説明

導光シート、接点ばね付きシート及びスイッチ装置

【課題】十分な遮光性を有する遮光部を形成することができると共に、この遮光部に対する加工時間を短くして、生産効率を向上させることができる導光シート、接点ばね付きシート及びスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】導光シート21に並べて設けられた複数の溝部35を照光領域の外側に向かって深くなるように段状に形成し、この複数の溝部35に照光領域に導光された光を反射または吸収する段違いの遮光部36を設けた。また、遮光部36を、複数の溝部35の並びの方向からみて、隣接する上段の遮光部36と下段の遮光部36とが重なるようにし、導光シート21の厚み方向での遮光を可能な構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光シート、接点ばね付きシート及びスイッチ装置に関し、特に、各種電子機器用の操作パネルに使用される導光シート、接点ばね付きシート及びスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種電子機器用の操作パネルに組み込まれる接点ばね付きシートとして、操作パネルの操作キーを照光する導光シートを備えたものが知られている。この導光シートは、透光性材料で形成されており、携帯端末の回路基板上に取り付けられる。また、導光シートの端部近傍には、光源が配置され、光源から出射された光は、導光シートの端面からシート内に入射される。シート内に入射された光は、携帯端末の操作キーに対応する位置に形成された照光パターンで拡散され、操作キーを内側から点灯させる。
【0003】
上記した導光シートにおいては、シート内を進行する光を遮光する遮光部が形成されている。従来、このような導光シートとして、シートの上下面に形成された遮光部により遮光するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の導光シートでは、シート上面に切り込まれた溝部とシート下面に切り込まれた溝部とを交互に配設し、これら上下方向から切り込まれた複数の溝部に遮光液を充填して遮光部が形成される。この場合、シート上面側の溝部及びシート下面側の溝部は、部分的にオーバ−ラップする深さまで切り込まれており、遮光部により導光シートを厚み方向で効果的に遮光することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−226844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、導光シートに遮光部を形成する場合、レーザー加工等により導光シートに溝部を形成し、インクジェット印刷等により溝部に対し上方から遮光液を塗布するようにしている。このため、特許文献1に記載の導光シートの製造時には、導光シートの上面に遮光部を形成した後に、これを裏返して導光シートの下面に遮光部を形成しなければならず、遮光部の加工にかかる時間が長くなり、生産効率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、十分な遮光性を有する遮光部を形成することができると共に、この遮光部に対する加工時間を短くして、生産効率を向上させることができる導光シート、接点ばね付きシート及びスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の導光シートは、光源からの光を照光領域に導光する導光シートであって、一方の主面に並んで設けられ、前記照光領域の外側に向かって一方の主面からの深さが深くなるように形成された複数の溝部を有し、前記複数の溝部に、前記照光領域に導光された光を反射または吸収する遮光部が設けられ、前記遮光部により、シート厚み方向での遮光を可能としたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、導光シートの一方の主面に設けられた遮光部によってシート厚み方向での遮光が可能なため、導光シートを裏返して他方の主面に遮光部を設ける必要がない。よって、導光シートの両主面に遮光部を設ける構成と比較して、遮光部の加工時間を短くすることができ、生産効率を向上させることができる。また、複数の溝部に段違いに遮光部が設けられるため、インクジェット印刷等のように遮光液の吐出量が少ない印刷方法であっても十分な遮光性を有する遮光部を容易に形成することができる。
【0009】
また本発明は、上記導光シートにおいて、前記複数の溝部はレーザー加工により形成され、前記遮光部は前記複数の溝部への遮光液の印刷加工により形成されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、レーザー加工により複数の溝部の溝幅を狭くすることができ、溝部同士を近接させることができる。また、印刷加工により溝幅の狭い溝部に対して遮光液を充填して、遮光部を形成することができる。
【0011】
また本発明は、上記導光シートにおいて、前記遮光部は、前記複数の溝部の並びの方向からみて、隣接する上段の遮光部と下段の遮光部とが部分的に重なるように段違いに設けられたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、隣接する上段の遮光部と下段の遮光部とにより、シート厚み方向での遮光性能を向上させることができる。
【0013】
また本発明は、上記導光シートにおいて、前記遮光部は、前記光源からの光を入光する入光部に対向したシート端部、または中間部に設けられたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、遮光部により、全面照光用の導光シートの遮光だけでなく、分割照光用の導光シートを遮光させることができる。
【0015】
本発明の接点ばね付きシートは、上記導光シートと、前記導光シートに粘着部を介して積層され、接点ばねを保持する保持シートとを有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、導光シートに短い加工時間で十分な遮光性を有する遮光部を形成することで、接点ばね付きシートの生産効率を向上させることができる。
【0017】
本発明のスイッチ装置は、上記接点ばね付きシートと、前記接点ばねが離接する固定接点が設けられた基板と、前記接点ばねを押圧操作する操作部とを備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、導光シートに短い加工時間で十分な遮光性を有する遮光部を形成することで、スイッチ装置の生産効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、導光シートの一方の主面に設けられた段違いの遮光部により、十分な遮光性を有する遮光部の加工時間を短縮して、導光シート、接点ばね付きシート、スイッチ装置の生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態を示す図であり、操作パネルの側断面図である。
【図2】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態を示す図であり、接点ばね付きシートの遮光部周辺の部分拡大図である。
【図3】本発明に係るスイッチ装置の比較例を示す図であり、比較例に係る接点ばね付きシートの遮光部の形成処理の説明図である。
【図4】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態を示す図であり、接点ばね付きシートの遮光部の形成処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明が適用されるスイッチ装置は、主として携帯電話等の小型の電子機器の筐体内に組み込まれて使用される。このスイッチ装置には、操作ボタンを内部から照らす導光シートが設けられている。導光シートには、シート内から漏れた光が筐体内での光の乱反射により筐体の隙間から視認されないように、遮光部が形成されている。一例として、遮光部は、インクジェット印刷により導光シートの対象箇所に液滴を吐出することで形成される。
【0022】
このような遮光部は、導光シートに形成された傾斜面に設けられる場合がある。これは、導光シートの垂直面に向けて液滴を突出する場合と比較して、液滴を精度よく吐出できるからである。しかしながら、導光シートに傾斜面を形成する場合、例えば、レーザー加工により細かいピッチでレーザー光線のパワーを制御する必要があり、傾斜面の形成に長い加工時間が費やされていた。また、加工時間を考慮して、導光シートに傾斜面の代わりに深い溝部を形成して、この深い溝部に遮光部を形成する構成も考えられるが、インクジェット印刷では一度の吐出による液量が少量に制限されるため、印刷加工を複数回繰り返さなければならない。
【0023】
本発明の骨子は、導光シートにおいて、遮光部の遮光性を低下させることなく、レーザー加工及びインクジェット印刷による遮光部の形成時間を短くし、生産効率を向上させることである。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係るスイッチ装置は、例えば、携帯電話装置の操作パネルなどに利用されるものであるが、これに限定されるものではない。スイッチ装置は、光源からの光を導光シートにより内側から点灯される操作パネルを備えた任意の端末装置に適用することが可能である。例えば、携帯型のパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)などの端末装置に適用することが考えられる。以下においては、本実施の形態に係るスイッチ装置が携帯電話装置の操作パネルに適用される場合について説明するものとする。
【0025】
図1は、本発明に係るスイッチ装置が適用される操作パネルの側断面図である。図1に示すように、スイッチ装置1は、携帯電話装置が備えるパネル2の内部に配設され、携帯電話装置のプリント配線板(PWB)3にスペーサ4を介して接点ばね付きシート5が貼り付けられて構成される。このPWB3は、フェノール樹脂などの絶縁性の積層板などで形成されており、その上面には、カーボンなどを印刷し、或いは、銀箔などをエッチング加工することにより後述する複数の周辺固定接点11及び中央固定接点12の回路パターンが設けられている。
【0026】
パネル2には、操作者の押圧操作を受け付ける複数の操作キー13が設けられている。操作キー13は、後述する接点ばね25に対応する位置に配設されており、操作者により押圧される操作部14と、接点ばね25を反転させるための押圧突起15が設けられている。また、操作キー13は、上面にキーの種類を示す文字部を有している。文字部は、透光性を有しており、後述する導光シート21内に入光された光により内側から照光される。
【0027】
接点ばね付きシート5は、光源17からの光を導光する導光シート21と、粘着部22を介して導光シート21に積層される保持シート23とを有している。保持シート23は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂からなる絶縁材をフィルム状にして形成され、周辺固定接点11に対応する複数の接点ばね25を保持して構成されている。導光シート21は、例えば、ウレタン或いはポリカーボネートなどの合成樹脂からなる絶縁材をフィルム状にして形成されている。より具体的には、導光性を有する樹脂材料で構成されている。
【0028】
また、導光シート21には、光源17からの光により照光される照光領域を有している。照光領域は、操作キー13に対応する位置に図示しない複数の照光パターンが形成され、この照光パターンで導光シート21内に導光された光を拡散させて操作キー13を内側から点灯させる。粘着部22は、導光シート21の下面に接着材を塗布することで設けられている。粘着部22を構成する接着剤も導光性を有する接着材料が利用されている。
【0029】
保持シート23の下面には、接着剤が塗布され、不図示の粘着部が設けられている。この粘着部によって接点ばね25が保持されると共に、スペーサ4を介して接点ばね付きシート5自体がPWB3に貼着される。
【0030】
接点ばね25は、ステンレス又はリン青銅などのばね性を有する金属材により形成されている。接点ばね25は、頂部26を有するドーム形状を有しており、この頂部26の下面が後述する中央固定接点12に接離する接点部を構成している。保持シート23には、このような接点ばね25を収納する膨出部27が設けられており、接点ばね25は、この膨出部27の下面に配置された粘着部に貼着された状態となっている。この膨出部27の上面に操作キー13の押圧突起15が載置された状態となっている。
【0031】
接点ばね25に対応するPWB3の位置には、接点ばね25の外縁部が配置される環状の周辺固定接点11と、周辺固定接点11の中央に位置する円形状の中央固定接点12とが配置されている。中央固定接点12は、操作者の押圧操作に応じて接点ばね25が反転した場合に接点ばね25の頂部26の下面と接触する。また、PWB3において、接点ばね付きシート5の一方の側面近傍には、LED(発光ダイオード)などの発光素子で構成される光源17が設けられている。光源17は、発光素子をパネル2の内側、すなわち、接点ばね付きシート5側に向けて配置している。
【0032】
接点ばね付きシート5における光源17側の一端側には、導光シート21の一部として光源17からの光を入光する入光部31が設けられている。入光部31を介して入光された光は、導光シート21内を導光される。接点ばね付きシート5における他端側には、入光部31に対向して複数の溝部35が設けられている。複数の溝部35には、インクジェット印刷により遮光液が塗布されて段違いの遮光部36が形成されている。なお、溝部35及び遮光部36については後述する。
【0033】
このようなパネル2において、操作キー13が押圧されると、接点ばね25が反転され、接点ばね25の頂部26の下面が中央固定接点12に接触される。そして、中央固定接点12と周辺固定接点11とが接点ばね25を介して導通され、その旨を示す信号が携帯電話装置の制御部に出力される。また、操作キー13の押圧が解除されると、接点ばね25の復元力により操作キー13が上方に押し戻される。
【0034】
以下、本実施の形態に係る接点ばね付きシートの斜面部が設けられた他端側について説明する。図2は、本実施の形態に係る接点ばね付きシートの遮光部周辺の部分拡大図である。
【0035】
図2(a)に示すように、接点ばね付きシート5の他端側においては、導光シート21が粘着部22を介して保持シート23に積層されている。接点ばね付きシート5の他端側には、レーザー光線による溝加工等により導光シート21に複数(本実施の形態では4つ)の溝部35が並んで形成されている。この複数の溝部35は、照光領域の外側に向かって、導光シート21の上面37からの深さが大きくなるように形成されている。この場合、照光領域から最も離れた最下段の溝部35は、導光シート21、粘着部22、保持シート23に跨るように形成される。
【0036】
また、隣接する溝部35は、互いに近接して形成され、遮光スペースの省スペース化が図られている。このため、レーザー加工時には、加工ピッチの近接により複数の溝部35間に位置する凸部分38がレーザー光線によって削られるが、所定の厚みの遮光部36を形成可能な程度に残されている。なお、遮光部36の所定の厚みとは、例えば、インクジェット印刷における一度の吐出によって形成される厚みであり、約40μmである。
【0037】
接点ばね付きシート5には、複数の溝部35に充填された遮光液により、導光シート21内に導光された光が外部に漏れ出るのを防止する段違いの遮光部36が形成される。段違いの遮光部36は、例えば、黒色のUV硬化インクを用いた印刷加工により、複数の溝部35にそれぞれ液溜まりを作り、これを硬化させることで形成される。このとき、隣接する遮光部36において、上段の遮光部36の下部と下段の遮光部36の上部とが、複数の溝部35の並びの方向である矢印D方向からみて重なっている。
【0038】
具体的には、遮光部36aの最下面は、遮光部36bの上面よりも低く位置されている。同様に、遮光部36bの最下面は、遮光部36cの上面よりも低く位置され、遮光部36cの最下面は、遮光部36dの上面よりも低く位置されている。このため、接点ばね付きシート5をA−A面で切断した図2(b)に示すように、遮光部36a−36dが部分的に重なって導光シート21の厚み方向が全体的に隙間なく覆われる。
【0039】
このように、段違いの遮光部36のそれぞれが、部分的に重なり合うことで、導光シート21の厚み方向で効果的な遮光が可能となっている。また、遮光部36dは、導光シート21、粘着部22、保持シート23に跨るように形成されるため、導光シート21内に導光された光が導光シート21、粘着部22、保持シート23の隙間から漏れることが防止される。なお、遮光部36に使用される遮光液としては、上記した黒色インクに限定されず、光を吸収または反射可能するものであればよい。例えば、接点ばね付きシート5の複数の溝部35に遮光部36として反射部を形成した場合には、導光シート21内により多くの光を取り込むことが可能となる。
【0040】
ここで、本実施の形態に係る接点ばね付きシートの遮光部の形成処理について説明する。図3は、比較例に係る接点ばね付きシートの遮光部の形成処理の説明図である。図4は、本実施の形態に係る接点ばね付きシートの遮光部の形成処理の説明図である。ここでは、傾斜面に遮光部を形成する構成を比較例として、この比較例と比較しつつ説明する。
【0041】
図3(a)に示すように、比較例に係る接点ばね付きシート41は、レーザー加工により遮光部46用の傾斜面43が形成される。傾斜面43は、上面視において直線の溝状に延在し、幅方向に0.06mmピッチでレーザー光線のパワーが制御されることで形成される。このため、レーザー加工の加工回数が多くなり、傾斜面43の形成に長い加工時間が費やされる。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、接点ばね付きシート41の上方からインクジェット印刷により遮光液の液滴が傾斜面43に吐出される。傾斜面43に吐出された液滴は、傾斜面43に沿って薄く広がり、図3(c)に示すように遮光部46を形成する。この場合、遮光部46は、傾斜面43に沿って形成されるため、斜面幅が長くなって遮光スペースが広くなる。このため、省スペース化が求められる小型の電子機器の設計においては好ましくない。このように、比較例に係る接点ばね付きシート41では、遮光部46の形成に長い加工時間が費やされ、遮光スペースが広くなるため、生産効率を向上させつつ、小型の電子機器に対応させることができない。
【0043】
一方、図4(a)に示すように、本実施の形態に係る接点ばね付きシート5は、レーザー加工により遮光部36用の複数の溝部35が形成される。複数の溝部35は、上面視において並行に延在し、幅方向に0.2mmピッチでレーザー光線のパワーが制御されることで形成される。このため、比較例に係る接点ばね付きシート41と比較して、レーザー光線の加工回数(本実施例では4回)を減らすことができ、複数の溝部35の形成に長い加工時間が費やされることがない。このとき、レーザー光線のパワーは、照光領域から外側に向かって大きくなるように制御され、複数の溝部35が段状に形成される。
【0044】
次に、図4(b)に示すように、接点ばね付きシート5の上方からインクジェット印刷により遮光液の液滴が複数の溝部35に吐出される。複数の溝部35に吐出された液滴は、複数の溝部35に貯留され、硬化されて段違いの遮光部36を形成する。この場合、インクジェット印刷による遮光液の吐出は、複数の溝部35に対して一度だけ行われ、一度の吐出により遮光部36が形成される。すなわち、複数の溝部35の深さは、インクジェット印刷による一度の吐出により、遮光部36に一定の厚みを持たせるように設定されている。このため、一度の吐出量が少量に制限されるインクジェット印刷において、短時間で遮光部36を形成することができる。
【0045】
そして、図4(c)に示すように、段違いの遮光部36は、導光シート21の厚み方向に並んで、部分的に重なりつつ配置され、導光シート21の厚み方向で効果的に遮光する。また、段違いの遮光部36が、それぞれの深さにより導光シート21の厚み方向を遮光するため、比較例の接点ばね付きシート41のように、傾斜面43に沿って遮光部36が形成される構成と比較して、遮光スペースを狭めることができる。また、溝部35の数を変えることにより遮光スペースを調整することも可能である。このように、本実施の形態に係る接点ばね付きシート5では、比較例に係る接点ばね付きシート41と比較して、短時間で遮光部36が形成され、遮光スペースを狭めることができるため、生産効率を向上させつつ、小型の電気機器に対応させることができる。
【0046】
このように本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、導光シート21に設けられた段違いの遮光部36によってシート厚み方向での遮光を効果的に行うことができる。また、複数の溝部35に遮光部36を形成するため、溝部35の数だけレーザー加工を行えばよく、レーザー加工の加工回数を減少させて、レーザー加工の加工時間を短くできる。さらに、インクジェット印刷の一度の吐出により遮光部36を形成するため、インクジェット印刷の加工時間を短くできる。よって、スイッチ装置1の生産効率を向上させることができる。
【0047】
なお、上記した実施の形態においては、隣り合う上段の遮光部と下段の遮光部とを重ねて、導光シートの厚み方向を遮光する構成としたが、この構成に限定されるものではない。隣り合う上段の遮光部と下段の遮光部とは、導光シートの厚み方向で、隙間なく配置されてもよいし、僅かに隙間を空けて近接されてもよい。隣り合う上段の遮光部と下段の遮光部とが近接される場合、光漏れの影響が出ない程度に近接される。
【0048】
また、上記した各実施の形態においては、シート端部に遮光部を形成する構成としたが、導光シートを複数の照光領域に分割するように中間部に遮光部を形成してもよい。これにより、全面照光用の導光シートの遮光だけでなく、分割照光用の導光シートを遮光させることができる。
【0049】
また、上記した各実施の形態においては、導光シートと保持シートとを積層してから導光シートに遮光部を形成する構成としたが、この構成に限定されるものではない。導光シートに遮光部を形成してから、保持シートに積層する構成としてもよい。
【0050】
また、上記した実施の形態においては、保持シートに接点ばねが保持された接点ばね付きシートを備えたスイッチ装置を例示して説明したが、この構成に限定されるものではない。本発明に係る導光シートを用いるスイッチ装置であれば、どのような構成でもよい。
【0051】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明は、十分な遮光性を有する遮光部を形成することができると共に、この遮光部に対する加工時間を短くして、生産効率を向上させることができるという効果を有し、特に、各種電子機器用の操作パネルに使用される導光シート、接点ばね付きシート及びスイッチ装置に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 スイッチ装置
2 パネル
3 PWB(基板)
4 スペーサ
5 接点ばね付きシート
11 周辺固定接点(固定接点)
12 中央固定接点(固定接点)
13 操作キー(操作部)
17 光源
21 導光シート
22 粘着部
23 保持シート
31 入光部
35 溝部
36 遮光部
37 上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を照光領域に導光する導光シートであって、
一方の主面に並んで設けられ、前記照光領域の外側に向かって前記一方の主面からの深さが深くなるように形成された複数の溝部を有し、
前記複数の溝部に、前記照光領域に導光された光を反射または吸収する遮光部が設けられ、
前記遮光部により、シート厚み方向での遮光を可能としたことを特徴とする導光シート。
【請求項2】
前記複数の溝部はレーザー加工により形成され、前記遮光部は前記複数の溝部への遮光液の印刷加工により形成されることを特徴とする請求項1に記載の導光シート。
【請求項3】
前記遮光部は、前記複数の溝部の並びの方向からみて、隣接する上段の遮光部と下段の遮光部とが部分的に重なるように段違いに設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導光シート。
【請求項4】
前記遮光部は、前記光源からの光を入光する入光部に対向したシート端部、または中間部に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の導光シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の導光シートと、
前記導光シートに粘着部を介して積層され、接点ばねを保持する保持シートとを有することを特徴とする接点ばね付きシート。
【請求項6】
請求項5に記載の接点ばね付きシートと、前記接点ばねが離接する固定接点が設けられた基板と、前記接点ばねを押圧操作する操作部とを備えたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233295(P2011−233295A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100949(P2010−100949)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】