説明

少なくとも5本の軸を含む工作機械で工具を制御するための制御データを発生するための方法および装置

【課題】工作機械において、工具の不連続的な回転軸の運動および工具の摩耗の増加を防止すると共に、加工品の最適な表面仕上げを可能にすること
【解決手段】ベース本体およびこのベース本体から突出する少なくとも1つのフランク部分を有する予め決定された仕上げ部品を製造するための、少なくとも5軸を含む工作機械であって、部品の幾何学的形状データによりパスデータが発生され、パスデータは、ポイントの列からなるラインに属し、共通平面内にあり、共通平面は、ベース本体に実質的に直交しており、ポイントの第1ラインのうちのポイントを通過して延びる曲線に対して工具パスが実質的に平行となるように、パスデータが発生され、ポイントの第1ラインのうちのポイントの各々において、工具の回転軸が、第1ラインのそれぞれのポイントの列の共通平面によって実質的に自ら定まるように、更にパスデータが発生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプされた加工品を機械加工するよう、少なくとも5本の軸を含む工作機械で所定の工具を制御するための制御データを発生するための方法および装置に関する。
【0002】
特に本発明は、工作機械内にクランプされた加工品を、ブランクから、予め決定された目標とする仕上げ部品の幾何学的形状を有する仕上げ部品に機械加工するための、特にベース本体およびこのベース本体から突出する少なくとも1つのフランク部分を備える、予め決定された仕上げ部品までの工作機械での完全機械加工作業をするための、少なくとも5本の軸を含むCNC制御された工作機械、特にCNC制御されたフライス盤、フライス盤/旋盤または旋盤/フライス盤、または少なくとも5本の軸を含むCNC制御されたユニバーサルマシニングセンター、例えばユニバーサルフライス兼ドリル盤でフライスカッターを制御するための制御データを発生する方法および装置に関する。本発明は、特に仕上げ部品、例えばギアホイール、特に内歯および/または外歯を有する平ギアおよびベベルギア、インペラーまたはブリスクの製造、またはシェーピングに関する。一般に本発明は、ベース本体およびこのベース本体から外側または内側に突出する少なくとも1つのフランク部分を有する加工品の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
NC制御される工作機械、特にCNC制御される工作機械は、広範な実施形態に関する従来技術から周知となっている。CNC(コンピュータ化された数値制御)とは、本明細書では、例えばCNCプログラムによる工具ガイドを工作機械が数値制御することを意味する。この工作機械には、機械加工により加工品から材料を除去する工具が設けられている。工具の制御、特に工具の移動および/または配向の制御は、CNCプログラムのCNC制御データにより制御装置を使って行われる。更にCNC制御データは、工作機械で加工品をクランプしている、工作機械の工具テーブルを例えば回転することによって加工品の配向を所望する場合に制御する。一般に、NCプログラムまたはCNC制御データによる制御は、CNC制御データによる工作機械内にクランプされた加工品の効率的で、フレキシブルで、正確かつ繰り返し可能な機械加工を可能にしている。
【0004】
今日までの従来技術では、CAMシステム(CAMとはコンピュータ支援製造を意味する)によりソフトウェアでサポートされた状態でCNCプログラムおよびCNC制御データを作成または発生するようになっている。ここで、発生されるCNCプログラムは、制御データを含み、この制御データは、工具がパス上を移動するときに、例えばフライス加工または他の方法により加工品から材料を除去するよう、工作機械内にクランプされた加工品に対して使用されている工具を、発生された工具パスに沿って制御するようになっている。
【0005】
この数値パス計算は、幾何学的形状のパラメータに基づき、加工品の予め決定された目標とする仕上げ部品の幾何学的形状により実行される。次に、仕上げ部品の輪郭が得られるまで、発生されるか、または計算された工具パス上を工具が移動するときに、発生された制御データに従い、工作機械上の加工品からパスごとに材料が除去される。更に、制御データは工具の交換を命令するデータも含むことができ、所望する場合に加工品が機械加工される間、自動工具交換が実行される。今日の工作機械は、プログラム制御された加工品の自動交換の実行を可能にしていることが多く、この自動交換では、第1加工品の機械加工後に工作機械の加工品クランプ手段上の第1加工品を第2加工品に交換し、よって第2加工品を機械加工するようになっている。
【0006】
加工品から材料を除去するよう空間内で5の自由度にて工具を自由運動できるようにする少なくとも5本の軸を含むCNC制御された工作機械を用いて、特殊なユニバーサルかつフレキシブルな使用が可能となっている。ここで、5の運動自由度は、少なくとも3本のリニア軸によって制御できる3の空間自由度(従来は、特にx軸、y軸およびz軸と称される3つの直交する制御可能な空間自由度)および任意の工具の配向を可能にする2つの回転角方向の自由度、すなわち回転自由度を含む。これら2つの回転角方向の自由度および回転自由度は、工作機械の2本以上の回転軸によって制御できる。少なくとも5本の軸を有する今日のCNC工作機械は、クランプされた加工品に対する工具パスを特に複雑かつ効率的にするよう、5の自由度の同時制御を可能にしている。更に、従来技術は、少なくとも6本の軸を有するCNC工作機械を開示しており、これら軸に沿って少なくとも3本の並進軸および少なくとも3本の回転軸を同時に制御できる。
【0007】
上記CNC工作機械は、複雑な幾何学的形状を有する仕上げ部品を機械加工により効率的かつ精密に製造するよう、工具構造体でユニバーサルに使用されている。仕上げ部品は、予め決定された幾何学的形状を満たす要求が高い、回転対称な仕上げ部品、例えばインペラーまたはブリスクを含む。機械工学、特に造船工学、環境技術(例えば風力発電所の場合)、航空技術および工作機械の製造では、出力が最も異なるトランスミッションを提供することも必要であり、このトランスミッションに対し、ギアホイール、特に平ギアおよびベベルギアは、表面仕上げ、歯の接触パターンおよびローリング特性に求められる異なる要求に従って製造しなければならない。ここで、必ずしも多数のアイテムを得る必要がないことが多いが、問題は、広範なタイプに関して、特に複雑なフランクの幾何学的形状、歯のフランクの幾何学的形状またはブレードの幾何学的形状を含む個々の幾何学的形状に関して、高いフレキシビリティが求められていることである。
【0008】
ベース本体およびこのベース本体から突出する少なくとも1つのフランク部分を有するかかる仕上げ部品、特にギアホイール、例えば平ギアまたはベベルギア、ブリスクまたはインペラーを製造するために、従来技術はギアホイール、例えば平ギアまたはベベルギアの歯のプロフィルもしくはインペラーまたはブリスクのブレード、すなわちベーンプロフィルを製造するための特殊な工具が設けられた特殊な工作機械を異なる実施形態で開示している。
【0009】
ギアホイールのギアを製造するために、従来技術はホブフライス工具を使用するフライス方法によって、加工品にギアを設けるようになっている特殊な工作機械、特にホブフライス盤を開示している。かかるホブフライス盤は、例えば円筒形のベース本体およびこのベース本体から突出する歯のフランク部分を有する平ギア、または円錐形ベース本体およびこのベース本体から突出する歯のフランク部分を有するベベルギアを製造するようになっている。
【0010】
かかる特殊な工作機械、特に上記ホブフライス盤は、購入およびメンテナンスに関してコスト集約的であり、個々のフランクのプロフィルの製造は、達成可能な、または製造可能な歯およびフランクの幾何学的形状を既に予め定めている、特殊工具の形状、例えばホブ盤のホブフライス工具のカッターの特殊形状によって限定されている。
【0011】
更に、上記特殊な工作機械でも、個々のフランクプロフィルの製造は、加工品と工具の間の可能な相対運動における自由度が限られていることによって制限されている。
【0012】
高度な表面仕上げを得るには、上記特殊な工作機械での、例えば追加された別の特殊な工作機械での機械加工の後でも、加工品を所望する場合に再機械加工するか、仕上げなければならない。
【0013】
ギアホイール、特に平ギアまたはベベルギア、ブリスクまたはインペラーを製造するための、上記特殊な工作機械、特にホブ盤の問題を解決するためには、少なくとも5本の軸を含むCNC制御式工作機械で、かかるギアホイール、特に平ギアまたはベベルギア、ブリスクもしくはインペラーを製造することが有効である。
【0014】
少なくとも5の自由度で制御できる工作機械の高いフレキシビリティおよび広範な応用範囲により、最も複雑な幾何学的形状、特に最も複雑なフランクのプロフィルが、ギアホイール、例えば平ギアまたはベベルギア、ブリスクもしくはインペラーまたは他の加工品に対して可能になったので、このことによって、標準的な工具を使用し、これら仕上げ部品を製造できるようになっている。
【0015】
ハンス−ピーター・ショシヒ著の論文「良好な歯への容易な道−標準的工作機械での高品質のギアホイールのフライス加工」(雑誌:ベルクシュタットウントベトリープ、カールハンサ出版、ドイツ、ミュンヘン、2007年版、第4/28号、28〜32ページ、ISSN0043−2792で発表)には、少なくとも5本の軸を含み、ベース本体およびこのベース本体から突出する少なくとも1つのフランク部分を有する予め決定された仕上げ部品を製造するよう加工品を機械加工するよう働く工作機械で加工品を制御するために制御データを発生する方法が記載されている。
【0016】
この上記論文は、特にDIN3965に従ったギア品質6の表面仕上げを有するベベルギアのペアを製造するためのテスト作動における、5本の軸を含む工作機械によってギアホイールを製造するための方法について述べている。上記方法では、まずDIN規格によるギアのすべての必要なパラメータを最初に入力する。これらパラメータは、仕上げ部品の幾何学的形状の基本的幾何学的形状のパラメータに対応している。この目的のために、予め決定されるか、または必要な、歯の形状と共に所望する歯の接触パターンに関する定量的データ、または個々の領域もしくは歯のフランク全体にわたるか所望する凸度に関する別のデータも入力することができる。
【0017】
これら基本的な幾何学的形状のパラメータを、コンピュータのターミナルでタイプ入力し、次に数学的計算および/または数値計算により、コンピュータ内で所望する歯の幾何学的形状の数学的記述を発生する。コンピュータの計算結果に基づき、CAD/CAMシステムにより、MCプログラムが発生され、このプログラムに基づき、5軸工作機械は標準的工具、特に公知のエンドフライスカッターを用いて、所望する仕上げ部品を製造できる。例えば、国際特許出願第WO2008/133517A1号にも同様な方法が示されている。
【0018】
上記方法では、仕上げ部品、特にフランクのフランク表面は、フライス加工作業、例えばフライス加工作業においてエンドフライスカッターまたは別の回転対称のフライス工具を使用することによりシェーピングされる。このフライス加工は最初に、コンピュータで数学的にシミュレートされ、ギアの表面すなわちフランク表面をCADシステムによりコンピュータで近似する。しかしながら、CADシステムを使用するかかる近似は、指定されたフランク表面とモデルフランク表面との偏差、または近似モジュールの出力を受ける歯のフランク形状、またはCADシステムのユーザーによる管理も必要となる。
【0019】
しかしながら、高品質の公知のCAD/CAMシステム(例えばCATIA、UGS、EUKLID、Tebis、HyperMill)または特殊なCAMシステム(例えばNRECコンセプトからのMAX−5、MAX−AB MAX−SI)は、円筒形状および凸形状を有するフライスカッターのための制御プログラムを発生する機能を提供している。
【0020】
これに関連し、ギアホイール、特に平ギアまたはベベルギアの歯のフランクを制御するために、ギアホイールまたはベベルギアの製造のための上記特殊な工作機械のために構成すべきフランク表面を近似する。ここで、製造すべきギアホイールの歯のフランクまたはインペラーのブレードの表面は、いわゆる等パラメータ曲線(例えばU−V曲線)によって記述され、これら等パラメータ曲線は、表面の内部デザインまたは表面の幾何学的形状を数学的に記述するものである。等パラメータ曲線の相互の位置および目標とするギア形状の位置に対する、等パラメータ曲線の位置は、仕上げ部品の幾何学的形状を記述するための予め決定されたデータ入力、特にCADシステムにおけるデータ入力の配置に大きく依存する。従来技術によれば、目標とするギア形状の予め決定されたサイドフランク表面に沿った等パラメータ曲線のコースは、ギアホイールのギアの歯のベースに直交する均一な行内には配置されない。しかしながら、発生される等パラメータ曲線は、歯のフランクのルート部、または歯のベースのコースによって自ら定められない。
【0021】
側面またはフランク表面の近似によって発生される上記数学的記述に基づき、従来技術で公知のCAD/CAMを使って歯のフランクまたはブレードのフランクを機械加工するために工具パスを作成または発生するときに、ホブ加工すべき表面の等パラメータ曲線に従って工具または工具の配向を配置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ここで、工具パスの工具が移動するときに、機械加工すべき表面に対する工具の配向または位置決めが不規則となることがあり、このことは、工作機械の好ましくない枢動運動および非定常的な回転軸の運動を生じさせ、この結果、パスに沿った工具の非定常的な運動が生じ得るという問題が起こる。更にこのことは、フランクコースに対する、または所望する場合にホビング工具ガイドに対する、工具の好ましくない傾斜またはシェーピングすべきフランク表面に沿った工具パスに従う移動方向に対する工具の傾斜の変動を生じさせ得る。更に、工具が不規則に位置決めされている結果、機械加工に関して好ましくない状況が生じることがあり、この状況は、不十分な表面仕上げ、幾何学的形状誤差、更に、工具の摩耗の増加も生じさせ得る。
【0023】
本発明の目的は、従来技術で知られている方法および装置に対して最適にされ、工具の不連続的な回転軸の運動および工具の摩耗の増加を防止すると共に、フランク部分の表面上の最適な表面仕上げを可能にする、ベース本体およびベース本体から突出する少なくとも1つのフランク部分を有する予め決定された仕上げ部品を製造するよう加工品を機械加工するための、少なくとも5本の軸を含む工作機械で、工具を制御するための制御データを発生する方法および装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、この目的は、請求項1または13に記載の特徴事項を含む方法、および請求項15または19に記載の特徴事項を含む装置によって達成される。更に本発明は、データ処理装置に関連し、本発明にかかわる方法を実行するようになっている、請求項20に記載のコンピュータプログラム製品を提供するものである。
【0025】
従属項には、本発明の好ましい構造および好ましい実施形態が記載されている。
【0026】
本発明は、加工品を機械加工し、ベース本体およびこのベース本体から突出する少なくとも1つのフランク部分を有する予め決定された仕上げ部品を製造するための、少なくとも5本の軸を含む工作機械で工具を制御するための制御データを発生する方法であって、この方法は、予め決定された仕上げ部分の幾何学的形状に対応する、仕上げ部品の幾何学的形状の基本的幾何学的形状パラメータを決定するステップと、
少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面の幾何学的形状を示す、仕上げ部品の予め決定された仕上げ部品幾何学的形状の仕上げ部品幾何学的形状データを、基本的幾何学的形状パラメータによって発生するステップと、
仕上げ部品幾何学的形状データによりパスデータを発生するステップとを備え、パスデータは、加工品から材料を除去するために加工品に対して工具がどんな工具配向で少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面に沿ったどの工具パスを移動すべきかを表示しており、工具の工具配向は、工具の回転軸の配向に対応し、工具は、加工品から材料を除去するよう、工具の回転軸を中心に回転するようになっている、制御データを発生する方法に関する。
【0027】
本発明に係わる方法は、フランク部分の少なくとも1つの表面の幾何学的形状を示すための仕上げ部品幾何学的形状データが、フランク部分の少なくとも1つの表面上のポイント群の位置データを含み、これら位置データが、ポイント群のうちのポイントの位置を示し、
ポイント群のうちの各ポイントが、ポイントの列およびポイントのラインに属し、ポイントの列のすべてのポイントが、共通平面内にあり、ポイントの行のポイントの共通平面が、ベース本体の横方向表面の接線平面に実質的に直交し、好ましくは、ベース本体の横方向表面と共通平面との共通ポイントにおける、接線平面に実質的に直交しており、
ポイントの第1ラインのうちのポイントを通過して延びる曲線に対して少なくとも1つの工具パスが、実質的に平行となるように、パスデータを発生し、
ポイントの第1ラインのうちのポイントの各々において、工具の回転軸が、第1ラインのそれぞれのポイントの列の共通平面によって実質的に自ら定まるよう、または所望する場合に共通平面内に位置するよう更にパスデータを発生することを特徴とする。
【0028】
ポイントの第1ラインのうちのポイントの各々において、工具の回転軸は、実質的に第1ラインのそれぞれのポイントの列の共通平面内に実質的に存在することが好ましい。
【0029】
共通ポイントは、好ましくはリードカムにあり、このリードカムは、ベース本体の横方向表面上に延びている。ギアを含む加工品の場合、特に2つの歯の間の歯のベース内でリードカムが延びることが好ましい。
【0030】
このリードカムに対して共通平面が実質的に直交することも好ましい。
【0031】
この方法は、好ましくは回転対称のベース本体を有する仕上げ部品、例えばギアホイール、すなわち平ギアまたはベベルギア、ブリスクまたはインペラー、もしくはベース本体およびこのベース本体から内側または外側に突出する少なくとも1つのフランク部分を有する別の加工品を製造するのに使用すべきである。
【0032】
本発明によれば、表面、すなわちこの表面にあるポイントの位置データにより、フランク部分の表面を記述する、発生された仕上げ部品の幾何学的形状データにより、上記に概略を述べたように、フランク部分の機械加工、すなわちシェーピングすべき表面、もしくはその予め決定された幾何学的形状を記述する。仕上げ部分の幾何学的形状データは、本発明によれば、フランク部分の少なくとも1つの表面の幾何学的形状を記述するためのポイント群のうちのすべてのポイントの位置データを含み、この位置データは、少なくとも5本の軸の工作機械の3の並進自由度に対し、3つの座標値を有する三次元空間内の少なくとも1つの位置を含むか、またはこの位置に少なくとも変換可能となっている。
【0033】
本発明によれば、ポイント群はポイントの行とポイントのラインに分割され、フランク部分の少なくとも1つの表面上のポイント群のうちの各ポイントは、ポイントの行および/またはポイントのラインに属す。
【0034】
更に本発明によれば、記述された工具パスがポイント群のうちのポイントのラインの1つのポイントを通過する曲線に実質的に平行に延びるよう、パスデータを発生する。これによって1本のラインのすべてのポイントを通過する曲線により、工具パスを計算することによって、簡単に工具パスのコースを計算することが可能となる。この場合、ポイントは、位置データによって正確に示される。
【0035】
更に、ポイントの各行がすべてベース本体に実質的に直交する共通平面に存在するようなポイントを含む、ポイント群によって、フランク部分の少なくとも1つの表面の幾何学的形状が記述される。このことは、ポイントの1つの行のポイントの共通平面は、ベース本体の横方向表面に実質的に直交することを意味する。従って、カーブした表面またはカーブした外側または側方表面によってベース本体が示される場合、ポイントの1つの行のポイントの共通平面は、ベース本体のカーブした側方表面に対し、仮想的な接線平面に実質的に直交する。ここで、このベース本体は、所望する場合に回転対称体、すなわち円錐体または円筒体の幾何学的形状またはその他の回転対称の幾何学的形状を記述する。(離間していると見なされる)フランク部分が省略されるとき、ベース本体は、仕上げ部品の形状に対応する幾何学的形状を有することに留意すべきである。従って、平ギアの場合、ベース本体は、円筒形状または(所望する場合に内歯を有する平ギアの場合には)中空円筒形状に対応することになる。ベベルギアの場合、ベース本体は円錐形状または回転対称の部分円錐形状に対応することになる。
【0036】
本発明によれば、ポイントの1つの行のうちのポイントの共通平面によって、工具の回転軸が配向されるよう、更にパスデータを発生する。特に、ラインのこのそれぞれのポイントの行の共通平面に実質的に存在する複数のポイントの1本のラインのうちのポイントの各々によって、工具の回転軸が配向される。
【0037】
このことは、加工品から材料を除去し、ベース本体から突出する少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面をシェーピングするための工具パスのパス計算が、フランク部分の少なくとも1つの表面上のポイント群により簡単かつ数学的に正確に実行できるという利点を提供する。従って、発生されたパス上を移動するとき、工具の配向は、起こり得る傾斜した等パラメータ曲線によっては自ら定められず、ベース本体に常に直交する平面またはベース本体の外側本体に直交する平面、もしくはベース本体の接線平面に少なくとも直交する平面により自ら定められる。
【0038】
この結果、工作機械上での非定常的な回転軸の運動を解消するように、工具の不要な傾斜または工具の傾斜の変動が効果的に防止される。
【0039】
更にこのことは、工具の傾斜を解消することによって、工具の機械加工領域、すなわち使用領域を小さくできるので、工具の摩耗を低減できる。別の利点は、表面、すなわち少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面の歯の接触パターンの、改良された、より正確なシェーピングが可能となることである。歯の接触パターンを、より正確にシェーピングすることにより、例えば最適にされたローリング特性を有するギアホイールまたはギアホイールペアの製造も可能となるので、例えばローリング運動中のノイズの発生も、好ましいことに少なくすることができる。
【0040】
例えば限定的であると見なすべきでない、パラメータ群のうちの1つ以上のパラメータは、基本的な幾何学的パラメータ、例えばベース本体の形状、ベース本体の半径および円周、ベース本体の高さ、突出するフランク部分の形状、突出するフランク部分の数、突出するフランク部分の高さ、または所望する場合にはベース本体の径方向の伸長長さに対する、突出するフランク部分の長手方向の伸長長さとなっている。
【0041】
本方法で製造または機械加工される予め決定された仕上げ部品は、ギアホイール、特にベベルギア、または平ギア、ピニオン、ブリスク、もしくはベース本体およびこのベース本体から内外に延びる少なくとも1つのフランク部分を有する別の加工品であることが好ましく、少なくとも1つのフランク部分は、ギアホイールの歯のフランク、ピニオンの歯のフランク、またはインペラーもしくはブリスクのブレードフランクのいずれかである。
【0042】
このことは、この方法をギアホイール、例えばベベルギア、平ギア、ピニオン、ブリスクまたはインペラーの製造に特に使用できるという利点を提供し、この場合、この方法は従来の方法では製造できないすべての、よく使用される複雑な幾何学的形状を製造するのにも有利である。特にギアホイール、例えば平ギア、ベベルギアおよびピニオンの場合、この幾何学的形状は、すべての公知のギア形状およびギア伸長部、例えばインボリュートギア、サイクロイドギアまたはコンコイドギア、または例えば1つの側面またはすべての側面に凸状曲率または凹状曲率を有するフリーフォームの表面に対応する歯のフランク表面を有する他の可能なギアタイプも含む。この方法は、ギアの長手方向に、すべてのよく使用されるタイプのギア、特にストレートギア、カーブギア、ヘリンボーンギア、ヘリカルギア、スパイラルギアまたはインボリュートギア、または他の可能なタイプのギアの製造も可能にする。
【0043】
工作機械は、フライス盤、フライス盤兼旋盤または旋盤兼フライス盤であり、回転対称の工具は、エンドフライスカッター、チェリー、トーラスカッター、ドラムクアッターまたは別の回転対称工具であることが好ましい。
【0044】
この工作機械は、よく使用される回転対称の標準的工具、例えばエンドフライスカッター、チェリー、トーラスカッター、ドラムカッターまたは他のよく使用される回転対称の工具を使用するフライス盤で、この方法を使用できるという利点を提供する。
【0045】
少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面は、1つ以上の側面において凸状および/または凹状にカーブした表面であるか、または任意のカーブしたフリーフォームの表面であることが好ましい。
【0046】
このことは、本発明にかかわる方法において、少なくとも1つの側面で凸状または凹状にカーブした表面、および特にすべての側面で、ある曲率の独立した凸部および/または凹部もしくは任意の曲率形状さえも有するフリーフォームの表面のシェーピングも可能にする。
【0047】
少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面の幾何学的形状を示すために、仕上げ部品の幾何学的形状データは、ポイント群のうちの少なくとも1つの第1ポイントに対する法線データを含み、この法線データは、第1ポイントにおける少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面の法線ベクトルの少なくとも1つの方向または少なくとも1つの配向を示し、第1ポイントにおいて、工具の回転軸が、第1ポイントにおける法線ベクトルに対して実質的に直交状態となるように、パスデータを更に発生することが好ましい。
【0048】
このことは、フランク部分の少なくとも1つの表面上のポイント群のうちのポイントの位置データおよび法線データにより、仕上げ部品の幾何学的形状データによるパス計算を特に簡単かつ正確に行うことができるという利点を提供する。予め決定された表面または表面形状での、工具の正確な垂直方向の位置決めを行うように、ポイント群のうちの1つのポイントにおける法線ベクトルの方向に、ポイント群のうちのこのポイントにて、工具のある配向または好ましい配向を正確に定めることができる。これによって特に簡単な方法で正確なパスの計算が可能となり、この場合、工作機械での少なくとも3の並進自由度がポイント群のうちの複数のポイントの位置データにより定まり、工具配向の2の自由度、または工具の回転軸の位置が複数のポイントにおける法線データによって記述され、ポイントのうちの1つにおける法線ベクトルの法線データ、およびポイントの1つの列のうちの複数のポイントの共通平面によって定められる。
【0049】
第1ポイントでは、少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面の法線ベクトルは、この法線ベクトルが第1ポイントの属する列の複数のポイントの共通平面内に存在するように配向されることが好ましい。
【0050】
このことは、列の複数のポイントのうちの1つにおける少なくとも1つの法線ベクトルが、複数のポイントの列の共通平面に存在するよう、ポイント群がフランク部分の少なくとも1つの表面を好ましく記述し、よって共通平面が回転対称のベース本体に垂直となることを意味している。従って、工具の配向を回転対称のベース本体に直交する平面内に簡単かつ数学的に正確に定めることが好ましい。
【0051】
少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面の幾何学的形状を示すために、仕上げ部品の幾何学的形状データは、ポイント群からの第1列のうちの複数のポイントの各々に対する法線データを更に含むことが好ましく、第1ポイントは、第1列の各ポイントにおける少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面のそれぞれの法線ベクトルの方向および配向を法線データが更に示すように、第1列に属すことが好ましく、第1列の複数のポイントにおける法線ベクトルは、各ケースにおいて第1列の複数のポイントの共通平面内にあることが好ましい。
【0052】
これによって、ポイント群の位置データおよび複数のポイントの各々における表面の法線ベクトルに対する位置データに付随する法線データを表示することにより、仕上げ部品の幾何学的形状は、少なくとも1つの表面の幾何学的形状を数学的にできるだけ正確に表示することを可能にし、よって各ポイントにおける表面の位置および配向を数学的に正確に表示でき、かつ複数のポイントの位置データおよび法線データでパスの計算をできるだけ正確に実行できるようになる。
【0053】
パスデータは、少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面に沿った複数の工具パスを示すことが好ましく、ポイント群のうちの列の各々には同じ数のポイントが属し、複数の工具パスの各々がポイントのラインのうちの1つに実質的に平行に延びることが好ましい。
【0054】
このことは、ポイント群の各列が同じ数のポイントを有し、よって各ポイントが1本のライン、正確に1本のラインに属すことができ、これらラインは重なり部を有しておらず、各ケースにおいて複数のポイントのラインのうちの1つに沿った工具パスを簡単かつ数学的に正確に発生できるという利点を提供する。複数の工具パスを移動することにより、この方法は、複数の工具パスに沿って標準的工具を使用し、1つの側面またはすべての側面で曲がった凸状または凹状曲率を有する任意の形状の表面を形成することを可能にする。更に、工具パスの各々は、重なり部を有していない複数のポイントのラインのうちの1つに実質的に平行であるので、複数の工具パスを簡単かつ数学的に正確に発生または計算できる。
【0055】
本方法は、少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面上のポイント群の1つ以上のポイント密度制限値を決定するための別のステップを備えることが好ましく、仕上げ部品の幾何学的形状データを決定するためのステップにおいて、ポイント群の1本のラインの隣接するポイント間および/またはポイント群の1つの列の隣接するポイント間の、最小距離および/または平均距離が決定された1つ以上のポイント密度制限値のうちの1つより小さくなく、および/またはポイント群の1本のラインの隣接するポイント間および/またはポイント群の1つの列の隣接するポイント間の、最大距離および/または平均距離が決定された1つ以上のポイント密度制限値のうちの1つを超えないように、仕上げ部品の幾何学的形状データを発生することが好ましい。
【0056】
このことにより次のような利点が得られる。すなわち、複数のポイントの列および/またはライン内の2つの隣接するポイント間の距離に対する制限値を与えるポイント密度制限値を表示することによって、ポイント群の密度を決定することによりパラメータを入力できるという利点を提供できる。この密度は、次のグループのパラメータのうちの1つ以上を含む。すなわち1本のラインの2つの隣接するポイント間の距離の最大値としての第1ポイントの密度制限値、1本のラインの2つの隣接するポイント間の距離の最小値としての第2ポイント密度制限値、1本のラインの2つの隣接するポイント間の距離の最大平均値に対する第3ポイント密度制限値、1本のラインの2つの隣接するポイントの間の距離の平均値の最小値としての第4ポイント密度制限値、および1つの行の2つの隣接するポイント間の距離の最大値、最小値、最大平均値および最小平均値としての対応する第5ポイント〜第8ポイントの密度制限値のパラメータのうちの1つ以上を含む。これによって、仕上げ部品の幾何学的形状データを発生するときに、所望する表面仕上げおよび/または1つ以上の工具パスのパスデータの計算値の精度に従ってポイントの密度をできるだけ個々に、かつ有利に調節することが可能となる。
【0057】
工具は、コーナー半径部を含む工具、特にコーナー半径部を有するエンドフライスカッターであることが好ましく、コーナー半径部に従ってパスデータに基づき少なくとも1つの工具パス上を移動する間に、加工品の、少なくとも1つのフランク部分とベース本体との間でリードカムに沿って配置された丸い移行領域が形成されるよう、パスデータを発生し、特に、パスデータにより工具パス上を移動する間に、丸い移行部に加え、丸い移行領域と歯のフランク部分の表面のうちのギアが作用できるフランク領域のと間に接線方向部分が形成されるように、パスデータを発生することが好ましい。
【0058】
このことは、フランク部分とベース本体との間の移行領域内のフランク部分のベースにおいて工具パスを機械加工しているときに、フランク部分とベース本体との間にフランク部分の1つの表面およびエンドフライスカッターのコーナー半径部に対応する丸い移行領域を形成できるという利点を提供する。従って、標準的工具、例えばあるコーナー半径部を含むエンドフライスカッターにより、少なくとも1つのフランク部分の表面を形成し、工具を交換することなく、これと同時にベース本体とフランク部分との間の移行領域をパスの移動中に丸くシェーピングできる方法が有利に提案できる。
【0059】
いくつかのフランク部分を有する仕上げ部品が製造されるとき、このことは、2つのフランク部分の間の最小距離、すなわちフランク部分の間の距離を標準工具の直径に従った距離にすることも可能にする。この場合、製造可能かつ機械加工可能な仕上げ部品は、実現可能なサイズ比に関して、標準工具の寸法によってしか限定されず、形成可能な幾何学的形状に関して、特に好ましいフレキシビリティを有する。
【0060】
ここで、「ギアが作用できる歯のフランク部分」なる用語は、それぞれのギア形状の曲率を有し、ギアと噛み合いギアの場合、または互いにローリング状態にあるフランクと噛み合いフランクの場合の、対応する噛み合いフランク、更に所望する場合に、別の安全領域に実質的に接触するフランク部分の表面の部分を意味し、この安全領域では、ギア形状の曲率が短距離だけ連続し、安全領域を形成している。機械加工される接線部分はベース側面で直接変化し、丸くされた移行領域内に実質的に接線方向に変化し、頂部側面で直接変化し、更にギアが作用できる歯のフランク部分内に実質的に接線方向に変化することが好ましい。ここで、ギアが作用できる歯のフランク部分にて実質的に接線方向に、ギアが作用できる歯のフランク部分の最低ポイントにエンドフライスカッターが位置し、リードカムによって配向される、計算された最低ラインまたはパス上の移動中に接線部分だけでなく丸くされたエリアも同時にシェーピング、すなわち機械加工することが好ましい。接線部分の高さ、すなわち丸い移行領域とギアが作用できる歯のフランク部分との間の距離は、ここでパス計算のためのプリセット値として自由に選択または調節できる。
【0061】
エンドフライスカッターが1つの工具パス上を移動するだけで、接線部分を丸い領域と共に高速かつ効率的に有利にシェーピングできる。更に、実質的に接線方向に互いにマージする部分しか有しないかかる歯のルートプロフィルは、歯の剛性および安定性をより高くするという点で驚くほど有利である。
【0062】
更に工具は、この工具の回転軸に沿った長手方向延長部を有することが好ましく、工具がポイントの第1ラインによって配向された複数の工具パスのうちの第1工具パスを移動するときに、ポイントの第2ラインに沿った複数の工具パスのうちの第2工具パスでの移動と比較し、工具パスが、実質的にこの工具の回転軸の方向に表面によって配向されたポイントの特定のラインに対して変位され、および/または回転され、よって第2工具パスに沿って加工品から材料が除去されるとき、工具の周辺表面上のフライス領域、切削ラインまたは切削曲線を、第1工具軸に沿った加工品からの材料の除去と比較して、実質的に工具の回転軸の方向に変位させることが好ましい。
【0063】
この目的のためには、回転軸に対して実質的に平行に実質的に円筒形の工具を変位させることが好ましい。この目的のためには、機械加工すべき加工品の表面の接線平面に対して実質的に平行に実質的に円錐形の工具を変位させることが好ましい。この目的のためには、所望する場合に、工具の回転軸も回転させる。
【0064】
このことは、各ケースにおいて、複数の工具パスのうちの異なる工具パスの移動中に、回転軸方向の予め決定された回転軸に従い、配向に対する工具位置を変位し、第2工具パスの移動と比較し、第1工具パス上での移動中に工具の円周側での工具の加工領域、すなわちフライス加工領域または工具の切削ラインをシフトさせ、各ケースにおいて工具の別の、すなわち変位した加工領域を使用することにより、工具の摩耗を更に低減できるという利点を提供するものである。
【0065】
従って、各工具パスに対する加工領域および工具の周辺表面に沿った、その結果生じる切削摩耗が分散し、すなわち工具のブレードに沿った別の領域にわたって分散されるので、回転工具の円周側で工具の作動領域を変えることにより、工具の摩耗を低減できる。
【0066】
このことは、工具の寿命を実質的に長くできるという利点を提供する。この結果、工具のコストが低減され、停止時間も短縮される。例えば工具を交換しなければならない時間だけでなく、摩耗が低減されたことによって表面仕上げもより良好となり、加工品の表面上の幾何学的形状の誤差も小さくなる。更に、工具の交換の必要性を低減できることは、工具交換中の人の間違いを考慮すると、例えば交換時に誤った工具を取り付けたり、交換時に新規に入力する工具のパラメータを提示する際に入力エラーをすることにより生じる、起こり得る誤りを解消するように働く。
【0067】
問題解決のために、例えば従来技術と比較して、より良好な表面仕上げ、より少ない幾何学的形状誤差および低減された工具の摩耗を可能にする方法を提供するための本発明の上記特徴事項とは独立して工具の回転軸に沿った工具の加工領域の上記変位を使用することもできる。
【0068】
従って、本発明によれば、加工品から予め決定された仕上げ部品を製造するために、加工品を機械加工するための少なくとも5本の軸を含む工作機械上で工具を制御するための制御データを発生する方法であって、
仕上げ部品の幾何学的形状を示す、予め決定された仕上げ部品幾何学的形状データを発生するステップと、
加工品から材料を除去するよう、加工品に対してどんな工具配向でかつ工具を移動すべき少なくとも2つの工具パスを示すようになっているパスデータを、仕上げ部品の幾何学的形状データによって発生するステップを備え、工具の配向は、工具の回転軸の配向に実質的に対応し、工具は、加工品から材料を除去するよう、工具の回転軸を中心に回転すると共に、工具の回転軸に沿った長手方向延長部を有する、制御データを発生する方法が提供される。
【0069】
本発明の方法は、工具が2つの工具パスのうちの第1工具パスを移動するときに、2つの工具パスのうちの第2工具パスでの移動と比較し、工具の回転軸の方向に工具パスを実質的に変位し、および/または回転させるように、パスデータを更に発生し、よって第2工具パスに沿って加工品から材料を除去するときに、第1工具パスに沿った加工品からの材料の除去と比較し、実質的に工具の回転軸に向けて工具の周辺表面上のフライス領域または切削ラインを変位することを特徴とする。
【0070】
このことは、ある機械加工方法において、特に工具の回転軸に実質的に直角、または工具の回転軸に対して少なくとも傾斜した工具移送時にいくつかの工具パスを移動するときに、上記従来技術の問題を解消できるという利点を提供できる。この方法は、工具の摩耗を低減でき、この結果、得られる表面仕上げを改善でき、更にこの結果、歯の接触パターンを最適にできる。この方法は、所望する場合に別の方法の好ましい実施形態、例えば従属項に記載の特徴事項または上記特徴事項と組み合わせることができる。
【0071】
工作機械は、フライス盤、旋盤兼フライス盤、フライス盤兼旋盤であり、回転対称の工具は、フライスカッター、特に円筒形状、トーラス形状または円錐形状のフライスカッターであることが好ましい。これら工具は、例えば回転対称の標準的工具、例えばエンドフライスカッター、ドラムカッター、トーラスカッター、チェリーまたはその他の回転対称の標準的フライスカッターとすることができる。
【0072】
更に本発明は、上記方法のうちの1つを実施するようになっている装置を提供するものである。この装置は、加工品を機械加工し、ベース本体およびこのベース本体から突出する少なくとも1つのフランク部分を有する、予め決定された仕上げ部品を製造するための、少なくとも5本の軸を含む工作機械で工具を制御するための制御データを発生する装置であって、
この装置は、予め決定された仕上げ部分の幾何学的形状に対応する、仕上げ部品の幾何学的形状の基本的幾何学的形状パラメータを決定または検出するための幾何学的パラメータ検出手段と、
少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面の少なくとも1つの幾何学的形状を示す、仕上げ部品の予め決定された仕上げ部品幾何学的形状の仕上げ部品幾何学的形状データを、基本的幾何学的形状パラメータによって決定または発生するための仕上げ部品幾何学的データ発生手段と、
仕上げ部品幾何学的形状データによりパスデータを発生するためのパスデータ発生手段とを備え、パスデータは、加工品から材料を除去するために加工品に対して工具がどんな工具配向でフランク部分の少なくとも1つの表面に沿った少なくとも1つのどの工具パスを移動すべきかを表示しており、工具は、加工品から材料を除去するよう、工具の回転軸を中心に回転するようになっている。
【0073】
本発明によれば、制御データを発生するための本装置は、フランク部分の少なくとも1つの表面の幾何学的形状を示すための仕上げ部品幾何学的形状データが、フランク部分の少なくとも1つの表面上のポイント群の位置データを含み、これら位置データが、ポイント群のうちのポイントの位置を示し、
ポイント群のうちの各ポイントが、ポイントの列およびポイントのラインに属し、ポイントの列のすべてのポイントが、共通平面内にあり、ポイントの行のポイントの共通平面が、ベース本体の横方向表面の接線平面に実質的に直交しており、ベース本体の接線平面が、ベース本体の横方向表面との共通平面の共通ポイントにおいて、ベース本体の横方向表面に対して接線方向の平面となっており、
ポイントの第1ラインのうちのポイントを通過して延びる曲線に対して工具パスが、実質的に平行に延びるように、パスデータを発生し、
ポイントの第1ラインのうちのポイントの各々において、工具の回転軸が、第1ラインのそれぞれのポイントの列の共通平面によって実質的に自ら定まるように、更にパスデータを発生することを特徴とする。
【0074】
上記とは異なり、本発明によれば、加工品から予め決定された仕上げ部品を製造するために、加工品を機械加工するための少なくとも5本の軸を含む工作機械上で工具を制御するための制御データを発生する装置が提供され、この装置は、
仕上げ部品の予め決定された幾何学的形状を示す、仕上げ部品幾何学的形状データを発生する仕上げ部品幾何学的形状データ発生手段と、
加工品から材料を除去するよう、加工品に対してどの工具配向にて工具が移動すべきフランク部分の少なくとも1つの表面に沿った少なくとも2つの工具パスを示すようになっているパスデータを、仕上げ部品の幾何学的形状データによって発生するパスデータ発生手段とを備え、工具は、加工品から材料を除去するよう、工具の回転軸を中心に回転すると共に、工具の回転軸に沿った長手方向延長部を有する。
【0075】
制御データを発生するための装置は、2つの工具パスのうちの第2工具パスでの移動と比較し、工具が2つの工具パスのうちの第1工具パスを移動するときに、工具の回転軸の方向に工具パスを実質的に変位し、および/または回転させるように、パスデータを更に発生し、よって第2工具パスに沿って加工品から材料を除去するときに、第1工具パスに沿った加工品からの材料の除去と比較し、実質的に工具の回転軸に向けて工具の周辺表面上のフライス領域または切削ラインを変位することを特徴とする。
【0076】
本装置は、上記好ましい特徴事項のうちの1つ以上を含む上記方法の1つ以上を実行するようになっている。この目的のために、制御データを発生するための装置は、少なくとも1つのフランク部分の少なくとも1つの表面上の複数の群からの1本のラインおよび/または複数のポイントの列のうちの2つの隣接するポイント間の距離に対する制限値を示すためのポイント密度制限値を決定するための、少なくとも1つのポイント密度制限値決定手段も含むことが好ましい。
【0077】
更に本発明は、コンピュータで読み取り可能なメディアと、このメディア内に記憶されたコンピュータプログラムとを含む、コンピュータプログラム製品を提供するものであり、コンピュータプログラムは、データ処理装置のデータ処理手段によって処理されるようになっているコマンドに対応する状態シーケンスとして記憶されており、よってコンピュータプログラム製品と組み合わされたデータ処理装置は、上記方法のうちの少なくとも1つに従った方法を実行するようになっている。よって、コンピュータプログラム製品と組み合わされたデータ処理装置は、特に本発明に係わる装置の一実施形態を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】予め決定された仕上げ部品の幾何学的形状の一例に対応する少なくとも1つのフランク部分の略図を示す。
【図2】図1に示されたフランク部分の表面および仕上げ部品の幾何学的形状の、ベース本体の表面に向かう、その配向の略図を示す。
【図3】本発明に係わる制御データを発生するための方法の一実施形態に係わるポイント群の図を含む、図2に示された表面の略図を示す。
【図4】本発明に従って制御データを発生するための方法の一実施形態に係わるポイント群のうちのポイントの列のうちの共通平面内のパターンの略図を示す。
【図5】本発明に従って制御データを発生するための方法の一実施形態に係わる、ポイントにおける法線ベクトルに直交する配向となっているポイント群のうちの複数のポイントのうちの1つに比例する、ある表面における工具の位置の略図を示す。
【図6】本発明に従い、制御データを発生するための方法の一実施形態に係わる、工具の回転軸に平行に変位する、図5に示された位置と比較して変化している工具位置にあるフランク部分のある表面における工具の位置決めの略図を示す。
【図7A】本発明に従い、制御データを発生するための方法の好ましい一実施形態に係わる、少なくとも1つのフランク部分とベース本体との間の丸い移行領域をシェーピングするためのコーナー半径部を有するエンドフライスカッターの位置決めの略図を示す。
【図7B】本発明に従い、制御データを発生するための方法の好ましい一実施形態に係わる、少なくとも1つのフランク部分とベース本体との間の丸い移行領域をシェーピングするためのコーナー半径部を有するエンドフライスカッターの位置決めの略図を示す。
【図8】本発明の一実施形態に係わる、制御データを発生するための装置の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、図面を参照し本発明に従って制御データを発生するための方法および装置の実施形態により、本発明について詳細に記載し、説明する。
【0080】
次の記載は、ベース本体1と、このベース本体1から突出するフランク部分2とを有し、簡単な形状となっている仕上げ部品を製造することを参照して、少なくとも5本の軸を含む工作機械で工具を制御するための制御データを発生する方法の好ましい実施形態の説明である。
【0081】
図1には、ベース本体1と、このベース本体1から突出するフランク部分2を有する仕上げ部品の一例の断面が示されている。ベース本体1から突出するフランク部分2は、表面3を有する。例として、図1に示されたこの表面3は、フランク部分の高さ方向の延長部に関し、換言すれば、フランク部分2は、ベース本体1から突出する方向に凸状の曲率を有する。しかしながら、例示された表面3は、図1ではフランク部分2の長手方向の延長部に関しては曲率を有していない。
【0082】
しかしながら本発明は、ベース本体から突出するフランク部分2のかかる幾何学的形状だけに限定されるものではなく、本発明に係わる方法を用いれば、ベース本体1、特に回転対称のベース本体1および任意の幾何学的形状のフランク部分2を有する任意の加工品を製造することもできる。特に本発明は、各々が複雑な予め決定された幾何学的形状を有するような平ギア、ベベルギア、ブリスクおよびインペラーの製造を可能にするものである。
【0083】
これらケースでは、各フランク部分2は、ギアホイールのギアまたはインペラーもしくはブリスクのブレードに対応する。特に本発明に係わる方法は、内歯または外歯を有する平ギア、または任意のギア形状を有し、特に例えばストレートギア、ヘリカルギア、ダブルヘリカルギアまたはヘリンボーンギア、円弧ギア、スパイラルギアまたはインボリュートギアを有するベベルギアの製造を可能にし、この場合、歯のフランクは凸状形状および/または凹状形状、例えばインボリュートの形状をした任意の曲率を有することができる。
【0084】
特に本発明に係わる方法により、片面またはすべての面に任意の凸状の曲率および/または凹状の曲率を有することができる任意の表面、例えば一定の曲率を有する任意のフリーフォームの表面もシェーピングできる。
【0085】
図1に示されるように予め決定された仕上げ部品の幾何学的形状がベース本体1を備え、このベース本体からフランク部分2が突出している例に基づき、仕上げ部品により制御データを発生するための本発明に係わる方法の一実施形態について説明する。本明細書では、この例により制御データを発生するための方法の本発明の原理について詳細に説明する。ここで、フランク部分2は、例えばストレート歯を有するギアホイールで生じるようなフランクの形状に対応する。これに対応し、フランク部分2の図1に示された表面3は、フランク部分2の長手直線方向にあり、この方向には曲率を有していない。表面3は、フランク部分2の高さ方向に、一例として凸状にカーブしている。
【0086】
説明事項を簡略化するために、ベース本体1の図示されている断面は、ベース本体からフランク部分2が突出している領域では平坦な形状となっている。しかしながら本発明は、ベース本体はかかる形状だけに限定されず、所望する場合に本体1は回転対称の基本形状に対応でき、ベース本体1のカーブした外側表面からフランク部分2が突出している。平ギアの場合、ベース本体1は、例えば円筒形ベース本体から形成され、ベベルギアの場合、ベース本体1は、例えば円錐形ベース本体から形成されるか、または少なくとも回転対称の基準円錐体により形成される。
【0087】
ギアホイール、特に平ギアまたはベベルギアを製造するときには、例えば複数の歯のフランクを形成するように実際に加工品には複数のフランク部分が設けられる。ここで、個々のフランク部分2は、各ケースにおいて実質的に同じ幾何学的形状となっている。しかしながら、本発明は、ギアホイール、特に平ギアまたはベベルギアの製造だけに限定されず、各々が異なる幾何学的形状、例えばインペラーまたはブリスクのブレードを有するように、ベース本体およびこのベース本体から突出するフランク部分を有する加工品をシェーピングすることも可能である。
【0088】
一般に本方法は、ベース本体1と、このベース本体から突出するフランク部分2を有する加工品の製造に使用できる。このため、図1に示されるように、すなわち表面3を有する1つのフランク部分2しか示されていないような、仕上げ部品により制御データを発生するための本発明に係わる実施形態について説明する。
【0089】
仕上げ部品の最終幾何学的形状が得られるまで、加工品から材料を除去するよう、少なくとも5本の軸を含む工作機械にクランプされた工具を使って、数値的に発生された工具パスに沿って、表面3の形状を機械加工する。この目的のためには、表面3の予め決定された幾何学的形状に従って表面3が形成されるよう、加工品から材料を除去するために工具をガイドできる工具パスを発生または計算しなければならない。
【0090】
本発明によれば、フランク部分2の表面3の幾何学的形状を示す仕上げ部品の幾何学的形状データを発生できるように、まず仕上げ部品の基本的幾何学的形状のパラメータを決定する。かかる基本的パラメータとして、例えばフランク部分2の高さ方向および長手方向の延長長さ、このフランク部分2の長手方向および高さ方向の延長部における表面3の曲率形状、フランク部分2の幅、および所望する場合にの表面3の所望する凸度が挙げられる。これら基本的幾何学的形状のパラメータは、例えばコンピュータでマニュアル入力することもできるし、および/または例えばCAD/CAMシステムを使用するコンピュータ支援された技術的ガイドラインにより計算することもできる。
【0091】
図2は、例えば図1に示されたフランク部分2の表面3の所望する幾何学的形状および図2において点線で示されている、図1のベース本体1の横方向の幾何学的表面4の配向に対する表面3の相対的配向を例として示している。
【0092】
図3は、表面3上のポイント群と共に、図2からの表面3の幾何学的形状の略図を示しており、これら表面3上のポイント群は、本発明により表面3の幾何学的形状を数学的に正確な態様で記述することを可能にしている。本発明によれば、ポイント群のうちの各ポイントが、ポイントのラインおよびポイントの列に属すように、これらポイント群はフランク部分2の表面3上に配置されている。
【0093】
図3に示されるように、一列に属すポイントが共通平面5の上に存在するように、表面3にはポイント群が配置されており、共通平面5はベース本体1の横方向表面4の配向に直交している。ギアホイールを製造する際に、ベース本体1の幾何学的外側表面4は、図に示されている側面とは別の少なくとも1つの側面で通常カーブしており、この外側表面4は平ギアの場合、円筒体または中空円筒体の横方向の幾何学的形状の表面4に対応し、ベベルギアの場合には円錐体または回転対称の基準円錐体のカーブした側面の幾何学的形状の表面4に対応する。かかるケースでは、列内にすべてのポイントが存在する共通平面5が、ベース本体1の外側の幾何学的形状表面の接線平面に直交するよう、ポイント群のうちのポイントは、フランク部分2の表面3上に配置されている。この目的のために、この接線平面は、共通平面5を有するベース本体の側方表面の共通ポイント10での接線方向の平面となっている。この共通平面の配向は、特にリードカム9に垂直に好ましく配置できる。このリードカム9は、ベース本体の側方表面に沿って延びる曲線となっている。ギアホイールを製造するとき、このリードカムはギアの2つの歯の間で歯のベース上で、特に好ましく延びることができる。
【0094】
仕上げ部品の幾何学的形状のデータを発生するステップにおいて、位置データが発生される。この位置データは、表面3上のすべてのポイントの正確な幾何学的形状の位置を示し、ポイント群のうちのポイントの各々に対する位置データは、三次元空間におけるポイントの位置に関する情報を提供する。更に、本発明に従って制御データを発生するための方法のこの実施形態では、位置データと共にそれぞれのポイントにおいてポイント群のうちの各ポイントに対して表面3の法線ベクトルも有する法線データも発生される。
【0095】
このことは図4に示されている。図4は、ポイント5a、5b、5c、5d、5eおよび5fを例として示しており、これらすべてのポイントは、同じ列のポイントに属し、図4の投射平面に対応する共通平面5にある。図4は、表面3と共通平面5との交点の曲線を示している。法線ベクトルn(5a)〜n(5f)は、ポイント5a〜5fにおけるそれぞれの法線ベクトルを示しており、これらベクトルはポイント5a〜5fにおいて表面3に直交するので、ポイント5a〜5fにおける表面3の配向を記述している。従って、仕上げ部品の幾何学的形状データは、ポイントの位置を示す位置データとこれらポイントにおける表面の配向を示す法線データとの双方を含む。
【0096】
これによってデータを特に簡単かつ数学的に正確な方法で提供することが可能となっており、これらデータにより、工具6を制御するためのパスデータを好ましく計算できる。このことは、図5内のポイント5dに対して例として示されている。ここでは、表面3とポイント5a〜5fの共通平面ごとの交点曲線が示されており、図5の投射平面は、共通平面5に対応している。加工品から材料を除去するために、工具6の回転軸7を中心として回転する工具6の位置を、仕上げ部品の幾何学的形状データにより数学的に正確に決定できる。その理由は、工具の位置は、ポイント5bの位置を示す位置データによって自ら精密に定めることができるからであり、工具の位置の他に、回転軸7がポイント5bにおいて法線ベクトルに直交するよう、すなわちポイント5bにおいて表面3の接線平面に平行となるように、工具6を法線ベクトルn(5b)に対して垂直に制御することにより、法線データに基づき、ポイント5bにおける工具6の回転軸7の配向に対応する工具の配向を定めることが可能であるからである。本発明のこの実施形態によれば、共通平面5に配向されるように工具が存在するので、ポイント5bの位置データおよびそれに伴う法線データにより、工具のガイドを数学的に正確に配置できる。
【0097】
次に、制御データを発生するために、パスデータを計算し、発生する。表面3上のポイント群のラインのうちのすべてのポイントを通過する、曲線に平行に工具6をガイドするパスを正確に計算する。ラインのうちのすべてのポイントに対する位置データおよび法線データを発生するので、数学的に正確かつ簡単に、ポイントの1本のラインに沿ったパス計算を行うことができる。
【0098】
こうして、複数の機械加工パスを発生するか、または複数の工具パスに対するパスデータを発生する。工具パスの各々は、表面3上のポイント群のうちのポイントの1本のラインの方向にガイドされる。これに対応し、工具パスの数は、ポイントのラインの数に等しい。従って、ポイント群は、同じ数のポイントを各々が含むポイントの列を含み、よって各ポイントは、1本のラインに属すことができ、いずれのラインも別のラインにはオーバーラップしない。
【0099】
仕上げ部品の幾何学的形状データを発生する前に、ポイント密度の制限値を入力することもできる。このポイント密度の制限値により、1本のラインおよび/または1本の列の2つの隣接するポイントの間の最小距離および/または最大距離の制限値を決定でき、またはポイント群の1本のラインおよび/または1本の列のうちの隣接する2つのポイントの間の平均値の最小値および/または最大値の制限値も決定できる。
【0100】
種々の方向に所望する場合に凸状曲率または凹状曲率を有する表面3が、より複雑な幾何学的形状となっている場合、ポイントのラインおよび/またはポイントの列は、各ケースでは距離に関して変化することがあり、一般に図3に例示した図の場合、等しい距離、すなわち一定の距離では発生されないので、かかるポイントの密度の制限値を入力するか、あらかじめ定義する必要がある。
【0101】
従って、本発明によれば、工具の配向が常にベース本体1に直交する平面内に存在するよう、発生されたパスデータによって工具のガイドが実行されることを保証できることが好ましい。従って、計算された工具パスによって工具パスを自ら定める方法とは異なり、工具が計算された工具パスの上を移動するときに、工具6がベース本体に対し、不必要に傾斜した位置とならないよう、および/または工具パスまたはパスの接線に対して傾斜した配向に規則的に変化または不連続的に変化しないようにすることが可能である。
【0102】
従って、等パラメータ曲線により自らを定める従来の方法とは対照的に、本発明に係わる方法は、工具6が、計算された工具パスの上を移動し、更に有利な態様で最適にされた表面仕上げを達成するときに、不必要で、かつ不連続な回転軸の運動を解消または防止できるという利点を提供するものである。これにより、所望する歯の接触パターンの正確な位置決めと共に表面3の正確なシェーピングが可能となるので、特にギアホイールの製造時に、噛み合いギアホイールのフランク上でのギアホイールのローリング運動中の最適なローリング特性を可能にし、更に噛み合いギアホイールでの、このように製造されたギアホイールのローリング運動中に生じる作動ノイズを低減するか、または最適な状態にできるフランク表面を形成できる。
【0103】
本発明に従い、制御データを発生するための方法の別の実施形態では、複数の機械加工パスを計算する。これら機械加工パスの各々は、ポイント群のうちのポイントの一列に沿ってガイドされ、各パスは、ラインの表面3上のポイントにおいて、パスに沿って工具が常に数学的に正確に配置されるように計算され、同時に、上記のようにラインのポイントの位置データおよび法線データにおいて同じ時間に表面3に対するパスが計算される。
【0104】
しかしながら、この実施形態では、第1工具パスが計算され、次に第1工具パスと第2工具パスとを比較しながら第2工具パスが計算されると、工具6の回転軸7に対する相対的工具位置、またはこの軸に平行な相対的工具位置が変位する。このことは、図5および6に示されている。これら図5および6は、図5におけるポイント5bおよび図6におけるポイント5cにある工具6の位置を例として示している。図5では、工具の底面がポイント5bと同じ高さに位置するように工具6の位置が配向されている。表面3は、ある曲率、この例では凸状の曲率を有するので、ポイント5bが属しているポイントのラインに沿ったパス上を工具が移動するときには、工具6の加工領域は工具6の下方領域に制限され、表面3の曲率に起因して、工具6は上部領域では所望する場合に負荷がかからないか、または少なくとも工具6の下方部分よりも小さい負荷しかかからない。
【0105】
図6は、ポイント5cにおける工具の位置を示しており、ポイント5cに対する工具6の相対的位置は、工具6の回転軸7に平行に変位しており、よって工具6の加工領域は、工具6の回転軸7に対して平行に変位している。換言すれば、ポイントの第2ラインに沿ったパスガイドと比較したポイントの第1ラインに沿ったパスガイドでは、工具は工具の回転軸7に向かった相対的変位を受け、よって工具6の周辺側面で加工領域、すなわち切削ラインが変位するようにパス計算が実行される。従って、第1パス上を工具が移動するときに所望する場合に、第2パスを移動した場合と同じように工具6の別の領域に負荷がかかるようにパスデータが発生され、よって工具6の長手方向の延長部に沿って、摩耗のサインが分散するので、工具の摩耗を低減できる。
【0106】
換言すれば、各工具のパスに対する加工領域がシフトされ、敏感な位置において、例えば工具の先端にある1つの位置からブレードに沿ったより広い範囲へ、工具6のブレードの摩耗が分散する。
【0107】
上記実施形態は、実質的に円筒形の工具に対して実施できる。実質的に円錐形の工具の場合、同様な利点を得るために工具の形状に起因し、本発明によれば、上記のように工具の回転軸に向かって平行な変位は実行しないが、所望する場合に、回転軸の回転に関連する場合でも工具の回転軸に実質的に向かう工具の位置決め角度に応じて、機械加工すべき表面に実質的に平行なシフトを行う。
【0108】
上記方法は、一般に工具のかなり長い寿命、およびその結果生じる工具のコストの低減、更に大きな摩耗によって必要となる工具の交換から生じる停止時間の短縮を、好ましいことに可能にする。更にこのことは、表面仕上げの最適化も可能にする。その理由は、表面仕上げは、工具6の摩耗状態によって影響されるが、摩耗によって生じる加工品上での幾何学的形状の誤差を更に解消できるからである。更にこのことは、例えば誤った工具に交換してしまった場合、または交換時に与えられる置き換え工具の工具パラメータを提示するときにエラーを入力してしまったときのように、人の誤りによって生じる手動の誤りを考慮して、問題を解消できる。
【0109】
ポイント群によりパスデータを上記のように発生するにもかかわらず、本発明によれば、図5と6とを比較して示すように、少なくとも2つの計算された工具パスに沿ったフライス作業のための制御データを発生するときに、工具6の回転軸7に向かう、第1工具パス上の移動と第2工具パス上の移動との間の相対的な工具位置を一般にシフトすることによって、上記利点を得ることも可能になる。
【0110】
制御データを発生するための方法の特別な実施形態では、図7Aに例として示されるように、先端に丸いコーナーの半径部を有するエンドフライスカッターも使用される。これによって、フランク部分2の表面3のルートコースに平行な最終工具パスまたは最も深い工具パスを計算するためのパス計算を可能にする。エンドフライスカッター6の丸コーナーの半径部がパスを同時に移動するときに、フランク部分2とベース本体1との間で丸い移行領域8を同時にシェーピングすることが可能となっている。ここで、丸い移行領域8の半径は、コーナー半径部の半径に実質的に対応するので、対応して選択されたコーナーの半径部を有するエンドフライスカッター6を適当に選択することによって、丸い移行領域8の半径を決定することができる。
【0111】
図7Bは、制御データを発生するための方法の好ましい一実施形態を示す。この実施形態では、丸いエンドフライスカッターによりエンドフライスカッター6のための最終または最低後部パスを更に計算するので、歯のベース部と歯のフランク部の間の移行部において、リードカム9によって配向されるパス上をエンドフライスカッター6が移動するときに、このカッターは、ベース本体1とギアが作用できる歯のフランク部分3aとの間の丸い移行領域8だけでなく、フランク部分2の表面3上の接線部分3bもシェーピングまたは機械加工する。ここで、ギアが作用できる歯のフランク部分3aは、互いにローリングするギアと噛み合いギアの場合、またはフランクと噛み合いフランクの場合に、対応する噛み合いフランクに接触し、好ましくはそれぞれのギア形状に対応する曲率を有するフランク部分2の表面3の部分を実質的に記述する。好ましいことに、互いにローリングするギアと噛み合いギアの場合、またはフランクと噛み合いフランクの場合に、対応する噛み合いフランクに接触する部分を越えて、ギア形状に従った曲率を続ける安全領域を更に設けることができる。
【0112】
図7Bに示された横断面では、接線部分3bは実質的に直線に対応し、底部側では、丸い移行領域8に直接変化し、頂部側では、ギアが作用できるフランク部分3aに直接変化している。ここで、好ましいこの実施形態によれば、エンドフライスカッター6は、リードカム9によって配向される計算された最低ライン、すなわちパスを移動するときに、接線部分3bだけでなく丸い領域8も同時にシェーピングまたは機械加工するよう、ギアが作用できる歯のフランク部分3aにて、接線方向に、ギアが作用できるこのフランク部分3aの最低ポイント5gに位置する。接線部分3bの高さ、すなわち丸い移行領域8とギアが作用できる歯のフランク部分3aとの間の距離が、パス計算のためのプリセット値として自由に選択または調節できる。更に、図7Bは歯のルート部の両側の2つの丸い移行領域の間に別の接線部分11が形成されることを例として示しており、この接線部分11は、丸い移行領域8の両側にて、この丸い移行領域8内に実質的に接線方向に合流している。かかる歯のルートプロフィルは、好ましいことにより高い剛性を提供する。
【0113】
従って、ギアが作用できる歯のフランク部分3の下方に別の接線部分3bを有する歯のフランクを機械加工することが可能であり、エンドフライスカッターが1つの工具パス上を移動するだけで、この別の接線部分に、丸い領域8を高速かつ効率的に有利にシェーピングできる。
【0114】
要約すれば、上記方法により5軸工作機械で特殊なギアホイールをシェーピングすることによって、高いフレキシビリティが可能となり、更にミーリングおよび/またはローリングに関して適当な領域外の領域(この領域ではローリング運動中に噛み合いホイールのフランクが接触する)にて、2つの歯のフランクの間にギャップを自由にシェーピングすることも可能である。
【0115】
少なくとも5本の軸を含む工作機械にて、工具を制御するための制御データを発生する上記方法を実施するために、制御データを発生するための装置800も提供される。この装置は、制御データを発生するための方法の上記実施形態のうちの少なくとも1つを実行するようになっている。図8には、この装置800の一実施形態が示されている。
【0116】
装置800は、ここでは仕上げ部品の幾何学的形状の基本的な幾何学的形状パラメータを決定するための、幾何学的形状パラメータ決定手段801を備え、この幾何学的形状パラメータ決定手段801は、入力装置により、仕上げ部品の幾何学的形状の基本的幾何学的形状パラメータを入力し、および/またはこれらパラメータを発生するようになっている。
【0117】
装置800は、基本幾何学的形状パラメータにより予め決定された仕上げ部品の幾何学的形状の仕上げ部品幾何学的形状データを発生するようになっている仕上げ部品の幾何学的形状データ発生手段802も含む。この仕上げ部品の幾何学的形状データ発生手段802は、特にポイント群によりフランク部分2の表面3を記述する仕上げ部品の幾何学的形状データを含むようになっており、この仕上げ部品の幾何学的形状データは、上記のように位置データおよび法線データを含む。
【0118】
更に装置800は、制御データを発生するための方法の上記実施形態のうちの少なくとも1つに従って、仕上げ部品の幾何学的形状データにより、パスデータを発生するためのパスデータ発生手段803を備える。特にこのパスデータ発生手段803は、仕上げ部品の幾何学的形状データのうちの位置データおよび法線データにより、1つ以上の工具パスを計算するようになっており、工具パスに沿った工具の位置決めは、ポイントの位置データによって自ら定められ、工具の配向はこれらポイントにおける法線データにより決定され、工具の配向は上記のようにポイント群のうちのポイントの列の共通平面に沿っても配置される。
【0119】
更に装置800は、例えばマニュアル入力によりポイント密度制限値を決定するようになっているポイント密度制限値決定手段804を備え、このポイント密度制限値によってポイントのラインまたは列のうちの隣接するポイントからの最小距離および最大距離を決定し、および/またはポイント群のうちのラインおよび/または列のうちの2つの隣接するポイントの間の平均距離に対する最小値または最大値を可能にする、ポイント密度制限値を、例えばマニュアル入力によって決定するようにもなっている。
【0120】
最後に装置800は、制御データとして、または制御データの一部として計算または発生されたパスデータを、工作機械またはメモリ手段へ伝送できるインターフェース805を備え、よって工作機械にクランプされている加工品を機械加工するよう、パスデータまたは制御データにより工作機械で使用される工具を制御するよう、工作機械の制御装置へこの制御データを伝送できる。
【0121】
要約すれば、特殊な新しい計算アルゴリズムにより、フライス加工作業をシミュレートする、ベース本体1およびこのベース本体から突出するフランク部分を有する予め決定された仕上げ部品を製造するための、加工品を機械加工する少なくとも5本の軸を含む工作機械で工具を制御するための制御データを発生するための、本発明に係わる方法および本発明に係わる装置が提供され、調節可能な距離にて、歯のフランクの表面での正確なポイント−ベクトルシーケンスを計算することが可能となり、このポイント−ベクトルシーケンスを用いて、工作機械での工具のためのパス計算を数学的に正確かつ簡単に行うことができる。
【0122】
所望する場合に任意のフリーフォームの表面に対応する、表面に沿った工具の工具位置および位置決め、すなわち配向の双方は、近似によっては計算せず、ポイントの決定された位置および法線ベクトルに基づき、数学的に正確に計算する。従って、本発明によれば、5本の軸を含む工作機械で標準的工具を使用する効率的かつフレキシブルな方法で、工具により表面、例えば歯のフランクの表面を機械加工でき、この工作機械では、従来のギアホイールフライス盤における従来の機械加工とは対照的に、任意の所望する歯の接触パターン、所望する場合にマルチ部分の歯の接触パターンも特に有利に製造できる。
【0123】
特にベース本体およびこのベース本体から突出するフランク部分を有する予め決定された仕上げ部品を製造するよう、加工品を機械加工するための工具を制御する制御データを発生するための、本発明に係わる方法は、表面での垂直等パラメータ曲線により、工具の配向を定めている既知のCAD/CAMシステムで、制御データを発生するための従来技術の方法を最適にするものである。ベース本体の横表面に対する工具の傾きの不要な変動を解消できるので、従来技術と対照的に、本発明に係わる方法は、結果として不十分な表面仕上げ、幾何学的誤差および工具の摩耗の増加を生じさせる、機械加工すべき表面に対する、機械加工に対して望ましくない、工具の不要な不規則な位置決めを解消できる。これと同時に、フライス盤の非定常的な回転軸の運動を生じさせて、その結果パスに沿った工具の非定常的な運動を生じさせてしまう旋回運動が解消される。
【0124】
これに対応し、制御データを発生するための上記方法および対応する装置は、従来技術から知られる方法および装置と比較して、最適にされた方法および最適にされた装置となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工品を機械加工し、ベース本体(1)およびこのベース本体(1)から突出する少なくとも1つのフランク部分(2)を有する予め決定された仕上げ部品を製造するための、少なくとも5本の軸を含む工作機械で工具を制御するための制御データを発生する方法であって、
前記方法は、予め決定された仕上げ部分の幾何学的形状に対応する、仕上げ部品の幾何学的形状の基本的幾何学的形状パラメータを決定するステップと、
前記フランク部分(2)の表面(3)の幾何学的形状を示す、前記仕上げ部品の予め決定された仕上げ部品幾何学的形状の仕上げ部品幾何学的形状データを、前記基本的幾何学的形状パラメータによって発生するステップと、
前記仕上げ部品幾何学的形状データによりパスデータを発生するステップとを備え、前記パスデータが、加工品から材料を除去するために加工品に対して工具がどんな工具配向で前記フランク部分(2)の表面(3)に沿ったどの工具パスを移動すべきかを表示しており、前記工具(6)の工具配向が、前記工具(6)の回転軸(7)の配向に対応し、前記工具(6)が、前記加工品から材料を除去するよう、前記工具(6)の回転軸(7)を中心に回転するようになっている、制御データを発生する方法において、
前記フランク部分(2)の前記表面(3)の幾何学的形状を示すための前記仕上げ部品幾何学的形状データが、前記フランク部分(2)の前記表面(3)上のポイント群の位置データを含み、これら位置データが、前記ポイント群のうちのポイントの位置を示し、
ポイント群のうちの各ポイントが、ポイントの列およびポイントのラインに属し、ポイントの列のすべてのポイントが、共通平面(5)内にあり、ポイントの行のうちのポイントの共通平面(5)が、前記ベース本体(1)の横方向表面の接線平面(4)に実質的に直交しており、前記ベース本体(1)の前記接線平面(4)が、前記ベース本体(1)の横方向表面との共通平面(5)の共通ポイント(10)において、前記ベース本体(1)の横方向表面に対して接線方向の平面となっており、
前記ポイントの第1ラインのうちのポイントを通過して延びる曲線に対して前記工具パスが、実質的に平行となるように、前記パスデータを発生し、
前記ポイントの第1ラインのうちのポイント(5b)の各々において、前記工具(6)の前記回転軸(7)が、前記第1ラインのそれぞれのポイント(5b)の列の共通平面(5)によって実質的に自ら定まるよう、更に前記パスデータを発生することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ポイントの第1ラインのうちの前記ポイント(5b)の各々において、前記工具(6)の前記回転軸(7)が、実質的に前記第1ラインのそれぞれの前記ポイント(5b)の列の前記共通平面(5)内に実質的に存在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共通ポイント(10)が、リードカム(9)上にあり、このリードカム(9)が、前記ベース本体(1)の横方向表面上に延びていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記共通平面(5)が、更に前記リードカム(9)に対して実質的に直交状態となっていることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記予め決定された仕上げ部品が、ギアホイール、インペラーまたはブリスクであり、前記少なくとも1つのフランク部分(2)が、ギアホイールの歯のフランクまたはインペラーもしくはブリスクのブレードフランクであり、前記予め決定された仕上げ部品が、内外に突出する少なくとも1つのフランク部分(2)を有するベース本体(1)を備えることを特徴とする、請求項1〜4のうちの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項6】
前記工作機械が、フライス盤、フライス盤兼旋盤または旋盤兼フライス盤であり、前記回転対称の工具(6)が、エンドフライスカッター、チェリー、トーラスカッター、ドラムクアッターまたは別の回転対称工具であることを特徴とする、請求項1〜5のうちの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項7】
前記フランク部分(2)の前記表面(3)が、各ケースにおいて1つ以上の方向に凸状および/または凹状にカーブした表面であるか、または任意のカーブしたフリーフォームの表面であることを特徴とする、請求項1〜6のうちの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項8】
前記フランク部分(2)の前記表面(3)の幾何学的形状を示すための前記仕上げ部品の幾何学的形状データが、前記ポイント群のうちの第1ポイント(5b)に対する法線データを含み、この法線データが、前記第1ポイント(5b)における前記フランク部分(2)の前記表面(3)の法線ベクトルの方向を示し、前記第1ポイント(5b)において、前記工具(6)の前記回転軸(7)が、前記第1ポイント(5b)における前記法線ベクトルに対して実質的に直交状態となるように、前記パスデータを更に発生することを特徴とする、請求項1〜7のうちの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項9】
前記パスデータが、前記フランク部分(2)の前記表面(3)に沿った複数の工具パスを示し、前記ポイント群のうちの列の各々には同じ数のポイントが属し、各ケースにおいて、前記複数の工具パスの各々が、ポイントのラインのうちの1つに実質的に平行に延びることを特徴とする、請求項1〜8のうちの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項10】
前記フランク部分(2)の前記表面(3)上の前記ポイント群の1つ以上のポイント密度制限値を決定するための別のステップを備え、前記仕上げ部品の幾何学的形状データを決定するための前記ステップにおいて、各ケースにて、前記ポイント群の1本のラインの隣接するポイント間および/または前記ポイント群の1つの列の隣接するポイント間の、最小距離および/または平均距離が前記決定された1つ以上のポイント密度制限値のうちの1つより小さくなく、および/または各ケースにて、前記ポイント群の1本のラインの隣接するポイント間および/または前記ポイント群の1つの列の隣接するポイント間の、最大距離および/または平均距離が前記決定された1つ以上のポイント密度制限値のうちの1つを超えないように、前記仕上げ部品の幾何学的形状データを発生することを特徴とする、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記工具(6)は、コーナー半径部を含む工具、特にコーナー半径部を有するエンドフライスカッターであり、前記コーナー半径部に従って前記パスデータに基づき前記工具パス上を移動する間に、前記加工品の前記フランク部分(2)とベース本体(1)との間で前記リードカム(9)に沿って配置された丸い移行領域(8)が形成されるよう、前記パスデータを発生し、特に、前記パスデータにより前記工具パス上を移動するときに、前記丸い移行部(8)に加え、前記丸い移行領域(8)と前記歯のフランク部分(2)の前記表面(3)のうちのギアが作用できるフランク領域(3a)との間に接線方向部分(3b)が形成されるように、前記パスデータを発生することを特徴とする、請求項1〜10のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記工具(6)が、この工具(6)の回転軸(7)に沿った長手方向延長部を有し、前記ポイントの第2ラインに沿った前記複数の工具パスのうちの第2工具パスでの移動と比較し、前記工具(6)が、ポイントの第1ラインによって配向された前記複数の工具パスのうちの第1工具パスを移動するときに、前記工具パス(6)を、実質的にこの工具(6)の回転軸(7)の方向に前記表面(3)によって配向されたポイントの特定のラインに対して変位し、および/または回転され、よって前記第2工具パスに沿って前記加工品から材料が除去されるとき、前記工具(6)の周辺表面上のフライス領域、切削ラインまたは切削曲線を、前記第1工具軸に沿った前記加工品からの材料の除去と比較して、実質的に前記工具(6)の回転軸(7)の方向に変位することを特徴とする、請求項1〜11のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項13】
加工品から予め決定された仕上げ部品を製造するために、前記加工品を機械加工するための少なくとも5本の軸を含む工作機械上で工具を制御するための制御データを発生する方法であって、
前記仕上げ部品の予め決定された幾何学的形状を示す仕上げ部品幾何学的形状データを発生するステップと、
前記加工品から材料を除去するよう、各ケースにおいて前記加工品に対して工具がどの工具配向かつ工具を移動すべき少なくとも2つの工具パスを示すようになっているパスデータを、前記仕上げ部品の幾何学的形状データによって発生するステップを備え、前記工具の配向は、前記工具の回転軸(7)の配向に実質的に対応し、前記工具(6)が、前記加工品から材料を除去するよう、前記工具(6)の回転軸(7)を中心に回転すると共に、前記工具(6)の回転軸(7)に沿った長手方向延長部を有する、制御データを発生する方法において、
前記工具(6)が前記2つの工具パスのうちの前記第1工具パスを移動するときに、前記2つの工具パスのうちの第2工具パスでの移動と比較し、前記工具の回転軸(7)の方向に前記工具パスを実質的に変位し、および/または回転させるように、前記パスデータを更に発生し、よって前記第2工具パスに沿って前記加工品から材料を除去するときに、前記第1工具パスに沿った前記加工品からの材料の除去と比較し、実質的に前記工具(6)の回転軸(7)に向けて前記工具(6)の周辺表面上のフライス領域または切削ラインを変位することを特徴とする、制御データを発生するための方法。
【請求項14】
前記工作機械が、フライス盤であり、前記回転対称の工具(6)が、フライスカッター、特に円筒形状、トーラス形状または円錐形状のフライスカッターであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
加工品を機械加工し、ベース本体(1)およびこのベース本体(1)から突出する少なくとも1つのフランク部分(2)を有する予め決定された仕上げ部品を製造するための、少なくとも5本の軸を含む工作機械で工具を制御するための制御データを発生する装置であって、
前記装置が、予め決定された仕上げ部分の幾何学的形状に対応する、仕上げ部品の幾何学的形状の基本的幾何学的形状パラメータを決定するための幾何学的パラメータ決定手段(801)と、
前記フランク部分(2)の表面(3)の幾何学的形状を示す、前記仕上げ部品の予め決定された仕上げ部品幾何学的形状の仕上げ部品幾何学的形状データを、前記基本的幾何学的形状パラメータによって発生するための仕上げ部品幾何学的データ発生手段(802)と、
前記仕上げ部品幾何学的形状データによりパスデータを発生するためのパスデータ発生手段(803)とを備え、前記パスデータは、加工品から材料を除去するために加工品に対して工具がどんな工具配向で前記フランク部分(2)の表面(3)に沿ったどの工具パスを移動すべきかを表示しており、前記工具(6)は、前記加工品から材料を除去するよう、前記工具(6)の回転軸(7)を中心に回転するようになっている、制御データを発生するための装置において、
前記フランク部分(2)の前記表面(3)の幾何学的形状を示すための前記仕上げ部品幾何学的形状データは、前記フランク部分(2)の前記表面(3)上のポイント群の位置データを含み、これら位置データは、前記ポイント群のうちのポイントの位置を示し、
前記ポイント群のうちの各ポイントは、ポイントの列およびポイントのラインに属し、ポイントの列のうちのすべてのポイントは共通平面(5)内にあり、ポイントの行のポイントの共通平面(5)は、前記ベース本体(1)の横方向表面の接線平面(4)に実質的に直交しており、前記ベース本体(1)の前記接線平面(4)は、前記ベース本体(1)の横方向表面との共通平面(5)の共通ポイント(10)において、前記ベース本体(1)の横方向表面に対して接線方向の平面となっており、
前記ポイントの第1ラインのうちのポイントを通過して延びる曲線に対して前記工具パスが実質的に平行となるように、前記パスデータを発生し、
前記ポイントの第1ラインのうちのポイント(5b)の各々において、前記工具(6)の前記回転軸(7)が、前記第1ラインのそれぞれのポイント(5b)の列の共通平面(5)によって実質的に自ら定まるように、更に前記パスデータを発生することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記ポイントの第1ラインのうちの前記ポイント(5b)の各々において、前記工具(6)の回転軸(7)が、実質的に前記第1ラインのそれぞれの前記ポイント(5b)の列の共通平面(5)内に実質的に存在することを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記共通ポイント(10)が、リードカム(9)上にあり、このリードカム(9)が、前記ベース本体(1)の横方向表面上に延びていることを特徴とする、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記共通平面(5)が、更に前記リードカム(9)に対して実質的に直交状態となっていることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
加工品から予め決定された仕上げ部品を製造するために、前記加工品を機械加工するための少なくとも5本の軸を含む工作機械上で工具を制御するための制御データを発生する装置であって、
前記仕上げ部品の予め決定された幾何学的形状を示す仕上げ部品幾何学的形状データを発生する仕上げ部品幾何学的データ発生手段(802)と、
前記加工品から材料を除去するよう、各ケースにおいて前記加工品に対して工具がどんな工具配向にてかつ工具が移動すべき少なくとも2つの工具パスを示すようになっているパスデータを、前記仕上げ部品の幾何学的形状データによって発生するパスデータ発生手段(803)とを備え、前記工具(6)は、前記加工品から材料を除去するよう、前記工具(6)の回転軸(7)を中心に回転すると共に、前記工具(6)の回転軸(7)に沿った長手方向延長部を有する、制御データを発生するための装置において、
前記工具(6)が前記2つの工具パスのうちの前記第1工具パスを移動するときに、前記2つの工具パスのうちの第2工具パスでの移動と比較し、前記工具の回転軸(7)の方向に前記工具パスを実質的に変位し、および/または回転させるように、前記パスデータを更に発生し、よって前記第2工具パスに沿って前記加工品から材料を除去するときに、前記第1工具パスに沿った前記加工品からの材料の除去と比較し、実質的に前記工具(6)の回転軸(7)に向けて前記工具(6)の周辺表面上のフライス領域または切削ラインを変位することを特徴とする、制御データを発生するための装置。
【請求項20】
コンピュータで読み取り可能なメディアと、このメディアの内部に記憶されたコンピュータプログラムとを備え、前記コンピュータプログラムは、データ処理装置のデータ処理手段によって処理されるようになっているコマンドに対応する状態シーケンスとして記憶されており、よってコンピュータプログラム製品に関連し、前記データ処理装置が、請求項1〜13のうちの少なくとも1項に記載の方法を実行するようになっていることを特徴とする、コンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−228092(P2010−228092A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−26273(P2010−26273)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(506381599)ディッケル マホ プロンテン ゲーエムベーハー (16)
【Fターム(参考)】