説明

小型光学検出システム

本発明により、以下を含む検出システムが提供される:試料中の蛍光体を励起するのに十分な波長を有する励起光を生成する光源;励起光の経路に沿った第一の線に沿って配置される励起フィルターであって、光源からの励起光を透過する励起フィルター;第一の線に沿って配置されるビームスプリッターであって、励起フィルターによって透過された励起光を、ビームスプリッターの一つの側面上に配置されるミラーへ向けて第二の線に沿って反射し、かつ第二の線に沿って反射された発光を通過させるビームスプリッター;ビームスプリッターからの励起光を、第一および第二の線の双方に対して垂直である第三の線に沿って、試料中の蛍光体へと反射するように配置されるミラーであって、第三の線に沿って発せられた発光を、ビームスプリッターへ向けて第二の線に沿ってさらに反射するミラー;ビームスプリッターの第二の側面上に、第二の線に沿って配置される発光フィルター;ならびに発光フィルターによって透過された発光を検出する検出器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、内容が参照により本明細書に組み入れられる、2006年8月24日出願の米国特許仮出願第60/839,678号の恩典および優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に光学検出システム、とりわけ蛍光シグナルの検出のための小型光学検出システムに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ラボチップ(Lab-on-a-chip)システムは、薬物開発、病原体検出等のような様々な適用のために開発されている。これらのシステムは、生物学的または化学的試料を処理し、かつ標的分子もしくは粒子の定性的または定量的検出を提供する。そのようなシステムは、小型化された構成要素を使用し、かつ携帯型に設計され、現場での試料試験を可能にする。
【0004】
とりわけ、生物兵器、病原体、またはウイルスを検出するために現場使用を可能にする携帯型装置の必要性のため、定量PCRとも呼ばれるリアルタイムPCR法を含む、核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検出にとって有用な、新規のクラスの携帯型サーモサイクラーの開発がもたらされている。
【0005】
これらの携帯型検出システムにおいて、マスフロー、電気化学、および光学検出法を含む異なる検出技術が利用されている。蛍光シグナルの検出のような光学検出法は、強靭性、高いシグナル対ノイズ比、および感度のため、より頻繁に使用される。そのような方法は、リアルタイムPCR、キャピラリー電気泳動、および他の解析法などの適用のために不可欠である。
【0006】
蛍光シグナルの検出のための光学システムは、典型的に以下の構成要素からなる:適切な波長での発光のための光源、望ましくない光を除去するための励起フィルター、励起および発光波長を分離するためのダイクロイックミラー、励起波長を抑制するための発光フィルター、ならびに下流の電子機器を伴う検出器。
【0007】
研究用の装置において使用される光学検出システムにおいて一般に使用される光源は、水銀ランプ、金属ハロゲンランプ、レーザー、およびより最近では発光ダイオード(LED)である。水銀ランプは、高出力および広範な発光スペクトルを有する。レーザーもまた高出力を有し、かつ単色光であるため発光フィルターを必要としない。
【0008】
LEDは代替光源よりも実質的に安価であり得るため、普及している光源である。またLEDはその長い寿命のため、レーザーよりも優れている。LEDはまた、LEDの光出力が変調され得るという事実のため、都合のよい光源である。LEDはわずか数ミリメートルの直径および長さであるため、リアルタイムPCRに関して使用されるもののような携帯型システムに一体化され得る。
【0009】
しかしながら、方向性のない(undirected)蛍光発光全体は、これらの装置に典型的に組み入れられている比較的小型の検出器によって完全には受信されない傾向があるため、高利得光学検出器が必要とされる傾向がある。蛍光光学検出システムにおいて使用される最も普及している検出器は、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード、光子計数モジュール(PCM)、または電荷結合素子(CCD)である。これらの検出器は、複雑、嵩高い、または高価であり得、かつ通常、例えば完全な暗闇または冷却中での操作のような、特別な操作条件が必要とされる。
【0010】
したがって、設計が簡素でかつ手持携帯型装置における使用のために小型である、蛍光シグナルを検出するための改善された光学検出システムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、例えば試料中に含まれる蛍光体からの蛍光シグナルを検出するための検出システムに関する。検出システムが適切な寸法、すなわち手持ち式装置内に包含するための小型実装面積で製造され得るように、検出システム内部の部品配置が設計される。
【0012】
検出システムは、例えばLED光源のような変調光源、励起フィルター、ビームスプリッター、発光フィルター、1つまたは複数の合焦レンズおよび光検出器を含む。
【0013】
検出システムは従来型ミラーを含み、かつビームスプリッターおよび従来型ミラーの組み合わせが、光源および検出器が同一平面内に配置され得るような様式で励起光ビームおよび発光ビームを反射するように使用される。都合のよいことには、試料は、異なる平面に位置付けられてもよい。例えば検出システムは、互いが実質的に直角に配置される、光源および検出器と共に構成されてもよい。励起および発光ビームを方向付けるためのダイクロイックミラーのような、ビームスプリッターと従来型ミラーの組み合わせ、および結果として得られる光源と検出器の配置によって、検出システムの構成要素の小型配置がもたらされ、検出システムが容易に小型化され、かつ手持ち式ラボチップ装置内への包含に適するようになる。
【0014】
したがって、1つの局面においては、以下を含む、蛍光シグナルを検出するための検出システムが提供される:試料中の蛍光体を励起するのに十分な波長を有する励起光を生成する光源;励起光の経路に沿った第一の線に沿って配置される励起フィルターであって、光源からの励起光を透過する励起フィルター;第一の線に沿って配置されるビームスプリッターであって、励起フィルターにより透過された励起光を、ビームスプリッターの1つの側面上に配置されるミラーへ向けて第二の線に沿って反射し、かつ反射される発光を第二の線に沿って通過させるビームスプリッター;ビームスプリッターからの励起光を、第一および第二の線の双方に対して垂直である第三の線に沿って試料中の蛍光体へと反射するように配置されるミラーであって、第三の線に沿って発せられた発光を、ビームスプリッターへ向けて第二の線に沿ってさらに反射するミラー;ビームスプリッターの第二の側面上に、第二の線に沿って配置される発光フィルター;ならびに発光フィルターによって透過された発光を検出する検出器。
【0015】
別の局面においては、以下を含む、蛍光シグナルを検出するための検出システムが提供される:試料中の蛍光体を励起するのに十分な波長を有する励起光を生成する光源;励起光の経路に沿った第一の線に沿って配置される励起フィルターであって、光源からミラーへ向けて励起光を透過する励起フィルター;第二の線に沿って配置される発光フィルター;第一および第二の線の双方に対して垂直である第三の線に沿って、試料中の蛍光体へ励起光を反射するように配置されるミラーであって、第三の線に沿って発せられた発光を、発光フィルターへ向けて第二の線に沿ってさらに反射するミラー;ならびに発光フィルターにより透過された発光を検出する検出器。
【0016】
検出システムは、例えば赤/青/緑(RGB)LEDのような多色光源を使用し、かつ単純な単一バンドパスフィルターを、複素トリプルバンドパスフィルターと置換することによって、1つより多い光学チャンネルへ容易に拡張され得る。そのような構成により、三つの異なる蛍光体または蛍光色素を同時に検出することが可能になる。この場合においては、各単一色は、一つのフォトダイオードのみを検出器として使用するかまたは位相偏移(phase-shifting)を使用することを通して、異なる周波数を適用することにより、個々に変調かつ復調されてもよい。正の、負の、または内部対照のために、ならびにインサイチュー温度モニタリングのために、さらなるチャンネルが使用されてもよい。
【0017】
本検出システムは、リアルタイムPCRもしくは逆転写(RT)-PCR、リアルタイム核酸配列ベース増幅(NASBA)、リアルタイム全ゲノム増幅(WGA)、リアルタイムローリングサークル増幅(RCA)、リアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、リアルタイム酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、リアルタイム蛍光免疫測定法(FIA)、またはリアルタイム生物発光および化学発光アッセイにおける使用のための装置を含む、小型化が望まれる携帯型装置において使用されてもよい。
【0018】
したがって、さらなる局面においては、以下を含むサーモサイクラー装置が提供される:本明細書に記載される検出システム;蛍光体を含む試料を収容するための試料ポートであって、検出システムから反射される励起光と、同一直線上に試料を位置させるように配置される試料ポート;試料を加熱するための、試料収容ポートに隣接して配置される加熱器;加熱器の温度を検出するための、加熱器に接続される温度感知器;検出システムにより検出される蛍光シグナルを処理するための、検出システムに接続される蛍光シグナルプロセッサー;データの入力または出力のためのユーザーインターフェースモジュール;および装置に電力を供給するための電源。
【0019】
本発明の他の局面および特徴は、添付の図面と共に、以下に続く本発明の特定の態様の記載を検討することにより当業者にとって明確になると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面においては、本発明の態様が例示的にのみ示される。
【0021】
【図1】本発明の態様の、例示的な光学検出システムの略図である。
【図2】単一フォトダイオードの検出器による検出のために変調かつ復調された多重LED光源を有する検出システムと共に使用するために適切な、電気回路模式図である。
【図3】図1に示される検出システムと共に使用するために適切な、電気回路の模式図である。
【図4】図1に示される検出システムを組み入れた、サーモサイクラー装置の模式図である。
【図5】金属ハウジング中に構築された一体型検出システムの写真であり、LED光源および合焦レンズの位置、ならびにフォトダイオード検出器が搭載された前置増幅器の位置を示す。
【図6】フルオレセインからの蛍光シグナルを検出するために、図1の検出システムを使用した実験から得られた25℃での蛍光強度を示すグラフである。
【図7】図1の検出システムを組み入れたサーモサイクラーを使用して産生された、鳥インフルエンザウイルスHA遺伝子の増幅PCR産物に対して遂行された融解曲線を示すグラフである。
【図8】ハウジングなし(上部パネル)およびハウジングあり(下部パネル)の、図1の検出システムを組み入れた、サーモサイクラー装置の態様の写真である;矢印(上部パネル)はPCR増幅が起こる油被覆液滴(実際の反応チャンバー)を示す。
【図9】光学検出システムの態様の断面図および透視図を示す。
【図10】図1の検出システムおよび6-FAM加水分解プローブを組み入れた小型化されたサーモサイクラー装置を使用して、リアルタイムPCR増幅から得られたデータのグラフである。
【図11】H5N1鳥インフルエンザウイルスを検出するために、図1の検出システムとSYBR Green Iベースのプロトコールとを組み入れた小型化されたサーモサイクラー装置を使用して、リアルタイムPCR増幅から得られたデータのグラフである。
【図12】小型化されたサーモサイクラー装置の態様の完全型システムの模式図であり、本発明の態様の例示である;上部パネルは熱管理を示し、中央パネルは光学シグナル処理装備を示し、かつ下部パネルは制御システムを示す。
【図13】H5N1鳥インフルエンザウイルスを検出するために、図11に示された小型化されたサーモサイクラー装置とSYBR Green Iベースのプロトコールとを使用したリアルタイムRT-PCR増幅の蛍光プロファイル、および融解曲線解析である;単一PCRサイクルの温度プロファイルを挿入図として示す。
【図14】サイクル数の関数としてかつバックグラウンドに対して正規化された、72℃区分での伸張段階の最終5秒の蛍光シグナルの平均振幅のプロットのグラフである。
【図15】1℃s-1の加熱速度を用いて実施された、増幅PCR産物の融解曲線解析のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
蛍光シグナルの検出のための、例えば試料中に含まれる蛍光体からの蛍光シグナルの検出のための光学検出システムが本発明において提供される。その設計形状のため、検出システムは容易に小型化され得る。
【0023】
検出システムは、全てが小型形態に配置される、例えばLED光源のような光源、1つまたは複数の励起フィルター、1つまたは複数のビームスプリッター、1つまたは複数の検出または発光フィルター、1つまたは複数の合焦レンズ、および光検出器を含んでもよい。
【0024】
とりわけ、検出システムの1つの例は、検出構成要素が単一平面内に位置するように、平面の外側に位置付けられる試料収容ポートと共に設計され、検出構成要素を試料収容ポートの上側または下側に積み重ねることが可能になる。したがって、検出システムは、ラボチップ手持ち式装置に包含するための小型ユニットとして設計することが可能であり、試料収容ポート中に保持される試料の操作または解析のために必要な任意の構成要素が、検出構成要素の平面の上側または下側に積み重ねられる。小型で軽量な構成要素との組み合わせにおいて、そのような設計形状により、検出システムに占有される領域を減少させることが可能となり、したがって、該検出システムを組み入れる任意の装置の寸法を減少させる。
【0025】
したがって、図1に示されるような1つの態様において、検出システム100は、光源112を含む。光源112は、蛍光体を含む試料との相互作用のために、励起光ビームと試料蛍光体との相互作用の結果として検出システム内部で最終的に検出される蛍光シグナルの生成のために、励起光ビームを発する。
【0026】
光源112は、試料中に含まれる蛍光体を励起する適切な波長の光を生成するための、任意の光源であってもよい。適切な光源の例は、水銀ランプ、レーザー、レーザーダイオード、ネルンストシュティフト(Nernst Stift)、金属ハロゲン電球、発光ダイオード(LED)を含む。検出システムが手持ち式装置中に含まれる場合には、LEDは軽量、小型でかつ安価なため、LEDが光源112として使用されてもよい。
【0027】
光源112は変調光源であってもよい。例えば、光源112は周波数および/または振幅において調節されてもよい。例えば光源112は変調されてもよく、したがって例えば、検出シグナルを復調することによって、環境光のような望ましくない光を排除することが可能になる。あるいは、光源112は、振幅の位相偏移により変調されてもよい。
【0028】
例えばLEDは市販されており、かつ単一色の光を発するかまたは多重色の光を発するかが選択され得る。とりわけ、470から490 nmの最大励起波長を有するターコイズLEDは、リアルタイムPCR適用に関して一般に使用される蛍光色素であるSYBR-Green I、Eva Green、または6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)のような蛍光体を励起するのに非常に適している。利用可能なLEDの一例は、可視光範囲において490 mmの最大波長を発する、ETG Corp.から入手可能なETG-5CE490-15である。
【0029】
任意で、励起光ビームが平行レンズ114を通過するように、平行レンズ114は光源112と一直線に配置されてもよい。励起光ビームを集中させるために適切な、任意の平行レンズが使用されてもよい。例えば、GELTECH(商標)成形非球面レンズ(Thorlabs, Inc.)のような市販のレンズが使用されてもよい。
【0030】
光源112によって生成される励起光ビームを、任意で平行レンズ114により平行化した後に励起フィルター116を通過させるために、光源112は、励起フィルター116と並列に配置される。励起フィルター116は、蛍光体を励起するために必要な波長の光を通過させるが、他の波長の光を遮断または減衰する任意のフィルターであってもよい。励起フィルター116はバンドパスフィルターであってもよく、かつそのようなフィルターは公知である。例えば、励起フィルターET470/40xは、Chroma Technology Corporationから入手可能である。
【0031】
平行レンズ114および励起フィルター116は、検出システム100の寸法をさらに減少させるために、かつシステムの光学性能を改善するために組み合わせられてもよい。そのような組み合わせレンズ/フィルターは、光源112に対して直接搭載されてもよく、光源112からの損失光量を減少させ、したがって、システムの効率を増加させる。例えば、Bruno et al., TRAC-Trend. Anal. Chem., 1994, 13:190-198を参照のこと。
【0032】
光源112から励起フィルター116を通る光学経路は、励起光ビームが伝導する第一の線を規定する。
【0033】
ビームスプリッター118は、第一の線に沿って励起フィルター116の背面に配置され、かつ励起フィルター116から発せられる際にフィルターにかけられた励起光ビームを反射するように配置され、第一の線に沿った経路に対して実質的に直角の、第二の線に沿った経路において、光源112からビームスプリッター118へとビームを反射する。
【0034】
ビームスプリッター118は、励起光ビームの波長の光を反射するが、発光ビームの波長の光はビームスプリッターを通過できるように選択される。ビームスプリッター118は、任意の適切なビームスプリッターであってよく、かつ例えば、ダイクロイックミラーであってもよい。典型的には、ダイクロイックミラーは所定の波長より短い(またはより長い)波長を有する光を反射し、かつ所定の波長より長い(またはより短い)波長を有する光を透過すると考えられる。特定の例においては、ビームスプリッター118は、Chroma Technology Corporationから入手可能なダイクロイックミラーT495LPであってもよい。
【0035】
従来型ミラー120は、ビームスプリッター118と一列に配置され、かつ入射励起光ビームに対して実質的に直角の、第三の線に沿った経路において、励起光ビームを反射する様式で傾斜される。したがって、第三の線は第一の線および第二の線により規定される平面に対して垂直である。したがって、励起光ビームは、ビームスプリッター118から、例えば試料中に含まれる蛍光体のような検出される蛍光体と光通信(optical communication)している試料収容ポート130へ向けて反射される。
【0036】
したがって、図1中に記載かつ示されるように、光源112、ビームスプリッター118、および従来型ミラー120の全ては、一般に同一平面内に位置する。一旦光源112により励起光が生成されると、励起光が、そのような平面に対して実質的に直角の方向に従来型ミラー120によって反射されるまでこの平面内を伝導するように、構成要素が配置される。
【0037】
合焦レンズ122は、励起光ビームが従来型ミラー120から反射されて、試料収容ポート130内部の検出される蛍光体が配置される位置へ伝導する際に、励起光ビームを集中させるように配置される。
【0038】
検出システム100を包含する装置に依存して、試料収容ポート130は、液体などの試料を許容するように、または管、スライドガラス、もしくは他の透明な容器もしくは試料保持表面を許容するように設計される試料チャンバーを含んでもよく、該試料は、検出される蛍光体を潜在的に含む。したがって、検出システム100は、少なくとも試料収容ポート130を試料中に浸漬することによって使用されてもよく、または検出システム100は、試料もしくは容器もしくは試料保持表面を試料収容ポート130中へ位置させることにより使用されてもよい。
【0039】
したがって、試料収容ポート130は、光源112、ビームスプリッター118、および従来型ミラー120によって規定される平面の、上側または下側に位置付けられる。
【0040】
励起光ビームが、検出される蛍光体と相互作用する場合に、蛍光体は励起光ビームからの光を吸収し、かつ通常はより長い波長を有する、励起光ビームとは異なる波長を有する光を発すると考えられる。発光ビームと呼ばれる発光は、従来型ミラー120へ逆伝導し、続いて蛍光体から従来型ミラー120への経路に対して実質的に直角の角度で、従来型ミラー120からビームスプリッター118へ逆反射される。ビームスプリッター118は、発光ビームの波長を有する光を透過するよう選択されるため、発光ビームは光源112へ向かって逆反射されるよりむしろ、ビームスプリッター118を通過する。
【0041】
発光フィルター124は、ミラー120の反対側のビームスプリッター118の第二側面上に配置される。発光フィルター124は、発光ビームの波長を有する光はフィルターを通過させるが、他の波長の光は減衰または実質的に遮断する任意のフィルターである。発光フィルター124は、例えばバンドパスフィルターであってもよい。例えば、発光フィルターET525/50mは、Chroma Technology Corporationから入手可能である。
【0042】
検出器126は発光フィルター124の背面に整列させ、発光フィルター124によりフィルターをかけた発光ビームを捕捉するために配置される。検出器126は、例えば光電子増倍管(PMT)、光子計数モジュール(PCM)、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、または電荷結合素子(CCD)のような、予測周波数を有する蛍光シグナルを検出し得る任意の検出器であってよい。とりわけ、検出器はフォトダイオードであり得る。フォトダイオードは、Siemens Inc.から入手可能なシリコンフォトダイオードBPW21を含み、市販されている。
【0043】
発せられた蛍光シグナルを適切に検出するために、高利得を有する検出器が利用されてもよい。あるいはとりわけ検出器126がフォトダイオードの場合には、検出器126によって生成される低振幅電流を増幅するために、増幅器128が検出システム100に含まれてもよい。したがって、増幅器128は検出器126と通信(communication)している。
【0044】
増幅器128は、例えば検出器126からのシグナルを変調/復調するロックイン増幅器であってもよい。小型ロックイン増幅器は公知であり、かつ例えばHauser et al., Meas. Sci. Technol., 1995, 6: 1081-1085に記載されている。
【0045】
上に記載の態様においては、光源112からビームスプリッター118への第一の線に沿った励起光ビームの経路は、ビームスプリッター118から従来型ミラー120への第二の線に沿った経路と実質的に直角である。しかしながら、光源とビームスプリッターについての検出器とを配置するために十分な空間が存在するという条件で、かつ様々な光経路が互いに干渉しないという条件で、前記角度が鋭角または鈍角であってもよいことは理解されると考えられる。第一の線と第二の線の間の角度の調整は、励起光ビームおよび発光ビームが、上に記載されるような適切な構成要素へ方向付けられるように、検出システム100の全ての必要な構成要素の調整を要することが、さらに理解されると考えられる。
【0046】
都合のよいことには、試料中の検出される蛍光体は、ビームスプリッター118からの光ビーム/ビームスプリッター118への光ビームと交差しない平面に都合よく位置する。この様式において、試料は、入射および反射ビームの光学経路の上側または下側の平面中の試料収容ポート130に位置されてもよい。この設計形状によって、試料収容ポート130を検出システム100中の残りの構成要素の上側または下側の空間体積へ移動させることによって、検出システム100の全体サイズを小型のままとすることが可能になる。この配置はまた、検出システム100がラボチップ手持ち式装置のような装置に包含される場合には、検出システム100を干渉することなく試料を操作するために必要とされる任意の装置構成要素の近傍にまたは隣接して試料ポート130が位置付けられ得る点において、好都合である。
【0047】
また上述のように、検出システムは、1つより多い光学チャンネルを含むように拡張されてもよく、単一試料中の複数の蛍光体を検出するために、または試料内部の内部対照をモニタリングするために有用である可能性がある。
【0048】
例えば、単一バンドパス励起および発光フィルターを多重バンドパスフィルターと置換することによって、赤/青/緑(RGB)LEDのような多色光源が、光源として使用され得る。あるいは、1つより多い単一LEDが使用されてもよく、単一LEDは、全てが同一周波数範囲もしくは色を有するか、または各々が異なる周波数範囲もしくは色を有するかのいずれかである。
【0049】
異なる光学チャンネル間のクロストークまたは干渉は、例えば異なる変調周波数を適用することによって、各々の光学チャンネルを個々に変調/復調することにより抑制され得る。したがって、各光源または光学チャンネルは、固有の復調器を用いて固有の周波数で変調され得る。
【0050】
蛍光シグナルの異なる周波数は、単一フォトダイオードを使用して異なる周波数を適用することによって別個に変調かつ復調され得るため、1つのフォトダイオードのみが検出器として必要とされると考えられる。
【0051】
図2は、三重の光学チャンネルシステムに関する電気回路を示し、各光学チャンネルは、固有の周波数で変調され、かつ各光学チャンネルに関して別個の復調器を有する。
【0052】
図3は、検出システム100を使用した光学蛍光励起および検出に関する電気回路の簡略化された模式図である。光源112(発光ダイオードLED1)は、トランジスタQ1により電流に変換される、パルス電圧発生器により生成される電流パルスにより、電力供給される。検出器126(フォトダイオードD1)によって検出される発光シグナルは、演算増幅器OA1により電圧に変換される。その出力電圧は、演算増幅器OA2により増幅され、復調器AD630によりフィルターをかけられ、その後にローパスフィルターが続く。
【0053】
上に記載された態様はビームスプリッターを含むが、励起光ビームおよび発光ビームが十分に異なり、光学的に相互干渉しない場合には、ビームスプリッターは検出システムから省かれてもよい。
【0054】
そのような態様においては、励起光ビームは、励起フィルターを通りミラーへと第一の線に沿った経路に沿って伝導し、かつ第一の線に対して垂直の経路に沿って合焦レンズを通ってミラーから試料ポートへと反射される。発光ビームは、試料ポートからミラーへと逆通過し、そこで、発光ビームは、第三の線に沿って位置するミラーから試料ポートへの経路に対しても垂直の、第二の線に沿って位置する発光フィルターおよび一列に並んだ検出器に向けて、ミラーによって反射される。例えば、第一の線および第二の線に沿った経路は、実質的に同一の線に沿って位置してもよく、または光源の隣に位置する検出器を用いて、小さい角度により分離されてもよい。
【0055】
例えば、様々な光ビームが、適切なフィルター、レンズ、および検出器を通るよう方向付けるために、検出システム100がビームスプリッターおよび従来型ミラーの組み合わせの使用を含むような非常に小型の様式中に、構成要素が配置され得るため、設計形状によって、検出システム100は容易に小型化される。LED光源およびフォトダイオード検出器のような、小型で軽量の構成要素の使用によっても、検出システムのサイズおよび重量の減少が可能になる。したがって、様々な態様においては、本検出システムは約30 mm×30 mm×11 mmの寸法を有するように製造され得る。
【0056】
そのような小型かつ軽量の検出システムは、携帯型手持ち式装置を含むラボチップ装置に含めるのに適している。したがって上述のように、光学検出システムは、リアルタイムPCRまたはRT-PCR、リアルタイム核酸配列ベース増幅(NASBA)、リアルタイム全ゲノム増幅(WGA)、リアルタイムローリングサークル増幅(RCA)、リアルタイムリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、リアルタイム酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、リアルタイム蛍光免疫測定法(FIA)、またはリアルタイム生物発光および化学発光アッセイを含む、様々な解析技術において生成される蛍光シグナルを検出する際の使用に適している。
【0057】
リアルタイムPCR技術は、PCR産物に共有結合的に結合するかまたは相互作用する蛍光体の蛍光検出に基づいて開発されている。従来型PCRと比較して、そのような方法によって、試験試料中の標的遺伝子の初期コピー数に関するさらなる情報が提供される。SARSおよび現時点での脅威である鳥インフルエンザウイルス(H5N1)など、近年の感染症の突発的な大発生のため、実に携帯型のリアルタイムPCRおよび/またはRT-PCRベースの装置は高需要である。
【0058】
PCR解析法の運転費用を下げ、かつPCR解析を携帯型にする試みにおいて、サーモサイクラー装置(PCR装置)は、マイクロマシニング技術を使用して首尾よく小型化されている。携帯型PCR装置は、最初1994年に報告され、かつ当初の発明者ら(Northrup et al., Anal. Chem., 1998, 70: 918-922)、ならびに他のグループ(Higgins et al., Biosens. Bioelectron., 2003, 18: 1115-1123)によって、さらなる進歩が遂げられている。
【0059】
それにもかかわらず、典型的なリアルタイムPCR蛍光検出システムは、依然として励起のために水銀ランプまたはレーザーを、および検出器として光電子増倍管(PMT)またはCCD装置を基盤としており、携帯型PCR装置をむしろ複雑にしている。またそのような装置は、比較的高価でかつ高電力需要を有する傾向があり、かつ検出される蛍光シグナルへの環境光の干渉を回避するために、光の非存在下でPCR増幅を遂行することが要求される。
【0060】
したがって、リアルタイムRT-PCRを含むリアルタイムPCRを遂行するために適切な、小型化されたサーモサイクラー装置もまた、本発明で提供される。小型化されたサーモサイクラー装置は携帯型であってもよく、かついつくかの態様においては、手持ち式サーモサイクラー装置であってもよい。
【0061】
図4に見られるように、1つの態様においては、サーモサイクラー装置200は、上に記載されるような検出システム100を含む。
【0062】
サーモサイクラー装置200はまた、PCRが実施される試料または混合物を収容するための試料収容ポート230も含む。試料収容ポート230は、PCR増幅が実施される適切な容器または表面を収容するための寸法を有している。例えば試料収容ポート230は、薄壁管またはスライドガラスを収容する適切なサイズおよび形態であってもよい。
【0063】
試料収容ポート230は、従来型ミラーから反射された励起光ビームが、試料収容ポート230中の試料へ透過され、かつ試料中に含まれる蛍光体から発せられた発光ビームが、検出システム100内部に含まれる従来型ミラーへ逆透過される位置において、試料を収容するように配置される。
【0064】
サーモサイクラー装置200は、リアルタイムPCRサイクルを実施する過程において要求される様々な温度まで試料を加熱するための加熱器232をさらに含む。加熱器232は、試料収容ポート230によって収容される試料の加熱を可能にするために、試料収容ポート230に隣接している。加熱器232は、例えば加熱板または金薄膜のような薄膜加熱器の形態であってもよい。
【0065】
PCRサイクルの様々な段階での加熱器232の温度を測定するために、温度検出器234が加熱器232へ連結される。温度検出器234は、例えば抵抗温度検出器であってもよい。
【0066】
サーモサイクラー装置200はまた、検出システム100からの蛍光シグナルを受信するために、およびユーザーインターフェースへの出力のためのシグナルを処理するために、蛍光シグナルプロセッサー236も含む。
【0067】
サーモサイクラー装置200は、検出システム100、加熱器232、および温度検出器234を制御し、かつ蛍光シグナルプロセッサー236からの情報を受信する、一体型コントローラー238を任意でさらに含んでもよい。あるいは、サーモサイクラー装置が手持ち式装置でない場合には、装置は、例えば該装置には含まれないパーソナルコンピューターのようなリモートコントローラーによって、制御されてもよい。
【0068】
サーモサイクラー装置200はまた、必要な電力を検出システム100の様々な構成要素、加熱器232、温度検出器234、蛍光シグナルプロセッサー236、およびコントローラー238へ供給するための、電源240を含む。サーモサイクラー装置200が手持ち式装置の場合には、電源240は電池であってもよい。
【0069】
サーモサイクラー装置200はまた、例えばタッチスクリーン、または例えばキーボードおよびディスプレイスクリーンなどの他のユーザーインターフェースコマンド入力モジュールからの入力を受信し、かつユーザーへデータを送達するためのユーザーインターフェースモジュール242を含む。
【0070】
上に記載される検出システムおよびサーモサイクラー装置の様々な態様は、以下に続く非限定的な実施例において記載される。
【0071】
実施例
実施例1
30 mm×30 mm×11 mmの寸法を有する小型化された蛍光システムが設計され、かつ試験された。
【0072】
検出システムの特徴は、蛍光色素フルオレセインの希釈系列を測定することにより決定された。検出限界は1.96 nmol/Lであることが見出され、これはリアルタイムPCR等の適用のためには十分すぎるほどである。
【0073】
光学検出システムは、励起および検出の2つの区画を有する。励起区画は、光源としてターコイズカラーLEDモデルETG-5CE490-15(ETG Corp)を含んだ。LEDは、6 cd(カンデラ)の光度および15°の視野角を伴う、490 nmの最大発光波長を有する。光源の視野角のため、強度損失(power loss)が光学経路全体に渡って観察された。したがって、光を平行化するため、縦フライスによってLEDプラスチックカバー上部をLED先端から0.5 mm切断した。続いて、酸化アルミニウム研磨用防水紙を用いて切断表面を平らにし、かつ従来型ダイアモンドペーストを用いて研磨した。
【0074】
LED光を平行化し、かつ試料に集中させるために、GELTECH(商標)成形非球面レンズ(Thorlabs, Inc.)を使用した。レンズは6.35 mmの直径、3.1 mmの焦点距離、および0.68の開口数(N.A.)を有する。第一レンズからの平行光を励振器ET470/40x(Chroma Technology Inc.)によってフィルターにかけ、ダイクロイックミラーT495LPによって反射し、従来型ミラーによって直角に方向転換(divert)させ、かつ第二のレンズによって関心対象の試料に集中させ、それによって480μmの直径を有する励起光の環状形態を形成した。
【0075】
第二レンズにより試料からの発光蛍光を収集することによって、検出経路を開始した。ダイクロイックミラーを通過する発光を、発光フィルターET525/50mによってフィルターにかけ、かつシリコンフォトダイオードBPW2I(Siemens, Inc.)によって収集した。ダイオードの放射感受性領域は、0.8の量子収量を有する7.34 mm2であり、10 nA/lx(1ルクス当たりのナノアンペア)の光学感度をもたらす。フォトダイオード(光電流)によって生成される対応電流を、フォトダイオードに隣に位置する演算増幅器によって処理した。
【0076】
安定かつ小型のシステムを形成するため、該システムの構成要素を、従来型ハウジングアプローチを使用して互いに機械的に接続した。増幅器を含む全ての光学構成要素のためのハウジングを、SolidWorks 2006プログラム(Solid Works Corp.)中で設計した。ハウジングのサイズは、30 mm×30 mm×11 mm(w×1×h)であった。続いてコンピューター数値制御(CNC)縦フライス法によって、アルミニウム合金AA 6060からハウジングを製造し、望ましくない内部反射を抑制するため電気化学的に黒染めした。
【0077】
図5は、金属ハウジング内に構築された一体型検出システムの写真であり、LED光源および合焦レンズの位置、ならびにフォトダイオード検出器が搭載された前置増幅器の位置を示す。フィルターおよび平行レンズは、写真では見えていない。
【0078】
全ての構成要素の光強度(optical power)減衰を、表1および表2に示されるように励起および発光方向の双方において測定した。
【0079】
(表1)蛍光検出システムの励起構成要素についての測定された光学特徴

【0080】
(表2)蛍光検出システムの検出構成要素についての測定された光学特徴

【0081】
蛍光検出システムの全体の光学透過は、励起および発光方向において、51%および56%であることが見出された。大多数の構成要素は、90%またはそれより高い効率を示した。システムの光学性能は、レンズとフィルターを組み合わせ、かつそれらをLEDおよびフォトダイオードへ直接搭載することによってさらに改善され得る。光学干渉数の減少に加え、そのようなアプローチはより小型の設計を可能とし、光学経路に沿った透過を増加させると考えられる。
【0082】
一般に光電流の振幅は低く、したがって、シグナル対ノイズ比を改善するための技術を施した。以前の検出システムに関しては、高感度装置に基づく直接的アプローチが記載されている(Rovati and Docchio, Rev. Sci. Instrum., 1999, 70: 3759-3764)。ここでは、シグナル処理チェーンにおいてシグナルを変調/復調する「ロックイン」増幅器を使用した(図2を参照)(Scofield, Am. J. Phys., 1994, 62: 129-133を参照)。まず、周波数fで光源(LED)を変調する。復調器はナローバンドパスフィルターとして作用し、周波数fのシグナルのみの通過を許容し、高いシグナル対ノイズ比および環境光に対する耐性をもたらす。
【0083】
1 kHzの周波数、10%の負荷サイクル、および100 mAの電流振幅を有する電流パルスによって、ターコイズカラーLEDに電力を供給した。これらのパルスは、単一タイマーNE555集積回路(ST Microelectronics, Inc.)によって生成し、標準的なバイポーラトランジスタがこれに続き、LEDに供給する所望の電流を達成させた。上に記載されるような光学システムを通して生成された光経路、および発せられた蛍光を、フォトダイオードによって検出した。
【0084】
フォトダイオードにより生成された光電流を、フィードバックループ中の3.3 MΩ抵抗器を有する超低バイアス電流演算増幅器OPAI29(Burr Brown, Inc.)によって電圧(I/V)へと変換した。光電流の各mAを、3.3 mVの出力電圧へと変換した。
【0085】
増幅器の出力電圧を単一ハイパスフィルターにより処理し、かつ第二ステージ演算増幅器OA2によって100の利得を用いて増幅した。ハイパスフィルターは、ロックイン増幅器の適切な機能に必要な、シグナルのDC構成要素を除去した。さらには、このフィルター処理はまた、環境光によるOA2の可能な飽和を除去した。
【0086】
続いて、参照としてLEDへ電力供給するパルスを使用した復調器AD630(Analog Devices, Inc.)によって、OA2の出力を処理した。復調器の出力を、4桁のローパスフィルターによりフィルターにかけた。ロックイン増幅器のこの構成は、参照LEDシグナルの周波数fあたりで、1.5 Hzのバンドパス幅を有するフィルターとして作用した。狭いバンドパスのため、システムは環境光および他のノイズ寄与因子に対して比較的非感受性である。
【0087】
蛍光システムの能力を実証するために、異なるフルオレセイン濃度を使用して一連の実験を遂行した。フルオレセインは、生物学的および生物化学的適用のために使用される最も普及している蛍光色素の1つであり、かつここでは以下に記載される実験中で使用される条件下において、無視できる退色効果を呈した。
【0088】
異なる濃度のフルオレセインを含む1μLの液滴を、小型化された蛍光検出システムの焦点面に搭載された全フッ素置換(perfluorinated)ガラス基体上部に位置させた。参照として、脱イオン(DI)水のみを含む対照試料を使用した。
【0089】
プローブした容量(probed volume)を推定するために、5μLから0.5μLまでの範囲に及ぶ、異なる容量の液滴を初めに使用した。蛍光シグナルの振幅は、液滴サイズによって影響されないことが観察され、したがって、プローブした容量は、0.5μLよりも小さいことが想定された。
【0090】
希釈系列を50μMの濃度から開始し、5 nMまで及んだ。蛍光シグナルの振幅を、ログスケールでの濃度の関数としてプロットした(図6を参照)。検出されたシステムのバックグラウンドノイズは、62.5 mVの値を有していた。外挿によって、フルオレセインの検出限界(LOD)は1.96 nMであることが見出された。
【0091】
図6は、25℃で実施された、水中でのフルオレセイン希釈系列を使用した検出限界を示す。黒塗りの正方形は、各々の濃度に関する6個の個別の測定値の平均値である;エラーバーは標準偏差を示す;実線は平均値に対する線形回帰(r2 = 0.999)である;水平実線は、62.5 +/- 1.4 mVのバックグラウンドを示す。3回のシグナル対ノイズ比(SNR3)は、4.2 mVである。線形回帰とSNR3を含むバックグラウンドとの交差は、小型化された蛍光検出システムのLODを示し、1.96 nMである。5.2 Vでの検出器の飽和によって、6.89 mMの濃度に相当する検出限界上限が決定される。
【0092】
検出システムの感度は、アバランシェフォトダイオードを組み入れることにより増加され得る。しかしながら、この解決策はより高価で、かつ電子機器にはより複雑な設計が要求されると考えられる。レーザー誘起蛍光法(LIF)を基盤とする、確立されたチップベースのキャピラリー電気泳動システムは、典型的に1 pM LODに到達する。この寄与において記載される装置は、1000倍高いLOD値を有する。それにもかかわらず、PMT13基盤の典型的な市販のPCRシステムは、約5 nMの感度限界を有するため、その感度はリアルタイムPCRの適用に使用するのに十分である。
【0093】
検出システムの適用性を実証するために、蛍光検出ユニットをPCRチップと一体化して小型化されたリアルタイムサーモサイクラーを創出し、かつ1μLの容量においてPCR産物の融解曲線解析を遂行した(図7を参照)。試料は蒸発を防止するために、3μLのミネラルオイルを用いて被覆された。
【0094】
図7は、インターカレーターとしてEvaGreen(Biotiom, Inc.)を使用して、鳥インフルエンザウイルスH5N1のHA遺伝子のリアルタイムPCRを遂行した後の、融解曲線解析の結果を示す。シグモイド関数に基づく、未処理データ(白抜きの円)の非線形フィッティング(実線)を遂行した。その負の導関数(破線)は、市販のサーモサイクラーによって測定されるものと近似(MJ Research, Inc.製のDNA ENGINE OPTICON 2(商標)による79.8℃)の79.5uCの半融解温度を示した。
【0095】
実施例2
上に記載される光学検出システムを組み入れ、マイクロマシン化されたシリコンから成る、小型化された経済的なリアルタイムPCRを作製した。
【0096】
ここでは、75 gの重量を有する7 cm×7 cm×3 cmの寸法を有する、または第二の態様においては、150 gの重量を有する10 cm(直径)×6 cm(高さ)の寸法を有する、小型で自動化されたリアルタイムRT-PCR装置を記載する。
【0097】
小型化された蛍光検出システム、およびシステムの操作に必要な全ての電子機器と共に、PCRユニットを一体化する。100 mAの最大振幅を用いた電流パルスによって、ターコイズ発光ダイオード(490 nmの最大励起波長)に電力を供給する。光学システムが環境光非依存的になるよう、フォトダイオードによって検出される光電流をロックイン増幅器により処理する。
【0098】
装置の電力消費は3 Wのみであるため、サーモサイクラー装置に電力供給するために、12 Ah電池が12時間まで使用され得る。サーモサイクラー装置の小型サイズおよびその電力消費のため、その携帯性を確実なものとする。
【0099】
図8は、サーモサイクラー装置の写真を示す;矢印(上部パネル)は、PCR増幅が起こる油被覆液滴を示す。
【0100】
リアルタイムPCRシステムは、接続器により連結される3個または4個のプリント回路基板(PCB)からなる。
【0101】
上部PCBは、薄膜金加熱器および温度感知器を含むマイクロマシン化されたPCRチップのホストとして作動する。光学検出システム(上に記載される)を、この基板上のPCRチップの直下に取り付ける。490 nmの最大発光波長を有する発光ダイオード(LED)を、光検出器としてのフォトダイオードと共に光源として使用する。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)フィルターセットを使用して、検出システム内部で光をフィルターにかけた。
【0102】
100 mAの振幅、1 kHzの周波数、および10%の負荷サイクルを有する電流パルスによって、光学検出システム内部のLEDに電力を供給する。フォトダイオードからの蛍光シグナルを、ハイパスフィルターによりフィルターにかけ、108倍に増幅し、かつロックイン増幅器中へ供給する。したがって、検出システムは環境光下において操作可能である。
【0103】
光学検出システムの断面を示す、光学ユニットの断面を図9に示す。光は、490 nmの波長のLEDによって生成し、青色フィルターを通過させ、ダイクロイックミラーにより方向転換させ、かつPCR試料上で集中させる(液滴内部、上記を参照)。試料から発せられる蛍光をレンズによって収集し、ダイクロイックミラーおよび緑色フィルターを通過させ、かつフォトダイオードによって検出する。
【0104】
蛍光ユニットのためのシグナル処理を、熱管理および蛍光データ処理のためのアナログ回路を含む第二のPCBで実施する。
【0105】
PCRシステムの温度を、AC電力供給されるホイートストーンブリッジ(Wheatstone bridge)に接続された一体型抵抗温度検出器(RTD)型の感知器によって測定する。このブリッジからのシグナルを増幅しかつ復調して、温度フィードバックに関するDC値を提供する。
【0106】
比例積分微分(PID)コントローラーを使用して、加熱器内部の放散電力の振幅を変調することによって、PCR温度を制御する。
【0107】
第三のPCBを単一電池または荷電器に接続し、かつ他の基板上のアナログおよびデジタルブロックのための、全ての必要な電力を生成する。
【0108】
サーモサイクラー装置は、例えばLABVIEW(商標)システムが搭載されたコンピューターによって制御されてもよい。
【0109】
あるいは、サーモサイクラー装置全体を完全自動化するよう、例えばモデルMC56F8013(Freescale Electronics, Inc.)のような、単一チップコントローラーを含む第四の基板が使用され得る。自動コントローラーとの通信は、結果も示されるタッチスクリーンディスプレイを介する。
【0110】
PCR増幅は、使い捨ての顕微鏡カバーガラス上で実行した。現場使用のPCR解析に関して装置が実用的になるよう、15分間に50サイクルのPCR増幅を遂行することによって、装置の性能を実証した。
【0111】
リアルタイムPCRデータは、図10に示される。迅速なリアルタイムサーモサイクラー装置を示すため、6-FAM加水分解プローブベースのPCR増幅を遂行した。50サイクルの反応を15分以内に実施した。
【0112】
図10:
PCRリアルタイム蛍光強度データ(赤色)および熱(青色)プロファイル(上部パネル)。抽出データ(下部パネル)は、市販のサーモサイクラーから得られる結果と一致する、22サイクルの臨界閾値を示す。
【0113】
実施例3
携帯型サーモサイクラー装置を、感染性疾患の遺伝学的解析に関して試験した。Institute of Molecular and Cell Biology of Singaporeで開発されたPCRプライマーを用い、RNA Master SYBR Green I RT-PCRキット(Roche, Inc.)を使用して、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)から単離されたRNAの検出によって、サーモサイクラー装置のRT-PCR性能を実証した。
【0114】
61℃で2分30秒間、続いて95℃で30秒間のホットスタートによって逆転写を遂行した。PCRの50サイクルを超える増幅を、以下のように実施した:95℃で3秒(変性)、50℃で15秒(アニーリング)、および72℃で20秒(伸長)。PCRサイクルの終了後、1℃s-1の遷移速度を用いて融解曲線解析を実施した。ウイルスRNAを検出するために必要な合計時間は、14分であった。
【0115】
図11は、H5N1ウイルスを検出するために、小型化された本サーモサイクラー装置を使用したリアルタイムRT-PCRの結果を示す。検出のための臨界閾値は、14分の検出時間に対応する22サイクルであることが見出された。
【0116】
実施例4
ここでは、本サーモサイクラー装置を使用したPCR増幅を記載する。これらの方法において使用されたPCR試料の容量は、100 nLから5μLであり、慣例的には1μLであった。使い捨ての顕微鏡カバーガラス上で、PCRを実施する。本装置は、SYBR Green IベースのRT-PCR技術を使用して、20分以内にHPAI(H5N1)ウイルス等の感染性因子を検出することが可能である。
【0117】
サーモサイクラーおよび熱管理:
上に記載される、マイクロマシン化されたシリコンPCRチップを使用した。薄膜加熱器および抵抗温度検出器(RTD)を、シリコン構造内へと一体化した。参照温度感知器(0.05℃の精度で較正される;この参照温度感知器はPCRチップのRTD感知器を較正するために使用される)として使用される、TSic(商標)チップ(Innovative Sensor Technology、Switzerland)と共に、シリコンチップをPCBへはんだ付けした。熱管理に関する全ての構成要素を、PCRチップを含む第一のPCBのすぐ下側の第二のPCB上に位置させた。
【0118】
RTD感知器を、平衡ホイートストーンブリッジを介して接続した。内部生成された0.25 Vの振幅を有する正弦波形ACシグナルを適用した。500の利得設定を用い、演算増幅器AD8221(Analog Devices, Inc.)によってブリッジ出力を増幅した。続いて復調器AD630(Analog Devices, inc.)、続いて3桁のローパスフィルターによって、増幅器出力シグナルを処理した。
【0119】
ブリッジがACシグナルによって電力供給されたため、上記の設定によって約30 mV/℃の温度感度がもたらされ、かつDCドリフトは提供されなかった。低振幅のブリッジバイアスもまた、PCRチップ内で放散されたジュール熱によって生ずる自己加熱効果を、0.2 mWの許容されるレベルへと減少させた。
【0120】
PIDコントローラーによるパルス幅変調(PWM)シグナルによって、PCR加熱器に電力を供給した。低電力から高電力への変換は、電力MOSFETトランジスタによって可能になった。
【0121】
図12は、サーモサイクラー装置の完全システムのブロック図である。上部パネルは熱管理を表し、中央パネルは光学シグナル処理設定を表し、かつ下部パネルは制御システムを表す。
【0122】
蛍光検出システム:
蛍光シグナル検出のための本光学検出システムを含む金属ハウジングを、PCRチップを含むPCBへと取り付けた。
【0123】
電力供給および制御:
システム操作を簡略化し、かつ使い勝手をよくするために、全て12 Vと24 Vの間の単一電力供給源に由来する+12 V、-12 V、+5 V、-5 V、+3.3 Vの電圧発生器を含む、さらなるPCBを使用した。直接接続器を介して、このPCBをアナログPCBに連結した。
【0124】
システムは、PCコンピューター上で稼動するLabViewプログラムから制御されたが、例えばモデルMC56F8013(Freescale, Inc.)を使用する単一チップコントローラーと共に、タッチスクリーンパネルに基づく一体型制御システムを有するように設計され得る。
【0125】
インビトロ転写されたH5N1ウイルスのHA断片のリアルタイム検出によって、サーモサイクラー装置の性能を検証した。Roche, Inc.からのLIGHTCYCLER(商標) RNA Master SYBR Green I One-Step RT-PCRキットを使用してRT-PCRを準備した。
【0126】
試料調製:
1.3μLの50 mM Mn(OAc)2、0.2 pMの最終濃度を有する0.6μLの各フォワードおよびリバースプライマー、ならびに7.5μLのLIGHTCYCLER(商標) RNA Master SYBR-Green Iを添加することによって、反応混合物を調製した。プライマーは、Genome Institute of Singapore (GIS)により開発され、かつ2004年および2005年の東南アジアでの大発生の間に、HPAIの臨床試料を用いて検証された。使用したプライマーの配列は以下である。
フォワードプライマー

リバースプライマー

10μL中の2×106コピーのRNA鋳型を、反応を開始する直前に20μLの合計容量になるよう反応混合物へ添加した。最終鋳型濃度は、1μL当たり105コピーであった。
【0127】
RT-PCRプロトコール:
試料RT-PCR混合物の1μLを、サーモサイクラー上部の顕微鏡カバーガラスへ移し、かつ蒸発を防止するため3μLのミネラルオイルを用いて被覆した。
【0128】
61℃で5分間、続く95℃で20秒間の「ホットスタート」により逆転写を遂行した。以下の熱プロトコールに従って、50サイクルのPCRを実施した:95℃で4秒(変性)、50℃で20秒(アニーリング)、および72℃で10秒(伸長)。1回のサイクルのために必要な合計時間は、34秒であった。
【0129】
図13に示されるように(挿入図)、1つの温度から別の温度への遷移時間はわずか数秒であり、かつ熱プロファイルはほぼ長方形であった。最速のSYBR Green IベースのPCRは、1サイクル当たり14.5秒で首尾よく稼動され、一方2つの温度の間のみの熱サイクルを基盤とするFAMをプローブとして使用する本来迅速なアプローチは、1サイクルあたり8秒で稼動され得る。
【0130】
図13:
RT-PCRの蛍光シグナル、それに続く融解曲線解析。迅速な加熱および冷却速度を実証する、単一PCRサイクルの温度プロファイルを挿入図に示す。
【0131】
光学ユニットからの未処理蛍光シグナルを温度と同時に記録し、図13中に示す。RT-PCR手法の合計時間は、約35分であった。
【0132】
PCRサイクルの間、72℃区分での伸長区分の最終5秒の蛍光シグナルの平均振幅を、サイクル数の関数として記録し、バックグラウンドに対して正規化し、かつ図14に示されるようにグラフにプロットした。臨界閾値CT値は、ログスケールでの微分蛍光(differential fluorescence)のグラフから抽出した。
【0133】
図14:
72℃区分の間の最終5秒において抽出された、修正された平均蛍光(赤色)および微分蛍光(青色)。20μLの溶液中の合計コピー数は、1μLの容量中の105 RNAコピーに対応する2×106コピーであった。臨界閾値の抽出値は、市販のサーモサイクラー(Roche LIGHTCYCLER(商標) 1.5)を使用して得られる値とよく一致する、20サイクルであった。
【0134】
PCRサイクルの終了後、1℃s-1の過熱速度を用いて融解曲線解析を実施した。温度関数として、蛍光シグナルを記録した(図15を参照)。測定されたデータ点を以下のシグモイド関数を使用して適合させた。

【0135】
式中、A1、A2、A3は正規化定数であり、パラメーターX0は変曲点の位置を示し、かつkはその点での最大勾配を決定する。融解曲線に関して、パラメーターX0は融解温度を表す。典型的には、融解温度を決定するために、融解曲線の最初の導関数の負の値を温度の関数としてプロットする。
【0136】
図15:
1℃s-1の加熱速度を使用した融解曲線(図13を参照)。半量のdsDNAが融解/変性される温度として定義される融解温度は、75.8℃と測定された。これは、1℃s-1の増加速度(ramping rate)を用いて市販のリアルタイムPCR(Roche LIGHTCYCLER(商標) 1.5)によって測定される、76℃の予測値によく対応する。
【0137】
当業者によって理解され得るように、本明細書に記載される例示的態様に対して多数の変更が可能である。本発明は、むしろ、特許請求の範囲によって定義される範囲内での全てのそのような変更を包含することが意図される。
【0138】
本明細書において言及される全ての文書は、参照により完全に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の蛍光体を励起するのに十分な波長を有する励起光を生成する光源と;
励起光の経路に沿った第一の線に沿って配置される励起フィルターであって、光源からの励起光を透過する励起フィルターと;
第一の線に沿って配置されるビームスプリッターであって、励起フィルターにより透過された励起光を、ビームスプリッターの1つの側面上に配置されるミラーへ向けて第二の線に沿って反射し、かつ第二の線に沿って反射される発光を通過させるビームスプリッターと;
ビームスプリッターからの励起光を、第一および第二の線の双方に対して垂直である第三の線に沿って、試料中の蛍光体へと反射するように配置されるミラーであって、第三の線に沿って発せられた発光を、ビームスプリッターへ向けて第二の線に沿ってさらに反射するミラーと;
ビームスプリッターの第二の側面上に、第二の線に沿って配置される発光フィルターと;
発光フィルターによって透過された発光を検出する検出器と
を含む、蛍光シグナルを検出するための検出システム。
【請求項2】
ビームスプリッターがダイクロイックミラーである、請求項1記載の検出システム。
【請求項3】
第一の線が第二の線に対して実質的に直角である、請求項1または請求項2記載の検出システム。
【請求項4】
試料中の蛍光体を励起するのに十分な波長を有する励起光を生成する光源と;
励起光の経路に沿った第一の線に沿って配置される励起フィルターであって、光源からミラーへ向けて励起光を透過する励起フィルターと;
第二の線に沿って配置される発光フィルターと;
第一および第二の線の双方に対して垂直である第三の線に沿って、試料中の蛍光体へと励起光を反射するように配置されるミラーであって、第三の線に沿って発せられた発光を、第二の線に沿って発光フィルターへ向けてさらに反射するミラーと;
発光フィルターによって透過された発光を検出する検出器と
を含む、蛍光シグナルを検出するための検出システム。
【請求項5】
励起光を平行化するための、光源と励起フィルターとの間に配置される第一のレンズをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項記載の検出システム。
【請求項6】
従来型ミラーによって試料へ向けて反射される励起光を集中させるように配置される第二のレンズをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項記載の検出システム。
【請求項7】
検出器からのシグナルを増幅するための、検出器に接続される増幅器をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項記載の検出システム。
【請求項8】
光源がLEDである、請求項1から7のいずれか一項記載の検出システム。
【請求項9】
LEDが単一LEDであり、かつ励起フィルターおよび発光フィルターが各々単一バンドパスフィルターである、請求項8記載の検出システム。
【請求項10】
LEDが多重LEDであり、かつ励起フィルターおよび発光フィルターが各々多重バンドパスフィルターである、請求項8記載の検出システム。
【請求項11】
1つまたは複数のさらなる単一LEDをさらに含む検出システムであって、励起フィルターおよび発光フィルターが各々多重バンドパスフィルターであり、かつ各単一LEDからの励起光が個別に変調および復調される、請求項8記載の検出システム。
【請求項12】
検出器がフォトダイオードである、請求項1から11のいずれか一項記載の検出システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項において定義されるような検出システムと;
蛍光体を含む試料を収容するための試料ポートであって、検出システムから反射される励起光と同一直線上に試料を位置させるように配置される試料ポートと;
試料を加熱するための、試料収容ポートに隣接して配置される加熱器と;
加熱器の温度を検出するための、加熱器に接続される温度感知器と;
検出システムによって検出される蛍光シグナルを処理するための、検出システムに接続される蛍光シグナルプロセッサーと;
データの入力および出力のためのユーザーインターフェースモジュールと;
装置へ電力を供給するための電源と
を含む、サーモサイクラー装置。
【請求項14】
加熱器、温度感知器、蛍光シグナルプロセッサー、およびユーザーインターフェースモジュールと通信(communication)しているコントローラーをさらに含む、請求項13記載のサーモサイクラー装置。
【請求項15】
ユーザーインターフェースモジュールがタッチスクリーンを含む、請求項13または請求項14記載のサーモサイクラー装置。
【請求項16】
手持ち式装置である、請求項13から15のいずれか一項記載のサーモサイクラー装置。
【請求項17】
電源が電池である、請求項13から16のいずれか一項記載のサーモサイクラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−501851(P2010−501851A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525526(P2009−525526)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000272
【国際公開番号】WO2008/024080
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(508004568)エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ (4)
【Fターム(参考)】