説明

小型溶融炉

【課題】本発明は、小型で購入費およびランニングコストが安価であり、適正な環境基準に適応でき、1,700°C以上の溶融処理温度を有し、焼却廃棄物のリサイクル化が可能な小型溶融炉の提供を目的としている。
【解決手段】本発明は、小型溶融炉であり高い燃焼性能を有するセパレート式高温高速ターボジェットバーナを設置し、小型溶融炉内に加熱機能を備え、一次燃焼室に二次燃焼室の役割を果たす構造を設け、溶融処理された廃棄物はスラグ化されリサイクル化が可能なように構成した。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は主として、多種多様な廃棄物を溶融処理することが可能な構造および性能を備えるとともに、深刻な状況にある多種多様な廃棄物に対して環境基準に適応することのできる小型溶融炉に関するものである。
【技術背景】
【0002】
従来、廃棄物処理施設の溶融施設は大型施設でありこの溶融処理施設の建設費用は莫大な費用を必要とするとともに、ランニングコストも多額の費用が必要である。
【0003】
また大型の前記溶融処理施設は許認可の面でも長い年月がかかり、新規の設置ともなれば容易なことではなく処理施設の設置計画を実施しても地元住民等の反対により許認可が受けられない場合もある。
【0004】
現在、社会的に深刻な問題となっているアスベストに関しても、今後毎年100万トン以上排出されるため処理の方法について急務の課題となっている。
【0005】
平成18年2月4日の国会において、アスベストは溶融処理をすると採決され発表されたが、環境省の推計によると全国の廃棄物管理型処分場はアスベストの受入処理をしなくても、あと4年半で満杯になる。
【0006】
また、溶融処理施設に至っては1,500°Cの処理温度を有する溶融処理施設は全国に15カ所しかなく、大手溶融炉メーカーにおいてアスベストの処理実験を実施したところアスベストを無害化するには1,700°Cの溶融処理温度を必要とすることが確認された。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような諸局面にかんがみてなされたもので小型で購入費およびランニングコストも安価で、設置許可も簡易的でおり、適正な環境基準に対応できまた構造的な機能において1,700°C以上の溶融処理温度を実現化し、焼却廃棄物のリサイクル化が可能な小型溶融炉の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の各項(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)のいずれかの小型溶融炉を提供することにより前記課題を解決しようとするものである。
【0009】
(1)小型溶融炉において正面から向かって右側に高い燃焼性能を有するセパレート式高温高速ターボジェットバーナが設置され、火床面積2.0m2未満、焼却能力200kg/h未満であり一次燃焼室と二次燃焼室から成り、一次燃焼室は二次燃焼室の機能も備えていることを特徴とした小型溶融炉。
【0010】
(2)前記一次燃焼室の内部火床は二重火床となっており、その二重火床内部にて発生した燃焼ガスを二次燃焼させることを目的とする構造となっていることを特徴とした前項(1)記載の小型溶融炉。
【0011】
(3)前記二重火床は前記小型溶融炉の正面から向かって右側に設置された高い燃焼性能を有する前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナの放射火炎道になっており、また前記放射火炎道だけでなく発生した前記燃焼ガスの二次燃焼室への排出ガス道も兼ねていることを特徴とした前項(1)または(2)いずれか記載の小型溶融炉。
【0012】
(4)前記二重火床は前記小型溶融炉の正面から向かって右側に設置された高い燃焼性能を有する前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナの放射火炎を前記小型溶融炉内部において旋回的に集中指向させる目的の構造となっていることを特徴とした前項(1)または(2)または(3)いずれか記載の小型溶融炉。
【0013】
(5)前記二重火床の上部火床は前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナの火炎熱および廃棄物の焼却または溶融時の処理熱の相乗効果をもって輻射熱を得ることにより、持続的な炉内温度を保つとともに廃棄物の溶融処理を連続的に処理可能とし、廃棄物の溶融処理温度を短時間にて達せられることを目的とした構造を有することを特徴とした前項(1)または(2)または(3)または(4)いずれか記載の小型溶融炉。
【0014】
(6)前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナから噴出される前記放射火炎の正面に高耐火性の耐火キャスタブルを設置し、前記放射火炎を前記耐火キャスタブルに衝突させることで飛躍的な放射火炎速度と、飛躍的な熱分解の促進、または高い燃焼効率および燃焼温度を得ることができる構造となっていることを特徴とした前項(1)または(2)または(3)または(4)または(5)いずれか記載の小型溶融炉。
【0015】
(7)前記二次燃焼室内部が耐火キャスタブルの壁によって3分割され、その壁に前記排出ガス道を設置し排出ガス速度の流速を緩和することにより、前記排出ガスの二次燃焼効果を促進しダイオキシン類および飛灰等の排出を抑制する構造をもつことを特徴とした前項(1)または(2)または(3)または(4)または(5)または(6)いずれか記載の小型溶融炉。
【0016】
(8)前記小型溶融炉の廃棄物溶融処理時において、灯油を燃料とする前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナの1機種のみで、1時間程度で前記小型溶融炉の炉内温度を1,700°Cまで加熱することが可能なことを特徴とする前項(1)または(2)または(3)または(4)または(5)または(6)または(7)いずれか記載の小型溶融炉。
【実施例】
以下に本発明の実施例を図1または図2に基づき説明する。
【0017】
図1および図2に、本発明に係る小型溶融炉の実施形態の概要断面説明図を示す。図1は、前記小型溶融炉の外観正面図および正面内部図を表している。図2は、前記小型溶融炉の内部平面図を表している。
【0018】
前記小型溶融炉の構成は、大きく分けて図1の▲1▼一次燃焼室、▲2▼セパレート式高温高速ターボジェットバーナ、▲3▼と▲4▼の二重火床、▲8▼バッチ式投入口、▲9▼煙突、▲10▼スラグ排出口、▲12▼二次燃焼室により構成されている。
【0019】
本発明の実施形態の特徴は、廃棄物を▲8▼バッチ式投入口から投入し、▲4▼上部火床に落ちる。その後▲2▼セパレート式高温高速ターボジェットバーナを着火作動させ、同時に▲7▼二次送風機も作動させる。
【0020】
投入された廃棄物は▲2▼セパレート式高温高速ターボジェットバーナの放射火炎によって焼却され、また溶融処理時においては廃棄物の処理熱と▲2▼セパレート式高温高速ターボジェットバーナの放射火炎熱の相乗効果によって得られる輻射熱によって、短時間で溶融処理温度1,700°Cに達することができ、この相乗効果により持続的に炉内温度を保つとともに廃棄物の溶融処理を連続で実施することが可能となる。そして溶融処理された廃棄物はスラグとなって▲10▼スラグ排出口から排出される。
【0021】
前記廃棄物処理時に発生する燃焼排出ガスは▲3▼下部火床と▲4▼上部火床から成る二重火床の間を通過し、▲12▼二次燃焼室へと誘引される。
【0022】
すなわち発生した前記燃焼排出ガスは▲12▼二次燃焼室へと誘引される前に▲1▼一次燃焼室内の▲2▼セパレート式高温高速ターボジェットバーナの1,400°Cの火炎熱を有する前記放射火炎の中を通過することにより、有害物質であるダイオキシン類および飛灰等を除去していることから、▲1▼一次燃焼室内にて▲12▼二次燃焼室の役割も果たしている。
【0023】
前記燃焼排出ガスは▲1▼一次燃焼室の▲2▼セパレート式高温高速ターボジェットバーナの1,400°Cの火炎熱を有する前記放射火炎の中を通過し、▲7▼二次送風機の誘引作用によって▲12▼二次燃焼室へと誘引される。
【0024】
誘引された前記燃焼排出ガスは耐火キャスタブルの壁によって3分割された▲12▼二次燃焼室内にて1,000°Cの熱によって再燃処理される。
【0025】
▲12▼二次燃焼室内の前記耐火キャスタブルの壁には、前記燃焼排出ガスの▲13▼排出道を設置しており▲13▼排出道によって前記燃焼排出ガス速度を緩和することで、前記燃焼排出ガスの二次燃焼および再燃効果を促進させ、有害物質であるダイオキシン類および飛灰等の発生を防ぐ機能を有している。
【0026】
したがって、以上の構造的機能および原理的役割を備えているため大気中には有害物質であるダイオキシン類および飛灰等は排出されない。
【0027】
また前記小型溶融炉の内部はすべて耐火キャスタブルにより構成され、断熱用耐火キャスタブルも使用しているため安全性、耐火性、耐久性に非常に優れており、またダイオキシン類およびばいじんの計量分析も実施し、基準値を大幅に下回っているため環境基準にも適応している。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、今日深刻化している廃棄物問題に対応でき、また溶融処理施設としては非常に安価な購入費およびランニングコストを備えているため、幅広い分野に対し供給することができる。
【産業上の利用分野】
【0029】
本発明は主として、廃棄物の焼却および溶融処理に関することである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る小型溶融炉の外観正面図および正面内部図である。
【図2】本発明に係る小型溶融炉の内部平面図である。
【符号の説明】
【0031】
▲1▼ 一次燃焼室
▲2▼ セパレート式高温高速ターボジェットバーナ
▲3▼ 下部火床
▲4▼ 上部火床
▲5▼ 炉壁耐火キャスタブル
▲6▼ 一次送風機
▲7▼ 二次送風機
▲8▼ バッチ式投入口
▲9▼ 煙突
▲10▼ スラグ排出口
▲11▼ 耐火キャスタブル
▲12▼ 二次燃焼室
▲13▼ 排出道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型溶融炉において正面から向かって右側に高い燃焼性能を有するセパレート式高温高速ターボジェットバーナが設置され、火床面積2.0m2未満、焼却能力200kg/h未満であり一次燃焼室と二次燃焼室から成り一次燃焼室は二次燃焼室の機能も備えていることを特徴とした小型溶融炉。
【請求項2】
前記一次燃焼室の内部火床は二重火床となっており、その二重火床内部にて発生した燃焼ガスを二次燃焼させることを目的とする構造となっていることを特徴とした請求項1記載の小型溶融炉。
【請求項3】
前記二重火床は前記小型溶融炉の右側に設置された高い燃焼性能を有する前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナの放射火炎道になっており、また前記放射火炎道だけでなく発生した前記燃焼ガスの二次燃焼室への排出ガス道も兼ねていることを特徴とした請求項1または2いずれか記載の小型溶融炉。
【請求項4】
前記二重火床は前記小型溶融炉の右側に設置された高い燃焼性能を有する前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナの放射火炎を前記小型溶融炉内部において旋回的に集中指向させる目的の構造となっていることを特徴とした請求項1または2または3いずれか記載の小型溶融炉。
【請求項5】
前記二重火床の上部火床は前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナの火炎熱および廃棄物の焼却または溶融時の処理熱の相乗効果をもって輻射熱を得ることにより、持続的な炉内温度を保つとともに廃棄物の溶融処理を連続的に処理可能とし、廃棄物の溶融処理温度を短時間にて達せられることを目的とした構造を有することを特徴とした請求項1または2または3または4いずれか記載の小型溶融炉。
【請求項6】
前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナから噴出される前記放射火炎の正面に高耐火性の耐火キャスタブルを設置し、前記放射火炎を前記耐火キャスタブルに衝突させることで飛躍的な放射火炎速度と、飛躍的な熱分解の促進、または高い燃焼効率および燃焼温度を得ることができる構造となっていることを特徴とした請求項1または2または3または4または5いずれか記載の小型溶融炉。
【請求項7】
前記二次燃焼室内部が耐火キャスタブルの壁によって3分割され、その壁に前記排出ガス道を設置し排出ガス速度の流速を緩和することにより、前記排出ガスの二次燃焼効果を促進しダイオキシン類および飛灰等の排出を抑制する構造をもつことを特徴とした請求項1または2または3または4または5または6いずれか記載の小型溶融炉。
【請求項8】
前記小型溶融炉の廃棄物溶融処理時において、灯油を燃料とする前記セパレート式高温高速ターボジェットバーナの1機種のみで、1時間程度で前記小型溶融炉の炉内温度を1,700°Cまで加熱することが可能なことを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7いずれか記載の小型溶融炉。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−285689(P2007−285689A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137022(P2006−137022)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(505097413)
【出願人】(505097424)
【Fターム(参考)】