導電性微粒子、配線形成用材料及び塗布装置
【課題】金属粒子の接合により形成される配線の電気抵抗を小さくする。
【解決手段】導電性微粒子11Aは、コア材12と、そのコア材12を覆い、コア材12より低い融点を有する金属材13とを備える。
【解決手段】導電性微粒子11Aは、コア材12と、そのコア材12を覆い、コア材12より低い融点を有する金属材13とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性微粒子、配線形成用材料及び塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に配線を形成する場合には、配線形成用材料を用いて印刷やインクジェット塗布、ディスペンサ塗布などの方法により基板上に配線を描画し、その後、焼成することで、基板上に配線を形成する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき用いる配線形成用材料としては、金や銀、銅などの金属材料を直径数十nm程度の小さな粒子(ナノ粒子と呼ばれる粒子)にして、その粒子の周囲を樹脂コーティングして液に混ぜた材料を用いる。この場合には、金属材料をナノ粒子にすることで、その融点以下でもある程度の導電性を確保することができる。また、金属材料をμmオーダの粒子状にして高粘度液に混ぜた材料を用いることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−224381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のように金属材料をナノ粒子にして用いた場合、融点以下でもある程度の導電性を確保することは可能であるが、本来の金属結合レベルの導電性を得ることはできない。また、金属材料をμmオーダの粒子状にして用いた場合には、粒子間の導通は単なる接触となるため、ナノ粒子を用いた場合以上に電気抵抗が大きくなってしまう。
【0006】
また、ハンダなどの材料をμmオーダで粒子化して塗布することも考えられるが、基板上に塗布された材料が融点以上になると、粒子同士が表面張力により引き合い結合してしまう。このため、ハンダなどの材料を線状に塗布しても、その材料の焼成後には、線が切れて所々ダマ状になってしまう。
【0007】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属粒子の接合により形成される配線の電気抵抗を小さくすることができる導電性微粒子、配線形成用材料及び塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、導電性微粒子において、コア材と、コア材を覆い、コア材より低い融点を有する金属材とを備えることである。
【0009】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、導電性微粒子において、金属のコア材と、コア材を覆い、コア材の融点より高くその融点付近で硬化を開始する熱硬化性樹脂とを備えることである。
【0010】
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、配線形成用材料において、前述の第1又は第2の特徴に係る導電性微粒子を比重が1以上の液体中に混合したことである。
【0011】
本発明の実施の形態に係る第4の特徴は、塗布装置において、前述の第1の特徴に係る導電性微粒子を含有する配線形成用材料を塗布対象物に向けて吐出する塗布ヘッドと、塗布対象物に塗布された配線形成用材料を加熱する加熱部と、配線形成用材料が含有する金属材の融点以上であってコア材の融点より低い温度で配線形成用材料を加熱するように加熱部を制御する制御部とを備えることである。
【0012】
本発明の実施の形態に係る第5の特徴は、塗布装置において、前述の第2の特徴に係る導電性微粒子を含有する配線形成用材料を塗布対象物に向けて吐出する塗布ヘッドと、塗布対象物に塗布された配線形成用材料を加熱する加熱部と、配線形成用材料が含有するコア材の融点より高くその融点付近の温度で配線形成用材料を加熱するように加熱部を制御する制御部とを備えることである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属粒子の接合により形成される配線の電気抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る塗布装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る導電性微粒子の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す導電性微粒子の金属接合を説明するための第1の断面図である。
【図4】第2の断面図である。
【図5】図2に示す導電性微粒子の変形例1を示す断面図である。
【図6】図2に示す導電性微粒子の変形例2を示す断面図である。
【図7】図2に示す導電性微粒子の変形例3を示す断面図である。
【図8】図7に示す導電性微粒子の効果を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る導電性微粒子の概略構成を示す断面図である。
【図10】図9に示す導電性微粒子の金属接合を説明するための第1の断面図である。
【図11】第2の断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る導電性微粒子の概略構成を示す断面図である。
【図13】図12に示す導電性微粒子の金属接合を説明するための第1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図8を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る塗布装置1は、塗布対象物としての基板Kが載置されるステージ2と、そのステージ2を保持してX軸方向及びY軸方向に移動させるステージ駆動部3と、ステージ2上の基板Kに向けて配線形成用材料を液滴として吐出する塗布ヘッド4と、その塗布ヘッド4に配線形成用材料を供給する供給部5と、基板K上に塗布された配線形成用材料を熱により乾燥させる加熱部6と、各部を制御する制御部7とを備えている。
【0017】
ステージ2は、樹脂基板などの基板Kが載置されるテーブルであり、ステージ駆動部3上に移動可能に設けられている。このステージ2の載置面には、基板Kが静電チャックや吸着チャックなどの機構(図示せず)により保持されるが、これに限るものではなく、例えば、自重により載置されるだけでもよい。
【0018】
ステージ駆動部3は、X軸移動機構及びY軸移動機構(いずれも図示せず)を有しており、ステージ2をX軸方向及びY軸方向に案内して移動させる。このステージ駆動部3は制御部7に電気的に接続されており、その駆動が制御部7により制御される。X軸移動機構及びY軸移動機構としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ式の機構やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式の機構などが用いられる。
【0019】
塗布ヘッド4は、液滴を吐出するための複数の吐出孔(オリフィス)を有しており、それらの吐出孔に対応する複数の圧電素子(いずれも図示せず)を内蔵している。この塗布ヘッド4は、制御部7に電気的に接続されており、制御部7による各圧電素子に対する駆動電圧の印加に応じて各吐出孔から液滴を吐出する。なお、塗布ヘッド4は、移動するステージ2上の基板Kに向けて配線形成用材料を吐出可能に門柱(コラム)などの支持部材(図示せず)により支持されている。
【0020】
供給部5は、配線形成用材料を貯留するタンク5aと、そのタンク5a内の配線形成用材料を塗布ヘッド4に供給してタンク5aに戻す循環を行うための配管5b及び配管5cと、その循環を行う駆動源となるポンプ5dとを備えている。
【0021】
タンク5aは、塗布ヘッド4に供給する配線形成用材料を貯留する貯留部である。また、配管5bはタンク5aと塗布ヘッド4とを接続し、タンク5aから塗布ヘッド4内に配線形成用材料を供給するための供給流路である。配管5cは塗布ヘッド4とタンク5aとを接続し、塗布ヘッド4内からタンク5aに配線形成用材料を戻すための戻し流路である。これらの配管5b及び配管5cとしては、例えばチューブやパイプなどが用いられる。ポンプ5dは配管5cの経路途中に設けられており、制御部7に電気的に接続されている。
【0022】
ここで、配線形成用材料としては、図2示すような導電性微粒子11Aを、比重が1以上の液体(例えば、フッ素系溶剤)中に混合した配線形成用材料が用いられる。図2に示すように、導電性微粒子11Aは、核となるコア材12と、そのコア材12を覆う金属材13とにより構成されている。この金属材13は、コア材12より融点が低い金属材料により形成されている。また、コア材12は金属材13の材料より比重が小さい材料により形成されている。例えば、金属材13がハンダにより形成されている場合には、コア材12はハンダよりも比重が小さい材料(例えば、チタンやアルミ、マグネシウムなど)により形成されている。なお、コア材12としては、例えば、銅やガラス、樹脂材料などが用いられても良い。また、コア材12の直径は、液中での導電性微粒子11Aの沈降を抑えるため、例えば10μm以下であることが望ましい。
【0023】
図1に戻り、加熱部6は、ヒータなどを内蔵し、載置状態の基板Kに熱を供給するホットプレートである。この加熱部6は制御部7に電気的に接続されており、その駆動が制御部7により制御される。基板Kはロボットアームなどの搬送部(図示せず)によりステージ2上から加熱部6に搬送される。この加熱部6の加熱温度は、前述の導電性微粒子11Aを構成する金属材13が溶融する融点以上であり、コア材12が溶融する融点よりも低い温度である。なお、加熱方法としては、ヒータなどを用いる以外にも、塗布済の基板Kに対して高温の風を当てるようにしてもよく、また、高温に保たれた加熱室に塗布済の基板Kを入れて所定時間放置するようにしてもよい。
【0024】
制御部7は、各部を制御するマイクロコンピュータ、さらに、制御プログラムや各種データ(塗布条件や描画パターン)を記憶する記憶部、操作者からの入力操作を受け付ける操作部(いずれも図示せず)などを備えている。この制御部7は、ステージ駆動部3及び塗布ヘッド4を制御し、所定の描画パターンに基づいてステージ2上の基板Kに配線形成用材料を線状に塗布して、その基板K上に配線を描画する。また、制御部7は、供給部5のポンプ5dを制御し、配線形成用材料を循環させ、配線形成用材料が含有する導電性微粒子11Aの沈降を抑える。さらに、制御部7は、加熱部6を制御し、配線形成用材料が含有する金属材13の融点以上であってコア材12の融点より低い温度で基板Kを、すなわちその基板K上に塗布された配線形成用材料を加熱する。
【0025】
このような塗布装置1は、基板Kがステージ2上に載置されると、そのステージ2上の基板Kに対する塗布を開始する。まず、配線形成用材料が描画パターンに基づいて塗布ヘッド4によりステージ2上の基板Kに線状に塗布される。その配線形成用材料が乾燥するに従って、配線形成用材料が含有する複数の導電性微粒子11Aが液の表面張力により少しずつ移動して整列する。例えば、図3に示すように、各導電性微粒子11Aが整列する。このとき、隣り合う導電性微粒子11A同士は接触状態(点接触のような接触状態)となる。
【0026】
その後、塗布装置1は、塗布済の基板Kをステージ2上から加熱部6に搬送し、その加熱部6により加熱する。このときの加熱温度は、金属材13が溶融する融点以上であってコア材12が溶融する融点よりも低い温度である。塗布済の基板Kが加熱部6により加熱されると、配線形成用材料が含有する溶剤の液が所定の温度以上で蒸発し、各導電性微粒子11Aの金属材13が融点以上で溶融する。これにより、図4に示すように、隣り合う導電性微粒子11Aの各金属材13が結合し、コア材12間が金属材13により接続される。このため、各金属材13が結合して一体化した金属接合が実現されるので、金属結合レベルの導電性を得ることができる。
【0027】
なお、加熱部6による加熱時、各金属材13は液体となって高い流動性を有することになるため、表面張力により一箇所に集まろうとする。ところが、各コア材12は溶融しておらず、固体のままであり、その場に留まっている。このため、これらのコア材12を繋ぐような形で各金属材13は連結することになる。このようにして、配線形状を維持したまま、各導電性微粒子11Aが金属結合をすることになる。したがって、各金属材13が溶融した状態でも、コア材12が溶融せずに固体の状態でその場に留まることによって、コア材12間が金属材13により接続されることになる。これにより、配線形状を維持しつつ充分な金属結合が得られるので、電気抵抗が小さい接合を実現することができる。
【0028】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、導電性微粒子11Aは、コア材12と、そのコア材12を覆いコア材12より低い融点を有する金属材13とにより構成されている。このため、金属材13が溶融する融点以上であってコア材12が溶融する融点よりも低い温度で各導電性微粒子11Aを加熱して接合する場合には、各導電性微粒子11Aのコア材12は金属材13が液状になっても移動せずにその場に留まり、各コア材12を繋ぐような形で各金属材13が連結することになる。これにより、コア材12間が各金属材13により接続され、各金属材13が結合して一体化した金属結合が実現されるので、電気抵抗を小さくすることができる。
【0029】
また、コア材12は金属材13よりも比重が小さい材料により形成されていることから、導電性微粒子11Aは溶剤などの液中で分散しやすくなるので、導電性微粒子11Aの沈降を抑止することができる。特に、金属材13はハンダにより形成されており、コア材12はハンダよりも比重が小さい材料により形成されていることから、濡れ性に優れたハンダを用いて確実な金属接合を実現しながらも、導電性微粒子11Aの沈降を抑止することができる。
【0030】
ここで、導電性微粒子11Aの変形例1として導電性微粒子11Bについて図5を参照して説明する。図5に示すように、導電性微粒子11Bでは、コア材12が、樹脂12aと、その樹脂12aを覆う金属材12bとにより構成されている。これにより、導電性微粒子11Bが軽くなり、溶剤などの液中で分散しやすくなるので、導電性微粒子11Bの沈降を抑止することができる。
【0031】
導電性微粒子11Aの変形例2として導電性微粒子11Cについて図6を参照して説明する。図6に示すように、導電性微粒子11Cでは、コア材12が複数(図6では2つ)の空洞部12cを有している。これにより、導電性微粒子11Cが軽くなり、溶剤などの液中で分散しやすくなるので、導電性微粒子11Cの沈降を抑止することができる。この空洞部12cとしては、例えば、気泡状の空間や貫通孔などが挙げられる。ただし、製造工程において金属材13の形成材料がコア材12の空洞部12cに入り込むことを防止する必要がある場合には、貫通孔よりも、密閉状態の空間である空洞部12cを用いることが望ましい。また、コア材12としては、例えば、空洞部12cとして気泡を含むガラス材料が用いられる。この場合には、空洞部12cを容易に形成することができる。なお、空洞部12cの数は1つでも良く、その数は限定されない。
【0032】
導電性微粒子11Aの変形例3として導電性微粒子11Dについて図7及び図8を参照して説明する。図7に示すように、導電性微粒子11Dでは、コア材12が円柱状に形成されている。すなわち、コア材12の平面断面は長方形状であり、図8に示すように、隣接する導電性微粒子11D同士の接触面積が、コア材12の平面断面が円形状である導電性微粒子11Aに比べて大きくなる。これにより、線状の配線の連続性を向上させることができる。なお、導電性微粒子11D同士の接触面積を良好に増大させるためには、円柱状のコア材12は、その長さが直径に対して5倍以上であることが好ましい。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図9ないし図11を参照して説明する。
【0033】
本発明の第2の実施の形態は基本的に第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点、すなわち導電性微粒子11Eについて説明し、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0034】
図9に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る導電性微粒子11Eでは、金属材13を覆う熱硬化性樹脂14が設けられている。この熱硬化性樹脂14は、金属材13の融点より高くその融点付近で硬化を開始する特性を有している。この樹脂コーティングにより、液中での導電性微粒子11Eの分散性を向上させることができる。また、熱硬化性樹脂14は、最終的に、基板Kに対する接着剤として、あるいは配線の外周の形状を保護する保護膜として機能する。なお、金属材13の融点より高くその融点付近とは、熱硬化性樹脂14の硬化温度が金属材13の融点より高く、熱硬化性樹脂14が金属材13の全体が完全に溶融する前に硬化する温度範囲である。
【0035】
このような導電性微粒子11Eを含有する配線形成用材料が塗布ヘッド4によりステージ2上の基板Kに線状に塗布される。その配線形成用材料が乾燥するに従って、配線形成用材料が含有する複数の導電性微粒子11Eが液の表面張力により少しずつ移動して整列する。例えば、図10に示すように、各導電性微粒子11Eが整列する。このとき、隣り合う導電性微粒子11E同士は接触状態(点接触のような接触状態)となる。
【0036】
その後、塗布済の基板Kが加熱部6に搬送され、その加熱部6により加熱される。このときの加熱温度は、金属材13が溶融する融点以上であってコア材12が溶融する融点よりも低い温度である。この加熱により、配線形成用材料が含有する溶剤の液が所定の温度以上で蒸発し、熱硬化性樹脂14は硬化前に液体の状態となる。このとき、熱硬化性樹脂14における隣との接触箇所は薄くなり、さらに、その熱硬化性樹脂14の内部にある金属材13は融点以上で溶融する。その薄膜状態の接触箇所が破け、溶融した金属材13がその箇所から漏れ出して隣の金属材13と繋がる。その後、徐々に熱硬化性樹脂14が硬化する。これにより、図11に示すように、隣り合う導電性微粒子11Eの各金属材13が結合し、コア材12間が金属材13により接続される。このため、各金属材13が一体化した金属接合が実現されるので、金属結合レベルの導電性を得ることができる。さらに、熱硬化性樹脂14は基板Kに対する接着剤及び配線の外周形状を保護する保護膜となるので、配線形状が安定することになる。
【0037】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、金属材13を覆う熱硬化性樹脂14を設けることによって、各導電性微粒子11Eが接合した配線における基板Kに対する接着性を向上させることが可能であり、さらに、配線の外周形状を保護することも可能となるので、配線形状を安定させることができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について図12及び図13を参照して説明する。
【0038】
本発明の第3の実施の形態は基本的に第1の実施の形態と同様である。第3の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点、すなわち導電性微粒子11Fについて説明し、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0039】
図12に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る導電性微粒子11Fは、金属のコア材21と、そのコア材21を覆う熱硬化性樹脂22とにより構成されている。この熱硬化性樹脂22は、コア材21の融点より高くその融点付近で硬化を開始する特性を有している。この樹脂コーティングにより、液中での導電性微粒子11Fの分散性を向上させることができる。また、熱硬化性樹脂22は、最終的に、基板Kに対する接着剤として、あるいは配線の外周の形状を保護する保護膜として機能する。なお、コア材21の融点より高くその融点付近とは、熱硬化性樹脂22の硬化温度がコア材21の融点より高く、熱硬化性樹脂22がコア材21の全体が完全に溶融する前に硬化する温度範囲である。
【0040】
このような導電性微粒子11Fを含有する配線形成用材料が、他の実施の形態と同様、塗布ヘッド4によりステージ2上の基板Kに線状に塗布される。その後、塗布済の基板Kが加熱部6に搬送され、その加熱部6により加熱される。このときの加熱温度は、金属のコア材21が溶融する融点より高くその融点付近の温度である。
【0041】
この加熱により、配線形成用材料が含有する溶剤の液が所定の温度以上で蒸発し、熱硬化性樹脂22は硬化前に液体の状態となる。このとき、熱硬化性樹脂22における隣との接触箇所は薄くなり、さらに、その熱硬化性樹脂22の内部にあるコア材21は融点以上で溶融する。その薄膜状態の接触箇所が破け、溶融したコア材21がその箇所から漏れ出して隣のコア材21と繋がる。その後、徐々に熱硬化性樹脂22が硬化する。これにより、図13に示すように、隣り合う導電性微粒子11Fの各コア材21が結合し、コア材21が一体化される。この一体化したコア材21による金属接合が実現されるので、金属結合レベルの導電性を得ることができる。さらに、熱硬化性樹脂22は基板Kに対する接着剤及び配線の外周形状を保護する保護膜となるので、配線形状が安定することになる。
【0042】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、導電性微粒子11Fは、金属のコア材21と、そのコア材21の融点付近で硬化を開始する特性を有しコア材21を覆う熱硬化性樹脂22とにより構成されている。このため、コア材21が溶融する融点より高くその融点付近の温度で各導電性微粒子11Fを加熱して接合する場合には、各導電性微粒子11Fのコア材21は液体状になっても熱硬化性樹脂22により移動せずにその場に留まり、各コア材21が連結して一体化することになる。これにより、一体化したコア材21による金属結合が実現されるので、配線の電気抵抗を小さくすることができる。
【0043】
さらに、熱硬化性樹脂22を設けることによって、各導電性微粒子11Fが接合した配線における基板Kに対する接着性を向上させることが可能であり、さらに、配線の外周形状を保護することも可能となるので、配線形状を安定させることができる。
【0044】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、前述の実施の形態においては、各種の数値を挙げているが、それらの数値は例示であり、限定されるものではない。
【0045】
例えば、前述の実施の形態においては、基板Kを搭載したステージ2だけを描画パターンに合わせて移動させながら配線形成用材料を塗布しているが、これに限るものではなく、ステージ2を固定して、塗布ヘッド4だけを描画パターンに合わせて移動させながら配線形成用材料を塗布するようにしても良く、また、ステージ2及び塗布ヘッド4の両方を描画パターンに基づいて移動させながら配線形成用材料を塗布するようにしても良く、描画に関する駆動方法の制約はない。また、塗布ヘッド4も複数個設けるようにしても良く、その数は限定されない。
【符号の説明】
【0046】
1 塗布装置
4 塗布ヘッド
6 加熱部
7 制御部
11A 導電性微粒子
11B 導電性微粒子
11C 導電性微粒子
11D 導電性微粒子
11E 導電性微粒子
11F 導電性微粒子
12 コア材
12a 樹脂
12b 金属材
12c 空洞部
13 金属材
14 熱硬化性樹脂
21 コア材
22 熱硬化性樹脂
K 基板(塗布対象物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性微粒子、配線形成用材料及び塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に配線を形成する場合には、配線形成用材料を用いて印刷やインクジェット塗布、ディスペンサ塗布などの方法により基板上に配線を描画し、その後、焼成することで、基板上に配線を形成する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき用いる配線形成用材料としては、金や銀、銅などの金属材料を直径数十nm程度の小さな粒子(ナノ粒子と呼ばれる粒子)にして、その粒子の周囲を樹脂コーティングして液に混ぜた材料を用いる。この場合には、金属材料をナノ粒子にすることで、その融点以下でもある程度の導電性を確保することができる。また、金属材料をμmオーダの粒子状にして高粘度液に混ぜた材料を用いることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−224381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のように金属材料をナノ粒子にして用いた場合、融点以下でもある程度の導電性を確保することは可能であるが、本来の金属結合レベルの導電性を得ることはできない。また、金属材料をμmオーダの粒子状にして用いた場合には、粒子間の導通は単なる接触となるため、ナノ粒子を用いた場合以上に電気抵抗が大きくなってしまう。
【0006】
また、ハンダなどの材料をμmオーダで粒子化して塗布することも考えられるが、基板上に塗布された材料が融点以上になると、粒子同士が表面張力により引き合い結合してしまう。このため、ハンダなどの材料を線状に塗布しても、その材料の焼成後には、線が切れて所々ダマ状になってしまう。
【0007】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属粒子の接合により形成される配線の電気抵抗を小さくすることができる導電性微粒子、配線形成用材料及び塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、導電性微粒子において、コア材と、コア材を覆い、コア材より低い融点を有する金属材とを備えることである。
【0009】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、導電性微粒子において、金属のコア材と、コア材を覆い、コア材の融点より高くその融点付近で硬化を開始する熱硬化性樹脂とを備えることである。
【0010】
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、配線形成用材料において、前述の第1又は第2の特徴に係る導電性微粒子を比重が1以上の液体中に混合したことである。
【0011】
本発明の実施の形態に係る第4の特徴は、塗布装置において、前述の第1の特徴に係る導電性微粒子を含有する配線形成用材料を塗布対象物に向けて吐出する塗布ヘッドと、塗布対象物に塗布された配線形成用材料を加熱する加熱部と、配線形成用材料が含有する金属材の融点以上であってコア材の融点より低い温度で配線形成用材料を加熱するように加熱部を制御する制御部とを備えることである。
【0012】
本発明の実施の形態に係る第5の特徴は、塗布装置において、前述の第2の特徴に係る導電性微粒子を含有する配線形成用材料を塗布対象物に向けて吐出する塗布ヘッドと、塗布対象物に塗布された配線形成用材料を加熱する加熱部と、配線形成用材料が含有するコア材の融点より高くその融点付近の温度で配線形成用材料を加熱するように加熱部を制御する制御部とを備えることである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属粒子の接合により形成される配線の電気抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る塗布装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る導電性微粒子の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す導電性微粒子の金属接合を説明するための第1の断面図である。
【図4】第2の断面図である。
【図5】図2に示す導電性微粒子の変形例1を示す断面図である。
【図6】図2に示す導電性微粒子の変形例2を示す断面図である。
【図7】図2に示す導電性微粒子の変形例3を示す断面図である。
【図8】図7に示す導電性微粒子の効果を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る導電性微粒子の概略構成を示す断面図である。
【図10】図9に示す導電性微粒子の金属接合を説明するための第1の断面図である。
【図11】第2の断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る導電性微粒子の概略構成を示す断面図である。
【図13】図12に示す導電性微粒子の金属接合を説明するための第1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図8を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る塗布装置1は、塗布対象物としての基板Kが載置されるステージ2と、そのステージ2を保持してX軸方向及びY軸方向に移動させるステージ駆動部3と、ステージ2上の基板Kに向けて配線形成用材料を液滴として吐出する塗布ヘッド4と、その塗布ヘッド4に配線形成用材料を供給する供給部5と、基板K上に塗布された配線形成用材料を熱により乾燥させる加熱部6と、各部を制御する制御部7とを備えている。
【0017】
ステージ2は、樹脂基板などの基板Kが載置されるテーブルであり、ステージ駆動部3上に移動可能に設けられている。このステージ2の載置面には、基板Kが静電チャックや吸着チャックなどの機構(図示せず)により保持されるが、これに限るものではなく、例えば、自重により載置されるだけでもよい。
【0018】
ステージ駆動部3は、X軸移動機構及びY軸移動機構(いずれも図示せず)を有しており、ステージ2をX軸方向及びY軸方向に案内して移動させる。このステージ駆動部3は制御部7に電気的に接続されており、その駆動が制御部7により制御される。X軸移動機構及びY軸移動機構としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ式の機構やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式の機構などが用いられる。
【0019】
塗布ヘッド4は、液滴を吐出するための複数の吐出孔(オリフィス)を有しており、それらの吐出孔に対応する複数の圧電素子(いずれも図示せず)を内蔵している。この塗布ヘッド4は、制御部7に電気的に接続されており、制御部7による各圧電素子に対する駆動電圧の印加に応じて各吐出孔から液滴を吐出する。なお、塗布ヘッド4は、移動するステージ2上の基板Kに向けて配線形成用材料を吐出可能に門柱(コラム)などの支持部材(図示せず)により支持されている。
【0020】
供給部5は、配線形成用材料を貯留するタンク5aと、そのタンク5a内の配線形成用材料を塗布ヘッド4に供給してタンク5aに戻す循環を行うための配管5b及び配管5cと、その循環を行う駆動源となるポンプ5dとを備えている。
【0021】
タンク5aは、塗布ヘッド4に供給する配線形成用材料を貯留する貯留部である。また、配管5bはタンク5aと塗布ヘッド4とを接続し、タンク5aから塗布ヘッド4内に配線形成用材料を供給するための供給流路である。配管5cは塗布ヘッド4とタンク5aとを接続し、塗布ヘッド4内からタンク5aに配線形成用材料を戻すための戻し流路である。これらの配管5b及び配管5cとしては、例えばチューブやパイプなどが用いられる。ポンプ5dは配管5cの経路途中に設けられており、制御部7に電気的に接続されている。
【0022】
ここで、配線形成用材料としては、図2示すような導電性微粒子11Aを、比重が1以上の液体(例えば、フッ素系溶剤)中に混合した配線形成用材料が用いられる。図2に示すように、導電性微粒子11Aは、核となるコア材12と、そのコア材12を覆う金属材13とにより構成されている。この金属材13は、コア材12より融点が低い金属材料により形成されている。また、コア材12は金属材13の材料より比重が小さい材料により形成されている。例えば、金属材13がハンダにより形成されている場合には、コア材12はハンダよりも比重が小さい材料(例えば、チタンやアルミ、マグネシウムなど)により形成されている。なお、コア材12としては、例えば、銅やガラス、樹脂材料などが用いられても良い。また、コア材12の直径は、液中での導電性微粒子11Aの沈降を抑えるため、例えば10μm以下であることが望ましい。
【0023】
図1に戻り、加熱部6は、ヒータなどを内蔵し、載置状態の基板Kに熱を供給するホットプレートである。この加熱部6は制御部7に電気的に接続されており、その駆動が制御部7により制御される。基板Kはロボットアームなどの搬送部(図示せず)によりステージ2上から加熱部6に搬送される。この加熱部6の加熱温度は、前述の導電性微粒子11Aを構成する金属材13が溶融する融点以上であり、コア材12が溶融する融点よりも低い温度である。なお、加熱方法としては、ヒータなどを用いる以外にも、塗布済の基板Kに対して高温の風を当てるようにしてもよく、また、高温に保たれた加熱室に塗布済の基板Kを入れて所定時間放置するようにしてもよい。
【0024】
制御部7は、各部を制御するマイクロコンピュータ、さらに、制御プログラムや各種データ(塗布条件や描画パターン)を記憶する記憶部、操作者からの入力操作を受け付ける操作部(いずれも図示せず)などを備えている。この制御部7は、ステージ駆動部3及び塗布ヘッド4を制御し、所定の描画パターンに基づいてステージ2上の基板Kに配線形成用材料を線状に塗布して、その基板K上に配線を描画する。また、制御部7は、供給部5のポンプ5dを制御し、配線形成用材料を循環させ、配線形成用材料が含有する導電性微粒子11Aの沈降を抑える。さらに、制御部7は、加熱部6を制御し、配線形成用材料が含有する金属材13の融点以上であってコア材12の融点より低い温度で基板Kを、すなわちその基板K上に塗布された配線形成用材料を加熱する。
【0025】
このような塗布装置1は、基板Kがステージ2上に載置されると、そのステージ2上の基板Kに対する塗布を開始する。まず、配線形成用材料が描画パターンに基づいて塗布ヘッド4によりステージ2上の基板Kに線状に塗布される。その配線形成用材料が乾燥するに従って、配線形成用材料が含有する複数の導電性微粒子11Aが液の表面張力により少しずつ移動して整列する。例えば、図3に示すように、各導電性微粒子11Aが整列する。このとき、隣り合う導電性微粒子11A同士は接触状態(点接触のような接触状態)となる。
【0026】
その後、塗布装置1は、塗布済の基板Kをステージ2上から加熱部6に搬送し、その加熱部6により加熱する。このときの加熱温度は、金属材13が溶融する融点以上であってコア材12が溶融する融点よりも低い温度である。塗布済の基板Kが加熱部6により加熱されると、配線形成用材料が含有する溶剤の液が所定の温度以上で蒸発し、各導電性微粒子11Aの金属材13が融点以上で溶融する。これにより、図4に示すように、隣り合う導電性微粒子11Aの各金属材13が結合し、コア材12間が金属材13により接続される。このため、各金属材13が結合して一体化した金属接合が実現されるので、金属結合レベルの導電性を得ることができる。
【0027】
なお、加熱部6による加熱時、各金属材13は液体となって高い流動性を有することになるため、表面張力により一箇所に集まろうとする。ところが、各コア材12は溶融しておらず、固体のままであり、その場に留まっている。このため、これらのコア材12を繋ぐような形で各金属材13は連結することになる。このようにして、配線形状を維持したまま、各導電性微粒子11Aが金属結合をすることになる。したがって、各金属材13が溶融した状態でも、コア材12が溶融せずに固体の状態でその場に留まることによって、コア材12間が金属材13により接続されることになる。これにより、配線形状を維持しつつ充分な金属結合が得られるので、電気抵抗が小さい接合を実現することができる。
【0028】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、導電性微粒子11Aは、コア材12と、そのコア材12を覆いコア材12より低い融点を有する金属材13とにより構成されている。このため、金属材13が溶融する融点以上であってコア材12が溶融する融点よりも低い温度で各導電性微粒子11Aを加熱して接合する場合には、各導電性微粒子11Aのコア材12は金属材13が液状になっても移動せずにその場に留まり、各コア材12を繋ぐような形で各金属材13が連結することになる。これにより、コア材12間が各金属材13により接続され、各金属材13が結合して一体化した金属結合が実現されるので、電気抵抗を小さくすることができる。
【0029】
また、コア材12は金属材13よりも比重が小さい材料により形成されていることから、導電性微粒子11Aは溶剤などの液中で分散しやすくなるので、導電性微粒子11Aの沈降を抑止することができる。特に、金属材13はハンダにより形成されており、コア材12はハンダよりも比重が小さい材料により形成されていることから、濡れ性に優れたハンダを用いて確実な金属接合を実現しながらも、導電性微粒子11Aの沈降を抑止することができる。
【0030】
ここで、導電性微粒子11Aの変形例1として導電性微粒子11Bについて図5を参照して説明する。図5に示すように、導電性微粒子11Bでは、コア材12が、樹脂12aと、その樹脂12aを覆う金属材12bとにより構成されている。これにより、導電性微粒子11Bが軽くなり、溶剤などの液中で分散しやすくなるので、導電性微粒子11Bの沈降を抑止することができる。
【0031】
導電性微粒子11Aの変形例2として導電性微粒子11Cについて図6を参照して説明する。図6に示すように、導電性微粒子11Cでは、コア材12が複数(図6では2つ)の空洞部12cを有している。これにより、導電性微粒子11Cが軽くなり、溶剤などの液中で分散しやすくなるので、導電性微粒子11Cの沈降を抑止することができる。この空洞部12cとしては、例えば、気泡状の空間や貫通孔などが挙げられる。ただし、製造工程において金属材13の形成材料がコア材12の空洞部12cに入り込むことを防止する必要がある場合には、貫通孔よりも、密閉状態の空間である空洞部12cを用いることが望ましい。また、コア材12としては、例えば、空洞部12cとして気泡を含むガラス材料が用いられる。この場合には、空洞部12cを容易に形成することができる。なお、空洞部12cの数は1つでも良く、その数は限定されない。
【0032】
導電性微粒子11Aの変形例3として導電性微粒子11Dについて図7及び図8を参照して説明する。図7に示すように、導電性微粒子11Dでは、コア材12が円柱状に形成されている。すなわち、コア材12の平面断面は長方形状であり、図8に示すように、隣接する導電性微粒子11D同士の接触面積が、コア材12の平面断面が円形状である導電性微粒子11Aに比べて大きくなる。これにより、線状の配線の連続性を向上させることができる。なお、導電性微粒子11D同士の接触面積を良好に増大させるためには、円柱状のコア材12は、その長さが直径に対して5倍以上であることが好ましい。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図9ないし図11を参照して説明する。
【0033】
本発明の第2の実施の形態は基本的に第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点、すなわち導電性微粒子11Eについて説明し、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0034】
図9に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る導電性微粒子11Eでは、金属材13を覆う熱硬化性樹脂14が設けられている。この熱硬化性樹脂14は、金属材13の融点より高くその融点付近で硬化を開始する特性を有している。この樹脂コーティングにより、液中での導電性微粒子11Eの分散性を向上させることができる。また、熱硬化性樹脂14は、最終的に、基板Kに対する接着剤として、あるいは配線の外周の形状を保護する保護膜として機能する。なお、金属材13の融点より高くその融点付近とは、熱硬化性樹脂14の硬化温度が金属材13の融点より高く、熱硬化性樹脂14が金属材13の全体が完全に溶融する前に硬化する温度範囲である。
【0035】
このような導電性微粒子11Eを含有する配線形成用材料が塗布ヘッド4によりステージ2上の基板Kに線状に塗布される。その配線形成用材料が乾燥するに従って、配線形成用材料が含有する複数の導電性微粒子11Eが液の表面張力により少しずつ移動して整列する。例えば、図10に示すように、各導電性微粒子11Eが整列する。このとき、隣り合う導電性微粒子11E同士は接触状態(点接触のような接触状態)となる。
【0036】
その後、塗布済の基板Kが加熱部6に搬送され、その加熱部6により加熱される。このときの加熱温度は、金属材13が溶融する融点以上であってコア材12が溶融する融点よりも低い温度である。この加熱により、配線形成用材料が含有する溶剤の液が所定の温度以上で蒸発し、熱硬化性樹脂14は硬化前に液体の状態となる。このとき、熱硬化性樹脂14における隣との接触箇所は薄くなり、さらに、その熱硬化性樹脂14の内部にある金属材13は融点以上で溶融する。その薄膜状態の接触箇所が破け、溶融した金属材13がその箇所から漏れ出して隣の金属材13と繋がる。その後、徐々に熱硬化性樹脂14が硬化する。これにより、図11に示すように、隣り合う導電性微粒子11Eの各金属材13が結合し、コア材12間が金属材13により接続される。このため、各金属材13が一体化した金属接合が実現されるので、金属結合レベルの導電性を得ることができる。さらに、熱硬化性樹脂14は基板Kに対する接着剤及び配線の外周形状を保護する保護膜となるので、配線形状が安定することになる。
【0037】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、金属材13を覆う熱硬化性樹脂14を設けることによって、各導電性微粒子11Eが接合した配線における基板Kに対する接着性を向上させることが可能であり、さらに、配線の外周形状を保護することも可能となるので、配線形状を安定させることができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について図12及び図13を参照して説明する。
【0038】
本発明の第3の実施の形態は基本的に第1の実施の形態と同様である。第3の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点、すなわち導電性微粒子11Fについて説明し、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0039】
図12に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る導電性微粒子11Fは、金属のコア材21と、そのコア材21を覆う熱硬化性樹脂22とにより構成されている。この熱硬化性樹脂22は、コア材21の融点より高くその融点付近で硬化を開始する特性を有している。この樹脂コーティングにより、液中での導電性微粒子11Fの分散性を向上させることができる。また、熱硬化性樹脂22は、最終的に、基板Kに対する接着剤として、あるいは配線の外周の形状を保護する保護膜として機能する。なお、コア材21の融点より高くその融点付近とは、熱硬化性樹脂22の硬化温度がコア材21の融点より高く、熱硬化性樹脂22がコア材21の全体が完全に溶融する前に硬化する温度範囲である。
【0040】
このような導電性微粒子11Fを含有する配線形成用材料が、他の実施の形態と同様、塗布ヘッド4によりステージ2上の基板Kに線状に塗布される。その後、塗布済の基板Kが加熱部6に搬送され、その加熱部6により加熱される。このときの加熱温度は、金属のコア材21が溶融する融点より高くその融点付近の温度である。
【0041】
この加熱により、配線形成用材料が含有する溶剤の液が所定の温度以上で蒸発し、熱硬化性樹脂22は硬化前に液体の状態となる。このとき、熱硬化性樹脂22における隣との接触箇所は薄くなり、さらに、その熱硬化性樹脂22の内部にあるコア材21は融点以上で溶融する。その薄膜状態の接触箇所が破け、溶融したコア材21がその箇所から漏れ出して隣のコア材21と繋がる。その後、徐々に熱硬化性樹脂22が硬化する。これにより、図13に示すように、隣り合う導電性微粒子11Fの各コア材21が結合し、コア材21が一体化される。この一体化したコア材21による金属接合が実現されるので、金属結合レベルの導電性を得ることができる。さらに、熱硬化性樹脂22は基板Kに対する接着剤及び配線の外周形状を保護する保護膜となるので、配線形状が安定することになる。
【0042】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、導電性微粒子11Fは、金属のコア材21と、そのコア材21の融点付近で硬化を開始する特性を有しコア材21を覆う熱硬化性樹脂22とにより構成されている。このため、コア材21が溶融する融点より高くその融点付近の温度で各導電性微粒子11Fを加熱して接合する場合には、各導電性微粒子11Fのコア材21は液体状になっても熱硬化性樹脂22により移動せずにその場に留まり、各コア材21が連結して一体化することになる。これにより、一体化したコア材21による金属結合が実現されるので、配線の電気抵抗を小さくすることができる。
【0043】
さらに、熱硬化性樹脂22を設けることによって、各導電性微粒子11Fが接合した配線における基板Kに対する接着性を向上させることが可能であり、さらに、配線の外周形状を保護することも可能となるので、配線形状を安定させることができる。
【0044】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、前述の実施の形態においては、各種の数値を挙げているが、それらの数値は例示であり、限定されるものではない。
【0045】
例えば、前述の実施の形態においては、基板Kを搭載したステージ2だけを描画パターンに合わせて移動させながら配線形成用材料を塗布しているが、これに限るものではなく、ステージ2を固定して、塗布ヘッド4だけを描画パターンに合わせて移動させながら配線形成用材料を塗布するようにしても良く、また、ステージ2及び塗布ヘッド4の両方を描画パターンに基づいて移動させながら配線形成用材料を塗布するようにしても良く、描画に関する駆動方法の制約はない。また、塗布ヘッド4も複数個設けるようにしても良く、その数は限定されない。
【符号の説明】
【0046】
1 塗布装置
4 塗布ヘッド
6 加熱部
7 制御部
11A 導電性微粒子
11B 導電性微粒子
11C 導電性微粒子
11D 導電性微粒子
11E 導電性微粒子
11F 導電性微粒子
12 コア材
12a 樹脂
12b 金属材
12c 空洞部
13 金属材
14 熱硬化性樹脂
21 コア材
22 熱硬化性樹脂
K 基板(塗布対象物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材と、
前記コア材を覆い、前記コア材より低い融点を有する金属材と、
を備えることを特徴とする導電性微粒子。
【請求項2】
前記コア材は、前記金属材よりも比重が小さい材料により形成されていることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項3】
前記金属材はハンダにより形成されており、
前記コア材はハンダよりも比重が小さい材料により形成されていることを特徴とする請求項2記載の導電性微粒子。
【請求項4】
前記コア材は、樹脂と、前記樹脂を覆う金属材とにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の導電性微粒子。
【請求項5】
前記コア材は空洞部を有していることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項6】
前記コア材は円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項7】
前記金属材を覆い、前記金属材の融点より高くその融点付近で硬化を開始する熱硬化性樹脂をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項8】
金属のコア材と、
前記コア材を覆い、前記コア材の融点より高くその融点付近で硬化を開始する熱硬化性樹脂と、
を備えることを特徴とする導電性微粒子。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一に記載の導電性微粒子を比重が1以上の液体中に混合したことを特徴とする配線形成用材料。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか一に記載の導電性微粒子を含有する配線形成用材料を塗布対象物に向けて吐出する塗布ヘッドと、
前記塗布対象物に塗布された前記配線形成用材料を加熱する加熱部と、
前記配線形成用材料が含有する金属材の融点以上であってコア材の融点より低い温度で前記配線形成用材料を加熱するように前記加熱部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
請求項8記載の導電性微粒子を含有する配線形成用材料を塗布対象物に向けて吐出する塗布ヘッドと、
前記塗布対象物に塗布された前記配線形成用材料を加熱する加熱部と、
前記配線形成用材料が含有するコア材の融点より高くその融点付近の温度で前記配線形成用材料を加熱するように前記加熱部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項1】
コア材と、
前記コア材を覆い、前記コア材より低い融点を有する金属材と、
を備えることを特徴とする導電性微粒子。
【請求項2】
前記コア材は、前記金属材よりも比重が小さい材料により形成されていることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項3】
前記金属材はハンダにより形成されており、
前記コア材はハンダよりも比重が小さい材料により形成されていることを特徴とする請求項2記載の導電性微粒子。
【請求項4】
前記コア材は、樹脂と、前記樹脂を覆う金属材とにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の導電性微粒子。
【請求項5】
前記コア材は空洞部を有していることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項6】
前記コア材は円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項7】
前記金属材を覆い、前記金属材の融点より高くその融点付近で硬化を開始する熱硬化性樹脂をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項8】
金属のコア材と、
前記コア材を覆い、前記コア材の融点より高くその融点付近で硬化を開始する熱硬化性樹脂と、
を備えることを特徴とする導電性微粒子。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一に記載の導電性微粒子を比重が1以上の液体中に混合したことを特徴とする配線形成用材料。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか一に記載の導電性微粒子を含有する配線形成用材料を塗布対象物に向けて吐出する塗布ヘッドと、
前記塗布対象物に塗布された前記配線形成用材料を加熱する加熱部と、
前記配線形成用材料が含有する金属材の融点以上であってコア材の融点より低い温度で前記配線形成用材料を加熱するように前記加熱部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
請求項8記載の導電性微粒子を含有する配線形成用材料を塗布対象物に向けて吐出する塗布ヘッドと、
前記塗布対象物に塗布された前記配線形成用材料を加熱する加熱部と、
前記配線形成用材料が含有するコア材の融点より高くその融点付近の温度で前記配線形成用材料を加熱するように前記加熱部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−210523(P2011−210523A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76857(P2010−76857)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】
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