説明

導光体、光源装置及び画像読み取り装置

【課題】均一な配光を得ることができると共に、小型化を図ることができる導光体、光源装置及び画像読み取り装置を提供することである。
【解決手段】導光体42は、x軸方向に延在している棒状の透明部材からなり、かつ、x軸方向の負方向側の端部に位置する端面Sa及びx軸方向に延在するプリズム形成面Sbを有している。光は、端面Saを介して導光体42に入射する。プリズム形成面Sbには、x軸方向に並んでいる複数のプリズム50であって、端面Saから入射した光をz軸方向に向けて反射する複数のプリズム50が設けられている。プリズム形成面Sbのx軸方向に直交する断面は、端面Saから所定範囲内を占める領域A1において、z軸方向の正方向に向かって窪んだ形状をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光体、光源装置及び画像読み取り装置に関し、より特定的には、棒状の透明部材からなる導光体、光源装置及び画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な光源装置としては、例えば、図8に記載の照明装置が知られている。図8は、照明装置400の構成図である。
【0003】
照明装置400は、光源402及び導光体404を備えている。光源402は、光を放射する。導光体404は所定方向に長手方向を有しており、その底面には光を反射するプリズムが形成されている。光源402から放射された光は、導光体404の一端から入射し、導光体404の界面において全反射を繰り返すことによって、所定方向に進行する。そして、該光は、所定方向に進行している間に、プリズムによって反射されて導光体404外に放射される。
【0004】
ところで、図8に示す照明装置400は、導光体404の一端近傍における所定方向に直交する方向における配光と、導光体404の一端近傍以外の部分における所定方向に直交する方向における配光とに差が生じるという問題を有している。図9(a)は、導光体404の一端近傍以外の部分における断面構造図である。図9(b)は、導光体404の一端近傍における断面構造図である。
【0005】
より詳細には、導光体404の界面において全反射された光の進行方向は、図9(a)に示すように、ランダムな角度でプリズムに入射する。ランダムな角度でプリズムに光が入射することにより、所定方向に直交する方向において比較的に広い照度分布を有する配光が得られる。
【0006】
ところが、導光体404の一端近傍では、図9(b)に示すように、導光体404の界面において全反射される前に、プリズムによって反射される光が存在する。このような光は、ランダムな角度でプリズムに入射しないために、プリズムによって特定の方向に集中して反射される。そのため、導光体404の一端近傍では、所定方向に直交する方向において比較的に狭い照度分布を有する配光しか得られない。その結果、図8に示す照明装置400では、導光体404の一端近傍における所定方向に直交する方向の配光と、導光体404の一端近傍以外の部分における所定方向に直交する方向の配光とに差が生じる。
【0007】
そこで、特許文献1に記載の照明装置が提案されている。図10は、特許文献1に記載の照明装置500の端部近傍の断面構造図である。
【0008】
照明装置500は、光源部R1、光学的領域R2及び光射出部R3を備えている。光源部R1は、光を放射する。光学的領域R2は一端から他端に行くにしたがって太くなるテーパ状をなしており、その表面には反射層が設けられている。光学的領域R2の一端は光源部R1に接続され、光学的領域R2の他端は光射出部R3に接続されている。光射出部R3は所定方向に延在しており、その底面には光を反射するためのスリットが設けられている。
【0009】
以上のように構成された照明装置500では、図10に示すように、光源部R1が放射した光は、光学的領域R2において反射されることによって、長手方向と平行に近づく方向に進行するようになる。これにより、光射出部R3における光学的領域R2との接続部分近傍での光の進行方向と、光射出部R3における該接続部分近傍よりも光学的領域R2から離れた部分での光の進行方向とが略均一になる。その結果、照明装置500では、光射出部R3の全域にわたって、均一な配光を得ることが可能となる。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の照明装置500は、光の照射に寄与しない光学的領域R2が設けられているため、装置が大型化するという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−270885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の目的は、均一な配光を得ることができると共に、小型化を図ることができる導光体、光源装置及び画像読み取り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態に係る導光体は、第1の所定方向に延在している棒状の透明部材からなり、かつ、該第1の所定方向の一端に位置する端面及び該第1の所定方向に延在するプリズム形成面を有している導光体であって、前記端面を介して光が入射し、前記プリズム形成面には、前記第1の所定方向に並んでいる複数のプリズムであって、前記端面から入射した光を該第1の所定方向に直交する第2の所定方向に向けて反射する複数のプリズムが設けられており、前記プリズム形成面の前記第1の所定方向に直交する断面は、前記端面から所定範囲内を占める第1の領域において、前記第2の所定方向に向かって窪んだ形状をなしていること、を特徴とする。
【0014】
本発明は、前記導光体を備えた光源装置、及び、該光源装置を備えた画像読み取り装置に対しても向けられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、均一な配光を得ることができると共に、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読み取り装置の構成図である。
【図2】光源装置の外観斜視図である。
【図3】図3(a)は、図2のA−Aにおける断面構造図であり、図3(b)は、図2のB−Bにおける断面構造図である。
【図4】図4(a)は、図8の照明装置のプリズムで反射された光の配光を示したグラフであり、図4(b)は、導光体の領域A1のプリズムで反射された光の配光を示したグラフである。
【図5】光源装置のy軸方向に垂直な断面構造図である。
【図6】第1の変形例に係る導光体を含む光源装置の外観斜視図である。
【図7】第2の変形例に係る導光体のx軸方向に直交する断面構造図である。
【図8】照明装置の構成図である。
【図9】図9(a)は、導光体の一端近傍以外の部分における断面構造図である。図9(b)は、導光体の一端近傍における断面構造図である。
【図10】特許文献1に記載の照明装置の端部近傍の断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態に係る導光体、光源装置及び画像読み取り装置について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(画像読み取り装置の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読み取り装置10の構成図である。なお、以下では、図1の上下方向を単に上下方向と呼び、図1の左右方向を副走査方向と呼び、図1の紙面垂直方向を主走査方向と呼ぶ。副走査方向の上流側は左方向であり、主走査方向の上流側は紙面手前側である。
【0019】
画像読み取り装置10は、図1に示すように、本体12、原稿カバー14、プラテンガラス16、第1スライダーユニット18、第2スライダーユニット20、結像レンズ22、撮像素子24、光源装置26及びミラー27,29,30,32を備えている。
【0020】
本体12は、原稿カバー14、プラテンガラス16、第1スライダーユニット18、第2スライダーユニット20、結像レンズ22、撮像素子24、光源装置26及びミラー27,29,30,32が取り付けられる直方体状の筐体である。プラテンガラス16は、本体12の上面に設けられている開口に取り付けられている長方形状の透明板である。原稿Pは、プラテンガラス16の上面に、読み取り面を下側に向けた状態で載置される。
【0021】
原稿カバー14は、図1に示すように、原稿P上に覆いかぶさることにより、原稿Pをプラテンガラス16に密着させる働きをする。
【0022】
光源装置26は、プラテンガラス16を介して原稿Pに向けて光を放射すると共に、ミラー27に向けて光を放射する。光源装置26の詳細については後述する。ミラー27は、光源装置26が放射した光を原稿Pへと反射する。これにより、原稿Pの読み取り位置には、2方向から光が照射される。
【0023】
ミラー29は、図1に示すように、原稿Pにおいて反射された光を副走査方向の上流側に反射させる。ミラー30は、ミラー29からの光を下側に反射させる。ミラー32は、ミラー30からの光を副走査方向の下流側に反射させる。
【0024】
ここで、光源装置26及びミラー27,29は、図1に示すように第1スライダーユニット18に搭載されている。第1スライダーユニット18は、原稿Pが読み取られているときには、図1に示すように、プラテンガラス16の下面に沿って、図示しないモーター、ベルト及びプーリー等の移動手段により、副走査方向の下流側に向かって速度Vで移動させられる。
【0025】
また、ミラー30,32は、図1に示すように第2スライダーユニット20に搭載されている。第2スライダーユニット20は、原稿Pが読み取られているときには、図1に示すように、プラテンガラス16の下面の下方において、図示しないモーター、ベルト及びプーリー等の移動手段により、副走査方向の下流側に向かって速度V/2で移動させられる。これにより、移動中における原稿Pの読み取り面と撮像素子24との間の光の経路の長さが一定となる。
【0026】
結像レンズ22は、光によって得られる光学像を撮像素子24に結像させる。撮像素子24は、原稿Pで反射された光を受光する受光素子である。具体的には、撮像素子24は、主走査方向に延びる一次元状の撮像領域を有し、結像レンズ22によって結像された光学像を走査して原稿Pの像の撮像を行うCCDカメラ等のラインセンサである。
【0027】
以上のように構成された画像読み取り装置10において、原稿Pが読み取られる場合には、光源装置26及びミラー27によって原稿Pに光が照射され、原稿Pにおいて反射された光がミラー29,30,32によって順次反射される。そして、ミラー32で反射された光は、結像レンズ22に入射し、結像レンズ22により撮像素子24上で結像される。撮像素子24は、画素毎に入射光の強さに応じて光電変換を行い、これによって原稿画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成し、制御部(図示せず)に出力する。
【0028】
(光源装置の構成)
次に、光源装置26の構成について図面を参照しながら説明する。図2は、光源装置26の外観斜視図である。図3(a)は、図2のA−Aにおける断面構造図であり、図3(b)は、図2のB−Bにおける断面構造図である。図2及び図3において、導光体42が延在している方向をx軸方向と定義し、導光体42のプリズム形成面Sbに直交する方向をz軸方向と定義し、x軸方向とz軸方向と直交する方向をy軸方向と定義する。x軸方向は、主走査方向と一致している。ただし、z軸方向と上下方向とは一致していない。これは、光源装置26が放射した光は、真上に向かって進行するのではなく、図1に示すように斜め上方向に進行するためである。
【0029】
光源装置26は、LED40及び導光体42を備えている。LED40は、白色光を放射する光源である。導光体42は、x軸方向に延在している円柱状をなす棒状の透明部材からなり、端面Sa及びプリズム形成面Sbを有している。端面Saは、導光体42のx軸方向の負方向側の端部に位置する面である。端面Saは、LED40と対向している。これにより、LED40が放射した光は、端面Saを介して導光体42に入射する。
【0030】
導光体42は、領域A1,A2に区分される。領域A1は、導光体42において端面Saから所定範囲内を占める領域である。領域A2は、導光体42において領域A1よりも端面Saからx軸方向の正方向側に離れた範囲を占める領域である。
【0031】
プリズム形成面Sbは、導光体42のz軸方向の負方向側の面であり、x軸方向に延在している。プリズム形成面Sbは、凹面Sb1及び平坦面Sb2により構成されている。凹面Sb1は、プリズム形成面Sbにおいて領域A1に位置している部分である。凹面Sb1のx軸方向に直交する断面は、図3(a)に示すように、z軸方向の正方向側に向かって窪んだ曲面をなしている。平坦面Sb2は、プリズム形成面Sbにおいて領域A2に位置している部分である。平坦面Sb2のx軸方向に直交する端面は、図3(b)に示すように、平坦な形状をなしている。
【0032】
プリズム形成面Sbには、x軸方向に並んでいる複数のプリズム50が設けられている。プリズム50は、プリズム形成面Sbがz軸方向に窪んでいることによって形成されている。より詳細には、図2に示すように、プリズム50は、y軸方向から平面視したときに、頂角がz軸方向の正方向側を向く三角形状をなすようにプリズム形成面Sbが窪んでいることによって形成されている。プリズム50は、プリズム形成面Sbにおいてy軸方向に延在するように形成されている。
【0033】
また、領域A2では、プリズム形成面Sbは、平坦面Sb2である。そのため、領域A2内のプリズム50は、図2及び図3(b)に示すように、三角柱状をなしている。一方、領域A1では、プリズム形成面Sbは、凹面Sb1である。そのため、領域A1内のプリズム50は、図2及び図3(a)に示すように、三角柱のy軸方向の中央部分がz軸方向の正方向側に突出した形状をなしている。すなわち、領域A1内のプリズム50も、凹面Sb1と同様に湾曲しており、領域A1内のプリズム50のx軸方向の負方向側の反射面も、凹面Sb1と同様に湾曲している。
【0034】
以上のように構成された導光体42では、LED40は、導光体42の端面に対して光を照射する。端面Saを介して導光体42に入射した光は、導光体42の界面において全反射を繰り返しながらx軸方向の正方向側に向かって進行する。z軸方向の正方向側に向かって進行する光は、プリズム50に入射する。プリズム50は、x軸方向の負方向側の反射面において入射してきた光をz軸方向の正方向側に向けて反射する。プリズム50において反射された光は、導光体42外へ放射される。
【0035】
(効果)
以上のように構成された導光体42、光源装置26及び画像読み取り装置10は、均一な配光を得ることができる。図4(a)は、図8の照明装置400のプリズムで反射された光の配光を示したグラフであり、図4(b)は、導光体42の領域A1のプリズム50で反射された光の配光を示したグラフである。縦軸は照度を示し、横軸はy軸を示している。
【0036】
より詳細には、導光体42は、領域A1,A2に区分されている。領域A1は、導光体42において端面Saから所定範囲内を占める領域である。領域A2は、導光体42において領域A1よりも端面Saからx軸方向の正方向側に離れた範囲を占める領域である。領域A1では、導光体42に入射した後、導光体42内において全反射することなくプリズム50において反射される光が多量に存在している。このような光が仮に図8の照明装置400のプリズムにおいて反射された場合には、図4(a)に示すように、導光体42から放射される光の配光はy軸方向に狭い照度分布を有する。
【0037】
そこで、領域A1に位置している凹面Sb1のx軸方向に直交する断面は、z軸方向の正方向側に向かって窪んだ形状をなしている。これにより、領域A1内のプリズム50も、凹面Sb1と同様に湾曲している。その結果、領域A1内のプリズム50により反射された光の配光は、図4(b)に示すように、y軸方向に広がった照度分布を有するようになる。すなわち、領域A1内のプリズム50により反射された光の配光は、領域A2内のプリズム50により反射された光の配光に近づく。その結果、導光体42、光源装置26及び画像読み取り装置10は、均一な配光を得ることができる。
【0038】
なお、領域A1のx軸方向の長さをxとし、端面Saと発光素子24との間の距離をyとし、導光体42の半径をrとし、導光体42内を進行する光の臨界角をθとした場合に、x≧3rtanθ−yを満たしていることが好ましく、x≧5rtanθ−yを満たしていることがより好ましい。これにより、導光体42、光源装置26及び画像読み取り装置10は、より均一な配光を得ることができる。以下に、図面を参照しながら理由を説明する。図5は、光源装置26のy軸方向に垂直な断面構造図である。
【0039】
LED40から直接に導光体42のプリズム形成面Sbに臨界角θで到達する光を光B1とする。また、導光体42内において1度だけ全反射した後に、導光体42のプリズム形成面Sbに臨界角θで到達する光を光B2とする。また、導光体42内において2度だけ全反射した後に、導光体42のプリズム形成面Sbに臨界角θで到達する光を光B3とする。光B1は、端面Saからrtanθ−yだけ離れた位置P1においてプリズム形成面Sbに到達する。そして、位置P1よりもx軸方向の負方向側においてプリズム形成面Sbに到達した光は、プリズム形成面Sbにおいて反射することなく外部に漏れる。
【0040】
また、光B2は、端面Saから3rtanθ−yだけ離れた位置P2においてプリズム形成面Sbに到達する。位置P2では、光B2の他に、臨界角θよりも大きな入射角でLED40から直接に入射してくる光も到達する。
【0041】
また、光B3は、端面Saから5rtanθ−yだけ離れた位置P3においてプリズム形成面Sbに到達する。位置P3では、光B3の他に、臨界角θよりも大きな入射角でLED40から直接に入射してくる光、及び、臨界角θよりも大きな入射角で1度だけ導光体42内において全反射した光も到達する。
【0042】
以上のように、端面Saから離れるにしたがって、プリズム形成面Sbに到達する光の入射角の種類が多くなる。このように、プリズム形成面Sbに到達する光の入射角の種類が多くなるにしたがって、プリズム50において反射された光の照度分布はy軸方向に広がっていく。換言すれば、プリズム形成面Sbに到達する光の入射角の種類が多い領域ではプリズム形成面Sbを湾曲させる必要がなく、プリズム形成面Sbに到達する光の入射角の種類が少ない領域ではプリズム形成面Sbを湾曲させる必要がある。
【0043】
そこで、導光体42、光源装置26及び画像読み取り装置10では、端面Saから1種類の入射角の光しか到達しない位置P2までの間は、プリズム形成面Sbが湾曲していることが好ましい。すなわち、x≧3rtanθ−yを満たしていることが好ましい。そして、導光体42、光源装置26及び画像読み取り装置10では、端面Saから2種類の入射角の光しか到達しない位置P2までの間は、プリズム形成面Sbが湾曲していることがより好ましい。すなわち、x≧5rtanθ−yを満たしていることがより好ましい。なお、導光体42がアクリル(屈折率1.49・臨界角42.16度)により作製され、r=5mm及びy=0mmである場合には、x≧13.6mmであることが好ましく、x≧22.6mmであることがより好ましい。なお、原稿PがA3サイズである場合には、x<297mmであり、原稿PがA4サイズである場合には、x<210mmである。
【0044】
以上のように、画像読み取り装置10では、均一な配光が得られることにより、安定した品質の画像が得られる。より詳細には、画像読み取り装置10において、ミラー29,30,32の反射面の向きは、製造ばらつきによって、ずれが生じるおそれがある。ミラー29,30,32の向きにずれが生じると、原稿Pの読み取り位置が副走査方向にずれる。ここで、導光体42が放射する光のy軸方向における照度分布が狭い場合には、読み取り位置がずれると、読み取り位置に照射される光量が大きく減少する。一方、導光体42の放射する光のy軸方向における照度分布が広い場合には、読み取り位置がずれても、読み取り位置に照射される光量は大きく変化しない。そのため、導光体42が放射する光の配光が不均一であると、画像に濃度むらが発生する。
【0045】
そこで、導光体42、光源装置26及び画像読み取り装置10では、プリズム形成面Sbの一部が湾曲していることによって、導光体42全体において均一な配光であって、y軸方向に広い照度分布を有する配光が得られている。これにより、ミラー29,30,32の向きにずれが生じたとしても、読み取り位置に照射される光量は大きく変化しない。その結果、画像読み取り装置10では、安定した品質の画像が得られる。
【0046】
また、導光体42では、導光体42に対して、特許文献1に記載の照明装置500のように、光の照射に寄与しない光学的領域R2が設けられない。その結果、導光体42の小型化が図られる。
【0047】
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係る導光体42aについて図面を参照しながら説明する。図6は、第1の変形例に係る導光体42aを含む光源装置26の外観斜視図である。
【0048】
図6に示すように、凹面Sb1の断面は、端面Saから離れるにしたがって曲率が徐々に小さくなる形状をなしていてもよい。これにより、領域A1内のプリズム50の曲率も、端面Saから離れるにしたがって徐々に小さくなる。
【0049】
以上の導光体42aによれば、導光体42aが放射する光の配光をより均一に近づけることが可能となる。より詳細には、端面Saから離れるにしたがって、プリズム形成面Sbに到達する光の入射角の種類が多くなる。このように、プリズム形成面Sbに到達する光の入射角の種類が多くなるにしたがって、プリズム50において反射された光の照度分布はy軸方向に広がっていく。そこで、導光体42aでは、領域A1内のプリズム50の曲率は、端面Saから離れるにしたがって小さくなっている。これにより、領域A1内において、プリズム50において反射された光の配光がより均一に近づく。
【0050】
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係る導光体42bについて図面を参照しながら説明する。図7は、変形例に係る導光体42bのx軸方向に直交する断面構造図である。
【0051】
導光体42,42aでは、凹面Sb1は、曲面をなしている。一方、導光体42bでは、凹面Sb1は、複数の平面が組み合わされることによって構成されている。導光体42bは、導光体42,42aに比べて容易に製造可能である。
【0052】
なお、画像読み取り装置10において、ミラー27の代わりに、光源装置26が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、導光体、光源装置及び画像読み取り装置に有用であり、特に、均一な配光を得ることができると共に、小型化を図ることができる点において優れている。
【符号の説明】
【0054】
A1,A2 領域
Sa 端面
Sb プリズム形成面
Sb1 凹面
Sb2 平坦面
10 画像読み取り装置
12 本体
16 プラテンガラス
24 撮像素子
26 光源装置
42,42a,42b 導光体
50 プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の所定方向に延在している棒状の透明部材からなり、かつ、該第1の所定方向の一端に位置する端面及び該第1の所定方向に延在するプリズム形成面を有している導光体であって、
前記端面を介して光が入射し、
前記プリズム形成面には、前記第1の所定方向に並んでいる複数のプリズムであって、前記端面から入射した光を該第1の所定方向に直交する第2の所定方向に向けて反射する複数のプリズムが設けられており、
前記プリズム形成面の前記第1の所定方向に直交する断面は、前記端面から所定範囲内を占める第1の領域において、前記第2の所定方向に向かって窪んだ形状をなしていること、
を特徴とする導光体。
【請求項2】
前記プリズム形成面の前記第1の所定方向に直交する断面は、前記端面から前記第1の領域よりも該第1の所定方向に離れた範囲を占める第2の領域において、平坦な形状をなしていること、
を特徴とする請求項1に記載の導光体。
【請求項3】
前記プリズム形成面の前記第1の所定方向に直交する断面は、第1の領域において、曲面をなしていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の導光体。
【請求項4】
前記プリズム形成面の前記第1の所定方向に直交する断面は、前記第1の領域において、前記端面から離れるにしたがって曲率が小さくなる形状をなしていること、
を特徴とする請求項3に記載の導光体。
【請求項5】
前記第1の領域の長さをxとし、前記端面と前記発光素子との間の距離をyとし、前記透明部材の半径をrとし、前記透明部材内を進行する光の臨界角をθとした場合に、以下の式(1)を満たすこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導光体。
x≧3rtanθ−y ・・・(1)
【請求項6】
前記第1の領域の長さをxとし、前記端面と前記発光素子との間の距離をyとし、前記透明部材の半径をrとし、前記透明部材内を進行する光の臨界角をθとした場合に、以下の式(2)を満たすこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導光体。
x≧5rtanθ−y ・・・(2)
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の導光体と、
前記導光体の前記端面に光を照射する光源と、
を備えていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
原稿が載置される透明板と、
前記透明板を介して前記原稿に向けて光を放射する請求項7に記載の光源装置と、
前記原稿で反射した光により撮像を行う撮像素子と、
を備えていること、
を特徴とする画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−51108(P2013−51108A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188177(P2011−188177)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】