部を有したものがある。サイドゲート部は、キャビティ部に所定方向から材料を射出する。可動側型及び固定側型は、前記所定方向とは交差する方向に開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−112339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
材料の硬化後に、サイドゲート部内の成形部材をカットすることにより、キャビティ部内の成形品からランナ部内の成形部材から分離させることができる。可動側型及び固定側型の開動作に連動して、このようなゲートカットを行なう機構を備えた射出成形金型装置がある。
【0005】
しかしながら、サイドゲート部内の成形部材を可動側型及び固定側型の開閉方向に破断すると、成形品側に破断面はせん断面となり、成形品に大きなバリが発生する恐れがある。特に、せん断面に平行な方向に延びたバリが生じやすくなる。
【0006】
そこで本発明は、可動側型及び固定側型の開動作に連動してサイドゲートをカットする機構において、成形品に生じるバリを小さくすることができる射出成形金型装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、第1ランナ部、前記第1ランナ部と連通したサイドゲート部、及び前記サイドゲート部と連通したキャビティ部、を有すると共に、前記サイドゲート部から前記キャビティ部への方向とは交差する方向に開閉する可動側型及び固定側型と、前記第1ランナ部と連通した第2ランナ部を有すると共に、前記キャビティ部から前記サイドゲート部への方向に移動することにより前記キャビティ部内の成形品から前記第1及び第2ランナ部内の成形部材を分離するゲートカット部と、を備えた射出成形金型装置によって達成できる。
【0008】
ゲートカット部がキャビティ部からサイドゲート部への方向に移動することにより、第1及び第2ランナ部内の成形部材はキャビティ部内の成形品から分離する。これにより、サイドゲート内の成形部材は引っ張りにより破断するので、キャビティ部内の成形品の破断面にはバリが生じにくくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、可動側型及び固定側型の開動作に連動してサイドゲートをカットする機構において、成形品に生じるバリを小さくしてサイドゲートをカットすることができる射出成形金型装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の射出成形金型装置の部分断面。
【図2】実施例1の射出成形金型装置の部分断面。
【図3】キャビティ部内に形成された成形品と、第1ランナ部内に形成された成形部材と、ゲートカット部内に形成された成形部材とを示した図。
【図4】可動側型が開いた状態での固定側型側の斜視図。
【図5】実施例2の射出成形金型装置の部分断面図。
【図6】実施例2の射出成形金型装置の部分断面図。
【図7】可動側型が開いた状態での固定側型側の斜視図。
【図8】固定側取付板を示した図。
【図9】閉状態にある固定金型および可動金型を図8に示すOF−OF線に沿って断面にした図。
【図10】閉状態にある固定金型および可動金型を図8に示すZ−O−AS線に沿って断面にした図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照にして複数の実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1、図2は、実施例1の射出成形金型装置1の部分断面図である。図1、図2は、固定側型と可動側型とが閉じた閉状態を示している。尚、図2においては、詳しくは後述するゲートカット部50が移動した状態を示している。
【0013】
図1、図2に示すように、射出成形金型装置1は、固定金型2、可動金型3を含む。固定金型2は、固定側取付板110、ランナー突出板120、ランナープレート137、可動部材133、ゲートブッシュ70、固定側型10、成形品突出しピン30、ランナ突出しピン35、ゲートカット部50を含む。
【0014】
図8に固定側取付板110をOCD−(マイナス)側からOCD+(プラス)方向に見た場合の図を示す。図9は閉状態にある固定金型2および可動金型3を図8に示すOF−OF線に沿って断面にした図である。図10に閉状態にある固定金型2および可動金型3を図8に示すZ−O−AS線に沿って断面にした図を示す。なお、図1および図2は図9における固定側型10、可動側型20およびゲートカット部50付近を詳細に示した図である。
【0015】
固定側取付板110は図10に示すように成形機本体の固定プラテン150に取付ボルトにより固定されている。ランナープレート137、可動部材133およびランナー突出し板120は、固定側取付板110に対してOCD方向に相対的に移動可能に設けられている。
なお、ランナープレート137は図示しない押圧手段によりOCD+方向に押圧されている。
【0016】
可動金型3は、可動側型20、ネジコア40、可動板60、アンギュラピン65を含む。可動板60は、成形機本体の可動プラテン160に固定されている。可動プラテンは固定プラテンに対して射出成形金型装置1が備える図示しない移動手段によってOCD方向に移動自在に設けられた部材であり、可動プラテンの移動に伴って、可動側型20、可動板60がOCD方向に移動する。なお、可動側型20、可動板60は、OCD方向に相対的に移動可能に設けられている。
【0017】
固定側型10、可動側型20は、パーティングライン面Pを境にして、第1ランナ部11R、第1ランナ部11Rと連通したサイドゲート部11Gを有している。また、固定側型10、可動側型20は、サイドゲート部11Gと連通したキャビティ部Cを有している。可動側型20にはネジコア40が固定されている。ネジコア40は先端に、キャビティ部C内に突出して成形品Dにネジ溝を形成するためのネジ溝42が形成されている。固定側型10側には、複数の成形品突出しピン30が設けられている。成形品突出しピン30は、成形品Dの成形後に固定側型10、可動側型20が開いた後に、固定側型10から成形品Dを取外すためのものである。
【0018】
ここで固定金型2と可動金型3とが開く際の動作(型開き動作)を説明する。固定金型2と可動金型3とが開く前に、まずネジコア40が、これから行われる型開き動作に支障のない位置に退避する。ネジコア40にはネジコア回動歯車140が固定されており、図示しない回転手段に接続された歯車輪列(不図示)がネジコア回動歯車140と噛み合うことでネジコア40は回動される。また、ネジコア40はネジ山部を有しており、このネジ山部が受け板180に設けられた螺合部170で羅合する。ネジコア40が回動すると、羅合部170に設けられたネジ山に従い、ネジコア40はOCD方向に移動する。退避時にはネジコア40は成形品Dのネジ溝部からネジコアが抜ける方向に移動する。具体的にはOCD+方向に移動する。少なくともネジコア40がネジ溝部から抜けるまでOCD+方向に移動すれば退避が完了する。
【0019】
次に可動プラテン160がOCD+方向へと移動を開始する。この動きに伴って、可動側型20、可動板60、受け板180、スペーサブロック190および可動側取付板200がOCD+方向に移動を開始する。可動側型20が移動すると、スプリング210によってOCD+方向に押圧されているランナープレート137はランナー突出し板120から離間されてOCD+方向に移動する。さらにランナプレート137がOCD+方向に移動するのに伴い可動部材133、固定側型10もOCD+方向に移動する。
【0020】
さらに可動プラテン160がOCD+方向に移動を続行すると、やがてスプリング210の押圧力が低減して、ランナープレート137のOCD+方向への移動が中断する。しかしながら可動プラテンのCD+方向への移動は継続しているので、本来ならば可動側型20とランナープレート137との間が離間することになる。
【0021】
ところが可動側型20とランナープレート137とは公知の技術であるパーティングロック機構によりロックされているので、実際には可動側型20とランナープレート137との間は離間せず、可動板60、受け板180、スペーサブロック190および可動側取付板200のみがOCD+方向に移動する。従って可動側板20と可動板60との間が離間する。
【0022】
詳細は後述するが、可動側型20と可動板60との間が離間する際の移動に伴い、ゲートカット部50が成形品Dから離れる方向に移動する。
【0023】
所定量だけ可動側型20と可動板60との間が離間すると、パーティングロック機構のロックが外れて可動側型20は再び可動板60とともにOCD+方向へ移動を開始する。従ってPL面すなわちランナープレート137と可動側板20との間が離間する。なお、所定量とはゲートカット部50の移動が完了するのに必要十分な量をいう。
【0024】
可動側板20がOCD+方向へ移動する状態になった後、さらに可動プラテン160がOCD+方向に移動すると、ランナープレート137と可動側型20との離間量は拡大していき、やがて制限ボルト212のOCD−端側フランジのOCD+端側部がランナープレート137のOCD−端部に当接するとともに、制限ボルト212のOCD+端側フランジ部のOCD−端側部が可動板60と当接する状態になると、そのときのランナープレート137と可動板60との離間量を保持したまま可動プラテン160のOCD+方向の移動に伴ってランナープレート137もOCD+方向に移動し始める。そのためランナー突出し板120とランナープレート137との離間量が拡大する。
【0025】
やがて、制限ボルト210のOCD−端側フランジ部のOCD+端側部がランナー突出し板120と当接するとともに、制限ボルト210のOCD+端側フランジ部のOCD−端側部がランナー突出し板137に当接した状態になると、ランナー突出し板137のOCD+方向への移動が停止される。また、ランナー突出し板137の停止にともない制限ボルト212を介して可動側型20、可動板60、受け板180、スペーサブロック190、可動側取付板200および可動プラテン160もOCD+方向への移動を制限される。このようにして型開き動作が終了する。
【0026】
次にゲートカット部50の動作について説明する。ゲートカット部50は、第2ランナ部52Rを有している。詳しくは後述するが、第2ランナ部52R内に射出された溶融樹脂は、第2ランナ部52Rと可動側型20とにより協働で画定された空間内で硬化する。ゲートカット部50は、図1に示すようにゲートカット部50の第2ランナ部52Rが第1ランナ部11Rと連通した状態から、図2に示すように第2ランナ部52Rが第1ランナ部11Rから離れるように移動可能である。ゲートカット部50がキャビティ部Cから離れる方向をスライド方向SDとする。スライド方向SDは、開閉方向OCDと交差しており詳細には直交している。スライド方向SDは、キャビティ部Cから離れる方向である。固定側型10には、直線状の溝15が形成されており、ゲートカット部50は溝15にスライド可能に係合している。
【0027】
ゲートカット部50には、貫通孔55が形成されている。貫通孔55には、アンギュラピン65が挿抜可能に嵌合している。アンギュラピン65は、基端部が可動板60に固定されている。可動板60は開閉方向OCDに移動可能である。アンギュラピン65は、開閉方向OCDに対して傾斜した姿勢で可動板60に固定されており、アンギュラピン65の傾斜姿勢に対応するように貫通孔55も開閉方向OCDに対して傾斜して形成されている。可動板60が閉状態にある可動側型20から離れるように移動することにより、ゲートカット部50はスライド方向SDに移動する。可動板60および可動側型20は型開き動作に連動してOCD+方向に移動するが、上述したように可動板60と可動側型20は常時連動するわけではなく、可動板60が移動している間、可動側型20が停止している場合もある。図2に示した状態は、可動板60は移動した状態にあるが、可動側型20はパーティングロック機構によりロックされて、まだ移動していない状態を示している。すなわち、図2に示すように、可動板60は固定側型10、可動側型20とは独立して移動可能である。
【0028】
上述したように可動側型20および固定側型10が停止した状態で可動板60がOCD+方向に移動すると、固定側型10および可動側型20から離れるように移動する。可動板60にはアンギュラピン65の基端部が固定されているので、可動板60の移動に伴いアンギュラピン65も固定側型10および可動側型20から離れるように移動する。
【0029】
ゲートカット部50にはアンギュラピン65の傾斜姿勢に対応するように傾斜した貫通孔55が形成され、当該貫通孔55にアンギュラピン65が挿抜可能に嵌合されている。アンギュラピン65は傾斜しているので、可動板60が固定側型10から離れるに従ってアンギュラピン65の側面が貫通孔55の側面を押すことになる。
【0030】
ゲートカット部50はSD方向に移動可能に設けてあるため、アンギュラピン65の側面に押されると、それに伴ってSD+方向に移動する。すなわちゲートカット部50は可動板60が固定側型10から離れるに従って、成形品Dから離れるようにSD方向に移動する。また、可動板60が固定側型10に近づくに従って成形品Dに近づくようにSD−(マイナス)方向に移動する。
【0031】
ゲートブッシュ70は、図1に示すように第2ランナ部52Rと連通する第3ランナ部73Rを有している。第3ランナ部73Rは、開閉方向OCDに沿うように延在している。第2ランナ部52Rは、第3ランナ部73Rから所定位置まで開閉方向OCDに沿うように延在し、途中で開閉方向OCDと交差する方向に曲がっている。第1ランナ部11R、サイドゲート部11Gは、開閉方向OCDと交差する方向に延在している。
【0032】
図1に示すように、第1ランナ部11R、第2ランナ部52R、第3ランナ部73Rが連通した状態で、不図示のスプールから不図示のランナ内に溶融樹脂が射出される。溶融樹脂は、不図示のランナから第3ランナ部73R、第2ランナ部52R、第1ランナ部11R、サイドゲート部11G、キャビティ部Cの順に射出される。キャビティ部C内に充填された溶融樹脂が硬化して成形品Dが形成される。
【0033】
溶融樹脂が硬化すると、第3ランナ部73R、第2ランナ部52R、第1ランナ部11R、サイドゲート部11G、キャビティ部C内には成形部材が形成される。第3ランナ部73R内には成形部材R3が、第2ランナ部52R内には成形部材R2が、第1ランナ部11R内には成形部材R1が、サイドゲート部11G内には成形部材SGが、キャビティ部C内には成形品Dが形成される。固定側取付板110およびランナー突き出し板120にはランナーロックピン134が設けられており、第3ランナ部73R形成時にはランナーロックピン134先端のランナーロックピンアンダーカット部134aが第3ランナ部73R内の成形部材R3に没入する。
【0034】
ランナーロックピンアンダーカット部134aが第3ランナ部73R内の成形部材R3に没入しているので、溶融樹脂の硬化後の型開き動作によってランナー突出し板120とランナープレート137との間が離間すると、第3ランナ部73Rはランナープレート137から離脱して、ランナー突出し板120側に残る。
【0035】
この動作を相対的に見ると、第3ランナ部73R内の成形部材R3を固定側型10から離れる方向に引っ張ることになる。この引っ張りにより、成形部材R3は、ゲートカット部50の第2ランナ部52Rにより保持されている成形部材R2から分離する。図3は、キャビティ部C内に形成された成形品Dと、第1ランナ部11R内に形成された成形部材R1と、ゲートカット部50内に形成された成形部材R2とを示した図である。
【0036】
成形部材R3が成形部材R2から分離した後に、図2に示すように、可動板60によりゲートカット部50をスライド方向SDへスライドさせることにより、ゲートカット部50はキャビティ部Cから離れる。これにより、成形部材R2は成形部材R1と共にゲートカット部50に保持されて成形部材SGで成形品Dから分離する。
【0037】
このように、ゲートカット部50は、キャビティ部Cから離れるようにスライド方向SDへ移動し、キャビティ部C内の成形品Dから、第1ランナ部11R及び第2ランナ部52R内の成形部材R1、R2を分離することによりゲートカットを実行する。これにより、サイドゲート部11G内の成形部材SGは引っ張りにより破断するので、キャビティ部C内の成形品Dの破断面には大きなバリは生じにくくなる。また、成形品Dのゲートカットの作業を手作業で行なう必要がないため、作業時間を短縮化できる。
【0038】
その後、図2に示すように、ランナ突出しピン35により成形部材R2、R1をゲートカット部50の第2ランナ部52Rから突き出して取外す。これにより成形品を再度製造することが容易となる。
【0039】
図4は、可動側型20が開いた状態での固定側型10側の斜視図である。図4に示すように、第1ランナ部11Rと第2ランナ部52Rとは連通した状態にある。なお、説明の都合上図4の成形部材R1および成形部材R2は省略している。
【0040】
また、図2に示したように、ゲートカット部50は、固定側型10、可動側型20が閉じた状態でスライド方向SDに移動可能である。このため、キャビティ部C内の成形品Dは閉じた状態にある固定側型10、可動側型20により保持される。従ってゲートカットする際にも成形品Dは安定して保持され、ゲートカット時に成形品Dが変形することを防止できる。
【0041】
また、図1、図2に示すように、第1ランナ部11Rは、第1ランナ部11Rからサイドゲート部11Gへの方向に流路断面積が縮小するように形成されている。これにより、第1ランナ部11R内の成形部材R1は、サイドゲート部11Gの方向に断面積が縮小する形状となる。これにより、ゲートカット部50が移動して第1ランナ部11R、第2ランナ部52R内の成形部材R1、R2を成形品Dから分離する際に、第1ランナ部11Rからの成形部材R1を抜き取りが容易となる。
【0042】
また、図1に示すように、ゲートカット部50は、第3ランナ部73Rから第2ランナ部52Rへの方向での流路断面積が部分的に小さくなった幅狭部53を有している。幅狭部53において流路断面積が部分的に小さくなっているので、幅狭部53の位置で成形部材R3は成形部材R2から分離する。このように、成形部材R3と成形部材R2との分離が容易になる。
【0043】
また、成形部材R3から分離した成形部材R2の破断面には、成形部材R3に向かって突出したゲート凸R2Tが形成される。このゲート凸R2Tがゲートカット部50の外部に突出していると、ゲートカット部50が移動した際にゲートブッシュ70やランナ突出しピン35に接触してゲートカット部50の移動の妨げになる恐れがある。しかしながら、幅狭部53は、ゲートカット部50の内部に形成されている。詳細には、図2に示すように、幅狭部53は、成形部材R3から分離した成形部材R2の破断面に生じるゲート凸R2Tがゲートカット部50内に保持される位置に形成されている。これにより、ゲートカット部50の移動が確保される。
【0044】
ゲートカット部50が移動すると、ゲート凸R2Tとランナ突出しピン35とが対向するので、ゲート凸R2Tとランナ突出しピン35とを当接させることで成形部材R2を突き出すことができる。従って、別途成形部材R2にランナ突出しピン35が成形部材R2を突き出すための突出し部を設ける必要がない。
【実施例2】
【0045】
図5、図6は、実施例2の射出成形金型装置1aの部分断面図である。尚、実施例1の射出成形金型装置1と同一の構成については同一の符号を付することによりその説明を省略する。
【0046】
図5、図6に示すように、アンギュラピン65の基端は可動側型20aに固定されている。従ってアンギュラピン65は、可動側型20aの開動作に連動して移動する。これにより、アンギュラピン65を移動するための機構を別に設ける必要はないため、射出成形金型装置1aの部品点数が削減されている。
【0047】
また、図2に示すように、可動側型20aの開動作に連動してゲートカット部50がスライド方向SDへスライドする。このため、ゲートカット部50がスライド方向SDへスライドするのと同時に可動側型20aは成形部材R2から離れる。このため、成形部材R2が可動側型20aに付着した状態でゲートカット部50から抜け落ち、成形部材R1、R2が想定外の場所に落下する恐れがある。
【0048】
図7は、可動側型20aが開いた状態での固定側型10a側の斜視図である。図7に示すように、第1ランナ部11Rと第2ランナ部52Rとは連通した状態にある。なお、説明の都合上図4の成形部材R1および成形部材R2は省略している。
【0049】
図7に示すように、固定側型10aは、第1ランナ部11R内の成形部材R1を挟むようにして押える押え部11RCを有している。押さえ部11RCは、図6に示すように、押さえ部11RCの固定プラテン側の面11RCaによって、成形部材R1の可動プラテン側の面R1aを挟むように抑えることができる。
従って11RCは、可動側型20aが開く方向での成形部材R1の移動を押える機能を有している。
【0050】
以上のように実施例2によれば、固定側型10aは、第1ランナ部11R内の成形部材R1を挟むようにして押える押え部11RCを有している。これにより、可動側型20aの開動作に連動してゲートカット部50が移動する際にも、安定して第1ランナ部11R内で成形部材R1を保持できる。これにより、成形部材R1、R2を保持した状態でゲートカット部50を所定の位置まで移動させることができる。
【0051】
図5から図7に示すように、押え部11RCは可動側型20a側に突出した形状であり、詳細には、可動側型20a側に向けて幅が狭くなっている。図5に示すように、可動側型20aは、押え部11RCと当接する箇所が、押え部11RCの形状と対応するように凹状に形成されている。
【0052】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1、1a 射出成形金型装置
C キャビティ部
D 成形品
R1、R2、R3、SG 成形部材
10、10a 固定側型
11G サイドゲート部
11R 第1ランナ部
11RC 押え部
15 溝
20、20a 可動側型
35 ランナ突出しピン
40 ネジコア
50 ゲートカット部
52R 第2ランナ部
53 幅狭部
55 貫通孔
60 可動板
65 アンギュラピン
70 ゲートブッシュ
73R 第3ランナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ランナ部、前記第1ランナ部と連通したサイドゲート部、及び前記サイドゲート部と連通したキャビティ部、を有すると共に、前記サイドゲート部から前記キャビティ部への方向とは交差する方向に開閉する可動側型及び固定側型と、
前記第1ランナ部と連通した第2ランナ部を有すると共に、前記キャビティ部から前記サイドゲート部への方向に移動することにより前記キャビティ部内の成形品から前記第1及び第2ランナ部内の成形部材を分離するゲートカット部と、を備えた射出成形金型装置。
【請求項2】
前記成形品から分離された前記第1及び第2ランナ部内の成形部材を前記ゲートカット部から突き出すランナ突出し部材を備えている、請求項1の射出成形金型装置。
【請求項3】
前記第1及び第2ランナ部内の成形部材における前記ランナ突出し部材に当接する部位は、ゲートカット部が移動を完了した位置で前記ランナ突出し部材と対向する、
請求項1又は2に記載の射出成形金型装置
【請求項4】
前記ゲートカット部は、前記可動側型及び固定側型が閉じた状態で前記キャビティ部から前記サイドゲートへの方向に移動する、請求項1乃至3のいずれかに記載の射出成形金型装置。
【請求項5】
前記ゲートカット部は、前記可動側型が開く動作に連動して前記キャビティ部から前記サイドゲートへの方向に移動する、請求項1乃至3のいずれかに記載の射出成形金型装置。
【請求項6】
前記第1ランナ部は、前記サイドゲートへの方向に流路断面積が縮小する、請求項1乃至5のいずれかに記載の射出成形金型装置。
【請求項7】
前記固定側型は、前記第1ランナ部内の成形部材を挟むようにして押える押え部を有している、請求項5の射出成形金型装置。
【請求項8】
前記第2ランナ部と連通した第3ランナ部を有したゲートブッシュを備え、
前記ゲートカット部は、前記第3ランナ部から前記第2ランナ部への方向での流路断面積が部分的に小さくなった幅狭部を有している、請求項1から7の何れかの射出成形金型装置。
【請求項9】
前記幅狭部は、前記第3ランナ部内の成形部材が分離した前記第2ランナ部内の成形部材の破断面に生じるゲート凸が前記ゲートカット部内に保持される位置に形成されている、請求項8の射出成形金型装置。
【請求項10】
前記ランナ突出し部材に当接する部位は、前記幅狭部の成形部材である、請求項8又は9に記載の射出成形金型装置



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−110726(P2011−110726A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266782(P2009−266782)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】