説明

導電性ボールの搭載方法および搭載装置

【課題】本発明は、マスクを使用して被配列体に導電性ボールを搭載するにあたり、マスクと被配列体との密着性を改善し余剰ボールが生じ難い導電性ボールの搭載方法および搭載装置を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明は、所定の配列パターンで被配列体に導電性ボールを搭載する搭載方法であって、マスクを被配列体に位置合わせをする位置合わせ工程と、マスクを流体で押圧する押圧工程と、所定の配列パターンで形成されたマスクの位置決め開口部に導電性ボールを挿入する挿入工程とを有する導電性ボールの搭載方法である。流体で押圧されるマスクの面が、密閉室を形成する内壁の一部を構成していれば、マスクを押圧する流体の圧力は、マスク平面方向においてほぼ均一にマスクに作用することになるので好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BGA(Ball Grid Array)タイプ又はFC(Flip Chip)タイプなどエリアアレイ型の接続バンプ構造を有する半導体部品又はウエハ、パッケージに導電性ボールを搭載する搭載方法および搭載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末機器やノート型パソコンの高速化と高機能化、及び軽量化、小型化と薄型化が進むにつれ、それらに内蔵される半導体部品や半導体部品を実装するウエハに対しては、その小型化、薄型化と接続端子数の増加という相反する性能が要求されている。その要求に応ずるものとして、BGAタイプ或いはFCタイプなどエリアアレイ型の接続バンプをパッド状の電極に形成した半導体部品、基板、ウエハまたはパッケージ(以下半導体部品、基板、ウエハおよびパッケージなどを総して電子部品と称する。)が採用されている。
【0003】
例えば半田や銅など導電材を用いて接続バンプを形成する方法としては、導電材を含んだペーストを電極に印刷するペースト方式、導電性を有するボール(導電性ボール)を電極に搭載する導電性ボール方式、導電材をメッキや蒸着する膜付け方式などがある。多端子化のため電極の配列は高密度化し、それに伴い接続バンプの大きさも小型化する傾向にある。小型の接続バンプを形成する場合には、接続バンプの配列精度や生産性の面で有利な導電性ボール方式が採用される場合が多い。
【0004】
導電性ボール方式によれば、前記接続バンプは、少なくとも、電極上に薄くフラックス等を塗布する工程と、フラックス等が塗布された電極に導電性ボールを搭載する搭載工程と、その導電性ボールを加熱して接続バンプを形成するバンプ形成工程を経て製造される。
【0005】
導電性ボールを電極に搭載する方法として、負圧を利用した吸着ヘッドで半田(導電性)ボールを吸着、電極へ移送して搭載する吸着方式が周知である。ここで、吸着方式では、吸着ヘッドの吸着力で導電性ボールが変形するという問題があるだけでなく、吸着力を解除しても吸着ヘッドから導電性ボールが分離されず搭載不良が生じるという問題があった。さらに、吸着時に空気中を移動した導電性ボールが帯電して、静電気で凝集した導電性ボールの集合体が電極に搭載されたり、或いは余剰の導電性ボール(いわゆる余剰ボール)が電極以外の電子部品の表面に付着し短絡の原因となるという問題があった。この問題は、特に導電性ボールの径小化に伴い顕著となってきている。
【0006】
そこで吸着方式の問題を解決する方法として、特許文献1、2で例示されるように、電極の配列パターンに対応した位置決め開口部が形成された平板状のマスクを用い、導電性ボールをマスク上に供給し、導電性ボールを移動させて位置決め開口部に挿入し、位置決め開口部を通して電極に搭載する、いわゆる振込方式がある。
【特許文献1】特開2002−171054号公報(段落番号0034〜0036)
【特許文献2】特開平9−162533号公報(段落番号0042)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1、2に例示される振込方式では、導電性ボールの搭載は重力の作用で行われるので、導電性ボールの変形や搭載不良を防止できる。また、導電性ボールが帯電した場合でも、位置決め開口部の大きさの規制により凝集した導電性ボールは電極に搭載されず、加えて電極以外の電子部品の表面はマスクで遮蔽されているので余剰ボールが電極以外の部分に付着する恐れが少ない。しかし、最近ではバンプの数は膨大となってその配列は更に高密度化され、導電性ボールも100μm以下というような小径のものも使用されるようになってきたため、新たに次のような問題がでてきた。
【0008】
図7は、従来の振込方式で、被配列体であるウエハ8に導電性ボールを搭載している状態を示す模式図である。従来の振込方式の導電性ボール搭載装置では、導電性ボールBの直径に対応した厚みのマスク93をウエハ8に位置合わせし、所定のパターンでマスク93に形成された位置決め開口部931に導電性ボールBを挿入することにより、当該位置決め開口部931を通して導電性ボールBをウエハ8に搭載していた。そして、導電性ボールBの直径が100μm程度と小さい場合には、それに対応してマスク93の厚みも100μm前後となる。そのようなマスク93は剛性が低いため反りなどの変形が生じやすく、そのようなマスク93とウエハ8を合わせた場合にはそれらの間に隙間ができ、図7に示すように、振り込まれた導電性ボールBがその隙間に入り込んで余剰ボールB1が生じる場合や複数の導電性ボールB2が同一の電極に搭載される場合があった。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題を鑑みてなされたものであり、マスクを使用して被配列体に導電性ボールを搭載するにあたり、マスクと被配列体との密着性を改善し余剰ボールが生じ難い導電性ボールの搭載方法および搭載装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、所定の配列パターンで被配列体に導電性ボールを搭載する搭載方法であって、マスクを被配列体に位置合わせをする位置合わせ工程と、マスクを流体で押圧する押圧工程と、所定の配列パターンで形成されたマスクの位置決め開口部に導電性ボールを挿入する挿入工程とを有する導電性ボールの搭載方法である。かかる態様の搭載方法によれば、位置合わせ工程にて被配列体に位置合わせされたマスクは、押圧工程において流体で押圧されることにより被配列体に密着する。そして、マスクの位置決め開口部に導電性ボールを挿入することで、当該位置決め開口部を通じて導電性ボールは被配列体に所定のパターンで搭載される。
【0011】
なお、上記搭載方法において、流体で押圧されるマスクの面が、密閉室を形成する内壁の一部を構成していれば、マスクを押圧する流体の圧力は、マスク平面方向においてほぼ均一にマスクに作用することになるので好ましい。
【0012】
さらに、前記挿入工程において、導電性ボールを流体で押圧する構成とすれば、導電性ボールが位置決め開口部に円滑に挿入されるので好ましい。
【0013】
さらに加えて、前記流体を不活性ガスとすれば、搭載工程における導電性ボールの表面酸化を抑制でき、その後のリフロー工程が円滑に行うことができるので好ましい。
【0014】
さらにさらに加えて、前記挿入工程において、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された2本以上の線状部材を備えた振込手段を、該線状部材の軸芯とマスクの上面とが略平行な状態で、当該マスクの上面に対し相対的に水平移動し、位置決め開口部にボールを挿入する構成とすることが好ましい。かかる構成によれば、振込手段が水平移動することにより導電性ボールは線状部材に捕捉され移動し、その後位置決め開口部に挿入される。その一方で、線状部材は、マスクの上面に対しその軸芯が平行な姿勢を保ちつつ水平移動する。したがって、該線状部材は位置決め開口部に入り込み難く、位置決め開口部に挿入され一旦被配列体に載置された導電性ボールは該線状部材で掻き出されることが少なく、導電性ボールの欠落を抑制することができる。
【0015】
本発明の一態様は、所定の配列パターンで被配列体に導電性ボールを搭載する搭載装置であって、前記配列パターンに対応し前記導電性ボールが挿通可能な位置決め開口部を備えたマスクと、前記被配列体に位置合わせされた前記マスクの上面に対し流体を供給可能な流体供給手段とを有する導電性ボールの搭載装置である。かかる態様の搭載装置によれば、被配列体に対し所定の位置関係となるようにマスクを位置合わせし、流体供給手段により当該位置合わせされたマスクの上面に対し流体を供給する。すると、当該流体から作用する圧力によりマスクは押圧されて被配列体に密着する。そして、マスクの位置決め開口部に導電性ボールを挿入することで、当該位置決め開口部を通じて導電性ボールは被配列体に所定のパターンで搭載される。
【0016】
ここで、前記流体供給手段は、前記マスクの上面へ向けて流体を噴射する噴射部と、前記噴射部に供給する流体の流量及び/又は圧力を制御する供給制御部とを備え、前記噴射部は、前記マスクの上面に対し水平方向に所定間隔で複数個設けられている構成とすることが好ましい。かかる構成の搭載装置によれば、マスクの上面へ向けて流体を噴射する噴射部が、マスクの上面に対し水平方向に所定間隔で複数個設けられているので、当該複数個の噴射部から噴射される流体はマスクの上面をマスク平面方向において均一に押圧することになり、被配列体へのマスクの密着性を向上することができる。
【0017】
さらに、前記被配列体に位置決めされた状態の前記マスクの上面とともに密閉室を形成する底部開口した筐体状の収納手段を有し、前記収納手段には、前記密閉室に流体を噴射可能に前記噴射部が設けられている構成とすれば、更にマスク平面方向におけるマスクの密着性を向上することが出来るので好ましい。
【0018】
さらに加えて、前記被配列体が載置されるとともに前記マスクの外縁部が密着する密着面を有する載置手段を有し、前記収納手段の底部開口は前記載置手段の密着面と当接するとともに前記マスクを収納可能な構成とすることにより、被配列体とマスクとの密着性が改善された比較的簡単な構造の搭載装置を構成することができる。
【0019】
さらにさらに加えて、上記搭載装置において、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された2本以上の線状部材を備え、該線状部材の軸芯と前記マスクの上面とが略平行な状態で水平移動可能な振込手段を有する構成とすれば好ましい。かかる構成によれば、振込手段が水平移動することにより導電性ボールは線状部材に捕捉され移動し、その後位置決め開口部に挿入される。その一方で、線状部材は、マスクの上面に対しその軸芯が平行な姿勢を保ちつつ水平移動する。したがって、該線状部材は位置決め開口部に入り込み難く、位置決め開口部に挿入され一旦被配列体に載置された導電性ボールは該線状部材で掻き出されることが少なく、導電性ボールの欠落を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記構成としたので、マスクと被配列体との密着性が改善され、余剰ボールが生じたり、同一電極に複数の導電性ボールが搭載されることが生じ難い導電性ボールの搭載方法および搭載装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明について、その実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施形態の説明においては導電性ボールとして半田ボールを対象としているが、例えば、Sn又はCu、Au、Ag、W、Ni、Mo、Alなど金属を主体とした導電性ボールは本発明に含まれる。同様に、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、酢酸セルロース、ポリエステル系などの樹脂を主体としたボールの表面に半田などの導電性金属をコーティングした導電性ボールは本発明に含まれる。さらに、被配列体としてウエハを対象としているが、例えば、半導体素子(チップ)、基板、ウエハ又はパッケージ、その他電子部品など接続バンプとして導電性ボールが採用される電子部品は本発明の被配列体に含まれる。また、電子部品に接続バンプを形成するための部材、例えば導電性ボールを電子部品に搭載するため該導電性ボールが配置される部材も本発明で言う被配列体に含まれる。
【0022】
本発明の第1態様について図1〜4を参照し説明する。図1は第1態様の搭載装置の概略構成を示す断面図、図2は図1の搭載装置の斜視図、図3は図1の搭載装置の動作を説明するための図、図4は図1の搭載装置の部分拡大断面図である。
【0023】
第1態様の搭載装置10で半田ボールBを搭載する対象となるウエハ8は、図1及び図2に示すように、複数の半導体素子(チップ)がSiなどの基板に形成されてなる略円形状の本体部81と、前記本体部81の一面に個々の半導体素子に対応し所定の配列パターンで形成された電極82とを有するものである。なお、ウエハ8には、信号が送信される外部導体や内部導体および半導体素子を保護するための保護膜等が形成されているが、図1及び図2では省略している。
【0024】
上記ウエハ8の電極82に半田ボールBを搭載する第1態様の搭載装置10は、図1、2に示すように、ウエハ8の電極82の配列パターンに対応し形成された位置決め開口部131及び非開口部132を備えたマスク13、ウエハ8が載置されるテーブル(載置手段)12、マスク13の上面に供給された半田ボールBを位置決め開口部131に挿入するための振込手段14、マスク13の上面とともに密閉室16を形成する収納手段11、マスク13の上面に流体である窒素ガスを供給する流体供給手段15とで構成されている。以下、実施態様1の搭載装置の各構成要素について詳細に説明する。
【0025】
[テーブル]
テーブル12には、ウエハ8を水平な姿勢で装着する装着凹部121と装着凹部121の側壁とテーブル12の外壁とに通じる流体流通溝122が形成されている。装着凹部121はウエハ8よりもやや大きな直径で形成されており、電極81の面を上方にして載置されたウエハ8が水平方向に移動しないように構成されている。なお、テーブル12に真空吸着機構を設けたり、装着凹部121の底面に粘着部材等を配設することにより、装着凹部121に載置されたウエハ8を固定するようにすれば好ましい。
【0026】
テーブル12に形成された流体流通溝122は、図1に示すように、後述する収納手段11の内壁とマスク13の上面とで形成される密閉室16において、流体供給手段15から密閉室16に供給され、マスク13の位置決め開口部131を通過した窒素ガスを外部へ放出する通路として機能する開口部161となるものである。そして、本態様の流体流通溝122は、窒素ガスがより円滑に外部へ放出されるように、マスク13とウエハ8とのギャップGに近接した位置であるテーブル12の上面側であって、各辺の外縁中央部ごとに計4箇所設けられている。なお、上記したように開口部161は窒素ガスを放出する通路として機能するものであるので、例えばテーブル12の側面に開口した貫通孔として構成してもよいし、収納手段11の側壁に設けた貫通孔として構成してもよい。
【0027】
[マスク]
マスク13は、金属、樹脂又はセラミックスを主体とする平板状の基体に位置決め開口部131が形成されたものであり、その平面視の大きさはウエハ8より大きく、微小な半田ボールBの直径とほぼ等しい厚さを有している。そのように薄く面積の広いマスク13はそのままでは変形しやすいので、弾性を有する布(紗という。)などで平面方向に張力を加えた状態で不図示のフレームなどに固定されている。マスク13の位置決め開口部131は、具体的には貫通孔であり、半田ボールBが挿通可能なように略円柱状に形成されている。この位置決め開口部131の形状は特に図示に限定されることなく、その半径方向の断面形状は、略円形状や略矩形状、略三角形状、略長孔状、略瓢箪状或いはそれらの組み合わせなど適宜選択することができ、さらに軸心方向の断面形状も、長方形状又は台形状、上下に台形が組み合わされた鼓形状或いはそれらの組み合わせなど適宜選択することができる。
【0028】
マスク13の非開口部132においてウエハ8と相対する面には、図1に示すように突起状部133が設けられている。この突起状部133は、ウエハ8の電極82にマスク13の位置決め開口部131が一致するように位置合わせされたときに、電極82に接触しない位置、すなわち電極82の間に位置するように設けられている。したがって、マスク13がウエハ8と位置合わせされたとき、本体部81の上面に突起状部133が当接してマスク13とウエハ8の間には一定の間隙Gが形成される。なお、突起状部133の高さは、位置決め開口部131に挿入された半田ボールBが位置ずれしないように半田ボールBの直径以下とする。
【0029】
また、マスク13は、その外縁部133の底面が、テーブル12の装着凹部121の外周に設けられた密着面123に密着するよう、ウエハ8に対し位置合わせ可能に構成されている。
【0030】
なお、マスク13とウエハ8の位置合わせ機構は特に限定されず、マスク13又はウエハ8のいずれかを人手により又は機械的に移動可能なように構成することができる。このことにより、半田ボールBを位置決め開口部131に挿入する前に、マスク13の位置決め開口部131とウエハ8の電極82との位置が一致する状態にすることができる。
【0031】
[収納手段]
収納手段11は、図1、2に示すように、ウエハ8に対して位置合わせされたマスク13とを収納可能な内部空間を有する側壁111と天板112とからなる底面開口の筐体状の部材である。収納手段11は、ウエハ8及びマスク13を設置する場合にはテーブル12から取り外された状態となっており、ウエハ8及びマスク13を設置した後に図示しない移動手段により移動され、マスク13を収納する状態で収納手段11の側壁111の底面がテーブル12の密着面123に密着するようにテーブル12の上に設置される。このようにテーブル12の上に収納手段11が設置されることにより、マスク13の上面と収納手段11の内面による内壁で構成された密閉室16が形成される。
【0032】
[流体供給手段]
流体供給手段15は、上記収納手段11の天板112に設けられた噴射部153と、配管152を介して当該噴射部153に接続された供給制御部151とから構成されている。噴射部153は、ウエハ8に位置合わせされたマスク13の上面に対して窒素ガスを吹付けるノズル状の部材であって、マスク13の平面方向においてマスク13の全体に対し一様に窒素ガスを吹付け可能なように所定間隔で複数個設けられている。また、供給制御部151は、噴射部153から噴射される窒素ガスの流量及び圧力を制御し、マスク13に供給される窒素ガスの供給条件、例えばマスク13の上面に供給された半田ボールBが散逸しない程度の供給条件となるよう適宜制御する。なお、流体供給手段15からマスク15に吹付ける流体は特に限定されないが、搭載工程中における半田ボールBの表面酸化防止の観点から不活性ガスである窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することが望ましい。
【0033】
[振込手段]
振込手段14は、ウエハ8に位置合わせされたマスク13の上面に対し平行に配設された複数のワイヤー(線状部材)141の束と、その複数のワイヤー141を支持する一対の支持部142とで構成されている。そして、本態様の振込手段14は、移動手段であるリニアモータ17のスライダー171にその支持部142が固定されており、ワイヤー141がマスク13の上面に当接しつつマスク11の上面に対し略水平方向に移動する構成となっている。なお、半田ボールBに直接当接するワイヤー141は、半田ボールBが帯電しないように導電性のあるもので構成することが望ましい。
【0034】
かかる構成の振込手段14によれば、マスク13の上面に供給された半田ボールBは、振込手段14で掃引されつつ移動され位置決め開口部131に挿入される。位置決め開口部131に挿入されなかった余剰の半田ボールBは、位置決め開口部131の形成領域外へ掃き出されて回収される。なお、振込手段14としては、供給された半田ボールBを転動させるよう、マスク13とともにテーブル12を傾動する構成を採用することもできる。また、マスク13の上面に供給された半田ボールBを位置決め開口部131まで掃引し挿入する部材として、上記ワイヤー141に代えて、例えばブラシ、ゴム板または樹脂板などを用いたスクレーパー、若しくはマスク13の上面に対して鉛直方向にワイヤーを配したブラシ等を使用することもできる。
【0035】
[搭載装置1の動作]
上記搭載装置10の動作について、図3、4を参照しつつ説明する。まず、図3(a)に示すように、半田ボールBを搭載する電極82の側の面が上方を向き露出した状態となるようにウエハ8をテーブル12の装着凹部121に載置する。次いで、位置決め開口部131が電極82に対して一致するようにマスク13をウエハ8に位置合わせをする。このとき、マスク13の突起状部133がウエハ8の上面とほぼ全面的に接触し、かつ、マスク13の外縁部133の底面がテーブル12の密着面123に密着するように、マスク13をウエハ8に重ね合わせるが、図4(a)に示すように、マスク13の変形やウエハ8の歪により部分的には突起状部133とウエハ8が接触しない箇所も存在する。
【0036】
図3(b)に示すように、位置決め開口部131の個数以上の半田ボールBをマスク13の上面に供給するとともに、ワイヤー141が、供給された半田ボールBの後方であってマスク13の上面に接する位置となるように振込手段14をセットする。
【0037】
図3(c)に示すように、ウエハ8に位置合わせされたマスク13を収納するように収納手段11をテーブル12の上に設置する。この結果、マスク13の上面は、マスク13と収納手段11で形成された密閉室16の中に配置されていることとなる。
【0038】
次いで、図3(d)に示すように、流体供給手段15の供給制御部151で流量及び圧力等の供給条件が適宜制御された窒素ガスを噴射部153から密閉室16の中に噴射する。すると、密閉室16の中に噴射された窒素ガスは、マスク13の上面に一様に供給される。すると、図4(a)に示すように、窒素ガスの圧力がマスク13の非開口部132の上面に一様に作用し、マスク13を下方に向けて押圧する。その結果、図4(b)に示すように、マスク13の突起状部133は、ウエハ8の本体部81の上面であって電極82の間に全体的に密着する。一方で、マスク13に供給された窒素ガスは、マスク13の位置決め開口部131及びマスク13とウエハ8の間に形成された間隙Gを流通し、密閉室16の開口部161を通じて外部へ放出される。
【0039】
そして、図3(d)に示すように、マスク13の上面にワイヤー141を当接させながら振込手段14を水平移動することにより半田ボールBを掃引し、半田ボールBを位置決め開口部131へ挿入する。このとき、マスク13とウエハ8との間には位置決め開口部131に挿入された半田ボールBが移動可能な隙間がないので、マスク13とウエハ8との間に半田ボールBが入り込み、余剰ボールが生じることはない。
【0040】
また、窒素ガスは位置決め開口部131を下方に向かい流通している。そのため、振込手段14で位置決め開口部131に挿入された半田ボールBは、当該窒素ガスの圧力により押圧されつつ当該位置決め開口部131の中を落下して電極82に搭載される。これは、位置決め開口部131に挿入された半田ボールBが位置決め開口部131の内壁に引っ掛かったとき、重力のみで落下させる場合には引っ掛かりが解消されず、その半田ボールBは電極82に搭載されないのに対し、位置決め開口部131を窒素ガスが流通している場合には引っ掛かりが強制的に解除されて電極82に搭載される点で有効である。
【0041】
本発明の第2実施態様について図5を参照し説明する。図5は、第2態様の搭載装置20の概略構成を示す断面図であり、上記搭載装置10と同様な構成要素については同一符号を付している(以下の第3態様の搭載装置についても同じ)。また、第2態様の搭載装置20の動作は基本的に上記搭載装置10と同様であるので説明を省略する(以下の第3態様の搭載装置についても同じ)。
【0042】
搭載装置20が上記搭載装置10と相異する点は、マスク23の底面に突起状部が設けられていない点、及びウエハ8を装着する装着凹部221の深さ、すなわちテーブル22の上面から装着凹部221の底面までの距離がウエハ8の厚みより大きく形成されている点にある。そして、本態様の搭載装置20においては、テーブル22の上面にマスク23が載置され、マスク22とウエハ8の間に間隙Gが形成されるという構成となっている。この構成は、半田ボールBの大きさが比較的大きく使用するマスク23を厚くすることが可能で、窒素ガスの圧力に対し鉛直方向におけるマスク23の歪が少ない場合に有効である。
【0043】
本発明の第3態様について図6を参照し説明する。図6は、第3態様の搭載装置30の概略構成を示す断面図である。
【0044】
搭載装置30が上記搭載装置10と相異する点は、ウエハ及びマスクを収納する密閉室を有しない点にある。すなわち、本態様の搭載装置30では、テーブル12に載置されたウエハ8及びウエハ8に位置合わせされたマスク13は開放された空間に存するとともに、噴射部353は図示しない支持手段により支持され前記マスク13の上面へ窒素ガスを直接供給する構成となっている。かかる構成の搭載装置30によれば装置構成を単純にでき、特に供給される窒素ガスにより散乱し難い程度に半田ボールBが大きい場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る第1態様の搭載装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の搭載装置の斜視図である。
【図3】図1の搭載装置の動作を説明する図である。
【図4】図1の搭載装置の部分拡大断面図である。
【図5】本発明に係る第2態様の搭載装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】本発明に係る第3態様の搭載装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】従来の振込方式の搭載装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0046】
10(20、30) 搭載装置
11 収納手段
12 載置手段(テーブル)
13 マスク
14 振込手段
15(35) 流体供給手段
16 密閉室
17 移動手段
8 被配列体(ウエハ)
B 半田ボール
G 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配列パターンで被配列体に導電性ボールを搭載する搭載方法であって、マスクを被配列体に位置合わせをする位置合わせ工程と、マスクを流体で押圧する押圧工程と、所定の配列パターンで形成されたマスクの位置決め開口部に導電性ボールを挿入する挿入工程と、を有する導電性ボールの搭載方法。
【請求項2】
流体で押圧されるマスクの面が、密閉室を形成する内壁の一部を構成している請求項1に記載の導電性ボールの搭載方法。
【請求項3】
前記挿入工程において、導電性ボールを流体で押圧する請求項1又は2のいずれかに記載の導電性ボールの搭載方法。
【請求項4】
前記流体は不活性ガスである請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性ボールの搭載方法。
【請求項5】
前記挿入工程において、軸芯をほぼ揃えた状態で配設された2本以上の線状部材を備えた振込手段を、該線状部材の軸芯とマスクの上面とが略平行な状態で、当該マスクの上面に対し相対的に水平移動し、位置決め開口部にボールを挿入する請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性ボールの搭載方法。
【請求項6】
所定の配列パターンで被配列体に導電性ボールを搭載する搭載装置であって、前記配列パターンに対応し前記導電性ボールが挿通可能な位置決め開口部を備えたマスクと、前記被配列体に位置合わせされた前記マスクの上面に対し流体を供給可能な流体供給手段とを有する導電性ボールの搭載装置。
【請求項7】
前記流体供給手段は、前記マスクの上面へ向けて流体を噴射する噴射部と、前記噴射部に供給する流体の流量及び/又は圧力を制御する供給制御部とを備え、前記噴射部は、前記マスクの上面に対し水平方向に所定間隔で複数個設けられている請求項6に記載の導電性ボールの搭載装置。
【請求項8】
前記被配列体に位置決めされた状態の前記マスクの上面とともに密閉室を形成する底部開口した筐体状の収納手段を有し、前記収納手段には、前記密閉室に流体を噴射可能に前記噴射部が設けられている請求項7に記載の導電性ボールの搭載装置。
【請求項9】
前記被配列体が載置されるとともに前記マスクの外縁部が密着する密着面を有する載置手段を有し、前記収納手段の底部開口は前記載置手段の密着面と当接するとともに前記マスクを収納可能なように構成されている、請求項8に記載の導電性ボールの搭載装置。
【請求項10】
軸芯をほぼ揃えた状態で配設された2本以上の線状部材を備え、該線状部材の軸芯と前記マスクの上面とが略平行な状態で水平移動可能な振込手段を有する請求項6乃至9のいずれかに記載の導電性ボールの搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−91633(P2008−91633A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271018(P2006−271018)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】