説明

屋外用両面表示装置

【課題】二枚の表示パネルによって、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示するものでありながら、装置の大型化を回避し、防塵・防水性を有しつつ、装置内の熱を効率良く装置外に排出する。
【解決手段】主に屋外に設置され、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示する屋外用両面表示装置1であって、装置正面に画像を表示する正面表示パネル8と、この正面表示パネルと背中合わせに配置され、装置背面に画像を表示する背面表示パネル8と、吸気口2a及び排気口14bの形成部分を除いて、装置全体を気密的に覆うカバー構造と、を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に屋外に設置され、装置正面及び装置背面に画像を表示する屋外用両面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主に屋外に設置され、装置正面に所定の画像を表示する屋外用表示装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
この種の屋外用表示装置は、例えば、店頭に移動可能に設置して、イベント、キャンペーンの案内、商品、店内の紹介などを動画で表示したり、また、注目度の高いスポーツの実況中継や時事ニュースを放映することにより、お店の宣伝効果を高めることができる。
また、店内に各種の遊技台(パチンコ遊技機、スロットマシンなど)が設置される遊技店においては、この種の屋外用表示装置を店頭に設置すると、店内に設置された遊技台の機種毎の空き状況、大当り回数状況などを動画でダイナミックに紹介することが可能となる。
【0003】
このような屋外用表示装置は、一枚の表示パネルを組み込み、装置の片面において動画などの画像を表示するに過ぎないため、画像の視認範囲が狭いだけでなく、表示できる情報量に限界があった。
そこで、二枚の表示パネルを組み込み、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示する両面表示装置が提案されている(例えば、特許文献3)。
【0004】
ところで、この種の屋外用表示装置には、液晶パネルなどの表示パネルだけでなく、表示パネルを制御する制御基板や、表示パネルや制御基板に電源を供給する電源などが組み込まれている。
このような屋外用表示装置は、風雨に曝されることから、これらの部品を雨水や粉塵から守るために、気密性を有する防塵・防水構造を備える必要がある。
また、これらの部品は、いずれも熱を発し、装置内の温度を上昇させるため、装置内の熱を装置外に積極的に排出する冷却構造を備える必要がある。
冷却構造に関しては、例えば、特許文献1に示される屋外用表示装置では、表示パネルが収納される筐体の周囲にエアダクトを設けており、送風ファンの駆動に応じて筐体底部(中央)の吸気口から冷却風(外気)を吸い込むとともに、吸い込んだ冷却風をエアダクトを経由して筐体底部(左右)の排気口から排出している。
また、特許文献2に示される屋外用表示装置では、表示パネルが収納される筐体の上部に下向きの吸気口を設けるとともに、筐体底部に排気口を設けており、送風ファンの駆動に応じて吸気口から吸い込んだ冷却風を、筐体内で循環させながら排気口から排出している。
【特許文献1】特開平3−22595号公報
【特許文献2】特開2006−163217号公報
【特許文献3】特開平9−90325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の屋外用表示装置に、二枚の表示パネルを組み込むとなると、装置筐体の奥行きが増大し、装置全体が大型化してしまうことが懸念される。
また、発熱する部品点数も増えることから装置内部の温度が上昇するおそれがある。
【0006】
このような二枚の表示パネルを組み込んだ屋外用表示装置に対して、特許文献1、2に示される冷却構造をそのまま適用することは困難である。
すなわち、特許文献1、2に示される屋外用表示装置の冷却構造は、一枚の表示パネルを前提とし、二枚の表示パネルを組み込む構成を想定していないからである。
また、これらの冷却構造では、装置内において冷却風を循環させるために、比較的大きな容量の流動経路を確保しなければならず、装置全体の大型化を避けることができなかった。
【0007】
また、上記のいずれの特許文献においても、防塵・防水構造についてはなんら記載されていなかった。
そこで、装置全体が大型化することなく、防塵・防水構造及び冷却構造を有し、スリムかつ簡易な構造からなる、二枚の表示パネルを組み込んだ屋外用表示装置が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、二枚の表示パネルによって、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示するものでありながら、装置の大型化を回避し、防塵・防水性を有しつつ、装置内の熱を効率良く装置外に排出することができる屋外用両面表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の屋外用両面表示装置は、主に屋外に設置され、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示する屋外用両面表示装置であって、装置正面に画像を表示する正面表示パネルと、この正面表示パネルと背中合わせに配置され、装置背面に画像を表示する背面表示パネルと、吸気口及び排気口の形成部分を除いて、装置全体を気密的に覆うカバー構造と、を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二枚の表示パネルによって、装置正面及び装置背面に動画などの画像を表示するものでありながら、有効な防塵・防水構造と効率的な冷却構造を確保しつつ、外形をスリムな形状にした屋外用両面表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置の斜視図、図2は、本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置の分解斜視図である。
これらの図に示す屋外用両面表示装置1は、主に屋外に設置され、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示するものであり、以下に説明するフレーム構造、気密性を有するカバー構造及び冷却構造を備えている。
【0013】
[フレーム構造]
屋外用両面表示装置1のフレームは、ベース2、側部フレーム3及び上部フレーム4を備えて構成されている。
ベース2は、矩形状の鉄板などを用いて形成され、四隅に設けられるキャスタ5を介して設置面(地面など)に設置される。これにより、ベース2は、設置面と所定の間隔をおいて対向することになる。
ベース2の中央部には、多数の丸孔からなる吸気口2aが穿設されている。
このように、装置底部であるベース2に吸気口2aを設けることで、雨水の侵入を防止しつつ、冷却風(外気)を取込むことができる。
また、吸気口2aには、図示しない防塵フィルターが設けてあり、粉塵の進入が阻止されるようになっている。
【0014】
側部フレーム3は、断面コ字型の金属フレーム材からなり、ベース2の左右両側に垂直に立設される。左右の側部フレーム3間には、液晶パネルからなる二枚の表示パネル8が取付金具8aを介して取り付けられる。一方の表示パネル8は、装置正面に画像を表示する正面表示パネルであり、その左右両側部が左右の側部フレーム3の内側面に固定される。また、他方の表示パネル8は、装置背面に画像を表示する背面表示パネルであり、その左右両側部が左右の側部フレーム3の内側面に固定される。
このように各表示パネル8を側部フレーム3の内側面に固定することで、屋外用両面表示装置1の奥行き(厚み)の増加を抑えることができる。
ここで、二枚の表示パネル8は、所定の間隔をおいて背中合わせに側部フレーム3に固定され、両表示パネル8間には、後述する冷却風の風路9となる隙間が形成される。
なお、側部フレーム3には、スピーカ取付部、インタフェース(LANソケット、USBソケットなど)取付部、カバー係止孔などが設けられている(不図示)。
また、両表示パネル8の下方側であって、吸気口2aの上方空間は、電源・基板類収容部Sとなっており、ここに発熱部品である電源6や制御基板7が配置されるようになっている。
これにより、表示パネル8と、電源6や制御基板7とが水平方向に積層されないことから、屋外用両面表示装置1のスリム化が図られる。
【0015】
上部フレーム4は、断面コ字型の金属フレーム材からなり、左右側部フレーム3の上端部間に架設される。
上部フレーム4には、左右2つの排気孔4aが形成されている。各排気孔4aの下側には、送風ファン10が取り付けられ、各排気孔4aの上側には、排気ダクト11が取り付けられる。
なお、本実施形態では、二枚の表示パネル8を側部フレーム3に固定したが、上部フレーム4に固定することもできる。さらに、二枚の表示パネル8を側部フレーム3と上部フレーム4の両方に固定しても良い。
【0016】
[カバー構造]
本実施形態に係る屋外用両面表示装置1のカバー構造は、側部カバー12、透明保護板13及び上部カバー14を備えて構成されている。
側部カバー12は、不透明の樹脂からなる断面コ字型の射出成形品であり、装置両側部を覆うように左右の側部フレーム3にそれぞれ取り付けられる。例えば、側部カバー12の内側に係止爪を形成し、この係止爪を側部フレーム3の係止孔に引っ掛けることにより、側部カバー12を側部フレーム3に取り付ける。
側部カバー12の前後両端部には、透明保護板13の左右側縁部を気密的に嵌合支持するシール溝12aが鉛直方向に連続して形成されている。
このように、シール溝12aを鉛直方向に連続して形成することで、万一このシール溝12aに雨水が浸入した場合でも、このシール溝12aに沿って雨水を流下させ、装置外部に排水することができる。
また、側部カバー12の上端部には、後述する防水板12bが形成されている。
【0017】
透明保護板13は、透明樹脂又はガラスからなる一枚板の透明板材であり、装置正面及び装置背面を覆うように左右の側部カバー12間に取り付けられる。具体的には、左右の側部カバー12に形成されるシール溝12aに対し、透明保護板13の左右側縁部を上方からスライドして嵌入することにより、側部カバー12に対して気密的に嵌合支持される。このとき、透明保護板13と表示パネル8との間には、冷却風が通り抜け可能な隙間15が形成される。
さらに、気密性を高めるため、シール溝12aと透明保護板13との間にパッキン等を挟み込むこともできる。
このように、装置正面及び装置背面を一枚板の透明板材からなる透明保護板13で覆うとともに、この透明保護板13を側部カバー12に形成されるシール溝12aにスライドして嵌入されるように構成することで、屋外用両面表示装置1の気密性を確保しつつ、装置外形をスリムな形状とすることができる。
【0018】
また、透明保護板13は、内部のある側部フレーム3及び表示パネル8の表示枠(非表示領域)等が外部から見えないように、その周縁部に塗装を施してある。これにより、外観からの見栄えをよくすることができる。また、装置正面及び装置背面に新たに化粧枠を設ける必要もないため、部品点数を少なくすることができ、製造上においても大型かつ高価な金型を必要としないことから、コストの削減が図られる。
さらに、デザイン的にも、透明保護板13が大きいことで、全体をスリムな形状に見せることができる。
【0019】
上部カバー14は、不透明の樹脂からなる断面コ字型の射出成形品であり、装置上部を覆うように左右の側部カバー12の上端部間に架設される。
このように上部カバー14が、装置上部を覆うことから、装置内への雨水の浸入を阻止するようになっている。
上部カバー14の前後両端部には、透明保護板13の上縁部を気密的に嵌合支持するシール溝14aが水平方向及び鉛直方向に連続して形成されている。
また、このシール溝14aは、上記の側部カバー12のシール溝12aと連結することになっている。これにより、万一このシール溝14aに雨水が浸入した場合でも、シール溝14aからシール溝12aに沿って雨水が流下し、装置外部に排水することができる。
また、上部カバー14の左右両端部には、後述する排気口14bが形成されている。
そして、側部カバー12、透明保護板13及び上部カバー14からなる本実施形態のカバー構造によれば、吸気口2a及び排気口14bの形成部分を除いて、装置全体を気密的に覆うことができる。
【0020】
[冷却構造]
図3は、本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置において、装置内部の冷却風の流れを示す正面図、図4は、本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置において、排気口周辺の構成を示す一部切欠き平面図、図5は、本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置において、排気口周辺の構成を示すA−A断面図である。図6は、同様に、排気口周辺の構成を示すA−A断面図である。
【0021】
図2及び図4に示すように、本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置1では、二枚の表示パネル8によって、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示するにあたり、前述したように、二枚の表示パネル8を、所定の間隔をおいて背中合わせに配置し、両表示パネル8間に形成される隙間を冷却風の風路9としている。
つまり、二枚の表示パネル8によって、装置正面及び装置背面に画像を表示しつつ、この二枚の表示パネル8を利用して冷却風の風路9を形成するので、別部材を使って冷却風路を形成する場合に比べ、装置の大型化や部品点数の増加を回避することができるだけでなく、装置内における冷却風の流動経路を可及的に短くして、装置内の熱を効率良く装置外に排出することができるようになっている。
【0022】
また、図3に示すように、冷却風は、装置底部(吸気口2a)の下方から装置内の電源・基板類収容部Sに吸い込まれるとともに、両表示パネル8間の風路9を通って装置上部に到達し、装置上部の左右側部(排気口14b)から外側方に向けて排出されることが好ましい。
このような冷却構造によれば、電源6、制御基板7などの発熱部品が、吸い込まれた冷却風に最初に曝され、冷却されることから、収容される電源・基板類収容部Sを効率良く冷却することができる。
また、両表示パネル8間の風路9を形成することで、電源6、制御基板7などで暖められて上昇する冷却風を、この流れに逆らわず、上方に誘導することができる。
さらに、両表示パネル8間の風路9を通って装置上部に到達した冷却風を、装置上部の左右側部から外側方に向けて排出することにより、装置上部からの雨水の浸入を阻止しつつ、装置正面や装置背面で動画を見ている人に向かって冷却風(温風)が排出されるような不都合も回避できる。
【0023】
また、図3に示すように、本実施形態では、装置底部にのみ吸気口2aを形成し、ここから集中的に冷却風を吸い込むようにしてある。
このように冷却構成によれば、冷却風の吸い込み箇所を複数に分散する場合に比べ、冷却風の吸い込みが確実になるとともに、電源・基板類収容部Sの冷却効率を高めることができる。さらに、本発明のカバー構造によって、装置内の気密性が高められていることから、圧力損失がほとんどなくなり、冷却風を吸い込み、そして排出する冷却風の循環効率が向上し、冷却が促進される。
【0024】
また、電源・基板類収容部Sに収容される電源6や制御基板7には、冷却フィン6aを設けてある。例えば、図2及び図3に示すように、電源・基板類収容部Sに縦置きに配置される電源6の正面側に複数の冷却フィン6aを設ける。
このようにすると、電源・基板類収容部Sに収容される電源6や制御基板7の放熱効果を高めることができる。
また、電源6や制御基板7に冷却フィン6aを設ける場合には、冷却フィン6aを上下方向に沿わせて配置することが好ましい。
このようにすると、冷却風の流れ方向である上下方向に冷却フィン6aが沿うことになるので、冷却フィン6aが冷却風の流れを妨げるような不都合も回避できる。
【0025】
以下、本実施形態に係る冷却構造の構成要素である送風ファン10、排気ダクト11、排気口14bについて、図4〜図6を参照しつつ、具体的に説明する。
送風ファン10は、冷却風を起風し得るものであれば、様々な種類のファンを用いることができる。例えば、図5に示すように、冷却風を下方から吸い込んで上方に排出する軸流ファンを用いることもできる。また、図6に示すように、冷却風を下方から吸い込んで側方に排出する遠心ファンを用いてもよい。この場合には、例えば、円筒状に形成されるファン本体の周面部に平行な翼を多数備える同図に示すようなシロッコファン(多翼ファン)を用いることができる。これにより、排気ダクト11を用いることなく、冷却風を強制的に側方に排出することもできる。
送風ファン10は、前述したように、両表示パネル8間に形成される風路9の上端部近傍位置に配置することが好ましい。このようにすると、冷却風の吸い込み及び排出を効率良く行うことができる。
【0026】
図4〜図6に示すように、排気ダクト11は、送風ファン10の下流側で冷却風を外側方へ導くように形成される。本実施形態の排気ダクト11は、金属板の周囲に下方に折曲する折曲片11aを形成してなり、これを上部フレーム4の上面に伏せた姿勢で取り付けることにより、上部フレーム4との間に冷却風の誘導路を形成している。
排気ダクト11の終端部(外端部)には、冷却風を斜め下方へ導く舌片11bを形成することが好ましい。
このようにすると、冷却風を斜め下方に向けて排出することができるので、排気口14bからの雨水や塵埃の侵入を防止することができる。
【0027】
なお、本実施形態の排気ダクト11は、平面形状が矩形であり、内部に形成される風路の断面積が冷却風の流れ方向において一様であるが、排気ダクト11の終端部に、冷却風の流速を増速させる絞り部を形成してもよい。例えば、終端部側ほど折曲片11aの幅を狭くし、これを絞り部とする。
このようにすると、排気口14bの近くで冷却風の流速が増速され、強力な気流が発生するので、装置内の熱を確実に排出することができるだけでなく、排気口14bからの雨水や塵埃の侵入も防止することができる。
【0028】
図4〜図6に示すように、排気口14bは、排気ダクト11の終端部よりも下方に位置するように上部カバー14に形成され、排気ダクト11の終端部から排気される冷却風を装置外へ導く。本実施形態の排気口14bは、平行に並ぶ複数のスリット孔として形成されるが、孔形状は任意に設定することができる。
排気口14bの内側には、前述した防水板12bが設けられており、排気口14bから侵入した雨水を装置外へ導く。
このようにすると、排気口14bからの雨水の侵入を防止しつつ、冷却風を装置外へ確実に排出することができる。
【0029】
本実施形態の防水板12bは、排気口14bの下端位置から装置内方に水平に延びる底部12cと、底部12cの三辺から立ち上がる壁部12dとを備えて構成されている。
ここで、防水板12bの幅寸法は、排気ダクト11の幅寸法に合わせることが好ましい。
このようにすると、排気ダクト11の終端部から吹き出る冷却風を防水板12bの壁部12dで効率良く排気口14bへ導くことができる。
また、本実施形態では、防水板12bの底部12cを水平面としているが、底部12cを水平面とせず、外側ほど低くなる斜面としてもよい。
このようにすると、排気口14bから侵入した雨水を積極的に装置外へ導くことができる。
【0030】
以上のように、本実施形態の屋外用両面表示装置1は、二枚の表示パネルによって、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示するものでありながら、装置の大型化を回避し、防塵・防水性を有しつつ、装置内の熱を効率良く装置外に排出することができる。
すなわち、装置両側部を覆う二つの側部カバー12と、装置正面及び装置背面を覆う二枚の透明保護板13と、装置上部を覆う上部カバー14と、ベース2とにより、吸気口2a及び排気口14bの形成部分を除いて、装置全体を気密的に覆うことで、装置のスリム化や小型化、部品点数の削減を図りつつ、屋外用表示装置に必要な防水性や防塵性を確保できるだけでなく、送風ファン10の吸気効率や排気効率も向上させて、冷却効率を向上させることができる。
また、この二枚の表示パネル8を利用して冷却風の風路9を形成することで、別部材を使って冷却風路を形成する場合に比べ、装置の大型化や部品点数の増加を回避することができるだけでなく、装置内における冷却風の流動経路を可及的に短くして、装置内の熱を効率良く装置外に排出することができる。
【0031】
また、冷却風は、装置底部の下方から装置内の電源・基板類収容部Sに吸い込まれるとともに、両表示パネル8間の風路9を通って装置上部に到達し、装置上部の左右側部から外側方に向けて排出されるので、電源6、制御基板7などの発熱部品が収容される電源・基板類収容部Sを効率良く冷却することができる。また、両表示パネル8間の風路9を通って装置上部に到達した冷却風を、装置上部の左右側部から外側方に向けて排出するので、装置上部からの雨水の浸入を阻止しつつ、装置正面や装置背面で動画を見ている人に向かって冷却風(温風)が排出されるような不都合も回避できる。
【0032】
また、本実施形態では、電源・基板類収容部Sに収容される電源6に、冷却フィン6aを設けるとともに、この冷却フィン6aを上下方向に沿って配置したので、電源・基板類収容部Sに収容される電源6の放熱効果を高めることができる。しかも、冷却フィン6aは、冷却風の流れ方向である上下方向に沿って設けられるため、冷却風の流れを妨げるような不都合も回避できる。
【0033】
また、本実施形態の屋外用両面表示装置1は、設置面と所定の間隔をおいて対向するベース2と、ベース2の左右両側に立設される2本の側部フレーム3と、側部フレーム3の上端部間に設けられる上部フレーム4とを備え、側部フレーム3で両表示パネル8を支持するとともに、上部フレーム4に送風ファン10を設けたので、二枚の表示パネル8をコンパクトに支持できるだけでなく、両表示パネル8間に形成される風路9の上端部に送風ファン10を配置して、冷却風の吸い込み及び排出を効率良く行うことができる。
【0034】
また、送風ファン10の下流側に、冷却風を外側方へ導く排気ダクト11を設けるとともに、該排気ダクト11の終端部に、冷却風を斜め下方へ導く舌片11bを形成したので、冷却風を斜め下方に向けて排出し、排気口14bからの雨水や塵埃の侵入を防止することができる。
【0035】
また、表示パネル8と透明保護板13との間に、冷却風が通り抜け可能な隙間15を形成したので、表示パネル8と透明保護板13との間に冷却風を流すことにより、表示パネル8の冷却効率を高めることができるだけでなく、表示パネル8や透明保護板13の結露を防止し、結露により視認性の低下を回避することができる。
【0036】
また、上部カバー14や側部カバー12は、排気ダクト11の終端部よりも下方に位置し、排気ダクト11の終端部から排気される冷却風を装置外へ導く排気口14bと、排気口14bの内側に設けられ、排気口14bから侵入した雨水を装置外へ導く防水板12bとを備えるので、排気口14bからの雨水の侵入を防止しつつ、冷却風を装置外へ確実に排出することができる。
【0037】
また、本実施形態の表示パネル8は、いずれも液晶パネルであるため、二枚の表示パネル8が組み込まれるものでありながら、厚さ寸法の小さい液晶パネルを用いてスリムな外観を実現できるだけでなく、高解像度の液晶パネルによってクリアな画像を表示することができる。
なお、表示パネル8は、動画などの画像を表示可能なパネル状の表示デバイスであれば、液晶パネルに限定されない。例えば、有機ELを用いることができる。
【0038】
[第二実施形態]
つぎに、本発明の第二実施例に係る屋外用両面表示装置について、図7〜図10を参照して説明する。
ただし、第一実施形態と共通の構成については、第一実施形態と同一の符号を付けることにより、第一実施形態の説明を援用する。
【0039】
図7は、本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置の斜視図、図8は、本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置の分解斜視図、図9は、本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置において、装置内部の冷却風の流れを示す正面図、図10は、本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置において、吸気口周辺の構成を示す断面図である。
これらの図に示す本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置1Bは、冷却風を装置底部及び装置側部から吸い込み、両表示パネル8間の風路9で合流させる点が第一実施形態と相違している。具体的には、ベース2に形成した吸気口2aから冷却風を吸い込むだけでなく、側部カバー12に形成した吸気口12eや側部フレーム3に形成した複数の吸気孔3aからも冷却風を吸い込むようにしている。
このように構成された屋外用両面表示装置1Bによれば、冷却風の吸い込み箇所及び吸い込み方向が複数に分散されるので、装置全体をバランス良く冷却することができる。
【0040】
図10に示すように、吸気口12eは、側部フレーム3の中間部に形成される吸気孔3aよりも下方に位置するように側部カバー12に形成され、機外から吸い込んだ冷却風を吸気孔3aへ導く。本実施形態の吸気口12eは、平行に並ぶ複数のスリット孔として形成されるが、孔形状は任意に設定することができる。
吸気口12eの内側には、前述した防水板12bが設けられており、吸気口12bから侵入した雨水を装置外へ導く。
このようにすると、吸気口12eからの雨水の侵入を防止しつつ、冷却風を装置内へ確実に吸い込むことができる。
なお、吸気口12eの内側に設けられる防水板12bは、排気口14bに設けられるものと同様であり、排気口14bの防水板12bと同様に形状を任意に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、主に屋外に設置され、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示する屋外用両面表示装置に用いることができる。特に、店頭に移動可能に設置して、イベント、キャンペーンの案内、商品、店内の紹介などを動画で表示したり、また、注目度の高いスポーツの実況中継や時事ニュースを放映することにより、お店の宣伝効果を高める店頭用の表示装置として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置の斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置において、装置内部の冷却風の流れを示す正面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置において、排気口周辺の構成を示す一部切欠き平面図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置において、排気口周辺の構成を示すA−A断面図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る屋外用両面表示装置において、排気口周辺の構成を示すA−A断面図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置の斜視図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置の分解斜視図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置において、装置内部の冷却風の流れを示す正面図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る屋外用両面表示装置において、吸気口周辺の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 屋外用両面表示装置
2 ベース
2a 吸気口
3 側部フレーム
3a 吸気孔
4 上部フレーム
4a 排気孔
5 キャスタ
6 電源
6a 冷却フィン
7 制御基板
8 表示パネル
8a 取付金具
9 風路
10 送風ファン
11 排気ダクト
11a 折曲片
11b 舌片
12 側部カバー
12a シール溝
12b 防水板
12c 底部
12d 壁部
12e 吸気口
13 透明保護板
14 上部カバー
14a シール溝
14b 排気口
15 隙間
S 電源・基板類収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に屋外に設置され、装置正面及び装置背面に所定の画像を表示する屋外用両面表示装置であって、
装置正面に画像を表示する正面表示パネルと、
この正面表示パネルと背中合わせに配置され、装置背面に画像を表示する背面表示パネルと、
吸気口及び排気口の形成部分を除いて、装置全体を気密的に覆うカバー構造と、を備える
ことを特徴とする屋外用両面表示装置。
【請求項2】
前記カバー構造は、
装置両側部を覆う二つの側部カバーと、
装置正面及び装置背面を覆う二枚の透明保護板と、
装置上部を覆う上部カバーと、を少なくとも備える
請求項1記載の屋外用両面表示装置。
【請求項3】
装置底部に吸気口を形成した請求項1又は2記載の屋外用両面表示装置。
【請求項4】
前記側部カバーに、前記透明保護板の側縁部が鉛直方向に亘って嵌入される溝を形成した請求項2又は3記載の屋外用両面表示装置。
【請求項5】
前記上部カバーに、前記透明保護板の上縁部が嵌入される溝を形成した請求項2〜4のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。
【請求項6】
設置面と所定の間隔をおいて対向するベースと、
前記ベースの左右両側に立設される二本の側部フレームと、
前記側部フレームの上端部間に設けられる上部フレームと、を備える
請求項1〜5のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。
【請求項7】
前記両表示パネルの下方側を、電源及び/又は所定の基板が収容される電源・基板類収容部とした請求項1〜6のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。
【請求項8】
前記正面表示パネルと前記背面表示パネルを、所定の間隔をおいて配置し、前記両表示パネル間に形成される隙間を冷却風の風路とした請求項1〜7のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。
【請求項9】
前記冷却風は、装置底部の下方から装置内の前記電源・基板類収容部に吸い込まれるとともに、前記両表示パネル間の風路を通って装置上部に到達し、装置上部の左右側部から外側方に向けて排出される請求項8記載の屋外用両面表示装置。
【請求項10】
前記電源及び/又は所定の基板に、冷却フィンを設けるとともに、この冷却フィンを上下方向に沿って配置した請求項7〜9のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。
【請求項11】
装置上部側に送風ファンを設けた請求項1〜10のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。
【請求項12】
前記送風ファンの下流側に、冷却風を外側方へ導く排気ダクトを設けるとともに、該排気ダクトの終端部に、冷却風を斜め下方へ導く舌片を形成した請求項11記載の屋外用両面表示装置。
【請求項13】
前記表示パネルと前記透明保護板との間に隙間を形成した請求項2〜12のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。
【請求項14】
前記上部カバー及び/又は前記側部カバーは、
前記排気ダクトの終端部よりも下方に位置し、前記排気ダクトの終端部から排気される冷却風を装置外へ導く排気口と、
前記排気口の内側に設けられ、前記排気口から侵入した水を装置外へ導く防水板と、を備える請求項12又は13記載の屋外用両面表示装置。
【請求項15】
前記冷却風は、装置側部からも吸い込まれ、前記両表示パネル間の風路に合流される請求項8〜14のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。
【請求項16】
前記側部カバーは、
前記側部フレームに形成される吸気孔よりも下方に位置し、機外から吸い込んだ冷却風を前記吸気孔へ導く吸気口と、
前記吸気口の内側に設けられ、前記吸気口から侵入した水を装置外へ導く防水板と、を備える請求項15記載の屋外用両面表示装置。
【請求項17】
前記両表示パネルは、いずれも液晶パネルである請求項1〜16のいずれか一項に記載の屋外用両面表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−102227(P2010−102227A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275310(P2008−275310)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】