説明

導電性ポリマーフォーム、その製造方法および使用

ポリマーフォーム層が開示されているが、それには、ポリマーフォームとそのポリマーフォームの中に分散された複数の導電性粒子とが含まれ、ポリマーフォーム層は、アブレーションされていない第一の表面および反対側の第二の表面を有しているが、ここで、その導電性粒子がポリマーフォーム層中に実質的に連続して拡がっていて、その導電性粒子の一部が、層の第一の表面で露出されており、その導電性粒子の他の一部が第二の表面で露出されている。このフォームは、電磁遮蔽のためのガスケット、電気接地パッド、バッテリー接点導電性スプリング要素などとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書の開示は、導電性ポリマー、およびその製造方法、さらにはそれらのポリマーを含む物品に関する。
【技術分野】
【0002】
導電性ポリマーフォームは、電気接点デバイスとして、センサーにおいて、および電磁干渉(EMI)/無線干渉(RFI)遮蔽および/または静電気放散を必要とする用途においてなどを含め、広く各種の用途において有用である。現在使用されているEMI/RFI遮蔽が可能な材料としては、たとえば、ベリリウム−銅フィンガーストック(finger stock)、非導電性フォームガスケットの周りを包み込む金属フォイルまたは金属化処理繊維、導電性物質を用いて被覆した非導電性ガスケット、およびシリコーン樹脂の中に担持させた金属含有充填剤などが挙げられる。たとえば、ある種のポリウレタンおよびポリオレフィンのような、その他の導電性フォームもまた公知である。現在利用可能な方法および材料に伴う一つの欠点は、充分に高い導電性を達成させようとして、高いレベルで導電性充填剤(1種または複数)を添加すると、そのポリマーの圧縮性および加工性に悪影響を与えるということである。さらに、そのように高いレベルで充填剤を使用すると、ポリマーブレンド物のコストが増大する。ユーザーは多くの場合、コストと材料品質の間で妥協を余儀なくされる。
【0003】
添加する充填剤の量を最小限とし、しかも適切な導電性が維持できるようなポリマーフォームが得られれば、有利となるであろう。特定な用途で望まれているフォームの圧縮性、加工性、およびその他の物理的性質に対して顕著に不利な影響が出なければ、さらに有利となるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/016834号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/226696号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/311378号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当業界においては、特に、特定の用途で望まれている一つまたは複数の物理的性質に顕著な悪影響を与えることなく、ポリマーフォームが適切な導電性、圧縮性、および加工性を備えることが可能となるような、組成物および方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されているのは、ポリマーフォームを含む層であって、そのポリマーフォーム層が、アブレーションされていない(unabraded)第一の表面および反対側の第二の表面と、そのポリマーフォーム層の中に分散された複数の導電性粒子とを含むが、ここでその導電性粒子が実質的にそのポリマーフォーム層中に連続的に拡がっており、そしてその導電性粒子の一部が、その層の第一の表面で露出しており、その導電性粒子の他の部分がその第二の表面で露出している。さらなる実施形態においては、その導電性粒子が、その第二の表面から露出、突出しているか、またはそれら第一の表面と第二の表面の両方から露出、突出している。
【0007】
さらに開示されているのは、ポリマーフォームを含む層であって、そのポリマーフォーム層が、アブレーションされていない第一の表面および反対側の第二の表面と、第一の末端および第二の末端を有する相互に単離されたカラムの中に配列された複数の導電性粒子とを含むが、ここでその導電性粒子が実質的にそのポリマーフォーム層中に連続的に拡がっており、そしてそのカラムの第一の末端が、その層の第一の表面で露出しており、そのカラムの第二の末端が、反対側の第二の表面で露出している。さらなる実施形態においては、そのカラムの一つまたは複数の末端が、その第一の表面から露出、突出しているか、またはそれら第一の表面と第二の表面の両方から露出、突出している。
【0008】
そのポリマーフォームを製造する方法もまた記載されている。
【0009】
本発明の、上述およびその他の特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明によって、当業者には評価され、理解されることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
例示の図面においては、いくつかの図面において類似の要素には類似の番号が付けられている。
【図1A】分散された導電性粒子を含む例示的な導電性ポリマーフォーム層の概略図であり、それらの導電性粒子は、第一の表面に隣接し、反対側の第二の表面に露出している除去可能層の中に部分的に埋め込まれている。
【図1B】分散された導電性粒子を含む例示的な導電性ポリマーフォーム層の概略図であり、それらの導電性粒子は、第一の表面に隣接し、反対側の第二の表面に露出している除去可能層の中に部分的に埋め込まれている。
【図2A】除去可能層の上に磁性で導電性の粒子の相互に単離されたカラムを有する、例示的な導電性ポリマーフォームを製造するための方法の概略図であり、それによってそのポリマーフォームの表面の上に露出されたカラムを形成させている。
【図2B】除去可能層の上に磁性で導電性の粒子の相互に単離されたカラムを有する、例示的な導電性ポリマーフォームを製造するための方法の概略図であり、それによってそのポリマーフォームの表面の上に露出されたカラムを形成させている。
【図2C】除去可能層の上に磁性で導電性の粒子の相互に単離されたカラムを有する、例示的な導電性ポリマーフォームを製造するための方法の概略図であり、それによってそのポリマーフォームの表面の上に露出されたカラムを形成させている。
【図3】除去可能層の上にキャストしその中に埋め込んだ導電性粒子を含む例示的フォーム層の光学顕微鏡撮影写真であるが、導電性粒子を露出させるために除去可能層が除去されている。
【図4】除去可能層なしでキャストした導電性粒子を含む、比較例フォーム層の光学顕微鏡撮影写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
リリースキャリヤの上にキャスティングすることにより製造した導電性粒子を含むポリマーフォームは、期待に反して、導電性が低い可能性がある。本願発明者らの見出したところでは、導電性が低い一つの原因は、リリースキャリヤと接触状態にあるフォーム表面では、リリースキャリヤとは接触状態にない反対側の表面よりも、導電性粒子の露出が少ないからである。したがって、ポリマーフォームのトップ表面では、導電性のために、導電性粒子が充分に露出されているのに対して、リリースキャリヤに隣接しているボトム表面では露出が損なわれている。これは、ポリマーフォームの硬化の際にリリースキャリヤに隣接して形成されるスキン層が原因である。リリースキャリヤを除去しても、スキン層が導電性粒子の表面露出を妨害する。スキン層は、機械的アブレーションのような方法で除去することが可能ではあるが、アブレーションをすると、さらなる製造工程が加わり、コストが上昇し、さらに、特に低密度フォームの場合にはばらつきなく実施するのが困難である。
【0012】
したがって、本明細書に開示されているのは、除去可能層の上に配されたポリマーフォームであり、ここで、導電性粒子は、そのフォームの中に分散され、フォームの内部で磁気的に配列されてカラム状となっている。導電性粒子は部分的に除去可能層の中に埋め込まれて、除去可能層を除去したときに、導電性粒子の表面露出が増大するようになっている。このことによって、導電性粒子の、たとえば他の導電性層との表面接触性が向上することとなり、フォーム層の表面における充分な粒子接触を得るためにフォーム表面をさらに加工する必要性が、減少または消失する。
【0013】
除去可能層は、ポリマーフォーム成形の際に導電性粒子を埋め込めることを可能とする、広く各種の材料から選択することができる。たとえば、除去可能層は、ポリマーフォームの硬化もしくは固化直前、または硬化もしくは固化中に、溶融可能とすることができる。除去可能層を軟化させ、そして除去可能層に隣接している粒子を除去可能層の中に部分的に埋め込ませるのに有効な、強度と時間で、熱および力たとえば磁力を、フォームおよび除去可能層に加える。導電性ポリマーフォーム層を硬化または固化させ、除去可能層を再固化させた後に、除去可能層を除去すると、除去可能層の中に部分的に埋め込まれていた粒子が今や、表面に露出するか、および/または表面から突出する。
【0014】
有利なことには、ポリマーフォームの物理的性質に顕著な悪影響を与えることなく、より完全に導電性粒子を露出させる目的で導電性粒子の表面接触を達成させることが可能である。したがって、一つの実施形態においては、導電性であり、かつ圧縮性、可撓性、耐圧縮永久歪み性、セルの均一性などの一つまたは複数の性質を実質的に維持しているようなポリマーフォームが製造される。それらの材料は、EMIおよび/またはRFIからの遮蔽を与えることが可能な物品の成形において使用するのに特に適している。
【0015】
導電性ポリマーフォームを製造するための一般的なプロセスにおいては、フォームを成形するために使用するポリマー組成物を、導電性粒子(および各種その他の任意成分の添加剤)と組み合わせて、第一の側面および反対側の第二の側面を有する層を形成させるのに使用する。ポリマーに応じて、キャスティングの前、キャスティングの途中、またはキャスティングの後に、発泡を実施することができる。ポリマーフォームは、キャリヤの上にフォームまたは発泡性組成物をキャスティングすることによって形成する。したがって、第一の(ボトム)キャリヤを準備し、第一の表面および反対側の第二の表面を有する層をそのキャリヤの上に形成させるが、ここでその第一のフォーム層の表面は、第一のキャリヤの上に配する。第二の(トップ)キャリヤを、その層の第二の表面の上に配することができる。第一のキャリヤ、第二のキャリヤ、もしくはその両方が除去可能層であるか、または除去可能層を備えていて、その結果、除去可能層がキャスト層の第一の表面、キャスト層の第二の表面、またはその両方と接触状態にある。一つの実施形態においては、ポリマーフォーム層を固化または硬化させてから、除去可能層を除去すると、除去可能層と接触状態にあるフォーム層の表面に粒子が露出される。また別の実施形態においては、除去可能層を除去することで、フォーム層からフォームの一部(たとえば、薄層)も除去されることとなり、それによって、フォーム層の一部も除去するようなことをせずに除去可能層を除去した場合に露出するよりは、フォーム層の表面上で導電性粒子がより多く露出されるようになる。
【0016】
たとえば、図1A〜1Bは、第一の表面64、反対側の第二の表面62、セル68、および導電性粒子70を含むポリマーフォーム60の実施形態を示している。ポリマーフォーム60が、除去可能層72の上に配されており、導電性粒子70がポリマーフォームの中に分散されている。図1A〜1Bは、第一の表面と第二の反対側の表面との間に多数のセルを含むフォームを示している。また別の実施形態においては、単一のセルが第一の表面と反対側の第二の表面との間をつないで拡がっていることも可能である。図1Aにおいては、その導電性粒子70が経路74を形成していて、それが、第一の表面64から反対側の第二の表面62にまで、ポリマーフォーム層を事実上連続的につないでいる。粒子70は、第二の表面62のところでは部分的に露出しているが、除去可能層72に接触している第一の表面64ではそれほどではない。
【0017】
ここで、図1Bを参照すると、第一の表面64において粒子70の露出を増大させるために、除去可能層72の中に粒子70を部分的に埋め込むのに有効な強度と時間で、キャスト層に力をかけている。たとえば、除去可能層72は、除去可能層72を軟化させるのに有効な温度および時間で熱に暴露させ、導電性粒子70が(たとえば重力下、および/または磁場の力のもとに)移行して、除去可能層72の中に部分的に埋め込まれるようにすることが可能である。図1Bでは、部分的に埋め込まれた粒子76がさらに、ポリマーフォーム60の中に部分的に残っていることを示している。幾つかの粒子が除去可能層72の中に完全に埋め込まれることも可能であるが、そのような粒子は、ポリマーフォーム層には留まっていない。
【0018】
フォーム層を部分的または全面的に硬化させた後に、その除去可能層を除去(図示せず)して、第二の表面の上に導電性粒子をより完全に露出させるようにすることもできる。除去は、ポリマーフォーム層の完全硬化の前または後に起こさせることができる。一つの実施形態においては、除去によって、フォーム層の表面に導電性粒子が単純に露出される。また別の実施形態においては、除去可能層を除去すると、フォーム層表面そのものの一部も除去され、それによって、さらに多くの導電性粒子が表面において露出される。そうして得られたフォーム層では今や、それまでは除去可能層に隣接していた表面のところに露出された粒子の導電性末端を有するようになった。除去可能層が、充分な構造一体性を有しているか、またはキャリヤフィルムの上に配されている場合には、その除去可能層をポリマーフォームから剥離させることが可能である。別な方法においては、ポリマーフォームと経路との一定性を維持しながらも、埋め込まれた粒子76を露出させるのに有効な温度で、除去可能層を溶融除去させることも可能である。
【0019】
図2A〜2Cは、磁性で導電性の粒子の相互に単離されたカラムを有する導電性ポリマーフォームを製造する方法のまた別な実施形態を示しているが、ここでそれらの粒子は磁場を利用して配列されている。磁場を印加する場合には、キャスティングの前、キャスティングの途中、キャスティングの後でかつ磁場への暴露前、またはキャスティングの後でかつ磁場への暴露の途中に、発泡を実施することが可能であり、層は、その層の第一の表面から反対側の第二の表面へと延在している単離されたカラム状に導電性粒子を実質的に配列させるに有効な強度と時間で、磁場に暴露させる。フォームは、磁場に暴露している間は未硬化で残すこともできるし、磁場に暴露する前に部分的に硬化させることもできるし、磁場に暴露している間に部分的に硬化させることもできるし、磁場に暴露している間に完全に硬化させることもできるし、あるいは、磁場に暴露させた後に完全に硬化させることもできる。一つの実施形態においては、そのフォームを、磁場に暴露させる前に部分的に硬化させ、磁場に暴露している間に完全に硬化させる。また別な実施形態においては、そのフォームを、磁場に暴露させる前または暴露中に部分的に硬化させ、磁場に暴露させた後に完全に硬化させる。
【0020】
粒子を配列させるのに適切な磁場の強度は、フォームの粘度、フォームの厚み、密度、および粒子の性質など、各種の因子に依存する。一つの実施形態においては、より薄いフォームでは、より高い磁場の強度が有利である。一つの実施形態においては、その磁場の強度が、約50〜約2000ガウス、特には約100〜約1500ガウス、より特には約125〜約1200ガウスの磁束密度を有している。
【0021】
一つの実施形態においては、層に対する磁場の向きは、磁性で導電性の粒子を組織化して、フォームのx軸とy軸に対して直角であるカラムとなるようにする、すなわち、層の第一の表面および第二の表面に垂直な磁場を印加した結果として、z軸の方向に配列させるようにする。
【0022】
図2Aを参照すると、導電性フォーム40が、熱安定性のキャリヤ46の上に配された除去可能層44を含む基材42の上に形成されている。磁性で導電性の粒子48が組織化されてカラム50となるが、それは、ポリマーフォームのx−y平面を横切った所望の導電性方向(z方向)に対してある傾斜角で磁場を印加した結果として、z軸に対して傾斜をもって配列される。言うまでもないことではあるが、それらの粒子は、表面露出および除去可能層44の中への埋め込みを与える、いかなる形状とすることもできる。さらに、図2A〜2Cは、第一の表面と第二の反対側の表面との間に多数のセルを含むフォームを示している。また別の実施形態においては、単一のセルが第一の表面と反対側の第二の表面とをつないでいることも可能である。カラム50の第二の末端52の反対側にある第一の末端56は、除去可能層42に隣接する第一の表面58のところで、最小限の露出をしている。カラム50の第二の末端52は、フォーム40の第二の表面54からは、より大きく露出している。
【0023】
次に図2Bを参照すると、フォーム40はまだ完全には硬化されていない。除去可能層42を、たとえば、除去可能層42を、そして除去可能層42に隣接するカラム50の第一の末端56を移行させて層42の中に埋め込むことを可能とするのに有効な温度と時間をかけて、熱に暴露させて、軟化させる。粒子の移行および除去可能層の中への埋め込みは、たとえば重力のような力、ポリマーフォームのx−y平面を横切った所望の導電性方向(z方向)に対して垂直かまたはある傾斜角で磁場をさらに印加すること、およびたとえばイオン相互作用のような化学的な力、によって促進させることができる。その結果、第一の末端56が除去可能層44の中に埋め込まれる。
【0024】
図2Cに見られるように、キャリヤ46および除去可能層42を含む基材を除去する。フォーム40が今や、第一の表面58のところでより大きく露出された、カラム50の第一の末端56を有するようになる。
【0025】
上述の実施形態のいずれにおいても、その除去可能層は、リリースキャリヤとして使用したり、あるいはリリースキャリヤ、たとえばポリエチレンテレフタレートフィルムのような熱安定性キャリヤの上に配したりすることができる。適切なリリースキャリヤとしては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、およびポリエステルのフィルムが挙げられる。好ましい実施形態においては、PETキャリヤが使用される。
【0026】
さらに、上述の実施形態のいずれにおいても、2層以上の除去可能層を使用することも可能である。たとえば、図1Aおよび1Bを参照すると、ポリマーフォーム60は、2層の除去可能層の間に配することもできる。フォーム層を部分的にまたは全面的に硬化させた後に、その2層の除去可能層を除去して、第一と第二の表面の上に導電性粒子をより完全に露出させるようにすることもできる。さらには、除去可能層は、いかなる大きさや形状(平面状および非平面状(たとえば、三角形、正弦波、四角形の正方形のひだで波形をつけたもの)など)とすることも可能であり、また必要とされる物理的および化学的性質を有するいかなる物質であってもよい。
【0027】
除去可能層は、上述のように導電性粒子の埋め込みを可能とすると同時に、そのポリマーフォームから容易に除去することができる材料からなっている。材料の例としては、熱硬化性フォームの硬化温度と同じかそれより低いか、または熱可塑性フォームの軟化もしくは溶融温度よりは低い、軟化温度または溶融温度を有する溶融可能な組成物が挙げられる。低タック粘着剤として現在使用されているある種の材料を使用することができる。好適な粘着剤としては、粘着剤に隣接している粒子の末端を粘着剤の中に埋め込めることを可能とするのに有効な量の熱を加えたときに、適切な加熱条件下で軟化および/または溶融する粘着剤が挙げられる。さらに、そのような粘着剤は、再固化が可能で、容易に除去することができる。複数の粘着剤のブレンド物も使用することができる。粘着剤のブレンド物は、たとえばフォームまたはキャリヤの熱膨張値のような、物理的および化学的な不均衡を補償することができる。さらに、2層以上および/または2パターン以上の粘着剤を使用することもできる。さらに、キャリヤフィルムたとえばPETの上に除去可能層を配することも含まれる。PETキャリヤフィルムへの適切な粘着剤としては、たとえば、ESD・コリア・カンパニー(ESD Korea,Co.)からのESM−3815、スカパ・N.A.(Scapa N.A.)からのAS70408TP−PET、およびローマン・GmbH・アンド・カンパニー(Lohmann GmbH & Co.)からのローマモント(Lohmamont)MP6001Bが挙げられる。
【0028】
除去可能層にはさらに、たとえば以下のものからなる群より選択されるワックスをさらに含むことができる。例えば、極性ワックス、非極性ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、酸化フィッシャー・トロプシュワックス、ヒドロキシステアラミドワックス、官能化ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ワックス変性剤、非晶質ワックス、カルナウバワックス、ヒマシ油ワックス、微結晶ワックス、蜜蝋、カルナウバワックス、ヒマシワックス、ラックワックス(lac wax)、植物性ワックス、カンデリラワックス、木蝋、オウリカリワックス、ダグラスファーバークワックス、米糠ワックス、ホホバワックス、ベーベリーワックス、モンタンワックス、ピートワックス、オゾケライトワックス、セレシンワックス、石油ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、化学改質炭化水素ワックス、置換アミドワックス、ならびにそれらの組合せおよび誘導体等である。粘着剤に隣接している粒子の末端を粘着剤の中に埋め込めることを可能とするのに有効な量の熱を加えたときに、適切な加熱条件下で軟化および/または溶融する配合を基準にして、好適なワックスを選択する。再固化することが可能で、容易に除去できるのが、好ましいワックスである。
【0029】
除去可能層の厚みは、導電性粒子の平均長さまたは直径のような変数に依存する。粘着剤層は、特定のフォーム集成体において必要または要求に合わせて厚みを変化させることができる。一方では、除去可能層の厚みがフォーム中の粒子の平均長さよりも厚いときには、それらの粒子が、除去可能層の中に移行して、あまりにも深く突き刺さる可能性があり、そのため、除去可能層を除去したときにフォームから外れる。他方では、除去可能層の厚みが粒子の平均長さよりもはるかに薄いときには、粒子の表面接触が少なくなる。さらに、前述の実施形態のいずれにおいても、ポリマーフォームの表面は実質的に平坦である。表面が平滑であると、ガスケット用途においてはシーリング性が改良される。特定の実施形態においては、フォームのそれぞれの表面に、配列された充填剤粒子が存在していることから生じる凹凸が実質的にない。より特には、フォームの第一の表面および第二の表面に、充填剤粒子の配列によって生じて、xy面の表面を変化させる凹凸が実質的にない。したがって、それまでは除去可能層に隣接していた粒子の末端が調整されて、第一の表面と同じ高さになるか、または第一の表面から、平均粒子長さの平均約5%〜約70%、特には粒子長さの約10%〜約50%、より特には平均粒子長さの約20〜約40%突出することができる。導電性粒子の露出の程度は、粒子が移行可能な時間の長さ、除去可能層の粘度、印加した磁場の強度、および同様の理由によって影響を受ける可能性がある。さらなるアブレーション工程を実施することによって、露出の程度を上げることもまた可能である。本明細書で使用するとき、「アブレード(abrade)」という用語には、表面をすり減らすかまたは除去する各種の方法、たとえば、化学エッチング、機械的研削、およびレーザーアブレーションなどが含まれる。別な方法としてかまたはそれに加えて、硬化中または硬化後のいずれかで、導電性粒子の末端をさらに露出させるために、高タック粘着剤を使用してフォーム表面の薄層を除去することもできる。
【0030】
実際に、除去可能層/キャリヤを供給ロールから繰り出して、硬化させたフォームから分離して、最終的に引取りロールに再巻き取りすることもできる。分離キャリヤを使用する場合には、ボトムキャリヤのための材料の選択は、たとえば、支持および可撓性の所望される程度、硬化フォームからの剥離性の所望される程度、コスト、および同様の事項などの因子に依存するであろう。紙、金属たとえば銅もしくはアルミニウムの薄板、またはポリマーフィルムたとえば、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン、ポリカーボネート、PTFE、ポリイミドなどを使用することもできる。それらの材料は、剥離コーティングを用いて被覆されていてもよい。
【0031】
ボトムキャリヤに加えて、第二の(トップ)キャリヤを使用することもできる。層の発泡および/または磁場の印加は、第二のキャリヤを配する前、途中、または後に実施することができる。一つの実施形態においては、第二のキャリヤを配する前に層を発泡させる。また別の実施形態においては、第二のキャリヤを配した後に層を発泡させる。さらに別な実施形態においては、第二のキャリヤを配した後に、層に磁場を印加する。しかしながら、特定の実施形態においては、単一のキャリヤのみを使用する。
【0032】
一つの実施形態においては、第二のキャリヤを、第二の除去可能層、すなわち硬化フォームの表面に移行させようとする材料、たとえばキャリヤから剥離可能なポリウレタンフィルム、キャリヤから剥離可能な感圧接着剤、またはキャリヤから剥離可能な導電性粘着剤を用いて被覆する。繊維質のウェブまたはその他の充填剤材料をキャリヤの表面の上に配し、それにより最終的に硬化フォームの中に組み入れられるようにすることも可能である。また別の実施形態においては、第二のキャリヤに対してフォームを硬化させる。したがって、その第二のキャリヤは、フォームから分離されて、引取りロールに再巻き取りされる代わりに、最終製品の一部を形成する。たとえば、そのフォームを、たとえば銅フォイルのような導電層と接触させることもできる。特定の実施形態においては、その銅フォイルにはさらに、導電性粒子を含むエラストマー層がさらに含まれる。そのフォームをこのエラストマー層と接触させると、導電層とフォームとを含み、その間に配されたエラストマー/粒子層を有する物品が得られる。別な方法においては、ボトムキャリヤとしてコンベヤベルトを使用することもできる。
【0033】
除去可能層(1種または複数)/キャリヤ(1種または複数)は、平滑な表面を有していても、あるいは粗面たとえば、艶消しの表面を有していてもよい。特定の実施形態においては、その除去可能層(1種または複数)/キャリヤ(1種または複数)が平滑な表面を有している。平滑な表面を有するキャリヤを使用して調製した導電性フォーム層は、平滑なキャリヤなしで調製した導電性フォーム層よりも、実質的により平滑な表面を有することになるであろう。特に、平滑な表面キャリヤの上に配された粘着剤を含む除去可能層を使用して、導電性フォーム層が調製される。平滑な表面キャリヤによって、より平滑な表面、より低い密度、そしてガスケットフィッティングのような用途におけるより良好なシーリング性が得られる。
【0034】
先に述べたように、ポリマーフォームには、フォームに導電性を付与するのに充分なタイプと量の導電性粒子を含んでいる。導電性粒子には、導電性材料、または導電性かつ導磁性(両者は同一の材料であっても、異なった材料であってもよい)の材料が含まれる。導電性材料の例としては、導電性金属たとえば、金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム、コバルト、鉄など、さらには少なくとも1種の前述の金属を含む酸化物または合金が挙げられる。好適な磁性材料としては、強磁性および常磁性材料が挙げられる。磁性材料の例としては、鉄、ニッケル、およびコバルト、さらにはランタニド希土類元素など、ならびに少なくとも1種の前述の磁性材料の酸化物、セラミックス、および合金が挙げられる。一つの実施形態においては、その磁性導電性材料が、非酸化性材料である。
【0035】
粒子全体を、導電性材料(1種または複数)から形成させることもできるし、あるいは、導電性材料(1種または複数)を、コアまたはコーティングとして、たとえば、非磁性材料、非導電性材料、または非磁性で非導電性の材料と共に使用することもできる。たとえば、導電性材料を使用して、鉄粒子のような磁性材料を含むコアを被覆することもできるし、あるいは、磁性で導電性の材料を使用して、ガラス(ガラスマイクロバルーンを含む)のような非磁性で非導電性の材料で被覆することもできる。銀およびニッケル被覆が特に有用である。磁性で導電性の具体的な粒子としては、以下のものが挙げられる。例えば、ステンレス鋼粒子、銀被覆ニッケル粒子、銀被覆鉄粒子、ニッケル粒子、およびニッケル被覆粒子たとえば、ニッケル被覆三水酸化アルミニウム(Al(OH)、「ATH」)、ニッケル被覆ガラス粒子、およびニッケル被覆ステンレス鋼粒子等である。
【0036】
導電性か、または磁性で導電性の材料は、コーティング法、たとえば蒸着法、無電解めっきなどによって、コア粒子の上に析出させることができる。一つの実施形態においては、無電解めっき法を使用して、三水酸化アルミニウムの上にニッケルを析出させることができる。また別の実施形態においては、ニッケルカルボニルの蒸着を使用して、ニッケル被覆を得る。導磁性の粒子の上に充分な量の導電性材料を被覆すると、それらの粒子が、複合材料を形成させるように使用したときに、その複合材料に所望のレベルの導電性を付与し、しかも、ポリマーの所望の性質に顕著な悪影響を与えることがない。粒子の全部が被覆されている必要はないし、コーティングがそれぞれの粒子を完全に被覆している必要もない。したがって、少なくとも実質的に被覆された粒子を使用することができる。たとえば、所定の粒子のバッチにおいて、粒子の全表面積の少なくとも約60%が被覆されており、特には少なくとも約70%、より特には少なくとも約80%、さらにより特には粒子の全表面積の少なくとも約90%が被覆されている。被覆の厚みは広く変化させることができる。一つの実施形態においては、その被覆の厚みが、約0.004〜約0.2ミル(約0.1〜約5マイクロメートル)、特には約0.02〜約0.1ミル(約0.526〜約3マイクロメートル)である。
【0037】
粒子は、各種の不規則的または、たとえば球状、平板状、柱状、または棒状の規則的な形状を有することができる。異なった形状を組み合わせて有する粒子を使用することもできる。特定の実施形態においては、そのポリマーフォームには、高アスペクト比(粒子の長さをその幅で割算したもの)を有する粒子が含まれる。本明細書で使用するとき、「高アスペクト比」という用語は、一般的には約1.5〜約500、特には約2〜約100の長さ対幅の比を有する粒子を指す。高アスペクト比を有する粒子の形状の例としては、棒状粒子、繊維、ウィスカーなどが挙げられる。本明細書の開示において高アスペクト比「粒子」を使用してもよいが、「粒子」という用語には、各種の高アスペクト比の形状、たとえば棒、ウィスカー、繊維、さらには不規則的または規則的形状の非高アスペクト比形状変化、たとえば球状または平板状の形状も含まれるということは理解されたい。高アスペクト比の粒子のサイズは特に限定される訳ではないが、たとえば、その中に粒子が配されたポリマー層の厚みの約0.05〜約1.4倍の平均最大寸法を有することができる。
【0038】
粒子の例としては、ベケールト(Bekhaert)(登録商標)から市場的に入手可能な金属繊維が挙げられる。ベケールト(Bekhaert)(登録商標)金属繊維は、金属のみを含み、各種の合金、たとえば304、347、316Lなどとして入手可能なステンレス鋼繊維である。それらのステンレス鋼繊維は、ポリマーフォーム層全体に導電性を付与するのに有効な寸法を有している。繊維の平均長さは、合金および繊維の直径に依存する。一つの実施形態においては、その金属繊維、特にステンレス鋼繊維が、100〜1000マイクロメートル、特には300〜800マイクロメートル、より特には516マイクロメートルの平均長さと、2000マイクロメートル未満、特には1,000〜1500マイクロメートル、さらにより特には1395マイクロメートルの最大長さとを有している。金属繊維、特にステンレス鋼繊維のアスペクト比は、約15〜約25の範囲で変化させることができる。一つの実施形態においては、金属、特にステンレス鋼の繊維をニッケル被覆してから、ポリマーフォーム層の中に配する。
【0039】
粒子の表面を処理して、それらの表面特性を変化させることができる。たとえば、疎水性物質を用いて粒子を被覆して、ポリマー前駆体組成物との相互作用を抑制することができる。被覆物質の例は、シラン(ポリウレタン複合材料用に有用となりうる)またはフルオロシリコーン(シリコーン複合材料に有用となりうる)である。理論に拘束されることを望むものではないが、シランまたはシリコーンを用いて粒子を処理すると、前駆体形成の一つもしくは複数の成分、またはポリマーそのものによる粒子の濡れが低下するものと考えられる。粒子の濡れを制御することによって、粒子の上におけるスキンの生成を制御することができる。
【0040】
他の導電性充填剤を付随的に使用して所望の導電性を得ることもできるが、たとえば以下のものが使用できる。例えば、カーボンブラック、炭素繊維たとえばPAN繊維、金属被覆繊維または球たとえば金属被覆ガラス繊維、金属被覆炭素繊維、金属被覆有機繊維、金属被覆セラミック球、金属被覆ガラスビーズなど、本来的に導電性のポリマーたとえば、球状またはフィブリル形状のポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、導電性金属酸化物たとえば、酸化スズまたはインジウムスズ酸化物、および少なくとも1種の前述の導電性充填剤を含む組合せ等である。磁性で導電性の充填剤の導電性充填剤に対する相対比は、使用される充填剤のタイプおよび所望されるフォームの性質に合わせて、広く変化させることができる。充填剤組成物に、それぞれ充填剤組成物の全重量を基準にして、一般的には50〜100重量パーセント(重量%)の磁性で導電性の材料と0〜50重量%の導電性充填剤、より特には75〜99重量%の磁性で導電性の充填剤と1〜25重量%の導電性充填剤を含むことができる。
【0041】
導電性ポリマーフォームの製造において使用される導電性粒子の相対量は、ポリマーのタイプ、粒子のタイプ、目的とする用途、所望の導電性、フォームのセル構造、加工特性、および類似の因子に依存して変化するであろう。一つの実施形態においては、その導電性ポリマーフォームが、それぞれ導電性ポリマーフォームの全重量を基準にして、約10〜約90重量%、特には約20〜約80重量%、さらにより特には約30〜約70重量%の総導電性粒子含量を含む。別な方法においては、導電性粒子の量を、発泡させる前の導電性ポリマーフォームにおけるその前駆体配合物の体積パーセント(体積%)として表すこともできる。一つの実施形態においては、フォームには、発泡させる前のポリマーフォーム前駆体配合物の約1〜約30体積%、特には約2〜約20体積%、より特には約3〜約15体積%の導電性粒子が含まれる。
【0042】
本明細書で使用するとき、「フォーム(foam)」は、セル構造および、約5〜約150ポンド/立方フィート(pcf)(80〜2402キログラム/立方メートル(kcm))、特には約125pcf(2002kcm)以下、より特には約100pcf(1601kcm)以下、さらにより特には約10〜約60pcf(160〜961kcm)の密度を有する物質である。そのようなフォームは、それぞれフォームの全体積を基準にして、約20〜約99%、特には約30%以上、より特には約50%以上の空隙またはセル含量を有している。
【0043】
フォームにおいて使用されるポリマーは、広く各種の熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂のブレンド物、または熱硬化性樹脂から選択することができる。使用可能な熱可塑性樹脂の例としては、以下のものが挙げられる。例えば、ポリアセタール、ポリアクリル樹脂、スチレンアクリロニトリル、ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドたとえば(これらに限定される訳ではない)ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11もしくはナイロン12、ポリアミドイミド、ポリアリーレート、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンなど、または少なくとも1種の前述の熱可塑性樹脂を含む組合せ等である。
【0044】
ポリマーフォームの中で使用することが可能な熱可塑性樹脂のブレンド物の例としては、以下のものが挙げられる。例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ナイロン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン/ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ナイロン、ポリスルホン/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート/熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマーアロイ、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート、スチレン−無水マレイン酸/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエーテルエーテルケトン/ポリエーテルスルホン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン/ナイロン、ポリエチレン/ポリアセタール、エチレンプロピレンゴム(EPR)など、または少なくとも1種の前述のブレンド物を含む組合せ等である。
【0045】
ポリマーフォームの中で使用することが可能なポリマー性熱硬化性樹脂の例としては、以下のものが挙げられる。例えば、ポリウレタン、エポキシ、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリアミド、シリコーンなど、または少なくとも1種の前述の熱硬化性樹脂を含む組合せ等である。熱硬化性樹脂のブレンド物、さらには熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とののブレンド物もまた使用することができる。
【0046】
フォームの製造において使用することが公知のその他の添加剤、たとえば他の充填剤、たとえば補強性充填剤たとえば織布、シリカ、ガラス粒子、およびガラスマイクロバルーン、加熱時の管理を与えるために使用される充填剤、または難燃化充填剤もしくは添加剤を、フォーム組成物の中に存在させることができる。適切な難燃剤としては、たとえば以下のものが挙げられる。例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素、カルシウム、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン、銅、鉄、チタン、もしくはそれらの組合せを含む金属水酸化物、たとえば三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄などであり、金属酸化物たとえば、酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステンなどであり、金属ホウ酸塩たとえば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなどであり、金属炭酸塩たとえば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどであり、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェートなど;カーボンブラック、発泡性グラファイトフレーク(たとえばグラフテック・インターナショナル・リミテッド(GrafTech International,Ltd.)から商品名グラフガード(GRAFGUARD)として入手可能なもの)などであり、ナノクレー、ならびに臭素化化合物等である。難燃性物質の例は、水酸化マグネシウム、ナノクレー、および臭素化化合物である。一つの実施形態においては、そのポリマーフォームの難燃性が、アンダーライト・ラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories)(UL)の難燃性の基準に適合する。たとえば、そのポリマーフォームが、ULスタンダード(UL Standard)94でV−0の格付けを有する。
【0047】
存在させうるさらに他の添加剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、染料、顔料(たとえば二酸化チタンおよび酸化鉄)、抗酸化剤、耐オゾン劣化剤、紫外線(UV)安定剤、導電性充填剤、ポリマー硬化用の触媒、架橋剤など、さらには少なくとも1種の前述の添加剤を含む組合せ等である。
【0048】
当業者には公知であるように、ポリマーフォームは前駆体組成物から製造するが、それらは発泡の前または発泡に付随させて混合する。発泡は、機械的フロス化(mechanical frothing)法、または発泡(blowing)法(化学的発泡剤もしくは物理的発泡剤、またはその両方を使用)、または機械的フロス化法と発泡法(化学的発泡剤もしくは物理的発泡剤、またはその両方を使用)との組合せにより実施することができる。理論に拘束されるものではないが、化学的発泡剤および/または物理的発泡剤を使用する場合、カラムを配列させた後にセルを形成させるとカラムに乱れが生じて、導電性がより低くなると考えられる。本明細書に記載しているようにフォームの層の厚みを限定すると、そのような乱れを最低限に抑えられるようである。機械的フロス化法のみで製造するか、または粒子が配列するより前に化学的および/または物理的発泡法を実質的に完了させれば、充分な導電性を達成することが可能である。理論に拘束されるものではないが、キャスティングの後にさらなる発泡がなければ、安定なカラムの形成が可能となると考えられる。したがって、一つの実施形態においては、ポリマーフォーム層の製造方法には、除去可能層の上にフォーム層(そのフォーム層は、第一の表面および反対側の第二の表面を有し、そのフォーム層は、ポリマーフォーム前駆体組成物、および複数の磁性で導電性の粒子を含む充填剤組成物を含む)を形成させる工程、そのフォーム前駆体組成物を発泡させて、その層の中に複数のセルを形成させる工程、その層の第一の表面と反対側の第二の表面との間にある相互に単離されたカラムの中に、その磁性で導電性の粒子を配列させるに有効な強度と時間で、その層に磁場を印加する工程、ならびにその発泡させた層を硬化させる工程が含まれる。この実施形態においては、磁場を印加する前に、フォームを完全に、または実質的に完全にフロス化および/または発泡させる。本明細書で使用するとき、「実質的に完全に(substantially completely)」という用語は、フォームがさらに発達したとしても、カラムの形成を乱したり、カラムの高さよりも高いフォーム厚みを作ったりすることが実質的にないということを意味している。
【0049】
フォームの製造において使用する具体的なポリマーとしては、ポリウレタンフォームおよびシリコーンフォームが挙げられる。ポリウレタンフォームは、有機ポリイソシアネート成分、そのポリイソシアネート成分と反応性がある活性水素含有成分、界面活性剤、および触媒を含む前駆体組成物から形成される。フォームを形成させるプロセスでは、化学的発泡剤または物理的発泡剤を使用することもできるし、あるいはフォームを機械的にフロス化させることもできる。たとえば、フォームを形成させる一つのプロセスには、混合物の機械的ビーティング(mechanical beating)によって、上述の組成物の混合物全体に、不活性ガスを実質的かつ均質に分散させて、実質的に構造的および化学的に安定であるが、周囲条件で実際に加工することが可能な加熱硬化可能なフロスを形成させる工程、およびそのフロスを硬化させて硬化フォームを形成させる工程が含まれる。一つの実施形態においては、そのフロスに物理的発泡剤を導入して、架橋プロセスの間にフォーム密度をさらに低下させる。また別の実施形態においては、機械的フロス化法をいっさい使用せずに、物理的発泡剤または化学的発泡剤のみを使用して、その反応性組成物からポリウレタンフォームを形成させる。
【0050】
適切な有機ポリイソシアネートとしては、次の一般式を有するイソシアネートが挙げられる。
Q(NCO)
ここで、iは、2以上の整数であり、Qは原子価iを有する有機基であって、iは、2を超える平均値を有している。Qは、置換もしくは非置換の炭化水素基(芳香族官能価を含んでいてもいなくてもよい)であるか、または式Q−Z−Qを有する基であることができるが、ここでQは、C1〜36アルキレンまたはC6〜36アリーレン基であり、Zは、−O−、−O−Q−O、−CO−、−S−、−S−Q−S−、−SO−、−SO−、C1〜24アルキレンまたはC6〜24アリーレンである。そのようなポリイソシアネートの例としては、以下のものが挙げられる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−p−メタン、キシリルジイソシアネート、ジイソシアナトシクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、およびクルードトリレンジイソシアネートを含む)、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、クロロフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、またはMDIとも呼ばれる)およびそのアダクト化合物、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、イソプロピルベンゼン−アルファ−4−ジイソシアネート、およびポリメリックイソシアネートたとえばポリメチレンポリフェニルイソシアネート等である。
【0051】
Qはさらに、原子価iを有するポリウレタン基を表すこともできるが、その場合Q(NCO)はプレポリマーと呼ばれる組成物である。そのようなプレポリマーは、化学量論的に過剰な上述のポリイソシアネートを、活性水素含有成分、特に以下に述べるポリヒドロキシル含有物質すなわちポリオールと反応させることによって形成される。一つの実施形態においては、ポリイソシアネートを、化学量論的に約30パーセント〜約200パーセント過剰な割合で使用するが、その化学量論的量は、ポリオール中のヒドロキシル1当量あたりのイソシアネート基の当量を基準にしている。調製するポリウレタンの性質に応じて、採用するポリイソシアネートの量を少し変化させることになるであろう。
【0052】
活性水素含有成分としては、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールが挙げられる。好適なポリエステルポリオールとしては、以下のものが挙げられる。例えば、ポリオールとジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体(たとえば、酸無水物、エステル、およびハロゲン化物)との重縮合反応生成物、ポリオールの存在下でラクトンを開環重合させることによって得られるポリラクトンポリオール、カーボネートジエステルをポリオールと反応させることによって得られるポリカーボネートポリオール、ならびにヒマシ油ポリオール等である。重縮合ポリエステルポリオールを製造するのに有用な、好適なジカルボン酸およびジカルボン酸の誘導体は、脂肪族もしくは脂環式のジカルボン酸たとえば、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、およびマレイン酸;ダイマー酸;芳香族ジカルボン酸たとえば(これらに限定される訳ではない)フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸;三塩基性もしくはそれよりも高官能性のポリカルボン酸たとえばピロメリット酸;さらには酸無水物および第二アルキルエステルたとえば(これらに限定される訳ではない)無水マレイン酸、無水フタル酸、およびテレフタル酸ジメチルである。
【0053】
さらなる活性水素含有成分は、環状エステルのポリマーである。適切な環状エステルモノマーとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ゼータ−エナントラクトン、モノアルキル−バレロラクトンたとえば、モノメチル−、モノエチル−、およびモノヘキシル−バレロラクトンが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。適切なポリエステルポリオールとしては、カプロラクトン系ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、エチレングリコールアジペート系ポリオール、および前述のポリエステルポリオールのいずれか一つを含む混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールの例は、ε−カプロラクトン、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、またはテレフタル酸のジメチルエステルから作成したポリエステルポリオールである。
【0054】
ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシドたとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびそれらの混合物を、水または多価アルコール有機成分に化学的に付加させることによって得られるが、そのような多価アルコール有機成分としては、たとえば以下のものが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、1,10−デカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール、4−メチル−3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール、3−メチレン−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、(2−ヒドロキシエトキシ)−1−プロパノール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ブタノール、5−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1−ペンタノール、1−(2−ヒドロキシメトキシ)−2−ヘキサノール、1−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−オクタノール、3−アリルオキシ−1,5−ペンタンジオール、2−アリルオキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール[4,4−ペンチルオキシ)−メチル]−1,3−プロパンジオール、3−(o−プロペニルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、2,2’−ジイソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジエタノール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,2−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−メチルペンタンジオール−1,5;1,1,1−トリス[2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−エタン、1,1,1−トリス[2−ヒドロキシプロポキシ)−メチル]プロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、アルファ−メチルグルコシド、アルファ−ヒドロキシアルキルグルコシド、ノボラック樹脂、リン酸、ベンゼンリン酸、ポリリン酸たとえばトリポリリン酸およびテトラポリリン酸、三元縮合反応生成物などである。ポリオキシアルキレンポリオールの製造において採用されるアルキレンオキシドは通常、2〜4個の炭素原子を有している。アルキレンオキシドの例は、プロピレンオキシド、ならびにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物である。上に列記したポリオールはそれ自体、活性水素成分として使用することができる。
【0055】
適切なポリエーテルポリオールのタイプは、一般的には、次式で表される。
R[(OC2nOH]
式中、Rは水素または多価の炭化水素基であり、aは、Rの原子価に等しい整数(すなわち、1または2から6〜8まで)であり、nは、いずれの場合においても、(両末端を含めて)2〜4の整数(特に3)であり、zは、いずれの場合においても、2〜約200、特には15〜約100の値を有する整数である。一つの実施形態においては、そのポリエーテルポリオールが、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの一つまたは複数の混合物、または少なくとも1種の前述のポリエーテルポリオールを含む組合せを含む。
【0056】
使用可能な活性水素含有物質の他のタイプは、ポリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させることによって得られるポリマーポリオール組成物である。そのような組成物を製造するのに好適なモノマーとしては、アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニリデン、およびその他のエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。ポリマーポリオール組成物には、約1以上、特には約5以上、より特には約10重量%以上の、ポリオール中で重合させたモノマーが含まれるが、ここでその重量パーセントは、ポリオールの全量を規準にしたものである。一つの実施形態においては、そのポリマーポリオール組成物が、約70以下、特には約50以下、より特には約40重量%以下の、ポリオール中で重合させたモノマーを含んでいる。そのような組成物は、選択されたポリオール中で、40℃〜150℃の温度、過酸化物、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、およびアゾ化合物のようなフリーラジカル重合触媒の存在下にモノマーを重合させることによって調製するのが好都合である。
【0057】
活性水素含有成分としてはさらに、ポリヒドロキシル含有化合物たとえば、ヒドロキシル末端ポリ炭化水素、ヒドロキシル末端ポリホルマール、脂肪酸トリグリセリド、ヒドロキシル末端ポリエステル、ヒドロキシメチル末端ペルフルオロメチレン、ヒドロキシル末端ポリアルキレンエーテルグリコール、ヒドロキシル末端ポリアルキレンアリーレンエーテルグリコール、およびヒドロキシル末端ポリアルキレンエーテルトリオールが挙げられる。
【0058】
それらのポリオールは、広い範囲にわたって変化するヒドロキシル価を有することができる。一般的には、ポリオールのヒドロキシル価は、(もし使用するのならば)他の架橋添加剤も含めて、約28〜約1000、およびそれ以上、特には約100〜約800の量で存在させる。ヒドロキシル価は、他の架橋性添加剤の存在下または非存在下に、1グラムのポリオールまたはポリオールの混合物から調製される完全アセチル化誘導体の加水分解生成物を完全に中和するのに使用される、水酸化カリウムのミリグラム数と定義される。ヒドロキシル価はさらに、次式でも定義することができる。
OH=56.1×1000×f/M.W.
式中、OHはポリオールのヒドロキシル価であり、fは、平均官能価すなわち、ポリオール1分子あたりのヒドロキシル基の平均の数であり、そしてM.W.は、ポリオールの平均分子量である。
【0059】
使用する場合には、多数の好適な発泡剤または発泡剤の混合物、特に水が好適である。水はイソシアネート成分と反応してCOガスを発生し、それが次いで、必要とされる発泡を与える。一つの実施形態においては、発泡剤として水を使用する場合には、選択的に触媒を採用することによってその硬化反応を制御する。一つの実施形態においては、分解してガスを発生する化合物(たとえば、アゾ化合物)もまた使用することができる。
【0060】
特に好適な発泡剤は、水素原子含有成分を含む物理的発泡剤であって、それは単独で、または相互の混合物として、または水もしくはアゾ化合物のような他のタイプの発泡剤との混合物として、使用することも可能であるし、それらの発泡剤は、炭化水素、エーテル、エステルおよび部分ハロゲン化炭化水素、エーテルおよびエステルなどを含む、広い範囲の物質から選択することができる。好適な物理的発泡剤は、約−50℃〜約100℃の間、特には約−50℃〜約50℃の間の沸点を有している。使用可能な水素含有発泡剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、HCFC類(ハロクロロフルオロカーボン類)たとえば、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロ−エタン、モノクロロジフルオロメタン、および1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン;HFC類(ハロフルオロカーボン類)たとえば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2,4,4−テトラフルオロブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびペンタフルオロエタン;HFE類(ハロフルオロエーテル類)たとえば、メチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル、およびジフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル;ならびに炭化水素類たとえば、n−ペンタン、イソペンタン、およびシクロペンタン等である。
【0061】
水を含めた発泡剤は、使用する場合には、一般的にポリウレタン液相組成物の1重量パーセント(重量%)以上、特には5重量%以上を占める。一つの実施形態においては、ポリウレタン液相組成物の約30重量%以下、特には20重量%以下の量で、発泡剤を存在させる。発泡剤が、周囲温度またはそれ以下の沸点を有している場合には、他の成分と混合するまでは、それを加圧下に維持する。
【0062】
イソシアネート成分と活性水素含有成分との触媒反応に使用するのに好適な触媒としては、ビスマス、鉛、スズ、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、およびジルコニウムの有機および無機酸塩ならびに有機金属誘導体、さらにはホスフィンおよび三級有機アミンが挙げられる。そのような触媒の例としては、以下のものが挙げられる。例えば、ジブチルスズジラウレート、ジジブチルスズジアセテート、オクタン酸第一スズ、オクタン酸鉛、ナフテン酸コバルト、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、o−およびp−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、N−ヒドロキシル−アルキル四級アンモニウムカルボキシレート、およびテトラメチルアンモニウムホルメート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサノエートなど、さらには前述の触媒のいずれか一つを含む組成物等である。
【0063】
一つの実施形態においては、その触媒が金属アセチルアセトネートを含んでいる。好適な金属アセチルアセトネートとしては、たとえば、アルミニウム、バリウム、カドミウム、カルシウム、セリウム(III)、クロム(III)、コバルト(II)、コバルト(III)、銅(II)、インジウム、鉄(II)、ランタン、鉛(II)、マンガン(II)、マンガン(III)、ネオジム、ニッケル(II)、パラジウム(II)、カリウム、サマリウム、ナトリウム、テルビウム、チタン、バナジウム、イットリウム、亜鉛およびジルコニウムなどの金属をベースとする金属アセチルアセトネートが挙げられる。触媒の例として、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ニッケル(II)(ニッケルアセチルアセトネートまたはジアセチルアセトネートニッケルと呼ばれることもある)およびその誘導体、たとえばジアセトニトリルジアセチルアセトナトニッケル、ジフェニルニトリルジアセチルアセトナトニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)ジアセチルアセチルアセトナトニッケルなどが挙げられる。第二鉄アセチルアセトネート(FeAA)もまた、その相対的安定度、良好な触媒活性、および無毒性のために、好適な触媒である。一つの実施形態においては、その金属アセチルアセトネートを、適切な溶媒たとえばジプロピレングリコールまたはその他のヒドロキシル含有成分(これらは次いで反応に与って、最終製品の一部となる)の中に予め溶解させることにより添加するのが好都合である。
【0064】
ポリウレタンフォームを製造する一つの方法においては、フォームを製造するための成分、すなわち、イソシアネート成分、活性水素含有成分、界面活性剤、触媒、任意選択の発泡剤、導電性の難燃性充填剤およびその他の添加剤をまず相互に混合し、次いで空気を用いた機械的フロス化法にかける。別な方法としては、機械的フロス化法の際に、液相に順々にそれらの成分を添加することもできる。フロスのガス相は、最も特には空気であるが、その理由は、安価で容易に利用しやすいからである。しかしながら、所望によっては、他のガスを使用することも可能であるが、そのガスは周囲条件ではガス状であり、液相の各種成分とは実質的に不活性すなわち非反応性である。そのようなガスとしては、たとえば、周囲温度ではガス状の窒素、二酸化炭素、フルオロカーボンが挙げられる。不活性ガスは、高剪断装置たとえば、ホバート(Hobart)ミキサーまたはオークス(Oakes)ミキサーの中で、液相を機械的ビーティングすることによって、液相の中に組み入れる。ガスは、オークス(Oakes)ミキサーにおける通常操作の場合のように、加圧下に導入することもできるし、あるいは、ホバート(Hobart)ミキサーにおけるようなビーティングまたはホイッピング作用によって、上側の雰囲気から引き入れることもできる。機械的ビーティング操作は、特に7〜14kg/cm(100〜200ポンド/平方インチ(psi))以下の圧力で実施する。容易に入手可能な混合装置を使用することができ、特殊な装置は一般的には必要ない。所望の密度のフロスを製造するために、液相の中にビーティングする不活性ガスの量は、ガス流量測定装置によって調節する。機械的ビーティングは、オークス(Oakes)ミキサー中では数秒間、あるいはホバート(Hobart)ミキサーの中では約3〜約30分間の時間をかけて実施するか、または、採用した混合装置の中で所望のフロス密度が得られるまで実施する。フロスは、機械的ビーティング操作から出てくる際には、化学的に実質的に安定であり、構造的にも安定であり、周囲温度、たとえば、約10℃〜約40℃で容易に実際に使用することができる。
【0065】
フロス化の後、その反応性混合物を、速度調節しながらホースまたはその他の導管を通過させて移送して、第一のキャリヤの上に付着させる。便宜上、この第一のキャリヤを「ボトムキャリヤ(bottom carrier)」と呼ぶが、このものは一般的には可動支持体であって、硬化フォームを容易に剥離させることが可能であるか、不能である。第二のキャリヤは、本明細書では「表面保護層(surface protective layer)」または「トップキャリヤ(top carrier)」と呼ぶが、これをフロスの上部にセットすることができる。トップキャリヤもまた可動支持体であって、これも、硬化フォームから容易に剥離させることが可能であるか、不能である。トップキャリヤは、フロスとほとんど同時に適用することができる。トップキャリヤを適用する前に、ドクターブレードまたはその他の適切な塗布用具によって、フォームを塗り広げて、所望の厚みの層とすることができる。別な方法として、トップキャリヤを置くことを利用してフォームを押し広げて、フロス化層を所望の厚みに調整することもできる。さらにまた別な実施形態においては、トップキャリヤを置いた後にコーターを使用して、フォームの高さを調整することもできる。トップキャリヤを塗布してから、フロス化させたフォームを、物理的発泡剤または化学的発泡剤の作用で発泡させる。一つの実施形態においては、フォームの表面に対して、キャリヤが実質的に平坦な表面を与える。一つの実施形態においては、次いで、組み合わせた全体を磁石とオーブンの中に入れ、粒子の配列とポリマーフォームの硬化の両方を行わせる。
【0066】
キャリヤとフォーム層との組合せ物(任意工程の発泡の後に)を、導電性粒子を配列させ、フォームを硬化させるための加熱ゾーンおよび磁場に送る。温度は、フォームを硬化させるのに適当な範囲、たとえば約90℃〜約220℃に維持するが、その温度はフォーム材料の組成に依存する。温度差を作って、フォームの外側表面の上にインテグラルスキンを形成させたり、フォームに相対的に重い層を加えたりすることも可能である。
【0067】
フォームを加熱硬化させた後に、次いで、冷却ゾーンに送り込んで、ファンなど各種適切な冷却設備でそれを冷却することができる。適切であるのならば、キャリヤを除いて、フォームをロールに巻き取ることができる。別な方法として、フォームを、さらなる加工たとえばキャリヤ層への積層(熱および圧力を使用して接着)にかけることもできる。
【0068】
特定の実施形態においては、ポリマーフォームを製造する方法には、ポリイソシアネート成分、そのポリイソシアネート成分との反応性を有する活性水素含有成分、界面活性剤、触媒、および複数の磁性で導電性の粒子を含む充填剤組成物を含む液状組成物をフロス化させる工程、そのフロスを除去可能層の上にキャスティングして、除去可能層に隣接する第一の表面および反対側の第二の表面を有するポリマー層を形成させる工程、およびそのポリマー層を磁場に暴露させて、その磁性で導電性の粒子を配列させて、第一の表面と第二の表面との間の層に実質的に連続して拡がり、除去可能層の中に埋め込まれている相互に単離されたカラムとする工程、およびその層を硬化させて、約1〜約125ポンド/立方フィートの密度、約20%以上の伸び、および約30%以下の圧縮永久歪みを有するポリウレタンフォームを製造する工程が含まれる。この方法には、層を完全に硬化させるより前に、層を部分的に硬化させる工程をさらに含むことが可能であり、この場合、層を部分的に硬化させた後に磁場を印加する。さらには、除去可能層を除去して、導電性粒子を第一の表面に露出させることも可能である。さらに、この方法には、キャリヤの上に除去可能層を配することも含む。
【0069】
また別な特定の実施形態においては、ポリマーフォーム層の製造方法には、(a)ポリマーフォーム前駆体組成物、および複数の磁性で導電性の粒子を含む充填剤組成物を含む前駆体層を形成させる工程であって、ここで、その前駆体層が、第一の表面および第二の反対側の表面を有し、第一の除去可能層の上に配された第一の表面を有するように形成される工程、(b)そのフォーム前駆体組成物を発泡させて、発泡させた層を形成させるが、その発泡させた層が複数のセルを有する工程、(c)その発泡させた層に、その磁性で導電性の粒子を配列させて、第一の末端および第二の末端を有する相互に単離されたカラムとするに有効な強度と時間で、磁場を印加する工程であって、ここでそれらの粒子が、第一の表面と反対側の第二の表面との間の層に実質的に連続して拡がっている工程、(d)その発泡させた層を硬化させる工程、および(e)硬化の前または硬化の途中に、その第一の除去可能層を、第一の除去可能層に隣接したカラムの第一の末端が、その第一の除去可能層の中に部分的に埋め込まれることを可能とするのに有効な温度と時間での加熱に暴露させる工程が含まれる。この方法には、さらに、(f)硬化の前または硬化の途中に、ポリマーフォーム層の第二の表面の上に第二の除去可能層を配する工程、および(g)硬化の前または硬化の途中に、その第二の除去可能層を、第二の除去可能層に隣接したカラムの第二の末端がその第二の除去可能層の中に部分的に埋め込まれることを可能とするのに有効な温度と時間での加熱に暴露させる工程を含むことができる。この方法には、第一および/または第二の除去可能層を除去して、カラムの第一および/または第二の末端を露出させる工程をさらに含むこともできる。さらには、この方法には、キャリヤの上に除去可能層(1層または複数)を配する工程を含むこともできる。
【0070】
また別な特定の実施形態においては、ポリマーフォーム層の製造方法には、(a)ポリマーフォーム前駆体組成物、および複数の導電性および/または導磁性の粒子を含む充填剤組成物を含む前駆体層を形成させる工程であって、ここで、その前駆体層が、第一の表面および第二の反対側の表面を有し、第一の除去可能層の上に配された第一の表面を有するように形成される工程、(b)そのフォーム前駆体組成物を発泡させて、フォーム層を形成させるが、その発泡させた層が複数のセルを有する工程、(c)その発泡させた層を硬化させる工程、および(d)硬化の前または硬化の途中に、第一の除去可能層を、その導電性および/または導磁性の粒子がその第一の除去可能層の中に部分的に埋め込まれることを可能とするのに有効な温度と時間での加熱に暴露させる工程が含まれる。さらには、この方法には、(e)硬化の前または硬化の途中に、ポリマーフォーム層の第二の表面の上に第二の除去可能層を配する工程、および(g)硬化の前または硬化の途中に、第二の除去可能層を、その導電性および/または導磁性の粒子がその第二の除去可能層の中に部分的に埋め込まれることを可能とするのに有効な温度と時間での加熱に暴露させる工程を含むこともできる。その方法にはさらに、硬化の前または硬化の途中に、第一の末端および第二の末端を有し、第一の表面と反対側の第二の表面との間のポリマーフォームに実質的に連続して拡がっている経路の中に導電性および/または導磁性の粒子を配列するに有効な強度と時間で、その発泡させた層に磁場を印加する工程を含むこともできる。さらには、この方法には、第一および/または第二の除去可能層を除去して、導電性粒子を露出させる工程を含むこともできる。さらには、この方法には、キャリヤの上に除去可能層(1層または複数)を配する工程を含むこともできる。
【0071】
一つの実施形態においては、その導電性ポリウレタンフォームが、コーティングされた難燃剤粒子を含まない、同一のポリウレタンフォームの機械的性質に類似した機械的性質を有している。補助的な発泡剤を採用した場合には、得られるフォームが、約1pcfもの低い嵩密度を有することも可能である。
【0072】
ポリシロキサンポリマーおよび導電性粒子を含むシリコーンフォームを使用することもまた可能である。
【0073】
一つの実施形態においては、シリコーンフォームを製造する方法には、(a)第一の除去可能層の上に混合物を広げるかまたは押出す工程であって、その混合物が、ヒドリド置換基を有するポリシロキサンポリマー、発泡剤、白金系触媒、および複数の磁性で導電性の粒子を含む充填剤組成物を含む工程、および(b)印加した磁場の中でその混合物を発泡および硬化させて、磁性で導電性の粒子を、そのフォームの第一の表面と第二の反対側の表面との間でフォームに実質的に連続して拡がり、第一の除去可能層の中に部分的に埋め込まれている、相互に単離された経路の中に配列させる工程であって、ここで、そのフォームの第一の表面が、第一の除去可能層に隣接している、工程が含まれる。さらには、この方法には、(c)硬化の前または硬化の途中に、そのフォームの上に第二の除去可能層を配する工程であって、ここでそのフォームの第二の表面が第二の除去可能層に隣接している工程、および(d)硬化の前または硬化の途中に、磁場を印加して、その磁性で導電性の粒子をその第二の除去可能層の中に部分的に埋め込む工程を含むこともできる。
【0074】
一つの実施形態においては、水と、ポリシロキサンポリマー前駆体組成物中のヒドリド基とが反応し、次いで水素ガスが放出された結果として、シリコーンフォームが製造される。この反応は、一般的には、貴金属、特に白金触媒の触媒作用を受ける。一つの実施形態においては、そのポリシロキサンポリマーが、25℃で約100〜1,000,000ポワズの粘度を有し、ヒドリド、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニル、およびトリフルオロプロピルからなる群より選択される鎖置換基を有している。ポリシロキサンポリマーにおける末端基は、ヒドリド、ヒドロキシル、ビニル、ビニルジオルガノシロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アリル、オキシム、アミノキシ、イソプロペノキシ、エポキシ、メルカプト基、またはその他公知の反応性末端基とすることができる。好適なシリコーンフォームはさらに、数種のポリシロキサンポリマーを使用して製造することもできるが、それらは、組み合わせたものの粘度が、先に規定された値の中にある限りにおいては、それぞれが異なった分子量(たとえば、バイモーダルまたはトリモーダル分子量分布)を有していてよい。望ましいフォームを製造する目的で、各種の官能基または反応性基を有する、数種のポリシロキサン系ポリマーを用いることもまた可能である。一つの実施形態においては、そのポリシロキサンポリマーが、水1モルあたり、約0.2モルのヒドリド(Si−H)基を含んでいる。
【0075】
使用されるポリシロキサンポリマーの化学反応性に依存して、触媒、一般的には白金触媒または白金含有触媒を使用して、発泡および硬化反応に触媒作用を与えることができる。触媒は、不活性な担体、たとえばシリカゲル、アルミナ、もしくはカーボンブラックの上、または本明細書に開示されたような除去可能層の上に析出させることができる。一つの実施形態においては、クロロ白金酸、その六水和物の形、そのアルカリ金属塩、およびその有機誘導体との錯体から選択される非担持触媒が使用される。触媒の例としては、以下のものが挙げられる。例えば、クロロ白金酸とビニルポリシロキサンたとえば1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとの反応生成物であって、塩素原子を部分的または全面的に除去するためにアルカリ性薬剤用いた処理などをしたもの、クロロ白金酸とアルコール、エーテル、およびアルデヒドとの反応生成物、ならびに、ホスフィン、ホスフィンオキシドとの、およびオレフィンたとえばエチレン、プロピレン、およびスチレンとの白金キレート化合物および塩化第一白金錯体等である。使用するポリシロキサンポリマーの化学反応性に依存して、白金系触媒に代えて、その他の触媒たとえばジブチルスズジラウレートを使用することもまた望ましい。
【0076】
各種の白金触媒抑制剤を使用して、発泡および硬化反応の動力学を制御して、シリコーンフォームの多孔度および密度を調節することも可能である。そのような抑制剤の例としては、ポリメチルビニルシロキサン環状化合物およびアセチレンアルコールが挙げられる。それらの抑制剤は、発泡および硬化を妨害して、フォームを崩壊させるようなことがあってはならない。
【0077】
先にポリウレタンの場合に列挙した物理的および化学的発泡剤も含めて、物理的発泡剤または化学的発泡剤を使用してシリコーンフォームを製造することができる。化学的発泡剤のその他の例としては、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタンジオール、およびシラノールが挙げられる。一つの実施形態においては、望ましい特性を有するフォームを得るために、発泡法を組み合わせて使用する。たとえば、発泡の一次的モードが水とポリシロキサン上のヒドリド置換基との反応の結果として放出される水素であるような反応性混合物に、二次的な発泡剤として物理的発泡剤たとえばクロロフルオロカーボンを添加することができる。
【0078】
シリコーンフォームの製造においては、前駆体組成物の反応性成分を二つのパックに保存し、その一つには白金触媒を入れ、他方にはヒドリド基を含むポリシロキサンポリマーを入れて、早すぎる反応が起きるのを防止する。導電性粒子は、いずれのパックに加えることも可能である。また別な製造方法においては、ポリシロキサンポリマーを、導電性粒子、水、物理的発泡剤(必要であるならば)、およびその他の望ましい添加剤と共にエクストルーダーに導入する。次いで、エクストルーダーの中に白金触媒を計量仕込みして、発泡および硬化反応を開始させる。化学的発泡剤たとえば水と組み合わせて、液状二酸化炭素または超臨界二酸化炭素のような物理的発泡剤を使用すると、密度がより低いフォームを生じさせることが可能となる。さらにまた別な方法においては、液状シリコーン成分を型または連続コーティングラインのような装置の中に、計量仕込みし、混合し、調合する。次いで、その型の内部かまたは連続コーティングラインの上かのいずれかで、発泡を起こさせる。
【0079】
一つの実施形態においては、白金触媒、ヒドリド基を含むポリシロキサンポリマー、導電性粒子、物理的および/または化学的発泡剤、任意選択の白金触媒抑制剤、およびその他の望ましい添加剤を含む全体の集積物を磁場の中に置く。発泡は、磁場に暴露する前またはその途中に起こさせることができる。
【0080】
導電性シリコーンフォームは、導電性粒子を含まない同一のシリコーンフォームの機械的性質と同一であるか、または実質的に同様の機械的性質を有することができる。
【0081】
別な方法においては、1分子あたり少なくとも2個のアルケニル基を有するポリシロキサン、その組成物を硬化させるのに有効な量で、少なくとも2個のケイ素に結合された水素原子を有するポリシロキサン、触媒、および約100〜約1000センチポワズの粘度を有する、任意に反応性または非反応性のポリシロキサン流体を含む液状シリコーン組成物を含む前駆体組成物を反応させることによって、軟らかい、導電性シリコーン組成物を形成させることができる。適切な反応性シリコーン組成物は、低硬度で、1:1液状シリコーンゴム(LSR)または液状射出成形(LIM)組成物である。それらのインヘレント粘度が低いために、低硬度LSRまたはLIMを使用すると、より多量に充填剤を添加することが容易となり、軟らかいフォームの生成がもたらされる。
【0082】
反応性または非反応性のポリシロキサン流体を使用することで、硬化させたシリコーン組成物の中により大量の充填剤を組み入れることが可能となり、その結果、得られる体積および表面抵抗率の値が低くなる。一つの実施形態においては、そのポリシロキサン流体が、硬化させたシリコーンの内部にとどまり、抽出されたり除去されたりすることがない。そのために、その反応性シリコーン流体が、ポリマーマトリックスの一部となり、ガス放出性の低下と、使用している際の表面への移行がほとんどないか、またはまったくない。一つの実施形態においては、その非反応性シリコーン流体の沸点が充分に高くて、それをポリマーマトリックスの中に分散させたときに、硬化の途中または後に蒸発することがなく、表面に移行したり、ガスが放出されたりすることはない。
【0083】
一つの実施形態においては、LSRまたはLIM系が、体積で約1:1の比率で混合するのに適した二剤式の配合物として提供される。配合の「A」パートには、2個以上のアルケニル基を有する1種または複数のポリシロキサンが含まれ、約500g/分未満の押出し速度を有している。好適なアルケニル基の例としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、およびヘプテニルが挙げられるが、ビニルが特に適している。アルケニル基は、分子鎖の末端か、分子鎖の上のペンダント位置か、またはその両方に結合させることができる。2個以上のアルケニル基を有するポリシロキサンの中のその他のケイ素に結合した有機基の例としては、以下のものが挙げられる。例えば、置換および非置換の一価の炭化水素基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシル等のアルキル基、たとえばフェニル、トリル、およびキシリル等のアリール基、たとえばベンジルおよびフェネチル等のアラルキル基、ならびにたとえば3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキル基等である。置換基の例は、メチルおよびフェニル基である。
【0084】
アルケニル含有ポリシロキサンは、直鎖、部分的に分岐状の直鎖、分岐鎖、またはネットワーク分子構造を有することができるか、または例に挙げた分子構造を有するポリシロキサンから選択した2個以上の混合物とすることができる。アルケニル含有ポリシロキサンの例としては、以下のものが挙げられる。例えば、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端封鎖メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖メチルビニルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖メチルビニルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルビニルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー、RSiO1/2およびSiO4/2単位を含むポリシロキサン、RSiO3/2単位を含むポリシロキサン、RSiO2/2およびRSiO3/2単位を含むポリシロキサン、RSiO2/2、RSiO3/2およびSiO4/2単位を含むポリシロキサン、ならびに上述のポリシロキサンの2個以上の混合物等である。Rは、置換および非置換の一価の炭化水素基、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシル等のアルキル基、たとえばフェニル、トリル、およびキシリル等のアリール基、たとえばベンジルおよびフェネチル等のアラルキル基、ならびにたとえば3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキル基等であるが、ただし、1分子あたり少なくとも2個のR基がアルケニルである。
【0085】
LSRまたはLIM系の「B」成分には、1分子あたり少なくとも2個のケイ素に結合した水素原子を含む1種または複数のポリシロキサンを含み、そして約500g/分未満の押出し速度を有している。水素は、分子鎖の末端か、分子鎖の上のペンダント位置か、またはその両方に結合させることができる。その他のケイ素に結合した基は有機基であって、例として以下のものが挙げられる。例えば、非アルケニルの、置換および非置換の一価の炭化水素基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシル等のアルキル基、たとえばフェニル、トリル、およびキシリル等のアリール基、たとえばベンジルおよびフェネチル等のアラルキル基、ならびにたとえば3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキル基等である。置換基の例は、メチルおよびフェニル基である。
【0086】
水素含有ポリシロキサン成分は、直鎖、部分的に分岐状の直鎖、分岐鎖、環状、ネットワーク分子構造を有することができるか、または例に挙げた分子構造を有するポリシロキサンから選択した2個以上の混合物とすることができる。水素含有ポリシロキサンの例としては、以下のものが挙げられる。例えば、トリメチルシロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端封鎖メチル水素シロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチル水素シロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチル水素シロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン、ジメチル水素シロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマー、ジメチル水素シロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、およびジメチル水素シロキシ末端封鎖メチルフェニルポリシロキサン等である。
【0087】
水素含有ポリシロキサン成分は、組成物を硬化させるのに充分な量、特には、アルケニル含有ポリシロキサン中のアルケニル基あたり、約0.5〜約10個のケイ素に結合した水素原子の量で添加する。
【0088】
シリコーン組成物にはさらに、硬化を促進させるために、一般的には成分「A」の一部として、触媒たとえば白金を含む。ヒドロシリル化反応触媒として公知の白金および白金化合物を使用することができるが、そのようなものとしてはたとえば、以下のものが挙げられる。例えば、白金黒、白金/アルミナ粉体、白金/シリカ粉体、白金/炭素粉体、クロロ白金酸、クロロ白金酸のアルコール溶液、白金−オレフィン錯体、白金−アルケニルシロキサン錯体、ならびに、熱可塑性樹脂たとえばメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーンなどの中で、上述のように白金添加反応触媒の分散体の微粒子化(microparticulation)によって得られる触媒等である。触媒の混合物もまた使用することが可能である。本発明の組成物を硬化させるのに有効な触媒の量は、一般的に、アルケニルおよび水素成分を合計した量を基準にして、0.1〜1,000ppm(重量)の白金金属である。
【0089】
その組成物には、場合によっては、約1000センチポワズ以下、特には約750センチポワズ以下、より特には約600センチポワズ以下、最も特には約500センチポワズの粘度を有する、1種または複数のポリシロキサン流体がさらに含まれる。そのポリシロキサン流体はさらに、約100センチポワズ以上の粘度を有することも可能である。ポリシロキサン流体成分は、組成物の粘度を低下させ、それによって、充填剤の担持量の増大、充填剤の濡れの向上、および充填剤の分布の改良の内の少なくとも一つを可能とし、その結果硬化させた組成物が、より低い抵抗および抵抗率の値(resistance and resistivity)を有するようにすることを目的として添加される。ポリシロキサン流体成分を使用することによってさらに、抵抗値の温度依存性を抑制するか、および/または抵抗および抵抗率の値の時間変動(timewise variation)を抑制することが可能である。ポリシロキサン流体成分を使用することによって、加工の際の流体を除去するための余分な工程の必要性、さらには可能性があるガス放出、および使用の際の希釈剤の移行などが取り除かれる。ポリシロキサン流体が、硬化反応すなわち組成物の付加反応を阻止するようなことがあってはならないが、それが、硬化反応に与っても、与らなくてもよい。
【0090】
その非反応性ポリシロキサン流体は、約500゜F(260℃)を超える沸点を有し、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。非反応性のポリシロキサン流体には、ケイ素に結合した非アルケニル有機基を含み、それらの例として以下のものが挙げられる。例えば、非アルケニルの、置換および非置換の一価の炭化水素基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシル等のアルキル基、たとえばフェニル、トリル、およびキシリル等のアリール基、たとえばベンジルおよびフェネチル等のアラルキル基、ならびにたとえば3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキル基等である。置換基の例は、メチルおよびフェニル基である。したがって、非反応性ポリシロキサン流体は、RSiO1/2およびSiO4/2単位、RSiO3/2単位、RSiO2/2およびRSiO3/2単位、またはRSiO2/2、RSiO3/2、およびSiO4/2単位を含むことができるが、ここでRは、以下のものからなる群より選択される置換および非置換の一価の炭化水素基を表す。例えば、アルキル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリール、フェニル、トリル、キシリル、アラルキル、ベンジル、フェネチル、ハロゲン化アルキル、3−クロロプロピル、および3,3,3−トリフルオロプロピル等である。非反応性ポリシロキサンは流体であり、顕著に高い沸点(約230℃(500゜F)よりも高)を有しているので、それによって、より多量の充填剤の組入れが可能となるが、移行したり、ガス放出したりすることはない。非反応性ポリシロキサン流体の例としては、ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corporation)製のDC200が挙げられる。
【0091】
反応性ポリシロキサン流体を、アルケニル含有ポリシロキサンおよび少なくとも2個のケイ素に結合した水素原子を有するポリシロキサンと共硬化させると、それによって、それら自体に、アルケニル基またはケイ素に結合した水素基を含むことができる。そのような化合物は、アルケニル含有ポリシロキサンおよび少なくとも2個のケイ素に結合した水素原子を有するポリシロキサンに関連して先に述べたものと同一の構造を有することができるが、それに加えて、約1000センチポワズ(cps)以下、特には約750cps以下、より特には約600cps以下、最も特には約500cps以下の粘度を有している。一つの実施形態においては、その反応性ポリシロキサン流体が、その付加硬化反応の硬化温度よりも高い沸点を有している。
【0092】
ポリシロキサン流体成分は、より多量の導電性充填剤の添加、組入れおよび濡れを可能とするか、および/または導電性粒子の組入れを容易とする、たとえばデタングリング(detangling)および/または分散を容易とするのに有効な量で存在させる。一つの実施形態においては、ポリシロキサン流体成分を、1分子あたり少なくとも2個のアルケニル基を有するポリシロキサンの組合せ量100重量部あたり、約5〜約50重量部の量にある組成物に添加するが、そのポリシロキサンは、組成物を硬化させるのに有効な量で、少なくとも2個のケイ素に結合した水素原子と触媒とを有している。ポリシロキサン流体成分の量は、特には約5以上、より特には約7.5以上、さらにより特には約10重量部以上である。さらに、1分子あたり少なくとも2個のアルケニル基を有するポリシロキサンの組合せ量の、約50重量部以下、より特には約25重量部以下、より特には約20重量部以下のポリシロキサン流体成分もまた望ましく、そのポリシロキサンは、その組成物を硬化させるのに有効な量にある少なくとも2個のケイ素に結合した水素原子、および触媒を有する。
【0093】
シリコーンフォームにはさらに、場合によっては、硬化可能なシリコーンゲル配合物を含むこともできる。シリコーンゲルは、軽く架橋させた流体、または生硬化の(under−cured)エラストマーである。それらは、触ったときに、極めて軟らかく粘着性の強いものから、中程度の軟らかさでほんの少ししか粘着性のないものまでが揃っているという点でユニークである。ゲル配合物を使用することで、組成物の粘度が低下し、それによって、充填剤の担持量の増大、充填剤の濡れの向上、および/または充填剤の分布の改良の内の少なくとも一つが可能となり、その結果、硬化させた組成物が、より低い抵抗および抵抗率の値を有し、軟度が増す。適切なゲル配合物は、二成分型硬化性配合物、一成分型配合物のいずれであってもよい。二成分型硬化性ゲル配合物の成分は、先にLSR系について説明したもの(すなわち、1分子あたり少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよび1分子あたり少なくとも2個のケイ素に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン)と同様である。主な違いは、充填剤が存在していないこと、およびケイ素に結合した水素基(Si−H基)のアルケニル基に対するモル比が通常1未満であって、それを変化させて、硬化させたゲルが弛み(looseness)と軟度(softness)を有する「低架橋の(under−crosslinked)」ポリマーを得ることが可能であることにある。具体的には、シリコーンに結合された水素原子のアルケニル基に対する比率が、約1.0以下、特には約0.75以下、より特には約0.6以下、最も特には約0.1以下である。適切な二成分型シリコーンゲル配合物の一例は、ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corporation)から市販されているシルガード(SYLGARD)(登録商標)527ゲルである。
【0094】
本明細書に記載の除去可能層の上にシリコーンフォームをキャストするか、キャリヤのみを使用して加工するか、あるいは除去可能層とキャリヤの両方を使用することもできる。
【0095】
磁気的に配列された、導電性粒子を使用することによって、導電性充填剤の使用レベルを減らしても、優れた導電性を有するポリマーフォームを製造することが可能となる。使用レベルを下げることによって、物理的性質、特に圧縮永久歪みおよび/または軟度が改良されたフォームが得られる。これらの特性によって、そのポリマーフォームを以下のような各種の物品として使用することが可能となる。例えば、ガスケット材料、電気接地パッド、バッテリー接点導電性スプリング要素など、特に電磁気遮蔽および/または無線周波数遮蔽または静電気放散性が望まれる物品等である。それらの材料は、導電性と同時に、シーリング性、衝撃吸収および/またはクッション性が望ましいような用途で使用することができる。その導電性充填剤が伝熱性であるか、または導電性充填剤および伝熱性充填剤の両方が存在しているならば、それらのフォーム層を使用して、熱伝導性を与えることも可能であろう。一つの実施形態においては、(導電性充填剤に代えて)伝熱性充填剤を使用して、熱伝導性を有する層を得ることも可能である。
【0096】
導電性フォームは、導電層(たとえば、銅フォイル)およびパターン化した非導電性粘着剤の存在下または非存在下でも使用することができよう。公知のように、非導電性粘着剤は、導電性粘着剤に比較して顕著に低コストであるために望ましいものである。前述の物品構成によって、より安価な粘着剤を使用すると同時に、フォーム層と導電層との間の電気的接続が可能となる。また別の実施形態においては、硬化させたポリマーフォームの配合を公知の手段で調節して、ポリマーフォームに粘着性能を与える。導電性フォーム粘着剤を得ることが可能である。
【0097】
磁気的に配列させた、導電性粒子を使用することによって、100psiの圧力で約10−3ohm−cm〜約10ohm−cmの体積抵抗率を有する導電性ポリマーフォームを製造することが可能となる。この範囲においては、体積抵抗率を、約10ohm−cm以下、より特には約10ohm−cm以下、最も特には約1ohm−cm以下とすることができる。
【0098】
一つの実施形態においては、このポリマーフォームは、約50デシベル(dB)以上、特には約70dB以上、さらにより特には約80dB以上の大きさの電磁遮蔽を与える。電磁遮蔽を測定する一つの方法は、MIL−G−83528Bに記載されている。
【0099】
具体的な実施形態においては、ポリマーフォームの体積抵抗率が約1以下であり、電磁遮蔽が約80dB以上である。
【0100】
また別の実施形態においては、フォームはさらに、少なくとも一つの以下の性質を有する:約0.007〜約10.5kg/cm(約0.1〜約150psi)の25%圧縮荷重撓み(CFD);約20%以上の破断時伸び;約30%以下の圧縮永久歪み(50%)、および約1〜約125pcfの嵩密度。
【0101】
圧縮荷重撓み(CFD)に反映される弾性率は、インストロン(Instron)上で、最小0.6センチメートル(0.250インチ)、通常は約0.9センチメートル(0.375インチ)にスタックした5×5センチメートルの打抜きサンプル(ロットまたはランあたり二つのスタックを使用)と、インストロン(Instron)の底部に載せた9090kg(20,000ポンド)セルを使用して求める。CFDは、ASTM D1056に従って、サンプルを元の厚みの25%にまで圧縮するのに必要な力(ポンド/平方インチ(psi))を計算することによって測定した。
【0102】
引張強度および伸びは、20キログラム(50ポンド)ロードセルと取り付けたインストロン(Instron)を使用し、厚みおよび密度に応じて4.5〜9.0キログラムの範囲で測定する。引張強度は、破断時の力の大きさ(キログラム/平方センチメートル(kg/cm))を、サンプルの厚みで割り、2倍することによって計算する。伸びは、パーセント伸びとして報告する。
【0103】
一つの実施形態においては、本明細書に開示されたようにして、導電性粒子をフォーム全体に分散させて、フォーム層に実質的に連続して拡がっていて、除去可能層の中に埋め込まれている経路を形成させる。別な方法として、そのフォームが、本明細書に開示されたようにして、磁性で導電性のカラムの形にフォームの内部で配列され除去可能層の中に埋め込まれた高アスペクト比の粒子を含む。それぞれのカラムは、相互に他の粒子の鎖からは単離された、磁性で導電性の、高アスペクト比粒子の単一の鎖からなっている。それぞれの鎖が1〜20個、特には1〜6個の磁性で導電性の、高アスペクト比粒子からなっていると、良好な導電性を達成することができる。それらの鎖は、厳密に直鎖状になっている必要はないが、粒子の間では相互の接触があって、それによって電気的な経路が確立されている。高アスペクト比粒子を使用することで、高アスペクト比を持たない球状またはそれと類似の形状の粒子に比べて、ある種の利点を有することができる。高アスペクト比粒子という次元は、フォーム層の厚みにわたるカラムを形成させるために必要な個々の粒子の数が少ないということを意味している。したがって、高アスペクト比粒子を使用すると、導電性のカラムを形成するのに必要な粒子間の接触の数が少なくなる。さらに、先に述べたように、単一の高アスペクト比粒子が、その中でそれが配列されるフォームの厚みと同程度か、またはやや大きい最大寸法を有することができる。そのような場合においては、相互に単離された導電性カラムを形成させるのに、粒子間の接触は必要ない。さらに、フォーム層の厚みよりも大きい長さを有する粒子を使用することによって、磁性的な配列が完了した後に、さらなる発泡が起きたとしても、依然として良好な導電性を達成することができる。高アスペクト比粒子の高さに見合うまでフォームを成長させることが可能で、カラムの末端を、フォーム全体での導電性を維持することが困難となるほど深く被覆することはない。一つの実施形態においては、粒子の末端の一方または両方を、フォーム層の表面に露出させたままにする。また別の実施形態においては、フォームを膨張させて、高アスペクト比粒子のちょうど両末端程度にまで成長させる。
【0104】
除去可能層を使用することはさらに、カラムの中に配列された導電性粒子を有さない、たとえば、それらの粒子がフォーム全体に分散されているポリマーフォームに適用することもできる。この実施形態においては、ポリマーフォーム層が、導電性であるか、場合によっては導磁性である複数の粒子を含む。そのフォーム層は、第一の表面および反対側の第二の表面を有し、そのポリマーフォーム層の第二の表面の上に除去可能層が配されている。この実施形態においては、フォームの中に分散された導電性粒子が経路を形成し、それが第一の表面および第二の表面からポリマーフォームに実質的に拡がっている。導電性粒子の一部を第一のフォーム層の表面で露出させ、それら導電性粒子の他の一部は部分的に除去可能層の中に埋め込まれている。
【0105】
また別の実施形態においては、カラムの中に配列された導電性粒子を有さないポリマーフォーム層を以下のようにして製造することができる。最初に、ポリマーフォーム前駆体組成物および充填剤組成物を含む前駆体層を形成させる。その充填剤組成物には、導電性、場合によっては導磁性である複数の粒子が含まれている。その前駆体層は、第一の表面および第二の反対側の表面を有しており、除去可能層の上に配された第一の表面を有するように成形される。次いで、その前駆体層を発泡させてフォーム層を形成させるが、そのフォーム層は、複数のセルおよび導電性粒子を有している。それらの導電性粒子は、フォーム層全体に分散されているが、ここでその分散された粒子が、第一の表面から接続されている第一の末端と、第二の表面へと接続されている第二の末端とを有する経路を形成している。そのフォーム層を硬化させる。硬化の前または硬化の途中に、その除去可能層を、経路に沿って接続されている導電性粒子を、除去可能層の中に部分的に埋め込むことを可能とするのに有効な温度および時間の加熱に暴露させる。場合によっては、硬化の前または硬化の途中に、有効な強度と時間で磁場をフォーム層に印加して、分散された粒子をさらに配列させ、第一の表面と反対側の第二の表面との間のフォーム層に拡がるさらなる経路を形成させ、および/または除去可能層の中に導電性粒子の一部をさらに埋め込むことができる。場合によっては、フォームが部分的に硬化するか、または完全に硬化したら、除去可能層を除去する。除去可能層を除去すると、導電性粒子が露出する。別な方法として、その製造プロセスの間、除去可能層をフォーム層の上に残しておいて、導電性粒子を環境からの影響たとえば腐食から保護することも可能であり、必要となったときにそれを除去することもできる。
【0106】
フォームに対して良好な機械的性質、特に発泡シートに良好なシール性を与えるためには、フォーム中のセルの平均直径が約20〜約500マイクロメートル、好ましくは約20〜約300マイクロメートルである。したがって、フォームの最適な気泡直径は、フォームシートの望ましい厚みと望ましいシーリング性能との間のバランスとなるであろう。
【0107】
例示的であって、限定的ではない意味合いを有する以下の実施例で、本明細書に記載の電磁気的遮蔽性、および/または静電気放散性、および/または導電性のポリマーフォームの各種の実施形態のいくつかの組成物および製造方法を説明する。
【実施例】
【0108】
以下の試験を使用して、導電率を求めた。公知のように、体積抵抗率および静電気遮蔽性の特定の数値は、特定の試験の方法および条件に依存するであろう。たとえば、体積抵抗率および遮蔽効果は、試験の際にサンプルにかけられた圧力で変化しうるということは公知である。以下のサンプルにおける体積抵抗率を測定するために有用な電気機器および試験装置は、下記のとおりである。その装置は、2.5cm×2.5cm(1インチ×1インチ)平方を金メッキし、電気接点を有する慣用仕様のプレスである。その装置にはデジタル圧力ゲージが備わっていて、それによってオペレーターが、サンプルの表面に加わる力を制御し、調節することが可能となる。電源からサンプル表面に、0〜2アンペアをかけることが可能である。サンプルを横切っての電圧低下およびオームは、HP34420Aナノボルト/マイクロ・オームメーター(Nano Volt/Micro Ohmmeter)を使用して測定する。その装置の電子部品をウォームアップさせると、HP34420Aの場合であれば、内部較正チェックが実施される。サンプルは、24時間かけて、試験環境の条件に平衡させる。適切な試験環境は、50%相対湿度(%RH)、室温23℃(70゜F)である。試験にかけるサンプルを、試験装置のプラテンの間にセットし、その表面に荷重をかける。かける荷重は、試験にかけるサンプルのタイプに依存し、軟らかいフォームは小さい荷重を用いて試験するが、それに対して固い物は、約63,279〜約210,930キログラム/平方メートル(90〜300ポンド/平方インチ)の荷重範囲を使用して試験する。荷重をかけてから、サンプルに電流を印加し、サンプルの厚みによる電圧低下を測定する。適切な試験では、4種の異なったアンペア設定、0.5、1.0、1.6、および2.0アンペアでの測定が含まれるであろう。導電性の複合材料の場合、4種のアンペア設定のすべてで、得られる計算体積抵抗率は似たものとなるであろう。体積抵抗率の計算は次式のとおりである。
体積抵抗率(ohm−cm)=(E/I)×(A/T)
式中、E=電圧低下(V)、I=電流(アンペア)、A=面積(cm)、T=厚み(cm)である。
【0109】
体積抵抗率の測定は、エラストマー系のサンプルでも以下のようにして、同様に実施する。長方形のサンプルを切り出し、銀ペイントを用いて端部をコーティングし、ペイントを乾燥させ、そして電圧計を使用して、抵抗測定を実施する。
【0110】
(実施例1)
シリコーンフォーム中の導電性充填剤として、ニッケルおよびニッケル被覆セラミックミクロスフェアの評価を実施した。シリコーン(ダウ・コーニング・シリコーン(Dow Corning Silicone)8137およびヌシル・テクノロジー・LLC(Nusil Technology LLC)製のヌシル(NUSIL)6033)、充填剤ミクロスフェア、およびシリコーン硬化抑制剤(アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.)製の1−オクチン−3−オール)をフラクテック(Flaktek)スピードミキサー中で混合し、所定の厚みでPETフィルムの上にキャストし、オーブン中に入れて、調整可能な磁場に暴露させた。一般的には、ここで化学的に発泡させ、硬化させたフォームは、70〜80ミル(1778〜2032マイクロメートル)の厚みを有する。
【0111】
表1における結果から、1200ガウスもの強い磁場の下でも、硬化フォームの厚い層の中では、導電性が観察されなかったということが判る。
【0112】
【表1】

【0113】
(実施例2)
表2に、100%ニッケルミクロスフェアを使用したさらなるランの結果を示す。配合物を、18〜40ミル(457〜1016マイクロメートル)の厚みでキャストして、フォームサンプルを調製した。
【0114】
【表2】

【0115】
表2に示したランにおいては、充填剤のカラムの形成が観察された。しかしながら、そのフォームは導電性ではなかった。トップキャリヤなしでラン1〜3をキャストしたが、その結果、フォームの品質はさらに悪くなった。ラン4〜13の解析から、硬化フォームの厚みが40〜120ミル(1016〜3038マイクロメートル)であり、そして2個以上のセルが、フォームの厚み(z方向)に拡がっているということが判った。図6は、実施例3のランNo.11のフォームのSEMであり、図7は、実施例3のランNo.13のフォームのSEMである。これらのSEMから判るように、個々のニッケルカラムにおいて、z軸方向におけるセルの界面で不連続となっていることが観察された。
【0116】
(実施例3)
100%Ni球または銀被覆ニッケル球を使用し、表に示したようにトップキャリヤ有りおよび無しの両方で、より薄いフォームを調製した。プレミックスは冷蔵庫の中で冷却した。それらの結果を表3Aに示す。
【0117】
【表3】

【0118】
表3Aにおける結果から判るように、すべてのランにおいてニッケルカラムの形成が観察された。硬化フォームは、フォーム中の単一のセルの厚みとほぼ同じ厚みを有していた(10〜15ミル(254〜381マイクロメートル))。フォームの厚みを横切る(z方向)セル直径にほぼ等しい直径の厚みを有するフォームは、導電性であった。より薄いフォームとトップキャリヤの使用とを組み合わせると、間違いなく良好な品質の導電性フォームとなった。
【0119】
表3Aのラン1b、2b、および4bについての、抵抗率試験の結果を表3Bに示す。
【0120】
【表4】

【0121】
三つのランのすべてで良好な導電性が観察された。ラン1bおよび4bは、特に良好な体積抵抗率を示した。
【0122】
(実施例4)
実施例3で観察された結果に基づいて、さらなるフォームの組合せを配合して、表4Aに示したように試験した。充填剤は、100%Niミクロスフェアまたは銀被覆ニッケル球からなっていた。すべてのランにおいて、PETのトップキャリヤを使用した。さらに、すべてのランにおいて、そのプレミックスは冷蔵庫で冷却した。
【0123】
【表5】

【0124】
表4Aのラン4〜8の体積抵抗率およびその他の性質を、表4Bにさらに示す。
【0125】
【表6】

【0126】
表4Bには、フォームが、100、200、および400psiで良好な導電率値(それぞれ、689、1379、および2758キロパスカル)を有していることが示されている。たとえば、ラン6では、8体積パーセントの充填剤(44重量パーセント)で、100および400psiで、それぞれ1.3および0.04ohm−cmの体積抵抗率である。それらのフォームは、その他にも好ましい性質、たとえば、25%での軟度(CFDが1〜4psi(700〜2,800kg/m))、100℃での低いC−set(2〜3%)、および低密度(20〜35pcf)を有していた。
【0127】
(実施例5)
表5に見られるような、より厚いフォーム(25〜40ミル)もまた調製した。使用した充填剤は、100%ニッケル球かまたはニッケル被覆鋼球かのいずれかであり、一般的により大きいサイズのものであった(75〜150マイクロメートル、100〜150マイクロメートル、150〜177マイクロメートル、または177〜200マイクロメートル)。充填剤の担持量は、8、12、14体積パーセントであった(その表の中には13%レベルの実施例はまったく見あたらない)。それらの配合物を、第一のPETリリース層の上に厚み7ミルでキャストし、その上にPETトップキャリヤ層を置いた。それらを、表に示した強度と時間で磁場に暴露させ、その一方で表5に示したように70℃で発泡、硬化させた。
【0128】
【表7】

【0129】
表5の結果は、良好な導電性が観察されたということを示している。製造されたフォームは、良好なフォーム品質および導電性を有している。
【0130】
(実施例6)
導電性ポリマーフォームを、PETキャリヤテープの上に配された低タック粘着剤を含む除去可能層の上で調製した。この具体例で使用した低タック粘着剤テープは、ESD・コリア・カンパニー・リミテッド(ESD Korea,Co.Ltd.)製のESM−3815であり、これは、15μmの粘着剤層と38μmのPET層とを有している。ニッケル被覆ステンレス鋼の導電性および導磁性粒子をポリウレタンフォームに担持させ、ブレンドし、混合ヘッドを通してフロス化させた。次いでそのフォーム混合物を、除去可能層の粘着剤側の上にキャストした。磁場を印加し、200゜F〜450゜Fの範囲の温度の加熱プレートの上でそのフォーム混合物を硬化させた。粘着剤が温まるにつれて、粘着剤が軟化して、粒子が、フォーム表面から突出し、粘着剤層の中に埋め込まれるようになった。フォーム混合物が硬化し、粘着剤層が再固化してから、除去可能層を除去すると、前は粘着剤に隣接していた表面の側で導電性粒子がより露出されていた。
【0131】
先に述べた粘着剤を用いて調製したフォームサンプルについて導電性の測定を実施し、除去可能層の上にキャストしなかった対照サンプルと比較した。対照サンプルにおいては、フォームを、粘着剤のない紙キャリヤの上に直接キャストした。表6に、対照サンプルおよび除去可能層サンプルについて実施した5個の導電性試験結果を、平均値と共に示す。表6に見られるように、紙キャリヤの上に直接キャストした対照フォームに比較して、上述の粘着剤を用いて調製したポリマーフォームの導電率には顕著な向上がある。
【0132】
【表8】

【0133】
図3は、先に述べたように除去可能層の上にキャストし、その除去可能層を除去したフォーム層の、光学顕微鏡を使用して撮影した写真であり、そのフォーム層の表面は、元々は、写真撮影した除去可能層に隣接していた。図4は、紙キャリヤの上に直接キャストし、先に述べたような除去可能層を含まない、硬化後にキャリヤを除去した、フォーム層の光学顕微鏡を使用して撮影した写真である。両方のSEM写真の上の、大きな暗い円とスポットが導電性粒子を示していることに注目されたい。SEM写真に見られるように、図4に比較して、図3では、元は除去可能層に隣接していた表面において粒子が、顕著に多く露出していることを示している。図4における除去可能層を含まない導電性粒子は、エラストマーによって被覆された粒子と、フォームのセルがやはり粒子を覆っていることを示しており、それらの粒子が、表面の近くにはあるが、露出されていないことを示している。
【0134】
本明細書で使用するとき、「第一の」、「第二の」などの用語は、いかなる順序、品質または重要性を表しているものではなく、むしろ、一つの要素を他の要素から区別するために使用されているのである。不定冠詞の「a」および「an」は、量についての限定を表しているのではなく、むしろ、参照された項目が少なくとも一つは存在しているということを表している。量に関連して使用される修飾語の「約(about)」は、記述された値を含み、その文脈によって規定される意味合いを有している(たとえば、特定の量の測定に伴う誤差の程度を含む)。本明細書の中で開示された、同一の測定または量に関わる範囲はすべて、明示された端点を含み、独立して組み合わせることができる。参考文献はすべて、参考として引用し、その全てを本明細書に組み入れたものとする。
【0135】
例示的な実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の範囲から外れることなく、各種の変更が可能であり、本発明の要素を等価物で置き換えることが可能であることは、当業者には理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から外れることなく、特定の状況または物質を適応させるために、本発明の教示に対して各種の修正を実施することも可能である。したがって、その意図するところは、本発明を実施するために考慮されたベストモードとして開示された特定の実施形態に本発明が限定されるものではないということである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフォーム層であって、
ポリマーフォームを含む層であり、前記層がアブレーションされていない第一の表面および反対側の第二の表面を有する層と、
前記ポリマーフォームの中に分散された複数の導電性粒子と、
を含み、
前記導電性粒子が、ポリマーフォーム層中に実質的に連続して拡がっていて、前記導電性粒子の一部が前記層の第一の表面で露出されており、前記導電性粒子の他の一部が前記第二の表面で露出されている、ポリマーフォーム層。
【請求項2】
前記導電性粒子が、第一の末端および第二の末端を有する相互に単離されたカラムの中に配列され、そして前記カラムの第一の末端が、前記層の第一の表面で露出され、前記カラムの第二の末端が、前記反対側の第二の表面で露出されている、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項3】
前記導電性粒子が、磁性かつ導電性である物質を含む、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項4】
前記導電性粒子の一部が、前記第一の表面から突出している、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項5】
前記導電性粒子の一部が、前記第一の表面および第二の表面の両方から突出している、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項6】
前記導電性粒子が、ニッケル、銀、金、銅、アルミニウム、コバルト、鉄、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、または前述の金属の少なくとも1種を含む組合せを含む、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項7】
前記導電性粒子が、ニッケル被覆鉄粒子、銀被覆ニッケル粒子、ニッケル被覆ステンレス鋼粒子、または前述のタイプの粒子の少なくとも1種を含む組合せを含む、請求項6に記載のポリマーフォーム層。
【請求項8】
2〜30体積パーセントの前記導電性粒子を含む、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項9】
前記カラムが、前記ポリマーフォーム層の第一の表面および反対側の第二の表面に対して実質的に垂直である、請求項2に記載のポリマーフォーム層。
【請求項10】
前記カラムが、前記ポリマーフォーム層の第一の表面および反対側の第二の表面との垂直軸に対して、約5度〜約45度の角度となっている、請求項2に記載のポリマーフォーム層。
【請求項11】
それぞれのカラムが、1〜5個の磁性で導電性の粒子の単離された鎖からなる、請求項2に記載のポリマーフォーム層。
【請求項12】
前記ポリマーフォームが、ポリウレタンフォームまたはシリコーンフォームである、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項13】
前記ポリマーフォーム層が、約50dB以上の電磁遮蔽性能、689キロパスカルの圧力で約10−3ohm−cm〜約10ohm−cmの体積抵抗率、およびASTM1056に従って測定して25%撓みで約70〜約10,500キログラム/平方メートルの圧縮荷重撓み値、の一つまたは複数を有する、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項14】
前記フォームが、化学的および/または物理的に発泡される、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項15】
前記フォームが、機械的にフロス化される、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項16】
前記第二の表面がアブレーションされていない、請求項1に記載のポリマーフォーム層。
【請求項17】
請求項1のポリマーフォーム層を含む物品であって、前記物品が、電磁遮蔽のためのガスケット、電気接地パッド、バッテリー接点導電性スプリング要素の形態にある、物品。
【請求項18】
ポリマーフォーム層を製造するための方法であって、前記方法が、
以下のものを含む前駆体層を形成させる工程と、
ポリマーフォーム前駆体組成物、および
複数の磁性で導電性の粒子を含む充填剤組成物、
ここで、前記前駆体層が、第一の表面および第二の反対側の表面を有しており、第一の除去可能層の上に配された第一の表面を有するように成形される、
前記フォーム前駆体組成物を発泡させて、発泡させた層を形成させる工程と、
ここで、前記発泡させた層が複数のセルを有する、
前記発泡させた層に、前記磁性で導電性の粒子を配列させて、第一の末端と第二の末端とを有する相互に単離されたカラムとするのに有効な強度と時間で磁場を印加する工程と、
ここで、前記粒子が、前記第一の表面と前記反対側の第二の表面との間の前記フォーム層に実質的に連続して拡がっている、
前記発泡させた層を硬化させる工程と、
硬化の前または硬化の途中に、前記第一の除去可能層を、前記第一の除去可能層に隣接したカラムの第一の末端が、前記第一の除去可能層の中に部分的に埋め込まれることを可能とするのに有効な温度と時間での加熱に暴露させる工程と、
を含む方法。
【請求項19】
さらに、
硬化の前または硬化の途中に、前記ポリマーフォーム層の第二の表面の上に第二の除去可能層を配する工程と、
硬化の前または硬化の途中に、前記第二の除去可能層を、前記第二の除去可能層に隣接したカラムの第二の末端が前記第二の除去可能層の中に部分的に埋め込まれることを可能とするのに有効な温度と時間での加熱に暴露させる工程と、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記第一および/または第二の除去可能層を除去して、前記カラムの第一の末端および/または第二の末端を露出させる工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第一および/または第二の除去可能層を除去する工程に、前記前駆体層から前記第一の表面および/または前記第二の反対側の表面の一部を除去して、前記カラムの前記第一の末端および/または第二の末端をさらに露出させる工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記印加した磁場が、約100〜約1500ガウスの磁束密度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記磁場が、前記組成物の発泡の途中で印加される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記磁場が、前記発泡させた層を硬化させる前に印加される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記層を完全に硬化させるより前に、前記フォーム層を部分的に硬化させることをさらに含み、前記磁場が、フォーム層を部分的に硬化させた後に印加される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
シリコーンフォームを製造する方法であって、
第一の除去可能層の上に混合物を押出す工程であり、前記混合物が、ヒドリド置換基を有するポリシロキサンポリマー、発泡剤、白金系触媒、および複数の磁性で導電性の粒子を含む充填剤組成物を含む工程と、
印加した磁場の中で前記混合物を発泡および硬化させて、前記磁性で導電性の粒子を、前記フォームの第一の表面と第二の反対側の表面との間で前記フォームに実質的に連続して拡がり、前記第一の除去可能層の中に部分的に埋め込まれている、相互に単離された経路の中に配列させる工程と、
を含み、
前記フォームの第一の表面が、前記第一の除去可能層に隣接している、方法。
【請求項27】
さらに、
硬化の前または硬化の途中に、前記フォームの上に第二の除去可能層を配する工程であって、前記フォームの第二の表面が前記第二の除去可能層に隣接している工程と、
硬化の前または硬化の途中に、磁場を印加して、前記磁性で導電性の粒子を前記第二の除去可能層の中に部分的に埋め込む工程と、
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第一および/または第二の除去可能層を除去する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−515840(P2013−515840A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547152(P2012−547152)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061774
【国際公開番号】WO2011/082058
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(590000525)ロジャース コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】