説明

導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法

【課題】基板シートの表面に導電性ペーストを塗工する工程の回数を減少させることができ、このため導電性バンプ付き基板シートの製造時間を短縮することができる導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】スキージユニットのスキージ36(36a、36b、36c)は、その先端に向かうに従って細くなるような形状となっている。スキージ36により基板シート10上に転移される導電性ペーストは、85重量%以上98重量%以下の金属粉を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の導電性バンプが表面に形成された導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、平板状の銅箔等の基板シートの表面に複数の略円錐状の導電性バンプを形成し、このような導電性バンプ付き基板シートと、プリプレグ等の非導電性シート(絶縁性シート)とを交互に重ね合わせることにより多層プリント配線板を製造することが知られている。このような多層プリント配線板において、導電性バンプ付き基板シートの表面に形成された略円錐状の導電性バンプが非導電性シートを貫通することによって、当該非導電性シートの両側にある基板シート同士が導電性バンプによって電気的に接続されるようになっている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0003】
以下、複数の導電性バンプが表面に形成された導電性バンプ付き基板シートの製造方法について、図11乃至図18を用いて説明する。図11乃至図16は、基板シートに導電性バンプを形成する動作の一連の流れを順に示す側面図であり、図17は、図13の部分拡大側面図であり、図18は、図11乃至図16に示す一連の動作により製造される導電性バンプ付き基板シートの側面図である。
【0004】
図11乃至図16に示すように、一般的な導電性バンプ付き基板シートの製造装置には、基板シート10を吸引孔(図示せず)からの吸引力によって保持する印刷定盤30と、所定のパターンからなる複数の貫通穴(版孔)32aが設けられたメタルマスク版32と、このメタルマスク版32を保持する保持部材34とがそれぞれ設けられている。ここで、各貫通穴32aは、基板シート10に導電性バンプ12が形成されるべき位置に対応するようメタルマスク版32に設けられている。
【0005】
また、一般的な導電性バンプ付き基板シートの製造装置には、メタルマスク版32上で走査し、このメタルマスク版32上に載置された銀ペースト、半田ペースト等の導電性ペースト38を、メタルマスク版32の貫通穴32aを介して基板シート10上に転移させるスキージ36と、スキージ36を移動させるスキージ駆動部37とが設けられている。スキージ36は例えばウレタン樹脂等から形成されており、スキージゴムの硬度は例えば70〜90度となっている。スキージ駆動部37には、スキージ36を支持する支持部材33と、支持部材33を水平方向(図11等の左右方向)に移動させるよう案内を行うガイド部材31とが設けられており、支持部材33は、スキージ36を図11等の下方に進出させたり上方に退避させたりすることができるようになっている。このようなスキージ駆動部37によって、スキージ36はガイド部材31に沿って図11等における左右方向に移動するとともにメタルマスク版32に向かって進退移動(図11等における上下方向の移動)を行うようになっている。ここで、スキージ36およびスキージ駆動部37によりスキージユニットが構成されている。
【0006】
さらに、導電性バンプ付き基板シートの製造装置には、印刷定盤30上にある基板シート10の表面の撮像を行うCCDカメラ等の撮像手段39が設けられている。また、印刷定盤30の下方にはガイド部材30aが配置されており、印刷定盤30は、ガイド部材30aに沿って水平方向(図11等における左右方向)に移動可能となっている。
【0007】
次に、基板シート10に導電性バンプ12を形成する動作の一連の流れについて具体的に説明する。まず、図11に示すように、印刷定盤30の上に基板シート10を載置し、吸引孔(図示せず)からの吸引力によって印刷定盤30上に基板シート10を保持させる。このときに、基板シート10に位置合わせマークを予め形成しておくことにより、この位置合わせマークを撮像手段39で撮像し、撮像された画像における位置合わせマークに基づいて印刷定盤30の位置を微調整することにより、後工程において基板シート10における導電性バンプ12が形成されるべき位置と、メタルマスク版32の貫通穴32aの位置とを容易に位置合わせすることができるようになる。
【0008】
そして、図12に示すように、印刷定盤30をガイド部材30aに沿って水平方向(図12の右方)に移動させ、この印刷定盤30をメタルマスク版32の下方に位置させる。この際に、メタルマスク版32の各貫通穴32aが、基板シート10における導電性バンプ12が形成されるべき位置に対向するようにする。
【0009】
そして、図13に示すように、スキージ36が支持部材33から下方に進出し、このスキージ36がメタルマスク版32を下方に押して当該メタルマスク版32が印刷定盤30上の基板シート10の表面に当接する。そして、図13および図14に示すように、支持部材33をガイド部材31に沿って水平方向(図13の左方向)に移動させることによりスキージ36を水平方向(図13の左方向)に移動させ、このときにスキージ36がメタルマスク版32を下方に押し続けるようにする。この際に、導電性ペースト38はメタルマスク版32の貫通穴32aを通過して基板シート10の表面に付着する。
【0010】
ここで、スキージ36による基板シート10に対する導電性ペースト38の塗工原理についてより詳細に説明すると、図17に示すように、導電性ペースト38はスキージ36によってメタルマスク版32の表面を移動させられるが、メタルマスク版32に貫通穴32aが形成されている箇所においてはこの貫通穴32aに導電性ペースト38が入り込む。そして、スキージ36がメタルマスク版32を基板シート10に向かって押圧することによって、貫通穴32aに入った導電性ペースト38の一部が基板シート10の表面に付着することとなる。
【0011】
そして、図14に示すようにスキージ36による基板シート10に対する導電性ペースト38の塗工が終了したら、図15に示すようにスキージ36がメタルマスク版32から離間するよう上方に退避し、メタルマスク版32が基板シート10から隔離される。そして、図16に示すように、印刷定盤30をガイド部材30aに沿って水平方向(図16の左方)に移動させ、この印刷定盤30をメタルマスク版32の下方の位置から退避させる。そして、印刷定盤30から導電性ペースト38付きの基板シート10を取り出す。
【0012】
その後、導電性ペースト38付きの基板シート10の乾燥を行う。このことにより、基板シート10の表面に付着した導電性ペースト38が熱硬化して略円錐状の導電性バンプ12が形成されることとなる(図18参照)。
【0013】
ここで、基板シート10に形成される導電性バンプ12は、当該基板シート10の厚さ方向(図18の上下方向)において非導電性シート(絶縁性シート、図示せず)を貫通させるのに十分な高さが必要とされる。具体的には、非導電性シートの厚さは例えば60〜80μmであるため、導電性バンプ12の高さを例えば185±45μmとする必要がある。また、多層プリント配線板のファインピッチ化を行う場合には、略円錐状の導電性バンプ12について、同じ高さであっても底面積が小さくなるような形状、すなわちいわゆるアスペクト比の高い略円錐状とする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3167840号
【特許文献2】特開2002−305376号公報
【特許文献3】特許第4127492号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の導電性バンプ付き基板シートの製造方法においては、平板状の基板シート10上に導電性バンプ12を形成するにあたり、スクリーン印刷工程1回あたりの基板シート10に付着する導電性ペースト38の量はメタルマスク版32の貫通穴32aの大きさにより制限されるため、基板シート10に転移される導電性ペースト38の量が十分ではなく1回のスクリーン印刷工程では導電性バンプ12の高さが非導電性シートを貫通させるのに十分な高さに達しない場合が多い。図面を用いてより詳細に説明すると、図19(a)〜(d)は、従来の方法により基板シート10に導電性バンプ12が形成される過程を示す図であって、(a)は1回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプ12の形状を示し、(b)は2回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプ12の形状を示している。また、図19(c)は3回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプ12の形状を示し、(d)は4回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプ12の形状を示している。
【0016】
ここで、導電性バンプ12により非導電性シートを貫通させる際に、図19(d)に示すような高さを有する略円錐状の導電性バンプ12が求められる。このため、図11乃至図16に示すようなスクリーン印刷工程を複数回、具体的には例えば4回繰り返して行うことが必要とされる。しかしながら、スクリーン印刷工程を1回行うたびに基板シート10の乾燥工程およびCCDカメラ等によるメタルマスク版32の位置合わせ工程が必要となり、十分な高さの導電性バンプ12が形成されるまでこれらの工程を何度も繰り返す必要があった。また、上述のようなスクリーン印刷工程の回数を減らした場合には、基板シート10に形成された導電性バンプ12の先端形状が細くなり、基板シート10と非導電性シートとを交互に重ね合わせたときに、非導電性シートを突き破った導電性バンプ12の先端部分とこの非導電性シートに当接する他の基板シートとが接触する面積が小さくなり、この導電性バンプ12を介して接続される非導電性シートを挟んだ2つの基板シート10間における抵抗値が大きくなるという問題があった。
【0017】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、従来のような導電性ペーストを多数回繰り返して平板状の基板シートに塗工し所望の高さになるまで塗工層を累積させて導電性バンプを形成する方法と比較して、基板シートの表面に導電性ペーストを塗工する工程の回数を減少させることができ、このため導電性バンプ付き基板シートの製造時間を短縮することができる導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、複数の導電性バンプが表面に形成された導電性バンプ付き基板シートの製造装置であって、平板状の基板シートが載置される印刷定盤と、所定のパターンからなる複数の貫通穴が設けられたメタルマスク版と、スキージと、前記スキージを移動させる駆動部とを有し、前記スキージにより前記メタルマスク版を前記印刷定盤上の前記基板シートに向かって押圧しながら当該スキージを前記メタルマスク版に沿って移動させることにより前記メタルマスク版上の導電性ペーストを前記貫通穴を介して前記基板シート上に転移させるスキージユニットと、を備え、前記スキージユニットの前記スキージは、その先端に向かうに従って細くなるような形状であり、前記スキージにより前記基板シート上に転移される導電性ペーストは、85重量%以上98重量%以下の金属粉を含むことを特徴とする導電性バンプ付き基板シートの製造装置である。
【0019】
本発明の導電性バンプ付き基板シートの製造装置においては、前記メタルマスク版における前記各貫通穴について、前記印刷定盤上の前記基板シート側の開口の直径が、前記スキージ側の開口の直径よりも大きくなっていることが好ましい。
【0020】
本発明の導電性バンプ付き基板シートの製造装置においては、前記スキージユニットの前記スキージの先端部分は半円状となっていることが好ましい。
【0021】
あるいは、前記スキージユニットの前記スキージの先端部分は剣先形状となっていてもよい。
【0022】
本発明は、複数の導電性バンプが表面に形成された導電性バンプ付き基板シートの製造方法であって、印刷定盤に平板状の基板シートを載置する工程と、前記基板シートが載置された前記印刷定盤を、所定のパターンからなる複数の貫通穴が設けられたメタルマスク版の下方の位置に移動させる工程と、スキージユニットのスキージにより前記メタルマスク版を前記印刷定盤上の前記基板シートに向かって押圧しながら当該スキージを前記メタルマスク版に沿って移動させることにより前記メタルマスク版上の導電性ペーストを前記貫通穴を介して前記基板シート上に転移させる工程と、を備え、前記スキージユニットの前記スキージは、その先端に向かうに従って細くなるような形状であり、前記スキージにより前記基板シート上に転移される導電性ペーストは、85重量%以上98重量%以下の金属粉を含むことを特徴とする導電性バンプ付き基板シートの製造方法である。
【0023】
本発明の導電性バンプ付き基板シートの製造方法においては、前記メタルマスク版における前記各貫通穴について、前記印刷定盤上の前記基板シート側の開口の直径が、前記スキージ側の開口の直径よりも大きくなっていることが好ましい。
【0024】
本発明の導電性バンプ付き基板シートの製造方法においては、前記スキージユニットの前記スキージの先端部分は半円状となっていることが好ましい。
【0025】
あるいは、前記スキージユニットの前記スキージの先端部分は剣先形状となっていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法によれば、基板シートの表面に導電性ペーストを塗工する工程の回数を減少させることができ、このため導電性バンプ付き基板シートの製造時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態におけるメタルマスク版の貫通穴の一の構成を示す側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるメタルマスク版の貫通穴の他の構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるメタルマスク版の貫通穴の更に他の構成を示す側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるメタルマスク版の貫通穴の更に他の構成を示す側断面図である。
【図5】(a)は、その断面積がメタルマスク版の厚さ方向に沿って均一になっているような貫通穴を有するメタルマスク版の側断面図であり、(b)は、基板シート側の開口の直径がスキージ側の開口の直径よりも大きい貫通穴を有するメタルマスク版の側断面図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるスキージの一の構成を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるスキージの他の構成を示す構成図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるスキージの更に他の構成を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるスキージの更に他の構成を示す構成図である。
【図10】先端に向かうに従って細くなるようなスキージを用いてメタルマスク版上の導電性ペーストを基板シート上に転移させるときの状態を示す図である。
【図11】基板シートに導電性バンプを形成する動作の流れを示す側面図である。
【図12】図11に示す状態に引き続く、基板シートに導電性バンプを形成する動作の流れを示す側面図である。
【図13】図12に示す状態に引き続く、基板シートに導電性バンプを形成する動作の流れを示す側面図である。
【図14】図13に示す状態に引き続く、基板シートに導電性バンプを形成する動作の流れを示す側面図である。
【図15】図14に示す状態に引き続く、基板シートに導電性バンプを形成する動作の流れを示す側面図である。
【図16】図15に示す状態に引き続く、基板シートに導電性バンプを形成する動作の流れを示す側面図である。
【図17】図13の部分拡大側面図である。
【図18】導電性バンプ付き基板シートの構成を示す側面図である。
【図19】(a)〜(d)は、従来の方法により基板シートに導電性バンプが形成される過程を示す図であって、(a)は1回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプの形状を示し、(b)は2回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプの形状を示し、(c)は3回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプの形状を示し、(d)は4回目のスクリーン印刷工程および乾燥工程後の導電性バンプの形状を示す。
【図20】図18に示す導電性バンプ付き基板シートと非導電性シートとを交互に重ね合わせたときの状態を示す側面図である。
【図21】図20に示す重ね合わせ体を挟圧することにより製造される多層プリント配線板を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態による導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法を示す図である。
【0029】
本実施の形態による導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法は、概略的には図11乃至図16に示すものと同様となっている。すなわち、本実施の形態による導電性バンプ付き基板シートの製造装置は、図11乃至図16に示すように、基板シート10を吸引孔(図示せず)からの吸引力によって保持する印刷定盤30と、所定のパターンからなる複数の貫通穴(版孔)32aが設けられたメタルマスク版32と、このメタルマスク版32を保持する保持部材34とを備えている。ここで、各貫通穴32aは、基板シート10に導電性バンプ12が形成されるべき位置に対応するようメタルマスク版32に設けられている。
【0030】
また、本実施の形態による導電性バンプ付き基板シートの製造装置には、メタルマスク版32上で走査し、このメタルマスク版32上に載置された銀ペースト、半田ペースト等の導電性ペースト38を、メタルマスク版32の貫通穴32aを介して基板シート10上に転移させるスキージ36と、スキージ36を移動させるスキージ駆動部37とが設けられている。スキージ36は例えばウレタン樹脂等から形成されており、スキージゴムの硬度は例えば70〜90度となっている。スキージ駆動部37には、スキージ36を支持する支持部材33と、支持部材33を水平方向(図11等の左右方向)に移動させるよう案内を行うガイド部材31とが設けられており、支持部材33は、スキージ36を図11等の下方に進出させたり上方に退避させたりすることができるようになっている。このようなスキージ駆動部37によって、スキージ36はガイド部材31に沿って図11等における左右方向に移動するとともにメタルマスク版32に向かって進退移動(図11等における上下方向の移動)を行うようになっている。ここで、スキージ36およびスキージ駆動部37によりスキージユニットが構成されている。
【0031】
さらに、導電性バンプ付き基板シートの製造装置には、印刷定盤30上にある基板シート10の表面の撮像を行うCCDカメラ等の撮像手段39が設けられている。また、印刷定盤30の下方にはガイド部材30aが配置されており、印刷定盤30は、ガイド部材30aに沿って水平方向(図11等における左右方向)に移動可能となっている。
【0032】
本実施の形態による導電性バンプ付き基板シートの製造方法、具体的には基板シート10に導電性バンプ12を形成する動作の一連の流れは図11乃至図16に示す通りである。すなわち、図11に示すように、まず、印刷定盤30に平板状の基板シート10を載置し、次に、図12に示すように、基板シート10が載置された印刷定盤30を、所定のパターンからなる複数の貫通穴32aが設けられたメタルマスク版32の下方の位置に移動させる。そして、図13、図14および図17に示すように、スキージユニットのスキージ36によりメタルマスク版32を印刷定盤30上の基板シート10に向かって押圧しながら当該スキージ36をメタルマスク版32に沿って移動させることにより、メタルマスク版32上の導電性ペースト38を、貫通穴32aを介して基板シート10上に転移させる。このようにして、基板シート10の表面に導電性ペースト38が付着するようになる。なお、スキージ36がメタルマスク版32を印刷定盤30上の基板シート10に向かって押圧しながら当該メタルマスク版32に沿って移動する際に、メタルマスク版32の縁部にフレームが形成されていない場合には、図13等における左右一対の保持部材34のうち右側の保持部材34が徐々に上昇するようになっていてもよい。このことにより、スキージ36に押圧されることによって基板シート10の表面に付着したメタルマスク版32を、強制的に基板シート10から版離れさせることができる。
【0033】
なお、上述のような導電性バンプ付き基板シートの製造方法において、印刷環境は、温度23±3℃、湿度50±5%となるように調整されている。
【0034】
その後、図16に示すように、印刷定盤30から導電性ペースト38付きの基板シート10を取り出し、導電性ペースト38付きの基板シート10の乾燥を例えば160〜200℃で行う。このことにより、基板シート10の表面に付着した導電性ペースト38が熱硬化して略円錐状の導電性バンプ12が形成されることとなる(図18参照)。
【0035】
本実施の形態の導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法においては、使用されるメタルマスク版32は例えばアルミニウム、ステンレス、ニッケル等の金属から形成されている。メタルマスク版32の厚さは例えば0.1〜0.2mmとなっている。また、本実施の形態で用いられるメタルマスク版32の構成は例えば図1に示すようなものとなっている。
【0036】
図1に示すように、メタルマスク版32の各貫通穴32bにおける基板シート10側(図1における下側)の開口の近傍には突出部26が形成されている。突出部26は例えば輪状となっており、貫通穴32bにおける基板シート10側の開口を囲むようになっている。また、このような突出部26は例えば樹脂等から形成されている。図1に示すようなメタルマスク版32を製造するにあたり、まず円板状の樹脂シートをメタルマスク版32における基板シート10側の表面に接着させ、ドリル20によりメタルマスク版32におけるスキージ36側(図1における上側)から貫通穴32bを形成した後、メタルマスク版32における基板シート10側の円板状の樹脂シートに対してエッチングを行うことにより輪状の突出部26を形成する。図1に示すようなメタルマスク版32によれば、メタルマスク版32における各貫通穴は、ドリル20により形成される貫通穴32bと、輪状の突出部26の内部空間26aとが組み合わせられたものとなり、このような貫通穴は、基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなる。より詳細には、貫通穴におけるスキージ36側の開口の直径rが0.15mmであるのに対し、輪状の突出部26の内部空間26aにおける、基板シート10側の開口の直径rを0.2〜0.25mm、好ましくは0.21mmとした。また、このような突出部26の厚みを0.03〜0.1mm程度とした。なお、メタルマスク版32における各貫通穴32bのピッチは0.3mmとなっている。
【0037】
また、図2に、本実施の形態で用いられるメタルマスク版32の他の構成が示されている。このようなメタルマスク版32の貫通穴32cも、基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなっている。図2に示すようなメタルマスク版32を製造するにあたり、メタルマスク版32には円板状の突出部32pが予め形成されている。そして、二段ドリル22によりメタルマスク版32における基板シート10側から貫通穴32cを形成する。二段ドリル22を用いることにより、形成される貫通穴32cにはその縦断面(図2に沿った面)において段差が形成されるようになる。すなわち、このような貫通穴32cにおいて、基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなる。
【0038】
また、図3に、本実施の形態で用いられるメタルマスク版32の更に他の構成が示されている。このようなメタルマスク版32の貫通穴32dも、基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなっている。図3に示すようなメタルマスク版32を製造するにあたり、まず、ドリル20またはエッチングによりメタルマスク版32におけるスキージ36側から貫通穴32dを形成した後、メタルマスク版32における基板シート10側からエッチングを行うことにより、貫通穴32dに湾曲部32eが形成される。このような湾曲部32eが形成されることにより、貫通穴32dにおいて、基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなる。
【0039】
また、図4に、本実施の形態で用いられるメタルマスク版32の更に他の構成が示されている。このようなメタルマスク版32の貫通穴32fも、基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなっている。図4に示すようなメタルマスク版32を製造するにあたり、メタルマスク版32には円板状の突出部32pが予め形成されている。そして、ドリル20によりメタルマスク版32におけるスキージ36側から貫通穴を形成した後、エンドミル(先端が平らなドリル)24によりメタルマスク版32における基板シート10側から前述の貫通穴の直径よりも大きな直径の貫通穴をメタルマスク版32の厚さ方向における途中部分まで形成する。このことにより、貫通穴32fにおいて、基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなる。
【0040】
以上のように図1乃至図4を用いて本実施の形態におけるメタルマスク版32の様々な構成を示したが、本実施の形態では上述したようなメタルマスク版32に限定されることはない。メタルマスク版32に形成される貫通穴において、基板シート10側の開口の直径がスキージ36側の開口の直径よりも大きいものであれば、図1乃至図4に示すもの以外の構成のメタルマスク版32を用いてもよい。
【0041】
ここで、メタルマスク版32の貫通穴について、その断面積がメタルマスク版32の厚さ方向に沿って均一になっているものと、基板シート10側の開口の直径がスキージ36側の開口の直径よりも大きいものとを図5を用いて比較する。図5(a)は、その断面積がメタルマスク版32の厚さ方向に沿って均一になっているような貫通穴32mを有するメタルマスク版32を示し、図5(b)は、基板シート10側の開口の直径がスキージ36側の開口の直径よりも大きい貫通穴32nを有するメタルマスク版32を示している。
【0042】
図5(a)に示すように、メタルマスク版32の貫通穴32mの断面積がメタルマスク版32の厚さ方向に沿って均一になっている場合、具体的には貫通穴32mが円柱形状となっている場合には、基板シート10とメタルマスク版32とが当接した後、メタルマスク版32が基板シート10から離間すると貫通穴32m内に導電性ペースト38の大部分が残存してしまい、基板シート10には一部の導電性ペースト38しか転移されない。なぜならば、メタルマスク版32が基板シート10から離間する際に導電性ペースト38の切れる位置が貫通穴32mの下端箇所(図5(a)における参照符号Aで示される位置)となるからである。
【0043】
これに対し、図5(b)に示すように、基板シート10側の開口の直径がスキージ36側の開口の直径よりも大きい貫通穴32nを用いた場合には、メタルマスク版32が基板シート10から離間する際に導電性ペースト38の切れる位置が貫通穴32nの下端箇所ではなく、この貫通穴32nの断面積が変化する箇所、すなわち図5における参照符号Bに示す位置となる。このため、この位置Bよりも下方にある導電性ペースト38は全て基板シート10に転移されるようになり、図5(a)の場合と比較して、メタルマスク版32が基板シート10から離間したときに当該基板シート10に転移される導電性ペースト38の量が多くなる。このように、メタルマスク版32の貫通穴32nについて、基板シート10側の開口の直径がスキージ36側の開口の直径よりも大きい場合には、メタルマスク版32が基板シート10から離間する際に導電性ペースト38の切れる位置を当該貫通穴32nにおける下端箇所ではなく中間箇所とすることができるので、基板シート10に転移される導電性ペースト38の量を増加させることができる。
【0044】
また、本実施の形態の導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法においては、スキージ36により基板シート10上に転移される導電性ペースト38は、少なくとも熱硬化樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等)、金属粉(例えば、銀、金、銅、半田等)、溶剤、体質顔料等を含んでいるが、金属粉の含有率は85重量%以上98重量%以下となっている。導電性ペースト38における金属粉の含有率が85重量%よりも小さい場合には、導電性ペースト38における熱硬化樹脂の含有率が大きくなることにより導電性ペースト38の粘着性が増す。この場合、メタルマスク版32に形成される貫通穴について図1乃至図4に示すように基板シート10側の開口の直径rがスキージ36側の開口の直径rよりも大きいときには、図1における参照符号28aで示す部分や図2における参照符号28bで示す部分、あるいは図3における湾曲部32eや図4における参照符号28cで示す部分に導電性ペースト38が残存してしまうおそれがある。このため、メタルマスク版32に、基板シート10側の開口の直径rがスキージ36側の開口の直径rよりも大きいような貫通穴が形成される場合には、導電性ペースト38における金属粉の含有率を85重量%以上として導電性ペースト38の粘着性を低下させることにより、貫通穴における段差部分(具体的には、図1、図2および図4における参照符号28a〜28cで示される部分や、図3における湾曲部32e)に導電性ペースト38が残存してしまうことを防止することができる。
【0045】
また、導電性ペースト38における金属粉の含有率が98重量%よりも大きい場合には、導電性ペースト38における熱硬化樹脂の含有率が非常に小さくなることにより導電性ペースト38の粘着性がほとんどなくなってしまうという問題がある。この場合には、メタルマスク版32上から基板シート10に導電性ペースト38を安定的に転移させることができない。
【0046】
次に、本実施の形態の導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法で用いられるスキージ36の具体的な構成について図6乃至図10を用いて説明する。
【0047】
図6に示すように、スキージ36aの先端部分は半円状となっていてもよい。また、図7および図8に示すように、スキージ36b、36cの先端部分は剣先形状となっていてもよい。この際に、図7に示すように、スキージ36bは左右対称であり、スキージ36bの先端部分は、当該スキージ36bの延びる方向に直交する仮想線(図7において二点鎖線で表示)に対して45°ずつ傾斜していてもよく、あるいは、図8に示すように、スキージ36cは左右対称ではなく、スキージ36cの先端部分は、当該スキージ36bの延びる方向に直交する仮想線(図8において二点鎖線で表示)に対して45°および60°で傾斜していてもよい。また、図9に示すように、スキージ36dの先端部分は平型であってもよい。
【0048】
図6乃至図8に示すように、先端に向かうに従って細くなるような、すなわち、先端に向かうに従ってその断面積が小さくなるようなスキージ36a、36b、36cを用いた場合には、図10に示すように、メタルマスク版32上の導電性ペースト38を基板シート10上に転移させる際にメタルマスク版32とスキージ36の先端部分との間で導電性ペースト38が圧縮されるようになる。すなわち、スキージ36がその先端に向かうに従って細くなることにより、スキージ36とメタルマスク版32との間の隙間もスキージ36の先端に向かうに従って細くなる。このことによりスキージ36の先端に向かうに従ってスキージ36とメタルマスク版32との間の導電性ペースト38に加えられる圧力も大きくなり、導電性ペースト38がより大きな力で圧縮されることにより、導電性ペースト38が貫通穴32aから下方に押し出される力も強くなる。このことにより、基板シート10に転移される導電性ペースト38の量を増加させることができる。
【0049】
とりわけ、導電性ペースト38における金属粉の含有率が85重量%以上である場合には、メタルマスク版32の貫通穴32aに導電性ペースト38の金属粉が詰まりやすくなるという問題があるが、その先端に向かうに従って細くなるようなスキージ36を用いた場合には、導電性ペースト38が貫通穴32aから下方に押し出される力も強くなるので、メタルマスク版32の貫通穴32aに導電性ペースト38の金属粉が詰まってしまうことを防止することができる。
【0050】
次に、図20および図21を用いて多層プリント配線板の製造方法について説明する。図20は、図19に示す導電性バンプ12付きの基板シート10とプリプレグ等の非導電性シート(絶縁性シート)40とを交互に重ね合わせたときの状態を示す側面図であり、図21は、図20に示す重ね合わせ体を挟圧することにより製造される多層プリント配線板50を示す側面図である。
【0051】
図20に示すように、まず、導電性バンプ12付きの基板シート10と非導電性シート40とを交互に重ね合わせる。ここで、非導電性シートの厚さは例えば60〜80μmとなっている。そして、この重ね合わせ体を一対のロールの間で非常に大きな圧力で挟圧する。あるいは、重ね合わせ体を印刷定盤の上に載せ、押圧ロール等によりこの重ね合わせ体を全面にわたって印刷定盤に向かって非常に大きな圧力で押圧してもよい。重ね合わせ体の挟圧を行う際に、図示しないヒータにより例えば100〜150℃で重ね合わせ体に対して加熱も行うようにする。
【0052】
このように、図20に示すような重ね合わせ体が上下方向から挟圧されるとともに加熱されることにより、非導電性シート40の裏面(図20の下側の面)がその下方に設けられた基板シート10の導電性バンプ12の先端部分に押圧され、この非導電性シート40における押圧された箇所が破断される。このことにより導電性バンプ12が非導電性シート40を貫通し、非導電性シート40の上方に設けられた他の基板シート10と導電性バンプ12とが連結されることとなる(図21参照)。このため、一の非導電性シート40の両側にある基板シート10同士が導電性バンプ12によって電気的に接続される。このようにして、多層プリント配線板50が製造される。
【0053】
以上のように本実施の形態の導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法によれば、図6乃至図8に示すように、スキージユニットのスキージ36(36a、36b、36c)は、その先端に向かうに従って細くなるような形状であり、スキージ36により基板シート10上に転移される導電性ペーストは、85重量%以上98重量%以下の金属粉を含んでいる。先端に向かうに従って細くなるような、すなわち、先端に向かうに従ってその断面積が小さくなるようなスキージ36を用いた場合には、図10に示すように、メタルマスク版32上の導電性ペースト38を基板シート10上に転移させる際にメタルマスク版32とスキージ36の先端部分との間で導電性ペースト38が圧縮されるようになる。すなわち、スキージ36がその先端に向かうに従って細くなることにより、スキージ36とメタルマスク版32との間の隙間もスキージ36の先端に向かうに従って細くなる。このことによりスキージ36の先端に向かうに従ってスキージ36とメタルマスク版32との間の導電性ペースト38に加えられる圧力も大きくなり、導電性ペースト38がより大きな力で圧縮されることにより、導電性ペースト38が貫通穴32aから下方に押し出される力も強くなる。このことにより、基板シート10に転移される導電性ペースト38の量を増加させることができる。このため、従来のような導電性ペースト38を多数回繰り返して平板状の基板シート10に塗工し所望の高さになるまで塗工層を累積させて導電性バンプ12を形成する方法と比較して、基板シート10の表面に導電性ペースト38を塗工する工程の回数を減少させることができ、このため導電性バンプ12付きの基板シート10の製造時間を短縮することができる。とりわけ、導電性ペースト38における金属粉の含有率が85重量%以上である場合には、メタルマスク版32の貫通穴32aに導電性ペースト38の金属粉が詰まりやすくなるという問題があるが、その先端に向かうに従って細くなるようなスキージ36を用いた場合には、導電性ペースト38が貫通穴32aから下方に押し出される力も強くなるので、メタルマスク版32の貫通穴32aに導電性ペースト38の金属粉が詰まってしまうことを防止することができる。
【0054】
また、本実施の形態の導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法においては、図1乃至図4に示すように、メタルマスク版32における各貫通穴について、印刷定盤30上の基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなっている。このため、図5(b)に示すように、メタルマスク版32が基板シート10から離間する際に貫通穴内にある導電性ペースト38の切れる位置を当該貫通穴における下端箇所ではなく中間箇所とすることができるので、メタルマスク版32の貫通穴の断面積が当該メタルマスク版32の厚さ方向に沿って均一になっている場合と比較して、基板シート10に転移される導電性ペースト38の量をより一層増加させることができる。また、メタルマスク版32に、基板シート10側の開口の直径rがスキージ36側の開口の直径rよりも大きいような貫通穴が形成される場合には、導電性ペースト38における金属粉の含有率を85重量%以上として粘着性を低下させることにより、貫通穴における段差部分(図1、図2および図4における参照符号28a〜28cで示される部分や、図3における湾曲部32e)に導電性ペースト38が残存してしまうことを防止することができる。
【0055】
また、本実施の形態の導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法においては、図6に示すように、スキージ36aの先端部分は半円状となっている。あるいは、図7および図8に示すように、スキージ36b、36cの先端部分は剣先形状となっていてもよい。
【実施例】
【0056】
次に、本発明による導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法の実施例について説明する。実施例において、図1に示すように、メタルマスク版32の各貫通穴32bにおける基板シート10側の開口の近傍に、樹脂から形成される突出部26を形成した。より詳細には、まず円板状の樹脂シートをメタルマスク版32における基板シート10側の表面に接着させ、ドリル20によりメタルマスク版32におけるスキージ36側(図1における上側)から貫通穴32bを形成した後、メタルマスク版32における基板シート10側の円板状の樹脂シートに対してエッチングを行うことにより輪状の突出部26を形成した。このようなメタルマスク版32によれば、メタルマスク版32における各貫通穴は、ドリル20により形成される貫通穴32bと、輪状の突出部26の内部空間26aとが組み合わせられたものとなり、このような貫通穴は、基板シート10側の開口の直径rが、スキージ36側の開口の直径rよりも大きくなる。より詳細には、貫通穴におけるスキージ36側の開口の直径rが0.15mmであるのに対し、輪状の突出部26の内部空間26aにおける、基板シート10側の開口の直径rを0.21mmとした。また、このような突出部26の厚みを0.05mm程度とした。なお、メタルマスク版32における各貫通穴32bのピッチは0.3mmとなっている。
【0057】
実施例において、スキージ36として、図6に示すような、先端部分が半円状となっているものを用いた。また、スキージ36の移動速度を30mm/秒に設定した。また、メタルマスク版32がスキージ36により印刷定盤30上の基板シート10に向かって押圧されていないときのメタルマスク版32と印刷定盤30上の基板シート10との間の隙間の大きさを2mmに設定した。
【0058】
また、導電性ペースト38として、銀粉を92重量%、エポキシ系熱硬化樹脂、エステル系溶剤とグリコール系溶剤を混合した溶剤、シリカ系体質顔料を計8重量%含むものを使用した。この導電性ペースト38の粘度は418[Pa・s](レオメータ測定(アントンパール社製MCR301)):剪断速度1[1/s])であった。
【0059】
上述のような各条件を満たす実施例において、1回のスクリーン印刷工程で180μmの高さの導電性バンプ12付きの基板シート10を得ることができた。多層プリント配線板50を製造する際に非導電性シート40を貫通させるためには導電性バンプ12の高さを185±45μmとする必要があるが、実施例によれば、1回のスクリーン印刷工程で所定の要件を満たす導電性バンプ12付きの基板シート10を得ることができることがわかった。
【0060】
次に、比較例について説明する。比較例では、図5(a)に示すような、その断面積がメタルマスク版32の厚さ方向に沿って均一になっているような貫通穴が形成されたメタルマスク版32を使用した。また、導電性ペースト38として、銀粉を78重量%、エポキシ系熱硬化樹脂、エステル系溶剤とグリコール系溶剤を混合した溶剤、シリカ系体質顔料を計22重量%含むものを使用した。
【0061】
比較例では、1回のスクリーン印刷工程で基板シート10に形成される導電性バンプ12の高さは45μmであった。前述のように、多層プリント配線板50を製造する際に非導電性シート40を貫通させるためには導電性バンプ12の高さを185±45μmとする必要があるため、比較例ではスクリーン印刷工程を複数回、具体的には例えば4回繰り返して行う必要がある。
【0062】
このように、上述のような実施例および比較例によれば、本発明による導電性バンプ付き基板シートの製造装置および製造方法を用いることにより、基板シート10に転移される導電性ペースト38の量を増加させることができることがわかった。
【符号の説明】
【0063】
10 基板シート
12 導電性バンプ
20 ドリル
22 二段ドリル
24 エンドミル
26 突出部
26a 内部空間
30 印刷定盤
30a ガイド部材
31 ガイド部材
32 メタルマスク版
32a、32b、32c、32d、32f、32m、32n 貫通穴
32e 湾曲部
32p 突出部
33 支持部材
34 保持部材
36、36a、36b、36c、36d スキージ
37 スキージ駆動部
38 導電性ペースト
39 撮像手段
40 非導電性シート
50 多層プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性バンプが表面に形成された導電性バンプ付き基板シートの製造装置であって、
平板状の基板シートが載置される印刷定盤と、
所定のパターンからなる複数の貫通穴が設けられたメタルマスク版と、
スキージと、前記スキージを移動させる駆動部とを有し、前記スキージにより前記メタルマスク版を前記印刷定盤上の前記基板シートに向かって押圧しながら当該スキージを前記メタルマスク版に沿って移動させることにより前記メタルマスク版上の導電性ペーストを前記貫通穴を介して前記基板シート上に転移させるスキージユニットと、
を備え、
前記スキージユニットの前記スキージは、その先端に向かうに従って細くなるような形状であり、
前記スキージにより前記基板シート上に転移される導電性ペーストは、85重量%以上98重量%以下の金属粉を含むことを特徴とする導電性バンプ付き基板シートの製造装置。
【請求項2】
前記メタルマスク版における前記各貫通穴について、前記印刷定盤上の前記基板シート側の開口の直径が、前記スキージ側の開口の直径よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の導電性バンプ付き基板シートの製造装置。
【請求項3】
前記スキージユニットの前記スキージの先端部分は半円状となっていることを特徴とする請求項1または2記載の導電性バンプ付き基板シートの製造装置。
【請求項4】
前記スキージユニットの前記スキージの先端部分は剣先形状となっていることを特徴とする請求項1または2記載の導電性バンプ付き基板シートの製造装置。
【請求項5】
複数の導電性バンプが表面に形成された導電性バンプ付き基板シートの製造方法であって、
印刷定盤に平板状の基板シートを載置する工程と、
前記基板シートが載置された前記印刷定盤を、所定のパターンからなる複数の貫通穴が設けられたメタルマスク版の下方の位置に移動させる工程と、
スキージユニットのスキージにより前記メタルマスク版を前記印刷定盤上の前記基板シートに向かって押圧しながら当該スキージを前記メタルマスク版に沿って移動させることにより前記メタルマスク版上の導電性ペーストを前記貫通穴を介して前記基板シート上に転移させる工程と、
を備え、
前記スキージユニットの前記スキージは、その先端に向かうに従って細くなるような形状であり、
前記スキージにより前記基板シート上に転移される導電性ペーストは、85重量%以上98重量%以下の金属粉を含むことを特徴とする導電性バンプ付き基板シートの製造方法。
【請求項6】
前記メタルマスク版における前記各貫通穴について、前記印刷定盤上の前記基板シート側の開口の直径が、前記スキージ側の開口の直径よりも大きくなっていることを特徴とする請求項5記載の導電性バンプ付き基板シートの製造方法。
【請求項7】
前記スキージユニットの前記スキージの先端部分は半円状となっていることを特徴とする請求項5または6記載の導電性バンプ付き基板シートの製造方法。
【請求項8】
前記スキージユニットの前記スキージの先端部分は剣先形状となっていることを特徴とする請求項5または6記載の導電性バンプ付き基板シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−8852(P2013−8852A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140736(P2011−140736)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】