層規制部材及びこれを用いた現像装置、画像形成装置
【課題】現像像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制する。
【解決手段】層規制部材10として、現像容器3側に支持され、当該支持部位11aから現像剤保持体4の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体4に弾性変形した状態で圧接配置されると共に現像剤保持体4との接触部位11bよりも突出する突出部12を有する板状部材11と、板状部材11の現像剤保持体4との接触面とは反対側の面のうち、突出部12の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、突出部12に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面14を有すると共に当該斜面14にて突出部12に乗り上げた現像剤Gがせき止められるせき止め部13と、を備える。
【解決手段】層規制部材10として、現像容器3側に支持され、当該支持部位11aから現像剤保持体4の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体4に弾性変形した状態で圧接配置されると共に現像剤保持体4との接触部位11bよりも突出する突出部12を有する板状部材11と、板状部材11の現像剤保持体4との接触面とは反対側の面のうち、突出部12の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、突出部12に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面14を有すると共に当該斜面14にて突出部12に乗り上げた現像剤Gがせき止められるせき止め部13と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層規制部材及びこれを用いた現像装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における現像装置としては例えば特許文献1,2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、現像ローラに現像ブレードを当接させる態様で安定したトナーの薄層を得るために、現像ブレードとして、先端を折り曲げて本体部分、折曲げ部及び折曲げ片を形成した金属ばね材から成るものを用い、本体部分と折曲げ片の成す角度を90度より小さく、0度より大きく設定する技術が開示されている。
特許文献2には、現像剤規制部材と現像剤容器との間のトナーシール性と現像剤規制部材の当接圧安定性の向上を図るために、現像剤規制部材としての弾性部材に、支持部材の近傍位置で現像剤容器に接触する凸部を有し、この凸部としては現像剤担持体の軸線と略平行に延びて形成し、現像剤容器と凸部との接触面での接触状態を工夫した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−323778号公報(実施例,図9)
【特許文献2】特開2003−215914号公報(発明の実施の形態,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、現像像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制する層規制部材及びこれを用いた現像装置、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、静電潜像が保持可能な像保持体に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、この現像容器の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体に対向する現像域まで現像容器に収容された現像剤を保持して搬送する現像剤保持体と、を備えた現像装置に用いられ、前記現像剤保持体に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材であって、前記現像容器側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位から前記現像剤保持体の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体との接触部位よりも突出する突出部を有する板状部材と、前記板状部材の現像剤保持体との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材の支持部位を除いた部位で且つ前記突出部の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部に対して90度以上の角度で傾斜する斜面を有すると共に当該斜面にて前記突出部に乗り上げた現像剤がせき止められるせき止め部と、を備えたことを特徴とする層規制部材である。
【0006】
請求項2に係る発明は、静電潜像が保持可能な像保持体に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、この現像容器の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体に対向する現像域まで現像容器に収容された現像剤を保持して搬送する現像剤保持体と、この現像剤保持体に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材と、を備え、前記層規制部材は、前記現像容器側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位から前記現像剤保持体の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体との接触部位よりも突出する突出部を有する板状部材と、前記板状部材の現像剤保持体との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材の支持部位を除いた部位で且つ前記突出部の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部に対して90度以上の角度で傾斜する斜面を有すると共に当該斜面にて前記突出部に乗り上げた現像剤がせき止められるせき止め部と、を備えることを特徴とする現像装置である。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る現像装置において、前記せき止め部は、前記板状部材と前記現像剤保持体との接触部位に対応した部位に設けられていることを特徴とする現像装置である。
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に係る現像装置において、前記せき止め部は、板状部材とは別体で且つ板状部材に固着されていることを特徴とする現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項2ないし4いずれかに係る現像装置において、前記せき止め部は、前記突出部に対して90度以上135度以下の角度で傾斜する斜面を有することを特徴とする現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項2ないし5いずれかに係る現像装置において、前記せき止め部は、前記板状部材に対して鉛直方向に延びる長さが突出部よりも長く設定されていることを特徴とする現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項2ないし6いずれかに係る現像装置において、前記せき止め部は、前記現像剤保持体の回転軸方向に沿って前記板状部材に連続的又は不連続的に設けられることを特徴とする現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る現像装置において、前記せき止め部は、前記現像剤保持体の回転軸方向に対して前記板状部材の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤をせき止めるものであることを特徴とする現像装置である。
請求項9に係る発明は、静電潜像が保持可能な像保持体と、この像保持体に対向して設けられて前記像保持体上の静電潜像を現像する請求項2ないし8いずれかに係る現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、現像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制することができる。
請求項2に係る発明によれば、現像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制することが可能な現像装置を容易に構築することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、現像剤保持体と板状部材との接触部位に対して板状部材による押圧方向成分の増加分を有効に働かせることができる。
請求項4に係る発明によれば、既存の板状部材を利用し、簡単に層規制部材を形成することができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、突出部を乗り上げた現像剤のせき止め量を多く確保でき、その分、板状部材による押圧方向成分を有効に増加させることができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、突出部を乗り上げた現像剤のせき止め量を多く確保でき、かつ、斜面への接触面積を広げて当該斜面へ作用する押圧力を増加させることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、現像剤保持体と板状部材との接触部位に対して板状部材による押圧方向成分の増加分を連続的又は不連続的に調整することができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、現像剤保持体と板状部材との接触部位に対して板状部材による押圧方向の増加分を板状部材の中央寄りに多く配分することができ、層規制部材の長手方向中央での浮き上がりを有効に防止することができる。
請求項9に係る発明によれば、現像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制することが可能な現像装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)に示す現像装置で用いられる層規制部材の詳細を示す説明図である。
【図2】(a)は新規現像剤の場合における層規制部材による層規制原理を示す説明図、(b)は劣化現像剤の場合における層規制部材による層規制原理を示す説明図である。
【図3】本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
【図4】(a)は実施の形態1で用いられる現像装置の要部を示す説明図、(b)は現像装置の一要素である層規制部材の構成を示す説明図、(c)は(b)中C方向から見た矢視図である。
【図5】図4(a)に係る現像装置における層規制部材の取付状態及びそのときに作用する押圧力を示す説明図である。
【図6】(a)は比較の形態1に係る現像装置における層規制部材の取付状態を示す説明図、(b)は(a)に示す層規制部材の取付状態の要部及びそのときに作用する押圧力を示す説明図である。
【図7】(a)は現像剤としての現像剤の使用時間tと層規制部材押圧力Pとの関係を示す説明図、(b)は現像剤の使用時間tと層規制部材による現像剤の層規制量Qとの関係を示す説明図である。
【図8】(a)は層規制部材のせき止め部の配設位置例を示す説明図、(b)は(a)における層規制部材のせき止め部の配設位置例とせき止め部に作用する現像剤による押圧力の変化との関係を模式的に示す説明図である。
【図9】(a)は比較の形態2に係る現像装置の層規制部材による現像剤としての現像剤の層規制挙動を示す説明図、(b)は現像剤が劣化した場合における層規制部材による現像剤としての現像剤の層規制挙動を示す説明図である。
【図10】比較の形態3に係る現像装置の層規制部材による現像剤の層規制挙動を示す説明図である。
【図11】(a)は実施の形態2に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図12】実施の形態3に係る現像装置の要部を示す説明図である。
【図13】(a)は実施の形態4に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図14】(a)は実施の形態4に係る現像装置における現像剤の使用時間tと層規制部材押圧力Pとの関係を示す説明図、(b)は同現像装置における現像剤の使用時間tと層規制部材による現像剤の層規制量Qとの関係を示す説明図である。
【図15】(a)は実施の形態5に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は(a)中C方向から見た矢視図である。
【図16】(a)は変形の形態5−1に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図17】(a)は変形の形態5−2に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図18】実施例に係る現像装置において、新規現像剤(New)と劣化現像剤(Aged)とを用いた際に、現像剤としてのトナーへの予圧密応力と現像剤保持体へのトナー付着力との関係を示す説明図である。
【図19】実施例で使用される現像剤としてのトナーの劣化特性につき、印字枚数と凝集度との関係を調べた結果を示す説明図である。
【図20】実施例で用いられる層規制部材の板厚変更に伴う撓みと線圧との関係を示す説明図である。
【図21】実施例に係る現像装置において、新規現像剤(New)と劣化現像剤(Aged)とを用いた際に、せき止め部の傾斜角(90−θ)と現像剤としてのトナー層厚との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、同図(b)は現像装置の層規制部材の周辺を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、静電潜像が保持可能な像保持体1と、この像保持体1に対向して設けられて像保持体1上の静電潜像を現像する現像装置2と、を備えている。
本実施の形態では、現像装置2は、静電潜像が保持可能な像保持体1に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤Gを収容する現像容器3と、この現像容器3の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体1に対向する現像域まで現像容器3に収容された現像剤Gを保持して搬送する現像剤保持体4と、この現像剤保持体4に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材10と、を備え、前記層規制部材10は、前記現像容器3側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位11aから前記現像剤保持体4の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体4に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体4との接触部位11bよりも突出する突出部12を有する板状部材11と、前記板状部材11の現像剤保持体4との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材11の支持部位11aを除いた部位で且つ前記突出部12の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部12に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面14を有すると共に当該斜面14にて前記突出部12に乗り上げた現像剤Gがせき止められるせき止め部13と、を備える。
【0011】
このような技術的手段において、本願は、非磁性一成分現像剤を用い、現像剤保持体4に対して保持搬送する態様を前提とする。
ここでいう非磁性一成分現像剤Gとしては、図1(b)に示すように、非磁性トナーTに流動性や帯電性を付与するための外添剤Mを添加付与したものを想定する。このような現像剤Gを長期に亘って使用すると、前記外添剤MがトナーTに埋没したり、剥がれたりすることに起因して現像剤Gが劣化し、現像剤Gの流動性や帯電性が損なわれる事態が生ずる。
本実施の形態では、このような現像剤Gの劣化に伴って、所定圧で押圧されている層規制部材10を通過する現像剤量(現像剤層厚)が変化することを少なく抑えることを狙いとする。
また、現像装置2としては、現像容器3、現像剤保持体4及び層規制部材10を構成要素として備えていればよいが、これに限られるものではなく、現像剤保持体4へ現像剤Gを供給する供給部材や、現像容器3と現像剤保持体4との間からの現像剤Gの漏れを抑える封止部材などの他の機能部材を付加してもよいことは勿論である。
【0012】
また、板状部材11は、支持部位11aから現像剤保持体4の現像剤搬送方向に対向する方向に延びるもので、現像剤保持体4に対して弾性変形した状態で接触し、かつ、現像剤保持体4との接触部位11bよりも突出する突出部12を有するものであればよい。
そして、突出部12は、現像剤保持体4との間に空間部を確保するもので、現像剤保持体4に保持された現像剤Gを空間部に相当する量だけ取り込んだ後に板状部材11と現像剤保持体4との接触部位11bに案内するため、規制される現像剤層が安定する。
更に、せき止め部13は突出部12に対して90度以上の角度θだけ傾斜した斜面14を有するものであればよいが、ここでいう斜面14の角度条件は、少なくとも層規制部材10単体で満たしていればよい。例えばせき止め部13の斜面14が突出部12に対して90度傾斜している態様でも、現像剤保持体4に対して板状部材11を弾性変形した状態で圧接配置されると、板状部材11の弾性変形に伴って突出部12も追従変位する。このため、せき止め部13の斜面14は追従変位した突出部12から90度傾斜することになり、斜面14に作用する押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Faが生じ、板状部材11による弾性変形に伴う層規制圧Fbに加えて板状部材11による押圧力が増加する。尚、図中Aは層規制部材10と現像剤保持体4との接触部位11bにおける接線に対する法線、Bはせき止め部13の斜面14に沿った傾斜方向に延びる傾斜線である。
【0013】
ここで、仮に、せき止め部13が突出部12に対して90度未満傾斜した斜面14を有する態様では、せき止め部13の斜面14に作用する押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Faは負の方向(板状部材11を持ち上げる方向)に働く可能性が高く、板状部材11による押圧力Sを減少させる懸念がある。
また、せき止め部13は、板状部材11の突出部12に乗り上げた現像剤Gをせき止めたときにその斜面14に作用する押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Faを増加させる働きを奏するものであれば、板状部材11と一体的に形成してもよいし、板状部材11とは別体で板状部材11に接着その他で固着してもよいし、あるいは、板状部材11とは別体で且つ現像容器3側に直接又は支持部材を介して支持したものを前記板状部材11に対して所定の位置関係で接触配置する態様など適宜選定して差し支えない。
【0014】
次に、現像剤の使用履歴がせき止め部13の働きに伴う現像剤の挙動にどのように影響するかについて説明する。
新規な現像剤Gでも、少し劣化した現像剤Gでも、せき止め部13は、図2(a)(b)に示すように、突出部12に乗り上げた現像剤Gをせき止めるものであるが、図1(b)に示すように、現像剤Gが劣化してくると、トナーTに対して外添剤Mが剥がれたり埋没したりするため、現像剤Gの嵩密度が高くなるばかりか、トナーT相互が付着し易くなり、現像剤Gの凝集度が高くなると共に現像剤保持体4への現像剤Gの付着力も増加する。
このため、例えば図2(a)に示すように、新規現像剤の場合には、現像剤保持体4への現像剤Gの付着力Wはそれほど大きくはなく、層規制部材10の圧接配置に伴う層規制圧Fbに加えて、層規制部材10の突出部12に乗り上げる現像剤量に伴ってせき止め部13の斜面14に作用する押圧力S(図1(b)参照)のうち板状部材11による押圧方向成分Faが作用し、層規制部材10による押圧力がFa+Fbの合力として与えられる。
しかしながら、現像剤の使用履歴に伴って新規現像剤から次第に劣化現像剤へと変化していくと、図2(b)に示すように、層規制部材10の圧接配置に伴う層規制圧Fbは変化しないが、現像剤保持体4への現像剤Gの付着力W’(>W)が増加し、層規制部材10の接触部位11bを通過しようとする現像剤量が増加すると共に、層規制部材10の突出部12に乗り上げる現像剤量も増加することから、せき止め部13の斜面14に作用する押圧力S(図1(b)参照)が増加し、現像剤Gの劣化に伴って、前記押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Fa’(>Fa)が増加する。このため、層規制部材10による押圧力がFa’+Fbの合力として与えられる。
このため、新規現像剤の使用開始時に層規制部材10の板状部材11の押圧設定(弾性変形の程度)を予め初期調整しておけば、現像剤の長期使用に伴って現像剤が劣化し、層規制部材10の板状部材11と現像剤保持体4との接触部位11bを通過する現像剤量が増加しようとしても、せき止め部13の作用によって板状部材11の押圧力が増加することから、板状部材11と現像剤保持体4との接触部位11bを通過しようとする現像剤量は抑えられ、その分、せき止め部13がない態様に比べて、層規制部材10により規制される現像剤層は安定したものとして得られる。
【0015】
次に、本実施の形態で用いられるせき止め部13の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
せき止め部13の配設箇所については、板状部材11と現像剤保持体4との接触部位11bに対応した部位に設けられる態様が好ましい。
本態様では、せき止め部13の斜面14に作用する押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Faが直接現像剤保持体4と板状部材11との接触部位11bに働くことから、層規制部材10による押圧力Sが直接的に作用する点で好ましい。
また、せき止め部13の好ましい構成例としては、板状部材11とは別体で且つ板状部材11に固着されている態様が好ましい。ここで、板状部材11への固着方法は接着、溶着など適宜選定して差し支えない。
更に、せき止め部13の斜面14については、突出部12を乗り越えた現像剤量を多く確保し、かつ、斜面14に作用する押圧力Sを大きくするという観点からすれば、突出部12に対して90度以上135度以下の角度θで傾斜する斜面14とする態様や、せき止め部13のうち板状部材11に対して鉛直方向に延びる長さが突出部12よりも長く設定されている態様が好ましい。
【0016】
また、せき止め部13の代表的態様としては、現像剤保持体4の回転軸方向に沿って板状部材11に連続的又は不連続的に設けられていればよい。ここで、「連続的」とは板状部材11の長手方向に沿ってせき止め部13を連続した状態で設けた態様を意味し、「不連続的」とは板状部材11の長手方向に沿ってせき止め部13を部分的に一若しくは複数設けた態様を意味する。
更に、せき止め部13を不連続的に設けた態様にあっては、現像剤保持体4の回転軸方向に対して板状部材11の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤Gをせき止めるものである態様が好ましい。
せき止め部13が不連続的である態様では、例えば板状部材11の中央部だけに設けてもよいし、板状部材11の中央部に中央せき止め部を設けると共にこの中央せき止め部を挟んだ両側に側方せき止め部を設け、突出部12に対する配設位置、斜面14の傾斜角、斜面14の鉛直方向長さなどを調整することで、側方せき止め部に比べて中央せき止め部による現像剤のせき止め量を多く確保するようにすればよい。
【0017】
以下添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
<画像形成装置の全体構成>
図3は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、静電潜像が保持可能な感光体などの像保持体20と、この像保持体20に対応して設けられて像保持体20上の静電潜像を現像する現像装置30と、を備えている。
尚、像保持体20上の静電潜像は、例えば感光体などの像保持体20を帯電する帯電装置と、この帯電装置にて帯電された像保持体20に対して静電潜像を書き込む潜像書込装置とにより形成される。また、像保持体20上の静電潜像は、現像装置30により現像された後、図示外の転写媒体(記録材や静電転写部材など)に転写され、像保持体20上の残留現像剤は図示外の清掃装置にて清掃される。
【0018】
<現像装置>
本実施の形態において、現像装置30は、像保持体20に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤Gが収容される現像容器31と、この現像容器31の開口部31aに面して回転可能に設けられ且つ現像剤Gを保持して搬送する現像ロール32と、現像容器31内で現像ロール32に隣接して回転可能に設けられ且つ現像容器31内の現像剤Gを現像ロール32に供給する現像剤供給ロール33と、現像容器31内に回転可能に設けられ且つ現像剤Gを撹拌しながら現像剤供給ロール33側に搬送する撹拌部材34と、像保持体20と現像ロール32との対向部に対応する現像域m(像保持体20上の静電潜像を現像する領域に相当)よりも現像ロール32の回転方向上流側で、かつ、現像剤供給ロール33と現像ロール32との供給域nよりも現像ロール32の回転方向下流側に設けられ、現像ロール32に供給された現像剤層を規制する層規制部材35と、現像容器31の開口部31a下縁と現像ロール32との間に設けられ、現像容器31内の現像剤Gの漏れを気密に塞ぐ弾性部材からなる封止部材としてのシール部材36と、を備えている。
そして、本実施の形態では、現像ロール32には現像バイアス電源37が接続され、現像ロール32に現像バイアスを印加することで、像保持体20と現像ロール32との現像域mに現像剤Gによる現像作用が発揮されるように現像電界を形成するようになっている。また、現像剤供給ロール33には供給バイアス電源38が接続され、現像剤供給ロール33に供給バイアスを印加することで、現像ロール32と現像剤供給ロール33との供給域nに現像剤Gを供給するようになっている。
【0019】
<層規制部材>
本実施の形態において、層規制部材35は例えばSUS製の弾性変形可能な板状部材40を有している。この板状部材40は、図4(a)〜(c)及び図5に示すように、金属製(例えばSUS製)の予め決められた厚みd(例えば0.07〜0.09mm厚)で現像ロール32の回転軸方向に延びる矩形状薄板からなり、現像ロール32の回転軸方向に交差する幅方向一端側が現像容器31の開口部31aの上縁部に直接若しくは支持部材を介して固定支持され、当該支持部位40aから現像ロール32の現像剤搬送方向に対向して延び、現像ロール32に弾性変形した状態で例えば予め決められた層規制圧Fb(図5中二点鎖線で表記)にて圧接配置されると共に当該現像ロール32との接触部位(ニップ領域)40bよりも突出する突出部41を有している。尚、現像ロール32と層規制部材35の突出部41との間には現像剤Gを取り込み易くするように間隙部42が確保されるようになっており、突出部41の突出寸法は間隙部42内に取り込むべき現像剤量を踏まえ、例えば0.5〜2mm等適宜選定して差し支えない。
そして、図4(a)〜(c)及び図5に示すように、板状部材40の現像ロール32との接触面とは反対側の面のうち、板状部材40の支持部位40aを除いた部位で且つ突出部41の全部若しくは一部を残す部位にせき止め部45が設けられている。本例では、せき止め部45は板状部材40と一体的に板状部材40から張り出すように板状部材40の長手方向全域に亘って形成されており、突出部41に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面46を有している。
ここで、図5において、現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dでの接線方向をC、同接触部位に対する法線方向をA、更に、せき止め部45の斜面46の傾斜方向をBとし、更に、法線方向Aと接線方向Cとで互いに区画される領域を象限(1)〜象限(4)で表示するものとすれば、突出部41が象限(1)に位置すると共にせき止め部45が象限(2)に位置するように配置されている。
更に、本例では、せき止め部45は現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dに対応した箇所に設けられている。また、本例では、せき止め部45の法線方向Aに張り出す寸法は突出部41の突出寸法より短く設定されているが、突出部41に乗り上げる現像剤量を多く確保するという観点からすれば、せき止め部45の法線方向Aに張り出す寸法を突出部41の突出寸法以上長く設定するようにしてもよい。特に、突出部41の突出寸法が短く設定される場合には、せき止め部45の法線方向Aに張り出す寸法を突出部41の突出寸法よりも長く設定することが好ましい。
【0020】
次に、本実施の形態に係る現像装置の作動につき、主として層規制部材による現像剤の層規制挙動を説明する。
図4(a)及び図5において、現像剤供給ロール33によって現像剤Gが現像ロール32に供給されると、図4(a)の矢印Jに示すように、現像ロール32上の現像剤Gの一部は層規制部材35の突出部41内に取り込まれ、現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dを通過して層規制される。一方、図4(a)の矢印Iに示すように、現像ロール32上の現像剤Gの残りは層規制部材35の突出部41に乗り上げてせき止め部45に突き当たる。
このような現像剤Gの挙動において、図5に示すように、新規現像剤の場合には、現像剤Gが現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dを通過するときに、現像ロール32からの反発力及び現像剤Gの凝集力や現像ロール32への付着力などの合力Tと、層規制部材35による押圧力P(層規制部材35による層規制圧Fb及びせき止め部45にせき止められた現像剤Gによる作用力Sの押圧方向成分Faの総和)が層規制部材35の法線方向Aにおいて釣り合っている。
そして、現像剤Gの使用履歴が進み、現像剤Gが次第に劣化してくると、次第に現像剤Gの嵩密度が増加し、また、現像剤Gの凝集力や付着力も増加し、新規現像剤の場合に比べて、現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dを通過する現像剤量が増加しようとすると共に、層規制部材35の突出部41に乗り上げる現像剤量も増加する。
このとき、層規制部材35を通過しようとする現像剤量の増加に伴って層規制部材35を持ち上げようとする合力Tが新規現像剤の場合に比べて増加しようとするが、層規制部材35の突出部41に乗り上げる現像剤量が新規現像剤の場合に比べて増加することから、せき止め部45にせき止められた現像剤Gによる作用力Sが大きくなり、その分、この作用力Sの押圧方向成分Faが新規現像剤の場合に比べて増加し、層規制部材35による押圧力Pが新規現像剤の場合に比べて増加し、増加した合力Tと層規制部材35による押圧力Pとが層規制部材35の法線方向Aにおいて釣り合いを保つ。
【0021】
◎比較の形態1
次に、本実施の形態に係る層規制部材の性能を確認する上で、図6(a)(b)に示す比較の形態1に示す層規制部材35’について説明する。
同図において、層規制部材35’の基本的構成は、実施の形態1と同様な板状部材40を有しているが、実施の形態1と異なり、せき止め部45’の斜面46’と突出部41との角度θ’を90度未満に設定したものである。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本態様では、せき止め部45’の斜面46’の傾斜線は、実施の形態1と異なり、象限(1)に配置されるため、層規制部材35’の突出部41に乗り上げた現像剤Gがせき止め部45’にせき止められた際に、当該せき止め部45’への作用力S’は象限(2)の方向に向かっているため、せき止め部45’への作用力S’のうち層規制部材35の法線方向Aに沿う成分Fcとしては層規制部材35’を持ち上げる方向に働いてしまい、層規制部材35’による押圧力Pを減少させる方向に働くことになってしまう。このため、比較の形態1では、実施の形態1に比べて、層規制部材35’の板状部材40の板厚として厚い材料を選択し、新規現像剤を使用する初期使用時に層規制部材35’による層規制圧を大きく設定せざるを得ない。
【0022】
従って、本実施の形態によれば、新規現像剤を使用して時間tの経過に伴って劣化したときに、層規制部材35の押圧力Pがどのように変化するかを調べたところ、図7(a)に示す結果が得られた。
同図によれば、使用初期において、層規制部材35による押圧力をP0(層規制部材35による層規制圧Fb+せき止め部45による押圧方向成分Fa0)と仮定する。
次いで、現像剤Gを継続してt1まで使用したときには、現像剤Gが少し劣化することに伴って、層規制部材35による押圧力をP1とすると、P1は層規制部材35による層規制圧Fb+せき止め部45による押圧方向成分Fa1(>Fa0)の合力に変化する。
更に、現像剤Gを継続してt2まで使用したときには、現像剤Gが更に劣化することに伴って、層規制部材35による押圧力をP2とすると、P2は層規制部材35による層規制圧Fb+せき止め部45による押圧方向成分Fa2(>Fa1)の合力に変化する。
このように、現像剤Gを継続して使用し、現像剤Gが次第に劣化してくると、現像剤Gの劣化に伴って、層規制部材35を通過しようとする現像剤量が増加しようとするが、せき止め部45による現像剤Gのせき止め作用によってせき止め部45への作用力Sのうち層規制部材35による押圧方向成分Faが増加することから、層規制部材35による押圧力Pが増加することになり、図7(b)に示すように、現像剤Gの使用時間tの変化があったとしても層規制部材35の層規制量Qはいずれも略一定に保たれるという挙動が見られる。
【0023】
<層規制部材のせき止め部の配置例>
今、図8に示すように、層規制部材35の板状部材40に対し、せき止め部45を以下に示すUA、UB、UCの位置に配置し、夫々の配置にあるせき止め部45による作用力の変化を調べると以下の通りである。
本例では、UA、UB、UCは次の態様である。
UA:現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dよりも突出部41とは反対側に配置する態様
UB:現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dに対応して配置する態様
UC:現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dよりも突出部41側に配置する態様
ここで、せき止め部45がUAの位置にある場合には、層規制部材35の突出部41に乗り上げた現像剤Gからせき止め部45が受ける力は大きくなる。しかしながら、層規制部材35による現像ロール32側に向かう押圧方向成分Faは小さい。また、層規制部材35の剛性が低いとせき止め部45よりも先端側での撓みを助長する可能性もあり得る。
また、せき止め部45がUBの位置にある場合には、層規制部材35の突出部41に乗り上げた現像剤Gからせき止め部45が受ける力は、UAよりは小さく、UCよりは大きいものになる。本例では、層規制部材35による現像ロール32側に向かう押圧方向成分Faが他の場合に比べて最大になる。
更に、せき止め部45がUCの位置にある場合には、層規制部材35の突出部41に乗り上げる現像剤量が少ないことから、乗り上げた現像剤Gからせき止め部45が受ける力は小さく、これに伴って、層規制部材35による現像ロール32側に向かう押圧方向成分Faも小さい。
よって、せき止め部45として、最も効果が高いのは現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dに対応した部位UBに配置されたときであることが理解される。
但し、せき止め部45については、どの位置に配置される場合でも、板状部材40の剛性に合わせてせき止め部45の位置、高さ、斜面46の傾斜角度を調整することで、せき止め部45によるせき止め作用をある程度調整することは可能である。
【0024】
また、本実施の形態に係る層規制部材の性能を評価する上で、比較の形態2,3に係る層規制部材について説明しておく。
◎比較の形態2
図9(a)は比較の形態2に係る層規制部材の概要を示す。
同図において、比較の形態2に係る層規制部材35’は、実施の形態1に係る層規制部材35からせき止め部45を除いた板状部材40だけの態様である。
本態様では、新規現像剤を初期使用するときには、層規制部材35’は現像ロール32に対して板状部材40の弾性変形に伴う予め定められた層規制圧で押圧されている。このため、現像ロール32に供給された現像剤Gの一部は、矢印Jに示すように、層規制部材35’と現像ロール32との接触部位Dを通過して層規制される。
しかしながら、現像剤Gが次第に劣化してくると、図9(b)に示すように、現像剤Gとしてのトナーに外添剤が埋まり込んだり、トナーから外添剤が剥がれたりすることに伴って、現像剤Gが凝集し易くなったり、現像ロール32に対する現像剤Gの付着力が増加したり、逆極性の現像剤Gが増加することから、層規制部材35’を通過しようとする現像剤量が増加する。
ところが、層規制部材35’による層規制圧は予め定められているため、層規制部材35’を通過しようとする現像剤量を所定の量に規制することが困難になってしまう。
このため、現像剤Gが劣化したときにおける層規制部材35’による現像剤Gの層規制量の増加を抑えるために、初期使用時に層規制部材35’による層規制圧を高めに設定しておくという手法がとられるが、その分、現像剤Gの劣化を早めるという懸念がある。
【0025】
◎比較の形態3
図10は比較の形態3に係る層規制部材の概要を示す。
同図において、比較の形態3に係る層規制部材35”は、比較の形態2と異なり、一端側が現像容器31に支持された板状部材40を有し、この板状部材40の突出部41先端に当該突出部41に対して鋭角αで折り曲げられた折曲部47を一体的に形成したものである。
本態様によれば、現像ロール32に供給された現像剤Gの一部が層規制部材35”を通過するときに、現像剤Gの残りが層規制部材35”の折曲部47側に乗り上げるが、このとき、折曲部47に対して現像剤Gが乗り上げることに伴って突出部41が層規制部材35”と現像ロール32との接触部位Dを支点として撓み変形する懸念があり、その分、層規制部材35”の突出部41と現像ロール32との空間部の容量が変化し、層規制部材35”を通過する現像剤量が不安定になり易い。
【0026】
◎実施の形態2
図11(a)は実施の形態2に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、現像装置30の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、板状部材40とは別体のせき止め部材50を板状部材40に接着、溶着などで固着し、板状部材40にせき止め部45を構成したものである。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例では、せき止め部材50は、図11(a)(b)に示すように、断面二等辺三角形状で現像ロール32の回転軸方向に延びる棒状部材からなり、棒状部材の断面一方の斜辺を斜面46として利用するようにしたものである。
本実施の形態によれば、層規制部材35を構築するには、従前から使用していた板状部材40に別体であるせき止め部材50を固着するという簡単な製造方法を用いるようにすればよい。
本実施の形態によれば、実施の形態1と略同様に、現像剤Gが次第に劣化してきたとしても、層規制部材35のせき止め部45によりせき止められた現像剤Gの作用力Sがせき止め部45の斜面46に作用し、これに伴って、作用力Sのうち層規制部材35による押圧方向成分が増加する。このため、現像剤Gが次第に劣化し、層規制部材35を通過しようとする現像剤Gが増加しようとしても、層規制部材35による押圧力が増加することから、層規制部材35を通過しようとする現像剤量は略一定の層規制量に規制される。
【0027】
◎実施の形態3
図12は実施の形態3に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、現像装置30の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる層規制部材35を備えている。
本実施の形態では、層規制部材35は、現像容器31の開口部31aの上縁部に板状部材40の一端側を固着し、現像ロール32の現像剤搬送方向に対向するように延び、先端側に突出部41を残すように現像ロール32に対して圧接配置する一方、前記現像容器31の開口部31aの上縁部の内側には断面略L字状の押さえ部材60の一端側取付片60aを固定すると共に、一端側取付片60aに近づける方向に他端側脚片60bを弾性変形させた状態で板状部材40の現像ロール32との接触面とは反対側の面に対して圧接配置し、更に、押さえ部材60の脚片60bの先端には当該脚片60bに対して90度未満の角度ηで折り曲げられた折曲片61を一体的形成したものである。
ここで、押さえ部材60の脚片60bの先端部は、現像ロール32と板状部材40との接触部位Dに対応した部位に位置する板状部材40に圧接配置され、押さえ部材60の折曲片61が板状部材40から張り出すせき止め部45として形成され、この折曲片61からなるせき止め部45には突出部41に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面46が形成されている。
本実施の形態では、層規制部材35が板状部材40と押さえ部材60との二つの部品にて構成されており、現像ロール32上に供給された現像剤Gの一部が層規制部材35を通過して層規制される一方、現像ロール32上に供給された現像剤Gの残りが層規制部材35の板状部材40の突出部41に乗り上げると、乗り上げた現像剤Gが折曲片61からなるせき止め部45にせき止められ、当該せき止め部45の斜面46にせき止められた現像剤Gによる作用力Sが作用し、押さえ部材60を介して板状部材40を現像ロール32側に押圧する。このため、実施の形態1,2と略同様に、現像剤Gが次第に劣化し、層規制部材35を通過する現像剤量が増加しようとしても、層規制部材35の突出部41に乗り上げた現像剤量も新規現像剤の場合に比べて増加するため、層規制部材35による押圧力が増加することになり、現像剤Gが次第に劣化してきたとしても、層規制部材35を通過する現像剤量は略一定に保たれる。
【0028】
◎実施の形態4
図13(a)(b)は実施の形態4に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、現像装置30の基本的構成は、実施の形態2と略同様であるが、実施の形態2と異なる層規制部材35を備えている。
本実施の形態において、層規制部材35は、実施の形態2と同様に、板状部材40とは別体のせき止め部材50を用いているが、実施の形態2と異なり、現像ロール32の回転軸方向に対して板状部材40の中央部に中央せき止め部材50cを設けると共に、この中央せき止め部材50cを挟んだ両側に側方せき止め部材50sを設けたものである。
本例では、中央せき止め部材50cは、図13(a)(b)に示すように、例えば板状部材40の突出部41先端から距離hc離れた位置に設けられ、側方せき止め部材50sは例えば板状部材40の突出部41先端から距離hs(本例ではhs<hc)離れた位置に設けられており、現像ロール32の回転軸方向に対して板状部材40の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤Gをせき止めるようになっている。
そして、中央せき止め部材50c及び側方せき止め部材50sは板状部材40に接着、溶着などで固着され、現像ロール32の回転軸方向に対して不連続なせき止め部45として構成され、せき止め部45には突出部41に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面46を設けたものである。
尚、本例では、中央せき止め部材50c、側方せき止め部材50sは、突出部41に対する配設位置を調整することで現像剤Gのせき止め量を調整しているが、これに限られるものではなく、突出部41に対する配設位置に加えて、あるいは、別に、斜面46の傾斜角度や斜面46の法線方向長さなどを調整するようにしても差し支えない。
【0029】
本実施の形態によれば、図14(a)に示すように、新規現像剤を使用して時間tの経過に伴って劣化したときに、層規制部材35の押圧力Pがどのように変化するかを調べたところ、図14(a)に示す結果が得られた。
同図によれば、使用初期において、層規制部材35の中央による押圧力をPc0(層規制部材35による層規制圧Fb+中央せき止め部材50cによる押圧方向成分の合力)と仮定する。
次いで、現像剤Gを継続してt1まで使用したときには、現像剤Gが少し劣化することに伴って、層規制部材35の中央による押圧力をPc1とすると、Pc1は層規制部材35による層規制圧Fb+中央せき止め部材50cによる押圧方向成分の合力(本例ではPc1>Pc0)に変化する。
更に、現像剤Gを継続してt2まで使用したときには、現像剤Gが更に劣化することに伴って、層規制部材35の中央による押圧力をPc2とすると、Pc2は層規制部材35による層規制圧Fb+中央せき止め部材50cによる押圧方向成分の合力(本例ではPc2>Pc1)に変化する。
また、使用初期において、層規制部材35の側方による押圧力をPs0(層規制部材35による層規制圧Fb+側方せき止め部材50sによる押圧方向成分の合力)と仮定する。
次いで、現像剤Gを継続してt1まで使用したときには、現像剤Gが少し劣化することに伴って、層規制部材35の側方による押圧力をPs1とすると、Ps1は層規制部材35による層規制圧Fb+側方せき止め部材50sによる押圧方向成分の合力(本例ではPs1>Ps0)に変化する。
更に、現像剤Gを継続してt2まで使用したときには、現像剤Gが更に劣化することに伴って、層規制部材35の側方による押圧力をPs2とするとPs2は層規制部材35による層規制圧Fb+側方せき止め部材50sによる押圧方向成分の合力(本例ではPs2>Ps1)に変化する。
【0030】
このように、本例では、図14(a)に示すように、層規制部材35による押圧力が中央と側方とで中央が側方に比べて大きくなるように変化する。よって、現像ロール32が撓み変形することに伴って当該現像ロール32の中央に対する層規制部材35による押圧力が大きく、現像ロール32の側方に対する層規制部材35による押圧力が小さい。
従って、本実施の形態では、図14(b)に示すように、現像ロール32が両端支持され、その中央部が自重にて撓み変形したとしても、層規制部材35による押圧力の分布を調整したので、現像剤Gが新規であろうと劣化したものであろうと、現像ロール32の中央と側方(両端を含む)とに対する現像剤Gの層規制量Qは略一定に保たれる。
尚、現像ロール32が両端支持され、その中央部が自重にて撓み変形するような態様において、層規制部材35にせき止め部45を設けない場合には、図14(b)に二点鎖線で示すように、層規制部材35による押圧力が中央付近で側方(両端を含む)よりも減少する傾向になり、層規制部材35による現像剤Gの層規制量Qについて中央が側方に比べて減少する可能性が高い。
【0031】
◎実施の形態5
図15(a)〜(c)は実施の形態5に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、現像装置30の基本的構成は、実施の形態4と略同様であるが、実施の形態4と異なる層規制部材35を有している。
本実施の形態において、層規制部材35は、実施の形態4と同様に、板状部材40とは別体のせき止め部材50を用いており、現像ロール32の回転軸方向に対して板状部材40の中央部に中央せき止め部材50cを設けると共に、この中央せき止め部50cを挟んだ両側に側方せき止め部材50sを設けたものであるが、実施の形態4と異なり、図15(b)(c)に示すように、中央せき止め部材50c及び側方せき止め部材50sは、例えば板状部材40の突出部41先端から同じ距離hだけ離れた位置に連続的に配置されると共に、中央せき止め部材50cの法線方向Aにおける高さ寸法kcが側方せき止め部材50sの法線方向Aにおける高さ寸法ksよりも高く設定されている。
そして、中央せき止め部材50c及び側方せき止め部材50sは板状部材40に接着、溶着などで固着され、現像ロール32の回転軸方向に対して連続的にせき止め部45として構成され、せき止め部45には突出部41に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面46を設けたものである。
従って、本実施の形態においても、実施の形態4と略同様に、現像ロール32の回転軸方向に対して層規制部材35の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤Gをせき止める構造になっているため、層規制部材35による押圧力分布を側方に比べて中央を大きく設定することが可能になる。このため、現像ロール32が両端支持され、その中央部が自重にて撓み変形したとしても、層規制部材35による押圧力の分布を調整したので、現像剤が新規であろうと劣化したものであろうと、現像ロール32の中央と側方(両端を含む)とに対する現像剤Gの層規制量Qは略一定に保たれる。
【0032】
本実施の形態では、層規制部材35は中央せき止め部材50c及び側方せき止め部材50sの両方を備えた態様が示されているが、これに限られるものではなく、例えば以下のような変形の形態が挙げられる。
◎変形の形態5−1
図16(a)(b)は変形の形態5−1に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、層規制部材35は中央せき止め部材50cのみからなるせき止め部45を備えたものである。
本態様によれば、層規制部材35のうち、主として長手方向中央付近における押圧力を側方に比べて大きく設定することが可能になり、現像剤Gの劣化に伴って、層規制部材35の長手方向中央における押圧力を調整すれば足りるような状況において採用するようにすればよい。
◎変形の形態5−2
図17(a)(b)は変形の形態5−2に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、層規制部材35は板状部材40とは別体のせき止め部材50を板状部材40に固着することでせき止め部45を構成したものであるが、このせき止め部材50は同一の二等辺三角形形状の断面を有し、板状部材40の突出部41の先端からの距離hが長手方向中央部をピークとして長手方向両端に向かって山型状に減少するように配置されたものである。
本態様にあっても、現像ロール32の回転軸方向に対して層規制部材35の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤Gをせき止める構造になっているため、層規制部材35による押圧力分布を側方に比べて中央を大きく設定することが可能になる。
【実施例】
【0033】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態2に係る現像装置を用い、層規制部材35による押圧性能を評価したものである。
層規制部材による押圧性能を評価するに当たり、現像剤劣化に伴う特性変化、及び、板状部材の板厚変化と層規制圧との関係、せき止め部の斜面の傾斜角度変化と現像剤層厚との関係を調べた。
<現像剤劣化に伴う特性変化>
非磁性一成分の新規現像剤を継続的に使用したときの特性変化を調べたところ、以下のような結果が得られた。
図18は、新規現像剤(New)と劣化現像剤(Aged:本例では5%印字率の画像を1500枚印字後の現像剤)とについて、板状の層規制部材(本例ではSUS304,0.07mm厚)を予圧密応力(弾性変形による層規制圧に相当)で現像ロールに接触配置し、そのときの現像ロールに対する現像剤の付着力を調べたものである。
同図によれば、劣化現像剤の方が新規現像剤に比べて現像剤の付着力が大きいことが理解される。特に、層規制部材による層規制圧が大きい方が現像剤の劣化に伴う現像剤の付着力が大きくなっている。
本例では、現像剤の付着力の測定は、せん断力付着力測定を用い、現像ロール上で層規制された現像剤に対してどの程度の剥がし力を要するかということで行われた。
本例におけるせん断力付着力測定条件は以下の通りである。
せん断力付着力測定装置:株式会社ナノシーズ製NS−S/
測定方法は、垂直引張破断試験を用い、低圧(粒子の変形が起きない圧力:空隙率0.26以上)にて一度圧縮して粉体層を成形した後、上下2分割できるセルの上側セルをリフトし、このときの天秤の指示する数値が、破断面に存在する粒子の付着力の総和となることに基づく。
ここで、現像剤の付着力が大きいということは、現像剤がより強い力で凝集していることを示しており、実際に凝集度測定装置にて現像剤の凝集度を測定してみると、図19に示す結果が得られた。
同図によれば、印字枚数が増加するにつれて、現像剤の劣化が進行し、その凝集度が増加していることが理解される。
【0034】
<板状部材の板厚変化と層規制圧との関係>
図20は、現像容器側に一端が固定された自由長が15mmの層規制部材としての板状部材(せき止め部無し)を用意し、当該板状部材を、先端側に突出部を残して現像ロールに圧接配置し、板状部材の撓みと現像ロールへの線圧(現像ロールへの層規制圧に相当)との関係を調べたものである。
同図によれば、板状部材の板厚が厚いと板状部材の撓みに対する線圧への影響が大きく、現像ロールの振れに対して線圧変化が大きいことが理解される。
反対に、板状部材の板厚が薄いと、板状部材の撓みに対する線圧への影響は小さいが、得られる線圧も低くなることが理解される。
【0035】
<せき止め部の斜面の傾斜角度変化と現像剤層厚との関係>
図21は、新規現像剤(New)と劣化現像剤(Aged:本例では5%印字率の画像を1500枚印字後の現像剤)とについて、層規制部材のせき止め部の斜面の傾斜角度θ(層規制部材単品の突出部と斜面との間の角度)をパラメータとして変化させ、層規制部材にて規制された現像ロール上の現像剤層厚を測定したものである。
本例の測定条件としては以下の通りである。
・層規制部材:
SUS304製板厚0.07mm,自由長15mm,突出部0.5mm
・現像ロール:
外径φ16mm,表面粗さRa=1.4μm,周速274mm/sec.
同図によれば、θが90度未満である態様(図6参照)では、新規現像剤の場合と劣化現像剤の場合とで現像剤層厚がばらつく傾向が見られるが、θが90度〜135度の態様では、新規現像剤の場合と劣化現像剤の場合とで現像剤層厚は略一定に保たれ、安定していることが理解される。
尚、図21では、θが135度までのデータしか示していないが、θが135度を超えた角度であっても、90度未満に比べて、新規現像剤の場合と劣化現像剤の場合とで現像剤層厚を略一定に保つことが確認された。
【符号の説明】
【0036】
1…像保持体,2…現像装置,3…現像容器,4…現像剤保持体,10…層規制部材,11…板状部材,11a…支持部位,11b…接触部位,12…突出部,13…せき止め部,14…斜面,θ…突出部に対するせき止め部の斜面の傾斜角度,A…層規制部材と現像剤保持体との接触部位における接線に対する法線,B…せき止め部の斜面に沿った傾斜方向に延びる傾斜線,S…層規制部材のせき止め部に作用する現像剤による押圧力,Fa…押圧力SのA方向成分,Fb…層規制部材の板状部材による層規制圧,G…現像剤,T…トナー,M…外添剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、層規制部材及びこれを用いた現像装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における現像装置としては例えば特許文献1,2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、現像ローラに現像ブレードを当接させる態様で安定したトナーの薄層を得るために、現像ブレードとして、先端を折り曲げて本体部分、折曲げ部及び折曲げ片を形成した金属ばね材から成るものを用い、本体部分と折曲げ片の成す角度を90度より小さく、0度より大きく設定する技術が開示されている。
特許文献2には、現像剤規制部材と現像剤容器との間のトナーシール性と現像剤規制部材の当接圧安定性の向上を図るために、現像剤規制部材としての弾性部材に、支持部材の近傍位置で現像剤容器に接触する凸部を有し、この凸部としては現像剤担持体の軸線と略平行に延びて形成し、現像剤容器と凸部との接触面での接触状態を工夫した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−323778号公報(実施例,図9)
【特許文献2】特開2003−215914号公報(発明の実施の形態,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、現像像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制する層規制部材及びこれを用いた現像装置、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、静電潜像が保持可能な像保持体に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、この現像容器の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体に対向する現像域まで現像容器に収容された現像剤を保持して搬送する現像剤保持体と、を備えた現像装置に用いられ、前記現像剤保持体に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材であって、前記現像容器側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位から前記現像剤保持体の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体との接触部位よりも突出する突出部を有する板状部材と、前記板状部材の現像剤保持体との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材の支持部位を除いた部位で且つ前記突出部の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部に対して90度以上の角度で傾斜する斜面を有すると共に当該斜面にて前記突出部に乗り上げた現像剤がせき止められるせき止め部と、を備えたことを特徴とする層規制部材である。
【0006】
請求項2に係る発明は、静電潜像が保持可能な像保持体に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、この現像容器の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体に対向する現像域まで現像容器に収容された現像剤を保持して搬送する現像剤保持体と、この現像剤保持体に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材と、を備え、前記層規制部材は、前記現像容器側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位から前記現像剤保持体の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体との接触部位よりも突出する突出部を有する板状部材と、前記板状部材の現像剤保持体との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材の支持部位を除いた部位で且つ前記突出部の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部に対して90度以上の角度で傾斜する斜面を有すると共に当該斜面にて前記突出部に乗り上げた現像剤がせき止められるせき止め部と、を備えることを特徴とする現像装置である。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る現像装置において、前記せき止め部は、前記板状部材と前記現像剤保持体との接触部位に対応した部位に設けられていることを特徴とする現像装置である。
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に係る現像装置において、前記せき止め部は、板状部材とは別体で且つ板状部材に固着されていることを特徴とする現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項2ないし4いずれかに係る現像装置において、前記せき止め部は、前記突出部に対して90度以上135度以下の角度で傾斜する斜面を有することを特徴とする現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項2ないし5いずれかに係る現像装置において、前記せき止め部は、前記板状部材に対して鉛直方向に延びる長さが突出部よりも長く設定されていることを特徴とする現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項2ないし6いずれかに係る現像装置において、前記せき止め部は、前記現像剤保持体の回転軸方向に沿って前記板状部材に連続的又は不連続的に設けられることを特徴とする現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る現像装置において、前記せき止め部は、前記現像剤保持体の回転軸方向に対して前記板状部材の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤をせき止めるものであることを特徴とする現像装置である。
請求項9に係る発明は、静電潜像が保持可能な像保持体と、この像保持体に対向して設けられて前記像保持体上の静電潜像を現像する請求項2ないし8いずれかに係る現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、現像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制することができる。
請求項2に係る発明によれば、現像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制することが可能な現像装置を容易に構築することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、現像剤保持体と板状部材との接触部位に対して板状部材による押圧方向成分の増加分を有効に働かせることができる。
請求項4に係る発明によれば、既存の板状部材を利用し、簡単に層規制部材を形成することができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、突出部を乗り上げた現像剤のせき止め量を多く確保でき、その分、板状部材による押圧方向成分を有効に増加させることができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、突出部を乗り上げた現像剤のせき止め量を多く確保でき、かつ、斜面への接触面積を広げて当該斜面へ作用する押圧力を増加させることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、現像剤保持体と板状部材との接触部位に対して板状部材による押圧方向成分の増加分を連続的又は不連続的に調整することができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、現像剤保持体と板状部材との接触部位に対して板状部材による押圧方向の増加分を板状部材の中央寄りに多く配分することができ、層規制部材の長手方向中央での浮き上がりを有効に防止することができる。
請求項9に係る発明によれば、現像剤保持体上の非磁性一成分現像剤に対する接触圧を必要最小限に抑え、現像剤の劣化に伴う現像剤の特性変化に拘わらず現像剤保持体上で現像剤層を安定的に規制することが可能な現像装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)に示す現像装置で用いられる層規制部材の詳細を示す説明図である。
【図2】(a)は新規現像剤の場合における層規制部材による層規制原理を示す説明図、(b)は劣化現像剤の場合における層規制部材による層規制原理を示す説明図である。
【図3】本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
【図4】(a)は実施の形態1で用いられる現像装置の要部を示す説明図、(b)は現像装置の一要素である層規制部材の構成を示す説明図、(c)は(b)中C方向から見た矢視図である。
【図5】図4(a)に係る現像装置における層規制部材の取付状態及びそのときに作用する押圧力を示す説明図である。
【図6】(a)は比較の形態1に係る現像装置における層規制部材の取付状態を示す説明図、(b)は(a)に示す層規制部材の取付状態の要部及びそのときに作用する押圧力を示す説明図である。
【図7】(a)は現像剤としての現像剤の使用時間tと層規制部材押圧力Pとの関係を示す説明図、(b)は現像剤の使用時間tと層規制部材による現像剤の層規制量Qとの関係を示す説明図である。
【図8】(a)は層規制部材のせき止め部の配設位置例を示す説明図、(b)は(a)における層規制部材のせき止め部の配設位置例とせき止め部に作用する現像剤による押圧力の変化との関係を模式的に示す説明図である。
【図9】(a)は比較の形態2に係る現像装置の層規制部材による現像剤としての現像剤の層規制挙動を示す説明図、(b)は現像剤が劣化した場合における層規制部材による現像剤としての現像剤の層規制挙動を示す説明図である。
【図10】比較の形態3に係る現像装置の層規制部材による現像剤の層規制挙動を示す説明図である。
【図11】(a)は実施の形態2に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図12】実施の形態3に係る現像装置の要部を示す説明図である。
【図13】(a)は実施の形態4に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図14】(a)は実施の形態4に係る現像装置における現像剤の使用時間tと層規制部材押圧力Pとの関係を示す説明図、(b)は同現像装置における現像剤の使用時間tと層規制部材による現像剤の層規制量Qとの関係を示す説明図である。
【図15】(a)は実施の形態5に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は(a)中C方向から見た矢視図である。
【図16】(a)は変形の形態5−1に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図17】(a)は変形の形態5−2に係る現像装置の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図18】実施例に係る現像装置において、新規現像剤(New)と劣化現像剤(Aged)とを用いた際に、現像剤としてのトナーへの予圧密応力と現像剤保持体へのトナー付着力との関係を示す説明図である。
【図19】実施例で使用される現像剤としてのトナーの劣化特性につき、印字枚数と凝集度との関係を調べた結果を示す説明図である。
【図20】実施例で用いられる層規制部材の板厚変更に伴う撓みと線圧との関係を示す説明図である。
【図21】実施例に係る現像装置において、新規現像剤(New)と劣化現像剤(Aged)とを用いた際に、せき止め部の傾斜角(90−θ)と現像剤としてのトナー層厚との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、同図(b)は現像装置の層規制部材の周辺を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、静電潜像が保持可能な像保持体1と、この像保持体1に対向して設けられて像保持体1上の静電潜像を現像する現像装置2と、を備えている。
本実施の形態では、現像装置2は、静電潜像が保持可能な像保持体1に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤Gを収容する現像容器3と、この現像容器3の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体1に対向する現像域まで現像容器3に収容された現像剤Gを保持して搬送する現像剤保持体4と、この現像剤保持体4に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材10と、を備え、前記層規制部材10は、前記現像容器3側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位11aから前記現像剤保持体4の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体4に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体4との接触部位11bよりも突出する突出部12を有する板状部材11と、前記板状部材11の現像剤保持体4との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材11の支持部位11aを除いた部位で且つ前記突出部12の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部12に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面14を有すると共に当該斜面14にて前記突出部12に乗り上げた現像剤Gがせき止められるせき止め部13と、を備える。
【0011】
このような技術的手段において、本願は、非磁性一成分現像剤を用い、現像剤保持体4に対して保持搬送する態様を前提とする。
ここでいう非磁性一成分現像剤Gとしては、図1(b)に示すように、非磁性トナーTに流動性や帯電性を付与するための外添剤Mを添加付与したものを想定する。このような現像剤Gを長期に亘って使用すると、前記外添剤MがトナーTに埋没したり、剥がれたりすることに起因して現像剤Gが劣化し、現像剤Gの流動性や帯電性が損なわれる事態が生ずる。
本実施の形態では、このような現像剤Gの劣化に伴って、所定圧で押圧されている層規制部材10を通過する現像剤量(現像剤層厚)が変化することを少なく抑えることを狙いとする。
また、現像装置2としては、現像容器3、現像剤保持体4及び層規制部材10を構成要素として備えていればよいが、これに限られるものではなく、現像剤保持体4へ現像剤Gを供給する供給部材や、現像容器3と現像剤保持体4との間からの現像剤Gの漏れを抑える封止部材などの他の機能部材を付加してもよいことは勿論である。
【0012】
また、板状部材11は、支持部位11aから現像剤保持体4の現像剤搬送方向に対向する方向に延びるもので、現像剤保持体4に対して弾性変形した状態で接触し、かつ、現像剤保持体4との接触部位11bよりも突出する突出部12を有するものであればよい。
そして、突出部12は、現像剤保持体4との間に空間部を確保するもので、現像剤保持体4に保持された現像剤Gを空間部に相当する量だけ取り込んだ後に板状部材11と現像剤保持体4との接触部位11bに案内するため、規制される現像剤層が安定する。
更に、せき止め部13は突出部12に対して90度以上の角度θだけ傾斜した斜面14を有するものであればよいが、ここでいう斜面14の角度条件は、少なくとも層規制部材10単体で満たしていればよい。例えばせき止め部13の斜面14が突出部12に対して90度傾斜している態様でも、現像剤保持体4に対して板状部材11を弾性変形した状態で圧接配置されると、板状部材11の弾性変形に伴って突出部12も追従変位する。このため、せき止め部13の斜面14は追従変位した突出部12から90度傾斜することになり、斜面14に作用する押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Faが生じ、板状部材11による弾性変形に伴う層規制圧Fbに加えて板状部材11による押圧力が増加する。尚、図中Aは層規制部材10と現像剤保持体4との接触部位11bにおける接線に対する法線、Bはせき止め部13の斜面14に沿った傾斜方向に延びる傾斜線である。
【0013】
ここで、仮に、せき止め部13が突出部12に対して90度未満傾斜した斜面14を有する態様では、せき止め部13の斜面14に作用する押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Faは負の方向(板状部材11を持ち上げる方向)に働く可能性が高く、板状部材11による押圧力Sを減少させる懸念がある。
また、せき止め部13は、板状部材11の突出部12に乗り上げた現像剤Gをせき止めたときにその斜面14に作用する押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Faを増加させる働きを奏するものであれば、板状部材11と一体的に形成してもよいし、板状部材11とは別体で板状部材11に接着その他で固着してもよいし、あるいは、板状部材11とは別体で且つ現像容器3側に直接又は支持部材を介して支持したものを前記板状部材11に対して所定の位置関係で接触配置する態様など適宜選定して差し支えない。
【0014】
次に、現像剤の使用履歴がせき止め部13の働きに伴う現像剤の挙動にどのように影響するかについて説明する。
新規な現像剤Gでも、少し劣化した現像剤Gでも、せき止め部13は、図2(a)(b)に示すように、突出部12に乗り上げた現像剤Gをせき止めるものであるが、図1(b)に示すように、現像剤Gが劣化してくると、トナーTに対して外添剤Mが剥がれたり埋没したりするため、現像剤Gの嵩密度が高くなるばかりか、トナーT相互が付着し易くなり、現像剤Gの凝集度が高くなると共に現像剤保持体4への現像剤Gの付着力も増加する。
このため、例えば図2(a)に示すように、新規現像剤の場合には、現像剤保持体4への現像剤Gの付着力Wはそれほど大きくはなく、層規制部材10の圧接配置に伴う層規制圧Fbに加えて、層規制部材10の突出部12に乗り上げる現像剤量に伴ってせき止め部13の斜面14に作用する押圧力S(図1(b)参照)のうち板状部材11による押圧方向成分Faが作用し、層規制部材10による押圧力がFa+Fbの合力として与えられる。
しかしながら、現像剤の使用履歴に伴って新規現像剤から次第に劣化現像剤へと変化していくと、図2(b)に示すように、層規制部材10の圧接配置に伴う層規制圧Fbは変化しないが、現像剤保持体4への現像剤Gの付着力W’(>W)が増加し、層規制部材10の接触部位11bを通過しようとする現像剤量が増加すると共に、層規制部材10の突出部12に乗り上げる現像剤量も増加することから、せき止め部13の斜面14に作用する押圧力S(図1(b)参照)が増加し、現像剤Gの劣化に伴って、前記押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Fa’(>Fa)が増加する。このため、層規制部材10による押圧力がFa’+Fbの合力として与えられる。
このため、新規現像剤の使用開始時に層規制部材10の板状部材11の押圧設定(弾性変形の程度)を予め初期調整しておけば、現像剤の長期使用に伴って現像剤が劣化し、層規制部材10の板状部材11と現像剤保持体4との接触部位11bを通過する現像剤量が増加しようとしても、せき止め部13の作用によって板状部材11の押圧力が増加することから、板状部材11と現像剤保持体4との接触部位11bを通過しようとする現像剤量は抑えられ、その分、せき止め部13がない態様に比べて、層規制部材10により規制される現像剤層は安定したものとして得られる。
【0015】
次に、本実施の形態で用いられるせき止め部13の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
せき止め部13の配設箇所については、板状部材11と現像剤保持体4との接触部位11bに対応した部位に設けられる態様が好ましい。
本態様では、せき止め部13の斜面14に作用する押圧力Sのうち板状部材11による押圧方向成分Faが直接現像剤保持体4と板状部材11との接触部位11bに働くことから、層規制部材10による押圧力Sが直接的に作用する点で好ましい。
また、せき止め部13の好ましい構成例としては、板状部材11とは別体で且つ板状部材11に固着されている態様が好ましい。ここで、板状部材11への固着方法は接着、溶着など適宜選定して差し支えない。
更に、せき止め部13の斜面14については、突出部12を乗り越えた現像剤量を多く確保し、かつ、斜面14に作用する押圧力Sを大きくするという観点からすれば、突出部12に対して90度以上135度以下の角度θで傾斜する斜面14とする態様や、せき止め部13のうち板状部材11に対して鉛直方向に延びる長さが突出部12よりも長く設定されている態様が好ましい。
【0016】
また、せき止め部13の代表的態様としては、現像剤保持体4の回転軸方向に沿って板状部材11に連続的又は不連続的に設けられていればよい。ここで、「連続的」とは板状部材11の長手方向に沿ってせき止め部13を連続した状態で設けた態様を意味し、「不連続的」とは板状部材11の長手方向に沿ってせき止め部13を部分的に一若しくは複数設けた態様を意味する。
更に、せき止め部13を不連続的に設けた態様にあっては、現像剤保持体4の回転軸方向に対して板状部材11の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤Gをせき止めるものである態様が好ましい。
せき止め部13が不連続的である態様では、例えば板状部材11の中央部だけに設けてもよいし、板状部材11の中央部に中央せき止め部を設けると共にこの中央せき止め部を挟んだ両側に側方せき止め部を設け、突出部12に対する配設位置、斜面14の傾斜角、斜面14の鉛直方向長さなどを調整することで、側方せき止め部に比べて中央せき止め部による現像剤のせき止め量を多く確保するようにすればよい。
【0017】
以下添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
<画像形成装置の全体構成>
図3は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、静電潜像が保持可能な感光体などの像保持体20と、この像保持体20に対応して設けられて像保持体20上の静電潜像を現像する現像装置30と、を備えている。
尚、像保持体20上の静電潜像は、例えば感光体などの像保持体20を帯電する帯電装置と、この帯電装置にて帯電された像保持体20に対して静電潜像を書き込む潜像書込装置とにより形成される。また、像保持体20上の静電潜像は、現像装置30により現像された後、図示外の転写媒体(記録材や静電転写部材など)に転写され、像保持体20上の残留現像剤は図示外の清掃装置にて清掃される。
【0018】
<現像装置>
本実施の形態において、現像装置30は、像保持体20に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤Gが収容される現像容器31と、この現像容器31の開口部31aに面して回転可能に設けられ且つ現像剤Gを保持して搬送する現像ロール32と、現像容器31内で現像ロール32に隣接して回転可能に設けられ且つ現像容器31内の現像剤Gを現像ロール32に供給する現像剤供給ロール33と、現像容器31内に回転可能に設けられ且つ現像剤Gを撹拌しながら現像剤供給ロール33側に搬送する撹拌部材34と、像保持体20と現像ロール32との対向部に対応する現像域m(像保持体20上の静電潜像を現像する領域に相当)よりも現像ロール32の回転方向上流側で、かつ、現像剤供給ロール33と現像ロール32との供給域nよりも現像ロール32の回転方向下流側に設けられ、現像ロール32に供給された現像剤層を規制する層規制部材35と、現像容器31の開口部31a下縁と現像ロール32との間に設けられ、現像容器31内の現像剤Gの漏れを気密に塞ぐ弾性部材からなる封止部材としてのシール部材36と、を備えている。
そして、本実施の形態では、現像ロール32には現像バイアス電源37が接続され、現像ロール32に現像バイアスを印加することで、像保持体20と現像ロール32との現像域mに現像剤Gによる現像作用が発揮されるように現像電界を形成するようになっている。また、現像剤供給ロール33には供給バイアス電源38が接続され、現像剤供給ロール33に供給バイアスを印加することで、現像ロール32と現像剤供給ロール33との供給域nに現像剤Gを供給するようになっている。
【0019】
<層規制部材>
本実施の形態において、層規制部材35は例えばSUS製の弾性変形可能な板状部材40を有している。この板状部材40は、図4(a)〜(c)及び図5に示すように、金属製(例えばSUS製)の予め決められた厚みd(例えば0.07〜0.09mm厚)で現像ロール32の回転軸方向に延びる矩形状薄板からなり、現像ロール32の回転軸方向に交差する幅方向一端側が現像容器31の開口部31aの上縁部に直接若しくは支持部材を介して固定支持され、当該支持部位40aから現像ロール32の現像剤搬送方向に対向して延び、現像ロール32に弾性変形した状態で例えば予め決められた層規制圧Fb(図5中二点鎖線で表記)にて圧接配置されると共に当該現像ロール32との接触部位(ニップ領域)40bよりも突出する突出部41を有している。尚、現像ロール32と層規制部材35の突出部41との間には現像剤Gを取り込み易くするように間隙部42が確保されるようになっており、突出部41の突出寸法は間隙部42内に取り込むべき現像剤量を踏まえ、例えば0.5〜2mm等適宜選定して差し支えない。
そして、図4(a)〜(c)及び図5に示すように、板状部材40の現像ロール32との接触面とは反対側の面のうち、板状部材40の支持部位40aを除いた部位で且つ突出部41の全部若しくは一部を残す部位にせき止め部45が設けられている。本例では、せき止め部45は板状部材40と一体的に板状部材40から張り出すように板状部材40の長手方向全域に亘って形成されており、突出部41に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面46を有している。
ここで、図5において、現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dでの接線方向をC、同接触部位に対する法線方向をA、更に、せき止め部45の斜面46の傾斜方向をBとし、更に、法線方向Aと接線方向Cとで互いに区画される領域を象限(1)〜象限(4)で表示するものとすれば、突出部41が象限(1)に位置すると共にせき止め部45が象限(2)に位置するように配置されている。
更に、本例では、せき止め部45は現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dに対応した箇所に設けられている。また、本例では、せき止め部45の法線方向Aに張り出す寸法は突出部41の突出寸法より短く設定されているが、突出部41に乗り上げる現像剤量を多く確保するという観点からすれば、せき止め部45の法線方向Aに張り出す寸法を突出部41の突出寸法以上長く設定するようにしてもよい。特に、突出部41の突出寸法が短く設定される場合には、せき止め部45の法線方向Aに張り出す寸法を突出部41の突出寸法よりも長く設定することが好ましい。
【0020】
次に、本実施の形態に係る現像装置の作動につき、主として層規制部材による現像剤の層規制挙動を説明する。
図4(a)及び図5において、現像剤供給ロール33によって現像剤Gが現像ロール32に供給されると、図4(a)の矢印Jに示すように、現像ロール32上の現像剤Gの一部は層規制部材35の突出部41内に取り込まれ、現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dを通過して層規制される。一方、図4(a)の矢印Iに示すように、現像ロール32上の現像剤Gの残りは層規制部材35の突出部41に乗り上げてせき止め部45に突き当たる。
このような現像剤Gの挙動において、図5に示すように、新規現像剤の場合には、現像剤Gが現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dを通過するときに、現像ロール32からの反発力及び現像剤Gの凝集力や現像ロール32への付着力などの合力Tと、層規制部材35による押圧力P(層規制部材35による層規制圧Fb及びせき止め部45にせき止められた現像剤Gによる作用力Sの押圧方向成分Faの総和)が層規制部材35の法線方向Aにおいて釣り合っている。
そして、現像剤Gの使用履歴が進み、現像剤Gが次第に劣化してくると、次第に現像剤Gの嵩密度が増加し、また、現像剤Gの凝集力や付着力も増加し、新規現像剤の場合に比べて、現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dを通過する現像剤量が増加しようとすると共に、層規制部材35の突出部41に乗り上げる現像剤量も増加する。
このとき、層規制部材35を通過しようとする現像剤量の増加に伴って層規制部材35を持ち上げようとする合力Tが新規現像剤の場合に比べて増加しようとするが、層規制部材35の突出部41に乗り上げる現像剤量が新規現像剤の場合に比べて増加することから、せき止め部45にせき止められた現像剤Gによる作用力Sが大きくなり、その分、この作用力Sの押圧方向成分Faが新規現像剤の場合に比べて増加し、層規制部材35による押圧力Pが新規現像剤の場合に比べて増加し、増加した合力Tと層規制部材35による押圧力Pとが層規制部材35の法線方向Aにおいて釣り合いを保つ。
【0021】
◎比較の形態1
次に、本実施の形態に係る層規制部材の性能を確認する上で、図6(a)(b)に示す比較の形態1に示す層規制部材35’について説明する。
同図において、層規制部材35’の基本的構成は、実施の形態1と同様な板状部材40を有しているが、実施の形態1と異なり、せき止め部45’の斜面46’と突出部41との角度θ’を90度未満に設定したものである。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本態様では、せき止め部45’の斜面46’の傾斜線は、実施の形態1と異なり、象限(1)に配置されるため、層規制部材35’の突出部41に乗り上げた現像剤Gがせき止め部45’にせき止められた際に、当該せき止め部45’への作用力S’は象限(2)の方向に向かっているため、せき止め部45’への作用力S’のうち層規制部材35の法線方向Aに沿う成分Fcとしては層規制部材35’を持ち上げる方向に働いてしまい、層規制部材35’による押圧力Pを減少させる方向に働くことになってしまう。このため、比較の形態1では、実施の形態1に比べて、層規制部材35’の板状部材40の板厚として厚い材料を選択し、新規現像剤を使用する初期使用時に層規制部材35’による層規制圧を大きく設定せざるを得ない。
【0022】
従って、本実施の形態によれば、新規現像剤を使用して時間tの経過に伴って劣化したときに、層規制部材35の押圧力Pがどのように変化するかを調べたところ、図7(a)に示す結果が得られた。
同図によれば、使用初期において、層規制部材35による押圧力をP0(層規制部材35による層規制圧Fb+せき止め部45による押圧方向成分Fa0)と仮定する。
次いで、現像剤Gを継続してt1まで使用したときには、現像剤Gが少し劣化することに伴って、層規制部材35による押圧力をP1とすると、P1は層規制部材35による層規制圧Fb+せき止め部45による押圧方向成分Fa1(>Fa0)の合力に変化する。
更に、現像剤Gを継続してt2まで使用したときには、現像剤Gが更に劣化することに伴って、層規制部材35による押圧力をP2とすると、P2は層規制部材35による層規制圧Fb+せき止め部45による押圧方向成分Fa2(>Fa1)の合力に変化する。
このように、現像剤Gを継続して使用し、現像剤Gが次第に劣化してくると、現像剤Gの劣化に伴って、層規制部材35を通過しようとする現像剤量が増加しようとするが、せき止め部45による現像剤Gのせき止め作用によってせき止め部45への作用力Sのうち層規制部材35による押圧方向成分Faが増加することから、層規制部材35による押圧力Pが増加することになり、図7(b)に示すように、現像剤Gの使用時間tの変化があったとしても層規制部材35の層規制量Qはいずれも略一定に保たれるという挙動が見られる。
【0023】
<層規制部材のせき止め部の配置例>
今、図8に示すように、層規制部材35の板状部材40に対し、せき止め部45を以下に示すUA、UB、UCの位置に配置し、夫々の配置にあるせき止め部45による作用力の変化を調べると以下の通りである。
本例では、UA、UB、UCは次の態様である。
UA:現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dよりも突出部41とは反対側に配置する態様
UB:現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dに対応して配置する態様
UC:現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dよりも突出部41側に配置する態様
ここで、せき止め部45がUAの位置にある場合には、層規制部材35の突出部41に乗り上げた現像剤Gからせき止め部45が受ける力は大きくなる。しかしながら、層規制部材35による現像ロール32側に向かう押圧方向成分Faは小さい。また、層規制部材35の剛性が低いとせき止め部45よりも先端側での撓みを助長する可能性もあり得る。
また、せき止め部45がUBの位置にある場合には、層規制部材35の突出部41に乗り上げた現像剤Gからせき止め部45が受ける力は、UAよりは小さく、UCよりは大きいものになる。本例では、層規制部材35による現像ロール32側に向かう押圧方向成分Faが他の場合に比べて最大になる。
更に、せき止め部45がUCの位置にある場合には、層規制部材35の突出部41に乗り上げる現像剤量が少ないことから、乗り上げた現像剤Gからせき止め部45が受ける力は小さく、これに伴って、層規制部材35による現像ロール32側に向かう押圧方向成分Faも小さい。
よって、せき止め部45として、最も効果が高いのは現像ロール32と層規制部材35との接触部位Dに対応した部位UBに配置されたときであることが理解される。
但し、せき止め部45については、どの位置に配置される場合でも、板状部材40の剛性に合わせてせき止め部45の位置、高さ、斜面46の傾斜角度を調整することで、せき止め部45によるせき止め作用をある程度調整することは可能である。
【0024】
また、本実施の形態に係る層規制部材の性能を評価する上で、比較の形態2,3に係る層規制部材について説明しておく。
◎比較の形態2
図9(a)は比較の形態2に係る層規制部材の概要を示す。
同図において、比較の形態2に係る層規制部材35’は、実施の形態1に係る層規制部材35からせき止め部45を除いた板状部材40だけの態様である。
本態様では、新規現像剤を初期使用するときには、層規制部材35’は現像ロール32に対して板状部材40の弾性変形に伴う予め定められた層規制圧で押圧されている。このため、現像ロール32に供給された現像剤Gの一部は、矢印Jに示すように、層規制部材35’と現像ロール32との接触部位Dを通過して層規制される。
しかしながら、現像剤Gが次第に劣化してくると、図9(b)に示すように、現像剤Gとしてのトナーに外添剤が埋まり込んだり、トナーから外添剤が剥がれたりすることに伴って、現像剤Gが凝集し易くなったり、現像ロール32に対する現像剤Gの付着力が増加したり、逆極性の現像剤Gが増加することから、層規制部材35’を通過しようとする現像剤量が増加する。
ところが、層規制部材35’による層規制圧は予め定められているため、層規制部材35’を通過しようとする現像剤量を所定の量に規制することが困難になってしまう。
このため、現像剤Gが劣化したときにおける層規制部材35’による現像剤Gの層規制量の増加を抑えるために、初期使用時に層規制部材35’による層規制圧を高めに設定しておくという手法がとられるが、その分、現像剤Gの劣化を早めるという懸念がある。
【0025】
◎比較の形態3
図10は比較の形態3に係る層規制部材の概要を示す。
同図において、比較の形態3に係る層規制部材35”は、比較の形態2と異なり、一端側が現像容器31に支持された板状部材40を有し、この板状部材40の突出部41先端に当該突出部41に対して鋭角αで折り曲げられた折曲部47を一体的に形成したものである。
本態様によれば、現像ロール32に供給された現像剤Gの一部が層規制部材35”を通過するときに、現像剤Gの残りが層規制部材35”の折曲部47側に乗り上げるが、このとき、折曲部47に対して現像剤Gが乗り上げることに伴って突出部41が層規制部材35”と現像ロール32との接触部位Dを支点として撓み変形する懸念があり、その分、層規制部材35”の突出部41と現像ロール32との空間部の容量が変化し、層規制部材35”を通過する現像剤量が不安定になり易い。
【0026】
◎実施の形態2
図11(a)は実施の形態2に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、現像装置30の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、板状部材40とは別体のせき止め部材50を板状部材40に接着、溶着などで固着し、板状部材40にせき止め部45を構成したものである。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例では、せき止め部材50は、図11(a)(b)に示すように、断面二等辺三角形状で現像ロール32の回転軸方向に延びる棒状部材からなり、棒状部材の断面一方の斜辺を斜面46として利用するようにしたものである。
本実施の形態によれば、層規制部材35を構築するには、従前から使用していた板状部材40に別体であるせき止め部材50を固着するという簡単な製造方法を用いるようにすればよい。
本実施の形態によれば、実施の形態1と略同様に、現像剤Gが次第に劣化してきたとしても、層規制部材35のせき止め部45によりせき止められた現像剤Gの作用力Sがせき止め部45の斜面46に作用し、これに伴って、作用力Sのうち層規制部材35による押圧方向成分が増加する。このため、現像剤Gが次第に劣化し、層規制部材35を通過しようとする現像剤Gが増加しようとしても、層規制部材35による押圧力が増加することから、層規制部材35を通過しようとする現像剤量は略一定の層規制量に規制される。
【0027】
◎実施の形態3
図12は実施の形態3に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、現像装置30の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる層規制部材35を備えている。
本実施の形態では、層規制部材35は、現像容器31の開口部31aの上縁部に板状部材40の一端側を固着し、現像ロール32の現像剤搬送方向に対向するように延び、先端側に突出部41を残すように現像ロール32に対して圧接配置する一方、前記現像容器31の開口部31aの上縁部の内側には断面略L字状の押さえ部材60の一端側取付片60aを固定すると共に、一端側取付片60aに近づける方向に他端側脚片60bを弾性変形させた状態で板状部材40の現像ロール32との接触面とは反対側の面に対して圧接配置し、更に、押さえ部材60の脚片60bの先端には当該脚片60bに対して90度未満の角度ηで折り曲げられた折曲片61を一体的形成したものである。
ここで、押さえ部材60の脚片60bの先端部は、現像ロール32と板状部材40との接触部位Dに対応した部位に位置する板状部材40に圧接配置され、押さえ部材60の折曲片61が板状部材40から張り出すせき止め部45として形成され、この折曲片61からなるせき止め部45には突出部41に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面46が形成されている。
本実施の形態では、層規制部材35が板状部材40と押さえ部材60との二つの部品にて構成されており、現像ロール32上に供給された現像剤Gの一部が層規制部材35を通過して層規制される一方、現像ロール32上に供給された現像剤Gの残りが層規制部材35の板状部材40の突出部41に乗り上げると、乗り上げた現像剤Gが折曲片61からなるせき止め部45にせき止められ、当該せき止め部45の斜面46にせき止められた現像剤Gによる作用力Sが作用し、押さえ部材60を介して板状部材40を現像ロール32側に押圧する。このため、実施の形態1,2と略同様に、現像剤Gが次第に劣化し、層規制部材35を通過する現像剤量が増加しようとしても、層規制部材35の突出部41に乗り上げた現像剤量も新規現像剤の場合に比べて増加するため、層規制部材35による押圧力が増加することになり、現像剤Gが次第に劣化してきたとしても、層規制部材35を通過する現像剤量は略一定に保たれる。
【0028】
◎実施の形態4
図13(a)(b)は実施の形態4に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、現像装置30の基本的構成は、実施の形態2と略同様であるが、実施の形態2と異なる層規制部材35を備えている。
本実施の形態において、層規制部材35は、実施の形態2と同様に、板状部材40とは別体のせき止め部材50を用いているが、実施の形態2と異なり、現像ロール32の回転軸方向に対して板状部材40の中央部に中央せき止め部材50cを設けると共に、この中央せき止め部材50cを挟んだ両側に側方せき止め部材50sを設けたものである。
本例では、中央せき止め部材50cは、図13(a)(b)に示すように、例えば板状部材40の突出部41先端から距離hc離れた位置に設けられ、側方せき止め部材50sは例えば板状部材40の突出部41先端から距離hs(本例ではhs<hc)離れた位置に設けられており、現像ロール32の回転軸方向に対して板状部材40の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤Gをせき止めるようになっている。
そして、中央せき止め部材50c及び側方せき止め部材50sは板状部材40に接着、溶着などで固着され、現像ロール32の回転軸方向に対して不連続なせき止め部45として構成され、せき止め部45には突出部41に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面46を設けたものである。
尚、本例では、中央せき止め部材50c、側方せき止め部材50sは、突出部41に対する配設位置を調整することで現像剤Gのせき止め量を調整しているが、これに限られるものではなく、突出部41に対する配設位置に加えて、あるいは、別に、斜面46の傾斜角度や斜面46の法線方向長さなどを調整するようにしても差し支えない。
【0029】
本実施の形態によれば、図14(a)に示すように、新規現像剤を使用して時間tの経過に伴って劣化したときに、層規制部材35の押圧力Pがどのように変化するかを調べたところ、図14(a)に示す結果が得られた。
同図によれば、使用初期において、層規制部材35の中央による押圧力をPc0(層規制部材35による層規制圧Fb+中央せき止め部材50cによる押圧方向成分の合力)と仮定する。
次いで、現像剤Gを継続してt1まで使用したときには、現像剤Gが少し劣化することに伴って、層規制部材35の中央による押圧力をPc1とすると、Pc1は層規制部材35による層規制圧Fb+中央せき止め部材50cによる押圧方向成分の合力(本例ではPc1>Pc0)に変化する。
更に、現像剤Gを継続してt2まで使用したときには、現像剤Gが更に劣化することに伴って、層規制部材35の中央による押圧力をPc2とすると、Pc2は層規制部材35による層規制圧Fb+中央せき止め部材50cによる押圧方向成分の合力(本例ではPc2>Pc1)に変化する。
また、使用初期において、層規制部材35の側方による押圧力をPs0(層規制部材35による層規制圧Fb+側方せき止め部材50sによる押圧方向成分の合力)と仮定する。
次いで、現像剤Gを継続してt1まで使用したときには、現像剤Gが少し劣化することに伴って、層規制部材35の側方による押圧力をPs1とすると、Ps1は層規制部材35による層規制圧Fb+側方せき止め部材50sによる押圧方向成分の合力(本例ではPs1>Ps0)に変化する。
更に、現像剤Gを継続してt2まで使用したときには、現像剤Gが更に劣化することに伴って、層規制部材35の側方による押圧力をPs2とするとPs2は層規制部材35による層規制圧Fb+側方せき止め部材50sによる押圧方向成分の合力(本例ではPs2>Ps1)に変化する。
【0030】
このように、本例では、図14(a)に示すように、層規制部材35による押圧力が中央と側方とで中央が側方に比べて大きくなるように変化する。よって、現像ロール32が撓み変形することに伴って当該現像ロール32の中央に対する層規制部材35による押圧力が大きく、現像ロール32の側方に対する層規制部材35による押圧力が小さい。
従って、本実施の形態では、図14(b)に示すように、現像ロール32が両端支持され、その中央部が自重にて撓み変形したとしても、層規制部材35による押圧力の分布を調整したので、現像剤Gが新規であろうと劣化したものであろうと、現像ロール32の中央と側方(両端を含む)とに対する現像剤Gの層規制量Qは略一定に保たれる。
尚、現像ロール32が両端支持され、その中央部が自重にて撓み変形するような態様において、層規制部材35にせき止め部45を設けない場合には、図14(b)に二点鎖線で示すように、層規制部材35による押圧力が中央付近で側方(両端を含む)よりも減少する傾向になり、層規制部材35による現像剤Gの層規制量Qについて中央が側方に比べて減少する可能性が高い。
【0031】
◎実施の形態5
図15(a)〜(c)は実施の形態5に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、現像装置30の基本的構成は、実施の形態4と略同様であるが、実施の形態4と異なる層規制部材35を有している。
本実施の形態において、層規制部材35は、実施の形態4と同様に、板状部材40とは別体のせき止め部材50を用いており、現像ロール32の回転軸方向に対して板状部材40の中央部に中央せき止め部材50cを設けると共に、この中央せき止め部50cを挟んだ両側に側方せき止め部材50sを設けたものであるが、実施の形態4と異なり、図15(b)(c)に示すように、中央せき止め部材50c及び側方せき止め部材50sは、例えば板状部材40の突出部41先端から同じ距離hだけ離れた位置に連続的に配置されると共に、中央せき止め部材50cの法線方向Aにおける高さ寸法kcが側方せき止め部材50sの法線方向Aにおける高さ寸法ksよりも高く設定されている。
そして、中央せき止め部材50c及び側方せき止め部材50sは板状部材40に接着、溶着などで固着され、現像ロール32の回転軸方向に対して連続的にせき止め部45として構成され、せき止め部45には突出部41に対して90度以上の角度θで傾斜する斜面46を設けたものである。
従って、本実施の形態においても、実施の形態4と略同様に、現像ロール32の回転軸方向に対して層規制部材35の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤Gをせき止める構造になっているため、層規制部材35による押圧力分布を側方に比べて中央を大きく設定することが可能になる。このため、現像ロール32が両端支持され、その中央部が自重にて撓み変形したとしても、層規制部材35による押圧力の分布を調整したので、現像剤が新規であろうと劣化したものであろうと、現像ロール32の中央と側方(両端を含む)とに対する現像剤Gの層規制量Qは略一定に保たれる。
【0032】
本実施の形態では、層規制部材35は中央せき止め部材50c及び側方せき止め部材50sの両方を備えた態様が示されているが、これに限られるものではなく、例えば以下のような変形の形態が挙げられる。
◎変形の形態5−1
図16(a)(b)は変形の形態5−1に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、層規制部材35は中央せき止め部材50cのみからなるせき止め部45を備えたものである。
本態様によれば、層規制部材35のうち、主として長手方向中央付近における押圧力を側方に比べて大きく設定することが可能になり、現像剤Gの劣化に伴って、層規制部材35の長手方向中央における押圧力を調整すれば足りるような状況において採用するようにすればよい。
◎変形の形態5−2
図17(a)(b)は変形の形態5−2に係る現像装置の要部を示す説明図である。
同図において、層規制部材35は板状部材40とは別体のせき止め部材50を板状部材40に固着することでせき止め部45を構成したものであるが、このせき止め部材50は同一の二等辺三角形形状の断面を有し、板状部材40の突出部41の先端からの距離hが長手方向中央部をピークとして長手方向両端に向かって山型状に減少するように配置されたものである。
本態様にあっても、現像ロール32の回転軸方向に対して層規制部材35の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤Gをせき止める構造になっているため、層規制部材35による押圧力分布を側方に比べて中央を大きく設定することが可能になる。
【実施例】
【0033】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態2に係る現像装置を用い、層規制部材35による押圧性能を評価したものである。
層規制部材による押圧性能を評価するに当たり、現像剤劣化に伴う特性変化、及び、板状部材の板厚変化と層規制圧との関係、せき止め部の斜面の傾斜角度変化と現像剤層厚との関係を調べた。
<現像剤劣化に伴う特性変化>
非磁性一成分の新規現像剤を継続的に使用したときの特性変化を調べたところ、以下のような結果が得られた。
図18は、新規現像剤(New)と劣化現像剤(Aged:本例では5%印字率の画像を1500枚印字後の現像剤)とについて、板状の層規制部材(本例ではSUS304,0.07mm厚)を予圧密応力(弾性変形による層規制圧に相当)で現像ロールに接触配置し、そのときの現像ロールに対する現像剤の付着力を調べたものである。
同図によれば、劣化現像剤の方が新規現像剤に比べて現像剤の付着力が大きいことが理解される。特に、層規制部材による層規制圧が大きい方が現像剤の劣化に伴う現像剤の付着力が大きくなっている。
本例では、現像剤の付着力の測定は、せん断力付着力測定を用い、現像ロール上で層規制された現像剤に対してどの程度の剥がし力を要するかということで行われた。
本例におけるせん断力付着力測定条件は以下の通りである。
せん断力付着力測定装置:株式会社ナノシーズ製NS−S/
測定方法は、垂直引張破断試験を用い、低圧(粒子の変形が起きない圧力:空隙率0.26以上)にて一度圧縮して粉体層を成形した後、上下2分割できるセルの上側セルをリフトし、このときの天秤の指示する数値が、破断面に存在する粒子の付着力の総和となることに基づく。
ここで、現像剤の付着力が大きいということは、現像剤がより強い力で凝集していることを示しており、実際に凝集度測定装置にて現像剤の凝集度を測定してみると、図19に示す結果が得られた。
同図によれば、印字枚数が増加するにつれて、現像剤の劣化が進行し、その凝集度が増加していることが理解される。
【0034】
<板状部材の板厚変化と層規制圧との関係>
図20は、現像容器側に一端が固定された自由長が15mmの層規制部材としての板状部材(せき止め部無し)を用意し、当該板状部材を、先端側に突出部を残して現像ロールに圧接配置し、板状部材の撓みと現像ロールへの線圧(現像ロールへの層規制圧に相当)との関係を調べたものである。
同図によれば、板状部材の板厚が厚いと板状部材の撓みに対する線圧への影響が大きく、現像ロールの振れに対して線圧変化が大きいことが理解される。
反対に、板状部材の板厚が薄いと、板状部材の撓みに対する線圧への影響は小さいが、得られる線圧も低くなることが理解される。
【0035】
<せき止め部の斜面の傾斜角度変化と現像剤層厚との関係>
図21は、新規現像剤(New)と劣化現像剤(Aged:本例では5%印字率の画像を1500枚印字後の現像剤)とについて、層規制部材のせき止め部の斜面の傾斜角度θ(層規制部材単品の突出部と斜面との間の角度)をパラメータとして変化させ、層規制部材にて規制された現像ロール上の現像剤層厚を測定したものである。
本例の測定条件としては以下の通りである。
・層規制部材:
SUS304製板厚0.07mm,自由長15mm,突出部0.5mm
・現像ロール:
外径φ16mm,表面粗さRa=1.4μm,周速274mm/sec.
同図によれば、θが90度未満である態様(図6参照)では、新規現像剤の場合と劣化現像剤の場合とで現像剤層厚がばらつく傾向が見られるが、θが90度〜135度の態様では、新規現像剤の場合と劣化現像剤の場合とで現像剤層厚は略一定に保たれ、安定していることが理解される。
尚、図21では、θが135度までのデータしか示していないが、θが135度を超えた角度であっても、90度未満に比べて、新規現像剤の場合と劣化現像剤の場合とで現像剤層厚を略一定に保つことが確認された。
【符号の説明】
【0036】
1…像保持体,2…現像装置,3…現像容器,4…現像剤保持体,10…層規制部材,11…板状部材,11a…支持部位,11b…接触部位,12…突出部,13…せき止め部,14…斜面,θ…突出部に対するせき止め部の斜面の傾斜角度,A…層規制部材と現像剤保持体との接触部位における接線に対する法線,B…せき止め部の斜面に沿った傾斜方向に延びる傾斜線,S…層規制部材のせき止め部に作用する現像剤による押圧力,Fa…押圧力SのA方向成分,Fb…層規制部材の板状部材による層規制圧,G…現像剤,T…トナー,M…外添剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が保持可能な像保持体に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、この現像容器の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体に対向する現像域まで現像容器に収容された現像剤を保持して搬送する現像剤保持体と、を備えた現像装置に用いられ、前記現像剤保持体に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材であって、
前記現像容器側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位から前記現像剤保持体の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体との接触部位よりも突出する突出部を有する板状部材と、
前記板状部材の現像剤保持体との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材の支持部位を除いた部位で且つ前記突出部の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部に対して90度以上の角度で傾斜する斜面を有すると共に当該斜面にて前記突出部に乗り上げた現像剤がせき止められるせき止め部と、
を備えたことを特徴とする層規制部材。
【請求項2】
静電潜像が保持可能な像保持体に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、
この現像容器の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体に対向する現像域まで現像容器に収容された現像剤を保持して搬送する現像剤保持体と、
この現像剤保持体に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材と、を備え、
前記層規制部材は、前記現像容器側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位から前記現像剤保持体の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体との接触部位よりも突出する突出部を有する板状部材と、
前記板状部材の現像剤保持体との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材の支持部位を除いた部位で且つ前記突出部の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部に対して90度以上の角度で傾斜する斜面を有すると共に当該斜面にて前記突出部に乗り上げた現像剤がせき止められるせき止め部と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記板状部材と前記現像剤保持体との接触部位に対応した部位に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の現像装置において、
前記せき止め部は、板状部材とは別体で且つ板状部材に固着されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項2ないし4いずれかに記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記突出部に対して90度以上135度以下の角度で傾斜する斜面を有することを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項2ないし5いずれかに記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記板状部材に対して鉛直方向に延びる長さが突出部よりも長く設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項2ないし6いずれかに記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記現像剤保持体の回転軸方向に沿って前記板状部材に連続的又は不連続的に設けられることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記現像剤保持体の回転軸方向に対して前記板状部材の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤をせき止めるものであることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
静電潜像が保持可能な像保持体と、この像保持体に対向して設けられて前記像保持体上の静電潜像を現像する請求項2ないし8いずれかに記載の現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
静電潜像が保持可能な像保持体に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、この現像容器の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体に対向する現像域まで現像容器に収容された現像剤を保持して搬送する現像剤保持体と、を備えた現像装置に用いられ、前記現像剤保持体に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材であって、
前記現像容器側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位から前記現像剤保持体の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体との接触部位よりも突出する突出部を有する板状部材と、
前記板状部材の現像剤保持体との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材の支持部位を除いた部位で且つ前記突出部の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部に対して90度以上の角度で傾斜する斜面を有すると共に当該斜面にて前記突出部に乗り上げた現像剤がせき止められるせき止め部と、
を備えたことを特徴とする層規制部材。
【請求項2】
静電潜像が保持可能な像保持体に対向して開口し且つ非磁性一成分現像剤を収容する現像容器と、
この現像容器の開口に面して回転可能に配置されると共に前記像保持体に対向する現像域まで現像容器に収容された現像剤を保持して搬送する現像剤保持体と、
この現像剤保持体に保持された現像剤層を現像域に至る前に規制する層規制部材と、を備え、
前記層規制部材は、前記現像容器側に直接若しくは支持部材を介して支持され、当該支持部位から前記現像剤保持体の現像剤搬送方向に対向して延び、現像剤保持体に弾性変形した状態で圧接配置されると共に当該現像剤保持体との接触部位よりも突出する突出部を有する板状部材と、
前記板状部材の現像剤保持体との接触面とは反対側の面のうち、当該板状部材の支持部位を除いた部位で且つ前記突出部の全部若しくは一部を残した部位に張り出すように設けられ、前記突出部に対して90度以上の角度で傾斜する斜面を有すると共に当該斜面にて前記突出部に乗り上げた現像剤がせき止められるせき止め部と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記板状部材と前記現像剤保持体との接触部位に対応した部位に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の現像装置において、
前記せき止め部は、板状部材とは別体で且つ板状部材に固着されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項2ないし4いずれかに記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記突出部に対して90度以上135度以下の角度で傾斜する斜面を有することを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項2ないし5いずれかに記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記板状部材に対して鉛直方向に延びる長さが突出部よりも長く設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項2ないし6いずれかに記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記現像剤保持体の回転軸方向に沿って前記板状部材に連続的又は不連続的に設けられることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7記載の現像装置において、
前記せき止め部は、前記現像剤保持体の回転軸方向に対して前記板状部材の中央部に位置する部位が他の部位よりも多くの現像剤をせき止めるものであることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
静電潜像が保持可能な像保持体と、この像保持体に対向して設けられて前記像保持体上の静電潜像を現像する請求項2ないし8いずれかに記載の現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−50536(P2013−50536A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187446(P2011−187446)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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