説明

射出装置

【課題】低速工程、高速工程、及び増圧工程に特化した制御を実現することができる射出装置を提供すること。
【解決手段】射出装置11は、低速工程用シリンダ30と低速工程用モータM2を有する低速工程用ユニットU2を備える。また、射出装置11は、高速工程用シリンダ40とアキュムレータ46を有する高速工程用ユニットU3を備える。射出装置11は、増圧工程用シリンダ18と、増圧工程用シリンダ18を駆動させる作動用モータM1及び作動用シリンダ20を有する増圧工程用ユニットU1を備える。型部Kには、増圧工程用ユニットU1のロッド18cが機械的に連結されるとともに、増圧工程用ユニットU1には、低速工程用ユニットU2のロッド30cが機械的に連結され、さらに、低速工程用ユニットU2には高速工程用ユニットU3の第1ロッド40cが機械的に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形材料を型部内に射出、充填し、さらに増圧させる射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、成形機の射出装置は、射出シリンダにより射出プランジャをスリーブ内において前進させ、スリーブ内の成形材料(例えば溶湯)を型部(金型)間に形成されたキャビティに押し出すことにより、成形材料をキャビティに射出・充填する。射出・充填工程は、低速工程、高速工程及び増圧工程からなる。すなわち、射出装置は、射出の初期段階においては、成形材料の空気の巻き込みを防止するために比較的低速で射出プランジャを前進動作させ、次に、成形サイクルの短縮の観点から比較的高速で射出プランジャを前進動作させる。その後、射出装置は、成形品のヒケをなくすために、射出プランジャの前進動作する方向の力によりキャビティ内の成形材料を増圧する。このような射出装置の動作を実現するために、例えば特許文献1に開示の射出装置(ダイカストマシン)が提案されている。
【0003】
図6に示すように、特許文献1の射出装置は油圧回路を備え、この油圧回路での油圧制御により射出・充填工程が行われるようになっている。具体的には、射出装置において、射出シリンダ80のヘッド側80aには、ガスボンベ81と連通する充填用アキュムレータ82が流路を介して接続されるとともに、この流路にはパイロットチェック弁84及び速度制御バルブ85が設けられている。充填用アキュムレータ82への作動油は油圧ポンプ83aにより所定の圧力に昇圧されて補給されている。
【0004】
また、速度制御バルブ85に連通する流路には、ガスボンベ86と連通した増圧工程用アキュムレータ87が接続されている。充填用アキュムレータ82及び増圧工程用アキュムレータ87と射出シリンダ80のヘッド側80aとを接続する流路には流量制御弁88が設けられ、この流量制御弁88によって作動油の流量を制御することにより、射出シリンダ80におけるピストン80cの移動速度が制御される。
【0005】
そして、特許文献1の射出装置においては、低速工程及び高速工程は、充填用アキュムレータ82に蓄圧された作動油を射出シリンダ80のヘッド側80aに供給し、ピストン80cを低速又は高速で移動させることで行われる。このピストン80cの移動速度は、速度制御バルブ85を制御することで行われる。増圧工程は、高圧の作動油を増圧工程用アキュムレータ87から射出シリンダ80のヘッド側80aに供給することで行われる。このとき、流量制御弁88によって作動油の流量を制御することにより増圧時間が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3662001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示の射出装置は、速度制御バルブ85及び流量制御弁88を制御し、油圧回路での油圧を制御することで低速工程、高速工程、及び増圧工程を実現している。ところで、低速工程においては、成形材料の空気の巻き込みを防止する等のために射出速度を緻密に制御したいという要望があり、高速工程においては、射出時間をより短縮したいという要望がある。さらに、増圧工程においては、増圧に必要な推力の発生源を小型化したいという要望がある。しかし、特許文献1のように油圧回路での油圧を制御するだけでは、各工程に特有の要望を解消するための制御が困難である。
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、低速工程、高速工程、及び増圧工程に特化した制御を実現することができる射出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、射出プランジャにより成形材料を型部内に射出、充填し、さらに増圧させる射出装置に関する。射出装置は、低速工程用のロッドを備える低速工程用シリンダを有し、該低速工程用シリンダを駆動させる電動駆動源を有する低速工程用のユニットと、高速工程用のロッドを備える高速工程用シリンダを有し、該高速工程用シリンダを駆動させる油圧駆動源を有する高速工程用のユニットと、増圧工程用のロッドを備える増圧工程用シリンダを有し、該増圧工程用シリンダを駆動させる駆動源を有する増圧工程用のユニットと、を備える。そして、射出装置は、前記射出プランジャに前記ロッドのいずれか一つが機械的に連結され、該ロッドを有するユニットには、他のユニットのロッドが機械的に連結され、さらに、該他のユニットにはもう一つのユニットのロッドが機械的に連結されている。
【0010】
この発明によれば、低速工程用のユニットに関しては、電動駆動源を制御することにより、低速工程用シリンダの駆動速度及び加速度を緻密に制御することができる。よって、低速工程においては、射出プランジャを緻密に制御された最適な射出速度及び加速度で行うことができる。また、高速工程用のユニットに関しては、駆動源を油圧駆動源とした。このため、油圧駆動源の蓄圧量を調節することで、高速工程時における射出時間を調節することができ、射出時間の短縮も可能にすることができる。さらに、増圧工程用のユニットに関しては、増圧工程を行うための増圧工程用シリンダ及びその駆動源を独立して備える。このため、背景技術のように、増圧工程を行う駆動源として、アキュムレータ、流量制御弁、油圧回路を要する場合と比べると、駆動源の小型化が可能になる。したがって、低速工程、高速工程、及び増圧工程を各ユニットで独立して行うことで、各工程に特化した動作を可能にし、各工程に特有の要望を満たすことができる。
【0011】
また、前記低速工程用シリンダには、高速工程及び増圧工程時の前記型部からの背圧力を支承する背圧力支承手段が設けられていてもよい。
これによれば、背圧力支承手段により、背圧力によって低速工程用シリンダのロッドが型部から離間する方向へ移動することを阻止できる。
【0012】
また、前記背圧力支承手段は、ピストンによって前記低速工程用シリンダ内の前記型部側に区画された第1作動室、及び該第1作動室と反対側の第2作動室と接続する非圧縮性流体の閉回路と、前記背圧力によって前記非圧縮性流体が前記第1作動室から第2作動室へ流れることを阻止する逆止弁と、からなるものでもよい。
【0013】
これによれば、閉回路と逆止弁といった簡単な構成で、型部からの背圧力を支承することができる。
また、前記射出プランジャに前記増圧工程用のロッドが連結され、前記増圧工程用のユニットに前記低速工程用のロッドが連結され、さらに、前記低速工程用のユニットに前記高速工程用のロッドが連結され、前記高速工程用シリンダは両ロッド形であり、一方の第1ロッドに前記低速工程用のユニットが連結され、他方の第2ロッドには、該第2ロッドと機械的に連結して前記油圧駆動源の油圧による第1及び第2ロッドの移動を規制可能とし、かつ前記連結を機械的に解除可能とする連結機構が設けられていてもよい。
【0014】
これによれば、第2ロッドに油圧駆動源の油圧を作用させた状態で、連結機構により第2ロッドの移動を規制することで、第2ロッドには油圧を作用させておくことができる。そして、連結機構による機械的な連結状態を解除すると、油圧により第2ロッドは型部に向けて一気に移動する。したがって、例えば、油圧駆動源に蓄圧された油圧をバルブ等を開いて徐々に開放していく場合と比べると、ロッドの移動速度を速めることができる。
【0015】
また、前記増圧工程用のユニットの駆動源は、前記増圧工程用シリンダより小径をなし非圧縮性流体の流体圧を前記増圧工程用シリンダに付与して作動させる作動用シリンダと、前記作動用シリンダを駆動させる作動用電動駆動源とからなるものでもよい。
【0016】
これによれば、シリンダ径の大小を利用することで、小径の作動用シリンダを駆動源としても増圧工程用シリンダでは大きな圧力を発生させることができる。したがって、作動用シリンダを駆動させる作動用電動駆動源として、作動用シリンダを動作させるための必要最小限の出力を持つもので足り、作動用電動駆動源を小型化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低速工程、高速工程、及び増圧工程に特化した制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態の射出装置を模式的に示す図。
【図2】射出装置における射出圧力及び射出速度の変化を示すグラフ。
【図3】低速工程時の射出装置を模式的に示す図。
【図4】高速工程時の射出装置を模式的に示す図。
【図5】増圧工程時の射出装置を模式的に示す図。
【図6】背景技術の射出装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
まず、図1に示すように、型部Kは、固定金型12と、可動金型13とから形成されるとともに、固定金型12及び可動金型13は、図示しない型締装置により型開閉及び型締がなされる。射出装置11は、型部K内に形成されたキャビティ14に、成形材料としての金属材料を射出・充填する装置である。そして、型部K内に射出された金属材料は、凝固後に取り出されることにより、所望の成形品となる。
【0020】
固定金型12には、キャビティ14に連通する射出スリーブ15が設けられるとともに、この射出スリーブ15内には射出プランジャ16が摺動可能に設けられている。そして、射出スリーブ15に形成された供給口(図示せず)から金属材料が射出スリーブ15に供給された状態で、射出プランジャ16がキャビティ14に向かって射出スリーブ15内を摺動することにより、金属材料がキャビティ14に射出、充填されるようになっている。
【0021】
射出プランジャ16には、連結部材17を介して増圧工程用シリンダ18のロッド18cの先端が連結されている。増圧工程用シリンダ18において、シリンダチューブ18a内には、ロッド18cと一体のピストン18bが移動可能に収容されるとともに、このピストン18bによってシリンダチューブ18a内が、ロッド18cが延出する側のロッド側室18eと、その反対側のヘッド側室18dとに区画されている。
【0022】
ロッド側室18eは、シリンダチューブ18aに形成された給排口(図示せず)を介して大気開放されるとともに、ヘッド側室18dは、増幅用油路19を介して作動用シリンダ20が接続されている。この作動用シリンダ20のシリンダ径は、増圧工程用シリンダ18のシリンダ径より小さくなっている。そして、増圧工程用シリンダ18より小径をなす作動用シリンダ20と、この作動用シリンダ20を増圧工程用シリンダ18に接続する増幅用油路19とから、増圧工程用シリンダ18におけるロッド18cの推力を増幅させる増幅回路が構成されている。
【0023】
作動用シリンダ20のシリンダチューブ20a内には、ピストン20bが移動可能に収容されるとともに、このピストン20bにはロッド20cが一体に設けられている。作動用シリンダ20のシリンダチューブ20a内は、ピストン20bによってロッド20cが延出する側のロッド側室20eと、その反対側のヘッド側室20dとに区画されている。そして、作動用シリンダ20のヘッド側室20dと、増圧工程用シリンダ18のヘッド側室18dとは、上述の増幅用油路19によって接続されるとともに、両ヘッド側室18d,20d内には非圧縮性流体としての作動油が封入されている。
【0024】
また、作動用シリンダ20のロッド20cには、ロッド20cを前後進動作させる作動用ボールネジ・ナット機構BN1が連結されている。詳細には、ロッド20cの先端には作動用ナットN1が連結されるとともに、この作動用ナットN1は作動用ボールネジB1に螺合されており、この作動用ボールネジB1は、作動用電動駆動源としての作動用モータM1によって回転される。作動用ボールネジB1は、作動用ナットN1が作動用ボールネジB1の軸方向に前進又は後進動作するように回転する。よって、作動用ボールネジ・ナット機構BN1は、作動用ナットN1と、作動用ボールネジB1と、作動用モータM1とから構成されている。
【0025】
そして、本実施形態では、増圧工程用シリンダ18と、増幅用油路19と、作動用シリンダ20と、作動用ボールネジ・ナット機構BN1とから、増圧工程用ユニットU1が構成されている。
【0026】
増圧工程用ユニットU1において、型部Kと反対側には、低速工程用ユニットU2における低速工程用シリンダ30のロッド30cが機械的に連結されている。低速工程用シリンダ30において、シリンダチューブ30a内には、ロッド30cと一体のピストン30bが移動可能に収容されるとともに、このピストン30bによってシリンダチューブ30a内が、型部K側の第1作動室30eと、その反対側の第2作動室30dとに区画されている。
【0027】
ロッド30cには、ロッド30cを前後進動作させる低速工程用ボールネジ・ナット機構BN2が連結されている。詳細には、ロッド30cには低速工程用ナットN2が連結されるとともに、この低速工程用ナットN2に低速工程用ボールネジB2が螺合されている。また、低速工程用ボールネジB2は、電動駆動源としての低速工程用モータM2によって回転される。
【0028】
低速工程用モータM2により、低速工程用ナットN2は低速工程用ボールネジB2の軸方向へ前進又は後進動作する。よって、低速工程用ボールネジ・ナット機構BN2は、低速工程用ナットN2と、低速工程用ボールネジB2と、低速工程用モータM2とから構成されている。
【0029】
低速工程用シリンダ30の第1作動室30eには、低速工程用油路31の一端が接続されるとともに、この低速工程用油路31の他端は第2作動室30dに接続されている。すなわち、第1作動室30eと第2作動室30dとは、低速工程用油路31によって閉回路とされている。また、低速工程用油路31には、低速工程用電磁切換弁32が配設されている。この低速工程用電磁切換弁32は、第2作動室30dと第1作動室30eとの連通を遮断する第1位置32aと、第2作動室30dから第1作動室30eへ作動油が流れることを許す第2位置32bと、に切換可能になっている。
【0030】
また、低速工程用油路31には、低速工程用電磁切換弁32をバイパスするバイパス油路33が設けられるとともに、このバイパス油路33には逆止弁34が設けられている。この逆止弁34は、低速工程用電磁切換弁32が第1位置32aにあるとき、第2作動室30dから第1作動室30eへ作動油が流れることを阻止する一方で、第1作動室30eから第2作動室30dへ作動油が流れることを許す。
【0031】
そして、低速工程用電磁切換弁32が第1位置32aにあるとき、型部Kからの背圧力がロッド30cに作用し、ロッド30cを介してピストン30bが第2作動室30d側に押圧されても、逆止弁34により、第2作動室30dの作動油が第1作動室30eに排出されることが阻止され、作動油によって背圧力が支承される。したがって、本実施形態では、逆止弁34及び低速工程用油路31により、背圧力支承手段を構成している。また、本実施形態では、低速工程用シリンダ30と、低速工程用ボールネジ・ナット機構BN2と、背圧支承手段とから低速工程用ユニットU2が構成されている。
【0032】
低速工程用ユニットU2において、増圧工程用ユニットU1とは反対側には、高速工程用ユニットU3における高速工程用シリンダ40の第1ロッド40cが機械的に連結されている。高速工程用シリンダ40は、両ロッド形のシリンダであり、この高速工程用シリンダ40のシリンダチューブ40a内には、第1ロッド40cと一体のピストン40bが移動可能に収容されるとともに、このピストン40bにおける第1ロッド40cの他方には第2ロッド40fが一体に設けられている。シリンダチューブ40a内は、ピストン40bによって第1ロッド40c側の第1室40eと、その反対側の第2ロッド40f側の第2室40dとに区画されている。
【0033】
第1室40eには、給排機構Tが接続されるとともに、この給排機構Tは、第1室40eに作動油を供給するとともに、第1室40eの作動油を排出する。また、給排機構Tは、油タンク43と、油タンク43内の作動油を汲み上げるポンプ44と、給排油路47上に設けられた電磁切換弁45と、からなる。電磁切換弁45は、ポンプ44によって油タンク43から汲み上げた作動油を第1室40eへ供給可能とする第1位置45aと、第1室40e内の作動油を油タンク43に排出可能とする第2位置45bとに切換可能になっている。一方、高速工程用シリンダ40の第2室40dには、油圧駆動源としてのアキュムレータ46が接続されるとともに、アキュムレータ46には作動油が蓄圧されている。そして、このアキュムレータ46からの作動油が第2室40dに供給されるとともに、ピストン40bには、低速工程用ユニットU2に向けた油圧が常に作用している。
【0034】
また、高速工程用シリンダ40の第2ロッド40fの先端には、連結部40gが形成されている。この連結部40gは、高速工程用シリンダ40とは別体の連結駆動部49が機械的に連結又は連結解除可能になっている。連結駆動部49は、連結用モータ49aによって回転可能に構成されている。そして、連結部40gに対し、連結駆動部49が連結した状態では、アキュムレータ46からの作動油によるピストン40b(第1及び第2ロッド40c,40f)の前進動作が規制可能となっている。
【0035】
一方、連結駆動部49が連結用モータ49aによって駆動されると、連結部40gに対する連結が解除されるとともに、アキュムレータ46からの作動油によるピストン40bの前進動作が可能になる。そして、本実施形態では、連結部40gと連結駆動部49とから連結機構Rが構成されるとともに、連結部40gと連結駆動部49とはチャック構造より構成されている。また、この連結機構Rと、高速工程用シリンダ40と、給排機構Tと、アキュムレータ46とから、高速工程用ユニットU3が構成されている。
【0036】
本実施形態では、型部Kに対し、射出プランジャ16を介して増圧工程用ユニットU1のロッド18cが機械的に連結されるとともに、増圧工程用ユニットU1に、低速工程用ユニットU2のロッド30cが機械的に連結されている。さらに、低速工程用ユニットU2に高速工程用ユニットU3のロッド40cが機械的に連結されている。また、ロッド18c,30c,40cは同一軸線上に配置されるとともに、増圧工程用シリンダ18と、低速工程用シリンダ30と、高速工程用シリンダ40は直列に配置されている。
【0037】
次に、射出装置11の射出時における作動パターン(射出パターン)を、図2にしたがって説明する。
射出装置11は、低速工程、高速工程、及び増圧工程の3工程で作動させる。低速工程は、射出の初期段階の工程であって、低速工程用ユニットU2で射出プランジャ16を作動させる工程である。
【0038】
高速工程は、低速工程の次に行われる工程であって、射出プランジャ16を低速工程時よりも高速で作動させる工程である。そして、高速工程は、高速工程用ユニットU3で射出プランジャ16を作動させる工程である。
【0039】
増圧工程は、高速工程の次に行われる射出の最終段階の工程であって、射出プランジャ16の型部Kに向けた前進方向の力によりキャビティ14内の金属材料を増圧する工程である。そして、増圧工程は、増圧工程用ユニットU1で射出プランジャ16を作動させる工程である。
【0040】
これらの各工程では、図2に示すように、射出装置11に要求される作動パターンが相違する。すなわち、射出プランジャ16は、高速工程において低速工程よりも速い速度で作動させることが必要である一方で、増圧工程においては速度を必要としない。また、射出プランジャ16は、増圧工程において低速工程及び高速工程よりも高い圧力を付与するように作動させることが必要である一方で、低速工程及び高速工程において増圧工程時ほどの圧力を付与するように作動させる必要はない。
【0041】
以下、本実施形態の射出装置11の作用を、図3〜図5にしたがって説明する。
最初に、低速工程について図1及び図3に従って説明する。
低速工程の開始前、射出スリーブ15の射出プランジャ16、増圧工程用シリンダ18のロッド18c、作動用シリンダ20のロッド20c、低速工程用シリンダ30のロッド30c、及び高速工程用シリンダ40の両ロッド40c,40fは、図1に示すような所定の初期位置に位置している。なお、初期位置に位置する各ロッド18c,20c,30c,40c,40fは、射出スリーブ15内に供給される金属材料に対して射出圧を付与していない(図2の時間T1)。
【0042】
また、低速工程用ユニットU2の低速工程用電磁切換弁32は、成形時、第1作動室30eと第2作動室30dとの連通を遮断するように第1位置32aに切り換えられている。さらに、高速工程用ユニットU3の給排機構Tの電磁切換弁45は、成形時、高速工程用シリンダ40における第1室40eの作動油が油タンク43に戻らないよう第1位置45aに切り換えられている。
【0043】
そして、固定金型12と可動金型13の型締め、及び射出スリーブ15への金属材料の供給などの成形準備が完了すると、低速工程用ユニットU2による低速工程を開始する。低速工程において、低速工程用シリンダ30のロッド30cは、図2に示す射出速度V1で移動する。そして、低速工程用モータM2が駆動されると、低速工程用ボールネジB2が回転するとともに、低速工程用ボールネジB2に螺合された低速工程用ナットN2が前進動作する。すると、図3に示すように、低速工程用ナットN2を介して低速工程用シリンダ30のロッド30cには駆動力が付与され、前進動作する。そして、このロッド30cの前進動作により、増圧工程用ユニットU1全体が型部Kに向けて押し出され、前進動作する。
【0044】
増圧工程用ユニットU1が前進動作すると、増圧工程用シリンダ18が前進動作する。これにより、この増圧工程用シリンダ18のロッド18cに連結された射出プランジャ16も前進動作する。この射出プランジャ16の前進動作により、射出スリーブ15内の金属材料はキャビティ14内に射出される。
【0045】
そして、低速工程用シリンダ30のロッド30cが、低速工程時において前進動作させる位置に到達すると(図2の時間T2)、低速工程から高速工程に移行する。
次に、高速工程について図4に従って説明する。
【0046】
高速工程において、射出プランジャ16が、図2に示す射出速度V2となるように、アキュムレータ46に作動油を蓄圧しておき、所定のタイミングで連結駆動部49の連結用モータ49aが駆動される。同時に、電磁切換弁45は第2位置45bに切り換えられる。そして、連結駆動部49と、高速工程用シリンダ40における第2ロッド40fの連結部40gとの連結状態が解除されると、アキュムレータ46の作動油が作用しているピストン40bは、一気に第1室40e側に向けて高速動作する。このとき、第1室40eの作動油が電磁切換弁45を介して油タンク43に排出される。そして、ピストン40bの高速動作に伴い、第1ロッド40cも高速移動し、低速工程用ユニットU2を介して増圧工程用ユニットU1が型部Kに向けて高速で押し出され、前進動作する。
【0047】
低速工程用ユニットU2を介して増圧工程用ユニットU1が射出速度V2で前進動作すると、増圧工程用シリンダ18が前進動作する。これにより、この増圧工程用シリンダ18のロッド18cに連結された射出プランジャ16も射出速度V2で前進動作し、射出スリーブ15内の金属材料はキャビティ14内に射出されるようになる。高速工程時には、低速工程時に比して、増圧工程用ユニットU1及び低速工程用ユニットU2が高速動作する。
【0048】
この高速工程時、型部Kからの背圧力が増圧工程用ユニットU1を介して低速工程用ユニットU2の低速工程用シリンダ30に作用する。しかし、低速工程用シリンダ30においては、逆止弁34により第2作動室30dから第1作動室30eへの作動油の流出が阻止されるため、背圧力によりロッド30cが第2作動室30dに向けた後進動作が阻止される。その結果、ロッド30cに螺着された低速工程用ナットN2を介して低速工程用ボールネジB2が回転することが阻止され、低速工程用モータM2が回転することが阻止される。
【0049】
次に、増圧工程について図5に従って説明する。
増圧工程において、増圧工程用シリンダ18のロッド18cが付与する圧力が、図2に示す射出圧Pとなる。そして、作動用シリンダ20のロッド20cは、作動用モータM1の回転によって作動用ボールネジB1に螺合された作動用ナットN1が前進動作することで、その作動用ナットN1を介して駆動力が付与され、前進動作する。
【0050】
作動用シリンダ20のロッド20cが前進動作すると、ヘッド側室20dの作動油は、増幅用油路19を通じて、増圧工程用シリンダ18のヘッド側室18dへ供給される。本実施形態では、作動用シリンダ20から増圧工程用シリンダ18のヘッド側室18dに作動油を供給すると、パスカルの原理により、ヘッド側室18d内の圧力が上昇し、射出プランジャ16が増圧工程用シリンダ18から受ける圧力も上昇する。その結果、射出プランジャ16が、キャビティ14内の金属材料を加圧する力は増大する。なお、増圧工程時、増圧工程用シリンダ18のロッド側室18eからは空気が押し出され、この空気は大気開放される。
【0051】
また、増圧工程時も、型部Kからの背圧力が増圧工程用ユニットU1を介して低速工程用ユニットU2の低速工程用シリンダ30に作用する。しかし、低速工程用シリンダ30においては、逆止弁34により第2作動室30dから第1作動室30eへの作動油の流出が阻止されるため、背圧によりロッド30cの第2作動室30dに向けた後進が阻止される。その結果、ロッド30cに螺着された低速工程用ナットN2を介した低速工程用ボールネジB2の回転及び低速工程用モータM2の回転が阻止される。
【0052】
その後、キャビティ14内の金属材料が凝固したならば、作動用モータM1を増圧工程時とは逆回転させる。そして、作動用シリンダ20のロッド20cは、作動用モータM1の回転によって作動用ボールネジB1に螺合された作動用ナットN1が後進動作することで、その作動用ナットN1を介して駆動力が付与され、後進動作する。作動用シリンダ20のロッド20cが後進動作すると、増圧工程用シリンダ18のヘッド側室18dの作動油が、増幅用油路19を通じて、作動用シリンダ20のヘッド側室20dに引き込まれ、これに伴い増圧工程用シリンダ18のロッド18cが後進動作する。その結果、射出プランジャ16が、射出スリーブ15内を後進動作する。
【0053】
続いて、低速工程用ユニットU2における低速工程用電磁切換弁32を制御することで、第2位置32bに切り換え、第2作動室30dから第1作動室30eへの作動油の流れを可能にする。そして、低速工程用モータM2を低速工程時とは逆回転させる。そして、低速工程用シリンダ30のロッド30cは、低速工程用モータM2の回転によって低速工程用ボールネジB2に螺合された低速工程用ナットN2が後進動作することで、その低速工程用ナットN2を介して駆動力が付与され、後進動作する。低速工程用シリンダ30のロッド30cが後進動作すると、低速工程用シリンダ30の第2作動室30dの作動油が、低速工程用油路31及び低速工程用電磁切換弁32を通じて、第1作動室30eに流れる。その結果、ロッド30cが後進動作するとともに、このロッド30cが連結された増圧工程用ユニットU1が後進動作する。よって、射出プランジャ16が、射出スリーブ15内を後進動作する。
【0054】
続いて、高速工程用ユニットU3において、電磁切換弁45を制御することで、第1位置45aに切り換えるとともに、ポンプ44を駆動させ、油タンク43から第1室40eに作動油を供給する。すると、ピストン40bが第2室40dに向けて後進動作するとともに、第2室40dの作動油がアキュムレータ46に蓄圧される。同時に、ピストン40bが後進動作することで、第1ロッド40c及び第2ロッド40fに駆動力が付与され、後進動作し、この第1ロッド40cが連結された低速工程用ユニットU2が後進動作するとともに、その低速工程用ユニットU2のロッド30cが連結された増圧工程用ユニットU1も後進動作する。その結果、射出プランジャ16が、射出スリーブ15内を後進動作する。
【0055】
また、第2ロッド40fが後進動作し、連結部40gが連結駆動部49に到達すると、連結用モータ49aを駆動させ、連結部40gに連結駆動部49を連結させるとともに、ピストン40bの前進動作を規制する。したがって、射出スリーブ15の射出プランジャ16、増圧工程用シリンダ18のロッド18c、作動用シリンダ20のロッド20c、低速工程用シリンダ30のロッド30c、及び高速工程用シリンダ40の両ロッド40c,40fは、図1に示す初期位置に位置する。その後、固定金型12と可動金型13を型開きすることにより、型から成形品が取り出される。
【0056】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)射出装置11を増圧工程用ユニットU1と、低速工程用ユニットU2と、高速工程用ユニットU3とから構成し、射出装置11を各工程用に特化したユニットで構成した。そして、射出装置11においては、増圧工程用ユニットU1における増圧工程用シリンダ18のロッド18cを、射出プランジャ16を介して型部Kに機械的に連結するとともに、増圧工程用ユニットU1に対し、低速工程用ユニットU2における低速工程用シリンダ30のロッド30cを機械的に連結した。さらに、低速工程用ユニットU2に対しては、高速工程用ユニットU3における高速工程用シリンダ40のロッド40cを機械的に連結した。
【0057】
このような射出装置11において、低速工程を行う低速工程用ユニットU2に関しては、駆動源を低速工程用モータM2とした。そして、低速工程用モータM2を制御することにより、低速工程用シリンダ30におけるロッド30cの移動速度及び加速度を緻密に制御し、結果として射出プランジャ16の作動速度及び加速度を緻密に制御することができる。よって、低速工程において、射出プランジャ16を最適な作動速度及び加速度で動作させることができ、射出スリーブ15内での金属材料の空気の巻き込みを防止したり、金属材料が波打つことを防止したりすることがより的確に行えるようになる。
【0058】
また、高速工程を行う高速工程用ユニットU3に関しては、駆動源をアキュムレータ46とした。このため、アキュムレータ46に対する蓄圧量を調節することで、高速工程時における射出時間を調節することができ、射出時間の短縮も可能である。
【0059】
さらに、増圧工程を行う増圧工程用ユニットU1に関しては、増圧工程を行うための増圧工程用シリンダ18を独立して備えるとともに、その駆動源として作動用シリンダ20及び作動用モータM1を備える。このため、背景技術のように、増圧工程を行う駆動源として、アキュムレータ、流量制御弁、油圧回路を要する場合と比べると、駆動源の小型化が可能になる。また、作動用シリンダ20は、作動用モータM1の制御によってピストン20bが所望の位置に動作するから、増圧工程用シリンダ18に対する作動油の供給量(圧力)が正確に制御されることになる。
【0060】
したがって、低速工程、高速工程、及び増圧工程を各ユニットU1,U2,U3で独立して行うことで、各工程に特化した動作を可能にし、各工程に特有の要望を満たすことができる。また、各ユニットU1,U2,U3を機械的に連結することで、各ユニットU1,U2,U3を連動させるための油圧回路や制御弁が必要無くなり、射出装置11の構成を簡素化することができる。
【0061】
(2)増圧工程用ユニットU1の駆動源として、作動用モータM1を採用し、低速工程用ユニットU2の駆動源として低速工程用モータM2を採用した。また、高速工程用ユニットU3の駆動源としてアキュムレータ46を採用した。例えば、高速工程においては、その駆動源を電動駆動源とすると、高速工程用シリンダ40を高速で動作させるために電動駆動源が大型化してしまう。しかし、高速工程の駆動源をアキュムレータ46とすることで、駆動源を大型化せず、高速工程用シリンダ40を高速で動作させることが可能になる。よって、各工程で要求される特性に合わせて電動駆動源と油圧駆動源とを使い分けることで、射出装置11を安価で、かつ高品質で提供することができる。
【0062】
(3)低速工程用ユニットU2に、型部Kからの背圧力を支承する背圧力支承手段を設け、この背圧力支承手段により、背圧力によって低速工程用シリンダ30のロッド30cが後進動作することを阻止することができる。その結果、背圧力によって低速工程用ナットN2を介して低速工程用ボールネジB2が回転することが阻止される。よって、ロッド30cの駆動源として低速工程用モータM2を採用しても、背圧力を低速工程用モータM2で支承する必要が無く、結果として低速工程用モータM2が背圧力で回転してしまうことを防止できる。また、背圧力を背圧力支承手段で支承するために、低速工程用モータM2を大型化する必要もなく、低速工程用シリンダ30を動作させるための必要最小限の出力を持つ低速工程用モータM2を採用することができ、低速工程用モータM2に掛かるコストを抑えることができる。
【0063】
(4)低速工程用ユニットU2において、低速工程用シリンダ30のロッド30cには、低速工程用ナットN2が連結されるとともに、この低速工程用ナットN2には低速工程用モータM2によって回転する低速工程用ボールネジB2が螺合されている。そして、背圧力支承手段は、低速工程用シリンダ30の第1作動室30eと第2作動室30dを接続する低速工程用油路31と、この低速工程用油路31のバイパス油路33に設けられた逆止弁34と、からなる。よって、油圧回路といった簡単な構成で、型部Kからの背圧力を支承することができ、背圧力によってロッド30cが後進動作することを防止できる。
【0064】
(5)高速工程用ユニットU3において、高速工程用シリンダ40の第2室40dにはアキュムレータ46が接続されるとともに、第2ロッド40fに一体の連結部40gは、連結駆動部49に対して機械的に連結又は連結解除可能になっている。このため、連結部40gと連結駆動部49との連結が解除されると、アキュムレータ46からの油圧が作用したピストン40bを第2室40dに一気に供給することができ、高速工程用シリンダ40の第1ロッド40cを一気に前進動作させることができる。したがって、例えば、アキュムレータ46に蓄圧された作動油をバルブを開いて第2室40dに供給する場合は、所望のバルブ開度にしてから、所望の油圧となるまで時間差があり、その場合と比べると、所望の油圧に達するまでの時間が短くなる。その結果として、高速工程の射出時間の短縮を図ることができる。
【0065】
(6)増圧工程用ユニットU1において、増圧工程用シリンダ18の駆動源を、増圧工程用シリンダ18より小径をなし非圧縮性流体の流体圧を増圧工程用シリンダ18に付与して作動させる作動用シリンダ20と、この作動用シリンダ20を駆動させる作動用モータM1とから構成した。このため、シリンダ径の大小を利用することで、小径の作動用シリンダ20を駆動源としても増圧工程用シリンダ18では大きな圧力を発生させることができる。したがって、作動用モータM1として、作動用シリンダ20を動作させるための必要最小限の出力を持つモータを採用することができ、作動用モータM1に掛かるコストを抑えることができる。
【0066】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、連結機構Rを、連結部40gと連結駆動部49とからなるチャック構造で形成したが、連結部40gと連結駆動部49とは、コレット構造、ボールカプラ構造、BNCコネクタ構造等に変更してもよい。
【0067】
○ 低速工程用ユニットU2において、逆止弁34は無くてもよく、この場合、背圧力を支承できるように、低速工程用モータM2を大型化してもよい。
○ 増圧工程用ユニットU1、及び低速工程用ユニットU2において、作動用シリンダ20及び低速工程用シリンダ30の駆動源を、リニアモータとし、リニアモータにより、作動用シリンダ20のロッド20c及び低速工程用シリンダ30のロッド30cを直接、直線移動させてもよい。
【0068】
○ 高速工程用ユニットU3において、アキュムレータ46と高速工程用シリンダ40の第2室40dとの間に、流量制御弁を設け、この流量制御弁によりアキュムレータ46から放出される圧油量を制御して、高速工程用シリンダ40の動作速度を制御してもよい。
【0069】
○ 実施形態では、射出装置11を、射出プランジャ16に連結された増圧工程用ユニットU1、増圧工程用ユニットU1に連結された低速工程用ユニットU2、及び低速工程用ユニットU2に連結された高速工程用ユニットU3の配置にしたが、3つのユニットU1,U2,U3の配置は適宜変更してもよい。
【0070】
○ 実施形態では、増圧工程用ユニットU1における増圧工程用シリンダ18のロッド18cを後進動作させる場合、作動用モータM1を駆動させて行った。しかし、これに限らず、増圧工程用シリンダ18のロッド側室18eに、非圧縮性流体としての作動油を供給するとともに、ロッド側室18eの作動油を排出する給排機構を設け、この給排機構を用いてロッド18cを後進動作させてもよい。
【0071】
○ 射出装置11は、樹脂材料をキャビティ14内に射出して樹脂成形品を製造する射出装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
K…型部、R…連結機構、M1…作動用電動駆動源としての作動用モータ、M2…電動駆動源としての低速工程用モータ、U1…増圧工程用ユニット、U2…低速工程用ユニット、U3…高速工程用ユニット、11…射出装置、16…射出プランジャ、18…増圧工程用シリンダ、18c…増圧工程用のロッド、20…駆動源としての作動用シリンダ、30…低速工程用シリンダ、30b…ピストン、30c…低速工程用のロッド、30d…第2作動室、30e…第1作動室、31…背圧力支承手段を形成する閉回路としての低速工程用油路、34…背圧力支承手段を形成する逆止弁、40…高速工程用シリンダ、40c…高速工程用の第1ロッド、40f…第2ロッド、46…油圧駆動源としてのアキュムレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出プランジャにより成形材料を型部内に射出、充填し、さらに増圧させる射出装置であって、
低速工程用のロッドを備える低速工程用シリンダを有し、該低速工程用シリンダを駆動させる電動駆動源を有する低速工程用のユニットと、
高速工程用のロッドを備える高速工程用シリンダを有し、該高速工程用シリンダを駆動させる油圧駆動源を有する高速工程用のユニットと、
増圧工程用のロッドを備える増圧工程用シリンダを有し、該増圧工程用シリンダを駆動させる駆動源を有する増圧工程用のユニットと、を備え、
前記射出プランジャに前記ロッドのいずれか一つが機械的に連結され、該ロッドを有するユニットには、他のユニットのロッドが機械的に連結され、さらに、該他のユニットにはもう一つのユニットのロッドが機械的に連結されていることを特徴とする射出装置。
【請求項2】
前記低速工程用シリンダには、高速工程及び増圧工程時の前記型部からの背圧力を支承する背圧力支承手段が設けられている請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
前記背圧力支承手段は、ピストンによって前記低速工程用シリンダ内の前記型部側に区画された第1作動室、及び該第1作動室と反対側の第2作動室と接続する非圧縮性流体の閉回路と、前記背圧力によって前記非圧縮性流体が前記第1作動室から第2作動室へ流れることを阻止する逆止弁と、からなる請求項2に記載の射出装置。
【請求項4】
前記射出プランジャに前記増圧工程用のロッドが連結され、前記増圧工程用のユニットに前記低速工程用のロッドが連結され、さらに、前記低速工程用のユニットに前記高速工程用のロッドが連結され、前記高速工程用シリンダは両ロッド形であり、一方の第1ロッドに前記低速工程用のユニットが連結され、他方の第2ロッドには、該第2ロッドと機械的に連結して前記油圧駆動源の油圧による第1及び第2ロッドの移動を規制可能とし、かつ前記連結を機械的に解除可能とする連結機構が設けられている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の射出装置。
【請求項5】
前記増圧工程用のユニットの駆動源は、前記増圧工程用シリンダより小径をなし非圧縮性流体の流体圧を前記増圧工程用シリンダに付与して作動させる作動用シリンダと、前記作動用シリンダを駆動させる作動用電動駆動源とからなる請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の射出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86143(P2013−86143A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230016(P2011−230016)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】