説明

導電性ロール、帯電装置、導電性ロールを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】導電性ロールのフィルミング、騒音を抑制し、且つ被帯電体(例えば、感光体)への従動性を長期に亘って維持する導電性ロールおよび導電性ロールを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性ロールは、軸体と、前記軸体の外周に設けられた弾性層42と、表層44とを有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであり、表層44は絶縁性粒子46を有し、絶縁性粒子46の一部は、表層44の厚み方向に少なくとも2個以上に重なり合って配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ロール、帯電装置、導電性ロールを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電ロールを感光体に接触させて使用する帯電装置において、軸体の外周に弾性層、表層または中間層が設けられた帯電ロールが主流となっている。このような帯電ロールの表層は、主に現像剤中のトナーの外添剤から帯電ロールの表層を保護するとともに、感光体への接触時に帯電ロールの内部からイオン性物質などの染み出しを防止する保護層としての役割が主体であったため、表層に用いられる樹脂には、電気抵抗を調整するためのカーボンブラックなどの導電剤が付与されているという構成が一般的であった。
【0003】
近年、例えば感光体との放電音の発生を抑制するという目的で、帯電ロールの表層と感光体との接触面積を小さくするために、帯電性ロールの表層に対して、導電剤の代わりに弾性体粒子を分散し、表層の表面粗さRzを大きくした帯電ロールが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、回転軸と、その周囲に設けられた導電性弾性体層を有する導電性ローラにおいて、前記導電性弾性体層の外周面に、JIS A硬度10〜99及び平均粒径2〜30μmの粒子を含む樹脂被覆層を設けた導電性ローラが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特許第3024248号
【特許文献2】特開2003−302827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、導電性ロールのフィルミング、騒音を抑制し、耐久性のある表層を備えた導電性ロール、帯電装置、導電性ロールを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明の帯電装置、導電性ロールを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、以下の特徴を有する。
【0008】
(1)軸体と、前記軸体の外周に設けられた弾性層と、表層とを有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであり、前記表層は、絶縁性粒子を有し、前記絶縁性粒子の一部は、前記表層の厚み方向に少なくとも2個以上に重なり合って配置されている導電性ロールである。
【0009】
(2)前記絶縁性粒子の体積平均粒径は、5μm以上20μm以下である上記(1)に記載の導電性ロールである。
【0010】
(3)前記絶縁性粒子の粒度分布は、粒子経と存在比率の関係で少なくとも2つのピーク値を有する上記(1)に記載の導電性ロールである。
【0011】
(4)前記絶縁性粒子は、多孔質である上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の導電性ロールである。
【0012】
(5)前記絶縁性粒子は、該表面に凹凸を有する上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の導電性ロールである。
【0013】
(6)前記絶縁性粒子の体積抵抗値は、前記表層中の樹脂バインダの体積抵抗値以上である上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の導電性ロールである。
【0014】
(7)軸体と、前記軸体の外周に設けられた弾性層と、表層とを有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであり、前記表層は、絶縁性粒子を有し、表層のSmが70μm以上200μm以下、表層のRzが8μm以上50μm以下である導電性ロールである。
【0015】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の導電性ロールの表面に接触して清掃する清掃手段を有している帯電装置である。
【0016】
(9)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の導電性ロールが帯電ロールであって、前記帯電ロールを少なくとも備えるプロセスカートリッジである。
【0017】
(10)少なくとも像保持体と、該像保持体に接触しその表面を帯電する帯電手段とを備える画像形成装置であって、前記帯電手段が上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の導電性ロールからなる画像形成装置である。
【0018】
(11)前記像保持体は、感光体であり、前記感光体の表層は、少なくともダイナミック硬度が13.0×10N/m以上100.0×10N/m以下の最上層である上記(10)に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、導電性ロールのフィルミング、騒音が抑制され、また表層の耐久性も従来に比べ向上する。
【0020】
本願請求項2に記載の発明によれば、帯電ディフェクト(帯電欠陥)が防止されるとともに、従来に比べ耐汚染性、騒音防止性が向上する。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、帯電ディフェクト(帯電欠陥)が防止されるとともに、従来に比べ耐汚染性、騒音防止性が向上する。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、帯電ディフェクト(帯電欠陥)が防止されるとともに、従来に比べ耐汚染性、騒音防止性が向上し、表層の耐久性も従来に比べ向上する。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、帯電ディフェクト(帯電欠陥)が防止されるとともに、従来に比べ耐汚染性、騒音防止性が向上し、表層の耐久性も従来に比べ向上する。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、帯電ディフェクト(帯電欠陥)が防止されるとともに、従来に比べ耐汚染性、騒音防止性が向上し、表層の耐久性も従来に比べ向上する。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、導電性ロールのフィルミング、騒音が抑制され、また表層の耐久性も従来に比べ向上する。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、従来に比べ表層の耐久性が高い導電性ロールの表面を清掃し、帯電ディフェクト(帯電欠陥)が防止され、従来に比べ耐汚染性が向上する。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、導電性ロールのフィルミング、騒音が抑制され、また表層の耐久性も従来に比べ向上する。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、導電性ロールのフィルミング、騒音が抑制され、また表層の耐久性も従来に比べ向上する。
【0029】
請求項11に記載の発明によれば、従来に比べ表層の耐久性が高い導電性ロールは、長期に亘って高硬度の最上層を有する感光体への従動性が維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態について以下説明する。なお、本発明の実施の形態を詳細に説明するにあたり、まず本実施の形態における導電性ロールについて詳述し、その後、本実施の形態における導電性ロールを備えた帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置について述べる。なお、本実施の形態の導電性ロールは、帯電ロールに限るものではなく、他の形態も許容するものである。また、図面の各構成の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。
【0031】
<導電性ロール>
図1には、本実施の形態における導電性ロール一例であって、長手方向における断面図が示されており、図2は、図1のI−I線に沿った断面図である。また、図3は、図1の波線で囲まれたA部分の拡大図である。
【0032】
本発明における実施の形態の導電性ロール13は、図1、図2及び図3に示すように、軸体であり導電性軸心である芯金40と、芯金40の外周に設けられた弾性層42と、表層44とを有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであり、表層44は、絶縁性粒子46を有し、絶縁性粒子46の一部は、表層44の厚み方向に少なくとも2個以上に重なり合って配置されている。また、表層44は、絶縁性粒子46と樹脂バインダ48とを含む。
【0033】
導電性ロール13の表層44に絶縁性粒子を含有させ、表層44の厚み方向に2個以上重なるように形成することにより、例えば導電性ロール13を帯電ロールとして用いた場合、従来に比べ帯電性能が向上するとともに、帯電ロールの汚染性(例えば、フィルミング)が改善される。
【0034】
絶縁性粒子46としては、例えば、図4に一例が示された12ナイロン粒子、ポリスチレン粒子(「SBX」(積水化成品工業株式会社製))、ポリアクリル酸エステル粒子(「ARX」(積水化成品工業株式会社製))、図5に一例が示された炭酸カルシウム粒子、図6に一例が示されたオプトビーズ、多孔質炭酸カルシウム粒子、メラミン/シリカ複合粒子、粉砕シリカ、球形シリカ、フッ素粒子、シリコンボールなどが用いられる。
【0035】
また、本実施の形態における絶縁性粒子46は、図4に示すように多孔質、または、図5,6に示すように該表面に凹凸を有するものが好ましい。表面に凹凸を有する形状としては、例えば三角錐の集合体形状、テトラポット形状が挙げられる。ここで、絶縁性粒子の多孔質の細孔中に樹脂バインダが含浸されるため、表層からの粒子の脱落が抑制される。また、絶縁性粒子の表面に凹凸が有ることで、粒子体積あたりの樹脂バインダとの接触面積を多く確保することができるため、表層からの粒子の脱落が抑制される。その結果、長期間に亘って、導電性ロールの表層の耐汚染性、耐久性が維持され、また放電音の発生も長期に抑制される。
【0036】
表層44の平均膜厚は、例えば0.01μm以上、1000μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、25μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上、14μm以下である。
【0037】
また、表層44の平均膜厚は、表層44の断面を切り取り、その断面を走査電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて複数回測定し、その平均値をとった値である。
【0038】
絶縁性粒子46の体積平均粒径D50は、5μm以上、20μm以下であり、好ましくは、10μm以上20μm以下である。絶縁性粒子46の体積平均粒径D50が5μm未満の場合には帯電ロール表面へのトナーおよび外添剤の付着が多くなることによる、すじ状のディフェクトが発生し、一方、絶縁性粒子46の体積平均粒径D50が20μmを超えると、帯電ディフェクト(帯電欠陥)が生じる。
【0039】
上記体積平均粒径D50は、測定装置としてはコールターマルチサイザー−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
【0040】
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100ml中に添加する。
【0041】
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求めた。測定する粒子数は50,000である。
【0042】
また、絶縁性粒子46の粒度分布は以下の方法により求める。測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さい方から体積累積分布を描き、累積16%となる累積体積粒径をD16vと定義し、累積50%となる累積体積粒径をD50vと定義する。更に累積84%となる累積体積粒径をD84vと定義する。そして、本発明における体積平均粒径D50は、上記D50vである。
【0043】
また、絶縁性粒子46の粒度分布は、粒子経と存在比率の関係で1つのピーク値を有するものであっても、また少なくとも2つのピーク値を有するものであってもよい。例えば、粒度分布において少なくとも2つのピークを有する絶縁性粒子46を含有する表層44は、1つのピークを有する絶縁性粒子を含有する表層に比べ、絶縁性粒子46が表層44に多く含有され、表層44の粗面化に加え、耐汚染性、表層の耐久性が向上する。
【0044】
絶縁性粒子46は、表層44中に30質量%以上、70質量%以下で含有される。絶縁性粒子46の含有量が30質量%未満の場合には、表層44の粗面化が不十分でフィルミングなどの汚染が抑制されず、一方、70質量%を超えると、樹脂バインダ48と絶縁性粒子46を含む塗布液の粘度が高くなりすぎて表層が形成されない。
【0045】
本実施の形態では、絶縁性粒子46の粒径だけでなく、表層44への絶縁性粒子46の含有量を調整することによって、表層44の粗面化が自在にコントロールされる。
【0046】
また、本実施の形態における絶縁性粒子46の体積抵抗値は、表層44中の樹脂バインダ48の体積抵抗値以上である。ここで、絶縁性粒子46の体積抵抗が、表層44中の樹脂バインダ48の体積抵抗値未満の場合には、帯電ディフェクト(帯電欠陥)や、導電性ロール13の内部からイオン性物質の染み出しが発生する。
【0047】
図1から図3に示す表層44に含有される樹脂バインダ48と絶縁性粒子46の体積抵抗値は、以下のようにして測定する。すなわち、100mm×100mm、厚さ2mmのアルミ材の上にスキマゲージを用いて、樹脂バインダ48と絶縁性粒子46とをそれぞれ含む塗液を用いて、100μmの塗液膜を作り、アドバンテスト社製デジタル超高抵抗計R8340Aを用い10Vの印加電圧のもと測定した。
【0048】
ここで、体積抵抗率は、円形電極(例えば、アドバンテスト社製レジスティビティチャンバー12704Aまたは(株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブ)を用い、JIS K 6911(1995)に従って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図10は、円形電極の一例を示す概略平面の図10(a)及び概略断面の図10(b)からなる。図10に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと第二電圧印加電極Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極Bとの間に上述の測定試料Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を電圧印加10秒後に測定し、下記式により、測定試料の体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式中、tは、測定試料の接着剤層の厚さを示す。
式:ρv=19.6×(V/I)×t
【0049】
本実施の形態における表層44の体積抵抗率は、1×10Ω・cm以上、1×1014Ω・cm以下であり、好ましくは1×10Ω・cm以上、1×1012Ω・cm以下であり、さらに好ましくは、1×10Ω・cm以上、1×1010Ω・cm以下である。
【0050】
また、本実施の形態における他の導電性ロールは、図1、図2及び図3に示す導電性ロール13と同様に、軸体であり導電性軸心である芯金40と、芯金40の外周に設けられた弾性層42と、表層44とを有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであって、表層44は、絶縁性粒子46を有し、さらに、表層44のSmが70μm以上200μm以下、表層のRzが8μm以上50μm以下である。なお、表層44中の絶縁性粒子46は、上述したものと同様のものを用いることができるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
表層44のSm、Rzが上記範囲の上限を超えると局所的に異常放電が発生し、均一帯電が妨げられ、細かい白抜けのような画像欠陥が起こる。一方、表層44のSm、Rzが上記範囲の下限未満の場合には、放電音が発生する。
【0052】
上述の表面粗さRzは、表面粗さ計サーフコム1400A(東京精密社製)を用い、JIS B0601−1994に従って、ロールの軸方向について、測定長4.0mm、カットオフ値0.8、測定速度0.30mm/secの条件で10箇所を測定し、その平均値とした。
【0053】
また、上述の凹凸間距離Smは、原子間力顕微鏡(AFM)、光干渉式粗さ計、触針式粗さ計などにより測定される。特に、走査長が長く、かつ深さ方向のダイナミックレンジが大きいことから触針式粗さ計が好適である。本実施形態では、触針式粗さ計として、Veeco社製DekTak IIAを用いて特定した。基準長さLを抜き取り、導電性ロール表面の一つの山及びそれに隣り合った谷の平均長さを複数算出し、その平均を取ってSmの測定結果とした。
【0054】
次に、図1から図3に示す本実施の形態における導電性ロール13及び上記他の導電性ロールの各構成について説明する。まず、軸体であり導電性軸心である芯金40は、導電性を有するものであって、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、金属以外の材料としては、導電性と適度の剛性を有する材料が挙げられ、例えば、導電性粒子等を分散した樹脂成形品や、セラミックス等が用いられる。また、芯金40は、ロール形状のほかに、中空のパイプ形状が用いられる。
【0055】
また、弾性層42は、導電性または半導電性を有するものであり、一般には樹脂材またはゴム材に導電性粒子または半導電性粒子を分散したものである。樹脂材は、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂などが用いられ、ゴム材は、例えば、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタンジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴムなど、または、これらを発泡させた発泡材が用いられる。
【0056】
また、導電性粒子または半導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、Sb、In、ZnO、MgO等の金属酸化物や第4級アンモニウム塩等のイオン性化合物等が用いられ、これらの材料を単独または2種以上を混合して用いてもよい。さらに、必要に応じて、タルク、アルミナ、シリカ等の無機充填材、フッ素樹脂やシリコーンゴムの微粉等の有機充填材の1種または2種以上を混合してもよい。
【0057】
表層44に用いられる樹脂バインダとしては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、テトラフルオロエチレン(PFA)、テトラフルオロエチレン(FEP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、共重合ナイロン樹脂などが用いられるが、好ましくは、共重合ナイロン樹脂(「CM8000」、東レ社製)、アルコール可溶性ポリアミド樹脂(「ファインレジンFR−101」、株式会社鉛市社製)である。
【0058】
さらに、表層44上に表面保護層を形成しても良く、特に好ましい表面保護層としては、(1)架橋構造を持つ樹脂を含む表面保護層、(2)無機粒子を分散させた表面保護層が挙げられる。
【0059】
(1)架橋構造を持つ樹脂を含む表面保護層において、架橋構造を有する樹脂としては、種々の材料が用いられるが、例えば、架橋構造を有するフェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン系樹脂等が挙げられ、シロキサン系樹脂がより好ましい。尚、架橋構造を有する樹脂は、電荷輸送性を有するものであることが好ましい。
【0060】
(2)無機粒子を分散させた表面保護層において、上記表面保護層に分散させる無機粒子の好ましい例としては、アルミナ、チタニアが挙げられる。上記無機粒子を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの公知の方法が適用される。また、上記表面保護層中における無機粒子の添加量としては、0.2質量%以上1.0質量%以下が好ましい。
【0061】
さらに、上述した弾性層42、表層44および表面保護層は、各層のために組成が調製された塗液を、例えば、ブレードコーティング方法、マイヤーバーコティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等により塗布されることにより形成される。
【0062】
<画像形成装置>
次いで、本発明の画像形成装置について、図を用いて詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、潜像保持体と、該潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記帯電手段に、上述した第1、第2の実施の形態の導電性ロール110,120を備えることを特徴とする。なお、後述する図7,8,9の帯電器12として、第1、第2の実施の形態の導電性ロール110,120を適宜用いる。
【0063】
図7には、上述した導電性ロール13(図1)を帯電ロールとして搭載する画像形成装置の一例が示されている。
【0064】
図7に示す画像形成装置1は、図示しないパーソナルコンピュータ等の画像データ入力装置から送られてくるカラー画像情報に基づいて画像処理を行い、電子写真方式によって記録用紙Pにカラー画像を形成するものである。
【0065】
画像形成装置1には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。なお、以降、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kの何れかを付して説明し、YMCKを区別する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略する。
【0066】
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、二次転写部において中間転写ベルト30を背面から支持するためのバックアップロール34と複数の張架ロール32によって張架された無端状の中間転写ベルト30の進行方向に対して、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの順番で直列に配列されている。また、中間転写ベルト30は、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの像保持体としての感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kと、それぞれ対向して配設される一次転写ロール16Y,16M,16C,16Kとの間を挿通している。
【0067】
次に、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの構成と画像形成の動作とを、イエロートナー画像を形成する画像形成ユニット10Yを代表して説明する。
【0068】
感光体ドラム12Yの表面は、帯電ロール13Yにより一様に帯電される。次に、露光装置14Yによりイエロー画像に対応するレーザー光Lが照射され、感光体ドラム12Yの表面にイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
【0069】
イエロー画像に対応する静電潜像は、現像装置15Yの現像バイアスが印加された現像ロール18Yに担持されたトナーによって現像され、イエロートナー画像となる。イエロートナー画像は、一次転写ロール16Yの圧接力と、一次転写ロール16Yに印加された転写バイアスによる静電吸引力と、によって、中間転写ベルト30上に一次転写される。
【0070】
この一次転写では、イエロートナー画像は全て中間転写ベルト30に転写されず、一部が転写残留イエロートナーとして、感光体ドラム12Yに残留する。また、感光体ドラム12Yの表面には、トナーの外添剤なども付着している。一次転写後の感光体ドラム12Yは、クリーニング装置20Yとの対向位置を通過し、感光体ドラム12Yの表面の転写残留トナーなどが除去される。その後、感光体ドラム12Yの表面は、次の画像形成サイクルの為、帯電ロール13Yで再び帯電される。
【0071】
図7に示すように、画像形成装置1では、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの相対的な位置の違いを考慮したタイミングで、上記と同様の画像形成工程が各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにおいて行われ、中間転写ベルト30上に、順次、Y,M,C,Kの各色トナー像が重ねられ、多重トナー像が形成される。
【0072】
そして、所定のタイミングで二次転写位置Aへと搬送されてきた記録用紙Pに、転写バイアスが印加された二次転写ロール36の静電吸引力によって、中間転写ベルト30から多重トナー像が一括して、記録用紙Pに転写される。
【0073】
多重トナー像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト30から分離された後、定着装置31へと搬送され、熱と圧力とにより記録用紙Pに定着されてフルカラー画像が形成される。
【0074】
記録用紙Pに転写されなかった中間転写ベルト30上の転写残留トナーは、中間転写ベルト用クリーナ33で回収される。
【0075】
このような画像形成装置1では、各々の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kに配置された感光体ドラム12と帯電ロール13とクリーニング装置20などが一体となってプロセスカートリッジ(図示省略)を構成しており、このプロセスカートリッジが画像形成装置本体に着脱可能に構成されている。
【0076】
図8に示すように、感光体ドラム12の上方部には、感光体ドラム12と接触する帯電ロール13が配設されている。この帯電ロール13の構成については後述する。帯電ロール13の上方には、帯電ロール13の表面をクリーニングするクリーニングロール50が配設されている。クリーニングロール50は、回転可能に支持されたシャフト52の周囲にスポンジ層54が形成されたものである。クリーニングロール50はシャフト52の両端部に配置された図示しないスプリングによって帯電ロール13に所定の圧力で押圧され、スポンジ層54が帯電ロール13の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。
【0077】
感光体ドラム12の支軸には図示しないモータが連結されており、感光体ドラム12が図8中の時計回り(矢印2の方向)に回転駆動される。また、感光体ドラム12の回転に従動して帯電ロール13が矢印4の方向に回転する。また、帯電ロール13の回転に従動してクリーニングロール50が矢印6の方向に回転する。クリーニングロール50が従動回転することにより、帯電ロール13の表面のトナーや外添剤などの異物がクリーニングされる。なお、帯電ロール13又はクリーニングロール50は、モータを連結して独自に回転駆動するように構成してもよい。
【0078】
本実施の形態における感光体ドラム12の表層は、少なくともダイナミック硬度が13.0×10N/m以上100.0×10N/m以下の最上層である。
【0079】
上記ダイナミック硬度は、以下の方法により測定される。前記ダイナミック硬度が、稜間角115°、先端曲率半径0.1μm以下のダイアモンド圧子を、前記感光体10の前記表面保護層に対して0.05mN/secの応力速度で押し込み、そのときの押込み荷重と押込み深さから、下記式(1)に基づき算出されるものである。
[数1]
DH=3.8584(P/D) (1)
(式中、DHはダイナミック硬度[N/m]、Pは押込み荷重[N]、Dは押込み深さ[m]を表す。)
【0080】
次に、クリーニングロール50について説明する。
【0081】
クリーニングロール50のシャフト52の材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用されており、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われてもよく、もちろんそのまま使用してもよい。また、クリーニングロール50は、スポンジ層54を介して帯電ロール13と適度なニップ圧力で接触するため、ニップ時に撓みのない強度を持った材質またはシャフト長に対して十分剛性をもったシャフト径が選択される。
【0082】
クリーニングロール50のスポンジ層54は、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなり、内部や表面に空洞や凹凸部(以下、セルという。)が存在し、弾性を有している。このクリーニングロール50は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン又はポリプロピレン、NBR、EPDM、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル等の発泡性の樹脂又はゴムを材質としたものより選択される。これにより、多数のセルを有するクリーニングロール50を安価に製造できる。クリーニングロール50は、帯電ロール13との従動摺擦により外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、帯電ロール13の表面にクリーニングロール50の擦れによるキズをつけないために、また、長期にわたり千切れや破損が生じないようにするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好ましく用いられる。
【0083】
ポリウレタンとして特に限定するものではなく、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルやアクリルポリールなどのポリオールと、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネートの反応を伴っていれば良く、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなど鎖延長剤が混合されていることが好ましい。また、水やアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物などの発泡剤を用いて発泡させるのが一般的である。さらに必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えればよい。
【実施例】
【0084】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中「部」は「質量部」を表す。
【0085】
<実施例1>
(導電性ロールの作製)
図1に示す導電性ロール13の構成の一例を製作した。
【0086】
−弾性層の形成−
金属芯金として、径φ8mmのSUMロールに無電解ニッケルめっき処理したものを用いた。以下の混合物をオープンロールで混練りし、上記めっき処理された芯金の周囲に、ゴム厚さ3mmとなるように、半導電弾性層を形成し、その後プランジ研磨により厚さ2mmで十点平均表面粗さRzが1μm以上5μm以下になるように表面を仕上げ、半導電弾性層を形成した。
【0087】
・ゴム材 ・・・・・・・・・100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム:Gechron3106:95%、アクリロニトリルブタジエンゴム:Nipol1312:5%:日本ゼオン社製)
・カーボンブラック(#3030B:三菱カーボンブラック社製)・・15質量部
・イオン導電剤 ・・・・1質量部
(塩化ベンジルトリエチルアンモニウム:関東化学社製)
・加硫剤((硫黄)200メッシュ:鶴見化学工業社製) ・・・・1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製) ・・2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製) ・・0.5質量部
・酸化亜鉛(亜鉛華1号:正同化学工業社製) ・・・・5質量部
・炭酸カルシウム(ホワイトンSSB:白石カルシウム) ・・・30質量部
【0088】
−表層の形成−
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、MEKで希釈し、前記半導電弾性層に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ9μmの表層を形成し、導電性ロールを得た。
【0089】
(分散液A)
・高分子材料 ・・・・100質量部
(ポリアミド樹脂溶液 FR−101:(株)鉛市社製)
・硬化剤 ・・・・26.3質量部
(アミノ樹脂溶液 スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業社製)
・絶縁性粒子 ・・・30質量部
(12ナイロン、体積平均粒径5μm、2001 UD Nat 1:ARKEMA社製)
【0090】
<実施例2から実施例4>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子の含有量をそれぞれ40,50,70質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0091】
<実施例5から実施例8>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子の粒径を10μmに代え、また絶縁性粒子の含有量をそれぞれ30,40,50,70質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0092】
<実施例9から実施例12>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子の粒径を20μmに代え、また絶縁性粒子の含有量をそれぞれ30,40,50,70質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0093】
<比較例1から比較例3>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子の粒径を5,10,20μmに代え、また絶縁性粒子の含有量をそれぞれ10質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0094】
<比較例4から比較例6>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子の粒径を5,10,20μmに代え、また絶縁性粒子の含有量をそれぞれ80質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。なお、得られた分散液Aはいずれも粘度が高すぎて、弾性層上に表面層を塗布により形成することができなかった。
【0095】
<比較例7>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子の粒径が10μmであって、その含有量が30質量部である実施例1の表層の体積抵抗値と同一の体積抵抗値を有するように、表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子の代わりにカーボンブラックを用い、カーボンブラックの含有量を3質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0096】
<実施例13>
(導電性ロールの作製)
−弾性層の形成−
上記実施例1に準拠して半導電弾性層を形成した。
【0097】
−表層の形成−
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、MEKで希釈し、前記半導電弾性層に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ9μmの表層を形成し、導電性ロールを得た。
【0098】
(分散液A)
・高分子材料 ・・・・100質量部
(共重合ナイロン樹脂溶液 CM8000:東レ社製)
・硬化剤 ・・・・26.3質量部
(アミノ樹脂溶液 スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業社製)
・絶縁性粒子 ・・・30質量部
(12ナイロン、体積平均粒径5μm、2001 UD Nat 1:ARKEMA社製)
【0099】
<実施例14,15>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド縮合物粒子(体積平均粒径4μm以上6μm以下、「エポスターM05」、株式会社日本触媒製)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0100】
<実施例16,17>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、図6に示すメラミン/シリカ複合粒子(体積平均粒径10.5μm、「10500M」、日産化学工業株式会社製)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0101】
<実施例18,19>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、ポリスチレン粒子(体積平均粒径8μm、「SBX−8」、積水化成品工業株式会社製)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0102】
<実施例20,21>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、ポリアクリル粒子(体積平均粒径8μm、「ARX−8」、積水化成品工業株式会社製)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0103】
<実施例22,23>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、多孔質炭酸カルシウム粒子(体積平均粒径15μm、「PS−15A」、株式会社ニューライム製)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0104】
<実施例24,25>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子(体積平均粒径5μm、「ダイアミド2070」、ダイセル化学工業株式会社製)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0105】
<実施例26,27>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、粉砕シリカ粒子(体積平均粒径2.9μm、「FS−3DC」)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0106】
<実施例28,29>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、球形シリカ粒子(体積平均粒径3.4μm、「FB−3SDC」)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0107】
<実施例30,31>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、ポリメタクリル酸メチル粒子(体積平均粒径8μm、「MBP−8」、積水化成品工業株式会社製)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0108】
<実施例32,33>
表層を形成する分散液Aの絶縁性粒子として、12ナイロン粒子の代わりに、シリコンボール(体積平均粒径4.5μm、「トスパール145」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を用い、その含有量をそれぞれ30,50質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0109】
<実施例34>
実施例1において、表層を形成する前に、弾性層を砥石を用いて粗面化して、Rzを9μmにしたのち、12ナイロン粒子(体積平均粒径30μm、2001 UD Nat 1:ARKEMA社製)を用い、その含有量をそれぞれ40質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0110】
<実施例35>
実施例1において、表層を形成する前に、弾性層を砥石を用いて粗面化して、Rzを9μmにしたのち、12ナイロン粒子(体積平均粒径40μm、2001 UD Nat 1:ARKEMA社製)を用い、その含有量をそれぞれ30質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0111】
<実施例36>
実施例1において、表層を形成する前に、弾性層を砥石を用いて粗面化して、Rzを9μmにしたのち、12ナイロン粒子(体積平均粒径50μm、2001 UD Nat 1:ARKEMA社製)を用い、その含有量をそれぞれ30質量部に代えた以外は、実施例1に準じて導電性ロールを作製した。
【0112】
[評価]
以下に示す方法により導電性ロールを帯電ロールとして用いた場合の汚染性、表層の耐久性について評価した。結果を、以下の表1,2,3に示す。
【0113】
−初期画質確認試験−
導電性ロール13を帯電ロールとして図7に示すカラー複写機DocuCentre Color400CP:富士ゼロックス社製に装着し、カラー複写機DocuCentre Color400CP用のカラートナー(シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、黒トナー)を用い、A4用紙50,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で25,000枚印刷、および、28℃、85%RH環境下で25,000枚印字)を行った。
【0114】
実施例1から実施例36及び比較例1から比較例7の導電性ロールは、いずれも帯電電位の変動ΔVHは7V以下であり、安定して帯電した。また、得られたハーフトーン画像は、目視により、濃度ムラ等のディフェクトはなかった。
【0115】
−表層耐久性試験−
導電性ロール13を帯電ロールとして図7に示すカラー複写機DocuCentre Color400CP:富士ゼロックス社製に装着し、ストレス条件としては帯電ロールへの荷重を2倍にして感光体との間で165mm/secで16時間空回しを行った。その後、顕微鏡観察による表層の全表面積に対するクラック数により評価した。なお、評価点数は、サンプル5点中の平均値である。
【0116】
−耐汚染性試験−
導電性ロール13を帯電ロールとし、また感光体ドラムとしてφ30mm感光体ドラムを用い、図7に示すカラー複写機DocuCentre Color400CP:富士ゼロックス社製に装着し、28℃、85%RH環境下で100,000枚印字を行った。
【0117】
ロール汚れ評価は、100,000枚走行後のロールについて、目視により以下の基準で目視評価した。
○:ほとんど異物付着なし、軽微の異物付着。
△:局所的な異物付着。
×:全面異物付着。
【0118】
また、図9には、実施例1,5,7,8,11,12,34,35,36及び比較例1,2の導電性ロールのRz及びSmの関係を示した。
【0119】
【表1】

【表2】

【表3】

【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置等への適用がある。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明における導電性ロールの構成の一例を示す横断面図である。
【図2】図1に示すI−I線に沿った断面図である。
【図3】図1の波線で囲まれたA部分の拡大断面図である。
【図4】絶縁性粒子の一種である12ナイロン粒子の一例の顕微鏡写真である。
【図5】絶縁性粒子の一種である炭酸カルシウム粒子の一例の顕微鏡写真である。
【図6】絶縁性粒子の一種であるオプトビーズの一例の顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施の形態における画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図8】図7に示す画像形成装置に用いられる帯電ロールとクリーニングロールの構成を示す拡大図である。
【図9】実施例及び比較例の導電性ロールの表層のRzとSmの関係を示す図である。
【図10】抵抗率の計測方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0122】
1 画像形成装置、12 帯電器、13 導電性ロール、40 芯金、42 弾性層、44 表層、46 絶縁性粒子、48 樹脂バインダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、前記軸体の外周に設けられた弾性層と、表層とを有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであり、
前記表層は、絶縁性粒子を有し、
前記絶縁性粒子の一部は、前記表層の厚み方向に少なくとも2個以上に重なり合って配置されていることを特徴とする導電性ロール。
【請求項2】
前記絶縁性粒子の体積平均粒径は、5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項3】
前記絶縁性粒子の粒度分布は、粒子経と存在比率の関係で少なくとも2つのピーク値を有することを特徴とする請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項4】
前記絶縁性粒子は、多孔質であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導電性ロール。
【請求項5】
前記絶縁性粒子は、該表面に凹凸を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導電性ロール。
【請求項6】
前記絶縁性粒子の体積抵抗値は、前記表層中の樹脂バインダの体積抵抗値以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導電性ロール。
【請求項7】
軸体と、前記軸体の外周に設けられた弾性層と、表層とを有し、電圧が印加された状態で被帯電体に接触し、被帯電体を帯電させる導電性ロールであり、
前記表層は、絶縁性粒子を有し、表層のSmが70μm以上200μm以下、表層のRzが8μm以上50μm以下であることを特徴とする導電性ロール。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の導電性ロールの表面に接触して清掃する清掃手段を有していることを特徴とする帯電装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の導電性ロールが帯電ロールであって、前記帯電ロールを少なくとも備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
少なくとも像保持体と、該像保持体に接触しその表面を帯電する帯電手段とを備える画像形成装置であって、前記帯電手段が請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の導電性ロールからなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記像保持体は、感光体であり、前記感光体の表層は、少なくともダイナミック硬度が13.0×10N/m以上100.0×10N/m以下の最上層であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−113177(P2010−113177A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286139(P2008−286139)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】