導光シート及びこれを用いた可動接点体
【課題】各種電子機器の操作に用いられる導光シート及びこれを用いた可動接点体に関し、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】基材１下面に形成された凹凸状の発光部１２を、無機酸化物が分散された合成樹脂で形成することによって、合成樹脂内に分散された屈折率の大きな無機酸化物でより多くの光を反射させ、少ない数の発光素子９で複数の発光部１２を明るく発光させることができるため、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能な導光シート１３、及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができる。
【解決手段】基材１下面に形成された凹凸状の発光部１２を、無機酸化物が分散された合成樹脂で形成することによって、合成樹脂内に分散された屈折率の大きな無機酸化物でより多くの光を反射させ、少ない数の発光素子９で複数の発光部１２を明るく発光させることができるため、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能な導光シート１３、及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、使い易く多様な照光を行えるものが求められている。
【０００３】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図３を用いて説明する。
【０００４】
なお、この図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【０００５】
図３は従来のスイッチの断面図であり、同図において、１は光透過性でフィルム状の基材で、この基材１下面には、凹凸状に形成された複数の発光部２が設けられて、導光シート３が形成されている。
【０００６】
そして、４は光透過性でフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付されて、可動接点体６が構成されている。
【０００７】
また、７は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【０００８】
さらに、この配線基板７上面に可動接点体６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【０００９】
そして、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート３側方の配線基板７上面に実装され、例えば基材１の右端面に発光面を向けて配置されている。
【００１０】
さらに、１０は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート３の複数の発光部２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００１１】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１２】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、導光シート３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００１３】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１４】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９が発光し、この光が右端面から導光シート３内に入射して、基材１内を反射しながら左方へ進む。
【００１５】
さらに、この光が基材１下面の複数の発光部２で拡散され反射して、表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１６】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート３内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂの照光を行うように構成されているものであった。
【００１７】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００７−８７７４９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１８】
しかしながら、上記従来の導光シート３や可動接点体６においては、凹凸状に形成された複数の発光部２の材質が基材１と同一で、光の屈折率も同じであり、少ない数の発光素子９では充分な明るさで複数の発光部２を発光させづらいため、明るく均等な照光を行うには、多くの発光素子９を導光シート３外周に配置する必要があり、構成も複雑で高価なものとなってしまうという課題があった。
【００１９】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で、複数の発光部の明るく均等な照光が可能な導光シート、及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２０】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２１】
本発明の請求項１に記載の発明は、フィルム状の基材の片面に形成された凹凸状の発光部を、無機酸化物粒子が分散された合成樹脂で形成して導光シートを構成したものであり、合成樹脂内に分散された屈折率の大きな無機酸化物によって多くの光を反射させ、少ない数の発光素子で複数の発光部を明るく発光させることができるため、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【００２２】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、簡易な構成で、複数の発光部の明るく均等な照光が可能な可動接点体を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２３】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２４】
以下、本発明の実施の形態について、図１及び図２を用いて説明する。
【００２５】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【００２６】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００２７】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図であり、同図において、１はフィルム状でポリウレタンやシリコーン、スチレン等の可撓性を有する光透過性の基材で、この屈折率１．５前後の基材１下面には印刷等によって、凹凸状に形成された複数の発光部１２が設けられている。
【００２８】
そして、これらの発光部１２は、粒径０．１〜５μｍ前後で屈折率１．８〜２．８前後の、白色や乳白色等のチタン酸バリウムや酸化チタン、酸化亜鉛等の無機酸化物粒子を分散した、屈折率１．５〜１．６前後のポリエステルやウレタンアクリレート、エポキシ等の光透過性の合成樹脂から形成されて、導光シート１３が構成されている。
【００２９】
また、４はフィルム状のポリエチレンテレフタレート等のベースシート、５は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート１３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部１２下方のベースシート４下面に貼付されている。
【００３０】
さらに、１５はフィルム状でポリエチレンテレフタレート等のセパレータで、このセパレータ１５がベースシート４下面全面を覆うように貼付され、保管時や搬送時に可動接点５下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体１６が構成されている。
【００３１】
また、図２はこのような可動接点体１６を用いたスイッチの断面図であり、同図において、７はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面には銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【００３２】
そして、この配線基板７上面にセパレータ１５を剥離した可動接点体１６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００３３】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート１３側方の配線基板７上面に実装され、例えば基材１の右端面に発光面を向けて配置されている。
【００３４】
さらに、１０は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート１３の複数の発光部１２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００３５】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００３６】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、導光シート１３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００３７】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００３８】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９が発光し、この光が右端面から導光シート１３内に入射して、基材１内を反射しながら左方へ進む。
【００３９】
さらに、この光が基材１下面の複数の発光部１２で拡散され反射して、表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４０】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート１３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート１３内に導入し、複数の発光部１２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されている。
【００４１】
そして、この時、上述したように、基材１下面に形成された凹凸状の発光部１２が、基材１よりも屈折率が大きく、白色や乳白色等の無機酸化物粒子が分散された合成樹脂から形成されているため、基材１内に入射した発光素子９の光が、この無機酸化物粒子によって拡散され反射して、複数の発光部１２が明るく発光するようになっている。
【００４２】
すなわち、発光部１２内に基材１よりも屈折率の大きな、無機酸化物粒子を分散することによって、多くの発光素子９を必要とせず、少ない数の発光素子９で複数の発光部１２を明るく発光させることができ、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能なように構成されている。
【００４３】
なお、屈折率１．５前後のシリカ等を分散させても発光部１２の形成は可能であるが、上述したように、基材１の屈折率１．５前後よりも大きな、屈折率２．７前後の酸化チタンや、屈折率２．４前後のチタン酸バリウム、屈折率２．０前後の酸化亜鉛等の無機酸化物粒子を用いることによって、発光素子９のより多くの光を反射させ、複数の発光部１２の均等で明るい照光を行うことができる。
【００４４】
また、発光部１２内に分散する無機酸化物粒子の粒径を０．１〜５μｍ前後とすることによって、発光素子９の多くの光を反射させることができると共に、合成樹脂内に無機酸化物粒子を均一に分散することが可能となるが、より好ましくは、可視光の波長０．４〜０．８μｍに近似、あるいはこれよりやや大きな０．４〜１．５μｍ前後の粒径とすることで、光をより良好に反射させることが可能となる。
【００４５】
さらに、合成樹脂内に分散する無機酸化物粒子の量を、合成樹脂に対し５〜７０重量％前後、より好ましくは１０〜４０重量％とすることによって、良好な反射が得られ、かつ印刷等によって発光部１２を均一に形成することができる。
【００４６】
このように本実施の形態によれば、基材１下面に形成された凹凸状の発光部１２を、無機酸化物が分散された合成樹脂で形成することによって、合成樹脂内に分散された屈折率の大きな無機酸化物でより多くの光を反射させ、少ない数の発光素子９で複数の発光部１２を明るく発光させることができるため、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能な導光シート１３、及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができるものである。
【００４７】
なお、以上の説明では、可動接点５上方の導光シート１３の基材１下面に、印刷によって複数の発光部１２を形成した構成について説明したが、下面ではなく基材１上面に発光部１２を形成した構成としても本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にもインクジェットや貼付等、様々な方法によって凹凸状の発光部１２の形成は可能である。
【００４８】
さらに、以上の説明では、下面に複数の可動接点５が貼付されたベースシート４を、導光シート１３の下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート４をなくし、導光シート１３の発光部１２下面に複数の可動接点５を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体をより簡易で安価なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【００４９】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【００５０】
【図１】本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図
【図２】同スイッチの断面図
【図３】従来のスイッチの断面図
【符号の説明】
【００５１】
１ 基材
４ ベースシート
５ 可動接点
７ 配線基板
８ 固定接点
８Ａ 中央固定接点
８Ｂ 外側固定接点
９ 発光素子
１０ 表示シート
１０Ａ 遮光部
１０Ｂ 表示部
１２ 発光部
１３ 導光シート
１５ セパレータ
１６ 可動接点体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、使い易く多様な照光を行えるものが求められている。
【０００３】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図３を用いて説明する。
【０００４】
なお、この図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【０００５】
図３は従来のスイッチの断面図であり、同図において、１は光透過性でフィルム状の基材で、この基材１下面には、凹凸状に形成された複数の発光部２が設けられて、導光シート３が形成されている。
【０００６】
そして、４は光透過性でフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付されて、可動接点体６が構成されている。
【０００７】
また、７は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【０００８】
さらに、この配線基板７上面に可動接点体６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【０００９】
そして、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート３側方の配線基板７上面に実装され、例えば基材１の右端面に発光面を向けて配置されている。
【００１０】
さらに、１０は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート３の複数の発光部２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００１１】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１２】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、導光シート３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００１３】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１４】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９が発光し、この光が右端面から導光シート３内に入射して、基材１内を反射しながら左方へ進む。
【００１５】
さらに、この光が基材１下面の複数の発光部２で拡散され反射して、表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１６】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート３内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂの照光を行うように構成されているものであった。
【００１７】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００７−８７７４９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１８】
しかしながら、上記従来の導光シート３や可動接点体６においては、凹凸状に形成された複数の発光部２の材質が基材１と同一で、光の屈折率も同じであり、少ない数の発光素子９では充分な明るさで複数の発光部２を発光させづらいため、明るく均等な照光を行うには、多くの発光素子９を導光シート３外周に配置する必要があり、構成も複雑で高価なものとなってしまうという課題があった。
【００１９】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で、複数の発光部の明るく均等な照光が可能な導光シート、及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２０】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２１】
本発明の請求項１に記載の発明は、フィルム状の基材の片面に形成された凹凸状の発光部を、無機酸化物粒子が分散された合成樹脂で形成して導光シートを構成したものであり、合成樹脂内に分散された屈折率の大きな無機酸化物によって多くの光を反射させ、少ない数の発光素子で複数の発光部を明るく発光させることができるため、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【００２２】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、簡易な構成で、複数の発光部の明るく均等な照光が可能な可動接点体を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２３】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２４】
以下、本発明の実施の形態について、図１及び図２を用いて説明する。
【００２５】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【００２６】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００２７】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図であり、同図において、１はフィルム状でポリウレタンやシリコーン、スチレン等の可撓性を有する光透過性の基材で、この屈折率１．５前後の基材１下面には印刷等によって、凹凸状に形成された複数の発光部１２が設けられている。
【００２８】
そして、これらの発光部１２は、粒径０．１〜５μｍ前後で屈折率１．８〜２．８前後の、白色や乳白色等のチタン酸バリウムや酸化チタン、酸化亜鉛等の無機酸化物粒子を分散した、屈折率１．５〜１．６前後のポリエステルやウレタンアクリレート、エポキシ等の光透過性の合成樹脂から形成されて、導光シート１３が構成されている。
【００２９】
また、４はフィルム状のポリエチレンテレフタレート等のベースシート、５は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート１３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部１２下方のベースシート４下面に貼付されている。
【００３０】
さらに、１５はフィルム状でポリエチレンテレフタレート等のセパレータで、このセパレータ１５がベースシート４下面全面を覆うように貼付され、保管時や搬送時に可動接点５下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体１６が構成されている。
【００３１】
また、図２はこのような可動接点体１６を用いたスイッチの断面図であり、同図において、７はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面には銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【００３２】
そして、この配線基板７上面にセパレータ１５を剥離した可動接点体１６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００３３】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート１３側方の配線基板７上面に実装され、例えば基材１の右端面に発光面を向けて配置されている。
【００３４】
さらに、１０は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート１３の複数の発光部１２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００３５】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００３６】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、導光シート１３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００３７】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００３８】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９が発光し、この光が右端面から導光シート１３内に入射して、基材１内を反射しながら左方へ進む。
【００３９】
さらに、この光が基材１下面の複数の発光部１２で拡散され反射して、表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４０】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート１３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート１３内に導入し、複数の発光部１２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されている。
【００４１】
そして、この時、上述したように、基材１下面に形成された凹凸状の発光部１２が、基材１よりも屈折率が大きく、白色や乳白色等の無機酸化物粒子が分散された合成樹脂から形成されているため、基材１内に入射した発光素子９の光が、この無機酸化物粒子によって拡散され反射して、複数の発光部１２が明るく発光するようになっている。
【００４２】
すなわち、発光部１２内に基材１よりも屈折率の大きな、無機酸化物粒子を分散することによって、多くの発光素子９を必要とせず、少ない数の発光素子９で複数の発光部１２を明るく発光させることができ、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能なように構成されている。
【００４３】
なお、屈折率１．５前後のシリカ等を分散させても発光部１２の形成は可能であるが、上述したように、基材１の屈折率１．５前後よりも大きな、屈折率２．７前後の酸化チタンや、屈折率２．４前後のチタン酸バリウム、屈折率２．０前後の酸化亜鉛等の無機酸化物粒子を用いることによって、発光素子９のより多くの光を反射させ、複数の発光部１２の均等で明るい照光を行うことができる。
【００４４】
また、発光部１２内に分散する無機酸化物粒子の粒径を０．１〜５μｍ前後とすることによって、発光素子９の多くの光を反射させることができると共に、合成樹脂内に無機酸化物粒子を均一に分散することが可能となるが、より好ましくは、可視光の波長０．４〜０．８μｍに近似、あるいはこれよりやや大きな０．４〜１．５μｍ前後の粒径とすることで、光をより良好に反射させることが可能となる。
【００４５】
さらに、合成樹脂内に分散する無機酸化物粒子の量を、合成樹脂に対し５〜７０重量％前後、より好ましくは１０〜４０重量％とすることによって、良好な反射が得られ、かつ印刷等によって発光部１２を均一に形成することができる。
【００４６】
このように本実施の形態によれば、基材１下面に形成された凹凸状の発光部１２を、無機酸化物が分散された合成樹脂で形成することによって、合成樹脂内に分散された屈折率の大きな無機酸化物でより多くの光を反射させ、少ない数の発光素子９で複数の発光部１２を明るく発光させることができるため、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能な導光シート１３、及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができるものである。
【００４７】
なお、以上の説明では、可動接点５上方の導光シート１３の基材１下面に、印刷によって複数の発光部１２を形成した構成について説明したが、下面ではなく基材１上面に発光部１２を形成した構成としても本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にもインクジェットや貼付等、様々な方法によって凹凸状の発光部１２の形成は可能である。
【００４８】
さらに、以上の説明では、下面に複数の可動接点５が貼付されたベースシート４を、導光シート１３の下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート４をなくし、導光シート１３の発光部１２下面に複数の可動接点５を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体をより簡易で安価なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【００４９】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、簡易な構成で、明るく均等な照光が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【００５０】
【図１】本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図
【図２】同スイッチの断面図
【図３】従来のスイッチの断面図
【符号の説明】
【００５１】
１ 基材
４ ベースシート
５ 可動接点
７ 配線基板
８ 固定接点
８Ａ 中央固定接点
８Ｂ 外側固定接点
９ 発光素子
１０ 表示シート
１０Ａ 遮光部
１０Ｂ 表示部
１２ 発光部
１３ 導光シート
１５ セパレータ
１６ 可動接点体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
光透過性でフィルム状の基材と、この基材の片面に形成された凹凸状の発光部からなり、上記発光部を無機酸化物粒子が分散された合成樹脂で形成した導光シート。
【請求項２】
請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【請求項１】
光透過性でフィルム状の基材と、この基材の片面に形成された凹凸状の発光部からなり、上記発光部を無機酸化物粒子が分散された合成樹脂で形成した導光シート。
【請求項２】
請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１０−１３５１６０（Ｐ２０１０−１３５１６０Ａ）
【公開日】平成２２年６月１７日（２０１０．６．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３０９３８７（Ｐ２００８−３０９３８７）
【出願日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年６月１７日（２０１０．６．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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