説明

小型電気機器の装着検知構造

【課題】洗浄装置において、簡素かつ安価な構成でありながらも、小型電気機器と固定台との装着ずれによる誤検知を防止する。
【解決手段】装着検知構造は、小型電気機器1が装着される固定台2を備える。固定台2は、プラス電源ライン11に電気接続される充電用接点部材3と、マイナスライン12に電気接続される共用接点部材4と、制御信号ライン13に電気的に接続される信号用接点部材5と、小型電気機器1の装着に伴って変位することにより共用接点部材4と電気的に導通状態から遮断状態に移行する可動接点5eとを備える。可動接点5eが共用接点部材4から電気的に遮断状態となることにより、小型電気機器1が装着されたことを検知する。各接点部材3乃至5が各々対応するラインに電気接続されることに併せて可動接点5eが変位して小型電気機器1の装着を検知するので、小型電気機器1の装着に伴なう機械的な判定により小型電気機器装着を検知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定台に小型電気機器が装着されたことを検知する小型電気機器の装着検知構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、小型電気機器が装着される固定台において、小型電気機器に充電用電力や制御信号を送出する接点部材を有したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の固定台においては、小型電気機器が装着されたことを検知するための検知部が別途設けられ、検知部には押し込み式の検知スイッチが用いられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−18128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の固定台においては、接点部材と検知スイッチとが互いに離間した位置関係となるため、小型電気機器が固定台に正確に装着されていないと、接点部材が小型電気機器側の端子と接触している場合であっても検知スイッチが押し込まれず非検知とされたり、接点部材が小型電気機器側の端子に接触していない場合であっても検知スイッチが押し込まれて検知とされることがある。また、接点部材と検知部とが別々の機能要素として構成されるために、部品点数が多く、コストアップを招来していた。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、簡素かつ安価な構成でありながらも、小型電気機器と固定台との装着ずれによる誤検知を防止することができる小型電気機器の装着検知構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、小型電気機器が装着される固定台を備え、その固定台に小型電気機器が装着されたことを検知する小型電気機器の装着検知構造において、前記固定台は、小型電気機器が装着されたときに該機器の充電用のプラス電源ラインに電気接続される充電用接点を有した充電用接点部材と、小型電気機器が装着されたときに該機器のマイナスラインに電気接続される共用接点を有した共用接点部材と、小型電気機器が装着されたときに該機器の制御信号ラインに電気的に接続される信号用接点を有した信号用接点部材と、小型電気機器の装着に伴って変位することにより前記共用接点部材と電気的に導通状態から遮断状態に移行する、前記信号用接点と電気的に一体に設けられた可動接点とを備え、前記可動接点が前記共用接点部材から電気的に遮断状態となることにより、小型電気機器が装着されたことを検知するように構成されているものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記充電用接点、共用接点及び信号用接点は、小型電気機器の装着に伴って変位するように構成されており、小型電気機器が装着されたときの、前記信号用接点の変位量が前記充電用接点及び共用接点の変位量と同じか又は小さいものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、小型電気機器が装着されたときの、前記可動接点の変位量が前記信号用接点の変位量より大きいものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記可動接点は、前記信号用接点より上方に配置されているものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記充電用接点部材、共用接点部材及び信号用接点部材が、同形状の部材により形成されているものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明において、一端が前記共用接点部材に常時接続され、他端が前記可動接点と開閉される接点を有する導電部材を備え、前記導電部材の一端は、前記共用接点部材に対し圧接により電気的に接続されているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、各接点部材が各々対応するラインに電気接続されることに併せて可動接点が変位し、共用接点部材から電気的に遮断状態となると小型電気機器の装着を検知するので、小型電気機器の装着に伴なう機械的な判定により小型電気機器装着を検知でき、小型電気機器と固定台との装着ずれによる誤検知を防止できる。従って、例えば、各接点部材が、各々対応する小型電気機器側端子に接触している場合に非検知とされたり、各接点部材が、各々対応する小型電気機器側端子に接触していない場合に検知とされることがなくなる。また、可動接点と信号用接点とが電気的に一体構成とされ、小型電気機器が装着されたときの、信号用接点部材と共用接点部材との間の電位差に基づき小型電気機器の装着・非装着を検知できるので、可動接点を導電するための回路を別途設ける必要がなくなる。従って、部品点数削減によるコストダウン、固定台の小型化が図れる。
【0013】
請求項2の発明によれば、装着検知時において充電用接点及び共用接点が小型電気機器側端子と接触し易くなるので、小型電気機器に充電用電力を安定して送出することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、小型電気機器が装着されたとき、可動接点が信号用接点よりも大きく変位するので、可動接点と共用接点部材との電気遮断が確実に行われ、より安定した検知を行うことが可能となる。
【0015】
請求項4の発明によれば、固定台に侵入した液体が信号用接点へと流れてきた場合に、その液体から可動接点を保護できる。
【0016】
請求項5の発明によれば、充電用接点部材、共用接点部材及び信号用接点部材に用いる部材が共通化され、コストを削減できる。
【0017】
請求項6の発明によれば、リード線やはんだを用いた加工が不要となり、組み立て工数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る小型電気機器の装着検知構造において、小型電気機器が固定台に装着される前のブロック構成図、(b)は装着される前のブロック構成図。
【図2】上記装着検知構造の適用例を示す、電気かみそり及び洗浄充電器の断面構成図。
【図3】上記洗浄充電器の斜視図。
【図4】上記洗浄充電器における充電用接点部材、共用接点部材、信号用接点部材の取付構成を示す、背面側から視た斜視図。
【図5】(a)は電気かみそりが装着される前の信号用接点部材の状態を示す側面図、(b)は電気かみそりが装着された後の信号用接点部材の状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る小型電気機器の装着検知構造(以下、装着検知構造という)について図1を参照して説明する。図1(a)は小型電気機器1が固定台2に装着される前の状態を、図1(b)は小型電気機器1が固定台2に装着された後の状態を示す。本装着検知構造は、小型電気機器1が装着される固定台2を備え、その固定台2に小型電気機器1が装着されたことを検知するものである。小型電気機器1は、固定台2への装着により充電及び各種制御がなされ、充電用のプラス電源ライン11と、マイナスライン12と、制御信号ライン13とを有している。
【0020】
固定台2は、小型電気機器1が装着されたときに、プラス電源ライン11に電気接続される充電用接点3aを有した充電用接点部材3と、マイナスライン12に電気接続される共用接点4aを有した共用接点部材4と、制御信号ライン13に電気的に接続される信号用接点5aを有した信号用接点部材5と固定台制御のための制御部6とを備えている。
【0021】
充電用接点部材3は、充電用接点3aが小型電気機器1の装着に伴って変位するように構成されている。充電用接点部材3は、固定台2に保持される装着部3bと、装着部3bの下端から水平方向に延びる水平部3cと、水平部3cの先端から斜め上方に延び、中途に半球状の突出部位を含む変位部3dとで構成され、平面視略V字状とされている。充電用接点3aは、突出部位の一部として設けられている。共用接点部材4、信号用接点部材5についても、充電用接点部材3の同形状の導通部材により形成され、同等の構成を有する。ここで、小型電気機器1が装着されたときの、信号用接点5aの変位量は、充電用接点3a及び共用接点4aの変位量と同じか又は小さくなるように設定されている。そのため、装着検知時において充電用接点3a及び共用接点4aが小型電気機器側端子と接触し易くなるので、小型電気機器1に充電用電力を安定して送出することができる。
【0022】
信号用接点部材5は、小型電気機器1の装着に伴って変位することにより共用接点部材4と電気的に導通状態から遮断状態に移行する可動接点5eを有している。可動接点5eは、信号用接点5aと電気的に一体に設けられており、変位部5dの上方部位に配置されている。従って、小型電気機器1が装着されたときの、可動接点5eの変位量は信号用接点5aの変位量より大きくなる。そのため、小型電気機器1が装着されたとき、可動接点5eが信号用接点5aよりも大きく変位するので、可動接点5eと共用接点部材4との電気遮断が確実に行われ、より安定した検知を行うことが可能となる。また、可動接点5eは、信号用接点5aより上方に配置されるので、固定台2に侵入した液体が信号用接点5aへと流れてきた場合に、その液体から可動接点5eを保護できる。固定台2には、一端が共用接点部材4に常時接続され、他端が可動接点5eと開閉される接点7aを有する導電部材7が設けられている。
【0023】
制御部6は、小型電気機器1に充電用電力を送出する充電回路61と、小型電気機器1の装着を検知する検知回路62と、検知回路62による検知に基づき各種制御を行う制御回路63とを備える。充電回路61は、プラス端子側がリード線8aにより充電用接点部材3と繋がれ、マイナス端子側がリード線8bにより共用接点部材4と繋がれている。検知回路62は一端がリード線8cにより共用接点部材4と繋がれ、他端がリード線8dにより信号用接点部材5と繋がれている。制御回路63はリード線8eにより信号用接点部材5と繋がれている。
【0024】
上記のように構成された固定台2において、小型電気機器1が装着されていないときは、可動接点5eと接点7aが電気的に接続されていて常時閉スイッチとなっており、検知回路62両端の電位は同電位となっている。小型電気機器1が装着されると、可動接点5eが押し込まれ、可動接点5eと接点7aが電気的に遮断されて開状態となり、検知回路62両端の電位が変動する。検知回路62は、この電位変化を測定し小型電気機器1が装着されたことを検知する。また、小型電気機器1の装着に伴なって、充電用接点部材3とプラス電源ライン11とが接続され、共用接点部材4とマイナスライン12とが接続され、信号用接点部材5と制御信号ライン13と接続される。制御回路63は、充電回路61より充電用接点部材3を介してプラス電源ライン11に充電用電力を送出させると共に、信号用接点部材5を介して制御信号ライン13に各種制御信号を送出する。
【0025】
このように、本実施形態によれば、各接点部材3乃至5が各々対応するライン11乃至13に電気接続されることに併せて可動接点5eが変位し、共用接点部材4から電気的に遮断状態となると小型電気機器1の装着を検知するので、小型電気機器1の装着に伴なう機械的な判定により小型電気機器装着を検知でき、小型電気機器1と固定台2との装着ずれによる誤検知を防止できる。従って、例えば、各接点部材3乃至5が、各々対応する小型電気機器側端子に接触している場合に非検知とされたり、各接点部材3乃至5が、各々対応の小型電気機器側端子に接触していない場合に検知とされることがなくなる。また、可動接点5eと信号用接点5aとが電気的に一体構成とされ、小型電気機器1が装着されたときの、信号用接点部材5と共用接点部材4との間の電位差に基づき小型電気機器1の装着・非装着を検知できるので、可動接点5eを導電するための回路を別途設ける必要がなくなる。従って、部品点数削減によるコストダウン、固定台2の小型化が図れる。また、各接点部材3乃至5に用いる部材が共通化され、一層コストを削減できる。
【0026】
次に、本実施形態における装着検知構造の適用例について図2乃至図5を参照して説明する。図2、図3に示すように、この適用例においては、小型電気機器1は電気かみそりであり、固定台2は電気かみそりを充電・洗浄する機能を有した洗浄充電器であり、以下ではそれぞれ、電気かみそり1、洗浄充電器2とする。図2、図3において上記実施形態と同一の部材には同一の符号を付す(以下、同様)。電気かみそり1は、刃部を有したヘッド部14と、刃部駆動のため充電池等を内蔵した把持部15とを備えている。把持部15の背面には、プラス電源ライン11、マイナスライン12及び制御信号ライン13に繋がる3つの端子ピン16(図示では1つ)が突設されている。
【0027】
洗浄充電器2は、ヘッド部14を下向きにした電気かみそり1を挿入するための投入口21を有している。投入口21内にある背面基台22には、電気かみそり1の端子ピン16と各々電気接続される充電用接点部材3、共用接点部材4、信号用接点部材5が設けられている。
【0028】
図4に示すように、各接点部材3乃至5は、背面基台22と、背面基台22の後方にある板金基台23とによって保持されている。信号用接点部材5の上方には、電気かみそり1の背面内部に設けられた金属板17(図2参照)を引き付ける磁石24と、磁石24の磁力を高めるための平面視略コ字状をなすヨーク25が設けられており、電気かみそり1の装着精度を向上させている。導電部材7の一端は、背面基台22に設けられた台座22aに下方から保持されることにより、共用接点部材4に対し圧接により電気的に接続されている。そのため、リード線やはんだを用いた加工が不要となり、組み立て工数を削減できる。
【0029】
上記のように構成された洗浄充電器2において、図5(a)に示すように、電気かみそり1を装着していない状態では、信号用接点部材5と導電部材7の接点7aが接触しているので、電気かみそり1との装着が検知されていない。電気かみそり1が洗浄充電器2の投入口21に挿入されると、図5(b)に示すように、電気かみそり1の金属板17が磁石24に引き付けられ、制御信号ライン13に繋がれた端子ピン16が信号用接点部材5を押し込み、信号用接点部材5と電気接続される。このとき、可動接点5eが充電洗浄器内に変位し、導電部材7の接点7aと電気的に遮断状態となり、電気かみそり1の装着を検知する。また、プラス電源ライン11及びマイナス電源ライン12にそれぞれ繋がれた他の端子ピン16も充電用接点部材3及び共用接点部材4をそれぞれ押し込み、電気接続される。この状態にて洗浄充電器2は、電気かみそり1の充電とヘッド部の洗浄を行う。
なお、板金基台23には、各接点部材3乃至5の押し下げ量を規制するストッパ片が設けられている。
【0030】
このようにして、電気かみそり1が洗浄充電器2に装着されたことが確実に検知され、かつ、充電及び制御を確実に行うことができる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、本装着検知構造が携帯電話の充電器に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 小型電気機器(電気かみそり)
11 プラス電源ライン
12 マイナスライン
13 制御信号ライン
2 固定台(洗浄充電器)
3 充電用接点部材
3a 充電用接点
4 共用接点部材
4a 共用接点
5 信号用接点部
5a 信号用接点
5e 可動接点
7 導電部材
7a 接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型電気機器が装着される固定台を備え、その固定台に小型電気機器が装着されたことを検知する小型電気機器の装着検知構造において、
前記固定台は、
小型電気機器が装着されたときに該機器の充電用のプラス電源ラインに電気接続される充電用接点を有した充電用接点部材と、
小型電気機器が装着されたときに該機器のマイナスラインに電気接続される共用接点を有した共用接点部材と、
小型電気機器が装着されたときに該機器の制御信号ラインに電気的に接続される信号用接点を有した信号用接点部材と、
小型電気機器の装着に伴って変位することにより前記共用接点部材と電気的に導通状態から遮断状態に移行する、前記信号用接点と電気的に一体に設けられた可動接点とを備え、
前記可動接点が前記共用接点部材から電気的に遮断状態となることにより、小型電気機器が装着されたことを検知するように構成されていることを特徴とする小型電気機器の装着検知構造。
【請求項2】
前記充電用接点、共用接点及び信号用接点は、小型電気機器の装着に伴って変位するように構成されており、
小型電気機器が装着されたときの、前記信号用接点の変位量が前記充電用接点及び共用接点の変位量と同じか又は小さいことを特徴とする請求項1に記載の小型電気機器の装着検知構造。
【請求項3】
小型電気機器が装着されたときの、前記可動接点の変位量が前記信号用接点の変位量より大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の小型電気機器の装着検知構造。
【請求項4】
前記可動接点は、前記信号用接点より上方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の小型電気機器の装着検知構造。
【請求項5】
前記充電用接点部材、共用接点部材及び信号用接点部材が、同形状の部材により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の小型電気機器の装着検知構造。
【請求項6】
一端が前記共用接点部材に常時接続され、他端が前記可動接点と開閉される接点を有する導電部材を備え、
前記導電部材の一端は、前記共用接点部材に対し圧接により電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の小型電気機器の装着検知構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−162203(P2010−162203A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7692(P2009−7692)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】