説明

局所クロモリン製剤

本発明は、(a)少なくとも1つの送達作用物質化合物と、(b)クロモリン成分とを含む局所組成物を提供する。治療の方法、および局所組成物を調製する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年5月19日に出願した米国仮出願第60/572,896号の利益を主張するものである。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、クロモリン、あるいはクロモリンナトリウムなどのその塩または類似体を含む局所製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
アトピー性皮膚炎などの皮膚の状態は、広範囲に及ぶ医療問題であり、罹患率が増大している。クロモグリク酸の二ナトリウム塩である局所投与クロモリンナトリウムを、そのような皮膚の状態の治療についての有効なプロトコール中に含めることができることが報告されている。例えば、Kimataら、「Effect of topical cromoglycate solution on atopic dermatitis: combined treatment of sodium cromoglycate solution with the oral anti-allergic medication, oxatomide」、Eur. J. Pediatr. 153:66〜71頁(1994)を参照されたい。
【特許文献1】米国仮出願第60/572,896号
【非特許文献1】Kimataら、「Effect of topical cromoglycate solution on atopic dermatitis: combined treatment of sodium cromoglycate solution with the oral anti-allergic medication, oxatomide」、Eur. J. Pediatr. 153:66〜71頁(1994)
【特許文献2】米国特許第6,627,228号
【特許文献3】国際出願(整理番号01946/2201284-WO0)
【特許文献4】国際出願(整理番号01946/2201285-WO0)
【特許文献5】米国仮出願第60/576,088号
【特許文献6】米国仮出願第60/576,397号
【特許文献7】米国仮出願第60/576,105号
【特許文献8】米国仮出願第60/571,090号
【特許文献9】米国仮出願第60/571,092号
【特許文献10】米国仮出願第60/571,195号
【特許文献11】米国仮出願第60/571,194号
【特許文献12】米国仮出願第60/571,093号
【特許文献13】米国仮出願第60/571,055号
【特許文献14】米国仮出願第60/571,151号
【特許文献15】米国仮出願第60/571,315号
【特許文献16】米国仮出願第60/571,144号
【特許文献17】米国仮出願第60/571,089号
【特許文献18】米国特許第3,419,578号
【特許文献19】米国特許第6,846,844号
【特許文献20】米国特許第6,699,467号
【特許文献21】米国特許第6,693,208号
【特許文献22】米国特許第6,693,073号
【特許文献23】米国特許第6,663,898号
【特許文献24】米国特許第6,663,887号
【特許文献25】米国特許第6,646,162号
【特許文献26】米国特許第6,642,411号
【特許文献27】米国特許第6,623,731号
【特許文献28】米国特許第6,610,329号
【特許文献29】米国特許第6,558,706号
【特許文献30】米国特許第6,525,020号
【特許文献31】米国特許第6,461,643号
【特許文献32】米国特許第6,461,545号
【特許文献33】米国特許第6,440,929号
【特許文献34】米国特許第6,428,780号
【特許文献35】米国特許第6,413,550号
【特許文献36】米国特許第6,399,798号
【特許文献37】米国特許第6,395,774号
【特許文献38】米国特許第6,391,303号
【特許文献39】米国特許第6,384,278号
【特許文献40】米国特許第6,375,983号
【特許文献41】米国特許第6,358,504号
【特許文献42】米国特許第6,346,242号
【特許文献43】米国特許第6,344,213号
【特許文献44】米国特許第6,331,318号
【特許文献45】米国特許第6,313,088号
【特許文献46】米国特許第6,245,359号
【特許文献47】米国特許第6,242,495号
【特許文献48】米国特許第6,221,367号
【特許文献49】米国特許第6,180,140号
【特許文献50】米国特許第5,541,155号
【特許文献51】米国特許第5,693,338号
【特許文献52】米国特許第5,976,569号
【特許文献53】米国特許第5,643,957号
【特許文献54】米国特許第5,955,503号
【特許文献55】米国特許第6,100,298号
【特許文献56】米国特許第5,650,386号
【特許文献57】米国特許第5,866,536号
【特許文献58】米国特許第5,965,121号
【特許文献59】米国特許第5,989,539号
【特許文献60】米国特許第6,001,347号
【特許文献61】米国特許第6,071,510号
【特許文献62】米国特許第5,820,881号
【特許文献63】米国公開出願第20050009748号
【特許文献64】米国公開出願第20040110839号
【特許文献65】米国公開出願第20040106825号
【特許文献66】米国公開出願第20040068013号
【特許文献67】米国公開出願第20040062773号
【特許文献68】米国公開出願第20040022856号
【特許文献69】米国公開出願第20030235612号
【特許文献70】米国公開出願第20030232085号
【特許文献71】米国公開出願第20030225300号
【特許文献72】米国公開出願第20030198658号
【特許文献73】米国公開出願第20030133953号
【特許文献74】米国公開出願第20030078302号
【特許文献75】米国公開出願第20030072740号
【特許文献76】米国公開出願第20030045579号
【特許文献77】米国公開出願第20030012817号
【特許文献78】米国公開出願第20030008900号
【特許文献79】米国公開出願第20020155993号
【特許文献80】米国公開出願第20020127202号
【特許文献81】米国公開出願第20020120009号
【特許文献82】米国公開出願第20020119910号
【特許文献83】米国公開出願第20020102286号
【特許文献84】米国公開出願第20020065255号
【特許文献85】米国公開出願第20020052422号
【特許文献86】米国公開出願第20020040061号
【特許文献87】米国公開出願第20020028250号
【特許文献88】米国公開出願第20020013497号
【特許文献89】米国公開出願第20020001591号
【特許文献90】米国公開出願第20010039258号
【特許文献91】米国公開出願第20010003001号
【特許文献92】国際公開WO2005/020925
【特許文献93】国際公開WO2004/104018
【特許文献94】国際公開WO2004/080401
【特許文献95】国際公開WO2004/062587
【特許文献96】国際公開WO2003/057650
【特許文献97】国際公開WO2003/057170
【特許文献98】国際公開WO2003/045331
【特許文献99】国際公開WO2003/045306
【特許文献100】国際公開WO2003/026582
【特許文献101】国際公開WO2002/100338
【特許文献102】国際公開WO2002/070438
【特許文献103】国際公開WO2002/069937
【特許文献104】国際公開WO02/20466
【特許文献105】国際公開WO02/19969
【特許文献106】国際公開WO02/16309
【特許文献107】国際公開WO02/15959
【特許文献108】国際公開WO02/02509
【特許文献109】国際公開WO01/92206
【特許文献110】国際公開WO01/70219
【特許文献111】国際公開WO01/51454
【特許文献112】国際公開WO01/44199
【特許文献113】国際公開WO01/34114
【特許文献114】国際公開WO01/32596
【特許文献115】国際公開WO01/32130
【特許文献116】国際公開WO00/07979
【特許文献117】国際公開WO00/59863
【特許文献118】国際公開WO00/50386
【特許文献119】国際公開WO00/47188
【特許文献120】国際公開WO00/40203
【特許文献121】国際公開WO96/30036
【特許文献122】国際公開WO98/34632
【特許文献123】米国特許第6,573,249号
【特許文献124】国際公開第99/60997号
【非特許文献2】米国化粧品工業会(The Cosmetic Toiletry Fragrance Association)、「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、第9版、2002年(ISBN 1882621298)
【非特許文献3】Franz、「Percutaneous absorption: On the Relevance of in vitro data」、J Invest Derm.、64:190〜195頁(1975)
【非特許文献4】Franz T.J.、「Skin: Drug Application and Evaluation of Environmental Hazards」、Current Problems in Dermatology、7:58〜68頁(1978)
【非特許文献5】Franz T.J.、「The use of water permeability as a means of validation for skin integrity in in vitro percutaneous absorption studies」、Abst. J Invest Dermatol. 94:525頁(1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表皮層でのクロモリンの高い濃度をもたらし、それにより皮膚の状態の治療においてその治療上の利益が高まる組成物の需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)少なくとも1つの送達作用物質化合物と、(b)クロモリン(すなわち、クロモグリク酸)、薬剤として許容されるその塩、薬剤として許容されるその類似体、および上記のいずれかの任意の組合せから選択されるクロモリン成分とを含む局所組成物である。クロモリンの適切な塩には、それだけに限らないが、クロモグリク酸二ナトリウム(クロモリンナトリウム)がある。本発明の一実施形態では、その組成物は、皮膚の状態を治療しまたはその発症を予防するのに有効な量のクロモリン成分および送達作用物質化合物を含む。
【0006】
送達作用物質化合物は、表皮におけるクロモリン成分の保持率を高める。例えば、送達作用物質化合物を含む局所組成物から、単回投与の8時間および48時間後にわたって、送達作用物質化合物を含まない類似の局所組成物より高い、表皮層でのクロモリン成分の濃度を得ることができる。
【0007】
本発明の一実施形態では、送達作用物質化合物は、下記の構造、または薬剤として許容されるその塩を有する:
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
Arは、フェニルまたはナフチルであり、
Arは、場合によっては1つまたは複数の-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシまたはC1〜C4ハロアルコキシで置換され、
R7は、C4〜C20アルキル、C4〜C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1〜C10アルキル)フェニル、(C1〜C10アルケニル)フェニル、(C1〜C10アルキル)ナフチル、(C1〜C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1〜C10アルキル)、フェニル(C1〜C10アルケニル)、ナフチル(C1〜C10アルキル)、またはナフチル(C1〜C10アルケニル)であり、
R8は、水素、C1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、C1〜C4のアルコキシ、またはC1〜C4ハロアルコキシであり、
R7は、場合によってはC1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、C1〜C4のアルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、-OH、-SH、-CO2R9、またはその任意の組合せで置換され、
R9は、水素、C1〜C4のアルキル、またはC2〜C4のアルケニルであり、
R7は、場合によっては酸素、窒素、硫黄またはその任意の組合せによって中断される]。
【0010】
一実施形態では、送達作用物質化合物は、酸性基のα位でアミノ基に置換されない。
【0011】
適切な送達作用物質化合物には、それだけに限らないが、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸およびその塩、例えば、一ナトリウム塩や二ナトリウム塩などのN-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸のナトリウム塩、その一ナトリウム塩を含めたN-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)デカン酸および薬剤として許容されるその塩、そのナトリウム塩(例えば、一ナトリウム塩)を含めた4-[(4-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンゾイル)アミノ]ブタン酸(4-[(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノ]ブタノエートとしても知られている)および薬剤として許容されるその塩、その一ナトリウム塩を含めたN-(8-[2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル]-アミノ)オクタン酸(8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル)アミノカプリル酸としても知られている)および薬剤として許容されるその塩、ならびにその一ナトリウム塩を含めた8-(N-2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-アミノカプリル酸および薬剤として許容されるその塩がある。
【0012】
一実施形態によれば、式A中のR7は、C8〜C20アルキル、C8〜C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1〜C10アルキル)フェニル、(C1〜C10アルケニル)フェニル、(C1〜C10アルキル)ナフチル、(C1〜C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1〜C10アルキル)、フェニル(C1〜C10アルケニル)、ナフチル(C1〜C10アルキル)、およびナフチル(C1〜C10アルケニル)から選択される。
【0013】
他の実施形態によれば、式A中のR7は、C8〜C20アルキル、およびC8〜C20アルケニルから選択される。
【0014】
本発明の他の実施形態では、送達作用物質化合物は、下記の構造、または薬剤として許容されるその塩を有する:
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立にH、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、または-N+R9R10R11(R12)-であり、
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、-CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カルボネート、尿素、または-C(O)R18であり、
R5は、場合によってはハロゲン、-OH、-SH、または-COOHで置換され、
R5は、場合によってはO、N、S、または-C(O)-によって中断され、
R6は、C1〜C12アルキレン、C2〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり、
R6は、場合によってはC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R8で置換され、
R6は、場合によってはOまたはNによって中断され、
R7は、結合またはアリーレンであり、
R7は、場合によっては-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11、または-N+R10R11R12(R13)-で置換され、
それぞれで出現するR8は、それぞれ独立にH、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、または-NH2であり、
R9、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立にHまたはC1〜C10アルキルであり、
R13は、ハライド、ハイドロオキサイド、スルフェート、テトラフルオロボレート、またはホスフェートであり、
R14、R15およびR16は、それぞれ独立にH、C1〜C10アルキル、-COOHで置換されたC1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、-COOHで置換されたC2〜C12アルケニル、または-C(O)R17であり、
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり、
R18は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15、またはN+R14R15R16(R13)-である]。
【0017】
特定の一実施形態では、R1、R2、R3、R4およびR5がHであり、R7が結合であるとき、R6は、C1〜C6、C9またはC10のアルキルではない。
【0018】
他の実施形態では、R1、R2、R3、およびR4がHであり、R5が-OHであり、R7が結合であるとき、R6は、C1〜C3アルキルではない。
【0019】
さらに他の実施形態では、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つがHでなく、R5が-OHであり、R7が結合であるとき、R6は、C1〜C4アルキルではない。
【0020】
さらに他の実施形態では、R1、R2、およびR3がHであり、R4が-OCH3であり、R5が-C(O)CH3であり、R6が結合であるとき、R7はC3アルキルではない。
【0021】
さらに他の実施形態では、R1、R2、R4、およびR5がHであり、R3が-OHであり、R7が結合であるとき、R6はメチルではない。
【0022】
さらに他の実施形態では、式BのR6は、C8〜C12アルキレン、C8〜C12アルケニレン、またはアリーレンである。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態では、送達作用物質化合物は、下記の構造、または薬剤として許容されるその塩を有する:
【0024】
【化3】

【0025】
[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立にH、-CN、-OH、-OCH3、またはハロゲンであり、R1、R2、R3、R4およびR5の少なくとも1つは-CNであり、
R6は、C1〜C12の直鎖または分枝アルキレン、C1〜C12の直鎖または分枝アルケニレン、C1〜C12の直鎖または分枝アリーレン、アルキル(アリーレン)あるいはアリール(アルキレン)である]。
【0026】
一実施形態によれば、R1が-CNであり、R4がHまたは-CNであり、R2、R3、およびR5がHであるとき、R6はメチレン((CH2)1)ではない。
【0027】
他の実施形態では、式CのR6は、C8〜C12の直鎖または分枝アルキレン、C8〜C12の直鎖または分枝アルケニレン、アリーレン、アルキル(アリーレン)あるいはアリール(アルキレン)である。
【0028】
他の実施形態では、式CのR6は、C8〜C12の直鎖または分枝アルキレン、C8〜C12の直鎖または分枝アルケニレンである。
【0029】
他の適切な送達作用物質化合物は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,627,228号で開示されている。
【0030】
本発明の実施形態では、クロモリン成分と一緒に局所組成物中で使用される送達作用物質化合物には、それだけに限らないが、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-OOC-、-COO-、-NHC(O)O-、-OC(O)NH-、-CH2NH-、-NHCH2-、-CH2NHC(O)O-、-OC(O)NHCH2-、-CH2NHCOCH2O-、-OCH2C(O)NHCH2-、-NHC(O)CH2O-、-OCH2C(O)NH-、-NH-、-O-、および炭素-炭素結合からなる群から選択される結合基を介して、修飾アミノ酸またはその誘導体と結合したポリマーを含むポリマー送達作用物質がある。一実施形態では、ポリマー送達作用物質は、ポリペプチドまたはポリアミノ酸ではない。他の実施形態では、修飾アミノ酸は式A、B、またはCの構造を有する。一実施形態では、ポリマー送達作用物質は、下記の構造:
【0031】
【化4】

【0032】
を有する修飾アミノ酸を含み、それは、-COO基を介して、ポリエチレングリコールから誘導されるモノマーを有するポリマーと結合する。
【0033】
一実施形態では、ポリマー送達作用物質は、下記の構造:
-CH2CH2O(CH2CH2O)xCH2CH2O-Y
(式中、
xは1〜14であり、
YはHまたはCH3である)
を有するポリマーと、-COO基を介して結合した式Dの構造を有する修飾アミノ酸である。
【0034】
一実施形態によれば、ポリマー送達作用物質は、下記の構造:
-CH2CH2O(CH2CH2O)xCH2CH2O-Y
[式中、
xは1〜5であり、
YはCH3またはHである]
を有するポリマーと、-COO基を介して結合した式Dの構造を有する化合物である。
例えば、ポリマー送達作用物質は、8-(2-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-オクタン酸2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}-エトキシ)エトキシ]エトキシ}エチルエステルでもよい。
【0035】
本発明の送達作用物質化合物は、下記に示す化合物および薬剤として許容されるその塩を含む:
【0036】
【化5】

【0037】
[式中、
R1は、-(CH2)m-R8(m=0または1)であり、
R2〜R6は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C1〜C4アルコキシ、およびシアノから選択され、
R7は、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、およびC2〜C10アルキニルから選択され、
R8は、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびフェニルから選択され、R8がフェニルであるとき、m=1であり、
R8は、場合によってはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲンまたはヒドロキシル、あるいはその組合せで置換される]。
【0038】
本発明の他の送達作用物質化合物は、下記に示す化合物および薬剤として許容されるその塩を含む:
【0039】
【化6】

【0040】
[式中、
R1は、C1〜C6アルキル、またはC2〜C6アルケニルであり、
R2〜R6は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C1〜C4アルコキシ、およびシアノからなる群から選択され、
R7は、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、およびC2〜C10アルキニルからなる群から選択される]。
【0041】
本発明の他の送達作用物質化合物は、下記に示す化合物および薬剤として許容されるその塩を含む:
【0042】
【化7】

【0043】
[式中、
n=1〜9であり、
R1〜R5は、それぞれ独立に水素、C1〜C4のアルキル、C1〜C4のアルコキシ、C2〜C4のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、-NH-C(O)-CH3、または-O-C6H5である]。
【0044】
本発明の他の送達作用物質化合物は、下記に示す化合物および薬剤として許容されるその塩を含む:
【0045】
【化8】

【0046】
[式中、
R1〜R4は、それぞれ独立に水素、C1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、ハロゲン、C1〜C4のアルコキシ、またはヒドロキシルである]。
【0047】
本発明の他の送達作用物質化合物は、下記に示す化合物および薬剤として許容されるその塩を含む:
【0048】
【化9】

【0049】
[式中、
R1〜R5の1つは、下記の一般構造:
-(CH2)n-COOH
(n=0〜6)を有し、
R1〜R5の残り4つは、それぞれ独立に水素、C1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、ハロゲン、C1〜C4のアルコキシ、またはヒドロキシルであり、
R6〜R10は、それぞれ独立に水素、C1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、ハロゲン、C1〜C4のアルコキシ、またはヒドロキシルである]。
【0050】
【化10】

【0051】
[式中、
n=1〜9であり、
R1〜R9は、それぞれ独立に水素、C1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、ハロゲン、C1〜C4のアルコキシ、またはヒドロキシルである]、
および薬剤として許容されるその塩。
【0052】
本発明の他の送達作用物質化合物は、下記に示す化合物および薬剤として許容されるその塩を含む:
【0053】
【化11】

【0054】
[式中、
R1〜R5は、それぞれ独立に水素、C1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、ハロゲン、C1〜C4のアルコキシ、ヒドロキシル、または-O-(CH2)n-COOH(nは1〜12)であり、
R1〜R5の少なくとも1つは、下記の一般構造:
-O-(CH2)n-COOH
(n=1〜12)を有し、
R6〜R10は、それぞれ独立に水素、C1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、ハロゲン、C1〜C4のアルコキシ、またはヒドロキシルである]。
2005年5月16日に出願された国際出願 および (整理番号01946/2201284-WO0および01946/2201285-WO0)ならびにその優先権主張文献、2004年6月1日に出願された米国仮出願第60/576,088号、2004年6月1日に出願された米国仮出願第60/576,397号、2004年6月1日に出願された米国仮出願第60/576,105号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,090号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,092号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,195号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,194号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,093号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,055号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,151号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,315号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,144号、2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/571,089号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0055】
本発明の組成物を含む局所単位剤形も提供される。局所単位剤形は通常、生理的に許容される賦形剤を含む。例えば、本発明の局所組成物または単位剤形は、水性の、半水性の、および油を基礎とする溶液または懸濁液でもよい。適切な賦形剤には、それだけに限らないが、水、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、ポリエチレングリコール(PEG)および水溶液がある。局所組成物または単位剤形は、例えば、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、軟膏剤、懸濁剤、または乳剤(例えば、水中油型乳剤)の形態でもよい。
【0056】
他の実施形態は、本発明の組成物または(複数の)単位剤形を動物に局所投与することによって、クロモリン成分(例えば、クロモリンナトリウム)、その類似体、またはその混合物を、それを必要とする動物(例えば、患者)に投与する方法である。
【0057】
さらに他の実施形態は、本発明の組成物または(複数の)単位剤形を動物に有効量投与することによって、それを必要がある動物(例えば、患者)における、それだけに限らないが、アトピー性皮膚炎および他の湿疹性疾患、肥満細胞症、春季皮膚結膜炎、春季結膜炎、春季角膜炎、皮膚創傷、皮膚感染、単純ヘルペス、帯状疱疹、ワクシニアウイルスまたはコクサッキーウイルス、皮膚熱傷、褥瘡性潰瘍、開放性潰瘍、切断、皮膚の放射線照射によって生じた外傷性損傷、ケロイド瘢痕および他の瘢痕組織の予防、膣前庭炎、間質性膀胱炎、外陰部膣炎または膣炎痛、乾癬、尿毒症性そう痒、血管腫、アレルギー性鼻炎(枯草熱)、ならびに「洞」頭痛を含めた皮膚の状態を治療する方法である。
【0058】
さらに他の実施形態は、少なくとも1つの送達作用物質化合物および少なくとも1つのクロモリン成分を混合することによって、本発明の組成物を調製する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
(定義)
本明細書において、「水和物」という用語には、それだけに限らないが、(i)分子の形態で結合した水を含む物質、および(ii)1つまたは複数の結晶化した水分子を含む結晶性物質あるいは遊離した水を含む結晶性物質が含まれる。
【0060】
本明細書において、「溶媒和物」という用語には、それだけに限らないが、溶媒の分子またはイオンと、送達作用物質化合物またはその塩の分子またはイオンの分子またはイオンの複合体、あるいはその水和物または溶媒和物が含まれる。
【0061】
「送達作用物質」という用語は、本明細書で開示されている送達作用物質化合物のいずれかを指す。
【0062】
「SNAC」という用語は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸の一ナトリウム塩を指す。
【0063】
「SNAD」という用語は、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)デカン酸の一ナトリウム塩を指す。「SNADの二ナトリウム塩」という用語は、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)デカン酸の二ナトリウム塩を指す。
【0064】
「有効量のクロモリン成分」とは、いくらかの期間にわたって生体中にそれを投与する状態を治療または予防するのに有効な量、例えば治療効果をもたらす量のクロモリン成分である。クロモリン成分を投与する適応症は、当業者に既知であり、その一部は本明細書で開示され、それには、後に発見されるはずである、クロモリン成分で治療または予防することができる状態も含まれる。
【0065】
「有効量の送達作用物質」とは、送達作用物質が存在しないでクロモリン成分を投与した後の表皮でのクロモリン成分の濃度と比較して、皮膚の表皮層でのクロモリン成分の濃度の増大を可能にしかつ/または促進する量の送達作用物質である。
【0066】
「平均」という用語は、薬物動態値(例えば、平均ピーク)に先行するとき、別段指定しない限り薬物動態値の算術平均値を表す。
【0067】
本明細書および添付した特許請求の範囲において、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、前後関係で別段にはっきりと示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「分子(a molecule)」の指すものは、1つまたは複数のそのような分子を含み、「試薬(a reagent)」は、1つまたは様々な複数のそのような試薬を含み、「抗体(an antibody)」の指すものは、1つまたは複数の様々なそのような抗体を含み、「その方法(the method)」の指すものは、本明細書に記載の方法について改変または置換することができる、当業者に知られている同等の工程および方法の指すものを含む。
【0068】
「約」という用語は、一般に所与の値または範囲の10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内を意味する。
【0069】
本明細書において、「アルキル」および「アルケニル」という用語は、直鎖および分枝のアルキルおよびアルケニル置換基をそれぞれ含む。
【0070】
本明細書において、「患者」という用語は、哺乳動物を、好ましくはヒトを指す。
【0071】
「薬剤として許容される」という語句は、生理的に忍容性があり、患者の皮膚または鼻粘膜に投与したときに通常は発疹、みみず腫れ、腫張、感受性の増大などのアレルギーまたは類似の有害反応を生じさせない添加物または組成物を指す。
【0072】
(クロモリン成分)
本明細書において、クロモリン成分という用語には、塩(すなわち、クロモグリク酸塩)および遊離塩基形態のクロモグリク酸が、その類似体とともに含まれる。クロモグリク酸は、通常クロモリンと呼ばれる。好ましい塩は、通常クロモリンナトリウムと呼ばれるクロモグリク酸二ナトリウムである。クロモグリク酸の類似体には、それだけに限らないが、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,419,578号で開示されているものがある。クロモリン類似体には、抗PAR-2(プロテアーゼ活性化受容体-2)の性質を有するものが含まれる。
【0073】
クロモリンおよびその類似体を調製する方法は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,419,578号で開示されている。
【0074】
(送達作用物質化合物)
送達作用物質化合物は、米国特許第6,846,844号、第6,699,467号、第6,693,208号、第6,693,073号、第6,663,898号、第6,663,887号、第6,646,162号、第6,642,411号、第6,627,228号、第6,623,731号、第6,610,329号、第6,558,706号、第6,525,020号、第6,461,643号、第6,461,545号、第6,440,929号、第6,428,780号、第6,413,550号、第6,399,798号、第6,395,774号、第6,391,303号、第6,384,278号、第6,375,983号、第6,358,504号、第6,346,242号、第6,344,213号、第6,331,318号、第6,313,088号、第6,245,359号、第6,242,495号、第6,221,367号、第6,180,140号、第5,541,155号、第5,693,338号、第5,976,569号、第5,643,957号、第5,955,503号、第6,100,298号、第5,650,386号、第5,866,536号、第5,965,121号、第5,989,539号、第6,001,347号、第6,071,510号および第5,820,881号;米国公開出願第20050009748号、第20040110839号、第20040106825号、第20040068013号、第20040062773号、第20040022856号、第20030235612号、第20030232085号、第20030225300号、第20030198658号、第20030133953号、第20030078302号、第20030072740号、第20030045579号、第20030012817号、第20030008900号、第20020155993号、第20020127202号、第20020120009号、第20020119910号、第20020102286号、第20020065255号、第20020052422号、第20020040061号、第20020028250号、第20020013497号、第20020001591号、第20010039258号、第20010003001号;国際公開WO2005/020925、WO2004/104018、WO2004/080401、WO2004/062587、WO2003/057650、WO2003/057170、WO2003/045331、WO2003/045306、WO2003/026582、WO2002/100338、WO2002/070438、WO2002/069937、WO02/20466、WO02/19969、WO02/16309、WO02/15959、WO02/02509、WO01/92206、WO01/70219、WO01/51454、WO01/44199、WO01/34114、WO01/32596、WO01/32130、WO00/07979、WO00/59863、WO00/50386、WO00/47188、WO00/40203、およびWO96/30036に記載のもののいずれかでよく、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0075】
送達作用物質化合物の非限定的な例には、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)デカン酸、8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイルアミノ)オクタン酸、4-[(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノ]ブタノエート、8-(2,6-ジヒドロキシベンゾイルアミノ)オクタン酸、8-(2-ヒドロキシ-5-ブロモベンゾイルアミノ)オクタン酸、8-(2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイルアミノ)オクタン酸、8-(2-ヒドロキシ-5-ヨードベンゾイルアミノ)オクタン酸、8-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンゾイルアミノ)オクタン酸、8-(2-ヒドロキシ-5-フルオロベンゾイルアミノ)オクタン酸、8-(2-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾイルアミノ)オクタン酸、8-(3-ヒドロキシフェノキシ)オクタン酸、8-(4-ヒドロキシフェノキシ)オクタン酸、6-(2-シアノフェノキシ)ヘキサン酸、8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチル-ジエタノールアミン、8-(4-ヒドロキシフェノキシ)オクタノエート、8-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイルアミノ)オクタン酸、8-(2-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾイルアミノ)-オクタン酸、およびその塩がある。好ましい塩には、それだけに限らないが、一ナトリウム塩および二ナトリウム塩がある。
【0076】
送達作用物質化合物は、カルボン酸、またはナトリウム塩などの薬剤として許容されるその塩、ならびにその水和物および溶媒和物の形態でもよい。塩は、一ナトリウム塩や二ナトリウム塩などの一価または多価の塩でもよい。送達作用物質化合物は、例えば担体の溶解プロファイルの改変に対する効果により選択された異なる対イオンを含んでもよい。
【0077】
送達作用物質化合物は、上記の公開(例えば、国際公開WO98/34632、WO00/07979、WO01/44199、WO01/32596、WO02/20466、およびWO03/045306)で論じられているものなど、当技術分野で知られている方法によって調製することができる。SNAC、SNAD、および遊離酸ならびに他のその塩は、米国特許第5,650,386号および第5,866,536号に記載のものなど、当技術分野で知られている任意の方法によって調製することができる。
【0078】
本発明の送達作用物質化合物の塩は、当技術分野で知られている方法によって調製することができる。例えば、ナトリウム塩は、エタノール中で送達作用物質化合物を溶解し、水性の水酸化ナトリウムを添加することによって調製することができる。
【0079】
送達作用物質化合物は、再結晶化、あるいは1つまたは複数の固体クロマトグラフィー支持体上での分画化を単独で、または直列に連結して行うことによって精製することができる。適切な再結晶溶媒系には、それだけに限らないが、アセトニトリル、メタノール、およびテトラヒドロフランがある。分画は、メタノール/n-プロパノール混合物を移動相として使用して、アルミナなどの適切なクロマトグラフィー支持体上で;トリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を移動相として使用する逆相クロマトグラフィーで;水または適当な緩衝液を移動相として使用するイオン交換クロマトグラフィーで行うことができる。陰イオン交換クロマトグラフィーを行うとき、好ましくは、0〜500mMの塩化ナトリウムのグラジエントを使用する。
【0080】
一実施形態では、クロモリン成分に対する送達作用物質の重量比は、約0.1:1〜約2000:1である。重量比は、送達するクロモリン成分およびそれを投与する特定の適応症に応じて変化してもよい。
【0081】
(送達系)
本発明の組成物は、本発明の1つまたは複数の送達作用物質化合物、および/あるいは1つまたは複数のクロモリン成分を含む。送達作用物質化合物およびクロモリン成分は通常、投与前に混合して、投与組成物(それは単位剤形を含んでもよい)にする。
【0082】
投与組成物は、参照により組み込まれている米国特許第6,573,249号に記載のものなど、1つまたは複数の細胞刺激性化合物を含んでもよい。細胞刺激性化合物には、ヒト成長ホルモン、インスリン(トランスフェリンを含有する、またはトランスフェリンを含有しない)、および/あるいはトリヨードチロニンまたはチロキシンがある。
【0083】
投与組成物はまた、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第99/60997号で論じられているもの、抗アレルギー薬剤(例えば、オキサタミド(oxatamide))、グルココルチコイドやコルチコステロイド(例えば、吉草酸ベタメタゾン、酢酸トリアムシノロン、酪酸クロベタゾン、ヒドロコルチゾンおよびトリアムシノロン)などの他の有効成分を含んでもよい。
【0084】
投与組成物はまた、皮膚に治療効果をもたらすことが知られている他の成分を含んでもよい。この成分には、それだけに限らないが、アロエ、抗酸化剤、保湿剤または湿潤剤、ビタミン、界面活性物質、ヒドロキシ酸、タンパク質分解酵素、皮膚美白作用物質(例えば、メラニン阻害物質、メラニン漂白剤)、日焼け止め、着色剤、香料、保存剤、顔料、防腐剤、および調色液がある。その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国化粧品工業会(The Cosmetic Toiletry Fragrance Association)による「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、第9版、2002年(ISBN 1882621298)中に列挙されている任意の成分を、本発明の投与組成物中に組み込むことができる。
【0085】
通常、投与組成物を皮膚の標的領域に塗布する。投与組成物は、通常は少なくとも数日間、毎日塗布してもよい。しかし、より頻繁な塗布も意図されている。例えば、発疹や、アレルギー誘発性の皮膚の問題など、損傷組織の治療では、治癒する間、1日に2〜4回以上の頻度で投与組成物を塗布して、罹患領域上に投与組成物を継続的に維持することが望ましい可能性がある。数年を含めて、長期間使用する可能性もある。
【0086】
本発明の実施形態は、クリーム基剤または軟膏基剤を含む。これは、乾燥したまたははがれた皮膚に組成物を使用する場合、およびその他の形では保湿賦形剤が望ましい可能性があるときに特に当てはまる。適切な基剤には、ラノリン、特に熱傷の治療用のSILVADENE(商標)(スルファジアジン銀)(Hoechst Marion Roussel、ミズーリ州Kansas City)、AQUAPHOR(商標)(Duke Laboratories、コネティカット州South Norwalk)などの基剤がある。
【0087】
水性のまたは油を基礎とする溶液に粘度上昇剤を添加して、クリーム剤またはゲル剤にすることができる。粘度上昇剤の例には、ゼラチン、キトサンおよびその誘導体、親水性セルロース(好ましくは、ヒドロキシアルキルセルロース、より好ましくは、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどまたはその混合物)、およびポリアクリレート-ポリアクリル酸のポリマー(例えば、カルボマー(Carbomer)など)などがある。
【0088】
所望の場合、包帯または他の創傷被覆材中に水性のまたは水-油を基礎とする組成物を組み込んで、局所組成物に罹患領域を継続的にさらすことが可能である。エアロゾル型塗布器に使用を見出すこともできる。
【0089】
投与組成物中でのクロモリン成分の量は、クロモリン成分の有効量であり、それを投与する状態に応じて、当業者が決定することができる。単位剤形は、例えば、約0.01%〜10%、または約0.01%〜約7%、または約0.5%〜約4.0%のクロモリン成分(例えば、クロモリンナトリウム)を含んでもよい。代替の実施形態では、投与組成物がクロモグリク酸化合物で飽和するまでクロモリン成分を添加する。水性の賦形剤では、これは、約5%のクロモグリク酸化合物の濃度と相関し得る。ミリスチン酸イソプロピルなどの半水性の賦形剤では、これは、約0.01%のクロモリン成分の濃度と相関し得る。PEG/水の賦形剤など他の賦形剤では、クロモリン成分の濃度は、投与組成物の飽和後約3%である。
【0090】
本発明は、上記に記載の組成物に加えて、皮膚の状態を改善する方法を提供する。その方法は、局所組成物を罹患領域に塗布する工程を含む。本発明の組成物または(複数の)単位剤形を動物に有効量投与することによって、アトピー性皮膚炎および他の湿疹性疾患、皮膚創傷、皮膚感染、単純ヘルペス、帯状疱疹、ワクシニアウイルスまたはコクサッキーウイルス、皮膚熱傷、褥瘡性潰瘍、開放性潰瘍、切断、皮膚の放射線照射によって生じた外傷性損傷、ケロイド瘢痕および他の瘢痕組織の予防、膣前庭炎、間質性膀胱炎、外陰部膣炎または外陰部痛、乾癬、尿毒症性そう痒、血管腫、アレルギー性鼻炎(枯草熱)、ならびに「洞」頭痛を治療または予防することができる。
【実施例】
【0091】
下記の実施例は、限定することなく本発明を例示するものである。別段に示さない限り、すべての割合は重量で示す。
【0092】
(実施例1−ヒト死体皮膚モデルおよび投与)
in vitroヒト死体皮膚モデルは、経皮吸収の研究ならびに局所的に塗布した添加剤および/または薬物の薬物動態の測定に有益な手段であることが証明されている。このモデルは、特別に設計された拡散チャンバー中に備え付けたヒト死体皮膚を使用し、そのチャンバーにより、典型的なin vivo状態に整合する温度および湿度で皮膚を維持することができる(Franz、「Percutaneous absorption: On the Relevance of in vitro data」、J Invest Derm.、64:190〜195頁(1975)を参照)。通常、限定された投与量の製剤を皮膚の外表面に塗布し、皮膚の内表面を浸しているレセプター溶液中における、対象とする化合物の出現率をモニターすることによって、対象とする化合物の吸収を測定する。全部の吸収、吸収率、ならびに皮膚含量を定めるデータを、このモデルで正確に決定することができる。その方法は、in vivo経皮吸収動態の正確な予測にとって歴史上重要な先例を有する(Franz T.J.、「Skin: Drug Application and Evaluation of Environmental Hazards」、Current Problems in Dermatology、7:58〜68頁(1978)を参照)。
【0093】
皮膚疾患の明らかな徴候が認められない、死後24時間以内に得られたヒト死体、または外科的に切除した胴部の皮膚をこれらの実施例で使用した。メスで皮膚から皮下組織および約50%の真皮を取り除いた。皮膚を得た後、水不浸透性のプラスチック袋の中に皮膚を密封し、水に浸した氷上においた状態でそれを発送した。到着した日に使用しない場合、実験の日まで<-70℃で皮膚を貯蔵した。使用前に約37℃の水中に袋を入れることによってそれを解凍し、水道水中ですすいで、付着した血液または他の物質を表面から除去した。
【0094】
単一ドナーの皮膚を切断して、0.8cm2のFranz拡散セル(Crown Glass Co.、ニュージャージー州Somerville)に適合する十分な大きさの複数の小片にした。皮膚の厚さを測定し記録した。レセプターチャンバーを最大容積までリン酸緩衝等張食塩水(PBS)のレセプター溶液、pH7.4±0.1で満たし、ドナーチャンバーを開いて周囲実験室環境にした。次いで、レセプター溶液を約600RPMで磁気的に撹拌し、皮膚表面温度を33.0±1.0℃に維持する拡散装置にセルを入れた。代表的なチャンバーから皮膚表面温度を測定し記録した。
【0095】
各皮膚片が完全な状態であることを確かなものにするために、試験物を塗布する前にトリチウム化した水に対するその浸透性を決定した(Franz T.J.、「The use of water permeability as a means of validation for skin integrity in in vitro percutaneous absorption studies」、Abst. J Invest Dermatol. 94:525頁(1990)を参照)。短い(0.5〜1時間)平衡化時間の後、露出した表面全体が覆われるようにドロッパーで皮膚の上部全体に3H2O(MEN、マサチューセッツ州Boston、比活性約0.5μCi/mL)を重層した(約100〜150μL)。5分後、3H2Oの水層を除去した。30分でレセプター溶液を収集し、液体シンチレーション計数により、放射活性含量について分析した。3H2Oの吸収が1.25μL-equ未満であった皮膚標本を許容可能とみなした。
【0096】
局所試験製剤を皮膚片に投与する前に、レセプター溶液を投与前に新鮮なPBS溶液と交換した。次いで、5μL送り出すように設定した容積式ピペットを使用して、すべての製剤を皮膚片につけた(5μL/0.8cm2)。ピペットのテフロン(登録商標)の先端でその投与物を表面全体に広げた。塗布してから5〜10分後にFranz Cellの煙突状部分を交換した。
【0097】
(実施例2−試験製剤および分析方法)
[3H]-クロモグリク酸二ナトリウムである放射標識クロモグリク酸を、Amersham Biosciences(GE Healthcareの一部、ニュージャージー州Piscataway)から入手した。下記の各製剤を20〜25μL/mLの放射標識[3H]-クロモグリク酸二ナトリウムと混ぜて、試料中での定量可能な計数を得た。液体シンチレーション計数および製造業者が示す比活性によって、各製剤の最終的な比活性および同位体濃度を実験的に決定した。
【0098】
レセプター溶液試料、表面洗浄液、および溶解した皮膚から、各試料のアリコートをシンチレーション液5mL(ScintiVerse、Fisher Scientific)と混合した。次いで、Packard LSC1900シンチレーション計数器を使用する液体シンチレーション計数によって、すべての試料について同位体含量のアッセイを行った。1分当たりの計数(CPM)は、外部標準失活補正曲線を使用して、その機器により自動的に1分当たりの崩壊数(DPM)に転換された。移動量、皮膚含量、表面洗浄回収量、および物質収支の算出はすべて、比活性の実験的に決定した値に基づいて行った。
【0099】
実施例4、5、および6の試料はすべて、1試料当たり二連で10分間計数した。投与していないチャンバー試料すべての平均バックグラウンド値を最終的な算出で使用した。平均バックグラウンド計数値は、52.9±12.5DPMであることが分かった。計算の目的で、平均バックグラウンド値未満の試料は、(値が負になることを防ぐために)52.9DPMとして入れた。
【0100】
実施例3の試料は、1試料当たり二連で5分間計数した。使用した平均バックグラウンド値は、水のバックグラウンド値と同等であり、それを22.04DPMに設定した。
【0101】
下記の試験製剤を調製し試験した。
【0102】
【表1】

【0103】
担体Aは、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸の一ナトリウム塩(SNAC)である。担体Bは、8-(2-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-オクタン酸2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}-エトキシ)エトキシ]エトキシ}エチルエステルである。
【0104】
投与後予め選択した時間に、レセプター溶液全体を除去し、新しいレセプター溶液と交換し、体積1mLのアリコートをその後の分析用に取っておいた。アリコートをシンチレーション液と混合し、それを計数した。
【0105】
予定していた最後のレセプター溶液収集の後、皮膚をエタノールで洗浄して、吸収されていない製剤を皮膚の表面から収集した。皮膚片を表皮および真皮に分離した。別々の表皮および真皮をそれぞれSoluene-350(Packard Chemical Co.)0.5mLと混合し、室温で約48時間溶解させた。溶解した後、これらの試料をシンチレーション液と混合し、それを計数した。
【0106】
所与の時間の後、塗布した合計量と比較した、表面上(表面洗浄液)、表皮層、真皮層、およびレシーバーコンパートメント(receiver compartment;真皮層を横断した量)で認められる3H-クロモグリク酸の百分率を決定した。
【0107】
(実施例3−製剤AおよびBの分析)
製剤AおよびBを1種のドナーに塗布し48時間経過させた。各製剤の比活性を算出し、各製剤が3H-クロモグリク酸と十分に混ざっていなかったことを認めた。したがって、各製剤をさらなる放射標識同位体と混ぜ、比活性を再算出した。最初に投与してから4時間後、各製剤用の皮膚片に新たに混ぜた製剤を再投与した。
【0108】
下記の結果が得られた。
【0109】
【表2】

【0110】
このデータを図1に示す。
【0111】
【表3】

【0112】
実施例3では製剤AおよびBを使用したに過ぎず、皮膚片に再投与したので、これらの結果は、実施例9に示す全体的な算出では使用しなかった。
【0113】
(実施例4−製剤A、B、C、D、E、およびFの第1の分析)
製剤A、B、C、D、E、およびFを使用して、実施例4を行った。レセプター溶液の採取時間は、投与してから4、7、19、24、27、および43時間後であった。
【0114】
【表4】

【0115】
これらの結果を図2に示す。
【0116】
【表5】

【0117】
これらの結果を図3に示す。
【0118】
【表6】

【0119】
【表7】

【0120】
(実施例5−製剤A、B、C、D、E、およびFの第2の分析)
製剤A、B、C、D、E、およびFを使用して、実施例5を行った。試料採取時間は、投与してから6、12、24、27、および43時間後であった。
【0121】
【表8】

【0122】
これらの結果を図4に示す。
【0123】
【表9】

【0124】
【表10】

【0125】
これらの結果を図5に示す。
【0126】
【表11】

【0127】
(実施例6−製剤A、B、C、ならびにD2、E2、およびF2の分析)
製剤A、B、C、D、E、およびFを使用して、実施例6を行った。製剤A、およびBについて2種のドナーを評価し、製剤C、D2、E2、およびF2について3種のドナーを評価した。製剤A、B、およびCについてのレセプター溶液の採取時間は、投与してから0.5、2、4、6、および8時間後であった。8時間で、これらのチャンバーについて表面を洗浄し皮膚片を収集した。製剤D2、E2、およびF2についての試料採取時間は、投与してから0.5、2、4、6、8、12、24、32、および48時間後であった。48時間で、これらのチャンバーについて表面を洗浄し皮膚片を収集した。
【0128】
【表12】

【0129】
これらの結果を図6に示す。
【0130】
【表13】

【0131】
【表14】

【0132】
これらの結果を図7に示す。
【0133】
【表15】

【0134】
(実施例7−製剤A、B、およびCについての実施例4〜6の概要)
製剤A、B、およびCからの3H-クロモグリク酸の経皮吸収についての実施例4〜6全体を平均した結果の概要を図8、表16および17に示す。異なる試料収集時間および試験期間で行われたが、類似した期間にわたって平均の測定が可能となるようにデータを挿入した。
【0135】
【表16】

【0136】
このデータを図8に示す。
【0137】
【表17】

【0138】
(実施例8−製剤A、B、Cの分析)
製剤A、B、およびCだけを使用して、単一ドナーでの試験を行った。皮膚片の表面積を0.8から2.0cm2に増大させ、塗布する投与量を5μLから50μLに増大させた。試験の目的は、投与量および表面積を増大させると浸透が増大するかどうかをみることであった。さらに、選択したレセプター溶液試料について、HPLCによりクロモグリク酸含量のアッセイを行った。
【0139】
物質収支の回収量が低い (<90%)ことが原因で、製剤Aに対する最終の限定的なパイロット試験を行って、塗布する投与量のアカウンタビリティをさらに検討した。この追加の分析では、セルおよび試験系のさらなる成分を、同位体含量について評価した。
【0140】
2.0cm2のチャンバーおよび50μLの投与量を使用した、製剤A、B、およびCからの3H-クロモグリク酸の経皮吸収についての(放射標識と非放射標識のクロモグリク酸をどちらも測定した)結果の概要を図9および10、ならびに表18および19に示す。
【0141】
【表18】

【0142】
このデータを図9に示す。
【0143】
【表19】

【0144】
このデータを図10に示す。
【0145】
(実施例9−結果の概要)
実施例4〜6の物質収支の結果を平均し、下記の表に示す。
【0146】
【表20】

【0147】
【表21】

【0148】
【表22】

【0149】
上記に挙げた特許、出願、試験方法、および公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
上記の詳細な説明に照らして、本発明の多数の変更形態が当業者には示唆されるであろう。そのような明らかな変更形態はすべて、添付した特許請求の範囲の完全に意図された範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】実施例1〜3に記載の送達作用物質SNAC(製剤A)、および8-(2-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-オクタン酸2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}-エトキシ)エトキシ]エトキシ}エチルエステル(製剤B)を伴うまたは伴わないクロモリンナトリウムの局所投与後における、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。
【図2】実施例4に記載の製剤A〜Cの、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。
【図3】実施例4に記載の製剤D〜Fの、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。
【図4】実施例5に記載の製剤A〜Cの、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。
【図5】実施例5に記載の製剤D〜Fの、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。
【図6】実施例6に記載の製剤A〜Cの、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。
【図7】実施例6に記載の製剤D2〜F2の、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。
【図8】実施例4〜6の製剤A〜Cの、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の平均経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。
【図9】実施例8に記載の製剤A〜Cの、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収の経時的なグラフである。
【図10】液体シンチレーション計数技術によって決定された、実施例8に記載の製剤A〜Cの、ヒト死体皮膚を介する3H-クロモグリク酸の経皮吸収と、時間の関係を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)クロモリン、薬剤として許容されるその塩、その類似体、および上記の組合せから選択されるクロモリン成分と、(b)下記の式:
【化1】

[式中、
Arは、フェニルまたはナフチルであり、
Arは、場合によっては1つまたは複数の-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシまたはC1〜C4ハロアルコキシで置換され、
R7は、C4〜C20アルキル、C4〜C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1〜C10アルキル)フェニル、(C1〜C10アルケニル)フェニル、(C1〜C10アルキル)ナフチル、(C1〜C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1〜C10アルキル)、フェニル(C1〜C10アルケニル)、ナフチル(C1〜C10アルキル)、またはナフチル(C1〜C10アルケニル)であり、
R8は、水素、C1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、C1〜C4のアルコキシ、またはC1〜C4ハロアルコキシであり、
R7は、場合によってはC1〜C4のアルキル、C2〜C4のアルケニル、C1〜C4のアルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、-OH、-SH、-CO2R9、またはその組合せで置換され、
R9は、水素、C1〜C4のアルキル、またはC2〜C4のアルケニルであり、
R7は、場合によっては酸素、窒素、硫黄またはその組合せによって中断される]
の送達作用物質またはその塩とを含む局所薬剤組成物。
【請求項2】
送達作用物質がN-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸またはその塩である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
送達作用物質がSNACである、請求項2に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
送達作用物質がSNADである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
R7が、C8〜C20アルキル、C8〜C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1〜C10アルキル)フェニル、(C1〜C10アルケニル)フェニル、(C1〜C10アルキル)ナフチル、(C1〜C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1〜C10アルキル)、フェニル(C1〜C10アルケニル)、ナフチル(C1〜C10アルキル)、またはナフチル(C1〜C10アルケニル)である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
R7が、C8〜C20アルキル、またはC8〜C20アルケニルである、請求項5に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
(a)クロモリン、薬剤として許容されるその塩、その類似体、および上記の組合せから選択されるクロモリン成分と、(b)下記の式:
【化2】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立にH、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、または-N+R9R10R11(R12)-であり、
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、-CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カルボネート、尿素、または-C(O)R18であり、
R5は、場合によってはハロゲン、-OH、-SH、または-COOHで置換され、
R5は、場合によってはO、N、S、または-C(O)-によって中断され、
R6は、C1〜C12アルキレン、C2〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり、
R6は、場合によってはC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R8で置換され、
R6は、場合によってはOまたはNによって中断され、
R7は、結合またはアリーレンであり、
R7は、場合によっては-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11、または-N+R10R11R12(R13)-で置換され、
それぞれで出現するR8は、それぞれ独立にH、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、または-NH2であり、
R9、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立にHまたはC1〜C10アルキルであり、
R13は、ハライド、ハイドロオキサイド、スルフェート、テトラフルオロボレート、またはホスフェートであり、
R14、R15およびR16は、それぞれ独立にH、C1〜C10アルキル、-COOHで置換されたC1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、-COOHで置換されたC2〜C12アルケニル、または-C(O)R17であり、
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり、
R18は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15、またはN+R14R15R16(R13)-である]
の送達作用物質またはその塩とを含む局所薬剤組成物。
【請求項8】
(a)クロモリン、薬剤として許容されるその塩、その類似体、および上記の組合せから選択されるクロモリン成分と、(b)下記の式:
【化3】

[式中、
R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立にH、-CN、-OH、-OCH3、またはハロゲンであり、R1、R2、R3、R4およびR5の少なくとも1つは-CNであり、
R6は、C1〜C12の直鎖または分枝アルキレン、C1〜C12の直鎖または分枝アルケニレン、C1〜C12の直鎖または分枝アリーレン、アルキル(アリーレン)あるいはアリール(アルキレン)である]
の送達作用物質またはその塩とを含む局所薬剤組成物。
【請求項9】
(a)クロモリン、薬剤として許容されるその塩、その類似体、および上記の組合せから選択されるクロモリン成分と、(b)-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-OOC-、-COO-、-NHC(O)O-、-OC(O)NH-、-CH2NH-、-NHCH2-、-CH2NHC(O)O-、-OC(O)NHCH2-、-CH2NHCOCH2O-、-OCH2C(O)NHCH2-、-NHC(O)CH2O-、-OCH2C(O)NH-、-NH-、-O-、および炭素-炭素結合からなる群から選択される結合基を介して修飾アミノ酸またはその誘導体と結合したポリマーを含むポリマー送達作用物質とを含む局所薬剤組成物。
【請求項10】
ポリマー送達作用物質が、下記の構造:
【化4】

を有する修飾アミノ酸を含み、修飾アミノ酸が、-COO基を介して、ポリエチレングリコールから誘導されるモノマーを有するポリマーと結合する、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
ポリマーが、下記の構造:
-CH2CH2O(CH2CH2O)xCH2CH2O-Y
(式中、
xは1〜14であり、
YはHまたはCH3である)
を有する、請求項10に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
xが1〜5である、請求項11に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
送達作用物質が、8-(2-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-オクタン酸2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}-エトキシ)エトキシ]エトキシ}エチルエステルである、請求項12に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
クロモリン成分がクロモリンナトリウムである、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
(A) 請求項1から14のいずれか一項に記載の薬剤組成物と、
(B)(a)添加剤、
(b)クリーム剤、
(c)軟膏基剤、
(d)粘度上昇剤、
(e)保湿剤、
(f)保存剤、
(g)投与用賦形剤、または
(h)その組合せ
とを含む局所投与組成物。
【請求項16】
クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、懸濁剤、または液剤の形態である、請求項15に記載の投与組成物。
【請求項17】
抗アレルギー薬剤、グルココルチコイド、またはコルチコステロイドをさらに含む、請求項15に記載の投与組成物。
【請求項18】
クロモリン成分を必要とする患者に、有効量のクロモリン成分を投与する方法であって、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物を局所投与する工程を含む方法。
【請求項19】
クロモリン成分を必要とする患者における皮膚の状態を治療する方法であって、請求項1から17のいずれか一項に記載の有効量の組成物を患者に局所投与する工程を含む方法。
【請求項20】
皮膚の状態がアトピー性皮膚炎である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−538101(P2007−538101A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527493(P2007−527493)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/017816
【国際公開番号】WO2005/112943
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(500139958)エミスフェアー・テクノロジーズ・インク (28)
【Fターム(参考)】