説明

屈折率の計測方法および計測装置

【課題】被検物の屈折率を短時間で高精度に計測すること
【解決手段】第1の媒質60と被検物50に光を入射させて第1の容器40内の第1の媒質と被検物の光路長の和Zを計測し、被検物を配置せずに第1の媒質に光を入射させて第1の容器内の第1の媒質の光路長Z10を計測し、第1の媒質とは異なる屈折率を有する第2の媒質61と被検物に光を入射させて第2の容器41内の第2の媒質と被検物の光路長の和Zを計測し、被検物を配置せずに第2の媒質に光を入射させて第2の容器内の第2の媒質の光路長Z20を計測する。Z、Z10、Z、Z20と、第1の容器の被検物を挟む面間隔Lと、第2の容器の被検物を挟む面間隔Lから被検物の屈折率を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率の計測方法および計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被検物を2枚の透明板の間にそれぞれ間隙を設けて固定した上で透明板同士、透明板と被検物の間隙、被検物内部それぞれの光路長を計測して、その計測値から被検物の屈折率を算出する方法を提案している。特許文献2は、屈折率が異なる2種類のマッチングオイルのそれぞれに屈折率および形状が既知のガラス試料と被検物を浸して被検物の屈折率を計測する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−344313号公報
【特許文献2】特開平02−008726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された方法は、曲面を有するレンズ等の被検物が光軸に対して偏芯または傾斜している状態であると計測することが難しく、偏芯・傾きの厳密な調整は時間がかかり、また、反射面の曲率の影響で計測値に誤差が含まれるという問題がある。
【0005】
特許文献2に開示された方法では、マッチングオイルの屈折率の調整は、異なる種類のオイルを混ぜて調整するために時間がかかる。また、屈折率が高いマッチングオイルは透過率が低いため、特許文献2の方法により高屈折率の被検物の透過波面を計測すると、検出器からは小さな信号しか得られず、計測精度が低くなる。
【0006】
本発明は、被検物の屈折率を短時間で高精度に計測することができる計測方法および計測装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の計測方法は、第1の容器内に配置された第1の媒質と被検物に光を入射させて前記第1の媒質と前記被検物の光路長の和を計測する第1計測ステップと、前記第1の容器の前記第1の媒質を含み、前記被検物を含まない領域に前記光を入射させて前記第1の媒質の光路長を計測する第2計測ステップと、第2の容器内に配置された前記第1の媒質とは異なる屈折率を有する第2の媒質と被検物に光を入射させて前記第2の媒質と前記被検物の光路長の和を計測する第3計測ステップと、前記第2の容器の前記第2の媒質を含み、前記被検物を含まない領域に前記光を入射させて前記第2の媒質の光路長を計測する第4計測ステップと、計測された光路長と各計測における前記第1の媒質または前記第2の媒質内の光路の前記光の光透過方向における間隔に基づいて、前記被検物の屈折率を算出する算出ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被検物の屈折率を短時間で高精度に計測することができる計測方法および計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】計測装置のブロック図である。(実施例1)
【図2】図1に示す計測装置によって被検物の屈折率を算出する手順を示すフローチャートである。(実施例1)
【図3】計測装置のブロック図である。(実施例2)
【図4】図3に示す分光器で得られる干渉信号を示す図である。(実施例2)
【図5】計測装置のブロック図である。(実施例3)
【図6】図5に示す計測装置の変形例のブロック図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の計測装置(低コヒーレンス干渉計)のブロック図である。本実施例の計測装置は、異なる屈折率を有する2種類の媒質中に被検物を配置した状態で被検物と媒質の光路長の和と、被検物を配置しない状態での媒質の光路長を計測し、計測結果を用いて被検物の屈折率を求める。被検物は、本実施例では、負のパワーを持つレンズであるが、計測装置は被検物の屈折率を計測するものであるから、被検物はレンズでも平板でもよく屈折型光学素子であれば足りる。
【0012】
計測装置は、光源10、干渉光学系、ミラー(参照物)70、媒質と被検物を収納可能な容器(第1の容器40、第2の容器41)、検出器(検出手段)80、コンピュータ90を有し、被検物50の屈折率を計測する。本実施例の計測装置は、被検物の群屈折率、位相屈折率、厚みを算出することができる。光源10、干渉光学系、ミラー70、容器、検出器80は計測手段を構成する。
【0013】
光源10は、波長帯域の広い(スペクトルの広がった)低コヒーレンス光を発する光源(例えば、SLD:スーパールミネッセントダイオード)である。広帯域光源のコヒーレンス長Δzは、次式で表すことができる。
【0014】
【数1】

【0015】
ここで、λは広帯域光源の中心波長、Δλはスペクトル幅である。光路長を高精度に計測するためにはΔz<30μmであることが望ましい。例えば、λ=1.310μm、Δλ=0.050μmとすると、Δz〜15μmとなる。
【0016】
干渉光学系は、光源10からの光束を二つに分割し、一方の光を被検物に導き、他方の光を参照物に導く。また、被検物50を収納する容器(被検物を挟む面)によって反射した被検光と参照物によって反射した参照光とを重ね合わせて干渉させた干渉光を検出器80に導光する。干渉光学系は、(コリメータ)レンズ20、ビームスプリッタ30、(集光)レンズ21、22を有する。
【0017】
レンズ20は光源10とビームスプリッタ30との間に配置され、光源10からの光束を平行光に変換する。レンズ21はビームスプリッタ30と容器との間に配置され、ビームスプリッタ30からの光を被検物50に集光する。レンズ22はビームスプリッタ30と検出部80との間に配置され、ビームスプリッタ30からの干渉光を検出部80に集光する。
【0018】
ビームスプリッタ30は、例えば、キューブハーフミラーから構成され、界面(接合面)31において、光源10からの光の一部を90°上方向に反射すると共に残りを透過する。反射光は、図1の上方に配置されたミラー70に反射され、透過光は界面31を透過して図1の右側に配置された容器に進む。
【0019】
また、ビームスプリッタ30は、界面(接合面)31において、ミラー70からの参照光の一部を透過し、残りを光源側に反射する。また、ビームスプリッタ30は、界面(接合面)31において、容器らの被検光の一部を90°下向きに反射し、残りを光源側に透過する。この結果、参照光の一部と被検光の一部は干渉して干渉光を形成し、干渉光は検出部80に射出される。
【0020】
第1の容器40は、第1の媒質60(例えば、空気)と被検物50を収納している。本実施例では、第1の媒質60と被検物50が第1の容器内において配置される領域は第1の容器40の容積の全部であってもよいし、一部であってもよい。
【0021】
被検物50は、矢印で示すように第1の容器40からの出し入れ(着脱)が可能である。第1の容器40は、媒質60と屈折率の異なる第2の媒質61(例えば、オイル)を収納した第2の容器41と自動または手動で交換することができる。被検物50は、矢印で示すように第2の容器41からの出し入れも可能である。
【0022】
第1の容器40の光透過方向の側面40aは、光を透過する材質(例えば、ガラス)で構成されている。もう一方の側面40bは、光を透過する材質であってもよいし、透過しない材質(例えば、ミラー)であってもよい。第2の容器41も同様に構成されている。被検光は、ビームスプリッタ30からの透過光が容器や被検物で反射された光である。
【0023】
ミラー70は、ステージ71によって光路に沿って移動可能に支持されている。ミラー70の移動量は、不図示の測長システム(例えば、エンコーダやレーザ測長機)で計測し、情報処理かつ算出手段としてのコンピュータ90で制御されている。以下、ミラー70とステージ71をまとめて可動鏡と呼ぶ。参照光は、ビームスプリッタ30からの反射光がミラー70で反射された光である。
【0024】
検出器80は、ビームスプリッタ30からの干渉光の光強度を検出し、フォトダイオードなどから構成されている。
【0025】
コンピュータ90は、検出器80の検出結果(計測結果)から被検物の屈折率を算出する算出手段として機能すると共に可動鏡の移動量を制御する制御手段としても機能し、CPUなどから構成されている。コンピュータ90は、光源10の点灯、被検物50の第1の容器40または第2の容器41からの着脱や第1の容器40と第2の容器41の交換を更に制御してもよい。
【0026】
図2は、被検物50の屈折率を算出する手順を示すフローチャートであり、「S」はStep(ステップ)の略である。
【0027】
まず、図1に示したように、第1の容器内に第1の媒質60を満たし、第1の媒質中に被検物50を配置する(S10)。
【0028】
次に、光軸に対する被検物50の偏芯を調整する(S20)。例えば、第1の容器40の後方(容器を挟んで光源と反対側)にスクリーン等の光を散乱する部材を配置し、被検物50を媒質中に配置した場合と配置しない場合でスクリーン上の光の位置が同じになるように被検物50の偏芯を調整する。スクリーンの代わりにCCD等撮像素子を配置してもよい。また、側面40bが、光を透過しない部材の場合は、側面40bをスクリーンの代わりとして用いてもよい。
【0029】
次に、第1の容器内に配置された第1の媒質60と被検物50に光を入射させて被検物50と第1の媒質60の光路長の和Zを計測する第1計測ステップが行われる(S30)。光源10から射出された光は、レンズ20でコリメートされた後、ビームスプリッタ30で透過光と反射光に分割される。反射光は、ビームスプリッタ30で一部が透過し、レンズ22を通って検出器80に至る。
【0030】
透過光は、レンズ21を通った後、容器内の媒質、そして被検物50に入射する。この光は、容器40の側面40aの前面と後面、被検物50の前面と後面、容器40の側面40bの前面と後面のそれぞれで部分的に反射される。ただし、側面40bが光を透過しない材質の場合、光は前面だけで反射する。ここでは、光源10に近い方の面を前面、遠い方の面を後面と呼ぶ。
【0031】
図1は、側面40aの後面と側面40bの前面で反射した光を矢印で示している。これらの反射光は、再度レンズ21を通った後、ビームスプリッタ30へ到達する。その後、ビームスプリッタ30で一部の光が反射して、レンズ22を通って検出器80に至る。
【0032】
被検光と参照光の干渉は、可動鏡の移動に対して局所的に発生し、検出器80で検出される。干渉信号はミラー70の移動量と関係し、干渉は被検光と参照光の光路長差がないとき生じる。被検光は、容器の各面、被検物50の各面で部分的に反射されるため、可動鏡の移動に伴って複数の干渉信号が検出される。これら干渉信号のピーク間の距離が、各面間の光路長(光学的距離)に相当する。
【0033】
第1の容器内の被検物50と第1の媒質60の光路長の和Zは、側面40aの後面と被検物50の前面の間、被検物50の前面と被検物50の後面の間(被検物50の厚み)、被検物50の後面と側面40bの前面の間の3つの光路長の和に相当する。
【0034】
言い換えると、図1に示した矢印の反射光(側面40aの後面と側面40bの前面の反射光)の間の光路長に相当する。つまり、計測する干渉信号は、図1に示した矢印の反射光によるものだけであり、被検物50における反射光の干渉信号は検出しなくてよい。このため、被検物50が傾いていても支障はない。また、被検物50の反射光の干渉信号を検出したとしても無視してよい。
【0035】
第1の媒質60の光路長の和Zは、次式で表される。
【0036】
【数2】

【0037】
但し、N(λ)は被検物50の群屈折率、ng1(λ)は第1の媒質60の群屈折率であり、屈折率を波長の関数として表示している。Lは被検物50の光透過方向における幾何学厚みである。Lは、第1の容器40の側面40aの後面と側面40bの前面の間の幾何学距離(第1の容器40の被検物50を挟む一対の面の光透過方向における面間隔)であり、本実施例では既知の値である。あるいは、その代わりに、第1の容器40に第1の媒質を入れる前、もしくは被検物50と第1の媒質60を第1の容器40から取り出した後にLを計測してもよい。
【0038】
次に、被検物50を第1の媒質60(第1の容器40)から取り出す(S40)。そして、第1の容器の第1の媒質60を含み、被検物50を含まない領域に光を入射させて第1の媒質60の光路長Z10を計測する第2計測ステップが行われる(S50)。光路長Z10は第1の媒質60における側面40aの後面と側面40bの前面の間の光路長であり、第1の媒質が空気の場合はLに空気の群屈折率を乗算したものに相当する。
【0039】
第1の媒質60の光路長Z10は、次式で表される。
【0040】
【数3】

【0041】
続いて、第1の容器40を、第2の媒質61が満たされた第2の容器41に交換し、第2の媒質中に被検物50を配置する(S60)。本実施例では、第1の容器40を別の容器41に交換しているが、第1の容器40の媒質を第1の媒質60から第2の媒質61に交換するだけでもよい。このときは、第1の容器40がそのまま第2の容器となる。また、媒質の温度を変えると屈折率が変化することを利用して、第1の媒質の温度を変えたものを第2の媒質として代替してもよい。
【0042】
次に、S20と同様に、被検物50の偏芯を調整する(S70)。S70は、被検物50の偏芯ずれが小さければ省いてもよい。
【0043】
次に、S30と同様に、第2の容器内の被検物50と第2の媒質61の光路長の和Zを計測する第3計測ステップが行われる(S80)。第2の媒質における光路長の和Zは、数式4で表される。
【0044】
【数4】

【0045】
但し、ng2(λ)は第2の媒質61の群屈折率、Lは第2の容器41の側面41aの後面と側面41bの前面の間の幾何学距離(第2の容器41の被検物50を挟む一対の面の光透過方向における間隔)であり、Lと同様に、本実施例では既知の値である。S60で第1の容器と第2の容器が同じ容器である場合は、LとLは等しくなる。
【0046】
続いて、S50と同様に、被検物50を第2の媒質61(第2の容器41)から取り出す(S90)。そして、第2の容器の第2の媒質61を含み、被検物50を含まない領域に光を入射させて第2の媒質61の光路長Z20を計測する第4計測ステップが行われる(S100)。光路長Z20は第2の媒質61における側面41aの後面と側面41bの前面の間の光路長であり、数式5で表される。
【0047】
【数5】

【0048】
最後に、計測された光路長Z、Z10、Z、Z20と既知である第1の容器40の面間隔L、第2の容器41の面間隔Lから、被検物50の屈折率を算出する(S110)。なお、Lは第1の媒質内の光路の光の光透過方向における間隔であり、Lは第2の媒質内の光路の光の光透過方向における間隔である。S110の算出ステップは、数式2〜5より、L、ng1(λ)、ng2(λ)を消去(分離)し、被検物50の厚み情報を用いずに被検物50の群屈折率N(λ)を次式によって算出する。
【0049】
被検物50の厚み情報を使用しないので被検物の傾いていても計測可能になる。また、媒質によってレンズの屈折力を低下させるため、被検物がパワーを持つレンズであっても計測波面がほぼ平面であるため高精度に被検率の屈折率を計測することができる。
【0050】
【数6】

【0051】
被検物50の厚みL、第1の媒質の屈折率ng1(λ)、第2の媒質の屈折率ng2(λ)は、数式7で表される。
【0052】
【数7】

【0053】
数式6で得られる群屈折率N(λ)は、光源10の中心波長に対応する被検物50の群屈折率である。他の波長の位相屈折率Np(λ)を求める場合は、既知の被検物の硝材の分散曲線を用いて算出することができる。求める波長λの位相屈折率の文献値をNp0(λ)、光源10の中心波長λに対応する群屈折率の文献値をNg0(λ)とすると、位相屈折率N(λ)は数式8によって得られる。
【0054】
【数8】

【0055】
数式6および数式8でそれぞれ得られる群屈折率N(λ)、位相屈折率N(λ)は、真空に対する屈折率、つまり絶対屈折率である。これを空気に対する相対屈折率にするには、N(λ)、N(λ)に空気の屈折率による補正を加えればよい。もしくは、容器の面間隔L、Lを、幾何学距離から光学的距離の値に変えて数式6に代入すればよい。
【0056】
本実施例は、図1に示すように、側面40aの後面と側面40bの前面で反射した被検光を計測している。その代わりに、被検物50を挟む面であれば、他の面の反射光を用いてもよい。
【0057】
例えば、容器40の側面40aの前面と、側面40bの後面の反射光を用いてもよい。その場合、数式2〜5で示した光路長は、容器40の側面40aと40bの光路長(光学的厚み)の分だけ大きくなる。しかし、容器40の側面40aと40bの光路長を別途計測しておけば、数式2〜5の光路長から容器の側面の光路長の分を引き算して補正できる。特に、容器の側面の屈折率と媒質の屈折率がほぼ等しいとき、両者の界面の反射率が非常に小さくなるため、干渉信号を計測することが難しい。この場合は、上記のように他の面の利用が有効である。尚、光路長を高精度に計測するためには、光路長を計測する2つの面が、平面である方が好ましい。
【0058】
数式6を見ると、分母は、第1の媒質60と第2の媒質61の各々における、被検物50と媒質の光路長の和と媒質の光路長の差分を、さらに引き算した形になっている。そのため、第1の媒質60の屈折率と第2の媒質61の屈折率がほぼ等しい場合、分母が非常に小さくなる。分母が小さいと、分子にある各媒質の群屈折率ng1(λ)=Z10/L、ng2(λ)=Z20/Lの計測誤差の影響が大きくなり、群屈折率N(λ)の算出精度が低下する。高精度に計測するには各媒質の屈折率差を大きくすればよい。
【0059】
本実施例では、波長帯域の広い光源としてSLDを用いているが、その代わりにパルスレーザでもよいし、ハロゲンランプのような白色光源でもよい。
【0060】
本実施例で説明した光路長の計測は、低コヒーレンス干渉法を用いている。その代わりに、タイムオブフライト法、位相差検出法、2色法等の測距技術でも代替可能である。
【0061】
以上のように、本実施例の計測方法は、異なる屈折率をそれぞれ有する2種類の媒質の各々において、被検物を配置した状態での被検物と媒質の光路長の和と、被検物を配置しない状態での媒質の光路長を計測する。この光路長の計測は、被検物の曲面の反射光ではなく、被検物を挟む平面の反射光を計測するだけである。被検物面の反射光が検出器に到達しなくてもよいため、被検物の傾きを厳密に調整する必要はない。つまり、短時間で計測することができる。また、平面から反射光なので、反射面の曲率の影響を受けず、かつ干渉信号のS/Nも大きいため、高精度に計測することができる。したがって、本実施例の計測方法は、被検物の屈折率を短時間で高精度に計測することができる。
【実施例2】
【0062】
図3は、本実施例の計測装置のブロック図であり、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明する。本実施例の被検物50は正のパワーをもつレンズであるが、被検物は平板などでもよいことは実施例1と同様である。
【0063】
本実施例の計測装置は、干渉信号をスペクトル領域で解析し、検出器80の代わりに干渉光のスペクトル強度を検出する分光器85を有し、コンピュータ90は分光器85から検出結果(計測結果)を取得する。また、本実施例の計測装置は、側面40bを光透過材料から構成して後段にミラー45を配置して、ビームスプリッタ30と可動鏡との間に補償板25と容器43を配置している。
【0064】
第1の容器40は、第1の媒質60(例えば、水)と被検物50を収納している。被検物50は、矢印で示すように、第1の容器40からの出し入れが可能である。第1の容器40の側面40aと40bは、光を透過する材質で構成されており、その後方にミラー45を配置している。ミラー45が第1の容器40の側面40bの機能を有してもよい。第1の媒質60は、第1の媒質60と屈折率の異なる第2の媒質(例えば、オイル)と交換が可能である。
【0065】
光源11は、波長帯域が広い光源(例えば、スーパーコンティニウム光源)である。光源11から射出された光は、レンズ20でコリメートされた後、ビームスプリッタ30で透過光と反射光に分割される。
【0066】
ビームスプリッタ30を透過した光は、レンズ21を通った後、第1の容器40に入射する。第1の容器40に入射した光は、第1の媒質60と被検物50を透過した後、ミラー45で反射される。反射光は、ビームスプリッタ30まで戻った後、一部反射してレンズ22を通り、分光器85へ到達する。実施例1と同様に、上記光路を通る光を被検光と呼ぶ。
【0067】
ビームスプリッタ30で反射した光は、被検光側のレンズ21の分散を補償する補償板25を通る。補償板25は、レンズ21と同硝材かつ同じ厚みを有する。補償板25を通った光は、被検光側の容器40の側面40aと40bの分散を補償する容器43を透過する。
【0068】
容器43は、容器40と同形状かつ同材質のものを使用している。容器43を透過した光は、光軸方向に移動可能なステージ上のミラー70(可動鏡)で反射する。その後、ビームスプリッタ30まで戻り、一部透過して、レンズ22を通り分光器85へ至る。実施例1と同様に、上記光路を通る光を参照光と呼ぶ。
【0069】
補償板25と容器43は、容器40に被検物50と媒質60が入ってない場合、つまり容器40内が空の状態で、被検光と参照光の光路長差を各波長でゼロにさせる役目を担っている。その役目を有するものであれば、補償板25と容器43に代替することが可能である。例えば、レンズ21と容器40の側面の硝材が同じ場合、同硝材の1枚の板を厚みを調整して代替品として用いることができる。
【0070】
被検光と参照光の干渉は、分光器85によって干渉信号が検出される。図4は、分光器85が検出する干渉信号を示すグラフであり、横軸は波長であり、縦軸はスペクトル強度である。この干渉信号は、ミラー70の移動量と関係し、ミラー70の移動に伴い、λの位置が変化する。本実施例では、λの位置を計測したい屈折率の波長になるようにミラー70を移動させる。
【0071】
被検物50の屈折率の算出において、第1の容器40内に第1の媒質60を満たして第1の媒質中に被検物50を配置し(S10)、被検物50の偏芯を調整する(S20)。次に、被検物50と第1の媒質60の光路長の和Zを計測する(S30)。各波長における干渉信号は数式9で表される。
【0072】
【数9】

【0073】
但し、I(λ)は干渉強度、Iは被検光の強度と参照光の強度の和、γ(λ)は可視度(ビジビリティ)、φ(λ)は被検光と参照光の位相差、N(λ)は被検物の位相屈折率、np1(λ)は第1の媒質の位相屈折率、npa(λ)は空気の位相屈折率である。実施例1と同様に、本実施例ではLは既知の値である。δは可動鏡の移動量であり、容器40内が空の状態で、被検光と参照光の光路長が等しくなるところをδ=0としている。
【0074】
λの位置は、位相φ(λ)の波長に対する変化率が0となる位置であり、数式10で表される。
【0075】
【数10】

【0076】
また、数式10から数式11が得られる。但し、nga(λ)は空気の群屈折率である。δは、λの位置に合わせるに必要な可動鏡の移動量である。ここでは、計測可能量であるδに、nga(λ)を乗算したものを、被検物50と第1の媒質60の光路長の和Zとおいた。
【0077】
【数11】

【0078】
次に、被検物50を第1の媒質60中から取り出し(S40)、第1の媒質60の光路長Z10を計測する(S50)。第1の媒質60が、容器40に満たされているときの、被検光と参照光の位相差φ(λ)は数式12のように表せる。
【0079】
【数12】

【0080】
S30と同様に、数式10と数式11により、光路長Z10は数式13のようになる。但し、δ10は、S50において、λの位置に合わせるに必要な可動鏡の移動量である。
【0081】
【数13】

【0082】
続いて、第1の容器40内の第1の媒質60を不図示の第2の媒質に入れ替えて、媒質中に被検物50を配置する(S60)。ここでは、第1の容器40が第2の容器を兼用している。
【0083】
被検物の偏芯を調整し(S70)、被検物50と第2の媒質の光路長の和Zを計測し(S80)、第2の媒質中から被検物50を取り出し(S90)、第2の媒質の光路長Z20を計測する(S100)。第1の媒質の場合と同様に、第2の媒質における光路長の和Zと、第2の媒質の光路長Z20は、数式14で表される。
【0084】
【数14】

【0085】
最後に、計測値Z、Z10、Z、Z20と既知の容器側面間距離L、Lから、被検物50の屈折率を算出する(S110)。算出式は、実施例1の数式6〜8と同一である。
【0086】
本実施例では、数式8を用いずに位相屈折率を算出することも可能である。S110の後、容器40内の媒質を取り除いて被検物50のみを配置し、図4に示すような干渉信号を取得する。被検物50の屈折率と位相差を数式15のようにおく。そして、数式9の上式に代入し、得られた干渉信号に対して直接フィッティングを施す。このとき、空気の屈折率npa(λ)は文献値を使用する(L、δは既知)。フィッティングによって係数A、A、A、A、A、Aがわかる。つまり、位相屈折率N(λ)が求まる。
【0087】
【数15】

【0088】
フィッティングを行う際には、数式9の上式のI、γ(λ)の成分を無視するために、図4の干渉信号の振幅を規格化するとよい。規格化によって、数式9の上式が1+cos(φ(λ))の形となり、フィッティングが簡単になる。また、数式15のフィッティングでは、位相屈折率にコーシーの分散式の形を適用したが、セルマイヤーの分散式の形を使用してもよい。フィッティングする波長領域が狭い場合は、代わりに多項式関数のような単純な関数を用いてもよい。フィッティング関数の次数も、波長領域が狭い場合、低次の項(例えば、数式15の上式の第3項まで)だけでもよい。
【0089】
前記フィッティング方法は媒質を取り除いて干渉信号を再計測したが、図2のフロー中で計測した干渉信号を用いてもよい。例えば、S30で得られる第1の媒質の干渉信号を用いる場合、数式15の下式の代わりに数式9の下式を用いればよい。媒質の位相屈折率Np1(λ)が未知の場合は、S40の干渉信号において、同様のフィッティングを施せば媒質の位相屈折率Np1(λ)を求めることができる。
【0090】
本実施例は、低コヒーレンス干渉計としてマイケルソン干渉計の系を示したが、マッハツェンダー干渉計の系でも代替可能である。また、図3では、分光器を検出器の位置に置いているが、光源11の直後に分光器を配置して分光し、検出器の位置にフォトダイオードを配置して、各波長の干渉信号を検出してもよい。光源11の直後に分光器を配置する代わりに、分光器を取り除いて光源11を波長可変光源に取り替えて波長走査してもよい。
【実施例3】
【0091】
図5は、実施例3の計測装置のブロック図であり、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付している。本実施例の計測装置は、異なる屈折率を有する2種類の媒質中に被検物を配置した状態での媒質と被検物の光路長の和と、被検物を配置しない状態での媒質の光路長を、ミラー70を1回走査する間に両方とも計測し、計測結果を用いて被検物の屈折率を求める。
【0092】
本実施例の計測装置は、被検物を配置した状態での媒質と被検物の光路長の和と、被検物を配置しない状態での媒質の光路長を、ミラー70を1回走査する間に両方とも計測することで、媒質の温度変化による誤差を低減し、また、計測時間を短縮する。
【0093】
計測装置は、実施例1の計測装置にビームスプリッタ35と偏向ミラー75を設け、被検光を分割している。これにより、計測装置は、被検物50の第1の容器内の位置を維持した状態で媒質と被検物の光路長の和と、被検物を配置しない状態での媒質の光路長を、ミラー70を1回走査する間に両方とも計測している。
【0094】
第1の容器40は、実施例1と同様に、第1の媒質60と被検物50を収納し、第1の媒質60は第2の媒質61(図5には不図示)と交換が可能である。2つの媒質は、被検物50を配置した状態のまま交換することができ、本実施例では、第1の容器40が第2の容器を兼ねている。
【0095】
光源10から射出された光は、レンズ20でコリメートされた後、ビームスプリッタ30で透過光(被検光)と反射光(参照光)に分割される。参照光は、ステージ71上のミラー70(可動鏡)で反射し、ビームスプリッタ30を透過してレンズ22を通って検出器80に至る。
【0096】
被検光は、ビームスプリッタ35でさらに透過光と反射光に分割される。ビームスプリッタ35を透過した被検光の第1の光路OP1には被検物50と第1の媒質60が配置されている。第1の光路OP1を通る被検光は、第1の容器40の側面40a、40bで反射され、ビームスプリッタ35を再度透過し、ビームスプリッタ30で反射されてレンズ22を通って検出器80に至る。
【0097】
ビームスプリッタ35で反射された被検光は、偏向ミラー75で第1の容器40の方向へ偏向される。偏向ミラー75で偏向された被検光の第2の光路OP2には被検物50が配置されておらず、第1の媒質60が配置されている。第1の光路OP1と第2の光路OP2とは異り、第1の光路OP1により第1の媒質60に導入される光の入射位置と第2の光路OP2により第1の媒質60に導入される光の入射位置とは異なる。
【0098】
第2の光路OP2を通る被検光は第1の容器40の側面40a、40bで反射され、偏向ミラー75、ビームスプリッタ35、ビームスプリッタ30で反射されてレンズ22を通って検出器80に至る。
【0099】
被検光と参照光は、ミラー70が移動すると局所的に干渉し、検出器80で検出される。本実施例では、第1の光路OP1を通り、第1の容器40の各面で反射された被検光と、第2の光路OP2を通り、第1の容器40の各面で反射された被検光のそれぞれが、参照光と干渉する。
【0100】
ビームスプリッタ35で分波される2つの被検光は光路が異なるため、それぞれに由来する干渉信号はミラー70の移動に対して異なる位置で検出される。そのため、本実施例の計測装置は、被検物を配置した状態での媒質と被検物の光路長の和と、被検物を配置しない状態での媒質の光路長を、ミラー70を1回走査する間に両方とも計測することができる。
【0101】
被検物50の屈折率の算出において、第1の容器40内に被検物50を配置して第1の媒質60を満たし(S10)、被検物50の偏芯を調整する(S20)。次に、第1の媒質60と被検物50の光路長の和Z及び第1の媒質60の光路長Z10を、ミラー70を1回走査する間に両方とも計測する(S30)(S50)。本実施例では、第1の容器40に被検物50を配置した状態で光路長ZとZ10の両方を計測することができるので、第1の媒質60から被検物50を取り出すステップ(S40)を省くことができる。
【0102】
続いて、第1の容器40から被検物50を出し入れせずに、第1の媒質60と第2の媒質を交換する(S60)。媒質だけを入れ替えるので第1の容器40が第2の容器を兼ねる。また、被検物の位置は変わらないので偏芯調整のステップ(S70)を省くことができる。
【0103】
次に、第2の媒質と被検物50の光路長の和Z及び第2の媒質の光路長Z20を、ミラー70を1回走査する間に両方とも計測する(S80)(S100)。第2の媒質中から被検物を取り出すステップ(S90)も省くことができる。そして、数式16によって被検物の群屈折率を算出する。
【0104】
【数16】

【0105】
ここで、L10は第1の媒質を挟む面の光透過方向における間隔、L20は第2の媒質を挟む面の光透過方向における間隔である。第1の容器40、第2の容器それぞれの側面が平行である場合、つまり、L=L10、L=L20の場合、数式16は数式6と一致する。また、本実施例では、第1の容器40が第2の容器を兼ねているのでL1=L2である。
【0106】
本実施例は、図5のように実施例1の計測装置にビームスプリッタ35とミラー75を加えて、ZとZ10(ZとZ20)を、ミラー70を1回走査する間に両方とも計測している。その代わりに、図6のように第1の容器40の内部に光を透過する材質の平板(透過部材)47を挿入し、ZとZ10(ZとZ20)を、ミラー70を1回走査する間に計測してもよい。図6では、側面40aの後面と平板47の前面(入射面)の間の光路長がZ10(Z20)、側面40aの後面と平板47の前面の間の間隔がL10(L20)となる。また、平板47の後面と側面40bの前面の間の光路長がZ(Z)、平板47の後面と側面40bの前面の間の間隔がL(L)となる。
【0107】
従って、各計測における第1の媒質または前記第2の媒質内の光路の光の光透過方向における間隔は必ずしも一致しない。例えば、第1計測ステップにおける第1の媒質内の光路の光透過方向における間隔Lと、第2計測ステップにおける第1の媒質内の光路の光透過方向における間隔L10は必ずしも一致しない。同様に、第3計測ステップにおける第2の媒質内の光路の光透過方向における間隔Lと、第4計測ステップにおける第1の媒質内の光路の光透過方向における間隔L20は必ずしも一致しない。
【0108】
被検物50の前面が平面に近い場合、平板47の面の代わりに被検物50の前面(入射面)を使用し、第2計測ステップと第4計測ステップは被検物50の前面で反射された光を利用して計測を行ってもよい。
【0109】
その場合、側面40aの後面と側面40bの前面の間の光路長がZ(Z)、側面40aの後面と側面40bの前面の間の間隔がL(L)となる。また、側面40aの後面と被検物50の前面の間の光路長がZ10(Z20)、側面40aの後面と被検物50の前面の間隔がL(L)となる。
【0110】
以上のように、本実施例の計測装置は、ZとZ10をミラー70を1回走査する間に両方とも計測し、ZとZ20をミラー70を1回走査する間に両方とも計測することができる。ZとZ10をそれぞれ計測する際の第1の媒質の温度差、ZとZ20をそれぞれ計測する際の第2の媒質の温度差が小さくなるため、本実施例の計測装置は、被検物50の屈折率を高精度に計測することができる。また、計測の工程が少なくなるため計測時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
計測装置は光学素子の屈折率を計測する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0112】
10、11 光源
40 第1の容器
41 第2の容器
50 被検物
60 第1の媒質
61 第2の媒質
90 コンピュータ(算出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の容器内に配置された第1の媒質と被検物に光を入射させて前記第1の媒質と前記被検物の光路長の和を計測する第1計測ステップと、
前記第1の容器の前記第1の媒質を含み、前記被検物を含まない領域に前記光を入射させて前記第1の媒質の光路長を計測する第2計測ステップと、
第2の容器内に配置された前記第1の媒質とは異なる屈折率を有する第2の媒質と被検物に光を入射させて前記第2の媒質と前記被検物の光路長の和を計測する第3計測ステップと、
前記第2の容器の前記第2の媒質を含み、前記被検物を含まない領域に前記光を入射させて前記第2の媒質の光路長を計測する第4計測ステップと、
計測された光路長と各計測における前記第1の媒質または前記第2の媒質内の光路の前記光の光透過方向における間隔に基づいて、前記被検物の屈折率を算出する算出ステップと、
を有することを特徴とする計測方法。
【請求項2】
前記計測方法は、
前記第2計測ステップを行う前に前記第1計測ステップの前記第1の容器から前記被検物を取り出すステップと、
前記第4計測ステップを行う前に前記第3計測ステップの前記第2の容器から前記被検物を取り出すステップと、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
【請求項3】
前記第1計測ステップと第2計測ステップにおける第1の媒質内の光路の前記光の光透過方向における間隔は等しく、前記第3計測ステップと第4計測ステップにおける第1の媒質内の光路の前記光の光透過方向における間隔は等しく、
前記算出ステップは、次式によって前記被検物の群屈折率を算出することを特徴とする請求項2に記載の計測方法。


ここで、N(λ)は前記被検物の前記光の中心波長λにおける群屈折率、Zは前記第1の容器内の前記第1の媒質と前記被検物の光路長の和、Z10は前記第1の媒質中に前記被検物を配置しない場合の前記第1の容器内の前記第1の媒質の光路長、Zは前記第2の容器内の前記第2の媒質と前記被検物の光路長の和、Z20は前記第2の媒質中に前記被検物を配置しない場合の前記第2の容器内の前記第2の媒質の光路長、Lは前記第1の容器の前記第1の媒質を挟む面の前記光透過方向における間隔、Lは前記第2の容器の前記第2の媒質を挟む面の前記光透過方向における間隔である。
【請求項4】
前記第2計測ステップは、前記第1計測ステップにおける前記被検物の前記第1の容器内の位置を維持した状態で前記光を分割して前記第1計測ステップにおける前記光の光路とは異なる光路で前記第1の容器に導入することによって計測を行い、
前記第4計測ステップは、前記第3計測ステップにおける前記被検物の前記第2の容器内の位置を維持した状態で前記光を分割して前記第1計測ステップにおける前記光の光路とは異なる光路で前記第2の容器に導入することによって計測を行うことを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
【請求項5】
前記第2計測ステップは、前記第1の容器内に配置された前記被検物の入射面で反射された前記光を利用して計測を行い、
前記第4計測ステップは、前記第2の容器内に配置された前記被検物の前記入射面で反射された前記光を利用して計測を行うことを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
【請求項6】
前記第2計測ステップは、前記第1の容器の入射面と前記第1の容器内に配置された前記被検物との間に配置され、前記光を透過する透過部材の入射面で反射された前記光を利用して計測を行い、
前記第4計測ステップは、前記第2の容器の入射面と前記第2の容器内に配置された前記被検物との間に配置され、前記光を透過する透過部材の入射面で反射された前記光を利用して計測を行うことを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
【請求項7】
前記第1の容器と前記第2の容器は同じ容器であることを特徴とする請求項1、4、5及び6のうちいずれか1項に記載の計測方法。
【請求項8】
前記算出ステップは、次式によって前記被検物の群屈折率を算出することを特徴とする請求項1、4、5、6及び7のうちいずれか1項に記載の計測方法。


ここで、N(λ)は前記被検物の前記光の中心波長λにおける群屈折率、Zは前記第1の容器内の前記第1の媒質と前記被検物の光路長の和、Z10は前記第1の媒質の光路長、Zは前記第2の容器内の前記第2の媒質と前記被検物の光路長の和、Z20は前記第2の媒質の光路長、Lは前記第1の容器内の前記第1の媒質と前記被検物を挟む面の前記光透過方向における間隔、L10は前記第1の媒質を挟む面の光透過方向における間隔、Lは前記第2の容器内の前記第2の媒質と前記被検物を挟む面の光透過方向における間隔、L20は前記第2の媒質を挟む面の光透過方向における間隔である。
【請求項9】
第1の容器内に配置された第1の媒質と被検物に光を入射させて前記第1の媒質と前記被検物の光路長の和を計測し、前記第1の容器の前記第1の媒質を含み、前記被検物を含まない領域に前記光を入射させて前記第1の媒質の光路長を計測し、第2の容器内に配置された前記第1の媒質とは異なる屈折率を有する第2の媒質と被検物に光を入射させて前記第2の媒質と前記被検物の光路長の和を計測し、前記第2の容器の前記第2の媒質を含み、前記被検物を含まない領域に前記光を入射させて前記第2の媒質の光路長を計測する計測手段と、
前記計測手段が計測した光路長と各計測における前記第1の媒質または前記第2の媒質内の光路の前記光の光透過方向における間隔に基づいて、前記被検物の屈折率を算出する算出手段と、
を有することを特徴とする計測装置。
【請求項10】
前記第1の容器の前記被検物を挟む面は平面であることを特徴とする請求項9に記載の計測装置。
【請求項11】
前記第2の容器の前記被検物を挟む面は平面であることを特徴とする請求項9に記載の計測装置。
【請求項12】
前記計測手段は、
低コヒーレンス光を発する光源と、
前記光源からの光を分割して被検物と参照物に導くと共に、前記被検物を挟む面によって反射された被検光と前記参照物によって反射された参照光とを重ね合わせて干渉させる干渉光学系と、
前記被検光と参照光とが形成する干渉光の強度を検出する検出手段と、
を有する低コヒーレンス干渉計を有することを特徴とする請求項9に記載の計測装置。
【請求項13】
前記計測手段は、前記第1の容器と前記第2の容器が空の状態で被検光と参照光との光路長差をゼロにする手段を更に有することを特徴とする請求項9に記載の計測装置。

【図2】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−83331(P2012−83331A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141527(P2011−141527)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【特許番号】特許第4912504号(P4912504)
【特許公報発行日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】