説明

局所加熱装置および局所加熱方法

【課題】局所加熱による加熱回数を少なくして、タクトタイムの短縮を実現することができる局所加熱装置および局所加熱方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る局所加熱装置70は、処理基板13上に散在する加熱対象点のなかから一括加熱が可能な加熱対象点を複数個抽出して、抽出した加熱対象点を一括加熱するように、加熱手段3を制御する温度調整部5および一括加熱制御部6を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所加熱装置および局所加熱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体あるいは熱硬化性材料を基板上に塗布し、乾燥させることで薄膜を形成する技術は従来から多くの生産装置で利用されている。その中でも近年注目が高まっているのが、基板上の任意の箇所に必要量だけ液体を塗布し、乾燥させることで膜を形成するパターニング技術である。このような技術にはディスペンサやインクジェットを用いた技術があり、従来のフォトリソグラフィーによる真空プロセスを用いたパターン生成方法に代わり、脱真空プロセスに使用可能な技術として注目が高まっている。
【0003】
例えば、インクジェットによるパターニング技術を用いた生産装置としては、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色からなるインクを、ガラス基板上に形成されているRGB用画素領域内に着弾させることによって各画素を埋め、カラーフィルタ(CF)パネルを形成する装置がある。この場合、画素領域内に埋められたインクは、オーブン等によって基板全体を加熱することで乾燥させ、膜を形成する。
【0004】
また、このようなパターニング技術は全面印刷技術としてのみならず、混色、夾雑物の混入又は付着といった欠陥部を修復するための技術としても広く用いられており、このような修復装置の開発も進んでいる。このような修復技術として、例えば、CFパネルにおいては、インクの混色が発生した欠陥画素や夾雑物が混入した欠陥画素の場合、欠陥領域のインク層膜を除去し、除去部分に再度インクを塗布して加熱乾燥することで画素を再形成する技術がある。
【0005】
液体塗布部の加熱乾燥方法としては、従来、オーブン、ホットプレート等で基板全体を加熱して乾燥させる方法が用いられていた。しかしながら、基板全体を加熱する場合、専用の大型加熱装置や耐熱性に優れた搬送ロボットが必要であり、また、加熱された基板を次工程に進めるために冷却する場所や時間も必要となり、製造コストの上昇やタクトタイム(処理時間)が長くなるといった課題があった。
【0006】
特に、加熱乾燥箇所が少ない場合には、局所的に加熱し乾燥させる方が製造コストとタクトタイム(処理時間)が有利になることに加え、二酸化炭素排出量の削減による環境対策にも寄与するため、液体塗布部だけを局所的に加熱乾燥させる技術への期待は高い。
【0007】
このような局所加熱および乾燥技術としては、特許文献1に記載のものがある。図24は、特許文献1に記載の絶縁膜形成装置の構成を示す図である。ここでは、まず、図24に示すようなX−Y−Z−θステージ102上に載置されたLSIチップ101に対し、ノズル112を用いて絶縁膜材料115が塗布され絶縁膜材料膜を形成した後、光学系直下に移動させ、補修配線データ(微細液滴)に沿って、レーザ光を照射させることで焼成(加熱)処理をおこなっている。
【0008】
また、特許文献2にも、局所的に加熱し乾燥させることによって膜を形成する膜形成装置が記載されている。特許文献2では、液滴を局所加熱する際に加熱手段に熱排気機構を持たせることによって、乾燥時の液滴に歪みなどの形状変化を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3153219号(特開平3−215941号公報)(1991年9月20日公開)
【特許文献2】特開2009−219946号公報(2009年10月1日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の構成の場合、補修配線データ(微細液滴)に沿ってレーザ光を照射させているため、微細液滴が増加すれば、焼成(加熱)回数が増えてタクトタイムが長くなってしまうという課題がある。また、特許文献1の構成の場合、微細な液滴を精度良く狙ってレーザ照射を行う必要があり、ターゲットマーカ等を使った高精度な位置決め機構が必須となり、装置が高価になる傾向がある。
【0011】
また、特許文献2の構成の場合であっても、液滴を局所加熱するため、焼成回数が多く、タクトタイムは短縮できていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、局所加熱の加熱回数を低減させて、タクトタイムの短縮を実現した局所加熱装置および局所加熱方法を提供することにある。
【0013】
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明に係る局所加熱装置は、
基板上に散在する加熱対象位置を局所加熱する局所加熱装置であって、
上記加熱対象位置を加熱する加熱手段と、
上記加熱手段による上記基板上での均熱範囲を決定する均熱範囲決定手段と、
均熱範囲決定手段によって決定された均熱範囲に基づいて、一括加熱可能範囲を決定する一括加熱可能範囲決定手段と、
上記一括加熱可能範囲決定手段によって決定された一括加熱可能範囲に含めることができる複数の加熱対象位置を、加熱対象位置の位置座標に基づいて抽出して、当該抽出した加熱対象位置を一括加熱するように、上記加熱手段を制御する制御手段と、
上記制御手段による制御によって、上記加熱手段と上記基板との相対位置を変化させる位置移動手段とを備えていることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、本発明に係る局所加熱装置は、或る均熱範囲内に在る複数の上記加熱対象位置のなかから一部の加熱対象位置を抽出して、それらを一括して加熱することから、加熱対象位置ごとに加熱(焼成)する従来構成と比較して、加熱回数を減らすことができ、よって、タクトタイムの短縮を充分に実現することができる。
【0015】
また、ピンポイントではなく或る領域に対して加熱処理を行うことから、1つの加熱対象位置を狙って加熱する場合と比較して、ターゲットマーカ等を使った高精度な位置決めが不要であり、装置を安価に提供することができる。
【0016】
また、本発明に係る局所加熱装置は、上記の構成に加えて、
上記制御手段は、
上記抽出した加熱対象位置のうちの1つの上記加熱対象位置を加熱手段による加熱中心位置として仮定した場合に当該1つの上記加熱対象位置とともに一括加熱が可能な加熱対象位置を抽出する抽出手段と、
上記抽出手段によって抽出された加熱対象位置のうち、上記加熱中心位置から最も離れた位置にある上記加熱対象位置を探索して、当該探索した加熱対象位置と当該加熱中心位置との中間点の位置座標を求めて、一括加熱する際の加熱中心が当該中間点の位置座標となるように、上記加熱手段の位置を補正する補正手段とを有していることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、抽出手段および補正手段を具備することによって、一括加熱時に均熱範囲をより有効に利用することができる。
【0018】
また、本発明に係る局所加熱装置は、上記の構成に加えて、
上記一括加熱可能範囲決定手段が、上記一括加熱可能範囲を、最大でも、上記均熱範囲決定手段によって決定される均熱範囲とするように設定する構成となっている。
【0019】
上記の構成によれば、抽出した加熱対象位置に対して、良好に一括加熱することが可能である。
【0020】
また、本発明に係る局所加熱装置は、上記の構成に加えて、
上記一括加熱可能範囲決定手段は、上記均熱範囲とともに、上記加熱手段の加熱能力、および、上記位置移動手段の位置決め精度に基づいて、一括加熱可能範囲を決定するように構成されていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、抽出した加熱対象位置に対して、良好に一括加熱することが可能である。
【0022】
具体的には、上記の構成によれば、上記加熱手段の加熱能力に基づいているため、例えば、基準の加熱能力よりも高い加熱能力を有する加熱手段であれば、一括加熱可能な範囲が基準の範囲(平均的な範囲)よりも大きくして、一度に一括加熱される加熱対象位置が多くすることができ、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0023】
また、これとは反対に、基準の加熱能力よりも低い加熱能力を有する加熱手段であれば、一括加熱可能な範囲が基準の範囲(平均的な範囲)よりも小さくすればよく、試算上(計算上)は一括加熱によって加熱されるはずの加熱対象位置であるにも関わらず加熱能力が低い加熱手段であったことによって実施の一括加熱可能な範囲が小さくて加熱されなかった加熱対象位置が発生するのを防ぎ、一括加熱した加熱対象位置を均等に加熱することができる。
【0024】
すなわち、一括加熱するグループとして抽出された加熱対象位置に対して、より均一な加熱条件下において加熱処理を施すことができる。
【0025】
また、上記の構成によれば、上記位置移動手段の位置決め精度に基づいているため、試算上(計算上)は一括加熱可能な範囲に含まれるはずの加熱対象位置であるにも関わらず、実際には位置決め精度が低いが故に加熱中心の位置が試算上の位置とは異なっていたことによって加熱されなかった加熱対象位置が発生するのを防ぎ、正確に一括加熱することができる。
【0026】
また、本発明に係る局所加熱装置は、上記の構成に加えて、
上記制御手段は、上記或る一箇所の均熱範囲に含まれる複数の加熱対象位置のうち、一括加熱する加熱対象位置として抽出されなかった加熱対象位置を、別の位置にて決定される一括加熱可能範囲に含まれる加熱対象位置として抽出して、一括加熱するように構成されていることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記一部の加熱対象位置として抽出されなかった加熱対象位置を、単独加熱する場合に比較して、加熱回数の低減と、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0028】
また、本発明に係る局所加熱装置は、上記の構成に加えて、
上記均熱範囲決定手段は、校正用基板と、当該校正用基板に埋設された温度センサとを有しており、
上記加熱手段によって上記校正用基板を加熱して、上記温度センサによって得られる温度分布に基づいて上記均熱範囲を決定するように構成されていることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、校正用基板に埋設された温度センサを用いることで、より正確な均熱範囲を決定することができる。
【0030】
また、本発明に係る局所加熱方法は、上記の課題を解決するために、
上記加熱対象位置を上記加熱手段により加熱する加熱工程と、
上記加熱工程による上記基板上での均熱範囲を決定する均熱範囲決定工程と、
上記均熱範囲決定工程によって決定された均熱範囲に基づいて、一括加熱可能範囲を決定する一括加熱可能範囲決定工程と、
上記一括加熱可能範囲決定工程によって決定された一括加熱可能範囲に含めることができる複数の加熱対象位置を、加熱対象位置の位置座標に基づいて抽出して、当該抽出した加熱対象位置を一括加熱するように制御する制御工程と、
上記制御工程による制御によって、上記加熱手段と上記基板との相対位置を変化させる位置移動工程とを含むことを特徴としている。
【0031】
上記の構成によれば、本発明に係る局所加熱装置は、或る均熱範囲内に在る複数の上記加熱対象位置のなかから一部の加熱対象位置を抽出して、それらを一括して加熱することから、加熱対象位置ごとに加熱(焼成)する従来構成と比較して、焼成回数を減らすことができ、よって、タクトタイムの短縮を充分に実現することができる。
【0032】
また、ピンポイントではなく或る領域に対して加熱処理を行うことから、1つの加熱対象位置を狙って加熱する場合と比較して、ターゲットマーカ等を使った高精度な位置決めが不要であり、装置を安価に提供することができる。
【0033】
また、本発明に係る局所加熱方法は、上記の構成に加えて、
上記制御工程は、
上記抽出した加熱対象位置のうちの1つの上記加熱対象位置を加熱手段による加熱中心位置として仮定とした場合に当該1つの上記加熱対象位置とともに一括加熱が可能な加熱対象位置を抽出する抽出工程と、
上記抽出工程によって抽出された加熱対象位置のうち、上記加熱中心位置から最も離れた位置にある上記加熱対象位置を探索して、当該探索した加熱対象位置と当該加熱中心位置との中間点の位置座標を求めて、一括加熱する際の加熱中心が当該中間点の位置座標となるように、上記加熱手段の位置を補正する補正工程とを含むことが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、抽出工程および補正工程を含むことによって、一括加熱時に均熱範囲をより有効に利用することができる。
【0035】
また、本発明に係る局所加熱方法は、上記の構成に加えて、
上記制御工程は、上記或る一箇所の均熱範囲に含まれる複数の加熱対象位置のうち、上記一部の加熱対象位置として抽出されなかった加熱対象位置を、別の均熱範囲に含まれる複数の加熱対象位置のうちの一部の加熱対象位置として抽出して一括加熱するよう制御することが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、上記一部の加熱対象位置として抽出されなかった加熱対象位置を、単独加熱する場合に比較して、加熱回数の低減と、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0037】
また、本発明に係る局所加熱方法は、上記の構成に加えて、
上記均熱範囲決定工程は、温度センサを設けた校正用基板を加熱して、当該温度センサによって得られる温度分布に基づいて上記均熱範囲を決定することが好ましい。
【0038】
上記の構成によれば、上記の構成によれば、校正用基板に埋設された温度センサを用いることで、より正確な均熱範囲を決定することができる。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明に係る、基板上に散在する加熱対象位置を局所加熱する局所加熱装置は、
上記加熱対象位置を加熱する加熱手段と、
上記加熱手段による上記基板上での均熱範囲を決定する均熱範囲決定手段と、
均熱範囲決定手段によって決定された均熱範囲に基づいて、一括加熱可能範囲を決定する一括加熱可能範囲決定手段と、
上記一括加熱可能範囲決定手段によって決定された一括加熱可能範囲に含めることができる複数の加熱対象位置を、加熱対象位置の位置座標に基づいて抽出して、当該抽出した加熱対象位置を一括加熱するように、上記加熱手段を制御する制御手段と、
上記制御手段による制御によって、上記加熱手段と上記基板との相対位置を変化させる位置移動手段とを備えていることを特徴としている。
【0040】
また本発明に係る、基板上に散在する加熱対象位置を加熱手段によって局所加熱する局所加熱方法は、以上のように、
上記加熱対象位置を上記加熱手段により加熱する加熱工程と、
上記加熱工程による上記基板上での均熱範囲を決定する均熱範囲決定工程と、
上記均熱範囲決定工程によって決定された均熱範囲に基づいて、一括加熱可能範囲を決定する一括加熱可能範囲決定工程と、
上記一括加熱可能範囲決定工程によって決定された一括加熱可能範囲に含めることができる複数の加熱対象位置を、加熱対象位置の位置座標に基づいて抽出して、当該抽出した加熱対象位置を一括加熱するように制御する制御工程と、
上記制御工程による制御によって、上記加熱手段と上記基板との相対位置を変化させる位置移動工程とを含むことを特徴としている。
【0041】
これにより、局所加熱による加熱回数を少なくして、タクトタイムの短縮を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態に係る局所加熱装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した局所加熱装置に設けられた加熱手段の位置を校正用基板上に移動させた状態の斜視図である。
【図3】図2の局所加熱装置における、温度校正エリアの概略構成を拡大して示す斜視図である。
【図4】図3におけるA−A線矢視断面図である。
【図5】図3におけるB−B線矢視断面図である。
【図6】本実施の形態に係る局所加熱装置によって局所加熱される処理基板の構成を示した平面図である。
【図7】本実施の形態に係る局所加熱装置における、センサと加熱手段との位置関係の一例を模式的に示す平面図である。
【図8】本実施の形態に係る方法により温度計測を行った場合における、校正用基板上の測定点と測定範囲とを模式的に示す平面図である。
【図9】図8の各測定点における測定結果から求めた、校正用基板上における温度分布の一例を示す等高線図である。
【図10】本実施の形態に係る方法により、各測定点における温度測定結果から加熱中心を算出するアルゴリズムの一例を示すフロー図である。
【図11】図10に示すアルゴリズムにおける工程S2を模式的に示す平面図である。
【図12】図10に示すアルゴリズムにおける工程S3を模式的に示す平面図である。
【図13】図10に示すアルゴリズムにおける工程S4を模式的に示す平面図である。
【図14】図10に示すアルゴリズムにおける工程S5を模式的に示す平面図である。
【図15】図10に示すアルゴリズムにおける工程S5〜S10の結果を模式的に示す平面図である。
【図16】図10に示すアルゴリズムにおける工程S11を模式的に示す平面図である。
【図17】図10に示すアルゴリズムにおける工程S12を模式的に示す平面図である。
【図18】図10に示すアルゴリズムにおける工程S12〜S17の結果を模式的に示す平面図である。
【図19】本実施の形態に係る局所加熱装置によって局所加熱される処理基板の構成を示した平面図である。
【図20】本実施の形態に係る方法により、一括加熱する加熱対象点を抽出するアルゴリズムの一例を示すフロー図である。
【図21】図20に示すアルゴリズムにおける抽出過程の途中の段階を示す平面図である。
【図22】図20に示すアルゴリズムにおける抽出過程の途中の段階を示す平面図である。
【図23】本発明に係る局所加熱方法の別の実施形態について示した処理基板の平面図である。
【図24】従来技術を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
〔実施の形態1〕
本発明に係る局所加熱装置の一実施形態について、図1〜図22に基づいて説明する。本実施形態の局所加熱装置は、半導体装置の製造ラインなどで用いられ、例えば絶縁膜の形成において基板に塗布した絶縁材料を加熱するために用いることができる。
【0044】
以下では、まず本実施形態の局所加熱装置の全体構成を説明し、続いて、当該局所加熱装置を用いて行う局所加熱方法について説明する。
【0045】
(局所加熱装置)
図1は、本実施形態の局所加熱装置の構成を示す斜視図であり、図2は、図1の局所加熱装置における、加熱手段が校正用基板上にある状態の構成を示す斜視図である。
【0046】
図1に示す本実施形態の局所加熱装置70は、処理基板13における所望の領域を局所的に加熱処理する局所加熱装置である。そのため、局所加熱装置70は、図1に示すように、基板搬送機構1と、スライド機構(位置移動手段)2と、加熱手段3と、温度計測部(均熱範囲決定手段)4と、温度調整部(一括加熱可能範囲決定手段)5と、一括加熱制御部(制御手段)6とを備えている。
【0047】
・ 基板搬送機構
基板搬送機構1は、処理基板13を搬送するための構成として、回転軸支持部材11と、回転軸10と、ローラー9とを備える。
【0048】
回転軸支持部材11は、処理基板13の搬送方向に沿って2つ設けられ、その間に処理基板13の搬送方向と略直交する方向に伸びた回転軸10が処理基板13の搬送方向に沿って、回転可能な状態でこれら回転軸支持部材11により複数固定されている。これら各回転軸10には、複数のローラー9が処理基板13の搬送方向に回転できるように固定されている。
【0049】
処理基板13の搬送は、例えば、モータードライブ(図示せず)の駆動力をベルト、又はギアを介し回転軸10に伝達させ、回転軸10に固定されたローラー9を回転させることにより行われる。これにより、ローラー9上の処理基板13を回転軸10と直交する方向に移送する。
【0050】
なお、処理基板13を移送する方向は、一方向(例えば、図1における紙面右側から左側へ向かう方向)のみに限定されず、ローラー9を逆回転させることにより、反対の方向(例えば、図1における左から右へ向かう方向)に移送させる構成であってもよい。
【0051】
なお、本実施形態では、基板搬送機構1にローラー9を備えた構成について説明したが、これに限るものではない。処理を施さない処理基板13のエッジ部を直接、又は処理基板13を額縁状に囲った基板ホルダの一部分をクランプし、搬送方向と平行にスライドするスライド軸を利用して処理基板13を搬送してもよい。処理基板13を搬送することができる構成であれば、本実施形態と略同様の効果が得られる。
【0052】
・ スライド機構(位置移動手段)
上記スライド機構2は、加熱手段3と処理基板13との相対位置を変化させるために、加熱手段3を、上記処理基板13の搬送方向に対して直交する方向に移動させるための構成である。
【0053】
スライド機構2は、スライド機構支持部材20により固定されている。
【0054】
また、スライド機構2は、スライド機構2上をスライド移動可能な可動子21と、支持部14とを介して、加熱手段3を保持固定している。これにより、加熱手段3を、上記処理基板13の搬送方向に対して直交する方向に安定して移動させることができる。
【0055】
スライド機構2および可動子21によって、加熱手段3は、加熱エリア7と温度校正エリア8との間を容易に移動可能な構造となっている。このような構成とすることにより、加熱処理を行っていないときは温度校正エリア8において、加熱手段3の温度の監視、および調整を常時行うことが可能となる(図2参照)。
【0056】
上記温度校正エリア8には、校正用基板41と、これを保持するための校正用基板ホルダ42とが設置してある。本実施の形態に係る局所加熱装置70では、スライド機構2と同様に、校正用基板41を保持する基板ホルダ42もスライド機構支持部材20により固定されている。このように、双方の相対的な位置関係が変わらないようにすることで、加熱手段3と校正用基板41との位置精度を確保している。
【0057】
ここで、校正用基板41により、加熱処理される処理基板13における加熱温度を間接的に計測する観点から、校正用基板41は処理基板13と同じ材質、同じ厚みを有し、スライド機構2によって移動してきた加熱手段3の下端から校正用基板41の加熱手段3と対向する側の面までの距離は、加熱手段3の下端から処理基板13の加熱手段3と対向する側の面までの距離と同じになるよう調整している。つまり、本実施の形態では、処理基板13の上面と上記校正用基板41の上面とが同一平面上に位置している。
【0058】
なお、処理基板13の上面と上記校正用基板41の上面とは同一平面上に位置している場合に限られない。例えば、加熱手段3を高さ方向に移動できる構成である場合には、処理基板13の面と上記校正用基板41の面とは同一平面状にある必要はない。
【0059】
なお、上述の説明では、加熱手段3と処理基板13との両方を移動させる構成について説明したが、これに限るものではない。処理基板13を固定して加熱手段3のみを移動させる構成であってもよいし、加熱手段3を固定して処理基板13のみを移動させる構成であってもよい。上記基板に対する上記加熱手段の位置を変化させる構成であれば、本実施形態と略同様の効果が得られる。
【0060】
・ 加熱手段
上記加熱手段3は、処理基板13を局所的に加熱するための構成である。
【0061】
図3は、図2の局所加熱装置における、温度校正エリアの構成を拡大して示す斜視図である。
【0062】
本実施の形態では、上記加熱手段3として、熱風ヒータを好適に用いることができる。係る場合、加熱手段3による熱放出は、例えば、図3に示すように、電源(図示せず)から供給された電力が電力線15を介し加熱手段3に供給され、内部の発熱体においてジュール熱に変換され、タンク、ボンベ、又はコンプレッサ等(図示せず)から熱輸送媒体としての気体が配管16を通じ供給部3bから加熱手段3へと供給され、当該気体により発熱体において発生したジュール熱を輸送して、吹出部3aから熱を放出することにより行うことができる。
【0063】
なお、上記加熱手段3は熱風ヒータに限るものではなく、ランプヒータ、レーザ等であってもよい。基板の処理面側に構造物が直接触れることは基板自体や基板表面に形成された薄膜に対する機械的ダメージやストレス、付着物の残留や転写等の問題が発生し難いため、非接触で加熱できる構成で、且つ加熱効率が良好であれば、本実施形態と略同様の効果が得られる。但し、本実施形態のように、熱風ヒータの場合は、比較的取り扱いが容易で、消耗品の交換を含めたランニングコストを低く抑えることが可能なので、特に好ましい。
【0064】
また、熱風ヒータは広い温度均一範囲を有するため、加熱すべき処理基板13の位置とヒータの加熱中心とが多少ずれても、加熱すべき処理基板13の位置を温度均一範囲内に維持することができる。このため、ステージの搬送精度が悪い場合であっても、長期間安定して加熱処理を行うことができる。
【0065】
・ 温度計測部(均熱範囲決定手段)
温度計測部4は、加熱手段3の加熱温度を計測するための構成であり、加熱手段3による均熱範囲を検出することができる。温度計測部4は、温度センサ40を内蔵した校正用基板41を備える。
【0066】
図3に示すように、上記校正用基板41には複数の温度センサ40が設けてあり、各温度センサ40は加熱手段3の移動方向(図3中の矢印参照)と直交する方向に沿って複数配置される。
【0067】
図4は図3におけるA−A線矢視断面図であり、図5は、図3におけるB−B線矢視断面図である。
【0068】
図4および図5に示すように、本実施の形態では、上記温度センサ40は、校正用基板41における、上記加熱手段3と対向する面41aとは反対側の面(反対面41b)側から埋没して設けられている。
【0069】
具体的には、例えば、図4および図5に示すように、校正用基板41の反対面41b側から校正用基板41を加工して掘込部41cを開け(座繰り)、センサ信号線43を挿入し、温度センサ40と校正用基板41との接点47が動かないように耐熱接着剤46で固定することにより、上記温度センサ40を、校正用基板41における、上記加熱手段3と対向する面41aとは反対側の面41b側から埋没して設けることができる。なお、掘込部41cから露出したセンサ信号線43は、図5に示すように配線被覆48により被覆されている。
【0070】
このように校正用基板41の対向面41a側に温度センサ40の表面が曝されないようすることで、被加熱物から発生する分解物等の付着が温度センサ40の検出精度に影響を及ぼすことがなくなり、長期間にわたって安定した測定が可能になる。
【0071】
上記温度センサ40として、熱電対、測温抵抗体等を使用することができるが、安価で安定した温度測定が可能となるため熱電対を使用することが好ましい。
【0072】
温度計測部4による均熱範囲の特定方法については、後述する。
【0073】
なお、本実施の形態では、校正用基板41を挟んで上側に加熱手段3を、下側に温度センサ40を取り付けているが、これらの配置は上下を逆転しても構わない。つまり、校正用基板41を挟んで加熱手段3を下側に配置し加熱手段3の吹出部3aを上に向け、温度センサ40を校正用基板41の上側から取り付けるように装置を構成しても同様の加熱処理を実現できる。
【0074】
また、上述の説明では、校正用基板41上において温度センサ40を並べる方向をスライド機構2の移動方向の直交方向とした構成について説明したが、これに限るものではない。
【0075】
つまり、温度センサ40の配置方法や、温度センサ40の種類、温度センサ40の数はこれに限定するものではなく、加熱手段3の形態、形状、必要とされる温度分布の採り方等によって任意に決められる。よって、上記温度センサ40は、千鳥配置してもよいし、マトリックス配置してもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0076】
但し、本実施形態のように、温度センサ40を、スライド機構2の移動方向の直交方向に並べた場合は、マトリックス状のデータ取得が容易となるため、特に効果が大きい。
【0077】
上述したように、本実施の形態では、温度センサ40を校正用基板41に直接接触させて温度を計測するため、高い検出精度で温度を測定することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、温度計測手段として、温度センサ40が埋没して設けられた校正用基板41を用いる構成について説明したが、これには限られない。例えば、放射温度計により処理基板13の温度計測を行ってもよい。
【0079】
・ 温度調整部(一括加熱可能範囲決定手段)
温度調整部5は、温度計測部4によって検出される均熱範囲と、加熱手段3に関する情報とに基づいて、加熱手段3による一括加熱範囲を決定するように構成されている。
【0080】
具体的には、温度調整部5は、加熱手段3の加熱温度をモニタすることによって、加熱手段3の加熱能力を検出して、加熱手段3の駆動条件を制御(調整)する。加熱手段3は、経時的に均一な加熱能力を発揮するものであることが理想だが、現実的には、経時劣化などに伴って加熱能力が劣化したり、反対に、何らかの理由によって過度に加熱する状態になってしまう場合がある。また発熱体の断線などにより加熱手段を交換した場合に、加熱手段の個体差により所望の温度で加熱できる範囲が変化してしまうことがある。このような加熱能力のばらつきは、本実施形態のような局所加熱装置での加熱不完全あるいは加熱異常を引き起こす虞があり、好ましくない。そこで、本実施形態では、温度調整部5を具備することによって、加熱手段3の加熱能力を検出して、長期間、安定した(均一な)加熱処理を行うことができるよう調整することができる。すなわち、上記加熱手段3に関する情報の一つが、加熱手段3の加熱能力である。後述する一括加熱制御部6が加熱手段3の加熱能力に基づいて制御するように構成されていることによって、例えば、基準の加熱能力よりも高い加熱能力を有する加熱手段であれば、一括加熱可能な範囲が基準の範囲(平均的な範囲)よりも大きくして、一度に一括加熱される加熱対象位置が多くすることができ、タクトタイムの短縮化を図ることができる。また、これとは反対に、基準の加熱能力よりも低い加熱能力を有する加熱手段であれば、一括加熱可能な範囲が基準の範囲(平均的な範囲)よりも小さくすればよく、試算上(計算上)は一括加熱によって加熱されるはずの加熱対象位置であるにも関わらず加熱能力が低い加熱手段であったことによって実施の一括加熱可能な範囲が小さくて加熱されなかった加熱対象位置が発生するのを防ぎ、一括加熱した加熱対象位置を均等に加熱することができる。なお、この温度調整部の調整機能自体は全てを自動にする必要はなく、一部をオペレータが担うような構成としても構わない。具体的には加熱能力の異常を検出した時点でアラーム出力し、オペレータが加熱手段のパワーを調整するか、一括加熱範囲を変更するか、加熱手段の交換を行うかといった複数の選択肢の中から最適な対処方法を判断するといった方法である。
【0081】
上記加熱手段3に関する情報には、他にも、スライド機構2の位置決め精度がある。すなわち、スライド機構2が加熱手段3を移動させて処理基板13上の所望の位置に位置決めする際、正確に位置決めすることができる場合は、所望の局所加熱を行なうことができる一方、位置ズレを生じるような、いわゆる位置決め精度の低いスライド機構2が搭載されている局所加熱装置の場合は、所望の位置に加熱手段13を移動させることができず、結果的には、計算上で想定していた範囲からずれた範囲を加熱してしまうことになる。そこで、本実施形態では、温度調整部5を具備することによって、予め、スライド機構2の位置決め精度を測定しておき、たとえスライド機構2の位置決め精度が低い場合であっても、所望する位置からの誤差を見積もっておき、その誤差をふまえて、一括加熱範囲を決定する。具体的には、該誤差があっても均熱範囲からはみ出さないよう一括加熱範囲を小さくする。こうすることによって例え位置ズレが生じても加熱対象位置が所望の加熱範囲から外れることがない。
【0082】
また、上記スライド機構の位置決め精度に関する記述は基板搬送機構の位置決め精度についても同様である。この他、温度センサの検出精度や個体間バラつきも一括加熱範囲を決める上で考慮すべき項目あり、場合によっては使用環境での風の流れ方、室温変化といった外的要因についても考慮すべき項目に含まれる。
【0083】
上記をまとめると温度調整部5は、温度計測部4によって検出される均熱範囲と、収集した加熱手段3に関する情報とに基づいて、加熱手段3による一括加熱範囲を決定する。決定結果は、一括加熱制御部6に送られる。
【0084】
ここで、温度調整部5は、一括加熱範囲を、最大でも、温度計測部4によって決定される均熱範囲とするように設定するように構成されている。これにより、後述する一括加熱制御部6によって抽出される加熱対象位置に対して良好に一括加熱することが可能である。
【0085】
・ 一括加熱制御部6
一括加熱制御部6は、処理基板13上に散在する加熱対象点のなかから上記温度調整部5が決定した一括加熱範囲に含めることができる加熱対象点を加熱対象位置の位置座標に基づいて複数個抽出して、抽出した加熱対象点を一括加熱するように、上記加熱手段3を制御するための構成である。
【0086】
一括加熱制御部6は、図1および図2に示すように、抽出手段61と、補正手段62とを備えている。
【0087】
一括加熱制御部6の抽出手段61は、加熱対象点の位置座標と、上記温度調整部5が決定した一括加熱範囲とから、処理基板13上に散在する加熱対象点のなかから一括加熱が可能ないくつかの加熱対象点を抽出して、グループ化する。抽出方法の詳細については、後述する局所加熱方法のなかで説明する。
【0088】
加熱対象点それぞれの位置座標は、予め、設定登録されていればよい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、局所加熱装置70に位置座標検出手段を設けて、加熱する前に位置座標を検出する処理をおこなってその検出結果に基づくような構成であってもよい。
【0089】
一括加熱制御部6の補正手段62は、抽出手段61によって得られるグループごとに、処理基板13を加熱するよう、加熱手段3を制御する。具体的には、補正手段62は、基板搬送機構1およびスライド機構2を制御して処理基板13と加熱手段3との相対位置を調整することによって、加熱手段3がグループ内に含まれる複数の加熱対象点を一括して加熱できるようにする。この相対位置の調整についてはグループごとに決められた加熱座標を基準に行われるものとする。
【0090】
ここで、図6は、一括加熱制御部6による局所加熱の制御機構を説明する図である。
【0091】
図6に示す処理基板13には、複数の加熱対象点Pが散在している。本実施形態の局所加熱装置70(図1)は、図6中の丸囲みで示した範囲内に存在する複数の加熱対象点Pを一括して加熱する。丸囲みで示している範囲は、温度計測部4から得られる均熱範囲に基づいている。図6では、3つの加熱対象点Pを一括して加熱する箇所と、4つの加熱対象点Pを一括して加熱する箇所がある。これを例えば、従来構成に基づいて加熱するならば、加熱対象点Pを1つずつ加熱することになるため、3つの加熱対象点Pであれば3回、4つの加熱対象点Pであれば4回の加熱工程(加熱回数)が必要となる。これに対して、本実施形態の場合は、従来構成であれば3回の加熱工程が必要なところを、1回の加熱工程で加熱処理が完了するため、加熱回数を著しく低減させることができ、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0092】
(局所加熱方法)
以下に、上述した局所加熱装置70(図1および図2)を用いておこなう局所加熱方法について説明する。
【0093】
本実施形態における局所加熱方法は、上記加熱対象位置を上記加熱手段により加熱する加熱工程と、上記加熱工程による上記基板上での均熱範囲を決定する均熱範囲決定工程と、上記均熱範囲決定工程によって決定された均熱範囲に基づいて、一括加熱可能範囲を決定する一括加熱可能範囲決定工程と、上記一括加熱可能範囲決定手段によって決定された一括加熱可能範囲に含めることができる複数の加熱対象位置を、加熱対象位置の位置座標に基づいて抽出して、当該抽出した加熱対象位置を一括加熱するように制御する制御工程と、上記制御工程による制御によって、上記加熱手段と上記基板との相対位置を変化させる位置移動工程とを含んでいる。
【0094】
特に、本発明は、上記均熱範囲決定工程、上記一括加熱可能範囲決定工程、および、上記制御工程に基づいて、加熱工程が制御される。
【0095】
・ 均熱範囲決定工程
均熱範囲決定工程では、まず、加熱手段3を図2に示すように校正用基板41との対向領域に移動させて、温度計測部4を用いて加熱手段3の加熱温度を計測する。
【0096】
図7は、本実施形態に係る局所加熱装置70における、温度センサ40と加熱手段3との位置関係の一例を模式的に示す平面図である。以下、図3および図7に従って、温度をN回測定する場合における温度の計測手順の一例について説明する。
【0097】
まず、スライド機構2を用い加熱手段3を1回目の測定位置17に移動させる。そして、温度センサ40を用いて、1回目の測定位置17における温度測定を行う。
【0098】
ここで、本実施形態のように、複数の温度センサ40により同時に温度を測定する場合には、センサ信号線43から出力される信号をデータロガー(図示せず)に入力することで複数の温度センサ40の温度データを同時に取得することが可能となる。
【0099】
また、上記データロガーは更に通信ケーブル等によってパーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等と繋がれ、双方向のデータ通信が可能な状態となっており、上記データロガーによって取得されたデータをPC側に転送できるようになっていてもよい。
【0100】
これによって、後述するPC側での温度データ解析が可能となる他、更に、スライド機構2のドライバPC(以下、「スライド機構ドライバPC」と記す)と通信可能な状態とすることにより、可動子21(図3)の移動完了通知を上記データロガーの測定開始のトリガーとする等、上記データロガーと上記スライド機構2との間の同期が可能となる。つまり、このような構成とすることで限られたセンサ数であっても多点測定を効率よく行うことができる。
【0101】
1回目の測定位置17での測定で一定時間温度測定を行った後、図7に示すように、スライド機構2により加熱手段3を移動方向19に移動させる。
【0102】
これらの工程は、例えば、(i)所定位置での加熱手段3による測定時間を上記スライド機構ドライバPC側のタイマーで計測し、(ii)所定時間を経過すると当該タイマーがその旨を上記スライド機構ドライバPC側に通知し、(iii)これを受けて上記スライド機構ドライバPCは、上記データロガーにその旨伝え、上記データロガーにおける測定を一旦終了させる、のような流れで実現することができる。
【0103】
本実施の形態では、可動子21(図3)が次の測定位置に移動し、移動が完了した時点で、スライド機構2は上記スライド機構ドライバPCにその旨通知する。そして、上記スライド機構ドライバPCは上記データロガーに対し測定開始のトリガーを発信する。これを受けた上記データロガーは温度の測定を開始する。以降、図7に示すN回目の測定位置18での測定を終えるまで同様の操作が繰り返される。以上の操作により、加熱手段3の加熱温度の温度分布を計測することができる。
【0104】
図8は、図6の方法により温度計測を行った場合における、校正用基板41上の測定点81と測定範囲80とを模式的に示す平面図である。図8中、点線で囲んだ範囲が1回目の測定位置での測定点群82である。
【0105】
図9は、図8の各測定点における測定結果から求めた、校正用基板41上における温度分布の一例を示す等高線図(実線)である。図9における温度は、例えば、測定開始から測定完了までの温度を平均したものである。
【0106】
以下に、局所加熱処理を行う場合の温度均一範囲の求め方を説明すると、局所加熱処理において許容される温度範囲の上限及び下限が規定されていると仮定した場合に、加熱手段3に供給する電力及び熱輸送媒体の流量を調整し、測定範囲80内の最高温度が上限温度以下になるよう調整する。このような調整を行った状態で上述した加熱温度測定を行い、図9に示すような温度の等高線85が得られたとする。図9において、上記下限温度が実線84であるとすると、実線84に囲まれる範囲内が局所加熱処理でいうところの温度均一範囲(均熱範囲84)になる。
【0107】
なお、このときに要求される温度均一範囲が点線83で示されている範囲であるとすると、図9に示す温度分布では、実際に測定した加熱中心87の位置と設定した加熱中心86の位置とが一致しており、係る場合における加熱処理は適正に行われると判断することができる。
【0108】
なお、測定結果から等高線図を求める場合の算出方法については、先に述べた温度計測工程において例示した方法に限定されるものではなく、例えば、各測定点81における、測定開始から任意時間経過後の瞬時値であってもよいし、任意経過後から一定時間の間の平均値であってもよいし、これ以外の値であってもよい。
【0109】
以下、図10および図11〜図18に基づいて、各測定点における温度測定結果から加熱中心を算出するアルゴリズムの一例を説明する。図10は、各測定点における温度測定結果から加熱中心を算出するアルゴリズムの一例を示すフロー図である。より具体的には、要求される温度均一範囲83が円形であると仮定し、得られた温度分布から最も広範囲に温度均一円を切り出すための具体的なアルゴリズムを説明するフロー図である。また、図11〜図18は、図10に示すアルゴリズムを模式的に示す平面図であり、図11〜図18は、図10中の(a)〜(h)の記号が付された各工程にそれぞれ対応する。
【0110】
図10に示すように、まず、工程S(A)1により変数の初期化を行った後、工程S(A)2により、測定範囲80における測定点81から温度均一範囲を特定する。図11では、温度均一範囲にある点89を黒丸で示している。
【0111】
続いて、工程S(A)3により、図12に示すように、温度均一範囲にある点89と、それと隣り合う、温度均一範囲ではない測定点81’との測定点間を内挿して境界点90を作成する。より具体的には、例えば、隣り合う温度均一範囲にある点89(黒丸)と温度均一範囲ではない測定点81’(白丸)とのそれぞれの温度について一次補間式を作成し、当該式に上記下限温度を代入することで各境界における座標値を求め、境界点90を求めることができる。
【0112】
次に、工程S(A)4により、図13に示すように、求めた上記境界点90において、隣り合う境界点90を線で結ぶことにより、境界カーブ91を作成する。境界カーブは、例えば、隣り合う境界点を直線で結ぶことで得られる。
【0113】
次に、工程S(A)5〜工程S(A)10により、内点(温度均一範囲にある点)89−境界カーブ91間の距離diを計算する。
【0114】
具体的には、工程S(A)5〜工程S(A)8により境界カーブの全周の分割数n回繰り返し、特定の内点(温度均一範囲にある点)89における、境界カーブ91との間の最小距離dminを求める。例えば、図14に示すように、境界カーブ91の全周を12個に分割し、特定の内点における、境界カーブ91との間の距離diをそれぞれ求めることにより、最小距離dminを求めることができる。
【0115】
そして、工程S(A)9により、上記最小距離dminが、温度均一範囲の半径Rmaxよりも大きければ、温度均一範囲の半径Rmaxを上記最小距離dminとした上で、当該内点89を暫定的な加熱中心O’とする(図15参照)。
【0116】
続いて、工程S(A)10により、他の内点がまだ存在すれば、工程S(A)5に戻り、別の内点についても上述と同様に工程S(A)5〜工程S(A)9を行い、全ての内点について最小距離dminを求めるまで、工程S(A)5〜工程S(A)10を繰り返す。
【0117】
全ての内点について測定後は、工程S(A)11により、工程S(A)9で決定した暫定的な加熱中心O’の周囲に、図16に示すような近接点94を生成する。
【0118】
そして、工程S(A)5〜工程S(A)10と同様に、工程S(A)12〜工程S(A)17により、近接点94−境界カーブ91間の距離ddiを計算する。具体的には、工程S(A)12〜工程S(A)15を境界カーブの全周の分割数m回繰り返し、特定の近接点94における、境界カーブ91との間の最小距離ddminを求める(図17参照)。
【0119】
そして、工程S(A)16により、上記最小距離ddminが、温度均一範囲の半径Rmaxよりも大きければ、温度均一範囲の半径Rmaxを上記最小距離ddminとした上で、当該内点を最終的な加熱中心(実際の加熱中心)Oとする。
【0120】
続いて、工程S(A)17により、近接点94が他にも存在する場合には、工程S(A)12に戻り、別の近接点94についても上述と同様に工程S(A)12〜工程S(A)16を行い、全ての近接点94について最小距離ddminを求めるまでこれらの工程を繰り返す。そして、全ての近接点94について最小距離ddminを求めた後、工程S(A)18により、実際の加熱中心O、Rmaxを出力して終了する(図18参照)。
【0121】
以上の方法によって、均熱範囲が得られる。
【0122】
なお、上述の説明では、例えば、図14に示すように、内点89と境界カーブ91との間の距離を12方向について計算しているが、これに限るものではない。この場合の探索方向は、必要とされる加熱中心の位置の正確さによって任意に選ぶことができる。工程(g)についても同様である。
【0123】
・ 一括加熱可能範囲決定工程
一括加熱可能範囲決定工程では、均熱範囲決定工程によって検出される均熱範囲と、加熱手段3に関する情報とに基づいて、加熱手段3による一括加熱範囲を決定する。
【0124】
一括加熱範囲を決定する方法については、上述しているため、ここでの説明は省略する。
【0125】
・ 制御工程
制御工程では、上述した一括加熱可能範囲決定工程によって決定された一括加熱範囲と、加熱対象点の位置座標とに基づいて、処理基板13(図1)上に散在する全ての加熱対象点のなかから或る一括加熱可能範囲に含めることができる複数の加熱対象点Pを抽出して、抽出された複数の加熱対象点Pに対して一括加熱するように制御する。
【0126】
図19は、処理基板13内の一部分である領域13´を拡大した状態を示している。
【0127】
この領域13´内には、図19に示すように、5つの加熱対象点P1〜P5が示されている。これら各加熱対象点P1〜P5の位置座標は、上述したように予め設定登録されている。
【0128】
ここで、図20と、図21および図22とに基づいて、一括加熱が可能な複数の加熱対象点を抽出するアルゴリズムの一例を説明する。図20は、一括加熱が可能な複数の加熱対象点を抽出するアルゴリズムの一例を示すフロー図である。また、図21および図22は、図20に示すアルゴリズムを模式的に示す平面図である。
【0129】
図20に示すように、まず、工程S(B)1により変数の初期化を行った後、工程S(B)2により、上記一括加熱可能範囲決定工程によって決定された一括加熱可能範囲の情報と、各加熱対象点P1〜P5の位置座標の情報とを取得する。図21は、図19に示した拡大部分を図示したものである。
【0130】
続いて、工程S(B)3〜工程S(B)4により、例えば加熱対象点P1と一括加熱が可能な他の加熱点を探索する際に予め自分自身(P1)を除外し、更に既にこの時点で別グループに属している加熱点があればこれも対象から除外する。
【0131】
続いて、工程S(B)5により、図21に示すように、例えば加熱対象点P1と、加熱対象点P2との直線距離DDを、各々の位置座標に基づいて計算する。
【0132】
そして、工程S(B)6〜工程S(B)10により、直線距離DDが、均熱範囲84の直径Dと同じまたは直径Dよりも小さければ、加熱対象点P2を、加熱対象点P1を含む1つのグループの構成要素の候補とする。他の加熱対象点P3,P4,P5についても、加熱対象点P1との直線距離DDを計算して、加熱対象点P1を含む1つのグループの構成要素の候補となるか否かを求める。図21では、加熱対象点P5の直線距離DDが均熱範囲84の直径Dよりも大きい。そのため、加熱対象点P5は、加熱対象点P1を含む1つのグループの構成要素には含まれない。すなわち、この段階(前段階)では、加熱対象点P2,P3,P4が、「加熱対象点P1を含む1つのグループの構成要素」の候補となる。
【0133】
このように、複数の加熱対象点が候補として特定された場合には、続いて、工程S(B)11〜工程S(B)13により、加熱対象点P1と加熱対象点P2,P3,P4との直線距離DDのうち最も長い直線距離DDを選択して、選択された加熱対象点と加熱対象点P1との中間点Pmの位置座標を求める。
【0134】
そして、工程S(B)14〜工程S(B)22により、中間点Pmを基準点として、基準点から加熱対象点P1までの直線距離DDDを位置座標に基づいて計算する。続いて、工程S(B)23により、求めた直線距離DDDが、均熱範囲84の直径Dの2分の1の長さと同じか、または、直径Dの2分の1の長さよりも短いかを判定する。直線距離DDDが直径Dの2分の1以下であれば、加熱対象点P1を含む一括加熱するグループの構成要素とする。これと同様に、工程S(B)24〜工程S(B)28により、基準点から加熱対象点P2,P3,P4までのそれぞれの直線距離DDDを計算し、直径Dの2分の1との比較を経て、加熱対象点P1を含む一括加熱するグループの構成要素になるか否かを判定する。図22は、中間点Pmと各加熱対象点との位置関係を示している。図22によれば、上記前段階では候補となっていた加熱対象点P4が、P4とPmの座標から両者間の直線距離DDDを計算して(工程S(B)22)、d/2より大きな値であることから(工程S(B)23)、NGROUPに0が代入されて(工程S(B)24)、最終的に工程S(B)28までの間で、加熱対象点P1を含む一括加熱するグループの構成要素には含まれないことが特定される。すなわち、最終段階で、上記グループの構成要素として抽出されるのは、加熱対象点P1,P2,P3の3点となる。
【0135】
そして、工程S(B)29により、中間点Pmに、均熱範囲決定工程で求めた加熱中心O(図22中の十字位置)を合わせるように基板搬送機構1とスライド機構2を用いて加熱手段3と処理基板13の位置合わせをおこなって、加熱対象点P1,P2,P3を一括加熱して、1つの加熱工程を終了する。
【0136】
一括加熱するグループの構成要素にならなかった加熱対象点P4およびP5については、別の加熱工程で加熱(焼成)が行なわれる。図22には、加熱対象点P4と、加熱対象点P5とにそれぞれ単独での加熱(焼成)処理が行なわれたことを示している。
【0137】
すなわち、領域13´内に散在する5つの加熱対象点P1〜P5のうち、加熱対象点P1,P2,P3を一括加熱することで、従来は5つの加熱対象点をそれぞれに加熱処理を行うのに対して、本実施形態では、計3回の加熱回数で済む。
【0138】
(本実施形態の液晶表示装置の作用効果)
上述したように、本実施形態の局所加熱装置70および局所加熱方法は、処理基板13上の或る範囲内に在る複数の加熱対象点を抽出して、それらを一括して加熱することから、加熱対象点ごとに加熱(焼成)する従来構成と比較して、加熱回数を減らすことができ、よって、タクトタイムの短縮を充分に実現することができる。
【0139】
また、ピンポイントではなく或る領域に対して加熱処理を行うことから、1つの加熱対象位置を狙って加熱する場合と比較して、ターゲットマーカ等を使った高精度な位置決めが不要であり、装置を安価に提供することができる。
【0140】
〔実施の形態2〕
本発明に係る局所加熱装置70の他の実施形態について、図23に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前述の実施の形態で用いたものと同じ機能を有する部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0141】
上述の実施の形態1では、図22に示した一括加熱するグループに含まれなかった加熱対象点P4は単独で加熱(焼成)している。これに対して、本実施形態では、この加熱対象点P4を、単独加熱ではなく、別の一括加熱するグループに含めて、一括加熱する点が特徴である。
【0142】
すなわち、本実施形態では、上記実施形態1の制御工程において一括加熱するグループが決定された後で、この一括加熱する領域から外れた或る領域において、図20に示したアルゴリズムに基づいて、また別のグループを決定する。当該別のグループを決定する際、先のグループから外れた加熱対象点P4と、新たに抽出した加熱対象点P6とを一括加熱するグループの構成要素として抽出して、このグループを一括加熱する。
【0143】
各加熱対象点は最低一回加熱すればよい。そのため、一度一括加熱対象になった加熱対象点は以降の探索から外れる。実施形態1のように加熱対象点の番号順にこれと一括加熱する加熱点を探索した場合、加熱対象点P1と一括加熱することになった時点で加熱対象点P2、P3は以降の探索から外れる。また、次に加熱対象点P4と一括加熱することになった時点で加熱対象点P6は以降の探索から外れる。図20でいうと、NGROUP=0?の判定を行っている工程S(B)3、工程S(B)4、工程S(B)20、および、工程S(B)21において0以外の整数が入る場合は探索から外れる。
【0144】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、これらについても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明の局所加熱装置は、厳格な温度管理が要求されるプロセスであっても長期間安定して加熱処理を行うことができる。このため、液晶、プラズマ、有機EL(Electro Luminescence)、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)等のFPD(Flat Panel Display)や、太陽電池等の製造工程において、基板上に直接塗布した液体を乾燥させたり、熱硬化性材料を加熱して硬化させたりすることで基板上に薄膜を形成する製造装置等に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0146】
1 基板搬送機構
2 スライド機構(加熱手段移動手段)
3 加熱手段
3a 吹出部
3b 供給部
4 温度計測部(均熱範囲決定手段)
5 温度調整部(一括加熱可能範囲決定手段)
6 一括加熱制御部(制御手段)
7 加熱エリア
8 温度校正エリア
9 ローラー
10 回転軸
11 回転軸支持部材
13 処理基板
13´ 加熱対象領域
14 支持部
15 電力線
16 配管
17 測定位置
18 測定位置
19 移動方向
20 スライド機構支持部材
21 可動子
28 内点
40 温度センサ
41 校正用基板
41a 対向面
41b 反対面
41c 掘込部
42 校正用基板ホルダ
43 センサ信号線
46 耐熱接着剤
47 接点
48 配線被覆
61 抽出手段
62 補正手段
70 局所加熱装置
80 測定範囲
81 測定点
81’ 測定点
82 測定点群
83 温度均一範囲
84 均熱範囲
85 等高線
86 加熱中心
87 加熱中心
89 内点
90 境界点
91 境界カーブ
94 近接点
P1〜P6 加熱対象点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に散在する加熱対象位置を局所加熱する局所加熱装置であって、
上記加熱対象位置を加熱する加熱手段と、
上記加熱手段による上記基板上での均熱範囲を決定する均熱範囲決定手段と、
均熱範囲決定手段によって決定された均熱範囲に基づいて、一括加熱可能範囲を決定する一括加熱可能範囲決定手段と、
上記一括加熱可能範囲決定手段によって決定された一括加熱可能範囲に含めることができる複数の加熱対象位置を、加熱対象位置の位置座標に基づいて抽出して、当該抽出した加熱対象位置を一括加熱するように、上記加熱手段を制御する制御手段と、
上記制御手段による制御によって、上記加熱手段と上記基板との相対位置を変化させる位置移動手段とを備えていることを特徴とする局所加熱装置。
【請求項2】
上記制御手段は、
上記抽出した加熱対象位置のうちの1つの上記加熱対象位置を加熱手段による加熱中心位置として仮定した場合に当該1つの上記加熱対象位置とともに一括加熱が可能な加熱対象位置を抽出する抽出手段と、
上記抽出手段によって抽出された加熱対象位置のうち、上記加熱中心位置から最も離れた位置にある上記加熱対象位置を探索して、当該探索した加熱対象位置と当該加熱中心位置との中間点の位置座標を求めて、一括加熱する際の加熱中心が当該中間点の位置座標となるように、上記加熱手段の位置を補正する補正手段とを有していることを特徴とする請求項1または2に記載の局所加熱装置。
【請求項3】
上記一括加熱可能範囲決定手段は、上記一括加熱可能範囲を、最大でも、上記均熱範囲決定手段によって決定される均熱範囲とするように設定する構成となっていることを特徴とする請求項2に記載の局所加熱装置。
【請求項4】
上記一括加熱可能範囲決定手段は、上記均熱範囲とともに、上記加熱手段の加熱能力、および、上記位置移動手段の位置決め精度に基づいて、一括加熱可能範囲を決定するように構成されていることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の局所加熱装置。
【請求項5】
上記制御手段は、上記或る一箇所の均熱範囲に含まれる複数の加熱対象位置のうち、一括加熱する加熱対象位置として抽出されなかった加熱対象位置を、別の位置にて決定される一括加熱可能範囲に含まれる加熱対象位置として抽出して、一括加熱するように構成されていることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の局所加熱装置。
【請求項6】
上記均熱範囲決定手段は、校正用基板と、当該校正用基板に埋設された温度センサとを有しており、
上記加熱手段によって上記校正用基板を加熱して、上記温度センサによって得られる温度分布に基づいて上記均熱範囲を決定するように構成されていることを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の局所加熱装置。
【請求項7】
基板上に散在する加熱対象位置を加熱手段によって局所加熱する局所加熱方法であって、
上記加熱対象位置を上記加熱手段により加熱する加熱工程と、
上記加熱工程による上記基板上での均熱範囲を決定する均熱範囲決定工程と、
上記均熱範囲決定工程によって決定された均熱範囲に基づいて、一括加熱可能範囲を決定する一括加熱可能範囲決定工程と、
上記一括加熱可能範囲決定工程によって決定された一括加熱可能範囲に含めることができる複数の加熱対象位置を、加熱対象位置の位置座標に基づいて抽出して、当該抽出した加熱対象位置を一括加熱するように制御する制御工程と、
上記制御工程による制御によって、上記加熱手段と上記基板との相対位置を変化させる位置移動工程とを含むことを特徴とする局所加熱方法。
【請求項8】
上記制御工程は、
上記抽出した加熱対象位置のうちの1つの上記加熱対象位置を加熱手段による加熱中心位置として仮定とした場合に当該1つの上記加熱対象位置とともに一括加熱が可能な加熱対象位置を抽出する抽出工程と、
上記抽出工程によって抽出された加熱対象位置のうち、上記加熱中心位置から最も離れた位置にある上記加熱対象位置を探索して、当該探索した加熱対象位置と当該加熱中心位置との中間点の位置座標を求めて、一括加熱する際の加熱中心が当該中間点の位置座標となるように、上記加熱手段の位置を補正する補正工程とを含むことを特徴とする請求項7に記載の局所加熱方法。
【請求項9】
上記制御工程は、上記或る一箇所の均熱範囲に含まれる複数の加熱対象位置のうち、上記一部の加熱対象位置として抽出されなかった加熱対象位置を、別の均熱範囲に含まれる複数の加熱対象位置のうちの一部の加熱対象位置として抽出して一括加熱するよう制御することを特徴とする請求項7または8に記載の局所加熱方法。
【請求項10】
上記均熱範囲決定工程は、温度センサを設けた校正用基板を加熱して、当該温度センサによって得られる温度分布に基づいて上記均熱範囲を決定することを特徴とする請求項7から9までの何れか1項に記載の局所加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−224463(P2011−224463A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96507(P2010−96507)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】