説明

小型カードアダプタ

【課題】 従来の小型カードアダプタは動作周波数が異なる小型カードには対応しておらず、所定の動作周波数で動作するため、情報機器とアダプタ間のデータ転送速度は高速になっても、小型カードとアダプタ間のデータ転送速度は従来の速度のままとなり、動作周波数を高くした小型カードの特性を十分に生かすことができていなかった。
【解決手段】 小型カードを装着する接続手段1と、装着された前記小型カードの種類・バージョンを識別する小型カード識別手段と、識別された小型カードの種類・バージョンに基づいて小型カードに供給する動作周波数を変更する変更手段と、情報機器が発行したドライバ命令を受け取りそのドライバ命令を前記小型カードへ転送する転送手段とを具備することで、最適な動作周波数で小型カードが利用可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種類・バージョンによって異なる動作周波数をもつ小型カードが装着される小型カードアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型カードは、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistance)およびハンディターミナルなどに利用されている。デジタルカメラでは、PCカードATA規格インターフェイスに準拠しないSD(Secure Digital)メモリーカードなどが小型メモリーカードとして各種データを保存するために頻繁に利用され、この小型カードに保存された各種データをパーソナルコンピュータが読み書きできるようにするための16ビット小型カードアダプタやUSBタイプの小型カードリーダライタもよく利用されている。
【0003】
異種類の小型カードを1つの挿入口に装着することが可能な、所謂ツーインワン型アダプタやスリーインワン型アダプタでは、一般的に異種類の小型カードの判別は小型カードがもつ端子部の電気的接触およびカード検出回路によって行われ、小型カードの種類に最適な動作周波数をコントローラが小型カードに供給する手法がとられている。(例えば、特許文献1参照)
また、これまで小型カードは記憶容量が小さいため、一般ファイルや静止画の保存用として利用されることが多かったが、今日では大容量化が進み、動画保存用にも良く利用されている。一方、小型カードのデータ転送速度を向上させるため、動作周波数を高くした小型カードが開発されている。
【特許文献1】特開2003−178269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の小型カードアダプタでは、動作周波数を高くした高速な小型カードのインターフェイスに対応していないため、高速な小型カードのデータ転送パフォーマンスが十分発揮できず、小型カードアダプタがボトルネックとなりデータ転送速度が低速になってしまう欠点を有していた。
【0005】
また、データ転送速度を高めるためにPC Card Standardで定められているCardBus PC Card Electrical Interfaceを備えた小型カード用のCardBus小型カードアダプタやUSB2.0対応の小型カードリーダライタなども発売されているが、動作周波数を高くした(例えば50MHz)小型カードには対応しておらず、小型カードは従来の動作周波数(例えば25MHz)で動作するため、情報機器とアダプタ間のデータ転送速度は高速になっても、小型カードとアダプタ間のデータ転送速度は従来の速度のままとなり、動作周波数を高くした小型カードの特性を十分に生かすことができていない。
【0006】
また、ツーインワン型アダプタやスリーインワン型アダプタでは動作周波数は固定されているため、小型カードの種類が同じでもバージョンによって最適な動作周波数が異なる場合においては最適な動作周波数に変更することができない。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、小型カードアダプタに挿入された小型カードの種類・バージョンを判別し、ドライバにて最適な動作周波数を選択することにより、小型カードの性能を十分に引き出し、正常に動作させることができるように
する。また加えて、電気的接触やカード検出回路を必要としないため、製造コストを安くする小型カードアダプタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の小型カードアダプタは、小型カードを装着する接続手段1と、装着された前記小型カードの種類・バージョンを識別する小型カード識別手段と、識別された小型カードの種類・バージョンに基づいて小型カードに供給する動作周波数を変更する変更手段と、情報機器が発行したドライバ命令を受け取りそのドライバ命令を前記小型カードへ転送する転送手段とを具備することを特徴とする。これにより、従来の小型カードだけでなく、動作周波数を高くしたデータの転送転送が可能な小型カードにおいてもその特性を充分に引き出すことが可能となる。
【0009】
また、小型カード識別手段と変更手段と転送手段とをコントローラに具備したことを特徴とする。単一のコントローラにこれらの機能を集約することでコンパクトな小型カードアダプタを提供できる。
【0010】
また、SD(Secure Digital)カード、SDIO(Secure Digital Input Output)カード、SDメモリーカード、SD無線LANカード、SDカード型PHS端末、SDBluetoothカード、メモリースティック、メモリースティックDUO、メモリースティック型IOカード、メモリースティック型無線LANカードを接続手段1により装着することができるので、ユーザーにとって使いやすい小型カードアダプタを提供できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、小型カードアダプタに挿入された小型カードの種類・バージョンを確認し、最適な動作周波数を選択することにより、従来の小型カードだけでなく、動作周波数を高くしたデータの高速転送が可能な小型カードにおいても、小型カードの特性を十分に引き出すことが可能となり、従来の小型カードアダプタよりも格段に速くデータの読み書きが可能となる。また、小型カードの種類・バージョンの確認および最適な動作周波数の選択をドライバソフトウェアで行うため、今後出現する小型カードについてもドライバソフトウェアのみを変更することで対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施例における小型カードアダプタを示すものである。図1において、小型カードアダプタは、主に110、111、112、113、114、115、116の部品で構成される。111は情報機器117と接続するためのCardBus
PC Card Electrical Interface用のコネクタ(接続手段2)、113は小型カードアダプタと小型カード119を接続するためのコネクタ(接続手段1)、112は小型カードアダプタと小型カード119との接続をスムーズに行うためのガイドである。コントローラIC110は、コネクタ113に接続された小型カード119とコネクタ111に接続された情報機器とCardBus PC Card Electrical Interfaceを制御するためのものである。
【0014】
情報機器117に組み込まれたデバイスドライバソフトウェア118から発行されたドライバ命令はコントローラIC110のプログラム部分116によって小型カード119の種類・バージョンの読込手段、小型カード119に供給する動作周波数の変更手段、および小型カード119へのドライバ命令転送手段、制御手段などの各種制御は実行されている。114はコントローラIC110を動作させるための周辺回路部品である。
【0015】
図2は、小型カードが挿入される前の状態の小型カードアダプタを示すものである。
【0016】
図3は、小型カードが挿入された状態の小型カードアダプタを示すものである。
【0017】
図4は、小型カードが挿入された状態の小型カードアダプタと情報機器及びデバイスドライバソフトウェアの接続を模式的に表した物である。
【0018】
図5は、本発明の小型カードアダプタの動作を表すフローチャートを表すものである。
【0019】
本実施の形態において、SDメモリーカードに代表されるバージョンによって動作周波数が異なる小型カードが、小型カードアダプタに挿入された場合について図5を用いて本発明の小型カードアダプタの動作を以下に詳しく説明する。ここで、図5のフローチャート内の202から204を通って207への流れ、202から204を通って206への流れにおいて小型カード、小型カードアダプタ、情報機器のデバイスドライバソフトウェアの3者で小型カードの識別を行っており、コントローラーIC110内の小型カード識別手段のみで小型カードの識別を行っているものではない。
【0020】
200で、本発明の小型カードアダプタに小型カードが挿入される。挿入後は、図3の形態となる。次に、201で本発明の小型カードアダプタを、CardBus PC Card Electrical Interfaceを持つ情報機器117に挿入する。
【0021】
次に、小型カード識別手段について説明する。202にて情報機器にあらかじめ組み込まれたデバイスドライバソフトウェア118が小型カード119の種類・バージョンを取得するコマンドを小型カードアダプタに対して発行する。203にて、202で発行されたドライバ命令を受け取ったコントローラIC110は、小型カード119に対し、小型カードの種類・バージョンを小型カード119から取得し、情報機器に対し小型カードの種類・バージョンを転送する。
【0022】
次に、204にてデバイスドライバソフトウェアが203にて得た小型カードの種類・バージョンを識別し、小型カードの種類・バージョンに応じて最適な動作周波数を選択する。そして、小型カードの種類・バージョンに合わせ、205にて、デバイスドライバソフトウェア118が小型カードアダプタに対して、小型カードへ供給する動作周波数を変更するドライバ命令を発行する。206にて205で発行されたドライバ命令を受け取ったコントローラIC110は、小型カードへ供給する動作周波数を最適なものに変更する。
【0023】
ここで、小型カード119への命令(小型カード命令)は、ドライバソフトウェアが作成したものをコントローラIC110にて分離して小型カード119へ発行しても良いし、ドライバソフトウェアからのドライバ命令に基づきコントローラIC110にて作成して小型カード119へ発行しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明にかかる小型カードアダプタは、小型カードの種類・バージョンによって、最適な動作周波数をドライバで選択することが可能となり、小型カードの性能を十分に引き出し、正常に動作させることができるようになる。したがって、動作周波数を高くした小型カードにも対応することが可能となり、動作周波数が従来と異なる小型カードの性能を十分に生かすことが可能となる。すなわち、小型カードとアダプタ間のデータ転送速度も高速化することが可能となり、肥大化する小型メモリーカードの記憶データを転送する小型カードアダプタ及び小型カードリーダライタなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】小型カードアダプタ主要部品構成図
【図2】小型カード挿入前の小型カードアダプタの模式図
【図3】小型カード挿入状態の小型カードアダプタの模式図
【図4】小型カードアダプタと情報機器との接続模式図
【図5】挿入時の動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0026】
110 コントローラIC
111 CardBus PC Card用のコネクタ(接続手段2)
112 ガイド
113 小型カードを接続するコネクタ(接続手段1)
114 周辺回路部品
116 プログラム部分
117 情報機器
118 デバイスドライバソフトウェア
119 小型カード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型カードを装着する接続手段1と、装着された前記小型カードの種類・バージョンを識別する小型カード識別手段と、識別された小型カードの種類・バージョンに基づいて小型カードに供給する動作周波数を変更する変更手段と、情報機器が発行したドライバ命令を受け取りそのドライバ命令を前記小型カードへ転送する転送手段とを具備することを特徴とする小型カードアダプタ。
【請求項2】
小型カード識別手段と変更手段と転送手段とをコントローラに具備したことを特徴とする請求項1に記載の小型カードアダプタ。
【請求項3】
SDカード、SDIOカード、SDメモリーカード、SD無線LANカード、SDカード型PHS端末、SDBluetoothカード、メモリースティック、メモリースティックDUO、メモリースティック型IOカード、メモリースティック型無線LANカードを接続手段1により装着することができる請求項1に記載の小型カードアダプタ。
【請求項4】
小型カードの種類・バージョンを識別するデバイスドライバソフトウェアを用いる請求項1に記載の小型カードアダプタ。
【請求項5】
コントローラは、情報機器に組み込んだデバイスドライバソフトウェアが発行した小型カードの種類・バージョンを取得するドライバ命令を受け、小型カードの種類・バージョンを取得する小型カード命令を小型カードに発行する請求項2に記載の小型カードアダプタ。
【請求項6】
コントローラは、情報機器に組み込んだデバイスドライバソフトウェアが発行した小型カードの種類・バージョンを取得する小型カード命令を含んだドライバ命令を受け、小型カード命令のみを小型カードに発行する請求項2に記載の小型カードアダプタ。
【請求項7】
コントローラは、情報機器に組み込んだデバイスドライバソフトウェアが発行した動作周波数変更命令を受け、小型カードに供給する動作周波数を変更する請求項2に記載の小型カードアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−92266(P2006−92266A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276836(P2004−276836)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】