説明

山参培養根を利用した酒類の製造方法

【課題】山参培養根を利用した酒類の製造方法を提供する。
【解決手段】山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入してキャッピングする工程を含むことを特徴とする山参培養根を含む酒類の製造方法、及びその製造方法によって製造された山参培養根を含む酒類である。酒類としては一般蒸留酒、焼酎、ウイスキー、ブランデー、ビール、清酒、薬酒、果実酒及びリキュールから、また、山参培養根としては生体、乾燥粉末、培養根丸、培養根の抽出液及び乾燥顆粒から成る群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山参培養根を利用して酒類を製造する方法に係り、さらに詳細には、山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入しキャッピングする工程を含むことを特徴とする山参培養根を含む酒類の製造方法、及びその製造方法によって製造された山参培養根を含む酒類に関する。
【背景技術】
【0002】
酒は、適当に飲用すれば、ストレス解消、睡眠促進、消化促進、新陳代謝促進、対人関係改善などの効果があるが、飲み過ぎれば、分解されなかったアルコールが、有害物質であるアセトアルデヒドに切り換わって頭痛や胸焼けなどの二日酔いを起こすこともある。最近、このような二日酔いを緩和させようとする目的として、多様な特性を有する、すなわち梅、緑茶、覆盆子(ラスベリー)などの添加物を含んだ機能性酒類が多く開発されてきている。
【0003】
高麗人参は、昔から様々な病気の治療や気力回復の促進に驚くべき効果を発揮し、このような高麗人参の薬理的効能を探求するために、広範の研究が行われている。特に、山参には、高麗人参に含まれていない人体に有益な成分や含量が多く含まれていると知られている。高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography:HPLC)を利用して定量分析を行えば、山参は、高麗人参に比べて知られていない特異ピークが多く含まれていると知られている。山参は、東医宝監で“神草”とも呼ばれるほど珍しい植物であって、サポニン、ポリアセチレン化合物、ポリフェノール化合物、酸性多糖体、及びその他の一般の成分からなる。また、薬理効能として坑癌作用、抗酸化活性、コレステロールの低下、癌細胞の増殖抑制作用、抗血小板作用(心臓機能の強化及び血行の改善)、老化抑制、免疫機能の増強、虚弱体質の改善、抗糖尿、ストレス解消、美白活性及び臨床効果、性機能改善効果、神経痛、甲状腺、不眠症、皮膚炎の治療などの優れた効能を有すると知られている。最近の生物工学的技術を通じて、生理活性物質であるジンセノサイド(ginsenosides)の含量の高い山参培養根の大量増殖が可能になった。山参を利用して不定根の誘導、ラインの選抜、生物反応機で培養、工場で大量培養、収穫、乾燥させて大量生産による山参培養根を得ることができるようになった。
【0004】
昔から不老草と呼ばれる山参の効能は、言葉では表現し切れないほど優れていると知られている。山参には、高麗人参には含まれていない人体に有益な成分や含量が多く含まれていると知られており、現代医薬では治療し難い病気に対する抵抗力を高めるのに非常に効果的である。
【0005】
本発明の発明者らは、忠北大学校の先端園芸技術開発研究センター(CBN Biotech)との共同研究を通じて、細胞培養技術で山参細胞を培養してカルスにし、また、韓国特許登録第0353636号公報に開示されているように、カルス由来の単細胞を培養することにより山参の器官を分化させることができるようになった。したがって、大衆的に山参を研究及び利用できるようにした、組職培養による高麗人参、長脳参、山参不定根の大量増殖方法についての発明を確保している。
【0006】
天然山参と遺伝的に同じ成分及びそれ以上の効能を有する山参培養根は、高麗人参の数十倍に達するサポニンなどを含んでおり、現代人のさらに他の生命草であると言える。最近、生物工学的技術を通じて、生理活性物質であるジンセノサイドの含量を高めた山参培養根の大量増殖が可能になった。山参を利用して不定根の誘導、ラインの選抜、生物反応機で培養、パイロット水準の大量培養、収穫、乾燥させることによって、山参培養根を大量に得ることができるようになった。
【0007】
酒には多様な種類があり、その製造方法によって醸造酒、蒸留酒、混成酒がある。醸造酒は、果物、穀類及びその他の原料に入っている糖分や澱粉が微生物の働きによって発酵されて得られる酒である。醸造酒には、原料の成分から出る特有の香りと柔らかい味があり、その例として、ブドウ酒などの果実酒、ビール、濁酒、薬酒、清酒がある。醸造酒は、発酵された酒または酒母を再び蒸溜することにより得られる酒であって、不純物の除去が可能であり、その例としては、ウイスキー、ブランデー、ウオツカ、ラム、テキーラなどがある。混成酒は、醸造酒または蒸留酒に果実、香料、甘味料、薬草などを添加して浸出させるか、または蒸溜して得られる酒であって、その例としては各種のカクテルがある。
【0008】
しかし、従来の酒類は、特有の異臭及び異味によって飲み難く、飲酒後の二日酔いで苦しく、また、添加剤の味を嫌がる一部の飲用者から排斥されるのが事実である。香りが悪く、雑味があり、また二日酔いもひどいため、多様な年齢層から愛用されていないというのが実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、山参培養根を利用して機能性酒類を製造する方法に係り、山参培養根の有効成分が効率的に抽出され、味と香りが調和するように、最適化された製造工程を経た酒類に山参培養根を混入して製造する方法に関する。山参培養根特有の深い味及び香りを生かしながらも、酒類固有のひどい異味及び異臭を抑制し、また、酒類特有の風味と調和できる最適の山参培養根の含まれた機能性酒類の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を解決するために、本発明は、山参培養根を利用して酒類を製造する方法、さらに詳細には、山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入しキャッピングする工程を含むことを特徴とする山参培養根を含む酒類の製造方法を提供する。また、山参培養根の瓶詰め過程で2ないし3重量%を投入することが好ましい。
【0011】
本発明の一具現例に係る酒類の製造方法は、果実を自然に発酵させた果実酒、または果実をアルコール飲料に浸出させて製造した果実酒に、山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入してキャッピングする工程を含むことを特徴とする山参培養根を含む酒類の製造方法に関する。
【0012】
さらに具体的には、本発明は、(a)完熟果物と未完熟果物を80:20の割合で混合して水で洗浄した後、水気を完全に取り除いて用意する工程、(b)用意した果実を完全に密封した容器に入れて、濃度25ないし40%のアルコール飲料を入れ、光を避けて発酵させる工程、(c)発酵の終わった酒母を濾過膜に通過させ、圧搾機を利用して酒液と粕に分離する工程、(h)酒液を保存タンクに移送する工程、及び(i)保存された状態で、配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入してキャッピングする工程を含むことを特徴とする山参培養根を含む酒類の製造方法を提供する。
【0013】
前記果実は、梅、ミカン、ユズ、ヤマブドウ、イチゴ、無花果、石榴、ブドウ、バナナ、レモン、木瓜、さくらんぼ、桃、リンゴ、アンズ、ユスラウメ、夏ミカン、スモモ、カラタチ、パイナップル、覆盆子からなる群から選択される1種以上の果肉または浸出物であることを特徴とする。また、甘味料として、砂糖、果糖、葡萄糖、蜂蜜、アスパルテーム、ステビオシドからなる群から選択される少なくとも一つ以上の甘味剤が添加されることを特徴とする。
【0014】
以下、本発明の山参培養根の含まれた果実酒の製造方法をさらに詳細に説明すれば、本発明者らの絶え間ない実験及び研究過程を通じて、山参培養根の有効薬理成分が効率的に発酵果実酒から抽出され、山参培養根及び果実酒の特有の味及び香りがよく調和できる最適化された果実酒の製造方法を確立し、また、最適の山参培養根の混入方法及び条件が備えられた。したがって、最適の果実酒の製造方法で発酵されて濾過された果実酒の酒液の製造過程で、山参培養根を最適の形及び含量で瓶詰めすることを特徴とする。
【0015】
山参の効能は、韓方医学における数千年間の経験によってその薬効の優秀性が認められてきた。中国の陶弘景は、488年から496年までに「神農本草経」を修正したが、「神農本草経」によれば、“山参は、主に五臓を保護し、精神を安定させ、驚悸を止め、目を明るくし、頭の働きを良くして知恵を増やし、山参を長期間服用すれば、寿命を延ばす”とする。本発明で、山参培養根としては、110年根山参→細胞組織の核分裂→優良培養根の選抜→培養根の成長→大量培養→収獲→乾燥の工程を経て大量生産された製品を利用する。山参培養根は、果実酒に対して0.5ないし5重量%、好ましくは、2ないし3重量%が混入される。それは、その数値以下では山参培養根特有の効能及び風味が得られず、それ以上の含量では山参培養根の苦味が出て果実酒固有の香りを抑制するためである。最終の精密濾過過程を経た果実酒に山参培養根を混入し、直ぐキャッピングして瓶詰めすることによって、追加的な汚染を防止し、その後の熟成及び流通過程で山参培養根が果実酒内で均一に抽出・保管される効果を期待することができる。
【0016】
完熟果実と未完熟果実を80:20の割合で混合して使用する場合、最終の果実酒の味と香りが調和し、特に、山参培養根を投入して熟成及び流通する過程で果実酒及び山参培養根の特有の風味が相乗的に働く。
【0017】
果実にアルコール濃度25%ないし40%、好ましくは、約30%ないし35%の酒を使用することによって、最終の果実酒の味と香りが調和し、特に、山参培養根を投入して熟成・流通する過程で果実酒及び山参培養根の特有の風味が相乗的に働く。
【0018】
発酵が終わった酒母を濾過膜に通過させ、圧搾機を利用して酒液と粕に分離し、酒液を保存タンクに移送した後、保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%、好ましくは2ないし3重量%を投入しキャッピングして山参培養根を含むブドウ果実酒を製造することによって、果実酒の残存物からの特有の異臭及び異味が山参培養根の風味を崩すことなく、果実酒及び山参の特有の香臭が調和する効果を得ることができる。
【0019】
果実酒の材料となる果実は、新鮮なもの、傷のないものを選んで、きれいに洗って水気を取って用意する。果実は、涼しい場所に一晩くらい乾燥させる。果実の種類によってその手入れが異なるが、ブドウ、スモモ、梅のように小さい果物は、敢えてその種や皮を取る必要はないが、一般的にリンゴ、レモン、オレンジのように大きい果物は、種を取り除くことが好ましい。果物が酒になるためには、一定の期間の発酵過程が必要であるが、酒を仕込んで発酵させる容器を完全に密封し、光を避けて初めて、酒の色を良くし、味の低下を抑制することができる。梅のように果肉の硬い果物は、熟成後にも実をそのまま置くことが好ましいが、ブドウやスモモのように果肉の柔らかい果物は、長い時間が過ぎれば、その形が崩れて酒が濁るので、一定の期間の熟成後には引き上げて、発酵後に最終的に濾過する。砂糖のような糖を添加する場合、アルコール飲料(酒)と共に入れれば溶解し難いので、果実と交ぜて1週間ないし2週間ほど常温で熟成させた後に仕込めば、独特の香りを感じることができる。
【0020】
本発明の一具現例に係る方法は、
(a)玄米を搗精及び蒸米する工程を含む酒精原料の前処理工程、
(b)蒸米に麹菌を繁殖させてコウジで粒麹製造する工程、
(c)酒母の発酵のための酵母を拡大培養して母酒を製造し、さらに培養する工程、
(d)母酒にコウジ、水及び蒸米をさらに仕込んで発酵させる工程、
(e)発酵が終わった酒母を濾過及び製成する工程、
(f)酒液を加熱して凝固物を取り除き、微生物を殺菌する工程、
(g)熟成させる工程、
(h)熟成が終わった酒液を精密濾過工程を経て保存タンクに移送する工程、及び
(i)保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入してキャッピングする工程を含むことを特徴とする山参培養根を含む酒類の製造方法に関する。
【0021】
さらに具体的には、本発明は、
(a)玄米を搗精割合72ないし73%で搗精して洗浄し、水に2ないし10時間浸漬して、10ないし22分間蒸米する工程を含む酒精原料の前処理工程、
(b)蒸米に黄麹菌(Aspergillus)を25℃で38ないし42時間繁殖させて、コウジで粒麹製造する工程、
(c)酒母の発酵のための酵母を拡大培養して母酒を製造し、25℃で3日間さらに培養する工程、
(d)母酒7.5kgにコウジ22kg、水100リットル及び最終蒸米量が100kgになるように蒸米をさらに仕込んで、7ないし15℃で15ないし20日間発酵させる工程、
(e)発酵が終わった酒母を濾過膜に通過させ、圧搾機を利用して酒と粕に分離した後、活性炭を利用して酒液の微細粒子を取り除く工程、
(f)透明に分離された酒液を55ないし60℃に加熱して凝固物を取り除き、微生物を殺菌する工程、
(g)2ないし3ヶ月間熟成させる工程、
(h)熟成が終わった酒液を精密濾過工程を経て保存タンクに移送する工程、及び
(i)保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で2ないし3重量%を投入してキャッピングする工程を含むことを特徴とする山参培養根を含む酒類の製造方法に関する。
【0022】
さらに好ましくは、前記(d)の発酵工程で、30%の酒精を総米1kgに対して2.4リットル添加することができ、アルコール濃度を調節して発酵工程を短縮させ、風味を変えた(さらにドライな味)多様な形の清酒を製造することができる。
【0023】
本発明に係る清酒の製造時、アスパルテーム、ステビオシド、クエン酸及びアミノ酸からなる群から選択される少なくとも一つ以上の微量の添加剤が添加されることができる。
【0024】
以下、本発明の山参培養根の含まれた清酒の製造方法をさらに詳細に説明すれば、本発明者らの絶え間ない実験及び研究過程を通じて、山参培養根の有効薬理成分が効率的に発酵酒内で抽出され、山参培養根及び清酒の独特な味や香りがよく調和できる最適化された清酒の製造方法を確立し、最適の山参培養根の混入方法及び条件が備えられた。
【0025】
したがって、本発明に係る最適の清酒の製造方法において、最適化された条件で山参培養根を添加して機能性清酒を開発したものであって、本発明は、最適の原料前処理、製麹、母酒、仕込み、発酵、製麹、熟成、濾過工程を経た清酒酒精工程で山参培養根を最適の形及び含量で瓶詰めして製造することを特徴とする。
【0026】
本発明で、山参培養根は、110年根山参→細胞組織の核分裂→優良培養根の選抜→培養根の成長→大量培養→収獲→乾燥工程を通じて大量生産された製品を利用する。山参培養根は、清酒に対して0.5ないし5重量%、好ましくは2ないし3重量%が混入される。それは、その数値以下では山参培養根の特有の効能及び風味が得られず、それ以上の含量では山参培養根の苦みがひどいため、清酒固有の香りを抑制するためである。最終の精密濾過過程を経た清酒に山参培養根を混入して、直ぐキャッピングして瓶詰めすることによって、追加的な汚染を防止し、その後の熟成及び流通過程で山参培養根が清酒内で均一に抽出・保管される効果を期待することができる。
【0027】
洗浄された米を水に2時間以下で浸漬する場合、蒸米に適していない水気が米に吸収され、10時間以上浸漬する場合、米が延びすぎる恐れがある。米の澱粉質を糖化させるために、清酒用として通常使用される黄麹菌の一種であるアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)またはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)が使用されるが、その他の菌が使用されてもよい。米の蒸煮過程を通じて麹菌繁殖が容易になり、酵素作用を促進する。粒麹過程を通じて清酒の製造に必要な麹を製造するために、強飯に黄麹菌を繁殖させる。このような糖化過程を通じて伝統酒特有の香味が得られ、酒母の汚染を防止する。母酒とは、酒母の発酵を営む酵母を拡大培養したものをいう。
【0028】
分離された酒液を55ないし60℃に加熱して、凝固物(澱粉、纎維質、不溶性タンパク質など)を取り除き、微生物を殺菌し、また酵素を破壊することにより、風味を早熟させ、山参培養根が投与された後に調和した風味を提供する。
【0029】
仕込み過程中及び仕込み過程後に続いて徐々に発酵が進んで、7ないし15℃で約15ないし20日間発酵させるが、7℃以下では発酵が非常に遅く進んで、発酵時間が過渡に長くなり、15℃以上では発酵が非常に早く進んで、酒の味が悪くなる。酒の味が悪い場合、山参培養根との風味の調和が崩れてしまう恐れがある。
【0030】
本発明において、山参培養根は、山参培養根の生体、乾燥粉末、培養根丸、培養根抽出液、培養根濃縮液、培養根乾燥顆粒からなる群から選択される1種以上でありうる。
【0031】
本発明において、酒類とは、一般蒸留酒、焼酒、ウイスキー、ブランデー、ビール、清酒、薬酒、果実酒、リキュールなどでありうるが、これらに限るものではない。
【0032】
本発明のさらに他の目的を解決するために、本発明は、本発明の酒類の製造方法によって製造された山参培養根を含む酒類を提供する。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、将来の食品産業で健康を重要視し、機能性食品を追求する消費者のニーズを満たすことができる天然素材を利用して既存の商品に付加価置をつける新機能性酒類の発明に係る。天然山参と遺伝的に同じ成分を含み、それ以上の効能を有する山参培養根の有用な薬理成分を各種の酒類に導入させて、アルコールと共に飲用するようにして、山参の薬理成分が体内でアルコール代謝と共に作用して、飲用後の二日酔い現象を減少させるなど、山参固有の優れた効能を維持し、飲用時に感じる山参培養根特有の香りによる二日酔い感を克服可能にする。また、山参特有の深い香り及び味を有する、柔らかくて淡泊な機能性酒類の製造方法を提供する。さらに、山参培養根をそのまま瓶詰めして、愛飲者に信頼性やリサイクルの機会を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
〔実施例1:果実酒〕
〔実施例1a〕
完熟ブドウと未完熟ブドウを80:20の割合で混合して水で洗浄した後、水気を完全に取り除いた。用意したブドウ果実1kgを完全に密封された容器に入れて、アルコール濃度30%の酒精を2.5リットル入れ、光を避けて涼しい常温で6ヶ月間発酵させた。発酵が終わった酒母を濾過膜に通過させ、圧搾機を利用して酒液と粕に分離して、酒液を保存タンクに移送した後、保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送した製品に、山参培養根の瓶詰め過程で2重量%を投入してキャッピングして山参培養根を含むブドウ果実酒を製造した。山参培養根は、忠北大学校の先端園芸技術開発研究センターで開発した山参の成分をそのまま維持しつつ、それ以上の効能を保有したものを利用した。
【0036】
〔実施例1b〕
前記実施例1aの製造工程で、ブドウ果実に対して砂糖を2重量%添加して1日間熟成させた後に発酵させた以外は、実施例1aと同じ方法で山参培養根を含むブドウ果実酒を製造した。
【0037】
〔実施例1c〕
完熟梅と未完熟の青梅を80:20の割合で混合して水で洗浄した後、水気を完全に取り除いた。用意した梅1kgを完全に密封された容器に入れて、アルコール濃度30%の酒精を2.5リットル入れ、光を避けて涼しい常温で6ヶ月間発酵させた。発酵が終わった酒母を濾過膜に通過させ、圧搾機を利用して酒液と粕に分離して、酒液を保存タンクに移送した後、保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で2重量%を投入してキャッピングして山参培養根を含む梅果実酒を製造した。
【0038】
〔実施例1d〕
前記実施例1cの製造工程で、梅果実に対して蜂蜜を2重量%添加して1日間熟成させた後に発酵させた以外は、実施例1cと同じ方法で山参培養根を含む梅果実酒を製造した。
【0039】
〔実施例1e〕
完熟ユズと未完熟のユズを80:20の割合で混合して水で洗浄した後、水気を完全に取り除いたユズを一定のサイズに切った。用意したユズ果肉1kgを完全に密封された容器に入れて、アルコール濃度30%の酒精を2.5リットル入れ、光を避けて涼しい常温で6ヶ月間発酵させた。発酵が終わった酒母を濾過膜に通過させ、圧搾機を利用して酒液と粕に分離して、酒液を保存タンクに移送した後、保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で2重量%を投入してキャッピングして山参培養根を含むユズ果実酒を製造した。
【0040】
〔実施例1f〕
前記実施例1eの製造工程で、切ったユズ果肉に対して砂糖を2重量%添加して2日間熟成させた後に発酵させた以外は、実施例1eと同じ方法で山参培養根を含むユズ果実酒を製造した。
【0041】
〔官能試験〕
前記実施例1aないし実施例1fによって製造された山参培養根を含む果実酒(ブドウ、梅、ユズ)を約一週間さらに熟成させ、通常の方法によって製造された山参培養根が含まれていないブドウ酒(比較例1)、梅酒(比較例2)、ユズ酒(比較例3)と比較した。訓練された官能検査要員20人を対象として、官能評価を3回繰り返して実施して、その結果を下記表1に示した。官能検査の項目は、味、風味、色、全体的な好み度について実施し、5点尺度法によって5点を満点にした。下記の評価基準によって被試験者が点数を記録した後、それらの平均値を求めて記録した。
【0042】
5:とても良い
4:良い
3:普通
2:悪い、あるいは良くない
1:とても悪い
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示すように、本発明の実施例によって製造された山参培養根を添加したブドウ酒は、砂糖の添加に関係なく通常のブドウ酒に比べて、味及び風味において優れた官能的点数を示し、色においては大きな違いを示していない。したがって、全体的な好み度において、本発明に係る山参培養根を添加したブドウ酒は、比較例のブドウ酒より非常に優れた官能的結果を示した。記述的分析においても、本発明の実施例によるブドウ酒が、ブドウ酒及び山参培養根特有の香りと味が調和して、比較例のブドウ酒に比べて非常に柔らかくて淡泊であると答えた。
【0045】
【表2】

【0046】
表2に示すように、本発明の実施例によって製造された山参培養根を添加した梅酒は、蜂蜜の添加に関係なく通常の梅酒に比べて、味及び風味において優れた官能的点数を示し、色においても大きな違いを示していない。したがって、全体的な好み度において、本発明の山参培養根を添加した梅酒は、比較例の梅酒より非常に優れた官能的結果を示した。記述的分析においても、本発明の実施例による梅酒が、梅酒及び山参培養根特有の香りと味が調和して、比較例の梅酒に比べて非常に柔らかくてさっぱりしていると答えた。
【0047】
【表3】

【0048】
表3に示すように、本発明の実施例によって製造された山参培養根を添加したユズ酒は、砂糖の添加に関係なく通常のユズ酒に比べて、味及び風味において優れた官能的点数を示し、色においても大きな違いを示していない。したがって、全体的な好み度において、本発明の山参培養根を添加したユズ酒は、比較例のユズ酒より非常に優れた官能的結果を示した。記述的分析においても、本発明の実施例によるユズ酒が、ユズ酒及び山参培養根特有の香りと味が調和して、比較例のユズ酒に比べて非常に柔らかくてさっぱりしていると答えた。
【0049】
〔実施例2:清酒〕
〔実施例2a〕
比較的に澱粉の含量の高い玄米を原料米として選択して、搗精割合73%で白く搗精し、米の表面についている米ぬかを取り除いてきれいな水で3回洗浄し、水に約2時間浸漬した後、18分間の蒸米を通じて強飯に糊化させた。前記強飯に黄麹菌を入れて25℃で40時間繁殖させて、良質のコウジ(麹)を用意した。酒母の発酵のために酵母を25℃で3日間拡大培養して母酒を用意した。前記製造された母酒7.5kgに前記製造されたコウジ22kg、前記原料米である蒸米100kg、水100リットルを混合してタンクに順次に仕込んで、15℃で18日間発酵させた。
【0050】
発酵が終わった酒母を孔(pore)のサイズが0.45umである濾過膜に通過させ、多段式の圧搾機を利用して酒液と粕に分離した。活性炭を利用して、配合タンクで均一に配合された酒液の微細粒子を取り除き、透明に分離された酒液を60℃に加熱して、凝固物を取り除き、微生物を殺菌して、約2ヶ月間熟成させた。熟成が終わった酒液の微細粒子及び沈澱物を濾過させた後、保存された状態で瓶詰めする過程で、配管を通じて製品ラインに移送された清酒に山参培養根を2重量%投入しキャッピングして山参培養根を含む清酒を製造した。
【0051】
山参培養根は、忠北大学校の先端園芸技術開発研究センターで開発した山参の成分をそのまま維持しつつ、それ以上の効能を保有したものを利用した。麹菌(Aspergillus kawachii)は、韓国京畿道漣川郡の濁酒工場から分譲されて2日間繁殖させた後に使用した。酵母は、市中で購入できる一般のものを使用した。
【0052】
〔実施例2b〕
前記実施例2aの製造工程中、仕込み過程が終わって発酵後に30%の酒精を総米1kgに対して2.4リットル添加する過程以外は、同じ方法で山参培養根を含む清酒を製造した。
【0053】
〔実施例2c〕
前記実施例2aの製造工程中、仕込み過程が終わって発酵後にアスパルテームを0.2重量%添加する過程以外は、同じ方法で山参培養根を含む清酒を製造した。
【0054】
〔実施例2d〕
前記実施例2aの製造工程中、仕込み過程が終わって発酵後にクエン酸を0.2重量%添加する過程以外は、同じ方法で山参培養根を含む清酒を製造した。
【0055】
〔官能試験〕
前記実施例2aないし実施例2dによって製造された山参培養根を含む清酒を約一週間さらに熟成させ、通常市販されている清酒を同じアルコール濃度に調整して比較例4として使用した。訓練された官能検査要員20人を対象として官能評価を3回繰り返して実施して、その結果を下記表4に示した。官能検査の項目は、味、風味、色、全体的な好み度について実施し、5点尺度法によって5点を満点にした。下記の評価基準によって被試験者が点数を記録した後、これらの評価値を求めて記録した。
【0056】
5:とても良い
4:良い
3:普通
2:悪い、あるいは良くない
1:とても悪い
【0057】
【表4】

【0058】
表4に示すように、本発明の実施例によって製造された山参培養根を添加した清酒は、その微量の添加剤に関係なく通常の市販の清酒に比べて、味及び風味において優れた官能的点数を示した。色においても、比較例の清酒4より優れた結果を示した。色度計を利用した機器分析においても、本発明の実施例の結果が高かった。したがって、全体的な好み度において、赤色度(a)と黄色度(b)の値を示し、これは、山参培養根固有の色素成分が清酒内へ抽出された結果である。したがって、全体的が好み度においても、本発明の山参培養根を添加した清酒は、比較例4の清酒より非常に優れた官能的結果を示した。記述的分析においても、本発明の実施例による清酒が、清酒及び山参培養根特有の香りと味が調和して、比較例4の清酒に比べて非常に柔らかくておいしいと答えた。また、実施例2bの発酵後の酒精(調味焼酒)を補強した場合、酒の味がさらに淡白であると応えた。
【0059】
〔実施例3:リキュール〕
山参培養根を含むリキュールを製造する方法は、a)山参培養根を、脱臭過程を経た40ないし45%の酒精で1ないし3ヶ月間浸出させる工程、(b)抽出された山参培養根を分離して別途に保存する工程、(c)山参培養根の除去された酒精抽出液を1ないし3ヶ月間熟成させた後に濾過させる工程、(d)熟成された山参培養根の酒精抽出液を20ないし25%のアルコール濃度に希釈させた後、精密濾過する工程、及び(e)前記(b)工程で分離して保存された山参培養根を瓶詰めする過程でさらに添加して密封包装する工程を含む。通常、リキュール状の製品を製造するために、前記(d)工程で希釈された山参培養根の酒精抽出液に、砂糖、オリゴ糖、蜂蜜、クエン酸及びアミノ酸などの添加剤がさらに配合されることを特徴とし、このように製造されたリキュールを利用して多様な形の酒類製品に応用されることができる。
【0060】
〔実施例4:薬酒〕
山参培養根を添加した薬酒を製造する方法は、(a)米、さつまいも、またはじゃがいもを含む澱粉質の酒精原料及び糖質の酒精原料を洗浄、浸漬、水切り及び蒸煮する工程(R1)、(b)蒸米に白麹菌(Aspergillus kawachii)を2日間繁殖させて粒麹製造する工程(R2)、(c)酒母の発酵を営むための酵母を拡大培養する母酒の製造工程(R3)、(d)酵母培養を目的として母酒を23ないし27℃で2ないし5日間さらに培養する一段仕込み工程(R4)、(e)酒精発酵を目的として一段仕込みされた物料に、掛米、水、発酵剤を添加して25℃で7ないし8日間発酵させる二段仕込み工程(R5)、(f)酒袋を使用して孔のサイズが0.45umである膜に通過させる工程(R6)、(g)多段式の圧搾機を利用して製成する工程(R7)、(h)アスパルテーム、ステビオシド、クエン酸及びアミノ酸を配合する工程(R8)、(i)配合タンクで均一に配合された薬酒を、活性炭を利用した精密濾過する工程(R9)を経て微細粒子を取り除き、保存タンクに移送する工程、(j)保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で総量の2ないし3重量%を投入する工程(R10)、及び(k)瓶詰め及びキャッピングして製品化する工程(R11、R12)を含む。
【0061】
酒精材料は、澱粉質原料、糖質原料、またはこれを混合した原料を、発酵法による糖化過程を経て連続式蒸溜法によって製造する。通常、澱粉質を糖化させるために、薬酒または濁酒用として使用される白麹の一種である白麹菌(Aspergillus kawachii)を使用する。白麹菌は、初期繁殖温度である30ないし33℃では繁殖が遅すぎるため、白麹菌が黄麹菌に汚染することは殆んどない。粒麹過程を通じて澱粉質が糖化されて伝統酒特有の香味が得られ、酒母の汚染を防止する。母酒とは、酒母の発酵を営む酵母を拡大培養したものを言う。
【0062】
以上、本発明の特定の内容部分を詳細に記述したところ、当業者にとって、このような具体的な技術は単に好ましい実施例であり、これによって本発明の範囲が制限されないという点は明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入してキャッピングする工程を含むことを特徴とする山参培養根を含む酒類の製造方法。
【請求項2】
完熟果物と未完熟果物を80:20の割合で混合する工程と、
前記用意した果実を密封容器で30ないし35%のアルコール飲料に発酵させる工程と、
前記発酵が終わった酒母を酒液と粕に分離する工程と、
前記酒液に、山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入してキャッピングする工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の山参培養根を含む酒類の製造方法。
【請求項3】
(a)玄米を搗精及び蒸米する工程を含む酒精原料の前処理工程と、
(b)蒸米に麹菌を繁殖させてコウジで粒麹製造する工程と、
(c)酒母の発酵のための酵母を拡大培養して母酒を製造し、さらに培養する工程と、
(d)母酒にコウジ、水及び蒸米をさらに仕込んで発酵させる工程と、
(e)発酵が終わった酒母を濾過及び製成する工程と、
(f)酒液を加熱して凝固物を取り除き、微生物を殺菌する工程と、
(g)熟成させる工程と、
(h)熟成が終わった酒液を、精密濾過工程を経て保存タンクに移送する工程と、
(i)保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で0.5ないし5重量%を投入してキャッピングする工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の山参培養根を含む酒類の製造方法。
【請求項4】
(a)玄米を搗精割合72ないし73%で搗精して洗浄し、水に2ないし10時間浸漬して10ないし22分間蒸米する工程を含む酒精原料の前処理工程と、
(b)蒸米に黄麹菌を25℃で38ないし42時間繁殖させて、コウジで粒麹製造する工程と、
(c)酒母の発酵のための酵母を拡大培養して母酒を製造し、25℃で3日間さらに培養する工程と、
(d)母酒7.5kgにコウジ22kg、水100リットル及び最終蒸米量が100kgになるように蒸米をさらに仕込んで、7ないし15℃で15ないし20日間発酵させる工程と、
(e)発酵が終わった酒母を濾過膜に通過させ、圧搾機を利用して酒液と粕に分離した後、活性炭を利用して酒液の微細粒子を取り除く工程と、
(f)透明に分離された酒液を55ないし60℃に加熱して凝固物を取り除き、微生物を殺菌する工程と、
(g)2ないし3ヶ月間熟成させる工程と、
(h)熟成が終わった酒液を、精密濾過工程を経て保存タンクに移送する工程と、
(i)保存された状態で配管を通じて製品ラインに移送された製品に、山参培養根の瓶詰め過程で2ないし3重量%を投入してキャッピングする工程と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の山参培養根を含む酒類の製造方法。
【請求項5】
山参培養根は、山参培養根の生体、山参培養根の乾燥粉末、培養根丸、培養根の抽出液、培養根の濃縮液、及び培養根の乾燥顆粒からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の山参培養根を含む酒類の製造方法。
【請求項6】
酒類は、一般蒸留酒、焼酒、ウイスキー、ブランデー、ビール、清酒、薬酒、果実酒及びリキュールからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の山参培養根を含む酒類の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちいずれか1項に記載の製造方法によって製造されることを特徴とする山参培養根を含む酒類。

【公開番号】特開2008−194040(P2008−194040A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26711(P2008−26711)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(508039179)チュンブク ソジュ カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】