説明

導電性シリコーンゴム組成物及び導電材料

【課題】長期間貯蔵しても、硬化性及び体積抵抗率の安定性に優れた導電性シリコーンゴム組成物及び該組成物を硬化してなる導電材料を提供する。
【解決手段】(A)ケイ素原子に結合する水酸基量が200〜3000ppmであるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン 100重量部、(B)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 前記(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜15モルとなる量、(C)銀粉末 50〜2000重量部、及び(D)ヒドロシリル化反応用触媒 触媒量を含有する導電性シリコーンゴム組成物及び該組成物を硬化してなる導電材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性シリコーンゴム組成物及び該組成物を硬化してなる導電材料に係り、特に、貯蔵安定性に優れた導電性シリコーンゴム組成物及び導電材料に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、銀粉末を配合した導電性シリコーンゴム組成物は、硬化して低抵抗のシリコーンゴムを形成するため、耐熱性、導電性が要求される分野で利用されている。
【0003】
このような導電性シリコーンゴム組成物としては、例えば1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金触媒及び銀粉末を含有する導電性シリコーンゴム組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
通常、導電性のシリコーンゴムを形成するために使用する銀粉末は、硝酸銀水溶液をヒドラジン、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸等の還元剤により還元して得られた還元銀粉末、硝酸銀水溶液を電気分解により陰極上に析出して得られた電解銀粉末、1000℃以上に加熱溶融した溶融銀を水中または不活性ガス中に噴霧して得られたアトマイズ銀粉末に分けられる。また、銀粉末の形状は、高導電性シリコーンゴムを形成することができることから粒状、フレーク状のものが用いられている。
【特許文献1】特開平03−170581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような導電性シリコーンゴム組成物に、上述した銀粉末を配合した場合、該組成物を例えば3ヶ月あるいは6ヶ月貯蔵しておくと、該組成物の硬化性が経時的に低下し、硬化後の硬度が低くなるという問題があった。
【0006】
また、このように長期間貯蔵した場合、硬化後の体積抵抗率が経時的に上昇するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、長期間貯蔵しても、硬化性及び体積抵抗率の安定性に優れた導電性シリコーンゴム組成物及び該組成物を硬化してなる導電材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本組成物のベースポリマーとして、特定量の水酸基を導入したアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを使用することにより、硬化性及び体積抵抗率の安定性を著しく改善した導電性シリコーンゴム組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、
(A)ケイ素原子に結合する水酸基量が200〜3000ppmであるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン 100重量部、
(B)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 前記(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜15モルとなる量、
(C)銀粉末 50〜2000重量部、
及び
(D)ヒドロシリル化反応用触媒 触媒量
を含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の導電材料は、導電性シリコーンゴム組成物を硬化してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物によれば、特定量の水酸基を導入したアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを用いることによって、長期間貯蔵しても安定した硬化性及び体積抵抗率を得ることができる。
【0012】
また、本発明の導電材料によれば、例えば導電性接着剤などに好適であり、信頼性に優れているという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の導電性シリコーンゴム組成物の実施形態について説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、本組成物のベースポリマーであり、1分子中に平均0.2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有し、好ましくは、1分子中に平均0.5個以上、より好ましくは1分子中に平均2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を有する。これは、1分子中のアルケニル基の平均値が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物が十分に硬化しなくなる場合があるからである。
【0014】
このようなケイ素原子結合アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペテニル基、ヘキセニル基などが例示され、特にビニル基であることが好ましい。このケイ素原子結合アルケニル基の含有率は、(A)成分のケイ素原子結合全有機基中、0.0003モル%以上であることが好ましく、特に0.001モル%以上であることが好ましい。このアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、前記両者に結合していてもよいが、得られる組成物の硬化速度、硬化物の物性等の点から、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子、特に分子鎖両末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
【0015】
さらに、(A)成分は、ケイ素原子に結合する水酸基を有し、その水酸基量は、200〜3000ppm、特に300〜2000ppmであることが好ましい。200ppm未満であると、銀粉末の本組成物に対する親和性向上等の効果が十分得られず、一方、3000ppmを超えると、硬化速度が低下したり、硬化物が発泡するという悪影響が生じる。このような特定少量の水酸基を導入することによって、架橋剤を過剰に配合することなく本組成物を硬化させることができる。水酸基量を定量する方法としては、例えば、KF法(カールフィッシャー法)等が好ましい。
【0016】
また、(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子結合有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基あるいはこれらの水素原子が部分的に塩素原子、フッ素原子などで置換されたハロゲン化炭化水素基等の通常、炭素原子数1〜12個、好ましくは炭素原子数1〜8個程度のものが例示されるが、好ましくは、アルキル基、アリール基であり、より好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0017】
(A)成分は、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサンとRSiO1/2(Rは1価の炭化水素基)単位を有するオルガノシロキサンとを、アルカリ、酸等の適切な触媒にて平衡化重合させる。その際に、水を添加して、中和工程、余剰の低分子シロキサン分を除去することによって得られる。もしくは、平衡化重合する際に水を添加せずに中和工程、余剰の低分子シロキサン分を除去し、酸素下で一定時間加熱させて有機基を熱劣化させることによって得られる。
【0018】
(A)成分の分子構造は、特に限定されず、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状等が挙げられ、好ましくは、硬化物の機械的強度等の点から直鎖状構造であることが好ましい。
【0019】
このような(A)成分の25℃における粘度は、5〜100,000mPa・sであり、好ましくは、100〜10,000mPa・sである。これは、25℃における粘度が上記範囲の下限未満であると、シリコーンゴムの物理的特性、例えば、硬度、強度などの物性が低下する傾向があるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、本組成物の取扱い作業性が低下する傾向があるからである。
【0020】
[(B)成分]
(B)成分は、(A)成分とヒドロシリル化反応により組成物を硬化させる架橋剤として作用する。1分子中に平均2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を有する必要があり、このSiH基を好ましくは3個以上有することが望ましい。ケイ素原子に結合した水素原子は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、また分子鎖中間のケイ素原子のいずれかに結合していてもよく、さらには両方に結合していてもよい。
【0021】
(B)成分としては、平均組成式:
SiO[4−(a+b)]/2
で示されるものが用いられる。上記式中、Rは、脂肪族不飽和炭化水素基を除く、置換または非置換の1価炭化水素基である。
【0022】
としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基のようなアルキル基;フェニル基、トリル基のようなアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基のようなアラルキル基;およびこれらの基の水素原子の一部または全部がフッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子やシアノ基で置換されているもの、例えばクロロメチル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などを挙げることができる。これらのうちで、炭素数が1〜4のものが好適であり、合成のし易さ、コストの面からアルキル基が好ましい。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基であることが好ましく、特に、メチル基であることが好ましい。
【0023】
また、上記式中、a、bは、それぞれ、0.5≦a≦2、0<b≦2、0.5<a+b≦3を満足する正数であり、好ましくは、0.6≦a≦1.9、0.01≦b≦1.0、0.6≦a+b≦2.8を満足する正数である。
【0024】
(B)成分の分子構造としては、直鎖状、分岐鎖状、環状あるいは三次元網目状構造のいずれであってもよい。
【0025】
(B)成分の25℃における粘度は、1〜1000mPa・sであることが好ましく、特に10〜500mPa・sであることが好ましい。
【0026】
(B)成分の配合量は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1モルに対して、(B)成分のSi−H基が0.5〜15モルとなる量であり、好ましくは0.8〜10モルとなる量である。0.5モル未満では、得られる組成物が十分に硬化しなくなるからであり、15モルを越えると未反応のSi−H結合が残存し、硬化後のシリコーンゴムの物理的特性が不安定となるためである。
【0027】
[(C)成分]
(C)成分の銀粉末は、本組成物を硬化して得られるシリコーンゴムに導電性を付与するための成分である。
【0028】
(C)成分は、純銀または銀合金等が用いられる。銀合金としては、銀を50重量%以上、特に70重量%以上含む銀−銅合金、銀−パラジウム合金が代表的であり、その他亜鉛、錫、マグネシウム、ニッケル等の金属を含有する銀合金が挙げられる。
【0029】
本発明では、これらの表面を潤滑剤で処理したものを用いてもよい。潤滑剤としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の飽和又は不飽和の高級脂肪酸;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン;分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン、分子両末端ジメチルビニル基封鎖ジメチルシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0030】
(C)成分の形状は特に限定されず、例えば、粒状、樹枝状、フレーク状、不定形状であり、これらの形状を有する微粉末の混合物であってもよいが、高導電性の硬化物を形成するためには、粒状またはフレーク状の銀粉末を用いることが好ましい。
【0031】
(C)成分の粒径は、特に限定されないが、好ましくは平均粒径が0.01〜50μmの範囲であり、より好ましくは1〜20μmの範囲である。
【0032】
本組成物において(C)成分の配合量は、(A)成分であるビニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対して、50〜2000重量部、好ましくは100〜1500重量部である。これは、50重量部未満であると、得られる硬化物の導電性が著しく低下するためであり、また2000重量部を越えると、得られた組成物の流動性が著しく低下し、該組成物の取扱い作業性が困難となるためである。
【0033】
[(D)成分]
(D)成分は、(A)成分のアルケニル基と(B)成分のハイドロジェン基を反応させて、硬化物を得るための硬化用触媒である。
【0034】
(D)成分としては、例えば、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類やビニルシロキサンとの錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。
【0035】
(D)成分の配合量は、硬化に必要な量であれば、特に限定されず(A)成分と(B)成分の種類、所望の硬化速度などに応じて適宜調整することができる。通常、得られる組成物の合計重量に対し、白金元素に換算して1〜100ppmの範囲とすることが好ましい。
以上の(A)〜(D)成分から、本発明の導電性シリコーンゴム組成物が構成される。
【0036】
なお、本組成物には、その他任意の成分として、反応抑制剤を配合してもよい。例えば、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。配合量は、(A)成分100重量部に対して0.001〜5重量部であることが好ましい。
【0037】
また、本組成物には、得られた導電性シリコーンゴムの接着性を付与するための任意の成分として、接着付与剤を配合してもよい。例えば、テトラメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。
【0038】
さらに、硬化後のシリコーンゴムに適当な粘度と強度を付与するために無機質充填剤を配合してもよい。例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、焼成シリカ、湿式シリカ、ヒュームド酸化チタン及びカーボンブラック等をオルガノアルコキシシラン、オルガノクロロシラン、オルガノジシラザン等の有機ケイ素化合物により表面処理した無機質充填剤が挙げられる。配合量は、(A)成分100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましい。
【0039】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、(A)〜(D)の必須成分および上述した任意成分を三本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)等のゴム混練機を用いて均一に混合することにより得ることができる。
【0040】
(A)〜(D)の必須成分と任意成分を混練機により均一に混合することによって、室温もしくは加熱により硬化が進行するが、迅速に硬化させるためには加熱することが好ましい。加熱温度としては、50〜200℃の範囲内であることが好ましい。このようにして得られる硬化物はゴム状、特に硬質のゴム状である。
【0041】
硬化後の体積抵抗率は、1×10−1Ω・cm以下であるものが好ましく、この硬化物(導電材料)は、例えば、導電性接着剤、導電性ダイボンディング剤、放熱性ダイボンディング剤、電磁波シールド材などに好適である。
【実施例】
【0042】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物を実施例により詳細に説明する。なお、合成例、実施例及び比較例において、部は全て重量部を示す。実施例及び比較例中の特性は25℃において測定した値であり、その特性は、次のようにして測定した。
【0043】
[導電性シリコーンゴム組成物の硬化性]
組成物を冷蔵保管して、調整直後(初期)、3ヵ月後、6ヵ月後に取り出し、150℃で60分間加熱して得られた硬化物の硬度をJIS K 6301により測定した。
【0044】
[導電性シリコーンゴム組成物の体積抵抗率]
組成物を冷蔵保管して、調整直後(初期)、3ヶ月後、6ヵ月後に取り出し、150℃で60分間加熱して厚み2mmのシート状の硬化物を得た。このシート状硬化物の体積抵抗率を定電流印加法により測定した。
【0045】
[合成例1]
撹拌棒、冷却管が備わったフラスコ中に、オクタメチルシクロテトラシロキサン4000部、ジビニルテトラメチルシロキサン50部、水1.8部を仕込み、KOH触媒にて、150℃で5時間平衡化重合を実施した。その後、リン酸を添加し中和した。更に、減圧しながら低分子シロキサン分を除去し、ビニル基と水酸基含有のポリオルガノシロキサンを得た。このポリオルガノシロキサンは、25℃における粘度が540mPa・sであり、脱水処理後、カールフィッシャー法(KF法)により測定した水酸基量は840ppmであった。
【0046】
なお、水酸基量の測定は、カールフィッシャー法自動水分測定装置(KF−06型、三菱化成(株)製)で、KF試薬(カールフィッシャー試薬SS、(株)エーピーアイコーポレーション製)を使用し、脱水溶剤(CM50mlとML10ml、(株)エーピーアイコーポレーション製)を用いて水分量を測定し、この水分量から水酸基量を計算することによって測定を行った。
【0047】
[合成例2]
水の添加量を1.0部とした以外は合成例1と同様にしてビニル基と水酸基含有のポリオルガノシロキサンを得た。このポリオルガノシロキサンは、25℃における粘度が480mPa・sであり、脱水処理後、KF法により測定した水酸基量は400ppmであった。
【0048】
[合成例3]
水の添加量を0.1部とした以外は合成例1と同様にしてビニル基と水酸基含有のポリオルガノシロキサンを得た。このポリオルガノシロキサンは、25℃における粘度が450mPa・sであり、脱水処理後、KF法により測定した水酸基量は50ppmであった。
【0049】
[実施例1]
(A)合成例1で得られたビニル基含有オルガノポリシロキサン(ビニル基含有量1.3モル%)100部、(B)粘度20mPa・sであり、両末端にトリメチルシリル基および側鎖部にメチルハイドロジェン基53モル%とジメチル基47モル%からなるメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量53モル%、(A)成分中のビニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比:H/Vi(以下、同様に記載する)=3)6.1部、(C)平均粒径が5μmであるフレーク状の高級脂肪酸で表面処理された銀粉末(FA−2−3 同和鉱業社製)500部、(D)塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(白金元素として5ppm)、反応抑制剤である1−エチニル−1シクロヘキサノール 0.1部を均一に混合して、導電性シリコーンゴム組成物を得た。
この導電性シリコーンゴム組成物の特性を測定し、結果を表1に示した。
【0050】
[実施例2]
(A)合成例2で得られたビニル含有オルガノポリシロキサン(ビニル基含有量1.3モル%)100部、(B)粘度20mPa・sであり、両末端にトリメチルシリル基および側鎖部がメチルハイドロジェン基53モル%とジメチル基47モル%とからなるメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量53モル%、H/Vi=3)6.1部、(C)平均粒径が5μmであるフレーク状の高級脂肪酸で表面処理された銀粉末(FA−2−3 同和鉱業社製)500部、(D)塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(白金元素として5ppm)、反応抑制剤である1−エチニル−1シクロヘキサノール0.1部を均一に混合して、導電性シリコーンゴム組成物を得た。
この導電性シリコーンゴム組成物の特性を測定し、結果を表1に示した。
【0051】
[実施例3]
(A)合成例1で得られたビニル含有オルガノポリシロキサン(ビニル基含有量1.3モル%)100部、(B)粘度20mPa・sであり、両末端にトリメチルシリル基および側鎖部がメチルハイドロジェン基53モル%とジメチル基47モル%とからなるメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量53モル%、H/Vi=3)6.1部、(C)平均粒径が3μmである粒状の銀粉末(AgC−74SE 福田金属箔粉工業社製)300部、(D)塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(白金元素として5ppm)、反応抑制剤である1−エチニル−1シクロヘキサノール0.1部を均一に混合して、導電性シリコーンゴム組成物を得た。
この導電性シリコーンゴム組成物の特性を測定し、結果を表1に示した。
【0052】
[比較例1]
(A)合成例3で得られたビニル基含有オルガノポリシロキサン(ビニル基含有量1.3モル%)100部、(B)粘度20mPa・sであり、両末端にトリメチルシリル基および側鎖部がメチルハイドロジェン基53モル%とジメチル基47モル%とからなるメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量53モル%、H/Vi=3)6.1部、(C)平均粒径が5μmであるフレーク状の高級脂肪酸で表面処理された銀粉末(FA−2−3 同和鉱業社製)500部、(D)塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(白金元素として5ppm)、反応抑制剤である1−エチニル−1シクロヘキサノール0.1部を均一に混合して組成物を得た。
この組成物の特性を測定し、結果を表1に示した。
【0053】
[比較例2]
(A)合成例3で得られたビニル含有オルガノポリシロキサン(ビニル基含有量1.3モル%)100部、(B)粘度20mPa・sであり、両末端にトリメチルシリル基および側鎖部がメチルハイドロジェン基53モル%とジメチル基47モル%とからなるメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基含有量53モル%、H/Vi=3)6.1部、(C)平均粒径が3μmである粒状の銀粉末(AgC−74SE 福田金属箔粉工業社製)300部、(D)塩化白金酸のビニルシロキサン錯体(白金元素として5ppm)、反応抑制剤である1−エチニル−1シクロヘキサノール0.1部を均一に混合して、組成物を得た。
この組成物の特性を測定し、結果を表1に示した。
【表1】

【0054】
以上、表1の結果からも明らかなように、本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、硬化性の経時変化が小さく、さらに体積抵抗率の経時変化が小さく、長期間における貯蔵安定性が著しく改善されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ケイ素原子に結合する水酸基量が200〜3000ppmであるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン 100重量部、
(B)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 前記(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜15モルとなる量、
(C)銀粉末 50〜2000重量部、
及び
(D)ヒドロシリル化反応用触媒 触媒量
を含有することを特徴とする導電性シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の25℃における粘度が、5〜100,000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の導電性シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
前記(A)成分は、1分子中に平均0.2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性シリコーンゴム組成物。
【請求項4】
前記(C)成分の銀粉末が、高級脂肪酸で処理されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性シリコーン組成物。
【請求項5】
前記(C)成分の銀粉末が、未処理であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性シリコーン組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の導電性シリコーンゴム組成物を硬化させてなることを特徴とする導電材料。

【公開番号】特開2006−328302(P2006−328302A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157135(P2005−157135)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000221111)ジーイー東芝シリコーン株式会社 (257)
【Fターム(参考)】