説明

少なくとも1種のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを含む湿気硬化性ホットメルト接着剤

本発明は、少なくとも1種の式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを含む湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物に関する。本組成物は、加熱及び硬化による気泡のいずれも有さず、高温での特別優れた粘度安定性を特徴とする。したがって、これらの接着剤は特に工業生産、特に透明材料の工業生産に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿気硬化性ホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤(ホットメルト)は公知の接着剤である。この種の接着剤は、室温で固体であって、溶媒を含まない接着剤であり、適用の目的のために融解され、溶融物の状態で、結合される基材に適用される。ペースト状の接着剤を構成し、典型的には60℃以下のわずかに加温した温度で適用される、いわゆる加熱溶解型接着剤(ワームメルト)とは対照的に、ホットメルト接着剤の適用は85℃以上で行われる。冷えると、この接着剤は固化する。従来のホットメルト接着剤は、非反応性接着剤であり、したがって、加熱時にそれは再び軟化又は融解し、したがって、高温での使用には適さない。さらに、従来のホットメルト接着剤は、しばしば、軟化点よりもずっと下の温度でクリープする傾向もあった(コールドフロー)。
【0003】
いわゆる反応性ホットメルト接着剤の場合は、これらの欠点は、ポリマー構造中に架橋をもたらす反応性基を導入することを通してかなり取り除かれている。反応性基としては、イソシアネート基がより特に非常に適していることが判明している。冷却の最初の結果は、ホットメルト接着剤に典型的な初期強度の発現である。続いて、ポリマーは湿気によるイソシアネート基の反応を通じて架橋する。この架橋の結果として、この種の接着剤は高温でさえ用いることができる。この種の反応性ポリウレタンホットメルト接着剤は、例えば、欧州特許出願公開第0244608号公報又は米国特許第5,155,180号明細書又は欧州特許出願公開第1036103号公報で知られており、かつ広範囲に市販され使用されている。
【0004】
イソシアネート基を含む湿気硬化性ホットメルト接着剤の欠点は、多くの場合に、それらはひどい膨れを生じることであり、より特に、高い湿度及び/又は温度レベルでそうである。しかし、この種の膨れは、通常望ましくなく、問題となる接着結合が目に見える場合(例えば、包装用途でしばしば生じる種類の接着結合)には特に望ましくない。
【0005】
シラン官能性ポリウレタンは、既に湿気硬化性接着剤及びシーラントとしてかねてから既に使用されている。これらのシラン官能性ポリウレタンは反応性基としてシラン基を含み、典型的には、アミノシランと、イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーとの反応によって調製される。しかし、このようにして調製されたポリウレタン接着剤は大きな欠点を有し、それは長時間の加熱時にその接着剤の粘度が急に鋭く上昇することがあることである。欧州特許出願公開第0202491号公報は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとの付加体がアミノ-又はメルカプトシランと反応されているか、あるいはアミノ-又はメルカプトシランとジイソシアネートとの付加体がポリエステルポリオールと反応されている、シラン官能化されたポリエステルメルト接着剤に言及している。欧州特許出願公開第0371370号公報は、末端アルコキシシラン及び/又はNCO基を含み、湿気への曝露時に後架橋するメルト接着剤を開示している。欧州特許出願公開第0371370号公報は、これらのアルコキシシラン末端基が、メルカプトシランによって又は一連のアミノシランによって導入できることをさらに開示している。欧州特許出願公開第0371370号公報又は欧州特許出願公開第0202491号公報のいずれも、ポリマーを官能化するための目的に対してアミノシランとメルカプトシランとを区別していない。しかし、このようにして調製したポリマーは、長時間の加熱時に、それらの粘度が突然急激に上昇しうるという大きな欠点をもっている。
【0006】
高温でのこの種の粘度の上昇は、特に接着剤が適用温度に比較的長時間おかれる用途において非常に不利である。この種の用途は、例えば工業生産においてしばしば生じる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0244608号公報
【特許文献2】米国特許第5,155,180号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1036103号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第0202491号公報
【特許文献5】欧州特許出願公開第0371370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、加熱及び硬化時の膨れと、適用温度での長時間貯蔵時の粘度の急激な上昇のいずれをももたらさない湿気硬化性ホットメルト接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、この目的は請求項1に記載した湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物で達成できることがわかった。
【0009】
それらは、より特に、透明材料の接着結合のため、より特には、ガラス及び窓ガラスの接着又は透明包装の接着のために適している。この組成物は膨れることなく硬化し、かつ驚くべきことに、高温でさえ、非常に良好な貯蔵寿命(粘度の安定性)を有する。
【0010】
式(II)のメルカプトシランの使用を通して、イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーからシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを得ることができ、これは高温でのホットメルト接着剤の貯蔵寿命の顕著な改善(粘度の安定性)を達成できる、ということがさらに判明している。ホットメルト接着剤中の式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーの使用は、高温での湿気硬化性ホットメルト接着剤の貯蔵寿命の改善(粘度の安定性)をもたらすことがさらに判明している。
【0011】
本発明のさらなる側面は、請求項11の接着結合方法、さらには請求項17の、この方法によって得られる物品である。
【0012】
さらなる態様は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔好ましい態様の説明〕
本発明は下記式(I)の少なくとも1種のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを含む湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物を提供する:
【化1】

上記式(I)中、
は、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとから調製され且つ少なくともn個のイソシアネート基を有するプレポリマーPから、n個のイソシアネート基を取り除いたn価の有機基であり;
は、1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキレン基であり;
Xは、加水分解性基であり;
aは、0、1、又は2の値であり;
nは、2以上の値であり、
プレポリマーPは室温で固体であり、且ついかなるさらなるシラン基も有しない。
【0014】
物質名中の接頭辞「ポリ」、例えば「ポリオール」又は「ポリイソシアネート」は、本明細書中において、問題としている物質が、形式上、1分子当たりその名称を生じさせる官能基を1より多く含むことを示す。
【0015】
本明細書中で「シラン基」の用語は、ケイ素原子を介して有機基に結合しており、かつ加水分解性である、すなわち、1〜3つの加水分解性基をもっている基をいう。例えば、大気水分との接触によるこのシラン基の加水分解は、シラノール基(Si−OH基)の形成と、シラノール基の続いての縮合反応を通しての、シロキサン基(Si−O−Si基)の形成とを伴う。
【0016】
「シラン」の用語は、少なくとも1つのシラン基を有する低分子量の有機化合物をいう。「シラン官能性」の用語は、シラン基を含む化合物、より特にポリマーをいう。
【0017】
「加水分解性基」と理解される基は、加水分解反応においてそのケイ素原子から完全に水によって置換されるケイ素基上の基であって、その場合それらはヒドロキシル基によって形式上置換される。この加水分解反応を通じて、加水分解性基は有機又は無機であってよい低分子量の化合物にプロトン化される。
【0018】
式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマー中の加水分解性基Xは、特に、シラン化学で典型的な、よりとくに、式(X-1)、(X-2)、(X-3)、(X-4)、(X-5)、(X-6)、(X-7)、及び(X-8)からなる群から選択されるものである。
【0019】
【化2】

【0020】
上記式中、R’及びR’’は互いに独立してアルキル又はアリールであり、Rは1〜10の炭素原子を有し、任意選択により1又は2のエーテル酸素を含んでいてもよいアルキル基、より特に、1〜4の炭素原子を有するアルキル基である。特に好ましくは、加水分解性基Xはアルコキシ基-ORである。
【0021】
一つの具体例では、2つのアルコキシ基-ORは一緒になって、ケイ素原子とともに5又は6員環を形成するアルキレンジオキシ基-ORO-であることができ、Rは2〜10、より特に2又は3の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0022】
プレポリマーPがさらなるケイ素基をもたないことが重要である。より特に、アミノシランがプレポリマーP中のNCO基と反応したときに生じる種類のケイ素基を全くもたないことが重要である。
【0023】
接頭辞として官能基についたシランの名称、例えば、「アミノシラン」又は「メルカプトシランなどは、その有機基上に置換基としてその記された官能基を有するシランをいう。
【0024】
がプロピレンであると有利であることが判明している。
【0025】
さらに、加水分解性基Xとして、-Oメチル、-Oエチル、又は-O-イソプロピルが好ましく、より特に-Oメチルが好ましい。
【0026】
式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマー中のそれぞれのケイ素原子上に3つの加水分解性基があることが有利であること、すなわち、aは0の値が好ましいことがわかっている。
【0027】
プレポリマーPは、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートから調製される。
【0028】
好ましいポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールである。
【0029】
適したポリエーテルポリオール(ポリオキシアルキレンポリオールともよばれる)は、より特に、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は1,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はそれらの混合物の重合生成物であり、任意選択で、2つ以上の活性水素原子を有する開始剤分子を用いて重合されてもよく、開始剤分子は、例えば、水、例えば、アンモニア、又は2つ以上のOH又はNH基を有する化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、ヘプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及び前記の化合物の混合物である。例えば、ダブルメタルシアン化物錯体触媒(DMC触媒)とよばれるものを用いて調製された、低い不飽和度(ASTM D-2849-69によって測定され、ポリオール1g当たりの不飽和のミリ当量で記録される(meq/g))をもつポリオキシアルキレンポリオールだけでなく、例えば、アニオン触媒、例えばNaOH、KOH、又はアルカリ金属アルコキシドを用いて調製される、高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンも用いることができる。
【0030】
特に適したポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、より特に、ポリオキシエチレンジオール又はポリオキシエチレントリオールである。
【0031】
0.02meq/g未満の不飽和度を有し、かつ1000〜30000g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、並びに400〜8000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールが特に適している。
【0032】
同様に、「EOキャップされた」(エチレンオキシドキャップされた)ポリオキシプロピレンジオール又はトリオールとして知られるものが特に適している。この後のものは、たとえば、ポリプロポキシル化の終了後に、純粋なポリオキシプロピレンポリオールをエチレンオキシドを用いたアルコキシル化にかけることによって得られ、結果として、一級ヒドロキシル基を有する特別なポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールである。「分子量」又は「モル質量」は、本明細書ではつねに平均分子量Mを意味する。
【0033】
最も適したポリエーテルポリオールは、0.02meq/g未満の不飽和度をもち、7000〜30000、より特に10000〜25000g/molの範囲の分子量をもつジオールである。この種のポリエーテルは、例えば、Bayer社から商標Acclaim(登録商標)として販売されている。
【0034】
適したポリエステルポリオールは、より特に、2価から3価、好ましくは2価のアルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又は前記のアルコール類の混合物)と、有機カルボン酸又はそれらの無水物又はエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、又は前記の酸の混合物)とから調製されるもの、並びにまた、ラクトン(例えば、ε-カプロラクトンなど)から形成されるポリエステルポリオール、である。
【0035】
特に適したポリエステルポリオールは、ジカルボン酸として、アジピン酸、セバシン酸、又はドデカンジカルボン酸と、2価アルコールとして、ヘキサンジオール又はネオペンチルグリコールとから形成されるポリエステルポリオールである。ポリエステルポリオールは、1500〜15000g/mol、より特に1500〜8000g/mol、好ましくは2000〜5500g/molの分子量を有することが好ましい。
【0036】
特に適した結晶性又は部分結晶性のポリエステルポリオールは、アジピン酸/ヘキサンジオールのポリエステル、ドデカンジカルボン酸/ヘキサンジオールのポリエステルである。
【0037】
適切なポリカーボネートポリオールは、例えば、上述したアルコール(ポリエステルポリオールを合成するために用いられるもの)と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンとを反応させることによって得られる種類のものである。
【0038】
好ましいポリオールは、ジオール、より特に、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、及びポリカーボネートジオールである。
【0039】
特に好ましいポリオールはポリエステルジオールであり、特に、非晶質(アモルファス)ポリエステルジオールと、結晶性又は部分結晶性のポリエステルジオールとの混合物である。
【0040】
ポリイソシアネートは2以上のNCO基を含み、本明細書では、各場合に、1000g/mol未満の分子量をもつ低分子量化合物を記載している。
【0041】
この種のポリイソシアネートの例は、芳香族ポリイソシアネート、例えば、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)及びこれらの異性体の所望の混合物、4,4’-、2,4’-、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの異性体の所望の混合物(MDI)、MDI及びMDI類似体の混合物(ポリメリックMDIあるいはPMDI)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、前記のイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、及びまた、前記のイソシアネートの任意の所望する混合物である。特に好ましい芳香族ポリイソシアネートは、MDI及びTDIである。
【0042】
そのようなポリイソシアネートのさらなる例は、脂肪族及び脂環式ポリイソシアネート、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート及びそれらの異性体の任意の所望の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネートあるいはIPDI)、パーヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、及びm-及びp-テトラメチル-1,3-及び-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、である。
【0043】
光に安定な組成物の配合のためには、脂肪族及び脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0044】
より特に、ポリイソシアネートは、400g/mol未満の分子量をもつジイソシアネートである。
【0045】
プレポリマーPは、ポリイソシアネート及びポリオールから直接に公知の方法で、あるいは鎖延長反応としても知られる種類の段階的付加方法によって、調製される。
【0046】
プレポリマーPはフリーイソシアネート基をもち、室温で固体であることが必要である。イソシアネート基の数は、硬化した接着剤の所望の最終的特性に大きく左右される。一つの好ましい態様では、ポリウレタンプレポリマーは、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオール(好ましくは1種の非晶質ポリエステルポリオール及び1種の結晶性ポリエステルポリオール)との、イソシアネート基の化学量論過剰での反応によって調製される。
【0047】
プレポリマーPは、好ましくは2000g/molより大きな分子量、より特に、2000から50000g/molの間の分子量、好ましくは4000から30000の間の分子量をもつ。さらに、プレポリマーPはn個のイソシアネート基をもつ。ポリオールの官能基数と用いるポリイソシアネートに応じて、nは2以上の値をとる。nが2〜4の値を有する場合に有利である。一つの好ましい態様では、nは2である。当業者には、用いるポリオール及びポリイソシアネートが、典型的には、様々な官能基数(官能性)を有する混合物であることが明らかである。言い換えると、例えば、実際は、工業的な「ジオール」は、一方では、モノオールならびにジオールを含み、平均官能基数は2ではなく、むしろ2未満である。他方で、工業的な「ジオール」は、トリオールの添加物も含む可能性があり、平均官能基数は2ではなく、むしろ2より大きいこともある。
【0048】
式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーの調製は、好ましくは、上述したように、プレポリマーPと、下記式(II)のメルカプトシランとの反応を通じて達成される。
【0049】
【化3】

【0050】
式(II)中、その基は、式(I)について既に説明した定義を有し且つ好ましいものも同じである。
【0051】
適切なメルカプトシランの例は、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルジメトキシメチルシラン、メルカプトメチルジエトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルメトキシ(1,2-エチレンジオキシ)シラン、3-メルカプトプロピルメトキシ(1,2-プロピレンジオキシ)シラン、3-メルカプトプロピルエトキシ(1,2-プロピレンジオキシ)シラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、3-メルカプト-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、4-メルカプト-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、である。
【0052】
好ましいメルカプトシランは、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、より特に、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランである。
【0053】
イソシアネート基を含むプレポリマーPとメルカプトシランとの反応は、公知の方法で行う。
【0054】
用いるメルカプトシランの量に応じて、プレポリマーPの全てのイソシアネート基が反応をするか、又は残存するイソシアネート基が残る。
【0055】
第一の場合には、メルカプトシランは化学量論的に又は化学量論より多く用いられ、式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーが形成され、これはイソシアネート基を全く含まない。言い換えると、プレポリマーPのn個のイソシアネート基の全てが反応によって消費される。第二の場合には、メルカプトシランは化学量論より少ない量で用いられ、式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーが形成され、それはシラン基とともにイソシアネート基も含む。言い換えると、プレポリマーPのn個のイソシアネート基の全てが反応で消費されるわけではない。
【0056】
特定の用途では、式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーがなおイソシアネート基をもっていることが技術的に有利でありうる。
【0057】
毒物学的理由によれば、式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーはいかなるイソシアネート基も有しないことが有利である。
【0058】
式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーは、全くイソシアネート基をもたないことが好ましい。
【0059】
本湿気硬化性ホットメルト接着剤は、さらなる添加剤、例えば、可塑剤、フィラー、接着促進剤、UV吸収剤、UV安定剤又は熱安定剤、抗酸化剤、難燃剤、増白剤、触媒、着色顔料又は染料、を含んでもよい。適切な触媒は、より特に、シラン基の加水分解及び/又は架橋を触媒するものである。そのような触媒には、例えば、チタネート類、有機スズ化合物、例えば、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジアセチルアセトネート、有機ビスマス化合物又はビスマス錯体、アミノ基を含む化合物、例えば、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン又は2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルなどが含まれる。
【0060】
1つの好ましい態様では、本ホットメルト接着剤はカーボンブラックを含まない。カーボンブラックはしばしばフィラーとして、特にポリウレタン化学で、より特に従来の一成分形ポリウレタン接着剤又は一成分形ポリウレタンワームメルト(Warmmelt)の場合に、接着剤の機械特性を向上させるため、かつ低い粘度の接着剤にコンシステンシーを付与するために添加される。さらに好ましい態様では、本接着剤は無機フィラーを含まない。これは、カーボンブラックを充填した接着剤の適性が、接着結合の美観が重要なものとして分類され且つ結合されるべき基材の少なくとも1つが透明又は半透明である用途のためには劣るからである。カーボンブラックを含まないホットメルト接着剤組成物及び無機フィラーを含まないホットメルト接着剤組成物の好ましい態様それぞれでは、機械特性又は用途への悪影響なしにそのような用途が可能である。
【0061】
湿気硬化性ホットメルト接着剤の作用機序にとって重要なことは、この接着剤が溶融可能であること、言い換えれば、適用温度において、それは、適度な適用を可能にする満足できる低粘度をもち、冷却時には、それは急速に固化し、その結果、大気中の水分での架橋反応が終了する前でさえ、接着剤は速やかに接着力をもたらしうることである。本湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物は、150℃の温度で、より特に100000mPas未満、より特に50000mPas未満の粘度をもち、70℃では、より特に20000mPasより大きな、より特に50000mPasより大きな粘度をもつことが分かっている。
【0062】
式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーは、その他のポリウレタンプレポリマーと混合してもよく、これはそうして形成された湿気硬化性ホットメルト接着剤の高温での貯蔵寿命(粘度の安定性)が改善されることを可能にする。
【0063】
湿気又は水、より特に大気中の湿気の影響の結果として、式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーの加水分解性基が加水分解し、架橋をもたらす。
【0064】
本発明は、基材S2に基材S1を接着結合する方法をさらに含み、その方法は以下のステップ:
i) 上述した種類の湿気硬化性ホットメルト接着剤を85℃〜200℃、より特に120℃〜160℃の温度に加熱するステップ;
ii) 上記加熱された湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物を基材S1に適用するステップ;
iii) 上記の適用された湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物を第二の基材S2と接触させるステップ;
を含み、
第二の基材S2は基材S1と同じ材料、又は基材S1とは異なる材料からなる。
【0065】
ステップiii)は、典型的には次に、その湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物を大気中水分で化学的に硬化させるステップiv)を行う。当業者には、用いたシステム並びに温度及び接着剤の反応性に応じて、架橋反応、それゆえ化学的硬化が、適用してすぐに始まる可能性があることがわかる。しかし、架橋の大部分、それゆえ用語の狭い意味では、化学的架橋の大部分は適用に続いて起こる。
【0066】
必要な場合は、基材S1及び/又は基材S2は、ホットメルト接着剤の適用の前に前処理してもよい。そのような前処理には、より特に、物理的及び/又は化学的洗浄及び活性化工程、例えば、研磨、サンドブラスト、ブラシがけ、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、エッチングなど、あるいは洗浄剤又は溶剤での処理、あるいは接着促進剤、接着促進剤溶液、又はプライマーの適用が含まれる。
【0067】
基材S1及びS2は、複数の材料から構成されていてもよい。より特に、プラスチック、有機材料(例えば、皮革、布帛、紙、木、樹脂で結合された木材ベースの材料、樹脂-布帛複合材料、ガラス、陶材、セラミック、並びに金属及び合金、より特に、塗装された又は粉体塗装された金属及び合金が適している。
【0068】
適したプラスチックは、より特に、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シートモールディングコンポジット)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、より特に、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)、好ましくは、プラズマ、コロナ、もしくは火炎で表面処理したPE又はPP、である。
【0069】
基材S1及びS2のために好ましい材料は、透明材料、より特に透明なポリマーフィルムである。別の好ましい透明材料はガラス、特に窓ガラスの形態のガラスである。
【0070】
本湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物は、より特に、工業生産工程で用いられる。
【0071】
本湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物は、結合部位が目に見える接着結合のために、より特に適している。したがって、一方で、より特に、ガラスの接着結合のため(特に車両製造及び窓製造における)に適している。一方、より特に、透明な包装の接着結合に適している。
【0072】
本接着剤は、実質的に膨れることなしに硬化する。接着結合の典型的な厚さは10マイクロメートル以上である。より特に、この結合の厚さは10マイクロメートルから1000マイクロメートルの間、特に80マイクロメートルから500マイクロメートルの間である。80マイクロメートルより大きな結合層厚さでさえ、全く膨れが生じないことが判明している。
【0073】
本接着結合方法は物品をもたらす。そのような物品は、一方で、より特に、輸送、家具、又は布帛分野の物品である。輸送分野としては、より特に自動車分野が好ましい。
【0074】
この種の物品例は、自動車用内装仕上げ部材、例えば、ルーフライニング、サンバイザー、計器パネル、ドアサイドパーツ、手荷物棚など;シャワー及び浴槽分野の木質繊維材料;装飾用の家具用フォイル、綿などの布帛を用いたメンブランフィルム、アパレル分野でのポリエスエルフィルム、又は自動車仕上げのための発泡体付き布帛、である。
【0075】
他方、そのような物品は、より特に、包装分野のものである。より特に、そのような物品には透明な包装が含まれる。
【0076】
本発明のさらなる側面は、未硬化のシラン官能性ホットメルト接着剤の貯蔵寿命(粘度の安定性)を向上させる目的のために、イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーを変性するための上述した式(II)のメルカプトシランの使用である。
【0077】
【化4】

式(II)中、各基は式(I)について既に説明した定義を有し、好ましいものについても同じである。
【0078】
好ましいメルカプトシランは、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、より特に、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランである。
【0079】
したがって、式(II)のメルカプトシランを用いて、イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーからシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを得ることができ、それによって、より特に、アミノシランと、イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーとから得られる対応するシラン官能性ポリウレタンプレポリマーと比較して、高温でのホットメルト接着剤の貯蔵寿命(粘度の安定性)を顕著に向上できる。さらに、ホットメルト接着剤における式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーの使用は、高温での湿気硬化性ホットメルト接着剤の貯蔵寿命(粘度の安定性)の向上をもたらすことが判明している。
【0080】
本発明のさらなる側面は、未硬化の接着剤の貯蔵寿命を向上させる目的のための、ホットメルト接着剤における、既に説明した式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーの使用である。
【0081】
式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーに基づくホットメルト接着剤は、高温において、アミノシランとイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーとから得られるシラン官能性ポリウレタンプレポリマーに基づく相当する従来技術の接着剤よりも、顕著により良い粘度の安定性を有することを、驚くべきことに発見している。高温(これはより特に適用温度に対応し、言い換えれば、典型的には、120℃〜160℃の貯蔵温度において)での貯蔵時間に伴う粘度の増大が、全く起こらないかあるいは非常にゆっくりしか起こらないか及び/又はわずかな程度にしか起こらない現象を、本明細書では、「貯蔵寿命」又は「粘度の安定性」の用語によって表す。
【0082】
さらに、膨れがないことと、向上した粘度安定性とに加えて、本湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物のUV安定性、より特に黄変が、プレポリマーPすなわち式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを調製する工程における脂環式ポリイソシアネートの使用によって大きく低減できることを発見している。
【実施例】
【0083】
以下の文章中、表1中で用いた物質及び略号を使用した。
【0084】
【表1】

【0085】
〔プレポリマーPの調製〕
【0086】
[プレポリマーP1]
Dynacoll(登録商標)7150(Degussa社)及びDynacoll(登録商標)7250(Degussa社)の1:1(w:w)ポリエステル混合物を、非粘着コーティングがされ且つグランドガラスジョイントをもつ四つ口の蓋を備えた1リットル反応容器に仕込んだ。温度制御をしたオイルバス中で、120〜125℃で4時間溶かした。
そうして得られた液体ポリオール混合物を、その温度を保ちながら、撹拌しつつ1時間高真空下で脱水した。
次に、ポリオールに対してNCO/OHモル比が2:1でMDIを反応容器に添加し、温度を保ちながら、撹拌しつつ反応を2時間行った。そうして調製したプレポリマーP1は、2.2%のNCO含有量と、130℃で15500mPasの粘度とをもっていた。
【0087】
[プレポリマーP2]
プレポリマーP2は、P1についてと同様の方法で調製したが、但しP2については、ポリエステル混合物を、ポリエーテルポリオールDesmophen(登録商標)4028 BD(Bayer社)によって化学量論的に置き換えた。そうして得られたプレポリマーP2は、2.05%のNCO含有量と、70℃において1875mPas(10rpm)の粘度とをもっていた。
【0088】
[シラン官能性ポリウレタンプレポリマーの調製]
上述したプレポリマーP1、及びP2はそれぞれ、表2のように、化学量論的に用いる相当するシラン、及びプレポリマーを基準にして0.2質量%の触媒としてのジブチルスズジラウレート(DBTL)と混合し、1時間の反応時間後、混合物をチューブ又はカートリッジに分配した。これによって、水分の不存在下での貯蔵を確実にした。
【0089】
【表2】

【0090】
調製の過程で、比較例Ref.1はゲル化を起こしたことがわかった。その他の組成物の全ては、ゲル化なしに調製できた。
【0091】
[貯蔵寿命(粘度の安定性)]
粘度測定は、それぞれの温度で連続して行った。
貯蔵寿命(粘度の安定性)の測定のために、各温度Tにおける貯蔵時間T後に、各組成物の粘度η[mPas]を、レオマット(rheomat)(Brookfield、Thermosel、スピンドル27、剪断速度1min−1)を用いて測定した。
【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
【表5】

【0095】
表3〜5の結果は、組成物1及び2が、比較例と比べて、貯蔵における顕著に向上した貯蔵性によって区別されることを示している。160℃でさえ、長期貯蔵時間後であっても粘度の増大が小さいのに対して、比較例は、粘度がもはや測定できないほど大きな増粘を既に起こしている。
【0096】
[膨れ]
膨れを測定するために、ショアA硬度の測定のための試験体の製造の道筋に沿って試験体を製造した。この場合には熱い接着剤を約140℃の温度でテフロン(登録商標)環(2mmの厚さ)に導入した。この接着剤を、荷重(5kg)を用いてその厚さに押さえて冷却した。冷却された接着剤は、次に、脱型し、20℃且つ55%湿度で硬化させた。
膨れは目視評価で行った。
反応性ホットメルト接着剤に対して用いた参照物は、プレポリマーP1だった。
【0097】
【表6】

【0098】
〔機械特性〕
[引張強度]
【0099】
DIN 53504に基づく方法で、2×12cmの大きさの長方形試験体を、組成物1の500μm厚さの硬化したフィルムから切り出した。これらの試験体を引張試験機(Zwick Z 020)に取り付け、100mm/分の速度で引張を行った。測定したパラメータは、試料によって提供される最大引張力だった。
【0100】
[引張剪断強度]
組成物1の引張剪断強度は、DIN EN 1465に基づく方法で、Zwick (Z 020)の引張試験機で、100mm/分の試験速度で測定した。各基材の2つの試験体を接着して(重なり12×25mm、接着剤層の厚さ2mm)試験した。
組成物1の機械物性結果は、表7にまとめた。
【0101】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の少なくとも1種のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを含む湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物:
【化1】

式(I)中、
は、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとから調製され且つ少なくともn個のイソシアネート基を有するプレポリマーPから、n個のイソシアネート基を取り除いたn価の有機基であり;
は、1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキレン基であり;
Xは、加水分解性基であり;
aは、0、1、又は2の値であり;
nは、2以上の値であり、
前記プレポリマーPは室温で固体であり、且ついかなるさらなるシラン基も有しない。
【請求項2】
がプロピレンであることを特徴とする、請求項1に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
XがORであり、Rは1〜10の炭素原子を有し、任意選択により1又は2のエーテル酸素を含んでいてもよいアルキル基であり、より特に、メチル、エチル、又はイソプロピルであり、好ましくはメチルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
aが0の値であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
前記ポリオールがジオール、より特にポリエステルジオールであり、前記ポリイソシアネートが400g/mol未満の分子量をもつジイソシアネートであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
式(I)の前記シラン官能性ポリウレタンプレポリマーが、少なくともn個のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーPと、下記式(II):
【化2】

のメルカプトシランとの反応によって得られることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
前記式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーがイソシアネート基を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
前記式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーがイソシアネート基を有しないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
150℃の温度で100000mPas未満、より特に50000mPas未満の粘度を有し、70℃の温度では20000mPasより大きな、より特に50000mPasより大きな粘度を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
基材S2に基材S1を接着結合する方法であって、以下のステップ:
i) 請求項1〜9のいずれか一項に記載の湿気硬化性ホットメルト接着剤を85℃〜200℃、より特に120℃〜160℃の温度に加熱するステップ;
ii) 前記の加熱された湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物を基材S1に適用するステップ;
iii) 前記の適用された湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物を第二の基材S2と接触させるステップ;
を含み、
前記の第二の基材S2は、前記基材S1と同じ材料、又は前記基材S1とは異なる材料からなる、方法。
【請求項11】
ステップiii)の次に、前記湿気硬化性ホットメルト接着剤組成物を大気中の水分で化学的に硬化させるステップiv)を行うことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記基材S1又はS2のうち少なくとも1つが透明材料、より特に透明なポリマーフィルムであることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項13】
前記基材S1又はS2のうち少なくとも1つがガラスである、特に特に窓ガラスの形態のガラスであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
前記接着結合が工業生産工程で行われることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
接着剤の層の厚さが10マイクロメートル〜1000マイクロメートル、特に80マイクロメートル〜500マイクロメートルであることを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項11〜16のいずれか一項に記載の接着結合方法によって結合された物品。
【請求項17】
前記物品が透明な包装であることを特徴とする、請求項17に記載の物品。
【請求項18】
前記物品が、輸送、家具、又は布帛分野の物品であることを特徴とする、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
未硬化のシラン官能性ホットメルト接着剤の貯蔵寿命(粘度の安定性)を向上させる目的のための、イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーを変性するための下記式(II)のメルカプトシランの使用:
【化3】

式(II)中、
は、1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキレン基であり、より特にプロピレンであり;
Xは、加水分解性基であり;
aは、0、1、又は2の値であり、特に0である。
【請求項20】
XがORであり、Rは1〜10の炭素原子を有し、任意選択により1又は2のエーテル酸素を含んでいてもよいアルキル基であり、より特に、メチル、エチル、又はイソプロピルであり、好ましくはメチルであることを特徴とする、請求項20に記載の使用。
【請求項21】
未硬化の前記ホットメルト接着剤の貯蔵寿命(粘度の安定性)を向上させる目的のための、ホットメルト接着剤における、請求項1〜10のいずれか一項に記載した、式(I)のシラン官能性ポリウレタンプレポリマーの使用。

【公表番号】特表2009−533486(P2009−533486A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546483(P2008−546483)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/070161
【国際公開番号】WO2007/074143
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】