説明

導電性組成物

【課題】煩雑な工程を要せずに、電子装置の異常発熱時に安全に電流を遮断する省スペースの安全装置を組み込むことを可能にする導電性組成物および電池の充放電特性を向上させる電池集電体コート用導電性組成物を提供する。
【解決手段】熱により発泡する発泡性物質及び導電性材料を含む導電性組成物であって、所定の温度未満では導電性を付与するが、該所定の温度以上では前記発泡性物質が発泡することで絶縁性になる導電性組成物を提供する。更に、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性がある電池集電体コート用導電性組成物であって、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上含むことを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物を提供する。さらに、この導電性組成物で作製した電気回路、この電気回路を含む電子装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱により発泡する発泡性物質及び導電性材料を含む導電性組成物であり所定の温度以上では前記発泡性物質が発泡することで導電性組成物が絶縁体になる導電性組成物、特定量の水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性のあることを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物、前記導電性組成物を含む電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の任意の温度以上になると絶縁体になる部材としては、所定の温度以上になると溶融する金属を用いる方法がある。例えば、ヒューズとして広く用いられており、数多くの電子装置に安全装置として組み込まれている。この場合、定格以上の電流がヒューズを通じて電子装置に流れようとしても、その電流のジュール熱でヒューズが加熱されることによりヒューズを構成する金属が溶ける温度に達し、金属配線が溶け落ちて過剰な電流が遮断され電子装置は電気的なダメージから守られる。また、このような安全装置によって回路の異常発熱による火災等を未然に防ぐことが出来る。
【0003】
溶融する金属を中空にし、内部に熱膨張性気体を封入することで、気体の膨張による機械的な破断の効果も合わせて確実に電気的な導通を絶つヒューズも開示されている(特許文献1)。また、電圧が高くなると抵抗値が上がるバリスタ(非直線性抵抗素子)も回路が電気的なダメージを防ぐ目的で用いられており(特許文献2)、ヒューズを内蔵したバリスタも開示されている(特許文献3)。
【0004】
一方、電池集電体表面を導電性組成物でコーティングすることで活物質層と集電体との密着性を高める方法も開示されている(特許文献4、5、6)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−215729号公報
【特許文献2】特開平5−6805号公報
【特許文献3】特開平5−6804号公報
【特許文献4】特開昭63−121265公報
【特許文献5】特開平7−201362公報
【特許文献6】特開平7−201362公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のヒューズや、バリスタのような熱センサーを用いた安全装置を電子装置に設置するためには、安全装置と安全装置を設置するスペースおよび設置するための工程が別途必要となる。また、薄い小型デバイスのように熱センサーの設置スペースが限られる場合や、電池のように異常発熱部位が電池構成部材の広範囲にわたって突発的に発生する場合には、従来の安全装置ではカバーできなかった。
【0007】
また、従来の導電性組成物で電池集電体表面をコーティングすることで、活物質層と集電体層との密着性を高めることはできたが、充放電時に活物質を構成する原子と集電体を構成する原子との相互置換反応を有効に抑えることはできず、活物質層と導電性コーティング層及び/又は導電性コーティング層と集電体との間に発生する原子相互置換に伴う空隙の発生と、空隙の発生に伴う電池内部抵抗の増大を抑えることはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意研究を行った結果、熱により発泡する発泡性物質及び導電性材料を含む導電性組成物を開発し、さらにこの導電性組成物のうち固化可能な流動性があるタイプも開発し、これを電子装置の回路等に固化形成することで簡便かつ省スペースで電子装置の任意の部分に組み込むことができ、電子装置が異常発熱した場合前記発泡性物質が発泡し、導電性材料を破断させ導電性組成物を絶縁性にすることで安全に電流を遮断できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は、熱により発泡する発泡性物質及び導電性材料を含む導電性組成物であって、所定の温度未満では導電性を付与するが、該所定の温度以上では前記発泡性物質が発泡することで絶縁性になることを特徴とする導電性組成物に関する。
【0010】
また、本発明は熱により発泡する発泡性物質及び導電性材料を含む固化形成可能な流動性がある導電性組成物であって、固化形成後に所定の温度未満では導電性を有するが、該所定の温度以上では前記発泡性物質が発泡することで絶縁性になることを特徴とする導電性組成物に関する。
【0011】
更に、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性がある電池集電体コート用導電性組成物であって、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上含むことを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物をコーティングした集電体を用いることにより、活物質を構成する元素と集電体を構成する元素の相互置換反応(相互マイグレーション)を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。また、上記集電体コート用導電性組成物に上記発泡剤を添加することで任意の温度以上で絶縁体になる集電体コート用導電性組成物を完成させるに至った。
【0012】
また、本発明は、上記導電性組成物で作製した電気回路、この電気回路を含む電子装置、及び上記導電性組成物で被覆された電極、上記導電性祖生物で組み立てた解体性部材に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の導電性組成物および集電体コート用導電性組成物によれば、低いコストで簡便に電子装置に安全機構を組み込むことができる。また、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性がある電池集電体コート用導電性組成物であって、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上含むことを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物を用いることで電池内部抵抗が低く、充放電特性に優れた電池を製造できる。
【0014】
また、本発明の固化形成可能な流動性がある導電性組成物によれば、任意の形状に固化形成することが可能であるため、従来のヒューズのような安全装置に比べて装置や装置の設置に必要なスペースをさほど必要とせずに、低いコストで簡便に電子装置に安全機構を組み込むことができる。
【0015】
また、本発明の導電性組成物によれば固化可能な流動性を有する導電性組成物を用いることができるので、導電性部材の形成と安全機構の設置を同時に行うことができ、電子装置の組み立てや電極の被覆に前記導電性組成物を用いることで従来のような安全装置を別途組み込む工程を削減することができる。
【0016】
また、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性がある電池集電体コート用導電性組成物であって、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上含むことを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物でコーティングされた集電体を用いることで、充放電時の活物質を構成する元素と集電体を構成する元素の相互置換反応を抑制することができるため、活物質層と導電性コーティング層及び/又は導電性コーティング層と集電体との間に発生する原子相互置換(相互マイグレーション)に伴う空隙の発生と、空隙の発生に伴う電池内部抵抗の増大を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の導電性組成物は、熱により発泡する発泡性物質及び導電性材料を含む導電性組成物であって、所定の温度未満では導電性を付与するが、該所定の温度以上では前記発泡性物質が発泡することで絶縁性になることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の固化形成可能な流動性がある導電性組成物は、熱により発泡する発泡性物質及び導電性材料を含む固化形成可能な流動性がある導電性組成物であって、少なくとも固化形成後に所定の温度未満では導電性を有するが、該所定の温度以上では前記発泡性物質が発泡することで絶縁性になることを特徴とする。
【0019】
本発明は、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性がある電池集電体コート用導電性組成物であって、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上含むことを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物であり、これで集電体をコーティングすることで、電池の充放電特性を向上できることを特徴とする。
【0020】
また、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性がある電池集電体コート用導電性組成物であって、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上含むことを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物には、各種溶媒や発泡剤を配合することができ、電池の充放電特性の向上と異常電流が流れた際の熱暴走を発泡することで防ぐことを特徴とする。
【0021】
熱により発泡する発泡性物質とは、導電性組成物を固化形成後に、所定の温度以上になると熱により体積膨張する物質であり、導電性組成物等のその他の構成材料よりも熱による体積膨張が大きいものを用いることができ、所定の温度に達すると急激に体積膨張を起こす物質が好ましい。体積膨張が大きい物質として、所定の温度に達すると熱分解を起こす物質や、昇華する物質、沸騰する物質等を例示することができる。
【0022】
導電性材料は、導電性組成物および集電体コート用導電性組成物に導電性を付与する材料であり、任意の導電性材料を適時組み合わせて用いることができる。固化可能な流動性がある導電性材料としては、溶融した金属又は合金等を使用することができる。また、溶融した導電性高分子を使用することもできる。また、これらの導電性材料を流動性のある粉にして使用することもでき、焼き固めたり圧縮したりすることで固化することができる。導電性材料は、下記するように、固化形成可能な流動性を有する絶縁性材料をさらに含む場合には、固化形成能や流動性はなくてもよい。また、固化形成した流動性を有する発泡性材料に、流動性を有する導電性物質を含浸させることで固化形成した流動性を有する発泡性材料の形状に沿って発泡性の導電性組成物を形成することも可能である。
【0023】
導電性組成物とは、少なくとも導電性物質を含有する組成物をいい、流動性を有する導電性組成物に付いては固化形成が可能であり少なくとも固化形成後に導電性を有する組成物をいう。ここで、導電性とは、固化形成後の導電性組成物が実質的に電流を流す状態をいい、用途に合わせて任意の抵抗値を有するものを用いることが出来る。導電性を付与するとは、少なくとも固化形成後の導電性組成物が導電性を有していることをいう。
【0024】
また、絶縁性とは実質的に電流が流れない状態をいい、少なくとも発泡前の導電性組成物よりも電気的な抵抗値が高い状態を指す。
【0025】
流動性とは、導電性組成物が任意の形状に動くことを意味し、各種形成法や印刷法に合った粘性を有する状態が好ましく、形成後の形状が保持される程度の粘性を有するものを適時選ぶことができる。
【0026】
固化形成とは、流動性がある導電性組成物が任意の形状に固定され、使用環境において流動性が無い状態になることを意味する。
【0027】
ここで、所定の温度とは固化形成した導電性組成物が絶縁性になる温度で、所定の温度以上では導電性組成物は絶縁体になる。また、導電性組成物中に含まれる発泡性物質が発泡する温度を変えることで、所望の温度で絶縁体になるようにコントロールすることが可能である。また、所定の温度になることで発泡し絶縁体に変化した導電性組成物は、その後所定の温度以下になっても絶縁状態を維持することで引き続き電気の流れを遮断させることもできる。
【0028】
導電性組成物は、さらに絶縁性材料を含むことができる。絶縁性材料として、導電性組成物に固化形成能、流動性、接着性、柔軟性、耐水性などを付与できる材料を用いることもできる。
【0029】
上記発泡性物質は、一般的に固体もしくは液体から気体になるときの体積膨張率が大きいため、前記所定の温度で気化する固体もしくは液体であることが好ましく、気化は、化学的分解、昇華、沸騰等によりなされるものを選ぶことができる。発泡性物質の発泡倍率が大きいものを選ぶことで絶縁体にする効率を高めることができ、10倍以上の体積膨張率を有する物質が好ましく、50倍以上の体積膨張率を有する物質がさらに好ましい。
【0030】
所定の温度に達すると化学的分解を起こす発泡性物質が、例えば1の分子からなる場合、化学的に分解して2以上の分子になるためさらに体積膨張率が大きくなり、発泡剤の発泡倍率を大きくし絶縁体にする効率を高めることができる。このような化学的分解を起こす物質としては、炭酸水素ナトリウム、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等を例示することができる。
【0031】
所定の温度に達すると昇華する発泡性物質としては、ナフタレン、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン、ドライアイス、ヨウ素等を例示することができる。
【0032】
所定の温度に達すると沸騰する発泡性物質としては、炭化水素(プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、テレビン油、ピネン等)、ハロゲン系炭化水素(塩化メチル、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、臭化メチル、臭化エチル、クロロベンゼン、クロロブロモメタン、ブロモベンゼン、フルオロジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロクロロエタン等)、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、2−オクタノール、n−ドデカノール、ノナノール、シクロヘキサノール、グリシドール等)、エーテル、アセタール(エチルエーテル、ジクロロエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、シネオール、メチラール)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−アミルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等)、エステル(ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−アミル、酢酸メチルシクロヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、ステアリン酸ブチル等)、多価アルコールとその誘導体(エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル等)、脂肪酸及びフェノール(ギ酸、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、フェノール、クレゾール、o−クレゾール、キシレノール等)、窒素化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジアミルアミン、アニリン、モノメチルアニリン、o−トルイジン、o−クロロアニリン、ジクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル、ピリジン、α−ピコリン、2,4−ルチジン、キノリン、モルホリン等)、硫黄、リン、その他化合物(二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、4,4−ジエチル−1,2−ジチオラン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、メタンチオール、プロパンスルトン、リン酸トリエチル、リン酸トフェニル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、ホウ酸アミル等)、無機溶剤(液体アンモニア、シリコーンオイル等)、液体金属、水等の液体を例示することができる。
【0033】
発泡性物質から発生した気体は、難燃性であることが好ましく、電子装置の異常発熱が原因で火災が起きた場合もその被害を防いだり最小限にとどめたりすることができる。
【0034】
発泡性物質は、前記所定の温度以上で軟化する軟化性物質で被覆することができる。この軟化性物質の被膜が発泡性物質の発泡の結果破裂せず、内部で発生した気体を閉じ込めて膨らむものが好ましく、軟化性物質を発泡により風船のように膨らませることで導電性材料の発泡効率を高めることができる。また、異常発熱が収まる等で導電性組成物の温度が下がったり導電性組成物に外部から応力が掛かったりした場合に、導電性材料が接触して導電性組成物に導電性が復元することを膨らんだ軟化性物質によって防ぐことができる。
【0035】
この軟化性物質が、軟化する温度は発泡する温度に近いほど好ましく、発泡する温度よりも高いほうがさらに好ましい。軟化する温度と発泡する温度の温度差は100℃以内が好ましい。このような軟化する物質として、有機物である各種熱可塑性高分子をあげることができ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等を例示することができる。
【0036】
これらの発泡性物質は、必要に応じて単体でも、2種以上を適宜組み合わせても使用することができる。
【0037】
上記導電性材料としては、金属又は合金を使用することができ、合金の場合特に低融点の合金を好ましく使用できる。導電性材料が金属あるいは合金である場合、電気的な接続を低抵抗で行うことができる。このような合金としては、Sn−Pb系、Sn−In系、Sn−Bi系、Sn−Ag系、Sn−Zn系の合金等を例示することができる。
【0038】
導電性材料は、導電性組成物および集電体コート用導電性組成物が固化形成可能な流動性を有する絶縁性材料を含む場合、導電性フィラーを用いることができる。このような導電性フィラーとしては、Ag、Cu、Au、Al、Mg、Rh、W、Mo、Co、Ni、Pt、Pd、Cr、Ta、Pb、V、Zr、Ti、In、Fe、Zn等の金属粉末やフレーク、あるいはコロイドを用いることができ、Sn−Pb系、Sn−In系、Sn−Bi系、Sn−Ag系、Sn−Zn系の合金粉末やフレーク、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックやグラファイト、グラファイト繊維、グラファイトフィブリル、カーボンファイバー、活性炭、木炭、カーボンナノチューブ、フラーレン等の導電性炭素系材料、金属酸化物系導電性フィラーとしては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)等のうち格子欠陥の存在により余剰電子が生成し導電性を示すフィラー等が挙げられる。このようなフィラーは、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができ、さらに表面をカップリング剤等で処理したフィラーを利用することも好ましい。
【0039】
導電性フィラーは、導電性粒子であることが好ましく、粒子の大きさは形成する部材の大きさよりも小さいほうがさらに好ましい。導電性粒子を固化可能な流動性がある導電性組成物に配合すると、導電性粒子が固化可能な流動性がある導電性組成物中で接触しあうことで導電性を付与することができる。このような導電粒子としては、上記金属若しくは合金の粉末やフレーク等を使用することができる。
【0040】
この導電性粒子は、電場あるいは磁場あるいはその両方によって配向可能な扁平な形状であることが好ましく、その場合導電性粒子が配向した状態で導電性組成物を固化させることができる。この導電性組成物の固化物は、電場もしくは磁場もしくはその両方によって配向した方向に対応して電気的な抵抗値に異方性があり、かつこの状態で発泡性物質を発泡させることによって配向が乱れより効率よく導電性組成物を絶縁体に変えられる。導電性粒子を配向させ電気的な抵抗値が低い部材を形成することは、電子装置の電気的な効率を高める上でも好ましい実施態様である。また、発泡性物質が扁平な形状の粒子であり、磁気的な異方性や誘電率の異方性がある場合、電場もしくは磁場もしくはその両方によって配向させることもできる。
【0041】
流動性を有する導電性物質として、イオン性を有する液体を例示することができる。イオン性を有する液体としては、イオンが溶解した液体を例示することができ、溶媒が水の場合塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等が例示でき、溶媒がジメチルカーボネート等の有機物の場合六フッ化リン酸リチウム等が例示できる。イオン性を有する液体のその他の例として、イオン性液体を例示することができる。イオン性液体の例としては、イミダゾリウム塩誘導体として1,3−ジメチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、ピリジニウム塩誘導体として、3−メチル−1−プロピルピリジミウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、アルキルアンモニウム誘導体として、テトラブチルアンモニウムヘプタデカフルオロオクタンスルフォネート、テトラフェニルアンモニウムメタンスルフォネート、ホスホニウム塩誘導体として、テトラブチルフォスフォニウムメタンスルフォネート等を示すことができる。
【0042】
これらのイオン性を有する液体を、任意の形状に形成した発泡性物質を含有した多孔質物質に含浸させることで、発泡性の導電性組成物を形成することもできる。このような多孔質物質として、発泡性物質を含有した紙や不織布、多孔質の高分子材料等を例示することができる。
【0043】
これらの導電性材料は、必要に応じて単体でも、2種以上の組み合わせでも適宜組み合わせて使用することができる。
【0044】
導電性組成物において、発泡性物質と導電性材料の少なくとも一部とが一体化した複合体であってもよい。絶縁性の発泡性物質と導電性材料の少なくとも一部を一体化することによって、導電性の発泡性物質を製造することができる。
【0045】
さらに、前記複合体はその表面が導電性材料で被覆された発泡性物質であると特に好ましい。発泡性物質や前記軟化性物質で被覆した発泡性物質のうち絶縁性のものを導電性組成物中に混合すると、電気的な抵抗が上昇し電子装置の電気的な効率が落ちる。しかし、複合体の表面を導電性物質で被覆することで電気的な抵抗の上昇を抑えることができる。具体的には、発泡性物質又は軟化で被覆した発泡性物質の表面に金属をめっきしたり導電性の粒子を付着させたりして得ることができる。導電性物質としては前述した金属、合金や炭素系材料、導電性を有する各種無機物を用いることができ、導電性物質が金属である場合めっき法で発泡性物質表面に緻密な金属層を形成することができる。このように、導電性を付与することにより、発泡性物質の含有量を増加させることができ、導電性組成物の発泡倍率の選択の幅を広げることが可能になる。
【0046】
さらに、発泡性物質の表面を導電性材料で緻密に被覆することで発泡性物質から発生するガスを封じ込めることができ、長期間にわたって発泡性物質の発泡特性を維持することができる。さらに、徐々に発泡することを防ぐことで、定常時に導電性組成物の抵抗値が徐々に増加することを防ぐこともできる。長期にわたって電気的な特性と発泡特性の維持が求められる用途(家電製品や車載用の電子装置等)に対しては、上述のような処方は有効である。なお、発泡性物質の発泡に伴い被覆した導電性材料は破断するが、発泡性材料が軟化性物質で被覆されている場合には、軟化性物質が発泡性物質から発生した気体が漏れて発泡効率が低下するのを防ぎ導電性組成物の発泡効率を維持することができる。
【0047】
前記絶縁性材料は液体であるものが好ましいが、粒子、気体も適用可能であり、任意の形状に流動性がある導電性付与組成物を形成した後、固化できる材料であればあらゆるものを用いることができる。液体であるときには、ディスペンスやスクリーン印刷、インクジェット等の様々な装置で任意の形状に簡便に印刷したり形成したりすることもできる。
【0048】
この流動性がある絶縁性材料として、硬化性の有機成分および無機成分を適宜用いることができる。これらのうち有機成分としては、各種エポキシ化合物、シロキサン化合物等のほか、硬化性のモノマーやオリゴマー等のプレポリマーを使用することができ、これらをポリマーの状態で融解させたり、溶媒に溶解させて使用したり、流動性のある微粉末を使用したりすることもできる。これらのうち、熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルブチラール、塩化ビニル、メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、エチレン、アミド、セルロース、イソブチレン、ビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等からなるプレポリマーやポリマーを挙げることができる。また、熱硬化性樹脂としては、尿素、メラミン、フェノール、レゾルシノール、エポキシ、オキセタン、エピスルフィド、イソシアネート、キトサンとカルボン酸の混合物、イミド等からなるプレポリマーやポリマーを挙げることができる。これらの化合物は、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0049】
上記硬化性の有機成分及び無機成分のうち、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである硬化性の成分は、本発明の電池集電体コート用導電性組成物に使用することができる。この電池集電体コート用導電性組成物は、固化形成可能で流動性があり、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上で含むことを特徴とする。電池集電体コート用導電性組成物をコーティングした集電体を用いることにより、活物質を構成する元素と集電体を構成する元素の相互置換反応を抑制できる。電池集電体コート用導電性組成物は、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を導電材料を50重量%以上含むが、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上含む。
【0050】
水素結合性官能基とは、水素結合を起こす事が出来る官能基を指し、酸素原子に水素原子が結合した構造単位を有する官能基(1)や、窒素原子に水素原子が結合した構造単位を有する官能基(2)を例示できる。
【化1】


【化2】


(R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数7〜18の芳香族環を有する基、又はこれらの誘導体を示す)
【0051】
具体的には、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH、−NHR1)、ヒドラジド基(R1R2NN(R3)C(=O)R4)、ヒドロキシルアミノ基(−NHOH)、等を例示する事ができるがこれらに限定しない。R3及びR4は、R1又はR2と同義である。
【0052】
このような官能基を有する物質は、分子間で水素結合を行うことで架橋密度を高める事ができるため、電池集電体のコーティング剤として用いると、集電体を構成する元素と活物質を構成する元素の相互置換反応を抑止する事が出来る。
【0053】
水素結合性官能基価とは、分子中の水素結合性を示す官能基の数を分子量で割ったものである。
[式1]
(式1) 水素結合性官能基価(mol/g)=1分子中の水素結合性官能基の数/分子量
【0054】
以下に代表的な物質の水素結合性官能基価を示す。
ポリビニルアルコール
ポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度100%)=2.3×10-2 mol/g
ポリビニルアルコール(平均重合度1000、ケン化度100%)=2.3×10-2 mol/g
ポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度80%)=1.6×10-2 mol/g
ポリビニルアルコール(平均重合度1000、ケン化度80%)=1.6×10-2 mol/g
ポリカルボン酸
ピロメリット酸=1.6×10-2 mol/g
メリト酸=1.8×10-2 mol/g
マロン酸=1.9×10-2 mol/g
アミン
ジエチレントリアミン=4.0×10-2 mol/g
ヒドラジド
アジピン酸ジヒドラジド=1.1×10-2 mol/g
【0055】
このような硬化性のプレポリマーを配合する際には、プレポリマーを硬化させるための硬化剤、重合開始剤を必要に応じて配合することもできる。これらの硬化剤、重合開始剤の種類は、配合するプレポリマーの種類に応じて適宜選択することができる。このような硬化剤、重合開始剤としてエネルギー線により反応を開始する化合物を好ましく用いることができる。例えば、アクリルモノマー・オリゴマーの光ラジカル重合型樹脂、ポリエン−チオール硬化系の光マイケル付加型樹脂、エポキシおよびオキセタンおよびビニルエーテルモノマー・オリゴマーの光カチオン重合型樹脂が例示できる。また、これら配合には各種公知の光反応増感剤を使用することもできる。このような光硬化性樹脂を用いることで、形成後や印刷後の形状を速やかに固定することもできる。
【0056】
また、固化可能な流動性がある絶縁性の無機成分としては、各種金属アルコキシド、各種金属塩化物、水ガラス、コロイダルシリカ、各種ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素フッ化物、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物、金属ホスフェートの溶液を使用したり、流動性のあるこれらの微粉末を使用したりすることができる。
【0057】
このような無機成分を含む流動性がある物質は、ゾルゲル反応や高温焼付け等を用いることで固化することができ、またゾルゲル反応の触媒を流動性がある物質に配合することもできる。
【0058】
上記ゾルゲル反応の触媒としては、無機成分を加水分解し重縮合させる、塩酸のような酸;水酸化ナトリウムのようなアルカリ;アミン;あるいはジブチルスズジアセテ−ト、ジブチルスズジオクテ−ト、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトラアルキルチタネート等の有機チタネート化合物;テトラブチルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトライソブチルジルコネート、ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム等の有機ジルコニウム化合物;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム等の有機アルミニウム化合物;ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等の有機金属触媒等を挙げることができる。これらの中でも、市販品としてジブチルスズ化合物(三共有機化学(株)製SCAT−24)を具体的に挙げることができる。これらの化合物は、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0059】
これらの有機成分および無機成分は、必要に応じて単体でも有機・無機の組み合わせでも適宜組み合わせて使用することができる。
【0060】
流動性のある固化可能な絶縁性材料の粒子と、導電性粒子とを組み合わせて導電性組成物を作製した場合、絶縁性材料が液体である場合とは異なり絶縁性材料による導電性粒子の濡れによる被覆がないため、導電性粒子同士が接触しやすくできあがった導電性組成物の抵抗値を低くできる。この絶縁性材料の粒子の流動性を無くし固化する手段としては、焼付けや圧縮固定等の任意の手段を用いることができる。
【0061】
溶融状態の絶縁性物質を冷却固化する場合、流動性がある状態から固化できるため固化のスピードが速く大量生産が必要な場合有利である。また、溶融温度が発泡温度よりも低い場合、発泡を速やかにかつ効率よく行うことができ発泡に伴う流動性がある物質の破断とそれに伴う破片の発生を防ぐことができる。
【0062】
活性エネルギー線で硬化する液体絶縁性材料として樹脂を用いる場合、加熱硬化に比べて熱の発生が少ないので、熱に弱い材料や発泡温度が低い発泡性物質を用いることができる。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線を例示できる。また、活性エネルギー線を照射する際その雰囲気に限定されるものではなく、大気、窒素やアルゴン等の不活性ガス、真空中等様々な雰囲気、温度環境下で照射することができる。
【0063】
加熱による固化する液体絶縁性材料としては、熱で硬化する樹脂や、溶媒蒸散によって固化する樹脂、ゾルゲル法で得られる金属酸化物等多種多様な材料を用いることができる。
【0064】
また、絶縁性材料には、公知のホットメルト樹脂を使用することができる。
【0065】
接着性を有する導電性組成物を用いる場合、導電性組成物を導電性の接着剤として用いることができる。この場合、電子装置の導通接続に用いると同時に、発熱時に安全に電気の流れを遮断できる安全装置を一括かつ簡便に省スペースで組み込むことができる。このような接着性は、導電性組成物を構成する少なくとも1以上の材料に持たせることで導電性組成物に接着性を付与することができ、液状の接着剤と導電性粒子の組み合わせ、絶縁性粒子と低融点金属と溶媒の組み合わせ、ホットメルト粒子と導電性炭素材料粒子の組み合わせ等適時組み合わせて用いることができ、これらの材料は必要に応じて単体でも2種以上の組み合わせでも適宜組み合わせて使用することができる。
【0066】
導電性組成物には、さらに粘度の調整や流動性の付与などの必要に応じて、配合成分に応じて適宜選択した溶媒を含有することができる。このような溶媒としては、具体的には炭化水素(プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、テレビン油、ピネン等)、ハロゲン系炭化水素(塩化メチル、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、臭化メチル、臭化エチル、クロロベンゼン、クロロブロモメタン、ブロモベンゼン、フルオロジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロクロロエタン等)、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、2−オクタノール、n−ドデカノール、ノナノール、シクロヘキサノール、グリシドール等)、エーテル、アセタール(エチルエーテル、ジクロロエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、シネオール、メチラール)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−アミルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等)、エステル(ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−アミル、酢酸メチルシクロヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、ステアリン酸ブチル等)、多価アルコールとその誘導体(エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル等)、脂肪酸及びフェノール(ギ酸、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、フェノール、クレゾール、o−クレゾール、キシレノール等)、窒素化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジアミルアミン、アニリン、モノメチルアニリン、o−トルイジン、o−クロロアニリン、ジクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル、ピリジン、α−ピコリン、2,4−ルチジン、キノリン、N−メチルピロリドン、モルホリン等)、硫黄、リン、その他化合物(二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、4,4−ジエチル−1,2−ジチオラン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、メタンチオール、プロパンスルトン、リン酸トリエチル、リン酸トフェニル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、ホウ酸アミル等)、無機溶剤(液体アンモニア、シリコーンオイル等)、水等を挙げることができる。
【0067】
導電性組成物には、さらに必要に応じて、安定剤、カップリング剤等を適宜選択して配合することができる。このような安定剤としては、具体的には2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチル−フェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−アニリノ)−1,3,5−トリアジン等によって例示されるフェノール系酸化防止剤、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等によって例示される芳香族アミン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−tert−ブチル−フェニル]スルフィド、2−メルカプト−5−メチル−ベンゾイミダゾール等によって例示されるサルファイド系ヒドロペルオキシド分解剤、トリス(イソデシル)ホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスファートジエチルエステル、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファート等によって例示されるリン系ヒドロペルオキシド分解剤、フェニルサリチラート、4−tert−オクチルフェニルサリチラート等によって例示されるサリチレート系光安定剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等によって例示されるベンゾフェノン系光安定剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等によって例示されるベンゾトリアゾール系光安定剤、フェニル−4−ピペリジニルカルボナート、セバシン酸ビス−[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]等によって例示されるヒンダードアミン系光安定剤、[2,2’−チオ−ビス(4−t−オクチルフェノラート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケル−(II)によって例示されるNi系光安定剤、シアノアクリレート系光安定剤、シュウ酸アニリド系光安定剤等を挙げることができる。またこのようなカップリング剤としては、具体的にはフッ素系のシランカップリング剤として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、エポキシ変性シランカップリング剤として信越化学工業株式会社製カップリング剤(商品名:KBM−403)、オキセタン変性シランカップリング剤として東亞合成株式会社製カップリング剤(商品名:TESOX)、あるいは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムラクテート、チタニウムラクテートアンモニウム塩、テトラステアリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、イソプロピルトリオクタイノルチタネート、イソプロピルジメタクリイソステアロイルチタネート、チタニウムラクテートエチルエステル、オクチレングリコールチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、トリイソステアリルイソプロピルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタン系カップリング剤を挙げることができる。これらの化合物は、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0068】
上述のチタン系カップリング剤及び/又はシランカップリング剤を、電池集電体コート用導電性組成物に配合することにより、導電性組成物中に含まれる水素結合性官能基と反応させ更に架橋密度を向上させる事ができ、活物質を構成する元素と集電体を構成する元素の相互置換反応を更に抑制できる。
【0069】
導電性組成物が液体の場合は、ぬれを調節するために、各種界面活性剤を含有することができる。このような界面活性剤としては、アニオン界面活性剤として、石ケン、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、メチルタウリン酸塩等が挙げられ、両性界面活性剤としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルキルベタイン、スルホベタイン、アミオキサイド等が挙げられ、非イオン(ノニオン)型界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルエーテル型化合物、ポリオキシソルビタンエステル等のエステル型化合物、アルキルフェノール型化合物、フッ素型化合物、シリコーン型化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0070】
導電性組成物は、機械的強度や熱的特性を向上させるために、必要に応じて、各種のフィラーを必要な導電性を損なわない範囲で配合することができる。絶縁性フィラーとしてはアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物の粉末や、コロイダルシリカやチタニアゾル、アルミナゾル等のゾル、タルク、カオリナイト、スメクタイト等の粘土鉱物、炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の窒化物、窒化ホウ素、ホウ化チタン、酸化ホウ素等のホウ化物、ムライト等の複合酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物等、導電性組成物の誘電率を上げる事が出来るチタン酸バリウム等が挙げられる。
【0071】
発泡性物質は、導電性組成物が発泡によって絶縁性、すなわち少なくとも発泡前よりも電気的な抵抗が大きい状態、もしくは使用条件において実質的に電流が流れない状態になるために必要な量を添加する。この量は、導電性材料の種類、粒径、形状等、発泡性物質の種類、粒径、形状等、発泡温度、発泡温度までの昇温速度、発泡温度での保持時間、発泡環境の気圧、発泡環境中の水分量等で異なり、特に導電性粒子の種類、発泡性物質の種類、発泡温度によって異なるが、電気的な抵抗値の変化は発泡前後の抵抗値を測定することで簡単に求めることができる。
【0072】
一例として、導電性材料に銀粉、発泡性物質に所定の温度で化学的に分解して気化する物質(例えば、炭酸水素ナトリウム)、絶縁体に合成樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を使用する場合には、導電性材料1重量部に対して好ましくは発泡性物質が0.1〜0.8重量部、より好ましくは0.16〜0.24重量部である。次の例として、導電性材料に銀粉、発泡性物質に所定の温度以上で軟化する軟化性物質で所定の温度で化学的に分解して気化する物質を被覆しているもの(例えば、日本フィライト株式会社、商品名:EXPANCEL)、絶縁体に合成樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を使用する場合には、導電性材料1重量部に対して、好ましくは発泡性物質が0.3〜0.5重量部、より好ましくは0.36〜0.44重量部である。他の例としては、導電性材料に銀粉、発泡性物質に所定の温度以上で軟化する軟化性物質で所定の温度で化学的に分解して気化する物質を軟化性物質で被覆しているもの(例えば、日本フィライト株式会社、商品名:EXPANCEL)を導電性材料(例えば、ニッケル−リンめっき)でさらに被覆したもの、絶縁体に合成樹脂(エポキシ樹脂)を使用する場合には、導電性材料1重量部に対して、好ましくは発泡性物質が0.4〜1.6重量部、より好ましくは0.4〜0.6重量部である。上述の例において、合成樹脂の添加量は0.1〜0.2重量部であることが好ましい。
【0073】
本発明の導電性組成物は、上記成分を混合し撹拌することによって溶液又は懸濁液等として得ることができる。撹拌は、プロペラ式ミキサー、プラネタリーミキサー、ハイブリッドミキサー、ニーダー、乳化用ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等の各種撹拌装置を適宜選択して行うことができる。また、必要に応じて加熱又は冷却しながら撹拌することもできる。
【0074】
次に、本発明の導電性組成物の応用、用途について説明する。
【0075】
本発明の導電性組成物を用いて電気回路、及びこの電気回路を含む電子装置を作製することができる。これらの電気回路や電子装置は、所定の温度以上になると発泡性物質が発泡することで導電性組成物が絶縁性になり、電流を安全に遮断することができる。また、この導電性組成物のうち、固化可能な流動性を有するタイプは、自由な形状の固化物を提供することができるため電気回路や電子装置を簡便に形成することができる。さらに、導電性組成物が接着性を有する場合には、導通接続と安全機構の組み込みを一括で行うことができる。電気回路の例としては、インダクタ、コンデンサー、スイッチ等の電気的な素子が配線や電極によって電気的に接続されたもの等が挙げられ、本発明の導電性組成物はその構成材料や導通接続用の配線や電極、導電接着剤として用いることができる。また、電気回路を含む電子装置および電子装置を搭載した製品の例としては、冷蔵庫、電子レンジ、扇風機、洗濯機、エアコン、掃除機、テレビ、パソコン、および車、電車、航空機、宇宙船等が挙げられる。
【0076】
この電気回路を形成した導電性組成物や電気回路を、発泡性物質の発泡する温度未満で柔軟な弾性体で覆うことにより、発泡によって破断した導電性組成物が電気回路から脱落することを防ぎ、電子装置内に導電性の破片が入り込みショート等の事故が発生しないようにすることができる。
【0077】
本発明の導電性組成物で集電体や電極を被覆することにより、所定の温度で電流を遮断する集電体や電極を作製することができる。すなわち、導電性組成物で被覆した集電体や電極の全面に対し、異常発熱を起こしている部分の電流を遮断する安全機構を簡便に設置することができる。
【0078】
この集電体や電極により、異常発熱時に電流を遮断する電気二重層キャパシタ等のキャパシタ、Liイオン電池、Liイオンポリマー電池等の二次電池を始めとする電池等の電子装置を作製することができる。
【0079】
電池やキャパシタにおいては、電極面積がその電気的な容量及び/又は効率を決めるため、一般に電極面積が広くなるように作製される。よって、電極全面に安全装置を簡便に設置できる本発明を好ましく適用することができる。また、本発明は発泡によって電流の流れを遮断するため、電極間に導電性の異物が入ることによってショートが発生した場合でも、異物を発泡による膨張で押し上げることでショートを解消できる。
【0080】
本発明の導電性組成物で被覆した二次電池の電極は、充放電の際に電極のどの部位で異常発熱が起きても安全に電流の流れを遮断することができる。
【0081】
本発明の接着性を有する導電性組成物を用いて、導電性材料を格子状に導通接続して作製した部材は、所定の温度以上になると導通接続部が破断して絶縁になることにより電流を安全に遮断することができる。シート状に形成したり立体を覆うように導電性材料を形成したりすることで、広い範囲に対しても簡便かつ安価に安全機構を組み込むことができる。
【0082】
本発明の接着性を有する導電性組成物を用いて組み立てた部材は、解体する必要が生じたとき導電性組成物に通電することでジュール熱を発生させ発泡性物質を発泡させることができ、容易に導電性組成物の部位から部材を解体することができる。さらに、部材全体を加熱せずに済むため、熱に弱い材料を含んでいる部材に対しても適応でき、また局所的に加熱するためエネルギー効率も高い。また、本発明の電池集電体コート用導電性組成物でコートされた集電体が組み込まれた電池の例として、マンガン乾電池、酸化銀電池、水銀電池、リチウム電池等の一次電池、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・亜鉛蓄電池等の二次電池、色素増感型太陽電池、電気二重層型コンデンサー、燃料電池等が挙げら、電気的な特性を向上させることができる。
【0083】
以下に模式図等の図や表を用いて、本発明の導電性組成物、及び、この導電性組成物を用いた電子装置に係る実施形態の例を説明するが、本願発明は以下の例に限定されるものではない。
【0084】
本発明の導電性組成物の第1の実施態様は、導電性組成物を任意の形状に固化することで、電子装置を構成する部材を簡便に形成することである。この電子装置が異常発熱した際、導電性組成物が絶縁体になることで導電性組成物を通じて電子装置に流れる電流を安全に遮断できる。
【0085】
以上の手法により導電性組成物中で発泡性物質を発泡させることで、図1の模式図で示したように電流を安全に遮断することができる。
【0086】
ここで、図1は導電性材料1中に発泡性物質2が含有された導電性組成物を模式的に示した例で、(a)は発泡前、(b)は異常発熱による発泡後を示す。
【0087】
図1(a)で示す様に、発泡前の導電性材料は一体となっており、左右に通電可能な状態になっているが、図1(b)で示すように、発泡後の導電性材料は発泡性材料の発泡3により左右方向が破断しており、電流が遮断された状態になる。
【0088】
次に、図2は発泡温度以下で柔軟な物質中に発泡性物質が含有された導電性組成物を模式的に示す例で、(a)は発泡性物質単体が発泡した様子(左図)と、この後温度が下がりさらに外部から矢印方向の応力が掛かったときの様子(右図)、(b)は発泡温度以下で柔軟な軟化性物質で被覆された発泡性物質が発泡した様子(左図)と、この後温度が下がりさらに外部から矢印方向の応力が掛かったときの様子(右図)を示した例である。
【0089】
図2(a)に示す様に、発泡の結果破断した導電性材料の破断部が空隙3である場合、外部応力4が掛かると破断面5が互いに接触し導電性が復活する。一方、図2(b)で示すように、発泡の結果発生した導電性材料の破断部に冷えて固まった軟化性物質の殻6が存在する場合、外部応力が掛かっても容易には導電性は復活せず、さらに軟化性物質が軟化温度以下で弾性体の場合軟化性物質の殻6が応力を緩和しながら電気的な接触を防ぐこともできる。
【0090】
本発明の導電性組成物の次の実施態様は、導電性組成物が導電性粒子と流動性がある固化可能な絶縁性材料を含有し、この絶縁性材料が固化する前からあるいは固化した後に導電性を有する粒子同士が接触することによって導電性を付与していることを特徴とする。この場合には、発泡性物質が発泡することでこの導電性を有する粒子同士の接触を妨げ、導電性組成物を絶縁性に変えることができる。
【0091】
ここで、図3は導電性を有する粒子7同士が接触することによって導電性が付与された絶縁体8中に発泡性物質2が複合された複合材料の模式図(左図)であり、発泡によって導電性を有する粒子同士の接触が妨げられる様子(右図)を示した例である。
【0092】
図3に示す様に、発泡により導電性を有する粒子の接触が妨げられ隙間9が空くことで、導電性組成物を絶縁性に変えることができる。導電性を有する粒子同士の接触を妨げることで絶縁体に変えることができるため、導電性組成物全体を破断する必要が無く、発泡性物質の添加量を少なくすることもできる。
【0093】
次に、図4は、電場もしくは磁場又はその両方で配向する扁平な形状の導電性を有する粒子10と発泡性物質2と絶縁性材料8を含む導電性組成物中において、粒子10同士が配向することによって互いに接触し、導電性が付与された導電性組成物の模式図(左図)であり、発泡によって導電性を有する粒子同士の配向が乱される様子(右図)を示す例である。
【0094】
図4に示す様に、発泡の結果、配向接触した導電性を有する粒子の配向が乱れ、接触が妨げられ、隙間が空くことで導電性組成物を絶縁性に変えることができる。すなわち、導電性粒子の配向を乱し、さらに発泡によって空隙を発生させることによってより導電性組成物を確実に絶縁体に変えることができる。
【0095】
ここで、本発明でいう磁場(磁界)H(単位はAT/m=アンペア-ターン/メートル)とは、電荷が動くことによって生じる渦状の場を指し、電荷の動きに力を及ぼす。磁場の強さは磁束密度B(単位はT=テスラ)で表され、磁界と垂直な面積S(m2)を貫く磁力線の数Φ(単位はWb=ウェーバー)を面積で割ったものである。
【0096】
[式2]
式2 B=Φ/S (Wb/m2=T)
【0097】
このような磁場は、電磁石のように電流を流すことで発生させたり、永久磁石のように物質が持つ電子スピンの磁気モーメントの方向を揃えることで発生させたりすることができる。また、磁束密度Bと磁場Hは、真空中では以下の関係式で表せる。
【0098】
[式3]
式3 B=μ0
【0099】
ここで、μ0は真空の透磁率で、有理単位で4π×10−7(ヘンリー/メートル=H/m)、非有理単位で1(無名数)であり、磁束密度Bと磁場強度Hを結びつける係数である。また、磁場中に物質を置いた際の磁束密度Bと磁場の強さHとの比μをμ0で割ったものを透磁率K(ヘンリー/メートル=H/m)という。
【0100】
[式4]
式4 K=μ/μ0
【0101】
磁場による物質の相互作用の強さは磁化率χで示され、その絶対値が大きい方がより強く物質に磁場が誘起され、誘起した磁場と強い磁気的相互作用を起こす。そして、上述した透磁率Kとは非有理単位で以下の関係式が成り立つ。
【0102】
[式5]
式5 K=1+χ
【0103】
以下の説明においては、特に断りが無い限り、磁化率χは非有理単位で示す。次に、代表的な物質の磁気異方性を表1に示す。ここで例示したのは、結晶構造に由来する磁気異方性であるが、高分子を延伸して得られた繊維や、磁化率の違う材料を組み合わせた材料等、人工的に磁気異方性を持たせた物質や形状異方性を有する材料に対しても適切な磁場を印加することで配向させることができる。
【0104】
【表1】

【0105】
磁場と物質との相互作用は、磁場の強さと磁化率χの絶対値で決まり、磁場が強く磁化率χの絶対値が大きい軸が磁場に対して平行に配向しようとする力が強くなる。実際にどの方向に向くか(磁化容易軸)は結晶の3軸の磁気異方性の釣り合いで決定される。
【0106】
また、磁気異方性とは、外部磁場によって励起される磁化に対して物質内で異方性を有することをさし、磁場内では磁気的相互作用によりトルクを発生し、より安定な方向に回転する。分子構造に異方性を有する物質は、磁気的にも異方性を持ち、例えば延伸して作った繊維は分子鎖が延伸方向に並んでいるため、繊維方向(//)とそれに垂直な方向(⊥)では磁化率が異なる。繊維が反磁性を示す場合は、その差を反磁性異方性磁化率(χa)と呼び、任意の軸に対する磁化率の差で表す。
【0107】
[式6]
χa=χ//−χ⊥
【0108】
このような磁気異方性を持つ反磁性物質を強度Bの磁場中に置くと、物質は磁気エネルギーEを獲得する。
【0109】
【数1】

【0110】
ここでμは真空の透磁率、Vは物体の体積、θは磁場と繊維軸方向のなす角度、Bは外部磁場強度である。
【0111】
χa>0の場合には、繊維軸方向が磁場と平行になったほうが磁気エネルギーは小さくなり安定である。その結果、磁場に平行に配向する。
【0112】
このように一軸配向する繊維については、以上のように記述することができる。一方、磁気異方性が三軸で異なる物質は、配向の方向が空間的に決まる。この場合、三軸の磁気異方性の数値から外場に対してどの方向に物質が配向するかが決まる。
【0113】
また、外部磁場が大きいとき、体積が大きいとき、より強く磁気的エネルギーを受けることが式からわかる。
【0114】
磁気異方性を有する物質には、物質内の電子状態に異方性を有するものがある。上述したような繊維の場合、延伸した方向に分子が並ぶことで、結合を通じた電子の流れに異方性が生じる。また、結晶構造に異方性を有する物質も磁場内で配向する。一方、磁気的な異方性が無い場合も物質の形状に異方性を有する場合は配向する。
【0115】
また、粘土や、グラファイト等の層状化合物も磁気異方性が大きい物質として例示でき、適切な磁場を印加することで任意の方向に結晶を向けることができる。
【0116】
このような物質に磁場を印加すると磁気的に安定な方向に配向するが、例えば一軸回転する磁場を磁気異方性を有する材料に印加した場合、回転軸に対して物質の磁化困難軸が磁場の回転軸に平行に配向する。また、このように、磁気異方性を有する物質に印加する磁場は前記回転磁場を含め、時間的に磁場の印加方向や強度が変動する磁場を印可することも可能である。
【0117】
以上,磁場中における磁気異方性を有する物質の挙動について述べたが、電場中の誘電率異方性を有する物質の挙動も同等の原理で説明できる。
【0118】
このような磁場配向を行う物質の内、絶縁性の物質に付いてはその表面に導電性の物質をその磁気的な異方性が失われない程度にコーティングしたり導電性材料を複合したりすることができる。
【0119】
流動性のある物質中で、磁気及び/又は誘電率の異方性を有する物質を磁場及び電場の一方又は両方で配向させる場合、熱エネルギーに由来するランダムな回転運動や、粘性抵抗に打ち勝つ必要がある。磁気及び/又は誘電率の異方性が小さい物質を配向させるためには、強い磁場及び/又は電場を用いるのが有利であり、粘度の低い流体を用いることによりプロセスを短時間で終わらせることもできる。
【0120】
また、磁気及び/又は誘電率の異方性を有する物質が沈降しないように、比重を調整した流動性のある物質中で磁場及び電場の一方又は両方を用いて配向させることが好ましい。
【0121】
また、上述のような磁気異方性が無い導電性材料でも、誘導磁場を用いて配向させることができる。例えば、ほとんどの金属は立方晶で磁気異方性が無いため、通常の静磁場で磁場配向させることはできない。一方、時間変動磁場を用いることによって、このような磁気異方性が無い導電性材料を磁場配向させることができる。ここで言う「時間変動磁場」とは、導電性材料を貫く磁束の量が時間変化する磁場のことを意味する。さらに詳細に説明すると、時間変動磁場を導電性材料に印加することによって、導電性材料中に誘導電流が発生し、誘導電流は磁束の変化を打ち消す方向に誘導磁場を発生させる。このとき、発生した誘導磁場と時間変動磁場間で磁気的相互作用が起き、導電性物質は磁束の変化が少なくなる方向に移動又は回転する。誘導磁場を用いた配向を用いれば、磁気異方性を持たない材料であっても導電性が有れば配向させることができる。例えば、ロッド形状の金属粒子に一軸回転磁場を印加した場合、ロッドの長軸と回転磁場の軸とが平行になるように並ぶ。ディスク形状の金属粒子に一軸回転磁場を印加した場合、ディスクの法線と回転磁場の軸とが平行になるように並ぶ。このような誘導磁場を用いた配向は、磁気異方性が無い立方晶の金属に対しても利用できるため適応の範囲が広く、電子装置の特性に合った材料を選択できる機会が増える。
【0122】
磁気異方性が無い導電性材料を配向させるその他の方法として、磁気異方性の無い導電性材料に異方性を有する物質を配向付着させる方法を用いることができる。この場合、配向付着した異方性を有する物質の異方性によって磁気異方性の無い導電性材料を間接的に磁場配向させることができる。例えば、界面活性剤がその分子間力によって配向付着した扁平な形状の磁気異方性が無い金属粒子は、界面活性剤の磁気異方性によって静磁場でも配向させることができる。光硬化性樹脂を流動性を有する絶縁体として用いた場合、このように導電性材料を配向させることで、配向させた方向に対する光硬化性を向上させることもできる。
【0123】
次に、本発明の導電性組成物の応用例の態様を説明する。図5(a)は、接着性を有する導電性組成物層11でデバイス12を配線13に導通接続して電子装置を組み立てた場合の模式図であり、図5(b)は、安全装置15を通常の導電性接着剤16を用いて別途電子装置に組み込んだ場合の従来例の模式図である。
【0124】
図5(b)に示す様に、別途安全装置15を組み込む場合、安全装置や安全装置を組み込むスペース、組み込む工程が必要になる。図5(a)の様に、本発明の接着性を有する導電性組成物を用いることで導通接続と安全機構の組み込みを同時に達成することができ、デバイス12が異常発熱した場合、接着性を有する導電性組成物層11が絶縁性に変わることによってデバイスへの電気の流れを安全に遮断することができる。
【0125】
次に、本発明の導電性組成物で被覆された電極を有するリチウムイオン二次電池の実施態様について説明する。導電性組成物で被覆された電極は、充放電の際に電極のどの部位で異常発熱が起きても安全に電流の流れを遮断することができるため、エネルギー密度が高く発熱の危険性が高いリチウムイオン二次電池に特に好ましく利用することができる。
【0126】
ここで、図6は陽極の集電体17表面に接着性を有する導電性組成物層11と、活物質とバインダーの混合物からなる活物質層18を塗布した模式図を示しており、陽極の集電体17及び活物質層18と陰極の集電体19及びグラファイト層20の間でセパレーター22を突き破って導電性の異物21が存在しショートしている場合を示している(左図)。
【0127】
図6に示す様に、導電性の異物21がセパレーター22を突き破ってショートし異常発熱が起きると、発熱部位の導電性組成物層11中の発泡性物質が発泡し、異常発熱が収まる範囲まで発熱部位の異物と陽極集電体17を、絶縁性である発泡後の導電性組成物層23が押し上げ、ショート及びショートに伴う異常発熱を解消することができる(右図)。さらに、陽極側の活物質層18と集電体17の間に導電性組成物層11を緩衝帯として設けることによって、集電体17の原子とリチウム原子との相互マイグレーションによる劣化を防ぎ空洞の発生による密着性の低下及び/又は電気特性の低下を防ぐこともできる。
このような発泡剤は、活物質層に配合することも可能であり、導電性の観点からは導電性の発泡剤を用いることが好ましく、絶縁性の発泡剤に付いてはセパレーターに複合することも可能である。また、以上の例のように異常発熱部位が局所的な場合、異常部分だけを絶縁性にし、他の電極表面の電池特性をそのまま残すこともできる。
【0128】
次に、本発明の導電性組成物で作製した電子回路の実施態様について説明する。図7はフィルム24上に形成した配線17および25を、接着性を有する導電性組成物で導通接続した場合の断面模式図(a)と上面模式図(b)を示している。図7(b)に示すように、この電子回路は、格子状に接着性の導電性組成物層11を形成して配線17と25を導通接続しており、所定の温度以上になると導通接続部が破断して絶縁性になることにより電流を安全に遮断することができる。
【0129】
図7(b)の様に、一筆書きで直列回路を形成することによって、広い範囲の中の一部の異常発熱であっても、電流を遮断することが可能な安全装置を簡便に作製することができる。
【0130】
上記のように、本発明の導電性組成物を用いる部材の第一の機能は導電性であり、配線や接合部等電気を流すところに用いることができる。第二の機能は発泡性であり、発泡に伴う膨張で導電性組成物が破断され絶縁体に変わり電気の流れを止めることができる。さらに、第三の機能として固化可能な流動性を有する導電性組成物を用いることで、所望の形状に導電性組成物を簡便に形成することができ、さらに接着性を有するものは導通接続と安全装置の組み込みを同時に達成することもできる。このように、本発明の導電性組成物を用いて作製した導電性の部材は所定の温度に達すると絶縁性に変わる特性を有するため、異常発熱時に電気の流れを安全に遮断する安全装置として電子装置に利用できる。
【0131】
以下に、実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。添加量の表示は、断りのない限り重量部である。
【実施例1】
【0132】
(化学的に分解して気化する発泡性物質を含む接着性導電性組成物)
実施例1では、化学的に分解して気化する発泡性物質を含む接着性導電性組成物を用いて、所定の温度以上になると電流が遮断される電子装置を製造した。
【0133】
(化学的に分解して気化する発泡性物質を含む接着性導電性組成物の製造)
大日本インキ化学工業株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名:エピクロン850)50部、ダイセル化学工業株式会社製脂環型エポキシ樹脂(製品名:セロキサイド2021P)10部、三新化学工業株式会社製光熱カチオン開始剤(製品名:サンエイドSI-100L)5部、信越化学工業株式会社製エポキシ変性シランカップリング剤(製品名:KBM−403)5部、福田金属箔粉工業株式会社製銀粉(製品名:AgC−A)500部、発泡性物質(炭酸水素ナトリウム微粉末)100部を冷却ジャケットつきプラネタリーミキサーに入れ均一な液体になるまで攪拌し、化学的に分解して気化する発泡性物質を含む接着性導電性組成物を得た。この際、撹拌時に発生する熱で塗布液が反応を起こさないように、液温が25℃を超えない範囲で冷却しながら攪拌した。
【0134】
(電子装置の製造)
銅の電極上に上記導電性組成物を塗布し、その上からテスト用のシリコンチップ(10×10×0.3mm)を押し付け、100℃×1時間加熱硬化した。テスターを用いて銅電極とシリコンチップの導通を確認したところ、導通を確認することができた。
【0135】
(高温環境試験)
上述の銅電極に導通接着したシリコンチップを150℃×10分間加熱したところ、固化形成後の導電組成物中の発泡性物質が発泡して、シリコンチップが浮いている様子が確認できた。テスターを用いて銅電極とシリコンチップの導通を確認したところ、導通は確認できなかった。
【0136】
(押し付け試験)
上述の導通が確認できなかったシリコンチップを荷重1kgで銅電極側に押し当てた状態で、テスターを用いて銅電極との導通を確認したところ、導通を確認することができた。
【実施例2】
【0137】
(軟化する物質で被覆した発泡性物質を含有する接着性導電性組成物)
実施例2では、軟化する物質で被覆した発泡性物質を含有する接着性導電性組成物を用いて、所定の温度以上になると電流が遮断される電子装置を製造した。
【0138】
(軟化する物質で被覆した発泡性物質を含む接着性導電性組成物の製造)
大日本インキ化学工業株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名:エピクロン850)50部、ダイセル化学工業株式会社製脂環型エポキシ樹脂(製品名:セロキサイド2021P)10部、三新化学工業株式会社製光熱カチオン開始剤(製品名:サンエイドSI-100L)5部、信越化学工業株式会社製エポキシ変性シランカップリング剤(製品名:KBM−403)5部、福田金属箔粉工業株式会社製銀粉(製品名:AgC−A)510部、日本フィライト株式会社製発泡性物質(製品名:EXPANCEL920DU40)180部を冷却ジャケットつきプラネタリーミキサーに入れ、均一な液体になるまで攪拌し、軟化する物質で被覆した発泡性物質を含有する接着性導電性組成物を得た。この際、攪拌時に発生する熱で塗布液が反応を起こさないように、液温が25℃を超えない範囲で冷却しながら攪拌した。
【0139】
(電子装置の製造)
銅の電極上に上記導電性組成物を塗布し、その上からテスト用のシリコンチップ(10×10×0.3mm)を押し付け、100℃×1時間加熱硬化した。テスターを用いて銅電極とシリコンチップの導通を確認したところ、導通を確認することができた。
【0140】
(高温環境試験)
上述の銅電極に導通接着したシリコンチップを150℃×10分間加熱したところ、固化形成後の導電組成物中の発泡性物質が発泡して、シリコンチップが浮いている様子が確認できた。テスターを用いて銅電極とシリコンチップの導通を確認したところ、導通は確認できなかった。
【0141】
(押し付け試験)
上述の導通が確認できなかったシリコンチップを荷重1kgで銅電極側に押し当てた状態で、テスターを用いて銅電極との導通を確認したところ、導通を確認することができなかった。
【実施例3】
【0142】
(銀めっきした発泡性物質を含む接着性導電性組成物)
実施例3では、軟化する物質で被覆した発泡性物質を銀めっきした複合体を含む接着性導電性組成物を用いて、所定の温度以上になると電流が遮断される電子装置を製造した。
【0143】
(銀めっきした発泡性物質を含む導電性組成物の製造)
大日本インキ化学工業株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名:エピクロン850)50部、ダイセル化学工業株式会社製脂環型エポキシ樹脂(製品名:セロキサイド2021P)10部、三新化学工業株式会社製光熱カチオン開始剤(製品名:サンエイドSI-100L)5部、信越化学工業株式会社製エポキシ変性シランカップリング剤(製品名:KBM−403)5部、福田金属箔粉工業株式会社製銀粉(製品名:AgC−A)500部、銀めっきした日本フィライト株式会社製発泡性物質(製品名:EXPANCEL920DU40に銀を無電解めっきしたもの)250部を冷却ジャケットつきプラネタリーミキサーに入れ、均一な液体になるまで攪拌し、銀めっきした発泡性物質を含む接着性導電性組成物を得た。この際、攪拌時に発生する熱で塗布液が反応を起こさないように液温が25℃を超えない範囲で冷却しながら攪拌した。
【0144】
(電子装置の製造)
銅の電極上に上記導電性組成物を塗布し、その上からテスト用のシリコンチップを押し付け、100℃×1時間加熱硬化した。テスターを用いて銅電極とシリコンチップの導通を確認したところ、導通を確認することができた。
【0145】
(高温環境試験)
上述の銅電極に導通接着したシリコンチップを150℃×10分間加熱したところ、固化形成後の導電性組成物中の発泡性物質が発泡してシリコンチップが浮いている様子が確認できた。テスターを用いて銅電極とシリコンチップの導通を確認したところ、導通は確認できなかった。
【0146】
(押し付け試験)
上述の導通が確認できなかったシリコンチップを荷重1kgで銅電極側に押し当てた状態でテスターを用いて銅電極との導通を確認したところ、導通は確認できなかった。
【実施例4】
【0147】
(導電性材料がはんだである導電性組成物)
実施例4では、導電性材料がはんだである導電性組成物を用いて、任意の温度以上になると電気の流れが遮断される電子装置を製造した。
【0148】
(導電性材料がはんだである導電性組成物の製造)
粒子径50μmのSn−Bi−In系の融点80℃のはんだ粒子50部とニッケル-リンめっきした日本フィライト株式会社製発泡性物質(製品名:EXPANCEL920DU40にニッケル-リンを無電解めっきしたもの)20部を溶媒(NMP)30部に分散させ、導電性材料がはんだである導電性組成物を作製した。
【0149】
(電子装置の製造)
銅の電極上に上記導電性組成物を塗布し、その上からテスト用のシリコンチップを押し付けた状態で90℃×10分加熱して、はんだ粒子を溶かした後、冷却固化させた。テスターを用いて銅電極とシリコンチップの導通を確認したところ、導通を確認することができた。
【0150】
(高温環境試験)
上述の銅電極に導通接着したシリコンチップを150℃×10分間加熱したところ、導電性組成物中の発泡性物質が発泡し、さらに比重が軽くなった発泡性物質がはんだから分離することでシリコンチップが浮いている様子が確認できた。テスターを用いて銅電極とシリコンチップの導通を確認したところ、導通は確認できなかった。
【0151】
(押し付け試験)
上述の導通が確認できなかったシリコンチップを荷重1kgで銅電極側に押し当てた状態でテスターを用いて銅電極との導通を確認したところ、導通は確認できなかった。
【実施例5】
【0152】
(リチウムイオン電池への適用)
実施例5では、導電性組成物で被覆された電極を用いて、所定の温度以上になると電流が遮断されるリチウムイオン電池を製造した。使用した製造方法を、リチウムイオン電池の断面図である図8(a)〜図8(d)に示す。
【0153】
ここで、図8(a)に示す電極は、厚さ20μmの銅箔19にグラファイト粒子を65%分散させたポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと記す。)を厚さ50μmで形成して作製した陰極で、陽極で発生したリチウムイオンをグラファイト層間に挿入することで、リチウムイオンを受け取ることができる。
【0154】
図8(b)に示す電極は、厚さ30μmのアルミニウム箔17上に、カーボンブラック50部とニッケル-リンをめっきした発泡性物質30部をPVDF40部に混合して作製した接着性を有する導電性組成物層11(厚さ5μm)で、その上にコバルト酸リチウム85部とカーボンブラック5部をPVDF10部に複合して作製した活物質層18(厚さ50μm)が形成されている。
【0155】
図8(c)に示すリチウムイオン電池は、(a)と(b)の間に、5%六フッ化リン酸リチウムを含有するジメチルカーボネート溶液を含浸させたポリエチレンの多孔質フィルムを挟み込んだもので、上下方向に電場を印加することによってリチウムイオンが移動し、充放電を行うことができる。
【0156】
この状態で150℃×1分加熱すると、図8(d)で示したように、導電性組成物層11が発泡して絶縁体層23に変わると同時に、集電体17と活物質層18を分離することにより、集電体17から活物質層18への電流を遮断することができる。
図9は、導電性組成物層11の発泡によって、アルミニウム箔17と活物質層18が引き剥がされた様子を示す断面写真である。
【0157】
以上の様に、本発明の発泡性の導電性組成物を用いて電子装置を製造することによって、異常発熱時に電流を安全に遮断することができる。このような導電性組成物は流動性のある材料から形成することが可能であるため簡便に導電性の部材を作製でき、また導通接続をかねることで工程数を削減することもでき、電極に塗布することも可能であることから、昨今問題となっているリチウムイオン電池の異常発熱に対する安全装置として用いることも可能である。
【実施例6】
【0158】
(リチウムイオン電池への適応)
(電池集電体コート用導電性組成物の製造)
水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである硬化性の成分として、株式会社クラレ製の平均重合度500で、ケン化度が80%のポリビニルアルコール(製品名;クラレポバールPVA205:水素結合性官能基価=1.8×10-2 mol/g)30部、導電性材料として電気化学工業株式会社製導電性カーボンブラック(製品名;デンカブラック粒状品)50部、溶媒としてNMP500部を80℃でディスパミルを用いて120分間加熱攪拌した。室温に戻した後、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである硬化性の成分としてピロメリット酸(水素結合性官能基価=1.6×10-2 mol/g)20部を分散させたNMP400部を加え冷却しながらプラネタリーミキサーで10分攪拌し、更にビーズミルを用いてカーボンブラックの平均粒子径が300nm以下になるまで分散させた。
【0159】
(集電体のコート)
上述の導電性組成物をスピンコーターを用いてアルミニウム製の集電体に厚み300nm〜500nmになるようにコーティングし、230℃10秒で加熱硬化させた。
【0160】
(負極の作製)
厚み20μmの銅箔にPVDFのN−メチルピロリドン20%溶液100部にグラファイトを20部混合した混合液をN−メチルピロリドン乾燥後に膜厚が50μmになるように塗布形成し160℃2時間乾燥させ負極を作製した。
【0161】
(正極の作製)
先に作製した、導電性組成物でコーティングされたアルミニウム製の集電体に、PVDFのN−メチルピロリドン20%溶液100部にコバルト酸リチウム粒子(平均粒子径1μm)170部、導電性材料として電気化学工業株式会社製導電性カーボンブラック(製品名;デンカブラック粒状品)10部を均一に分散させた混合液をN−メチルピロリドン乾燥後に膜厚が50μmになるように塗布形成し160℃2時間乾燥させ正極を作製した。
【0162】
(電池の組み立て)
六フッ化リン酸リチウムのジメチルカーボネート5%溶液を含浸させた厚み100μmのセルロース製不織布(空孔率60%)を、前記方法で作製した負極と正極を4cm角にカットした電極で挟み込み、更にアルミラミネートパックを行い、電池セルを作製した。
【実施例7】
【0163】
(リチウムイオン電池への適応)
(電池集電体コート用導電性組成物の製造;架橋剤としてシランカップリング剤を更に添加)
水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである硬化性の成分として、株式会社クラレ製平均重合度500のポリビニルアルコール(製品名;クラレポバールPVA205)30部、信越化学工業株式会社製エポキシ変性シランカップリング剤(製品名:KBM−403:水素結合性官能基価=0mol/g)5部、導電性材料として電気化学工業株式会社製導電性カーボンブラック(製品名;デンカブラック粒状品)50部、溶媒としてNMP500部を80℃でディスパミルを用いて120分間加熱攪拌した。室温に戻した後、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである硬化性の成分としてピロメリット酸20部を分散させたNMP400部を加え冷却しながらプラネタリーミキサーで10分攪拌し、更にビーズミルを用いてカーボンブラックの平均粒子径が300nm以下になるまで分散させた。
【0164】
(集電体のコート)
上述の導電性組成物をスピンコーターを用いてアルミニウム製の集電体に厚み300nm〜500nmになるようにコーティングし、230℃10秒で加熱硬化させた。
【0165】
(負極の作製)
厚み20μmの銅箔にPVDFのN−メチルピロリドン20%溶液100部にグラファイトを20部混合した混合液をN−メチルピロリドン乾燥後に膜厚が50μmになるように塗布形成し160℃2時間乾燥させ負極を作製した。
【0166】
(正極の作製)
先に作製した、導電性組成物でコーティングされたアルミニウム製の集電体に、PVDFのN−メチルピロリドン20%溶液100部にコバルト酸リチウム粒子(平均粒子径1μm)170部、導電性材料として電気化学工業株式会社製導電性カーボンブラック(製品名;デンカブラック粒状品)10部を均一に分散させた混合液をN−メチルピロリドン乾燥後に膜厚が50μmになるように塗布形成し160℃2時間乾燥させ正極を作製した。
【0167】
(電池の組み立て)
六フッ化リン酸リチウムのジメチルカーボネート5%溶液を含浸させた厚み100μmのセルロース製不織布(空孔率60%)を、前記方法で作製した負極と正極を4cm角にカットした電極で挟み込み、更にアルミラミネートパックを行い、電池セルを作製した。
【実施例8】
【0168】
(リチウムイオン電池への適応)
(磁場を印加しながら集電体用コート剤を硬化)
集電体用コート剤の硬化中および負極、正極の活物質層の乾燥中にボア径1mの超伝導磁石を用いて1Tの静磁場を集電体の法線方向から印加した以外は、実施例7と同じ方法で、電池セルを作製した。
【0169】
[比較例1]
電池集電体に導電性のコートを形成せずに電極を作製した点以外は、実施例7と同じとした。
【0170】
[比較例2]
電池集電体コート用導電性組成物の製造は実施例7と同じとし、コート剤の膜厚を300nm〜500nmから3μmに変更した。
電池セル作製法は、実施例7と同じとした。
【0171】
[比較例3]
(電池集電体コート用導電性組成物の製造;水素結合性官能基価が1.0×10-2 mol/g以下の物質で作製)
大日本インキ化学工業株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名:エピクロン850:水素結合性官能基価=0 mol/g)50部、ダイセル化学工業株式会社製脂環型エポキシ樹脂(製品名:セロキサイド2021P:水素結合性官能基価=0 mol/g)10部、信越化学工業株式会社製エポキシ変性シランカップリング剤(製品名:KBM−403)5部、導電性材料として電気化学工業株式会社製導電性カーボンブラック(製品名;デンカブラック粒状品)70部、溶媒としてNMP500部を80℃でディスパミルを用いて120分間加熱攪拌した。室温に戻した後、三新化学工業株式会社製光熱カチオン開始剤(製品名:サンエイドSI-100L)5部を加え冷却しながらプラネタリーミキサーで10分攪拌し、更にビーズミルを用いてカーボンブラックの平均粒子径が300nm以下になるまで分散させた。この際、攪拌時に発生する熱で塗布液が反応を起こさないように、液温が25℃を超えない範囲で冷却しながら攪拌した。
電池集電体コート用導電性組成物の製造法以外は実施例7と同じとした。
【0172】
[電池特性比較試験]
実施例6、7と比較例1、2、3で作製した電池セルの充放電レート別の充放電容量とサイクル試験を行った。
【0173】
(内部抵抗値測定)
初期の1kHzでのインピーダンスを測定した。
【0174】
(充放電容量)
活物質1g当たりの充放電容量を充放電サイクル別に比較を行った。充放電サイクルは3V〜4.2Vの間で試験を行い、充放電レート(1時間に充放電する回数)0.5Cを100%とした時の充放電容量を1C、3C、10C、30Cで比較した。
【0175】
(サイクル試験)
充放電サイクルは3V〜4.2Vの間で試験を行い、0.5Cでの充放電容量が初期に比べて70%以下になった時点をサイクル寿命とした。
【表2】

【0176】
実施例6、7、8の導電性コート剤で保護した集電体を用いることで電池容量の向上とサイクル寿命の向上が確認できた。中でも、実施例7は、架橋剤が入っていない実施例6よりも長寿命であり、磁場配向させて作製した実施例8は内部抵抗値が低く更に超寿命になる事が明らかになった。
【0177】
同じ効果は、水素結合性官能基価が1.0×10-2 mol/g以下の物質で作製した導電コート剤(比較例3)でも確認できるが、寿命の向上効果は極めて低い。また、導電コート層の厚みは50〜500nmが適正でありそれよりも厚い比較例2では導電コート層を形成しない比較例1よりもかえって悪い結果になった。
【0178】
[電極断面観察]
上記サイクル試験において、100サイクル後の実施例6と比較例1と比較例2の正極の断面を収束イオンビームで作製し、TEMで観察とEELS(Electron Energy-Loss Spectroscopy))像観察を行った(図10)。
【0179】
図10(a)は、各電極の断面TEM像を示し、この像から、比較例1には導電コート層が無く、実施例6には約300nmの導電コート層が有り、比較例2には約3μmの導電コート層が形成されていることが解る。図10(b)は、(a)のTEM像とオーバーラップするようにEELS分析を行ったもので各電極のアルミニウム元素の分布状態を示しており、この像から、アンダーコート層が形成されていない比較例1において見られる活物質側へのアルミニウム元素の移動はアンダーコートが形成されている実施例1及び比較例2において見られない。図10(c)は(a)のTEM像とオーバーラップするようにEELS分析を行ったもので各電極のカーボン元素の分布状態を示しており、この像から、いずれの電極に置いてもカーボンの移動は見られない。図10(d)は、(a)のTEM像とオーバーラップするようにEELS分析を行ったもので各電極のリチウム元素の分布状態を示しており、この像から、アンダーコート層が形成されていない比較例1において見られるアルミニウム集電体側へのリチウム元素の移動や活物質層及び活物質へのアルミニウム元素の移動はアンダーコートが形成されている実施例1及び比較例2において見られない。
【0180】
以上TEM分析より導電アンダーコート層を設けることで、アルミニウムとリチウムの相互置換反応が防げる事が明らかになった。このような効果は、水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性がある電池集電体コート用導電性組成物であって、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上含むことを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物に対して特に顕著に見られる。
【0181】
また、導電層の厚みはあまり厚いと上記相互置換反応は防げるが、電池内部抵抗が高くなることで、逆に充放電特性を落とすことも明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】(a)は導電性物質中に発泡性の物質が複合された状態を示す図である。(b)は導電性物質中の発泡性の物質が発泡することで導電性物質が破断された状態を示す図である。
【図2】(a)は発泡の結果破断した導電性物質と、外部応力によって破断面が接触している状態を示す図である。(b)は発泡の結果膨らんだ軟化性物質と、固化した軟化性物質からなる殻によって外部応力による破断面の接触が妨げられている状態を示す図である。
【図3】導電性粒子と発泡性物質を複合した導電性組成物の発泡前後の様子を示す図である。
【図4】電場もしくは磁場もしくはその両方よって配向接触した導電性粒子と発泡性物質を含む導電性組成物と、発泡性物質が発泡し前記配向が乱された様子を示す図である。
【図5】(a)は発泡性導電性接着剤でデバイスを導通接続して組み立てた電子装置の模式図である。(b)は通常の導電性接着剤でデバイスと安全装置を導通接続して組み立てた電子装置の模式図である。
【図6】発泡性の導電性組成物を陽極の活物質層と集電体の間に形成したリチウムイオン二次電池の模式図である。
【図7】発泡性の導電性組成物で配線を導通接続して作製したシートの模式図である。
【図8】リチウムイオン電池の製造方法を示した模式図である。
【図9】加温試験後のリチウムイオン電池電極の断面写真である。
【図10】(a)は100サイクル充放電試験後の実施例6、比較例1及び2の正極の断面TEM像、(b)は100サイクル充放電試験後の実施例6、比較例1及び2の正極の断面のアルミニウムのEELS像で明るい部分はアルミニウム元素が多く存在する部分、(c)は100サイクル充放電試験後の実施例6、比較例1及び2の正極の断面のカーボンのEELS像で明るい部分はカーボン元素が多く存在する部分、(d)は100サイクル充放電試験後の実施例6、比較例1及び2の正極の断面のリチウムのEELS像で明るい部分がリチウム元素は多く存在する部分である。
【符号の説明】
【0183】
1 導電性物質
2 発泡性の物質
3 発泡性の物質が発泡することによってできた空隙
4 破断した導電性材料に掛かる外部応力
5 外部応力によって接触した破断面
6 発泡の結果膨らんだ軟化性物質からなる殻
7 導電性粒子
8 絶縁体
9 発泡性の物質が発泡することによってできた導電性粒子同士の接触が妨げられた部位
10 電場もしくは磁場もしくはその両方によって配向する扁平な形状の導電性粒子
11 接着性と発泡性を有する導電性組成物層
12 デバイス
13 電極、配線
14 基板
15 安全装置
16 通常の導電性接着剤
17 陽極の集電体
18 活物質層
19 陰極の集電体
20 グラファイト層
21 導電性の異物
22 セパレーター
23 発泡性物質が発泡することによってできた絶縁性の発泡層
24 第一の配線
25 第二の配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱により発泡する発泡性物質及び導電性材料を含む導電性組成物であって、所定の温度未満では導電性を付与するが、該所定の温度以上では前記発泡性物質が発泡することで絶縁性になることを特徴とする導電性組成物。
【請求項2】
固化形成可能で流動性があることを特徴とする、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記発泡性物質が難燃性の気体を発生することを特徴とする、請求項1又は2記載の導電性組成物。
【請求項4】
前記発泡性物質が、所定の温度以上で軟化する軟化性物質で被覆されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項5】
導電性材料で被覆された発泡性物質を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項6】
水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質と導電性材料とを含み、固化形成可能で流動性がある電池集電体コート用導電性組成物であって、固化形成後の導電性材料を除く固形物中に水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質を50重量%以上含むことを特徴とする電池集電体コート用導電性組成物。
【請求項7】
前記水素結合性官能基価が1.0〜5.0×10-2 mol/gである物質が、平均重合度500以上の変性ポリビニルアルコールとポリカルボン酸の混合物であることを特徴とする、請求項6記載の電池集電体コート用導電性組成物。
【請求項8】
さらに、架橋剤としてチタン系カップリング剤及び/又はシランカップリング剤を含むことを特徴とする、請求項6又は7記載の電池集電体コート用導電性組成物。
【請求項9】
熱により発泡する発泡性物質をさらに含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項記載の電池集電体コート用導電性組成物。
【請求項10】
前記発泡性物質が難燃性の気体を発生することを特徴とする、請求項9記載の電池集電体コート用導電性組成物。
【請求項11】
前記発泡性物質が、所定の温度以上で軟化する軟化性物質で被覆されていることを特徴とする、請求項9又は10記載の電池集電体コート用導電性組成物。
【請求項12】
導電性材料で被覆された発泡性物質を含むことを特徴とする、請求項9又は10記載の電池集電体コート用導電性組成物。
【請求項13】
電場あるいは磁場あるいはその両方によって配向可能な扁平な形状の導電性粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項14】
請求項6〜13のいずれか1項記載の導電性組成物を集電体にコーティングすることを含む電池活物質を構成する元素と集電体を構成する元素の相互置換反応を抑制する方法。
【請求項15】
請求項6〜13のいずれか1項記載の導電性組成物を集電体表面に厚み50nm〜500nmで塗布形成した電池用集電体。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか1項記載の導電性組成物を含む電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−146726(P2010−146726A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304449(P2008−304449)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000162434)協立化学産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】