導電性布帛と接続端子の組立体
【課題】接続端子を大きくすることなく電気的な接続状態を良好なものとすることができる導電性布帛と接続端子の組立体を提供すること。
【解決手段】導電性部材を含み導電性を有する面が形成された導電部11を有する導電性布帛10と、この導電性布帛10に接続される接続端子20と、を備える導電性布帛10と接続端子20の組立体1であって、前記導電性布帛10の一部が幅方向に丸められ、その導電性布帛10の丸められた部分を囲むように前記接続端子20が接続されている組立体1とする。
【解決手段】導電性部材を含み導電性を有する面が形成された導電部11を有する導電性布帛10と、この導電性布帛10に接続される接続端子20と、を備える導電性布帛10と接続端子20の組立体1であって、前記導電性布帛10の一部が幅方向に丸められ、その導電性布帛10の丸められた部分を囲むように前記接続端子20が接続されている組立体1とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性布帛と接続端子の組立体に関し、さらに詳しくは、導電性を有する面が形成された導電性布帛と、その導電性布帛を他の部材と電気的に接続する接続端子との組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、導電性を有する面が形成された導電性布帛が記載されている(特許文献1における第2導体20)。このような導電性布帛は、例えば、面状のヒータ(特許文献1における第1導体10)が有する導電線材を一纏めにして電気的に接続するためなどに好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3119584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような導電性布帛を用いる場合において、導電性布帛を他の部材(電源などと接続するための部材)とどのように接続するかが問題となる。例えば、特許文献1のように、電線(特許文献1における電源線30)を導電性布帛に直接接続する手法が考えられる。しかし、この手法は、導電性布帛と電線の接触面積が小さいため、接続部分において抵抗が増大するなど、安定した電気的な接続状態が得られないという問題がある。これに対し、導電性布帛に接続する接続端子を大きくする(例えば導電性布帛の導電性を有する面の幅に合わせた接続端子を作成する)などして、導電性布帛とそれに接続される部材との接触面積を大きくする手法が考えられるが、端子コストが嵩むなどといった別の問題が生じてしまう。
【0005】
上記実情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、接続端子を大きくすることなく電気的な接続状態を良好なものとすることができる導電性布帛と接続端子の組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる導電性布帛と接続端子の組立体は、導電性部材を含み導電性を有する面が形成された導電部を有する導電性布帛と、この導電性布帛に接続される接続端子と、を備え、前記導電性布帛の一部が幅方向に丸められ、その丸められた導電性布帛の一部を囲むように前記接続端子が接続されていることを要旨とする。
【0007】
上記本発明は、導電性布帛の一部を丸め、その丸めた一部に接続端子を接続する構成である。つまり、接続端子が接続される部分は細いため(面状ではないため)、従来一般に知られている接続端子を用いて電源などの他の機器と導電性布帛を電気的に接続することができる。そして、導電性布帛の丸められた部分の外面とそれを囲む接続端子の内面が両者の接触面となるため(大きな接触面積を確保することができるため)、電気的な接続状態が良好なものとなる。
【0008】
またこの場合、前記導電性布帛の一面側に位置する導電性部材の割合は、他面側に位置する導電性部材の割合よりも大きくなっており、前記導電性布帛の一部は、前記一面が外側に位置するように幅方向に丸められているとよい。
【0009】
このように導電性部材の割合が多い面が外側に位置するように導電性布帛の一部を丸めれば、導電性布帛の導電性部材と接続端子の接触面積をより大きくすることができる。つまり、導電性布帛と接続端子の電気的な接続状態がさらに良好なものとなる。
【0010】
また、前記導電性布帛は、前記導電部の幅方向に隣接する導電性部材が配されていない非導電部をさらに有し、前記導電性布帛の一部は、内側に位置する前記非導電部の周囲を前記導電部が囲むように丸められていればよい。
【0011】
上述したように、導電性布帛の丸められた部分の外面とそれを囲む接続端子の内面が両者の接触面となり、導電性布帛の丸められた部分の内側に位置する部分は両者の電気的な接続に寄与しない。上記構成によれば、かかる内側に位置する部分に非導電部を配置させることにより、電気的な接続に寄与しない無駄な導電性部材を減らすことができる。また、非導電部の大きさ(幅)を調整することにより、接続端子が接続される導電性布帛の丸められた部分の太さを変えることができる。例えば、導電性布帛と接続端子の接続強度を高めるためであれば、非導電部を大きくすることにより、接続端子に接続される当該丸められた部分を太くすればよい。
【0012】
また、前記導電性布帛は、前記導電部の幅方向に隣接する導電性部材が配されていない被覆部をさらに有し、前記接続端子の内側には丸められた前記導電性布帛の一部における前記導電部が位置し、この内側に位置する導電部から引き出された前記被覆部に前記接続端子の外面の少なくとも一部が覆われているとよい。
【0013】
このように、予め導電性布帛に導電性部材が配されていない(絶縁性を有する)被覆部を形成しておけば、この被覆部を接続端子の外面を覆う絶縁部材として利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる導電性布帛と接続端子の組立体によれば、接続端子を大きくすることなく(従来一般に知られている接続端子を用いて)、両者の電気的な接続状態を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)は本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体が備える導電性布帛の外観図であり、図1(b)はこの導電性布帛の断面図である。
【図2】図2(a)は端部が丸められた導電性布帛の外観図であり、図2(b)図2(a)におけるA−A線断面図(丸められた部分の断面図)である。
【図3】図3(a)は本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体の外観図であり、図3(b)は図3(a)におけるB−B線断面図(導電性布帛と接続端子の接続部分の断面図)である。
【図4】図4(a)は断面が細長くなるように(略楕円形状に)丸められた導電性布帛の端部の断面図であり、図4(b)は断面がジグザグ状に丸められた導電性布帛の端部の断面図である。
【図5】図5(a)は本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体であって、電線が一緒に接続された構成の一例(第一の例)を示した外観図であり、図5(b)は図5(a)におけるC−C線断面図(導電性布帛、接続端子、および電線の接続部分の断面図)である。
【図6】本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体であって、電線が一緒に接続された構成の一例(第二の例)を示した外観図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体であって、電線が一緒に接続された構成の一例(第三の例)を示した外観図であり、図7(a)は導電性布帛、接続端子、および電線が組み立てられる前の状態を示し、図7(b)はこれらが組み立てられた状態を示す。
【図8】本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体であって、接続端子を介して導電性布帛がコネクタに接続される構成の外観図である。
【図9】図9(a)は第一の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体が備える導電性布帛の断面を模式的に示した図であり、図9(b)はこの導電性布帛が内側に位置する導電部の周囲を導電部が囲むように丸められた状態の断面を模式的に示した図であり、図9(c)は第一の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体における導電性布帛と接続端子の接続部分の断面図である。
【図10】図10(a)は第二の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体が備える導電性布帛の断面を模式的に示した図であり、図10(b)はこの導電性布帛の導電部が丸められた状態の断面を模式的に示した図であり、図10(c)は第二の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体における導電性布帛と接続端子の接続部分の断面図である。
【図11】図11(a)は第三の変形例(第一の変形例と第二の変形例を組み合わせたもの)にかかる導電性布帛と接続端子の組立体が備える導電性布帛の断面を模式的に示した図であり、図11(b)はこの導電性布帛が内側に位置する導電部の周囲を導電部が囲むように丸められた状態の断面を模式的に示した図であり、図11(c)は第三の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体における導電性布帛と接続端子の接続部分の断面図である。
【図12】幅方向に丸められた導電性布帛の中間部に接続端子が接続された構成の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、単に軸線方向とは導電性布帛10の長手方向(導電性布帛10の丸められた部分の軸方向;図1に示したX軸方向)をいい、単に幅方向とは導電性布帛10の幅方向(軸線方向に直交する方向;図1に示したY軸方向)をいう。
【0017】
本実施形態にかかる導電性布帛10と接続端子の組立体1(以下、単に(本実施形態にかかる)組立体1と称することもある)は、導電性布帛10および接続端子20を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0018】
導電性布帛10は、導電性部材を含む導電性を有する面が形成された導電部11を有する。導電部11は導電性部材である導電糸111と、絶縁性部材(非導電性部材)である非導電糸112とが織り込まれた織物で構成される。織物の具体的な構成としては、横糸(緯糸)と縦糸(経糸)のいずれか一方に導電糸111を用い、他方に非導電糸112を用いた構成が例示できる。これにより、表面に導電糸111が露出した導電部11を有する導電性布帛10となる。
【0019】
本実施形態にかかる組立体1における導電性布帛10は、図1(a)に示すように、いずれか一方の面側に位置する導電糸111の割合が、他方の面側に位置する導電糸111の割合よりも大きい(図1(a)では、上側の面の方が導電糸111の割合が大きい)。つまり、導電糸111と非導電糸112が等間隔に織り込まれた構成(非導電糸112が導電糸111一本ごとに布帛の厚み方向に屈曲する構成)ではなく、非導電糸112に織り込まれる導電糸111が複数本置き(非導電糸112が複数の導電糸111置きに布帛の厚み方向に屈曲する構成)である。したがって、この非導電糸112が織り込まれる間隔を大きくすればするほど、一方の面側に位置する導電糸111の割合が大きくなり、他方の面側に位置する導電糸111の割合が小さくなる。なお、以下の説明で用いる図2〜図5、図9〜図11では、図をわかりやすくするため、導電性布帛10における導電部11の断面を模式的に描いている。具体的には、導電部11の厚み方向約半分の部分を塗りつぶしており(間隔の小さいハッチングを施しており)、この塗りつぶした側の面が、導電糸111の割合が大きい側の面となっている。なお、導電部11における当該塗りつぶした以外の部分の断面については、断面を表すハッチングを省略している。
【0020】
接続端子20は、従来一般に知られている金属製の端子が用いられる。接続端子20は、導電性布帛10が接続される前の状態では例えば断面略U状である接続部21を有する。また、他の部材に接続するための端子部22(例えば図3に示すような丸形の端子部22など。かかる端子部22の形状はどのようなものであってもよい)を有する。
【0021】
この導電性布帛10と接続端子20は次のように接続されている。導電性布帛10は、図2に示すように、接続端子20に接続される端部(軸線方向の一端)が幅方向に丸められる。この丸められた端部が接続端子20の接続部21上に載置された状態で、図示されない周知のかしめ型により接続部21が屈曲変形させられる。具体的には、接続部21の幅方向両端部が互いに近づく方向に屈曲変形させられることにより、導電性布帛10に接続端子20がかしめられる。このかしめ構造としては周知の構造が適用できる。例えば、図3に示すように、接続部21の幅方向両端部が中央で突き合わされるように接続端子20を屈曲変形させてもよいし、接続部21の一方の端部に他方の端部が重なるように接続端子20を屈曲変形させてもよい。このようにして導電性布帛10に接続端子20がかしめられることにより、丸められた導電性布帛10の端部を接続部21が囲むように接続端子20が接続された組立体1が得られる。かかる構成の組立体1では、丸められた導電性布帛10の外面と、接続端子20の接続部21の内面が接触する。つまり、導電性布帛10と接続端子20が電気的に接続される。この接続端子20が電源などの外部機器と電気的に接続されることにより、導電性布帛10が当該外部機器と電気的に接続されることになる。
【0022】
このように、本実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体1は、導電性布帛10の端部を丸め、その丸めた端部に接続端子20を接続する(かしめる)構成である。つまり、従来一般に知られている接続端子20を、従来一般に知られている方法で(従来一般に知られているかしめ型を用いるなどして)導電性布帛10に接続することができる。そして、導電性布帛10における丸められた部分の外面とそれを囲む接続端子20の内面が両者の接触面となるため(大きな接触面積を確保することができるため)、電気的な接続状態が良好なものとなる。また、当該かしめは、接続端子20を塑性変形させるため、安定した、強固な圧着荷重を確保できる。
【0023】
このとき、丸められる導電性布帛10の端部は、位置する導電糸111の割合が大きい方の面が外側に位置するようにするとよい(図3(b)参照)。つまり、丸められた状態における外面により多くの導電糸111が存在するようにするとよい。上記のように、丸められた導電性布帛10の外面は接続端子20との接触面となるから、このように多くの導電糸111が存在する面を外面とすることにより、多くの導電糸111と接続端子20の接続部21が接触し、導電性布帛10と接続端子20の電気的な接続状態がより良好なものとなる。したがって、導電性布帛10は、織物としての強度などが確保できる範囲内で、一方の面側に位置する導電糸111の割合をできる限り大きくするとよい。
【0024】
なお、上記実施形態における、導電性布帛10の端部の「丸められた」状態には、図4(a)に示すような断面が細長くなるように(略楕円形状に)丸められた状態(細長く折りたたまれた状態)や、図4(b)に示すような断面がジグザグ状に丸められた状態(ジグザグに折りたたまれた状態)など、断面が略丸形状に丸められた以外の構成も含む。つまり、導電部11における導電性部材の割合が大きい面を外側に位置させるように導電性布帛10の端部が丸められた(折りたたまれた)構成の全てを含む。
【0025】
また、上記実施形態にかかる組立体1として、導電性布帛10に接続端子20のみが接続されたものを説明したが、導電性布帛10に、接続端子30とともに電線90などのその他の部材が接続されていてもよい(導電性布帛10に、接続端子30を介して電線90などのその他の部材が接続されていてもよい)。図5に示すように、接続端子30(上記のような端子部22が無い接続端子30)の内側に、丸められた導電性布帛10の端部と電線90が一緒に接続された(かしめられた)構成とすればよい。具体的には、図5(b)に示すように、接続端子30(接続部31)と丸められた導電性布帛10の端部の間に電線90の導線91が挟み込まれた構成とすればよい。この一緒に接続された電線90が電源などの外部機器と電気的に接続されることにより、導電性布帛10が当該外部機器と電気的に接続されることになる。
【0026】
この電線90を一緒に接続する構成の変形例として、図6および図7に示すような構成が考えられる。つまり、図6に示すように、接続端子40として、丸められた導電性布帛10の端部に接続される接続部41と、電線90が接続される電線接続部43と、を有する接続端子40を用いて導電性布帛10を電線90と接続してもよい。また、図7に示すように、スリーブ形状の接続端子50を、丸められた導電性布帛10の端部および電線90に圧着した構成(かかる圧着部を図7(b)においてPで示す)としてもよい。このように、丸められた導電性布帛10の端部と電線90の接続方法(用いる接続端子の構成)としては、様々なものが考えられる。
【0027】
また、図8に示すように、導電性布帛10をコネクタ95に接続する構成としてもよい。かかる場合、接続部61とコネクタ係合部64を有する接続端子60を用いればよい。つまり、接続端子60の接続部61を、丸められた導電性布帛10の端部にかしめ(接続し)、接続端子60のコネクタ係合部64をコネクタ95に嵌め込んで接続した構成とすればよい。このような構成とすれば、接続端子60を介して導電性布帛10とコネクタ95が接続された組立体が得られる。コネクタ95を外部機器に設けられた相手方コネクタに嵌合させることにより、導電性布帛10と外部機器とが電気的に接続される。
【0028】
以下、上記実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体1の変形例について説明する。なお、以下の説明では、上記実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成については説明を省略する。また、以下の説明では、導電性布帛10に接続端子20のみが接続された構成を例として説明するが、上述したような電線90などのその他の部材が一緒に接続された構成(接続端子30、40、50、60を用いた構成)にも適用可能である。
【0029】
図9(a)に示すように、第一の変形例にかかる組立体1aの導電性布帛10aは、導電部11に加えて非導電部12を有する。導電部11は、上記実施形態にかかる組立体1と同様に、導電糸111と非導電糸112が織り込まれた部分である。非導電部12は、導電性部材が配されていない部分である。例えば非導電糸112のみによって構築された織物で構成される。この非導電部12は、導電部11の幅方向の一方側に隣接し、導電部11とともに一定幅で軸線方向に延びる。
【0030】
図9(b)に示すように、このような構成の導電性布帛10の端部は、内側に位置する非導電部12の回りを導電部11が囲むように丸められている。この丸められた部分に対して接続端子20が接続される(かしめられる)。この接続方法は、上記実施形態で説明した通りである。これにより、図9(c)に接続部分を断面で示した導電性布帛10aに接続端子20が接続された組立体1aが得られる。
【0031】
このように、第一の変形例にかかる組立体1aは、内側に非導電部12が位置するように丸められた導電性布帛10aの端部に接続端子20が接続された構成である。本発明において、導電性布帛10aの丸められた部分における内側に位置する部分は、接続端子20との電気的な接続に寄与しない部分である。本変形例のように、この内側に位置させる部分として予め導電性布帛10aに非導電部12を形成しておけば、電気的な接続に寄与しない無駄な導電性部材(導電糸111)を減らすことができる。
【0032】
また、接続端子20が接続される丸められた導電性布帛10aの端部が細いと、接続端子20と導電性布帛10aの接続部分の強度が著しく低くなるおそれがあるところ、本変形例では、非導電部12の大きさ(幅)を調整して接続端子20が接続される導電性布帛10aの丸められた部分の太さを変えることができる(導電糸111の量を増加させずに丸められた部分の太さを変えることができる)ため、このようなおそれはない。例えば、接続部分の強度を高めるためであれば、非導電部12の幅を大きくしたり、非導電部12を厚くしたりすることにより、接続端子20に接続される当該丸められた部分を太くすればよい。
【0033】
次に、第二の変形例について説明する。図10(a)に示すように、第二の変形例にかかる組立体1bの導電性布帛10bは、導電部11に加えて被覆部13を有する。導電部11は、上記実施形態にかかる組立体1と同様に、導電糸111と非導電糸112が織り込まれた部分である。被覆部13は、導電性部材が配されていない部分である。例えば非導電糸112のみによって構築された織物で構成される。この被覆部13は、導電部11の幅方向の一方側に隣接し、導電部11とともに一定幅で軸線方向に延びる。
【0034】
本変形例にかかる組立体1bでは、図10(b)に示すように丸められた導電性布帛10bの導電部11に対して接続端子20が接続される(かしめられる)。具体的には、接続部21の幅方向両端部が中央で突き合わされるように接続端子20を屈曲変形させて、接続部21の内側に丸められた導電部11が位置するようにする。この際、被覆部13は、接続部21の内側に入り込まないようにする。つまり、被覆部13は接続部21の外側に引き出される。より詳しくは、中央で突き合わされた接続部21の幅方向両端部の間から外側に引き出される。このように接続端子20の接続部21の外側に引き出された被覆部13は、屈曲変形した接続部21の周囲に巻き回される(図10(c)参照)。つまり、接続端子20の外面の少なくとも一部が、被覆部13によって覆われた構成となる。巻き回された被覆部13は、例えば接着剤などにより接続部21の周囲に接合されているとよい。なお、接続部21に対する被覆部13の巻き回し量(複数回巻き回したりする等)は、被覆部13の幅方向の大きさを変化させることにより適宜調整することができる。すなわち、被覆部13の幅方向に大きくして、接続部21の周囲に重ねて巻き回される構成としてもよい。
【0035】
このように、第二の変形例にかかる組立体1bは、導電性布帛10bの被覆部13を接続端子20の接続部21を覆う絶縁材として利用するものである。つまり、予め導電性布帛10bに絶縁材として機能する非導電性の部分を形成しておき、それを絶縁材として利用するものである。かかる構成によれば、接続端子20の絶縁材を別途用意する必要がないため、材料コストの削減が図れる。また、接続端子20の接続部21の外側に引き出された状態の被覆部13をそのまま接続部21に巻き回すだけであるため、組み立てが容易である。
【0036】
なお、上記第一の変形例(導電性布帛10aに非導電部12を形成した構成)と、第二の変形例(導電性布帛10bに被覆部13を形成した構成)とを、次のように組み合わせた構成(第三の変形例にかかる組立体1c)としてもよい。具体的には、図11(a)〜図11(c)に示すように、導電部11の幅方向の一方側に隣接するように非導電部12が形成され、他方側に隣接するように被覆部13が形成された導電性布帛10cを備える組立体1cとすればよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態(第一の変形例および第二の変形例を含む)では、導電性布帛10の端部が丸められ、その端部に接続端子20が接続されていることを説明したが、必ずしも導電性布帛10の「端部」が丸められる構成(接続端子20が導電性布帛10の端部に接続される構成)でなくともよい。すなわち、図12に示すように、導電性布帛10の端部以外の部分(中間部)を幅方向に丸め、当該丸めた部分が接続部61に囲まれるように接続端子60が接続された構成としてもよい。なお、かかる構成とする場合、上述した端子部22を有する接続端子20などを用いることが困難であることが考えられるから、他の機器と接続端子20および導電性布帛10を電気的に接続するための電線90(の導線)などが一緒に接続された構成にするとよい(なお、図12に示した接続端子60は図5示した接続端子30と同じものである)。このように、本実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体1は、導電性布帛10に対する接続端子20の接続位置が導電性布帛10の端部などに限定されない点においても優れる。
【符号の説明】
【0039】
1 導電性布帛と接続端子の組立体
10 導電性布帛
11 導電部
111 導電糸
112 非導電糸
12 非導電部
13 被覆部
20 接続端子
21 接続部
22 端子部
90 電線
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性布帛と接続端子の組立体に関し、さらに詳しくは、導電性を有する面が形成された導電性布帛と、その導電性布帛を他の部材と電気的に接続する接続端子との組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、導電性を有する面が形成された導電性布帛が記載されている(特許文献1における第2導体20)。このような導電性布帛は、例えば、面状のヒータ(特許文献1における第1導体10)が有する導電線材を一纏めにして電気的に接続するためなどに好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3119584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような導電性布帛を用いる場合において、導電性布帛を他の部材(電源などと接続するための部材)とどのように接続するかが問題となる。例えば、特許文献1のように、電線(特許文献1における電源線30)を導電性布帛に直接接続する手法が考えられる。しかし、この手法は、導電性布帛と電線の接触面積が小さいため、接続部分において抵抗が増大するなど、安定した電気的な接続状態が得られないという問題がある。これに対し、導電性布帛に接続する接続端子を大きくする(例えば導電性布帛の導電性を有する面の幅に合わせた接続端子を作成する)などして、導電性布帛とそれに接続される部材との接触面積を大きくする手法が考えられるが、端子コストが嵩むなどといった別の問題が生じてしまう。
【0005】
上記実情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、接続端子を大きくすることなく電気的な接続状態を良好なものとすることができる導電性布帛と接続端子の組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる導電性布帛と接続端子の組立体は、導電性部材を含み導電性を有する面が形成された導電部を有する導電性布帛と、この導電性布帛に接続される接続端子と、を備え、前記導電性布帛の一部が幅方向に丸められ、その丸められた導電性布帛の一部を囲むように前記接続端子が接続されていることを要旨とする。
【0007】
上記本発明は、導電性布帛の一部を丸め、その丸めた一部に接続端子を接続する構成である。つまり、接続端子が接続される部分は細いため(面状ではないため)、従来一般に知られている接続端子を用いて電源などの他の機器と導電性布帛を電気的に接続することができる。そして、導電性布帛の丸められた部分の外面とそれを囲む接続端子の内面が両者の接触面となるため(大きな接触面積を確保することができるため)、電気的な接続状態が良好なものとなる。
【0008】
またこの場合、前記導電性布帛の一面側に位置する導電性部材の割合は、他面側に位置する導電性部材の割合よりも大きくなっており、前記導電性布帛の一部は、前記一面が外側に位置するように幅方向に丸められているとよい。
【0009】
このように導電性部材の割合が多い面が外側に位置するように導電性布帛の一部を丸めれば、導電性布帛の導電性部材と接続端子の接触面積をより大きくすることができる。つまり、導電性布帛と接続端子の電気的な接続状態がさらに良好なものとなる。
【0010】
また、前記導電性布帛は、前記導電部の幅方向に隣接する導電性部材が配されていない非導電部をさらに有し、前記導電性布帛の一部は、内側に位置する前記非導電部の周囲を前記導電部が囲むように丸められていればよい。
【0011】
上述したように、導電性布帛の丸められた部分の外面とそれを囲む接続端子の内面が両者の接触面となり、導電性布帛の丸められた部分の内側に位置する部分は両者の電気的な接続に寄与しない。上記構成によれば、かかる内側に位置する部分に非導電部を配置させることにより、電気的な接続に寄与しない無駄な導電性部材を減らすことができる。また、非導電部の大きさ(幅)を調整することにより、接続端子が接続される導電性布帛の丸められた部分の太さを変えることができる。例えば、導電性布帛と接続端子の接続強度を高めるためであれば、非導電部を大きくすることにより、接続端子に接続される当該丸められた部分を太くすればよい。
【0012】
また、前記導電性布帛は、前記導電部の幅方向に隣接する導電性部材が配されていない被覆部をさらに有し、前記接続端子の内側には丸められた前記導電性布帛の一部における前記導電部が位置し、この内側に位置する導電部から引き出された前記被覆部に前記接続端子の外面の少なくとも一部が覆われているとよい。
【0013】
このように、予め導電性布帛に導電性部材が配されていない(絶縁性を有する)被覆部を形成しておけば、この被覆部を接続端子の外面を覆う絶縁部材として利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる導電性布帛と接続端子の組立体によれば、接続端子を大きくすることなく(従来一般に知られている接続端子を用いて)、両者の電気的な接続状態を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)は本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体が備える導電性布帛の外観図であり、図1(b)はこの導電性布帛の断面図である。
【図2】図2(a)は端部が丸められた導電性布帛の外観図であり、図2(b)図2(a)におけるA−A線断面図(丸められた部分の断面図)である。
【図3】図3(a)は本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体の外観図であり、図3(b)は図3(a)におけるB−B線断面図(導電性布帛と接続端子の接続部分の断面図)である。
【図4】図4(a)は断面が細長くなるように(略楕円形状に)丸められた導電性布帛の端部の断面図であり、図4(b)は断面がジグザグ状に丸められた導電性布帛の端部の断面図である。
【図5】図5(a)は本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体であって、電線が一緒に接続された構成の一例(第一の例)を示した外観図であり、図5(b)は図5(a)におけるC−C線断面図(導電性布帛、接続端子、および電線の接続部分の断面図)である。
【図6】本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体であって、電線が一緒に接続された構成の一例(第二の例)を示した外観図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体であって、電線が一緒に接続された構成の一例(第三の例)を示した外観図であり、図7(a)は導電性布帛、接続端子、および電線が組み立てられる前の状態を示し、図7(b)はこれらが組み立てられた状態を示す。
【図8】本発明の実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体であって、接続端子を介して導電性布帛がコネクタに接続される構成の外観図である。
【図9】図9(a)は第一の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体が備える導電性布帛の断面を模式的に示した図であり、図9(b)はこの導電性布帛が内側に位置する導電部の周囲を導電部が囲むように丸められた状態の断面を模式的に示した図であり、図9(c)は第一の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体における導電性布帛と接続端子の接続部分の断面図である。
【図10】図10(a)は第二の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体が備える導電性布帛の断面を模式的に示した図であり、図10(b)はこの導電性布帛の導電部が丸められた状態の断面を模式的に示した図であり、図10(c)は第二の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体における導電性布帛と接続端子の接続部分の断面図である。
【図11】図11(a)は第三の変形例(第一の変形例と第二の変形例を組み合わせたもの)にかかる導電性布帛と接続端子の組立体が備える導電性布帛の断面を模式的に示した図であり、図11(b)はこの導電性布帛が内側に位置する導電部の周囲を導電部が囲むように丸められた状態の断面を模式的に示した図であり、図11(c)は第三の変形例にかかる導電性布帛と接続端子の組立体における導電性布帛と接続端子の接続部分の断面図である。
【図12】幅方向に丸められた導電性布帛の中間部に接続端子が接続された構成の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、単に軸線方向とは導電性布帛10の長手方向(導電性布帛10の丸められた部分の軸方向;図1に示したX軸方向)をいい、単に幅方向とは導電性布帛10の幅方向(軸線方向に直交する方向;図1に示したY軸方向)をいう。
【0017】
本実施形態にかかる導電性布帛10と接続端子の組立体1(以下、単に(本実施形態にかかる)組立体1と称することもある)は、導電性布帛10および接続端子20を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0018】
導電性布帛10は、導電性部材を含む導電性を有する面が形成された導電部11を有する。導電部11は導電性部材である導電糸111と、絶縁性部材(非導電性部材)である非導電糸112とが織り込まれた織物で構成される。織物の具体的な構成としては、横糸(緯糸)と縦糸(経糸)のいずれか一方に導電糸111を用い、他方に非導電糸112を用いた構成が例示できる。これにより、表面に導電糸111が露出した導電部11を有する導電性布帛10となる。
【0019】
本実施形態にかかる組立体1における導電性布帛10は、図1(a)に示すように、いずれか一方の面側に位置する導電糸111の割合が、他方の面側に位置する導電糸111の割合よりも大きい(図1(a)では、上側の面の方が導電糸111の割合が大きい)。つまり、導電糸111と非導電糸112が等間隔に織り込まれた構成(非導電糸112が導電糸111一本ごとに布帛の厚み方向に屈曲する構成)ではなく、非導電糸112に織り込まれる導電糸111が複数本置き(非導電糸112が複数の導電糸111置きに布帛の厚み方向に屈曲する構成)である。したがって、この非導電糸112が織り込まれる間隔を大きくすればするほど、一方の面側に位置する導電糸111の割合が大きくなり、他方の面側に位置する導電糸111の割合が小さくなる。なお、以下の説明で用いる図2〜図5、図9〜図11では、図をわかりやすくするため、導電性布帛10における導電部11の断面を模式的に描いている。具体的には、導電部11の厚み方向約半分の部分を塗りつぶしており(間隔の小さいハッチングを施しており)、この塗りつぶした側の面が、導電糸111の割合が大きい側の面となっている。なお、導電部11における当該塗りつぶした以外の部分の断面については、断面を表すハッチングを省略している。
【0020】
接続端子20は、従来一般に知られている金属製の端子が用いられる。接続端子20は、導電性布帛10が接続される前の状態では例えば断面略U状である接続部21を有する。また、他の部材に接続するための端子部22(例えば図3に示すような丸形の端子部22など。かかる端子部22の形状はどのようなものであってもよい)を有する。
【0021】
この導電性布帛10と接続端子20は次のように接続されている。導電性布帛10は、図2に示すように、接続端子20に接続される端部(軸線方向の一端)が幅方向に丸められる。この丸められた端部が接続端子20の接続部21上に載置された状態で、図示されない周知のかしめ型により接続部21が屈曲変形させられる。具体的には、接続部21の幅方向両端部が互いに近づく方向に屈曲変形させられることにより、導電性布帛10に接続端子20がかしめられる。このかしめ構造としては周知の構造が適用できる。例えば、図3に示すように、接続部21の幅方向両端部が中央で突き合わされるように接続端子20を屈曲変形させてもよいし、接続部21の一方の端部に他方の端部が重なるように接続端子20を屈曲変形させてもよい。このようにして導電性布帛10に接続端子20がかしめられることにより、丸められた導電性布帛10の端部を接続部21が囲むように接続端子20が接続された組立体1が得られる。かかる構成の組立体1では、丸められた導電性布帛10の外面と、接続端子20の接続部21の内面が接触する。つまり、導電性布帛10と接続端子20が電気的に接続される。この接続端子20が電源などの外部機器と電気的に接続されることにより、導電性布帛10が当該外部機器と電気的に接続されることになる。
【0022】
このように、本実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体1は、導電性布帛10の端部を丸め、その丸めた端部に接続端子20を接続する(かしめる)構成である。つまり、従来一般に知られている接続端子20を、従来一般に知られている方法で(従来一般に知られているかしめ型を用いるなどして)導電性布帛10に接続することができる。そして、導電性布帛10における丸められた部分の外面とそれを囲む接続端子20の内面が両者の接触面となるため(大きな接触面積を確保することができるため)、電気的な接続状態が良好なものとなる。また、当該かしめは、接続端子20を塑性変形させるため、安定した、強固な圧着荷重を確保できる。
【0023】
このとき、丸められる導電性布帛10の端部は、位置する導電糸111の割合が大きい方の面が外側に位置するようにするとよい(図3(b)参照)。つまり、丸められた状態における外面により多くの導電糸111が存在するようにするとよい。上記のように、丸められた導電性布帛10の外面は接続端子20との接触面となるから、このように多くの導電糸111が存在する面を外面とすることにより、多くの導電糸111と接続端子20の接続部21が接触し、導電性布帛10と接続端子20の電気的な接続状態がより良好なものとなる。したがって、導電性布帛10は、織物としての強度などが確保できる範囲内で、一方の面側に位置する導電糸111の割合をできる限り大きくするとよい。
【0024】
なお、上記実施形態における、導電性布帛10の端部の「丸められた」状態には、図4(a)に示すような断面が細長くなるように(略楕円形状に)丸められた状態(細長く折りたたまれた状態)や、図4(b)に示すような断面がジグザグ状に丸められた状態(ジグザグに折りたたまれた状態)など、断面が略丸形状に丸められた以外の構成も含む。つまり、導電部11における導電性部材の割合が大きい面を外側に位置させるように導電性布帛10の端部が丸められた(折りたたまれた)構成の全てを含む。
【0025】
また、上記実施形態にかかる組立体1として、導電性布帛10に接続端子20のみが接続されたものを説明したが、導電性布帛10に、接続端子30とともに電線90などのその他の部材が接続されていてもよい(導電性布帛10に、接続端子30を介して電線90などのその他の部材が接続されていてもよい)。図5に示すように、接続端子30(上記のような端子部22が無い接続端子30)の内側に、丸められた導電性布帛10の端部と電線90が一緒に接続された(かしめられた)構成とすればよい。具体的には、図5(b)に示すように、接続端子30(接続部31)と丸められた導電性布帛10の端部の間に電線90の導線91が挟み込まれた構成とすればよい。この一緒に接続された電線90が電源などの外部機器と電気的に接続されることにより、導電性布帛10が当該外部機器と電気的に接続されることになる。
【0026】
この電線90を一緒に接続する構成の変形例として、図6および図7に示すような構成が考えられる。つまり、図6に示すように、接続端子40として、丸められた導電性布帛10の端部に接続される接続部41と、電線90が接続される電線接続部43と、を有する接続端子40を用いて導電性布帛10を電線90と接続してもよい。また、図7に示すように、スリーブ形状の接続端子50を、丸められた導電性布帛10の端部および電線90に圧着した構成(かかる圧着部を図7(b)においてPで示す)としてもよい。このように、丸められた導電性布帛10の端部と電線90の接続方法(用いる接続端子の構成)としては、様々なものが考えられる。
【0027】
また、図8に示すように、導電性布帛10をコネクタ95に接続する構成としてもよい。かかる場合、接続部61とコネクタ係合部64を有する接続端子60を用いればよい。つまり、接続端子60の接続部61を、丸められた導電性布帛10の端部にかしめ(接続し)、接続端子60のコネクタ係合部64をコネクタ95に嵌め込んで接続した構成とすればよい。このような構成とすれば、接続端子60を介して導電性布帛10とコネクタ95が接続された組立体が得られる。コネクタ95を外部機器に設けられた相手方コネクタに嵌合させることにより、導電性布帛10と外部機器とが電気的に接続される。
【0028】
以下、上記実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体1の変形例について説明する。なお、以下の説明では、上記実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成については説明を省略する。また、以下の説明では、導電性布帛10に接続端子20のみが接続された構成を例として説明するが、上述したような電線90などのその他の部材が一緒に接続された構成(接続端子30、40、50、60を用いた構成)にも適用可能である。
【0029】
図9(a)に示すように、第一の変形例にかかる組立体1aの導電性布帛10aは、導電部11に加えて非導電部12を有する。導電部11は、上記実施形態にかかる組立体1と同様に、導電糸111と非導電糸112が織り込まれた部分である。非導電部12は、導電性部材が配されていない部分である。例えば非導電糸112のみによって構築された織物で構成される。この非導電部12は、導電部11の幅方向の一方側に隣接し、導電部11とともに一定幅で軸線方向に延びる。
【0030】
図9(b)に示すように、このような構成の導電性布帛10の端部は、内側に位置する非導電部12の回りを導電部11が囲むように丸められている。この丸められた部分に対して接続端子20が接続される(かしめられる)。この接続方法は、上記実施形態で説明した通りである。これにより、図9(c)に接続部分を断面で示した導電性布帛10aに接続端子20が接続された組立体1aが得られる。
【0031】
このように、第一の変形例にかかる組立体1aは、内側に非導電部12が位置するように丸められた導電性布帛10aの端部に接続端子20が接続された構成である。本発明において、導電性布帛10aの丸められた部分における内側に位置する部分は、接続端子20との電気的な接続に寄与しない部分である。本変形例のように、この内側に位置させる部分として予め導電性布帛10aに非導電部12を形成しておけば、電気的な接続に寄与しない無駄な導電性部材(導電糸111)を減らすことができる。
【0032】
また、接続端子20が接続される丸められた導電性布帛10aの端部が細いと、接続端子20と導電性布帛10aの接続部分の強度が著しく低くなるおそれがあるところ、本変形例では、非導電部12の大きさ(幅)を調整して接続端子20が接続される導電性布帛10aの丸められた部分の太さを変えることができる(導電糸111の量を増加させずに丸められた部分の太さを変えることができる)ため、このようなおそれはない。例えば、接続部分の強度を高めるためであれば、非導電部12の幅を大きくしたり、非導電部12を厚くしたりすることにより、接続端子20に接続される当該丸められた部分を太くすればよい。
【0033】
次に、第二の変形例について説明する。図10(a)に示すように、第二の変形例にかかる組立体1bの導電性布帛10bは、導電部11に加えて被覆部13を有する。導電部11は、上記実施形態にかかる組立体1と同様に、導電糸111と非導電糸112が織り込まれた部分である。被覆部13は、導電性部材が配されていない部分である。例えば非導電糸112のみによって構築された織物で構成される。この被覆部13は、導電部11の幅方向の一方側に隣接し、導電部11とともに一定幅で軸線方向に延びる。
【0034】
本変形例にかかる組立体1bでは、図10(b)に示すように丸められた導電性布帛10bの導電部11に対して接続端子20が接続される(かしめられる)。具体的には、接続部21の幅方向両端部が中央で突き合わされるように接続端子20を屈曲変形させて、接続部21の内側に丸められた導電部11が位置するようにする。この際、被覆部13は、接続部21の内側に入り込まないようにする。つまり、被覆部13は接続部21の外側に引き出される。より詳しくは、中央で突き合わされた接続部21の幅方向両端部の間から外側に引き出される。このように接続端子20の接続部21の外側に引き出された被覆部13は、屈曲変形した接続部21の周囲に巻き回される(図10(c)参照)。つまり、接続端子20の外面の少なくとも一部が、被覆部13によって覆われた構成となる。巻き回された被覆部13は、例えば接着剤などにより接続部21の周囲に接合されているとよい。なお、接続部21に対する被覆部13の巻き回し量(複数回巻き回したりする等)は、被覆部13の幅方向の大きさを変化させることにより適宜調整することができる。すなわち、被覆部13の幅方向に大きくして、接続部21の周囲に重ねて巻き回される構成としてもよい。
【0035】
このように、第二の変形例にかかる組立体1bは、導電性布帛10bの被覆部13を接続端子20の接続部21を覆う絶縁材として利用するものである。つまり、予め導電性布帛10bに絶縁材として機能する非導電性の部分を形成しておき、それを絶縁材として利用するものである。かかる構成によれば、接続端子20の絶縁材を別途用意する必要がないため、材料コストの削減が図れる。また、接続端子20の接続部21の外側に引き出された状態の被覆部13をそのまま接続部21に巻き回すだけであるため、組み立てが容易である。
【0036】
なお、上記第一の変形例(導電性布帛10aに非導電部12を形成した構成)と、第二の変形例(導電性布帛10bに被覆部13を形成した構成)とを、次のように組み合わせた構成(第三の変形例にかかる組立体1c)としてもよい。具体的には、図11(a)〜図11(c)に示すように、導電部11の幅方向の一方側に隣接するように非導電部12が形成され、他方側に隣接するように被覆部13が形成された導電性布帛10cを備える組立体1cとすればよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態(第一の変形例および第二の変形例を含む)では、導電性布帛10の端部が丸められ、その端部に接続端子20が接続されていることを説明したが、必ずしも導電性布帛10の「端部」が丸められる構成(接続端子20が導電性布帛10の端部に接続される構成)でなくともよい。すなわち、図12に示すように、導電性布帛10の端部以外の部分(中間部)を幅方向に丸め、当該丸めた部分が接続部61に囲まれるように接続端子60が接続された構成としてもよい。なお、かかる構成とする場合、上述した端子部22を有する接続端子20などを用いることが困難であることが考えられるから、他の機器と接続端子20および導電性布帛10を電気的に接続するための電線90(の導線)などが一緒に接続された構成にするとよい(なお、図12に示した接続端子60は図5示した接続端子30と同じものである)。このように、本実施形態にかかる導電性布帛と接続端子の組立体1は、導電性布帛10に対する接続端子20の接続位置が導電性布帛10の端部などに限定されない点においても優れる。
【符号の説明】
【0039】
1 導電性布帛と接続端子の組立体
10 導電性布帛
11 導電部
111 導電糸
112 非導電糸
12 非導電部
13 被覆部
20 接続端子
21 接続部
22 端子部
90 電線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性部材を含み導電性を有する面が形成された導電部を有する導電性布帛と、この導電性布帛に接続される接続端子と、を備える導電性布帛と接続端子の組立体であって、
前記導電性布帛の一部が幅方向に丸められ、その導電性布帛の丸められた部分を囲むように前記接続端子が接続されていることを特徴とする導電性布帛と接続端子の組立体。
【請求項2】
前記導電性布帛の一面側に位置する導電性部材の割合は、他面側に位置する導電性部材の割合よりも大きくなっており、
前記導電性布帛の一部は、前記一面が外側に位置するように幅方向に丸められていることを特徴とする請求項1に記載の導電性布帛と接続端子の組立体。
【請求項3】
前記導電性布帛は、前記導電部の幅方向に隣接する導電性部材が配されていない非導電部をさらに有し、
前記導電性布帛の一部は、内側に位置する前記非導電部の周囲を前記導電部が囲むように丸められていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性布帛と接続端子の組立体。
【請求項4】
前記導電性布帛は、前記導電部の幅方向に隣接する導電性部材が配されていない被覆部をさらに有し、
前記接続端子の内側には丸められた前記導電性布帛の一部における前記導電部が位置し、この内側に位置する導電部から引き出された前記被覆部に前記接続端子の外面の少なくとも一部が覆われていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電性布帛と接続端子の組立体。
【請求項1】
導電性部材を含み導電性を有する面が形成された導電部を有する導電性布帛と、この導電性布帛に接続される接続端子と、を備える導電性布帛と接続端子の組立体であって、
前記導電性布帛の一部が幅方向に丸められ、その導電性布帛の丸められた部分を囲むように前記接続端子が接続されていることを特徴とする導電性布帛と接続端子の組立体。
【請求項2】
前記導電性布帛の一面側に位置する導電性部材の割合は、他面側に位置する導電性部材の割合よりも大きくなっており、
前記導電性布帛の一部は、前記一面が外側に位置するように幅方向に丸められていることを特徴とする請求項1に記載の導電性布帛と接続端子の組立体。
【請求項3】
前記導電性布帛は、前記導電部の幅方向に隣接する導電性部材が配されていない非導電部をさらに有し、
前記導電性布帛の一部は、内側に位置する前記非導電部の周囲を前記導電部が囲むように丸められていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性布帛と接続端子の組立体。
【請求項4】
前記導電性布帛は、前記導電部の幅方向に隣接する導電性部材が配されていない被覆部をさらに有し、
前記接続端子の内側には丸められた前記導電性布帛の一部における前記導電部が位置し、この内側に位置する導電部から引き出された前記被覆部に前記接続端子の外面の少なくとも一部が覆われていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電性布帛と接続端子の組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−248406(P2012−248406A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119282(P2011−119282)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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