説明

導電性接着剤及びこれを包含する生物医学物品

導電性接着剤組成物、及びその構成要素として接着剤組成物を包含する物品が提供される。導電性接着剤組成物は、以下、(a)感圧性接着剤、(b)水溶性又は水分散性有機塩化物を含む電解質、及び(c)湿潤剤を含む。ある実施形態では、導電性接着剤組成物は、水相及び油相を含む二相連続組成物であり、該二相連続組成物は、重合性マイクロエマルション組成物に由来してよく、該マイクロエマルション組成物は、水中の1種以上の親水性モノマー又はオリゴマー及び/若しくは1種以上の両親媒性モノマー又はオリゴマー、水溶性又は水分散性有機塩化物、界面活性剤、及び湿潤剤を含む水相と、1種以上の疎水性モノマー又はオリゴマーを含む油相とを含む。生物医学電極のような生物医学物品は、構成要素として上述の接着剤を組み込んでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性接着剤組成物、及び導電性接着剤組成物をその構成要素として組み込む生物医学物品に関する。
【背景技術】
【0002】
治療的及び診断的医療処置は、患者の体から受信するか、あるいは、患者の体に配信する電気信号又は電流を処理することができる機材を利用する。これらの処置において、患者の皮膚と適用可能な機材との間の境界面は、典型的に、患者の皮膚に(例えば接着剤で)接触するのに適した医療機材及び導電性媒質に電気的に接続する伝導体を包含するために構築された生物医学電極を包含する。
【0003】
例として、生物医学電極は、疼痛管理のために使用される経皮的電子神経刺激(TENS)装置、脊柱側弯症のような特定の状態の治療のための神経筋刺激(NMS)技術、心臓の細動を止めるために、患者の胸腔に電気エネルギーを分配するための除細動電極、及び電気外科手術中に作られた切開に適用されてきた電気エネルギーを受ける分散電極、のような治療的処置及び機材において採用される。生物医学電極は、心臓の働きをモニタリングするため、及び心臓の異常を診断するための心電図記録法を包含する診断的処置及び機材においても使用される。
【0004】
非分極性電極、特に銀及び/又は塩化銀製の電極は、非常に安定しており、診断用途において広く使用されてきている。廉価版では、これらの電極は、絶縁裏材上を導電性インクの薄いセクションでコーティングすることが多い。これらの用途のために構築された導電性インクは、典型的に銀/塩化銀粒子及び高分子結合剤を包含する。導電性接着剤(例えば、ヒドロゲル又はヒドロコロイド)は、銀コーティング裏材に積層され、アセンブリは、所要の電極形状にダイカットされる。導電性接着剤は、皮膚に電極を接着する、及び心臓の電気的活動の電気変換を許容するという二重の目的で役立つ。電極の接着層は、皮膚への電極の適用前に剥離ライナーで保護される。
【0005】
典型的な非分極性電極の単一体(monolithic)接着剤構造は、電極の周辺部に沿って接着剤の端が露出するため、問題があった。接着剤のイオン導電性相は、蒸発損失を遅くするために任意の湿潤剤を加えて水に溶解したアルカリ又はアルカリ土類金属塩化物(典型的に塩化カリウム又は塩化ナトリウム)から成る。しかし、低湿度条件下(これは、病院の相対湿度20%と同じぐらい低くあり得る)では、電極の電気特性の付随的な悪化を伴う、水の急速な蒸発損失が生じる。電気特性は、接着剤の水/湿潤剤混合物に溶解した塩のコンダクタンスに関連する。水が蒸発すると、湿潤剤濃度は上昇する。アルカリ及びアルカリ土類ハロゲン化物は、一般に使用される湿潤剤への溶解性が低いので、接着剤のイオン濃度が落ち、電気特性が悪化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改善された導電性接着剤、及び例えば生物医学電極のような生物医学物品を包含する、こうした接着剤を含む物品への必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、導電性接着剤、及びこうした接着剤を含む物品を提供する。一つの態様において、本発明は、
(a)感圧性接着剤、
(b)水溶性又は水分散性有機塩化物を含む電解質、及び、
(c)湿潤剤
を含む導電性接着剤組成物を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、
伝導体部材、及び、
該伝導体部材に関連する導電性接着剤組成物を含む生物医学電極を提供し、該導電性接着剤組成物は、
(a)感圧性接着剤、
(b)水溶性又は水分散性有機塩化物を含む電解質、及び
(c)湿潤剤
を含む。
【0009】
本明細書で使用するとき、「オニウム」カチオンとは、中性単位を与えるために必要であるよりも多くのプロトンを単原子アニオンに添加することによって形成される多原子カチオンを指す。こうしたカチオンは、末端オニウム(ending-onium)と称される。置換された誘導体は、塩基性カチオン、例えば、ヒドロキシルアンモニウム、テトラメチルスチボニウム、ジメチルオキソニウム(CHOHから形成されてよい。無機オニウムカチオンとしては、「アンモニウム」、「ホスホニウム」、「オキソニウム」、「スルホニウム」、「クロロニウム」、「ブロモニウム」、及び「ヨードニウム」が挙げられる。
【0010】
本明細書において、用語「有機相」、「油相」、「親油性」、「疎水性」、及び「脂溶性相」は交換可能に使用される。
【0011】
当業者は、様々な図、及び添付の特許請求の範囲と共に発明を実施するための最良の形態を包含する本明細書の開示の残部を考慮する際に、本発明の特徴をさらに理解するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、例えば生物医学電極を包含する生物医学物品のような物品における導電性構成要素として使用できる導電性接着剤を提供する。本発明の導電性接着剤は、接着剤からの水分(例えば水)の損失後の電気特性の損失に抵抗性がある。本発明の実施形態において、導電性接着剤は、有機塩化物電解質及び融和性湿潤剤を含む感圧性接着剤(PSA)である。ある実施形態では、導電性接着剤は、水相中に有機塩化物電解質融和性湿潤剤及び界面活性剤を有する水相及び油相を有する二相連続導電性PSAである。ある実施形態では、導電性接着剤は、ヒドロゲルの形態である。他の実施形態では、PSAは、例えば生物医学電極のような物品の構成要素である。
【0013】
本発明の接着剤は、あらゆる様々な方法により製造できる。ある実施形態では、接着剤は、裏材上にコーティングするのに適した粘度のマイクロエマルションとして製造される。本発明の重合マイクロエマルションPSAは、有機(油)相におけるフリーラジカル重合性疎水性及び/又は両親媒性モノマー又はオリゴマーの同時重合を伴う、水相におけるフリーラジカル重合性親水性及び/又は両親媒性モノマー又はオリゴマーの重合に由来することができる。得られるPSAは、二相連続構造を有することができ、これは、ある実施形態では、2つの固体、実質的に無孔の共連続相を含んでよい。
【0014】
二相連続接着剤組成物
本発明の実施形態において、二相連続接着剤組成物は、重合性マイクロエマルション組成物の形態で提供される好適なモノマー及び/又はオリゴマーの重合によって提供される。重合前に、マイクロエマルションは、典型的に、水、フリーラジカル(共)重合性エチレン性不飽和極性親水性又は両親媒性モノマー(単数又は複数)あるいはオリゴマー(単数又は複数)、反応開始剤、有機塩化物電解質、湿潤剤、界面活性剤、及び任意の添加剤を含む水相を包含する。有機相又は油相は、典型的に、(共)重合性エチレン性不飽和疎水性又は両親媒性モノマー(単数又は複数)あるいはオリゴマー(単数又は複数)を含む。マイクロエマルションの構成要素は、あらゆる論理的順序で添加されてよい。例えば、構成要素は、最初に2種以上の別個のブレンドに組み合わされてよい。その後、初期ブレンドは、マイクロエマルションを形成するために組み合わされてよい。好適なマイクロエマルションの構成要素は以下に記載される。
【0015】

マイクロエマルション組成物は、一般に約2〜約50重量%の水(例えば、脱イオン水)を含む。ある実施形態では、組成物は、マイクロエマルションの全重量を基準として、約5〜約30重量%、ある実施形態では、約6〜約25重量%を含む。水相は、最終PSAに特定の特性を提供するように選択される水溶性及び/又は水分散性添加剤を包含してよい。マイクロエマルションに包含されるべき水の最適な重量%を決定するために、透明なマイクロエマルション領域が得られるまで、水を漸増式に添加できる。
【0016】
エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性極性種
少なくとも1種のフリーラジカル重合性エチレン性不飽和極性モノマー又はオリゴマーが、マイクロエマルションに包含される。好適な極性モノマー又はオリゴマーは、それらが、マイクロエマルションの水相に溶解するか、あるいはマイクロエマルションの水相に関連するように、油不溶性(親水性)であることができ、あるいはある程度に水溶性及びある程度に油溶性(両親媒性)であることができる。ある実施形態では、水相中に極性オリゴマーを使用すると、重合マイクロエマルションPSAのための実質的に無孔の二相連続構造の形成が促進される。
【0017】
一般にモノマーは、油相に実質的に不溶の極性モノマー、及び油不溶性モノマー以外の極性モノマー(例えば、水溶性及び油溶性である極性モノマー)から成る群から選択されてよい。
【0018】
マイクロエマルションは、典型的に約2〜約90重量%の親水性又は両親媒性モノマーあるいはオリゴマーを含むであろう。重合PSAの所望の特性に依存して、ある実施形態では、マイクロエマルションは、マイクロエマルションの全重量を基準として、約5〜約70重量%、他の実施形態では、約10〜約60重量%を含むであろう。
【0019】
エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性極性オリゴマー
油相に実質的に不溶の、あるいは水溶性及び油溶性の、有用な極性エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性オリゴマーとしては、ポリエチレンオキシドアクリレート、ポリエチレンオキシドジアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、N−ビニルピロリドンマクロマー、及び上述の2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、ポリエチレンオキシドアクリレート及びジアクリレートが使用される。オリゴマーは、約100〜約100,000の数平均分子量を有することができる。ある実施形態では、数平均分子量は、約100〜約60,000、又は約100〜約5000の範囲であることができる。分子量範囲は、PSAに最適の物理的特性(例えば、吸水率、多孔性、強度)を提供するように選択されてよい。
【0020】
エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性の実質的に油不溶性の極性モノマー
マイクロエマルションの水相へ包含するための任意の極性モノマーは、油相に実質的に不溶の水溶性フリーラジカル(共)重合性エチレン性不飽和極性モノマーである。本明細書で使用するとき、「実質的に油不溶性」及び「水溶性」とは、モノマーの油相への溶解度が約0.5重量%未満であり、所与の温度(好ましくは約25℃〜約35℃)におけるモノマーの水相中濃度に対する油相中濃度の分配比が約0.005未満であることを意味する。こうしたモノマーは、例えばアクリルアミドのような非イオン性であってよく、又はこうしたモノマーはイオン性であってよい。また非イオン性及びイオン性モノマーの混合物を使用してもよい。
【0021】
上述の基準に従うイオン性モノマーとしては、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、4,4,9−トリメチル−4−アゾニア−7−オキサ−デシ−9−エン−1−スルホネート、N,N−ジメチル−N−(β−メタクリロキシエチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、トリメチルアミンメタクリルアミド、1,1−ジメチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミンメタクリルアミド、及び必須の溶解度要件を有する他の双性イオン性エチレン性不飽和モノマー、これらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、重合するときの構築しやすさ及び望ましい特性に起因して、油不溶性の極性モノマーは、アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メタクリレートナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものを包含する。
【0022】
ある実施形態では、起こり得るアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩化物のその場形成を防止するために、アニオン性モノマーの量を制限することが望ましい可能性があり、水分が接着剤から失われるとき、アニオン性モノマーの存在は、伝導度の損失を導き得る。
【0023】
他のエチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性極性モノマー
極性モノマーは、水及び油の両方にいくらかの溶解度を示すことができ、油相への溶解度が約0.5%以上であり、所与の温度(好ましくは約25℃〜約35℃)における水相中濃度に対する油相中濃度の分配比が約0.005以上である。マイクロエマルションの水相と油相の間で分配可能な、有用な極性エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、スチレンスルホン酸、N−置換アクリルアミド、N,N−二置換アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、分配可能な極性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
ある実施形態では、分配可能な極性モノマーは、二相性のポリマー複合物に所望の特性を付与することができ、こうしたモノマーとしては、アクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
水溶性反応開始剤
マイクロエマルションは、所望により水溶性フリーラジカル重合反応開始剤を含んでよい。ある実施形態では、反応開始剤は、熱反応開始剤、光開始剤、及び上述の混合物から成る群から選択される。水溶性反応開始剤は、マイクロエマルションの水相に溶解する。
【0026】
水溶性光開始剤
本発明において有用な水溶性光開始剤としては、下記に詳述するような親水性モノマー(単数又は複数)、親油性モノマー(単数又は複数)、(共)重合性オリゴマー、及び(共)重合性界面活性剤の(共)重合を開始する電磁波放射線(通常、紫外線)への曝露によりフリーラジカルを産出する光開始剤が挙げられる。有用な水溶性光開始剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。イオン性部分、親水性部分、又は両方で置換されたベンゾフェノン、イオン性部分、親水性部分、又は両方で置換されたチオキサントン、及び4−置換−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニルケトン、ここで4−置換基は、イオン性又は親水性部分である。イオン性又は親水性部分としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びカルボン酸塩基が挙げられるが、これらに限定されない。有用な水溶性ベンゾフェノンとしては、4−トリメチルアミノメチルベンゾフェノン塩酸塩及びベンゾフェノン4−メタンスルホン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。有用な水溶性チオキサントンとしては、3−(2−ヒドロキシ−3−トリメチルアミノプロポキシ)チオキサントン塩酸塩、3−(3−トリメチルアミノプロポキシ)チオキサントン塩酸塩、チオキサントン3−(2−エトキシスルホン酸)ナトリウム塩、及びチオキサントン3−(3−プロポキシスルホン酸)ナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。有用な水溶性フェニルケトンとしては、(2−ヒドロキシ−2−プロピル)(4−ジエチレングリコールフェニル)ケトン、(2−ヒドロキシ−2−プロピル)(フェニル−4−ブタンカルボキシレート)ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ(hydroxethoxy))フェニル−(2−プロピル)ケトン、及びこれらの水溶性塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のある実施形態では、水溶性光開始剤は、4−トリメチルアミノメチルベンゾフェノン塩酸塩である。ある実施形態では、上述の混合物を使用してよい。
【0027】
マイクロエマルションの水相は、マイクロエマルションの(共)重合可性種全体の100重量部を基準として、約0.05〜約1重量部、ある実施形態では約0.1〜約1重量部の光開始剤を含んでよい。
【0028】
水溶性熱反応開始剤
本発明において有用な水溶性熱反応開始剤としては、熱への曝露時に、親水性モノマー(単数又は複数)、親油性モノマー(単数又は複数)、(共)重合性オリゴマー(単数又は複数)、及び、存在するとき、本明細書に記載された(共)重合性界面活性剤(単数又は複数)の(共)重合を開始するフリーラジカルを産出するものが挙げられる。好適な水溶性熱反応開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物、上記の過硫酸塩とメタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との反応生成物のような酸化還元反応開始剤、並びに4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)及びその可溶性塩(例えば、ナトリウム、カリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、水溶性熱反応開始剤は過硫酸アンモニウムである。上述の2種以上の混合物も同様に使用してよい。
【0029】
典型的に、水溶性熱反応開始剤は、約50℃〜約70℃の範囲の温度で使用され、一方、酸化還元型反応開始剤は、約30℃〜約50℃の範囲の温度で使用される。水溶性熱反応開始剤は、マイクロエマルション組成物の(共)重合性種の100重量部を基準として、約0.05〜約1重量部、ある実施形態では約0.1〜約1重量部を構成してよい。
【0030】
水溶性電解質
本発明のPSAsの電気伝導度は、水溶性電解質の包含により、達成される。本発明において有用な電解質としては、得られる本発明のPSAの電気伝導度を促進する有機塩化物電解質が挙げられる。更に、有機塩化物電解質は、混和性湿潤剤と組み合わせるとき、最終PSAからの水又は水分の損失に際し、電気伝導度の重度の低減に抵抗し、回避さえする能力を有するPSAを提供する。本発明の実施形態において、約10重量部までの有機塩化物電解質が存在し得る。ある実施形態では、電解質は、マイクロエマルションの水相全体の100重量部を基準として、約0.5重量部〜約5重量部の範囲の濃度で包含されてよい。
【0031】
本発明の実施形態において、有機塩化物電解質は、1種以上の塩化オニウムを含む。ある実施形態では、塩化オニウムは、少なくとも1種の塩化アンモニウム(例えば、四級塩化アンモニウム)を含む。ある実施形態では、塩化オニウムは、少なくとも1種の塩化ホスホニウムを含む。他の実施形態では、塩化オニウムは、塩化オキソニウム又は塩化スルホニウムを含んでよい。前述の塩化オニウムを包含する2種以上の有機塩化物の混合物も同様に使用されてよい。電解質が塩化アンモニウムである実施形態では、有機塩化物の有用な部類は、限定されないが、ヒトにおいて内因的に製造され、ヒトの細胞において脂質二層の主要な構成要素を形成する、遍在する天然起源の塩であるヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(塩化コリンとしても既知)を包含しうる四級塩化アンモニウムである。
【0032】
ある実施形態では、四級塩化アンモニウム電解質としては、前述のヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(塩化コリン)、及びベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、アセトアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ラクトアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ココナッツアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アーモンドアミドプロパルコニウムクロライド、アボカドアミドプロパルコニウムクロライド、ビス−ヒドロキシエチルタローモニウムクロライド、ジベヘニルジモニウムクロライド、ジオコジモニウムクロライド(diocodimoniumchloride)、ジデシルジモニウムクロライド、ジソイジモニウムクロライド(disoydimoniumchloride)、ジタロージモニウムクロライド、PPG−9ジエチルモニウムクロリド、及びステアリルエチルヘキシルジモニウムクロライドから選択されるものが挙げられる。上述の2種以上の組み合わせも同様に、本発明の範囲であることが意図される。
【0033】
保湿剤
本発明のPSAは、1種以上の湿潤剤を含む。本発明の実施形態において、湿潤剤及び電解質(単数又は複数)は、互いに混和性であろうから、少なくとも1種の湿潤剤は、有機塩化物電解質(単数又は複数)と融和するであろう。他の態様において、湿潤剤及び電解質は、互いに少なくともある程度に混和するであろう。本発明の実施形態において、湿潤剤は、PSA内で水分を保持できるように選択される。上述の実施形態の態様において、湿潤剤は、水分の損失後(例えば、低い相対湿度における蒸発損失による)に、湿潤剤がPSA内で電解質を保持できる限りにおいて、有機塩化物電解質と混和性又は少なくともある程度に混和性であり、その結果、電気伝導度の急激な悪化を防止する。
【0034】
本発明の導電性PSAsにおいて使用するのに好適な湿潤剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、及び上述の2種以上の組み合わせのような多価アルコールが挙げられる。好適な湿潤剤は、一般に以下の式、
MO(CHCHO)Hで表わされ、
式中、
Mは水素及びC〜Cアルキルから成る群から選択され、及びmは約1〜約25の整数である。
【0035】
任意の水溶性添加剤
特定の特性及び/又は外観を有する重合マイクロエマルションPSAを製造するために、マイクロエマルションは、所望により、マイクロエマルションの水相と関連する様々な水溶性添加剤(単数又は複数)を更に含んでよい。各添加剤は、所望の最終製品を製造するために選択される。有用な添加剤の例としては、水溶性架橋剤(例えばメチレンビスアクリルアミド)、可塑剤(例えばグリセリン及びポリアルキレングリコール)、pH調整剤、他の電解質、染料、顔料、薬剤活性化合物、生理学的に活性な化合物、共溶媒、非共重合性極性オリゴマー、これらの混合物、及び上述の2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
添加剤として有用な非(共)重合性極性オリゴマーとしては、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、ポリ(オキシエチレン)アルコール、ポリ(エチルイミン)、及び上述の2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。得られる重合マイクロエマルションPSAのバルク特性に影響を及ぼすために、例えば、材料に親水性を付与するよう、こうしたオリゴマーを添加してよい。
【0037】
共溶媒もまた、本発明のマイクロエマルションに包含されてよい。こうした共溶媒としては、約1個〜約8個の炭素原子を有する脂肪族アルコール(例えばグリセリン)、ポリエーテル(例えば、全てユニオンカーバイド(Union Carbide)から市販されている取引名称ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ヘキシルセロソルブ、及びヘキシルカルビトールとして入手可能なもの)、及び上述の2種以上の混合物が挙げられる。
【0038】
水相に添加される本質的に全ての有機水溶性添加剤が、マイクロエマルションの有機相にある程度の溶解度を示すこと、及び各添加剤が、水相と有機相の間でそれ自体の分配比を有することが、認識されるであろう。特に規定のない限り、水相の上記の構成要素は、有機相中に見られ、有機相の特性にも影響を及ぼすであろう。本明細書に記載のありとあらゆる添加剤の特定の分配比を定量化することは、本発明の理解と実行に必要ではない。
【0039】
疎水性構成要素
重合開始前に、本発明のマイクロエマルション組成物の油相は、疎水性感圧性接着剤ホモポリマー又はコポリマーを形成するために適した疎水性フリーラジカル(共)重合性モノマー及び/又はオリゴマー、フリーラジカル(共)重合性極性モノマー、疎水性反応開始剤、及び任意の反応性脂溶性添加剤を含むことができる。
【0040】
疎水性フリーラジカル(共)重合性モノマー
本発明のマイクロエマルションの脂溶性相において有用な疎水性フリーラジカル重合性エチレン性不飽和モノマーとしては、こうしたモノマーが感圧性接着特性を有する疎水性ポリマーを形成するのに適しているという条件で、アクリル酸の約C〜約C18アルキルエステル、すなわち、アクリル酸及び約C〜約C18に由来するエステルから成る群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
重合マイクロエマルションPSAのガラス転移温度(T)は、既知の技術を使用して決定でき、重合マイクロエマルションPSAのTは、一部、感圧性接着特性を有する疎水性ポリマーの形成に使用される疎水性モノマーの選択により決定される。約10℃未満のTは、感圧性接着特性を有する疎水性ポリマーと頻繁に関連するであろうし、約0℃未満のTは、感圧性接着特性を有する疎水性ポリマーとより頻繁に関連するであろう。約−10℃未満のTは、感圧性接着特性を有する疎水性ポリマーとさらにより頻繁に関連するであろう。ある実施形態では、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びn−ブチルアクリレートを包含するアルキルアクリレートは、これらの使用のための入手可能性のため、及びこうした疎水性モノマーから形成され得られた疎水性ポリマーのTのため、好ましい。
【0042】
有機相は、得られる重合マイクロエマルションPSAのガラス転移温度(T)を、疎水性モノマー(単数又は複数)により寄与されるTから変更するために、所望により、上記のアルキルアクリレートモノマーと共重合可能なフリーラジカル重合性エチレン性不飽和コモノマーを更に含んでよい。好適なコモノマーとしては、スチレン、アクリロニトリル、及びビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びネオペンタン酸ビニル等)並びにこれらの組み合わせが挙げられる。コモノマー(単数又は複数)の選択は、最終固体二相連続ポリマーの所望の特性に依存してよい。
【0043】
得られる重合マイクロエマルションPSAに十分な強度、凝集性、及び感圧性接着特性を付与するために、本発明の重合マイクロエマルションPSAsは、マイクロエマルションの全重量を基準として、一般に約5〜約80重量%、典型的に約10〜約70重量%、ある実施形態では約12〜約60重量%の疎水性モノマーを含む。マイクロエマルションの各構成要素の実際の濃度は、コポリマーの所望の感圧性接着特性に従って、熟練した施術者によって変えることができる。
【0044】
フリーラジカル(共)重合性極性モノマー
上記のように、こうした有機材料は、マイクロエマルションの水相と有機相の間で分配されるので、典型的にマイクロエマルションの有機相は、上記のフリーラジカル重合性両親媒性極性モノマーの一部を含有するであろう。各モノマーは、それ自体の分配比を示すであろうが、その列挙は、本発明の理解と実行のために必要でないことを、当業者は認識するであろう。
【0045】
疎水性反応開始剤
マイクロエマルションの油相は、所望により疎水性のフリーラジカル重合反応開始剤を更に含んでよい。ある実施形態では、反応開始剤は、熱反応開始剤、光開始剤、及び上述の混合物から成る群から選択される。
【0046】
疎水性光開始剤
一般に、有用な疎水性光開始剤としては、電磁波放射線(通常、紫外線)への曝露に際し、疎水性モノマー(単数又は複数)及び/又はオリゴマー(単数又は複数)、親油性モノマー(単数又は複数)、並びに(共)重合性界面活性剤の(共)重合を開始するフリーラジカルを産出するものが挙げられる。有用な光開始剤としては、(1)ミヒラー(Michler)のケトンとベンジル又はベンゾフェノンとの好ましくは重量比約1:4の混合物、(2)参考文献として本明細書に組み込まれる米国特許第4,289,844号に記載されるクマリン系光開始剤系、並びに(3)ジメトキシフェニルアセトフェノン及び/又はジエトキシアセトフェノン系が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
最初に、疎水性光開始剤は、有機相の一部として、マイクロエマルションに包含される。照射に際し、このように産出されたフリーラジカルは、水性相及び有機相の両方におけるモノマーの(共)重合、及びあらゆる(共)重合性界面活性剤の共重合に影響する。ある実施形態では、マイクロエマルションの有機相は、マイクロエマルションの(共)重合性種全体の100重量部を基準として、約0.01〜約5重量部の油溶性光開始剤を含むであろう。
【0048】
任意の疎水性熱反応開始剤
重合反応を完了するために、上記のような光重合工程後の本発明の二相連続ポリマーの製造において、所望により、疎水性熱反応開始剤を使用してよい。
【0049】
有用な疎水性熱反応開始剤としては、以下に詳述するように、熱への曝露に際し、親水性モノマー(単数又は複数)、オリゴマー(単数又は複数)、親油性モノマー(単数又は複数)、及び、存在するとき、重合可能な界面活性剤の(共)重合を開始するフリーラジカルを産出するものが挙げられる。好適な疎水性熱反応開始剤としては、デュポン(DuPont)から取引名称バゾ(Vazo)64として入手可能な2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)のようなアゾ化合物、取引名称バゾ52として市販の2,2’−アゾビス2,4−ジメチルペンタンニトリル)、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルのような過酸化物、並びに上述の2種以上の混合物から成る群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
マイクロエマルションの有機相は、マイクロエマルションの(共)重合性化合物の100重量部を基準として、約0〜約5重量部、典型的に約0.05〜約5重量部、ある実施形態では約0.1〜約5重量部の疎水性熱反応開始剤を含んでよい。
【0051】
任意の反応性脂溶性添加剤
マイクロエマルションは、疎水性架橋剤、連鎖移動剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これには限定されない1種以上の更なるフリーラジカル反応性構成要素を更に含んでよい。こうした追加の構成要素は、マイクロエマルションの油相に存在するであろう。有用な架橋剤の例としては、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレートのような約C〜約Cアルキルジアクリレート、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、架橋剤は、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートである。架橋剤を添加すると、最終ポリマーの凝集強度のような物理的特性が変化する。
【0052】
油相は、所望により、油相全体の100重量部を基準として、約0〜約10以上重量部、典型的に約0.1〜約2重量部の架橋剤をさらに含んでよい。使用される架橋剤の量は、特定の溶媒へのその溶解性(又は不溶性)、その弾性率、及びその内部強度のようなポリマーの物理的特性を決定するであろう。
【0053】
マイクロエマルションは、油相に可溶の連鎖移動剤を更に含んでよい。有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン、及びこれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、連鎖移動剤は、イソオクチルチオグリコレートである。油相は、油相全体の100重量部を基準として、約0.5重量部まで、典型的に約0.01〜約0.5重量部、ある実施形態では約0.05重量部〜約0.2重量部の連鎖移動剤を含んでよい。
【0054】
任意の非反応性疎水性添加剤
マイクロエマルションは、所望により、1種以上の非反応性疎水性添加剤を更に含んでよい。様々な非反応性疎水性添加剤をマイクロエマルションに包含してよい。これらの材料は、特定の物理的特性又は外観を有する最終ポリマー系を製造するために添加される。こうした任意の添加剤の例としては、当該技術分野において周知のフタル酸エステルのような可塑剤から成る群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。油相は、所望により、油相の100重量部を基準として、約0〜約20重量部、ある実施形態では約5〜約20重量部、典型的に約8〜約15重量部の可塑剤を更に含んでよい。
【0055】
界面活性剤
非イオン性及びイオン性(アニオン性及びカチオン性)界面活性剤を本発明において採用してもよい。界面活性剤(単数又は複数)は、マイクロエマルションに存在するモノマーと共重合性であることができ、又は界面活性剤は、非(共)重合性であることができる。ある実施形態では、得られる重合マイクロエマルションが、水に対して感受性が低いように、界面活性剤(単数又は複数)を(共)重合できる。水への抵抗性が必要でない場合、費用がより安い非(共)重合性界面活性剤を使用してよい。
【0056】
非イオン性界面活性剤
典型的に、非イオン性界面活性剤は、有機脂肪族又はアルキル芳香族疎水性化合物と親水性であるエチレンオキシドのようなアルキレンオキシドとの縮合生成物である。存在する遊離水素を持つカルボキシ、ヒドロキシ、アミド、又はアミノ基を有する疎水性化合物は、非イオン性界面活性剤を形成するために、通常、エチレンオキシドと縮合されることができる。疎水性要素と親水性要素との間の所望のバランス(親水性−脂溶性バランス又はHLB)を得るために、縮合生成物のエチレンオキシド鎖の長さを調節することができる。界面活性剤のHLBは、界面活性剤の親水性(好水性又は極性)基と脂溶性(好油性又は非極性)基の寸法及び強度のバランスの表現である。マイクロエマルションを製造するために本発明において有用な非イオン性界面活性剤のHLBは、約6〜約19、典型的に約9〜約18、ある実施形態では約10〜約16である。有用な非イオン性界面活性剤としては、非(共)重合性非イオン性界面活性剤、エチレン性不飽和共重合性非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
非(共)重合性非イオン性界面活性剤
上で定義されたHLBを得るために、特に好適な非反応性非イオン性界面活性剤としては、約3〜約100モル、典型的に約5〜約40モル、ある実施形態では約5〜約20モルのエチレンオキシドと縮合された、直鎖状又は分枝状鎖構成の約8〜約20の炭素原子を含有する脂肪族アルコールのような、高級脂肪族アルコールの縮合生成物が挙げられる。こうした非イオン性エトキシ化脂肪族アルコール界面活性剤の例は、ユニオンカーバイド(Union Carbide)から取引名称タージトール(Tergitol)15−Sとして、及びICIからブリジ(Brij)界面活性剤として入手可能なものである。タージトール(Tergitol)15−S界面活性剤としては、C11〜C15二級アルコールポリエチレングリコールエーテルを包含する。ブリジ(Brij)58界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテルであり、ブリジ76界面活性剤は、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテルである。
【0058】
上で定義されたHLBを得るために、他の好適な非反応性非イオン性界面活性剤としては、直鎖状又は分枝状鎖構成の約6〜12個の炭素原子を含有するアルキルフェノール1モルと、約3〜約100モル、典型的に約5〜約40モル、ある実施形態では約5〜約20モルのエチレンオキシドとのポリエチレンオキシド縮合体が挙げられる。非反応性非イオン性界面活性剤の例は、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)から取引名称イゲパル(Igepal)CO及びCAシリーズとして入手可能なものである。イゲパル(IGEPAL)CO界面活性剤は、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールを包含する。イゲパル(IGEPAL)CA界面活性剤は、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールを包含する。
【0059】
使用可能な非反応性非イオン性界面活性剤の別の群は、約6〜約19、典型的に約9〜約18、ある実施形態では約10〜約16のHLB値を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシド又はブチレンオキシドとのブロックコポリマーを包含する。こうした非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤の例は、BASFからの界面活性剤のプルロニック(Pluronic)及びテトロニック(Tetronic)シリーズである。プルロニック(Pluronic)界面活性剤は、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーを包含する。テトロニック(TETRONIC)界面活性剤は、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーを包含する。
【0060】
他の満足できる非反応性非イオン性界面活性剤としては、約6〜約19、典型的に約9〜約18、ある実施形態では約10〜約16のHLBを有するソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンステアレートが挙げられるが、これらに限定されない。こうした脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤の例は、ICIから取引名称スパン(Span)、トゥウィーン(Tween)、及びミルジ(Myrj)界面活性剤として入手可能なものである。スパン(SPAN)界面活性剤は、C12〜C18ソルビタンモノエステルを包含する。トゥウィーン(Tween)界面活性剤は、ポリ(エチレンオキシド)C12〜C18ソルビタンモノエステルを包含する。ミルジ(Myrj)界面活性剤は、ポリ(エチレンオキシド)ステアレートを包含する。
【0061】
エチレン性不飽和共重合性非イオン性界面活性剤
本発明の重合性マイクロエマルション組成物に組み込むのに適した非イオン性界面活性剤としては、以下の一般式に当てはまるものが挙げられるが、これらに限定されないエチレン性不飽和共重合性非イオン性界面活性剤が挙げられ、
R−O−(R’O)−(EO)(n−1)−CHCHOH
の式中、
Rは、アルケニル(C〜C18)、アクリリル、アクリリル(C〜C10)アルキルメタクリリル、メタクリリル(C〜C10)アルキル、ビニルフェニル、及びビニルフェニレン(C〜C)アルキルであり、
R’Oは、2〜4個の炭素原子を有するエポキシ化合物(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び混合物)に由来する二価のアルキレンオキシ基であり、
Eは、二価のエチレンラジカルであり、
m及びnは、同一又は異なることができ、それぞれ約5〜約100の範囲の整数を表し、m/nの比は約20:1〜約1:20の範囲である。
【0062】
上述の界面活性剤において、mとnの比が変化すると、重合性界面活性剤のHLBが変化するであろう。本発明の実施形態において、非イオン性界面活性剤(単数又は複数)のHLBは、約6〜約19、典型的に約9〜約18、ある実施形態では約10〜約16の範囲である。好適な共重合性非イオン性界面活性剤の例は、PPG工業(PPG Industries)から取引名称マゾン(Mazon)BSN185、186及び187として入手可能なアルキレンポリアルコキシエタノール界面活性剤である。マゾン(Mazon)BSN界面活性剤は、アルキレンポリアルコキシエタノールを包含する。
【0063】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、(C〜C20)アルキル、アルキルアリール、及びアルケニル基から選択される疎水部分と、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、ポリオキシエチレンスルフェート、ポリオキシエチレンスルホネート、ポリオキシエチレンホスフェートから選択されるアニオン基、及びこうしたアニオン基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、三級アミノ塩、とを包含する。マイクロエマルションを製造するために、ある実施形態では、有用なエチレン性不飽和(共)重合性界面活性剤は、疎水部分として(C〜C18)アルケニルポリオキシプロピレン又は(C〜C18)ポリオキシブチレン、及びポリオキシエチレンスルフェートのアニオン基を包含する。
【0064】
本発明のある実施形態では、本明細書にて記載するように、非反応性アニオン性界面活性剤及び/又はエチレン性不飽和共重合性アニオン性界面活性剤を使用することができる。
【0065】
非反応性アニオン性界面活性剤
本発明において使用するのに適した非反応性アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム(例えば、ステパン社(Stepan Co.)(イリノイ州、ノースフィールド(Northfield))から取引名称ポリステップ(Polystep)B−3として市販されている)、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(例えば、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)(ニュージャージー州、クランベリー(Cranbury))から取引名称シポネート(Siponate)DS−10として市販されている)のような、アルキル又はアルキルアリール硫酸塩又はスルホン酸塩(C〜C20)、ステパン社(Stepan Co.)から市販されているポリステパ(Polystepa)B1、及びローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)から市販されているアリパル(Alipal)EP110及び115のような、界面活性剤中に約30単位未満、典型的に約20単位未満、ある実施形態では約15単位未満のエチレンオキシド反復単位を有するポリオキシエチレン(C〜C20)アルキル又はアルキルフェノールエーテル硫酸塩、GAF(ニューヨーク州、ニューヨーク(New York))から市販されている取引名称ガファック(Gafac)PE−510及びガファックRE−610のような、界面活性剤中に約30単位未満、典型的に約20単位未満、ある実施形態では約15単位未満のエチレンオキシド反復単位を有するリン酸の(C〜C20)アルキル又はアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エチルモノエステル及びジエステル及びその塩が挙げられる。
【0066】
エチレン性不飽和共重合性アニオン性界面活性剤
本発明の実施形態では、マイクロエマルション組成物に組み込むためのアニオン性界面活性剤としては、以下の式、
−−O−−(RO)−−(EO)n−1−CHCHXのエチレン性不飽和共重合性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
式中、
は、C〜C18アルケニル、アクリリル、アクリリル(C〜C10)アルキル、メタクリリル、メタクリリル(C〜C10)アルキル、ビニルフェニル、及びビニルフェニレン(C〜C)アルキルであり、
Oは、2個以上の炭素原子、好ましくは3個又は4個の炭素原子を有するエポキシ化合物に由来するプロピレンオキシド及びブチレンオキシドのような二価のアルキレンオキシ基、並びにこうしたアルキレンオキシ基の混合物から成る群から選択され、
Eは、二価のエチレンラジカルであり、
m及びnは、同一又は異なることができ、それぞれ約5〜約100の範囲の整数を表し、m/nの比は約20:1〜約1:20の範囲であり、及び、
Xは、スルホネート、スルフェート、ホスフェートから成る群から選択されるアニオン基、及びこうしたアニオン基のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩、又は三級アミノ塩である。
【0068】
mとnの比が変化すると、重合性界面活性剤のHLBが変化するであろうことが、理解されるであろう。X基を除いた、本発明のアニオン性共重合性界面活性剤のHLBは、典型的に約3〜約16である。上式に従う好適な共重合性アニオン性界面活性剤の一例は、取引名称マゾン(Mazon)SAM211として入手可能であり、PPG工業社(PPG Industries、Inc.)から市販されている。
【0069】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、本発明の実施形態において有用であり得る。有用なカチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩、特に、少なくとも1個のより高い分子量の基と2個又は3個のより低い分子量の基とが、共通の窒素原子に連結してカチオンを製造するものが挙げられ、電気的に平衡をとるアニオンは、ハロゲン化物(臭化物、塩化物等)、酢酸塩、亜硝酸塩、及び低級アルコサルフェート(メトサルフェート等)から成る群から選択される窒素上のより大きい分子量の置換基(単数又は複数)は、約10〜約20個の炭素原子を含有する高級アルキル基(単数又は複数)であることが多く、より小さい分子量の置換基は、メチル又はエチルのような約1〜約4個の炭素原子の低級アルキルであってよく、これらは、場合によっては、例えばヒドロキシで置換されてよい。1個以上の置換基は、アリール部分を包含してよく、あるいは、ベンジル又はフェニルのようなアリールにて置換されてよい。可能性があるより小さい分子量の置換基としては、ポリオキシエチレン部分のような低級ポリアルコキシ部分により置換された、ヒドロキシル末端基を持つメチル及びエチルのような、約1〜約4個炭素原子の低級アルキルが挙げられ、以下の一般式、
−−R(CHCH(n−1)CHCHOHに当てはまる。
【0070】
式中、
は、窒素に結合するC〜Cの二価アルキル基であり、
nは、約1〜約15の整数を表す。
【0071】
或いは、末端ヒドロキシルを有する1又は2の低級ポリアルコキシ部分は、前述の低級アルキルを通して四級窒素に結合する代わりに、直接四級窒素に結合してもよい。
【0072】
本発明において使用するのに適した四級アンモニウムハロゲン化物界面活性剤の具体例としては、それぞれ取引名称エトクァッドC/12及びO/12として市販のもののような、メチル−ビス(2−ヒドロキシエチル)ココ−アンモニウムクロライド又はオレイル−アンモニウムクロライドが挙げられる。さらに、アクゾノーベル化学社(Akzo Nobel Chemicals Inc.)(イリノイ州、シカゴ(Chicago))から取引名称エトクァッド(Ethoquad)18/25として入手可能なものが挙げられるメチルポリオキシエチレン(15)オクタデシルアンモニウムクロライドを使用してよい。上述の2種以上の組み合わせも同様に使用してよい。
【0073】
増粘剤
本発明のマイクロエマルションにおいて有用な増粘剤としては、部分的に又は完全にアクリル酸モノマーから形成される親水性ポリマーが挙げられる。ある実施形態では、アクリル酸のホモポリマーが有用であるが、典型的に少なくとも約20%、ある実施形態では少なくとも80%のアクリル酸残基を含有するアクリル酸の親水性コポリマーも同様に有用である。こうした増粘剤の分子量は、約200,000〜約800,000、ある実施形態では約400,000〜約700,000であってよい。
【0074】
接着剤ヒドロゲル
実施形態では、本発明のPSAsは、接着剤ヒドロゲルの形態であってよい。こうしたヒドロゲルは、例えば、アクリレート系単相PSAであってよい。ある実施形態では、ヒドロゲルは、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレートテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド、ブチレングリコール、グリセロール、水、反応開始剤(例えば、イルガキュア(IRGACURE)2959反応開始剤)、及びポリエチレングリコール(400)ジアクリレートの反応から生じる接着剤前駆体と共に製造されることができる。未反応の(例えば、重合していない)前駆体を、基材としての剥離ライナーの上にコーティングしてよい。その後、前駆体を電磁放射線(例えば、紫外線)に一定期間(例えば、10分以下)曝露することによって、コーティングされたマイクロエマルションにて重合を誘発することで、重合反応を開始し、それによってコーティングされた前駆体を導電性接着剤に変える。
【0075】
生物医学物品
本発明の実施形態では、前述の導電性PSAsを、例えば、生物医学電極のような生物医学物品の構成要素として、使用してよい。
【0076】
生物医学電極
電解質含有重合PSAを採用する生物医学電極は、診断(モニタリングを包含する)目的及び治療目的のために有用である。基本的な形態において、生物医学電極は、哺乳類皮膚に接触できる導電性媒質、及び、導電性媒質と電気診断的、治療的、又は電気外科的機材との間の電気通信のための手段を含む。実施形態では、哺乳類皮膚に接触できる導電性媒質は、本明細書に記載された導電性接着剤組成物を含む。
【0077】
ここで図面を参照すると、図1及び2は、剥離ライナー12を有する電極10を図解する。電極10は、例えば、使い捨て診断心電図(ECG又はEKG)、又は経皮的電気神経刺激(TENS)電極であってよい。電極10は、上記のように、哺乳類皮膚に接触した後、保護剥離ライナー12を除去するための、生体適合性の導電性接着剤のフィールド14を包含する。接着剤フィールド14は、治療、診断、又はモニタリング目的のために電気が伝導する間、電極10を患者の皮膚に保持する。導電性接着剤フィールド14は、第一主要面及び第二主要面を包含する。電極10は、導電性接着剤フィールド14の第一主要面に接触する導電性境界面部分18を有する伝導体部材16、及びワニ口クリップ等を用いるような電気器具類(図示せず)による機械的及び電気的接触のための導電性接着剤フィールド14を越えて広がるタブ部分20を含む電気通信のための手段を包含する。伝導体部材16のサイド22は、伝導体部材上にコーティングされ、導電性接着剤フィールド14の第一主要面に接触する、導電性層26を包含する。導電性接着剤フィールド14の第二主要面は、剥離ライナー12を除去した後に、電極10を皮膚に接着する。
【0078】
ある実施形態では、伝導体部材16は、ポリエステルフィルムのような高分子のストリップを含むことができる。伝導体部材16は、約0.05mm〜約0.2mmの範囲の厚さを有してよく、導電性層26がサイド22にコーティングされる。導電性層26は、銀/塩化銀を含んでよく、乾燥コーティングの厚さは、約2.5マイクロメートル〜約12マイクロメートルである。ある実施形態では、コーティングの厚さは、約5マイクロメートルである。伝導体部材16として使用するのに好適なポリエステルフィルムとしては、3M社(ミネソタ州、セントポール(St.Paul))から取引名称スコッチパック(ScotchpaK)として市販のもの、ICIアメリカ(ICI Americas)(バージニア州、ホープウェル(Hopewell))から表記メリネックス(Melinex)505−300、329、又は339フィルムとして入手可能なものが挙げられ、及びエルコン社(Ercon,Inc.)(マサチューセッツ州、ウォルサム(Waltham))から表記「R−300」として市販の銀/塩化銀インクでコーティングされる。
【0079】
TENS電極用の伝導体部材16は、繊維の不織布ウェブから作製できる。こうしたウェブの1つは、ライダル社(Lydall,Inc.)(ニューヨーク州、トロイ(Troy))から取引名称マニウェブ(Manniweb)として市販され、アチソン・コロイド社(Acheson Colloids Company)(ミシガン州、ポートヒューロン(Port Huron))から取引名称「SS24363」インクとして市販の炭素インクの導電性層26を有するもののような、ポリエステル/セルロース繊維を含む。電極クリップ(図示せず)と伝導体部材16との間の機械的接触を増強するために、接着裏打ちされた(adhesively-backed)ポリエチレンテープを、伝導体部材16の最も外側のサイド(例えば、反対サイド22)上のタブ部分20に適用できる。表記ブレンダ−ム(Blenderm)として3M社から市販されている外科テープを、この目的のために採用することができる。
【0080】
ある実施形態では、米国特許第5,506,059号に記載されるように、伝導体部材16は、イオウ反応性表面を有する非導電性可撓性高分子フィルム、その上に付着されイオウ反応性表面と相互作用する金属性層、及び任意の金属性ハロゲン化物層を含む多層構造で提供されることができ、この開示全体は、本明細書に参考として組み込まれる。伝導体部材16の導電性境界面部分18は、導電性接着剤フィールド14に面する高分子フィルム基材の少なくともサイド上のイオウ反応性表面上に付着される金属性層を含む。
【0081】
他の実施形態では、伝導体部材16は、非導電性可撓性高分子フィルム、導電性層、及び無機酸化物(例えば、二酸化マンガン)の薄い適合する(conformable)減極層を含む多層構造であることができる。或いは、伝導体部材16は、共にブレンドした導電性を有するフィルムと減極層との多層構造であることができる。上述の実施形態の両方は、米国特許第5,505,200号の教示に従って構築することができ、この開示の全体は本明細書に参考として組み込まれる。伝導体部材16の導電性境界面部分は、導電性接着剤フィールド14に面する高分子フィルムの少なくともサイド上にコーティングされた導電性層、及び該導電性層にコーティングされ、フィールド14に接触する薄い減極層を含む。
【0082】
本発明の導電性PSAsを使用できる生物医学電極の非限定例としては、米国特許第4,524,087号、同第4,539,996号、同第4,554,924号、同第4,848,353号、米国特許第4,846,185号、米国特許第4,771,713号、米国特許第4,715,382号、米国特許第5,012,810号、及び米国特許第5,133,356号に開示された電極が挙げられ、これらの開示の全体は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0083】
ある実施形態では、電気通信のための手段は、米国特許第4,848,353号に見られるもののような生物医学電極の周辺部から伸びる導電性タブを含むことができるか、あるいは、米国特許第5,012,810号に見られるもののような絶縁裏材部材のスリット又はシームを通って伸びる伝導体部材であることができる。あるいは、電気通信のための手段は、アイレット又は米国特許第4,846,185号に開示されるような他のスナップ型コネクタであることができる。更に、電気通信のための手段は、米国特許第4,771,783号に見られるようなリードワイヤーであることができる。採用される電気通信のための手段の種類に関わらず、電解質を含有する本発明の重合PSAは、診断(モニタリングを包含する)、治療、又は電気外科目的のための生物医学電極上の導電性接着剤のフィールドとして存在することができる。
【0084】
本発明の生物医学電極を採用できる別の種類の診断処置は、異常パターンを検出するための、患者の心臓の電波パターンの長期的なモニタリングである。好ましい生物医学電極構造は、米国特許第5,012,810号(ストランド(Strand)ら)に開示されており、この開示全体は、本明細書に参考として組み込まれる。本発明の重合PSAは、その中で示されるあらゆる実施形態のイオン導電性媒質として使用されることができる。ある実施形態では、本発明の重合PSAは、例えば、米国特許第5,012,810号の図2、3、及び4に示される実施形態に従う生物医学電極における導電性接着剤のフィールドとして、使用される。
【0085】
本明細書の図3及び4を参照すると、別の実施形態の生物医学電極は、絶縁体構造41、及び伝導体部材42を包含する電極40の形態で提供される。絶縁体構造41は、共に絶縁体構造41の向かい合うサイド46及び47を確定する第一区域44及び第二区域45を有する。図3に示されるように、各区域44及び45は、それぞれ細長い端部50及び51を包含する。各端部50及び51は、それぞれ境界部52及び53を包含し、これは、それぞれ各区域44及び45の周辺部分を含み、それぞれ端50及び51に沿って伸びる。そのように、区域44及び45は、境界部52及び53が重なり合うように、互いに実質的に平行に伸びるように配向され、互いに重なり合う端部50及び51を有する。シーム60は、端部50と51の間に作製される。本明細書で使用するとき、「実質的に平行」とは、区域44と45が正確に平行であることを意味しない。これらは、例えば、伝導体部材42の厚さに起因して、正確な平面配向性整列から外れてもよい。
【0086】
伝導体部材42は、上記の生物医学電気伝導体16と実質的に同様であり、上記のタブ部分20に対応するタブ部分61及び上記の導電性境界面部分18に対応するパッド部分62を有する。生物医学電気伝導体部材16のように、伝導体部材42は、上記の実施形態のいずれであることもできる。この実施形態では、伝導体部材42は、有機硫黄表面64を有する非導電性可撓性有機ポリマー基材63、これに接着する金属性層65、及び、所望により上記の米国特許第5,506,059号の開示に従って製造された金属性ハロゲン化物層66の多層構造である。
【0087】
部材42のパッド部分62は、所望によりフィールド70に接触する金属性ハロゲン化物層66を有する、導電性接着剤フィールド70に面する金属性フィルムの部分を含む。減極は、電気機材との機械的及び電気的接触のために必要とされないので、金属性ハロゲン化物層66は、タブ部分61まで伸びる必要がない。所望により、機械的接触を強化するために、図1及び2の実施形態と同様に、接着裏打ちされた(adhesively-backed)ポリエチレンテープをタブ部分61に適用することができる。
【0088】
一般に、伝導体部材42のタブ部分61が、シーム60を通して、表面又はサイド46の一部上に突出するように、電極40は構築される。結果として、図3及び4に示されるように、伝導体部材42のパッド部分62は、絶縁体構造41の1つのサイド47上に位置し、伝導体部材42のタブ部分61は、絶縁体構造41の反対のサイド46上に位置する。タブ部分61がシーム60を通して広がるところを除き、シームは、接着剤等を用いて密封されてよいことが理解されるであろう。
【0089】
図4に示されるように、タブ部分61の下表面68は、二重スティックテープストリップ69を用いて区域45の位置に付着されることが示された。よって、接着剤69を用いた図1のタブ部分61と区域45との間の接着は、図4に示される上部よりもむしろ、タブ部分61下部にある。
【0090】
図4の電極40において、導電性接着剤フィールド70は、一般に導電性部材42の下部に位置する本発明のPSAを含む。所望により、導電性接着剤フィールド70は、その上にパッド部分62を有するサイド上の絶縁体構造41に適用される生体適合性皮膚接着剤フィールド71によって囲まれるであろう。ある実施形態では、導電性接着剤70は、疎水性バルク特性を含むことができる。こうした場合、フィールド71を削除することができる。ある実施形態では、生体適合性皮膚接着剤フィールド71は、有機塩化物電解質はないが、本明細書に記載された上記の導電性接着剤と同類の非導電性重合PSAを含むことができる。剥離ライナー75は、任意の皮膚接着剤71、導電性接着剤70、及びその上のパッド部分62も包含する電極40のサイドに対向して配置される。スペーサ76は、剥離ライナー75と絶縁体構造41の一部との間に配置され、分離を容易にする。
【0091】
あらゆる様々な材料を、上述の電極上の剥離ライナー(例えば、剥離ライナー12、75)のために利用してよい。こうした剥離ライナー上には、ライナーを皮膚接着剤及び導電性接着剤から容易に分離できるように、例えば、シリコーン剥離型コーティングでコーティングされたポリマー(例えば、ポリエステル又はポリプロピレン材料)を含む。ある実施形態では、フッ素性化学物質系コーティングでコーティングされたポリエステル又はポリプロピレン材料のようなポリマーを含むライナーが有用であり、皮膚接着剤及び導電性接着剤から容易に分離する。上述の電極に使用するのに適した剥離ライナーは、係属中の米国特許出願11/027,612(2004年12月28日出願)、同第11/027,605(2004年12月28日出願)、同第11/027,633(2004年12月28日出願)、同第11/027,606(2004年12月28日出願)、及び同第11/027,604(2004年12月28日出願)の開示に従うフッ素性化学物質剥離コーティングを包含できる。好適な市販のフッ素性化学物質系ポリエステルライナーは、3M社(ミネソタ州、セントポール(St.Paul))から、取引名称スコッチパック(SCOTCHPAK)1020、スコッチパック1022、スコッチパック9741として入手可能である。
【0092】
絶縁体構造41の区域44及び45を考慮すると、ユーザーにとって快適である構造で電極を提供するために、可撓性であり強く、比較的薄い材料が典型的に使用される。ある実施形態では、材料は、例えば、ポリエチレン発泡体のような発泡ポリマーであることができる。他の好適な材料としては、不織布パッド(例えば、ポリエステル不織布パッド)、紙、及び透明なフィルムが挙げられる。透明なフィルムの非限定例としては、デュポン/帝人フィルム(DuPont/Teijin Films)(バージニア州、ホープウェル(Hopewell))から取引名称メリネックス(Melinex)として市販されているもののような厚さ0.05mmのポリエステルフィルム、及び3M社からトランスポール(Transpore)未エンボス加工テープとして市販されている外科テープが挙げられる。ある実施形態では、材料は、メルトブロウンポリウレタン繊維から作製される不織布パッドを含み、これは並外れた可撓性、柔軟性、伸長回復性及び通気性を示す。本発明の電極における絶縁体構造41に使用してよい好適なメルトブロウンポリウレタン材料は、欧州特許0341875(European Patent Publication 0 341 875)(メイヤー(Meyer))及び対応する米国特許第5,230,701号(メイヤーら)に一般に記載されており、これらの開示の全ては、本明細書に参考として組み込まれる。
【0093】
所望により、絶縁体構造は、その表面上に、電極40の残りに接触する皮膚接着剤を包含できる。
【0094】
本発明の実施形態において、絶縁体構造41に使用されるウェブ材料(メルトブロウンポリウレタン)は、約60〜約140g/m(例えば、約120g/m)のウェブ坪量を有することができる。また、こうした材料は、好適な引張り強度及び湿気透過速度を有するであろう。好適な湿気透過速度は、21℃、相対湿度50%においてASTM E96−80に従って試験するとき、約500〜約3000グラムの水/m/24時間、ある実施形態では約500〜約1500グラムの水/m/24時間の範囲を包含する。ある実施形態では、材料は、50%伸長後、全ての方向に少なくとも約85%の伸長回復を有する。
【0095】
本明細書に記載の絶縁体構造は、あらゆる様々な寸法を有するよう作製されることができ、実質上あらゆる寸法又は形状で作製されてよいが、従来の生物医学電極が比較的小さい装置であることはいうまでもない。本明細書に記載された電極の実施形態では、絶縁体構造の寸法は、典型的に、第一方向(例えば、幅)が約3.5〜約4.5cm、第二方向(例えば、長さ)が約5.5cm〜約10cmの範囲であろう。使用される材料によって、約200〜600マイクロメートルの厚さは、典型的に、ほとんどの用途に適した適切な強度、及び低いレリーフ又は特性プロファイルを提供する。あらゆるアクリレートエステル接着剤を使用してよい。ある実施形態では、接着剤69は、固有の粘度が約1.3〜約1.45dL/gであること以外は、皮膚接着剤について本明細書に記載されたものと同一の接着剤であることができる。導電性接着剤のフィールド70においては、導電性媒質のフィールド14において有用であるとして上記されたもののような導電性接着剤が好ましい。
【0096】
様々な層の寸法、及び連結中のそれらの構造は、いかなる様々な図においても縮尺どおりでないことは、いうまでもない。実際、表現された構造(単数又は複数)の特徴をよりよく図解し、それによって構造のよりよい理解を促進するために、特徴は、いくぶん誇張された方法で図示される可能性がある。一般に、導電性部材42における非常に小さい「s」型屈曲のみを有する全体的に実質的に平坦な外観は、部材42の多層構造にもかかわらず、配列によって順応される。
【0097】
本発明の導電性PSAsを使用し得る生物医学電極の他の例としては、米国特許第4,527,087号、同第4,539,996号、同第4,554,924号、同第4,848,353号(エンゲル(Engel))、米国特許第4,846,185号(カリム(Carim))、米国特許第4,771,713号(ロバート(Roberts))、米国特許第4,715,382号(ストランド(Strand))、米国特許第5,133,356号(ブライアン(Bryan)ら)に開示される電極が挙げられ、これらの開示全体は、本明細書に参考として組み込まれる。こうした電極の製造方法は、こうした特許に開示された導電性接着剤の分野において、所望により同様に皮膚接着剤の分野において、本発明の重合PSAが置き換えられ得ること以外は、こうした特許に開示される。
【実施例】
【0098】
本発明の実施形態は、以下の非限定例により更に例示され、全ての部は、特に明記しない限り重量による。
【0099】
試験方法
試験目的のために、電極対を互いに接着し、二相連続接着剤のこれらの層を、向かい合わせに接触して設置する。この配列は、ECG使い捨て電極として使用される生物医学電極の適切な特性性能を決定するために、医療用器具類の進歩のための協会(the Association for the Advancement of Medical Instrumentation)(AAMI)により出版された規格、特に「プレゲル化ECG使い捨て電極のための米国国際標準(American National Standard for Pregelled ECG Disposable Electrodes)」(医療用器具類の進歩のための協会(Association for the Advancement of Medical Instrumentation)(1984))に特定されており、この開示は、最小限の標準のための方法及び条件を試験するために、参考として組み込まれる。試験実施例及び比較例について、D.C.オフセットの特性(100mV未満)、A.C.インピーダンス(2kOhms未満)、除細動過負荷回復(100mV未満、4コンデンサ放電の5秒後)及び残留分極電圧の変化の速度(1mV/秒以下)をこれらの標準試験方法に従って測定した。
【0100】
実施例1
この実施例では、タブ型電極において使用される導電性接着剤中の有機塩化物電解質を採用する。本発明の導電性接着剤として使用するために、マイクロエマルションを製造した。一般に、同時に譲渡された米国特許第6、709、716号(ウイ(Uy)らに2004年3月23日発行)にて開示される方法にて、マイクロエマルションを製造した。より具体的には、2つのモノマーの分量、すなわち、親水性モノマーとしてのアクリル酸1グラムと、例えば、アトフィナ・ケミカル社(Atofina Chemicals、Inc.)(ペンシルペニア州、フィラデルフィア(Philadelphia))から市販されていた疎水性モノマーとしてのアクリル酸イソオクチル14グラムとを混合することにより、第一混合物を形成した。これに、ユニケマ(Uniqema)(デラウェア州、ニューキャッスル(New Castle))から取引名称ブリジ(BRIJ)98として市販されている界面活性剤7グラム、及びグローバルセブン(Global Seven)(ニュージャージー州、フランクリン(Franklin))から取引名称ヘトキシオル(HETOXOL)OL35として市販されている界面活性剤3グラムを添加した。その後、チバガイギ社(Ciba Gigy Corp.)から取引名称イルガキュア(IRGACURE)2959として市販されている光開始剤0.3グラムを添加し、第一混合物を完成した。
【0101】
次に、水22グラム、スペクトルケミカルズ(Spectrum Chemicals)(ニュージャージー州、ブランズウィック(Brunswick))からの塩化コリン8グラム、共にシグマケミカルズ(Sigma Chemicals)(ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Milwaukee))からのグリセロール10グラム、ブチレングリコール25グラムを混合することにより、第二混合物を製造した。
【0102】
第一混合物及び第二混合物を組み合わせて、マイクロエマルションを形成した。マイクロエマルションに、ノベオン社(Noveon Inc.)(オハイオ州、クリーブランド(Cleveland))から得られる、取引名称ペミュレン(PEMULEN)TR−2として市販されているアクリル酸モノマーから製造された疎水変性ポリアクリレート0.2グラムを粘度変性剤として添加し、サートマー社(Sartomer Company,Inc)(ペンシルペニア州、エクストン(Exton))から得られるポリエチレングリコール(400)ジアクリレート0.2グラムを架橋剤として添加した。添加後、マイクロエマルションは、透明で安定なままであり、粘度は、従来技術を使用して容易に処理可能である、およそ0.2 Pa.s(200cp)まで増加した。
【0103】
次に、増粘したマイクロエマルションを、基材としての剥離ライナー上へナイフコーターを使用してコーティングした。厚さ0.64mm(25ミル)のコーティングが得られるように、ナイフを設定した。シルバニア(Sylvania)(マサチューセッツ州、ダンバーズ(Danvers))から市販されている350ブラックライト(Blacklight)を使用して、紫外線へ曝露することによって、コーティングされたマイクロエマルションにおいて、重合を誘発した。およそ7分間で全線量1800mJ/cmを適用し、導電性二相連続接着剤を形成した。この導電性接着剤は、ヒトの皮膚に優れた接着を有した。
【0104】
この接着剤のいくつかの1.0平方cmの材料見本を、片側を導電性銀/塩化銀インク裏材に、そして他の側を剥離ライナーに固着した。裏材は接着剤材料見本(2cm×1cm)より大きく、電気接触のためのタブとして1平方cmを残した。エルコン社(Ercon Inc.)(マサチューセッツ州、ウォルサム(Waltham))から取引名称「R300」として市販されている銀/塩化銀導電性インク溶液を、ICIフィルム(ICI Films)(バージニア州、ホープウェル(Hopewell))から取引名称メリネックス(Melinex)505として市販されている厚さ0.1mmのポリエステルフィルムから作製された高分子裏材上に、ワイヤーコーティング手順を使用してコーティングすることにより、裏材を作製した。インクは、元素銀70%を含む固体含量が58%であった。インク用の担体溶媒は、メチルプロピルケトン(MPK)であった。その後、コーティングされたフィルムを室温にて5分間乾燥し、続いて、93℃(200゜F)で5分間乾燥した。
【0105】
比較例C1
上記の実施例1で概説される手順に従って、以下を変更して、マイクロエマルション接着剤を製造した。塩化コリンの代わりに塩化カリウム4グラムを使用した。水26グラムを使用し、界面活性剤混合物をユニケマ(Uniqema)(デラウェア州、ニューキャッスル(New Castle))から得られるブリジ(BRIJ)97 10グラムに置き換えた。
【0106】
実施例1及び比較実施例C1
各実施例1及び比較実施例C1に記載された接着剤から、6つのタブ型電極を作った。3つの各電極対を、相対湿度15%のチャンバに18時間置き、接着剤表面を曝露し、一方で、別の3対は相対湿度15%に曝露しなかった。非曝露試料及び相対湿度15%に曝露した試料から、電極対を製造した。これらの対を、互いに接着し、二相連続接着剤のこれらの層を、AAMI標準に従って向かい合わせに接触して設置した。表1における各結果は、相対湿度15%へ曝露前及び曝露後の実施例1及び比較実施例C1の3対の平均試験結果を示す。
【0107】
【表1】

【0108】
接着剤を相対湿度15%へ平衡化した後、実施例1の電極は、まだ電気的に存続可能であった。比較例C1Bのインピーダンスは、実施例1B(塩素コリン)電極に対して、因子50増加し、乾燥後のインピーダンスは、因子10のみ増加した。加えて、塩化カリウムを有するC1B電極は、SDR勾配試験において落第であった。
【0109】
実施例2
この実施例では、モニタリングと長期的な着用に使用するスナップ型電極に使う導電性接着剤において、有機塩化物電解質を採用する。導電性要素は、タブ型電極よりもさらに小さい設置面積を有する。電極構造は、米国特許第6,709,716号(ウイ(Uy)らに2004年3月23日発行)に詳述されている。簡潔にいうと、生物医学電極は、スタッド又はアイレット突出部を通してスナップでカバーされた開口部を有する非導電性裏材を有する。スナップは、電気的接続点を電気器具類に提供するために、アイレットに確保される。アイレットと裏材をカバーするのは、本発明の重合マイクロエマルションPSAのフィールドである。剥離ライナーは、使用前にPSAフィールドを保護する。裏材は、絶縁体構造と同一又は類似の材料で作製され得る。アイレットは、プラスチック、金属性メッキアイレット(例えば、ミクロンプロダクト(Micron Products)(マサチューセッツ州、フィッチバーグ(Fitchburg)から市販されている銀メッキ及び塩素化されたABSプラスチックアイレット)であることができる。スナップは、金属性スナップ(例えば、アイレット・フォー・インダストリー(Eyelets for Industry)(コネチカット州、トムソン(Thomason))から市販されているステンレス鋼アイレットNo.304)であることができる。この種類の電極では、本発明の重合マイクロエマルションPSAは、生体適合性の皮膚接着剤及び電極中のイオン導電性媒質の両方として、役立ち得る。
【0110】
実施例1で記載されたものと同一の接着剤を使用して、スナップ型電極を製造した。実施例1のように、電極の半分を、ライナーから除去し、チャンバでの急速な平衡のために接着表面を曝露させて、相対湿度15%のチャンバに18時間置いた。両方のセットの電極におけるAAMI手順に従った、電気試験の結果を表2に示す。各試験結果は、3対の電極の平均を表す。
【0111】
比較例C2
比較例C2では、比較例C1のように塩化コリン電解質を塩化カリウムに置き換えること以外は、実施例2と同一のスナップ型電極構造を使用した。AAMI電気試験データを表2に示す。各試験結果は、3対の電極の平均を表す。
【0112】
【表2】

【0113】
実施例2Bの電極では、インピーダンスが6倍に上昇した。電極の電気特性のどれもが、支障をきたさなかった。比較例C2の電極は、低湿度チャンバに曝露されると、インピーダンス試験において落第であった。
【0114】
実施例3
実施例3では、接着剤周辺部(電極裏材及び剥離ライナーではさまれている)が低湿度に曝露された剥離ライナー上で変換するスナップ型電極のために、導電性接着剤に有機電解質を使用した。スナップ型電極裏材を、実施例2のように作り、実施例1で合成された接着剤を使用して剥離ライナー上で変換した。12電極対を使用してAAMI手順に従って、初期連続電気試験を行った。その後、剥離ライナー上の実施例3の電極を、相対湿度0%及び相対湿度15%に維持される2つの独立したチャンバにて、21℃(70゜F)で30日間エージングした。エージングを10、20、及び30日間行った後、両方のチャンバから試料を引き出した。これらの各時点において、12対の電極上でAAMI手順に従って、両方のセットの電極の連続電気試験を行った。実施例3の両方のセットの電極の平均結果を、以下の表3Aに示す。
【0115】
比較例C3
以下のようにマイクロエマルションを準備した。2つの親水性モノマー、アクリル酸14グラムと、新中村化学社(Shin-Nakamura Chemical Co. Ltd.)(日本、和歌山)からAM90Gエステルとして市販されているポリオキシエチレンアクリレート14グラムとを混合することにより、第一混合物を形成した。これに、疎水性モノマーの役割のアクリル酸イソオクチル14グラムを添加した。この第二混合物に、ICIから入手可能な界面活性剤ブリジ(BRIJ)97 18グラムを添加し、第三混合物を形成した。その後、イルガキュア(IRGACURE)2959反応開始剤0.5グラムを添加し、第四混合物を形成した。次に、水23グラム、KCl 1.2グラム、及びプロピレングリコール10グラムを含有する水性混合物を製造した。水性混合物と第四混合物を組み合わせ、マイクロエマルションを形成した。標準合成技術を使用してモノマーから製造された分子量およそ550,000のポリアクリル酸の17%水溶液を、マイクロエマルションに添加した。特に、重合は、熱活性化反応開始剤である過硫酸カリウムにより開始され、反応は、窒素雰囲気下において76℃で行なわれた。
【0116】
溶液をマイクロエマルションに添加するとき、マイクロエマルションは、透明で安定なままであり、粘度は、従来技術を用いて容易に処理可能である、およそ0.2 Pa.s(200cps)まで増加した。その後、増粘したマイクロエマルションを、基材としての剥離ライナー上へナイフコーターを使用してコーティングした。厚さ0.64mm(25ミル)のコーティングが得られるように、ナイフを設定した。シルバニア(Sylvania)(マサチューセッツ州、ダンバーズ(Danvers))から市販されている350ブラックライト(Blacklight)を使用して、紫外線へ曝露することにより、コーティングされたマイクロエマルションにおいて重合を誘発した。およそ7分間で全線量1800mJ/cmを適用し、導電性二相連続接着剤を形成した。この導電性接着剤は、ヒトの皮膚に優れた接着を有した。
【0117】
実施例2に従って、スナップ型電極裏材を作り、この接着剤を使用して剥離ライナー上で変換した。電極12対を使用して、AAMI手順に従って、初期連続電気試験を行った。その後、剥離ライナー上の電極を、相対湿度0%及び相対湿度15%に維持される2つの独立したチャンバ内で、21℃(70゜F)で30日間熟成した。10、20、及び30日の熟成後、両方のチャンバから試料を引き出した。これらの各時点において、12対の電極上でAAMI手順に従って、両方のセットの電極の連続電気試験を行った。比較例C3の両方のセットの電極の平均結果を、表3Bに示す。
【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
実施例4
実施例4では、塩化コリンを含有する接着剤から作られ、相対湿度0%及び相対湿度15%にてライナー上で30日間エージングされた電極の臨床成績を示す。臨床成績は、皮膚上へ電極を適用した後、安定したECGトレースを得ることを要求される時間で測定した。
【0121】
材料 実施例3に記載される裏材、接着剤、及びライナー材料から、スナップ型電極を作った。電極の3分の1を、水及び空気不透過性ポーチに封入し、これらの電極を対照として使用した。別の3分の1を、21℃(70゜F)、相対湿度0%にてライナー上で30日間エージングし、残りの3分の1を、21℃(70゜F)、相対湿度15%にてライナー上で30日間熟成した。
【0122】
被験者の腕に適用した各実施例4の電極を使用して、初期インピーダンスを最初に測定した。各実施例4の電極の1つの試料(4A,対照は4B,相対湿度15%にて保存、及び4C,相対湿度0%にて保存)を、12被験者の各胴体上の4つの各分一区分に適用した。許容できるEKGトレースの時間を記録した。許容できるトレースは、リード1及び2の両方で必要であったことに注意する。各条件下での、インピーダンスの平均結果(n=48)と実施例4の各電極の許容できるトレースまでの時間を表4に示す。
【0123】
【表5】

【0124】
実施例5
この実施例では、スナップ型電極で使用される導電性接着剤において、異なる有機「オニウム」電解質を採用した。電極構造は、接着剤を除いて実施例2に記載されるものと同一である。接着剤は、アクリレート系単層PSAであった。接着剤前駆体は、アクリル酸15グラム、サンエステル社(San Esters Corporation)(ニューヨーク州、ニューヨーク(New York))から得られる2−ヒドロキシエチルメタクリレート20グラム、シグマ・アルドリッチ(ミズーリ州、セントルイス(St.Louis))から市販されているテトラキス(ヒドロキシメチル)塩化ホスホニウム11グラム、1,3ブチレングリコール25グラム、グリセロール10グラム、水19グラム、イルガキュア(IRGACURE)2959を0.55グラム、及びポリエチレングリコール(400)ジアクリレート0.15グラムを含む。基材としての剥離ライナー上へ、ナイフコーターを使用して、前駆体をコーティングした。厚さ0.64mm(25ミル)のコーティングが得られるように、ナイフをセットした。シルバニア(Sylvania)(マサチューセッツ州、ダンバーズ(Danvers))から市販されている350ブラックライト(Blacklight)を使用して、紫外線へ曝露することによって、コーティングされたマイクロエマルションにおいて重合を誘発した。およそ7分間で全線量1800mJ/cmを適用し、導電性二相連続接着剤を形成した。この導電性接着剤は、ヒトの皮膚に優れた接着を有した。
【0125】
スナップ型電極裏材を実施例2のように作り、この接着剤を使用して剥離ライナー上で変換した。
【0126】
比較例C5
比較例C5では、塩化ホスホニウム接着剤を、以下を除いて同一組成物である塩化カリウム接着剤に置き換えること以外は、実施例4と同一の電極構造を使用した。塩化ホスホニウム11グラムを、塩化カリウム4.2グラムに置き換え、水19グラムを25.8グラムに増やした。
【0127】
実施例5及び比較例C5
実施例5及び比較例C5のために、AAMI手順に従う電気試験を、両方のセットの電極(各3)にて行った。前述の実施例のように、半分の電極をライナーから除去し、チャンバにおける急速な平衡のために接着表面を曝露して相対湿度15%のチャンバに18時間置き、半分は、相対湿度15%の条件に曝露しなかった。結果を以下の表5に示す。
【0128】
【表6】

【0129】
塩化ホスホニウム電極の実施例5Bでは、インピーダンスが6倍に増加し、乾燥に耐えた。電極のどの電気的特徴も、損なわれなかった。塩化カリウム系電極の比較例C5Bでは、低湿度チャンバに曝露されたとき、インピーダンスが20倍に上昇し、インピーダンス試験において落第であった。
【0130】
本発明の実施形態を詳述したが、記載された実施形態の変更及び修正は、当業者に明らかである可能性があり、こうした変更及び修正は、添付の特許請求の範囲で述べられる本発明の精神及び範囲内であることが意図される。
【0131】
開示された実施形態の記載された態様において、参照は、構造の特徴が参照番号で識別される図面にてなされ、そこで、類似の数は、類似の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】哺乳類患者の心臓の状態の診断又はモニタリングに有用な生物医学電極の実施形態の上面図であり、該電極は、本発明の導電性接着剤を包含する。
【図2】図1の生物医学電極の横断面図。
【図3】心臓の状態の長期的な診断又はモニタリングに有用なモニタリング生物医学電極の実施形態の上面図であり、該電極は、本発明の導電性接着剤を包含する。
【図4】図3のモニタリング生物医学電極の横断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)感圧性接着剤、
(b)水溶性又は水分散性有機塩化物を含む電解質、及び
(c)湿潤剤
を含む導電性接着剤組成物。
【請求項2】
感圧性接着剤が、水相及び油相を含む二相連続組成物である、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項3】
二相連続組成物が重合可能なマイクロエマルション組成物に由来し、該マイクロエマルション組成物が、
(a)水中の1種以上の親水性モノマー又はオリゴマー及び/若しくは1種以上の両親媒性モノマー又はオリゴマー、水溶性又は水分散性有機塩化物、界面活性剤、並びに湿潤剤を含む水相、
(b)1種以上の疎水性モノマー又はオリゴマーを含む油相
を含む請求項2に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項4】
二相連続組成物が実質的に無孔である、請求項2に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項5】
有機塩化物が水相全体の約20重量部以下の量存在する、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項6】
有機塩化物が、水相全体の100重量部を基準として、約0.5重量部〜約10重量部の量存在する、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項7】
有機塩化物が、四級塩化アンモニウム、塩化ホスホニウム、塩化オキソニウム、塩化スルホニウム、又は上述の2種以上の混合物から成る群から選択される塩化オニウムを含む、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項8】
四級塩化アンモニウムが、ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、アセトアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ラクトアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ココナッツアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アーモンドアミドプロパルコニウムクロライド、アボカドアミドプロパルコニウムクロライド、ビス−ヒドロキシエチルタローモニウムクロライド、ジベヘニルジモニウムクロライド、ジオコジモニウムクロライド、ジデシルジモニウムクロライド、ジソイジモニウムクロライド、ジタロージモニウムクロライド、ジタロージモニウムクロライド、PPG−9ジエチルモニウムクロライド、PPG−9ジエチルモニウムクロライド、ステアリルエチルヘキシルジモニウムクロライド、及び上述の2種以上の組み合わせから成る群から選択される、請求項7に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項9】
親水性モノマー及びオリゴマーが、エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性極性種を含む、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項10】
親水性モノマーが、油相へ実質的に不溶の、水溶性エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性の、極性、イオン性、又は非イオン性種を含む、請求項9に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項11】
親水性、水溶性、エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性の、極性、イオン性モノマーが、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、4,4,9−トリメチル−4−アゾニア−7−オキサ−デシ−9−エン−1−スルホネート、N,N−ジメチル−N−(β−メタクリルオキシエチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、トリメチルアミンメタクリルアミド、1,1−ジメチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミンメタクリルアミド、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項10に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項12】
親水性オリゴマーが、ポリエチレンオキシドアクリレート、ポリエチレンオキシドジアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、N−ビニルピロリドンマクロマー、及び前述の2種以上の混合物から成る群から選択される、請求項9に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項13】
親水性オリゴマーが約100〜約100,000の数平均分子量を有する、請求項12に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項14】
両親媒性モノマーが、マイクロエマルションの水相及び油相の間で分配可能な極性エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性種を含む、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項15】
両親媒性モノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、スチレンスルホン酸、N−置換アクリルアミド、N,N−二置換アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項12に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項16】
親水性又は両親媒性オリゴマーが、油相へ実質的に不溶である、あるいは水溶性及び油溶性である極性エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性種を含む、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項17】
親水性又は両親媒性オリゴマーが、ポリエチレンオキシドアクリレート、ポリエチレンオキシドジアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、N−ビニルピロリドンマクロマー、及び前述の2種以上の混合物から成る群から選択される、請求項16に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項18】
重合性マイクロエマルションが、少なくとも1種の反応開始剤を更に含む、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項19】
疎水性モノマーが、アクリル酸のC〜C18アルキルエステルから成る群から選択されるフリーラジカル重合性エチレン性不飽和種を含む、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項20】
疎水性モノマーが、アクリル酸イソオクチル、2−アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル、及び前述の2種以上の組み合わせから成る群から選択される1以上のアクリル酸アルキルを含む、請求項19に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項21】
湿潤剤が、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、及び前述の2種以上の組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項22】
湿潤剤が以下の式、 MO(CHCHO)Hで表わされ、
式中、
Mは水素及びC〜Cアルキルから成る群から選択され、
mは約1〜約25の整数である、
請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項23】
脂溶性添加剤を更に含む、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項24】
脂溶性添加剤が、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、及び前述の2種以上の混合物から成る群から選択されるフリーラジカル反応性疎水性架橋剤(単数又は複数)を含む、請求項23に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項25】
脂溶性添加剤が、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン、及び前述の2種以上の混合物から成る群から選択されるフリーラジカル反応性疎水性連鎖移動剤を含む、請求項23に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項26】
連鎖移動剤がチオグリコ−ル酸イソオクチルである、請求項25に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項27】
界面活性剤が非(共)重合性界面活性剤を含む、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項28】
界面活性剤が重合性界面活性剤を含む、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項29】
界面活性剤が、非イオン性、アニオン性、及びカチオン性から選択される、請求項3に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項30】
感圧性接着剤がヒドロゲルである、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項31】
(a)伝導体部材、及び
(b)該伝導体部材と関連する導電性接着剤組成物を含む生物医学電極であって、
該導電性接着剤組成物は、
(i)感圧性接着剤、
(ii)水溶性又は水分散性有機塩化物を含む電解質、及び
(iii)湿潤剤を含む生物医学電極。
【請求項32】
伝導体部材が裏材及び該裏材に関連した導電性構成要素を含み、導電性接着剤組成物が第一及び第二主要面を含み、電流が、導電性接着剤を通過して導電性構成要素へ行くことができる、又は導電性構成要素を通過して導電性接着剤へ行くことができるように、該導電性接着剤の第一主要面が導電性構成要素に動作可能なように関連した、請求項31に記載の生物医学電極。
【請求項33】
導電性接着剤の第二主要面上に剥離ライナーを更に含む、請求項32に記載の生物医学電極。
【請求項34】
剥離ライナーが、高分子裏材及び該高分子裏材上のフッ素性化学物質剥離コーティングを含む、請求項33に記載の生物医学電極。
【請求項35】
剥離ライナーの高分子裏材がポリエステルを含む、請求項34に記載の生物医学電極。
【請求項36】
感圧性接着剤が重合可能なマイクロエマルション組成物に由来する二相連続組成物であり、該マイクロエマルション組成物が、
(a)水中の1種以上の親水性モノマー又はオリゴマー及び/若しくは1種以上の両親媒性モノマー又はオリゴマー、水溶性又は水分散性有機塩化物、並びに湿潤剤を含む水相、
(b)1種以上の疎水性モノマー又はオリゴマーを含む油相、
とを含む、請求項31に記載の生物医学電極。
【請求項37】
二相連続組成物が実質的に無孔である、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項38】
有機塩化物が、四級塩化アンモニウム、塩化ホスホニウム、塩化オキソニウム、塩化スルホニウム、又は上述の2種以上の混合物から成る群から選択される塩化オニウムを含む、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項39】
四級塩化アンモニウムが、ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、アセトアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ラクトアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデキシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ココナッツアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アーモンドアミドプロパルコニウムクロライド、アボカドアミドプロパルコニウムクロライド、ビス−ヒドロキシエチルタローモニウムクロライド、ジベヘニルジモニウムクロライド、ジオコジモニウムクロライド、ジデシルジモニウムクロライド、ジソイジモニウムクロライド、ジタロージモニウムクロライド、ジタロージモニウムクロライド、PPG−9ジエチルモニウムクロライド、PPG−9ジエチルモニウムクロライド、ステアリルエチルヘキシルジモニウムクロライド、及び上述の2種以上の組み合わせから成る群から選択される、請求項38に記載の生物医学電極。
【請求項40】
親水性モノマー及びオリゴマーが、エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性極性種を含む、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項41】
親水性モノマーが、油相へ実質的に不溶の、水溶性エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性の、極性、イオン性、又は非イオン性種を含む、請求項40に記載の生物医学電極。
【請求項42】
親水性、水溶性、エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性の、極性、イオン性モノマーが、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、4,4,9−トリメチル−4−アゾニア−7−オキサ−デシ−9−エン−1−スルホネート、N,N−ジメチル−N−(β−メタクリロキシエチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、トリメチルアミンメタクリルアミド、1,1−ジメチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミンメタクリルアミド、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項41に記載の生物医学電極。
【請求項43】
親水性オリゴマーが、ポリエチレンオキシドアクリレート、ポリエチレンオキシドジアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、N−ビニルピロリドンマクロマー、及び前述の2種以上の混合物から成る群から選択される、請求項40に記載の生物医学電極。
【請求項44】
両親媒性モノマーが、マイクロエマルションの水相及び油相の間で分配可能な極性エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性種を含む、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項45】
両親媒性モノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、スチレンスルホン酸、N−置換アクリルアミド、N,N−二置換アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項44に記載の生物医学電極。
【請求項46】
親水性又は両親媒性オリゴマーが、油相へ実質的に不溶である、あるいは水溶性及び油溶性である極性エチレン性不飽和フリーラジカル(共)重合性種を含む、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項47】
親水性又は両親媒性オリゴマーが、ポリエチレンオキシドアクリレート、ポリエチレンオキシドジアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、N−ビニルピロリドンマクロマー、及び前述の2種以上の混合物から成る群から選択される、請求項46に記載の生物医学電極。
【請求項48】
疎水性モノマーが、アクリル酸のC〜C18アルキルエステルから成る群から選択されるフリーラジカル重合性エチレン性不飽和種を含む、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項49】
疎水性モノマーが、アクリル酸イソオクチル、2−アクリル酸エチルヘキシル、アクリルn−酸ブチル、及び前述の2種以上の組み合わせから成る群から選択される1種以上のアクリル酸アルキルを含む、請求項48に記載の生物医学電極。
【請求項50】
湿潤剤が、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、及び前述の2種以上の組み合わせから成る群から選択される、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項51】
湿潤剤が以下の式、 MO(CHCHO)Hで表わされ、
式中、
Mは水素及びC〜Cアルキルから成る群から選択され、及び
mは約1〜約25の整数である、
請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項52】
脂溶性添加剤を更に含む、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項53】
脂溶性添加剤が、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、及び前述の2種以上の混合物から成る群から選択されるフリーラジカル反応性疎水性架橋剤(単数又は複数)を含む、請求項52に記載の生物医学電極。
【請求項54】
脂溶性添加剤が、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン、及び前述の2種以上の混合物から成る群から選択されるフリーラジカル反応性疎水性連鎖移動剤を含む、請求項52に記載の生物医学電極。
【請求項55】
連鎖移動剤がチオグリコ−ル酸イソオクチルである、請求項54に記載の生物医学電極。
【請求項56】
界面活性剤が非(共)重合性界面活性剤を含む、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項57】
界面活性剤が重合性界面活性剤を含む、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項58】
界面活性剤が、非イオン性、アニオン性、及びカチオン性から選択される、請求項36に記載の生物医学電極。
【請求項59】
感圧性接着剤がヒドロゲルである、請求項31に記載の導電性接着剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−503235(P2009−503235A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525088(P2008−525088)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/029794
【国際公開番号】WO2007/019115
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】