説明

少なくとも1つのダブル求電子モノマーおよびラジカル開始剤を含む化粧品組成物

【課題】本発明の課題は、毛髪などのケラチン繊維に適用した場合に、外来因子に対して改善された抵抗性を示す被覆を得ることができる組成物を得ることである。
【解決手段】本発明の対象は、化粧品的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つのダブル求電子モノマーおよび少なくとも1つのラジカル開始剤を含む、毛髪などのケラチン繊維の美容的処理のための新規の組成物である。本発明は、また、この組成物を用いて開始するケラチン繊維の処理方法、および、前記繊維の処理におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、化粧品的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つのダブル求電子モノマー(dielectrophile monomer)および少なくとも1つのラジカル開始剤を含む、毛髪などのケラチン繊維の美容的処理のための新規の組成物である。本発明は、また、この組成物を用いて開始するケラチン繊維の処理方法、および、前記繊維の処理におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪に、ボディ、体積またはボリュームを付与することができる多くのスタイリング製品が存在する。一般的に被膜形成ポリマーに基づく、これらの製品に関する1つの欠点としては、その美容効果が最初のシャンプーにより消失してしまうという事実がある。
【0003】
米国特許US5362486に記載されているように、毛髪上で特定のモノマーを直接ラジカル重合することによって、ポリマーの堆積層の残留が増すことを予期することができる。もう1つの代替的な形態は、毛髪のケラチンの還元後に、MMA(モノ求電子性)モノマーまたはイタコン酸タイプモノマーのラジカル重合によって、毛髪を処理することである。
【0004】
しかしながら、このような処理は、それほど美容的ではなく、繊維への甚大な被害が一般に見られる。このように処理された毛髪は、もつれを解すことが困難である。
【0005】
更にその上、仏国特許出願FR2833489には、毛髪上でアニオン的に直接重合化することができる求電子モノマーを含む組成物を用いた、毛髪の処理のための組成物が開示されている。これらのモノマーにより、重合後に、完全に被覆された毛髪を得ることが可能となる。しかしながら、得られた被覆は、毛髪が受けうる様々な外部的な攻撃に関して、満足する強度を提示しない。
【特許文献1】米国特許US5362486
【特許文献2】仏国特許出願FR2833489
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、持続的な方法で、特に、シャンプー、擦ること、光、悪い天気、汗およびパーマなどの、毛髪が受けうる様々な攻撃に直面しても、毛髪に、ボディ、体積またはボリュームを付与することができる新規の化粧品組成物を見出す必要が存在する。これらの特性は、特に、シャンプーに関する耐性について顕著である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、その対象が、化粧品的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つのダブル求電子モノマーおよび少なくとも1つのラジカル開始剤を含む組成物である本発明を用いて達成される。
【0008】
このような組成物は、毛髪などのケラチン繊維に適用した場合に、問題なくスタイリング可能な完全に別々な毛髪を保持しながら、外来因子に対して改善された抵抗性を示す被覆を得ることが可能となる。更にその上、繊維に付与するスタイリング特性を残留させる。なぜならば、毛髪の表面に、毛髪が受けうる様々な攻撃(シャンプー、擦ること、光、悪い天気、汗およびパーマなど)に対して持続可能である保護被覆が形成されるからである。これらの特性は、特に、シャンプーに関する耐性について顕著である。形成された被膜は、疎水性であり、特には、機械的に耐性である。
【0009】
得られた被覆は均質で滑らかであり、毛髪に対して優れた接着性を示す。
【0010】
形成されたポリマーは、ケラチン繊維を覆い、体積、ボリューム、グロスおよび柔軟さを付与する前記繊維の被覆を形成することができる。
【0011】
本発明のもう1つの対象は、ケラチン繊維への、本発明の組成物の適用を含む、ケラチン繊維の処理方法、および、毛髪などの前記繊維の処理における本発明の組成物の使用である。
【0012】
本発明のもう1つの対象は、一方で少なくとも1つのダブル求電子モノマーを含む組成物、他方で少なくとも1つのラジカル開始剤を含む第2の組成物を含むキットである。
【0013】
本発明において使用するダブル求電子モノマーは、以下の式(I):
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、
・R1およびR2は、それぞれ、お互い独立して、電子吸引効果をほとんど有さないか、全く有さない基、誘導吸引効果をほとんど有さないか、全く有さない基、例えば、
-水素原子、
-好ましくは1から20の、より好ましくは1から10の炭素原子を含み、1つまたは複数の窒素、酸素または硫黄原子を含んでいてもよく、-OR、-C(O)OR-、-C(O)R、-SRおよびハロゲン原子から選択される1つまたは複数の基によって置換されていてもよい、飽和または不飽和で、直鎖状、分枝状または環状の炭化水素基、
-改変したまたは非改変のポリオルガノシロキサン残基、
-ポリオキシアルキレン基、
を表し、
好ましくは、R1およびR2は水素原子を表し、または、有利には、R1は水素原子を表し、R2はハロゲン原子によって置換されていてもよいフェニル基を表し;
・R3およびR4は、それぞれ、お互い独立して、好ましくは-N(R)3+、-S(R)2+、-NO2、-SO2R、-C≡N、-C(O)OR、-C(O)SR、-C(O)NR2、-F、-Cl、-Br、-I、-OR、-C(O)Rもしくは-SR基、直鎖状もしくは分枝状のアルケニル基、直鎖状もしくは分枝状のアルキニル基、C1-C4モノ-もしくはポリフルオロアルキル基、フェニルなどのアリール基、またはフェノキシルオキシなどのアリールオキシ基から選択される電子吸引基を表し、
・Rは、同一または異なって、水素原子、または、好ましくは1から20の、より好ましくは1から10の炭素原子を含み、1つもしくは複数の窒素、酸素または硫黄原子を含んでいてもよく、-OR'、-C(O)OR'-、-C(O)R'、-SH、-SR'、-OH、ハロゲン原子もしくはラジカル重合、重縮合もしくは環開裂によって得ることができるポリマー基から選択される1つもしくは複数の基によって置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和で、直鎖状、分枝状もしくは環状の炭化水素基を表し、R'は、C1-C10アルキル基を表し;
(A)はメチル2-シアノアクリレートまたはイタコン酸を表すことはできないと理解される)
のモノマーである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
用語「電子吸引基」とは、誘導効果または誘導吸引効果(-1)によって電子を吸引する基を意味すると理解される。
【0017】
より具体的には、用語「(-1)効果」は、炭素よりも電気陰性である任意の基を意味すると理解される。PR Wells, Prog. Phys. Org. Chem., 1968, Vol. 6, pp111を参照することができる。
【0018】
用語「電子吸引効果をほとんど有さないか、全く有さない基」とは、炭素の電気陰性度より低いか同等の電気陰性度を有する任意の基を意味すると理解される。
【0019】
モノマーが環状である場合、電気吸引基は、好ましくは環外に存在する、すなわち、モノマーの環状構造の一体となっている部分を形成しない。
【0020】
アルケニルまたはアルキニル基は、好ましくは、2から20の炭素原子を有し、より好ましくは2から10の炭素原子を有する。
【0021】
特に、好ましくは1から20の炭素原子を含む飽和または不飽和で、直鎖状、分枝状または環状の炭化水素基としては、直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基、例えば、メチル、エチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ブテニルまたはブチニル;シクロアルキル基または芳香族基を挙げることができる。
【0022】
置換された炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシアルキルまたはポリハロアルキル基を挙げることができる。
【0023】
ポリマー基の例には、改変されていてもよいハイドロカーボンポリオルガノシロキサンが含まれる。
【0024】
特に、ポリアルキルシロキサン、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリアリールシロキサン、例えば、ポリフェニルシロキサン、またはポリアリールアルキルシロキサン、例えば、ポリメチルフェニルシロキサンを挙げることができる。
【0025】
改変されたポリオルガノシロキサンとしては、特に、ポリオキシアルキレンおよび/またはシロキシおよび/またはシラノールおよび/またはアミンおよび/またはイミンおよび/またはフルオロアルキル基を含むポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0026】
ポリマー基としては、ポリオキシアルキレン基を包含することができ、特に、ポリオキシエチレン基およびポリオキシプロピレン基または1から200のオキシアルキレン単位を含むそれらのコポリマーを挙げることができる。
【0027】
特に、モノ-またはポリフルオロアルキル基としては、-(CH2)n-(CF2)m-CF3または-(CH2)n-(CF2)m-CHF2(n=1から20、m=1から20)などの基を挙げることができる。
【0028】
R1からR4置換基は、美容的な活性を有する基によって置換されていてもよい。特に使用される美容的な活性とは、着色、抗酸化、UV-スクリーニングおよびコンディショニング機能を有する基から得られる。
【0029】
特に、着色機能を有する基の例として、アゾ、キノン、メチン、シアノメチンまたはトリアリールメタン基を挙げることができる。
【0030】
特に、抗酸化機能を有する基の例としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)またはビタミンE型の基を挙げることができる。
【0031】
特に、UV-スクリーニング機能を有する例としては、ベンゾフェノン、シンナメート、ベンゾエート、ベンジルデンカンファーおよびジベンゾイルメタン型の基を挙げることができる。
【0032】
特に、コンディショニング機能を有する基の例としては、カチオン基および脂肪エステル型の基を挙げることができる。
【0033】
式(A)に対応するダブル求電子モノマーとしては、以下を挙げることができる:
・誘導体ベンジリデンマロノニトリル(1)、2-(4-クロロベンジリデン)マロノニトリル(2)、エチル2-シアノ-3-フェニルアクリレート(3)またはエチル2-シアノ-3-(4-クロロフェニル)アクリレート、Sayyah, J. Polymer Research, 2000, p97に開示;
【0034】
【化2】

【0035】
・メチリデンマロネート誘導体、例えば:
- ジエチル2-メチレンマロネート(5)、Hopff, Makromoleculare Chemie, 1961, p95, De Keyser, J. Pharm. Sci., 1991, p67およびKlemarczyk, Polymer, 1998, p173に開示;
【0036】
【化3】

【0037】
- C1-C8-アルキルカルボキシアクリレート(5')、Martinez JMによる特許出願WO9749436に開示;
【0038】
【化4】

【0039】
- エチル2-エトキシカルボニルメチルオキシカルボニルアクリレート(6)、Breton, Biomaterials, 1998, p271およびCouvreur, Pharmaceutical Research, 1994, p1270に開示;
【0040】
【化5】

【0041】
・誘導体メチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(7)、エチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(8)、メチルα-(tert-ブチルスルホニル)アクリレート(9)、tert-ブチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(10)およびtert-ブチルα-(tert-ブチルスルホニル)アクリレート(11)、Gipstein, J. Org. Chem. 1980, p1486に開示、ならびに、誘導体1,1-ビス(メチルスルホニル)エチレン(12)、1-アセチル-1-(メチルスルホニル)エチレン(13)、メチルα-(メチルスルホニル)-ビニルスルホネート(14)およびα-(メチルスルホニル)アクリロニトリル(15)、Shearerによる米国特許US2748050に開示;
【0042】
【化6】

【0043】
・イタコン酸以外のイタコネートおよびイタコニミド誘導体、例えば:
- ジメチルイタコネート(16)、Bachrach, European Polymer Journal, 1976, p563に開示;
【0044】
【化7】

【0045】
- N-ブチルイタコニミド(17)、N-(4-トリル)イタコニミド(18)、N-(2-エチルフェニル)イタコニミド(19)およびN-(2,6-ジエチルフェニル)イタコニミド(20)、Wanatabe, J. Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, 1994, p2073に開示;
【0046】
【化8】

【0047】
(Ra=Bu(21)、4-トリル(22)、2-エチルフェニル(23)、2,6-ジエチルフェニル(24))。
【0048】
前記したモノマーとして、式(B):
【0049】
【化9】

【0050】
(Xは、NH、SまたはOを表し、
R1およびR2は、前記と同じ意味を有し、R1およびR2は好ましくは水素原子を表し、
R'3は、式(A)で定義したRを表す)
のシアノアクリレートおよびその誘導体ファミリーのモノマーが好ましい。
【0051】
好ましくは、Xは、Oを表す。
【0052】
好ましくは、R'3は、6から10の炭素原子を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキル鎖、または、6から10の炭素原子を含むアルケニル基を表す。
【0053】
式(B)の化合物として、以下のモノマーを挙げることができる:
a)ポリフルオロアルキル2-シアノアクリレートのファミリーに属するモノマー、例えば
- 式(D):
【0054】
【化10】

【0055】
の2-シアノ-2-プロペン酸の2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエステル、または、
- 式(E):
【0056】
【化11】

【0057】
の2-シアノ-2-プロペン酸の2,2,2-トリフルオロエチルエステル;
【0058】
b)式(C):
【0059】
【化12】

【0060】
(式中、R'3は、C1-C10アルキル基、C2-C10-アルケニル基または(C1-C4)アルコキシ(C1-C10)アルキル基を表す)
のアルキルまたはアルコキシアルキル2-シアノアクリレート;
より具体的には、エチル2-シアノアクリレート、n-プロピル2-シアノアクリレート、イソプロピル2-シアノアクリレート、tert-ブチル2-シアノアクリレート、n-ブチル2-シアノアクリレート、イソブチル2-シアノアクリレート、3-メトキシブチルシアノアクリレート、n-デシルシアノアクリレート、ヘキシル2-シアノアクリレート、2-エトキシエチル2-シアノアクリレート、2-メトキシエチル2-シアノアクリレート、2-オクチル2-シアノアクリレート、2-プロポキシエチル2-シアノアクリレート、n-オクチル2-シアノアクリレート、イソアミルシアノアクリレート、アリル2-シアノアクリレートおよびメトキシプロピル2-シアノアクリレート;
c)式(1):
【0061】
【化13】

【0062】
のベンジリデンマロノニトリル誘導体、および、式(2):
【0063】
【化14】

【0064】
の2-(4-クロロベンジリデン)マロノニトリル誘導体、および、それらの混合物。
【0065】
本発明においては、式(c)のモノマーb)を使用することが好ましい。好ましい実施態様によれば、シアノアクリレートモノマーは、C6-C10アルキルまたはC6-C10アルケニルシアノアクリレートから選択される。
【0066】
特に好ましいモノマーは、式(F):
【0067】
【化15】

【0068】
(式中、R'3=-(CH2)7-CH3、-CH(CH3)-(CH2)5-CH3、-CH2-CH(C2H5)-(CH2)3-CH3、-(CH2)5-CH(CH3)-CH3、-(CH2)4-CH(C2H5)-CH3
のオクチルシアノアクリレートおよびその混合物である。
【0069】
本発明による特に好ましいシアノアクリレートモノマーは、Chemenceによって照会番号Ritelok CDN 1064で販売されている直鎖状または分枝状のオクチル2-シアノアクリレートである。
【0070】
本発明によって使用されるモノマーは、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーなどの支持体に共有結合していてもよい。ポリマーまたはオリゴマーは、直鎖状、分枝状、くし型構造またはブロック構造とすることができる。本発明のモノマーの、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマー構造上での分布は、ランダム、末端部位またはブロックの形態とすることができる。
【0071】
本発明による式(B)のシアノアクリレートモノマーは、既知の方法によって合成することができる。特に、シアノアクリレートモノマーは、特許US3527224、US3591767、US3667472、US3995641、US4035334およびUS4650826の手法に従って合成することができる。
【0072】
求電子モノマー、特には式(B)のシアノアクリレートモノマー、具体的にはオクチル2-シアノアクリレートは、それを含む組成物の総重量に対して、0.1から99重量%の範囲の含量で存在する。
【0073】
本発明の組成物においては、シアノアクリレートモノマーの量は、組成物の総重量の0.1から80重量%、好ましくは1から50重量%である。
【0074】
本発明においては、用語「ラジカル重合」は、ラジカル生成剤またはラジカル開示剤によって開始される任意の重合を意味すると理解される。
【0075】
ラジカル開始剤は、水または有機溶媒に可溶である。
【0076】
ラジカル開始剤は、パーオキシド型の開始剤、特に一般式(I)もしくは(II):
R1-O-O-R2 (I)
R1-O-O-R3-O-O-R2 (II)
[式中、
- R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、または、置換されていてもよいアリール、直鎖状もしくは分枝状の(C1-C6)アルキル、アシルR'C(O)-もしくは-C(O)R''およびエステルR'OC(O)-もしくは-(O)COR''(R'およびR''は、同一または異なって、直鎖状もしくは分枝状の(C1-C6)アルキルまたは置換されていてもよいアリール基を表す)から選択される基を表し;
- R3は、二価アルキレン基-(CR4R5)q-(式中、R4およびR5は、同一または異なって、水素原子またはハロゲン原子または直鎖状もしくは分枝状の(C1-C6)アルキル基を表し、qは1から6の整数を表す)を表す]
のパーオキシド型の開始剤、アゾ型の開始剤、パースルフェート型の開始剤、レドックス型の開始剤またはそれらの混合物とすることができる。
【0077】
用語「置換されていてもよいアリール」基は、6から22の炭素原子、少なくとも1つの芳香族環を含む融合もしくは非融合の単環式基もしくは多環式基を意味し、アリール基とは、好ましくは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニルまたはテトラヒドロナフチルであり;前記の基は、以下から選択される基によって置換されていてもよいことを意味すると理解される:
- C1-C16アルキル、好ましくはC1-C8アルキル;
- ハロゲン原子、たとえば塩素、フッ素またはホウ素;
- ヒドロキシル基;
- C1-C2アルコキシ基;C2-C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ基;
- 1つまたは2つの同一または異なるC1-C6アルキル基によって置換されていてもよいアミノ基;
- アシルアミノ基-NR6-C(O)R7(式中、R6およびR7基は、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはC1-C4アルキル基を表す);
- カルバモイル基R6R7N-C(O)-(式中、R6およびR7基は、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはC1-C4アルキル基を表す);
- アルキルスルホニルアミノ基R6SO2-NR7-(式中、R6およびR7基は、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはC1-C4アルキル基を表す);
- アミノスルホニル基R6R7N-SO2-(式中、R6およびR7基は、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはC1-C4アルキル基を表す);
- 酸形態または塩形態のカルボキシル基(好ましくは、アルカリ金属または置換もしくは非置換アンモニウムとの塩);
- シアノ基(CN);ならびに
- ポリハロアルキル基、例えば、C1-C6トリハロアルキル、好ましくはトリフルオロメチル。
【0078】
式(I)のパーオキシドとしては、式R1-O-O-Hのヒドロパーオキシド、例えば、ベンゾイルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ラウリルパーオキシドまたはデカノイルパーオキシドを挙げることができる。特には、市販のパーオキシド、具体的には、以下の名称でArkemaによって販売されているパーオキシドを挙げることができる。
【0079】
ラジカル生成剤の反応性は、異なる温度での半減期によって、または、異なる時間での半減期温度によってたびたび付与される。
【0080】
異なる温度での半減期は、以下の式を介して計算することができる:
t1/2=(ln2)/kd
・kd=A・e-(Ea/RT)
・Ea=123.80kJ/mol
・R=8.3142J/mol・K
・A=1.62E+14s-1
・および、273.15を足した摂氏温度(℃)に対応するケルビン温度(K)
【0081】
【表1】

【0082】
パーオキシドとしては、式(I)のジアルキルパーオキシド、例えば、ジクミルパーオキシドおよび以下の名称でArkemaによって特に販売されている市販のパーオキシドを挙げることができる。
【0083】
【表2】

【0084】
式(I)のパーオキシドとしては、式R'-C(O)-O-O-C(O)-R''のジアシルパーオキシド、例えば、以下の名称でArkemaによって特に販売されているパーオキシドを挙げることができる。
【0085】
【表3】

【0086】
式(I)のパーオキシドは、式R'-C(O)-O-O-R2のパーオキシエステル、例えば、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシピバレート(Lupersol(商標)1、Atochem)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox(商標)21-C50、Akzo Chemicals Inc.)および以下の名称でArkemaによって販売されているパーオキシドを含む。
【0087】
【表4】

【0088】
式(I)のパーオキシドは、式R'-C-C(O)-O-O-R2のモノパーオキシカルボネート、例えば、以下の名称でArkemaによって特に販売されているパーオキシドを含む。
【0089】
【表5】

【0090】
式(I)のパーオキシドは、式R'-O-C(O)-O-O-C(O)-O-R''のパーオキシジカルボネート、例えば、ジアセチルパーオキシジカルボネート、ジ(4-(t-ブチル)シクロヘキシル)パーオキシジカルボネート(Perkadox(商標)16S、Akzo Chemicals)、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカルボネートおよびジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカルボネート(Luperox(登録商標)223)を含む。
【0091】
式(I)のパーオキシドは、式R1-O-O-CR4R5-O-O-R2のパーオキシケタール、例えば、以下の名称でArkemaによって特に販売されているパーオキシドを含む。
【0092】
【表6】

【0093】
有機溶媒に可溶な開始剤としては、以下のアゾ開始剤を挙げることができる。
【0094】
【表7】

【0095】
加えて、水溶性アゾ開始剤としては、以下を挙げることができる。
【0096】
【表8】

【0097】
開始剤は、光化学的または熱的のいずれかで活性化される。
【0098】
パースルフェート開始剤は、ポタシウム パースルフェート(分解温度:10h(t1/2)=60℃(水中))、ソディウム パースルフェートおよびアンモニウム パースルフェートを含む。
【0099】
レドックス開始剤としては、パースルフェートと還元剤(例えば、ソディウム メタビスルフィトまたはソディウム ビスルフィト)との組み合わせを含むが、また、パーオキシドおよび第三級アミンに基づく系(例えば、ベンゾイルパーオキシド+ジメチルアニリン:ペア)、ならびに、ヒドロパーオキシドおよび遷移金属に基づく系、例えば、クメンヒドロパーオキシド+コバルトナフテネート混合物を使用することができる。
【0100】
250nmから450nmの、好ましくは351nmより大きい吸収波長のUV照射で活性化することができる光開始剤としては、ベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、置換ベンゾインエーテル、アリールホスフィンオキシド、置換アセトフェノン、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、および置換α-ケトール(α-ヒドロキシケトン)を挙げることができる。
【0101】
市販の光開始剤は、例えばIrgacure(商標)819およびDarocur(商標)1173(Ciba-Geigy Corp., Hawthorne, N.Y.)、Lucern TPO(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)およびCiba-Geigy社から市販されているIrgacure(商標)651(2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-1-エタノン)である。
【0102】
開始剤の選択は、分解のカイネティクスによって、したがって、分解温度、分解因子の特性、その溶解性等によって導かれる。
【0103】
それゆえ、当業者は、望む適用温度および望む反応時間にしたがって開始剤を選択するであろう。
【0104】
本発明の1つの実施態様は、45℃から180℃、好ましくは45℃から120℃の10h分解温度(t1/2)を有する少なくとも1つの開始剤を含む組成物に関する。
【0105】
ラジカル開始剤は、ダブル求電子モノマーの0.01重量%から40重量%に相当し、前記モノマーに対して、好ましくは0.1重量%から35重量%、より好ましくは1重量%から30重量%に相当する。
【0106】
重合は、場合によっては、開始剤の存在下でモノマーを、20℃から100℃で、好ましくは20℃から90℃で適用する温度に加熱することによって補助することができる。
【0107】
液体有機溶媒に加えて、本発明の組成物の媒体は水を含むことができる。好ましくは、媒体は、無水性であり、すなわち、組成物の総重量に対して1重量%未満の水を含む。
【0108】
本発明の組成物の化粧品媒体は、均質的に使用することができ、エマルジョンの形態で提供することができ、または、カプセル封入することができる。エマルジョンの分散または連続相は、水、C1-C4脂肪アルコールまたはこれらの混合物から構成されることができる。本発明の組成物を含むカプセルまたはマイクロカプセルは、前記で定義した無水媒体、水、C1-C4脂肪アルコールまたはこれらの混合物で分散させることができる。
【0109】
本発明の組成物の媒体は、シアノアクリレートモノマー以外の少なくとも1つの液体有機媒体を含むことができる。
【0110】
用語「有機溶媒」は、化学的に改変することなく、他の物質を溶解することができる有機物質を意味すると理解される。
【0111】
有機溶媒は、25℃の温度および105Pa(760mmHg)で液体である化合物から選択される。
【0112】
有機溶媒は、例えば、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール;液体脂肪アルコール、特にC10-C30脂肪アルコール;グリセロール、グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコールまたはブチルジグリコールなどの改変または非改変ポリオール;アルキルおよび/またはアミンおよび/またはイミンおよび/またはフルオロアルキルおよび/またはカルボキシルおよび/またはベタインおよび/または四級アンモニウム官能基によって改変されたまたは非改変のシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ポリジメチルシロキサンなどの揮発性シリコーン;液体改変ポリジメチルシロキサン;無機、有機または植物油;アルカンおよびより好ましくはC5からC10アルカン;液体脂肪酸;および液体脂肪エステル、そして、より具体的には液体脂肪アルコールベンゾエートまたはサリチレートから選択される。
【0113】
有機溶媒は、好ましくは、有機油;揮発性シリコーン、シリコーンガム、もしくはアミノ化されたもしくはアミノ化されていないシリコーンオイルなどのシリコーン、およびこれらの混合物;無機油;オリーブ油、ヒマシ油、菜種油、ココナッツ油、小麦の胚珠油、スウィートアーモンド油、アボカド油、マカダミア油、アプリコット油、ヒマワリ油、ククノイキ油、カネリナ油、タマヌ油もしくはレモン油などの植物油;または有機化合物、例えば、C5-C10アルカン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチルおよびミリスチン酸プロピルなどのC1-C20酸とC1-C8アルコールの液体エステル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、オレイルアルコールなどの液体C10-C30脂肪アルコール、C10-C30脂肪アルコールベンゾエートなどの液体C10-C30脂肪アルコールエステル、ならびにこれらの混合物;ポリブテン油;イソノニルイソノナノエート、イソステアリルマレート、ペンタエリスリチル テトライソステアレート、トリデシルトリメレート、シクロペンタシロキサン(14.7重量%)/αおよびω部位でジヒドロキシル化されたポリジメチルシロキサン(85.3重量%)混合物、またはこれらの混合物から選択される。
【0114】
好ましい実施態様によれば、有機溶媒は、シリコーンまたはシリコーン混合物、例えばポリアルキルシロキサン、特に液体ポリジメチルシロキサンおよび液体改変ポリジメチルシロキサンから構成され、シリコーンおよび/またはシリコーン混合物の25℃における粘度は、0.1cStから1000000cStであり、より好ましくは1cStから30000cStである。シリコーンは、また、シクロアルキルシロキサンとすることができる。
【0115】
好ましくは、以下の油を挙げることができる:
- Dow Corningにより名称DC 1501 Fluidで販売されているα,ω-ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン/シクロペンタジメチルシロキサン(14.7/85.3)混合物;
- Dow Corningにより名称DC 1411 Fluidで、またはBayerにより名称SF1214で販売されているジメチコン/シクロペンタジメチルシロキサン混合物;
- Dow Corningにより名称DC245 Fluidで販売されているシクロペンタジメチルシロキサン;および
これら油の各混合物。
【0116】
組成物の有機溶媒は、一般的に、組成物の総重量に対して、0.01から99重量%に、好ましくは50から99重量%に相当する。
【0117】
本発明による化粧品組成物は、追加で、少なくとも1つの顔料を含むことができる。
【0118】
本発明による化粧品組成物における顔料の使用により、特に、褐色の毛髪上に、可視的なカラーリングを得ることができる。なぜならば、表面顔料によって、繊維の天然の色がマスクされるからである。
【0119】
それ故、本発明による組成物は、脂肪物質またはシャンプーなどの毛髪が受ける可能性がある様々な攻撃に対して良好な耐性を示すカラーリングをもたらするという長所を呈する。
【0120】
さらにその上、本発明による化粧品組成物により、ケラチン繊維を明るくしたり脱色する必要なしに、そして結果としてケラチン性に物理的損傷をもたらすことなく、ケラチン繊維上に、特に、褐色の繊維上に、可視的で高度に有色のカラーリングをもたらすことができる。
【0121】
本発明の意味においては、用語「顔料」は、水中において20℃で0.01%の、好ましくは0.0001%の可溶性を示し、350nmから700nmに吸収を、好ましくは最大吸収を有する、任意の有機および/または無機化合物を意味すると理解される。
【0122】
本発明による組成物において使用される顔料は、特に、この業界の既知の有機および/または無機顔料から、具体的には、Kirk-OthmerのEncyclopedia of Chemical TechnologyおよびUllmannのEncyclopedia of Industrial Chemistryに開示されている顔料から選択することができる。
【0123】
これらの顔料は、粉末または顔料ペーストの形態で提供することができる。これらは、被覆または非被覆でもよい。
【0124】
本発明による顔料は、例えば、白色または着色顔料、レーキ、特別な効果を有する顔料、例えば、真珠光沢剤またはグリッター、およびこれらの混合物から選択することができる。
【0125】
白色または着色無機顔料の例として、表面処理されているまたは処理されていない二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたはセリウム、酸化鉄またはクロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物およびフェリックブルー(ferric blue)を挙げることができる。例えば、以下の無機顔料を使用することができる:TiO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、ZnSとの混合物としてのTa2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、ZrO2
【0126】
白色または着色有機顔料の例として、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノンもしくはフタロシアニン化合物、金属錯体型の化合物、または、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタンもしくはキノフタロン化合物を挙げることができる。
【0127】
特に、白色または着色有機顔料は、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Color IndexにおいてレファレンスCI 42090、69800、69825、73000、74100および74160で体系化されている青色顔料、Color IndexにおいてレファレンスCI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000および47005で体系化されている黄色顔料、Color IndexにおいてレファレンスCI 61565、61570および74260で体系化されている緑色顔料、Color IndexにおいてレファレンスCI 11725、15510、45370および71105で体系化されている橙色顔料、Color IndexにおいてレファレンスCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915および75470で体系化されている赤色顔料、または、特許FR2679771において開示されているインドールもしくはフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択することができる。
【0128】
有機顔料から形成された顔料ペーストの使用、例えば、以下の名称でHoechstによって販売されている製品の使用を挙げることができる:
- Cosmenyl Yellow 1OG:Pigment Yellow 3 (Cl 11710);
- Cosmenyl Yellow G:Pigment Yellow 1 (Cl 11680);
- Cosmenyl Orange GR:Pigment Orange 43 (Cl 71105);
- Cosmenyl Red R:Pigment Red 4 (Cl 12085);
- Cosmenyl Carmine FB:Pigment Red 5 (Cl 12490);
- Cosmenyl Violet RL:Pigment Violet 23 (Cl 51319);
- Cosmenyl Blue A2R:Pigment Blue 15.1 (Cl 74160);
- Cosmenyl Green GG:Pigment Green 7 (Cl 74260);
- Cosmenyl Black R:Pigment Black 7 (Cl 77266)。
【0129】
本発明による顔料は、また、特許EP1184426に開示されている化粧品顔料の形態とすることもできる。これら化粧品顔料は、無機のコア、有機顔料のコアへの接着に付与する少なくとも1つのバインダー、および少なくとも部分的にはコアを被覆する少なくとも1つの有機顔料を含む粒子から、特に構成することができる。
【0130】
用語「レーキ」は、不溶性粒子上に吸収されたダイ、すなわち、このように得られた不溶性を保持した組み合わせを意味すると理解される。ダイを吸収させる無機基体は、例えば、アルミナ、カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムおよびアルミニウムである。有機ダイとして、コチニールカルミンを挙げることができる。
【0131】
レーキの例として、以下の名称で知られる製品を挙げることができる:D & C Red 21 (CI 45 380)、D & C 23 Orange 5 (CI 45 370)、D & C Red 27 (CI 45 410)、D & C Orange 10 (CI 45425)、D & C Red 3 (CI 45 430)、D & C Red 7 (CI 15 850:1)、D & C Red 4 (CI 15 510)、D & C Red 33 (CI 17 200)、D & C Yellow 5 (CI 19 140)、D & C Yellow 6 (CI 15 985)、D & C Green (CI 61 570)、D & C Yellow 1 O (CI 5 77 002)、D & C Green 3 (CI 42 053)またはD & C Blue 1 (CI 42 090)。
【0132】
用語「特別な効果を有する顔料」とは、一般的に、均一ではなく、観察条件(光、温度、観察の角度等)に応じて変化する(特定の色合い、特定の鮮やかさおよび特定の明るさによって特徴づけられる)着色した外観をもたらす顔料を意味すると理解される。これらは、その結果、白色または着色顔料と対照をなし、不透明さ、半透明性または透明で均一な色をもたらす。
【0133】
特別な効果を有する顔料の例として、白色真珠光沢顔料、例えば、二酸化チタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば、二酸化チタンおよび酸化鉄で被覆されたマイカ、二酸化チタンおよび特にフェリックブルーもしくは酸化クロムで被覆されたマイカ、または二酸化チタンおよび前記で定義した有機顔料で被覆したマイカ、ならびに、オキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料を挙げることができる。真珠光沢顔料として、以下の真珠光沢顔料を挙げることができる:Engelhardによって販売されているCellini(マイカ-TiO2-レーキ)、Eckartによって販売されているPrestige(マイカ-TiO2)、Eckartによって販売されているPrestige Bronze(マイカ-Fe2O3)またはMerckによって販売されているColorona(マイカ-TiO2-Fe2O3)。
【0134】
基体に付着していない干渉効果を有する顔料、例えば、液晶(WackerのHelicones HC)、干渉ホログラフィックグリッター(SpectratekのGeometric PigmentまたはSpectra f/x)を挙げることができる。特別な効果を有する顔料は、また、蛍光顔料、日光下で蛍光するまたは紫外線蛍光を産生するウェザーサブスタンス(whether substance)、発光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料および量子ドット、たとえばQuantum Dots Corporationによって販売されている量子ドットを含む。
【0135】
量子ドットは、光減衰下で光放出可能な発光半導体ナノ粒子であり、400nmから700nmの波長の光を放射する。これらのナノ粒子は、文献で知られている。特に、例えば、US6225189またはUS5990479、それらに引用された文献および以下の文献で開示された方法にしたがって、製造することができる:Dabboussi B.O. et al., “(CdSe)ZnS core-shell quantum dots: synthesis and characterisation of a size series of highly luminescent nanocristallites”, Journal of Physical Chemistry B, vol. 101, 1997, pp 9463-9475、および、Peng, Xiaogang et al., "Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility", Journal of the American Chemical Society, vol. 119, No. 30, pp 7019-7029。
【0136】
本発明において使用することができる様々な顔料により、豊富な色彩だけでなく特定の光効果、例えば、干渉、金属光沢効果を得ることが可能となる。
【0137】
特定の実施態様によれば、顔料は着色顔料である。用語「着色顔料」とは、白色顔料以外の顔料を意味すると理解される。
【0138】
本発明との関連で使用する顔料の大きさは、一般的には、10nmから200μm、好ましくは20nmから80μm、より好ましくは30nmから50μmである。
【0139】
顔料は、有機または無機化合物で被覆することができる。
【0140】
顔料を処理する有機剤は、溶媒の蒸発、表面因子の分子間の化学反応、または表面因子と顔料もしくはフィラーとの間の共有結合の生成によって、顔料上に堆積することができる。
【0141】
本発明の意味においては、表面処理は、表面処理顔料がその固有の処理前の顔料特性を保持するように、実施する。
【0142】
それ故、表面処理は、例えば、表面因子の顔料の表面との化学反応、および、表面因子と顔料との間の化学結合の生成によって、実施することができる。この方法は、特に、特許US4578266に開示されている。
【0143】
好ましくは、顔料に共有結合した有機剤を使用することができる。
【0144】
表面処理用の剤は、表面処理顔料またはフィラーの総重量の0.1から50重量%、好ましくは0.5から30重量%、より好ましくは1から10重量%に相当することができる。
【0145】
好ましくは、顔料の表面処理は、以下の処理から選択する:
- PEG-シリコーン処理、例えば、LCWによって販売されているAQ表面処理;
- キトサン処理、例えば、LCWによって販売されているCTS表面処理;
- トリエトキシカプリリルシラン処理、例えば、LCWによって販売されているAS表面処理;
- メチコーン処理、例えば、LCWによって販売されているSI表面処理;
- ジメチコン処理、例えば、LCWによって販売されているCovasil 3.05表面処理;
- ジメチコン/トリメチルシロキシリケート処理、例えば、LCWによって販売されているCovasil 4.05表面処理;
- ラウロイルリジン処理、例えば、LCWによって販売されているLL表面処理;
- ラウロイルリジンジメチコン処理、例えば、LCWによって販売されているLL/SI表面処理;
- ミリスチン酸マグネシウム処理、例えば、MM表面処理;
- ジミリスチン酸マグネシウム処理、例えば、Miyoshiによって販売されているMI表面処理;
- パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理、例えば、LCWによって販売されているFHC表面処理;
- セバシン酸イソステアリル、例えば、Miyoshiによって販売されているHS表面処理;
- ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理、例えば、Miyoshiによって販売されているNAI表面処理;
- ジメチコン/ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム処理、例えば、Miyoshiによって販売されているSA/NAI表面処理;
- パーフルオロアルキル ホスフェート処理、例えば、Daitoによって販売されているPF表面処理;
- アクリル酸/ジメチコンコポリマーおよびパーフルオロアルキル ホスフェート処理、例えば、Daitoによって販売されているFSA表面処理;
- ポリメチルヒドロシロキサン/パーフルオロアルキルホスフェート処理、例えば、Daitoによって販売されているFS01表面処理;
- ラウロイルリジン/トリステアリン酸アルミニウム処理、例えば、Daitoによって販売されているLL-StAI表面処理;
- オクチルトリエチルシラン処理、例えば、Daitoによって販売されているOTS表面処理;
- オクチルトリエチルシラン/パーフルオロアルキルホスフェート処理、例えば、Daitoによって販売されているFOTS表面処理;
- アクリル酸/ジメチコンコポリマー処理、例えば、Daitoによって販売されているASC表面処理;
- イソプロピルトリイソステアリン酸チタン処理、例えば、Daitoによって販売されているITT表面処理;
- 微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロース処理、例えば、Daitoによって販売されているAC処理;
- セルロース処理、例えば、Daitoによって販売されているC2表面処理;
- アクリル酸コポリマー処理、例えば、Daitoによって販売されているAPD表面処理;
- パーフルオロアルキルホスフェート/イソプロピルトリイソステアリン酸チタン処理、例えば、Daitoによって販売されているPF + ITT表面処理。
【0146】
顔料は、それぞれ、一般的に、本発明の組成物に、組成物の総重量の0.05から50%、好ましくは、0.1から35%の量で存在する。
【0147】
好ましくは、本発明の組成物は、顔料を含む。好ましくは、顔料は、マイカ-Fe2O3型の特別な効果を有する顔料、例えば、Prestige Brozeである。
【0148】
本発明の組成物は、組成物の安定性を長期間安定させるために、重合開始剤、より好ましくは陰イオン性および/またはラジカル重合開始剤を含むことができる。非制限的な方法で、以下の重合開始剤を挙げることができる:二酸化硫黄、二酸化窒素、三フッ化ホウ素、ヒドロキノンおよびその誘導体、例えば、ヒドロキノンモノエチルエーテルまたはTBHQ、ベンゾキノンおよびその誘導体、例えば、ジュロキノン、カテコールおよびその誘導体、例えば、t-ブチルカテコールおよびメトキシカテコール、アニソールおよびその誘導体、例えば、メトキシアニソールまたはヒドロキシアニソール、ピロガロールおよびその誘導体、p-メトキシフェノール、ヒドロキシブチルトルエン、硫酸アルキル、亜硫酸アルキル、スルホンアルキル、スルホキシドアルキル、メルカプタン、3-スルホン、ならびにこれらの混合物。アルキル基は、好ましくは、1から6の炭素原子を有する基を表す。
【0149】
開始剤として、また、無機または有機酸を使用することができる。
【0150】
それ故、本発明の化粧品組成物は、また、少なくとも1つの無機または有機酸を含むことができる。有機酸は、1つまたは複数のカルボキシル基またはスルホ基を有し、0から6のpKaを示し、例えば、リン酸、塩酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸またはトルエンスルホン酸、スルホン酸、カルボン酸、フッ化水素酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、安息香酸、モノ‐、ジ-またはトリクロロ酢酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、オクタン酸、ヘプタン酸およびヘキサン酸である。
【0151】
好ましくは、酢酸を使用する。
【0152】
本発明の化粧品組成物における開始剤の濃度は、組成物の総重量に対して10ppmから30重量%、より好ましくは10ppmから15重量%とすることができる。
【0153】
本発明の組成物の化粧品媒体は、また、特定のゲル化/構造化剤、例えば、Dow Chemicalによって販売されているPSPAシリコーンポリアミド(DP100およびDP15)、Shinetsuによって販売されているポリラウリルジメチルシロキサン有機KSG製品およびシリコーンKSG製品、パルミチン酸デキストリンおよびステアリン酸イヌリン(Chiba Flour MilingのRheopearl range)、Landecによって販売されているアルキル鎖を含むアクリル酸、Dupont de Nemoursによって販売されているエチレン/オクテンコポリマー、Ajinomotoによって販売されているラウロイルグルタミン酸ジブチル、Roquetteによって販売されているジソルベン、Penrecoによって販売されているスチレン/アクリル酸コポリマーVersagel M5960および5670、Kraton Polymersによって販売されているジブロックおよびトリブロックKraton製品、ヒドロキシステアリン酸、ホホバワックス、Degussaによって販売されている焼成シリカ、Wakerによって販売されているシリコーンワックス、Arizona Chemicalによって販売されているポリアミドUniclear、またはベントンを含むことができる。
【0154】
本発明の組成物は、また、エマルジョンの形態で提供されることができ、および/または、カプセル封入することができ、求電子モノマーは、使用するときまで、無水媒体中で留めておくことができる。本発明の組成物がエマルジョンの場合、このエマルジョンは、例えば、水、C1-C4脂肪アルコールまたはこれらの混合物から構成されることができる分散相または連続相と、モノマーを含む無水有機相とから構成される。カプセルまたはミクロカプセルの場合、カプセルは、無水媒体中でモノマーを含むことができ、前記で定義した無水媒体、水、C1-C4脂肪アルコールまたはこれらの混合物中で分散させることができる。
【0155】
本発明の組成物は、また、求電子モノマーと反応性を示さず、且つ、組成物の粘度を増すことができる1つまたは複数のポリマーを含むことができる。粘度の増加により、求電子モノマーの重合速度を低下させることができる。これを実施するために、本発明の組成物に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)または特許US6224622で開示されているシアノアクリレート系コポリマーを加えることができる。
【0156】
本発明の組成物は、また、フィラーを含むことができる。この用語には、黙示的な制限を課すことなく、無色または白色の、無機または合成の、層状粒子または非層状粒子を含む。フィラーは、組成物の総重量に対して、0から48重量%、好ましくは、0.01から30重量%、より好ましくは0.02から20重量%の割合で存在することができる。特に、タルク、ステアリン酸亜鉛、マイカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))パウダー(AtochemのOrgasol)、ポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマーから形成されるパウダー(テフロン(登録商標))、デンプン、窒化ホウ素、ポリマーミクロスフィア、例えば、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのポリマーミクロスフィア(例えば、Expancel(Nobel Industrie))、もしくはアクリル酸コポリマーのポリマーミクロスフィア(Dow CorningのPolytrap(登録商標))、およびシリコーン樹脂ミクロビーズ(ToshibaのTospearls(登録商標))、またはオルガノポリシロキサンエラストマーを挙げることができる。
【0157】
フィラーは、また、金属パウダーまたは粒子、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等で形成される粉末または粒子を含むことができる。
【0158】
組成物は、また、一般的に使用される美容活性成分を含むことができる。黙示的な制限を課すことなく、還元剤、酸化剤、脂肪物質、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、消泡剤、保湿剤、エモリエント、塩基性化剤、エラストマー、可塑剤、サンスクリーニング、直接または酸化染料、クレイ、コロイド状無機物、香料、素練り促進剤、防腐剤、アニオン性、カチオン性、両性、両性イオン性または非イオン性界面活性剤、フィキシングポリマー(fixing polymer)またはノンフィキシングポリマー(nonfixing polymer)、コンディショニングポリマー、タンパク質、ビタミン等を挙げることができる。
【0159】
これらの組成物は、様々な形態、例えば、ローション、スプレーまたは泡形態で提供することができ、シャンプーまたはコンディショナー形態で塗布することができる。
【0160】
スプレーの場合、本発明の組成物は、噴射剤を含むことができる。噴射剤は、エアロゾル組成物の調製のために通常使用される圧縮または液化したガスから構成される。好ましくは、空気、二酸化炭素ガス、圧縮窒素または可溶性ガス、例えば、ジメチルエーテル、ハロゲン化(特にフッ素化)またはノンハロゲン炭化水素およびこれらの混合物の使用が挙げられる。
【0161】
本発明の方法によれば、1つの実施態様は、毛髪などのケラチン繊維に、少なくとも1つのダブル求電子モノマーおよび少なくとも1つのラジカル開始剤を塗布することからなる。
【0162】
開始剤およびダブル求電子モノマーを、同時にまたは別々に塗布することができる。後者の場合、開始剤を事前に塗布することができ、または、ダブル求電子モノマーを事前に塗布することができる。
【0163】
ラジカル開始剤は、不純物を含まず、溶液中で、もしくは、エマルジョンの形態で使用することができ、またはカプセル封入することができる。ラジカル開始剤は、また、ケラチン繊維への塗布の直前の使用時に、組成物に添加することができる。
【0164】
好ましくは、少なくとも1つのダブル求電子モノマーおよび少なくとも1つのラジカル開始剤を含む組成物を、毛髪などのケラチン繊維に塗布する。
【0165】
組成物が顔料などの染色手段を含む場合、本発明の1つの実施態様は、少なくとも1つのダブル求電子モノマーおよび少なくとも1つの顔料を含む組成物のケラチン繊維への塗布による染色方法からなる。
【0166】
本発明の方法の他の実施態様によれば、開始剤を、前記モノマーの塗布に先立ち、または塗布前の段階で、塗布することができる。これらの2つの成分を、不純物を含まず、または、化粧品的に許容可能な媒体における溶液中で塗布することができる。これらは、溶媒中で溶けても、溶けなくとも良い。溶媒の1つは、ラジカル開始剤またはダブル求電子モノマーについての非溶剤とすることができる。
【0167】
特定の実施態様によれば、あらかじめ水性溶液を使用して繊維を潤すことによって、重合のカイネティクスを調整することができ、その際のpHは、塩基、酸または酸/塩基混合物を使用して調整しておく。酸および/または塩基は、無機または有機とすることができる。
【0168】
本発明の方法は、化粧製品の塗布、すすぐ段階または乾燥段階などの付加的な中間または最終段階を含むことができる。乾燥は、フードドライヤーを用いて、ハンドヘルドのドライヤーを用いて、および/または、アイロンを用いて実施することができる。特に、本発明による組成物の塗布の後に、すすぎ操作を行うことができる。
【0169】
また、重ね合わせた層を得るために、化学的特性、機械的強度、厚さ、外観または感触に関して、堆積した物質の具体的な特性を達成するために、本発明の組成物の複数回の塗布を実施することもできる。
【0170】
とりわけ、in situで重合させたダブル求電子モノマーの接着性を改良するために、繊維を、任意のタイプのポリマーで前処理することができる。
【0171】
アニオン性重合のカイネティクスを調整するために、ケラチン繊維の化学的転換によって繊維の求核性を増すこともできる。例として、本発明の組成物の塗布前に、ケラチンが部分的に構成しているジスルフィド結合を還元してチオールを産生させることが挙げられる。ケラチンが部分的に構成しているジスルフィド結合の還元剤として、非包括的に、以下の化合物を挙げることができる:無水チオ硫酸ナトリウム、粉末状メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ尿素、亜硫酸アンモニウム、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオ乳酸アンモニウム、モノチオグリコール酸グリセリル、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリセロール、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、ジチオグリコール酸二アンモニウム、チオグリコール酸ストロンチウム、チオグリコール酸カルシウム、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸亜鉛、チオグリコール酸イソオクチル、d,l-システインまたはチオグリコール酸モノエタノールアミンを挙げることができる。
【0172】
本発明の組成物の塗布は、また、直接または酸化染色などの毛髪の処理を先に行うことができる。
【0173】
本発明によれば、ダブル求電子モノマーは、好ましくは、化粧品的に許容可能な条件下で、ケラチン繊維上で重合化することができるモノマーから選択される。
【0174】
特に、ダブル求電子モノマーの重合は、好ましくは、20から100℃の間の、好ましくは20から90℃の間の温度で実施され、その適用は、フードドライヤーを用いた乾燥、ブロー乾燥、ストレートアイロンに供すること、または、カールごてに供することによって終了させられることを妨げない。
【0175】
本発明の他の対象は、ダブル求電子モノマーを含む第一の組成物およびラジカル開始剤を含む第2の組成物を含む染色キットである。
【0176】
以下の非制限的な例によって、本発明の範囲を限定することなく、本発明を例証することができる。
【実施例】
【0177】
本発明の組成物を用いて毛髪を処理した後、アルミホイルに包み、72℃で1時間ヒートプレート上で加熱する。アルミホイルを取り除いた後に、フードドライヤーを用いて、40℃で15分間毛髪を乾燥させる。その後に、髪に優しいシャンプーの塗布によって、毛髪をすすぐ。この段階を、初期検査(t0)とする。
【0178】
染色した毛髪について、水を用いて髪を濡らす工程、シャンプーを用いて洗浄する工程、および、水を用いてすすぐ工程を含むサイクルに従って、6回シャンプー処理に供し、その後乾燥させる。
【0179】
毛髪の色を、その後、t0において、および、シャンプーを用いた6回の洗浄処理後において、感覚的に評価する。
【0180】
毛髪によって放出した光強度の測定を、Minolta比色計(ref. CR 200)を用いて実施する。
【0181】
毛髪の色は、t0において、L*a*b*系で評価した。L*a*b*系においては、L*は、色の強度を表し、a*は緑色/赤色軸を表し、b*は青色/黄色軸を表す。L*の値が小さくなるほど、色が暗いことを表す。a*の値が大きくなるほど、色相がより赤いことを表し、b*の値が大きくなるほど、色相がより青いことを表す。
【0182】
90%の白髪から構成されるコントロール毛髪と、下記の組成物で処理した毛髪との間の色の変動を、コントロール毛髪のL0*a0*b0*値および本発明の組成物を用いて処理した毛髪のL*a*b*値から、下記の式に従って、ΔEによって測定した。
【0183】
【数1】

【0184】
ΔEが大きくなるほど、コントロール毛髪と処理した毛髪との間の色の差異が大きくなり、すなわち、処理がより有効であることを示す。
【0185】
結果を、表に示す。
【0186】
毛髪の彩度(saturation: SAT)も測定した。この測定値は、反射させた白色光に対する放出した着色光の比率に対応する。SATにより、毛髪に存在する顔料の量がもたらされる。この値が高いほど、処理がより有効であることを示す。
【0187】
(実施例1)
(塗布の方法:開始剤を、ダブル求電子モノマーとともに組成物に添加し、前記組成物を乾燥した毛髪に塗布する)
下記の組成物0.5gを、毛髪に塗布する。
【0188】
【表9】

【0189】
*:試験した開始剤は、以下である:
1- ポタシウム パースルフェート(過硫酸カリウム)、Aldrich
2- アンモニイウム パースルフェート(過硫酸アンモニウム)、Aldrich
3- V50(2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド):Interchim ref. 759356
4- 4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、Aldrich
5- ソディウム パースルフェート(過硫酸ナトリウム)、Aldrich
【0190】
【表10】

【0191】
毛髪は均質であり、ゆるやかな感触を有する。
【0192】
6回シャンプーを行った後の処理した毛髪1から5の保持力は、視覚的には非常に満足であり、色彩も視覚的には影響を受けない。
【0193】
(実施例2)
(塗布の方法:開始剤を、ダブル求電子モノマーとともに組成物に添加し、前記組成物を、pH3のバッファーに3分間浸した後にタオルで乾かした毛髪に塗布する)
実施例1の組成物0.5gを、毛髪に塗布する。
【0194】
【表11】

【0195】
毛髪は均質であり、ゆるやかな感触を有する。
【0196】
同様に、6回シャンプーを行った後の処理した毛髪1から5の保持力は、視覚的には非常に満足であり、色彩も視覚的には影響を受けない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(A):
【化1】

(式中、
・R1およびR2は、それぞれ、お互い独立して、電子吸引効果をほとんど有さないか、全く有さない基を表し、
・R3およびR4は、それぞれ、お互い独立して、電子吸引基を表し、
(A)はメチル2-シアノアクリレートまたはイタコン酸を表すことはできないと理解される)
の少なくとも1つのダブル求電子モノマーおよび少なくとも1つのラジカル開始剤を含む化粧品組成物。
【請求項2】
前記式(A)のモノマーが:
・R1およびR2は、同一または異なって、i)水素原子;ii)好ましくは1から20の、より好ましくは1から10の炭素原子を含み、1つまたは複数の窒素、酸素または硫黄原子を含んでいてもよく、-OR、-C(O)OR-、-C(O)R、-SRおよびハロゲン原子から選択される1つまたは複数の基によって置換されていてもよい、飽和または不飽和で、直鎖状、分枝状または環状の炭化水素基;iii)改変したまたは非改変のポリオルガノシロキサン残基;iv)ポリオキシアルキレン基を表し、
・R3およびR4は、同一または異なって、-N(R)3+、-S(R)2+、-NO2、-SO2R、-C≡N、-C(O)OR、-C(O)SR、-C(O)NR2、-F、-Cl、-Br、-I、-OR、-C(O)Rもしくは-SR基、直鎖状もしくは分枝状のアルケニル基、直鎖状もしくは分枝状のアルキニル基、C1-C4モノ-もしくはポリフルオロアルキル基、フェニルなどのアリール基、またはフェノキシルオキシなどのアリールオキシ基から選択される基を表し、
・Rは、同一または異なって、水素原子、または、好ましくは1から20の、より好ましくは1から10の炭素原子を含み、1つもしくは複数の窒素、酸素または硫黄原子を含んでいてもよく、-OR'、-C(O)OR'-、-C(O)R'、-SH、-SR'、-OH、ハロゲン原子もしくはラジカル重合、重縮合もしくは環開裂によって得ることができるポリマー基から選択される1つもしくは複数の基によって置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和で、直鎖状、分枝状もしくは環状の炭化水素基を表し、R'は、C1-C10アルキル基を表す、
モノマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ダブル求電子モノマーが、式(B):
【化2】

(Xは、NH、SまたはOを表し、
R'3は、R基または原子から選択され、
R、R1およびR2は、請求項1または2で定義したとおりである)
のシアノアクリレートモノマーである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ダブル求電子モノマーが、式(C):
【化3】

(式中、
R'3は、C1-C10アルキル基、C2-C10-アルケニル基または(C1-C4)アルコキシ(C1-C10)アルキル基を表し、
R1およびR2は、請求項3で定義したとおりである)
に対応するシアノアクリレートである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記式(A)のダブル求電子モノマーについて、R1およびR2が、同一または異なって、水素原子および置換されていてもよいフェニル基から選択されるモノマーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ダブル求電子モノマーが、式(F):
【化4】

(式中、R'3=-(CH2)7-CH3、-CH(CH3)-(CH2)5-CH3、-CH2-CH(C2H5)-(CH2)3-CH3、-(CH2)5-CH(CH3)-CH3、-(CH2)4-CH(C2H5)-CH3
のアルキルシアノアクリレートである、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ラジカル開始剤が、パーオキシド、アゾ化合物、パースルフェート、およびレドックス剤;またはそれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記パーオキシドラジカル開始剤が、一般式(I)または(II)
R1-O-O-R2 (I)
R1-O-O-R3-O-O-R2 (II)
[式中、
- R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、または、置換されていてもよいアリール、直鎖状もしくは分枝状の(C1-C6)アルキル、アシルR'C(O)-もしくは-C(O)R''およびエステルR'OC(O)-もしくは-(O)COR''(R'およびR''は、同一または異なって、直鎖状もしくは分枝状の(C1-C6)アルキルまたは置換されていてもよいアリール基を表す)から選択される基を表し;
- R3は、二価アルキレン基-(CR4R5)q-(式中、R4およびR5は、同一または異なって、水素原子またはハロゲン原子または直鎖状もしくは分枝状の(C1-C6)アルキル基を表し、qは1から6の整数を表す)を表す]
またその混合物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
媒体が少なくとも1つの有機溶媒を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
媒体が顔料を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を、ケラチン繊維、特に毛髪に塗布することを特徴とする、ケラチン繊維の処理方法。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのダブル求電子モノマーを含む組成物を含む第一のコンポーネント、および、少なくとも1つのラジカル開始剤を含む第二の組成物を含むもう1つのコンポーネントを含む、染色キット。
【請求項13】
持続的な方法で、毛髪に、ボディ、体積および/またはボリュームを付与することを可能とする、毛髪などのケラチン繊維の処理における、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2007−284441(P2007−284441A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−105169(P2007−105169)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】