説明

尿温測定装置

【課題】サーミスタの保護管からの放熱を抑制した尿温測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】尿を採集する採尿容器の内部に設けられ、細筒状の保護管の先端に温度検出素子が内蔵され、前記採尿容器の貯尿部に貯留された尿の温度を前記温度検出素子により測定する温度検出部と、前記貯尿部の少なくとも一部を形成し、前記温度検出部を保持する貯尿壁と、を備え、前記保護管の基端部は、前記貯尿壁から突出せずに前記貯尿壁に固定されたことを特徴とする尿温測定装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、尿温測定装置に関し、具体的には放尿された尿を受尿して尿温を測定することができる尿温測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
短時間で体温を精度良く測定するために、体内から排泄された尿の温度を測定する装置が提案されている。例えば、便器の便鉢空間(ボウル内)において採尿器で尿を採集し、採尿器の内部に設けたサーミスタ等の感温素子で形成された感温部によって、その尿の温度を測定する装置がある(特許文献1)。特許文献1に記載された装置では、貫通孔が採尿器に設けられ、採集した尿の流路が採尿器に形成されたことにより、被験者の排泄する新鮮な尿が感温部の周囲に絶えず供給される。これによれば、被験者の排泄した尿が外気や受尿器に接触して放熱することによる感温部の検知温度への影響量を少なくできる。
【0003】
サーミスタは、金属製保護管の内部の先端に温度検出素子を内蔵した構造を有する。そこでまず、受尿器内の尿の温度は保護管に伝達される。そして、サーミスタは、尿で温められた保護管の温度を温度検出素子が検出することで尿温を測定する。しかしながら、保護管は金属製であるため、熱を伝えやすいとともに、放熱しやすい特性を有する。放熱量が大きい場合には、尿で温められた保護管の温度が尿の温度に到達しないという問題がある。
【0004】
また、尿貯留部で採尿した尿を尿貯留部に溜めながらも、古い尿を新しい尿に置換しつつ尿温を検出する装置がある(特許文献2)。しかしながら、特許文献2に記載された装置では、サーミスタの基端部が外部に露出しており、熱が外部に放熱しやすい構造を有している。そのため、尿で温められた保護管の温度が尿の温度に到達しないおそれがある。また、サーミスタの基端部が便器に埋設され、外部に露出していない構造を有するものもあるが、このような構造物を量産することは困難である。
【0005】
また、尿体温計のセンサ部が便器に配備された装置がある(特許文献3)。しかしながら、特許文献3に記載された装置では、尿温の検出位置が便器に近接しているため、便器の表面温度の影響を受けやすく、測定誤差が大きくなるという問題がある。
【特許文献1】特開2008−89520号公報
【特許文献2】特開昭63−171933号公報
【特許文献3】特開昭63−176536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、サーミスタの保護管からの放熱を抑制した尿温測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、尿を採集する採尿容器の内部に設けられ、細筒状の保護管の先端に温度検出素子が内蔵され、前記採尿容器の貯尿部に貯留された尿の温度を前記温度検出素子により測定する温度検出部と、前記貯尿部の少なくとも一部を形成し、前記温度検出部を保持する貯尿壁と、を備え、前記保護管の基端部は、前記貯尿壁から突出せずに前記貯尿壁に固定されたことを特徴とする尿温測定装置である。
この尿温測定装置によれば、尿から保護管に伝達された熱が外気などに接触して採尿容器の外部に放熱することを抑制できる。そのため、温度検出部の応答性が向上し、より短時間で精度良く尿温を測定することができる。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記貯尿壁は、前記温度検出部を挿入し固定する挿入孔を有し、前記温度検出部は、前記貯尿部とは反対側から前記貯尿部に向けて前記挿入孔に挿入され、前記保護管の基端部は、前記貯尿壁の前記貯尿部とは反対側において封止されてなることを特徴とする尿温測定装置である。
この尿温測定装置によれば、温度検出部を挿入孔に挿入した際に、保護管の基端部が封止されるため、温度検出部を容易に取り付けることができる。また、保護管の基端部が封止されるため、尿から保護管に伝達された熱が保護管の基端部から放熱することを抑制できる。
【0009】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記保護管の基端部は、前記貯尿壁の前記貯尿部とは反対側に流し込まれた樹脂により封止されたことを特徴とする尿温測定装置である。
この尿温測定装置によれば、貯尿部とは反対側の前記採尿壁部が樹脂により封止されるため、温度検出部の取付部の防水性を確保することができる。さらに、リード線が内蔵された保護管内への尿の侵入を防止することができる。また、保護管の基端部が封止されるため、尿から保護管に伝達された熱が保護管の基端部から放熱することを抑制できる。
【0010】
また、第4の発明は、第2または第3の発明において、前記保護管の基端部は、径外方向に広がったフランジを有し、前記採尿壁は、前記温度検出部が前記挿入孔に挿入された状態において、前記フランジを保持する突起部をさらに有することを特徴とする尿温測定装置である。
この尿温測定装置によれば、温度検出部を挿入孔に挿入した際に、その温度検出部を仮固定することができるため、温度検出部の取り付け作業性をより向上化することができる。
【0011】
また、第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記貯尿部に光を照射する発光部をさらに備えたことを特徴とする尿温測定装置である。
この尿温測定装置によれば、採尿容器の内部が明るく照射されるため、暗い便器の内部(ボウル内)においても使用者は採尿容器に尿を当てやすい。そのため、使用者が排泄した尿は採尿容器に採尿されやすく、尿温測定の測定時間をより短縮することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、サーミスタの保護管からの放熱を抑制した尿温測定装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる尿温測定装置が設置されたトイレ室を例示する模式図である。
また、図2は、本実施形態の採尿容器を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
【0014】
本実施形態にかかる尿温測定装置は、例えば側壁10aなどに隣接したライニング12の内部に設けられた尿温測定部100と、使用者が放尿した尿を受尿して採集する採尿容器120と、スイングアーム132を介して採尿容器120を回動させるスイングアーム駆動部130と、を備えている。尿温測定部100は制御部110を有しており、その制御部110は温度検出部121で検知した尿の温度(尿温)などを受信し、例えば側壁10bなどに設けられた表示部16に信号を送信して尿温などを表示させることができる。
【0015】
採尿容器120は、図2に表したように、受尿して採集した尿を一時的に貯留する採尿器124と、温度検出部121と発光部122とを保持する貯尿壁125と、スイングアーム132に接続される接続部126と、を有する。貯尿壁125は、温度検出部121などを保持するとともに、採尿器124と同様に、尿を一時的に貯留する貯尿部129の少なくとも一部を形成している。すなわち、使用者が排泄した尿は、採尿器124と貯尿壁125とで形成された空間(貯尿部129)に一時的に貯留される。
【0016】
採尿器124と貯尿壁125と接続部126との上には、採尿器蓋127が設けられている。採尿器蓋127は、ヒンジ部127aにおいて採尿器124に対して回動自在に軸支されており、図2に表したように閉止されることにより、採尿器124と貯尿壁125と接続部126とを相対的に固定することができる。
【0017】
採尿器124と貯尿壁125と接続部126とは別体として設けられているため、それぞれを分解することができる。そのため、採尿容器120の内部に付着した尿石などを容易に除去することができる。但し、採尿器124と貯尿壁125と接続部126とは、一体として設けられていてもよい。この場合であっても、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、採尿器蓋127の開口部には、受尿した時の尿の泡立ちを防止するメッシュが設けられていてもよい。
【0018】
採尿容器120の内部には、温度検出素子により尿の温度を測定する温度検出部121と、採尿器124の内部を照射する発光部122と、が設けられている。温度検出部121は、採尿器124と貯尿壁125とで形成された貯尿部129に溜まった尿の温度を測定し、リード線234を介して制御部110に測定結果を出力する。発光部122は、採尿器124の内部を明るく照射することで、採尿容器120を見やすくして尿を当てやすくすることができる。なお、図2に表したように、採尿器124に溜まった尿を吸引する吸尿部123を設け、図示しない搬送管を通して尿糖測定部に尿を搬送して、使用者が排泄した尿の尿糖を測定できるようにしてもよい。
【0019】
制御部110は、スイングアーム駆動部130を駆動してスイングアーム132を回動させ、スイングアーム132の一端に設けられた採尿容器120を洋式腰掛便器14(以下、単に「便器」という。)のボウル14a内に移動させることができる。なお、図1に表した採尿容器120は、受尿位置にある状態を表している。一方、使用者が尿温測定装置を使用しない場合には、制御部110はスイングアーム駆動部130を駆動してスイングアーム132を回動させ、採尿容器120を図示しない収納部に収納できる。そのため、使用者が尿温測定装置を使用しない場合に、採尿容器120が用便の邪魔になることはない。
【0020】
図3は、本実施形態の採尿容器の内部を側面から眺めた断面模式図である。
また、図4は、本実施形態の貯尿壁を採尿壁面とは反対側の斜め上方から眺めた斜視模式図である。なお、図4は、説明の便宜上、発光部122を省略して表している。
図3に表したように、貯尿壁125は、Oリング141により液密に接続部126に固定されている。また、接続部126は、Oリング143により液密にスイングアーム132に固定されている。
【0021】
貯尿壁125には、温度検出部121を挿入し固定する挿入孔125cが設けられている。また、使用者の排泄した尿が一時的に貯留される側(採尿器124側)に面した採尿壁面125bとは反対側の貯尿壁125には、突起部125aが設けられている。温度検出部121の基端部224は、図3および図4に表したように、径外方向に広がったフランジを有している。そして、温度検出部121は、突起部125a側から採尿壁面125b側に向かって挿入孔125cに挿入され、その基端部224が貯尿壁125の突起部125aに嵌合された状態で保持される。これによれば、温度検出部121を仮固定することができるため、その温度検出部121の取り付け作業性をより向上化することができる。
【0022】
ここで、温度検出部121の構造の詳細について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態の温度検出部の内部を側面から眺めた断面模式図である。
本実施形態の温度検出部121は、例えばサーミスタである。サーミスタは、図5に表したように、金属製の保護管220の内部の先端に温度検出素子230を内蔵した構造を有する。保護管220は、径が小さい感温部221と、感温部221よりも径が大きい大径筒部223と、感温部221と大径筒部223とを接続するつなぎ部222と、を有しており、細筒状に形成されている。本実施形態の温度検出部121の基端部224は、図3および図4に関して前述したように、径外方向に広がったフランジを有している。
【0023】
温度検出素子230はジュメット線232と接続されており、感温部221の内部に配置されている。ジュメット線232は、温度検出素子230とは反対側の一端において、リード線234と接続されている。そして、温度検出素子230とジュメット線232とリード線234とは、図5に表したように、温度検出素子230が保護管220の内部の先端に配置された状態で封止材240により封止されている。封止材240は、例えば樹脂などである。
【0024】
温度検出部(サーミスタ)121では、まず、被温度測定物の温度が保護管220に伝達される。そして、感温部221に内蔵された温度検出素子230は、その伝達された温度を検出する。本実施形態では、使用者が排泄した尿の温度を測定するため、保護管220に伝達された尿の温度を、感温部221に内蔵された温度検出素子230が検出することになる。温度検出素子230が内蔵された感温部221は、金属製であり、径が小さいため、温度検出素子230への温度(熱)の伝達速度は速く、温度変化に対する応答速度も速い。
【0025】
温度検出素子230で検出された検出信号は、ジュメット線232およびリード線234を介して、制御部110(図1参照)に出力される。そして、制御部110は温度検出素子230から出力された検出信号を演算処理して、表示部16に信号を送信して尿温を表示させる。このようにして、使用者は自身の尿温(体温)を知ることができる。
【0026】
しかしながら、保護管220は金属製であるため、温度検出素子230へ熱を伝えやすいとともに、外部へ放熱しやすい。この放熱量は、外部に露出した保護管220の面積が大きいほど大きくなる。放熱量が大きい場合には、尿で温められた保護管220の温度が尿の実温度に到達できず、尿温(体温)を精度良く測定できないという問題がある。
【0027】
そこで、図3および図4に戻って説明を続けると、本実施形態にかかる尿温測定装置においては、温度検出部121(保護管220)の基端部224は、貯尿壁125から突出しないように固定されている。こうすることにより、保護管220の基端部224の側からの放熱を抑制できる。またさらに、基端部224は、樹脂などの封止材151により封止されている。すなわち、保護管220の基端部224は、貯尿壁125および封止材151からなる貯尿壁部に埋設され、外部に露出していない。そのため、尿から保護管220に伝達された熱が外気などに接触して採尿容器120の外部に放熱することをさらに抑制できる。その結果、温度検出部121の応答性が向上し、より短時間で精度良く尿温を測定することができる。
【0028】
図3に表した採尿容器120では、貯尿壁125の突起部125a側、すなわち保護管220の基端部224側から樹脂などの封止材151を流し込んで、基端部224を封止しているが、これだけに限定されない。例えば、樹脂を流し込まずに、図示しない樹脂成形部材を基端部224側から貯尿壁125に取り付けて、保護管220の基端部224を封止してもよい。すなわち、この場合には、貯尿壁125と、これに取り付けられる樹脂成形部材と、により貯尿壁部が構成される。これによっても、保護管220の基端部224は、貯尿壁125および樹脂成型部材に埋設され、外部に露出しない。そのため、尿から保護管220に伝達された熱が外気などに接触して採尿容器120の外部に放熱することを抑制できる。
【0029】
また、温度検出部121を挿入孔125cに挿入した際に、保護管220の基端部224が封止されるため、温度検出部121を貯尿壁125に容易に取り付けることができる。なお、保護管220の基端部224側から樹脂などの封止材151を流し込んで封止する場合には、温度検出部121の取付部の防水性を確保することができ、リード線234が内蔵された保護管220内への尿の侵入を防止することもできる。
【0030】
感温部221は、径が小さく細筒状に形成されているため、図3に表したように、採尿器124から離間して配置されている。すなわち、温度検出素子230が内蔵された感温部221は、採尿器124に近接していない。そのため、温度検出素子230は、採尿器124の表面温度の影響を受けにくく、その影響による測定誤差を抑えることができる。
【0031】
図6は、採尿壁面と基端部との距離を変化させた場合における温度検出部の検出温度(実測値)の一例を例示するグラフ図である。
なお、図6(a)は、縦軸(温度(℃))の目盛りを0〜40(℃)にして表したグラフ図であり、図6(b)は、図6(a)に表したグラフ図の縦軸(温度(℃))の目盛りを36.50〜37.10(℃)に拡大して表したグラフ図である。
【0032】
本発明者は、採尿壁面125bと基端部224との距離D1(図3参照)を5(mm)、10(mm)、15(mm)、または20(mm)に変化させた場合において、温度検出部121の検出温度を測定した。このとき、採尿壁面125bと保護管220の先端との距離D2(図3参照)については、距離D1がいずれの場合であっても略一定に設定した。そして、距離D1がいずれの場合であっても、図3に表したように、保護管220の基端部224側から封止材151を流し込んで、基端部224を封止した。
【0033】
本測定では、気温が5(℃)の環境下に採尿容器120を設置し、温度検出部121の検出温度が約5(℃)程度になった後に、約37(℃)程度の湯を採尿器124に貯留させた。その結果、図6に表したように、距離D1を小さく設定するにつれて、温度検出部121の検出温度はより早く湯の温度に近づいた。すなわち、採尿壁面125bと基端部224との距離D1が小さい方が、温度検出部121の応答性が良く、より短時間で精度良く湯の温度を測定できた。
【0034】
これは、貯尿壁125や封止材151との接触面積を小さくした方が、保護管220の基端部224あるいは大径筒部223からの放熱がより抑制されるためであると考えられる。なお、婦人体温計に要求される精度は、一般的に±0.05(℃)であることを考慮すると、採尿壁面125bと基端部224との距離D1が5(mm)の場合には、測定時間が約6秒間程度で要求精度内の36.95(℃)に達したことが分かる。
【0035】
図7は、採尿壁面と保護管の先端との距離を変化させた場合における温度検出部の検出温度(実測値)の一例を例示するグラフ図である。
なお、図7(a)は、縦軸(温度(℃))の目盛りを20.0〜38.0(℃)にして表したグラフ図であり、図7(b)は、図7(a)に表したグラフ図の縦軸(温度(℃))の目盛りを36.50〜37.10(℃)に拡大して表したグラフ図である。
【0036】
本発明者は、採尿壁面125bと保護管220の先端との距離D2(図3参照)を10(mm)、15(mm)、または20(mm)に変化させた場合において、温度検出部121の検出温度を測定した。このとき、採尿壁面125bと基端部224との距離D1については、距離D2がいずれの場合であっても略一定に設定した。また、本測定においても、図3に表したように、保護管220の基端部224側から封止材151を流し込んで、基端部224を封止した。
【0037】
本測定では、気温が20(℃)の環境下に採尿容器120を設置し、温度検出部121の検出温度が約20(℃)程度になった後に、約37(℃)程度の湯を採尿器124に貯留させた。その結果、図7に表したように、距離D2を小さく設定するにつれて、温度検出部121の検出温度はより早く湯の温度に近づいた。すなわち、採尿壁面125bと保護管220の先端との距離D2が小さい方が、温度検出部121の応答性が良く、より短時間で精度良く湯の温度を測定できた。
【0038】
これは、距離D2を小さく設定すると、保護管220の接触面積が小さくなり、保護管220が早く暖まるためであると考えられる。なお、婦人体温計に要求される精度は、一般的に±0.05(℃)であることを考慮すると、採尿壁面125bと保護管220の先端との距離D2が10(mm)の場合には、測定時間が約4秒間程度で要求精度内の36.95(℃)に達したことが分かる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、保護管220の基端部224は、貯尿壁125および封止材151に埋設され、外部に露出していない。そのため、尿から保護管220に伝達された熱が外気などに接触して採尿容器120の外部に放熱することを抑制できる。その結果、温度検出部121の応答性が向上し、より短時間で精度良く尿温を測定することができる。
また、採尿容器120の内部には発光部122が設けられ、採尿容器120の内部は明るく照射されるため、暗い便器14の内部(ボウル14a内)においても使用者は採尿容器120に尿を当てやすい。そのため、使用者が排泄した尿は採尿容器120に採尿されやすく、尿温測定の測定時間をより短縮することができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施の形態について説明する。
図8は、本発明の第2の実施の形態にかかる尿温測定装置を例示する模式図である。
また、図9は、本実施形態の変形例にかかる尿温測定装置を例示する模式図である。
本実施形態にかかる尿温測定装置は、使用者が持ち運び可能な装置である。すなわち、携帯できる尿温測定装置である。これによれば、本実施形態にかかる尿温測定装置を携帯することで、外出先などでも使用者の尿温(体温)を測定することができる。
【0041】
図8に表した尿温測定装置は、表示部316と、「入/切」スイッチ317と、「体温」スイッチ318と、スピーカ315と、を有する尿温測定部300と、使用者が放尿した尿を受尿して採集する採尿容器320と、尿温測定部300と採尿容器320とを連結し、使用者が把持可能な把持部340と、を備えている。尿温測定部300は制御部310をさらに有しており、その制御部110は温度検出部321で検知した尿の温度(尿温)をリード線334を介して受信し、表示部316にその尿温を表示させることができる。
【0042】
採尿容器320は、図8に表したように、受尿して採集した尿を一時的に貯留する採尿器324と、温度検出部321と発光部322とを保持する貯尿壁325と、把持部340に接続される接続部326と、を有する。但し、図2に関して前述したように、採尿器324と貯尿壁325と接続部326とは、一体として設けられていてもよい。そして、貯尿壁325は、温度検出部321などを保持するとともに、採尿器324と同様に、尿を一時的に貯留する貯尿部329の少なくとも一部を形成している。すなわち、使用者が排泄した尿は、採尿器324と貯尿壁325とで形成された空間(貯尿部329)に一時的に貯留される。
【0043】
採尿容器320の内部には、温度検出素子により尿の温度を測定する温度検出部321と、採尿器324の内部を照射する発光部322と、が設けられている。温度検出部321は、採尿器324と貯尿壁325とで形成された貯尿部329に溜まった尿の温度を測定し、リード線334を介して制御部310に測定結果を出力する。発光部322は、採尿器124の内部を明るく照射することで、採尿容器320を見やすくして尿を当てやすくすることができる。
【0044】
なお、図9に表したように、採尿器324に溜まった尿を吸引する吸尿部323をさらに設け、図示しない搬送管を通して尿糖測定部に尿を搬送して、使用者が排泄した尿の尿糖を測定できるようにしてもよい。この測定は、尿温測定部300にさらに設けられた「尿糖」スイッチ319を使用者が押すことにより開始される。
【0045】
図8および図9に表した尿温測定装置においては、図3に表した採尿容器と同様に、温度検出部321(保護管)の基端部は、例えば樹脂などの封止材により封止されている。すなわち、温度検出部321の保護管の基端部は、貯尿壁325および封止材に埋設され、外部に露出していない。そのため、尿から保護管に伝達された熱が外気などに接触して採尿容器320の外部に放熱することを抑制できる。その結果、温度検出部321の応答性が向上し、より短時間で精度良く尿温を測定することができる。
【0046】
なお、封止材は、図3および図4に関して前述したように、保護管の基端部側から流し込まれた樹脂でなくともよく、基端部側から貯尿壁325に取り付けられた樹脂成形部材であってもよい。また、その他の構造については、第1の実施の形態にかかる尿温測定装置と同様の構造を有するため、第1の実施の形態にかかる尿温測定装置と同様の効果を得ることができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、尿温測定装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや尿温測定部の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。つまり、例えば、尿温測定部は、ライニング12の内部に設けられていなくともよく、便座に座った使用者の「おしり」などに向けて水を噴射する図示しない衛生洗浄装置の内部に設けられてもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる尿温測定装置が設置されたトイレ室を例示する模式図である。
【図2】本実施形態の採尿容器を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
【図3】本実施形態の採尿容器の内部を側面から眺めた断面模式図である。
【図4】本実施形態の貯尿壁を採尿壁面とは反対側の斜め上方から眺めた斜視模式図である。
【図5】本実施形態の温度検出部の内部を側面から眺めた断面模式図である。
【図6】採尿壁面と基端部との距離を変化させた場合における温度検出部の検出温度(実測値)の一例を例示するグラフ図である。
【図7】採尿壁面と保護管の先端との距離を変化させた場合における温度検出部の検出温度(実測値)の一例を例示するグラフ図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる尿温測定装置を例示する模式図である。
【図9】本実施形態の変形例にかかる尿温測定装置を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0049】
10a 側壁、 10b 側壁、 12 ライニング、 14 洋式腰掛便器、 14a ボウル、 16 表示部、 100 尿温測定部、 110 制御部、 120 採尿容器、 121 温度検出部、 122 発光部、 123 吸尿部、 124 採尿器、 125 貯尿壁、 125a 突起部、 125b 採尿壁面、 125c 挿入孔、 126 接続部、 127 採尿器蓋、 127a ヒンジ部、 129 貯尿部、 130 スイングアーム駆動部、 132 スイングアーム、 141、143 Oリング、 151 封止材、 220 保護管、 221 感温部、 222 つなぎ部、 223 大径筒部、 224 基端部、 230 温度検出素子、 232 ジュメット線、 234 リード線、 240 封止材、 300 尿温測定部、 310 制御部、 315 スピーカ、 316 表示部、 317、318、319 スイッチ、 320 採尿容器、 321 温度検出部、 322 発光部、 323 吸尿部、 324 採尿器、 325 貯尿壁、 326 接続部、 329 貯尿部、 334 リード線、 340 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿を採集する採尿容器の内部に設けられ、細筒状の保護管の先端に温度検出素子が内蔵され、前記採尿容器の貯尿部に貯留された尿の温度を前記温度検出素子により測定する温度検出部と、
前記貯尿部の少なくとも一部を形成し、前記温度検出部を保持する貯尿壁と、
を備え、
前記保護管の基端部は、前記貯尿壁から突出せずに前記貯尿壁に固定されたことを特徴とする尿温測定装置。
【請求項2】
前記貯尿壁は、前記温度検出部を挿入し固定する挿入孔を有し、
前記温度検出部は、前記貯尿部とは反対側から前記貯尿部に向けて前記挿入孔に挿入され、
前記保護管の基端部は、前記貯尿壁の前記貯尿部とは反対側において封止されてなることを特徴とする請求項1記載の尿温測定装置。
【請求項3】
前記保護管の基端部は、前記貯尿壁の前記貯尿部とは反対側に流し込まれた樹脂により封止されたことを特徴とする請求項2記載の尿温測定装置。
【請求項4】
前記保護管の基端部は、径外方向に広がったフランジを有し、
前記採尿壁は、前記温度検出部が前記挿入孔に挿入された状態において、前記フランジを保持する突起部をさらに有することを特徴とする請求項2または3に記載の尿温測定装置。
【請求項5】
前記貯尿部に光を照射する発光部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の尿温測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−48705(P2010−48705A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214060(P2008−214060)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】