説明

屋外空間構造

【課題】緑化用ネットを応用してテラスなどの屋外に壁面を構成することで、適度な採光が得られ、通風性に優れ、日陰を提供することができるとともに、メンテナンス性に優れた屋外空間構造を提供する。
【解決手段】屋外に架設される梁20と、前記梁20の下面に取り付けられるホースカバー21と、前記ホースカバー21の内部に収容される潅水ホース32と、前記梁20に上端を固定されて張設される緑化用ネット35と、を備えた。前記ホースカバー21には前記潅水ホース32から供給された水分を滴下させるための開口21aを下方に向けて設けた。前記緑化用ネット35を前記開口21aの垂直下方に延在するように斜めに配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外に設置される屋外空間構造に関し、具体的には、緑化用ネットと潅水装置を備えた屋外空間構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、気温を調整し、景観を向上させるといった目的のため、緑化用ネット等を使用して建物の周囲を緑化することが行われている。例えば、特許文献1に開示されている発明では、建物の壁面に緑化用ネットを取り付け、この緑化用ネットに植物を絡ませて緑化を行うこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−79519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記したような緑化用ネットを応用してテラスなどの屋外に壁面を構成することで、適度な採光が得られ、通風性に優れ、日陰を提供することができるとともに、メンテナンス性に優れた屋外空間構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0006】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の屋外空間構造は、屋外に架設される梁と、前記梁の下面に取り付けられるホースカバーと、前記ホースカバーの内部に収容される潅水ホースと、前記梁に上端を固定されて張設される緑化用ネットと、を備え、前記ホースカバーには前記潅水ホースから供給された水分を滴下させるための開口が下方に向けて設けられ、前記緑化用ネットは前記開口の垂直下方に延在するように斜めに配置されることを特徴とする。
【0008】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0009】
すなわち、前記ホースカバーの内部には透水可能な受け材が前記開口を塞ぐように配置され、前記潅水ホースは前記受け材の上に載置されることを特徴とする。
【0010】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、前記ホースカバーは、少なくとも、前記梁に固定される第1カバー材と、前記第1カバー材に取り外し可能に固定される第2カバー材と、を備え、前記第2カバー材を前記第1カバー材から取り外すことで、前記ホースカバーの収容部を開放可能であることを特徴とする。
【0012】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記梁は、両端に設けられた端部柱と、前記端部柱の間に配置された中間柱と、で支持され、前記中間柱の内部に前記潅水ホースに水を供給するための給水ホースを収容したことを特徴とする。
【0014】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項4記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、前記中間柱を土台に固定するための下部固定ブラケットを備え、前記下部固定ブラケットには、前記中間柱をボルトで固定するための長孔が上下方向に延設され、この長孔の上端付近において前記中間柱を固定したときに、前記中間柱と土台との間に間隙が生まれることを特徴とする。
【0016】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、屋外に張り出した天井面に貼り付けられる板状材と、前記板状材に形成された溝部に嵌め込まれるレール材と、前記レール材に取り付けられるフック部品と、前記梁に固定されるロールスクリーンと、を備え、前記ロールスクリーンは、前記レール材と平行に前記梁に固定されるフレームと、前記フレームに収容されるスクリーンと、前記スクリーンの端部に取り付けられる留具と、を備え、前記スクリーンを前記フレームから引き出すとともに、前記留具を前記フック部品に掛け止めすることで、前記スクリーンを天幕状に張設可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、緑化用ネットで壁面が構成されているため、植物の隙間から適度な採光と通風が得られる。また、夏季においては植物が繁茂するので、これにより日陰を提供することができ、周囲の温度を低下させることができる。
【0019】
しかも、ホースカバーに潅水ホースから供給された水分を滴下させるための開口が下方に向けて設けられており、緑化用ネットは前記開口の垂直下方に延在するように斜めに配置されている。このため、斜めに配置された緑化用ネットの上に潅水ホースによって水分が供給されるように形成されており、自動的に水遣りができるので、植物のメンテナンスの手間を省くことができる。また、緑化用ネットに給水が行われることで、緑化用ネットを通過する空気が冷却されるので、夏季において周囲の気温を低下させることもできる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記ホースカバーの内部には透水可能な受け材が前記開口を塞ぐように配置され、前記潅水ホースは前記受け材の上に載置されている。このため、潅水ホースから供給された水分は受け材を介して滴下されることとなり、水分が開口の縁を伝って流れてしまうことがなく、確実に開口下の緑化用ネットに滴下させることができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記ホースカバーは、少なくとも、前記梁に固定される第1カバー材と、前記第1カバー材に取り外し可能に固定される第2カバー材と、を備え、前記第2カバー材を前記第1カバー材から取り外すことで、前記ホースカバーの収容部を開放可能とした。このため、潅水ホースのメンテナンスを行う場合には、第2カバー材を取り外すだけで良く、容易にメンテナンスを行うことができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記梁は、両端に設けられた端部柱と、前記端部柱の間に配置された中間柱と、で支持され、前記中間柱の内部に前記潅水ホースに水を供給するための給水ホースを収容した。このため、給水ホースが外部に露出せず、見栄えをよくすることができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記中間柱を土台に固定するための下部固定ブラケットを備え、前記下部固定ブラケットには、前記中間柱をボルトで固定するための長孔が上下方向に延設され、この長孔の上端付近において前記中間柱を固定したときに、前記中間柱と土台との間に間隙が生まれるようにした。このため、ボルトを緩めて中間柱を下方にずらすことで、端部柱及び端部柱に架設された梁を移動することなく中間柱を取り外すことができ、潅水ホースや、中間柱の内部に収容された給水ホースのメンテナンスを行うことができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、スクリーンをフレームから引き出すとともに、留具をフック部品に掛け止めすることで、スクリーンを天幕状に張設可能とした。このため、梁や緑化用ネットが設けられた屋外空間(テラスなど)の上にスクリーンを張設することで日陰を作ることができる。
【0025】
しかも、フック部品の荷重がかかるレール材は、屋外に張り出した天井面に貼り付けられる板状材に形成された溝部に嵌め込まれるものであるため、スクリーンを保持する構造をすべて取り換えなくても、レール材のみを交換することで、容易にメンテナンスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】屋外空間構造の側方から見た図である。
【図2】屋外空間構造の正面から見た図である。
【図3】屋外空間構造における梁付近を側方から見た一部拡大断面図である。
【図4】中間柱の(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図、である。
【図5】ホースカバーを示す図であって、(a)第1カバー材の側面図、(b)第1カバー材の底面図、(c)第2カバー材の側面図、(d)第2カバー材の底面図、(e)ホースカバーの側面図、(f)ホースカバーの底面図、である。
【図6】潅水ホース及び給水ホースの設置方法を示す説明図である。
【図7】中間柱の下部付近を正面から見た断面図である。
【図8】中間柱の下部付近を側方から見た断面図である。
【図9】ロールスクリーンの(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図、である。
【図10】スクリーン保持部を側方から見た断面図であって、(a)フック部品を取り付ける前の図、(b)フック部品を取り付けた後の図、である。
【図11】スクリーン保持部の底面図である。
【図12】フック部品の(a)正面図、(b)側面図、(c)底面図、である。
【図13】底板の(a)正面図、(b)底面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0028】
本実施形態に係る屋外空間構造は、図1に示すように、建物10の屋外に形成されたテラス11に連続するように構成されるものである。
【0029】
この屋外空間構造は、図1及び図2に示すように、両端に設けられる端部柱30と、この端部柱30の間に配置された中間柱31と、端部柱30の間に架設される梁20と、前記梁20の下面に取り付けられるホースカバー21と、前記梁20に上端を固定されて張設される緑化用ネット35と、前記梁20に固定されるロールスクリーン50と、建物10の天井面12に設けられたスクリーン保持部56と、を備えている。
【0030】
端部柱30は、梁20の両端を支持するためのものであり、アルミの押し出し型材にて成型される柱材である。この端部柱30は、図1に示すように、2本の端部柱30が、建物10の天井面12とほぼ同じ高さで、建物10の壁面と対向するように設けられる。
【0031】
中間柱31は、梁20の中間部を支持するものであり、アルミの押し出し型材にて成型される柱材である。本実施形態においては、この中間柱31は、両端の端部柱30の間に2本設けられている。
【0032】
この中間柱31は、図4に示すように、上下端が開口した中空材であり、内部に給水ホース33(後述)を収容することができるようになっている。また、この中間柱31の上端付近には、後述する潅水ホース32を貫通させるためのホース孔31cが、両側部の対向位置に形成されている。
【0033】
更に、この中間柱31の上端付近には、上部取付孔31aが貫通形成されている。この上部取付孔31aは、中間柱31の上部を梁20に取り付けるためのものである。具体的には、中間柱31は、梁20に固定された断面コ字状の取付ブラケット(図示せず)に組み合わされた上で、前記上部取付孔31aを使用して取付ブラケットにネジ止めされることで、梁20に取り付けられる。
【0034】
また、この中間柱31の下端付近には、下部取付孔31bが貫通形成されている。この下部取付孔31bは、中間柱31の下部を中間柱固定ブロック36に固定するためのものである。具体的には、中間柱31は、中間柱固定ブロック36に固定された下部固定ブラケット41(後述)に挟み込まれた上で、前記下部取付孔31bを使用して下部固定ブラケット41にネジ止めされることで、中間柱固定ブロック36に固定される。
【0035】
このように梁20と中間柱固定ブロック36との間に固定された中間柱31は、前述した両側のホース孔31cが梁20の長手方向に連設されるように配置され、これにより、両側のホース孔31cが後述するホースカバー21の端部に臨むようになっている。
【0036】
梁20は、端部柱30の間に架設されて、端部柱30及び中間柱31に支持されるものであり、アルミの押し出し型材にて成型される柱材である。この梁20の下面には、図3に示すように、ホースカバー21、ネット吊具26、スクリーン取付ブラケット27が取り付けられている。
【0037】
ホースカバー21は、潅水ホース32を内部に収容するためのものであり、図5に示すように、前記梁20に固定される第1カバー材22と、前記第1カバー材22に取り外し可能に固定される第2カバー材23と、の2種類の金属部材を組み合わせて構成されるものである。
【0038】
このうち、第1カバー材22は、図5(a)(b)に示すように、結合孔22bが形成された結合板部22aと、この結合板部22aの端縁から連続する鉤状の収容形成部22cと、からなる金属製の部材である。なお、収容形成部22cの天板には取付孔22dが貫通形成されており、この第1カバー材22を梁20の底面に固定する際には、この取付孔22dを使用してネジ止めする。
【0039】
また、第2カバー材23は、図5(c)(d)に示すように、結合孔23bが形成された結合板部23aと、この結合板部23aの端縁から連続するL字状の収容形成部23cと、からなる金属製の部材である。
【0040】
この第1カバー材22と第2カバー材23とをホースカバー21として使用する際には、図5(e)(f)に示すように、第1カバー材22の結合孔22bと、第2カバー材23の結合孔23bと、を貫通する結合ネジ24によって互いに締め付け固定する。これにより、第1カバー材22の収容形成部22cと、第2カバー材23の収容形成部23cと、によって収容部21bが形成され、この収容部21bの内部に潅水ホース32を通すことができるようになっている。なお、この収容部21bは、完全に閉じた管状ではなく、第1カバー材22の端縁と第2カバー材23の端縁との間に間隙が形成され、これにより下方に向けて全長に渡る開口21aが形成されるようになっている。
【0041】
このように形成されるホースカバー21は、図3に示すように、前記した開口21aが下方を向くように梁20に固定され、その内部に潅水ホース32及び受け材25が収容される。
【0042】
このうち、受け材25は、樹脂で形成された透水性を有する部材であり、ホースカバー21の全長に渡って前記開口21aを塞ぐように配置される。
【0043】
また、潅水ホース32は、全長に渡って等間隔に設けられたエミッターから少しずつ水が滴下されることにより、少しずつ散水を行うものであり、前記受け材25の上に載置されて前記収容部21b内に配置される。
【0044】
このため、潅水ホース32から水分が供給されると、この水分は受け材25に浸透し、受け材25に浸透した水分が開口21aから滴下されるように形成されている。
【0045】
なお、図3に示すように、第2カバー材23は梁20に固定されておらず、かつ、第2カバー材23がホースカバー21の収容部21bの一部を構成しているため、第2カバー材23を第1カバー材22から取り外すことで、ホースカバー21の収容部21bを開放可能となっている。このため、第2カバー材23を取り外すことで、潅水ホース32を露出させ、メンテナンスを行うことができる。
【0046】
このホースカバー21は、図6に示すように、隣接する端部柱30と中間柱31との間、及び、隣接する中間柱31と中間柱31との間になるべく隙間なく設けられる。本実施形態においては、2本の中間柱31を挟んで3本のホースカバー21が配置されている。そして、この3本のホースカバー21すべてを横断するように1本の潅水ホース32が設けられる。すなわち、一方の端部柱30に臨むホースカバー21の端部から他方の端部柱30に臨むホースカバー21の端部に至るまで1本の潅水ホース32が延在するようになっている。なお、潅水ホース32の両側の端部32aには、エンドプラグ(図示せず)が装着されてキャップされており、水が漏れないようになっている。なお、各ホースカバー21の間には中間柱31が存在するが、この中間柱31には前述したホース孔31cが設けられているため、潅水ホース32はこのホース孔31cを貫通するようになっており、中間柱31が潅水ホース32の邪魔にならないようになっている。
【0047】
しかも、ホース孔31cを貫通することで潅水ホース32は中間柱31の内部を通過することになるが、この潅水ホース32への給水は、この中間柱31の内部において給水ホース33によって行われる。給水ホース33は、水道から給水された水を潅水ホース32へと供給するためのものであり、図6に示すように、中間柱31の内部に収容され、上端において潅水ホース32と接続している。本実施形態においては、この接続部がT字状の分岐部34を形成しており、端部柱30の側に設けられた潅水ホース32へも給水ができるようになっている。
【0048】
緑化用ネット35は、ツタなどの植物を絡ませて繁茂させるための網であり、図1に示すように、上記したネット吊具26に上端が吊り下げられることにより前記梁20に固定されるとともに、下端はネット固定ブロック38に打ち込まれたコンクリートリング39を介してネット固定ブロック38に固定されている。なお、ネット固定ブロック38は、地中に埋め込まれたコンクリート製の石材である。
【0049】
この緑化用ネット35は、図1及び図3に示すように、上端がホースカバー21の開口21aよりも建物10側に配置されるとともに、下端がホースカバー21の開口21aよりも反建物10側に配置されるように、やや斜めに張設される。これにより、緑化用ネット35は、ホースカバー21の開口21aの垂直下方に延在するように斜めに配置されている。
【0050】
ロールスクリーン50は、アルミ製のフレーム51に布地のスクリーン53を巻取り収容し、必要な時にフレーム51からスクリーン53を引き出すことができるものであり、図9に示すように、上記したフレーム51と、フレーム51の両端に取り付けられたサイドブラケット52と、サイドブラケット52間に回転可能に支持された巻取りパイプ(図示せず)と、巻取りパイプによって巻き取り可能なスクリーン53と、を備えている。スクリーン53の端部53aにはボトムバー54が設けられ、このボトムバー54には鉤状の留具55が取り付けられている。
【0051】
なお、フレーム51の上部は、やや突出して固定部51aを形成しており、この固定部51aが上述したスクリーン取付ブラケット27に嵌合してネジ固定されることで、このロールスクリーン50は梁20に固定される。
【0052】
図1に示すように、建物10の天井面12には、このロールスクリーン50と対向するようにスクリーン保持部56が設けられている。このスクリーン保持部56は、上述したロールスクリーン50の留具55を掛け止めするためのものである。このスクリーン保持部56は、図10に示すように、屋外に張り出した天井面12に貼り付けられる板状材57と、前記板状材57に形成された溝部57aに嵌め込まれるレール材58と、前記レール材58に取り付けられるフック部品59と、前記フック部品59を前記レール材58に取り付けるための底板60と、を備えている。
【0053】
板状材57は、図10(a)に示すように、短手方向中央が全長に渡って凹陥して溝部57aを形成する金属製の板部材であり、溝部57aが天井面12に形成された隙間に嵌り込むように天井面12に貼設される。なお、溝部57aを受ける天井側の接触面にはスペーサー62が設けられている。
【0054】
レール材58は、前記した溝部57aに嵌め込まれる長尺の金属部材であり、図10(a)に示すように、その断面がコ字形の両端を略直角に内側に屈折させた形状となっている。このコ字形の両端を略直角に内側に屈折させた縁部が、後述するフック部品59と底板60とで挟持される被挟持部58aを形成しており、両側の被挟持部58aの間には開口58bが設けられている。
【0055】
フック部品59は、ロールスクリーン50のスクリーン53の端部53aの留具55を掛け止めするための金属部材であり、図12に示すように、平坦な板部59aと、この板部59aの下方に一体的に接合されたU字形のフック部59cと、からなる。板部59aには、取付孔59bが設けられている。
【0056】
底板60は、上記したフック部品59を前記レール材58に取り付けるためのものであり、図13に示すように、平坦な板状部材であり、前記したフック部品59の取付孔59bと対向する位置に取付孔60aを有している。
【0057】
上記したフック部品59及び底板60は、図10(b)及び図11に示すように、底板60が上方から、フック部品59が下方から、それぞれ前記被挟持部58aを挟み込み、挟み込んだ状態で留めネジ61で互いに締め付け固定されることでレール材58に固定される。これにより、天井面12の下方にフック部59cを突出させた状態でフック部品59が取り付けられる。
【0058】
このようにフック部品59を取り付けることで、前述したスクリーン53をロールスクリーン50のフレーム51から引き出すとともに、スクリーン53の端部53aの留具55をフック部品59のフック部59cに掛け止めすることで、図1に示すように、テラス11の上方に天幕状にスクリーン53を張設することができる。なお、スクリーン53を使用しない場合には、留具55をフック部品59のフック部59cから外し、フレーム51に収容すればよい。
【0059】
ところで、上記したように、本実施形態に係るホースカバー21は、第2カバー材23を取り外すことで収容部21bを開放可能となっているため、第2カバー材23を取り外すことで潅水ホース32のメンテナンスを行うことができるようになっている。この第2カバー材23の取り外しに加え、本実施形態に係る屋外空間構造においては、中間柱31を動かすことで更に全体的なメンテナンスすることもできる。
【0060】
具体的には、中間柱31は、図7及び図8に示すように、両側に設けられた2つの下部固定ブラケット41によって中間柱固定ブロック36に固定されている。
【0061】
中間柱固定ブロック36は、セメント等の石材で構成されたブロックであり、地中に埋め込まれて中間柱31の土台を構成する。
【0062】
また、下部固定ブラケット41は、図7及び図8に示すように、中間柱固定ブロック36の上面に固定される底板部41aと、中間柱31の側面に固定される立設部41cと、からなるL字形の金属製の部材である。この下部固定ブラケット41は、底板部41aに設けられた固定孔41bを貫通するメタルアンカー37によって中間柱固定ブロック36に固定されるとともに、立設部41cに上下方向に延設された長孔41dを貫通するボルト40によって中間柱31に固定され、中間柱固定ブロック36に対して中間柱31を固定する。
【0063】
このとき、中間柱31は、図7及び図8に示すように、中間柱31の上端が梁20に固定されたときに、長孔41dの上端付近において下部固定ブラケット41にボルト40でねじ固定されるようになっており、中間柱固定ブロック36の上面から浮いた位置で固定されるようになっている。このため、中間柱31と中間柱固定ブロック36との間に間隙が生まれている。ここで、下部固定ブラケット41の下端から長孔41dまでの距離は、中間柱31の下端から下部取付孔31bまでの距離よりも小さいか、少なくとも等しく形成されている。このため、ボルト40を緩めることで、長孔41dに沿ってボルト40を摺動させ、中間柱31を下部固定ブラケット41に対して下方向に移動させることができる。具体的には、上部取付孔31aのネジ止めを解除し、ボルト40を緩めると、中間柱31は、自重により中間柱固定ブロック36の上面に当接する位置まで長孔41dにガイドされて落下する。すると、中間柱31が下に移動したことにより、中間柱31の上端と梁20との間に間隙が生まれるため、ボルト40を完全に外すことで、中間柱31を斜めにして取り外すことができる。なお、本実施形態においては、中間柱31の下端部は地中に埋めることとしているため、上記したような中間柱31の取り外しを行う際には、中間柱31の下端部付近の土を掘り返して作業を行うこととなる。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、緑化用ネット35で壁面が構成されているため、植物の隙間から適度な採光と通風が得られる。また、夏季においては植物が繁茂するので、これにより日陰を提供することができ、周囲の温度を低下させることができる。
【0065】
しかも、ホースカバー21に潅水ホース32から供給された水分を滴下させるための開口21aが下方に向けて設けられており、緑化用ネット35は前記開口21aの垂直下方に延在するように斜めに配置されている。このため、斜めに配置された緑化用ネット35の上に潅水ホース32によって水分が供給されるように形成されており、自動的に水遣りができるので、植物のメンテナンスの手間を省くことができる。また、緑化用ネット35に給水が行われることで、緑化用ネット35を通過する空気が冷却されるので、夏季において周囲の気温を低下させることもできる。
【0066】
また、前記ホースカバー21の内部には透水可能な受け材25が前記開口21aを塞ぐように配置され、前記潅水ホース32は前記受け材25の上に載置されている。このため、潅水ホース32から供給された水分は受け材25を介して滴下されることとなり、水分が開口21aの縁を伝って流れてしまうことがなく、確実に開口21a下の緑化用ネット35に滴下させることができる。
【0067】
また、前記ホースカバー21は、少なくとも、前記梁20に固定される第1カバー材22と、前記第1カバー材22に取り外し可能に固定される第2カバー材23と、を備え、前記第2カバー材23を前記第1カバー材22から取り外すことで、前記ホースカバー21の収容部21bが開放可能である。このため、潅水ホース32のメンテナンスを行う場合には、第2カバー材23を取り外すだけで良く、容易にメンテナンスを行うことができる。
【0068】
また、前記梁20は、両端に設けられた端部柱30と、前記端部柱30の間に配置された中間柱31と、で支持され、前記中間柱31の内部に前記潅水ホース32に水を供給するための給水ホース33を収容している。このため、給水ホース33が外部に露出せず、見栄えをよくすることができる。
【0069】
また、前記中間柱31を中間柱固定ブロック36に固定するための下部固定ブラケット41を備え、前記下部固定ブラケット41には、前記中間柱31をボルト40で固定するための長孔41dが上下方向に延設され、この長孔41dの上端付近において前記中間柱31を固定したときに、前記中間柱31と中間柱固定ブロック36との間に間隙が生まれるようにしている。このため、ボルト40を緩めて中間柱31を下方にずらすことで、端部柱30及び端部柱30に架設された梁20を移動することなく中間柱31を取り外すことができ、潅水ホース32や、中間柱31の内部に収容された給水ホース33のメンテナンスを行うことができる。
【0070】
また、スクリーン53をフレーム51から引き出すとともに、留具55をフック部品59に掛け止めすることで、スクリーン53を天幕状に張設可能としている。このため、梁20や緑化用ネット35が設けられたテラス11の上にスクリーン53を張設することで日陰を作ることができる。
【0071】
しかも、フック部品59の荷重がかかるレール材58は、屋外に張り出した天井面12に貼り付けられる板状材57に形成された溝部57aに嵌め込まれるものであるため、スクリーン保持部56全体を取り換えなくても、レール材58のみを交換することで、容易にメンテナンスを行うことができる。
【符号の説明】
【0072】
10 建物
11 テラス
12 天井面
20 梁
21 ホースカバー
21a 開口
21b 収容部
22 第1カバー材
22a 結合板部
22b 結合孔
22c 収容形成部
22d 取付孔
23 第2カバー材
23a 結合板部
23b 結合孔
23c 収容形成部
24 結合ネジ
25 受け材
26 ネット吊具
27 スクリーン取付ブラケット
30 端部柱
31 中間柱
31a 上部取付孔
31b 下部取付孔
31c ホース孔
32 潅水ホース
32a 端部
33 給水ホース
34 分岐部
35 緑化用ネット
36 中間柱固定ブロック(土台)
37 メタルアンカー
38 ネット固定ブロック
39 コンクリートリング
40 ボルト
41 下部固定ブラケット
41a 底板部
41b 固定孔
41c 立設部
41d 長孔
50 ロールスクリーン
51 フレーム
51a 固定部
52 サイドブラケット
53 スクリーン
53a 端部
54 ボトムバー
55 留具
56 スクリーン保持部
57 板状材
57a 溝部
58 レール材
58a 被挟持部
58b 開口
59 フック部品
59a 板部
59b 取付孔
59c フック部
60 底板
60a 取付孔
61 留めネジ
62 スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に架設される梁と、
前記梁の下面に取り付けられるホースカバーと、
前記ホースカバーの内部に収容される潅水ホースと、
前記梁に上端を固定されて張設される緑化用ネットと、
を備え、
前記ホースカバーには前記潅水ホースから供給された水分を滴下させるための開口が下方に向けて設けられ、
前記緑化用ネットは前記開口の垂直下方に延在するように斜めに配置されることを特徴とする、屋外空間構造。
【請求項2】
前記ホースカバーの内部には透水可能な受け材が前記開口を塞ぐように配置され、
前記潅水ホースは前記受け材の上に載置されることを特徴とする、請求項1記載の屋外空間構造。
【請求項3】
前記ホースカバーは、少なくとも、前記梁に固定される第1カバー材と、前記第1カバー材に取り外し可能に固定される第2カバー材と、を備え、
前記第2カバー材を前記第1カバー材から取り外すことで、前記潅水ホースの収容部を開放可能であることを特徴とする、請求項1又は2記載の屋外空間構造。
【請求項4】
前記梁は、両端に設けられた端部柱と、前記端部柱の間に配置された中間柱と、で支持され、
前記中間柱の内部に前記潅水ホースに水を供給するための給水ホースを収容したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の屋外空間構造。
【請求項5】
前記中間柱を土台に固定するための下部固定ブラケットを備え、
前記下部固定ブラケットには、前記中間柱をボルトで固定するための長孔が上下方向に延設され、この長孔の上端付近において前記中間柱を固定したときに、前記中間柱と土台との間に間隙が生まれることを特徴とする、請求項4記載の屋外空間構造。
【請求項6】
屋外に張り出した天井面に貼り付けられる板状材と、
前記板状材に形成された溝部に嵌め込まれるレール材と、
前記レール材に取り付けられるフック部品と、
前記梁に固定されるロールスクリーンと、
を備え、
前記ロールスクリーンは、前記レール材と平行に前記梁に固定されるフレームと、前記フレームに収容されるスクリーンと、前記スクリーンの端部に取り付けられる留具と、を備え、
前記スクリーンを前記フレームから引き出すとともに、前記留具を前記フック部品に掛け止めすることで、前記スクリーンを天幕状に張設可能であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の屋外空間構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−120512(P2012−120512A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275850(P2010−275850)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】