説明

導電性ペースト及びプリント配線板、並びにその製造方法

【課題】層間の接続信頼性を向上させる導電性ペースト及びそれを用いたプリント配線板、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】プリプレグに設けられた貫通ビア又は有底ビアに導電性ペーストを充填し、加熱加圧によって層間接続する。導電性ペーストに含まれるバインダ樹脂として、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを用いる。これにより、導電性ペーストの導電金属材料が十分に拡散するため、層間の接続信頼性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電金属材料を含有する導電性ペースト及びそれを用いたプリント配線板、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリプレグと呼ばれるBステージ状態(半硬化状態)にある基板材料が提供されている。このBステージ状態の基板材料は、耐熱性が比較的低いものが多く、層間接続のために必要な温度で熱プレスを実施すると、基板材料特性が劣化してしまうことがある。このため、低温で層間接続を行うことができる導電性ペーストの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−59574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、低温で熱プレスを実施すると、導電性ペーストに低融点金属粉を用いているにも関わらず、導電性ペーストが導電体層に十分に金属拡散せず、層間の接続信頼性が低下してしまう。
【0005】
また、Bステージ状態の絶縁材料に密閉された導電性ペーストは、材料特性が劣化してしまう程度に高い温度で熱プレスされた場合であっても、金属拡散が十分に進まず、層間の接続信頼性が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて提案されたものであり、層間の接続信頼性を向上させる導電性ペースト及びそれを用いたプリント配線板、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、導電性ペーストのバインダ樹脂として、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有させた場合に、導電性ペーストの金属拡散が進み易くなり、接続信頼性が向上することを見出した。
【0008】
すなわち、本発明に係る導電性ペーストは、Bステージ状態の絶縁樹脂層に設けられた貫通ビア又は有底ビアに充填される導電性ペーストにおいて、バインダ樹脂と、導電金属材料とを含有し、バインダ樹脂は、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るプリント配線板は、Bステージ状態の絶縁樹脂層に設けられた貫通ビア又は有底ビアに導電性ペーストが充填され、加熱加圧によって層間接続されたプリント配線板において、導電性ペーストは、バインダ樹脂と、導電金属材料とを含有し、バインダ樹脂は、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、Bステージ状態の絶縁樹脂層に設けられた貫通ビア又は有底ビアに導電性ペーストを充填し、加熱加圧によって層間接続するプリント配線板の製造方法において、導電性ペーストは、バインダ樹脂と、導電金属材料とを含有し、バインダ樹脂は、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有するため、導電性ペーストの導電金属材料が拡散し易くなり、層間の接続信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】多層配線基板の構成例を示す概略断面図である。
【図2】ビアホール導体を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」と称する。)について、図面を参照しながら下記順序で詳細に説明する。
1.導電性ペースト
2.プリント配線板及びその製造方法
【0014】
<1.導電性ペースト>
本実施の形態における導電性ペーストは、バインダ樹脂と、導電金属材料とを含有し、プリプレグと呼ばれるBステージ状態(半硬化状態)の絶縁樹脂層に設けられた貫通ビア又は有底ビア(以下、ビアホールと呼ぶ。)に充填されるものである。
【0015】
ここで、バインダ樹脂として、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを用いる。これにより、導電性ペーストがプリプレグに密閉されていても、導電金属材料を十分に拡散させることができ、層間の接続信頼性を向上させることができる。また、これらのバインダ樹脂に導電金属材料を分散させることにより、低融点金属と高融点金属が合金化を起こし易くなり、接続信頼性が向上する。
【0016】
エポキシ化植物油は、植物油の不飽和二重結合を例えば過酸を用いてエポキシ化させた化合物である。エポキシ化植物油の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化コーン油、エポキシ化菜種油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化パーム油、エポキシ化綿実油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化ココアバターなどが挙げられる。このようなエポキシ化植物油の中でも、低粘度のエポキシ化大豆油が好適に用いられる。
【0017】
エステル化植物油は、植物油の不飽和脂肪酸とアルコールとをエステル結合させた化合物である。エステル化植物油の具体例としては、エステル化大豆油、エステル化亜麻仁油、エステル化ひまし油、エステル化コーン油、エステル化菜種油、エステル化サフラワー油、エステル化ひまわり油、エステル化パーム油、エステル化綿実油、エステル化オリーブ油、エステル化ココアバターなどが挙げられる。
【0018】
エポキシ化植物油及びエステル化植物油の原料である植物油は、少なくともオレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸のいずれかを含んでいることが好ましい。植物油の具体例としては、例えば大豆油(オレイン酸約20%、リノール酸約50%、パルチミン酸約10%)、亜麻仁油(α−リノレン酸約40%)、ひまし油(リシノール酸約87%、オレイン酸約7%、リノール酸約3%)、コーン油(リノール酸約55%、オレイン酸約30%、パルチミン酸約10%)、菜種油(オレイン酸約50%、リノール酸25−30%、α−リノレン酸6−9%)、サフラワー油(在来種:リノール酸73−82%、オレイン酸9−17%、ハイオレイック:リノール酸13−16%、オレイン酸74−79%)、ひまわり油(リノール酸約70%、オレイン酸15−20%)、パーム油(パルミチン酸約45%、オレイン酸が約40%、リノール酸が約10%)、綿実油(リノール酸50%、パルミチン酸20−30%)、オリーブ油(オレイン酸70−80%)、ココアバター(オレイン酸約95%)などが挙げられる。
【0019】
蝋(ワックス)は、高級脂肪酸と高級アルコールとをエステル結合させた化合物である。蝋の具体例としては、カルナバワックス、キャンデリラワックスなどの植物性ワックス、ラノリン(羊毛蝋)、ラードなどの動物性ワックス、合成木蝋(水添動植物油脂、酸化ワックス)などの合成ワックスなどが挙げられる。
【0020】
本実施の形態における導電性ペーストの導電金属材料は、低融点金属と高融点金属とを含み、高融点金属と低融点金属の合金化により導体を形成する。低融点金属としては、任意の低融点金属を使用することが可能であるが、Sn(錫)を含んでいることが望ましい。低融点金属としてSnを含むことにより、膨れの発生を抑制することができる。低融点金属は、Snのみを用いてもよいし、Snと他の低融点金属を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
また、Sn合金を用いることも可能である。Sn合金としては、各種はんだ合金を挙げることができ、例えばSnAgはんだ、SnCuはんだ、SnAgCuはんだ等を挙げることができる。これらはんだに、In(インジウム)、Bi(ビスマス)、Zn(亜鉛)等を添加したものも使用可能である。
【0022】
低融点金属であるSnの含有量は、導電金属材料全体の30質量%〜60質量%であることが好ましい。Snの含有量が30質量%未満であると、高融点金属との合金化による低融点化が不十分になり、高抵抗となるおそれがある。一方、Snの含有量が60質量%を越えると、相対的に高融点金属の割合が低下し、形成される導体自体の信頼性や、層間接続における接続信頼性が低下する虞がある。
【0023】
高融点金属としては、任意の高融点金属を用いることができ、例えばAg、Cu、Ni、Zn、さらにはこれらの合金等を使用することが可能である。中でも、AgやCuの使用が望ましく、これにより導電性に優れたビアホール導体の形成が可能である。
【0024】
高融点金属の含有量については、Snの含有量に応じて任意に設定することが可能である。例えば、高融点金属としてAgを用いた場合の含有量は、導電金属材料全体の60質量%以下であることが好ましい。Agの含有量が60質量%を越えると、合金化が充分に進まず、接続信頼性が低下する虞がある。
【0025】
これらの導電金属材料は、粒子状のもの(金属粒子)を用いるが、金属粒子としては、粒径が数μm〜数十μm程度のものを用いればよい。勿論、導電金属材料が金属粒子に限られるわけではなく、均等に混合可能であれば任意の形態のものを使用することが可能である。
【0026】
導電金属材料とバインダ樹脂の配合比は、重量比で85.0:15.0〜99.5:0.5とすることが望ましく、90.0:10.0〜99.0:1.0とすることがより望ましい。バインダ樹脂の比率が重量比で0.5%未満であると、例えばビアホール内部への導電性ペーストの充填状態が悪化し、ビアホール導体の抵抗値が上昇したり、歩留まりが悪化したりする虞がある。逆に、バインダ樹脂の比率が重量比で10.0%を越えると、相対的に導電金属材料の比率が減ることになり、導体形成に支障をきたす虞があるばかりでなく、ガス発生量が増えて膨れが発生する虞がある。
【0027】
前述した構成の導電性ペーストは、バインダ樹脂を有機溶剤に溶解させ、得られた溶液に導電金属材料の粒子を加えて混合して得られる。さらに、印刷充填に適した粘度に調整するために有機溶剤を適量加え、再度混合してもよい。また、バインダ樹脂として、蝋(ワックス)を用いる場合、熱溶融させながら導電金属材料の粒子を加えて混合してペースト化すればよい。
【0028】
有機溶剤は、沸点が高いことが望ましい。具体的には、例えば1000Pa〜5000Pa程度の真空下で印刷充填を行う場合、有機溶剤の沸点は200℃以上であることが望ましい。これにより、真空下で印刷充填を行う際、導電性ペースト中の有機溶剤の揮発を防止し、微小なビアホールに導電性ペーストを高密度に充填させることができる。
【0029】
また、有機溶剤は、バインダ樹脂を溶解し、印刷工程において導電性ペーストに適度な流動性を付与し得るものであれば任意のものを用いることが可能である。特に、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)は、沸点が216℃であり、バインダ樹脂に対して良好な溶解性を示すため、好適に用いられる。
【0030】
また、充填時の導電性ペーストは、微小なビアホールに高密度に充填させるために10〜50Pa・sの粘度であることが好ましい。
【0031】
このようにして得られた導電性ペーストは、Bステージ状態の絶絶縁樹脂層に設けられたビアホールに充填され、加熱によって高融点金属と低融点金属とが合金化し、合金化した半溶融金属混合物と溶融したバインダ樹脂とが相分離を起こすことによって、柱状の導体(ビアホール導体)を形成する。
【0032】
ここで、導電性ペーストのバインダ樹脂として、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを用いる。これにより、導電性ペーストがプリプレグに密閉されていても、導電金属材料を十分に拡散させることができ、層間の接続信頼性を向上させることができる。また、これらのバインダ樹脂に導電金属材料を分散させることにより、低融点金属と高融点金属が合金化を起こし易くなり、接続信頼性が向上する。
【0033】
<2.プリント配線板及びその製造方法>
次に、プリント配線板の構成、及び前述の導電性ペーストを用いたビアホール導体の形成方法について説明する。
【0034】
図1に示すように、プリント配線板は、表面導体パターン2が形成された複数の基材1を重ね、多層化したものである。基材1としては、いわゆるプリプレグと呼ばれるBステージ状態(半硬化状態)の複合材が用いられる。基材1の具体例としては、例えば、不織布の芳香族ポリアミド繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材を使用することができる。
【0035】
各層の基材1には、それぞれ表面導体パターン2が形成され、所定の回路を形成するとともに、各基材1に形成されたビアホール導体3によって表面導体パターン2間が層間接続されている。これにより、各基材1の表面導体パターン2間が電気的に接続され、高密度に回路配線が形成された多層配線基板が実現される。ここで、ビアホール導体3が、前述した導電性ペーストで形成されることにより、層間の接続信頼性を向上させることができる。
【0036】
続いて、プリント配線板の製造方法について説明する。図1に示す多層配線基板において、ビアホール導体3の形成には、先に説明した導電性ペーストを用いる。すなわち、導電金属材料として高融点金属及び低融点金属を含有し、バインダ樹脂としてエポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有する導電性ペーストを用いる。
【0037】
先ず、各基材1の所定の位置にビアホールを形成する。例えば、片面銅張り板の樹脂面にマスキングテープをラミネートし、マスキングテープが配置された面にレーザ照射し、少なくともマスキングテープ及びプリプレグが貫通するようにビアホールを形成する。
【0038】
ビアホールの形成の後、スミアを除去し、導電性ペーストをビアホール内に印刷充填する。導電性ペーストの印刷充填は、1000Pa〜5000Pa程度の真空下で行う。また、バインダ樹脂として蝋(ワックス)を用いた導電性ペーストの場合、導電性ペーストを熱溶融させてビアホール内に真空充填する。
【0039】
導電性ペーストの充填の後、マスキングテープを剥離し、導電性ペーストを露出させる。ビアホール部の上面に対して例えば180℃の真空下で加圧加熱を行い、基材1の積層及びビアホール導体の形成を行う。なお、基材1の積層は、1枚ずつ積層する逐次積層であってもよいし、複数の基材1を一括して積層する一括積層であってもよい。
【0040】
ビアホールに導電性ペーストを充填して加熱加圧を行うと、導電性ペーストに含まれる高融点金属と低融点金属が合金化し、合金化した半溶融金属混合物と溶融したバインダ樹脂とが相分離を起こすことによって、柱状の導体(ビアホール導体3)が形成される。
【0041】
図2は、ビアホール導体3の形成状態を示すものである。基材1に形成されたビアホール11内には導電性ペーストが充填されるが、充填された導電性ペーストは、バインダ樹脂相12と導電金属材料相13とに分離し、合金化した半溶融金属混合物が一体化することで形成された導電金属材料相13がビアホール導体3として機能する。
【0042】
本実施の形態において、ビアホール導体3が、前述の導電性ペーストを用いて形成されることにより、180℃程度の低いプレス温度でも導電性ペーストが導電体層に十分に金属拡散し、高い接続信頼性を得ることができる。また、熱プレス温度を低温とすることにより、基板の反りや破損を抑制するとともに製造のタクトタイムを短縮することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。この実施例では、各導電性ペーストの熱プレス後の層間接続について評価した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
[サンプル1]
バインダ樹脂及び導電金属粉を有機溶剤(トリグライム)に溶解させてサンプル1の導電性ペースト(サンプル1)を調製した。バインダ樹脂1にエポキシ化大豆油(花王株式会社製 カポックスS−6)を用い、導電金属粉の組成を、Sn・Bi(合金)半田:Ag:Cu=0.5:0.375:0.125(質量比)とした。また、導電金属粉とバインダ樹脂の総量のうち、バインダ樹脂の質量比を8wt%とした。
【0045】
[サンプル2]
バインダ樹脂2にエポキシアクリレート(昭和高分子株式会社製 SP1509)を用い、導電金属粉とバインダ樹脂の総量のうち、バインダ樹脂の質量比を4wt%とした以外は、サンプル1と同様にして導電性ペースト(サンプル2)を調製した。
【0046】
[サンプル3]
バインダ樹脂3にエポキシアクリレート(昭和高分子株式会社製 VR90)を用い、導電金属粉とバインダ樹脂の総量のうち、バインダ樹脂の質量比を4wt%とした以外は、サンプル1と同様にして導電性ペースト(サンプル3)を調製した。
【0047】
[サンプル4]
バインダ樹脂4にエポキシアクリレート(昭和高分子株式会社製 VR60)を用い、導電金属粉とバインダ樹脂の総量のうち、バインダ樹脂の質量比を4wt%とした以外は、サンプル1と同様にして導電性ペースト(サンプル4)を調製した。
【0048】
[サンプル5]
バインダ樹脂5にポリエステル(ユニチカ株式会社製 UE3200G)を用い、導電金属粉とバインダ樹脂の総量のうち、バインダ樹脂の質量比を4wt%とした以外は、サンプル1と同様にして導電性ペースト(サンプル5)を調製した。
【0049】
<接続信頼性評価>
サンプル1〜5を接続信頼性評価用プリプレグのTEG(Test Element Group)基板に充填し、180℃、210℃、250℃のそれぞれの温度で熱プレスを実施した。
【0050】
表1に各サンプルの熱プレス後のビアホール導体抵抗値の測定結果を示す。また、表1に各サンプルの充填時の粘度を併せて示す。粘度は、E型粘度計(25℃)で測定した。
【0051】
【表1】

【0052】
サンプル1は、有機溶剤(トリグライム)に溶解させた時の粘度が30.3Pa・sであった。このサンプル1を接続信頼性評価用プリプレグのTEG基板に充填し、180℃、210℃、250℃の温度でそれぞれ熱プレスを実施した結果、ビアホール導体抵抗値は、それぞれ16.7mΩ、11.6mΩ、5.0mΩであった。
【0053】
サンプル2は、有機溶剤(トリグライム)に溶解させた時の粘度が17.9Pa・sであった。このサンプル2を接続信頼性評価用プリプレグのTEG基板に充填し、180℃、210℃、250℃の温度でそれぞれ熱プレスを実施した結果、ビアホール導体抵抗値は、それぞれ105mΩ、72.4mΩ、12.2mΩであった。
【0054】
サンプル3は、有機溶剤(トリグライム)に溶解させた時の粘度が16.6Pa・sであった。このサンプル3を接続信頼性評価用プリプレグのTEG基板に充填し、180℃、210℃、250℃の温度でそれぞれ熱プレスを実施した結果、ビアホール導体抵抗値は、それぞれオープン(抵抗値=無限大)、11.4mΩ、11mΩであった。
【0055】
サンプル4は、有機溶剤(トリグライム)に溶解させた時の粘度が24.4Pa・sであった。このサンプル4を接続信頼性評価用プリプレグのTEG基板に充填し、180℃、210℃、250℃の温度でそれぞれ熱プレスを実施した結果、ビアホール導体抵抗値は、それぞれオープン(抵抗値=無限大)、オープン(抵抗値=無限大)、15.4mΩであった。
【0056】
サンプル5は、有機溶剤(トリグライム)に溶解させた時の粘度が24.2Pa・sであった。このサンプル5を接続信頼性評価用プリプレグのTEG基板に充填し、180℃、210℃、250℃の温度でそれぞれ熱プレスを実施した結果、ビアホール導体抵抗値は、全てオープン(抵抗値=無限大)であった。
【0057】
以上、表1に示す結果から分かるように、エポキシ化大豆油を用いたサンプル1は、180℃の低温プレスでも、低い抵抗値で層間導通させることができた。一方、サンプル2〜5は、低温プレス時の抵抗値が高くなってしまうため、プレス温度を上げなければならない。
【0058】
すなわち、バインダ樹脂として、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを用いることにより、低温プレスにおいても接続信頼性を大幅に向上させることができることが分かった。
【符号の説明】
【0059】
1 基材、 2 表面導体パターン、 3 ビアホール導体、 11 ビアホール、 12 バインダ樹脂層、 13 導電金属材料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bステージ状態の絶縁樹脂層に設けられた貫通ビア又は有底ビアに充填される導電性ペーストにおいて、
バインダ樹脂と、導電金属材料とを含有し、
前記バインダ樹脂は、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有する導電性ペースト。
【請求項2】
前記バインダ樹脂は、エポキシ化植物油であって、
前記エポキシ化植物油は、少なくともオレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸のいずれかを含む植物油をエポキシ化させた化合物である請求項1記載の導電性ペースト。
【請求項3】
前記バインダ樹脂は、エポキシ化植物油であって、
前記エポキシ化植物油は、エポキシ化大豆油又はエポキシ化亜麻仁油である請求項1記載の導電性ペースト。
【請求項4】
前記バインダ樹脂は、エステル化植物油であって、
前記エステル化植物油は、少なくともオレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸のいずれかを含む植物油をエステル化させた不飽和脂肪酸エステルである請求項1記載の導電性ペースト。
【請求項5】
前記バインダ樹脂は、蝋であって、
前記蝋は、植物性ワックス、動物性ワックス、合成ワックスのいずれかである請求項1記載の導電性ペースト。
【請求項6】
前記導電金属材料は、銅、銀、及び錫である請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペースト。
【請求項7】
Bステージ状態の絶縁樹脂層に設けられた貫通ビア又は有底ビアに導電性ペーストが充填され、加熱加圧によって層間接続されたプリント配線板において、
前記導電性ペーストは、バインダ樹脂と、導電金属材料とを含有し、
前記バインダ樹脂は、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有するプリント配線板。
【請求項8】
Bステージ状態の絶縁樹脂層に設けられた貫通ビア又は有底ビアに導電性ペーストを充填し、加熱加圧によって層間接続するプリント配線板の製造方法において、
前記導電性ペーストは、バインダ樹脂と、導電金属材料とを含有し、
前記バインダ樹脂は、エポキシ化植物油、エステル化植物油、蝋のいずれかを含有するプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−113730(P2011−113730A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267606(P2009−267606)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】