説明

小型電子装置

【課題】導電体で形成された小型の筐体にアンテナを収納すると共に、当該アンテナを小型化する。
【解決手段】時計装置1は、金属製の凹状容器で構成された筐体2を有しており、筐体2の凹部10には、時計動作部21のほか、GPS衛星からの電波を受信するための逆Fアンテナ部3が配設されている。逆Fアンテナ部3は、文字盤11の背面にあるが、文字盤11は、誘電体であるため、逆Fアンテナ部3は、ガラス板12、文字盤11を透過した電波を受信することができる。また、励起導電板4の形状により励起導電板4に複数の電気長部分を形成して逆Fアンテナ部3を多周波数化することができる。更に、凹部10の内周面と励起導電板4の外周部の少なくとも一部を所定距離以下に近接させると、逆Fアンテナ部3の共振周波数を低くすることができる。これにより、逆Fアンテナ部3を小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型電子装置に関し、例えば、逆Fアンテナを用いるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、腕時計、携帯端末、センサなどの小型の電子装置に内蔵できる高性能なアンテナの要望が高まっている。
このような技術として、特許文献1に、腕時計にアンテナを設ける技術が開示されている。
この技術は、時計の動作機構を収納する金属容器の外周面に、当該円筒筐体に接地する逆Fアンテナを設けたものである。
【0003】
しかし、金属容器の外周面にアンテナを設ける場合、更に、その外周を覆う誘電体の筐体を要するため、時計が大型化するという問題があった。
また、時計の筐体を金属製としたいとの要望もあり、金属筐体の内部にアンテナを設置する場合、金属容器の影響により十分なアンテナの性能が得られない、時計機構の設置スペースが制限される、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−185927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、導電体で形成された小型の筐体にアンテナを収納すると共に、当該アンテナを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、接地部として機能する第1の導電板と、前記第1の導電板と平行に配置された励起用の第2の導電板と、一端が前記第1の導電板に接続し、他端が前記2の導電板に接続した短絡部材と、前記短絡部材と所定の距離を隔てて前記第2の導電板に接続し、前記第1の導電板を貫通する伝送部材と、電波送信元より送信された電波によって前記第2の導電板に生じた励起を、前記伝送部材を介して検出して前記電波による信号を受信する受信部と、前記第1の導電板、前記第2の導電板、前記短絡部材、前記伝送部材、及び前記受信部を収納する凹部が形成された導電性の筐体と、を具備し、前記凹部の内周部と、前記第2の導電板の外周部の少なくとも一部は、前記第2の導電板の共振周波数が低周波数側にシフトする所定距離以下に配設されていることを特徴とする小型電子装置を提供する。
請求項2に記載の発明では、前記第1の導電板は、前記凹部の底面と平行に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の小型電子装置を提供する。
請求項3に記載の発明では、前記所定距離以下となる部分は、前記凹部の内周部と、前記第2の導電板の外周部の少なくとも一方に形成された突起部によって構成されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の小型電子装置を提供する。
請求項4に記載の発明では、前記突起部は、前記第2の導電板と同一平面内に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の小型電子装置を提供する。
請求項5に記載の発明では、前記第2の導電板は、前記凹部の内周に沿って湾曲又は屈曲していることを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1つの請求項に記載の小型電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、逆Fアンテナに導体を近接させることにより、導電体で形成された小型の筐体にアンテナを収納すると共に、当該アンテナを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】時計装置の構成を説明するための図である。
【図2】励起導電板と接地導電板の幅の関係について説明するための図である。
【図3】励起導電板の各種形状について説明するための図である。
【図4】励起導電板に容量を装荷する例を説明するための図である。
【図5】励起導電板をパラスティック構造とする例を説明するための図である。
【図6】励起導電板をスタック構造とする例を説明するための図である。
【図7】スタック構造で多周波数対応を可能とした逆Fアンテナ部の説明図である。
【図8】アンテナの周波数特性を変化させた逆Fアンテナ部3の説明図である。
【図9】実験結果を説明するための図である。
【図10】シミュレーション結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
時計装置1(図1(b))は、金属製の凹状容器で構成された筐体2を有しており、筐体2の凹部10には、時計動作部21のほか、GPS衛星からの電波を受信するための逆Fアンテナ部3が配設されている。
逆Fアンテナ部3は、文字盤11の背面にあるが、文字盤11は、誘電体であるため、逆Fアンテナ部3は、ガラス板12、文字盤11を透過した電波を受信することができる。
【0010】
逆Fアンテナ部3は、金属で形成された筐体2の影響を受けにくいことが本願発明者によって実験より明らかになっており、時計動作部21は、逆Fアンテナ部3で受信した電波から時刻情報を取得して時刻補正を行う。
また、励起導電板4の形状により励起導電板4に複数の電気長部分を形成して逆Fアンテナ部3を多周波数化することができる。
更に、凹部10の内周面と励起導電板4の外周部の少なくとも一部を所定距離以下に近接させると、逆Fアンテナ部3の共振周波数を低くすることができる。これにより、逆Fアンテナ部3を小型化することができる。
【0011】
このように、本実施の形態では、キャビティ(筐体2)内に逆Fアンテナを入れ、電子装置の小型化を図ると共に、多周波にも対応するエレメント(励起導電板4)を有する。 また、逆FアンテナにキャビティによりC(容量)を装荷することで、共振周波数をコントロールし更なる小型化を図る。
【0012】
(2)実施形態の詳細
本実施の形態では、時計装置の内部に逆Fアンテナを設置し、一例として、GPS(Global Positioning Systems)衛星からの電波を受信する。
GPS衛星は時刻情報を送信しており、時計装置は、これを用いて表示している時刻を自動補正する。
これにより、GPS衛星からの電波を受信できる場所であれば、世界中どこでも時刻を自動補正することができる。
【0013】
腕時計の筐体のように、金属製の凹状容器内にアンテナを設置する場合、逆Fアンテナが有効であることが、本願発明者の実験により明らかになった。実験結果については後ほど説明する。
また、逆Fアンテナは、小型化性、軽量性、占有率(腕時計の筐体内で占める領域の割合)、側面性(腕時計の筐体に合わせて湾曲できる性質)、背面性(文字盤の背面に収納できる収納性)が優れているため、腕時計や、その他の小型電子装置への実装に適している。
【0014】
図1(a)は、本実施の形態に係る時計装置1を上面から見たところを示した図である。
なお、煩雑化を避けるため、筐体2と逆Fアンテナ部3を図示し、他の構成は省略してある。
時計装置1は、腕時計用として構成されているが、据置型の時計であってもよい。
【0015】
筐体2は、円筒部分と底面部分によって凹部10が形成された凹状容器(キャビティ)であって、例えば、ステンレスなどの金属によって構成されている。円筒部分の内径は40[mm]程度、またはそれ以下の寸法でよい。
なお、本実施の形態では、筐体2は、円筒形に形成するが、矩形の底面と矩形の側面を有する形状など、凹状の容器であればよい。
逆Fアンテナ部3は、接地導電板7、励起導電板4、短絡ピン5、伝送ピン6から構成されており、本実施の形態では、キャビティ装荷型逆Fアンテナを構成している。
【0016】
接地導電板7は、筐体2の内周面に沿って湾曲しており、板面が凹部10の底面と平行になるように、外周側が筐体2の内周面に接合している。接地導電板7は、筐体2と電気的に接続しているが、絶縁されていてもよい。
【0017】
励起導電板(放射導電板)4は、接地導電板7の形状に対応して湾曲しており、励起導電板4の一端に設けられた短絡ピン5によって、接地導電板7の上側の空間に接地導電板7と平行に支持されている。但し、励起導電板4は、接地導電板7に対して電気的に接触しない範囲で支持されていればよく、必ずしも完全な平行状態である必要はなく、例えば、多少ずれた平行状態であってもよい。
励起導電板4の他端は開放端となっている。
このように、励起導電板4の外周部は、湾曲する外周側の辺、湾曲する内周側の辺、及び両端部から構成されている。
【0018】
励起導電板4の長さは、GPS衛星から送信される電波の波長の4分の1程度、または、4分の1以下の寸法に設定されている。GPS衛星から送信される電波の周波数は1.5[GHz]であるため、励起導電板4の長さは、50[mm]程度、または、50[mm]以下の寸法となり、これを湾曲させると腕時計に収納できる程度の大きさとなる。
また、励起導電板4と接地導電板7の間に誘電体を配置して電波の波長を縮めることにより、励起導電板4や接地導電板7の長さを短くし、逆Fアンテナ部3を更に小型化することも可能である。
【0019】
短絡ピン5は、一端が接地導電板7の端部に接合し、他端が励起導電板4の端部に接合し、励起導電板4を物理的に支持すると共に、励起導電板4を接地導電板7に短絡させることにより接地している。
伝送ピン(給電ピン)6は、同軸線路等の中心導体(心線)によって構成されており、短絡ピン5よりも励起導電板4の開放端側に、短絡ピン5から所定距離の位置に設けられている。
伝送ピン6の一端は、励起導電板4に接合し、他端は、接地導電板7に設けられた貫通孔8を貫通して図示しない時計動作部に接続している。
励起導電板4が電波によって励起されると、励起導電板4の電位の変化が伝送ピン6によって伝送される。
上述の通り、伝送ピン6を構成する同軸線路等の中心導体は励起導電板4に接続され、一方、同軸線の外部導体は貫通孔8部分で接地導電板7に接続されている。
【0020】
励起導電板4、短絡ピン5、接地導電板7は、何れも真鍮などの金属を用いた導電性部材によって形成されているが、導電性樹脂などを用いたり、誘電体基板上に形成することも可能である。
受信電波が凹部10で共振すると逆Fアンテナ部3の性能が低下するため、凹部10の共振周波数が逆Fアンテナ部3の受信周波数と異なるように凹部10の形状や大きさが設計されている。
より好ましくは、凹部10の共振周波数が逆Fアンテナ部3のバンド幅の外側となるように、凹部10の形状や逆Fアンテナ部3の寸法が設計されている。なお、バンド幅は、励起導電板4と接地導電板7の距離などにより調整することができる。
【0021】
図1(b)は、時計装置1を側面から見た断面図である。
凹部10の開口部側には、時刻表示用の文字盤11が嵌めてあり、更に、凹部10の開口部端部には、文字盤11などを保護するためのガラス板12が嵌めてある。
文字盤11の背面には逆Fアンテナ部3が配置されている。文字盤11は、誘電体で形成されており、GPS衛星からの電波は、ガラス板12、文字盤11を透過して逆Fアンテナ部3に到達する。
【0022】
凹部10の文字盤11の下で、逆Fアンテナ部3が形成されていない領域、即ち、逆Fアンテナ部3の下側の空間、及び、逆Fアンテナ部3の湾曲の内周側の空間には、時計動作部21が設置されている。
逆Fアンテナ部3は、筐体2の内周面に沿って湾曲しているため、凹部10に時計動作部21を設置する空間を十分に確保することができる。
【0023】
時計動作部21は、時針駆動用モータ、水晶振動子、などを備えており、図示しない内蔵電池により駆動する。
時計動作部21は、水晶振動子の振動に合わせて、短針22、長針23、秒針(図示せず)などをモータによって駆動する。
時計装置1のユーザは、文字盤11における短針22、長針23により現在時刻を認識することができる。なお、時計装置1を、アナログ式時計でなくデジタル式時計としてもよい。
【0024】
また、時計動作部21は、伝送ピン6によって、GPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報によって、現在の日時刻を検出する。そして、時計動作部21は、検出した現在日時刻と一致するようにモータを駆動して、短針22、長針23、秒針の位置を調節する。
このように、時計装置1は、逆Fアンテナ部3によってGPS信号を受信し、時刻補正を自動的に行うことができる。
【0025】
図2は、励起導電板4と接地導電板7の幅の関係を説明するための図である。
接地導電板7の幅W2は、好ましくは、励起導電板4の幅W1以上であり、より好ましくは、W2≧2W1である。接地導電板7の長さは、励起導電板4の長さ以上が好ましい。
【0026】
図3の各図は、励起導電板の各種形状について説明するための図である。
図3(a)は、励起導電板4を内周側と外周側を円弧により形成した例である。この場合、短絡ピン5を対象線に対し、内周側の電気長31が外周側の電気長32よりも短くなる。このため、共振周波数が電気長31に対応するものと電気長32に対応するものの2つが存在し、逆Fアンテナ部3の多周波化を図ることができる。なお、内周側に凸部を形成したり凹凸を形成して電気長31と電気長32を等しくしてもよい。
【0027】
図3(b)は、励起導電板4の内周側に凹部41、41、41を設けることにより、内周側の電気長31と外周側の電気長32を等しく形成した例である。
逆Fアンテナ部3を多周波数化する必要がない場合は、電気長31、32が等しくなるように形成する。一方、図3(a)のように電気長31、32が異なっていても、短絡ピン5と伝送ピン6との間の間隔、または、それらの素子形状等を調整することにより単周波数化することもできる。
【0028】
図3(c)は、励起導電板4にくの字型のスリット43a、43b、43cを設けることにより、更なる多周波数化を図った例である。
スリット43a、43b、43cは、くの字型が励起導電板4の中心線に対して対称となるように、短絡ピン5から励起導電板4の先端に向かってこの順に形成されている。
励起導電板4の内周側に関しては、全内周側に対応する電気長31dの他、スリット43a、43b、43cに対応する電気長31a、31b、31cが存在する。
同様に、励起導電板4の外周側に関しては、電気長32a、32b、32c、32dが存在する。このため、逆Fアンテナ部3において、多周波数化が可能となる。
【0029】
図3(d)は、励起導電板4の外周側に凹部45、45、45を設けて、内外周の電気長の差をより大きくした例である。
これにより、内周側と外周側の共振周波数の差をより大きくすることができる。なお、外周側に凸部を形成したり凹凸を形成して電気長差を大きくしてもよい。
【0030】
次に、励起導電板4に容量を装荷することにより、逆Fアンテナ部3を小型化する例について説明する。
本発明者の実験によると、励起導電板4の外周部の近傍に導電部材を設置すると、逆Fアンテナ部3の共振周波数が低下することが見出された。
これは、同じ周波数に対して、導電部材を設置しない場合よりも、導電部材を設置した場合は、逆Fアンテナ部3を小型化できることを意味する。
そこで、以下では、励起導電板4の近傍に導電部材として金属部材を設置する例について説明する。
【0031】
図4(a)は、励起導電板4の開放端の外周面に対向して、筐体2に形成された凹部10の内周面に突起部51(スタブ)を設けた例である。なお、以下では、接地導電板7は、図の煩雑化を避けるため、図示していない。
突起部51は、金属板によって形成されており、励起導電板4と同一平面、もしくは、励起導電板4の上面または下面に形成されている。
突起部51の外周側は、凹部10の内周面に接地されており、内周側は、開放端となっている。
【0032】
このように突起部51を形成すると、突起部51と励起導電板4の対向する部分が容量により結合するため、励起導電板4に容量が装荷されて励起導電板4の共振周波数が低下し、励起導電板4を小型化してもGPS衛星からの電波を受信することができる。
また、接地導電板7と励起導電板4の間に誘電体を設け、更に小型化を図ることもできる。
【0033】
図4(b)は、励起導電板4の短絡ピン5側に突起部51を設けた例である。このように、突起部51は、短絡ピン5側に形成してもよい。
図4(c)は、励起導電板4の開放端側と短絡ピン5側の両方に突起部51を設けた例である。このように、突起部51を複数設けると、より共振周波数を低周波数側にシフトさせることができる。
【0034】
図4(d)は、励起導電板4を矩形形状の金属板によって形成し、凹部10の中央に配置した例である。長手方向の中心線は、筐体2の中心に位置している。
励起導電板4の短絡ピン5側には、励起導電板4の端部と対向する突起部51が凹部10の内周面に設けてある。このように、励起導電板4を矩形形状に形成することも可能である。
【0035】
図4(e)は、矩形形状を有する励起導電板4の自由端側に突起部51を設けた例である。
図4(f)は、励起導電板4の短絡ピン5側、及び自由端側の両方に突起部51を設けた例である。
【0036】
図4(g)は、凹部10の内周面に沿って湾曲する励起導電板4の外周側を凹部10の内周面に近接させることにより、励起導電板4に容量を装荷し、励起導電板4の共振周波数を低減した例である。
この場合、突起部51を設けずとも、励起導電板4の共振周波数を低周波数側にシフトさせることができる。
【0037】
図4(h)は、矩形形状の励起導電板4の短絡ピン5側を凹部10の内周面に近接させることにより、励起導電板4と筐体2の間に生じる容量を励起導電板4に装荷し、励起導電板4の共振周波数を低減した例である。励起導電板4の短絡ピン5側の端部は、凹部10の内周面に沿って円弧状に形成されている。
【0038】
図4(i)は、励起導電板4を楕円状に形成した例である。このように、励起導電板4を楕円形状や円形状に形成することもできる。この場合、励起導電板4に特定のモードを誘起するために、励起導電板4の外周に切り込み部を設けてもよい。
短絡ピン5は、長軸状の端部側に設けられ、当該端部は、筐体2の内周面に近接して設けられている。
励起導電板4の外周と凹部10の内周の距離は、短絡ピン5から遠ざかるほど大きくなり、短絡ピン5に近いほど、小さくなる。このため、短絡ピン5付近では容量が装荷され、励起導電板4の共振周波数を低周波数側にシフトさせることができる。
【0039】
図4(j)は、励起導電板4の自由端の外周側に突起部51を設けた例である。突起部51と凹部10の内周面が容量によって結合し、励起導電板4の共振周波数が低周波数側にシフトする。このように、励起導電板4に突起部51を設けてもよい。
このように、励起導電板4の外周部に突起部51を設け、当該突起部51と凹部10の内周面が所定値以下となることによっても、励起導電板4の共振周波数を低周波数側にシフトさせることができる。
【0040】
図4(k)は、筐体2を矩形形状に形成し、励起導電板4を凹部10の内周に沿って屈曲させた例である。
自由端の外周側に、凹部10の内周面と近接する突起部51が設けられている。突起部51は、凹部10の内周の方に設けてもよい。
このように、励起導電板4を屈曲して形成してもよい。
なお、図4(a)から(f)、図4(j)および(k)では、突起部51は、励起導電板4の端部に相当する位置に設けられたが、中間点などに設けても良く、その位置は限定されることは無い。
【0041】
図5の各図は、複数の励起導電板4を励起導電板4の平面内で複数配置するパラスティック構造とした場合を説明するための図である。
複数の励起導電板4が容量によって結合することにより共振周波数が低周波数側にシフトすると共に、励起導電板4が湾曲しているため、共振周波数の多周波数化を実現することができる。
なお、図の煩雑化を避けるため、筐体2、接地導電板7などは図示していない。
【0042】
図5(a)〜(c)は、励起導電板4aの内周側に所定距離を隔てて励起導電板4bを設けた例である。
図5(a)では、励起導電板4aは、短絡ピン5aで接地されると共に、伝送ピン6aが設けられている。一方、励起導電板4bは、短絡ピン5bが設けられている。
この場合、励起導電板4aで電波を受信する。励起導電板4a、4bが容量により結合するため、励起導電板4aの共振周波数は、シフトする。
【0043】
図5(b)は、励起導電板4bに伝送ピン6bを設け、伝送ピン6aと伝送ピン6bを伝送線で結合している。
この場合、励起導電板4a、4bの双方を電波の受信に用いることができ、共振周波数のシフトと多周波数化を図ることができる。
【0044】
図5(c)は、励起導電板4aには、短絡ピン5aを設け、励起導電板4bには、短絡ピン5bと伝送ピン6bを設けた例である。
この場合、励起導電板4bで電波を受信する。励起導電板4a、4bが容量により結合するため、励起導電板4bの共振周波数は、低周波数側にシフトする。
【0045】
図5(d)は、外周側より内周側へ、励起導電板4a、4b、4cを順に配置し、励起導電板4aには、短絡ピン5aを設け、励起導電板4bには、短絡ピン5b、伝送ピン6bを設け、励起導電板4cには、短絡ピン5cを設けた例である。
この場合、励起導電板4bで電波を受信する。励起導電板4bは、励起導電板4a、4cと容量により結合するため励起導電板4bの共振周波数はシフトする。
励起導電板4aの外周側、及び励起導電板4cの内周側に、更に、多くの励起導電板4を配置してもよい。
【0046】
図5(e)は、励起導電板4aの自由端側に、当該自由端と対向する端部を有する励起導電板4bを設置した例である。励起導電板4aには、短絡ピン5a、伝送ピン6aが設けてあり、励起導電板4bには、短絡ピン5bが設けてある。この場合、励起導電板4aで電波を受信する。励起導電板4aの自由端側は、励起導電板4bの自由端側と容量により結合しており、励起導電板4aの共振周波数は低周波数側にシフトする。
なお、図5(a)から(d)では、各々の励起導電板は同じ開き角であったが、各々異なった開き角、長さであってもよい。
【0047】
図6から図8に示した各図は、励起導電板4を板面に垂直な方向に積層するスタック構造とした場合の逆Fアンテナ部3を側面から表した図である。
何れも、接地導電板7から所定距離を隔てて励起導電板4aを接地導電板7に平行に設け、励起導電板4aの上側に励起導電板4aから所定距離を隔てて励起導電板4bを励起導電板4aに平行に設けたものである。ここで平行の意味は、完全なる平行でなくても良く、電気的に接触しない範囲で支持された状態であれば良く、例えば、多少ずれた平行状態であってもよい。
励起導電板4a、4bの形状は、湾曲しているものとするが、矩形であってもよい。
【0048】
図6は、励起導電板4aの長さをa1とし、これと同じ長さa1の励起導電板4bを上方に配置した逆Fアンテナ部3の各例を表したものである。
このように図6の各例で示した逆Fアンテナ部3によれば、励起導電板4aと励起導電板4bを備え、一方に伝送ピン6を接続することで給電アンテナとし、他方を給電アンテナと結合する無給電アンテナとして機能させることができる。そして、励起導電板4aと励起導電板4bの長さを同じa1とすることで、周波数帯域を広げ、広帯域対応を可能とすることができる。
【0049】
図6(a)は、励起導電板4aに短絡ピン5aと伝送ピン6を設け、励起導電板4bに短絡ピン5bを設けた逆Fアンテナ部3の例である。
この例では、短絡ピン5aと短絡ピン5bは、それぞれ励起導電板4aと励起導電板4b同一位置(図の例では端部)に配置されている。
そして励起導電板4aは、短絡ピン5aにより接地導電板7に接地している。
一方、励起導電板4bは、短絡ピン5bを励起導電板4aと励起導電板4b間に配置することで、短絡ピン5a、励起導電板4aの端部、短絡ピン5bを介して接地導電板7に短絡されている。
【0050】
図6(b)は、励起導電板4aに短絡ピン5aと伝送ピン6を設け、励起導電板4bに短絡ピン5bを設けて励起導電板4aと共に接地導電板7に接地した逆Fアンテナ部3の例である。
この逆Fアンテナ部3では、図6(a)の例とは異なり、励起導電板4bと接地導電板7を短絡ピン5bで直接短絡している。
【0051】
図6(c)は、励起導電板4aに短絡ピン5aを設け、励起導電板4bに短絡ピン5bと伝送ピン6を設けた逆Fアンテナ部3の例である。
上述した図6(a)、(b)の逆Fアンテナ部3では、下側の励起導電板4aを給電アンテナ、上側の励起導電板4bを無給電アンテナとしたのに対し、図6(c)、(d)の逆Fアンテナ部3では上側の励起導電板4bを給電アンテナとし、下側の励起導電板4aを無給電アンテナとして、電波を受信するように構成したものである。
図6(c)、(d)に示されるように、上側の励起導電板4bに伝送ピン6を接続するため、下側にある励起導電板4aには、接地導電板7に設けられた貫通孔とほぼ同位置に伝送ピン6を貫通させる貫通孔が設けられる。
【0052】
図6(d)は、励起導電板4aに短絡ピン5aを設け、励起導電板4bに短絡ピン5bと伝送ピン6を設けた逆Fアンテナ部3の例である。
図6(d)に示すように、上側の励起導電板4bを給電アンテナとすると共に、短絡ピン5bにより直接接地導電板7に直接短絡している。
【0053】
図7は、スタック構造により広帯域対応、又は多周波数対応を可能とした逆Fアンテナ部3を表したものである。
図7(a)〜(d)に示した各逆Fアンテナ部3における、励起導電板4a、短絡ピン5a、励起導電板4b、短絡ピン5b、伝送ピン6、接地導電板7の配置関係は、図6(a)〜(d)に示したものと同じである。
図6に示した各逆Fアンテナ部3では、励起導電板4aと励起導電板4bの長さが共に同じ長さa1であったのに対し、図7に示した逆Fアンテナ部3では、励起導電板4aの長さa2と、励起導電板4bの長さa1とを異なる長さにしている。
このように、励起導電板4aの長さと、励起導電板4bの長さとを変えることで、広帯域に、又は多周波数に対応させることができる。
長さa1、a2の値については、受信する周波数により適宜選択することになる。
【0054】
図7(a)、(c)では、短絡ピン5aと短絡ピン5bを同位置に配置位置した逆Fアンテナ部3において、上側の励起導電板4bの長さa1よりも、下側の励起導電板4aの長さa2を長く(a1<a2)したものである。
これにより、図7(a)では給電アンテナが無給電アンテナよりも長くなり、図7(c)では給電アンテナ側が無給電アンテナよりも短くなる。
なお、図7(a)、(c)において、上側の励起導電板4bの長さa1よりも、下側の励起導電板4aの長さa2を短くする(a1>a2)構成としてもよい。
【0055】
図7(b)、(d)では、短絡ピン5bを励起導電板4bから接地導電板7に直接短絡し、励起導電板4a、励起導電板4bの短絡ピン5a、5bの反対側の位置を揃えることで、上側の励起導電板4bの長さa1を下側の励起導電板4aの長さa2よりも長く(a1>a2)したものである。
なお、図7(b)、(d)において、上側の励起導電板4bの長さa1を、下側の励起導電板4aの長さa2よりも短くする(a1<a2)構成としてもよい。
【0056】
図8は、アンテナの周波数特性を変化させた逆Fアンテナ部3の構造を表したものである。
図8の逆Fアンテナ部3では、給電アンテナ側の励起導電板において、伝送ピン6が接続されている給電点に対する短絡ピンの位置を変更することで、アンテナの特性を変化させている。
図8(a)〜(d)に示した各逆Fアンテナ部3における、励起導電板4a、短絡ピン5a、励起導電板4b、短絡ピン5b、伝送ピン6、接地導電板7の配置関係は、伝送ピン6に対する給電アンテナ側の短絡ピン5a、又は5bの位置が異なる点を除き、図6(a)〜(d)に示したものと同じである。
【0057】
図8(a)、(b)の逆Fアンテナ部3では、励起導電板4aの短絡ピン5aを伝送ピン6に近づけている。また、図8(c)、(d)の逆Fアンテナ部3では、励起導電板4bの短絡ピン5bを伝送ピン6に近づけている。
このように、給電アンテナ側の短絡ピン5a、又は短絡ピン5bを、伝送ピン6に近づけることにより、アンテナのインピーダンスが減少し、アンテナの周波数特性などの各種特性を変化させることが可能になる。
各短絡ピン5a、5bと伝送ピン6との距離は、要求される逆Fアンテナ部3の特性に応じて決定される。
なお、無給電アンテナとなる側の励起導電板4a又は4bに接続される短絡ピン5a又は5bの伝送ピン6に対する位置を変更しても、アンテナの特性に大きな変化はないので、図8の各状態でもよく、給電アンテナ側の短絡ピンにあわせて移動するようにしてもよい。
【0058】
次に、実験結果について説明する。
図9(a)は、逆Fアンテナ部3に対する筐体2の影響を調べる実験に用いた装置を説明するための図である。
本実験では、実験設備の関係上、時計装置1の3分の1程度の大きさで装置を作成した。このため、周波数は、実験値をほぼ3分の1倍したものが時計装置1での値となる。
【0059】
筐体2の寸法は、内径p=14[mm]、厚さd=0.5[mm]、高さt=2.0[mm]である。
筐体2の底面に設置された誘電体は、厚さhが0.6[mm]で、比誘電率εrが2.6である。
励起導電板4は、誘電体の上面に筐体2と同心に設置されており、曲率半径rが2.63[mm]、幅がw=2.0[mm]である。
そして、短絡ピン5と伝送ピン6の距離sは、0.28[mm]である。
【0060】
図9(b)は、実験結果を説明するための図である。
グラフの縦軸はリターンロスを表し、横軸は周波数を表している。
グラフの破線は、励起導電板4を筐体2に収納して計測した結果で、実線は、筐体2の円筒部を取り払った状態で計測した結果である。
即ち、破線は、逆Fアンテナ部3を筐体2に収納した状態に対応し、実線は、逆Fアンテナ部3を筐体2に入れない状態に対応している。
【0061】
グラフから明らかなように、破線と実線は、ほとんど重なっており、何れも4.5[GHz]で共振している。即ち、逆Fアンテナ部3の特性は、筐体2の有無にほとんど影響されていない。
時計装置1のサイズでは、4.5÷3=1.5[GHz]で共振し、GPS衛星が送信する電波の周波数となっている。
【0062】
図10(a)は、突起部51の影響を調べるシミュレーションに用いた構成を説明するための図である。
励起導電板4の自由端側の外周側に所定距離Wcにて突起部51が対向するように、筐体2の内周面に金属製の突起部51を設ける。他の寸法は、図9(a)の値を3倍し、時計装置1の大きさに対応させてある。
このように構成された装置を用いて、Wcと励起導電板4の共振周波数の関係を調べた。
【0063】
図10(b)は、Wcと励起導電板4の共振周波数の関係に関するシミュレーション結果を示した図である。
グラフから明らかなように、Wcが0.5[mm]以上の領域では、突起部51は、励起導電板4の影響はなく、Wcが0.5[mm]以下の領域では、1.59[GHz]程度から1.56[GHz]程度まで、Wcが小さくなるに従って共振周波数が低周波数側に移動している。
これは、励起導電板4と突起部51が近接することにより、両者が容量として機能しているためと思われる。
【0064】
以上に説明した実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)金属製の凹状容器で構成された筐体2内に逆Fアンテナ部3を配置し、筐体2の影響をあまり受けずに逆Fアンテナ部3を機能させることができる。
(2)時計装置1、特に腕時計型の時計装置1の内部に逆Fアンテナ部3を設置し、GPS衛星からの電波を受信することができる。
(3)時計装置1は、GPS衛星からの電波から時刻情報を取得して時刻補正することができる。GPS衛星の電波が受信できる場所であれば、世界中どこでも時刻補正できる。
(4)励起導電板4が筐体2に沿った湾曲形状であっても、内周側と外周側の電気長を等しくすることにより、同一周波数の電波を内周側と外周側の両方で受信できるため、感度を向上させることができる。
(5)励起導電板4の形状により、逆Fアンテナ部3の多周波数化を図ることができる。
(6)GPS衛星の電波は、円偏波であるが、従来例では、金属容器の側面に沿って励起導電板が設けられていたため、偏波面が励起導電板と平行でないときは感度が低下し、円偏波を効率よく受信することができなかったが、時計装置1は、凹部10の底面と平行に励起導電板4が設置されているため、円偏波を効率よく受信することができる。
(7)従来例では、金属容器の側面に平行に励起導電板が設けられていたため、時計を腕に装着した状態では、励起導電板の腕側が電波の受信に寄与できなかったが、時計装置1では、接地導電板7の何れの側も電波の受信に寄与することができる。
(8)励起導電板4の近傍に導電部材を設けることにより、励起導電板4に容量を装荷し、励起導電板4の共振周波数を下げることができる。これによって、逆Fアンテナ部3を小型化することができる。
【0065】
以上に説明した実施の形態では、逆Fアンテナ部3でGPS衛星からの電波を受信する場合について説明したが、他の送信元からの電波とすることもできる。
また、伝送ピン6に給電して、逆Fアンテナ部3から電波を送信することも可能である。
また、逆Fアンテナ構造を壊さない範囲で、アンテナを曲げる方向や、給電点、短絡点の位置は、適宜変更することができる。
更に、逆Fアンテナ部3をセンサなどの他の金属筐体のデバイスに設置し、これらデバイスと無線通信するように構成することもできる。
【0066】
以上に説明した実施の形態により、次の構成を得ることができる。
接地導電板7は、励起導電板4を設置するため、接地部として機能する第1の導電板として機能している。
励起導電板4は、GPS衛星から送信されてきた電波により励起され、また、接地導電板7と所定距離を隔てて平行に配置されているため、前記第1の導電板と平行に配置された励起用の第2の導電板として機能している。
短絡ピン5は、一端が接地導電板7に接続し、他端が励起導電板4に接続して両者を短絡しているため、一端が前記第1の導電板に接続し、他端が前記第2の導電板に接続した短絡部材として機能している。
伝送ピン6は、励起導電板4と接続して、接地導電板7の貫通孔8を貫通しているため、前記短絡部材と所定の距離を隔てて前記第2の導電板に接続し、前記第1の導電板を貫通する伝送部材として機能している。
時計動作部21は、伝送ピン6を介してGPS衛星からの信号を受信し、これから時刻情報を取得して自動的に時刻補正するため、電波送信元より送信された電波によって前記第2の導電板に生じた励起を、前記伝送部材を介して検出して前記電波による信号を受信する受信部を備えている。
筐体2は、凹部10を有し、上記要素から構成される逆Fアンテナ部3を収納しているため、前記第1の導電板、前記第2の導電板、前記短絡部材、前記伝送部材、及び前記受信部を収納する凹部が形成された導電性の筐体として機能している。
そして、時計装置1は、これらを具備した小型電子装置として機能している(第1の構成)。
【0067】
接地導電板7は、それぞれ、板面が凹部10の底面と平行となるように保持されているため、第1の構成において、前記第1の導電板は、前記凹部の底面と平行に保持されている(第2の構成)。
【0068】
励起導電板4は、短絡ピン5を基準とする長手方向の中心線に対して異なる電気長31、32を有するため、第1の構成、又は第2の構成において、前記第2の導電板は、前記第2の導電板の長手方向の中心線に対する一方の側の電気長と他方の側の電気長が異なる形状に形成されている(第3の構成)。
【0069】
励起導電板4は、凹部10の内周に沿って湾曲、又は屈曲しているため、第1〜3の構成において、前記第2の導電板は、前記凹部の内周に沿って湾曲、又は屈曲している(第4の構成)。
【0070】
また、時計装置1は、上記のように、第1の導電板と、第2の導電板と、短絡部材と、伝送部材と、受信部と、前記第1の導電板、前記第2の導電板、前記短絡部材、前記伝送部材、及び前記受信部を収納する凹部が形成された導電性の筐体に対応する要素を備えると共に、凹部10の内周部と励起導電板4の外周部の少なくとも一部を近接させることにより励起導電板4の共振周波数をシフトさせることができ、この場合、前記凹部の内周部と、前記第2の導電板の外周部の少なくとも一部は、前記第2の導電板の共振周波数がシフトする所定距離以下に配設されている(第5の構成)。
【0071】
接地導電板7は、それぞれ、板面が凹部10の底面と平行となるように保持されているため、第5の構成において、前記第1の導電板は、前記凹部の底面と平行に保持されている(第6の構成)。
【0072】
励起導電板4の共振周波数が低周波数側にシフトする部分は、凹部10の内周部に設けた突起部51や、励起導電板4に設けた突起部51とすることができるため、第5の構成、又は第6の構成において、前記所定距離以下となる部分は、前記凹部の内周部と、前記第2の導電板の外周部の少なくとも一方に形成された突起部によって構成することができる(第7の構成)。
【0073】
突起部51は、励起導電板4と同一平面に形成されているため、第7の構成において、前記突起部は、前記第2の導電板と同一平面内に形成されている(第8の構成)。
【0074】
励起導電板4は、凹部10の内周に沿って湾曲、又は屈曲しているため、第5〜8の構成において、前記第2の導電板は、前記凹部の内周に沿って湾曲、又は屈曲している(第9の構成)。
【0075】
近年、携帯端末やセンサなどの電子装置の小型化が求められており、そのため、電子装置に内蔵するアンテナを如何に小型化するかが課題となっていた。また、小型化を図ると共に、多周波数化などの高機能化も求められていた。
そこで、本実施の形態により、逆Fアンテナ部3による次の構成を提供することができる。
【0076】
接地部として機能する第1の導電板と、前記第1の導電板と平行に配置され、板面内で一方の方向に湾曲又は屈曲した励起用の第2の導電板と、一端が前記第1の導電板に接続し、他端が前記2の導電板に接続した短絡部材と、前記短絡部材と所定の距離を隔てて前記第2の導電板に接続し、前記第1の導電板を貫通する伝送部材と、電波送信元より送信された電波によって前記第2の導電板に生じた励起を、前記伝送部材を介して検出して前記電波による信号を受信する受信部と、を具備したことを特徴とするアンテナ装置を提供する(第10の構成)。
第1の構成において、前記第2の導電板の外周部の少なくとも一部に対して、前記第2の導電板の共振周波数を低周波数側にシフトさせるための導電部材が所定距離以下に配設されていることを特徴とする小型電子装置を提供する(第11の構成)。
【0077】
第2の導電板の長さは、受信する電波のほぼ4分の1波長、または、それ以下の素子寸法とするが、この構成によると、第2の導電板を湾曲又は屈曲させるため、4分の1波長よりも短い空間にコンパクトに収納することができる。
また、第2の導電板の外周側と内周側の電気長の違いから多周波数化を図ることもできる。
更に、共振周波数をシフトさせることにより第2の導電板を小型化することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 時計装置
2 筐体
3 逆Fアンテナ部
4 励起導電板
5 短絡ピン
6 伝送ピン
7 接地導電板
8 貫通孔
10 凹部
11 文字盤
12 ガラス板
21 時計動作部
22 短針
23 長針
31、32 電気長
51 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地部として機能する第1の導電板と、
前記第1の導電板と平行に配置された励起用の第2の導電板と、
一端が前記第1の導電板に接続し、他端が前記第2の導電板に接続した短絡部材と、
前記短絡部材と所定の距離を隔てて前記第2の導電板に接続し、前記第1の導電板を貫通する伝送部材と、
電波送信元より送信された電波によって前記第2の導電板に生じた励起を、前記伝送部材を介して検出して前記電波による信号を受信する受信部と、
前記第1の導電板、前記第2の導電板、前記短絡部材、前記伝送部材、及び前記受信部を収納する凹部が形成された導電性の筐体と、
を具備し、
前記凹部の内周部と、前記第2の導電板の外周部の少なくとも一部は、前記第2の導電板の共振周波数が低周波数側にシフトする所定距離以下に配設されていることを特徴とする小型電子装置。
【請求項2】
前記第1の導電板は、前記凹部の底面と平行に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の小型電子装置。
【請求項3】
前記所定距離以下となる部分は、前記凹部の内周部と、前記第2の導電板の外周部の少なくとも一方に形成された突起部によって構成されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の小型電子装置。
【請求項4】
前記突起部は、前記第2の導電板と同一平面内に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の小型電子装置。
【請求項5】
前記第2の導電板は、前記凹部の内周に沿って湾曲又は屈曲していることを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1つの請求項に記載の小型電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−75091(P2012−75091A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183993(P2011−183993)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(502152126)学校法人智香寺学園 (10)
【出願人】(510233828)
【出願人】(500353222)エスアイアイ移動通信株式会社 (46)
【Fターム(参考)】