説明

山越器とそれを用いた長尺重量物の移送方法

【課題】作業に用いる機材の簡素化と作業の効率化を図る。
【解決手段】山越器2は、両端に支持脚5を、上面に走行路6を有する走行桁4を備え、この走行桁4には、走行路6上を自在に移動し分岐器70を把持して吊り上げる巻き上げ機20が取り外し自在に配置される。走行桁4の走行路長さL1を、作業対象となる分岐器70の幅D1より長寸に形成し、複数の巻き上げ機20を走行路6に配置し、これら巻き上げ機20には、走行車輪23R、23L、24R、24Lの制動を制御する制動機構50を設けて構成した。搬入された分岐器70を移送予定面A1の横方向に合致させて配置し、山越器2を、分岐器70と移送予定面A1とを跨ぎ長尺方向に沿って一列に配置し、吊り上げられた分岐器70を移送予定面A1に向かって横移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山越器とそれを用いた長尺重量物の移送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道の分岐器(ポイント)等のような長尺重量物の敷設または撤去にあたっては、例えば、分岐器を敷設する場合、作業予定場所に予め枕木の下に横移動用の仮レールを敷き、作業現場に運び込まれた分岐器をクレーン等により吊り上げ、横取装置により仮レールの上を横移動させていた。また、枕木の下に仮レールに代えてローラ台を設置し、クレーンで分岐器を吊り上げて載置し横移動させていた。しかしながら、係る方法では、段取りが多く作業に時間がかかるという問題があった。このため、従来、一対の搬送台車に分岐器を載せ据え付け位置に搬送し、搬送台車に回動自在に設けられた桁材を据え付け側の線路に回転させて軌間方向に配置し、この桁材に取り付けられたウインチで分岐器を横移動させ、据え付ける工法が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−80847号公報(第3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の特許文献1に記載の分岐器の移送方法では、重量物を吊り下げる桁材の強度を確保するため桁材だけでなく、桁材の回動機構や搬送台車を大型化しなければならないという問題がある。また、搬送台車はレール上を走行するため、桁材の延長端までの範囲内でしか据え付けできず、据え付け場所が桁材から離れた場所では使用できないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡素な構成で作業効率がよく、しかも、少ない人数で、かつ、安価なコストで作業を行うことができる山越器とそれを用いた長尺上量物の移送方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る山越器は、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、
走行桁の走行路を、作業対象となる長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項1に係る山越器では、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象となる長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けたので、山越器は、長尺重量物の置かれた作業現場に運び込まれると、長尺重量物に沿って一列に配置される。配置された山越器の走行桁には、長尺重量物の上方に巻き上げ機が配置され、制動機構によりこれら巻き上げ機の走行車輪が制動されると、巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる。次に、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動が解除されると、吊り上げられた長尺重量物は移送予定面に移送され、制動機構により走行車輪が制動される。次に、移送予定面上に移送された長尺重量物は巻き上げ機により移送予定面に吊り降ろされ、長尺重量物は巻き上げ機による把持が解かれると、長尺重量物は巻き上げ機から切り離され、移送予定面に置かれる。このため、長尺重量物を所望の移送予定面に移し替えるにあたり、複数の山越器を用いるだけで作業を行うことができ、大型の重機を用いたり、移送のための転動設備を予め設置する必要がなく、作業効率が向上する。また、長尺重量物を、中間位置に一旦吊り降ろした後、または、途中で吊り降ろしを繰り返して最終的な作業予定地まで運ぶことができ、長尺重量物の据え付けまたは撤去の場所を制約なく自在に変更または広げることができる。
【0007】
また、請求項2に係る山越器は、制動機構を、巻き上げ機本体に取り付けられねじ穴が貫通して形成された支持部材と、このねじ穴に螺装されるねじ部と、ねじ部の外側端部に取り付けられ、回動操作によりねじ部先端を走行車輪の車軸側に擦り付け可能な操作レバーとを備えて構成したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る山越器では、制動機構を、巻き上げ機本体に取り付けられねじ穴が貫通して形成された支持部材と、このねじ穴に螺装されるねじ部と、ねじ部の外側端部に取り付けられ、回動操作によりねじ部先端を走行車輪の車軸側に擦り付け可能な操作レバーとを備えて構成したので、制動機構を簡素化することができ、巻き上げ機の軽量スリム化が図れる。また、制動操作はねじ回しにより行われるので、制動操作が行われたかどうかを操作感覚で確実に確認することができる。
【0009】
さらに、請求項3に係る山越器は、巻き上げ機の走行車輪には、走行を操作する走行ハンドルが係脱自在に連結されることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る山越器では、巻き上げ機の走行車輪には、走行を操作する走行ハンドルが係脱自在に連結されるようにしたので、走行ハンドルを通じて巻き上げ機を走行させることができるので、たとえ長尺重量物の重量が重くても、巻き上げ機を移動させやすくなり、少人数で作業を行うことができる。
【0011】
請求項4に係る山越器は、走行桁を、一対の角筒材を所定の間隔を隔てて両端を接続して構成し、走行路をこれら角筒材上面に形成し、巻き上げ機を、左右の両側枠に回動自在に設けられたロードシーブと、先端に長尺重量物を把持するレールキャッチが取り付けられ角筒材間の隙間を介してロードシーブに巻き取られるロードチェーンと、角筒材間の隙間に突出し走行車輪が走行路から脱落するのを阻止する走行ガイドとを備えて構成し、ロードシーブには、ロードシーブを回動させる巻回ハンドルが係脱自在に連結されることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に係る山越器では、走行桁を、一対の角筒材を所定の間隔を隔てて両端を接続して構成し、走行路をこれら角筒材上面に形成し、巻き上げ機を、左右の両側枠に回動自在に設けられたロードシーブと、先端に長尺重量物を把持するレールキャッチが取り付けられ角筒材間の隙間を介してロードシーブに巻き取られるロードチェーンと、角筒材間の隙間に突出し走行車輪が走行路から脱落するのを阻止する走行ガイドとを備えて構成し、ロードシーブには、ロードシーブを回動させる巻回ハンドルが係脱自在に連結されるので、人力で長尺重量物を吊り上げることができ、巻き上げ機を簡素化することができる。
【0013】
本発明の請求項5に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成し、長尺重量物を、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置する第1の工程と、山越器を、配置された長尺重量物と移送予定面とを跨ぎ長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程と、走行路の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる第3の工程と、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物が移送予定面上に達すると制動機構により走行車輪を制動させる第4の工程と、移送予定面上に達した長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離す第5の工程とを有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項5に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法では、山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成し、長尺重量物を、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置する第1の工程と、山越器を、配置された長尺重量物と移送予定面とを跨ぎ長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程と、走行路の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる第3の工程と、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物が移送予定面上に達すると制動機構により走行車輪を制動させる第4の工程と、移送予定面上に達した長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離す第5の工程とを有するようにしたので、第1の工程で、長尺重量物が、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置されると、次に、第2の工程で、山越器は長尺重量物と移送予定面との両方を跨いで長尺方向に沿って一列に配置され、第3の工程で、配置された山越器の走行桁には、長尺重量物の上方に複数の巻き上げ機が配置され、制動機構によりこれら巻き上げ機の走行車輪が制動されると、長尺重量物は巻き上げ機に把持されて吊り上げられる。次に、第4の工程で、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動が解除されると、吊り上げられた長尺重量物は、移送予定面に向かって横移動され、長尺重量物の移送方向前方側が山越器の走行路端に近づき、長尺重量物が移送予定面上に達すると制動機構により走行車輪が制動される。次に、第5の工程で、移送予定面上に達した長尺重量物が巻き上げ機により移送予定面に吊り降ろされ、巻き上げ機との把持が解かれると、長尺重量物は巻き上げ機から切り離され、移送予定面に置かれ、作業が完了する。このため、長尺重量物を移送予定面に移し替えるにあたり、一列に配置された複数の山越器を用いるだけで作業を行うことができ、大型の重機を用いたり、移送のための転動設備を予め設置する必要がなく、しかも、作業効率が向上する。
【0015】
本発明の請求項6に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成し、長尺重量物を、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置する第1の工程と、山越器を、長尺重量物を跨いで長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程と、走行路の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる第3の工程と、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物の移送方向前方側が山越器の走行路端に近づくと制動機構により走行車輪を制動させる第4の工程と、山越器の走行路端に近づいた長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離す第5の工程と、移送予定面の途中で吊り降ろされた長尺重量物に対し、山越器を横方向に移動する第6の工程とを有し、長尺重量物を移送予定面に移すまで上記第2ないし第6の工程を繰り返すことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項6に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法では、山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成し、長尺重量物を、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置する第1の工程と、山越器を、長尺重量物を跨いで長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程と、走行路の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる第3の工程と、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物の移送方向前方側が山越器の走行路端に近づくと制動機構により走行車輪を制動させる第4の工程と、山越器の走行路端に近づいた長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離す第5の工程と、移送予定面の途中で吊り降ろされた長尺重量物に対し、山越器を横方向に移動する第6の工程とを有し、長尺重量物を移送予定面に移すまで上記第2ないし第6の工程を繰り返すようにしたので、第1の工程で、長尺重量物が、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置されると、次に、第2の工程で、山越器は長尺重量物を跨いで長尺方向に沿って一列に配置され、第3の工程で、配置された山越器の走行桁には、長尺重量物の上方に複数の巻き上げ機が配置され、制動機構によりこれら巻き上げ機の走行車輪が制動されると、巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる。次に、第4の工程で、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動が解除されると、吊り上げられた長尺重量物は、移送予定面に向かって横移動され、長尺重量物の移送方向前方側が山越器の走行路端に達すると制動機構により走行車輪が制動される。次に、第5の工程で、山越器の走行路端に達した長尺重量物は巻き上げ機により移送予定面までの途中位置に吊り降ろされ、巻き上げ機の把持が解かれると、長尺重量物は巻き上げ機から切り離され、途中位置に置かれる。長尺重量物が途中位置に置かれると、次に、第6の工程で、山越器は横方向に移動される。そして、長尺重量物を移送予定面に移すまで第2ないし第6の工程が繰り返される。このため、長尺重量物を途中位置に一旦吊り降ろした後、または、途中で吊り降ろしを繰り返して最終的な移送予定面まで運ぶことができ、長尺重量物の据え付けまたは撤去の場所を制約なく自在に変更または広げることができる。また、山越器の走行桁寸法を長くしすぎる必要がないので、山越器はコンパクト化される。
【0017】
本発明の請求項7に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、移送予定面が、長尺重量物を敷設する道床の敷設場所または長尺重量物を撤去するためレール上で待機する搬送車であることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項7に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法では、移送予定面は、長尺重量物を敷設する道床の敷設場所または長尺重量物を撤去するためレール上で待機する搬送車であるようにしたので、長尺重量物の据え付け作業でも撤去作業でも適用することができ、作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る山越器は、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象となる長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けたことにより、簡素な構成で作業効率がよく、しかも、安価なコストで作業を行うこと
【0020】
本発明に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成し、長尺重量物を、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置する第1の工程と、山越器を、配置された長尺重量物と移送予定面とを跨ぎ長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程と、走行路の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる第3の工程と、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物が移送予定面上に達すると制動機構により走行車輪を制動させる第4の工程と、移送予定面上に達した長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離す第5の工程とを有することにより、簡素な構成で作業効率がよく、しかも、少ない人数で、かつ、安価なコストで作業を行うことができる。
【0021】
本発明に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成し、長尺重量物を、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置する第1の工程と、山越器を、長尺重量物を跨いで長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程と、走行路の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる第3の工程と、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物の移送方向前方側が山越器の走行路端に近づくと制動機構により走行車輪を制動させる第4の工程と、山越器の走行路端に近づいた長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離す第5の工程と、移送予定面の途中で吊り降ろされた長尺重量物に対し、山越器を横方向に移動する第6の工程とを有し、長尺重量物を移送予定面に移すまで上記第2ないし第6の工程を繰り返すようにしたことにより、簡素な構成で作業効率がよく、しかも、少ない人数で、かつ、安価なコストで作業を行うことができる。また、移送予定面を制約なく設定することができ、施工の自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
作業効率を向上させかつ用いる機材の簡素化を図るという目的を、山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行桁に取り外し自在に配置され走行路上を自在に移動し長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路長さを、作業対象となる分岐器の軌間方向幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成するとともに、第1の工程で、長尺重量物を予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置し、第2の工程で、山越器を、配置された長尺重量物と移送予定面とを跨ぎ長尺方向に沿って一列に配置し、第3の工程で走行桁の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げ、第4の工程で、制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物が移送予定面上に達すると制動機構により走行車輪を制動させ、第5の工程で、移送予定面上に達した長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離すようにしたことにより実現した。
【実施例1】
【0023】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1の(A)ないし(C)はそれぞれ、本発明の一実施例に係る山越器の平面図、正面図および側面図を示す。本実施例に係る山越器2は、図1の(A)ないし(C)に示すように、断面矩形状の中空円筒角筒材(角筒材)3A、3Bを、所定の間隔CLを隔てて両端を連結した走行桁4を備えている。この走行桁4の両端には、走行桁4を支持する逆V字状支持脚5が着脱自在に取り付けられる。走行桁4には、複数の巻き上げ機20(本実施例では2台)が載置されるようになっている。走行桁4の角筒材3A、3Bの上面にはそれぞれ、走行プレート6設けられ、平行する一対の走行路を形成している。走行路6の有効走行路長さL1は、作業対象となる分岐器(長尺重量物)Mの軌間方向最大幅寸法D1(本実施例では、D1は例えば2200mm)より長寸となっている。すなわち、走行路6の長手方向有効走行路長さL1は、分岐器Mの軌間方向最大幅寸法D1の2倍に加え、走行桁4両端側での作業用スペースS2(本実施例では、S2は例えば700mm)を確保し、さらに余裕分S3(本実施例では、S3は例えば200mm)を持たせて決められる(本実施例では、L1は例えば6000mm)。
【0024】
走行桁4はこのように長尺の角筒材3A、3Bの両端を連結して構成されているので、持ち運び時、撓みにより両角筒材3A、3Bが開くのを防止する桁間開き防止ボルト(拡開防止具)7を備えている。桁間開き防止ボルト7は、角筒材3A、3Bのほぼ中心に、長手方向に対して直角に貫通して穿設されたねじ孔8に螺装される。この桁間開き防止ボルト7は、走行桁4の持ち運びの際に使用され、走行桁4上で巻き上げ機20を使用する際には、取り外される。支持脚5には、貫通孔10が形成され、持ち運び時、この貫通孔10に持ち運び用棒材9が差し入れられ、図示しないピンで係止され、複数の作業員で持ち運びするようになっている。この持ち運び用棒材9は、使用しない時には、走行桁4の角筒材3A、3Bの下面に溶接された管状パイプ(図示せず)内に収納され、図示しないピンで係止されるようになっている。また、走行桁4の両端には、金具の取っ手11が溶接される。
【0025】
巻き上げ機20は、図2ないし図4に示すように、一対の側枠(巻き上げ機本体)21R、22Rおよび21L、22Lを備えている。これら側枠21R、22Rおよび21L、22Lは、一対の外枠21R、21Lとこれら外枠21R、21Lの内側にそれぞれ取り付けられた側板22R、22Lとにより構成される。これら外枠21R、21Lと側枠22R、22Lとの間には、前後一対のトロリ(走行車輪)23R、24Rおよび23L24Lが転動自在に設けられる。前後一方のトロリ24R、24L(図3の左側参照)は、車軸27が側板22R、22Lに回動自在に軸支されるようになっている。車軸27には、側板22R、22L間のほぼ中央に位置して制動用環状部材32が嵌装される。また、車軸27の一端28は、外枠21Rから外部に突出し、スプラインが形成されている。このスプライン28には、L字状走行ハンドル29の一端に形成された嵌合部30が挿脱自在に装着され、ねじ31で抜け止めがなされるようになっている。すなわち、走行ハンドル29は、スプライン28を介して車軸27に係脱自在に連結され、走行ハンドル29が外部からの力で回動操作されると、一方のトロリ24R、24Lが駆動され、側枠21R、22Rおよび21L、22Lを前後方向に走行させるようになっている。
【0026】
巻き上げ機20には、ロードチェーン43を巻き取るとともに、巻き取り時、巻き取り方向への回転を許容し逆方向への回転を阻止し、巻き戻し時、巻き戻し方向への回転を許容し逆方向への回転を阻止するクラッチ機構(図示せず)を備えた吊り上げ機構40が設けられる。吊り上げ機構40は、側板22R、22L間に回動自在に設けられたロードシーブ41と、先端にレール(長尺重量物)を把持するレールキャッチ42が取り付けられロードシーブ41に巻き取られるロードチェーン43とを備えている。ロードチェーン43は、巻き上げ機20が走行桁4の走行路6に載置されると、角筒材3A、3B間の空隙CLを介して巻き取り巻き戻しされるようになっている。ロードシーブ41の回動軸44は一端が側板22Lから外部に突出するスプライン45に同軸上で連結される。このスプライン28には、L字状巻回ハンドル46の一端に形成された嵌合部47が挿脱自在に装着され、ねじ48で抜け止めがなされている。すなわち、巻回ハンドル46は、スプライン45を介して回動軸44に係脱自在に連結され、巻回ハンドル46が外部からの力で回動操作されると、ロードシーブ41を正逆に回転駆動させ、ロードチェーン43の巻き取り巻き戻しを行うようになっている。
【0027】
側板22R、22L間には、前後両端の、巻き上げ機構20と干渉しない位置に、角筒材3A、3B間の隙間CLに突出しトロリ23R、23Lおよび24R、24Lが走行路6から脱落するのを阻止する走行ガイド49、49が取り付けられる。側板22R、22Lには、取付具を介して取っ手33が取り付けられる。
【0028】
巻き上げ機20には、一方のトロリ24R、24Lを制動させる制動機構50が設けられる。制動機構50は、トロリ24R、24Lの車軸27に嵌装された制動用環状部材32と、この制動用環状部材32の上方で、側板22R、22L間に取り付けられ、制動用環状部材32に臨むよう上下に貫通して形成されたねじ穴52を有する支持ブロック(支持部材)51と、このねじ穴52に螺装されるねじ部53を有し上端に操作レバー54が取り付けられた制動ねじ55とを備えて構成され、操作レバー54の操作によりねじ部53の先端部53Aが制動用環状部材32の外周面32Aにねじ込まれ擦り付けられると、車軸27が制動されるようになっている。すなわち、制動機構50は、制動ねじ55の操作レバー54を制動方向に回転させるとねじ部53の先端部53Aが制動用環状部材32の外周面32Aに近づきこの外周面32Aに接触してさらにねじ込まれると、この外周面32Aに擦り付けられて操作レバー54はそれ以上押し回すことができなくなり、車軸27がロックされ、トロリ24R、24Lを制動状態とするようになっている。その制動状態から、操作レバー54を逆に回転させてねじ部53の先端部53Aを制動用環状部材32の外周面32Aから離すと、制動は解除されるようになっている。
【0029】
次に、上記実施例に係る山越器2の作用に基づいて、本発明に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法について説明する。本発明に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、上記山越器2を用いて、分岐器(長尺重量物)70を作業現場に搬入された場所から予め決められた所定の据え付け予定面(移送予定面)に移送したり、設置された分岐器70を現場から撤去する際、設置場所から所定の搬出場所(移送予定面)に移送したりするものである。
【0030】
本発明に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、まず、図5の(A)に示すように、例えば、バラスト道床71上の分岐器70の据え付け予定面(移送予定面)A1が施工プランに基づいて予め決定される。符号72は据え付け予定面A1の近傍に敷設されている既設のレール軌道を示す。このとき、図示しないが、山越器2を、予め作業現場近くに搬入しておく。山越器2の台数は、分岐器70の長さや重量と山越器2の許容最大荷重とに応じて予め決定される。すなわち、巻き上げ機20の許容最大荷重が1.5トンである場合、山越器2に2台の巻き上げ機20を据え付けると、1台の山越器2で3トンの許容最大荷重を得ることになる。
【0031】
次に、予め組み立てられた据え付け予定の分岐器70を、図5の(B)に示すように、搬送用台車73に載置して作業現場に搬入し、据え付け予定面A1の横方向に合致させて配置する(第1の工程S1)。すなわち、分岐器70は軌間方向(横方向)に移動させて据え付けを行うため、分岐器70の搬入時、搬送用台車73を分岐器70と据え付け予定面A1とが横方向に合致するように停止させる。次に、作業現場近くに搬入されていた山越器2を、図5の(C)に示すように、搬送台車73上の分岐器70と据え付け予定面A1とが走行桁4の下側に位置するように軌間方向に平行に、かつ、各山越器4を軌道方向にほぼ等間隔で分岐器70と据え付け予定面A1とに沿って一列に配置する(第2の工程S2)。このとき、走行桁4が水平になるように山越器2を配置する。山越器2の支持脚5の下面は直接バラスト道床に接地させてもよいし、平板を介在させて接地させるようにしてもよい。
【0032】
次に、1台の山越器2の走行桁4上に巻き上げ機20をそれぞれ2台ずつ載せ、巻き上げ機20を分岐器70の上方に移動させて、制動機構50の操作レバー54を操作してトロリ24R、24Lを制動させ、巻き上げ機20が走行できないようにする。次に、巻き上げ機20のレールキャッチ42で分岐器70のレールを把持する。すべての巻き上げ機20のレールキャッチ42が分岐器70のレールを把持すると、次に、巻き上げ機20の巻回ハンドル46を回して、ロードシーブ41でロードチェーン43を巻き取り、分岐器70をほぼ水平を保って所定の高さ(本実施例の山越器2では、脚長1300mmで有効揚程をおよそ500mmに設定している。)まで吊り上げる(第3の工程S3)。
【0033】
分岐器70が所定の高さまで吊り上げられると、次に、制動機構50の操作レバー54を逆方向に操作してトロリ24R、24Lの制動を解除する。次に、走行ハンドル29を回転操作し、吊り上げられた分岐器70を走行桁4に沿って横移動させ据え付け予定面A1まで移送し、分岐器70が据え付け予定面A1の真上位置に達すると、制動機構50の操作レバー54を操作してトロリ24R、24Lを制動させ、分岐器70を据え付け予定面A1の真上位置で静止させる(図6の(D)参照、第4の工程S4)。分岐器70が据え付け予定面A1の真上位置で静止されると、次に、巻回ハンドル46を逆に回して、ロードシーブ41からロードチェーン43を巻き戻し、分岐器70をほぼ水平を保って徐々に降下させ、据え付け予定面A1上に吊り降ろす。分岐器70が据え付け予定面A1上に吊り降ろされると、レールキャッチ42から分岐器70のレールを外して山越器2と分岐器70とを切り離す(第5の工程S5)。分岐器70と切り離された山越器2は、図6の(E)に示すように、撤去されて作業が終了する。このように本実施例に係る山越器2を用いた長尺重量物の移送方法では、分岐器70を所望の据え付け予定面A1に移すにあたり、複数の山越器2を用いるだけで作業を行うことができ、大型の重機を用いたり、移送のための転動設備を予め設置する必要がなく、作業効率が向上する。なお、すでに、設置されている分岐器を現場から撤去する場合には、上記工程と逆にすればよく、例えば、図6の(E)に示すような分岐器170を撤去する場合、撤去すべき分岐器170と軌道72とに沿って、山越器2を一列に配置し、巻き上げ機20を分岐器170上の走行桁4に配置して、分岐器170を吊り上げ(図5の(D)参照)、軌道72上には搬送台車73を用意して、吊り上げた分岐器170を搬送台車73上に移送して吊り降ろし(図5の(C)参照)、山越器2を分岐器170と切り離して撤去し、搬送台車73で分岐器170を搬出すればよい(図5の(B)参照)。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の第2の実施例に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法について説明する。第2の実施例に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、上記第1の実施例に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法では、走行路6の有効走行路長さL1を、山越器2が現場に搬入された分岐器70と据え付け予定面A1とを跨いで配置することができる長さに設定しているのに対し、すなわち、搬入された分岐器70と据え付け予定面A1とで形成される面の軌間方向(横方向)の最大長さL2が、山越器2の走行路の有効走行路長さL1の範囲内(L2<L1、図5の(B)参照)にあるのに対し、図7の(A)に示すように、最終的な据え付け予定面AFの距離が、現場に搬入された分岐器70から遠く離れ、第2の工程で一列に配置された山越器2の走行路6内に据え付け予定面AFがなく、山越器2の外側にある場合に適用される。すなわち、搬入された分岐器70と据え付け予定面AFとで形成される面の軌間方向の最大長さL3が、山越器2の走行路の有効走行路長さL1以上(L3>L1、図7の(A)参照)である場合に適用される。
【0035】
すなわち、本発明の第2の実施例に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法は、分岐器70を、予め決められた移送予定面AFの横方向に合致させて配置する第1の工程(S101)と、山越器2を、分岐器70跨いで長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程(S102)と、走行桁4の分岐器70上に巻き上げ機20を複数配置し、制動機構50によりトロリ24R、24Lを制動させ、これら巻き上げ機20により分岐器70を把持して吊り上げる第3の工程(S103)と、制動機構50によりトロリ24R、24Lの制動を解除し、吊り上げられた分岐器70を移送予定面AFに向かって横移動させ、分岐器70の移送方向前方側が山越器2の走行路端に近づくと制動機構50によりトロリ24R、24Lを制動させる第4の工程(S104)と、山越器2の走行路端に近づいた分岐器70を巻き上げ機20により一旦吊り降ろし、巻き上げ機20から切り離す第5の工程(S105)と、移送予定面AFへの移送途中で吊り降ろされた分岐器70に対し、山越器2を横方向に移動する第6の工程(S106)とを備えている。そして、本実施例に係る山越器を用いた長尺重量物の移送方法では、長尺重量物を移送予定面に移すまで上記第2の工程(S102)から第6の工程(S106)までを繰り返すようになっている。なお、既設の分岐器を撤去する場合は、上記第1の実施例と同様に逆の工程をたどることになる。係る構成とすることにより、移送予定面を制約なく設定することができ、施工の自由度が向上する。
【0036】
なお、上記各実施例では、長尺重量物の一例として分岐器70を示しているがこれに限られるものではなく、軌框や転轍装置等鉄道用の重量物であって長尺のものに適用可能であることはいうまでもない。また、上記実施例では、ハンドル29、46を別体としているがこれに限られるものではなく、走行車輪の走行とロードチェーンの巻き取り巻き戻しを同時に行うことがないので、同一の構成とし、兼用するようにしてもよい。さらに、山越器の走行桁寸法は、上記実施例に限られるものではなく、作業対象となる分岐器等の長尺重量物の寸法に応じて決定されるのはいうまでもない。さらに、走行桁寸法の異なる山越器を現場に運び込み、適宜選択して用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(A)ないし(C)はそれぞれ、本発明の第1の実施例に係る山越器を示す平面図、正面図および側面図である。(実施例1)
【図2】図1の山越器の走行桁と巻き上げ機とを示す一部破断正面図である。
【図3】図1の巻き上げ機の側面図である。
【図4】図1の巻き上げ機の組み立て分解図である。
【図5】(A)ないし(C)はそれぞれ、図1の山越器を用いて長尺重量物を移送する工程を示す説明図である。
【図6】(D)および(E)はそれぞれ、図1の山越器を用いて長尺重量物を移送する工程を示す説明図である。
【図7】(A)ないし(C)はそれぞれ、本発明の第2の実施例に係る山越器を用いて長尺重量物を移送する工程を示す説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0038】
6 走行路
4 走行桁
5 支持脚
70 分岐器(長尺重量物)
20 巻き上げ機
L1 走行路長さ
D1 分岐器の軌間方向最大幅寸法(長尺重量物の幅)
23R、23L、24R、24L トロリ(走行車輪)
50 制動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、
走行桁の走行路を、作業対象となる長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けたことを特徴とする山越器。
【請求項2】
制動機構を、巻き上げ機本体に取り付けられねじ穴が貫通して形成された支持部材と、このねじ穴に螺装されるねじ部と、ねじ部の外側端部に取り付けられ、回動操作によりねじ部先端を走行車輪の車軸側に擦り付け可能な操作レバーとを備えて構成したことを特徴とする請求項1に記載の山越器
【請求項3】
巻き上げ機の走行車輪には、走行を操作する走行ハンドルが係脱自在に連結されることを特徴とする請求項1または2に記載の山越器。
【請求項4】
走行桁を、一対の角筒材を所定の間隔を隔てて両端を接続して構成し、走行路をこれら角筒材上面に形成し、
巻き上げ機を、左右の両側枠に回動自在に設けられたロードシーブと、先端に長尺重量物を把持するレールキャッチが取り付けられ角筒材間の隙間を介してロードシーブに巻き取られるロードチェーンと、角筒材間の隙間に突出し走行車輪が走行路から脱落するのを阻止する走行ガイドとを備えて構成し、
ロードシーブには、ロードシーブを回動させる巻回ハンドルが係脱自在に連結されることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1に記載の山越器。
【請求項5】
山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成し、
長尺重量物を、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置する第1の工程と、
山越器を、配置された長尺重量物と移送予定面とを跨ぎ長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程と、
走行路の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる第3の工程と、
制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物が移送予定面上に達すると制動機構により走行車輪を制動させる第4の工程と、
移送予定面上に達した長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離す第5の工程とを有することを特徴とする山越器を用いた長尺重量物の移送方法。
【請求項6】
山越器を、走行路を有する走行桁と、この走行桁の両端に取り付けられ走行桁を支持する支持脚と、走行路上に走行自在に載置され長尺重量物を把持して吊り上げる巻き上げ機とを備え、走行桁の走行路を、作業対象長尺重量物の幅より長寸に形成するとともに、複数の巻き上げ機を走行路に配置し、これら巻き上げ機には、走行車輪の制動を制御する制動機構を設けて構成し、
長尺重量物を、予め決められた移送予定面の横方向に合致させて配置する第1の工程と、
山越器を、長尺重量物を跨いで長尺方向に沿って一列に配置する第2の工程と、
走行路の長尺重量物上に巻き上げ機を配置し、制動機構により走行車輪を制動させ、これら巻き上げ機により長尺重量物を把持して吊り上げる第3の工程と、
制動機構により巻き上げ機の走行車輪の制動を解除し、吊り上げられた長尺重量物を移送予定面に向かって横移動させ、長尺重量物の移送方向前方側が山越器の走行路端に近づくと制動機構により走行車輪を制動させる第4の工程と、
山越器の走行路端に近づいた長尺重量物を巻き上げ機により吊り降ろし、巻き上げ機から切り離す第5の工程と、
移送予定面の途中で吊り降ろされた長尺重量物に対し、山越器を横方向に移動する第6の工程とを有し、
長尺重量物を移送予定面に移すまで上記第2ないし第6の工程を繰り返すことを特徴とする山越器を用いた長尺重量物の移送方法。
【請求項7】
移送予定面は、長尺重量物を敷設する道床の敷設場所または長尺重量物を撤去するためレール上で待機する搬送車であることを特徴とする請求項5または6に記載の山越器を用いた長尺重量物の移送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−220933(P2009−220933A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65951(P2008−65951)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(500418244)株式会社交通建設 (3)
【出願人】(390035312)東光産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】