説明

導光シートスイッチ

【課題】 導光体の中でキースイッチに対応する押圧部分を他の導光部分よりも硬質の材料で形成することによって、前記押圧部分を含む導光体全体の厚みを一定にすることができるとともに、キースイッチのクリック感及びクリック操作性の向上効果を得ることが可能な導光シートスイッチを提供することである。
【解決手段】 基材22上にキースイッチ25が配置されたシートスイッチ本体12と、該シートスイッチ本体12上に配置される導光体13とを備えた導光シートスイッチ11において、前記導光体13は、導光本体部28と、前記キースイッチ25に対応する部分に設けられる押圧部29とを備えて構成され、この押圧部29が導光本体部28よりも硬質の材料で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器のキー入力部を構成する導光シートスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機や携帯情報端末機等の薄型の電子機器のキー入力部には、照明機能を備えた導光シートスイッチを用いて構成されているものが多い。このような導光シートスイッチは、基材上に形成されたキースイッチと、このキースイッチの上に配置される導光体と、この導光体の一端に配置される光源(発光素子)とによって構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
図7は一般的な導光シートスイッチ1の断面構造の一例を示したものである。この導光シートスイッチ1は、シート状の基材2上に固定接点3及び可動接点4からなるキースイッチ5を形成し、このキースイッチ5をシート材6で被覆したシートスイッチ本体7と、このシートスイッチ本体7上に配置され、前記キースイッチ5に対向する部分に突起9を設けた導光体8と、この導光体8に光を入射させる光源(図示せず)とを備えて構成される。
【0004】
前記突起9を含む導光体8は、透光性を有する比較的やわらかい樹脂材によって形成される。また、導光シートスイッチ1の薄型化のために、前記導光体8の厚みが制限される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−69751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成からなる導光シートスイッチ1にあっては、突起9を含む導光体8の薄型化が進むと、導光効率が低下するおそれがある。また、前記突起9は導光体8と同一の軟らかい樹脂材で一体形成されるため、キースイッチ5に対するクリック感が十分得られず、操作性が悪いといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、導光体の中でキースイッチに対応する押圧部分を他の導光部分よりも硬質の材料で形成することによって、前記押圧部分を含む導光体全体の厚みを一定にすることができるとともに、キースイッチのクリック感及びクリック操作性の向上効果を得ることが可能な導光シートスイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の導光シートスイッチは、基材上にキースイッチが配置されたシートスイッチ本体と、該シートスイッチ本体上に配置される導光体とを備えた導光シートスイッチにおいて、前記導光体は、導光本体部と、前記キースイッチに対応する部分に設けられる押圧部とを備えて構成され、この押圧部が導光本体部よりも硬質の材料で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導光シートスイッチによれば、シートスイッチ本体上に配置される導光体が、導光本体部と、個々のキースイッチに対応し、導光本体部よりも硬質の材料で形成された押圧部とで構成されているので、クリック操作の際における撓み変形性を維持しつつ、対応するキースイッチを確実且つ正確にスイッチングさせることができる。
【0010】
また、導光本体部の厚みを押圧部と略同じ厚みとなるように形成することができるので、導光量の増加に伴う照明効率の向上化が図られる。
【0011】
また、前記押圧部と導光本体部とが一体形成され、フラット面に形成することができるので、携帯電話機等の薄型の電子機器への組み込みが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る導光シートスイッチの分解斜視図である。
【図2】上記導光シートスイッチの断面図である。
【図3】上記導光シートスイッチの要部断面図である。
【図4】テーパ状に形成した押圧部の断面図である。
【図5】逆T字状に形成した押圧部の断面図である。
【図6】保護シートを被覆した導光体の断面図である。
【図7】従来の導光シートスイッチの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る導光シートスイッチの実施形態を詳細に説明する。図1及び図2に示すように、本発明の導光シートスイッチ11は、シートスイッチ本体12と、このシートスイッチ本体12上に載置される導光体13とを備えて構成されている。
【0014】
前記シートスイッチ本体12は、基材22と、この基材22に所定間隔ごとに配置形成される複数のキースイッチ25とを備える。基材22は、薄く成形されたエポキシ樹脂板やフレキシブル(FPC)板が用いられ、端部にシートスイッチ本体12全体を照明するための光源(発光素子)27が配置される。キースイッチ25は、前記基材22上にパターン形成される固定接点23と、この固定接点23上に配置される可動接点24とで構成され、裏面側に粘着面を有する薄いシート材26によって、前記可動接点24を基材22上に固定している。
【0015】
前記基材22は、例えば、携帯電話機の操作パネルのシートスイッチとして形成される場合は、その操作パネルと略同様な形状及び大きさに形成され、数字キーやアルファベットキー、その他のファンクションキー等が配置される箇所に合わせて固定接点23が複数設けられる。前記可動接点24は、適度なクリック感を得るために薄い金属材によるドーム型に形成され、前記各固定接点23に対応してその上方に被さるように配置されている。また、可動接点24の上面は、一例では反射率を高めるために鏡面加工が施されており、後述する導光体13によって導かれる光を反射させることで視認性が高められる。
【0016】
前記シート材26は、図3に示すように、前記可動接点24の形状に沿って形成される。シートスイッチ本体12を実際に組み立てる際には、前記シート材26の裏面全体に透明な粘着剤を一様に塗布し、前記可動接点24を粘着保持させ、これを前記固定接点23が形成されている基材22の上面に位置合わせした後、密着させるようにして被覆する。なお、前記シート材26は、裏面に直接可動接点24を粘着させ、これを加熱及び加圧等の手段によって、可動接点24の外形形状に沿って密着成形させることも可能である。
【0017】
図1及び図2に示したように、発光素子27は、側面発光型の発光ダイオードが使用され、その発光面27aを導光体13の一側面に向けた状態で基材22の外周部に配置される。発光素子27の配置箇所や配置数は、基材22の形状や大きさ、キースイッチ25の配列数に応じて適宜設定されるが、例えば、携帯電話機のような数字キーやファンクションキーなどが配置されるような四角形状のシートスイッチであれば、少なくともいずれか一方の辺上に数個等間隔で配置される。
【0018】
導光体13は、図3に示したように、基材22と略同じ形状及び平面サイズを有する導光本体部28と、前記各キースイッチ25と対応する部分に設けられる押圧部29とによって平板状に形成されている。前記導光本体部28は、比較的軟らかく可撓性を有するとともに、導光効率の高い樹脂材、例えば、ウレタン樹脂やシリコーン樹脂などが用いられる。押圧部29は、前記導光本体部28で用いられるような樹脂材、例えば硬質のウレタン樹脂や硬質のシリコーン樹脂が用いられるが、導光本体部28よりも硬質の樹脂材を用いて形成される。また、導光本体部28と押圧部29とが異なる材質の組み合わせによって形成することもできる。例えば、導光本体部28がウレタン樹脂で押圧部29がアクリル樹脂、導光本体部28がシリコーン樹脂で押圧部29がアクリル樹脂、導光本体部28がウレタン樹脂で押圧部29がエポキシ樹脂、導光本体部28がシリコーン樹脂で押圧部29がエポキシ樹脂等の組み合わせが可能である。ただし、いずれの組み合わせであっても、押圧部29に用いられる樹脂の方が導光本体部28に用いられる樹脂よりも硬質であることが必要となる。
【0019】
上記構造による導光体13は、図3に示したように、指などによるP方向からの押圧によって、押圧部29は変形することなく、その周囲の導光本体部28が下方に撓る。このため、押圧力をそのまま可動接点24に伝えることができ、クリック操作もスムーズに行うことができる。
【0020】
前記導光体13は、導光本体部28を形成する金型と、押圧部29を形成する金型の2種類の金型を用いた2色成形法によって、導光本体部28と押圧部29とを一体化させて形成することができる。また、平板状の導光本体部28を形成した後、この導光本体部28のキースイッチ25と対応する部分を円柱状に貫通させた孔部を開設し、この孔部に別体で形成した硬質の樹脂体を嵌め込んだり、孔部に別の樹脂材を充填硬化させたりすることによって形成することもできる。
【0021】
また、前記押圧部29は、図4に示すように、上面に対してキースイッチ25の頂上部に接する下面側が細くなるようなテーパ状に形成することで、押圧力をキースイッチ25の頂上部に対して集中的に作用させることができる。さらに、図5に示すように、前記押圧部29を断面が逆T字状となるように形成することによって、キースイッチ25に接する押圧面を若干広くすることができるとともに、導光本体部28からの抜けや脱落を防止することができるので、耐久性や強度を向上させることができる。
【0022】
前記導光体13は、押圧部29を含む導光本体部28が一定厚みを有して形成され、表面をフラット面にすることができる。このように導光体13の表面をフラットに仕上げることによって、図6に示すように、防湿性の透明なフィルム部材30を被覆したり、個々のキースイッチ25の機能が記されたラバーシートを配置したりするなどの組み合わせが容易となる。なお、前記押圧部29の下面にドーム状の突起部31を形成することによって、各キースイッチ25に対するクリック性を向上させることができる。
【0023】
前記押圧部29は、前述したように、導光本体部28とは異なる硬度や材質を使用していること、また、導光本体部28に嵌め込みあるいは充填等によって形成されることによって、光の屈折や反射、あるいは発光色の違いによる光散乱効果を生じることとなる。これによって、導光体13全体の中での個々のキースイッチ25の位置を識別しやすくするといった効果が得られる。このような識別性をさらに高めるとともに、装飾性を持たせる手段として、前記押圧部29の周囲に白色系のドットパターンを印刷したり、押圧部29の内部に各種の蛍光剤や微小なビーズ等による光散乱剤を含有させたりすることもできる。
【0024】
また、前記押圧部29は、導光本体部28と同じような透光性を有したシリコーン素材を用い、このシリコーン素材自体の密度や圧縮度等を高めるようにして形成することもできる。このような透光性を有した素材によって押圧部29を形成することで、周囲の導光本体部28と略同じような導光方向や導光率が得られるとともに、クリック性に優れた導光体となる。
【0025】
上記構造による導光体13は、押圧部29の厚みと略同じ高さとなるように導光本体部28を形成することができるので、押圧部29の周囲の導光量が増えることによる導光効率の向上効果が得られる。また、押圧部29は、導光本体部28の厚みと略同じ高さとなっているため、凹凸のないフラットな導光体13を構成することができる。
【0026】
前記導光体13全体の高さは、特に限定されるものではないが、0.20mm〜0.25mmの範囲の範囲であれば、必要な導光効率が確保できるとともに、クリック時に生じる撓み変形にも柔軟に対応することが可能である。
【0027】
また、シートスイッチ本体側に関しては、シート材26が密着する可動接点24の上面を鏡面加工し上面全体に鏡面部を設けたり、微細な凹凸加工を施した凹凸部やシボ加工等を施したりすることによって、反射率の向上や光拡散効果による輝度の向上化を図ることもできる。なお、前記可動接点24は、金属材で形成する場合に限らず、例えば、伸縮性を備えた樹脂板を固定接点のようにエンボス加工してドーム状に成形し、裏面に固定接点23と導通する可動接点電極、表面に反射用の金属膜をメッキ又は蒸着によって形成したり、光反射効果のある微細な金属粒子やガラス粒子を含んだ塗料で塗布したりして形成することもできる。可動接点25を構成する部位をこのような樹脂板で形成することで、前述した全体が金属の固定接点とは異なった柔らかいクリック感を得ることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 導光シートスイッチ
2 基材
3 固定接点
4 可動接点
5 キースイッチ
6 シート材
7 シートスイッチ本体
8 導光体
9 突起
11 導光シートスイッチ
12 シートスイッチ本体
13 導光体
22 基材
23 固定接点
24 可動接点
25 キースイッチ
26 シート材
27 発光素子
27a 発光面
28 導光本体部
29 押圧部
30 フィルム部材
31 突起部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にキースイッチが配置されたシートスイッチ本体と、該シートスイッチ本体上に配置される導光体とを備えた導光シートスイッチにおいて、
前記導光体は、導光本体部と、前記キースイッチに対応する部分に設けられる押圧部とを備えて構成され、この押圧部が導光本体部よりも硬質の材料で形成されていることを特徴とする導光シートスイッチ。
【請求項2】
前記押圧部は、前記導光本体部よりも硬度の高い樹脂材で形成されている請求項1記載の導光シートスイッチ。
【請求項3】
前記樹脂材は、透光性を有する請求項2記載の導光シートスイッチ。
【請求項4】
前記押圧部は、前記導光本体部と一体に形成されている請求項1記載の導光シートスイッチ。
【請求項5】
前記押圧部は、前記導光本体部の厚みと略同じ高さを有する請求項1記載の導光シートスイッチ。
【請求項6】
前導光本体部は、前記押圧部の高さと略同じ厚みを有する請求項1記載の導光シートスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−18535(P2011−18535A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161967(P2009−161967)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】