説明

射出装置

【課題】射出シリンダの高加速化を実現すること。
【解決手段】作動用シリンダ23のピストン23pを作動させることにより、ヘッド側室23hから作動油を押出す。その一方で、作動用シリンダ23のピストン23pの作動に合わせて収容シリンダ24のピストン24pを作動させ、収容シリンダ24のヘッド側室24hに作動油を流入させる。そして、作動用シリンダ23のピストン23pの動作速度が所望速度に到達したタイミングで、収容シリンダ24のピストン24pの作動を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形材料を型内に射出し、充填する射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
型内に成形材料を射出し、充填することによって所望の製品を成形する装置として射出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の射出装置は、一般的に、低速工程、高速工程及び増圧工程の3工程によって作動させ、これらの各工程において射出シリンダのピストンを所望の速度で、かつ所望の圧力を型内の成形材料に付与するように作動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2010−115683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、射出装置では、成形サイクルを短縮し、型内で成形材料の凝固が完了する前に成形材料を射出し、充填させることが必要である。このため、射出装置では、成形材料を射出するための射出シリンダの高加速化が望まれている。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、射出シリンダの高加速化を実現し得る射出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、射出シリンダを作動させて成形材料を型内に射出し、充填する射出装置において、作用室内の非圧縮性流体をピストンで押出すことにより前記射出シリンダに供給する作動用シリンダと、前記作用室に接続され、前記ピストンの押出しにより前記作用室から流出する前記非圧縮性流体の少なくとも一部を収容する収容室と、遅くとも前記作動用シリンダの加速開始と同時に前記収容室の容積を拡大するとともに、前記作動用シリンダの前記ピストンの動作速度が所望速度に到達したタイミングで前記容積の拡大を停止させる容積変更部と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
これによれば、作動用シリンダから射出シリンダへは、容積変更部による収容室の容積拡大が停止されてから作動油が供給される。すなわち、作動油は、作動用シリンダのピストンの動作速度が、所望速度に到達してから供給される。このため、作動油が供給された射出シリンダは、ただちに作動用シリンダと同様の所望速度に達し、作動することができる。したがって、射出シリンダの高加速化を実現できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の射出装置において、前記射出シリンダの作動は、低速工程、高速工程、増圧工程の順に実行され、前記作動用シリンダの前記所望速度は、前記高速工程時に対応する速度であることを要旨とする。これによれば、高速工程時における射出シリンダの高加速化を実現することにより、成形サイクルの短縮化を図ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の射出装置において、前記収容室は、前記作動用シリンダとは別の収容シリンダの作用室であって、前記容積変更部には、前記収容シリンダのピストンと、前記ピストンを駆動させる駆動手段と、を含み、前記駆動手段は、遅くとも前記作動用シリンダの加速開始と同時に前記ピストンを作動させることによって前記収容室となり得る前記作用室の容積を拡大させることを要旨とする。
【0010】
これによれば、2つのシリンダによって射出シリンダの高加速化を実現し得るので、射出シリンダの高加速化を実現するに際して高性能な駆動手段を採用することなく、従前と同じ駆動手段を用いて高加速化を実現できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の射出装置において、前記容積変更部には、前記収容シリンダのピストンの作動を前記収容シリンダの前記駆動手段の制御とは別に強制的に停止させる強制停止手段をさらに含み、前記強制停止手段は、前記作動用シリンダの動作速度が前記所望速度に到達したタイミングで前記収容シリンダのピストンの作動を強制的に停止させることにより、前記容積の拡大を停止させることを要旨とする。これによれば、強制停止手段によってピストンの作動を強制的に停止させるので、射出シリンダのより高加速化を実現できる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の射出装置において、前記容積変更部は、前記射出シリンダと前記作動用シリンダを接続する管路に介在された流路切換手段であり、前記流路切換手段は前記収容室を有し、前記作動用シリンダの前記ピストンの動作速度が前記所定速度に到達したタイミングで、前記作動用シリンダの前記作用室から押出される前記非圧縮性流体の流路を前記収容室に向かう流路から前記射出シリンダに向かう流路に切換えることにより、前記容積の拡大を停止させることを要旨とする。
【0013】
これによれば、流路切換手段によって射出シリンダの高加速化を実現し得るので、射出シリンダの高加速化を実現するに際して高性能な駆動手段を採用することなく、従前と同じ駆動手段を用いて高加速化を実現できる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の射出装置において、前記作動用シリンダは、単一のシリンダチューブ内に収容した2つのピストンの間に形成される前記作用室内の前記非圧縮性流体を前記ピストンで押出すことにより前記射出シリンダに供給するものであり、前記ピストンを駆動させる駆動手段は、前記作動用シリンダの前記2つのピストンのうち一方の動作速度が所望速度に到達するまでの間、前記2つのピストンを同一方向に移動させることで前記単一のシリンダチューブ内に前記収容室を形成し、前記作動用シリンダの前記2つのピストンのうち一方の動作速度が所望速度に到達したタイミングで前記他方のピストンの駆動を停止させて前記一方のピストンで前記作用室内の非圧縮性流体を押出すことを要旨とする。
【0015】
これによれば、一方のピストンと他方のピストンを別々のシリンダチューブに収容し、射出シリンダのピストンを作動させるための回路を構成する場合に比して、構成を簡素化できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、射出シリンダの高加速化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態の射出装置を示す模式図。
【図2】(a)は、射出シリンダの作動パターンを示す模式図、(b)は、第1の実施形態の射出シリンダの速度パターンを示す模式図。
【図3】(a),(b)は、第1の実施形態の射出装置の作動状態を示す模式図。
【図4】第2の実施形態の射出装置を示す模式図。
【図5】第2実施形態の射出シリンダの速度パターンを示す模式図。
【図6】第3の実施形態の射出装置を示す模式図。
【図7】(a),(b)は、第4の実施形態の射出装置の作動状態を示す模式図。
【図8】第5の実施形態の射出装置を示す模式図。
【図9】(a)〜(c)は、第6の実施形態の射出装置の作動状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示す射出装置としてのダイカストマシン10は、型を構成する固定金型11と可動金型12によって形成されるキャビティ13内に、溶融した成形材料としての金属材料(例えば、アルミニウム)を射出し、充填する装置である。型内に射出された成形材料は、凝固後に取り出されることにより、所望の成形品となる。なお、固定金型11と可動金型12は、図示しない型締装置により、型の開閉及び型締めがなされる。
【0019】
ダイカストマシン10は、キャビティ13に連通する射出スリーブ14内に供給された金属材料をキャビティ13に押出す射出プランジャ15を駆動する射出シリンダ16を備えている。射出プランジャ15は、射出シリンダ16のピストンロッド16aに連結されている。射出シリンダ16のロッド側室16rには、ロッド側室16rに非圧縮性流体としての作動油を供給するとともに、ロッド側室16rの作動油を排出する給排機構K1が接続されている。給排機構K1は、油タンク17と、油タンク17内の作動油を汲み上げるポンプ18と、その汲み上げた作動油をロッド側室16rへ供給する経路及びロッド側室16r内の作動油を油タンク17に排出する経路を切換える電磁切換弁19と、からなる。一方、射出シリンダ16のヘッド側室16hには、ヘッド側室16hに作動油を供給するとともに、ヘッド側室16hの作動油を排出する給排機構K2が接続されている。
【0020】
以下、本実施形態の給排機構K2を具体的に説明する。
射出シリンダ16のヘッド側室16hには、作動油の供給経路及び排出経路となる主管路20が接続されている。主管路20には、作動油の供給経路及び排出経路となる複数の副管路21,22が分岐形成されている。副管路21には、射出シリンダ16に作動油を供給する作動用シリンダ23が接続されている。副管路21には、作動用シリンダ23の作用室としてのヘッド側室23hが接続されている。そして、作動用シリンダ23のピストンロッド23aは、駆動手段としてのサーボモータM1によって回転駆動されるボールネジBに螺合されたナットNに連結されている。
【0021】
一方、副管路22には、前記作動用シリンダ23とは別のシリンダとしての収容シリンダ24が接続されている。副管路22には、収容シリンダ24の収容室としてのヘッド側室24hが接続されている。そして、収容シリンダ24のピストンロッド24aは、駆動手段としてのサーボモータM2によって回転駆動されるボールネジBに螺合されたナットNに連結されている。
【0022】
本実施形態のダイカストマシン10において射出シリンダ16は、作動用シリンダ23のヘッド側室23h内の作動油が、射出シリンダ16のヘッド側室16hに供給されることによって作動する。このため、射出シリンダ16は、作動用シリンダ23からの作動油を流入可能な容積サイズに設定されている。また、作動用シリンダ23のヘッド側室23hと収容シリンダ24のヘッド側室24hは、副管路21,22により接続されている。
【0023】
また、作動用シリンダ23、及び収容シリンダ24は、各サーボモータM1,M2のサーボ制御によって、それぞれのピストン23p,24pの作動が制御される。
次に、射出シリンダ16の射出時における作動パターン(射出パターン)を、図2(a)にしたがって説明する。
【0024】
射出シリンダ16は、低速工程、高速工程、及び増圧工程の3工程で作動させる。低速工程は、射出の初期段階の工程であって、射出スリーブ14内に供給された金属材料をキャビティ13に押出す際に、射出シリンダ16のピストン16pを低速で作動させる工程である。高速工程は、低速工程の次に行われる工程であって、射出シリンダ16のピストン16pを低速工程時よりも高速で作動させる工程である。この高速工程では、速やかに所望の速度に加速することが要求される。増圧工程は、高速工程の次に行われる射出の最終段階の工程であって、射出シリンダ16のピストン16pの前進方向の力によりキャビティ13内の金属材料を増圧する工程である。
【0025】
そして、本実施形態のダイカストマシン10では、作動用シリンダ23、及び収容シリンダ24により、高速工程時における射出シリンダ16の加速性を向上させるようになっている。
【0026】
以下、本実施形態のダイカストマシン10の作用(作動態様)について、図1〜図3を用いて具体的に説明する。
まず、低速工程においては、図1に示す状態から、作動用シリンダ23のピストン23pが低速工程での射出シリンダ16の射出速度V1で前進動作(図1の左方向への動作)するようにサーボモータM1の速度が制御される。一方、収容シリンダ24は後述する時点T1までは作動が停止されている。
【0027】
低速工程終期近くの時点T1になると、収容シリンダ24を駆動するサーボモータM2がピストン24pを後進動作(図1の右方向への動作)させるとともに、作動用シリンダ23を駆動するサーボモータM1を増速する。サーボモータM1,M2の速度は、時点T1から後述の時点T2までは射出シリンダ16の射出速度V1が保たれるように設定される。ピストン24pを後進動作させることで、作動用シリンダ23のヘッド側室23hから流出する作動油が収容される収容室としてのヘッド側室24hの容積が拡大される。
【0028】
高速工程を開始させる時点T2において、収容シリンダ24の後退速度が減速されるとともに、作動用シリンダ23を駆動するサーボモータM1の速度が高速工程での射出シリンダ16の射出速度V2に対応する速度に加速される。
【0029】
上記制御により、図3(a)に示すように、作動用シリンダ23のピストン23pは、サーボモータM1の回転によってボールネジBに螺合されたナットNが前進動作することで、ナットN及びピストンロッド23aを介して駆動力が付与され、前進動作する。一方、図3(a)に示すように、収容シリンダ24のピストン24pは、サーボモータM2の回転によってボールネジBに螺合されたナットNが後進動作することで、ナットN及びピストンロッド24aを介して駆動力が付与され、後進動作する。
【0030】
このように作動用シリンダ23、及び収容シリンダ24が制御されると、作動用シリンダ23のピストン23pによって押出された作動油は、副管路21→副管路22を通じて収容シリンダ24のヘッド側室24hに流入する。すなわち、収容シリンダ24では、作動用シリンダ23のピストン23pの前進動作によるヘッド側室23hの容積減少に伴って、ピストン24pの後進動作によってヘッド側室24hの容積が拡大している(図3(a)参照)。その結果、作動用シリンダ23から押出された作動油の一部は、収容シリンダ24のヘッド側室24hに流入する。
【0031】
その後、作動用シリンダ23のピストン23pの速度が射出シリンダ16の射出速度V2に対応する所望速度に到達する時点T3で収容シリンダ24のピストン24pの作動を停止させるようにサーボモータM2を制御する。作動用シリンダ23のピストン23pの制御は現状を維持する。
【0032】
収容シリンダ24のピストン24pの作動が停止すると、図3(b)に示すように、収容シリンダ24のヘッド側室24hの容積拡大も停止する。このため、作動用シリンダ23のヘッド側室23hから押出された作動油は、全て主管路20を通じて射出シリンダ16のヘッド側室16hに流入する。これにより、射出シリンダ16のピストン16pの動作速度は、射出速度V2とされる。本実施形態では、収容シリンダ24のピストン24p及びサーボモータM2により、容積変更部が構成される。
【0033】
図2(b)は、上記制御による速度パターンを示す。図中のL1は、上記制御を行わなかった場合(作動用シリンダ23のみで射出シリンダ16を作動させた場合)の射出シリンダ16の速度パターンである。図中のL2は、上記制御を行った場合の射出シリンダ16の速度パターンである。図中のL3は、上記制御を行った場合の収容シリンダ24の速度パターンである。なお、射出成形の終了後、射出シリンダ16のヘッド側室16hや収容シリンダ24のヘッド側室24hの作動油は、図示しない戻し油用の回路により、作動用シリンダ23のヘッド側室23hに戻される。
【0034】
図2(b)に示すように、収容シリンダ24のピストン24pの作動開始時(図中の時点T1)は、前述したように、作動用シリンダ23から押出された作動油の一部を収容シリンダ24のヘッド側室24h(収容室)に流入させる。このとき、射出シリンダ16のヘッド側室16hに流入する作動油の量と収容シリンダ24のヘッド側室24hに流入する作動油の量は、射出シリンダ16のピストン16pが射出速度V1を保つように設定されている。そして、収容シリンダ24のピストン24pが減速を開始するとともに作動用シリンダ23の加速が開始される(図中の時点T2)。収容シリンダ24のピストン24pの減速中もヘッド側室24hの拡大は継続しているので、作動用シリンダ23の加速、すなわち射出シリンダ16のピストン16pの加速が速やかに行われる。その後、作動用シリンダ23のピストン23pの速度が所望速度(図中の符号「V2」)に到達するタイミングで収容シリンダ24のピストン24pの作動を停止させると同時に、射出シリンダ16のピストン16pの射出速度V2に到達する(図中の時点T3)。
【0035】
図2(b)の速度パターンに示すように、本実施形態の制御によれば、射出シリンダ16のピストン16pが射出速度V2に到達する時間(時点T2〜時点T3)は、作動用シリンダ23を単独で制御した場合に射出シリンダ16のピストン16pが射出速度V2に到達する時間(時点T1〜時点T3)に比して短くなる。すなわち、本実施形態の制御によれば、射出シリンダ16のピストン16pの加速性が向上したことになる。
【0036】
本実施形態の制御は、加速中に収容シリンダ24のヘッド側室24hに作動用シリンダ23のヘッド側室23hから流出する作動油の一部を収容して、作動用シリンダ23を駆動するサーボモータM1のモータトルクがもっぱらピストン23pとボールネジB、及びサーボモータM1自身の加速に用いられるようにすることで、射出シリンダ16のピストン16pの加速性を向上させることができるという考えに基づいている。モータトルクは、ピストン23pとボールネジB、及びサーボモータM1自身の加速に必要なトルク分と、背圧に抗するためのトルク分とに分けられる。そこで、本実施形態の制御では、作動用シリンダ23のピストン23pを加速させる際に背圧の上昇を抑制するため、作動用シリンダ23から流れ出る作動油を収容シリンダ24によって引き抜いている。その結果、モータトルクは、もっぱら作動用シリンダ23を加速させるために用いることができ、加速性を向上させることができる。なお、射出シリンダ16のピストン16pは、作動用シリンダ23から供給される作動油によって作動するので、作動用シリンダ23の加速性を向上させることは射出シリンダ16の加速性を向上させることになる。
【0037】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)作動用シリンダ23が射出速度V1に対応する速度から射出速度V2に対応する速度に加速されるとき、作動用シリンダ23から流出する作動油の一部が収容シリンダ24のヘッド側室24hへ供給される。したがって、加速の際の作動用シリンダ23のピストン23pにかかる背圧の上昇に対抗するモータトルクが不要となり、射出シリンダ16の高加速化を実現できる。すなわち、サーボモータM1の性能を最大限発揮することができる。
【0038】
(2)また、射出シリンダ16の高加速化を実現するにあたって、高性能なサーボモータを採用することなく、従前と同じサーボモータを使用して高加速化を実現し得るので、ダイカストマシン10のコスト増の抑制に貢献できる。
【0039】
(3)高速工程時における射出シリンダ16の高加速化を実現することにより、成形サイクルの短縮化を図ることができる。成形サイクルの短縮により、製品品質の向上も期待できる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図4及び図5にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した実施形態と同一構成についてその重複する説明を省略又は簡略する。
【0041】
図4は、第2の実施形態を説明するために必要な構成のみを図示しており、図示していない構成については第1の実施形態と同一構成である。
第2の実施形態では、収容シリンダ24のロッド側室24rに、そのロッド側室24rからの作動油を排出する管路25に電磁切換弁30を介在させている。電磁切換弁30は、作動油の排出を可能とする開位置と作動油の排出を不能とする閉位置との2位置を取り得る。
【0042】
低速工程終期近くの時点T2において、電磁切換弁30を、作動油の排出を可能とする開位置から作動油の排出を不能とする閉位置へ切換える。これにより、収容シリンダ24は、ロッド側室24rからの作動油の排出ができなくなり、停止する。つまり、収容シリンダ24のヘッド側室24hの容積拡大が停止する。本実施形態では、電磁切換弁30が、収容シリンダ24のピストン24pの作動を収容シリンダ24の駆動手段としてのサーボモータM2の制御とは別に強制的に停止させる強制停止手段として機能する。
【0043】
この構成によれば、図5に示すように、収容シリンダ24のピストン24pの減速を開始させてから停止するまでの時間(図中の時点T2〜時点T3)が短縮される。その結果、図5の速度パターンに示すように、本実施形態の制御によれば、射出シリンダ16のピストン16pが射出速度V2に到達する時間(時点T2〜時点T3)は、第1の実施形態のピストン16pが射出速度V2に到達する時間(図2(b)の時点T2〜時点T3)に比して、さらに短くなる。すなわち、本実施形態の制御によれば、射出シリンダ16のピストン16pの加速性がさらに向上することになる。
【0044】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(4)収容シリンダ24のピストン24pの作動、すなわちヘッド側室24hの容積拡大を、電磁切換弁30によって収容シリンダ24の駆動手段としてのサーボモータM2の制御とは別に強制的に停止させることから、ピストン24pが減速を開始してから停止するまでの時間が短くなる。したがって、射出シリンダ16のピストン16pの加速性をさらに向上させることができる。
【0045】
(5)収容シリンダ24のピストン24pの作動を、機械的な構成を使って強制的に停止させるので、サーボモータM2の精度や性能に依らず、ピストン24pの作動を所望のタイミングで確実に停止させることができる。
【0046】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図6にしたがって説明する。
図6は、第3の実施形態を説明するために必要な構成のみを図示しており、図示していない構成については第1の実施形態と同一構成である。
【0047】
第3の実施形態では、収容シリンダ24のピストンロッド24aに連結されたナットNに、ストッパ32に当接可能な当接部材31が固設されている。また、ストッパ32は、ダイカストマシン10の基台上に固設されている。そして、ストッパ32は、低速工程終期近くの時点T2のタイミングで当接部材31が当接する位置に配置されている。これにより、収容シリンダ24は、当接部材31がストッパ32に当接したのち、後進動作が出来なくなる。そして、収容シリンダ24のピストン24pは、停止する。つまり、収容シリンダ24のヘッド側室24hの容積拡大が停止する。本実施形態では、当接部材31とストッパ32により、収容シリンダ24のピストン24pの作動を収容シリンダ24の駆動手段としてのサーボモータM2の制御とは別に強制的に停止させる強制停止手段が構成される。本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)及び第2の実施形態の効果(4),(5)と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(第4の実施形態)
以下、本発明を具体化した第4の実施形態を図7にしたがって説明する。
図7(a),(b)は、第4の実施形態を説明するために必要な構成のみを図示しており、図示していない構成については第1の実施形態と同一構成である。なお、第4の実施形態では、収容シリンダ24が設けられていない。
【0049】
射出シリンダ16のヘッド側室16hに接続される主管路20には、作動用シリンダ23が接続されている。そして、射出シリンダ16と作動用シリンダ23の間の主管路20には、開閉弁33が介在されている。開閉弁33は、作動用シリンダ23からの作動油を射出シリンダに供給可能とする開位置と作動油の供給を不能とする閉位置との2位置を取り得る。射出シリンダ16のヘッド側室16hと開閉弁33との間の主管路20には、射出シリンダ16に作動油を供給する作動用シリンダ26が接続されている。主管路20には、作動用シリンダ26のヘッド側室26hが接続されている。そして、作動用シリンダ26のピストンロッド26aは、サーボモータM2によって回転駆動されるボールネジBに螺合されたナットNに連結されている。作動用シリンダ26のピストン26pは、ボールネジB及びナットNを介してサーボモータM2により駆動される。
【0050】
また、作動用シリンダ23と開閉弁33の間の主管路20には副管路34が分岐形成されており、その副管路34にはシリンダ35が接続されている。副管路34には、シリンダ35のヘッド側室35hが接続されている。そして、シリンダ35のピストンロッド35aは、開閉弁33に連結されている。開閉弁33は、シリンダ35のピストン35pの作動力を利用して位置が切換えられる。本実施形態では、開閉弁33とシリンダ35により、作動用シリンダ23から押出される作動油の流路を切換える流路切換手段が構成されている。そして、本実施形態では、シリンダ35のヘッド側室35hが収容室として機能する。
【0051】
本実施形態の構成によれば、まず、作動用シリンダ26により、低速工程の射出シリンダ16を射出速度V1で作動させるだけの作動油が射出シリンダ16に供給される。作動用シリンダ23は、開閉弁33が、図7(a)に示す状態、すなわち作動油の供給を不能とする閉位置とされている状態である。図7(a)の状態から高速工程に移行する場合、作動用シリンダ23の作動に伴ってヘッド側室23hから押出された作動油は、主管路20→副管路34を通じてシリンダ35のヘッド側室35hに供給される。
【0052】
シリンダ35のピストン35pは、ヘッド側室35hに作動油が供給されることにより、後進動作(図7の左方向への動作)する。なお、ピストン35pの後進動作は、ヘッド側室35hの容積を拡大させる方向の動作であるとともに、開閉弁33の位置を切換えるための操作力を付与する方向の動作でもある。シリンダ35では、作動用シリンダ23のピストン23pの前進動作によるヘッド側室23hの容積減少分、ピストン35pの後進動作によってヘッド側室35hの容積が拡大する。
【0053】
そして、本実施形態では、作動用シリンダ23のピストン23pの速度が所望速度に到達するタイミングで開閉弁33の位置が閉位置から開位置に切換わるように、ピストン23pの移動量(押出す作動油の量)や、シリンダ35のピストン35pの移動量が調整されている。このため、シリンダ35は、ヘッド側室35hに流入した作動油の量に応じたピストン35pの移動量が所定量に到達すると、開閉弁33に対して位置を切換えるための操作力を付与する。そして、この操作力によって開閉弁33は、図7(b)に示すように、閉位置から開位置に切換わる。
【0054】
その後、作動用シリンダ23のヘッド側室23hから押出された作動油は、作動用シリンダ26から押し出される作動油と合流して主管路20を通じて射出シリンダ16のヘッド側室16hに流入する。これにより、射出シリンダ16のピストン16pの速度は、所望の射出速度V2とされる。なお、開閉弁33が切換わると、シリンダ35のピストン35pはストロークエンドに当たり、それ以上は移動しないため、ヘッド側室35hの容積拡大も停止する。そして、作動用シリンダ23のヘッド側室23hから押出された作動油は、シリンダ35のヘッド側室35hに流入しなくなる。なお、射出成形の終了後、射出シリンダ16のヘッド側室16hやシリンダ35のヘッド側室35hの作動油は、図示しない戻し油用の回路により、作動用シリンダ23のヘッド側室23hに戻される。
【0055】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の原理により、射出シリンダ16のピストン16pの加速性は向上する。なお、シリンダ35に作動油を供給してピストン35pを作動させることから、作動用シリンダ23には、シリンダ35からの背圧抵抗が加わる。しかし、この背圧抵抗は、作動用シリンダ23のみで射出シリンダ16を作動させる場合に加わる背圧抵抗に比して十分に小さい。したがって、作動用シリンダ23を駆動するサーボモータMのモータトルクの大部分は、ピストン23pの加速に用いることが可能である。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(6)作動用シリンダ23から押出された作動油が流入するシリンダ35を用いて開閉弁33の位置を切換えている。すなわち、作動用シリンダ23のピストン23pを加速させる際に背圧がかからないようにするために必要な構成(シリンダ35)を、さらに開閉弁33の位置を切換える操作力を付与する手段としても兼用している。したがって、構成を簡素化することができる。
【0057】
(7)また、シリンダ35のピストン35pの作動力を、作動用シリンダ23から押出された作動油としていることから、サーボモータM1によって射出シリンダ16の加速性を向上させることができる。したがって、構成が簡素化されるとともに、コスト増を抑制できる。
【0058】
(8)開閉弁33とシリンダ35によって射出シリンダ16の高加速化を実現し得るので、射出シリンダ16の高加速化を実現するに際して高性能なサーボモータを採用することなく、従前と同じサーボモータを用いて高加速化を実現できる。
【0059】
(第5の実施形態)
以下、本発明を具体化した第5の実施形態を図8にしたがって説明する。
図8は、第5の実施形態を説明するために必要な構成のみを図示しており、図示していない構成については第1の実施形態と同一構成である。なお、第5の実施形態では、作動用シリンダ23に収容シリンダ24が一体化された作動用シリンダ40が設けられている。そして、第5の実施形態において作動用シリンダ40に接続された主管路20は、射出シリンダ16のヘッド側室16hに接続されており、作動用シリンダ40は射出シリンダ16に作動油を供給する。
【0060】
本実施形態の作動用シリンダ40は、単一のシリンダチューブ41内に第1ピストン42と第2ピストン43とが収容されている。第1ピストン42のピストンロッド42aと第2ピストン43のピストンロッド43aは、シリンダチューブ41の対向する端面から突出されている。そして、シリンダチューブ41内には、第1ピストン42と第2ピストン43との間に、射出シリンダ16に作動油を供給する作用室としてのヘッド側室40hが形成される。また、シリンダチューブ41内には、第1ピストン42側にロッド側室40r1が形成されるとともに、第2ピストン43側にロッド側室40r2が形成される。なお、後述のように、ヘッド側室40hは第1ピストン42の前進動作(図8の左方向への動作)により容積が減少するが、第2ピストン43の後進動作(図8の左方向への動作)により容積が増加する。この第2ピストン43の後進動作により生じるヘッド側室40hの容積増加部分が本実施形態において収容室として作用する。
【0061】
第1ピストン42のピストンロッド42aは、駆動手段としてのサーボモータM1によって回転駆動されるボールネジBに螺合されたナットNに連結されている。また、第2ピストン43のピストンロッド43aは、駆動手段としてのサーボモータM2によって回転駆動されるボールネジBに螺合されたナットNに連結されている。そして、作動用シリンダ40は、各サーボモータM1,M2のサーボ制御によって、第1ピストン42及び第2ピストン43の作動が制御される。
【0062】
本実施形態の構成によれば、加速時において、第1ピストン42について前進動作させるようにサーボモータM1を制御する一方で、第2ピストン43について後進動作させるようにサーボモータM2を制御する。
【0063】
その後、第1ピストン42及び第2ピストン43の速度が射出シリンダ16の射出速度V2に対応する所望速度に到達したタイミングで、第2ピストン43の作動を停止させるようにサーボモータM2を制御する。なお、第1ピストン42の制御は現状を維持する。そして、第2ピストン43の作動が停止すると、高速に達した第1ピストン42によってヘッド側室40h内の作動油が主管路20に押出される。その結果、ヘッド側室40hから押出された作動油は、全て主管路20を通じて射出シリンダ16のヘッド側室16hに流入する。これにより、射出シリンダ16のピストン16pの速度は、射出速度V2とされる。
【0064】
本実施形態の構成では、第1ピストン42が、第1の実施形態で説明した作動用シリンダ23のピストン23pと同等の機能を果たす一方で、第2ピストン43が、第1の実施形態で説明した収容シリンダ24のピストン24pと同等の機能を果たす。このため、本実施形態の構成によれば、第1の実施形態と同様の原理により、射出シリンダ16のピストン16pの加速性は向上する。
【0065】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(9)単一のシリンダチューブ41に収容した第1ピストン42と第2ピストン43の作動によって射出シリンダ16への作動油の供給を制御している。これによれば、第1ピストン42と第2ピストン43を別々のシリンダチューブに収容し、射出シリンダ16のピストン16pを作動させるための回路を構成する場合に比して、構成が簡素化できる。
【0066】
(第6の実施形態)
以下、本発明を具体化した第6の実施形態を図9にしたがって説明する。
第6の実施形態は、第5の実施形態で説明した作動用シリンダ40を、単一のサーボモータMを用いて同様の制御を行う構成である。
【0067】
本実施形態において作動用シリンダ40は、第1ピストン42のピストンロッド42aに、駆動手段としてのサーボモータMによって回転駆動されるボールネジBに螺合されたナットNが連結されている。そして、作動用シリンダ40は、第1ピストン42と第2ピストン43とを切り離し可能な状態で連結可能な連結機構45を備えている。なお、図示していないが、第4の実施形態と同様に低速工程用の作動用シリンダ26を射出シリンダ16と作動用シリンダ40との間の主管路20に接続されており、低速工程時は作動用シリンダ26のみから射出シリンダ16へ作動油が供給される。
【0068】
連結機構45は、ピストンロッド42aに固設されるとともに、第1連結具46を先端に取着した第1アーム部材47と、ピストンロッド43aに固設されるとともに第2連結具48を先端に取着した第2アーム部材49と、を備えている。第1連結具46と第2連結具48は、円柱状の軸を半円に削り出した回転軸とされており、第1アーム部材47及び第2アーム部材49の先端にそれぞれ回転可能に取着されている。第1連結具46と第2連結具48の削り出し面を合わせると、1本の回転軸となる。そして、第1連結具46側には、ピニオン50が取着されている。
【0069】
また、ダイカストマシン10の基台には、第2アーム部材49が当接するストッパ51が固設されている。ストッパ51は、第1ピストン42の速度が所望速度に到達したタイミングで第2アーム部材49が当接する位置に配置されている。これにより、第2ピストン43は、第1ピストン42が所望速度に到達したタイミングで第2アーム部材49がストッパ51に当接することで、後進動作が出来なくなる。その結果、第2ピストン43は、停止する。
【0070】
また、ダイカストマシン10の基台には、ピニオン50が噛合するラック52が固設されている。第1連結具46と第2連結具48は、図9(a)に示すように、第1ピストン42及び第2ピストン43の動作方向に対して垂直な位相で面接触していると、推力を伝達可能な状態となり、第1ピストン42と第2ピストン43を連結する。また、第1連結具46と第2連結具48は、垂直な位相で面接触している状態でピニオン50がラック52に噛合すると、第1ピストン42及び第2ピストン43の動作方向に沿う回転力が付与される。そして、回転力が付与された第1連結具46と第2連結具48は、図9(c)に示すように、垂直な位相で面接触している状態から90度回転することによって第1ピストン42及び第2ピストン43の動作方向に対して水平な位相になると、推力を伝達不能な状態となり、第1ピストン42と第2ピストン43の連結を解除する。このため、ラック52は、第1ピストン42の速度が所望速度に到達したタイミングで、第1ピストン42と第2ピストン43の連結を解除させる位置に配置されている。
【0071】
本実施形態の構成によれば、第1ピストン42を前進動作させるようにサーボモータMを制御する。また、高速工程の開始時、第1連結具46と第2連結具48は、図9(a)に示すように、垂直な位相で面接触することによって第1ピストン42と第2ピストン43を連結している。このため、第1ピストン42が前進動作すると、第1ピストン42と連結状態にある第2ピストン43に対して連結機構45を介して推力が伝達される。したがって、第1ピストン42と第2ピストン43は、ヘッド側室40hの容積を維持した状態で、第1ピストン42が前進動作する一方で、第2ピストン43が後進動作する。
【0072】
また、この状態では、ヘッド側室40h内の作動油が主管路20に押出されないことから、射出シリンダ16のピストン16pには駆動力が付与されず、作動しない。また、第1ピストン42の前進動作と第2ピストン43の後進動作により、ヘッド側室40hの容積は変化しないが、ロッド側室40r1の容積は拡大する一方で、ロッド側室40r2の容積は減少する。
【0073】
その後、第1ピストン42の速度が射出シリンダ16の射出速度V2に対応する所望速度に近付くと、図9(b)に示すように、第1連結具46のピニオン50がラック52に噛合する。そして、第1ピストン42と第2ピストン43の動作に合わせて、ラック52に噛合したピニオン50が回転することによって、第1連結具46及び第2連結具48も回転する。
【0074】
その後、第1ピストン42の速度が射出シリンダ16の射出速度V2に対応する所望速度に到達すると、図9(c)に示すように、第1連結具46と第2連結具48の連結が解除されるとともに、第1ピストン42と第2ピストン43の連結も解除される。また、第2ピストン43は、第1ピストン42の速度が所望速度に到達するタイミングで第2アーム部材49がストッパ51に当接することにより、後進動作が出来なくなる。そして、第2ピストン43は、停止する。本実施形態では、第2アーム部材49とストッパ51により、第2ピストン43の作動を強制的に停止させる強制停止手段が構成される。
【0075】
一方、第1ピストン42の制御は現状を維持する。このため、第2ピストン43の作動が停止するとともに第2ピストン43との連結が解除されている状態では、第1ピストン42によってヘッド側室40h内の作動油が主管路20に押出される。その結果、ヘッド側室40hから押出された作動油は、全て主管路20を通じて射出シリンダ16のヘッド側室16hに流入する。これにより、射出シリンダ16のピストン16pの速度は、射出速度V2とされる。
【0076】
本実施形態の構成では、第1ピストン42が、第1の実施形態で説明した作動用シリンダ23のピストン23pと同等の機能を果たす一方で、第2ピストン43が、第1の実施形態で説明した収容シリンダ24のピストン24pと同等の機能を果たす。このため、本実施形態の構成によれば、第1の実施形態と同様の原理により、射出シリンダ16のピストン16pの加速性は向上する。
【0077】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)及び第5の実施形態の効果(9)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(10)単一のサーボモータMによって制御するから、ダイカストマシン10のコスト増の抑制に貢献できる。
【0078】
(11)作動用シリンダ40の第2ピストン43の作動停止や、第1ピストン42と第2ピストン43の連結解除を、機械的な構成を使って行うので、サーボモータMの精度や性能に依らず、確実に行うことができる。
【0079】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1〜第3,第5の実施形態において、収容シリンダ24のピストン24pや第2ピストン43の作動を停止させる手段として、サーボモータMの回転軸にブレーキ装置を設け、停止までの時間の短縮化を図っても良い。
【0080】
○ 第4の実施形態において、流路切換手段の構成を変更しても良い。例えば、収容室を有し、その収容室に流入した作動油の作用によって流路を切換えることができる弁体構造としても良い。
【0081】
○ 第6の実施形態において、連結機構の構成を変更しても良い。
○ 各実施形態において、射出シリンダ16に作動油を供給する作動用シリンダを複数本とし、これら複数本の作動用シリンダから作動油を射出シリンダ16に供給しても良い。
【0082】
○ 各実施形態において、作動用シリンダ23,26,40、及び収容シリンダ24の駆動手段を、リニアモータとしても良い。
○ 各実施形態は、樹脂材料をキャビティ13内に射出して樹脂成形品を製造する射出装置に具体化しても良い。
【0083】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記射出シリンダの作動は、低速工程、高速工程、増圧工程の順に実行され、
前記作動用シリンダの前記所望速度は、前記高速工程時に対応する速度であることを特徴とする技術的思想(イ)に記載の射出装置。
【符号の説明】
【0084】
10…ダイカストマシン、11…固定金型、12…可動金型、16…射出シリンダ、16p,23p,24p,35p…ピストン、20…主管路、23,26,40…作動用シリンダ、23h,24h,26h,35h,40h…ヘッド側室、24…収容シリンダ、25…管路、30…電磁切換弁、31…当接部材、32…ストッパ、35…シリンダ、41…シリンダチューブ、42…第1ピストン、43…第2ピストン、M1,M2…サーボモータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出シリンダを作動させて成形材料を型内に射出し、充填する射出装置において、
作用室内の非圧縮性流体をピストンで押出すことにより前記射出シリンダに供給する作動用シリンダと、
前記作用室に接続され、前記ピストンの押出しにより前記作用室から流出する前記非圧縮性流体の少なくとも一部を収容する収容室と、
遅くとも前記作動用シリンダの加速開始と同時に前記収容室の容積を拡大するとともに、前記作動用シリンダの前記ピストンの動作速度が所望速度に到達したタイミングで前記容積の拡大を停止させる容積変更部と、を備えたことを特徴とする射出装置。
【請求項2】
前記射出シリンダの作動は、低速工程、高速工程、増圧工程の順に実行され、
前記作動用シリンダの前記ピストンの前記所望速度は、前記高速工程時に対応する速度であることを特徴とする請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
前記収容室は、前記作動用シリンダとは別の収容シリンダの作用室であって、
前記容積変更部には、前記収容シリンダのピストンと、前記ピストンを駆動させる駆動手段と、を含み、
前記駆動手段は、遅くとも前記作動用シリンダの加速開始と同時に前記ピストンを作動させることによって前記収容室となり得る前記作用室の容積を拡大させることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の射出装置。
【請求項4】
前記容積変更部には、前記収容シリンダのピストンの作動を前記収容シリンダの前記駆動手段の制御とは別に強制的に停止させる強制停止手段をさらに含み、
前記強制停止手段は、前記作動用シリンダの動作速度が前記所望速度に到達したタイミングで前記収容シリンダのピストンの作動を強制的に停止させることにより、前記容積の拡大を停止させることを特徴とする請求項3に記載の射出装置。
【請求項5】
前記容積変更部は、前記射出シリンダと前記作動用シリンダを接続する管路に介在された流路切換手段であり、
前記流路切換手段は前記収容室を有し、前記作動用シリンダの前記ピストンの動作速度が前記所定速度に到達したタイミングで、前記作動用シリンダの前記作用室から押出される前記非圧縮性流体の流路を前記収容室に向かう流路から前記射出シリンダに向かう流路に切換えることにより、前記容積の拡大を停止させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の射出装置。
【請求項6】
前記作動用シリンダは、単一のシリンダチューブ内に収容した2つのピストンの間に形成される前記作用室内の前記非圧縮性流体を前記ピストンで押出すことにより前記射出シリンダに供給するものであり、
前記ピストンを駆動させる駆動手段は、前記作動用シリンダの前記2つのピストンのうち一方の動作速度が所望速度に到達するまでの間、前記2つのピストンを同一方向に移動させることで前記単一のシリンダチューブ内に前記収容室を形成し、前記作動用シリンダの前記2つのピストンのうち一方の動作速度が所望速度に到達したタイミングで前記他方のピストンの駆動を停止させて前記一方のピストンで前記作用室内の非圧縮性流体を押出すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の射出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−13932(P2013−13932A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150263(P2011−150263)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】