導電脚体付きチップ形積層コンデンサ及びその製造方法並びにチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体
【課題】チップ形積層コンデンサの外部電極に対して、導電脚体を強固かつ三次元的固定位置が揃うように固定して、電子基板に実装されるときの品質精度を向上させる。
【解決手段】まず、金属板Mに舌片部11を2列、それらの自由端部12が互いに相対峙するように切欠き形成して、自由端部に係止部がある第一前駆体10を形成した後、前記舌片部の途中を折り曲げて自由端側が金属板から起立した形状の導電前駆脚体21を有する第二前駆体10を作る。次に一対の導電前駆脚体の間にチップ形積層コンデンサ50を挟持させ、接合手段によりチップ形積層コンデンサと導電脚体とを接合した後、前記舌片部の切欠き形成時に残ったフレーム部Fと導電前駆脚体とを分離すると、側面形状がL字形をなす導電脚体4が外部電極に固着した導電脚体付き積層コンデンサが得られる。
【解決手段】まず、金属板Mに舌片部11を2列、それらの自由端部12が互いに相対峙するように切欠き形成して、自由端部に係止部がある第一前駆体10を形成した後、前記舌片部の途中を折り曲げて自由端側が金属板から起立した形状の導電前駆脚体21を有する第二前駆体10を作る。次に一対の導電前駆脚体の間にチップ形積層コンデンサ50を挟持させ、接合手段によりチップ形積層コンデンサと導電脚体とを接合した後、前記舌片部の切欠き形成時に残ったフレーム部Fと導電前駆脚体とを分離すると、側面形状がL字形をなす導電脚体4が外部電極に固着した導電脚体付き積層コンデンサが得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電脚体付きチップ形積層コンデンサ及びその製造方法並びにチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図22に示すように、従来からチップ形積層コンデンサ1の両端部に存在する外部電極2、3に対して、側面が一対のL字形導電脚体4の垂直部41をそれらの水平部42が外向きになるように取り付けてなるチップ形積層コンデンサは公知である(特開2000−235932号公報の図5)。
【0003】
この形状・構造のチップ形積層コンデンサ1を、前記水平部42を介して、電子基板(図示なし)に固定する場合において、垂直部41の高さを大きくしたり曲げ形成して弾性を付与したりすることにより、チップ形積層コンデンサ1が前記基板から受ける熱的又は機械的ストレスを前記導電脚体4に吸収させることができるという効果が発揮されるということも知られている(特開平07−022274号公報)。
【特許文献1】特開2000−235932号公報
【特許文献2】特開平07−022274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、チップ形積層コンデンサが高性能化及び小型化するに及んで、チップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極に対する導電脚体の取付け作業が一層困難になってきている。すなわち、前記取付け作業を確実にかつ迅速に行なうことが困難になってきている。その結果、外部電極に対して導電脚体が強固に固定されていなかったり、外部電極に固定された一対の導電脚体の三次元的固定位置が揃わなかったりするという問題が顕在した。
【0005】
そこで、本発明者等は上記要求を満足させるべく、鋭意検討したところ、前記導電脚体を特定の形状・構造にするとともに、そのような導電脚体を得るには特定の前駆体を製造し、その前駆体を特定の方法によりチップ形積層コンデンサの外部電極に固定して、最終目的物であるチップ形積層コンデンサにすればよいという事実を見出し、本発明を完成した。
【0006】
従って、本発明の第一の課題は、チップ形積層コンデンサの外部電極に対して導電脚体を強固に固定するとともに、外部電極に固定された一対の導電脚体の三次元的固定位置を揃えることにより、チップ形積層コンデンサが電子基板に実装されたときの製品品質の保証精度を向上させることにある。本発明の第二の課題は、そのように品質の保証精度の高い導電脚体付きチップ形積層コンデンサを得るための新規な製造方法を提供するとともに、その方法に使用される特定の導電脚体を得るための導電脚体前駆体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するために、まず、チップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極に側面形状が略L字形をなす導電脚体を、その垂直部を介して、接合するとともに、同じく導電脚体の水平部が外方向きにしてなる導電脚体付き積層コンデンサにおいて、前記垂直部に前記外部電極を支承する係止片を設けるという手段を採用する。
【0008】
本発明は上記の手段を採用することにより、側面形状が略L字形をなす導電脚体の垂直部に設けた係止部がチップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極を確実に支承する。さら本発明は、前記係止部にチップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極を確実に支承させるために、前記係止部として、前記垂直部に形成されているU字形の切欠き又は円形若しくは楕円形の透孔に湾曲端を採用する。すると、この湾曲部は、前記外部電極が形成される過程で僅かに外方に僅かに膨出形成された曲面状端面と線接触する。
【0009】
さらに本発明においては、前記係止部にチップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極をより確実に支承させるために、この係止部として、導電脚体の垂直部に係止片を設けて、その係止片に前記外部電極を下方から支承させる。
【0010】
本発明は前記の導電脚体を製作するために、金属板に多数個の舌片部を、少なくとも2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部が互いに相対峙かつ相近接するように、切欠き形成するとともに、前記舌片部をその途中で折り曲げ加工してチップ形積層コンデンサを電子基板上で支える脚体としたとき、前記自由端部が前記チップ形積層コンデンサの外部電極を係止するよう、該自由端部にチップ形積層コンデンサの外部電極を係止する係止部を設けた形状・構造の導電脚体形成用前駆体を使用するという態様を採用する。
【0011】
さらに本発明は、導電脚体の垂直部に設けた係止部に前記外部電極をより確実に支承させるために、金属板に多数個の舌片部を、少なくとも2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部が互いに相対峙かつ相近接するように、切欠き形成した後、前記舌片部をその途中で折り曲げ加工して前記自由端部を起立させることにより、チップ形積層コンデンサを電子基板上で支える導電脚体としたとき、その導電脚体の自由端部が前記チップ形積層コンデンサの外部電極を係止できるよう、前記自由端部にチップ形積層コンデンサの外部電極を係止可能にする係止部を設けて、本発明の課題をより達成し易い形状・構造の前駆体に改良する。
【0012】
上記の形状・構造の前駆体を使用することにより、前記舌片部の垂直部をチップ形積層コンデンサの外部電極に対して確実に所定位置に当接できるとともに、最終目的物として電子基板の上にチップ形積層コンデンサを実装するとき、導電脚体の水平部を所定の三次元的空間位置に置くことが可能になり、その結果、チップ形積層コンデンサが電子基板に実装されたときの製品品質の保証精度が向上する。
【0013】
なお、これらの態様において、前記自由端部にU字形の切欠き又は円形若しくは楕円形の透孔を設けて、それらに湾曲端を付与することにより、前記湾曲端とチップ形積層コンデンサの外部電極の外側曲面とを線接触させて、チップ形積層コンデンサが電子基板に実装されたときの製品品質の保証精度を向上させる。また、前記係止部を係止片にすることにより、前記外部電極を下方から確実に支承可能にする。
【0014】
また、前記金属板を帯状にすることにより、本発明に係る導電脚体形成用前駆体の生産工程である地点からたの地点に流通させて、生産性を向上させる。さらに前記垂直部と前記水平部とのなす屈曲角を鈍角にすることにより、次に述べるの導電脚体付きチップ形積層コンデンサの生産性の向上に寄与させる。
【0015】
上記構造の導電脚体付き導電脚体付きチップ形積層コンデンサを製造する場合、次に述べる工程を順次採用する。すなわち、
(1)金属板に多数個の舌片部を2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成する導電脚体形成用第一前駆物体を成形する第一工程、
(2)前記舌片部をその途中で90度よりやや大きい鈍角で曲げ形成して、その自由端部を、同舌片部以外の金属板であるフレーム部の水平面から起立させて、各列の自由端部同士を互いに相対峙させる導電脚体形成用第二前駆物体を成形する第二工程、
(3)前記第二前駆体を表裏反転させて、各列において互いに相対峙する一対の舌片部間にチップ形積層コンデンサの両端部を挟持させることにより、該両端部にある外部電極と前記舌片部とを接触させる第三工程、
(4)前記外部電極と舌片部とを接合して、それらを通電可能にする第四工程、
(5)前記第二前駆体にある複数対の舌片部間に前記第三工程及び第四工程を施して、前記第二前駆体に積層コンデンサが固定された第三前駆体を製作する第五工程、
(6)前記フレーム部を横断・分離して、チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極に対して、側面がL字形の導電脚体を接合することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサを完成する第六工程、を採用する。
【0016】
本発明は、チップ形積層コンデンサの外部電極に導電脚体の垂直部をさらに確実に係止できるようするために、上記工程からなる本発明方法を採用することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサを効率的に製造できるが、前記第一工程における前記チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極の最外側端面間の距離が、起立した舌片部の自由端部の基端部間の距離より短い場合は、前記金属板に切り欠かれることなく残った帯状残存部の途中を屈曲加工して、互いに相対峙する舌片部の自由端部間の間隔を調節する第七工程を前記第三工程と第四工程との間に挿入するという方法を採用する。この方法を採用することにより、チップ形積層コンデンサの形状・大きさに対応する金属板を準備する必要がない。
【0017】
本発明は、前記チップ形積層コンデンサにおける外部電極に対して導電脚体がより確実に係止されたチップ形積層コンデンサを得るために次の工程からなる方法を採用する。
【0018】
すなわち、
(1)金属板に多数個の舌片部を2列に、しかもそれらの自由端部が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成するとともに、前記自由端部の一部分を前記金属板の表面又は裏面側に曲げ加工できるように、前記自由端部に変形加工を施して変形加工片を形成する導電脚体形成用第一前駆物体を成形する第一工程、
(2)前記変形加工片を前記金属板の表面又は裏面側に曲げ加工して前記自由端部から突出させ後、前記舌片部をその途中で90度よりやや大きい鈍角を以って前記変形加工片の向きのと反対の向きに曲げ形成して、前記自由端部を同舌片部以外の金属板であるフレーム部の水平面から起立させることにより、各列の自由端部同士を互いに相対峙させて導
電脚体形成用第二前駆物体を得る第二工程、
(3)前記フレーム部を弾性変形させることにより前記自由端同士を末広がり状に変位させた後、互いに相対峙する自由端部間にチップ形積層コンデンサを挟持させるとともに、該チップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極を前記変形加工片に係止させる第三工程、
(4)前記外部電極と舌片部とを接合して、それらを通電可能にする第四工程、
(5)前記第二前駆体にある複数対の舌片部間に前記第三工程及び第四工程を施して、前記第二前駆体に積層コンデンサが固定された第第三前駆体を製作する第五工程、
(6)前記フレーム部を横断・分離して、チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極に対して、側面がL字形の導電脚体を接合することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサを完成する第六工程。
【0019】
そして、この製造方法においても、前記チップ形積層コンデンサの両端部に存在する電極の最外側端面間の距離が、一対の舌片部の基端部間の距離より短い場合は、前記第二工程と第三工程の間に前記第一工程において複数対の舌片部を形成したとき、金属板に切り欠かれることなく残った帯状残存部の途中を屈曲加工して、相対峙する舌片部の自由端部間の間隔を調節して、それらの自由端部をチップ形積層コンデンサの外部電極に当接させる第七工程を介在させる。
【発明の効果】
【0020】
上述した手段を採用することにより、本発明は、チップ形積層コンデンサの外部電極に対して導電脚体が強固に固定できるとともに、外部電極に固定された一対の導電脚体の三次元的固定位置が揃うので、チップ形積層コンデンサが電子基板に実装されたときの製品品質の保証精度が向上する。さらに、そのように品質の保証精度の高い導電脚体付きチップ形積層コンデンサを効率的に得るための新規な製造方法及びその方法に使用する特定の導電脚体を得るための導電脚体前駆体を提供できるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施態様について、詳述する。
【実施例1】
【0022】
(第一前駆体・第一工程)
まず、チップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体の一つである第一実施態様について説明する。この実施態様は、前記前駆体の一種である第一前駆体の形状・構造を説明するとともに、本発明に係るチップ形積層コンデンサの製造方法における第一工程を説明するものである。
【0023】
まず、金属板が用意される。金属板としては、アルミニウム、銅又は鋼等の導電性金属からなる帯状長尺板が使用されるが、生産性を考慮すると、好ましくは図1に示すような長尺な金属Mが使用され、金属板Mの一側縁部16には金属板Mの送り穴19が設けられている。
【0024】
前記金属板Mには、多数個の舌片部11が、所定間隔をおいて平行に引かれた1点鎖線C1、C2に沿って、2列に切欠き形成されているとともに、舌片部11の自由端部12が互いに相対峙かつ相近接するように配置されている。さらに前記自由端部12には湾曲端13aを備えたU字形の切欠き14又は図示しない円形若しくは楕円形の透孔が形成されている。また舌片部11の基端部の中央には窓状の透孔13bが設けられており、後述する第六工程において前記舌片部11が切断され、本発明の導電脚体を構成するとき、前記同様に透孔13bから湾曲端が現出する。
【0025】
このように舌片部11が切欠き形成された金属板Mにおいて、それが切欠かれることなく残った帯状の残存部が、金属板Mの両側縁部15、16を連結する連結部17を構成する。本発明においてはこれらの両側縁部15、16と連結部17とをフレーム部Fと称する。従って、本発明で称する第一前駆体10は、前記舌片部11とフレーム部Fとから構成される。
【実施例2】
【0026】
(第二前駆体・第二工程)
次に、上記のように製作された第一前駆体10を使用して、前記舌片部11を、前記1点鎖線C1、C2で示す舌片部11の途中で、折り曲げ加工して、図2に示すように、前記自由端部12を前記フレーム部Fから起立させて、各列の自由端部12同士を互いに相対峙させる。すると、前記舌片部11がL字形側面をなす導電前駆脚体21となる(以下において、前記舌片部11を導電前駆脚体21とも称する)。本発明において、この導電前駆脚体21と前記フレーム部Fとを第二前駆体20と称する。なお、この工程において舌片部11の途中を折り曲げる折曲角αは90度より僅かに大きい鈍角の範囲とし、それにより次に述べる第三工程においてチップ形積層コンデンサを前記導電前駆体21に当接し易くする。
【実施例3】
【0027】
(第三前駆体・第三工程、第四工程、第五工程)
次に、図3に示すように、前記第二前駆体20を表裏反転させて、前記した各列において互いに相対峙する一対の導電前駆脚体21間にチップ形積層コンデンサ50を落とし込んだ後、図4に示すように、チップ形積層コンデンサ50の両端部に存在する二つの外部電極51、52に導電前駆体21を当接させることにより、図5に示すように、一対の
導電前駆脚体21にチップ形積層コンデンサ50を挟持させる。続いて、導電前駆脚体21の垂直部41の切欠き14にメッキ等の溶着手段53を講じて、前記外部電極51、52と導電前駆脚体21とを接合し、それらを通電可能にする。このような操作を前記第二前駆体20にある複数対の導電前駆脚体21に反復すると、本発明に係る第三前駆体30
が得られる。
【実施例4】
【0028】
(導電脚体付きチップ形積層コンデンサ・第六工程)
続いて、前記フレーム部Fにおいて、図5に示す1点鎖線で示す分離位置C3、C4で、前記第三前駆体30から導電前駆脚体21を横断・分離する。すると、図6、7に示すように、チップ形積層コンデンサ50の両端部に存在する外部電極51、52に対して、側面がL字形の導電脚体4が接合した本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサ60が完成する。すなわち、チップ形積層コンデンサ50の両端部にある外部電極51、52に側面形状が略L字形をなす導電脚体4の垂直部41が接合しているとともに、図8、9に示すように、前記垂直部41に設けられている切欠き14の湾曲端13aが、チップ形積層コンデンサ50の外部電極51、52において、その形成過程で必然的に生ずる曲面状端面54と線接触をする。
【0029】
そのため、前記水平部41が外部電極51、52を内方に押圧する弾性力並びに前記線接触作用及び前記溶着手段53の溶着作用等が相乗的に働く。従って、本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサ60の水平部42が電子基板に半田付けされるとき、仮に前記電子基板にその熱的歪によりその電子基板に面的変位が生じたとしても、導電脚体41の垂直部41がチップ形積層コンデンサ51の曲面状端面54の変位に追従し、その結果、前記湾曲端13aによる曲面状端面54に対する線接触が保持する。よって、本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサは確実に電子基板に実装される。なお、前記フレーム部Fから21導電前駆脚体を分離するときその透孔13bの形状に起因する湾曲部が前記導電脚体4の水平部42に現出する。前記水平部42を前記電子基板に実装するとき、前記湾曲部に溶着手段が施され、その結果、電子基板と導電脚体付きチップ形積層コンデンサ60との実装が確実に行なわれる。
【実施例5】
【0030】
(第七工程)
前記の実施例において、チップ形積層コンデンサ50の外部電極51、52間の距離によっては、図1に示す第一前駆体10の横幅Wを変更する必要がある。しかしながら、前記横幅Wを変更することなく、第一前駆体10の連結部17の長さを見掛け上変更することにより、21導電前駆脚体に対するチップ形積層コンデンサ50の接合時に前記距離の見掛け上の変更ができる。この実施例はその実施態様について述べるものである。
【0031】
すなわち、図3に示すように、チップ形積層コンデンサ50の両端部に存在する外部電極51、52の最外側端面間の距離L3が、導電脚体4の垂直部41における基端部間の最大距離L2より短い場合にその距離L2を、図10に示すように、第一前駆体10の連結部17の途中を屈曲させて、導電脚体4における垂直部41の見掛け上の距離L4に短縮・調節するのである(第七工程)。そして、この工程を前記第二工程と第三工程の間で行なう。
【0032】
以下、前記同様に第四工程から第六工程を遂行すると、第六工程で途中が屈曲した連結部17はチップ形積層コンデンサ50から分離し、前記した実施例と同様にフレーム部Fに残る。この場合、図11に示すように、連結部17のうち、屈曲した連結部17aをチップ形積層コンデンサ50側に残して連結部17aの屈曲部43をチップ形積層コンデンサ50の下支え部材にすることもできる。
【実施例6】
【0033】
上記実施例では外部電極を支承する導電脚体の垂直部における係止部は、垂直部に設けた湾曲部に実現したが、本発明においては、前記係止部の機能をさらに確実にするために、前記垂直部に係止片を設けて、その係止片に前記外部電極を係止させる構造を設ける態様を採用できる。
【0034】
具体的には、図12に示すように、第二前駆体20における導電前駆脚体21の自由端部12にその先端が横方向に三つ分割可能な切り裂き、その中央部位を曲げ形成して庇状に突出させることにより、第一係止片22を設ける。これは当然に第一前駆体10が形成される第一工程で実施される。
【0035】
すなわち、金属板Mに多数個の舌片部11を2列に、しかもそれらの自由端部12が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成して少なくとも自由端部12に三つに分割した変形加工片を形成する。そして、その変形加工片の一つを前記金属板Mの表面又は裏面側を向くように曲げ加工し、さらに舌片部11の途中を、変形加工片曲げ方向と反対の向きに、曲げ加工して自由端部12の先端中央部に一つの第一係止片22を有する導電前駆脚体21を形成するのである。
【0036】
このように導電前駆脚体21が得られたら、図13、14に示すように、一対の導電前駆体21間において前記第一係止片22の上にチップ形積層コンデンサ50を載置して一対の垂直部41に挟持させる。
【0037】
さらに本発明においては、図15に示すように、前記垂直部14の側方に、前記第一係止片22に併せてそれと同じ向きに延出する第二係止片23を設けることができる。上記同様な技術思想を踏襲してさらに、図16に示すように、前記垂直部14の上端部位に、前記第一係止片22と併せてそれと同じ向きに延出する第三係止片24を設けることができるし、図17に示すように、さらに前記垂直部14に、前記第一係止片22及び第二係止片23と併せてそれと同じ向きに延出する第三係止片24を設けることができる。
【0038】
しかしながら、これらの態様において、導電前駆脚体21に対して、図3及び図4に示したような手法により、チップ形積層コンデンサ50を挟持させることはできない。そこで本発明では、図18に示すように、フレーム部Fの連結部17をその中央部で撓ませて、一対の導電前駆体21における垂直部41又は第三係止片24の間隔を、チップ形積層コンデンサ50における外部電極51、52の最外側端面間の距離よりも大きくして、それらの間にチップ形積層コンデンサ50を落と込む。
【0039】
次いで、前記連結部17に対する撓みを緩和させてから、前記した工程を経て導電前駆脚体21と外部電極51、52との間に溶着手段53を施せば、図19に示すように、チップ形積層コンデンサ50に導電脚体4が固定した本発明に係る導電脚体付き積層コンデンサ60が得られる。この導電脚体付き積層コンデンサ60においては溶着手段53を介して外部電極51、52が第一係止片22と、又はさらに第二係止片23と、又はさらに加えて第三係止片24と接合しているので、このコンデンサ60を電子基板に実装する過程で受ける熱的歪を導電脚体4は十分吸収してチップ形積層コンデンサ50と基板との間に電気的断絶が起こることがいない。
【0040】
本発明は、その根本的技術思想を踏襲し発明の効果を損なわない限度において、前記実施態様の一部分変更して実施することができる。例えば、導電脚体4を製作するための金属板Mは、長尺帯状金属板を使用することなく、図20に示すように、短尺方形形状のものも使用できる。また、湾曲端13aを、図21に示すように、略横コ字形切欠き14のコーナー部に形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、チップ形積層コンデンサのようにチップ状電子部品の両端に外部電極が設けられている電子部品を製造する分野に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第一前駆体の一部分を示す斜視図である。
【図2】第二前駆体の同様の図面である。
【図3】第二前駆体の導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサを落とし込んだ状態を示す部分断面図である。
【図4】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサの外部電極を当接した状態を示す部分断面図である。
【図5】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサの外部電極を溶着した状態を示す部分斜視図である。
【図6】本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサの斜視図である。
【図7】同チップ形積層コンデンサの側面図である。
【図8】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサの外部電極を溶着した状態を示す部分断面図である。
【図9】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサの外部電極を溶着した状態を示す部分正面図である。
【図10】導電前駆脚体の他の態様にチップ形積層コンデンサの外部電極を当接した状態を示す部分断面図である。
【図11】本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサの他の態様を示す斜視図である。
【図12】第二前駆体の他の態様を示す部分斜視図である。
【図13】本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサの他の態様を示す斜視図である。
【図14】同じく側面図である。
【図15】同じくさらに他の態様を示す斜視図である。
【図16】同じくさらなる他の態様を示す斜視図である。
【図17】他の態様を示す斜視図である。
【図18】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサを組み込む他の態様を示す側面図である。
【図19】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサを組み込んだ状態を示す側面図である。
【図20】第一前駆体の他の態様を示す部分斜視図である。
【図21】本発明に係る切欠きの他の態様を示す要部正面図である。
【図22】従来技術に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサの側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1:チップ形積層コンデンサ、
2、3:外部電極、
4:導電脚体、
41:垂直部、
42:水平部、
10:第一前駆体、
11:舌片部、
12:自由端部、
13a:湾曲端、
13b:透孔、
14:切欠き、
15:側縁部、
16:側縁部、
17:連結部、
18:基端部、
19:透孔、
20:第二前駆体、
21:導電前駆脚体、
22:第一係止片、
23:第二係止片、
24:第三系紙片、
30:第三前駆体、
40:導電前駆体、
50:チップ形積層コンデンサ、
51:外部電極、
52:外部電極、
53:溶着手段、
54:曲面状端面、
60:導電脚体付きチップ形積層コンデンサ
C1、C2:中間位置、
C3、C4:分離位置、
F:フレーム部、
M:金属板、
L1:長さ、
L2、L3:距離、
W:横幅、
α:折曲角、
β:曲開角。
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電脚体付きチップ形積層コンデンサ及びその製造方法並びにチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図22に示すように、従来からチップ形積層コンデンサ1の両端部に存在する外部電極2、3に対して、側面が一対のL字形導電脚体4の垂直部41をそれらの水平部42が外向きになるように取り付けてなるチップ形積層コンデンサは公知である(特開2000−235932号公報の図5)。
【0003】
この形状・構造のチップ形積層コンデンサ1を、前記水平部42を介して、電子基板(図示なし)に固定する場合において、垂直部41の高さを大きくしたり曲げ形成して弾性を付与したりすることにより、チップ形積層コンデンサ1が前記基板から受ける熱的又は機械的ストレスを前記導電脚体4に吸収させることができるという効果が発揮されるということも知られている(特開平07−022274号公報)。
【特許文献1】特開2000−235932号公報
【特許文献2】特開平07−022274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、チップ形積層コンデンサが高性能化及び小型化するに及んで、チップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極に対する導電脚体の取付け作業が一層困難になってきている。すなわち、前記取付け作業を確実にかつ迅速に行なうことが困難になってきている。その結果、外部電極に対して導電脚体が強固に固定されていなかったり、外部電極に固定された一対の導電脚体の三次元的固定位置が揃わなかったりするという問題が顕在した。
【0005】
そこで、本発明者等は上記要求を満足させるべく、鋭意検討したところ、前記導電脚体を特定の形状・構造にするとともに、そのような導電脚体を得るには特定の前駆体を製造し、その前駆体を特定の方法によりチップ形積層コンデンサの外部電極に固定して、最終目的物であるチップ形積層コンデンサにすればよいという事実を見出し、本発明を完成した。
【0006】
従って、本発明の第一の課題は、チップ形積層コンデンサの外部電極に対して導電脚体を強固に固定するとともに、外部電極に固定された一対の導電脚体の三次元的固定位置を揃えることにより、チップ形積層コンデンサが電子基板に実装されたときの製品品質の保証精度を向上させることにある。本発明の第二の課題は、そのように品質の保証精度の高い導電脚体付きチップ形積層コンデンサを得るための新規な製造方法を提供するとともに、その方法に使用される特定の導電脚体を得るための導電脚体前駆体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するために、まず、チップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極に側面形状が略L字形をなす導電脚体を、その垂直部を介して、接合するとともに、同じく導電脚体の水平部が外方向きにしてなる導電脚体付き積層コンデンサにおいて、前記垂直部に前記外部電極を支承する係止片を設けるという手段を採用する。
【0008】
本発明は上記の手段を採用することにより、側面形状が略L字形をなす導電脚体の垂直部に設けた係止部がチップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極を確実に支承する。さら本発明は、前記係止部にチップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極を確実に支承させるために、前記係止部として、前記垂直部に形成されているU字形の切欠き又は円形若しくは楕円形の透孔に湾曲端を採用する。すると、この湾曲部は、前記外部電極が形成される過程で僅かに外方に僅かに膨出形成された曲面状端面と線接触する。
【0009】
さらに本発明においては、前記係止部にチップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極をより確実に支承させるために、この係止部として、導電脚体の垂直部に係止片を設けて、その係止片に前記外部電極を下方から支承させる。
【0010】
本発明は前記の導電脚体を製作するために、金属板に多数個の舌片部を、少なくとも2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部が互いに相対峙かつ相近接するように、切欠き形成するとともに、前記舌片部をその途中で折り曲げ加工してチップ形積層コンデンサを電子基板上で支える脚体としたとき、前記自由端部が前記チップ形積層コンデンサの外部電極を係止するよう、該自由端部にチップ形積層コンデンサの外部電極を係止する係止部を設けた形状・構造の導電脚体形成用前駆体を使用するという態様を採用する。
【0011】
さらに本発明は、導電脚体の垂直部に設けた係止部に前記外部電極をより確実に支承させるために、金属板に多数個の舌片部を、少なくとも2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部が互いに相対峙かつ相近接するように、切欠き形成した後、前記舌片部をその途中で折り曲げ加工して前記自由端部を起立させることにより、チップ形積層コンデンサを電子基板上で支える導電脚体としたとき、その導電脚体の自由端部が前記チップ形積層コンデンサの外部電極を係止できるよう、前記自由端部にチップ形積層コンデンサの外部電極を係止可能にする係止部を設けて、本発明の課題をより達成し易い形状・構造の前駆体に改良する。
【0012】
上記の形状・構造の前駆体を使用することにより、前記舌片部の垂直部をチップ形積層コンデンサの外部電極に対して確実に所定位置に当接できるとともに、最終目的物として電子基板の上にチップ形積層コンデンサを実装するとき、導電脚体の水平部を所定の三次元的空間位置に置くことが可能になり、その結果、チップ形積層コンデンサが電子基板に実装されたときの製品品質の保証精度が向上する。
【0013】
なお、これらの態様において、前記自由端部にU字形の切欠き又は円形若しくは楕円形の透孔を設けて、それらに湾曲端を付与することにより、前記湾曲端とチップ形積層コンデンサの外部電極の外側曲面とを線接触させて、チップ形積層コンデンサが電子基板に実装されたときの製品品質の保証精度を向上させる。また、前記係止部を係止片にすることにより、前記外部電極を下方から確実に支承可能にする。
【0014】
また、前記金属板を帯状にすることにより、本発明に係る導電脚体形成用前駆体の生産工程である地点からたの地点に流通させて、生産性を向上させる。さらに前記垂直部と前記水平部とのなす屈曲角を鈍角にすることにより、次に述べるの導電脚体付きチップ形積層コンデンサの生産性の向上に寄与させる。
【0015】
上記構造の導電脚体付き導電脚体付きチップ形積層コンデンサを製造する場合、次に述べる工程を順次採用する。すなわち、
(1)金属板に多数個の舌片部を2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成する導電脚体形成用第一前駆物体を成形する第一工程、
(2)前記舌片部をその途中で90度よりやや大きい鈍角で曲げ形成して、その自由端部を、同舌片部以外の金属板であるフレーム部の水平面から起立させて、各列の自由端部同士を互いに相対峙させる導電脚体形成用第二前駆物体を成形する第二工程、
(3)前記第二前駆体を表裏反転させて、各列において互いに相対峙する一対の舌片部間にチップ形積層コンデンサの両端部を挟持させることにより、該両端部にある外部電極と前記舌片部とを接触させる第三工程、
(4)前記外部電極と舌片部とを接合して、それらを通電可能にする第四工程、
(5)前記第二前駆体にある複数対の舌片部間に前記第三工程及び第四工程を施して、前記第二前駆体に積層コンデンサが固定された第三前駆体を製作する第五工程、
(6)前記フレーム部を横断・分離して、チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極に対して、側面がL字形の導電脚体を接合することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサを完成する第六工程、を採用する。
【0016】
本発明は、チップ形積層コンデンサの外部電極に導電脚体の垂直部をさらに確実に係止できるようするために、上記工程からなる本発明方法を採用することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサを効率的に製造できるが、前記第一工程における前記チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極の最外側端面間の距離が、起立した舌片部の自由端部の基端部間の距離より短い場合は、前記金属板に切り欠かれることなく残った帯状残存部の途中を屈曲加工して、互いに相対峙する舌片部の自由端部間の間隔を調節する第七工程を前記第三工程と第四工程との間に挿入するという方法を採用する。この方法を採用することにより、チップ形積層コンデンサの形状・大きさに対応する金属板を準備する必要がない。
【0017】
本発明は、前記チップ形積層コンデンサにおける外部電極に対して導電脚体がより確実に係止されたチップ形積層コンデンサを得るために次の工程からなる方法を採用する。
【0018】
すなわち、
(1)金属板に多数個の舌片部を2列に、しかもそれらの自由端部が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成するとともに、前記自由端部の一部分を前記金属板の表面又は裏面側に曲げ加工できるように、前記自由端部に変形加工を施して変形加工片を形成する導電脚体形成用第一前駆物体を成形する第一工程、
(2)前記変形加工片を前記金属板の表面又は裏面側に曲げ加工して前記自由端部から突出させ後、前記舌片部をその途中で90度よりやや大きい鈍角を以って前記変形加工片の向きのと反対の向きに曲げ形成して、前記自由端部を同舌片部以外の金属板であるフレーム部の水平面から起立させることにより、各列の自由端部同士を互いに相対峙させて導
電脚体形成用第二前駆物体を得る第二工程、
(3)前記フレーム部を弾性変形させることにより前記自由端同士を末広がり状に変位させた後、互いに相対峙する自由端部間にチップ形積層コンデンサを挟持させるとともに、該チップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極を前記変形加工片に係止させる第三工程、
(4)前記外部電極と舌片部とを接合して、それらを通電可能にする第四工程、
(5)前記第二前駆体にある複数対の舌片部間に前記第三工程及び第四工程を施して、前記第二前駆体に積層コンデンサが固定された第第三前駆体を製作する第五工程、
(6)前記フレーム部を横断・分離して、チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極に対して、側面がL字形の導電脚体を接合することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサを完成する第六工程。
【0019】
そして、この製造方法においても、前記チップ形積層コンデンサの両端部に存在する電極の最外側端面間の距離が、一対の舌片部の基端部間の距離より短い場合は、前記第二工程と第三工程の間に前記第一工程において複数対の舌片部を形成したとき、金属板に切り欠かれることなく残った帯状残存部の途中を屈曲加工して、相対峙する舌片部の自由端部間の間隔を調節して、それらの自由端部をチップ形積層コンデンサの外部電極に当接させる第七工程を介在させる。
【発明の効果】
【0020】
上述した手段を採用することにより、本発明は、チップ形積層コンデンサの外部電極に対して導電脚体が強固に固定できるとともに、外部電極に固定された一対の導電脚体の三次元的固定位置が揃うので、チップ形積層コンデンサが電子基板に実装されたときの製品品質の保証精度が向上する。さらに、そのように品質の保証精度の高い導電脚体付きチップ形積層コンデンサを効率的に得るための新規な製造方法及びその方法に使用する特定の導電脚体を得るための導電脚体前駆体を提供できるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施態様について、詳述する。
【実施例1】
【0022】
(第一前駆体・第一工程)
まず、チップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体の一つである第一実施態様について説明する。この実施態様は、前記前駆体の一種である第一前駆体の形状・構造を説明するとともに、本発明に係るチップ形積層コンデンサの製造方法における第一工程を説明するものである。
【0023】
まず、金属板が用意される。金属板としては、アルミニウム、銅又は鋼等の導電性金属からなる帯状長尺板が使用されるが、生産性を考慮すると、好ましくは図1に示すような長尺な金属Mが使用され、金属板Mの一側縁部16には金属板Mの送り穴19が設けられている。
【0024】
前記金属板Mには、多数個の舌片部11が、所定間隔をおいて平行に引かれた1点鎖線C1、C2に沿って、2列に切欠き形成されているとともに、舌片部11の自由端部12が互いに相対峙かつ相近接するように配置されている。さらに前記自由端部12には湾曲端13aを備えたU字形の切欠き14又は図示しない円形若しくは楕円形の透孔が形成されている。また舌片部11の基端部の中央には窓状の透孔13bが設けられており、後述する第六工程において前記舌片部11が切断され、本発明の導電脚体を構成するとき、前記同様に透孔13bから湾曲端が現出する。
【0025】
このように舌片部11が切欠き形成された金属板Mにおいて、それが切欠かれることなく残った帯状の残存部が、金属板Mの両側縁部15、16を連結する連結部17を構成する。本発明においてはこれらの両側縁部15、16と連結部17とをフレーム部Fと称する。従って、本発明で称する第一前駆体10は、前記舌片部11とフレーム部Fとから構成される。
【実施例2】
【0026】
(第二前駆体・第二工程)
次に、上記のように製作された第一前駆体10を使用して、前記舌片部11を、前記1点鎖線C1、C2で示す舌片部11の途中で、折り曲げ加工して、図2に示すように、前記自由端部12を前記フレーム部Fから起立させて、各列の自由端部12同士を互いに相対峙させる。すると、前記舌片部11がL字形側面をなす導電前駆脚体21となる(以下において、前記舌片部11を導電前駆脚体21とも称する)。本発明において、この導電前駆脚体21と前記フレーム部Fとを第二前駆体20と称する。なお、この工程において舌片部11の途中を折り曲げる折曲角αは90度より僅かに大きい鈍角の範囲とし、それにより次に述べる第三工程においてチップ形積層コンデンサを前記導電前駆体21に当接し易くする。
【実施例3】
【0027】
(第三前駆体・第三工程、第四工程、第五工程)
次に、図3に示すように、前記第二前駆体20を表裏反転させて、前記した各列において互いに相対峙する一対の導電前駆脚体21間にチップ形積層コンデンサ50を落とし込んだ後、図4に示すように、チップ形積層コンデンサ50の両端部に存在する二つの外部電極51、52に導電前駆体21を当接させることにより、図5に示すように、一対の
導電前駆脚体21にチップ形積層コンデンサ50を挟持させる。続いて、導電前駆脚体21の垂直部41の切欠き14にメッキ等の溶着手段53を講じて、前記外部電極51、52と導電前駆脚体21とを接合し、それらを通電可能にする。このような操作を前記第二前駆体20にある複数対の導電前駆脚体21に反復すると、本発明に係る第三前駆体30
が得られる。
【実施例4】
【0028】
(導電脚体付きチップ形積層コンデンサ・第六工程)
続いて、前記フレーム部Fにおいて、図5に示す1点鎖線で示す分離位置C3、C4で、前記第三前駆体30から導電前駆脚体21を横断・分離する。すると、図6、7に示すように、チップ形積層コンデンサ50の両端部に存在する外部電極51、52に対して、側面がL字形の導電脚体4が接合した本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサ60が完成する。すなわち、チップ形積層コンデンサ50の両端部にある外部電極51、52に側面形状が略L字形をなす導電脚体4の垂直部41が接合しているとともに、図8、9に示すように、前記垂直部41に設けられている切欠き14の湾曲端13aが、チップ形積層コンデンサ50の外部電極51、52において、その形成過程で必然的に生ずる曲面状端面54と線接触をする。
【0029】
そのため、前記水平部41が外部電極51、52を内方に押圧する弾性力並びに前記線接触作用及び前記溶着手段53の溶着作用等が相乗的に働く。従って、本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサ60の水平部42が電子基板に半田付けされるとき、仮に前記電子基板にその熱的歪によりその電子基板に面的変位が生じたとしても、導電脚体41の垂直部41がチップ形積層コンデンサ51の曲面状端面54の変位に追従し、その結果、前記湾曲端13aによる曲面状端面54に対する線接触が保持する。よって、本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサは確実に電子基板に実装される。なお、前記フレーム部Fから21導電前駆脚体を分離するときその透孔13bの形状に起因する湾曲部が前記導電脚体4の水平部42に現出する。前記水平部42を前記電子基板に実装するとき、前記湾曲部に溶着手段が施され、その結果、電子基板と導電脚体付きチップ形積層コンデンサ60との実装が確実に行なわれる。
【実施例5】
【0030】
(第七工程)
前記の実施例において、チップ形積層コンデンサ50の外部電極51、52間の距離によっては、図1に示す第一前駆体10の横幅Wを変更する必要がある。しかしながら、前記横幅Wを変更することなく、第一前駆体10の連結部17の長さを見掛け上変更することにより、21導電前駆脚体に対するチップ形積層コンデンサ50の接合時に前記距離の見掛け上の変更ができる。この実施例はその実施態様について述べるものである。
【0031】
すなわち、図3に示すように、チップ形積層コンデンサ50の両端部に存在する外部電極51、52の最外側端面間の距離L3が、導電脚体4の垂直部41における基端部間の最大距離L2より短い場合にその距離L2を、図10に示すように、第一前駆体10の連結部17の途中を屈曲させて、導電脚体4における垂直部41の見掛け上の距離L4に短縮・調節するのである(第七工程)。そして、この工程を前記第二工程と第三工程の間で行なう。
【0032】
以下、前記同様に第四工程から第六工程を遂行すると、第六工程で途中が屈曲した連結部17はチップ形積層コンデンサ50から分離し、前記した実施例と同様にフレーム部Fに残る。この場合、図11に示すように、連結部17のうち、屈曲した連結部17aをチップ形積層コンデンサ50側に残して連結部17aの屈曲部43をチップ形積層コンデンサ50の下支え部材にすることもできる。
【実施例6】
【0033】
上記実施例では外部電極を支承する導電脚体の垂直部における係止部は、垂直部に設けた湾曲部に実現したが、本発明においては、前記係止部の機能をさらに確実にするために、前記垂直部に係止片を設けて、その係止片に前記外部電極を係止させる構造を設ける態様を採用できる。
【0034】
具体的には、図12に示すように、第二前駆体20における導電前駆脚体21の自由端部12にその先端が横方向に三つ分割可能な切り裂き、その中央部位を曲げ形成して庇状に突出させることにより、第一係止片22を設ける。これは当然に第一前駆体10が形成される第一工程で実施される。
【0035】
すなわち、金属板Mに多数個の舌片部11を2列に、しかもそれらの自由端部12が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成して少なくとも自由端部12に三つに分割した変形加工片を形成する。そして、その変形加工片の一つを前記金属板Mの表面又は裏面側を向くように曲げ加工し、さらに舌片部11の途中を、変形加工片曲げ方向と反対の向きに、曲げ加工して自由端部12の先端中央部に一つの第一係止片22を有する導電前駆脚体21を形成するのである。
【0036】
このように導電前駆脚体21が得られたら、図13、14に示すように、一対の導電前駆体21間において前記第一係止片22の上にチップ形積層コンデンサ50を載置して一対の垂直部41に挟持させる。
【0037】
さらに本発明においては、図15に示すように、前記垂直部14の側方に、前記第一係止片22に併せてそれと同じ向きに延出する第二係止片23を設けることができる。上記同様な技術思想を踏襲してさらに、図16に示すように、前記垂直部14の上端部位に、前記第一係止片22と併せてそれと同じ向きに延出する第三係止片24を設けることができるし、図17に示すように、さらに前記垂直部14に、前記第一係止片22及び第二係止片23と併せてそれと同じ向きに延出する第三係止片24を設けることができる。
【0038】
しかしながら、これらの態様において、導電前駆脚体21に対して、図3及び図4に示したような手法により、チップ形積層コンデンサ50を挟持させることはできない。そこで本発明では、図18に示すように、フレーム部Fの連結部17をその中央部で撓ませて、一対の導電前駆体21における垂直部41又は第三係止片24の間隔を、チップ形積層コンデンサ50における外部電極51、52の最外側端面間の距離よりも大きくして、それらの間にチップ形積層コンデンサ50を落と込む。
【0039】
次いで、前記連結部17に対する撓みを緩和させてから、前記した工程を経て導電前駆脚体21と外部電極51、52との間に溶着手段53を施せば、図19に示すように、チップ形積層コンデンサ50に導電脚体4が固定した本発明に係る導電脚体付き積層コンデンサ60が得られる。この導電脚体付き積層コンデンサ60においては溶着手段53を介して外部電極51、52が第一係止片22と、又はさらに第二係止片23と、又はさらに加えて第三係止片24と接合しているので、このコンデンサ60を電子基板に実装する過程で受ける熱的歪を導電脚体4は十分吸収してチップ形積層コンデンサ50と基板との間に電気的断絶が起こることがいない。
【0040】
本発明は、その根本的技術思想を踏襲し発明の効果を損なわない限度において、前記実施態様の一部分変更して実施することができる。例えば、導電脚体4を製作するための金属板Mは、長尺帯状金属板を使用することなく、図20に示すように、短尺方形形状のものも使用できる。また、湾曲端13aを、図21に示すように、略横コ字形切欠き14のコーナー部に形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、チップ形積層コンデンサのようにチップ状電子部品の両端に外部電極が設けられている電子部品を製造する分野に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第一前駆体の一部分を示す斜視図である。
【図2】第二前駆体の同様の図面である。
【図3】第二前駆体の導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサを落とし込んだ状態を示す部分断面図である。
【図4】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサの外部電極を当接した状態を示す部分断面図である。
【図5】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサの外部電極を溶着した状態を示す部分斜視図である。
【図6】本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサの斜視図である。
【図7】同チップ形積層コンデンサの側面図である。
【図8】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサの外部電極を溶着した状態を示す部分断面図である。
【図9】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサの外部電極を溶着した状態を示す部分正面図である。
【図10】導電前駆脚体の他の態様にチップ形積層コンデンサの外部電極を当接した状態を示す部分断面図である。
【図11】本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサの他の態様を示す斜視図である。
【図12】第二前駆体の他の態様を示す部分斜視図である。
【図13】本発明に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサの他の態様を示す斜視図である。
【図14】同じく側面図である。
【図15】同じくさらに他の態様を示す斜視図である。
【図16】同じくさらなる他の態様を示す斜視図である。
【図17】他の態様を示す斜視図である。
【図18】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサを組み込む他の態様を示す側面図である。
【図19】導電前駆脚体にチップ形積層コンデンサを組み込んだ状態を示す側面図である。
【図20】第一前駆体の他の態様を示す部分斜視図である。
【図21】本発明に係る切欠きの他の態様を示す要部正面図である。
【図22】従来技術に係る導電脚体付きチップ形積層コンデンサの側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1:チップ形積層コンデンサ、
2、3:外部電極、
4:導電脚体、
41:垂直部、
42:水平部、
10:第一前駆体、
11:舌片部、
12:自由端部、
13a:湾曲端、
13b:透孔、
14:切欠き、
15:側縁部、
16:側縁部、
17:連結部、
18:基端部、
19:透孔、
20:第二前駆体、
21:導電前駆脚体、
22:第一係止片、
23:第二係止片、
24:第三系紙片、
30:第三前駆体、
40:導電前駆体、
50:チップ形積層コンデンサ、
51:外部電極、
52:外部電極、
53:溶着手段、
54:曲面状端面、
60:導電脚体付きチップ形積層コンデンサ
C1、C2:中間位置、
C3、C4:分離位置、
F:フレーム部、
M:金属板、
L1:長さ、
L2、L3:距離、
W:横幅、
α:折曲角、
β:曲開角。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ形積層コンデンサ(50)の両端部にある外部電極(51,52)に側面形状が略L字形をなす導電脚体(4)を、その垂直部(41)を介して、接合するとともに、同じく導電客体の水平部(42)が外方向きにしてなる導電脚体付き積層コンデンサにおいて、前記垂直部に前記外部電極を支承する係止片を設けたことを特徴とする脚体付き積層コンデンサ。
【請求項2】
前記係止部が、湾曲端を備えたU字形の切欠き(14)又は円形若しくは楕円形の透孔であり、前記湾曲端が前記チップ形積層コンデンサ(50)の外部電極(51,52)の外側端面と線接触可能になっている請求項2記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項3】
前記係止部が、前記外部電極(51,52)を下方から支える係止片(22)である請求項2記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項4】
金属板(M)に多数個の舌片部(11)を、少なくとも2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部(12)が互いに相対峙かつ相近接するように、切欠き形成するとともに、前記舌片部をその途中で折り曲げ加工してチップ形積層コンデンサ(50)を電子基板上で支える導電脚体(4)としたとき、前記自由端部が前記チップ形積層コンデンサの外部電極(51,52)を係止するよう、該自由端部にチップ形積層コンデンサの外部電極を係止する係止部を設けたことを特徴とするチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項5】
前記係止部が、湾曲端を備えたU字形の切欠き(14)又は円形若しくは楕円形の透孔であり、前記湾曲端が前記チップ形積層コンデンサ(50)の外部電極(51,52)の外側端面と線接触可能になっている請求項4記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項6】
前記係止部が、前記外部電極(51,52)を下方から支える係止片(43)である請求項4記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項7】
金属板(M)に多数個の舌片部(11)を、少なくとも2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部(12)が互いに相対峙かつ相近接するように、切欠き形成した後、前記舌片部をその途中で折り曲げ加工して前記自由端部を起立させることにより、電子基板上でチップ形積層コンデンサ(50)を支えるための導電脚体(4)としたとき、その導電脚体の自由端部が前記チップ形積層コンデンサの外部電極(51,52)を係止するよう、前記自由端部にチップ形積層コンデンサの外部電極を係止可能にする係止部を設けたことを特徴とするチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項8】
前記係止部が、湾曲端を備えたU字形の切欠き(14)又は円形若しくは楕円形の透孔であり、前記湾曲端がチップ形積層コンデンサ(50)の外部電極(51,52)の外側端面と線接触可能になっている請求項7記載のチップ形積層コンデンサの外部電極に溶接固定するための導電脚体形成用前駆体。
【請求項9】
前記係止部が、前記外部電極(51,52)を下方から支える係止片(43)である請求項7記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項10】
前記金属板(M)が帯状をなしている請求項5又は請求項7記載のチップ形積層コンデンサ導電脚体形成用前駆体。
【請求項11】
前記垂直部(41)と前記水平部(42)とのなす屈曲角(α)が90度より僅かに小さい鋭角である請求項7記載のチップ形積層コンデンサ。
【請求項12】
次の各工程からなる導電脚体付きチップ形積層コンデンサ()の製造方法。
(1)金属板(M)に多数個の舌片部(11)を2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部(12)が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成する導電脚体形成用第一前駆物体(10)を成形する第一工程、
(2)前記舌片部をその途中で90度よりやや小さい鋭角で曲げ形成して、その自由端部を、同舌片部以外の金属板であるフレーム部(F)の水平面から起立させて、各列の自由端部同士を互いに相対峙させる導電脚体形成用第二前駆物体(20)を成形する第二工程、
(3)前記第二前駆体を表裏反転させて、各列において互いに相対峙する一対の舌片部間にチップ形積層コンデンサ(50)の両端部を挟持させることにより、該両端部にある外部電極(51,52)と前記舌片部とを接触させる第三工程、
(4)前記外部電極と舌片部とを接合して、それらを通電可能にする第四工程、
(5)前記第二前駆体にある複数対の舌片部間に前記第三工程及び第四工程を施して、前記第二前駆体に積層コンデンサが固定された第三前駆体(30)を製作する第五工程、
(6)前記フレーム部を横断・分離して、チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極に対して、側面がL字形の導電脚体を接合することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサ(60)を完成する第六工程。
【請求項13】
前記第一工程における前記チップ形積層コンデンサ(50)の両端部に存在する外部電極(51,52)の最外側端面間の距離(L3)が、起立した舌片部の自由端部の距離(L2)より短い場合において、前記金属板に切り欠かれることなく残った帯状フレーム部(F)の途中を屈曲加工して、互いに相対峙する舌片部の自由端部間の間隔を調節する第七工程を前記第三工程と第四工程との間に挿入することを特徴とする導電脚体付きチップ形積層コンデンサの製造方法。
【請求項14】
次の各工程からなる導電脚体付きチップ形積層コンデンサの製造方法。
(1)金属板(M)に多数個の舌片部(11)を2列に、しかもそれらの自由端部(12)が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成するとともに、前記自由端部の一部分を前記金属板の表面又は裏面側に曲げ加工できるように、前記自由端部に変形加工を施して変形加工片を形成する導電脚体形成用第一前駆物体(10)を成形する第一工程、
(2)前記変形加工片を前記金属板の表面又は裏面側に曲げ加工して前記自由端部から突出させて係止片(43)にした後、前記舌片部をその途中で90度よりやや小さい角度(α)を以って前記係止片の向きと反対の向きに曲げ形成して、前記自由端部を同舌片部以外の金属板であるフレーム部(F)の水平面から起立させることにより、各列の自由端部
同士を互いに相対峙させて導電脚体形成用第二前駆物体(20)を得る第二工程、
(3)前記フレーム部を弾性変形させることにより前記自由端同士を末広がり状に変位させた後、互いに相対峙する自由端部間にチップ形積層コンデンサ(50)を挟持させるとともに、該チップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極(51,52)を前記係止片に係止させる第三工程と、
(4)前記外部電極と舌片部とを接合して、それらを通電可能にする第四工程、
(5)前記第二前駆体にある複数対の舌片部間に前記第三工程及び第四工程を施して、前記第二前駆体に積層コンデンサが固定された第第三前駆体を製作する第五工程、
(6)前記フレーム部を横断・分離して、チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極に対して、側面がL字形の導電脚体(4)を接合することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサ(60)を完成する第六工程。
【請求項15】
前記チップ形積層コンデンサ(50)の両端部に存在する外部電極(51,52)の最外側端面間の距離(L3)が、一対の舌片部間の距離(L2)より短い場合において、次の第七工程を、前記第二工程と第三工程の間に介在させることを特徴とする請求項7記載の導電脚体付きチップ形積層コンデンサ()の製造方法;前記第一工程において複数対の舌片部()を形成したとき、金属板(M)に切り欠かれることなく残った帯状フレーム部(F)の途中を屈曲加工して、相対峙する舌片部の自由端部間の間隔を調節して、それらの自由端部をチップ形積層コンデンサの外部電極に当接させる第七工程。
【請求項16】
前記第一工程における前記チップ形積層コンデンサ(50)の両端部に存在する外部電極(51,52)の最外側端面間の距離(L3)が、起立した舌片部の自由端部(12)の距離(L2)より短い場合において、前記金属板(M)に切り欠かれることなく残った帯状フレーム部(F)の途中を屈曲加工して、互いに相対峙する舌片部(12)の自由端部間の間隔を調節する第七工程を前記第三工程と第四工程との間に挿入することを特徴とする導電脚体付きチップ形積層コンデンサの製造方法。
【請求項1】
チップ形積層コンデンサ(50)の両端部にある外部電極(51,52)に側面形状が略L字形をなす導電脚体(4)を、その垂直部(41)を介して、接合するとともに、同じく導電客体の水平部(42)が外方向きにしてなる導電脚体付き積層コンデンサにおいて、前記垂直部に前記外部電極を支承する係止片を設けたことを特徴とする脚体付き積層コンデンサ。
【請求項2】
前記係止部が、湾曲端を備えたU字形の切欠き(14)又は円形若しくは楕円形の透孔であり、前記湾曲端が前記チップ形積層コンデンサ(50)の外部電極(51,52)の外側端面と線接触可能になっている請求項2記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項3】
前記係止部が、前記外部電極(51,52)を下方から支える係止片(22)である請求項2記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項4】
金属板(M)に多数個の舌片部(11)を、少なくとも2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部(12)が互いに相対峙かつ相近接するように、切欠き形成するとともに、前記舌片部をその途中で折り曲げ加工してチップ形積層コンデンサ(50)を電子基板上で支える導電脚体(4)としたとき、前記自由端部が前記チップ形積層コンデンサの外部電極(51,52)を係止するよう、該自由端部にチップ形積層コンデンサの外部電極を係止する係止部を設けたことを特徴とするチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項5】
前記係止部が、湾曲端を備えたU字形の切欠き(14)又は円形若しくは楕円形の透孔であり、前記湾曲端が前記チップ形積層コンデンサ(50)の外部電極(51,52)の外側端面と線接触可能になっている請求項4記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項6】
前記係止部が、前記外部電極(51,52)を下方から支える係止片(43)である請求項4記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項7】
金属板(M)に多数個の舌片部(11)を、少なくとも2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部(12)が互いに相対峙かつ相近接するように、切欠き形成した後、前記舌片部をその途中で折り曲げ加工して前記自由端部を起立させることにより、電子基板上でチップ形積層コンデンサ(50)を支えるための導電脚体(4)としたとき、その導電脚体の自由端部が前記チップ形積層コンデンサの外部電極(51,52)を係止するよう、前記自由端部にチップ形積層コンデンサの外部電極を係止可能にする係止部を設けたことを特徴とするチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項8】
前記係止部が、湾曲端を備えたU字形の切欠き(14)又は円形若しくは楕円形の透孔であり、前記湾曲端がチップ形積層コンデンサ(50)の外部電極(51,52)の外側端面と線接触可能になっている請求項7記載のチップ形積層コンデンサの外部電極に溶接固定するための導電脚体形成用前駆体。
【請求項9】
前記係止部が、前記外部電極(51,52)を下方から支える係止片(43)である請求項7記載のチップ形積層コンデンサの導電脚体形成用前駆体。
【請求項10】
前記金属板(M)が帯状をなしている請求項5又は請求項7記載のチップ形積層コンデンサ導電脚体形成用前駆体。
【請求項11】
前記垂直部(41)と前記水平部(42)とのなす屈曲角(α)が90度より僅かに小さい鋭角である請求項7記載のチップ形積層コンデンサ。
【請求項12】
次の各工程からなる導電脚体付きチップ形積層コンデンサ()の製造方法。
(1)金属板(M)に多数個の舌片部(11)を2列に、しかも該舌片部の先端部位にある自由端部(12)が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成する導電脚体形成用第一前駆物体(10)を成形する第一工程、
(2)前記舌片部をその途中で90度よりやや小さい鋭角で曲げ形成して、その自由端部を、同舌片部以外の金属板であるフレーム部(F)の水平面から起立させて、各列の自由端部同士を互いに相対峙させる導電脚体形成用第二前駆物体(20)を成形する第二工程、
(3)前記第二前駆体を表裏反転させて、各列において互いに相対峙する一対の舌片部間にチップ形積層コンデンサ(50)の両端部を挟持させることにより、該両端部にある外部電極(51,52)と前記舌片部とを接触させる第三工程、
(4)前記外部電極と舌片部とを接合して、それらを通電可能にする第四工程、
(5)前記第二前駆体にある複数対の舌片部間に前記第三工程及び第四工程を施して、前記第二前駆体に積層コンデンサが固定された第三前駆体(30)を製作する第五工程、
(6)前記フレーム部を横断・分離して、チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極に対して、側面がL字形の導電脚体を接合することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサ(60)を完成する第六工程。
【請求項13】
前記第一工程における前記チップ形積層コンデンサ(50)の両端部に存在する外部電極(51,52)の最外側端面間の距離(L3)が、起立した舌片部の自由端部の距離(L2)より短い場合において、前記金属板に切り欠かれることなく残った帯状フレーム部(F)の途中を屈曲加工して、互いに相対峙する舌片部の自由端部間の間隔を調節する第七工程を前記第三工程と第四工程との間に挿入することを特徴とする導電脚体付きチップ形積層コンデンサの製造方法。
【請求項14】
次の各工程からなる導電脚体付きチップ形積層コンデンサの製造方法。
(1)金属板(M)に多数個の舌片部(11)を2列に、しかもそれらの自由端部(12)が互いに相対峙かつ相近接するように切欠き形成するとともに、前記自由端部の一部分を前記金属板の表面又は裏面側に曲げ加工できるように、前記自由端部に変形加工を施して変形加工片を形成する導電脚体形成用第一前駆物体(10)を成形する第一工程、
(2)前記変形加工片を前記金属板の表面又は裏面側に曲げ加工して前記自由端部から突出させて係止片(43)にした後、前記舌片部をその途中で90度よりやや小さい角度(α)を以って前記係止片の向きと反対の向きに曲げ形成して、前記自由端部を同舌片部以外の金属板であるフレーム部(F)の水平面から起立させることにより、各列の自由端部
同士を互いに相対峙させて導電脚体形成用第二前駆物体(20)を得る第二工程、
(3)前記フレーム部を弾性変形させることにより前記自由端同士を末広がり状に変位させた後、互いに相対峙する自由端部間にチップ形積層コンデンサ(50)を挟持させるとともに、該チップ形積層コンデンサの両端部にある外部電極(51,52)を前記係止片に係止させる第三工程と、
(4)前記外部電極と舌片部とを接合して、それらを通電可能にする第四工程、
(5)前記第二前駆体にある複数対の舌片部間に前記第三工程及び第四工程を施して、前記第二前駆体に積層コンデンサが固定された第第三前駆体を製作する第五工程、
(6)前記フレーム部を横断・分離して、チップ形積層コンデンサの両端部に存在する外部電極に対して、側面がL字形の導電脚体(4)を接合することにより、導電脚体付きチップ形積層コンデンサ(60)を完成する第六工程。
【請求項15】
前記チップ形積層コンデンサ(50)の両端部に存在する外部電極(51,52)の最外側端面間の距離(L3)が、一対の舌片部間の距離(L2)より短い場合において、次の第七工程を、前記第二工程と第三工程の間に介在させることを特徴とする請求項7記載の導電脚体付きチップ形積層コンデンサ()の製造方法;前記第一工程において複数対の舌片部()を形成したとき、金属板(M)に切り欠かれることなく残った帯状フレーム部(F)の途中を屈曲加工して、相対峙する舌片部の自由端部間の間隔を調節して、それらの自由端部をチップ形積層コンデンサの外部電極に当接させる第七工程。
【請求項16】
前記第一工程における前記チップ形積層コンデンサ(50)の両端部に存在する外部電極(51,52)の最外側端面間の距離(L3)が、起立した舌片部の自由端部(12)の距離(L2)より短い場合において、前記金属板(M)に切り欠かれることなく残った帯状フレーム部(F)の途中を屈曲加工して、互いに相対峙する舌片部(12)の自由端部間の間隔を調節する第七工程を前記第三工程と第四工程との間に挿入することを特徴とする導電脚体付きチップ形積層コンデンサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−130954(P2008−130954A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316586(P2006−316586)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(591149089)株式会社MARUWA (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(591149089)株式会社MARUWA (35)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]